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Fly to the Blue Blue Sky!

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #レプ・ス・カム #フェアリー

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●Out of blue

「あう……っ!」

 どす、と鈍い音がして太い枝に背中を打ち付けた。そこから鈍い痛みと熱が広がって瞼をひどく重たくさせる。
 けれど誘惑に負けることは死に繋がる。知っているから冒険者の勘が囁くに従って右へと体を投げ出した。
 葉と細枝の絡まり合う地点は身を隠すのに丁度いい。

「害虫如きには過ぎた刃と知れ!」

 だが、烈風。
 それまで自分のいた草が鋭く薙ぎ払われた。
 薫風にざわめく緑がさらに刈り取られて舞い上がっては落ちていく。
 緑の雨の向こう側。
 桃色を照り返す草刈り鎌を見せつける竜と、目が合った。

「ふん。よく逃げるではないか」
「なによぅ……甚振ってるのはそっちじゃない……」
「ならば分かっていよう? 己が身が如何なる目に遭うか!」
「きゃあっ!?」

 竜の羽ばたきはフェアリーにとっての強風だ。
 強く強く吹き付けで枝上に留まることすら許さない。
 羽ばたこうと広げた二対四枚の羽もが風に負けた。

「 あ 」

 体が浮いた。けれど自由にならない。
 黒い雲に覆われた空が遠ざかる。
 耳元でごうごうと風が吹いて。
 目の醒めるような赤い花弁といっしょに堕ちていく。

「あ──────ああああああああああああああああ!!?」
「その絶望が天へ繋がる鍵故に。そら、啼き叫べよ羽虫」

 桃色の竜が嘲笑う。
 その声すら、巨大な樹の向こう側に呑まれて消えていく。

 ここは彼女のフェアリーランド。彼女のユーベルコードで編まれた、彼女のための世界。
 だというのにも関わらず、有り得ざる樹と竜が我が物顔で空に君臨している。


●Reach beyond the sky

「Hello,Jeagers! さっそくだけど、空を飛べるひとってこの中にどれだけいる? もちろん自力じゃなくって、騎乗したりでもいいんだけど」

 メレディア・クラックロック(インタビュア・f31094)がマイクを向けたなら幾人かが応じて手を上げるだろうか。
 その数を数えて頷いた彼女は右手を軽く振った。背後のモニターへと投影されたのが予知の映像なのだろう。

 今にも降り出しそうな灰色の空を背景に、天を突く巨大な樹。
 頂上で優雅に旋回する桜色のドラゴンと、根本で空を見上げる若菜色の髪のフェアリーだ。

「猟書家案件。古代魚か恐竜みたいな名前の奴はもういないんだけど。その部下だったドラゴンがこの子のフェアリーランドで悪さ働こうとしてんの」

 見える? などと問いかけながらスクリーンをタップ。ズームアップしたカメラが傷ついてなお可憐なフェアリーを映す。

「彼女はエイナ。冒険者界隈ではちょっと知られたウィザード。この間羽を負傷して休業中だったのを突かれたみたい」

 彼女のためのフェアリーランドは、竜のための悪夢の庭と化した。
 無限の冒険を象徴する果てない蒼天と草原は、世界樹のための養分と果てようとしている。
 それを阻止するのは「楽しいこと」だとメレディアは語った。

「いやほんと、完全にファンタジーだよね? でも、ひとの心を動かすのはいつだって他者の心なんだ」

 閉ざされ封じられたフェアリーランドに光を。
 それを齎す方法はただひとつ。

「空を飛ぶ楽しさ。冒険者の心を思い出させてあげて」

 グリモア――レーザーワイヤーで編まれた立方体が展開図へと変わっていく。
 完全に開いたそこが冒険の入り口。
 ぬるく湿った風の中へと飛び込めば、空行く旅の幕開けだ!


只野花壇
 二十三度目まして! 空を自由に飛びたい花壇です。
 今回はアックス&ウィザーズより、冒険者のフェアリーとの空の旅へご案内いたします。

●章構成
 一章/冒険『超巨大樹攻略』
 二章/ボス戦『ミラベル』

●シナリオ共通プレイングボーナス
 『フェアリーに楽しいことを考えてもらう』。
 本シナリオにおける「楽しい事」は飛翔です。
 飛行が可能な方はどうやって飛ぶのかを教えてください。
 自分で飛行が出来ない場合は背中に羽根が生えます。指定がなければ二対四枚の妖精羽が思い通りに飛ばしてくれます。

●NPCについて
 エイナ・アエストス
 フェアリーのウィザード。若菜色色の髪と同色の瞳。小柄で元気系。
 風属性のウィザード魔法を得意とする冒険者で、とくに飛ぶことが好きです。

●プレイングについて
 ある程度のアドリブ・連携描写がデフォルトです。
 ですのでプレイングに「アドリブ歓迎」等の文言は必要ありません。
 単独描写を希望の方は「×」を、負傷歓迎の方は「※」をプレイング冒頭にどうぞ。

 合わせプレイングの場合は【合わせ相手の呼び方】及び【目印となる合言葉】を入れてください。
 詳しくはMSページをご覧下さい。

●受付期間
 各章の断章でご案内。
 その他、MSページやTwitterなどでの案内をご確認いただけると確実です。
 完結を最優先に運営する猟書家シナリオですので全採用はお約束できません。あらかじめご了承ください。

 それでは、ようこそ壺の中の果てなき空へ。
 皆様のプレイング、心よりお待ちしております。
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第1章 冒険 『超巨大樹攻略』

POW   :    気合で登る

SPD   :    道具を巧みに使いこなして登る

WIZ   :    登りやすい場所を探す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Fly over the tree

 雨が降る直前の湿った空気が頬を撫でる。
 見上げた空は今にも降り出しそうな暗い灰色。
 それより目を惹くのは緑の屋根だ。
 大きく広く伸びた枝とそこに繁る葉は太陽の下であれば心地よい木漏れ日を齎しただろう。

 けれど、その存在こそが異質。
 どこまでも飛んでいけるように、どこまでも広がっているはずの世界に阻むためのものがあってはならないのに。
 我が物顔で舞う桃色の羽搏きが下降気流となって近づく者を阻もうとしている。

「だれ……?」

 そうして空を鎖された若菜色がゆるく顔をあげた。
 何度も地面に叩きつけられて、土で汚れて、同じように飛んだってまた墜とされることなど分かり切っているのに。
 それでも空を諦められなくて、折れかけた羽根を必死に動かそうとしている。
 エイナ・アエストス。
 風を操るフェアリーのウィザードは、己のフェアリーランドにやってきた猟兵たちを見た。

「もしかして……いっしょに、とんでくれる……?」

 是を返すのであれば、それが冒険の始まり。
 巨大樹の頂上で待つ桃色の竜の下まで、いざ飛んでいけ!



●第一章プレイング受付期間
【3月11日(木)08:31 ~ 3月13日(土)13:59】


.
荒谷・ひかる
空を自由に飛ぶ楽しさ……はい、わたしも知ってます。
この背に翼は無いけれど、とびきりやんちゃで悪戯好きなお友達が教えてくれたから。
さあ、一緒に行きましょう、エイナさん。
大丈夫、わたしと……精霊さん達も、一緒ですから!

ハンカチで彼女の土汚れを拭い、「鼓舞」しながら【転身・精霊銃士】発動
大人の姿に変身しつつ、風の精霊さんの力を借りて飛んで見せる
同時に、エイナさんにも力を貸してあげるよう風の精霊さんにお願いする
元々風属性の魔法の使い手との事ですし、きっと仲良くなれるはずです……ちょっと悪戯っ子ですけど
あとは風に乗って、共に空へ
風の声を聴いて、風に身を任せれば、どこまでだって行けるはずです!



●Windy & Wendy

 ひらりと踊った銀糸は編まれていない髪の束。
 荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)の背に翼はない。
 なのに激しすぎる下降気流を物ともせず舞い降りることができるのは彼女の周りにいる精霊たちが力を貸しているからだ。
 
「大丈夫ですか?」
「ん……平気よ。ありがと」

 言葉とは裏腹に、フェアリーの身を拭ったハンカチには泥だけでない赤色が混ざっていた。思わず眉を下げたひかるだったが、今必要なのはそれではないから頭を振って追い出した。
 垂れこめるような雲がかかった空は暗い。
 それでも、雲の向こうに青空があることを知っているからひかるは手を差し出す。

「エイナさん、飛べそうですか?」
「問題ないわ。あなた達が歩くのと同じ……って言って伝わる?」
「はい。エイナさんが空を飛ぶのが好きなんだなって、よく」

 だから、と呟いた言葉は契約の呪文。
 若菜色が見つめる前で九色の精霊たちがひかるの元に集った。
 【転身・精霊銃士(エレメンタルアップ・ガンナー)】───それは戦う為の力を借り受けるユーベルコード。
 だが、今はそれをもうひとつの力のために使おう。

「その楽しさ、わたしも知ってますから」
「やっぱり……あなた精霊術士ね?」
「いいえ」
「?」

 精霊と交流し、力を借り受ける……それだけを見れば確かに彼女は精霊術士と呼ぶべきだろう。
 けれど笑って否定した。
 だって、ひかるにとって彼らは「それだけ」のものではない。
 ひかるが空を自由に飛ぶ楽しさを知っているのは。

「とびっきりやんちゃで悪戯好きで、けれど楽しいお友達がいたからです!」
「わっ!?」

 風が吹いた。
 春一番の突風は喜びを伝えるように跳ね踊る。
 驚くエイナを横目に、ひかるは淡く笑った。
 だって友達の手を借りるだけ。何を恐れることがあるだろう?

「さあ、行きましょうエイナさん」
「え……ええ?」
「怖がらなくって大丈夫です! それに、エイナさんもすぐ友達になれますよ」

 はためく風にひかるが乗れば、エイナの羽もまた開く。
 あっという間に立っていた地面が遠ざかる。支えのない空はどこか頼りなく、それでいてどこまでも自由に行けるから心は弾む。
 上から押しつけられる暴風なんてへっちゃらと切り裂いて。
 時々ちょっと力を抜けば落ちていくための風さえ心地いい。

「わ、ちょっと!」
「あはは、ダメですよ風の精霊さん! エイナさんは怪我してるんですから!」

 そんなドキドキだって過ぎ去ってしまえば楽しかったでおしまいだ。
 だから二人は飛んでいく。
 風の声を聴いて、風に身を任せれば、どこまでだって行けるから!

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
(一対の蝙蝠の羽を生やすユーベルコードを使用)

真の姿になれれば六翼を操れるのですが
今はまだこの不十分な二枚の翼でしかありません
とはいえ、それでも飛ぶのに支障はありませんね

ふふ、いかがですか妖精さん
この黒き翼は
妖精さんたちのように軽やかに飛ぶわけではありませんが
つまらぬ猟書家の後継者を撃ち砕くためには十分な力です
舞うような飛翔も素敵ですが
風を切るこうした力強い飛行もたまにはいいものでしょう?

さて、かつて何度も戦ったあの子兎も愚かな小悪党でしたが
そのさらに部下ごときトカゲ風情が大きな顔をしているようですね
教えてあげましょう
あなたのかつてのボスがどれほど無様に惨めに滅んでいったのかを
その身をもってね



●Darkness, bat I'm on your side.

 その翼は、きっと沈んだ暗雲より夜闇の底の方が似合っただろう。
 そう思わせる昏い一対。けれど悪夢から抜け出してきたような黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)の漆黒にはこれ以上ないほどよく映えた。
 真の姿になれば六対にもなるが、飛ぶだけであれば大仰な翼は必要ない。
 思ってはためかせる翼に若菜色の視線が刺さるから魅夜は思わず振り向いた。

「……どうしました?」
「ううん。やっぱり種族で羽って違うんだな、って思って」
「ええ、そうですね」

 負傷も疲労も当然あるのだろう、エイナの飛翔にふらつきはあっても軽やかだ。
 小刻みに羽を羽ばたかせ、吹きすさぶ風を魔術で相殺して、生まれた無風空間へ飛び出す。
 小柄で非力、けれどその分魔術に優れたウィザードらしい飛び方は魅夜のそれとまったく異なる。
 僅かに小首を傾げたエイナの表情は、味方がいるためか少しの明るさを取り戻した。

「自分の羽に不満なんてないけれど、そういう羽も素敵ね」
「ふふ、ありがとうございます」

 それなら礼に、と魅夜は飛ぶ。
 たかだか竜の羽ばたき程度が生み出した風に彼女が邪魔される謂れはない。蝙蝠の羽の一閃が下降気流を吹き飛ばし己らのための上昇気流にしてしまう。そのまま強く動かせば風を切り裂く飛翔がひたすらに空を目指してゆく。風が無くなればエイナの飛翔もさらに軽やかになるだろうから。
 ダンピールという、人並み外れた力を持つ種族。
 その幻想を纏う以上、魅夜の飛翔は竜に劣るそれではない。

「たまにはこういう飛翔もいいでしょう?」
「うん……すっごいねぇ」

 その声に込められた希望と憧憬を、魅夜は正確にかぎ取った。
 エイナは本当に飛ぶことが好きで、冒険が好きで……だからこそどこまでも飛んでいける空のフェアリーランドを形成するに至った。
 それを利用しようとしている者こそを魅夜は許容できないから。

「つまらぬ猟書家の後継者など、この力で撃ち砕いてみせましょう」
「……うん。頼りにしてるから!」

 エイナの明るい返答に魅夜はますます笑みを深める。
 彼女はレプ・ス・カム──最初にフェアリーランドへの侵攻を計画していた猟書家との交戦経験が幾度もある。
 あれも好ましいとは決して言えなかったから、その部下でしかない竜に教えるものなどただひとつ。

「待っていなさい。トカゲ風情が」

 かの猟書家がどれだけ惨めに無様に滅んだか。
 その身を這いつくばらせて身に刻むように叩き込んでやろうではないか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サフィリア・ラズワルド
POWを選択

はい!一緒に飛ぶために来ました!
でも、その羽痛くありませんか?もし良ければ私に乗ってください、体力温存のためにも!

【白銀竜の解放】で四つ足の飛竜になってしゃがみます。

あ、大丈夫ですよ!私悪い竜じゃありませんよ!
エイナさんは飛ぶのが好きなんですね?私もです!だからちょっとアクロバティックに行きますよー!

回転急降下急上昇、おもいっきり飛ぶのって楽しいですね!

アドリブ協力歓迎です。



●Take me higher with the Dragon

 翼が空気を打つ音は力強い。
 それだけの音を立てて羽搏けるのは何だろうと視線を巡らせれば“それ”はすぐそこにいた。
 青空を塗り固めたような四つ足の飛竜。
 鮮やかで、力強く、それでいて美しい……見惚れていたのはほんの一瞬。
 何が自分をここまで追い詰めたのか、思い至れば青ざめるのも仕方なしというところか。

「ド……ドラゴン!?」
「あ、大丈夫ですよ! 私悪い竜じゃありませんから!」

 慌てて告げるサフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)は、本人の言う通り本物のドラゴンではない。
 いつか彼女を喰らいつくして完全な竜に至るとて、それは今ではない。
 不完全なドラゴンであり、そうと生み出されたサフィリアはエイナを襲わない。
 ただその横で止まって、体を傾けた。

「まだまだ頂上は先です。体力温存のためにも乗っていきませんか?」
「え……?」

 その動作がエイナがサフィリアの背中に乗りやすいように……と気付いてしまえば若菜色の瞳は大きく見開かれた。
 だって、それはひとつの夢だ。
 A&W世界においての頂点、生ける伝説たるドラゴンの背に乗る……それを許されるなんて。
 予想もしない夢に固まっているなんて気付かないサフィリアは竜の喉から不安の唸りを漏らした。

「もしかして……イヤでしたか?」
「そ、そんなことないよ!」

 言われてしまえばエイナだった固まっているわけにはいかない。
 ひょいと身を踊らせて頭の上に着地。鱗の窪みに手を添える。
 重みとも言えない温もりにサフィリアは眦を吊り上げて。

「しっかり捕まっていてくださいね───っ!!」

 急加速!!
 頭の上から聞こえる驚きの悲鳴はすぐ歓声に変わるからサフィリアが羽ばたきを弱めることはない。むしろ早く、もっと早くと力を籠める。

「私も飛ぶの好きなので、アクロバティックに行きますよー!」
「あはは、楽しい! もっともっとー!」
「はぁい!」

 首を上へと傾ける。そのままのけ反るように後方へと傾いて……一回転!
 自力で飛べるエイナだから安全バーなんてて必要ない。ジェットコースターよりさらにスリリングな飛行に二人の笑う声が弾けた。

「思いっきり飛ぶのって楽しいですね!」
「うん、すっごく……あ!」

 だから、それは必然に。
 目指す空の雲が割れて薄い太陽の光が差し込んだ。

「きれい……」
「エンジェルスラダー、って言うんだって。ドラゴンさん、あそこまで飛んでみない?」
「もちろんおっけーです、行きましょう!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

榎本・英
私の背に羽だね。大丈夫かい?
空を飛ぶ事は、憧れでもあったよ。

私たち人間は自らの意思で飛ぶ事が出来ないからね。
却説。それは置いておこう。
今日は私自身も経験をしてみたかったのだ。

この背の羽で空を飛び、新たな冒険譚を書き記したい。
幼子が喜ぶようなそんな物語をね。
君は私の先輩となる訳だが、
まずは飛び方の手本を見せて呉れ。

なるほど、そうすれば良いのだね。
ならばこうやって地を蹴り――…。

ふらつくのだが大丈夫かい?
真っ直ぐ飛べていないような気がするのだが。
嗚呼!置いて行かないで呉れ……!
もう少しゆっくり、見た目の通り運動は苦手なのだよ。

ええい。腹を括ろう。
君の速度に合わせるとも!
好きなように飛びなさい。



●冒険譚は道半ば

「……ふむ」

 “羽を動かせる”というのがどうにも違和感があっていけない。
 いや、そもそも人間の身体に羽は存在しないのだから仕方なくはあるのだが。
 それでも榎本・英(人である・f22898)は少しずつ異物を体に馴染ませていく。

「どう? 飛べそう?」
「……ああ、いや、どうにかするとも」

 だって、空は憧れだ。
 人間という種は己の力で空を飛ぶようには出来ていない。だからこそ焦がれ、空を目指すのもまたひとだ。
 それを体験できる機会なのだから英とて見過ごすなど出来はしない。
 ……決めてきたはいいものの、冒険という括りにおいて英の経験はまだ少ない。ならば先達に尋ねてみようというのは当然の発想だ。

「まずは飛び方の手本を見せて呉れ、先輩」
「! ……了解!」

 枝に腰掛けて英の奮闘を見守っていたエイナはぴょいと身を乗り出した。
 くるりと身を翻せば、背に開く二対四枚が英の眼にもよく見て取れる。

「こーやって……」

 ゆるりと羽が動いた。真横に広がった形からゆっくり後ろへ引き絞られ、一気に開く動きで空を叩く。
 結果、ひどく軽いフェアリーは空を飛んだ。飛び続けるのはその繰り返しだ。

「こう!」
「成程……」

 分からない。
 いや、実例を見たことで「どうすればいいか」は分かった。問題は出来るかどうかの一点。
 自慢ではないが英は己が運動が得意でないことの自覚がある。
 はじめての翼でどこまで飛ぶことが出来るだろうか?

「……飛ばないの?」
「いや、失礼。飛ぶさ。飛ぶとも」

 迷っていても仕方がないと、とりあえず腕を共に動かした。
 真っ直ぐに伸ばしたそれを後方に動かして、それから素早く前へ!
 風を叩く。地面から足が離れる。
 自分は、今、飛んでいる。

「おっ……とっとっと……」

 だから英はふらついた。
 人間だって初めてでは三歩と歩けない。元よりひとの持ち得る機能ではない飛翔など何を況やだ。
 あっちへふらふら、こっちへそより。慌てて立て直そうとすれば羽ばたき忘れて落ちかける。
 エイナの風が受け止めなければどうなっていたことか。

「……済まない」
「いいのいいの! じゃあ次はもうちょっと速く……」
「勘弁して呉れ……」
「ええ~……速い方が安定するのに」

 ぶつくさといいつつ、エイナは英を置いて行こうとは決してしようとしなかった。
 小さくも頼もしさを感じさせる背を見やりながら英はぽつりと言った。

「冒険譚をね。書き記そうと思っているのだよ」
「冒険譚? お話?」
「ああ。幼子も喜ぶような、そんな話をだね」

 きっと彼女も登場人物──それこそ主人公を導く先輩が相応しいだろうか。
 想像してか、エイナは綻ぶ花のように笑みを咲かせた。

「それ、私にも読ませてくれる?」
「嗚呼。勿論だとも」

大成功 🔵​🔵​🔵​

津上・未有
悪夢の庭となったフェアリーランドか…
ふふん、我に任せろ!我が暗黒の力をもって竜を打ち倒し、フェアリーランドをあるべき姿に戻してやろう!

…とは言ったものの、我、空飛べないんだよな…
どうやって攻略したものか…一応セブンリーグブーツの力で空も歩くことは出来るが、それじゃどれだけ時間があっても足りなさそうだしな…

え、羽くれるって?
ん?お?おおおお!?
な、なんか羽生えた!?妖精の羽か!?
うおお、これはすごいな!これがフェアリーの力か!
おー!空飛べる!すごいなー!我、空飛んだのなんて初めてだぞ!これならどこまでだって行けそうだ!
よーし、待っていろよ竜よ!我が今そこに行くぞー!



●the First Flyday

 見上げた空が遠い。
 空が遠いのは当たり前としても、一応のゴールである樹の頂上すらさっぱりだ。
 それでもどうにか見えないかと幹の周りを歩くこと十分。打開策は見つからず津上・未有(自称真の魔王・f10638)は肩を落とした。

「我、空飛べないんだよな……」
 
 一応空を踏んで“跳ぶ”ための靴、セブンリーグブーツは履いてきたが……それでいくには空はあまりにも遠すぎる。
 他の猟兵はどんどん自分の力で飛んでいったから今のところ置いてきぼりだ。
 かといって、ここまで来て他者の世界を悪夢に閉ざそうとする外道を放っておける訳もない。
 でも……の思考の堂々巡りが二週目のループに突入しそうな、その時。

「……ん? おお?」

 背中が熱い。
 とはいえ攻撃されているような感覚ではない。例えるなら回復のユーベルコードを貰ったような、活力を伴うあたたかさ。
 それが肩甲骨で弾けた途端、未知の感覚が未有を襲った。

「おああああ!? なんだこれ!? 羽か!?」

 動かせる部位がそこにある。羽だ
 薄く透き通り、うっすら虹色を光らせる二対四枚は魔王というには可愛らしく……だから未有にはよく似合っていた。
 二・三度動かしてみて、そっとジャンプ。
 タイミングよく羽を動かせば、果たして未有は空を飛んだ。

「おおおおお……!!」

 そんなの、テンションが無限に上がっていくに決まっている。
 いきなり高いところは少し怖いのでまずは低い位置で動かし方を確認し、速く飛ぶ方法を考える。落ちていかないように飛び方を考えて、疲れないよう工夫して。
 
「ふふ……ははは、ハーッハッハッハッハッハ!」

 “飛べる”と確信したから、こみ上げてくる笑いは高く弾けて薄曇りの空を貫いた。
 空を飛ぶという一点に限ってセブンリーグブーツを遥かに超える性能を持つ羽はこの巨大樹に挑むに十二分。

「この魔王に空を飛ぶ力まで加わったとあらばすなわち無敵! 我が暗黒の力をもって竜を打ち倒し、フェアリーランドをあるべき姿に戻してやろう!」

 そうと決まれば羽ばたいた。
 一気に地面が遠ざかる。初めて飛んだ高い空は冷たく、不安定で、……けれどどこまでもいけそうだから楽しくって。

「ハーッハッハッハッハッハっげほごほっ、ごほっ!」

 乾いた喉に唾液が滑り込んで咳き込んだ。
 ……未有が頂上まで辿り着くまで、前途は多難そうである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと

ハ、試作人形の慣らし運転にゃ丁度良い仕事だ……どォにもいけすかねェ事案だしな

わかってら お前らには何人たりとも手出しさせねェよ
お前も用意ァいいな、フェルト
行くぞ

本当の出番ァまだ先だが
一先ずのロールアウトだ、"Arthur"
エイナとか言う妖精を勇気づけンのはフェルト任せだ
俺は空までの道を切り拓く

"Arthur"飛行モード起動
"ナイト・オブ・オナー"イグニッション

エネミー認定対象を「下降気流」
「俺達を邪魔立てする樹木」に指定

俺らのフライトを邪魔すンなら
光矢でブチぬいて強引にでも行かせて貰うまでだ

邪魔者が捌けたなら後は二人を連れてくだけだ

応、どォだよ
邪魔な奴ァ何もいねェ空は飛び易いだろ


フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と
あの猟書家は倒し尽くしたと聞いたのだけれど……それで手を引くわけじゃないということね。ええ、準備万端よケン様。エイナ様はわたしに任せてちょうだい。だから、邪魔者のお相手はお願いね?


初めまして、エイナ様!早速で申し訳ないのだけれど、わたしと一緒に飛んでくれないかしら?

ええ、最初はゆっくりでいいの。ゆっくりと翅を動かして、ふわりと浮き上がるようなイメージを思い浮かべて。そして、そのまま風に乗って舞い上がるの。

大丈夫よ。悪い風も樹も、彼が守ってくれるから。ちょっとぶっきらぼうだったりツンツンしてるところもあるけれど、とっても頼りになる殿方よ。

さあ、手を取って。一緒に大空を羽ばたきましょう!



●The knight goes ahead, The princess flies gracefully

 薄曇りの空をまず裂いたのは白を基調にした騎士人形。
 聳え立つ樹に比べれば小さくとも、その頑健さを誰が疑うだろう。
 騎士の行進に付き従うのは黄金の光矢。
 コンディション・オールグリーン。操縦席の中のケンタッキー・マクドナルド(神はこの手に宿れり・f25528)は無意識に頷きつつ、専用バイザーの位置を少しばかり調節した。完璧だと自分では思っていても実際に動かしてみないと分からないこともある。
 眼前に投影されている映像は二種類。
 進行方向は暗い空。吹き付ける下降気流と聳え立つ大樹。
 己の後方には二人のフェアリー。手と手を取り合って飛ぶ金色と若菜色。
 手を繋いでいるせいだろう、飛行は普段に比べればふらふらと頼りない。とはいえ落ちるほどではないだろうからケンタッキーは騎士人形を手助けに差し出さない。
 代わりにカメラを頂上へと傾ければ、ちらりと過ったのは見慣れない桃色。

「……やっぱあの猟書家サマじゃねェみてェだな」

 思い出すのも忌々しい、フェアリーを踏み台にせんとしていた猟書家。
 そいつは滅んだと聞いていたが……成程、それで大人しくなるほどオブリビオンという奴らは暇ではないらしい。
 いとおしい少女に頼まれたのもあるが、そいつがいけすかないのも同感だからケンタッキーは空を睨む。
 ……それに、この案件はある意味都合が良かった。
 己の作品を疑うべくはないが、いきなり戦闘機動に放り込むわけにはいかない。

「行くぞ、“Arthur”」

 操縦桿を握り直す。
 とうに起動していた飛行モードから連携する追加機能を呼び出した。
 指示を求める騎士人形に応え、エネミー認定対象に下降気流、並びに直線ルート上の枝を追加。
 マルチロックオン完了。
 操縦桿に設置された引鉄に指を掛ければ自然と唇の端が吊り上がる。

「フライトを邪魔するヤツはブチ抜いて強引に行かせて貰うまでだ。──なァ?」
『《Yes, Your Majesty.》』

 【弱きを助け強きを挫く(ナイト・オブ・オナー)】───イグニッション。
 両脇に控えていた光矢が唸りを上げて空を裂いた。



「わぁ……!」
「ね。言ったでしょう?」

 幾条もの流星が空を貫いていく。
 この光景を形容するとしたらきっとそんな言葉になるだろう。
 科学が織り成す幻想雷華。明るい空の下でも見続けられる眩い光。
 文化の根付いていないA&W世界ではなかなか見ることの出来る光景ではない。感嘆の吐息を漏らして見惚れるエイナに、フェルト・フィルファーデン(糸遣いの煌燿戦姫・f01031)は明るく笑いかけた。
 自分と彼の分担は効率よく動いている。
 彼の人形による一気呵成の攻勢で開いた道をエイナを連れたフェルトが飛んでいく。
 ケンタッキーを誰より信じているフェルトだから、この空はもう心配ないと知っている。

「うん。『どんな風も樹も、彼が守ってくれるから』……なんて、どうやるんだろう? って思ってたけど」
「でしょう? ちょっとぶっきらぼうでツンツンしてて、ほっとけばエイナ様に顔も見せないような殿方だけど」
「だけど?」
「……とってもカッコよくて、すっごく頼りになるの」

 吐息のような呟きにはいまだ本人には言えない万感を籠めて。
 彼のことを語ると自然と熱くなる頬を片手で覆って冷ましつつ、飛び征く白亜の機体を見送った。
 見上げる空は薄曇り。
 頂上はまだまだ遠く、容易には辿りつけそうにないけれど。
 拓かれた道は今までよりずっとずっと飛びやすい。

「さ。エイナ様? 翅はまだまだ動くかしら?」
「もちろん! あんな光景を見せられて黙ってろ、なんて。それこそ冒険者の名が泣いちゃうもん!」
「ふふっ、そうね。当たり前のことを聞いてしまってごめんなさい」
「むしろそっちは平気なの?」
「当たり前よ!」
「おっと失礼。それじゃ、」

 ふわり、フェアリーたちを乗せるための風が吹く。
 せーの、と声を出さずに息を揃えて羽を広げて乗っかれば、そこは自由な広い空。
 騎士が開いた道を、姫君たちは真っ直ぐに羽ばたいていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

麻海・リィフ
真っ先に
ボロボロ泣きながらエイナをそっと抱き寄せる

ちょっとして放す
いきなりごめんね
私、リィフ
青空の騎士よ

分かるよ
ここまでされても諦めきれていない
君の心、君の空が未だ潰えていない

だから、私が来た
青い風として君を誘う為に!

自前の四つの翼を広げる
UC発動

君の風を貸してくれる?
私の風を託すから

空中浮遊滑空念動力
エイナに合わせて羽ばたく

空を往く
それは風を使う事
恐れを越える者に、風の加護は顕れる
勇気を込めて鼓舞

大丈夫、行ける
意地悪な邪魔からかばい悪路走破で悪い風を乗り越え

君の風、君の空、君が決めていいの
エイナに行動を合わせ、風ごとエイナを運搬して上昇

…フフッ♪
君と一緒に飛びたいのは、私だけじゃないみたい☆



●Blessing wind

 まず真っ先に。
 白い掌が若菜色のちいさな体を抱きしめた。
 決して痛みを与えないよう、けれど気持ちを伝えるように。
 まさかそんなことをされるなんて思ってもみなかったエイナが動き出す前に麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)はそっと手を離した。

「……え、っと?」
「いきなりごめんね」

 同じ目線に並べば伝わるものがある。
 そう信じて交わした視線は真っ直ぐにエイナを貫いて彼女の真摯を伝えた。

「私はリィフ。青空の騎士よ」

 だって、分かるのだ。
 何度も墜とされて、傷つけられて、貶められて、だから眩しくあるべき世界は暗雲が覆う暗さに支配されて。
 それでもその心は空を諦めていない。世界を潰そうとはしていない。
 どこまでも広いままで在り続ける強さが哀しくて、眩しくて、そして愛おしくて。
 だから共に飛びたいと、白と翠で構成された二対の翼が開かれた。

「青い風として君を誘いに来た。私の風を託すから。君の風を貸してくれる?」
「……ええ。もちろん!」

 答えてエイナが吹かせた風は、空を飛ぶための柔らかさ。
 翼で受けて空を蹴れば、思っていた以上に軽やかに遥かな空へと誘われる。
 熱くなる目頭を必死に堪えたのは遅れてはいけないと思ったから。
 小さなフェアリーに比べればリィフの翼は包み込むほどにある。吹き飛ばしてしまわないようにだけ気を付けながら羽を動かした。

「怪我は平気?」
「このぐらいならへっちゃらよ!」
「そっか、じゃあもう少し早く行こうか」

 エイナの速度に合わせて空を行く。
 飛ぶとは、少なくともリィフにとっては風を扱うことだ。
 もちろん自由すぎる空はそのままでは思う通りにはなってくれない。失敗してあらぬ方に飛ばされるかもしれない。落ちるかもしれない。
 そんな恐れを越えてこそ、自由の加護は顕れる。

「きゃっ……!?」
「大丈夫」

 だから、失敗ではなくて。
 妨害せんとする風が吹き付けるから打ち払う。
 エイナにとっては飛ぶことをを困難にさせる強い下降気流も、リィフの盾を前にすれば防がれるばかり。
 いいや、風色のフェアリーが飛ぶための支障になど絶対にさせない。
 盾に身を隠す位置に身をずらすエイナに向けてリィフは静かに笑いかけた。

「ここは君の風が吹く、君のための空だ。全部君が決めていいの」
「……う、うん! ありがと!」
「どういたしまして」

 そうと決めた者をこそ、空は祝福するのだからと。
 願う通りに風が吹く。
 二人を少女を空へ導く為に、どこまでも、どこまでも。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天音・亮
【欠片】

空を飛ぶことって人間にとっては万人の夢、みたいなとこあるかも
私は幽世蝶たちの力を借りてなら少しは飛ぶことができるよ
でも不安定さは拭えないから、私も自分の背中に翅が欲しいな

ね、エイナ
きみが良ければ一緒に飛んでもいい?

徐に背に生えた四枚の翅はお日様色
わあ!見て見てロキ!
はしゃぐようにくるくるり
ロキは黒い蝙蝠?その羽もかっこいい!

飛び舞う空はまるでアトラクション
でも空は誰にも縛られない自由な場所
飛びたいと願う気持ちを邪魔しちゃだめ

ひらり脚元から現れた幽世蝶たちの力借りて
きみたちが拓いてくれた空への道を駆けてゆく
【soleil】の風力で気流を変動させ竜への一本道を

さあ行こう!ロキ、エイナ!


ロキ・バロックヒート
【欠片】

空を飛ぶのって神様にとっても夢かも
あんまり飛んだことないんだよね
亮ちゃんは飛ぶみたいに踊ってたから
たまに鳥みたいに飛べるのかなって思ってた
蝶だとフワフワって感じかな

だいじょうぶ
一緒に飛ぼうよエイナちゃん
生えるのは黒い蝙蝠羽
亮ちゃんの羽可愛い
空に映えるお日様だね

最初はお試しみたいにくるんと一回転
ぐーんと急上昇したり
下降気流に阻まれて落とされそうになれば
エイナちゃんの魔法か、破壊の光で気流を打ち消す
ジェットコースターみたいなコースじゃない?
竜の生み出す気流を手玉に取りながら
スリルを楽しんじゃおうよ

うん、行こう
あの竜の元に行くならもっと上に昇らなきゃね
空への一本道を往く君は
やっぱり太陽のよう



●Aim for the sky where the sun flies

「空を飛ぶことって人間にとっては万人の夢、みたいなとこあるかも」
「神様にとっても夢だよ、それ」
「そうなの?」
「うん。あんまり飛んだこと無いからねぇ。そういう能力も持ってないし」

 だから見上げた暗い空は、ロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)にとってはただ遠く、そこにあるものでしかない。
 へぇ、といっそのんびりと感心の声を漏らす天音・亮(手をのばそう・f26138)の方を振り向いて首を傾げれば肩口から長い髪が零れ落ちた。

「たしか亮ちゃんは飛べるよね?」
「うん、少しだけね。それだって幽世蝶たちの力を借りてのことだし」
「ああ、蝶々パワーだったんだっけ。じゃあ結構フワフワ~って感じ?」
「そうだね。だから鳥より不安定だし、自分の背中に羽が欲しいな」

 お願いできる?
 唐突に水を向けられて若菜色のフェアリーが瞬いたのは束の間。満面の笑みで頷けば二人の背中に熱がはじけた。
 治療のユーベルコードに似た心地よさが肩甲骨のあたりで広がって、少しの違和感と痛痒感。本来存在し得ない器官が生えたことに気付いてまず亮が満面の笑みを浮かべた。

「わあ! 見てみてロキ!」

 その場でくるりと一回転。
 きらきらと光の帯を曳いていく二対四枚は一部しか見えないけれど、自分の意志で動かせるとあればテンションはさらに上がっていく。

「羽だ! ほんとに羽だよ!」
「うん、そうだね。亮ちゃんの羽はお日様色だ。かーわいいね」
「そういうロキのは黒い蝙蝠? そういうのもかっこいいね!」
「あはは、そうやって褒められると照れちゃ……お?」

 言って、動かして、跳ねて、気付いた。
 飛べる。
 羽であるから当たり前かもしれないが、そもそもそれを持っていない人と神様だ。
 けれど気付いたからにはもう飛ぶしかない。我先にと地面を蹴って空を目指した。
 ふわり、浮き上がる。
 風を切る。
 自分たちは、今、空に居る。

「わ、わ! ロキ、飛んでる。飛んでるよ!」
「ホントだね亮ちゃん。……え、すごいやこれ」
「あ、もうちょっと羽広げるとブレーキかかりやすくなるよ。逆に閉じるとスピードが出る感じ」
「え? ……ホントだ! ありがとうエイナ!」
「さすがエイナちゃん。空を飛ぶことに関しては大先輩だ」

 慣れてきたら、お試しとばかりに一回転。横も上下も自在に動けるとあらばやってみるしかない。ぐーんと急上昇したり、急降下したり、急に曲がってみたり、止まってみたり。どこまで速度を出せるかだって想像の中でしか出来なかった。夢の曲芸飛行を出来るとあらばテンションは自然と上がってくる。
 亮の悲鳴じみた黄色い声にロキの密やかな笑い声。エイナのやさしいアドバイスと追い風の後押しを受けて、二人の飛行は瞬く間に安定していく。
 けれど楽しい飛行練習は長く続かない。
 このフェアリーランドを支配しているのは未だ竜であり、その羽搏きが三人の邪魔と落ちてくる。

「わ!」
「危ないなぁ」

 笑って、黒い指先が【救済(ロスト)】を招く。
 光条一閃。それは概念すら破壊する神罰の具現。竜の羽搏き如き邪魔はあっさりと砕け散るのみ。
 下降気流が破壊されて中空に静寂が残る。猟兵の御業にびっくりしたままのエイナより、ロキの無茶苦茶加減を分かっている亮の方が沈黙を破った。

「……あはは、ちょっとドキドキしたね! 落ちるかと思った!」
「あれにさんざん落とされたこっちはたまったもんじゃないけどね……」
「そう? でももう大丈夫」

 アトランダムな下降気流も、来たと分かった瞬間に破壊してしまえばいい。
 竜すら手玉に取って、好きなように空を行けば、それは己が思う通りのジェットコースター。
 安全を約束されたスリルは楽しさの同義語だ。
 この誰にも縛られることの無い空を、飛びたいという気持ちを、邪魔させないように。続けていくために。

「彩を添えてね、【花彩の翅(モハラ)】」

 亮の脚先から、零れ落ちるは幽世の蝶。
 とりどりの翅がどんどん空へと昇って行って、小さくも強く飛んでいく。
 蝶の羽搏きは世界を変える。一匹でもそうなら、複数匹になればさらに強く。
 下降気流を押し返す。
 上昇気流を作り出す。
 そうすれば、一番高い空へはずっとずっと行きやすくなるから。

「行こう、エイナ。ロキも!」
「はい!」
「うん」

 先行く少女と若菜色の背中に、ロキは気付かれないよう蜂蜜を細める。
 太陽なき空への一本道を翔けていく。
 君こそが、いっとう眩しい太陽だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャーロット・クリームアイス
こんにちは、エイナさん!
いきなりですけれど、魚が空を飛ぶのを見たことはありますか?(サメに乗っている)

あぁー、ここ(A&W)だと、魔法で飛ぶ例もありますかね?
帝竜戦役のときとか、わりと何でもアリでしたからねぇ
それはともかく! それならそれで!
いずれにしても、魚は空を飛べるんです!
ならば立派な羽根をお持ちの、あなたが飛べないはずもなく!

サメの飛行原理(=メガリス作用)を一時的に少しおすそ分け――航空力学的な制約を無視できるので、妨害への対策に有効かと!

よし、いい感じですね
ではギアをあげていきましょう
シャーク・ハズ・コントロール!

(UC:エイナさんの空への願いを補強、飛行の失敗要因を回避します!)



●sky shark and fairy

「こんにちは、エイナさん!」
「うおぁ!?」

 エイナが驚くのも無理はない。
 シャーロット・クリームアイス(Gleam Eyes・f26268)に羽はない。けれどそれは空を飛べないことを意味しない。
 だから乗ってきたのである。
 空を飛べる生き物……すなわちサメに。
 グリードオーシャンにおいては常識だろうそれも、アックス&ウィザーズにおいては怪奇現象でしかない。飛びずさって逃げようとするエイナを追いかけて、シャーロットは若菜色の背中に声を投げる。

「いきなりですけれど、魚が空を飛ぶのを見たことはありますか?」
「こんな高いところだと今が初めてかな……」
「つまり?」
「うん。もうちょっと低いところだと何回か」
「さすが剣と魔法のアックス&ウィザーズ。何でもアリって感じです」

 思い出すはおおよそ一年前の帝竜戦役。あの時も割と何でもアリアリだった。
 群竜大陸という土地の特異性かと思っていたが……どうやらそういう訳でもないらしい。
 世界は広いから、まだまだ知らぬ商品がたくさんある。

「それはともかく!」
「えっ」
「いずれにしても、魚は空を飛べるということです!」
「えっ、あー……種類によっては、そうだね?」
「ならば立派な羽根をお持ちの、あなたが飛べないはずもなく!」
「あっこれそういう話だったんだ」
「頭から尾ビレまでそうですよ?」

 奇天烈天外の様相に見えて、シャーロットはいつも依頼条件──契約には忠実だ。
 此度のそれは、エイナを助けること。
 だからと差し出した手に電子光が走り鮫魔術を行使。白い掌から飛び出してきたのはエイめいて平たい体を持ったカスザメだ。

「というわけでおめでとうございます! あなたにはサメの飛行原理をプレゼント!」
「えっあっ、ありがとう……?」
「心配ご無用。本日は無料にてご案内しております。もちろん定期契約は大歓迎なワケですが!」

 カスザメが空を食っていく。
 否、それが集めているのはそこに居る彼女の願い。
 ジャパニーズ・エンゼルフィッシュ──つまり天の御使いであるカスザメが喰った願いは空に届いて叶えられるだろう。
 此度は『失敗要因の阻害』という形で。

「……? 風が弱く……?」
「お、いいですね。そのままどんどん行っちゃってください!」

 そこをサメの空中回遊……要はメガリスによる飛行原理が後押しする。
 向かい風なんて当たり前の妨害はあらゆる世界を泳ぎ渡るサメの前では何の役にも立たない。
 最初は半信半疑で瞬いていたエイナも、普段以上に自由な飛翔が出来ると気付いたのだろう。
 柔らかい羽搏きが一回、二回。
 追い風を後押しに飛び出していく飛翔は自由自在の軽やかさ。まさに風の擬人化、サメのよう。
 
「何コレ、すっごく飛びやすい!」
「いえいえ、まだまだこれからです。ギア上げますよ、シャーク・ハズ・コントロール!」

 弾ける笑い声につられるように。
 いつの間にか、空は本来の青を透かすようになっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

美しい世界だ
私はいつも鳥に変じて空を飛んでいたけれど
人の身のまま飛ぶというのはどんな心地なのだろうかと思いを巡らせる

翼ならば生やせるよ
黒い黒い鴉の翼
然してこの姿で飛ぶのは初めて

サヨは飛ぶのが苦手なのだっけ
ならば其の手を握っていよう
大丈夫
ほら
風の妖精も共に在る

翼はこう動かせばいいのかな

舞い上がる風と桜吹雪と共に、穹を飛ぶ
サヨの翼は綺麗だね
天空に枝垂れ桜が咲き誇ったようだよ!
可愛い巫女が笑えば私も嬉しくなる

風が、近くて遠い空が心地いい
空の上で踊ってみよう
ステップを踏む代わりに翼をはためかせ
くるり、廻って
上手
きみの舞は神楽のようだ
私だけに奉じられる天上の神楽

噫、楽しいな
もっと上に行ってみようか


誘名・櫻宵
🌸神櫻


飛ぶ──出来なくはないけれど……
背の枝垂れ桜の翼に触れて、少し俯く
この翼では飛びにくいの
骨のような細枝が風に折られたり
風を捉える羽毛の羽の代わりには柔く風に散る、桜花ばかり
だけど、カムイが一緒だというなら高くたかくに飛び上がれそう
頼もしい妖精さんもいるのね

あなたのいつも見ている世界をみせて
朱の神の背中に生えた黒い翼に瞬く
その姿も神々しくて素敵

カムイの手を握り
風に桜を遊ばせるように飛び立つ

こんなに高く飛んだのははじめて!
風と神の助けが心地よい
それじゃあ風の歌に合わせて踊りましょ
あなたの為の天空の神楽を
当たり前でしょ?
私の神はあなただけなのだから
カムイの為に舞うの

穹を旅するのもよいものね!



●Rendezvous in the sky

 空ならば飛べる。
 朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)はカラスへとその身を変じる機能を持つ。空を飛ぶとあらばそれに特化した姿へと転身するが常。
 だから、ひとの身を保ったまま空を飛ぶのは初めてだ。
 ばさりと音を立てて開く黒の翼に隣の誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)が瞬いた。驚くようだったそれが次第に柔らかく細められていくから、カムイの問いに迷いはない。

「どうかな、サヨ」
「ええ、とっても素敵。その姿も神々しいわ」
「うん。このままどこへでも飛んでいけるよ」

 即答。
 出来ることを隠すことはないからと頷きはひどく正直に。翻って彼の方はどうかと朱砂の瞳は瞬いた。

「サヨ。君は飛べる?」
「出来なくはないけれど……」

 種こそ龍と数えられるが、櫻宵が背に負った翼は枝垂桜のそれ。
 それに、上空に吹いているのはフェアリーが押し戻されるほどの強風だ。骨のような細枝は折れ、花弁は風を捉えることなく柔く風に散ってしまうだろう。
 思わず俯いてしまう。
 こんなところで不便を感じるなんて思ってもみなかった。

「大丈夫」
「……妖精さん?」
「あなたみたいな翼を見るのははじめてだけど。どんな空だって飛べるようにしてあげるから」
「……ふふ、ありがとう。とっても頼もしいわ」

 己の掌に乗る程の若菜色は、自分も傷付いているというのに真っ直ぐな視線で。
 支えてくれるというその声に甘えて俯いてなんていられない。
 赫とやさしい朱を揺らす視線を桜霞は重ねて微笑んだ。

「カムイ」
「サヨ? 大丈夫かい?」
「ええ。だから……手を繋いでいてくれる? あなたのいつも見ている世界をみせて頂戴な」
「! ……ああ」

 掌を重ねて指を折る。容易には離れ得ぬようにと繋いで、結んで。
 だから心を重ねるのに声は必要ない。
 外から見れば前触れなく、けれど当然のように二人の足は同時に地を蹴った。
 同時に背へと吹き付ける風は花弁を散らさない。
 けれど二人の背中を確かに押して、高い空へと誘っていく。

「わぁ……!」

 ───こんなに高く飛んだのは初めてだ。
 頬を撫でる風。ぱたぱたと踊る髪に、薄くも温かい日差しが心地いい。
 自然と顔が前を向く。遠い空の明るい方を指させば、若菜色は応えてそちらへと風を吹かせる。不自由、けれど自由な飛翔に知らず知らずの笑みが浮かぶ。
 そんな巫女の横顔を見れば神の表情も自然と綻んだ。だって可愛い巫女が笑っているのだ、これ以上に嬉しいことがどこにある?

「綺麗だね」
「ええ、本当に」
「……サヨのことだよ?」
「! ちょっと、もうっ」

 白皙の頬を赤く染めた櫻宵は立腹に見えるが、カムイはこの手のことに置いて嘘を言わない。
 飛ぶには向かない枝垂桜の翼も、風が背を押す今は天空に咲き誇ったかのようで。
 ああそうだ、と思いついたように言葉を落とす。

「折角の空の上だ。踊ってみよう」
「ええ、それなら風の歌に合わせて」

 両手を繋いで円を描く。
 ステップ代わりに翼をはためかせれば、くるり、くるりと景色が回る。桜鼠と銀朱の長髪が風に流れてひらひらと廻る、周る。
 はらりと空へと零れる色は黒と桜の二重奏。
 羽根と花弁、姿は違えど彩りは鮮やかに。まるで二人を祝するように空へと咲いた。

「上手」
「だったらあなたが繋いでくれているおかげね」
「きみが共に舞ってくれるからだよ。神楽のようだ」
「当たり前でしょう? 私の神はあなただけよ」

 だからこれは、あなたの為の天空神楽。
 あなたがいなければ舞えないと謳う巫女は、何度だってカムイの目を奪ってばかりだ。
 ひとの身で見る空よりも、己の為だけに奉じられる神楽が嬉しくて美しい。

「噫、楽しいな」

 零れ落ちる呟きは幼子めいた正直さ。
 だからこころが赴くままに翼が風を撃てば、巫女は弾けるように笑み溢す。

「もっと上に行ってみようか」
「ええ。──穹を旅するのもよいものね!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
奮い立つ心に好奇心を乗せて、未知への不安は少しのスパイス
空を行くのも海を征くのも、ボクがナビゲートするよ

「頼んだよ」
頼れる愛機に声を掛けて、テイクオフ

気流に天候、環境情報を解析、上空までのコースを設定し、
この世界を楽しむように進もう
(情報収集、空中浮遊、操縦、推力移動)

風と踊るなら、ボクもこの妖精郷に相応しい曲芸飛行を披露しよう
「彼女を魅了できるように、決めるよ、イルダーナ!」
UC【幻影舞踏】

楽しげに、軽やかに、澄み渡る蒼空を目指して彼女を先導していこう

必要なら、負傷の治療から、魔法のサポートまで任せてね
これでもボクは、どこかの妖精郷の番人だから!



●I am Tinker Bell!

「頼んだよ」

 頼れる愛機『イルダーナ』に声を掛ければ絶好調のエンジン音。
 頷いたリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)は迷わずテイクオフ。
 同時に環境情報を解析開始。
 天候は薄曇り、上向き傾向。このままいけば間もなく満開の晴れ模様。
 気流は微かな西風。とはいえ上空の生体反応が動けばあっという間に向かい風になるのは想定済み。
 これならば、きっとどこまでだって飛べるから。
 ルート検索に添えた条件はひとつ、“この世界を楽しめるように”。
 好奇心は奮い立つ心に乗せるアクセル。隠し味は未知への不安と、そこに漕ぎ出していく意志の二つ。
 定めた道を昇っていけば、向かい風だって己を歓迎するような気さえする。
 生じるのは「心地良い」の一言。
 彼女のフェアリーランドはそういう世界なのだろう。風を纏ってわくわくと弾むエイナの声がリアの聴覚センサーを打った。

「楽しんでる?」
「もちろん! キミもだろ?」
「ええ。こういう機械と並翔するチャンスなんてなかなかないもの」

 イルダーナの後部座席にタッチする手はイルダーナを構成するボルトひとつよりさらに小さい。
 風と踊る若菜色はいきいきと、段々と明るくなる空と連動する笑みを咲かせるから。

「それじゃ、とびっきりを披露しよう!」

 告げて、
 消えた。

「え……あれ!?」
「ボクはここだよ」
「えっ……ええーっ!?」
「と思ったらこっちだったりして」

 飛び出したのはエイナの右斜め後方。
 振り向いた彼女が追い付く前にまた跳んで、今度は頭上から手を振って見せれば疑問と感動の悲鳴が上がる。
 種も仕掛けもある魔法の正体はユーベルコード【幻影舞踏(ミラージュ・マニューバ)】。
 時空間という、アックス&ウィザーズにおいてはオーバーテクノロジーでさえある分野だ。それを操るリアの軌道はエイナからは魔法以上に魔法らしく見えただろう。
 元より風と大空に魅せられていた妖精の瞳は自分にはない飛翔を目の当たりにしてきらきらと光っている。リアも嬉しくなって、一緒に笑って手を伸ばした。

「さ、ボクのナビゲートに任せて。こっちだよ!」
「はぁーい!」

 マニューバを使わなければ飛行速度を合わせるなんてお茶の子さいさい。
 ふよふよと飛ぶ妖精に合わせてイルダーナを制御すれば吹き付ける風は丁度いい。 

「魔法のサポートは必要? 回復は?」
「ううん、どっちも平気。……でも、どうしてそこまで?」
「決まってるだろう?」

 首を傾げるエイナへ向けて、リアが返すのはウィンクひとつ。

           ティル・ナ・ノーグ
「これでもボクは、どこかの妖精郷の番人だからさ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

宵雛花・十雉
【兎十雉】
苺ちゃんと

いつもは冷蔵庫のケーキ盗んで説教食らう側なのになぁ
なんて心の中で思いつつ
「おう」と返事をする

まぁまぁ、そんな顔すんなよ
あの我が物顔の竜にお灸でもすえてやっか
居場所の大切さはオレもよく知ってるつもりなんだ

オレは1人じゃ飛べねぇけどさ
背中や乗り物に乗せて貰って飛ぶことはあるよ
飛んですぐはおっかねぇけど
風に乗っちまえば地べたから見えなかったもんが見えて
なかなか気持ちが良いんだよな

そうそう、竜になった苺ちゃんの背に乗ったこともあるし…
久しぶりに見たなぁ、その姿

あ、やっぱオレも乗んのかい?
んじゃあお邪魔しますよっと
くれぐれも安全運転で頼むぜ
スリリング禁止な


歌獣・苺
【兎十雉】

目に映るのは
打ちひしがれて尚
飛び立とうと羽を動かす妖精

こんなに汚れて、傷付いて
それでも『居場所』のために
立ち向かおうとしている
私もあの館が。『居場所』が
奪われようものならーー

初めまして!私、まい!
貴女の居場所を救いに来たよ…!
今までよく頑張ったね
もう大丈夫

頂上でふんぞり返ってる竜さんに
お仕置きしなきゃ!ね、ときじ!
…いつもされてる側なのにな!
みたいな顔やめてくれる!?

目には目を歯には歯を
竜には、竜を!

『これは、皆を希望に導く謳』

希望の花と共に巨大な
薄桃色のドラゴンへ姿を変えれば
2人を乗せて

さぁ!
すりりんぐな空の冒険の始ま…
えぇ!?すりりんぐだめ!?

うぅっ、と、とにかく
れっつごー!!



●Waltz of Hope, from the Colorful night

 奪われることを覚えている。
 壊れていくことも、また。
 それはとっても痛くて、苦しくて、逃げたくっても出来なくて。
 なのに、そういう時間に限って長く長く続いていく。

「ぁ……」

 歌獣・苺(苺一会・f16654)は、目の前を見る。
 打ちひしがれて、汚れて、傷ついて、苦しんで。
 それでもなおも飛び立とうと、『居場所』のために立ち向かおうとしているフェアリー。

 その姿が。
 いつかの自分と重なって。
 きっと自分もそうすると、共感するから黙っていられない。

「っ……!」
「苺ちゃん!?」

 聞く耳持たず駆けだして、毛皮に覆われた手を伸ばす。
 傷ついた小さな体をすくい上げれば、果たして妖精はきょとんと苺を見返した。

「今までよく頑張ったね。もう大丈夫!」
「え、っと……?」
「私、まい! 初めまして! あなたの居場所を救いに来たよ!」

 もう大丈夫と伝えるように、痛いくらいの力で抱きしめて。
 そっと手を開けばおずおずと頷く若菜色の姿。
 ちいさな体はまだ震えていた。
 それはそうだ。いくら勇気づけたって、傷つけた張本人はまだ空の上にいるのだから。
 こうしちゃあいられないと、反対の手で握り拳をひとつ。

「頂上でふんぞり返ってる竜さんにお仕置きしなきゃ!ね、ときじ!」
「おう」

 普段は冷蔵庫のケーキやら戸棚のクッキーやらを盗んで説教食らう側の彼女が、よくぞまぁ。
 ……なんてこっそり考えるのは苺の背中に追い着いた宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)。
 演技は得意だから態度に出したつもりはなかったのに、振り向いた苺は途端に頬を膨らませた。理由は落とした溜息か、はたまた無意識にすくめた肩か。

「その顔やめてくれる!?」
「どんな顔だよ」
「『いつものお前はそっち側だよな』って顔!」
「してないっての」
「してたもん! ときじのばか!」
「普段の自分の言動顧みてっから言ってくれるか?」

 ぽんぽんと打てば響くレスポンスはいつも通りのヒートアップ。
 あまりにいつも通りすぎるから危険が迫っているだなんて事実をほんの少し忘れさせる。
 けれどそれで置いて行けるのは本当に少しの時間だけ。不安は放っておけば首をもたげると、十雉が気付いたのは生来の臆病故だろうか。

「そんな顔すんなよ。『居場所』の大切さは、オレもよく知ってる」

 安心させるように笑いかけてもエイナは上目遣いに見るばかり。
 促すために「苺ちゃん」と呼んでやれば、元よりやる気十分の苺はぱっと握り拳を開いた。

「任せて。目には目を、歯には歯を───だから、竜には竜を!」

 希望の謳を宣誓すれば、どこからともなく苺色のガーベラが狂い舞う。
 あっという間に黒兎の体を包み込んで膨れ上がる花に目を丸くするエイナの隣、十雉はいっそのんびりと笑った。

「久しぶりに見たなぁ、その姿」

 希望の花を従えて、翼を広げたのは薄桃色のドラゴン。
 己の身体を望んだとおりに変身させる【希望の輪舞曲】が苺をその形へと変容せしめたのだ。
 羽ばたきひとつ、思わず身を引く彼女へと十雉は振り返って首を傾げる。

「やっぱ自分で飛べるとなるとこういうのに乗って飛ぶってねぇの?」
「う、うん……」
「心配しなさんさ。オレも乗ったことある。……そりゃあ、たしかに飛んですぐはおっかねぇけど」

 落とされるかもしれないとか。
 吹き飛ばされるかもしれないとか。
 根暗で気弱で臆病な自分は、俯いたところにあるものばかりを探してしまうけど。

「ひとたび風に乗っちまえば、地べたから見えなかったもんが見えて……なかなか気持ちが良いんだよな」

 顔をあげれば光がある。
 手を伸ばして掴める彩の眩しさも、今ならよくよく知っている。
 ……その楽しさなら、と先より強くエイナは頷いた。

「うん。……分かるよ。それなら大丈夫!」
「もし心配だったらオレの服にでも捕まってな」
「おーい、二人とも早くー!」
「おう、そいじゃあお邪魔しますよっと」

 そういう形を願ったから、苺の背中は人間とフェアリーにとっても乗りやすく落ちにくい。
 二人がしっかり跨ったのを確かめて、改めて晴れ渡る空を仰ぎ見る。

「さぁ! すりりんぐな空の冒険のはじま……」
「あ、スリリング禁止な。安全運転してくれ、苺ちゃん」
「えぇっ!? すりりんぐだめ!?」
「ダメ」
「うぅぅ……」
「……私は大丈夫だけど?」
「そんなこと言っちゃあ苺ちゃんは調子に乗っちまうから。ここは堪えてくれな?」
「あはは……そういうことなら了解」
「ナイショ話禁止ー! とにかく、れっつごー!!」

 力強い羽ばたきが空を打つ。
 絶望を以て聳える竜へ、希望の刃を突き付けるべく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ミラベル』

POW   :    庭師の審美眼
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【無数の赤い花びら】が出現してそれを180秒封じる。
SPD   :    フルブルーム・リーパー
【踊るように鎌】による素早い一撃を放つ。また、【美しく踊る】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    フラワーズ・チアリング
戦闘力のない【ファン(ドラゴン)】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【ファンの強化魔法とサポート】によって武器や防具がパワーアップする。

イラスト:音七香

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルト・カントリックです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Who falls from the sky?

 そうして飛び出した空は気付けば晴れ渡って。
 猟兵達とフェアリーを出迎えたのは遠雷にも似た咆哮───否、笑い声だった。

「まさか、まさかまさか! 墜とされるためにここまで飛んでくるとは。思いもよらなかった」

 それは巨大樹の頂上に咲いた花とも見える桃色竜・ミラベル。
 形容するなら似合う言葉は確かに優美。
 だがその身に染み付いた血臭ばかりは隠せない。
 周りに散る花弁から赤い雫を滴らせて、爬虫類めいた瞳孔がぎろりと若菜色を睨めつける。

「それで? 養分になる準備は出来たのか。羽虫」
「いいえ。絶・対! お断りよ」

 竜に比べれば遥かに小さな身で、エイナは力強く言い切った。
 けれどその背を見守る猟兵達は気付くだろう。
 きつくきつく握られた手。飛ぶだけにしては不必要に震える羽。
 同じ思いを抱く仲間がいるという勇気を握って彼女はちいさな手を振った。

「私の空を返してもらうわ」

 元より彼女は風を操るウィザード。
 味方がいてこそ真価を発揮するフェアリーの位置取りに気付いて、桃色竜は喉奥で嗤う。

「なるほどなるほど。妙に強きと思うたが……ソレが貴様の希望か」

 エイナが一人でミラベルに挑めば墜とされることに変わりはない。
 双方ともに承知の事実で以て、血色の眼差しが猟兵達に注がれる。
 竜の体躯から舞い落ちる花弁は刃。
 翼から伸びた草刈り鎌は、居並ぶ首を刈ろうと桃色を照り返す。

「わざわざ肥料を連れてくるとはな。羽虫にしてはいい心がけだ」
「ううん。だって、墜ちるのはそっちの方だもん!」

 青空を渡るに相応しい、軽やかな風が猟兵達の背を押す。
 飛び出す背中に掛けられる願いは最初のそれと変わりなく。

「お願い、もう一回……一緒に飛んで!」




●第二章プレイング受付期間
【3月18日(木)08:31 ~ 3月20日(土)13:59】


.
津上・未有
ほう…魔王たる我を肥料呼ばわりとは、中々強気じゃないか
ならば引導を渡してやろう…この我がっ!

もらった羽に加え【空中浮遊】能力を持つセブンリーグブーツをはいた我に空中戦で敵うと思ったか!
蝶のように舞い…蜂のように刺してやろう!

相手の攻撃を受けないように距離をとって…と
エイナ!力を貸せ!お前の風を操る力で、我とお前自身をミラベルの上に運ぶのだ!
これで準備はOK!くらえ!我がUC…【魔王の投剣】!
雨のように降り注ぐ我が闇の刀剣の嵐の前に、塵芥の如く散るがいい!
ファン(ドラゴン)の支援などさせるものか!そいつらごと我が刀剣で貫いてやろう!フハハハハ!


荒谷・ひかる
(引き続き【転身・精霊銃士】発動したまま)
なるほど、あれが例の……
大丈夫です、エイナさん。
あんなの、ちょっと質の悪い寄生虫みたいなものです。
恐れる事なんて、何もありませんよ。

……ああ、聞こえてました?
だってそうでしょう、あの強大だった帝竜達と比べてやってることがみみっちいんですよあなた。
そんなので竜種を気取るなんて、恥知らずも良い所ですね?
まあ、寄生虫に言っても仕方のない話ですか。

こんな感じに敵を徹底的に扱き下ろし怒らせる
狙いはタゲ引き付けと怒りによる判断力低下、攻撃の単調化
回避優先で立ち回りつつ、召喚されたドラゴンは片っ端から強化冷凍弾で射殺
敵強化を封じつつ、じわじわと射撃で体力を奪っていく



●花浅葱に夜を零す

「ほう」

 威厳……と称するにはやや可愛らしい、少女の声が空の下。
 津上・未有(自称真の魔王・f10638)は跳ねるように空を舞う。時折軽く身を翻せば、腰部のリボンがひらひら揺れてエイナの目を奪った。

「すごい、蝶々みたい……」
「魔王たる我を肥料呼ばわりとは。なかなか強気……しかし、その巨体ではこの機動に敵うまい!」
「そう、だから大丈夫です。恐れることなんて何もありません」

 同意だと声を上げる荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)未有と同い年とは思えぬほど大人びた顔で微笑んだ。
 【転身・精霊銃士】発動維持による大人の姿だからというのもあるだろう。
 だが、それ以上に、もう友達たるフェアリーを元気づけるのに躊躇も何もあるはずない。
 既に引き抜いた精霊銃は準備万端。風の精霊たちも状況を理解してか、ただ浮遊を助ける風を吹かせるばかり。

「……どういうこと?」
「だってあんなの、ちょっと質の悪い寄生虫みたいなものじゃないですか」

 ばっさりと。
 反論を許さぬ断言に桃色竜の体躯が震えた。

「……何だと、貴様」
「あ、聞こえてましたか?」

 風精霊たちの『悪戯』を織り込んでいたひかるの方はこてりと首を傾げて応じる。
 この声すら、風の精霊たちはミラベルへと届けるだろう。
 ひかるはただ、ひかるの思う事実を突き付けてやればいい。

「だって、帝竜達と比べてやってることがみみっちいんですもん」

 ───今は懐かしくすらある帝竜戦役。
 多くの戦場を駆けた。多くの竜と戦った。
 彼らは、強かった。
 “竜”──その名を冠すに足る者達だった。
 それに比べてこの桃色竜と来たら! やっていることはただの弱い者イジメでしかない。

「対面しただけで震えるほど強大な彼らに比べたら随分ちっぽけで。そんなので竜種を気取るなんて恥知らず……」

 と、不意に言葉を切ってみせる。
 唐突な断絶にミラベルの舞わせる花弁が赤味を増す。不吉な予兆に、けれどひかるは臆さない。
 目的通りだ。

「ごめんなさい。寄生虫に人間の言葉は難しかったですね?」
「我に頭を垂れぬ羽虫めが咆えるではないか!」

 振りかぶられた爪はあえなく空を切った。
 彼女を飛ばすのは己の意志ではなく風の精霊の力。たとえひかるに見切れなくとも問題はない。
 吹き付ける風に背を預け、ただ冷静に引鉄を絞る。

「あなたみたいな竜に下げる頭はありませんから!」

 空に軌道を描くのは氷の精霊の力。
 舞い散る花弁が新たなドラゴンへと転身する前に凍結させ封殺する。定めた狙いにこだわり切らず空を蹴るのは「捕まえられない」ことを優先するためだ。
 そうすれば、ミラベルはひかるだけを愚直に狙ってくる。
 ……本来どうにかすべきエイナを放置して。

「おい、エイナとやら!」

 そしてそれは、彼女をも戦力に換算できることを意味する。
 可愛らしくも尊大な呼びかけに若菜色が振り向けば、ブーツに包まれた脚先が空を蹴るのが見て取れる。

「な、なに?」
「力を貸せ。お前とて、黙って見ているばかりでは面白くなかろう?」
「それは……だけど、何をしたらいいの?」
「何、容易いことよ」

 頷きひとつ。
 怯えている暇はない。空を楽しむ余裕も、また。
 今はこの羽と空を教えてくれたフェアリーのために、未有は魔王らしくふてぶてしく笑ってみせる。

「運んでくれ。ミラベルの頭上までな」
「……へ?」
「いくら羽もブーツもあるとは言え、お前の風を頼った方が速かろう?」
「それは……うん。そうだけど」
「それに、」

 一転。
 次に浮かべたのは魔王としてのそれではなく、年頃の少女が悪戯を思いついた……そんな悪戯っぽい笑みだ。

「エイナも見たかろう? 取るに足らぬと警戒しておらぬ我らに刺されて慌てふためく竜を!」
「……あははっ、それは確かに!」

 若菜色を纏った指先が揮われるのと同時に風が吹いた。
 戦場に舞う何より強いそれが未有を高い、高い空へと誘う。
 遥かな青へと吸い込まれていく感慨に我を忘れたのはほんの一瞬。長いリボンを揺らせば、空に立つのは己が己に任じた魔王の姿。
 いざ、悪の強さで以て外道を討たん。

「蜂のように刺してやろう」

 ブン、と空間のブレる音と共に無数の魔法陣が開く。
 それらすべては砲門であり、主たる未有の意志によって統御される。
 砲弾は刃。
 空に交わり、夜を訪れさせる闇の剣。

「これより世界を裂くは我が無限の剣」

 間違いなく大技であるこのユーベルコードの難点はただひとつ、詠唱の長さ。

「跪け。頭を垂れよ。ただその身を刻まれよ」

 だがその穴を埋める誰かがいてくれるのであれば、これは強大無比の大砲として機能する。
 その「誰か」がいてくれるなら、独りでない魔王は迷わない。

「この技によって散り逝くことを誇りに思え───塵芥!」

 前衛を張っていたひかるが風の精霊に押されて離れていく。
 ミラベルが膨れ上がる魔力に気付いたとてもう遅い。 
 若菜色の追い風を受けた【魔王の投剣】が、全力を以て振り下ろされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
トカゲはトカゲらしく地べたのじめじめした石の影にでも潜り込んでいればいいものを
身の程を知らぬ増上慢、あの惨めな猟書家と同じですね
ではあの仔ウサギと同じ目に遭わせてあげましょう

「早業」で鎖を舞わせ「衝撃波」を発生
この反動を利用し「空中戦」を行います
鎖と衝撃波は同時に敵の目を欺く陽動
敵の注意をそちらへ「誘惑」した隙に
「範囲攻撃」による「呪詛」を周囲に展開しましょう
その身が重く鈍り、動きにくくなる鈍化の呪いをね
ふふ、踊りなど到底できないでしょう
舞えないあなたなどトカゲですらないただの木偶

飛べないまま永遠に地の底へ落ち続けていく恐怖を味わいなさい
それは私の与えた悪夢──
あなたの魂を食らい尽くす悪夢です


麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎

貴様か!空を奪う桃色脳髄蜥蜴とやらは!!
(怒髪天の憤怒)

空中浮遊ダッシュジャンプスライディングで即座に接敵
空中戦を仕掛ける

剣を回し念動衝撃波串刺しチャージUCで一気に突撃

敵の攻撃は基本三種の盾で受け
念動衝撃波オーラ防御ジャストガード等で防ぐ
カウンター念動衝撃波シールドバッシュで範囲ごと薙ぎ払い吹き飛ばす

それがどうした!?
UCを看破されてもそれをフェイントに活用
極光と瑞雲の二回攻撃念動衝撃波シールドバッシュで気絶を狙う

姉君は言っていた
深く激しい怒りだからこそ的確に確実に
冷徹に打ち当て届けてあげなさい

とどめは限界突破の一突き
骸蜥蜴如きに大空は過分!
嵐に裂かれて海に落ちよ!!



●紫紺の果てに天津風

「貴様か、空を奪う桃色脳髄蜥蜴とやらは!!」

 純白と深緑、二対の翼は迷いなく空を打った。
 麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)は怒髪天を衝いている。
 だって、それだけひどくエイナが傷ついたのを見たのだ。常人だったら諦めて膝を屈するほどの苦痛に晒されて、それでも空を諦めなかった少女を。
 けれどそれは、普通だったら屈しているほどの苦痛を与えた誰かがいたことの裏返し。リィフにとって到底許せる暴挙ではない。
 翼を畳み突貫する。先陣を担うは当然回転剣ストヲムルゥラァ。上空ゆえに動く風を掴み、削り、唸りを上げる穂先がミラベルを狙い穿つ。

「はぁッ!」
「……ふん、温いぞ羽虫」

 迎え撃つは桃色の鎌。
 首刈りすら可能とするだけあって相当の硬度があるのだろう。単純な刺突は防がれてリィフの体勢が僅か崩れる。
 その隙を狙い追撃と降った刃の花弁。血の雨を齎すそれはストヲムルゥラァの巻き起こす嵐に呑まれて千々になった。

「温くなんてない……! 貴様のやったことを考えれば、それさえ生温い!」
「だが実際に届いてはいない。さっさと落ちて養分になるがよいものを」
「それは……こっちの台詞だッ!」

 弾く。
 剣先で嵐を巻き起こし、反動用いて距離を置く。
 壁を作りだしているのが風である以上花弁は通るまい。そしてミラベル本人も嵐壁を突き破ってくるほど必死にはならないだろう。
 頭の奥が煮えている。
 憤怒が脳髄を焦がしている。
 さあどうする? リィフはどうしたらいい?

「トカゲはトカゲらしく、地べたのじめじめした石の影にでも潜り込んでいればいいものを」

 桃色竜以上に傲然と。
 悪夢のように冷ややかに割り込む声が一つ。
 黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)はただ、己の背にある漆黒の一対をはためかせた。

「けれどまあ、身の程を知らずに増長しているなら教えてあげましょう」

 ひらり、じゃらり。淑女の仕草でダンスを乞えば鈎付鎖が溢れ出す。
 空へ舞い、けれど落ちないのはそれ自体が衝撃波を撒き散らしているせいだ。
 嵐を越えて空を薙ぐ、牽制程度の衝撃波。
 とはいえ当たれば鱗が痛む程度の威力はあるからミラベルは煩わしげな咆哮を上げた。いっそリィフの方が驚く声にも魅夜は笑みを湛えたまま。

「己の主──あの仔ウサギが、どのような結末を辿ったのか」

 しゃらしゃらと鳴る鎖。断続的な衝撃波。どちらも集中を削ぎ落すが、実はユーベルコードではない。
 それをこそ封じるための花弁は風へと無為に浚われ散っていく。
 じわじわと、じわじわと。
 悪夢こそ蝕むものであるならば。
 すぐに追いついてはならない。
 すぐに倒してはならない。
 いっそ緩慢なほど、不規則に鎖の音が響いて。
 途切れる。

「 つ か ま え た 」

 ───そうして、引き摺り墜とす。
 鎖も衝撃波も時間稼ぎに過ぎない。魅夜の本領にして本命は魂の支配だ。
 【漆黒の夜に舞い踊れ悪夢の麗牙(デスドリーム・オブ・ユアセルフ)】。
 文字通り魂の根っこを捕まえて、生み出した悪夢が瞬く間にミラベルを覆っていく。 

「ぐ、が、ギィ……貴様、何をッ」
「飛べないまま永遠に地の底へ落ち続けていく恐怖を味わいなさい」

 手加減なしの出力で与えられる悪夢は墜落の幻想。
 飛ぶことも叩きつけられることもない永遠の落下。
 現実と見紛う悪夢にどう抗えと言うのだろう。

「けれどいいのかしら」

 桃色竜の巨体が傾ぐ。
 悪夢が現実と化す光景を目の前に魅夜の白い指先は己の唇をなぞる。目覚めさせること無い悪夢で以て支配したまま、零す言葉は嘲りを帯びて。

「悪夢ならざる“現実”だって迫ってきているというのに」
「はあああああああああああ───ッ!!」

 乾坤一擲!!!
 今なら当てられる。判断したからリィフは迷わない。
 未だに脳髄の奥深くは煮え滾っている。許せないと魂が叫んでいる。
 だからこそ、的確に確実に。
 氷の冷徹で以て打ち当て届けてあげなさい───姉の教えを心奥に、回転剣を鏃に見立て、己の身体を引き絞る。

「貴様には過分な空だ。嵐に裂かれて海に落ちよ!!」

 【真撃・ストヲムルゥラァ】!!
 晴天齎す天津風が嵐の壁を貫いて桃色竜へ襲い掛かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
不遜な物言いだね
彼女の空を返してもらおうか

UC【銀閃・概念分解】
「ヌァザ、対象概念設定。"飛行"」

ミラベルは、術式・技術知見の弱点指摘を出来ないだろう
なら、指摘の内容自体は容易に予測できる
"当たらなければ、どうということもない"、そんな所かな
指摘できても実戦は困難だってコトを教えてあげる

となればボクの戦法はカウンター
エイナさんに風での援護をお願いしておいて、
空中を『イルダーナ』で飛びまわりながら機を窺う
(操縦、空中戦、時間稼ぎ、カウンター)

相手の攻撃に合わせて、一閃
(切り込み、鎧無視攻撃)

「運命石の名において、告げる。汝、空征く事能わず。
――骸の海まで墜ちて反省しなよ」



●拝啓、スペクトラムブルーより

 風が吹く。
 上空である以上当然の現象だが、そこに混ざる花弁が青いばかりの空を彩っていく。
 美しいといって差し支えない景色は、けれどそれが異物である以上禍々しいものとしか映らない。

「ヌァザ、対象概念設定・“飛行”」

 リア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)は冷えた声で魔剣型デバイスを呼ぶ。
 使い手の声に応えて点された銀光は、肉体ではなく概念を断つ一撃だ。
 多元干渉の光はあるだけで空間を震えさせる。
 荒び始めた風を物ともせず、ミラベルはぎらつく眼差しをリアへと注ぐ。

「ふむ。剣を光らせたか……斬撃強化か、あるいは詠唱からして概念切断か? どのような副次効果であれ、当たらねばいいのだろう」
「うん、それはその通りだね」

 ヌァザに……ひいてはリアに使われている技術はこの世界のレベルを遥かに逸脱している。またミラベル本人も術式型の敵ではないと踏んでいたからこの指摘は想定内。
 破顔一笑。同時に跨ったイルダーナのエンジンを全開にした。

「それがどれだけ困難か教えてあげるよ───エイナさん!」
「オッケー!」

 ───空の飛行は宇宙空間でのソレと異なる。
 なんぜ空気がある。風がある。重力もあれば、飛行の感覚はまったく違って当然だ。
 だが、今こちらには若菜色の追い風がついている。
 リアの背中だけを押し、ミラベルを邪魔する……そんな風が。

「うん、いい風だ。ありがとうエイナさん!」
「どういたしまして。任せるよリアさん!」
「麗しいなァ。どこまで続くのか見物ですらある」

 ミラベルの言葉を聴く理由はないからリアは飛行に集中した。
 ハンドルを回し、エンジンをふかし、花びらの雨を突っ切って。
 飛び回る。
 飛び回る。
 捕まえさせない。
 持久戦は得意だ。ミラベルが痺れを切らすのを空を飛び回りながら待つ。
 相手は不遜なる傲岸竜。必ず堪えきれなくなる瞬間が来る。

「逃げ回るな羽虫がァ!」
「───そ、」

 なぜなら最初からリアの狙いはカウンター。
 相手が攻撃に振りかぶる、その隙こそが最も攻撃を当てやすい瞬間だ。

「こ、」

 鎌と銀剣が交錯する。
 だが敵の体に辿り着くのは銀の方が速い。
 ミラベルが血色の瞳を見開く。
 もう遅い。

「だぁっ!!」

 振り抜いた銀閃を片手に、振り向いて残心。
 空に残った斬撃の名残を見下ろしてリアはいっそ厳かに告げる。

「運命石の名において、告げる」

 若菜色は空に留まったまま。
 桃色ばかりが落ちていく。

「汝、空征く事能わず。――骸の海まで墜ちて反省しなよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

サフィリア・ラズワルド
POWを選択

エイナさんに一言、貴女の世界で食事をしてもいいかを聞いてから飛竜のまま敵へと突撃します、私のUCの弱点は人の時より本能的になることかな?今みたいにね。
UCが封じられても突撃を止めません、そのままの勢いで相手の背後に回ります。

ペンダントを竜殺しの槍に変えて『これ重いので人の姿だと上手く動かせないんですよね!』重さを利用して敵へ突き刺します。

時間が経ったら再び飛竜になり槍を戻します、『あなたも竜ならわかってますよね?どの竜でも使える最大の武器は牙だって』最後に敵に噛みつきます、食事していいならいただきます。

アドリブ協力歓迎です。



●瑠璃のフォークで召し上がれ

「ね、エイナさん」
「どうしたの?」

 白銀竜──完全なドラゴン形態を維持したまま飛ぶサフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)の問いかけに若菜色は瞬く。
 この土壇場で今更どんな疑問があるのだろう?
 意を籠めて首を傾げればサフィリアはどこか愛嬌のある仕草で眉を下げた。

「貴女の世界で申し訳ないなけど、食事をしたいの」
「……え!? 私を!? こんなちっちゃいし、そもそも美味しくないけど!?」
「ううん、あなたじゃなくて──」

 翼を一打ち。
 紫の瞳は若菜色ではなく、桃色を見て咆えた。

「───あの、竜!」

 飛び出す。
 人のそれではない姿を取るサフィリアは精神面も竜に引きずられる。元より竜という生物は最強の代名詞であればこそ、同種が同じ空間にいることそれ自体が本能を刺激する。
 人造ドラゴンたるサフィリアとてそれは同じ。
 闘争本能が命ずるまま鋭く伸びた爪を振りかざす。

「モドキめが。成ったところで遅いことに変わりなし──」

 応えるように舞い上がるのは赤い花弁。
 一直線の進路を塞ぎ、目をくらませ、白銀を赤へと塗り替えていく度に力が抜けていく。
 ユーベルコード封じだと、気付いたところで遅い。

「当たらねば意味はない。疾く、堕ちよ」

 ドラゴンが人へと変じていく。
 人の身に生えた翼を用いれば飛べるが、竜のそれより威力は落ちる。
 それがどうした。

「だったら、当たるまでやればいい。簡単な話です」

 竜の爪では難しいが、人の指なら金具を外せる。
 落とし、宙で握ったのは大粒のラピスラズリ。
 吸い込まれそうな青色は瞬く間に細く伸び、竜を模した先端を作り出す。
 これは竜殺しの槍。
 ドラゴンを狩るためにこそ振りかざされる刃。 

「ただ、これ重いので人の姿だと上手く動かせないんですよね!」

 だから体で抱え込む。
 重いということはそれ自体が武器である。
 最初の突撃の勢いはまだ消えていない。技ではない、勢いと質量が重なれば脅威と襲い掛かる。

「小癪な!」

 だが、その上で、ミラベルだって愚かではない。
 それが己を殺しうる武器だと本能が理解する。だから全力で身を翻す。竜の翼で空を舞うヒトから距離を取る。

「あなたも竜ならわかってますよね?」

 ──取った、はず、だったのに。
 いつの間にか間合いを埋められている。白銀の竜が桃色の瞳を覗き込んでいる。
 約されていた百八十秒が過ぎて、ユーベルコードの封じが解けたのだと。
 気付いたところで、ここは既にサフィリアの間合いの内側だ。

「ドラゴンの一番の武器は、牙だって」

 大きく口が開かれる。
 牙から滴る唾液がミラベルの首へぽたりと落ちた。

「いただきまぁす」

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャーロット・クリームアイス
切って刻んで墜として喰らう――
いかにもドラゴン様式の食事作法(偏見でしょうか?)
おまけにギャラリー付きですか
お姿に同様、派手派手しいのがお好きなようで!

(UC:あらゆるサメ映画のなかから飛行ザメ系をしめて920本、サメ実体化)

いやー、いけませんね
これだからドラゴンさんは……
自分が絶対の捕食者だと思っていらっしゃる!

御社のスタイルに合わせましょう――切って刻んで墜として喰らう
ギャラリーの代わりは“頭”数で

……さて、ひとつエイナさんにご協力いただきましょうか
サメが彼女に力を貸せるなら、逆もできて当然
ついでに言えば、サメと風魔法は好相性!

いきますよ、合体技です!
ぶち抜けー!



●サマーシャワーは死の香り

「ふむ」

 サメ(ここでは空を飛ぶ種類を指す)の背中に腰掛けて、潮の匂いの混ざらぬ風に長い髪を遊ばせて。
 シャーロット・クリームアイス(Gleam Eyes・f26268)は一言ぽつりと呟いた。

「偏見だったら申し訳ないと思っていたのですが、どうやらそうではない様子」

 切って刻んで墜として喰らう。
 いかにもヒトが想像した通りにドラゴン様の食事作法。
 広い広い空の全てが己の食卓だと言うように悠々空を泳ぐ桃色を見上げる。
 そこから舞い散る花弁も、整然と居並んだ下僕竜達も、彼女が求める派手派手しい舞台の飾りつけなのだろう。
 無意識に零れた溜息は呆れだったか、それとも。

「ですが、いけませんね。これだからドラゴンさんは……」
「ほう? 囀ってみるがいい、羽虫」
「ええ。だって自分が絶対の捕食者だと思っていらっしゃる!」

 ちっちっち、と指先を揺らす。
 どこからともなく零れ落ちた水滴が散らされて中空に首を伸ばすサメ、サメ、サメ───そのどれもが空を飛ぶ種のそれだから泳ぎかかるに支障はない。

「よって、御社のスタイルに合わせましょう──クロスオーバーの時間ですよ!」

 いざ、【RTSS(リアルタイム・シャーク・ストラテジー)】!
 占めて九百二十体のサメ達がシャーロットの周囲から飛び出した。

「空が三にサメが七だと……!? ええい、活け造りにしてくれる!」

 そう、ミラベルの周囲に侍る下僕竜達はサメほどの戦闘力を持っていない。
 よって空を埋め尽くすサメには自身のみで対応しなければならない。
 正面かたの突撃、側面からの回り込み、巨体を囮に味方を隠すものからそれに隠れて下僕の方から食らうものまで。
 幾頭かは首刈り鎌の前で立派なお頭だけを残したが、それでも途絶えぬサメの乱舞がミラベルの桃色に真っ赤な歯型を残していく。

「さて、エイナさん」
「わ、ひゃい!」
「ご協力頂いてもよろしいですか?」
「いいけど……何をしたらいい?」

 そして当然、たかが包囲攻撃で終わっては鮫魔術師の称号が廃るというもの。
 傍らに浮いてサメ乱舞を眺めていた若菜色へ深謀遠慮の囁きひとつ。

「サメ映画には竜巻が付き物と決まっておりますので」
「……なるほどね?」

 そうと決まれば遠慮は不要。
 エイナが丁寧に練り上げた風に待機状態だったサメ達が乗っていく。
 波を切り裂き迫るサメ達が風に乗れない道理はない。そうして駐サメ場と化した竜巻の先端を、息も絶え絶えと宙に浮くミラベルへと向けた。

「せーのっ」
「ぶち抜けーーーーーー!!!!」

 必殺───【マスター・シャーク・トルネード・スパーク】!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

宵雛花・十雉
【兎十雉】
苺ちゃんと

苺ちゃんの様子がおかしいと分かれば
からから笑って声をかける

おいおい、そんなに弱気でどうしたよ
いつもの元気はどこにいった?
これくらいのピンチはこれまでいくらだって越えてきたじゃねぇか

オレのことは気にすんな
思い切りやってくれ
なぁに、オレだってこれくらいじゃ死なねぇよ
約束か、言ったな?
なら信じるからな

鼓舞するように
言霊を送る

正直空に投げ出されるのは嫌だしおっかねぇけど
ここは友達を信じるしかねぇだろ

元通り迎えに来た竜の背中に収まれば
震える身体を隠して
にっと笑って見せる
やれば出来るじゃねぇか
偉い偉い
頑張ったな


歌獣・苺
【兎十雉】
飛び交う花弁は刃
翼は鎌
竜の私は耐えられても
ときじに当たれば
大怪我をする
絶対に守らなきゃ
勿論妖精さんも

そう思ってはいたけれど
2人を庇うので手一杯
傷付くばかりの身体は
疲労していく
このままでは妖精さんの居場所も
ときじも…『護れない』

…どうしよう、ときじ…っ
不安を感じ
背に乗る貴方に
弱々しく縋ってしまった

…落とせ?な、何言って!
すりりんぐは禁止って自分で…!
…わかった。
貴方を地に落とす前に
迎えに行くよ
必ず

……約束、ね。

貴方を優しく空に渡せば
身軽になった身体で素早く飛ぶ
上を取れば勢いをつけて
尾を敵の脳天に叩き付けた

落ちていく敵を確認すれば急いで
ときじを自分の背に落として

ーー信じてくれてありがとう



●薄花空にきみの希望

「っ、くぅ……ッ!」

 痛い。
 希望の花を従える薄桃色のドラゴンと姿を変じた歌獣・苺(苺一会・f16654)は喉奥で悲鳴を噛み潰す。
 苺色のガーベラにべったりと赤いものがついているのは怪我のせいだ。
 舞い散る全ての花弁と敵の竜・ミラベルの攻撃全てを避けられるほど苺の飛行速度は早くない。
 ……いや、本気を出せば可能だろう。
 それは背に乗せた二人を振り落とすことを意味するから苺は耐える方を選ぶ。

「逃げなくていいのか?」
「っ、るさい……!」

 体の痛みは慣れている。
 大きな竜の体は、刃みたいな花弁も、すれ違い様に切っていく鎌の翼もへっちゃらだ。
 苺が怖いのはそうじゃない。

「ときじ、妖精さん、だいじょぶ!?」
「おう。オレも妖精も無事だよ。苺ちゃんのおかげでな」
「そう……」

 返る声が元気なことに安堵する。
 それが次の瞬間には失われるかもしれないことに恐怖する。
 だって、竜になった自分ですらこれだけ傷付くのだ。今の自分の何分の一でしかない十雉やもっと小さいエイナに当たったらどうなる?


 ワタシハ マタ マモレナイ?

「……」

 それが普段の苺とまったく違う態度だから宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)は己を作る。
 こんな危機など何でもないと、胸を張って笑い飛ばせる『十雉』はからからと喉奥から笑う声を上げた。

「───おいおい、そんなに弱気でどうしたよ」
「だ、ってときじ……!」

 はたして、返る声は決壊寸前の涙声。
 内心苦笑して言葉に力を混ぜた。【兵ノ言霊】は元気づけて送り出す、その為に。

「いつもの元気はどこにいったよ? これくらいのピンチはこれまでいくらだって越えてきたじゃねぇか」
「で、でもっ、このままじゃ落ちちゃうよ……わたし、ど、したら……」
「落とせよ」
「……え?」

 その言葉が、一瞬理解できなかった。
 当たり前だ。だってここは地上が見えないくらい高い高い空の上。落ちたらどうなってしまうかなんて想像するだけで背筋が冷える。
 信じられなくて、でも彼の言葉を疑えなくて。声が震えるのを止められない。

「……ときじ。今、なんて?」
「落とせって言ったんだよ。要はオレのことは気にせず思い切りやってくれってこった」
「な、何言って! すりりんぐ禁止っていったのときじだよ!?」
「なぁに、これくらいじゃ死なねぇよ」

 己の発言を肯定しながら、苺を宥めるように十雉の指先が竜の頭を叩く。巨大化していたって分かる温度に別の理由で涙が滲みそうになる。
 視界を塞いではいけないと慌てて振った頭と目尻に、優しい指先みたいな風が触れた。

「……ときじ、妖精さん」
「私もついてるから。風の使い手の名に懸けて、絶対怪我はさせないわ」
「おおっと。妖精さんがついてきてくれるなら百人力だな」
「……わかった」

 そこまで言われては苺だって頷きを送るしかない。しぶしぶみたいに躊躇って、ガーベラを緞帳めいて降らせながら言葉を落とした。

「貴方たちを地に落とす前に迎えに行くから」

 それは、守れないことを怖がって泣いている声ではなく。
 恐れも怯えも呑み込んで、それでも希望を目指して前を向く彼女らしい声。

「……約束、ね?」
「言ったな」

 だから十雉だって自然な笑みをひらめかせて、薄桃色の背中に手をついて。
 「せーの」の合図は必要ない。苺がターンを決めるタイミングで背中から滑り落ちる。

「言ったからには信じてる」
「うん、だから──いってらっしゃい」

 ふわ、と。
 支えが無くなる。空に堕ちる。ごうと耳元で風が逆巻いて二頭の竜がみるみる遠くなっていく。
 腕を伸ばしたところで掴めるもののない空間は根源的な不安を抱かせる。
 だって十雉は、人間は、空を飛ぶように出来ていない。

「ぅ、わ」

 悲鳴を噛み潰す。
 当たり前のように落ちていくのは怖い。
 風に受け止められたって、おそれが消えることはない。
 けれど、それ以上に信じるべきが空の上。
 さっきまでの耐える挙動と打って変わった苺色が血色の花弁を裂いて飛ぶ。

「荷物を放り棄てて飛べる気取りか?」
「ちがうもん、ときじは信じてくれたんだもん! もう絶対ゆるさないんだからっ!」

 空を渡る高い声を響かせながら苺色は真っ直ぐに飛翔、目を見張るミラベルの上を取る。
 瞬間、ガーベラをひらめかせる尾が桃色へと振り下ろされた。
 遠く離れていても届く打撃音に十雉の方が顔を顰めてしまう。

「ありゃあ痛そうだな……」

 なんてぼやいているうちに桃色の方が落ちていく。
 おそらく脳震盪でも起こしたのだろう。大変だ、と他人事みたいに思っていると背中を確かな温度が迎えた。

「───ときじ、だいじょぶだった!?」
「……ああ」

 ごろんと苺の今だけ広い背中に寝転べば、止まらなかった震えはすっかり収まっている。
 腹の底から息ついて笑えば、同じだけの喜びの気配がしてまた笑えてきた。

「偉い偉い。やれば出来るじゃねぇか」
「うん。──信じてくれてありがとう」
「どういたしまして。だって、約束したもんな?」
「───うんっ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェルト・フィルファーデン

◆ケン様と
羽虫だの養分だの肥料だの……ふふっ、随分な言われようね?
――その言葉、後で後悔するといいわ。


さあ行きましょう、ケン様。2人で挟み討ちよ!エイナ様は風魔法で援護をお願い!

UCを発動し空中戦を挑むわ。でも最初は本気を出さずに隙を伺いましょう。

おそらく、真っ先に狙うのはケン様の方。5m大の空飛ぶ人形と小さな妖精。傲慢なアナタはこう考えるはず。「羽虫など後でどうとでもなる」と。
ええ、矮小な者だと見下すその態度。まさに竜らしい傲慢さだわ?……だから、アナタは負けるのよ。


ありがとうケン様。後は任せて!!
護身剣よ、わたしに力を!
さあ、高速の剣舞、アナタに見切れるかしら!
【空中戦xダンスx見切り】


ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと
は、妖精様に向かって随分な口聞いてくれンじゃねェか――地に落ちて後悔すンのはどっちか判らせてやらねェとだな
応、やンぞフェルト

最大規格展開継続、正念場だ――行くぞ"Arthur"!!
敵も妖精三人の中で図抜けてでけェこっちに狙いつけて来ンだろ
そンでそれで良い、その為の『騎士人形』だ

『ノブレス・オブリージュ』イグニッション
護衛対象をフェルトとエイナに指定――フェルトが切札ぶっ放す迄ァ守り抜く!!
強化した剣と盾で鎌の乱舞ァ弾いて凌いでアイツら攻めさせやしねェ――悠々踊らす程俺ァ優しくねェぞ虫蜥蜴!!
【盾受け×庇う×決闘×操縦】

――オラ、今だフェルト
ぶった斬ってやれ!!



●白花染の現日和

「羽虫だの養分だの肥料だの……ふふっ、随分な言われようね?」
「カッ、妖精様に向かって随分な口聞いてくれンじゃねェか」
「え、あの? 二人とも?」

 確かにフェアリーは体躯が小さい。事実であるから認めよう。
 だが、ただそれだけの理由で踏み潰されるほどに柔い命ではないのだ。
 だからエイナの慌てようなど蚊帳の外。
 フェルト・フィルファーデン(糸遣いの煌燿戦姫・f01031)は、暴力で以て行われる蹂躙を許せない。
 ケンタッキー・マクドナルド(神はこの手に宿れり・f25528)は、かつて襤褸雑巾と戯れに弄ばれた経験ゆえに。
 目線を合わせずに、静かな戦意だけを交わし合う。

「行きましょう、ケン様」
「応、やンぞフェルト」

 騎士人形の武装が低い音で猛り出す。
 光の軌跡を曳きながら白いフェアリーが竜の背後へ向かう。
 桃色竜は悩むまでもないとばかりにフェルトを放置。ケンタッキーの操る騎士人形へと鎌を翳した。

「だろうなァ」

 フェアリーを羽虫と嘲るならば。
 先に手を付けるのはこちらだということは二人の間の共通見解だ。実際、三十センチに満たぬフェルトより五メートルを超える騎士人形の方が狙いをつけやすいだろう。
 それでいい。
 その為の“騎士”人形だ。
 この強さは誰かの為に。
 ……そんなことを考えるだなんて夢にも思わなかったけど。
 
「最大規格展開継続。正念場だ――行くぞ“Arthur”、『ノブレス・オブリージュ』イグニッション!!」
『《Yes, Your Majesty.》』

 だから溢れ出す黄金のオーラは決して夢などではなく、現実の強さを誇る剣と盾を包み込む。
 飛行補助をも担う翼を羽ばたかせ、白亜の騎士は桃色の鎌を受け流す。前に来る勢いを利用した反対の鎌が襲い来る。今度は受け止めずに側面を弾いた。桃色竜は体勢を崩す───否、舞めいた一回転。
 速度が上がる。
 咄嗟にフェルトが距離を取るのがバイザーの隅に。けれど“Arthur”ならまだ追い着ける。判断は即時、流すは愚と判断し受け止め弾くに終始する。金属製の武器同士がぶつかり合うに似た甲高い音が晴天の空を震わせた。

「悠々踊らす程俺ァ優しくねェぞ虫蜥蜴!!」
「だがその機動も長くは続くまい! 羽虫の体力が竜に敵うとでも!?」
「ハッ、言ってろクソ派手お目出度爬虫類」

 弾き合う。間合いを離す。騎士人形と桃色竜の間で血色の花弁がひらひら踊る。
 それは、小さなフェアリーを隠しきるには十分な目晦ましだ。

「───今だ」
「ええ。ありがとうケン様、あとは任せて」

 唐突に風が逆巻いた。
 フェアリーたちの追い風はミラベルにとっての逆風。漂っていた花弁までもが反旗を翻して主の顔へ殺到する。

「ぐっ……!?」
「これで大丈夫かな!?」
「ええ、いい援護だわ!」

 エイナ・アエストスは風を操るウィザードだ。それを操りミラベルの目を塞いだのだと気付いたところで遅すぎる
 ケンタッキーが稼ぎ、エイナが惑わした空を翔けるのは白の戦姫。
 その手が握るのは浅葱色の両刃剣。
 どう呼ばれようが屈さぬと、友情を手にした流星が桃色の邪悪を阻む声を張る。

「希望の光を束ねて重ね、抗う力を此処に。──ただ、守り抜くために。護身剣、力を貸して!」

 宣誓は詠唱だ。
 言葉と共に浅葱の刀身に黄金が点される。水流のように伝い、広がり、やがて剣を縁取るのは万物を裂く光の刃。
 花弁と風で視界を封じられた桃色竜へ、切っ先を向けた瞬間。
 光が散る。
 ぱつん、と。
 不要な枝を落とす気軽さで右の鎌が弾け飛んだ。

「っ゛───羽虫ごときがこの我に傷を付けるなど!!」
「ええ、矮小な者を見下すその態度。まさに竜らしい傲慢さだわ?」

 花開くような可憐さで微笑んだ顔をミラベルは見ることが出来なかった。
 速すぎるせいだ。
 フェルトの最高速度は時速一万キロ──音の速さを優に超える。この速度域で絶対切断を駆使するのは身長三十センチにも満たぬフェアリー。
 元より見ようとしないものをどうして観測できるだろう。
 光が弾ける。
 浅葱と黄金。手を取り合う二色が散るたび桃色の体躯が刻まれて艶やかな赤を空へと落とした。

「───だから、アナタは負けるのよ」

 宣告は、事実をただ突き付ける冷徹で以て。
 青い空に残るのは若菜色と大きさの違う二種の白。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天音・亮
【欠片】

ふふ、強いなぁエイナは
そうだね、楽しく飛ぶために桃色のドラゴンさんにはご退場頂いちゃおう

きみも肥料とか養分とか言ってないで
同じように楽しんでくれたなら一緒に飛べたのに
空は広いんだから皆で飛んだって渋滞にならないよ

スピード上げ飛び回るロキを追い掛ける瞳
すごいすごいっ、ロキすごい上手くなってる!
よーっし私も負けてらんない!
soleilのモーターを最大出力
響く駆動音を風に乗せる

エイナの風に乗ってもっと高く
翅で軌道を変えながら繰り返す蹴撃
最後に全力の一撃を背中にお見舞いしてバトンタッチ
きれいな光が目映く空照らす

やったねロキ、ってハイタッチ
賛成!
もっと高くもっと遠く
心行くまで自由に空を飛び回ろう


ロキ・バロックヒート
【欠片】

よーしエイナちゃんその意気だー
なんてこの羽根じゃ唆してるみたい
空を奪ったなら楽しく飛べばいいのにね

ドラゴンは好きだし綺麗だなって思うけど
飛ぶ方が面白いから肥料にはなってあげなーい
だからまた一緒に飛んであげるよ
ね、亮ちゃん

こっちだよってドラゴンを煽るように旋回
スピードを出すには羽根を閉じるんだっけ
エイナちゃんの風も頂戴
鎌の一撃を風に乗って避けてみる
どう?飛ぶの結構うまくなったよ

わーっ亮ちゃんも速い速い!
太陽の羽根の軌跡がとってもきれい
バトンタッチして【神の指先】を天に向ければ
空よりなお高くから光の束が降り注ぐ

ねぇふたりとも
空を取り戻したらさ
思いっ切り飛んで遊んじゃおうよ
まだ飛び足りないな



●Fly me to the Blue Blue Sky!

「ふふ、エイナは強いなぁ」

 天音・亮(手をのばそう・f26138)は、ただ、普段通りに笑った。
 自分の居場所を理不尽に踏みつけられて、それでなお立てること自体がひどく眩しい。
 それに力を貸すことに異議なしと拳を握れば、隣で蝙蝠羽をゆるく動かすロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)も頷き笑った。

「よーし、エイナちゃんはその意気だ」
「……なんて、その羽のロキが言うと唆してるみたい」
「えぇ~俺様が選んだ訳じゃないのに」
「あはは、二人とも緊張感ないなぁ」

 わざとらしくぶすくれて笑ってみせればエイナもが力の抜けた笑みを覗かせた。いい具合に緊張がほぐれていることに気付いて差し伸べる手は、それこそ友達と繋ぐみたいに。

「楽しく飛びたいんだよね? だったら、桃色のドラゴンさんにはご退場頂いちゃおう」
「うん、ありがとう!」
「お目出度い友情ごっこだ。すぐに肥料になるというのに、無駄なことを」

 割り込む声は竜の傲然。
 血色の花弁をひらめかすミラベルの視線は冷ややかで他者を寄せ付けずに踏み潰すモノのそれだ。
 あれもまたひとつの美しさではあるのだろう。
 滅びの神は頷き笑って、ロキはくるりと身を翻す。

「だって飛ぶ方が面白いもん。肥料になんてなってあげなーい」

 しゃなりと鳴るのは首枷の鎖。
 剥き出しのままの踵が迷わず風を踏み切って、いの一番と飛び出した。

「そうか。ならば貴様から肥料にしてやろう!」
「ざーんねん。こっちだよ」

 くるり、旋回。
 さっきのアドバイスを思い出して羽を畳めばスピードが増す。鎌の先っぽに名残の風だけ掠めさせたから「失敗した」って顔を作って舌を出す。

「んー、もっと速く飛びたいな。エイナちゃん風頂戴!」
「こっちで合わせる、好きなように飛んでって!」
「りょーかいっ、っと!」
「ぬ……!?」

 急加速、からの鋭角軌道。
 目の前で突然曲がれば消えたように見える、速度と視覚のトリックだ。あとからついてくる風ばっかりが視覚を否定するから唸り声は憤りに彩られる。
 視界に爪先だけを映してやりながらまたターン。振り回されるミラベルを横目に、ロキは亮へと向けてウィンクひとつ。

「どう? 俺様飛ぶの結構うまくなったでしょ」
「すごいすごいっ、ロキすごい上手くなってる! もちろん私も負けないよ!」

 だから駆け出す疾風は太陽の色を纏って。
 同じ光を意味する名を冠した武装ブーツが跳ね踊る。
 一度動き出したら止められない? だったら巻き込んでいくのが亮のスタイルだ。

「きみも肥料とか養分とか言ってないで、同じように楽しんでくれたならよかったのに」

 そうしたら、こうしてぶつかり合うこともなかったろうに。
 ほんの少しの残念を風に溶かして羽を動かす。
 ロキと一緒に練習していたのだから亮だって同じだけの動きができる。後ろから回り込んでトゥーキック。痛みを与えた相手がいると推測される空間を切り裂く鎌を飛び越える。
 地面でないから踏ん張る必要はない。羽と風で加速、回転の勢いを加えた蹴りは竜の体躯を吹き飛ばす。
 追い風頼りに空へ上がれば、ミラベルだってもう息絶え絶え。
 ……いくら空を奪ったってあんな様では楽しみなどないだろうに。

「空は広いんだからさ。皆で飛んだって渋滞にならないよ」
「ふん、愚かな。我が咲くには竜以外など不要よ……!」
「──……そっか」

 だから落ちる、踵の一撃は太陽の軌跡。
 一番硬い部分での攻撃は速度も合わさって竜の背中を逆に反らせる。

「がぁ……ッ!?」
「ロキ、パス!」
「おっけ」

 パチン、と響かせるハイタッチがチェンジの合図。
 亮は桃色へ背を向けて、すれ違うロキは竜の眼前。
 悪戯っこみたいに笑ったまま、浅黒い指先を空に向ければ。

「終焉の時間だよ」

 光の束が降り注ぐ。
 神の指先はまつろわぬ者へ災厄を告げる。この世界における異物たる、竜にも樹にも等しく落ちる。
 それは救済であるが故に断末魔など赦さなかった。
 雨が止んだら晴れ間になるのが世の常だ。ただ青く広いだけの空の只中、勝利を祝してハイタッチ。

「ねぇ、二人とも」
「なぁに、ロキ?」

 けれど、そうではないだろう?
 どうしてこの世界に来ようと思ったか、考えれば答えは最初から決まっている。
 亮の方へと背中を向ければ、ロキの蝙蝠翅は今にも動き出したくて震えていた。気付いて目を見開く彼女の方へ肩越しに振り返って笑みひとつ、

「俺様、実はまだ飛び足りないんだけど。二人は?」
「私も!」
「実は私も……」
「あはは、だと思ったよ。それじゃ、思いっ切り飛んで遊んじゃおう」
「さんせーい!」

 亮の太陽色も、エイナの若菜色も、もちろんロキの漆黒だって先を争い青へと向かう。
 もっと高く、もっと遠く。
 心行くまでどこまでも自由に。
 望めば望むだけ征ける世界は、青いひかりに満ちている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月23日


挿絵イラスト