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正義の在処

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「お疲れ様なのだ! 早速だけど、皆にお願いしたい事があるのだっ!」
 挨拶もそこそこに、月詠・色葉(ロリ系焦熱妖狐のアーチャー・f03028)は猟兵達に向け、仕事の話を始める。無駄話を好む色葉としては稀な事であり、それだけ急を要する事態が進行している事を伺わせた。
「向かって欲しい場所はアックス&ウィザーズ。そして、倒してもらいたい敵は……強力なドラゴンなのだ」

 ――ドラゴン。その一言で、猟兵の目の色が変わる。強力な、とわざわざ付け加える辺り、油断のできない相手なのだろう。

「とはいえ、ドラゴンについての情報はあまりないのだ。いつどこに現れるかも分からなくて、重要な情報は皆に集めてもらわなくてはいけないのだ」
 力不足に、色葉は一瞬しょんぼりと。だが、すぐに立ち直ると、説明を続ける。
「その情報集めの一環として、とある小さな村に向かってもらいたいのだ。そこは王都からも離れた、本当に小さな村なんだけれど、何度かドラゴンの目撃情報があるようなのだ」
 ドラゴンは現れるも、村に対する攻撃の意思は見せなかったようだ。代わりに、何かを探す求めるように上空を何度も旋回していたらしい。村への攻撃よりも、現状では探し物を優先しているのだろう。
「村外れには奇妙な墓標があって、ドラゴンが最も注目していたのもそこのようなのだ。すぐ近くには盗賊団のアジトもあるようだし、何か関係があるのかもなのだ」
 目撃者はそれなりに多くいるようだ。酒場などに行けば、容易にドラゴンの特徴や様子、飛行してきた方角などを聞けるかもしれない。また、盗賊団も重要な情報を握っていそうだ。
 情報が集まり次第、ドラゴンの元へ向かって撃破して欲しい。放置しておけば、いつドラゴンの脅威が村や村人に向いても不思議ないのだから。
「それと、これは確証のある情報ではないのだけれど――」
 そう前置きして、色葉は言う。
「どうも盗賊団は、少し前に大規模かつ長期に渡ってどこかへ遠征していたそうなのだ。泥塗れで帰ってきた挙句、何か巨大なモノを持ち帰った……そんな話もあるみたい」
 ともかく、情報を集め、確かめ、ドラゴンの元へ。そこにどんな真実があるのかを確認してきて欲しい。


ハル
 皆様、お世話になっております、ハルです。
 記念すべき初依頼です! そしていきなりドラゴンです!
 また、今シナリオは、アックス&ウィザーズが舞台となっております。
 皆様が西洋風ファンタジー世界に浸れるよう努力したいなー、と思っています。

 三章構成で、一章でドラゴンについての情報を入手、二章では、一章で得た情報を元 にドラゴンまでの道のりを踏破し、三章でボス戦という形態になっております。

 戦闘時に、連携歓迎、不可等ありましたら、教えてくださると有難いです。

 詳細については、章公開時にご確認ください。
 では、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『風の墓標』

POW   :    荒野を踏破し探索、或いは盗賊団を圧倒して情報を得る

SPD   :    町や酒場で情報を得たり、地図や痕跡から推測する

WIZ   :    魔力で探査したり、荒野の獣や精霊に助力を求める

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

暁・碧
まずは情報収集が必要みたいだね。

持ち前のコミュ力を活かして広場とか酒場で村の人と仲良くなってドラゴンの情報を教えてもらおうかな。

それに合わせてドラゴンが気にしてる奇妙な墓標についても色々情報を集めておこうかな。

情報が集まったらそれを元に確かめられることは確かめに行こうかな、特にドラゴンが気にしている墓標はしっかりと確かめるね。
☆アドリブ、他の猟兵との連携歓迎です


ロー・オーヴェル
上手く情報を得るコツというのは
「知らない」と相手に思わせること

自分の知ってる情報が相手も知っているのなら
別に教える必要はないと判断され情報が得られない

とはいえある程度はカマかけたり
「町で噂になってたんだが……」
と少しは話を展開させる工夫は実施

上記を基本姿勢として
町や酒場等の人の集まる場所で情報収集

相手に不審がられぬよう留意しつつ
役立つと思われる技能【コミュ力】【情報収集】も活用し聞き出す

自身の近くの会話には【聞き耳】を活用し
その中に有益な物があれば記憶

にしても何かを持ち帰ってきた盗賊団に
探し物をしているようなドラゴンか

(……まさかドラゴンの卵でも持って帰ってきたんじゃないだろうな、その盗賊団)


ミロ・バンドール
人と交渉するのは苦手だ……
かといって、魔法や動物を使って探査するなんてスキルは無いしな
そうなると、そうだな……やはりあれしかないか

行動:盗賊団を圧倒して情報を得る(&荒野を踏破)
ブレイズフレイムでアジトを燃やして脅迫を行う
「ドラゴンについて知っていることを教えろ。直接知らなくても思い当たることを何でも出せ」

こんな感じだろうか…
俺が何かされたわけでもない相手を痛めつけるのは少々気が引けるが
盗賊団ならそういうルールの下で生きる者達だ、問題あるまい

適切な情報を出せば延焼分も含めて炎は消してやろう
一応、話を始めるときに「任意に消せる」ということは教えてやっても良いかな

*アドリブ等OKです


草野・千秋
ドラゴンとはまるで、西洋風ファンタジー世界ですね……。

【POW】で調査
力仕事なら任せて下さいよ
或いは……盗賊団を相手にするような荒事?
僕らは猟兵、ドラゴンに関する情報を求めています
何か見聞きはしませんでしたか?と


小宮・あき
ドラゴンや盗賊、それだけでも周囲の方々は問題でしょうに、何かを持ち帰った…?
こういう不安要素は、私どうしても気になってしまうの。

●WIZ対抗
技能[動物と話す]で情報収集。

怪我をしている動物がいないか[聞き耳][視力][第六感]で探します。
【生まれながらの光】で回復後、会話を試みます。

もしくは…[世界知識]でアックス&ウィザーズの草食動物を調べ、[罠使い]で[おびき寄せ]。
とっても、私は聖者。怪我をさせないよう注意します。

動物相手でも[礼儀作法][コミュ力]をフル活用。

「この辺に、盗賊が居ませんか?」
「巨大なモノ、何か知りませんか?」


ライラ・カフラマーン
襲ってこないドラゴンに山賊、そして村。
素敵ですね、お話のひとつでも書けそうですね。
ともあれ村人にとっては気が気でないでしょう。ここは調査といきましょう
SPD・村や酒場で情報を集めるとしましょう。
【目立たない】ことは得意ですので、集まってる人々に聞き耳を立てましょう。
それらの話に【世界知識】が関わってないかどうか思い出してみたりします。
もし村で地図を入手できるのなら、そこに【情報収集】で得た知識などを描きこみ、推測してみたりします。
他の猟兵さん達の意見も聞きたいところですね。

「私が思うに、ドラゴンは何かを探しているのでしょう。それを見つける必要があります」
【アドリブ・他PC様との絡み歓迎】


ニコラ・クローディア
「ふぅん……ドラゴン。どれほどのものかしらね?」
真龍、を名乗っている身としてドラゴンの事件は見逃せない。
体力にも自信はあるため、情報収集は【POW】を中心に魔力などで補助をする形で行う。
「アンフィス、バイネイン、お願い」
双子竜槍を地面に突き立て、そこを起点に使い魔の双子竜を真の姿で召喚。そのまま使役し、空から見下ろした地形図を得たり、出没中の盗賊団を探したりする。
必要に応じて【高速詠唱】【世界知識】【情報収集】で情報収集の魔術を多重展開して魔法的な情報も集めましょうか。
「――そういえば、墓には何が埋っているのかしら?」
判れば儲けものかもしれない。

アドリブ、連携、台詞捏造OK
口調は「猫ラ」モード




(「襲ってこないドラゴンに盗賊、そして村ですか……。素敵ですね」)
 それだけ聞けば、ファンタジー世界――それこそアックス&ウィザーズを舞台にしたミステリー小説のプロットのようで、ライラ・カフラマーン(放蕩占術師 琥珀のライラ・f09622)は苦笑を浮かべる。
 寂れている訳でも、かといって殊更活気がある訳でもない。この小さな村を端的に表現するのであれば、そう……全てがちょうどいい村という表現が相応しいのかもしれない。
 こじんまりと、静かな村。
 だからこそ、此度のドラゴンを巡る騒動は、村の住民だけでなく、近隣を拠点とする冒険者たちにも衝撃を与えたはず。
 事実は小説より奇なり、そんな言葉を体現する世界がいくつも存在する事を、ライラは様々な世界を来訪する中でよく知っていた。
 酒場の一席に腰を下ろすと、周囲は当然ながら件のドラゴンの話題で賑わっている。
「なぁ、また例のドラゴンが来たんだってな」
「ああ、これで何度目だよ。しかも、同じ場所ばかりに……。そろそろ本格的にヤバイんじゃないか?」
「それにしても、霧を纏うドラゴンか。そんな奴もいるんだな」
 目立たず、騒がず、ライラは周囲に聞き耳を立て、自身の経験と照らし合わせてみる。
 そして、『同じ場所』『霧を纏う』という言葉に、村で入手した地図へと素早くメモを走らせた。
 と、ライラは別席のロー・オーヴェル(スモーキークォーツ・f04638)の視線を感じ、顔を上げる。同じく聞き耳を立てていた彼に頷きを返すと、ローの方もどうやら同席していた村人や冒険者達へ、ついに本題を切り出す事にしたようだ。

「おじさん達の話面白いね! もっと聞かせて聞かせて!」
「おう、嬢ちゃんみたいな若い別嬪さんになら、俺達なんだって話しちゃうぜ?」 
 暁・碧(妖狐の女子高生・f00059)に酒をお酌され、ガタイのいい冒険者たちがニヘラと相好を崩す。ここ最近継続して緊張状態にあったのに加え、碧の優れたコミュニケーション能力によって彼らの口は非常に軽快なものとなっていた。
(「さて、そろそろか」)
 ローも碧と共に場を盛り上げながら、しかしドラゴンやそれ関連の話題についてはおくびにも出さずにいた。
(「上手く情報を得るコツってのはな、こちら側が何も「知らない」と相手に思わせることさ」)
 理想は、相手から「こんな話があるんだが……」そう進んで切り出させる事だ。ある程度時間をかければそれも可能だろうが、今回はそういう訳にもいくまい。
「村で噂になってたんだが……ドラゴンの存在に困ってるそうだな」
 満を持して、ローが切り出す。すると、冒険者達は一様に顔を見合わせた。
「私もその噂聞いたよ。……皆が心配だよ」
 碧が赤と青の瞳に憂いを浮かべると、冒険者達は頭を掻く。
 そして、ローと碧をこれ以上不安がらせないようにするためか、現状を話してくれた。彼らも不安なのだろう、一度口を開いてしまえば、もう止まらない。
「ドラゴンは村はずれにある奇妙な墓標を気にしてるって聞いたけど、本当なのかな?」
「それは間違いないな。あそこの周りを特に執拗に飛び回ってやがる。それもあって、村の住民は盗賊団が何かやらかしたんじゃないかと疑ってるぜ」
「……なるほどな」
 碧の問いかけに返ってきた答えに、ローは内心嫌な予感を覚えた。
「奇妙な墓標って、結局の所なんなのかな。盗賊団がどうして関係あるの?」
「大昔には墓場として使っていたみたいだな。今では人がほとんど足を踏み入れない場所だけに……盗賊団の根城になっちまってるんだ」

「私が思うに、ドラゴンは何かを探しているのでしょう。それを見つける必要があると思います」
 一通り情報を聞き終え、集まった三人が意見を交換すると、ライラは自然とそうした結論に至った。
「盗賊団が何かを持ち出したのは間違いないだろうな」
 問題は、それが何であるのか、何を持ち出したのか。曖昧な情報はあれど、詳しい事は村人並びに冒険者達も知らないとの事。
「なら、なおさら墓標については確かめに行かないとね!」
 碧が告げると、二人も同意するように頷いた。
「(盗賊団共……まさかドラゴンの卵でも……)」
 過去の存在であるオブリビオンが、卵を産んだりするのかはともかくとして――。
「ま、なんとかなるさ」
 ローは笑みを見せると、二人に断ってから煙草に火をつけるのであった。


「ふむふむ、ドラゴンは北の方角からやって来たんですね。教えてくれてありがとう、小鳥さん」
 第六感で目星をつけていた場所に倒れていた小鳥へ、聖なる光を浴びせて治療した小宮・あき(人間の聖者・f03848)は、柔らかな物腰でその声に耳を傾けていた。どうもドラゴンの出現による影響は、主に空の動物達へと被害を与えているらしい。
「アンフィス、バイネイン、お願い」
 それを受け、ニコラ・クローディア(世界を渡る龍賢者・f00091)は両端に刃を持ち、二対の槍に分離可能な双子竜槍を地面に突き立てると、龍詞を高速で唱えて彼らの真の姿を呼び覚ます。召喚され、恭しく傅く双子竜は、ニコラの指示を受けて空に向けて飛び立った。空からの視点を主人に与え、盗賊団の根城を探るために。
「ふぅん……このドラゴン。どれほどのものかしらね?」
 加えて、滞留していた力の残滓を辿ると、それは確かに北の方角からのもの。小鳥からの情報がなければ気づかない程度の微弱なもので、ドラゴンの実力は依然として不明だが、そちらに何かがあるのは間違いないだろう。
「それにしても、ドラゴンとは……。まるで西洋風のファンタジー世界ですね……」
「いや、まるでも何も、まんま西洋風のファンタジー世界だろう、ここは。俺もそれほど詳しくはないが」
「あっ、そういえばそうでしたね」
 草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)が何気なく発した言葉に、ミロ・バンドール(ダンピールの咎人殺し・f10015)がたまらず指摘を入れると、あきとニコラがクスリと笑う。
 美麗な歌で魔法を操る、まさにファンタジーな千秋の言葉だったから、余計笑いを誘ったのだろう。
 やがて、「この辺に、盗賊が居ませんか?」そうあきが草食動物に問いかけ、ニコラが双子竜から得た情報を元に、一行は盗賊団のアジトへと向かった。
「――一体、墓には何が埋っているのかしら?」
 ニコラが腕を組む。恐らくは、その『何か』が鍵を握っているのだろう。

 アジトに辿り着いた猟兵たちは、盗賊団と向き合っていた。
「んだ、てめぇら!!」
「ぶっ殺すぞ!」
 明らかに人相の悪い盗賊団の面々は、猟兵たちに向けて敵意を剥き出しにしており、穏便に話ができるとは到底思えない雰囲気だ。
「ここからは僕の出番でしょうか。力仕事なら任せて下さいよ」
 そんな状況もあって、千秋が前に出る。
「舐めやがって! 遠慮はいらねぇ、お前ら殺っちまえっ!」
「おっと」
 すると、盗賊団の首領と目される男が、配下達を嗾けた。だが、千秋は襲ってくる下っ端達を素手で次々と組み伏せていく。
「…………」
「僕らは猟兵、ドラゴンに関する情報を求めています。何か見聞きはしませんでしたか?」
 配下のやられ様に絶句する首領を、千秋が真っ直ぐと見据えた。
 しかし、彼らはそんな状況でも敵意を見せたまま、なかなか口を割ろうとしない。
「俺はあきのように動物と会話する事も、ニコラのように魔法を使って探査するスキルもない。だが、そんな俺でも一つできることがある」
 言うとミロは地獄の炎を噴き上げ、盗賊団……ではなく、彼らのアジトを紅蓮色に炎上させる。
「うおっ! なんてことしやがる!」
 盗賊団は慌てて消火しようと奮闘するが、ミロの炎は一向に消火される気配もない。
「要求は一つだ、ドラゴンについて知っていることを教えろ。直接知らなくても、思い当たることを何でも出せ。さもなくば――」
 お前達のアジトは灰も残らないだろう。ミロの脅迫に、盗賊団は二の句が継げない。
(「あら、なかなかやるじゃない?」)
 盗賊団の無様な様子に、ニコラは胸中でほくそ笑みながら、自身も強情な盗賊達を圧倒してやる。
「まだ続けるのかしら? こう見えてニコラ、体力には自信があるのよ」
「ドラゴンの事はよく知らない。だが…………何故この周辺に現れたのか、心当たりはある」
 ニコラに笑顔で睨まれた挙句、ミロに情報を出せば延焼分含めて炎が消してもらえるという救いを得た盗賊団は、ようやく観念したようだ。絞り出すように、そう言った。
「それは、巨大なモノに何か関係することですか?」
 あきが尋ねると、彼らが頷く。
「で、それというのは、具体的には何かしら?」
 ニコラに促され、頭領は重々しく口を開く。
 それは……。
「遺骸だ」――と。


「……これが……」
 碧が呟く。
 奇妙な墓標に埋められてあったのは、巨大にして大量の骨であった。無論人ではなく、オブリビオンのもの。
 盗賊団は偶然にソレを発見した。そして、運よくドラゴンに発見されずに持ち帰った。
 ソレは、墓場だったという。悼むように、誇るようにして、大量の骨はドラゴンの形成した墓場に鎮座していた。同胞のものであり、敵を刈った証――戦利品としての骸……ドラゴンの過去が詰まった墓場だ。
 強靭なそれらの骸は、時として様々な用途として価値を生むかもしれない。盗賊団はそう考え、墓を荒らした。墓場のすぐ傍にアジトを構える盗賊団としては、墓荒らしは至極当然の事なのかもしれないが。
 だが、結局ドラゴンに嗅ぎつかれ、慌てて骸を墓に埋める事になってしまった。
 人々の記憶から忘れられかけていた奇妙な墓標は、時を超え、墓標としての役割を取り戻していたのだ。もちろん、悪しき意味で……。
「ドラゴンに盗賊……不安要素がたくさんあって、気になっていたんだけど」
 あきが、大きく溜め息を吐く。
「ええ、謎が謎を呼ぶ素敵なお話だと思いましたが、結末も素敵とはいかないようですね」
 ライラ達は視線を北方面に向けた。
 そこにいるであろうドラゴンの怒りを肌身で感じながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『沼地』

POW   :    大胆に行動

SPD   :    慎重に行動

WIZ   :    アイテムを活用

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 見事謎を解明した猟兵達は、北へ向かった。
 そこには、毒々しい色合いをした沼地が広がっている。
 一歩脚を踏み入れれば、瞬く間に泥だらけ。下手をすれば、全身を飲み込まれてしまう可能性すらある。
 この先にいるであろうドラゴンの元へ向かうため、大胆に前進あるのみか、ゆっくりと慎重に脚を踏み入れるべきか、はたまた何か策を弄するべきか……。

 
暁・碧
今度は沼かぁ。
できるだけ沼に入らないで越えられればいいんだけど……

まずはUC【空中を飛ぶ者】でできるだけ沼に入らないようにジャンプして進んでいくね。ジャンプで飛び越えられなかったら仕方ないから沼の中を慎重に第六感で危険の少ない場所を選んで進むね、歩くときは足が沈まないように足を出していくね。
もし、ジャンプ回数が尽きて沼に着地した後もUC【空中を飛ぶ者】がまた使えそうなら使って先に進むを繰り返そうかな。
☆アドリブ、他の猟兵との連携歓迎です


小宮・あき
私、知ってます。
こういう時、オラトリオさんって、空が飛べて便利ですよね!

あきは人間の聖者。天啓を受けたオラトリオは憧れの存在。
更に最近は依頼で「空が飛べたらいいな」と思う事も多く。
ですが、どうやっても、今の私は人間。出来る事を、一歩ずつ。

先程と同じく[おびき寄せ]や[歌唱]で動物を呼び、[動物と話す]で遠回りの道がないか聞きます。

おびき寄せ出来なかった場合は[失せ物探し]の要領で、周囲に野生動物の足跡がないか探す。足跡があれば[追跡]で通りやすい場所を。

[世界知識]で沼地の特性を理解。[毒耐性]が役立つかな、怪我は[激痛耐性]で一時我慢しUC【生まれながらの光】で回復しながら進みましょう。


草野・千秋
【POW】
大胆に前進します
僕は頭はあまり良くないですが
力だけなら大したものですよ?
そこを生かして、沼を進むのです
たとえそこが毒の沼だったとしても!
昔聞いた伝説では毒の沼にほ
財宝が眠ってるとも聞きましたし!




「……今度は沼かぁ」
 暁・碧(妖狐の女子高生・f00059)は指先を口元に添え、考え込むような仕草を見せながら、思わずそう零した。
「できるだけ、沼に入らないで超えられればいいんだけど……」
 年頃の少女としては、こんな毒々しい色合いをした沼になど、進んで入りたいと思うはずもない。
「私、知ってます。こういうとき、オラトリオさんって、空が飛べて便利ですよね1」
 ――と、小宮・あき(人間の聖者・f03848)が、ポンッと手を打つ。
「あれ、しかし確か小宮さんは……」
「ええ、残念ながら……という訳でもないのですが、私は人間です」
 草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)の疑問に、あきは苦笑を交えて答えた。
 天啓を受けたオラトリオ――それは人間の聖者であるあきにとって、憧れの対象であった。
「オラトリオさんなら、ぴゅーって飛んで行って、ばっきゅーんって向こう岸まで辿り着けちゃうのかしら」
 あきは両手を組んで、空からの授かりもののような水色の瞳をキラキラと輝かせる。こういった天使の翼が有効な場面に遭遇する度に、その憧れはどうしても顕在化してきてしまうのだ。
「なるほど、確かにそれは便利そうです。ですが僕は頭があまり良くない事を自覚しているので、初めから選択肢は一つです」
「あはっ、さすが男の人は大胆だねぇ」
 八重歯を見せてハニカム碧の視線を背に受けながら、千秋は一切の躊躇もなく沼に足を踏み入れるのであった。


 動くたびに、千秋の大柄な身体が沼に飲み込まれていく。
 それは一見して、溺れているようにも見えた。
 しかし、
(「力だけなら、僕も大したものですよ?」)
 千秋は、本来なら満足に動かせないはずの手足で、怪力を使った力業で泥を掻き分け、沈んだ分だけ浮上して前進する。
「この程度で音を上げるようでは、子どもを守るヒーローにはなれませんからね! たとえここが毒の沼だとしても!」
 強引に、泥臭く。ピリピリと肌を焼くような毒沼の感覚に耐え、着実に千秋は前に進み――。
「昔どこかで聞いた、毒の沼に財宝が眠っているという伝説も、あながち嘘ではないのかもしれませんね」
 千秋の掌の中には、紋章が大きく刻まれたメダルが。これがなんなのか、価値があるかは不明だが。
「ドラゴンを倒せば、この沼地が花畑に……そんな事が伝説の中だけでなく、現実でも起こればいいののですが」
 千秋は無事、沼地を踏破した。


「それじゃあ私もいくね!」
 千秋に続き、碧も一歩を踏み出す。とはいえ、彼と同じ手段ではなく、碧流のやり方で。
「―――ッ!」
 碧の両脚は、地面を蹴ってはいない。代わりに空中を蹴って、推進力を生み出していた。
「どこまでジャンプで行けるかな?」
 2回、3回、4回……回数を数えながら、碧は何度も空中を蹴る。小気味よく、順調に跳躍を重ねた。
 やがて、10回、11回、12回目の跳躍で、
「見えたよっ!」
 碧は向こう岸を目視した。
 まだジャンプの回数は6回程度残っており、ある程度余裕をもって到達できそうだ。
「よし、到着っと!」
 白い肌や衣類を毒沼でドロドロにされる事を若干ながら危惧していた碧は、
「まったくもう、肌や服は最悪洗えばいいけど、エクステやネイルまで汚れてダメになったらどうしてくれるのかな」
 そう言いながら、表情に安堵を浮かべるのであった。


「……今の私は人間です。憧れのまま立ち止まるよりも、出来る事をして、一歩ずつ!」
 あきにとって、沼地はその試練の一つ。
「確か沼の周りには、多種多様な野生動物が暮らしているはずですよね」
 知識を総動員し、あきは沼地の特性を脳裏に浮かべる。
 あきは怪我をさせないように注意しつつ、野生動物をおびき寄せる。少しすると、ビーバーやアライグマに似た動物たちが、あきの歌や罠に寄って来てくれていた。
「私の呼びかけに応じてくれて、ありがとうございます。所で、この辺りに沼を迂回できるような遠回りの道はありませんか?」
 あきが問いかけると、野生動物たちが後をついて来いと動き出す。
「か、可愛い!」
 あきはその後を笑みを浮かべて駆けていく。
 工夫が功を奏し、聖なる光の治癒も併用した彼女は、沼の毒の影響を最小限に抑え、沼を脱する事ができた。


 そうして先行した碧、あき、千秋の三名は沼を超え、一足早くドラゴンの根城へと向かうのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

蒼薙・瑠奈
この先にドラゴンが……それにしても毒々しい沼ですね。
見た目通りに毒沼だったりは……しないですよね?

まずは沼に直接は入りたくないから妖剣解放で妖刀の怨念を纏うね、そのあとは高速移動で足が沼に沈まないように走って沼を渡ろうかな。
途中で転けそうなでっぱりや水草とかがあったら遠回りになってしまうとしても避けて進んでいくね。




「この先に、ドラゴンがいるんですね」
 蒼薙・瑠奈(妖狐の戦巫女・f12596)は、真剣な表情で沼地の先を見据えた。
 まだ、瑠奈のいる場所からはドラゴンの気配を感じる事はできない。しかし、強力なドラゴンと相対する時は、着実に近づいている。
「でも、それより先にまずはこの毒々しい沼地ですよね。まさか、本当に毒沼だったりは……しないですよね?」
 誰に問いかけるでもなく、瑠奈は小首を傾げながらチョンチョンと靴の爪先で沼をつついてみる。すると、たいして力や体重を込めていないにもかかわらず、まるで吸い込まれるように爪先の半ばまでが泥に埋まってしまった!
「…………んー、行きたくないな」
 思わず、本音が出る。爪先でこれなのだから、直接入るなんて論外だ。
「行きましょうか。高速で駆け抜ければいいんです。踏み込んだ脚が沈む前に、もう片方の脚で水面を蹴って推進力を得る。うん、なんだか行けそうな気がしてきた!」
 瑠奈は妖刀を握り、一度瞳を閉じて、

 ――妖剣解放!

 再び目を開けた時、瑠奈の瞳は……いや、その全身は妖刀の怨念を纏っていた。瞬間、瑠奈の身体がその場から掻き消える。立ち上る妖気は彼女に高速での移動を可能にさせ、踏み込んだ脚は沼地の泥を衝撃で巻き上げた。
「――っ」
 駆ける中、瑠奈の息が切れる。それは、妖刀の怨念が彼女の体に負担をかけている事を意味していた。目立つ障害物を慎重に回避しながら沼地の奥地……果てに到着すると。
「沼の影響は許容範囲でしょうか。そして……いよいよ、ですね」
 霧を纏うドラゴン……それは一体どんな姿形をしているのか。そんな思いを馳せながら、瑠奈はさらに先へと進んでいく。

成功 🔵​🔵​🔴​

ライラ・カフラマーン
WIZ:アイテムを活用

沼ですか…底なし沼だと危険ですね。
一度村に戻って川釣りに使う舟をお借りできるよう頼みましょう。
ドラゴン退治に必要だと【言いくるめ】れば借りれるかもしれません。
借りることが出来なかった場合は仕方がありませんね。
氷の魔法で沼を凍らせ足場を作って渡ります。
氷【属性攻撃】を足先に【範囲攻撃】。
私くらいの体重なら足早に過ぎ去れば何とかなるでしょう。
他の方はご安心を、【一夜の宿】にて暫く私の懐でお休みになってください。




「底なし沼だと危険だと思い、川釣りに使う舟を借りてきたのは正解でしたね」
 一口に舟といっても、アックス&ウィザーズのものはエンジンなど当然ついておらず、手漕ぎで簡易的なものである。
 それにしても――。
「……ふふっ」
 ライラ・カフラマーン(放蕩占術師 琥珀のライラ・f09622)は舟を借りる際のやりりとりを思い出し、静かに苦笑する。この村の住民は猟兵の事を知らないため、基本若い女性として見られるライラはさぞ心配をかけたようだ。
『本当に大丈夫か? 沼地は危険だぞ?』
『こう見えても私は冒険者なので、それなりに腕も立つのです。この村を襲っているドラゴンを退治するために船がどうしても必要ですので、お借りできませんでしょうか?』
『それは、もちろん協力したいけど……なぁ?』
 そんなやりとりが何度か繰り返された後に、ようやくライラは船を貸してくれた村人を言いくるめる事ができたのだ。
 オールを漕いで、ライラは沼の泥の上を滑るようにして前進する。
 そうしていると、船に設置されていた簡素な釣り竿に視線が向く。
「ああ、そういえば、まだこの辺りの地方料理を味わう事ができていませんね」
 酒場には、気の利いた食事類は用意されてはいなかった。
「ドラゴンを倒した暁には……必ず」
 きっと、ドラゴン達の奏でる謎を味わえ終えた後の食事は、一際美味に感じるに違いない。
 そのためにも――。
「終わらせましょう。事が上手く運べば、猟兵の皆さんを一夜の宿に招待するのもいいかもしれませんね」
 言葉とは裏腹に、ライラの前髪に隠された赤い瞳が細められる。
 沼の対面に辿り着いたエルフの耳が、ドラゴンの咆哮を耳にしていた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『霧中の暴君『グラドラゴ』』

POW   :    死の竜霧
自身に【触れるだけで出血毒と麻痺毒に犯される霧】をまとい、高速移動と【毒霧と身体が裂けるような咆哮】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    ミストリフレクト
【相手の姿をしている霧製】の霊を召喚する。これは【霧の中で強化され、真似た相手の武器】や【同じユーベルコード】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    霧中に潜むもの
戦闘用の、自身と同じ強さの【霧で作られた自身と同じ姿の無数の竜】と【霧に隠れた本体を守る巨竜】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 耳にした咆哮を頼りに、進んだ猟兵達は、深い霧の只中にいた。
 自分自身の掌さえ霞んで見えるような深い霧。しかし猟兵達はすぐ傍に、強大な圧力のようなものを全身に感じていた。

 ――憎悪。
 
 それは、ドラゴンの闘争の歴史とも呼べる遺骸を盗んだ盗賊達に、そして邂逅した猟兵達へと一心に向けられている。
 出会ってしまったが最後、遺骸を返そうが何をしようが、猟兵達とオブリビオンの間に和解はありえない。互いの存在を賭けて、矛を交えるのみである。

 ドンッと、猟兵の背に何かがぶち当たる。最初それは、岩か何かかと思った。
 しかし、肩口にベトッとした粘性の液体――唾液が垂れた瞬間、猟兵はハッとして上を見上げた。
『姿無き竜』『死の竜霧』……そんな別名で呼称されることもある、そのドラゴンこそは。

 ――霧中の暴君『グラドラゴ』。
暁・碧
流石ドラゴン……一筋縄では行かなそうだね…!

霧で竜を作ったうえで霧に隠れられたら本体を守っているらしい巨竜を見つけないとだよね……!
きっと分かりにくいように偽装してるだろうから第六感で巨竜だと感じた龍を宝刀・天羽々斬と高周波ブレードで2回攻撃をするね、できればなぎ払いで狙った竜ごと周囲をまとめて攻撃する!
本体を特定することに成功したらフォックスファイアを本体に向けて全部放つ!
攻撃する時は自身の第六感を信じて攻撃が一番通りやすいと思ったところを狙って攻撃をするよ!
☆アドリブ・他の猟兵との連携歓迎


蒼薙・瑠奈
【妹の鈴音と幼馴染の碧と行動】
あれがドラゴン……初めて見るけどすごい迫力だね。
手強いと思うけど頑張ろうね!

まずは巫覡載霊の舞で神霊体になってダメージの軽減を狙うね。
なぎなたで衝撃波をなぎ払うように霧で作られた竜を攻撃して数を減らす役目を受け持つね。
二人の行動、特に碧のを見て本体を見つけて居たら同じ個体を狙う、また弱点を見つけてるようだったら出来るだけその場所を狙ってなぎなたの衝撃波をそこに打ち込むよ!

☆アドリブ歓迎


蒼薙・鈴音
【姉の蒼薙瑠奈、幼馴染の暁碧と一緒に行動】

いたいた、ドラゴン……大物だね。
けどボク達三匹、もとい三人の敵じゃないさ!
瑠奈お姉ちゃん!碧お姉ちゃん!
行こう!三狐一体、フォックストリームアタックだ!!

ボクは最後列で二人のサポートをしよう
邪魔はさせないよ!

竜の形をしてようが、ボク達と同じ形をしてようが、容赦なく打ち抜くからね
…むしろ、お姉ちゃん達と同じ姿をしている方が弾に勢いが付く…げふんげふん。な、なんでもなーい

☆アドリブ等、歓迎




「あれがドラゴン……すごい迫力だね」
 一瞬だけ垣間見えたグラドラゴの素顔に、蒼薙・瑠奈(妖狐の戦巫女・f12596)は気圧されかけていた。
「そういえば、瑠奈は対ドラゴンは初めてだったね。一筋縄では行かなそうだけど……!」
「大物だろうがボクたち三匹、もとい三人の敵じゃないさ!」
「……碧はともかく、鈴音は一体どんな根拠があって言っているのよ」
「そうそう、瑠奈お姉ちゃん。その感じその感じ!」
 だが、碧と鈴音のやり取りに。そして、そこに瑠奈本人を交えた双子の姉妹と幼馴染。その関係性が、瑠奈のみならず三人全員に力を与える。
「頑張ろうね!」
 瑠奈は改めて気合を込め、なぎなたの柄を握りしめた。
「猟兵、死スベシィィッッ!!」
 だが、殺る気になっているのは、何も猟兵達だけではない。グラドラゴもその最前列に身を並べる一体であり――。
「ドラゴンの気配が分裂した!?」
 先程までは確かに一方向からであったグラドラゴの殺気、圧力が、碧が瞬きする間に四方へと分散していた。しかも、その殺気や圧力といった質量は分散せず、そのまま四方全ての存在が受け継いでいるという厄介さ。
「瑠奈お姉ちゃん! 碧お姉ちゃん!」
 霧のせいで熱線銃の射線を定めることに苦労しつつ、周囲を伺っていた鈴音が焦りの混じった声を上げる。
 濃密な霧により、本物と見紛う程の精度で肉体が形成されたグラドラゴが、複数体で碧と瑠奈へと飛び掛かっていく様を目視したからだ。
「くっ!」
 瑠奈は舞を回避のステップに交えて踊ると、瞬時に神霊体へと肉体の構成を変え、霧状ドラゴンの攻撃を受け流す。カウンターでなぎなたを振るい衝撃波を放つと、霧状ドラゴンを後退させるが、撃破までは遠い。
「こうなったら、本体のグラドラゴに攻撃を叩き込むしかないね!」
 鈴音が援護のために熱線銃を放ちながら、碧を見やる。寸分たがわぬ同じタイミグで、瑠奈も碧を見ていた。
「なら、まずは本体を守っているらしい巨竜を見つけないとだよね……!」
 碧は巨竜であると直感で判断した個体へ、高周波ブレードと宝刀・天羽々斬を二連続で斬りつける。薙ぎ払えば敵全体との間合いを確保する事はできるものの、霧状ドラゴンはそれぞれ一体ずつがグラドラゴと同様の戦闘力を有しているため、適切な間合いを取る……それすら簡単ではない。碧はブレードのレバーを引いて、高周波を発生させる。唸りを上げるそれで応戦しながら――決断する!
「そこだぁ……!!」
 碧の操作の元、殺到する19の狐火。それは一見、巨竜らしき個体をすり抜け、見当違いな方向へと飛んで行き、何者も捉えられない……そう誰もが思ったが。
「碧お姉ちゃん、さっすがぁ!」
 鈴音が満面の笑みを見せて飛び跳ねる。
 鬼火は、碧の物事の本質を見抜く第六感によって、最適な場所、最適なタイミングでグラドラゴを捉えていたのだ。
「私も見つけたよ、碧!」
 グラドラゴが傷を受けた事により、瑠奈の周囲から霧状ドラゴンの気配の一切が掻き消える。瑠奈は、神霊体が身を苛むダメージに、奥歯を噛み締めた。しかし、碧が用意してくれた隙を逃すわけにはいかない。
 なぎなたから放たれた衝撃派は、確実にグラドラゴに叩き込まれる。
 ――が。
「なっ!」
「これは、鈴音!?」
 次の瞬間、碧と瑠奈は、反射的に手を止めた。
 グラドラゴが、自身を守護させるため、鈴音の姿を模した霧の霊を召喚したためだ。おまけに霧状の鈴音は、元よりも強化された熱線銃を次々と打ち込んでくる。
「ふっふーんだ! ボク達と同じ姿形をしていようが。容赦なく打ち抜くからね」
 しかしその中で、鈴音本人だけは一切の動揺を見せず、14分の1秒感覚で熱線銃からレーザーを発射していく。向こうのレーザーを回避しつつ放たれる鈴音のレーザーは、やがて霧状の鈴音を超えてグラドラゴにまで直撃。粉塵が吹き上がり、互いの姿がより目視できない。
「瑠奈お姉ちゃんも碧お姉ちゃんも、攻撃の手を休めるなんてまだまだ甘いね! ボクだったら、お姉ちゃん達と同じ姿をしていた方が、むしろ弾に勢いが――って、げふんげふん。な、なんでもなーい」
 グラドラゴの動向を警戒しつつ、熱線銃の銃口から立ち上る煙にフッと息を吹きかける鈴音だが、だんだんと調子づいた口から漏れた失言に、慌てて両手で口を覆う。
「…………ふぅん」
「これは、またお仕置きが必要かな?」
 だが、一度口から飛び出た言葉は戻らず、碧の冷たい視線と瑠奈のお仕置きという単語に、ドラゴンとの戦闘以上に肝を冷やす羽目となった。
 だが、それな安息も僅かの間の出来事――。
「猟兵ニハ、死アルノミ」
「……流石ドラゴン」
 粉塵が晴れた碧の視界の先、グラドラゴがまだまだ健在を示すべく咆哮を上げた。
「行こう! 三狐一体、フォックストリームアタックだ!!」 
 鈴音が素早い変わり身を見せて熱線銃を構えると、碧と瑠奈もそれぞれの武装を手に、果敢にグラドラゴへと斬りかかっていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

小宮・あき
クレリックとして前衛でメイス攻撃も出来ますが、私は後衛で攻撃兼支援に回るわ。
連携を取った方が良さそうな気がする。

●WIZ対抗
UC【ジャッジメント・クルセイド】で攻撃。

霧の中に、無数の竜と本体を守る巨竜、ですか。
本体を守るという事は、その近辺に居るって事ですよね。

それなら、逆に当てやすいかも!
「ジャッジメント・クルセイド!」
このユーベルコードは、指先を向けた相手の上空に光の柱を降らせるもの。
姿さえ「見えれば」いいの。高命中率もあるし、外さないわ。

[聞き耳]と[視力]で相手の位置を探り、[第六感]と[野生の感]で標的を見つける。
[勇気]と[覚悟]を持って、己を[鼓舞]し、[全力魔法]を放ちます。


ライラ・カフラマーン
あなたに戦う理由があるように、私達にも戦う理由があります。
許してくれ、とは申しません。
今回の件は私の旅行記の一篇に記載されることでしょう。

敵は霧を攻防に使用してくるでしょう。ならばその元を叩きます。
風の【属性攻撃】で我々の周りの霧を晴らします【範囲攻撃】。
敵の姿が見えたのならウィザード・ミサイルを使用します。
敵の身体に点いた炎の目印は、霧中にあっても役に立つことでしょう。
一撃は皆さんにお任せします。私は霧を晴らすことに全力を注ぎましょう。

……そういえば、これが終われば舟を返さないといけないですね。
まあ、それを肴に村人の昔話を聞くのも一興ですね。


ロー・オーヴェル
経緯が分かれば確かに非は盗賊側だな

大事なものを踏みにじるような奴には
相応の罰が与えられるべきだ

だが、何かを成すには相応の困難が付き物
「俺たちを屠ってお前さんの『正義』、見事実現してみせな」

個人プレイはせず
多少の時間がかかっても仲間との連携が図れるよう行動

敵本体が攻撃可能なら
仲間の攻撃で出来た隙や
極力敵死角からの攻撃を行い少しでも命中率が上がる様留意

霧で作られた竜等で本体位置特定が困難時は
遮蔽となっている物を排除する事を主眼


戦闘後は一服しつつ物思い

他人にとっては一笑に伏すような理由でも
当人にとっては存在意義に関わるような理由がある

それを『正義』と呼ぶのなら
「……面倒くさいモンだ、正義ってヤツは」


草野・千秋
いよいよドラゴン戦ですね
グラゴラゴ!いざ勝負!

【POW】
LVが低めの人が攻撃されそうになったら
盾受けでかばいます
ヒーローは人を守るものですから

攻勢に転じる時は
2回攻撃を駆使しつつ傷口えぐり
捨て身の一撃も使っていく
この一撃を食らえ!

アレンジアドリブ歓迎


ニコラ・クローディア
霧で隠れなきゃならんような輩とはな。同種として恥じ入るばかりだ。
「そこまで大事な宝なら、もっと厳重に守っておけば良かったんだよぉ、こーのバカ竜が!」
少々遅れてのエントリーだがそこは許せ、と猟兵に合流し、竜に対しては最初から喧嘩腰。己の宝を奪われるような腰抜けであることによほど腹が立っているらしい。
「最初はどんな竜がいるかと楽しみにしていたが、期待はずれも甚だしい! 骸の海へと還るがいい!」
口腔内に展開する雷撃魔法は最大出力。
霧? そんなもん、極論ただの水だろうが。オレサマのブレスで電気分解してやる。
オレサマのサンダーロアを喰らえ!
アドリブ歓迎
オレサマドララモード




「経緯が分かれば、確かに非は盗賊側だな。奴らはお前さんの大事なものを踏みにじった。それには、相応の罰が与えられるべきだ」
「しかし、あなたに戦う理由があるように、私たちにも戦う理由があります。許してくれ、とは申しません」
 何より、霧中の暴君とも称されるグラドラゴが、ロー・オーヴェル(スモーキークォーツ・f04638)、ライラ・カフラマーン(放蕩占術師 琥珀のライラ・f09622)といった戦場に立つ猟兵達の言葉に耳を傾けるはずもない。
 現にグラドラゴは、一度は消失に追い込まれた霧状ドラゴンを再び生成し、姿を霧中に潜め、猟兵達を攻め立てる。
「……SHOOT!」
 対してローは、それら霧状ドラゴンの攻めを紙一重で躱しながら、攻撃の飛んできた方向に視線を向けると、投擲用ナイフで応戦。
「今回の件は私の旅行記の一篇に記載されることでしょう」
 そう、ライラの歴史として、過去として。あるべき場所に戻れと、ライラの発生させた風が広範囲に吹き荒れる。霧は巻き上がり、徐々にではあるが、グラドラゴの姿を白日の元へと晒しだすべく。
「ライラさん、ナイスだわ!」
 その状況は、小宮・あき(人間の聖者・f03848)にとって非常に都合の良いもの。濃霧に覆われていた空間に、薄っすらとではあるものの、視界と呼んでいい空間が生まれたのだから。
「無数の竜と、本体を守る巨竜……本体を守るという事は、その近辺にいるって事ですよね。もうタネは明かされているのよ!」
 グラドラゴの配下や霧が万能の存在ではない事は、これまでの戦闘の推移を見ても明らかであった。
 あきは耳を澄まし、目を凝らす。何物も逃さないと。
「姿さえ『見えれば』いいの。高命中率もあるし、外さないわ! 」
 確実でなくていい、大まかにでも存在が確認できれば、あきの指先はドラゴン達を補足する事が可能だ。
 あきの直感と本能は、グラドラゴを戦場に引き摺り出し、天からの光が裁きとして下った。
 グラドラゴの翼に、風穴が開く。
「俺たちを屠ってお前さんの『正義』、見事実現してみせな」
「オノレェェ!!」
 何の対価も払わずに、何も得ることはできない。それは、ドラゴンも猟兵も同じく。ゆえに困難と知りつつ、ロー達はこの場に存在しているのだから。配下の霧状ドラゴンを失ったグラドラゴに、ローの放つ投擲用ナイフが次々と突き刺さった。
 

 グラドラゴは、確実に消耗の度合いを増していた。
 だが、息の根を止めるまでは油断してはならない。
 それを証明するように、グラドラゴがその身に死の霧を纏う。触れるだけで出血毒と麻痺毒を伴う二種の毒霧は、グラドラゴに驚異的な機動力まで与え、
「ゴォオオオオオオオオオオ!!!!」
 天高く咆え猛ると、その咆哮は毒霧を伴った衝撃波となり、猟犬達を襲う! 
 遺骸を奪った者らへ、猟兵へ、特大の憎悪の込められた一撃。
「来るぞ!」 
 しかし、猟兵側からもそれに一歩も引かぬ――どころか軽く凌駕するような鋭く傲慢な声が戦場を切り裂いた。
「そこまで大事な宝なら、もっと厳重に守っておけば良かったんだよぉ、こーのバカ竜が!」
 苛立たしげ灰色の髪を掻き揚げるニコラ・クローディア(世界を渡る龍賢者・f00091)のものだ。彼女は到着の遅れを手早く猟兵達に詫びると、その視線をグラドラゴに、それから草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)へと向けた。
「皆さん、僕が盾となります! なに、ヒーローは人を守るものですから、僕にお任せを!」
 千秋は、ニコラに自分に任せろと頷いた。元より、誰に求められずとも千秋はそうするつもりだ。千秋の眼球に装着されてある高度演算デバイス『murus lamentarius』が、迫る衝撃波の威力の程を千秋に伝えてくる。しかし、千秋の意思は一切怯まない。どころか一歩前に踏み込むと、全身を盾にして、衝撃波に身を晒す。
「――ッッ!」
 サイバーアイの一部が破損し、纏う夜明けの光にも似たオーラが弾け飛ぶかと錯覚するような衝撃が走る。
 しかし千秋は衝撃波が過ぎ去るまで耐えきり、見事無力化してみせたのだ。
「ヨモヤ、ワガ竜霧スラ防ガレルトハ!」
 限界の近いグラドラゴは、三度霧中に潜む。しかし、これまでと決定的に違うのは、それが猟兵達を蹂躙するためではなく、生き永らえるための手段として行使されたこと。
 ニコラには、その惰弱がどうしても許せず……。
「チッ……霧で隠れなきゃならんような輩とはな。同種として恥じ入るばかりだ」
 深い失望に、胸中をこれまで以上の怒りで満たした。
「このオレサマが、こんなバカ竜のために貴重な時間を費やしていたとはな。己の宝を奪われるような間抜けさ、ドラゴンとしての誇りなき腰抜けさ、腹立たしくて仕方がねぇよ。期待はずれも甚だしい! 骸の海へと還るがいい!」
 ニコラの琥珀色の瞳を殺意が侵食すると、口腔内に陣が展開される。
「オレサマのサンダーロアを喰らえ!」
 ――我が龍詞は雷を編む。
 ニコラが術を完成させると、視界を白光で染め上げる程の雷撃が迸った。ブレスは近辺のみならず、周辺に遠雷を発生させながらグラドラゴに詰め寄ると、霧を瞬時に蒸発させて霧状ドラゴン諸共にグラドラゴを吹き飛ばして感電させる。
「炎の目印を刻みましょう。もう二度と、あなたの姿を見失わないように」
 ライラは静謐に告げると、100に迫る夥しい炎の矢を放ち、動けないグラドラゴを貫き、炎上させる。
「さぁ、皆さん。あとはお任せします!」
 霧状ドラゴンを半ば無効化したライラは、振り返って仲間の猟兵達に告げる。
「こうなりゃ的だぜ!」
「一気に仕留めるわ! ――ジャッジメント・クルセイド!」
 ローはグラドラゴの死角に回ると、投擲用ナイフを、銀灰色のナイフを幾度も突き立てる。己を鼓舞するようにあきが青の瞳に覚悟を込めると、グラドラゴを真っ直ぐ見つめて指差し、脳天を直撃するように光が降り注いだ。そのどちらも、グラドラゴが霧に覆われたままでは極めて困難だった事だ。
「馬鹿、ナ! 我ガ敗北スル……ダト?」
「今頃気づいたか、バカがッ。蘇った瞬間に気づいて、自死するのがオレサマ達同種にアンタが唯一できる貢献だったんだよ」
 呻くグラドラゴに、雷撃を放つニコラが冷然と告げる。そして、彼女は背を向けた。最早、視界に収める価値もないと。
「この一撃を食らえ!」
 代わりに、それまで仲間を凶手から庇い、守勢に回っていた千秋が攻めに転じて入れ替わる。各種銃火器に拡声器、全武装からありったけの破壊を注ぎ込むと――半径22メートルの大地は更地となり、グラドラゴはその肉の一片も残すことはなかった。


「ああ、そういえば、舟を返さないといけないんでしたね。まぁ、それを肴に村人の昔話を聞くのも一興ですね」
 奇妙な墓標については謎が多い。これまでの聞き込みでは得られなかったが、もっと視点ややり方を変えれば、また新たな知識を旅行記に記載できるかもしれない。
「それはいいな。全てがハッピーエンドとはいかんが、とりあえず今日も上手い煙草が吸えて、俺としては文句ないが」
 気怠くも充実したローの身体に、煙草の毒素が染み渡る。けれどもそれは、決して不快なものではなかった。
「……面倒くさいモンだ、正義ってヤツは」
 そしてしみじみと、ローは言った。ローから見ればただの骨だが、グラドラゴからしてみれば、血眼になって探す程、価値のあるもの。……なるほど、戦いがなくならない訳だ。ローはそう苦笑しながらも、「ま、なんとかなるさ」最後にそう言って、力強く今日という日を締めくくった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


挿絵イラスト