羅針盤戦争〜カルロスのコスプレコレクション・世紀末編
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「とうとう我が七の王笏島まで攻め入られたか。凄まじい力だ」
荒れ果てた島の中、見目麗しい男が衣装棚を開く。
「この島は暴力の支配する島。故に見た目から入ることが己を示す早道」
その中から、レザーに鋲打ち、何のためについているのか分からない棘だらけという悪趣味極まる服を取り出し身に着ける男。
「うむ……実に暴力的な装いだ。知恵なき者どもを統べるにはこれくらい分かりやすくなくてはならん。だがこのままではいささか顔が寂しい……これを使うか」
そう言うと男は自らの唇に濃紺の口紅を塗り、目には分厚くアイシャドーを塗りたくる。
「おお……また一段と凄味が増したな。今度詳しいやり方を妻に習ってみるか……」
そう言って男は、元が整っているはずの自らの容姿をどこまでも悪趣味に変えていくのであった。
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「皆さん、お疲れ様です……今日も、羅針盤戦争の、依頼です……」
アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)が集まった猟兵に頭を下げる。
「本日はオブリビオン・フォーミュラのカルロス・グリード、その本拠地の一つである七の王笏島へ向かっていただきます」
この案内も何度目だろうか。もうこのあたりはバンクで使いまわしてもいいような気すらしてくる。
「七の王笏島はアポカリプスヘルの力を持つ島なのですが、小規模な『オブリビオンストーム』が大量に発生しており、カルロスはそれを従えることでコンキスタドールを大量に生み出しています」
オブリビオンストーム、それはアポカリプスヘルを破壊し、オブリビオン溢れる荒野に変えた黒き竜巻。オブリビオンの母体ともなっているそれを従えることで、カルロスは己の配下をこの世界に満たし、無尽蔵に補充しているのだという。
「彼はまさに世紀末の覇王の如く、大量のオブリビオンを従えています。今回彼が従えているのは、『ヒャッハー』という量産型オブリビオンです。それっぽい姿をしてヒャッハーと鳴く、限りなく人に近い何かのオブリビオンです。知能はザンギャバスに毛が生えた程度ですが、本能的にカルロスには従います……まあ、ちょっと力の差を見せると割とすぐ逃げたりもしますが……」
鳴き声がそのまま種族名になっているらしい。そして数は多いが物凄く弱く根性もないようだ。
「ですので皆さんには、このヒャッハーを蹴散らしつつカルロスと戦ってください。もちろん、彼は先制攻撃もしてきます。先制対策の妨害とかもしてくるかもしれませんので、ヒャッハー対策も同時に必要かと……」
なお、カルロスは割と躊躇なくヒャッハーを巻き込んで攻撃してくるようだ。恐らくその辺のオブリビオンストームをほじくればいくらでも出てくる故の扱いなのだろう。
「カルロスの攻撃方法は自身に仇なすものを砕く願いを実現させる力の他、オブリビオンストームそのものをぶつけてきたりもします……普通に強いですので、油断なきよう……」
オブリビオンストームそのものを武器とするなど本家アポカリプスヘルでもない話だが、それを実現させてしまうのが彼の恐ろしさということだろう。
「彼を倒してもこの島を解放は出来ませんが、代わりに彼のレザークラフト用道具を生産している島が一つ解放されます。もし平和になった暁には行く機会があるかもしれませんので、よろしければ……」
やはりあの衣装は自前らしい。需要があるかは分からないが、とりあえず解放して損するものではないだろう。
説明を終えると、アレクサンドラはなぜか舵輪にバイクのハンドルのようなものを無理矢理取り付けて操作しつつ、七の王笏島へと船を向かわせるのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。Welcome to this crazy quest。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードと、周囲に発生するコンキスタドール(集団敵)に対処する』
毎度おなじみ先制攻撃と、『ヒャッハー』というコンキスタドールの群れの対処が必要となります。
ヒャッハーはだいたいヒャッハーな感じです。弱い、多い、頭悪い。ぶっちゃけコンキスタドールというよりレイダーと言った方がしっくりきます。
彼らは数に任せて斧や棍棒や鎖でゴリ押ししてきますので、適当に対処してください。ただあまりにかまけすぎると先制対処している暇がなくなりますし、それこそがカルロスの狙いです。
ヒャッハーはヒャッハー同士ヒャッハーで意思疎通していますが、無理に理解しようとしない方がいいかもしれません。どうせ大した会話はしてませんし。なおカルロスもヒャッハー語を聞き取れるようです。
触手編以上にネタ度が高いですが、これでも『やや難』です。最低限倒すために必要な行動はとらないと、天に還る時が来るかもしれません。
ちなみにカルロス氏の方向は『今は悪魔が微笑む時代なんだ』から『どうだ、俺は美しいか』方面に流れつつあります。どうしてあげるかはご自由に。
それでは、愛を取り戻したプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『七の王笏』カルロス・グリード』
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POW : ティフォン・コンデンサシオン
自身の【制御下にあるオブリビオン・ストーム1つ】を代償に、【凝縮されたオブリビオン・ストーム】を籠めた一撃を放つ。自分にとって制御下にあるオブリビオン・ストーム1つを失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : ヴェルダデラ・トルメンタ
【オブリビオン・ストーム】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ : プラン・デストルクシオン
【「『王笏』に仇為す者よ、砕け散れ」】という願いを【島内のコンキスタドール達】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
柊・はとり
おうカルロステメェ面貸せやアポカリの原住民様だぞ(殺気&恫喝
誤解が広まるからそのメイクとトゲトゲやめろ
今すぐやめろ
俺の服と顔普通だろうが
はぁー…クソが
一先ずその辺のヒャッハー達を偽神兵器の【なぎ払い】で【切断】し無双してく
このトゲ男に賛同してみろ
すぐあんた達もこうしてやるからな
単純な頭数減らし+【殺気】【恫喝】による脅しで賛同人数を削り被害減少を狙う
多少体が吹っ飛んだ所でどうせ俺は死体だ
【継戦能力】を活かしUC発動
炎と理不尽な暴力で雑魚を蹴散らしながらカルロスを追う
逃げだす奴はほっとく
カルロスは全力の【氷属性攻撃】で叩き斬る
俺は美しいか?うるせえわ
そうか…俺の故郷こういうイメージか
地味に堪える
荒れ果てた七の王笏島。懐かしくも忌々しきその風景を、柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は怒りの目で見ていた。
「おうカルロステメェ面貸せやアポカリの原住民様だぞ」
その言葉通り、彼の故郷はアポカリプスヘル。それも彼はかつての平和だったころを知っている。親友を失い、自分の命も失い、それでも今ここにある彼にとってカルロスの安易な装いは自身の全てを侮辱されたに等しい。
「誤解が広まるからそのメイクとトゲトゲやめろ。今すぐやめろ。俺の服と顔普通だろうが」
自分の姿を見せ、イメージと偏見によるカルロスのコスプレに抗議するはとり。だが、カルロスはそれに聞く耳を持つ気配はなかった。
「無論分かっている。だが生憎我が配下はそちらほど物分かりが良くなくてな。分かりやすい恰好をしないと説明に手間取るのだ」
そもそも彼の基準はコンキスタドール、アポカリプスヘルで言うならレイダー。そして見据えるは荒廃し切った今のアポカリプスヘル。かつてあった平穏だったころの世界やその時代の感覚など興味はないということだろう。
「はぁー……クソが」
最早語ることもない。そう言わんばかりに『コキュートスの水槽』をなぎ払い近くに侍っていたヒャッハーを纏めて切り捨てる。無論ただの八つ当たりではない。
「このトゲ男に賛同してみろ。すぐあんた達もこうしてやるからな」
強烈な殺気を込めた恫喝。弱くすぐ死ぬくせにそう言ったことに敏感なヒャッハーたちは、即座にしり込みし後退る。
「……貴様ら、我が命に従わぬというか?」
その様子に、カルロスは薄い笑みを湛え、しかし冷たい声で言う。生き残ったヒャッハーたちは恐怖にかられカルロスへ賛同の意思を見せるが、所詮恫喝から来る行動か、その賛同意思は弱く送られる力も十全ではない。
それでも、カルロスの力は高い。はとりの体が中から崩壊を始めるが、動けなくなるほどではないし、そもそもある程度のダメージは覚悟していたこと。
「あるはずだった十三段目は消えていた。つまりこれは事故死だったんだよ」
蒼い炎と理不尽な力を身に纏い、【第三の殺人『十三階段峠』】を発動する。そのまま前進を続け、逃げ遅れたヒャッハーたちを凍らせ砕きながらカルロスへと迫るはとり。
「すばらしい。やはり貴様はあの世界の民だな。その暴力、いっそ美しささえ感じさせる」
カルロスははとりの姿を奏褒めるが、それははとりにとって嬉しい言葉などでは決してない。
「俺は美しいか? うるせえわ」
最早この男と何か話そうとするだけ無駄。はとりの怒りの暴力が、カルロスに冷たく叩きつけられた。
炎に捲かれ、その部分を凍り付かせて砕かれるカルロス。肉体がばらばらになるようなことこそないが、その衝撃で衣装は破れ、棘の一部すら折れる。
その有様にヒャッハーたちの一部が早々に逃げ出すが、そんな奴らを一々追っているほど暇ではない。逃げるに任せ、カルロスを追って偽神兵器を振るい続けるはとり。
「そうか……俺の故郷こういうイメージか。地味に堪える」
あの荒廃した故郷を思う彼の心は、目の前の真似事に耽る男にはやはり伝わらないのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
ヒャッハーがきたら、バイクに乗ったヤツを魔力をのった一撃でぶっとばしてバイクを奪うよ。
キタキタキター。バイクを改造しながら、オブリビオンストームから逃げるようにぶっとばすよ。
本当にヒャッハーは捨てゴマとしてしか考えてないんだね。
頃合いを見て、ブライダルベールのビットだけ召喚して射出。白い花びらが竜巻に巻き上げられるように、オブリビオンストームに乗せて上に打ち上げるよ。
こう見えてもぼくのコントロールの中。ストームから弾かれるように、カルロスくんの頭上に持っていくよ。
今だ!一斉攻撃!
次に前に出たのはアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)。小柄なその姿を見て、外見で敵を判断する程度の知能しか持たないヒャッハーたちは調子に乗って我先にとそこに詰めかけた。中にはバイクに乗っているものすらいるが、あれもオブリビオンストームから生えてきたのだろうか。
「お、きたきた、それじゃ、一つ貰うね!」
そのバイクを待ち受けたアリスは、的確に魔力を乗せたカウンターでその顔面を吹っ飛ばすと、空になったバイクにまたがる。そうしてそのままバイクに乗り、まずはカルロスから距離を取らんとするアリス。
「やはりこいつらに下手に物を与えると敵を利するだけ、か。破壊せよ、黒き竜巻!」
早々にヒャッハーに見切りをつけ、オブリビオンストームを巨大化し叩きつけるカルロス。竜巻は荒れ狂い、さらには三つに分裂、周囲の全てを巻き込みながらアリスへと迫る。
「キタキタキター。本当にヒャッハーは捨てゴマとしてしか考えてないんだね」
容赦なくヒャッハーたちを粉砕しながら迫る竜巻を見て、アリスは手早くバイクの改造を始めた。電脳魔術士でありキャバリアを操作する技術を持つ彼女の事、ヒャッハーでも扱えるような旧式のバイクを改造するなど造作もない事。瞬く間にバイクはモンスターマシンへと変貌を遂げ、三つの竜巻をかわし走り抜けた。
「さーて、そろそろいいかな。バイクのお礼に幸福を届けに来たよ」
適度に距離を話したところで、アリスは後ろにビットを放つ。それはサイキックキャバリア『ブライダルベール』の装備であり、自由に宙を飛んでオブリビオンストームへと乗った。
竜巻はビットを巻き込みそれを破壊せんとするが、ビットはその気流に乗って空高く上昇していく。
「ほう……? ならば砕けよ!」
三つの竜巻を操り、上昇する間もなくそれを砕く勢いにするカルロス。だが、明らかに風の勢いよりも強く、ビットは上方へと急上昇していった。
「こう見えてもぼくのコントロールの中! そう簡単には潰されないよ!」
竜巻の外縁へとビットは移動し、その風の勢いを自分のものにするように乗りこなしていく。そのまま弾かれるように外部へと飛び出し、一斉にカルロスの頭上に布陣した。
「今だ! 一斉攻撃!」
ビットから砲撃の連射が放たれカルロスを襲う。オブリビオンストームの操作に気を取られていたカルロスは避けることもできず、また盾となるヒャッハーたちも自分で吹き飛ばしてしまった。結果、放たれた弾はカルロスの頭上に降り注ぎ、激しい爆円と共にその姿勢を崩す。
「しまったな……こうなれば、一つでも届けばよい!」
その崩れた耐性のまま、オブリビオンストームを乱雑に前に向かわせるカルロス。方向は荒いが少しでも巻き込めればと言うその勢いは激しく、即席改造のバイクでは対に追いつかれてしまう。
「うおあっ!?」
バイクが巻き込まれ、破壊されながら地面に放り出されるアリス。だが、カルロスの追撃もそこまで。オブリビオンストームの制御は対に途切れ、アリス自身を攻めることは出来ない。
アリスはビットを戻し、十分に稼いだ距離を悠々とそのまま立ち去るのであった。
成功
🔵🔵🔴
クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可
カルロスは楽しそうにしていますが、あれで余裕を見せつけているつもり……などではなく素ですか。そうですか。いえ、敵がどういう思惑であっても戦い、勝つだけです
襲ってきたコンキスタドールは『殺気』で怯ませた隙に鎖を伸ばした『範囲攻撃』で纏めて倒し、倒した敵を纏めて一箇所に放り投げておく
カルロスの先制攻撃は先程倒した敵の影に隠れて盾にする事で威力を抑えた上で『オーラ防御』で防ぐ
次発を撃たれる前に『ダッシュ』で接近の最中、自身の腕を黒剣で斬る事で、UCの代償を支払う
コンキスタドールが襲ってくるならもう一人の自分に対処。それがなければ二人あわせてカルロスと相対。撹乱しながら攻撃を叩き込む
島ごとに様々な衣装を身に着けるカルロス。とりわけここのカルロスはあの悪趣味衣装を自前で用意し、自分なりのアポカリプスヘル観に浸っているという堪能ぶりだ。
「カルロスは楽しそうにしていますが、あれで余裕を見せつけているつもり……などではなく素ですか。そうですか。いえ、敵がどういう思惑であっても戦い、勝つだけです」
そんなカルロスにクロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)が冷ややかに言う。だが他人の評価を気にしないのかあるいはそんな反応に慣れているのか、カルロスは先制攻撃のさらに前の一手として、周りに従えたヒャッハーたちをクロスに向けて差し向けた。
「来る、というなら……」
そのヒャッハーを、クロスは冷たい目のまま、しかり強烈な殺気を湛えて睨みつける。彼我の実力差は戦前に理解できなくとも、恐怖と保身には敏感なヒャッハーたちはあっさりびびり、一瞬足が止まる。
そしてその一瞬でクロスは武器を振るい、彼らを一薙ぎにした。別に止まれば攻撃しないなど一言も言っていないし、そもそも彼らも弱いとはいえ倒すべきコンキスタドールなのだ。そのままヒャッハーたちの骸を投げ飛ばし、一か所に纏めるクロス。
「なるほど、やはり。ではこれよ。受けて見よ、オブリビオンストームの拳!」
その声と共に一つのオブリビオンストームが凝縮されてカルロスの腕に纏われ、カルロスはそれを振り上げクロスへと殴り掛かる。
その一撃を、クロスは積み上げておいたヒャッハーの骸の山に隠れて遮った。無論カルロスがそれで躊躇などするはずもなく、その骸ごとクロスを粉砕せんと拳を叩きつける。強烈な衝撃と共に骸がはじけ飛び、大量の土煙が上がる。
「なるほど、あれはただの目くらましか」
「あなたもやっていることです。文句はないでしょう」
骸の後ろでオーラを強め、それを本命の防御として乗り切ったクロス。それと同時にカルロスの腕からオブリビオンストームが消え失せる。一つの代償では一発が限界、ということか。
ならば、この一瞬こそが最大の好機。クロスは瞬時にカルロスに駆け寄りながら、自分の腕を自分の剣で切り裂いた。
「俺の……血の目覚めを、ここに」
その滴り落ちた血と削ぎ落された肉が塊となり、クロスと同じ形を取った。そのクロスは本体に追従するように駆け寄り、カルロスの前で左右に分かれ攪乱をはかった。
「ほう……なるほど、そちらも失った物を力とするか! 失うほどに強くなる、この地に相応しい力よ!」
カルロスは好ましげに言ってもう一つオブリビオンストームを潰し、自らの手に纏わせる。死体の盾はもうないし、攻勢に出ている今じっくりオーラを張っている余裕もない。今こそ勝負の時と、クロスは分身と二人で攻撃にでた。
「なれば……潰えよ!」
二人のクロスに、カルロスの腕が振るわれる。それが自らに届く瞬間、クロスたちは重なり合い、その一撃を身を持って受け止めた。
黒い竜巻に巻き込まれ、クロスの体が千切れ、潰れる。そのまま赤い塊となって飛び散るクロスの後ろで、残った方……本体のクロスはより深く踏み込んでいく。
竜巻の一撃は彼にも届くが、先に分身に当たったことで威力は軽減、耐えられないほどではない。その身を裂かれながらも、クロスは分身を作り出した時の血を啜り大きな刃を現した『【葬装】黒羽』を、強引にカルロスの体にねじ込んだ。
「ぐ……はっ……!」
その一撃でカルロスが追った傷は、彼がクロスに追わせたものよりも間違いなく深い。膝をつくカルロスの姿に、クロスは戦い、勝つという唯一の目的を間違いなく果たしたと確信するのであった。
大成功
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ラリー・マーレイ
迫ってくるヒャッハー達から逃れる為に「ウイングブーツ」の空中歩行の魔力を使う。【空中浮遊】【ジャンプ】で飛び上がり、連続で宙を蹴って上空へ。
カルロスは多分無差別攻撃してくる。無理に彼らを倒す必要はない…けど、その分ストームでの攻撃は苛烈になる。何とか凌がないと。
「守りの書物」の頁を展開し【拠点防御】でストームを防御。更に「守りの指輪」の魔力障壁による【オーラ防御】を【高速詠唱】で発動、二重の防御壁。
まだだ。「空の杖」で大気を操り風の【結界術】。ストームと逆回転の竜巻で威力を削ぐ。
何とか生き延びれたら反撃。
【火花の呪文】発動。UCを封じられなくても【気合い】を込めた雷の【属性攻撃】で焼き尽くす。
カタリナ・エスペランサ
いいね、形から入るのは悪くない
ただ、他人を虐げる悪党は割と地雷でね
その属性を押し立ててくるなら――
――少し真面目に捻じ伏せるとしましょうか
飛翔し《空中戦》、有象無象の射程外へ。攻撃が届くなら《見切り》躱すわ
先制対策は《属性攻撃+ハッキング+オーラ防御》、事象悉くを終焉の概念に塗り潰す劫火をストームへの障壁として纏い《地形の利用》で風に乗り受け流す
反撃は【失楽の呪姫】、魔神の魂を励起し《リミッター解除》
先制対策に使った劫火を強化し+《神罰+略奪+蹂躙》
ストームを塗り潰し奪い取って王笏を消毒してあげる
愛で空が落ちてくる、とは聞くけれど
いま天を墜としたのは虐げられた者の怒りよ。その身で受け止めなさい
カルロスの衣装の元となっているであろう存在……あるいは印象は、荒廃したアポカリプスヘルの世界を暴力で制圧する存在。弱いものから奪い、刹那的な享楽を尽くし、矜持や誇りなど一切なくただ破滅を加速させるだけの存在。ある意味では本物の海賊と通じる存在とも言えるそれを元にした衣装を見て、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は彼に言う。
「いいね、形から入るのは悪くない。ただ、他人を虐げる悪党は割と地雷でね。その属性を押し立ててくるなら――」
最初だけ明るく。そして徐々に例に差を帯びた声で。
「――少し真面目に捻じ伏せるとしましょうか」
その暴力の権化を真似る男に相対した。
「それを言えば彼の世界……そしてこの海を殺しつくさねばならなくなるぞ? それでは流儀に従うとしよう。お前たち、やれ」
彼にとっては悪逆と略奪こそが海賊の本義であり、グリードオーシャンに満ちるべきものなのだろう。そして悪の親玉を気取った男にけしかけられた有象無象を、カタリナとラリー・マーレイ(冒険者・f15107)各々宙を飛んでまずかわした。
ラリーは飛翔能力と跳躍力を組み合わせ、ヒャッハーたちの目の前であまり高くなり過ぎぬよう飛ぶ。ヒャッハーたちは届きそうで届かないその位置めがけ、武器を振り回して何とか叩き落とそうとしてはバランスを崩し転倒している。
「予想通り頭も技術も大したことはない。カルロスは多分無差別攻撃してくる。無理に彼らを倒す必要はない……」
事前に聞いた話では、カルロスは彼らを気にかけることなく無差別攻撃をかけてくる。つまり、彼らの妨害を受けないようにしつつ敵の先制を対処すれば、雑魚はカルロス自身が倒してくれるということだ。
「……けど、その分ストームでの攻撃は苛烈になる。何とか凌がないと」
カルロスの用いる技は敵味方を区別しないなら三倍の攻撃回数となる。つまり巻き込んでも構わない捨て石との相性は抜群ということ。その懸念を的中させるかのように、カルロスの元から三つの竜巻が放たれた。
「二つの障壁で……!」
ラリーは『守りの書物』のページを破り、宙に舞わせる。ページは魔法の壁となりラリーを守るが、それだけでは足りないとラリー自身が理解している。さらに口の中で素早く呪文を唱え、『守りの指輪』からオーラの障壁を張って自身を二重に守った。
「……まだだ」
だが、相手はオブリビオン・フォーミュラ。守りはいくら固めても過剰ということはない。『空の杖』で風を操り空気の結界とし、第三の壁を築き上げた。書物と指輪と杖、いかにも魔法道具と言った三つから作られた防御によって破壊の嵐を防ぐ、まさに魔術師の面目躍如といった防御法によって、ラリーは黒き竜巻の中を耐え抜いた。
一方カタリナは、自身の前に火炎の壁を作る。あらゆる事象を侵食し強引に終わらせる力を込めたそれだが、それでも壁一つでは多少の減衰は出来れどストームを潰しきることは出来ない。だが、弱れば見切れる動きも多くはなる。ストームの一瞬のスキを見極め、カタリナは自らの体をオーラで包み、黒い暴風の中へと身を躍らせた。
「これはなかなか……キツイかもね……!」
暴風の中、オーラを纏ったカタリナはその中を流される。飛び込むときに見極めたのは隙間だが、中で見るのはその流れ。壁によって弱った風の流れをつかむことで力に逆らわず流され、カタリナはその力からの負担を最小限に抑え込んだ。
そして抑えたのなら、次は反撃だ。
「仕方ないなぁ――アタシの本気、ちょっとだけ見せてあげる」
【失楽の呪姫】により、魔神の魂を自らに宿し限界以上の力を得るカタリナ。その力は自ら出した劫火を、そしてそれに抑え込まれていたオブリビオンストームの力さえも自分に纏わせ、自らの武器とする。
「魔神様のご視察よ、王笏は消毒だーっ!」
そのまま火炎放射など生温いと言わんばかりの勢いで、劫火と暴風ごとカルロスの頭上へ落ちるカタリナ。
「愛で空が落ちてくる、とは聞くけれど、いま天を墜としたのは虐げられた者の怒りよ。その身で受け止めなさい」
七大海嘯の力でどれほどグリードオーシャンの者が虐げられたか。その怒りをまとめて叩きつけんばかりに、カタリナの技が王笏をダウンさせた。
そして今が好機とばかりに、ラリーも防御の構えを解く。
「ミームエイン・ラーイ・ターザンメ!」
気合いを込めて唱えられるそれはそれは【火花の呪文】、まるで初歩呪文のような名前だが、それが呼ぶのは落雷、放電、電撃の致死量のスパーク。並の魔術師が扱える規模では到底ない。
感電と通電がカルロスの体を痺れさせ、動きを鈍らせる。そしてその衣装の棘に導かれたように叩きつけられた落雷が完全にカルロスを地に伏せさせ、その体を焦がしオブリビオンストームを操る力さえ封じ込めさせた。それを締めるかのように、カタリナが一時略奪していた黒い嵐も消え失せる。
「覇王は膝をつかぬ……だっけ?」
「膝どころか全身だ。それがお似合いだよ」
その言葉通り倒れるカルロスの姿は、まさに力の世界に倒れた者の姿であった。
大成功
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夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
厳しいですが、やってみましょう。
『FBS』を四肢に嵌め浮遊、前面に『FMS』による『円錐状のバリア』を形成しますねぇ。
同時に『FRS』による[砲撃]と『FMS』による防御でヒャッハーに対応しつつ誘導、先制攻撃前に可能な限り前に集めましょう。
その状態で[結界術]による『結界』で彼等を包み、命令が有っても逃げられない様にし『王錫』の攻撃への盾にしますぅ。
『ヒャッハーの盾&結界&バリア』の3重防御なら、『王錫』の攻撃も倒れない程度には軽減可能でしょう。
その後は【処檻】を使用し全方位に『波動』放射、ヒャッハー諸共『重力の檻』と『棘』に捕え、『王錫』に[砲撃]を集中させますねぇ。
リーヴァルディ・カーライル
…あれが世界を切り裂き、人類を滅ぼした暗黒の竜巻
無限にコンキスタドールを呼び出すのは厄介極まるけど…それだけよ
"写し身の呪詛"を乱れ撃ち無数の残像を囮にし敵UCを受け流し、
自身は"影精霊装"の闇に紛れるオーラで防御して存在感を消し、
さらに陽光を遮断し真の姿の吸血鬼化してUC発動
…さあ、お前はどれが本物の私か見抜けるかしら?
…数で私を圧する事が出来ると思わない事ね
…闇よ在れ。いと高き我に血の贄を捧げよ
限界突破して血の魔力を溜めた真紅の月で太陽を隠し、
真紅の月光で戦場全体の敵から生命力を吸収して自身を超強化
時速一万km超の空中戦機動で敵陣に切り込み、
闇属性攻撃の斬撃を乱れ撃ち敵陣をなぎ払う
ここまで何度となくダウンを取られたカルロス。だが、それでもなお立ち上がり猟兵に立ちはだかるのは、滅ぼされてなおそこから這い上がろうとするアポカリプスヘルの命と通じるものがあるのだろうか。
だが、この執念は認めてはいけない。彼にはここで、滅び去ってもらわなければならないのだ。
「厳しいですが、やってみましょう」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はそれだけ言うと普段通り『FBS』を四肢にはめ浮き上がる。
「……あれが世界を切り裂き、人類を滅ぼした暗黒の竜巻。無限にコンキスタドールを呼び出すのは厄介極まるけど……それだけよ」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)もまたその存在を厄介と断じるが、それは決して乗り越えられないものではない。厄介ならばその厄介さをどう乗り越えるか。今までもそうやって来たのだからと、敵の攻撃に備えるのみだ。
「お前たちだけに任せていては先んじることもままならぬ。厳命する、せめて遅れるな」
遊び半分にヒャッハーを先にけしかけるのをやめ、自らの先制に合わせ動くよう命じるカルロス。その声は冷たく、ただ無能な配下に足を引くなと言う恐るべき王という彼本来の姿が現れていた。
「そうはさせませんよぉ」
王の一喝に怯え決死の猛攻を駆けようとするヒャッハーに、るこるは浮遊兵装たちを差し向けた。砲台『FRS』に一斉に砲撃を命じるとともに、周囲にバリアを放つ円盤『FMS』を展開し逃げる方向を制限する。攻撃と望外の位置は徐々に狭めていき、ただ闇雲に逃げ惑うヒャッハーたちの動きをコントロール、その向かわせる先は、ともに動こうとするカルロス自身の前。
「それでは、ここでぇ」
その場でバリアの出力を上げて結界を形成するるこる。その力は、コンキスタドールとして最下級のヒャッハーが破れるようなものでは到底ない。あっさりと敵のための障害物と化したヒャッハーに、カルロスは冷たく一瞥をくれる。
「期待してはいなかったが……それ以下だ。まあ良い、これをくれてやろう」
後方に荒れ狂うオブリビオンストームが一つ消え、代わりに凝縮された黒き竜巻がカルロスの腕に纏われる。それを振り上げるカルロスの前にいるのはリーヴァルディだ。カルロスはヒャッハーの群れを素早く迂回し彼女に迫っていた。別段巻き込むのを避けたわけではない。ただ腕を振るう時間も惜しかった、それだけだ。
「……数で私を圧する事が出来ると思わない事ね」
腕が振り下ろされる瞬間、リーヴァルディの口がそう動いた。そしてその一瞬後、リーヴァルディの姿は黒き剛腕に粉砕される。
「……さあ、お前はどれが本物の私か見抜けるかしら?」
その砕けた場所の横から聞こえるのは、またもリーヴァルディの声。
その場に向かって再び竜巻を纏った腕が振るわれるが、やはり地形だけを破壊し肉を潰した感触はない。
呪詛で編んだからくり人形『写し身の呪詛』を乱れ撃って攪乱する。単純な囮戦法だが、一撃ごとにオブリビオンストームを犠牲にしなければならず無駄撃ちを避けたい今のカルロスには効果的だ。
「……なれば!」
カルロスはとりわけ大きなオブリビオンストームを凝縮し、その腕を振り回す。それは閉じ込められたヒャッハー諸共辺りをなぎ払い、リーヴァルディの分身、盾に隠れたるこる、そして何処かにいるリーヴァルディ本人を纏めてなぎ払った。
「あれを消してしまったら……もうあの有象無象どもは作れまいな。下らぬおもちゃであったが失ってみれば惜しい……」
全てをなぎ払った、とばかりに一息つくカルロス。だが。
「……闇よ在れ。いと高き我に血の贄を捧げよ」
リーヴァルディは倒れてはいなかった。彼女はただ姿を消していたわけではない。光を遮る衣で闇を作り、その中で吸血鬼の力を解放していた。
「耐えきれるまで減れば、それでよいのですよぉ」
るこるもまた、多重に用意した兵装とヒャッハーの盾を持って倒されなければそれでよいと、ある程度の貫通してくるダメージは自身の身で受ける気でいた。どうせヒャッハーたちは結界を破って動けぬのだ。肉の盾と結界、そして兵装のバリアならば、規格外の威力を誇るカルロスの攻撃でも致命傷にはならないだろう。その策は見事に当たり、るこるは負傷さえあれど戦い続けるには何ら問題ない体を残すことができた。
そして、兵装たちが防御に徹すれば残りは自分自身が動く。
「大いなる豊饒の女神の名に於いて、仇なす者達に厳格なる裁きを」
発動するのは【豊乳女神の加護・処檻】。周囲全ての敵を強さに応じて串刺しにする檻に閉じ込める技。無論、この世界最強なのはカルロス。故に彼にかかる光速は誰よりも強く、その身を一気に刺し貫く。
「ぬぐぅっ!? これしきの、ことで……!」
強い故にダメージは大きい。だが強い故に乗り越えかねない。カルロスは棘で刺すのは己だと言わんばかりに、体に刺さった棘を無理矢理引き抜き足を引きずって前へと進まんとする。
その歩みの前に立ちはだかるのはリーヴァルディ。吸血鬼となったその身は、食らった魂の力でより強化されていた。
誰の魂を喰らったのか。言うまでもない。弱くて多い、ヒャッハーの魂だ。彼らはほとんどカルロスの攻撃に巻き込まれ消えた。残ったものもるこるの檻に捕らえられたが、彼らは弱い故に檻に殺されることはない。その魂を、敵の殲滅と自己強化を兼ねてリーヴァルディは食らったのだ。
その力で生み出した紅い月を空中に浮かべ、太陽を遮る。それが弱者の魂と力を残さずリーヴァルディに送り、さらにはカルロスさえも贄とせんと輝く。
「我が頭上に、死の星を輝かせるか……!」
頭上のそれを見て、カルロスは呟くそこにあるのは怒りか、恐怖か……あるいは高揚か。
どれでも構わぬ、とリーヴァルディは時速一万kmという驚異の速度でカルロスに切り込み、動けぬ彼をその鎌に捕らえた。その速さのまま全身を刻まれたカルロスが宙に舞う。
「我は……天さえも……!」
「残念ですが、あなたはもう……!」
そこに待ち構えたのは、ここまで温存されていた二つ目の砲台兵器『FSS』。108では済まぬ砲弾が、カルロスに叩き込まれた。
「ふ、くはは、所詮悔いなき死など我には無縁であったか……! 世界も、宝も……まだまだ足りなかったわ……!」
その砲撃を浴び、カルロスの体はそのまま爆散した。あまりの砲撃の苛烈さに血や臓物さえも飛び散らず、爆炎の晴れた後はただ何も残っていなかった。
カルロスが用いたものとはいえ、オブリビオンストームはこの島固有の者。島そのものが落ちればともかく、まだ黒き竜巻は島のあちこちに発生している。
現れるところに乱を起こすこの竜巻と王笏の災禍。それを完全に沈めきることができるのか。結果は、もうすぐわかる。
大成功
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