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羅針盤戦争〜暗闇に牙を

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #カルロス・グリード #オブリビオン・フォーミュラ #一の王笏島

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●一番目
 『一の王笏島』に存在するは、カルロス・グリード、ダークセイヴァー形態。
 既に分身体の襲撃に相対している者も居るだろうが、その時とは異なる、新たな紋章でパワーアップしているのだと、グリモア猟兵は告げる。
「襲撃時は、闇霧、紅き月、黒百合……でしたっけ。あれはあれで強力でしたが、こちらは全くタイプが違います」
 一つ目、餓える狼の紋章。身体のあちこちに牙を思わせる鋭い角棘を生やした、自身の身長の三倍の大きさの黒狼に変身する力を有する。
 二つ目、略奪者の紋章。筋力、速さ、意志の力を奪う爪を放ち、命中した相手の攻撃力を減らす力だ。全ての爪が命中すると、ユーベルコードを封じられてしまうだろう。
 三つ目、凍影竜の紋章。触れる者を凍てつかせる氷の身体のドラゴンと、影に潜み精神を喰らう黒影のドラゴンを召喚する。
「ドラゴンはカルロス自身を殴れば消えますが……そう簡単には狙わせてもくれないでしょうし、何より、この島には常に黒い霧が覆っているので、あちらの姿を捉えるのもままならない可能性があります」
 こちらの視界を遮る黒い霧は、しかしカルロスにとっては無いも同じ。あちらは普通に視界を保てるため、何の対処も無ければ一方的に攻撃されかねないと、言う。
「まぁ、そうでなくてもあちらは待ち構える立場ですので、普通に先制攻撃してきますが」
 つまりは、敵の先制攻撃と、暗闇戦闘への対処を同時に行わなければならないということ。
 ――しかし、この暗闇の中で、あちらの先制攻撃への対処が行えるならば、十分、攻撃を通すことも出来るだろうと彼は言う。
「こちらが対処してくることは想定内でしょうから、敵もまるきり油断しているわけではないですが……太陽を知らず、常世の世界で抗ってきた存在が、今更、暗闇程度で遅れを取るわけには、行かないでしょう?」
 かすかに口角だけを上げて笑んで見せ。けれどすぐにその表情を潜めて、彼は真っ直ぐに猟兵達を見つめて。
「抗う者の牙が如何に鋭いか。しっかりと、刻みつけてやってください」
 その戦力を削ぐことで、この世界で七大海嘯に抗い続けた島を、解放することも出来るだろう、と。
 そう、告げるのであった。


里音
 カルロス・グリード、ダクセモデルとの決戦です。

 今回のシナリオでは敵の先制攻撃ユーベルコード&黒い霧による暗闇戦闘への対処を行うことでプレイングボーナスが得られます。
 敵は必ず先制攻撃をしてきますので、対処の上反撃を行ってください。
 ユーベルコードの使用を前提とする防御は不可です。

 当シナリオは、採用人数は控えめになる予定です。(予定なので情勢を鑑みて少し多めに採用する場合もあります)
 OP公開と同時に受付開始しております。特に先着順ということもありません。
 早めの完結になる可能性もありますが、失効での返却の可能性もあります。
 皆様のプレイング、お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『一の王笏』カルロス・グリード』

POW   :    餓える狼の紋章
【紋章の力】を使用する事で、【身体のあちこちに牙を思わせる鋭い角棘】を生やした、自身の身長の3倍の【黒狼】に変身する。
SPD   :    略奪者の紋章
【筋力を奪う爪】【速さを奪う爪】【意志の力を奪う爪】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    凍影竜の紋章
戦闘用の、自身と同じ強さの【触れる者を凍てつかせる氷の身体のドラゴン】と【影に潜み精神を喰らう黒影のドラゴン】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。

イラスト:hoi

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

バルタン・ノーヴェ
POW 絡みアドリブ歓迎デス!

黒い霧の中でありますか……暗視機能の実装、急務になりそうデスネ。
ほとんど見えない状況下でありますが、勝算があって参りマシタ。行きマショー!

カルロスを探して歩いて、エンカウント!
姿は見えマセンガ、変身して巨大化する時に聞こえる音は聞き逃しマセンヨ!
準備万端になった奴が、霧中で右往左往する獲物に飛びついてくるその時をを待ち……カウンターでガトリングやアームドフォードの一斉発射!
狙いをつけない弾幕ではありマスガ、一瞬攻撃を遅らせられればOK!

「六式武装展開、煙の番!」
相手が黒い霧なら、こちらは白い煙!
互いに視界を奪われた状況なら、デカイ方が的になりマース!
勝負デース!


パトリシア・パープル
島に転送されると同時に『バリアパラソル』の【リミッター解除】
防御フィールドを複数の層のドーム状に多重展開し【盾受け】
どうせ相手からは丸見えなんだから、目立つことなんて気にしないわ
フィールド砕かれても、最悪、こっちのUCを発動する時間が稼げればOKだし

UCさえ発動できればこっちのもの!
量子化して不確定な存在になった私に物理的攻撃は効かないし、下手に触ったら侵食して情報を上書き
紋章の制御を奪って暴走させてあげる!
「欲張って、3つも紋章装備してたのが仇になったわね。今からこいつらに、あなたの身体を食いつくさせるわ

相手が暴走した紋章に食われている間に『スカンクガス爆弾』をそこら中に投げて撤退するわね




 視界を覆う黒い霧。右も左も視界の通らない事を直接確かめて、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は短く息を吐く。
(黒い霧の中でありますか……暗視機能の実装、急務になりそうデスネ)
 サイボーグであるバルタンの身ではあるが、未だにその機能は実装されていない。
 このような戦場での実務に支障をきたす前に、措置を取らねばと認識する一方で、今回は、きちんと勝算を用意して挑んでいる。
「行きマショー!」
 元気な声は、ひそめることもなく。そう、忍ぶ必要など、全く無いのだ。
 こちらにとっては暗闇でも、あちらにとっては、開けた視界なのだから。
 パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)もまた、自身が目立つことを厭わず、来る初撃を回避すべく、バッ、と傘を広げる。
 特殊なフィールドを展開して盾ともなるバリアパラソルのリミッターを解除し、幾重にも重なる盾を作り上げた。
 彼女らの行動は、当然のようにこの島を統べる敵、カルロス・グリードに筒抜けだ。
 島への『侵略者』を排除すべく、その身を巨躯なる黒狼へと転じ、駆ける。
 身体のあちこちに生えた牙のような鋭い角棘が、華奢な少女たちの身を貫かんと、迫った。
 その特攻を先に喰らったのは、パトリシア。構えた盾から広がるフィールドは、ドーム状にパトリシアを守るが、単純にその衝撃は重い。
 複数重ねた盾が、次々と砕かれていくのを目の当たりにすれば流石に冷たいものが背を過る。
 だが、それでいい。例え盾が全て砕かれようと、その僅かな時間だけでも稼ぐことが出来たなら、反撃の余地はあるのだから。
 それに、今は――。
「進ませマセン!」
 霧の中に、ガトリングやアームドフォードが次々と火を吹く音が唸るように響き渡る。
 狙いなど定めていない、当てずっぽう。それでも、巨躯がこちらに迫ることが把握できているのなら、その音を頼りに、弾幕を張ることくらいは出来るのだ。
 掻い潜るならそれでもいい。それでも、その行為によって僅か、足を止めることが出来たなら。
 二人がかりで、その進行を、全力で食い止める。
 パァン、と。パトリシアの最後の盾が砕け散ったのが、反撃の合図。
 よくぞ耐えてくれたと手放した傘の代わりに、パトリシアは自身の体を量子的存在へと変じさせる。
「悪いけど、お触りは厳禁なのよね~♪」
 黒い霧の中に、スカンクのしっぽを揺らした少女の姿が、一瞬、溶けた気がした。
 何かを仕掛けてくるわけではない。けれど、明らかに待ち構えているような佇まい。
 獣へと姿を変えようとも、理性を残したままのカルロスは、黒い霧に紛れながら、そのさまをよく観察した。
 だがそれも、同時にバルタンの周囲に真っ白な煙が噴射されたことにより、ままならなくなる。
「六式武装展開、煙の番!」
 カルロスの視界を奪うことはない黒い霧とは異なる、バルタンの姿を完全に覆い隠す白い煙は辺りに広がり、パトリシアの姿をもくらましてしまう。
 何を企んでいるのか。判ずることの出来ないまま、カルロスは挑む者に応じざるを得なかった。
 がさ。草葉が揺れる音は、誰のもので、どこから聞こえるものか。
 耳を澄ませたのは、刹那の間。ふわりと動いた煙をかき分けるように、バルタンがその腕を掲げる。
「身体の大きさが時として仇になるのデスヨ! 勝負デース!」
 繰り出すのは、腕部に備えたパイルバンカー。
 音を頼りに間近に迫る手段を講じたバルタンにとって、敵の身体がさん倍にも膨れ上がっているのは好都合なのだ。
 身体が大きければ、的も大きい。腕だか脚だか胴だか……わからないが、とにかく、叩きつけてやった。
 感じた手応えは、一瞬。確かに貫いたのは、おそらく前脚だろう。ぶん殴れる程の直近に迫った分、カルロスが身体に生やした牙のような角棘に体を裂かれたが、これしき、と流れる血を振り払う。
 そうして改めて探したカルロスは――苦悶の声を、あげていた。
「警戒してたみたいだけど、こっちに突っ込んできちゃったね」
 動くことの出来ないパトリシアは、受け身の状態だった。だが、バルタンの攻撃を躱すべく飛び退ったカルロスが運良く飛び込んできたのは、彼の視界が煙に妨げられていたおかげであろう。
 そうして、触れてきたならこちらのもの。
「欲張って、3つも紋章装備してたのが仇になったわね。今からこいつらに、あなたの身体を食いつくさせるわ」
 量子となってカルロスを侵食するパトリシアは、彼の持つ紋章へと干渉し、暴走を促す。
 寄生虫である紋章に喰らわれる感覚に苦悶の声を上げるカルロスだが、パトリシアを振り払うように大きく後退し、致命的なダメージに至る前に、再び紋章を己の支配下へと取り戻す。
「流石に長くは制御を奪えないか……よし、撤退ね!」
「貴様……ッ」
 同じ手は二度も食らうまい。早々に見切りをつけて、スカンクガス爆弾をそこら中に投げまくったパトリシアは、同じ戦場に居るはずのバルタンへ、声を張る。
「早めに、離れた方がいいと思うわ!」
 なにせこの爆弾、名前通り強烈なスカンクガスを噴射する悪魔のような装置なのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…確かに。この程度で動きが鈍るほど柔では無い

お前にも見せてあげるわ、一の王笏
暗闇に鎖された世界で錬磨された吸血鬼狩りの業を…

"精霊石の耳飾り"で得た第六感を頼りに敵の存在感を暗視し、
本体に銃撃を乱れ撃ちして一体の竜を護衛に付かせ、
今までの戦闘知識からもう一体の攻撃を受け流し、
大鎌によるカウンターで迎撃してUC発動

…たとえ眼が見えなくても、今の私にはお前達の姿が視えている

…炎の理、光の理、刃に充ちよ。我に背く諸悪の悉くを封じる檻と成れ

半数の魔刃に光の魔力、もう半数に炎の魔力を溜め、
空中戦機動の早業で敵の弱点属性攻撃の魔刃を乱れ撃ち武器改造
炎と光の結界化して竜を封じて本体に切り込み大鎌をなぎ払う


サンディ・ノックス
俺は常闇の世界で生まれ、猟兵となり長年戦ってきた
そうだよ、暗闇程度で俺は止まらない

戦場についたらまずどのくらい見えるか(暗視)確認
敵が見えるなら視覚、見えないなら聴覚と風を感じる触覚を使うから状態確認

敵の攻撃に備える
黒剣を抜き、迫るドラゴンは動きを見切り回避
あるいは剣で動きを牽制する
仮に冷気が肌を焼こうと精神を削られようと俺は止まらない
お前に負けるようじゃダークセイヴァーは救えない!
UC伴星・強欲の両鎌槍を発動
範囲内を複雑な軌道で攻撃するこの技なら敵に一撃を加えられるはず

ドラゴンが消えたら更に攻勢を強める
敵を捉えているなら集中攻撃
そうでないなら範囲攻撃

勝つためならこの身をいくら削ろうと構わない




 一の王笏島へ送り出す間際。あのグリモア猟兵はなんと言った?
 常世の世界で抗ってきた存在が、今更、暗闇程度で遅れを取るわけには、行かないでしょう?
「……確かに」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は静かに頷く。
 この程度で動きが鈍るほど柔では無いのだと。
 同様の思いが、サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)にもあった。
 彼らは共に、常世の世界――ダークセイヴァーで生まれ、その世界で戦い続けてきた者達だ。
 その誇りが、暗がりを生む霧へと、果敢に挑ませる。
「そうだよ、暗闇程度で俺は止まらない」
「お前にも見せてあげるわ、一の王笏。暗闇に鎖された世界で錬磨された吸血鬼狩りの業を……」
 油断はない。己の現状を把握することは暗闇での戦闘において何より大切だ。
 サンディはぐるり、辺りを見渡して、敵の姿が視認できないことに眉をひそめる。ただ単にまだ遠いだけか。それならどの程度近づけばその姿を捉えられるのか。
(島に自生している植物の影は……手の届く位置なら見える。それ以上は……見えるとは言い難いか)
 これでは敵の間合いに入るまで見えない可能性のほうが大きそうだ。それならば、頼るべきは聴覚と、風の動きを感じる肌の触覚。
 一方のリーヴァルディもまた、視覚に頼ることはせず、耳にさげた精霊石の耳飾りを通じて、島の精霊たちに働きかける。
 敵の気配、存在感。精霊たちが感じるもの、聞こえるもの、見えるものを共有することで、リーヴァルディ自身の第六感を研ぎ澄ませていく。
 二人の感覚が『それ』を感じ取ったのは、ほぼ同時。
 空気を震わせるような激しい咆哮と、翼を打つ音は、同時に威圧感として二人の肌を戦慄させる。
 召喚された二体のドラゴンが迫ってくるのを、感じ取った。
 身体が氷でできたドラゴンは、放つ冷気がわかりやすい。黒剣を抜き払ったサンディは、凍えるような冷たさをしっかりと感じ取り、回避する。
 もう一体は、影に潜む。周囲に存在する影の在り処が判然としない以上、最も注意すべきは氷のドラゴンが作る影か。
 真下に入り込む位置を避け立ち回るサンディは、傍に居たリーヴァルディが構えた銃をある方向へ真っ直ぐに向けているのを、見つける。
「――そこか」
 ドラゴンを放った、カルロス・グリードの本体へ。確信を持って放たれた銃撃からかばうように、黒影のドラゴンが立ちはだかる。
 自身が傷を受ければ召喚が解除されてしまう以上、回避しにくい攻撃はドラゴンに守らせる選択肢を取らざるを得ないカルロスは、リーヴァルディが想定以上にカルロスの位置を把握していることにかすかに眉を寄せる。
 偶然か。確かめるために場所を移れど、彼女の視線は、確かにカルロスを追う。
「……たとえ眼が見えなくても、今の私にはお前達の姿が視えている」
 それが、暗闇に生きる者を相手にするということだ。
 リーヴァルディがドラゴンの動きを制限させたことで立ち回りやすくなったサンディは、深く踏み込み、氷のドラゴンへ黒剣を振るう。
 身体は凍えるほどに冷たく、痛いくらい。けれど、サンディが止まることはない。
 黒影のドラゴンがカルロスを守る位置を取る以上、もう一体を遠ざけてしまわねば、本体を叩くことなど、出来やしないのだ。
 そのためならば、冷気に焼け爛れようと、止まる気なんてなかった。
 勝つために、この身を削る覚悟はとうの昔に済ませてきたのだから。
「お前に負けるようじゃダークセイヴァーは救えない!」
 気迫とともに薙ぎ払った剣が、氷のドラゴンを飛び退らせた。
 その隙に、サンディは己の体を魔法物質に変換する。悪意が齎す魔力は、強欲の魂を基として漆黒を形成し、十字の槍を象っていく。
「逃げ場なんてないよ」
 千に近い数の十字槍が、幾何学模様を描いて飛び、二体のドラゴンを、それを喚び出したカルロスを狙い澄まして、次々と突き刺さっていった。
「そう、ダークセイヴァーは……ヴァンパイア共は、この程度で遅れを取っていては、狩れやしない」
 銃の代わりに大鎌を構え、リーヴァルディは魔力を帯びた結晶刃を召喚する。
 魔法増幅の能力を持ち、飛翔と戦闘の能力を有するそれらへ、リーヴァルディは光の魔力と炎の魔力を半分ずつ与えた。
「……炎の理、光の理、刃に充ちよ。我に背く諸悪の悉くを封じる檻と成れ」
 十字槍が飛び交う隙間を自由に飛び、結晶の刃達は影には光を、氷には炎を撃ち込んでいく。
 それはさながら檻のごとく――いや、まさしく結界と化して、ドラゴン達の動きを制し。守る盾を奪われたカルロスへ、縦横無尽に飛び交う十字槍は、ついにその身を貫いた。
「ぐっ……」
 召喚を維持できなくなったドラゴン達が消える。それを再び喚び出すような間を、与えるわけには行かない。
 ふわり、軽やかに地を蹴ったリーヴァルディが大鎌を振りかざす。その迷いのない眼差しに、サンディは賭ける。
 彼女の向かう先へ、集中攻撃を。
 迫りくる十字槍を払い除け、掴み投げ捨てながら、カルロスはそれが同時に退路を遮る攻撃である事を悟る。
 猟兵達の視界を奪う暗闇の霧の中で。大鎌を掲げる紫の双眸と、確かに、目が合った――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可

この戦いに勝つ為にもそうですが、ダークセイヴァーに生きる者として。あの紋章は見逃せません
確実に、破壊させていただきます

先制攻撃は真正面から受けて立つ。『殺気』で攻撃のタイミングを読み『オーラ防御』で身を守りつつ『気合い』を込めた『怪力』で狼の突進を受け止め地面に叩きつけ『体勢を崩す』

敵が体勢を整える前にUCを発動、鎖を敵に『串刺し』に、『継続ダメージ』を与えながら繋がった鎖を通じて、敵の位置を補足できるようにしておく

鎖を伸ばして『ロープワーク』で敵の足などに絡めて動きを束縛しつつ、黒剣で『鎧無視攻撃』『鎧砕き』で角棘を砕きダメージを与え『生命力吸収』で体力を回復していく




 この世界にはないはずの紋章。カルロス・グリードは一体どこで手に入れたのか。
 定かではないが、クロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)にとって、その存在が見逃せぬものである事に、代わりはなかった。
「確実に、破壊させていただきます」
 挑むクロスがカルロスの先制攻撃への対処に選んだのは、真っ向勝負。
 相手はこちらを当然ながら殺す気で向かってくる。その殺気を気取り、クロスは意識を集中する。
 タタッ、と軽やかながらも力強い足音は、巨躯の迫る感覚を伝え、緊張を走らせた。
 ぶわ、と。黒霧を掻き分けるようにして、牙のような角棘を生やした黒狼が姿を表した瞬間、クロスはオーラ防御を展開する。
 それは決して強固な盾ではないけれど、喰らいつかんとする黒狼の動きをわずかに食い止め、クロスがその体躯に手を伸ばすだけの隙を与えた。
 気合を込めた手のひらで、角棘の一つを掴む。
 どこを掴もうとも、別の角棘が肌を裂くのは免れられそうもなかったけれど。掴み、捉えてしまえば、それ以上食い込むことは、ない。
 ずざざ、と音を立て、突進の勢いに圧されようとも、決して離さず、ついにはその勢いを完全に押し留めたクロスは、投げ飛ばすようにして黒狼の体勢を崩した。
 その攻防が生んだ隙は、ほんの一瞬だっただろう。それでも、その一瞬があれば十分だ。
「蛇よ、喰らえ。噛み砕くまでは――離しません」
 暗闇だろうと関係ない。目の前まで迫った存在へ、今しがたまで触れていた敵へ、鎖を突き立てる。
 それは瞬く間に蛇の如き毒牙へと転じ、抜けぬ牙として、黒狼の身へ食らいついたのだ。
 生命力を啜り続ける毒牙を払いのけようとも、叶わない。じゃらら、と音を立てる鎖を引きちぎらん勢いで暴れる黒狼から距離を取れば、自然とその姿は黒霧の生む闇に紛れるが、鎖が繋がっている以上、その姿を見失うことはなかった。
(この暴れようだと、その内持っていかれそうですが……)
 握りしめて、いられる間に。対の手に黒剣を携えて、クロスは駆けた。
 伸びた鎖で足を絡め取り、その動きを制限しながら、黒剣を振るう。
 鎧をも砕く剣閃は、黒狼の刃であり盾でもある角棘を砕き、顕になった肉を切り裂いていった。
 毒牙と黒剣とに同時に生命力を奪われながら、それでも王笏たる黒狼――カルロスは、獣の四足でしかと立ち、脚に絡んだ鎖を、ぐいと引き寄せる。
 ――鎖に繋がれている以上、敵の姿を見失うことはない。
 けれど、あちらが攻め込んでくるタイミングを見計らうには、足りなかった。
 角棘を失おうとも爪と牙は健在だと言わんばかりに、踊りかかった巨躯がクロスの身を喰らう。
 吸収した生命力が、致命傷に至ることだけは妨げてくれたけれど。手放してしまった鎖を己の肉ごと引きちぎり、駆け去っていく黒狼を追うには、至らなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリエ・イヴ
アドリブ◎
覇気を巡らせ息を吸う
襲ってくるのが獣なら
多少は匂いも違うだろ
漂う霧の僅かな動きも注視して
あとはもう、野生の勘だ
ここと思う方向へ
アハ・ガドールを投げつけて
敵の攻撃を防ぐ為の盾とする
来る方向がわかりゃこっちのもんだ
続く爪も武器で受け
直接攻撃を食らわぬように

けどまぁずっとそれじゃぁ面白くねぇ
黒かろうが霧は霧
つまり水ってことだろう
大人しく俺に従いやがれ
【君の僕】で水操り
真っ直ぐ、敵への道を開けさせる

これで俺とお前を隔てるものはなくなった
さぁ、存分にヤリあおうぜ…ハニー?
地面を強く蹴りつけて
真正面から
限界突破の一撃を叩き込む
お前がこの海の支配者だとか言うんなら
俺は、何度だってお前を越えてやる


クロト・ラトキエ
夜目は、直近でさえ利けばいい。
呼吸、衣擦れ、地を踏み、風切る、音。
異なる香。空気の流れ。
感ずる…視線、或いは敵意、殺気。
耳、鼻、身…三識も併せ、王笏の方向、距離、位置を見切り。
爪のリーチは既に知識に。
動きを感ずれば、凡ゆるを以て回避を。

返す鋼糸で振われた腕を捕らえ、引き斬り…
血の匂い、追加。
…序でに極細の糸を、ただ引っ掛け。

暗闇程度じゃ遅れは取れぬ――
えぇ、正しくその通り。

闇であろうと。
識れるなら、式にて応じましょう。
一手、傷負い散らすは己の血。
相手の目には、ただ外しただけに見えれば行幸。
霧の内でも…向かう先は、糸が教えてくれる。
飛び込むよう掛け、視る。
爪、腕ごと…巻き締め斬り断て
――唯式・幻




 視覚に頼れぬ暗闇の中、アリエ・イヴ(Le miel est sucré・f26383)は覇気を巡らせ、息を吸う。
 かすか、嗅ぎ取ったのは、思っていたような野生じみた獣の匂いではなく。血の、芳香。
 敵の所在を判別するには至らぬが、どうやら相応に手負いのようだと悟り、アリエは霧の動きも注視する。
 不自然な揺らぎがそこに無いかと、確かめるように。
 嗅ぎ慣れたその匂いに気がついたのは、クロト・ラトキエ(TTX・f00472)も同様に。追加するまでもなかったその匂いにわずか口角を上げるだけの笑みを作って。
 匂いの次は、と耳を澄ませた。
 刹那、聞こえたのは風を切る音。その直前に、くしゃりと草の育つ地面を踏みしめたような音も、捉えていた。
「そこか!」
 風切る音は、三つと、もう一つ。放たれる爪の気配に弾かれたように、アリエが碇をぶん投げる。
 鎖で繋がれたそれは、冴えた勘と、それ以上に彼が持つ幸運の恩恵を受け、迫る爪の一つを弾く。
 一閃見極めてしまえば、来る方向へ身構えることが出来る。武器を構えて挑むアリエの動きに合わせ、クロトはこの王笏――カルロス・グリードが放つ爪のリーチを頭に叩き込んだ。
 筋力を、速さを、意志の力を奪わんとする爪を尽く退け、彼らはそれを放つ本体を、見据えた。
 ――もっとも、その姿をしかと捉えられているわけではない。黒霧に紛れ、おぼろげに掻き消える姿が完全に消える前に、クロトは一歩踏み込んで、鋼糸を放つ。
 血の香りを追うように放たれた糸は、刃の如き鋭さでカルロスの腕に傷を残す。けれど、その傷が浅くともクロトは気にしない。本命は、彼の体に引っ掛けた、極細の糸。
 勿論、カルロスに気取られることのないよう、つん、と袖引く真似はせず。甘んじて、暗闇へと逃げ込ませてやった。
「また奇襲に備えろってことか」
 今日も勘は冴えている。海は変わらず己の味方だ。何度爪をけしかけられようとも、アリエはそれに捕まる気など微塵もなかった。
 けれど、それ以上に。ただただ暗がりからの一方的な攻撃を退けるばかりでは退屈だという気持ちの方が大きかった。
 巡らせる視線は、カルロスを探してのものではない。視界を包む霧が、まさしく霧であることを、ひやりと肌に触れる心地で、確かめるためだ。
「黒かろうが霧は霧。つまり水ってことだろう。大人しく俺に従いやがれ」
 ――こいよ、受け入れてやる。
 囁きかけるような声は、慈愛に満ちて優しく甘い。
 海に愛されていることを自覚し、その愛を受け入れることで、アリエは水精に近しい存在へとその身を変える。
 指先がそっと払いのければ、黒霧は――所詮は液体であるその闇は、容易く操られ、彼らの視界を開いたのだ。
「これは、また……」
 何とも、この島のカルロスに取っては相性の悪い技だと、感心したようにクロトが呟く。
 敵までの道を真っ直ぐ開くように霧を晴らしたアリエは、暗闇が退けられるさまに目を剥くカルロスを見据え、不敵に笑った。
「これで俺とお前を隔てるものはなくなった。さぁ、存分にヤリあおうぜ……ハニー?」
 殴り合いはお得意かい? 渾身の力を込めて地を蹴り笑いかけ、アリエは限界突破した一撃を見舞う。
 船の墓場に閉じ込められようとも、朽ちること無く衰えもせず、変わらぬ切れ味を誇るカトラスは、見据える敵を違わず切り裂く。
 切り込む度に黒霧が晴れるさまは、まるで、光が駆けるようで。
 暗闇に慣れ始めた瞳を眩しげに細め、クロトは霧の中へと舞い戻ろうとするカルロスを、今度こそ、追った。
「暗闇程度じゃ遅れは取れぬ――えぇ、正しくその通り」
 煽るように告げられた言葉を思い起こして笑んだクロトは、一手、あえて己の身に差し向けて、その血を散らした。
 手元が狂ったようにも、狙いが外れたようにも、如何用にも演じてみせながら、闇に紛れる間際に放った糸へ、そぅ、とその血を伝わせれば。
 ――ほら、導きはそこに。
 さながら運命の赤い糸のように、身を引く彼へとたどり着く道を教えてくれた。
 目掛け、踏み込むクロトの瞳は、闇よりも昏い暗色に深まっている。
 カルロスがどこまで逃げようとも、アリエがその霧を晴らしてくれるし、血染めの糸は縋り付く。
 爪を放とうと掲げられたならば、その腕を、斬り落としてしまえばいい。
 ――唯式・幻。
「一の代価で数多の対価。なら答えは簡単だ」
 そう思いません? おどけてみせたクロトの鋼糸が、九度閃く。
 その糸は一度たりとて隣を駆けるアリエを狙うことはせず、その分、クロトの寿命を削るけれど。
 生き残るために削る命など、掠める程度のものだろう。
 ずたずたに引き裂かれたその身へ、最期の一振り。取るならばやはり、首だ。
「お前がこの海の支配者だとか言うんなら、俺は、何度だってお前を越えてやる」
 よぉく覚えておけと言わんばかりに、アリエはふらついたカルロスの胸ぐらを掴み、その視界に己を映し込んで。
 刎ね飛ばすのは、一思いに――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年02月20日


挿絵イラスト