羅針盤戦争〜太陽を喰らえ、大海上の皆既日食
逃げる獲物を追うべく海を急ぐ猟兵達。
その先に見えて来たのは、数多の数の、幾多もの種類の剣が生えている不気味な島であった。
それはまるで、今までに集めて来た戦利品を飾り立てるようでも無く、訪れる者や盗みを働こうとするものを威嚇するように刃を剥き出しにして剣先を地に突き立てる。
我々は彼女をここへ追い詰めたのではなく、ここへ誘き出されたのではないか。
そんな不安が頭をよぎる。
そうして一瞬意識を眼前から外していると、突如目の前が真っ白に眩み声が上がった。
咄嗟に手庇で覆うがそれでも視界は戻らず、ただ彼女の声だけが響いている。
「まったく、猟兵というものを侮りすぎたか。 まさか『黄金艦隊』を超えてこの桜花島にまで辿り着くとはな!」
声のする方へ振り向くが、しかし先ほどとは別の場所から再び彼女の声がする。
無数の剣が音を反響して位置をうまく掴めないのがもどかしい。
「だが、さしもの猟兵とて私の背中で輝く『黄金太陽神』の光の前では稚児も同然ではないか! さぁ来い猟兵、一歩でもこの地へ踏み込めば儀式エネルギーで得たこの『力』がお前らを阻み、三千もの邪剣が首を刈るだろう!」
依然彼女の居所は定かではない。
この島全体を照らし続けるまばゆい光がある限り、彼女を傷つけることはできないのだ。
「ってことになってるんだって!」
そういうと、グリモア猟兵の明石・真多子(軟体魔忍マダコ)が動画の停止ボタンを押す。百聞は一見に如かず、拙い説明より動画を見せたほうが楽な現代っ子だ。
「あの賞金を狙う側が賞金首に狙われるなんて皮肉だよね! だけど相手はまだまだ逃げる気満々、手出しできないあの光で時間を稼ぐつもりみたい!?」
真多子が画面を切り替えて、『桜花島』の全景を映す。
「光が乱反射して見えにくいかもしれないけど、あの島にはいっぱい剣が刺さってるよ! あれのせいで光の死角もないからズルいよね! 流石にどこかで日陰を探すのは無理そうだねー……」
画面がほぼ白い光で埋まっている画面を切り替えると、次のデータを表示する。
「七大海嘯『邪剣』のピサロ将軍は一度会ったことある人もいるかな? あの時繰り出して来た『八艘飛び』は勿論使って来るし、儀式エネルギーでパワーアップまでしてるみたい! おまけに力を使えば島中の剣を操作まで出来ちゃうんだって!!」
何が何でも生き残るつもりなんだねぇと頷きながら猟兵達に視線を戻す。
「敵はとんでもなく強いけど、きっと皆ならこの困難も切り抜けられるはず! 転送後は眩しくて目も開けられないし、いきなり襲われるはずだから気を付けてね!」
そういうと、真多子はすぐさまキミ達をグリモアで転送し始めた。
ペプシ派
戦争シナリオです。
稼げないと分かった途端に逃げる、強かなピサロ将軍との決戦です。
賞金を狙っていた将軍を賞金首が逆に討ち取ってやりましょう!
プレイングが多い場合は、こちらの作業時間の都合で全採用が難しいと思いますのでご了承ください。
また、プレイングの採用は先着順ではなく書きやすいものから選んでいきます。
【ピサロ将軍】について。
島で万全の用意をして猟兵を待ち構えているようです。
幹部らしく当然のように先制攻撃をしてきます。
また背中から島中に渡る眩い光を放つため、島内での視界は非常に悪いです。
島に生えている剣を操るだけではなく、八艘飛びによる身体能力の高さからも彼女を当てずっぽうで攻撃することは難しいでしょう。
【プレイングボーナス】について。
彼女の繰り出す、『先制攻撃』『黄金太陽神』『八艘飛び』『地面の剣』に対処することです。
対処する事項が多く非情に厄介ですが、全てに対処できないと勝てないわけではありません。
気にせず参加してください。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍』
|
POW : 太陽の征服者
全身を【黄金色のまばゆい光】で覆い、自身の【『八艘飛び』による加速度】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 八艘九連飛び
自身の【背後の黄金太陽神】が輝く間、【「八艘飛び」による超高速斬撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : 三千邪剣世界
自身からレベルm半径内の無機物を【ピサロの意のままに宙を舞い、敵を襲う邪剣】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:もりのえるこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヴィヴ・クロックロック
黄金太陽神の光があるかぎり、か…。そうか、そうだな。そうだろう!
だからこそ、だ!私は太陽を沈めに来た!!
とかまあカッコいいことを言ったがこのおやつ精製装置を使うだけなんだコレが。ダイナマイトで周囲の剣をある程度吹き飛ばし八艘飛びの動きを多少制限しオーラ防御を限界まで広げてつつ野生の勘と第六感奴が間合いに入った瞬間光をおやつにしてUCを無力化させる
そして他のすべての光が吸われた瞬間にこそ私の星は瞬くだろう。
多分おやつ塗れだからかっこはつかないだろうが…。
(※アドリブ連携歓迎です)
榊・ポポ
ハゲてもないのに太陽拳使うんだー!
剣も危ないから大きな動きは出来ないね!
出来る限り地面の狭い範囲でシュバらないとなー
目晦ましはあんぜんヘルメットを深被りして物理的に遮断!
見えてない状態で回避どうすのかって?
ポポちゃんセンサーアイフル稼働して予測回避よぉ
高性能アニマロイドだからね!(自称)
☆野生の勘と☆瞬間思考力で
☆情報収集して音とか風とか土地情報とかから予測して
剣に当たらないよーに横滑り反復横跳び☆挑発☆ダッシュしながら回避!
あー、動き回ったら疲れたァ...寝よ!
☆リミッター解除したバケモノの咆哮みたいなクソデカ寝言を至近距離で放って吹っ飛ばしてやるッ☆
雲一つ無い快晴。
気持ちの良い風が波を揺らす大海洋に浮かぶ島で小さな光が灯る。
しかしそれは周囲の光りに飲まれ、言われなくてはそこにあると気が付かないほど僅かな光量。
あの頭上に昇る太陽が飲み込んでしまったのか、いや違う。
強力な光の出所は、この島から放たれていたのだ。
地上の太陽にして島の主である、あの七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍である。
「っ……!! なるほど眩しくて何も見えないな。 こんなことなら度付のサングラスでも用意しておくべきだったか」
光に飲まれた光から現れたのは、外套の裏地を自慢の緑の髪と揃えた航海着に身を包むヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)。
いきなり眼に飛び込んで来た光に怯み、ギュッと目を瞑るがそれでも光は突き抜け白く眩む。
あまりに強すぎる光は、瞼の皮一枚などではどうにもならないようだ。
眼が全く頼りにならないため、手探りで荷物を取り出そうとするとどこからかやたら声量の大きい声が響く。
「のこのこと現れたか猟兵! 警告通り、この島に踏み入れたからには生かして帰さん! この『黄金太陽神の光』があるかぎりお前らは手も脚も出せないのだからな!」
この無駄に自信に満ちた女性の声、十中八九ピサロ将軍が近くにいるのだろう。
その自信の通り確かに視界は完全に塞がれており、敵の位置など検討も付かない。
「黄金太陽神の光があるかぎり、か……そうか、そうだな。 そうだろう! だからこそ、だ! 私は太陽を沈めに来た!!」
この絶望的な状況においても、ヴィヴの声にもまた確かな自信を纏わせていた。
絶体絶命の逆境を跳ね返す策があるのだろう。
「ふん、戯言だけならそこらの野鳥でも吐ける。 下手な猿知恵が私に通じると驕るないことだな」
「身に余る光と過信は、己の身体も焦がすということを教えてやる!」
ヴィヴとピサロ将軍が一触即発の緊張感の中、もう一つの転移の光が灯り影が姿を現す。
「うわっ眩しー! ハゲてもないのに太陽拳使える人なんて本当にいるんだー!」
バサバサと羽音を鳴らし、砂浜をダバダバと蹴って騒がしく暴れる声がする。
ウグイス色の毛並みが美しい榊・ポポ(デキる事務員(鳥)・f29942)だ。
「鳥……? 噂をすれば影が差す、か。 本当に野鳥が来たみたいだな」
「うるさい! 揚げ足を取るな! 言葉の綾だろう!」
ヴィヴのツッコミに、顔を赤くしながら反論するピサロ将軍。
相手が目を瞑っていたのは不幸中の幸いだろう。
あの大きなカカポの登場により、シリアスなムードを一気にコミカルな雰囲気へ塗り替わった。
「ねー、太陽拳の人! あのポーズやってよ、あのポーズ! ポポちゃんあのポーズみたいなー(チラッチラッ)」
眩しいせいかヘルメットを目深に被ったポポが、媚びるような仕草で謎の要求を投げる。
『あのポーズ』とは恐らく、両手を額に当たり持ってくるちょっと間抜けなアレだろう。
それを想像したのか、隣でヴィヴがブフォっと吹き出していた。
「知るかそんなもの! だいたい、仮にやったとしてもお前は見えないだろうが!」
いつの間にか完全にペースを崩され、ツッコミに回されているピサロ将軍。
彼女の言う通り、ポポはヘルメットで目隠ししているため完全にやり損である。
そもそもピサロ将軍が応える意味もないのだが。
「目隠しした状態でどうやって見るかって? もちろんポポちゃんセンサーフル稼働よぉ。 ポポちゃん高性能アニマロイドだからね!」
「アニマロイドだと……?」
ピサロ将軍からしたら、どう見てもただの大きなカカポ。
ポポの言っていることがどこまで冗談なのかつかみかねているようだ。
「ええい! 調子の狂うおしゃべりな野鳥だ! 戯言を垂れ流すお前から先に潰す!」
キリっとした幹部級としてのイメージを崩され、尊厳破壊によるダメージが痛かったのだろう。
ピサロ将軍は八艘飛びで瞬時に跳ねながら移動すると、ポポへと斬りかかった。
しかし、怪しいドリンクを嘴に咥えて上を向き、ダイナミックに流し込んだポポはシュババババととんでもない速度で反復横跳びをし始める。
「けぷっ、ポポちゃんリミッター解除ー!!」
「アニマロイドなのにドリンク飲めるのか……?」
ヴィヴの些細な疑問をよそに、ポポがその野性的な勘でピサロ将軍の攻撃を巧みに避けていく。
「くそっ、何故だ! 何故当たらん!?」
ドリンクによりレインボーに輝いているように見えるポポが残像を残しながら剣をすり抜けていった。
むきになっているか、意地でも当てようとピサロ将軍の剣が空を切る音が絶え間なく響いている。
「ふむ、これは好機というやつだな、 今の内に取り出すか。 さっきあれだけカッコイイこと言ったが、実は私の秘策ってこのおやつ精製装置を使うだけなんだコレが」
ポポが敵を引き付けいる間に、ヴィヴが手探りで荷物柄を取り出す。
正式名称は『光子変換式多目的携帯おやつ精製装置』、その名の通り『光』を食料へと変換するというピンポイント過ぎるメタ兵器である。
「正直こんなところで役に立つとは思わなかった。 ほいスイッチオン」
ボタン一つのシンプル操作で稼働すると、島中を照らしていた眩い光が失われる。
そして代わりに生み出されていく大量のおやつの波。
それがワッと津波となって周囲の剣を押し流していく。
「馬鹿なッ!? こんな馬鹿げた攻撃で『黄金太陽神』の光が喰われたというのか!!」
このおかしなお菓子の状況を唯一目にしていたピサロ将軍は眼を疑っただろう。
仮にも神の力がギャグみたいな力に掻き消されてしまったのだから。
「あー、動き回ったらポポちゃん疲れたァ……寝よ!」
ちなみにポポはおやつの波に浮かんで、いびきをかきながら羽を休めていた。
「これで私以外のすべての光が吸われたな。 この瞬間にこそ私の星は瞬くだろう」
真夏の太陽も、黄金の太陽も日食にように黒く塗りつぶされる中、一段と輝く一等星。
ヴィヴの胸から溢れんばかりに可能性を秘めた光が爛々と強まり、彼女の身体を満たしていく。
内に灯した光が希望を照らし、ヴィヴを勝利への道筋へ導いていく。
「くそっ! だが視界が快復したところで八艘飛びまでは対処出来まい!」
眠りこけたポポを放置し、ピサロ将軍は最優先で処理する対象を輝くヴィヴへと切り替える。
勢いよくヴィヴへ距離を詰めようとするが、足元のおやつが滑り初動が遅れてしまう。
「道は飛び越えるものじゃない、自ら切り開くものだ!」
ヴィヴがダイナマイトを取り出し放り投げると、爆炎でおやつを吹き飛ばしながら炎の中を突っ切っていく。
「こいつ正気か!? おのれ!!」
光を失い力が弱まっているのか、ヴィヴの攻撃を二度三度といなす内にピサロ将軍は徐々に後ろへ押されていく。
そして後ろには放置していたポポが寝ていた。
「むにゃ……ンゴ……ポポちゃんもう食べられなーい!!!!」
狙いすましたかのようにポポがクソデカ寝言を放ち、空気を震わせる咆哮がピサロ将軍の鼓膜を刺激して平衡感覚を一時的に失わせた。
「ぐぁっ!? 世界が歪む、こんな……こんなはずではッ!!」
その隙を突いてヴィヴが攻撃を叩き込み、ポポのさらに大きな寝言でピサロ将軍を吹き飛ばした。
「やったか……? しかしこんなにおやつ塗れだからかっこはつかないな」
限界を超えた力を引き出したことにより、ボロボロとなったヴィヴが膝をつく。
「ポポちゃんお腹いっぱーい……むにゃ」
その傍らでポポはいまだに幸せそうな顔で寝ながら、おやつを貪っていた。
「いや食べてるだろう。 というか、ドリンクは百歩譲ってもおかし食べるのはアニマロイドとしておかしいだろう! 本当にアニマロイドなのか……?」
不審に思ったヴィヴがポポに触れようとするが、ポポがゴロンと寝相をうって離れしまう。
「おい待て!」
「むにゃ……ポポちゃんは高性能アニマロイドだもーん」
身体の自由が利かないヴィヴとポポの鬼ごっこは続くのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
神酒坂・恭二郎
さて大詰めだね
この手の御仁はきっちり仕留めないと這い上がってくる
しかし眩しいねぇ
目を閉じて剣を地面に突き立て、爆発させるように衝撃波を放って、邪剣の群れをなぎ払う
視覚の変わりに、風桜子の矢を周囲の四方八方に展開する
微弱な風桜子を周囲に放ち、ピサロ将軍の気配を捉え、羅針盤のように感知させたい【誘導弾、失せ物探し、追跡】
神速で跳ぶピサロのパターンを【見切り】たい
後は【覚悟】一つだ
「感有り……ってね!!」
八艘飛びからの突進に対しては、すかさず刀を地面から引き抜き【ジャストガード、受け流し】
そして神速の【早業】で、切り返しの斬を入れたい
「忠告さ……そこを動くな」
もし動けば【切断】箇所が開くだろう
ナミル・タグイール
金ぴかいっぱいにゃー!もう逃さんにゃ!その金ぴかよこせデスにゃ!
金ぴかのキラキラでなんて怯まないにゃ!大好きキラキラにゃ!(ガン見猫)
【宝探し】で突っ込んでくる方向を把握して斧でカウンター狙いにゃ!
ダメージ受けても知らないにゃ突撃にゃー!
なんとかなったらこっちの番にゃ。ナミルの金ぴかも見せてやるマスにゃ!
自慢の金ぴか歯車だして輝きバトルにゃ!輝きからは逃げれないはずにゃ!
そんなよくわからない金ぴかに負けないにゃ!
呪詛の金ぴかぴかで敵も剣も全部動き止めてやるにゃー!
スローになってる敵の金ぴか略奪にゃ!もぐにゃ!よこせにゃ!
くっついてるなら切り取ってやるにゃ!
先の戦闘で大きく吹き飛ばされた七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍。
今は足場の悪くなった地形から離れ、剣の生える砂浜へと着地していた。
「まさかこの私が負傷するとは……だが黄金太陽神の光を克服できるものなどそうはいないだろう。 次こそ賞金首を手土産にカルロスから金をせしめなければな」
そう呟くと、唇を伝う血を舐めとって砂浜に吐き捨てる。
この血痕は油断した自分の戒め、これ以上はこの鉄の味を口にすることないよう残していくのだ。
ピサロ将軍が神経を研ぎ澄ましていると、付近に転移の光が灯る。
この島を覆う眩い光に負けてしまうほど僅かではあったが、それでも逸早く気が付き慎重に近付いていく。
すると光の中から不思議な着流しに身を包む黒髪の剣士が現れた。
「さて大詰めだね、と……へぇ中々良い剣を揃えているようだ」
端から視界は捨てているのだろう、手ぬぐいで目隠しをした神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)が砂浜に生えている剣を一振り抜いて、手触りや重心から剣を評価する。
「この手の御仁はきっちり仕留めないと這い上がってくる。 こうやって力の誇示してくるのが腹に一物ある証拠だ。 しかし眩しいねぇ」
布一枚では防ぎきれない強力な光が恭二郎の眼を刺激し、眩ませる。
しかしいくつも異世界を渡って来たからか、彼は毛ほども物怖じせずに堂々とした振る舞いを見せつけていた。
どうせどこかしらから覗いているだろうと気が付いているのだろう。
勝負とは刀を抜く前から既に始まっているのだ。
そんなヒリついた空気を障子でも突き破るかのようにぶち壊す、もう一人の転移者も姿を現す。
ふさふさもふもふの黒毛並みを揺らし、全身で喜びを表現する黒猫だ。
「金ぴかいっぱいにゃー! どこを見ても金ぴか光って眩しいデスにゃー!!」
普通は恭二郎のように目を覆うか瞑るだろう。
しかしこのナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)は違う。
目一杯に光を瞳へ取り込み、目が痛くなろうがお構いなしに爛々と見開いているのだ。
「もう逃さんにゃ! その金ぴかは絶対いただくデスにゃ!! 観念するにゃー!!!」
黄金艦隊から始まり、この島にまで追い詰める執念。
並々ならぬ黄金への執着が彼女をここへ導いたのだろう。
(――――!! あの猟兵、私の黄金太陽神の光を受けて怯むどころか喜んでいるだと……!?)
念のため影から様子を伺っていたピサロ将軍も、その異様さに驚愕し困惑していたほどである。
ナミルのお宝への嗅覚はもはや常軌を逸しており、その型破りな探知力でピサロ将軍のいる方をピタリと当てて振り向く。
「ナミルの大好きなキラキラはそこデスにゃ! 今行くにゃー!!」
(なんなのだあの猟兵は!? なぜ黄金太陽神の光が効かない!?)
当然、ピサロ将軍からしたらたまったものではない。
これは不味いとすぐにでもナミルを片付けようと剣を抜く。
そうとも知らず、ナミルは一目散にピサロ将軍の方へと駆けだそうとしていた。
「おっと、ちょいと待ちなお嬢さん」
「何デスにゃ! 金ぴか集めの邪魔しないでほしいにゃ!」
だがすんでの所で恭二郎が止める。
「逆だ、この辺りは剣が生えていて素足じゃぁ危険だ。 僭越だが、花道は俺が開かせてもらおうって話さ」
そう言って恭二郎が鞘から大業物の一振りを抜くと、逆手に握って地に突き立てる。
「ちょいと強い風が吹く、女人は服を押さえときな」
「ナミルは金ぴか装飾が重いから大丈夫デスにゃ」
「そいつは失礼、なにせ見えないもんでね」
断りを入れると、地面からブワっと『力の波』のようなものが広がり、周囲から刀が弾かれ遠くに吹き飛んでいく金属音が重なる。
その時、風桜子と呼ばれる恭二郎のサイキックエナジーも放射して、恭二郎の感覚を広げる羅針盤として配置した。
「ほら、これでもう足を切ったりはしないだろうさ」
「ありがとデスにゃ! 今度こそいくにゃー!!」
口ではナミルを放っておくような言い方だが、彼なりに目を掛けてくれているのだろう。
道が拓けると、ナミルはねこまっしぐらに金ぴかもとい黄金太陽神の元へと走る。
だが、既に剣を抜いていたピサロ将軍は八艘飛びの構えで加速し、感知してきたナミルを切り伏せようと跳び出していた。
「遅いッ! その首、賞金に替えてくれる!!」
確実に一太刀目で首を掻き切ろうと、剣筋が水平に倒れる。
あとは速度を活かしてナミルとスレ違えばお終いだ。
「金ぴかには金ぴかにゃ!」
「何ッ!?」
ナミルが取り出した斧が、黄金太陽神と同じく強烈に怪しい光を飛ばしてピサロ将軍の視界を覆う。
その際に手元が狂い、初撃が斧に弾かれてしまう。
「小癪な! まだまだぁ!!」
初速の威力は殺されても、いまだ八艘飛びの流れは終わらない。
続く二撃目を打ち込もうと剣を振るうが、しかしナミルには届かなかった。
「ナミルの金ぴかをもっと見せてやりマスにゃ! 今度は自慢の金ぴか歯車にゃ!」
ガキンと金属音と火花を散らしてピサロ将軍の刃を受け止めていたのは、無数に浮かぶ黄金の歯車。
それらが回転を速めていくと、徐々に光が強まりピサロ将軍を包んでいく。
「なんだこれは!? くっ……身体が重い……!!」
まるでピサロ将軍の速さを吸い取るかのように、歯車は加速していた。
「ちっ、こいつは厄介過ぎる! 後ろの目隠しだけでも先に潰しておく!」
歯車に噛まれていた剣を引き抜くと、ピサロ将軍はナミルから距離を取って恭二郎へと標的を移す。
分が悪くなればすぐに身を引く、この強かさこそが彼女の強みとも言えるだろう。
しかし、この場合ではその選択は悪手であった。
じっと動きをとめて風桜子による感覚延長をしていた恭二郎は、此方へピサロ将軍が向かってきていることは手に取るように分かっていたのだ。
さらに相手はナミルによって光速に近い速度から人並にまで落とされている。
「剣と剣を握るものが正面切ってチャンバラするとなれば……俺も手を抜くわけにはいかないねぇ」
地に刺さったままの銀河一文字を前に、徒手空拳で息を整える恭二郎。
それは居合いを行う武士のように研ぎ澄まされた精神をさらに高めているようで、相手の動きと剣の風切り音、そして風桜子からタイミングを計っているようであった。
「目が潰されていたのは不憫だったな、隙だらけだッ!!」
「それはどうかな……? 見えたッ!!」
斬られる瞬間、恭二郎は地面の銀河一文字を掬い上げながら刀の腹をピサロ将軍の剣に這わせて逸らし、滑らせた勢いを足して返す刀で二度目の居合いを一閃する。
「感有り……ってね!!」
チンと鞘に刀を収める恭二郎のその声がピサロ将軍の耳に届くころには、既に目の前には彼の姿は無かった。
ピサロ将軍の視点からでは何をされたのか皆目分からなかったが、痺れる手が震えているのにようやく気が付く。
「何故だ、お前の方は見えていなかったはず! 私の剣を受けられるはずがない!!」
「さぁね、お前さんには『見えて』いただろ。 最後に忠告さ……そこを動くな」
恭二郎振り向かずに言い捨てると、目隠しにしていた手ぬぐいを解き汗を拭う。
「なにをこの……っぐぁ!!」
怒りで顔を上気させたピサロ将軍が振り向こうとした時、胸に一文字の傷が開き血が溢れ出る。
痛みにようやく気が付き咄嗟に押さえるが、これ以上動けばどうなるかは分からない。
「お宝待てにゃー!!」
歯車の間を縫って抜け出して来たナミルがピサロ将軍に追い付きしがみ付く。
「がふっ! おい、今はやめろ!」
「動きが止まったなら略奪し放題デスにゃ! もぐにゃ! よこせにゃ!」
動いては不味いというのに、ナミルは容赦なくピサロ将軍をひっぱり背中の黄金太陽神を引き剥がそうと試みる。
その度に、ピサロ将軍は傷が開いて顔を青ざめていった。
「じれったいデスにゃ! くっついてるなら切り取ってやるにゃ!」
「おい本当にそれ以上は止めろ! やめろー!!!」
ナミルの暴走、ピサロ将軍の悲鳴、そしてどこ吹く風で汗を拭く恭二郎の鼻歌が砂浜に響くのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニィエン・バハムート
【オーラ防御】を身に纏い地面に【衝撃波】を叩きつけ土や剣を吹き飛ばし、目眩しと盾にしながら地面を【怪力】で【トンネル掘り】し地中に。【高速泳法】の要領で高速で逃げる。これで光、八艘飛び、宙を舞う剣を一時的に凌ぐ。
対処後にUC発動。大津波の霊で島ごと沈め、被害対象をピサロ・太陽神・剣に指定し災害級の力で【蹂躙】。津波に呑み込まれ日は陰るか、もしくな水圧で太陽神が潰れる?
津波というのは引くまでに数時間はかかるので【継続ダメージ】。水は無機物ですがこの津波は霊。変換不可。剣操作も眠気と窒息の中どこまでできる?
自分には被害がない。地上(水中)に出て沈むピサロに電撃【属性・マヒ攻撃】。
きっついですわ…。
シノギ・リンダリンダリンダ
生えている剣を操るのは面倒ですね
では、私も同じ事をしましょう
【一大海嘯】を解放
最大数の邪剣を召喚する
眩い光を、八艘飛びを、邪剣を操れるのはお前だけではないですよ?
数に物を言わせ、操る地面の剣を先にこちらで操る
失敗してもまぁ邪剣を盾にしましょう。いっぱいいますし
残滓で本物よりも弱いとはいえ、圧倒的な物量
数多の剣が、数多の邪剣が、考える暇もなく襲い掛かる
お前と同じ顔で
この状況に冷静な判断はできますか邪剣
眩い光の中、己の内に眠る呪詛の毒Curse Of Tombを解放する
霧のように漂わせ、邪剣をじわじわと蝕んでいく
弱らせ、腐らせる
我が海を荒らし、さっさと逃げようとした罪です
死ね
胸を押さえ負傷した七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍が、辛うじて猟兵達から離れ回復に専念している。
溜めていたなけなしの儀式エネルギーだったが、自らの命を優先するため彼女は迷いなく使い一命をとりとめた。
「く……これでは大損ではないか! カルロスは何をやっている!」
どれだけ強化されようと乗り越えて来る猟兵達、その執念にピサロ将軍も不安を覚え始めているのだ。
「次は油断しない、必ず先に首を獲る!!」
怒りを燃やした瞳で転移の光を睨むと、背の黄金太陽神をさらに輝かせ剣を握るのであった。
ピサロ将軍の視線の先、浮かぶ淡い転移の光からは二人の猟兵が顔を見せる。
「うっ!! この眩しさは深海人にはきっついですわ……」
見た目は完全にドラゴニアンなニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)だが、元々深海で暮らしていた名残か強烈な光に当てられグロッキーな表情を示す。
「いいえ、今の私は竜王ですの! 雲の上の太陽にも怯まない竜王なんですわ! これくらいどうってこと……!!」
水中で目を開けられない子供のようにプルプルと薄ら目を開けて強がっているが、やはり眩しいものは眩しいらしい。
その横でもう一人の猟兵は逆に嬉しそうな表情を浮かべていた。
「これがあの黄金太陽神の光ですか。 いいですね、流石あれだけ大きな黄金だけあり目も眩むようです。 いえ、本当に眩んでいますねこれは」
シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)はこの光の源を既に自分の物にでもしたかのようにうっとりと眺めて悦に入っている。
どこまでも強欲でお宝に目聡い彼女だからこそ、黄金太陽神の力と輝きが魅力なのだろう。
「実物を見て確信しました。 やはりこれは『私の物』です。 早く『私だけ』のものにしてあげましょう」
そうシノギが呟くと、眼も見えないのにいつの間に拾ったのか、この島に生える剣の一本を握りしめていていた。
そんな隙だらけの二人の存在を察知したピサロ将軍は、すぐさま行動に移る。
今までに受けて来た傷も、傷付いたプライドもまとめて彼女達の賞金で清算するのだ。
「射殺せ邪剣たち! 首は八艘飛びで私が直接落とす!」
ピサロ将軍が左手を前にかざすと、猟兵達の周囲に刺さっていた剣が浮かび上がりダーツのように彼女達を襲う。
さらにその速さに続くようにピサロ将軍も地を駆け右手に握った剣を構える二重攻撃。
視力を奪われていた彼女達に、その危機を知る術もなく一方的にやられてしまうかと思われたその時。
「……おや、来たようですね」
シノギの握っていた剣が何か見えない力に抵抗しながら震えている。
この剣もピサロ将軍が操る範囲対象であったため、先制攻撃の予兆を感じ取ったのだ。
「もうですの!? こうしてはいられないですわ!!」
地上の周囲全方位から攻撃が飛んで来る逃げ場の無い状況、それならば逃げ場を作ればいいとばかりにニィエンが竜の力を宿す怪力で地面を叩割る。
一点に集中した力が拡散し、彼女達を包むように割れた地面が土壁となって邪剣を阻み、シノギを巻き込んで地中へと姿を消していった。
「何ッ!? だが山勘が当たったところで穴を空けたままとはお粗末だったな! 地獄の果てまで追え、邪剣よ!」
土壁に阻まれたピサロ将軍だったが、空中に飛ばせる邪剣はこの島中に三千とある。
余りあるそれらを穴の中へ向かわせようと左手をかざしたが、彼らは戸惑うように右往左往して言うことを聞かない。
「邪剣よどうした! なぜ私の思い通りに動かな……この音は!?」
在りえないことの連続で気が逸れていたピサロ将軍が、この島を包む大掛かりな騒音にようやく気が付く。
それは大災害級の大津波。
島を飲み込み沈めてしまう程の滅びの大水だったのだ。
「くそっ、やつらなど構っていられん! 穴ごと水没して自滅していろ!」
穴の周囲で留まる邪剣は無視して、他の邪剣を踏み台に八艘飛びで駆け登っていくと津波の飲まれる島を見下ろす。
「ふん、島が沈んだ程度で私がやられるとでも思ったか」
空が荒れない程度の海面から少し離れた邪剣に乗り、ピサロ将軍は様子を伺う。
穴には水が入っていくためか大渦が出来ており、水棲生物でもなければ出られずに息が続かず窒息するだろう。
「剣を操る能力というのは面倒ですね。 大人しく海に落ちてもらいたいのですが」
聞こえるはずの無い声に、ピサロ将軍が思わず目を疑う。
目の前にはピサロ将軍と同じように剣に乗っているシノギの姿。
「その力はッ!? ありえん、そんなまさかッ!!」
「そのまさかです。 眩い光を、八艘飛びを、邪剣を操れるのはお前だけではないですよ?」
この島に来た当初から見せていた力の片鱗、それが徐々にシノギへ馴染み、そして今同じステージに立っているのである。
「小賢しい猿真似をッ! これは私の力だ、私を超えられるなどと思うなよ!」
「そうでしょうか。 数多の剣が、数多の邪剣が、考える暇もなく襲い掛かる。 『お前と同じ顔で』 この状況に冷静な判断はできますか」
シノギの言葉に応えるようにゆらりと後ろから現れたのは、もう一人のピサロ将軍。
「私……だと!?」
ヘンテコな黒いアンテナが生えてグルグルと眼を回しているが、それはまごうことなき本人であった。
「お前ならばお前を超えられるかもしれませんよ?」
「ぐ、五月蠅い! 偽物ごと死ねぇ!!」
シノギに煽られ青筋を立てたピサロ将軍は邪剣を飛ばし攻撃する。
だが当然もう一人のピサロ将軍も同様に邪剣を操り相殺していく。
偽のピサロ将軍は残滓であるため本来は不利であるが、冷静さを欠いた彼女には隙が産まれ、その差を埋めているのだろう。
その一方、黄金太陽神の光で視界が塞がれているシノギ本人は何もせず剣に立っていた。
しかし完全に干渉していないわけではない。
あまりの強欲さゆえに呪われ、シノギの身体に蓄積していった呪いを徐々に偽ピサロ将軍の操る邪剣へ纏わせているのだ。
剣は腐食していき、互いの剣が交わり削れ合い、その破片を媒介に毒はピサロ将軍へと振りかかる。
それは彼女を弱らせ、腐らせる。
「うぐ、お前……何を仕込んだ……!?」
「それは我が海を荒らし、さっさと逃げようとした罪です。 死ね」
身体の自由が奪われていき、邪剣の突き刺さったピサロ将軍は島を飲み込んだ大渦へと落ちていった。
海に沈んだ島の土砂が舞い上がり、渦がミキサーのようにピサロ将軍を揉んで傷つけていく。
息が出来ないどころか、木々が衝突する度に肺から酸素を奪われ、泥水が入り込む。
「がば、がぶぁぐ!?」
苦しくてもがくも邪剣はここに無く、黄金太陽神の重さが身体をさらに深部へと引きずり込む。
そして沈みゆく先には、待ち構えていた彼女がぬらりと姿を見せた。
「あら、人の身でこの水圧は辛いですわよね? まぁ肺呼吸のあなたならじきに楽になるんですの」
ニィエンの言う通り、既にピサロ将軍は身体のあちこちに異変が生じており、彼女声も届かない。
「でもそれでは許されないですわ! この海を危険にさらしたあなたには最後まで報いを受けてもらいますの!」
ニィエンがピサロ将軍に刺さっている剣に触れると、金属を通して直接電撃を流し込み、その最期を看取るのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵