23
桜巡り、四季散じの虚構狩り

#UDCアース #呪詛型UDC

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース
🔒
#呪詛型UDC


0





 UDCアースのとある公園では、満開の桜を迎えれば週末には花見の客人が訪れる。
 鞠のような桜花を、時に風吹かれた枝が重そうに揺らす。はらはらと雪のように、くるくると舞うように、落ちてくる花弁たち。
 公園では所定の場所でシートを広げてのんびりしながらのお花見、緩やかに歩きながら満開の桜を見上げたり、花より団子とばかりに屋台を巡ったり。
 咲き誇る桜花を楽しむ人たちを怪異が誘いにやってくる。
 ゆっくりと忍び、そして突如として広がった非日常。
 花弁は雪に、暖かな春の陽射しは突き刺すような夏に、儚い色は鮮烈な紅色に。

 UDCによって怪異に誘われた人々は、四季折々の美術館へと囚われた。


「日常を過ごす人々が、UDCの怪異に巻き込まれるという予知が出たわ」
 グリモアベースに入った猟兵たちを、ポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)が迎える。
「呪詛型UDC――といえば分かりやすいかしら? 起こる事件はUDCの呪いのようなもので、怪異に誘われるのは『その場で日常を満喫している者たち』ということが分かっているわね」
 予知で、この怪異が発動されたのは運動広場や遊歩道などのある公園。
 公園の桜が満開となれば、たくさんの人がやってくる。普段ならば運動にと通り過ぎる遊歩道なども、その場に留まる人が多くなることだろう。休日にはイベントも開催され、様々な屋台が出るのだという。
「集まった人を怪異に誘い込んだUDC――人々を邪神復活の贄にでもしようっていうのかしらね」
 答えは定かではないが、迷い込んだ人の末路は想像に難しくない。
 その前にこの怪異を猟兵たちの手で誘い出し、その奥に潜むUDCを倒し解決しようというわけだ。

「そのためにも――まあ、まずは満開では無いけど桜や他の植物たちの開花風景を皆さんで楽しんできて頂戴!」
 満開では無いが、それなりに見頃を迎えつつある桜たち。
 硬い蕾が柔らかくなり、暖かな陽射しのなかゆるりと解いた桜花を楽しむことが出来るだろう。
 しっかりとした枝に、彩りは確りと。
 香に誘われてみればそこには紅色の梅。
 遊歩道を歩いてみれば、美しい千重咲きの乙女椿がそこかしこにある。可憐で可愛らしい花は穏やかな天気に恵まれ、その色を損なうことなく咲き誇っているようだ。
「UDC組織の助力によって、公園は管理のため一日全面閉鎖。けれどもある程度の賑わいも必要とあって、UDC組織の皆さんがサポートとして食べ物の屋台を出してくれているの」
 イカ焼きや、たい焼きやたこ焼き、飴やチョコレートででコーティングされたフルーツ屋台、クレープ屋や、後味さっぱりなジュース屋台など、お祭りに関する食べ物屋台が揃っているらしい。
「お花見を楽しんだら撤収! という流れでもだいじょぶじょぶ。唐突に違和感のある出来事が発生し始めるから、脱出するならそこを目安にね」
 怪異を誘い出した後は、狂った四季の美術館に猟兵たちは囚われることとなる。
「UDCの作った異空間みたいなもので、ここには色んなものがあるわね。皆さんがどんなものに遭遇するかは分からないけれど」
 桜花の溢れる箱庭の中かもしれない、夏の海辺を描いた風景画の中かもしれない、秋の紅葉ある森の中かもしれない、雪に覆われた冬の景色かもしれないしサーフィンするサンタクロースがいるかもしれない。
「初夏の青々とした竹を楽しめる和室の中だったり。四季を想像する色々な場所が皆さんの元に訪れると思うの。でも、そこは怪異の中。そのリアルな四季を楽しんだ後は、思いっきりぶっ壊しちゃってね。破壊してストレス発散を楽しんだら撤収! っていうのでもだいじょぶじょぶ」
 猟兵たちを閉じ込めた『美術館』を破壊したら、事件の奥底に潜んでいた『呪詛を唱えるUDCの群れ』を撃破することとなる。
「その敵は、エラー。猟兵に撃破されたオブリビアンの残滓が集まって再度復活した存在って言われているわ。結構強引な手を使った復活なのかしら、ユーベルコードもその存在も、バグを起こしているみたい」
 UDCの攻撃方法は格闘戦のみだが、目まぐるしく変化する戦場の風景で目くらましを多用してくる。
「お花見を満喫して、怪異も楽しんだ後は破壊して、UDCを倒す。流れはこんな感じ、とっても簡単ね。楽しむ気持ちも忘れずに、UDCの撃破をよろしくね」
 そう言ってポノは猟兵たちを送り出すのだった。


ねこあじ
 ねこあじです。
 依頼の流れは大体OPの通りです。

 進行はのんびりペースです。
 第1章はプレイングの受付を3日(水曜)8:30~とさせてください。
 6日の土曜日いっぱいで締切となります。
 もしも再送が発生した場合は、その日のうちに送ってください。

 お花見お祭りな第1章はリプレイ導入はありません。第2章からあります。

 第1章はお花見イベントを楽しみましょう。

 第2章は、様々な春夏秋冬を展開する美術館を楽しんでください。自由です! 公序良俗に反してなければ大体OKかなと。
 3Dプラネタリウム的な美術館でもいいし、たくさんの扉の向こうには季節の風景が広がる美術館でもいいし、座って花を愛でていたら雪だるまの中にいた……な状況の美術館でもいいし、春夏秋冬を象った壺がそこら中にある、破壊しつくそう、な美術館でもいいし。
 まあお好きな感じによろしく。

 第3章は集団戦。「エラー」との戦いになります。

 それでは、よろしくお願いします。
151




第1章 日常 『花の宴を楽しみましょう』

POW   :    屋台でいっぱい食べる

SPD   :    のんびりお祭り見物する。

WIZ   :    お花見を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

箒星・仄々
WIZ

折角ですから思い切り楽しみましょう
UDCを誘き寄せる為ですからね♪

梅の香りに誘われるまま
梅林を観梅します

寒い中、早々と花を咲かせる梅さんは偉いですね~

白や紅、ピンクと色鮮やかで凛とした雰囲気の梅を楽しみながら
ゆったりと散策します
香りも素敵ですよね

一通り寒梅を愛でたら
出店でお団子とお茶を購入します

組織の皆さん、お疲れ様です

怪異が来たら
どうぞすぐに退避下さいね

ベンチで三色団子を食べながら梅の花々を眺め
のんびりとこのひと時を味わいます
思わずあくびがでちゃいそうです

怪異が現れたら
残りのお団子を急いでモグモグごくんして
梅香に包まれながら異界の美術館へ




 春となったばかりの陽射しはぽかぽかとしていて、花の園へと訪れた箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)の夜色の毛を温めてくれる。
「日陰に入ると少し肌寒いですが、こうやって歩いていると春だなぁって感じますねぇ」
 にこにこ笑顔で色彩豊かに楽しませてくれる花の道を歩いていると、少しばかり香ばしいものを感じ取った。
 くんくんと鼻が動けば、僅かに猫のヒゲも動く。
「おや、この香りは……」
 気になる香りに誘われて歩いていく仄々。
 辿り着いた先は梅林。細めの幹と枝はどこか緻密さを思わせて天へとぐんと伸び、そこには白や紅、ピンクと色鮮やかな梅花。
「まだ寒さのある時から、早々と花を咲かせている梅さんは偉いですね~」
 がさがさの幹にちょんと触れて、仄々はにこやかに話しかける。
 見上げれば、青色の空をベースに満開の梅花たち。あと少し、時が経てばその梅もこぼれてしまうだろう。
 ゆったりと散策を楽しみ、梅花たちを愛でた仄々は屋台の出されている広場へと向かった。
 そこにはイベントを楽しむ猟兵たちや、UDC組織の人たち。
「お疲れさまです」
「あっ、猟兵さん、お疲れさまです~」
 屋台を構えていた組織員に声を掛ければ、朗らかな挨拶が返ってくる。
「猟兵さん、何か和菓子でも如何ですか? 温かいお茶もありますよ」
 そう言って用意された保温水筒と、様々な和菓子。仄々がぐっと頭を逸らして見上げた屋台には『おだんご』の文字。
「そうですね……春の散策中ですし――ここは三色団子をくださいな」
「はい、少々お待ちください~。包みますね」
「ありがとうございます。怪異が来たら、どうぞすぐに退避くださいね」
「ありがとうございます。猟兵さんも、ご武運を」
 温かいお茶の入った水筒と、三色団子、持ち帰り用に竹皮に包まれた桜餅を貰って、仄々はひと休みのできるベンチへ。
 梅林の前に設置された木組みのベンチは、緩やかなカーブが施されているようだ。すっぽりとはまるような座り心地は良く、ちょっと背中が丸くなって尻尾もベンチに緩やかに乗せて。
 いつもの視界より高く、広く見える風景を楽しみながら三色団子とお茶を頂く仄々。のんびりとしたこのひと時を心ゆくまで味わう。
「ふわぁ……」
 陽射しはぽかぽかと世界を温めている。
 思わずあくびも出てしまう。
「おひるね日和ですねぇ」
 このまま穏やかな空気に身を任せて、うとうととしてしまいたい気分。
 けれども。
「――あ」
 視界の中の梅がこぼれおちていく。花を受け止めるのは柔らかな草地ではなく、異界の地。
「……来ましたね」
 串を懐に仕舞いこみ、水筒も荷物の中へ。ぴょんとベンチから飛び降りた仄々は梅香に包まれながら、出現し始めた異界の美術館へと向かっていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリジ・グッドウィン
メルメっち(f29929)と

花見の機会は確かにあんま無ぇなァ?
ま、こういうのも悪くはない
まっすぐ歩いて追いつき止まってのペースで
頭に入れる時、瞬きすんの癖なんだよな

あァ?今は急ぐわけでもなしメルメっちも好きにしときな。メジロ、ヒヨドリ、コゲラ、それに蝶
人が入らねェから好き勝手してる、アンタもそれって事で
勿論オレも好き勝手させてもらってるぜ?

染物の話だが椿は花、桜は枝を煮て色を抽出するとか。
見えざる所に命が詰まる。まぁ割となんでもそうだな…血管とか

満開も一瞬雨が降ったらそれすら待たずに散っちまう、レア度高いからかなり意識しないと見れねぇ。メルメっちも根気よくいかねぇとな
雨が降っても散らない桜か…


メルメッテ・アインクラング
キリジ様(f31149)と

本物の植物が沢山!私には珍しいのでございます、施設で働いている日常では見る機会がないものでして
遊歩道のあちらこちらに咲く乙女椿を嬉しくひらひらと見て回ります
歓声を上げたり、立ち止まって暫く見つめたり。表情も自然と綻んでしまいます
……ああっ、お待たせしてしまいましたか、キリジ様!?

わ!こちらが桜でございますか
「まあ。それでは桜の場合は、色の源となる力が花よりも枝や幹に宿っていると」
淡い色が点々と。現在は満開ではないのですね
今以上に咲くとなると、花も色も、もっと広がって……次に見られるのはいつになる事でしょう

はい、キリジ様!確かに。生きていれば、いつか必ず巡って参りますね




「まあ、ご覧になってください、キリジ様! 本物の植物がこんなにもたくさん!」
 公園へと入ったメルメッテ・アインクラング(Erstelltes Herz・f29929)の視界には、いっぱいの若々しい植物たち。
 黄や紫、白のパンジーの模様は観察してみれば違いもあって面白い。
 ひらひらとした、まるで鞠が綻んだかのような色とりどりのペチュニア。
 冬の寒さを越えて、新たに地植えされた彼らに導かれるように進むメルメッテ。
「花見の機会は確かにあんま無ぇんだけど、メルメっちは珍しそうだなァ?」
 共に訪れたキリジ・グッドウィン(レプリカントの量産型キャバリア・f31149)がゆっくりと目を瞬かせて見回しながらそう言えば、はい! とメルメッテの声。
「私には珍しいのでございます、施設で働いている日常では見る機会がないものでして」
 答える彼女の乳青色の目に鮮やかな色が映りこむ。
 ふぅん、とキリジは呟いた。
「ま、こういうのも悪くはない。存分に見て行こうぜ」
 芳醇な香りにふと視線を凝らせば沈丁花。淡いピンク、白と鞠状に花を咲かせた低木を辿っていけば、幾重にも花びらを重ねた大輪と出会う。
 数歩先を行くメルメッテが歓声を上げて止まったので、キリジは簡単に追いついた。
「可愛らしい! これが乙女椿なのでしょうか?」
「メルメっちの髪の色みてぇだな」
 天鵞絨のような淡いピンク色の乙女椿はとても綺麗に咲いていた。天気に恵まれた椿たちは可憐な心を開くように。
 葉の奥に隠れるような椿も見つけたりと観察するメルメッテだったが、ハッと何かに気付き、ぱっと顔を上げた。
「……ああっ、お待たせしてしまいましたか、キリジ様!?」
「あァ? 今は急ぐわけでもなしメルメっちも好きにしときな」
 そう言って、キリジは指をひらりと舞わせるように、ホラ、と上を差せば枝先を渡り行く緑鳥。
「メジロ、ヒヨドリ、コゲラ」
 すらりとしたヒヨドリ、まだら模様の可愛いコゲラと、見つけた小鳥たちを順番に指差していくキリジ。
「それに蝶。人が入らねェから好き勝手してる、アンタもそれって事で」
「ふふ、皆さん、自由に過ごされているのですね。それでは私もお言葉に甘えまして」
 ひらりひらりと気儘に飛んでいくモンシロチョウを目で追って、メルメッテは微笑んだ。
「あっ、キリジ様は?」
「勿論。既にオレも好き勝手させてもらってるぜ?」


 春の花を楽しみながら遊歩道を進んでいくと、高い木々も並び始めてくる。
「あ。メルメっち、桜だ」
「わ! こちらが桜でございますか」
 樹皮には光沢があり、触れると滑々していそうだ。
「時に、注目すべきは枝だな。染物の話となるが、椿は花、桜は枝を煮て色を抽出するとか。――見えざる所に命が詰まる。まぁ割となんでもそうだな……血管とか」
「まあ。それでは桜の場合は、色の源となる力が花よりも枝や幹に宿っていると」
 枝を辿れば淡い色が点々と。生命の流れを感じる木だと思った。
「現在は満開ではないのですね」
「こうやって少しずつ、数を増やしていくんだろうな。また満開の桜も見に来てぇなァ」
 青の空を背景に白からピンクのグラデーション。花々が咲き乱れ、差す陽射しの仄かな色が花弁一枚一枚を通す。
 満開の桜はどんなに見事なものだろうか、とメルメッテは考える。
「今以上に咲くとなると、花も色も、もっと広がって……次に見られるのはいつになる事でしょう」
 そうだなァとキリジ。
「満開も雨が降ったらそれすら待たずに散っちまう。レア度高いから、かなり意識しないと見れねぇ。メルメっちも根気よくいかねぇとな」
 雨が降っても散らない桜となれば、サクラミラージュの幻朧桜だろう。
 儚き桜ではあるが、こうやってまさに蕾から花開く様は生命力を感じる。その一瞬のための力を、メルメッテは見たいと思った。
 こくりと頷く。
「はい、キリジ様。確かに――生きていれば、いつか必ず巡って参りますよね」
 訪れるとたくさんの発見がある。
 自分の足で歩いて、触れて、少しずつ知って。
 満開の桜と逢う約束を、今ここで。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エール・ホーン
リグリグ(f10093)と

きれいっ
のんびりと腰をおろして微笑う

桜花の間から漏れる光に目を細め
きらきらっ
さーくら、さくさく♪
思わず口ずさむ桜の歌
一緒に歌ってくれるのが嬉しくて、楽しくて
より一層弾む歌声

そうだった!
トレイに預けたりんご飴とチョコバナナを慌てて両手に持って
あっちを食べて、こっちを食べて
おいしいっ

つまんでくれたカステラをぱくり
んん~ふふーっ。おいしいっ
へへ、リグリグありがとうっ!

ここ、桜以外も見られるんだよねぇ
あれは梅かな
此処からでも見えるけれど――
うん、椿も。食べ終わったら見に行こうっ

きれいなものぜーんぶっ
他でもないリグリグと満喫したいんだもの!
ふふ。いっぱいパシャパシャしちゃおうっ


リグ・アシュリーズ
エルル(f01626)と

わ……!お花、とっても綺麗ね!
広げたシートに足を伸ばして、頭上の桜を見上げるわ!

満開には遠いけど、ぷっくり膨れた蕾って可愛らしいのね!
枝の間から降る陽射しがあったかくて、目を閉じ。
聞こえてくるお歌はだれのかしら、と笑いながら
あわせてハミングしちゃうっ。

ふと思い出して、買ってたベビーカステラを取り出し。
エルルもいる?と、焼きたてほこほこを指先でつまんであーん。
どういたしましてっ!

わ、ホントね!と、視線は再びお花に。
梅に椿、桃の花も咲いてないかしら。
うん、見に行きましょ!
私だって、きれいなものぜーんぶっ。
エルルと一緒に心のカメラにおさめちゃうんだから!




 春先の柔らかな緑の絨毯に、春色のチェック柄シートを敷いて。
 脚を伸ばして見上げれば、青の空へと伸び広がる桜の枝。
「見て、エルル」
 すいっと舞わせるように上がる、リグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)の指。先には枝に散るように咲き始めたばかりの桜花たち。
「お花、とっても綺麗ね!」
「うんっ。さくら、きれいっ」
 リグの指先を追って辿って、エール・ホーン(ドリームキャスト・f01626)がうららかに微笑った。
「満開には遠いけれど、ぷっくり膨れた蕾も可愛らしいのね。少しずつ柔らかくなって花開くのかしら?」
 そう言ったリグに、隣に座るエールが「こんなかんじ?」と頬を膨らませた。誘われるように頬を軽く突いてみれば――かたい。空気がぱんぱんに入っているのだろう。とはいえ、保つわけでもなくあっという間に空気を逃したエールの頬は再び柔らかそうなものに。
 二人で楽しく笑って、再び桜を見上げた。
 枝や桜花の間から漏れる光、花びらを透いた陽射しは温かく、リグは細めた亜麻色の目をそのまま閉じた。
 どこか少し遠くにあるのだろう、甘い沈丁花の香り。
 風吹けば植物の擦れ合う微かな音楽。
 エールの見上げる枝も僅かに揺れて、光沢のある樹皮が春陽を弾いた。
「きらきらっ、さーくら、さくさく♪」
 光に促されたかのように、思わず口ずさむエールの桜の歌。
「――ふふ、聞こえてくるお歌はだれのかしら」
 目を閉じたまま微笑み呟いたリグが、エールの声に合わせてハミング。
 リズムに乗ってきた声に嬉しくなったエールもより一層歌声を弾ませれば、リグが追ってきてくれる。楽しい、楽しい、二重奏。


「あっ、そうだ。忘れてたわ」
 ぱちっと目を開いたリグが、買っておいたベビーカステラを取り出した。
 冷めてるかなぁと思ったけどベビーカステラはまだあたたかい。
 リグの動きを見て、「そうだった!」とエールも横に置いてあったトレイを寄せた。どこか慌てたように、りんご飴とチョコバナナを両手に持つ。
 まずはチョコバナナ。甘いチョコレートをコーティングしたバナナも、熟したものだったようで甘み増し増し。トッピング用のスプレーチョコは遊び心たっぷりの食感だ。
 りんご飴は確りとしたコーティングながらも、噛み付けば飴が砕ける。りんごはちょっと酸味のあるもので、飴との調和が丁度良かった。
「おいしいっ」
「うん、ベビーカステラもおいしいっ。エルルもいる?」
 ふわっとしっとり、丸い鈴のような形をしたベビーカステラをリグが勧めてみれば、エールは思いっきり頷いた。
 両手に花ならぬ両手にスイーツ状態のエールに笑みを零しながら、リグは指先でベビーカステラをつまんで少女の口元に。
「はい、あーん」
「あーん…………――んん~、ふふーっ。おいしいっ」
 ほにゃりと崩れたエールの表情に、リグもまた同じような表情に。
「へへ、リグリグありがとうっ!」
「どういたしましてっ!」
「リグリグもどうぞっ」
「ふふ、じゃありんご飴をひとくち貰おうかな?」
 差し出された二つを見比べて、こっち、と選んだリグがりんご飴を一口。
 また微笑み合って、景色を眺めながら食べていく。
 しばらくすると少し遠くを見るように、そして首を傾げたエールがリグを呼ぶ。
「あれは梅かな? 此処からでも見えるけれど――」
 と言ったエール視線を辿れば、少し遠くに鮮やかな紅。
「わ、ホントね! 他には椿、桃の花も咲いてないかしら」
「リグリグ、食べ終わったら見に行こうっ。ぼうけん、ぼーけん!」
 エールの食べるりんご飴もあと少し。
「うん、見に行きましょ! お花を探す旅ねっ」
 ひょいぱく、ひょいぱくと、リグもベビーカステラをつまんでは食べていく。
 後片付けをして、ピクニックシートを畳んで持って。
 次の目的地は、梅林。
 可憐な心を開くような椿。
 華やかな濃淡景色を広げる桃花。
 色付くたくさんの春の花は、上にも下にも。
 樹々の足元を彩る菜の花、花壇にはパンジーやペチュニア。
 あっちこっちと指を差して、エールはとっても忙しそう。
 何故かって? それは――。
「きれいなものぜーんぶっ。他でもないリグリグと満喫したいんだもの!」
「私だって、きれいなものぜーんぶっ。エルルと一緒に心のカメラにおさめちゃうんだから!」
 指で枠を作ってエールをおさめて、リグが笑う。
「ふふ。いっぱいパシャパシャしちゃおうっ」
 にこにこ笑顔でエールが言う。
 そのピンクの瞳に、亜麻色の瞳に、たくさんの色が映っていった。
 春の色、楽しい色、いつまでも褪せぬ色が心に映っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【月風】

そりゃよかった
ほっとしつつも手繋ごうと

乙女
へぇ…初めて見た
椿って言ったら赤とか濃いピンクだと思ってた
見た目もちょっと薔薇っぽい?

一緒に空見上げ
大小ピンクで綺麗だな
あ、見てっていいの?
じゃあたこ焼き
瑠碧姉さんは?
林檎飴とか
ん、何飲む?
二つ頼み

並んで腰を下ろし
差し出されれば目を丸くし
えっマジで?
やった!
ありがとうな
めっちゃ美味そう
頂きますと頬張り
うま
クレープ買わなくてよかったぜ
何で?和食じゃなくてもいいじゃん
ピクニックみたいで嬉しい
たこ焼き食う?
差出し

…そっか
師匠が桜好きだったし
何だかんだ毎年見れてるな
…今年は瑠碧姉さんと来れてよかったよ

髪に花びら付いてる
取ってもいい?
そっと髪に触れようと


泉宮・瑠碧
【月風】

まだ不慣れな世界ですが
植物も多い所で
理玖の手と共に、少し安堵

遊歩道を行けば
乙女椿に目がきらきら
確かに、花弁が多いですしね

飛んできた花に、桜を見上げ…
…理玖、何か食べます?
先に屋台を覘いてから
腰を落ち着けて観ましょう
私は、ジュースで
果物のおすすめを

適当なベンチに座り、お花見

小さな籐籠から
作ってきた苺のフルーツサンドの包みを
おずおず理玖へ
私、和食、あまり知らなくて…
風情が無くて、すみません
嬉しいと聞けば、ほっと笑んで
一つ、いただきます

他の世界でも、桜は観ましたが…
どの世界で、何度見ても、綺麗だと思います
…私も、理玖と来れて、良かったです

どうぞ、と
理玖に花びらを任れば
…心が少し、くすぐったい




 視界や空を遮る高い建物に、耳慣れぬ音の連続。活気のある場所はアックス&ウィザーズの喧騒と似ていたが、夜はいつまでも明るい。
 そんなUDCアースは、泉宮・瑠碧(月白・f04280)にとってはまだ不慣れな世界だった。小さな籐籠をお守りのように提げて。
 彼女が緊張を緩めたのは緑の多い公園へと入った時で、手を繋ぎそれを感じ取った陽向・理玖(夏疾風・f22773)は密かにほっと安堵する。
「理玖、あちらに看板が」
 木造りの看板を見つけた瑠碧が声を掛ければ、ああ、と理玖が近寄っていく。
「公園の案内板だな」
「げんざいち……ここが、いま私たちがいる場所なのですね」
 赤い矢印と丸の図を示して瑠碧。遊歩道を行く最中に様々な園があるようだ。
 楽しみですね、と言えば理玖が頷く。
 春になって地植えされたのであろう花壇には、軽やかな花びらで人目を惹く黄や紫、白のパンジー。
 ひらひらとした紗をぎゅっと詰めたかのような色とりどりのペチュニア。
 塀のように並ぶ木々には乙女椿が咲いていた。
 天鵞絨の如き質感と淡いピンク色の乙女椿は可愛らしい。
 瑠碧の深い青の瞳が椿の色を映しキラキラと。
「これは……なんて見事な……」
 傷一つなく、滑らかな色は損なわれていない。
 色褪せる訪れが早い花の一種だが、天気に恵まれた椿たちは可憐な心を開き、道行く者を楽しませているようだ。
「これが乙女椿? ……へぇ……初めて見た」
 理玖も身を屈めて、じいっと椿を観察する。
「椿って言ったら赤とか濃いピンクだと思ってた。……見た目もちょっと薔薇っぽい?」
「確かに、花弁が多いですしね――あ、この子はまだ中心が丸っこいですね……」
 宝珠咲きの椿も見つけて、その個体差を楽しんでいく。
 そういえば、と瑠碧が何かに気付いたのかふと呟いた。遊歩道の分かれ道。確かあっちは、と地図を思い出す。
「……理玖、何か食べます?」
「あ、見てっていいの? じゃあ――たこ焼き」
 屋台の続く場で早々にたこ焼き屋を見つけて、あっちだな、と理玖が行く。
「おっさん、たこ焼きひとつ」
 慣れた手つきでたこ焼きを作っていたUDC組織員が「あいよ」と軽やかに応じた。
「瑠碧姉さんは?」
 たこ焼きを受け取りながら瑠碧へ声を掛ける理玖だったが、彼女は少し戸惑ったような表情。あー、と口の中で呟きながら辺りを見回す。
「林檎飴とかあるぜ? 一緒にぶどうとかイチゴを飴にしたやつもある」
「……果物……そうですね……果物のジュースをいただきたいです」
 そう言われて、再び見回せばさくっと見つかるジュース屋台。
 果物しぼりたてのジュースを提供するフレッシュジュース屋台だった。メニューはリンゴや、マンゴー、ライムやライチ。ミックスしたものなど。
「ん、何飲む?」
「……今のおすすめを頼みましょうか」
 新鮮な果物の香りに囲まれては迷ってしまいそうだ。理玖に応じたあと瑠碧がUDC組織員へ尋ねてみれば旬のネーブルオレンジをオススメされた。
「じゃ、それ二つで」
 理玖が改めて頼めば、冷やされていたネーブルオレンジが絞られていく。

 屋台の通りを離れて再びしばらく歩けば、桜と花壇と、お花見ができるちょっとした広場。そこのベンチに座って休憩することにした二人。
 瑠碧が少しそわそわとし始めて、どうしたんだろうと理玖が見れば、彼女は提げていた小さな藤籠から包みを取り出した。
「あの、理玖。これ、作ってきたので……良ければ、ですが……」
 すらりとした指先が包みを開くと、そこにはイチゴのフルーツサンド。
「えっマジで? ――やった!」
 目を丸くした理玖が、一瞬で笑顔になった。
「ありがとうな。うわ、めっちゃ美味そう」
 ふかふかとしたパンと、切り口には間に挟まれたクリーム、綺麗に揃い並ぶイチゴ。
 いただきます、と言って理玖が頬張る。その様子をどこか緊張した面持ちで見守る瑠碧。
「うま。クレープ買わなくてよかったぜ」
「……よかった。私、和食、あまり知らなくて……風情が無くて、すみません」
 瑠碧の言葉に、え。と理玖が止まる。
「何で? 和食じゃなくてもいいじゃん。サンドイッチとかピクニックみたいで嬉しいし」
 バスケットに色んなサンドイッチを詰めてピクニックの図を、軽く説明する理玖。
 嬉しいという言葉に瑠碧はほっとして微笑んだ。
「あ。俺も。瑠碧姉さん、たこ焼き食う?」
「一つ、いただきます」
「ん」
 たこ焼きに爪楊枝を刺し、いつでも持てるようにセッティング。食べやすいサイズのたこ焼きを味わって、オレンジジュースを飲めば爽やかな甘みが一層引き立てられた。


 ベンチに座って見上げれば、陽射しを弾く光沢ある樹皮と空へ伸びる枝。そこには大小の桜花たち。まだ咲き始めたばかりの桜であったが、ひらり、と花弁が舞い落ちる。
「もう少し暖かくなれば満開になるかな」
 理玖の言葉に瑠碧は頷いて。
「他の世界でも、桜は観ましたが……どの世界で、何度見ても、綺麗だと思います」
「……そっか。師匠が桜好きだったし、何だかんだ毎年見れてるな」
 大あれ小あれ、節目も象徴しているかのような桜花。春が来れば咲き誇り、儚く散りてと繰り返す。
「……今年は瑠碧姉さんと来れてよかったよ」
「……私も、理玖と来れて、良かったです」
 うららかな景色のなか、穏やかな声が交わされた。
 一枚、舞う花弁を理玖が目で追えば淡いそれは瑠碧の髪へ。当然だが彼女は気付いていない。
「瑠碧姉さん、髪に花びら付いてる。取ってもいい?」
 そろりと緩く上がった指に、どうぞ、と瑠碧は自身の頭を僅かに傾けた。
 さらさらと絹のような髪に触れた指先。そっと摘んだ桜の花弁。
「取れました?」
 微かに震えたかのような声だった。
「ん、取れた」
 ほら、と見せれば瑠碧は頷きを返す。
 舞い降りた花弁が一枚。
 咲き始めたそれはほんのりと淡く色づいていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

兎乃・零時
💎🌈
アドリブ歓迎

事前に購入したソフトクリームをもぐもぐ食べながらベンチに座って

花開く前の桜って初めて見たのか?
実は俺様もなんだ…毎回満開だもん、見る時って。
こーゆうのもたまにゃ良いよな

心結は桜が好きなのか
俺様も好きだ!
桜を魔術に…?
ん~、そうだな…

ソフトクリームを飲み込んで
異次元ウエストポーチから魔術書を一冊取り出す

…この魔術書にゃ自然属性系列のが乗ってたし…桜魔術ってのも有りだと思う!
例えば桜の花びら自体を触媒にして力を引き出すとかも出来るかもだし
蕾でも大丈夫さ

おぅ、分かった!

!!おぉ…めっちゃ綺麗だ…
(心結は俺様以上に成長が早いなぁ……負けてらんねぇ…!)

分かったぜ!勿論手伝うともさ!


音海・心結
💎🌈
※アドリブ歓迎

既に購入した桜のソフトクリームを片手に
二人並んで桜の木の下のベンチに座る

花開く前の桜は初めて見ましたねぇ
これもこれで風情があるのです
……桜、桜
みゆは桜が好きです
これを魔術に活かせないでしょうか?

持ち歩いているなんて、流石ですっ
みゆにも見せてくださいっ!

桜の花弁から力を借りる……
ふむり
この蕾でもよいのでしょうか?

落ちた蕾を一輪
桜の力をイメージする

ピンクで儚くて、みゆの好きなもの
……桜魔方陣、出せそうです
見ていてくれますか?

掌を地面に向ければ、小さな魔方陣

まだまだ大きくなりそうですねぇ
もっと桜を集めましょうっ
きっと大きな桜魔方陣が出来るはずですっ
零時、手伝ってくれますよね?



 青い空に伸びていく枝にぽつり、ぽつりと淡いピンクの花。
 咲き始めたばかりのそれは少し遠目となれば白さが際立つ。
 兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)と音海・心結(瞳に移るは・f04636)は並んでベンチに座って、桜の木を見上げた。
 春の陽射しを弾く樹皮はつややかな光沢。
「花開く前の桜は初めて見ましたねぇ」
 心結の言葉に、そうなのか? と零時は目を丸くした。
「実は俺様もなんだ……毎回満開だもん、見る時って」
「一緒ですねぇ。これもこれで、風情があるのです」
 そう思いませんか? 見上げていた視線を落とし、心結が言う。
 二人の手には桜色のソフトクリーム。調理過程で香りを引きだしたのだろう、そのスイーツからは桜の香り。
 零時はこくりと頷いて、
「こーゆうのもたまにゃ良いよな」
 そう言って冷たくて甘いソフトクリームを舌で掬う。
 色付き始めた桜花は大小とあり、満開でないからこそ、ひとつひとつがより可愛らしく感じた。
「……さくら、桜」
 どこか口ずさむように心結。
「零時、みゆは桜が好きです」
「そうか。心結は桜が好きなのか。俺様も好きだ!」
 またまた一緒だな! と、おひさまのような笑顔になる零時。
 にこっと心結も微笑みを返す。ちょっとばかり含みのあるそれは、良いことを思いついたという類のもの。
「それでですね、みゆは考えたのですけれど、これを魔術に活かせないでしょうか?」
 彼女の言葉に思いも寄らなかったのか、零時は目を瞠った。
「桜を魔術に……?」
 手にあるソフトクリームを見て、そして頭上の桜花を見上げ眺めて、「ん~……そうだな……」と零時は思案顔。
 よし、という一言ののち、ソフトクリームを食べ切って、零時はウエストポーチから魔術書を取り出した。大きさの合わない書が出てきたようであったが、一見普通の大きさのポーチの中は異次元だ。魔術書も何冊か入れてあるのだろう。
「……この魔術書にゃ自然属性系列のが乗ってたし……桜魔術ってのも有りだと思う!」
 書を目にした心結は輝かしい金の瞳をよりキラキラとさせた。
「持ち歩いているなんて、流石ですっ。みゆにも見せてくださいっ!」
 並んで座っていた二人。心結は肩と頭を寄せて、零時は彼女が読めるように僅かに場所を譲って。
「桜を『真名』として個体解釈の四元論。――例えば桜の花びら自体を触媒にして力を引き出すのなら、そこへ至るまで、個体である地の術式から花開かせる風の術式……」
「桜の花弁から力を借りる……ふむり?」
 自然属性となるのなら、過程は成育だ。展開術式はそれに寄るものとなるだろう。
 心結は考えて、周囲を見回すように。そして見つけたのか地面から何かを摘み拾った。
「ありました。この蕾でもよいのでしょうか?」
 訪れたばかりの春風に煽られ落ちてしまったのだろう。心結は桜蕾を手にしていた。
「蕾でも大丈夫さ」
 快諾するかのように零時は頷く。
 それじゃあ、と再び蕾を心結は丁寧に地面に置いて。
 手を組み、想い描いたのは満開の桜の光景。そこへ至るまでのたくさんの光と、風と。
(「ピンクで儚くて、みゆの好きなもの――」)
 時を迎えれば儚く舞い散る桜だけれども、壮麗な桜は人に笑顔も与えてくれる。
「……桜魔方陣、出せそうです。見ていてくれますか?」
「おぅ、分かった!」
 確りと零時に頷かれ、勇気づけられた心結は地面の蕾へと向き合った。
 掌を地面に向ければ淡いピンクの糸が紡がれて――そこには小さな魔方陣が。
「!! おぉ……めっちゃ綺麗だ……」
 頭上の咲き始めた桜たちのように、成長の余地ある展開陣。式を読み解きながら零時は感嘆する。
(「心結は俺様以上に成長が早いなぁ……負けてらんねぇ……!」)
 励みに励み、向上しあう二人の力。
 ほぅっと息を吐いて心結は力を緩めた。桜魔方陣は消えて、淡く、光が地を揺蕩う。
 それは空舞う花弁のようにも見えた。
「まだまだ大きくなりそうですねぇ。もっと桜を集めましょうっ。きっと大きな桜魔方陣が出来るはずですっ!」
 自身の力がどこまでゆけるのか。満開の桜のような絢爛儚き魔方陣が心結の脳裏に描かれた。
 試したいという気持ち。
 挑戦したいという気持ち。
「零時、手伝ってくれますよね?」
「ああ! もちろん手伝うともさ!」
 新しい力は歓迎だ! と零時。
 蕾が綻び花開くような――清浄明潔の道を二人は歩んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニオ・リュードベリ
【先輩後輩】

日本の春って綺麗だねぇ
そんな風にのんびりしながらひびき先輩と一緒に公園へ
桜は知ってるけど、梅とか椿も綺麗だね
先輩はお花好き? あたしは大好き!

……お花も好きだけど美味しいものも大好きなのはとっくにバレてるよね
ふふーん、UDCの皆さんに感謝しつつ屋台巡りしちゃうもんね
ちゃ、ちゃんと依頼のことも覚えてるから!
大丈夫!

いちご飴とジュースを手に桜の下へ
後でクレープとかベビーカステラも食べないと……
そんなことを考えつつ暫くまったり

先輩は受験生だったんだよね、お疲れ様
あたしも一応勉強は続けてるけど……学校のこととか、考えないとだよね
春から学校に通ってみるのも楽しいかも
春は出会いの季節だもんね!


茜谷・ひびき
【先輩後輩】

後輩分のニオと一緒に花見へ
ここ暫く受験とかで忙しかったからな
のんびりするのは久しぶり
春の花はどれも綺麗だな、俺も好きだよ

……とは言いつつニオは屋台の方をちらちら見ている
甘いもん食いたいんだろ?
いいよ、行こうぜ
でも食いすぎて後で動けないのは勘弁な
そんな風に笑い合いつつまずは食い物を買おう

屋台のたこ焼きって妙に美味いんだよなぁ
ジュースと一緒につまみつつ、暫く桜の下へ

受験のことを労われて少しびっくり
そういえばニオも元々はUDCの学生なんだよな
色々事情があるのは分かるが……将来のことも考えねぇとな
学校通うのもいいんじゃないか?
組織なら色々手配してくれるだろうし
良い出会いがあるの、祈ってるぜ




 いずれ満開の桜を迎える公園には、他にもたくさんの植物があった。
 冬を越えてから地植えされたパンジーやペチュニアは色とりどり鮮やかで、散策する者の目を楽しませてくれる。
「わ~、日本の春って綺麗だねぇ」
 いつもはどこかハイテンションなニオ・リュードベリ(空明の嬉遊曲・f19590)も、春先の陽射しにぽかぽか温められて寝転び伸びた猫のようなのんびり声。
「あ、ちょうちょ」
 花から花へ。モンシロチョウがひらひらと飛んでいくのを目で追った。
「先輩、のんびり歩こうね~」
「そうだな」
 ニオの言葉に頷いたのは茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)だ。思えばのんびりと過ごすのは久しぶりだった。ここしばらくは受験にかかりきりでひびきは忙しかったのだ。
 その日々を思うと――、
(「机に向かってばっかりだったしな」)
 何だか体も凝ってきた気がして、ひびきは歩きながら軽くストレッチ。
「あ、梅だよ先輩。空にまっすぐのびる枝がカッコイイね」
 花がこぼれ始めている梅の木を指差しながらニオ。
 少し歩けば次は椿垣だ。緑葉の間に、薔薇のような千重咲の乙女椿。
「ピンク色でかわいい! 桜は知ってるけど、梅とか椿も綺麗だね」
 こっちなんてマーブル模様の椿だよ、と、青髪をふわふわ揺らしてニオが駆け寄っていく。
「ねねね、先輩はお花好き? あたしは大好き!」
「俺も好きだよ。――春の花はどれも綺麗だな」
 木々の足元を彩る菜の花も優しく風に揺れている。
 ひびきは目を細めた。
 うららかな春陽のなかで咲き始めた春の花たち。枝を渡る小鳥も春を喜んでいるかのようだ。


 遊歩道を歩いていくと分かれ道。
 片方の道からは良い匂いが漂ってきていて、少し騒がしい。ひびきが目を向ければ賑やかな屋台の並び。
 花を見ながらも先程から、ちらっ、ちらっと視線を向けていたニオはどこかそわそわとしていた。
「ニオ、甘いもん食いたいんだろ? 行こうぜ」
「いいの!?」
「いいよ」
 やったぁ、と、ニオの歩みはのんびりとしたものからステップを踏む軽やかなものになった。
「でも食いすぎて後で動けないのは勘弁な」
「だ、大丈夫だよ! ちゃーんと依頼のことも覚えてるから」
 意地悪な笑みを浮かべてからかうひびきに言葉を返して、ニオが屋台でできた通りを歩く。
 作りたてのベビーカステラはまだ温かくてふかふかしていそうだ。
 稼働している機械からはふわふわの綿菓子が。
 薄く焼いた生地には甘そうなホイップクリーム。旬のフルーツと艶やかなジャムやチョコレート。
「ふふーん、ど、れ、に、しよう、か、なー!」
「猟兵のお嬢さん、スイーツの飴はどう? 今、いちごが旬だしね♪」
 迷ったニオが見回していると、リンゴやブドウなどのフルーツを使った飴屋さん。
「いちごも良いね。じゃあ、いちご飴にしようっと!」
「ありがとうございます~」
 UDC組織員から串に刺したいちご飴を受け取って、ニオはたこ焼き屋の前にいたひびきの元へ戻った。
 ジュースは旬のネーブルオレンジを使ったものを選んで。
 咲き始めた桜の下のベンチに並んで座って、二人でいただきますをして。
 まだアツアツのたこ焼きを頬張りながら「うま」とひびきは呟いた。
「屋台のたこ焼きって妙に美味いんだよなぁ」
「あたしのいちご飴もね、隠し味にはちみつが入ってるみたい」
 柔らかな、中身がとろりとしているたこ焼き。
 コクのある飴と酸味のあるいちごは絶妙な相性だ。
 屋台ごはんやスイーツは、こうやって外で食べるとより美味しい。
(「あとでクレープとかベビーカステラも食べないと……」)
 ニオが心の中でメモをする。途中、見かけたものもとても美味しそうだった。
 そうやってしばらく二人でまったりと過ごす。ふと、咲き始めた桜を見上げたニオが何かに気付いたように。
「……あ。先輩って、今年は受験生だったんだよね、お疲れ様」
「え」
 いきなり受験のことを労われて、ひびきは驚きの表情を隠せない。
「ありがとう……?」
「どうしてそんなに驚くのっ。あのね、あたしも一応勉強は続けてるけど……学校のこととか、考えないとだよね、って思って」
「――そういえばニオも元々はUDCの学生だったか」
 アリスラビリンスでの戦いの最中、記憶を取り戻したニオ。ならば、とひびきは頷いた。
「色々事情があるのは分かるが……将来のことも考えねぇとな。そうだな――学校通うのもいいんじゃないか?」
「学校か~」
「組織なら色々手配してくれるだろうし」
「――そうだね。春から新学期だし、心機一転、学校に通ってみるのも楽しいかも!」
 考えるように脚をぷらぷらと遊ばせていたニオは、話しながら決心を固めていったようだ。強く頷いて、にこっと笑顔。
「それに、春は出会いの季節だもんね!」
「そうそう。友達が出来るかもしれない、恩師となる人と出会えるかもしれない――良い出会いがあるの、祈ってるぜ」
 ひびきが勇気づけるように言葉を紡ぐ。
 うん、ありがと。
 お礼を言うニオの声はちょっと緊張している様子。けれども笑顔のままなのは、きっと楽しみだという気持ちが強いからだろう。

 咲き始めた桜が、いずれ満開の日を迎えるように。
 ニオの新しい一歩が、いずれ日々を彩り満たしていくように。
 未来の道へと進むひびきを、応援するように。
 育みの春風が二人の背をそうっと押した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
【恋華荘】
理緒さん奏莉さん姉妹と共にお花見です
後の事を考えなければ、のんびりとしたお花見日和ですね

両手に花というか、仲の良い姉妹を見ているだけでほのぼのしてしまいます

しばらくは屋台巡り
奏莉さんに大きなわたあめを買ってあげていると、理緒さんが何やら不穏な屋台に…不吉なくらい赤い気が…
え、私にですか…いえまぁ、これを奏莉さんに食べさせるわけにもいきませんし…理緒さんの特製の赤いトッポギ…
あーん
うっ、舌が焼けそうな…で、でも、お、美味しいですよ?(にこっ

…って、何言ってるんですか奏莉さん
いくら何でも奏莉さんみたいな大きな子供がいる年では…というか増えるも何もそもそも子供いませんからね?(汗


菫宮・理緒
【恋華荘】

お花見からの美術館。
余計なのがでてこなければ、完璧なデートコースなのにね。

ま、いちごさんもいるし、久しぶりに奏莉ちゃんともお出かけできるし、
遊びにこられただけでも、十分かな。

でも屋台はやっぱり、甘いものが多いなぁ。
なるべくなら辛いものがいいんだけど……。

トッポギ?
最近はこんな屋台もあるんだ。これは赤くていいね!
しかも唐辛子使い放題とか、これはいい!

あ、奏莉ちゃんはかけないほうがいいと思うよ。
いちごさんには唐辛子たっぷりを『あーん』しちゃうけど!

かかかか奏莉ちゃん!?
いきなり何を言い出すの-!?
これ以上子供が増えるのはダメだよ!

奏莉ちゃんだけなら、
いちごさんさえよければ……だけどね!


菫宮・奏莉
【恋華荘】

久しぶりに理緒お姉ちゃんとおでかけなのです!

しかも今日はいちごお兄ちゃんもいっしょに来てくれるみたいで、
なんだかわくわくです!

お花も綺麗ですし、屋台もたくさんで、
すごく賑やかなのですよ。

……わ、これすごいです。
お姉ちゃん、いちごさん、みてくださーい!

身体が半分隠れそうなわたあめを掲げてでてきたら、
お姉ちゃんがなにか真っ赤なものを……?

トッポギっていうのですか?
とっても美味しそうですけど、
お姉ちゃんの味付けではない、ですよね?(びくびく)

ふわぁ……あーん、とかしちゃってるのです。
お姉ちゃんとお兄ちゃん、とっても仲良しなのです。
なんだか、お姉ちゃんとお兄ちゃんの子供になった気分なのです!



「理緒お姉ちゃん、いちごお兄ちゃん、今日はよろしくおねがいしますね!」
 菫宮・奏莉(血まみれ勇者・f32133)がぺこりとお辞儀をすれば、姉である菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はふわりと微笑む。
「うん、こちらこそ、よろしくね奏莉ちゃん。いちごさんも」
「後の事を考えなければ、のんびりとしたお花見日和ですし、ゆっくりいきましょう」
 彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)が緩やかに頷いた。
 訪れた公園の遊歩道で、初めは一緒に並んで歩いていた三人だったが、奏莉は次第にわくわくとテンションも上がってきたのだろう。先程のしっかりとした様子が少しほぐれて、子供らしい笑顔を浮かべ始めた。
 ちょっと駆け足で先に行って、理緒といちごに見つけた花を紹介するように振り向く。
「お花、綺麗! パンジーが可愛く咲いていますね――モンシロチョウも楽しそうです」
 そう言って、花から花へとをひらひら渡り飛んでいくモンシロチョウのあとを歩く。
「あっ、さくらです。――こっちは薔薇みたいに見えますが、違うような気がします」
「これが乙女椿だね。ほら、奏莉ちゃん、こっちの咲きかけているものは宝珠咲きっていうんだって」
 緑生い茂る低木にピンク色の千重咲き。
 花が開きつつも中心に丸い蕾。宝珠咲きのそれを見た姉妹は感嘆の声。
 そんな二人の様子を見ていちごはずっとにこにこしている。
(「両手に花というか、仲の良い姉妹を見ているだけでほのぼのしてしまいますね」)
 公園の入り口でチェックした看板通りの遊歩道を行く三人。ある分かれ道が見えた時、いちごが姉妹に声を掛けた。
「理緒さん、奏莉さん、こっちに行くと屋台が並んでいるみたいですよ」
「わ。ついついお花見に夢中になっちゃった。教えてくれてありがとう、いちごさん」
 奏莉ちゃん、何か食べよう。
 と、理緒が声を掛ければ「はぁい」と可愛らしい返事をして奏莉が駆け寄ってくる。
 ずらりと屋台が並ぶ広場に出れば、たこ焼き、イカ焼き、焼きトウモロコシなどの香ばしい匂い。
 飴細工の店やフレッシュフルーツジュースの店、ベビーカステラと食べ物屋台定番の品々。
 その中で奏莉の視線が釘付けになったのは、大きな機械で作られていく『白い雲』。
「こんにちは、猟兵のお嬢さん。わたあめはいかがですか?」
「こんにちは! ……わあ。わたあめ、すごいです。お姉ちゃん、いちごさん、みてくださーい!」
 二本の箸をくるくると。どんどんと大きくなっていくわたあめ。
 UDC組織員にその大きなわたあめを貰った奏莉が二人に掲げて見せた。
「すごい、奏莉ちゃん。ふわふわな綿あめだ」
「わあ、凄く大きな綿あめを貰ったんだね。――えっとお代は……」
「あっ、お代はいいですよ、猟兵さん! 何せこれもUDCの怪異を解決するための策。どうぞ今は楽しく過ごしてください」
 いちごが財布を出そうとすれば、サポートに徹するUDC組織員がぱたぱたと手を振った。
「それじゃあ御馳走になります」
「ごちそうになります!」
 いちごがお礼を言えば、倣って奏莉もお辞儀をした。
 一方、理緒は――。
(「屋台はやっぱり、甘いものが多いなぁ。なるべくなら辛いものがいいんだけど……」)
 香ばしいのも今はちょっとお呼びじゃないしなぁ、と理緒が周囲を見回していれば、ピリリッとくる辛さを感じる空気。
 見つけたのは、燃え盛るようなイラストののれんを掲げた屋台。
「これは……トッポギ?」
 ちょっとばかり長いものが赤の海を揺蕩っているようだ。
「最近はこんな屋台もあるんだ。これは赤くていいね!」
 それに! と横へ視線を映せば、
「しかも唐辛子使い放題だよ。これはいい!」
 両手で小さくガッツポーズをして、組織のおじさんに声を掛ける理緒。
「はい、唐辛子はどれくらい入れましょうか?」
「たっぷりで!」
 辛そうなタレをたっぷりと絡めて白い器に盛りつけ、更に唐辛子。トッポギのお供におでんや天ぷらもある。
「お姉ちゃん、その赤いのは……?」
 綿あめを持って寄ってきた奏莉といちご。
「理緒さん……何やら不穏な……赤さですね」
 それはそれは不吉なくらいに。いちごはちょっと引きつった笑みを浮かべている。
「これはねー、トッポギ! とっても辛そうで美味しそうだよね」
 ご機嫌な理緒に、奏莉もつられてにこにこ。
「トッポギっていうのですか? とっても美味しそうですけど、……お姉ちゃんの味付けではない……ですよね?」
「基本はね。わたしは唐辛子をたっぷり入れてもらったけれど。奏莉ちゃんが食べるのなら、チーズをのせたものだったり、甘いちくわの天ぷらをお供にしてみたらどうかな?」
 美味しいよ! と食べて見せる理緒。
「ほら、いちごさんも。食べてみて」
 箸で摘んだ一本を、あーん、といちごの方へ持っていく理緒。
「え、私にですか……」
(「いえまぁ、これを奏莉さんに食べさせるわけにもいきませんし……理緒さんの特製の赤いトッポギ……」)
 考えること二秒ほど。
 覚悟を決めたいちごは「あーん」と口を開けた。
 滑りこんでくる赤い物。ツンとした、香りも辛いというトッポギ。
「……うっ、……舌が焼けそうな……」
 食べたその瞬間から顔も体も火照って涙目になってしまう。
「で、でも、お、美味しいですね?」
 顔を赤くしながらにこっと微笑むいちご。そうでしょう? と理緒も笑顔だ。
 それじゃあもうひとつ。あーん。
 そんな二人を見比べて、ふわぁ、と声を上げたのは奏莉。
「お姉ちゃんとお兄ちゃん、あーん、とかしちゃってるのです。とっても仲良しなのです!」
 仲良しなのはよいこと。うん、と奏莉は頷いて。
「奏莉、なんだか、お姉ちゃんとお兄ちゃんの子供になった気分なのです!」
「かかかか奏莉ちゃん!? いきなり何を言い出すのー!? これ以上子供が増えるのはダメだよ!」
「……って、何言ってるんですか奏莉さん。いくら何でも奏莉さんみたいな大きな子供がいる年では――…………――いえ、というか増えるも何もそもそも子供いませんからね?」
 理緒の言葉後半は聞き逃すわけにはいかない。きっちりと事実を伝えるいちご。
 あれ? と理緒は首を傾げた。
 果たしてこの汗は、辛い物を食べたからなのか、それとも――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蛇塚・レモン
【箱庭】
あたいとひりょさんは屋台で買い出しっ!

ひりょさんと二手に分かれるよ
UCで呼んだあたいと同じ姿の蛇神様(両方紅眼)と
影の中のヤミちゃんと協力
人海戦術で屋台メシを買い込むよっ!

焼きそば!
たこ焼き!
焼きもろこし!
じゃがバター!
お好み焼き!
フランクフルト!
全制覇行っちゃおーっ!

も~、ひりょさんってば
あたい、多重人格者だし、UCだよっ?

ヴィクターおじ様、場所取りありが、と……猟兵の特性って凄いね
(色々出てる&周囲がスルーにビックリ)

シャルロットさんは何を買ってきたのかなっ?
……え、マジ?
高くなかったっ?

ほら、サージェさんもみんなもっ!
一緒に梅の花を眺めながら、いっぱい食べよっ?
もう春だなぁ~っ!


鳳凰院・ひりょ
【箱庭】
今回は5人で行動だ!最初はぼっちかと思ってたから、凄く楽しみ!
よし、俺はレモンさんと手分けして屋台で買い出しだ!

俺はこの後の戦闘の事もあるし甘酒を調達してみるか
未成年もいるから念のため酒粕じゃなくて米粕使ってる方を探してみよう

よし、甘酒調達完了~
ん?あれ?(目をごしごし
レモンさんが二人いる?
甘酒の匂いだけで俺酔ったのか?
あ、あぁ…UCか、びっくりした(汗

お~い、お待たせ~!
っ!あれは…(ヴィクターさんの影に思わず身構え)
いや、敵意は無いみたいだしサージェさん達が警戒していないし…大丈夫か?

シャルロットさん、それかなり高いケーキなんじゃ…(汗
奮発したんだね…

よし、目一杯花見楽しむぞ〜!


ヴィクター・グレイン
【箱庭】
「陽当たりも良く…木陰で休むにも十分な大きさ、程よく吹く風を邪魔しないこの樹にするか……。」
自身の影から三体の獣が這い出てくる。
夜咫鴉は梅の樹を中心に飛び回り、闇人は樹の側でうたた寝。黒猟狼は日の当たる所で伸びている。
「さてあとはあいつ等を待つとするか。」
自身の身体を寄り掛けて残りの三人を待つ。

ヴィクターとその影達の目当ては甘い物、それ以外は眼中にない。


シャルロット・シフファート
【箱庭】
UDCアースもまた春がやってきたわね。
私も久しぶりに息抜きをしましょうか。
皆と合流する前に都内の高級ケーキ店にてフルセットを人数分注文して受け取り。
ショートケーキ、チョコケーキ、チーズケーキ、モンブラン、ミルクレープの五点セットが人数分用意してあるわ。
え?値段?高いけど特許のライセンス料に比べたら雀の涙よ。電脳魔術師と言う力を活かしてエレクトロニクスで仕事しているしね。
後、飲み物も高級果実店の生絞りジュースも持ってきたのよ。
そう言ってジュースとケーキを優雅に分けていって乾杯の準備をする。

屋台の食べ物って職人の味が出ているわよね。そう言いながら焼きそばを食べていく。


サージェ・ライト
【箱庭】で参加
今なら梅の花の方が綺麗に咲いてそう?
私はヴィクターさんと場所取りを
買い出しはお任せしました、いってらっしゃーい
って手を振ってる間にヴィクターさん行ってるー?!
追いかけないとー!

早速ヴィクターさんがいい感じの梅の木を見つけたので
日当たり良好な近くにビニールシートをちょっと広めに敷いて確保です
人数増えそうな予感ですしね(ヴィクターさんの影さんとか見つつ)

おかえりなさーい
おお、レモンさん戦利品大量ですね
それからひりょさんの甘酒にシャルロットさんのケーキっと
パーティー会場?ここ?
あ、花見ですね

やっぱり梅の花が綺麗ですねー
桜の淡いピンクも素敵ですけど
梅は色取り取りなのがとってもいいですね♪




 公園に入れば遊歩道沿いに地植えされたパンジーやペチュニアといった色とりどりの花。
 桜の方はといえば、まだ咲き始めたばかりの時期。
 額に手を翳して見上げたサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は少し向こうにある紅色を見つけた。
「今の時期だと、梅の花の方が綺麗に咲いてそうですね。あっちに梅林があるみたいです」
「それじゃあ今日は梅の花でお花見をしよう」
 じゃあ俺たちは買い出しに行ってくるね、と鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)。
「はーい、お任せしましたっ、いってらっしゃーい」
「美味しいもの買ってくるねー!」
 ひりょと一緒に買い出し組となった蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)とサージェが手を振り合って、一旦のお別れ。
「では、ヴィクターさん、私たちも――って手を振ってる間に行ってるー?!」
 振り返ればそこにいたはずのヴィクター・グレイン(見張りを"見張る"者・f28558)がいない。ハッとして見つけたのは、どんどんと遠ざかっていくヴィクターの背中。躊躇なしである。
 慌てて追いかけるサージェ。
 二人が進んでいけば、天へと伸びた枝に紅梅や白梅を咲き誇らせた林がそこにはあった。
 今まさにこぼ落ちていく梅たちで大地も点々とした彩りに。爽やかな梅香が春風にのっていく。
 わあ、とサージェが感嘆の声。
 ヴィクターは視線を巡らせて大きな梅の木へと向かった。
「陽当たりも良く……木陰で休むにも十分な大きさ――程よく吹く風を邪魔しないこの樹にするか……」
 幹こそは細いものの、枝の広がりが良い。立枝が少ないからだろう。
 ヴィクターの影にも枝影が差し、そこから三体の獣が這い出てきた。八咫鴉はすいっと上空へ、枝と枝の間を抜けて飛び回る。バケツ頭の闇人は這い出るも動いたのはそこそこ。這い出た時の姿勢を崩さないまま、根元でうたた寝をし始める。
 黒猟狼の方はといえば、頭を振ったかと思えば少し離れるように陽射しの振り注ぐ影無き場所へ。地面を前脚で掻き、寝床を作り始めた。
「さて。あとはあいつ等を待つとするか」
「待って待ってヴィクターさん、ピクニックシートを今敷きますからね!」
 やっぱり躊躇なくヴィクターがそのまま座ろうとするので、サージェは急いでシートを広げた。春らしい色のチェック柄だ。
「広めなのを持ってきて良かったです」
 ほっと安堵しながらサージェが影たちを見ていけば、八咫鴉は枝から枝へ。梅花を巡るように。
 黒猟狼は良い窪みを作れたのか、伏せてぽかぽか陽射しを吸収しながら伸び始めている。
 和やかだなぁと思って眺めていると、向こうから見知った姿。
「ああ、いたいた。良い場所を見つけたわね」
 シャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス・f23708)だ。
 自走するキャリーケースを連れており、塞がった彼女の両手には少し上質な箱たち。
「はい、これ。――座っていると丁度良い高さね」
 と、背高のヴィクターに箱を渡すシャルロット。
「?」
 一瞬なんだこれはという顔をしたヴィクターであったが、箱から醸し出される甘い香りには直ぐに気付いたようだ。そっとシートの上に置いた。わりと自身の方に寄せて。
「シャルロットさん、そのキャリーケースには何が入ってるんですか?」
「食器よ。『それ』を食べるのだから、フォークやスプーンもいるでしょう?」
 サージェの問いに、にっこりとシャルロットは応える。 

 一方、買い出し組。ひりょとレモンは二手に分かれて効率よく屋台のものを買っていく動き。
 レモンはオルタナティブ・ダブルを発動させて、彼女自身と同じ姿の蛇神様を。違いといえば両の瞳が紅色なところだけである。
「あとは~、ヤミちゃん!」
 呼べばレモンの影に住み着く、影の悪魔の少女・ヤミちゃんがするすると立ち上がった。
「二人とも、目指すは全制覇! ありとあらゆる屋台メシをゲットだよ!」
 は~い! という風に動いた二人はそれぞれが屋台へと向かっていった。
「よーし、それじゃああたいもっ」
 焼そば、たこ焼きは定番だ。弾む足取りでレモンが屋台を巡っていく。
 そして、ひりょの方はといえば。
 飲み物の屋台を見つけて、その一つに『甘酒』の文字。
(「飲み物はシャルロットさんが持ってくると言っていたしな。だったら」)
 ちょっと違った飲み物を用意しよう。UDC組織員に「甘酒くださーい」と声を掛ければ「はーい」と朗らかな声が返ってくる。
「米粕を使った甘酒ってありますか?」
「はい、ありますよ。今飲んで行かれますか? それとも水筒で?」
「あ、じゃあ水筒でお願いします」
 そう言ってひりょが財布を出そうとしていると、怪異解決のためですのでお代は結構ですよ、と組織員。
「では、こちら甘酒と紙コップになります。ひとときとはなりますが、どうぞ楽しんでくださいね」
 組織員に見送られ、どこかほくほくとした気持ちでひりょが屋台を離れた。
「甘酒調達完了~っと。さ、レモンさんを探さないと……」
 そう呟いて周囲を見回せば行き交っている金の頭が、ふたつ。
「ん? あれ?」
 目をごしごしと擦って、改めて二人? を見るひりょ。いや、やはり見間違いではない。
「レモンさんが二人いる? 甘酒の匂いだけで俺酔ったんだろうか……」
「ええっ。も~、ひりょさんってば! あたい、多重人格者だし、これ、ユーベルコードの力だよっ?」
 びっくり顔のひりょにびっくり顔を返すレモン。
「あ、あぁ……ユーベルコードか、びっくりした……」
 明らかに安堵の息を吐くひりょにレモンも苦笑して駆け寄ってくる。両手は屋台メシが入った袋でいっぱいだ。
「ひりょさんも調達終わったの?」
 それじゃあ、皆のところに戻ろうっ。
 そう言ってレモンは笑顔で歩き出す。


「お~い、お待たせ~!」
「あっ、いたいたー。ヴィクターおじ様、サージェさん、場所取りありが、と……?」
 二人が梅林に入れば、ピクニックシートを広げてくつろいでいる皆の姿。けれどもレモンの声は戸惑ったように途中失速し、彼女の視線はヴィクターの影たちに。
「わー、猟兵の特性って凄いね」
 三体とも、伸び伸びと寛いでいる。
 一瞬身構えて、回りの気配を探ってしまうひりょであったが、皆が警戒していないことに自身の警戒も解いた。
「はあ、もう怪異が発生したのかと思ったよ」
 苦笑しながら、皆の元へ向かう。
「おかえりなさいっ、レモンさん、ひりょさん。屋台ごはんたくさんゲットできましたー?」
「うん。大漁、大漁♪ おじゃましまーす」
 出迎えてくれたサージェに言葉を返しながら、靴を脱いでシートに上がるレモン。
 こっちは、たこ焼きと焼きそばとお好み焼き。こっちはイカ焼きと焼きもろこしと、フランクフルト。説明をしながら屋台ごはんを袋から取り出していく。
「あとね~、おでんもあったよ」
「わーい、大根が良い色に染みてますね!」
「まあ、美味しそうな香りね」
 シャルロットも次々と並べられていく屋台ごはんに目を瞠った。
「シャルロットさんは~、何か箱がすっごいけど、何を買ってきたのかなっ?」
「ケーキのフルセットです」
 レモンの問いにシャルロットがにっこりと答えれば、僅かに身動ぎをするヴィクター。
 フルセット?
 誰かの問いに、はい、と真摯に頷きを返すシャルロット。
 ケーキ箱の装飾は有名なケーキ店のもので――あそこのは確かお高い、と知る者は思った。
 上蓋を開けば、真珠のように煌く真白のショートケーキ。赤い宝石のようにイチゴがちょこんと。
 艶やかなチョコレートケーキ、しっとりとしていそうなチーズケーキはオーソドックスなものとふわふわとしたキリチーズのものを。
 モンブランは多種あるようで、旬のいちごを使ったもの、紅茶味のもの、抹茶と揃っている。ちょっと違った緑はピスタチオのモンブランだ。
 滑らかそうなミルクレープは綺麗な層の間に、季節のジャムも薄く――ブルーベリーやネーブルオレンジの良い香りがする。
「うわあ、すごい! フルーティな香りがします。美味しそうですね!」
 ありがとうございます、シャルロットさん!
 サージェは瞳を輝かせて、ヴィクターはちょっと後方で臨戦態勢に入っている。
「……え、マジ? あのお店の? 高くなかったっ?」
「シャルロットさん、それかなり高いケーキなんじゃ……奮発したんだね……!」
 恐る恐るといった風のレモンとひりょに、変わらずにっこりと笑顔を返すシャルロット。
「え? 値段? 高いけど特許のライセンス料に比べたら雀の涙よ。電脳魔術師と言う力を活かしてエレクトロニクスで仕事しているしね」
 気にせずに食べてね、とシャルロット。
「後、飲み物も高級果実店の生絞りジュースを持ってきたのよ」
 気にせずに飲んでね、ともう一回シャルロット。
 注いだジュースを皆へと渡し、優雅な手つきでケーキを分けていく。皿に移動したケーキが集まれば、多種のホールケーキのよう。
 屋台ごはんと、甘酒、果実のジュースにケーキセット。
「パーティー会場? ここ? ――あ、花見でしたね」
 思わずといったようにツッコミな呟きをサージェ。
「よし、目一杯花見楽しもう! 皆でいただきますだ」
 ひりょがそう言えば、いただきますっと続く女性陣の声。ヴィクターも頷いて、彼が真っ先に手にしたのはケーキたち。小さなフォークは、クリームたっぷりのショートケーキへ。
 美味い。
 シャルロットに感謝の視線を向ければ、気付いた彼女も満足そうな笑顔。
 獣たちには食べやすくて甘い、ロシアケーキを。中心は宝石のようで、ずっしりとした、見るものを楽しませてくれるクッキーだ。
 シャルロットは焼きそばをいただく。
 意外と野菜もたっぷりで、麺もソースとよく絡んでいて。
「屋台の食べ物って職人の味が出ているわよね」
「シャルロットさん、たこ焼きどうぞだよ! サージェさんも!」
 たこ焼きを分けながらレモン。皆で一緒に食べるごはんが楽しいようで、彼女はずっとニコニコとしている。
「はい、いただきます♪ レモンさんたち、急いで戻ってきてくれたんですね。まだアツアツで美味しいです」
 サージェもニコニコしている。
「――甘酒も、優しい味がするわね」
「うん。調達してきてよかった」
 シャルロットの感想に、のんびりと頷きを返すひりょ。甘酒はほんのり桜色で、飲みやすい温かさ。舌触りも滑らかなとろり具合だ。仄かな甘味が喉に優しい。
「ちょっとだけ、桜の香りなのかな? ふふ、梅と一緒だから、贅沢なお花見している気分だね!」
 レモンがそう言えば、空を飾る梅花たちを見上げる【箱庭】の面々。
 青空いっぱいこぼれんばかりの梅の花。
「やっぱり梅の花が綺麗ですねー。桜の淡いピンクも素敵ですけど、梅は色取り取りなのがとってもいいですね♪」
 ほら、あっちのはちょっとだけ薄い桃色、とサージェが示した。
 明るい本紅、淡い口紅。
 梅とは不思議なもので、蕾の時はピンク色なのに開花すれば真白に。真白の蕾は紅に移ったり。そんな種類もある梅花は見るものを驚かせ、楽しませてくれる。
 春の陽射しは暖かく、食べ物も美味しくて、ジュースは爽やかな甘さで気持ちをリフレッシュしてくれる。
 のんびりと、お花見ごはんを楽しむ五人だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

筧・清史郎
【満】

すっかり春めいてきたな
縁深い桜に、梅に椿にと、花もさることながら
何より、食も満喫できそうで良いな(にこにこ

ん?伊織の両手にも、俺達の笑みの花が咲いているぞ(主に食へのわくわく
伊織の傍に乙女の花咲く春が訪れる事を、友として願っている(いい笑顔
だが今は、季節の花と美味な団子を楽しもう(早速屋台にうきうき

ふふ、くれーぷは今一番気になる甘味だ
もちもちの生地に包まれ、一堂に会する甘味たちの織り成す味は何とも素晴らしい
では俺は一等甘いくれーぷを
菊里の戦利品も華やかで流石だな(笑顔

再び巡って来た春を、また皆で楽しめる事が嬉しい
くれーぷも甘くて美味だ(ご満悦
さぁ、花も団子も存分に満喫し尽そう(微笑み


呉羽・伊織
【満】
穏やかな陽気と景色、更に賑やかな屋台まで――ああ、こりゃ憩いと癒しの一時にゃ絶好の様相だな
今日は欲張ってもバチは当たらないだろーが、にしてもホント四季通してずっと食欲の季節だな!

嗚呼…季節は花やぐ春だってのに、まーた両手に花どころか両手に野郎と屋台飯コースかー!
コレもコレで楽しいケドさ!
(違う意味での春は遠い身――然れど大袈裟に嘆く言葉とは裏腹に、今日もまた贅沢な宴になりそーだと笑い)

清史郎はクレープ好きだったっけ?
あの屋台、豪華なの作ってくれそーだな
菊里は最早何も言うまい(物理的に幸せ満開な両手見て)

ん、こーして皆で花や食を楽しむ一時に勝るモノはないな!
(満ち足りた笑顔で花と皆を見て)


千家・菊里
【満】
優しい花達の彩と香に、屋台の良い匂いも満ちて、見渡す限り幸いな雰囲気ですねぇ(花につられた様に顔を綻ばせ)
これは花も団子も欲張るしかありません
是非心も腹も幸せ一杯にしましょう

というか伊織こそ年中それですよね
俺は両手に屋台飯とか至福極まりないと思うんですけどねぇ
ええ、春と花見の醍醐味を味わい尽くしに参りましょう

(わくわくクレープ眺め)
清史郎さん一押しとは興味深い
春爛漫な豪華仕様に盛って頂けるでしょうか
後は乾杯用のジュースや甘味以外も――花の如く、色とりどりに揃えたいですね

(御馳走で両手を一杯にしつつ
花も愛で満面の笑み咲かせ)
一緒に楽しむ佳景と御馳走は、本当に華やかな心地で満たしてくれますね




 柔らかな陽射しが花壇の土をあたためて、地植えされたパンジーやペチュニアといった色とりどりの花たちが今日も元気よく咲いている。
 筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)の視線が、見慣れた光沢ある樹皮を辿れば枝々には咲き始めたばかりの桜花たち。
「すっかり春めいてきたな」
 蕾から開花へと至れば変化する移白や移紅の梅花、椿はマーブル模様や乙女らしい色の椿と見る者を楽しませてくれる春の花たち。
「縁深い桜に、梅に椿にと、春花もさることながら、何より――」
 ふ、と微笑んだ清史郎は微かに青差す赤の瞳を花たちから遊歩道の先へと移した。
「――食も満喫できそうで良いな」
「ええ。優しい花達の彩と香に、屋台の良い匂いも満ちて、見渡す限り幸いな雰囲気ですねぇ」
 うららかな春の佳景を楽しんでいた千家・菊里(隠逸花・f02716)の表情は穏やかなもので、屋台が作る通りを見つければ花開くように綻んだ。
 焼きそば、たこ焼き、お好み焼きといった定番の屋台ごはんから、春仕様の弁当売り、飴細工、甘酒と多種に用意された屋台たち。
 ざっと周囲を見回していた呉羽・伊織(翳・f03578)は軽快な笑みを浮かべた。
「――ああ、こりゃ憩いと癒しの一時にゃ絶好の様相だな」
「これは花も団子も欲張るしかありません」
 どこかわくわくとした、弾む声で菊里が言えば笑みを深める伊織。
「今日は欲張ってもバチは当たらないだろーが、……にしても、ホント四季通してずっと食欲の季節だな!」
 伊織は視線を菊里、それから清史郎へと流して「嗚呼」と胸詰まる声。
「季節は花やぐ春だってのに、まーた両手に花どころか両手に野郎と屋台飯コースかー!」
 嘆きめいた伊織の声に、二拍ほど考えて「ん?」と清史郎が僅かに首を傾げた。
「伊織の両手にも、俺達の笑みの花が咲いているぞ」
「いやその笑みの花、食い気で咲いたものだろうが」
「というか伊織こそ年中それですよね」
 清史郎へ返した伊織へ、今度は菊里。
「俺はこの両手に屋台飯とか至福極まりないと思うんですけどねぇ」
「まあ、コレもコレで楽しいケドさ!」
 な。と、伊織が二人へと目配せをすれば、うんうんと頷いて清史郎が言葉を紡ぐ。
「いずれ、より楽しく在れる事を、伊織の傍に乙女の花咲く春が訪れる事を、友として願っている」
「……清史郎、たまに、結構抉ってくるよな」
 良い笑顔で言われた伊織が少し引きつった笑み。
「そうか? しかし今は、季節の花と美味な団子を楽しもう」
「ええ、春と花見の醍醐味を味わい尽くしに参りましょう」
 それはそれとして、という風に清史郎と菊里が歩き出す。
 香ばしいタレの匂いが、甘い餡子やホイップクリームの香りが、搾りたてのフレッシュなフルーツの香りが彼らを呼んでいる。

「清史郎はクレープ好きだったっけ? あっちにクレープ屋があるケド」
「ふふ、くれーぷは今一番気になる甘味だ」
 伊織に呼ばれて視線を向け、どこか感慨深げな表情となる清史郎。
「もちもちの生地に包まれ、一堂に会する甘味たちの織り成す味は何とも素晴らしい」
「オレが・見つけた・あの屋台、豪華なの作ってくれそーだな」
 強調される伊織の声に清史郎はクレープ屋台を改める。ディスプレイには様々なトッピング、まさに今薄くのばし焼かれているクレープ生地、用意されている旬のフルーツたち。
「これは良きくれーぷ屋さんだ。――伊織、褒めてつかわそう」
「ははぁ、ありがたきしあわせ~」
「……往来で何をやっているのですか貴方がたは」
 清史郎と伊織が遊んでいると、飄々とした様子で歩き回っていた菊里が戻ってくる。
 彼の両腕に提げられている袋には串団子、たこ焼き、イカ焼きといったものが。
 両手には旬のフルーツを絞ったジュースだ。
「なかなかの豊作ぶり。華やかだな」
「ひよことにわとりの親子饅頭なるものも買ってきましたよ」
 感心した様子の清史郎に菊里が言う。
 最早何も言うまい、と伊織は一つ頷くのみ。
「では俺も。御主人、一等甘いくれーぷを作ってくれぬか」
「ほうほう、いっとう――はい、少々お待ちください~」
 清史郎のオーダーを聞いて、瞬時に組み立てたのだろう、UDC組織員であるクレープ屋の主人が承った。


 旬であるネーブルオレンジで壁を作り、たっぷりのホイップクリームと真っ赤なイチゴ。薄く切ったキウイを花びらに見立てて、一輪の緑花。中心には宝珠咲きとなるように丸くくり抜いたメロン。
「スゲ。映えクレープというやつだな」
 伊織が渡されたクレープを改めてまじまじと見て呟く。
 咲き始めた桜が良く見えるベンチに座って、実食タイム。
「再び巡って来た春を、また皆で楽しめる事が嬉しい。くれーぷも華やかな春のようで、そして甘くて美味だ」
 ご満悦という笑顔の清史郎。
「さぁ、花も団子も存分に満喫し尽そう」
 ええ、と頷いたのは菊里だ。片方の手にはクレープを持って、もう片方の手には三色団子。
 あたたかな陽射しと春の風に揺れる花も愛でる菊里の瞳に、彩なる色が差す。満面の笑みを咲かせた。
「一緒に楽しむ佳景と御馳走は、本当に華やかな心地で満たしてくれますね」
「ん、こーして皆で花や食を楽しむ一時に勝るモノはないな!」
 満ち足りた笑顔で伊織が言った。穏やかなこのひと時は皆がいるからこそ。
 見上げれば陽射しに透ける桜花。咲き始めたばかりだからこそ、花一つ一つを愛でて。
 青空の下で花々を楽しみ、美味しいものを楽しみ、会話を楽しむ春の宴。
 毎年巡る春だが、この春宴は今だけのもの――心ゆくまで満喫する彼らであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城島・冬青
【橙翠】

まだ満開じゃないけど桜はやっぱり綺麗ですね
サクラミラージュに行けばいつでも見られる桜ですが
やはり私達のホームタウンUDCアースの桜も良いものです
アヤネさん、何か食べます?
いろんな屋台が…あれはリウォさん!?
挨拶しなくてもいいんですか?
うーん…まぁ私もここで父を見かけたら黙って離れるし気持ちはわかります

あっ!見て下さい
飴細工の店ですよ
色んな形の飴があって目移りしますね
わ!この猫ちゃん可愛い
こっちは白鳥の形!
どれにしようかな
屋台に並べられた様々な飴細工の中から悩みつつ選んだのはひらひらした姿が愛らしい金魚の飴

アヤネさんは可愛いインコですね
幸せの青い鳥です
食べる前に並べて写真撮りましょうね!


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】
そうだネ
サクミラで見る桜とはまた違う
僕は春の僅かな間しか咲かないこの花が好きだよ
やっぱり季節感は大事だネ

ふむふむ食べ物か
って
UDC組織が屋台?
まさか僕の上司のリウォがいたりしないよね
いた
焼きそば作ってる
相変わらず仕事を選ばない男
いや挨拶はやめとく
からかいに行っても逆にやられるのがオチ
あいつは苦手だ
でも証拠に写メは撮っておこう
望遠でパシャ

飴細工が綺麗
へえこれ食べられるの?
様々な色彩に見惚れる
悩んでるソヨゴもかわいいネ
そんなに迷うなら全部買っちゃえば?

うんそれはリュウキンかな
丸っこくてかわいらしい
赤系の色がソヨゴに似合うネ
じゃあ僕はこの青いインコにしようかな
オッケー
二人並んで写メ撮るよ



「あっ、桜の木。アヤネさん、まだ少しですがちゃんと咲いてますよ……!」
 UDCアースの公園に訪れた城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)とアヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)の二人。
 咲き始めたばかりの桜花を見つけた冬青が少し駆けていき、のんびりとした歩みでアヤネが追う。
「まだ満開じゃないけど桜はやっぱり綺麗ですね」
 少し背伸びをして桜を見上げる冬青が言った。
「サクラミラージュに行けばいつでも見られる桜ですが、やはり私達のホームタウン、UDCアースの桜も良いものです」
「そうだネ。サクラミラージュで見る幻朧桜とはまた違う――僕は春の、この僅かな間にしか咲かないこの花が好きだよ」
 アヤネもまた桜を見上げた。
 春の陽射しに透き通る花も光沢ある樹皮も生命力を感じるものだ。
 やっぱり季節感は大事だネとアヤネはそう言って再び歩き出す。
 陽射しであたためられた土には地植えされたパンジーやペチュニアといった春の花々。
 その向こうの草むらにもタンポポやカタバミの花たち。
 遊歩道を進んでいけば、やがて屋台の通りへと出る。
「わ。たくさんの屋台が出てますね。アヤネさん、何か食べます?」
「うん、何か食べたいな……って、そういえばUDC組織が屋台をしているの?」
「という話ですね」
 ちょっとばかり警戒するかのようなアヤネを見て、冬青は不思議な表情に。最もその謎はすぐに解けるのだったが。
「……まさかリウォがいたりしないよね」
 目を凝らし周囲を見回すアヤネが、ぎしりと身を強張らせるのもすぐであった。
「いた」
「えっ!? リウォさんいたんですか?」
「焼きそば作ってる」
 元々言葉遣いの傾向が端的なアヤネであったが、今は更にそれに磨きがかかっている辺り心境が窺える。
 相変わらず仕事を選ばない男、と呟いた。そそそっと移動する――相手から見えない位置まで。
「挨拶しなくてもいいんですかー?」
「いや挨拶はやめとく」
 一緒に移動しながら冬青が訊けば、あっさりと首を振られた。
「からかいに行っても逆にやられるのがオチ。あいつは苦手だ。…………でも証拠に写真は撮っておこう」
 携帯端末を取り出して、画面をアップ。焼きそばを作っている最中の上司を撮る。
「アヤネさんってば。……まぁ私もここで父を見かけたら黙って離れるし、気持ちはわかりますが」
 真剣に携帯のカメラを構えるアヤネが面白い。冬青は苦笑しつつそう言うのだった。

 気を取り直し、焼きそばの屋台を避けて屋台巡りだ。
 春とはいえ時折吹く風は冷たく、ちょっとだけ冷えた体を甘酒で温めて。
 イカ焼きを食べれば、アックス&ウィザーズで食べた(倒した)イカを思い出し。
「あっ! 見て下さい、飴細工の店がありますよ」
 果物を使った飴とは別の屋台。
 大きな丸い透明の飴に絵が映されていたり、花の形の飴があったり。
「へえ。これ食べられるの? 綺麗なイラストだよ」
 満開の桜が描かれた飴を見てアヤネが不思議そうに言った。
「わ! アヤネさん、こっちこっち。この猫ちゃん可愛い!」
 こっちは白鳥の形! と、冬青は色んな形の飴を見ていく。
 香箱座りのもの、歩いている途中を横から見たものと様々な姿の猫たち。
「どれにしようかな~」
 どれも可愛くて悩む――。冬青の呟きはまさにそれだ。
「悩んでるソヨゴもかわいいネ。そんなに迷うなら全部買っちゃえば?」
「うっ、うううう、だ、だめです。ここはちゃんと、とっておきを選ぶんです……!」
「あ。猟兵さん、お代は要らないよ。怪異を解決するために、皆で楽しんでいるのだから」
「!?」
 飴細工の主人(組織員)にそう声を掛けられて、なんだって!? という顔になる冬青。
「だ、だめです。とっておきを、選ぶんです……!」
 冬青は決心したことを再び言った。
 じっくりと見て、悩んで――屋台に並べられた様々な飴細工の中から選んだのは、ひらひらとした姿が愛らしい金魚の飴。
 ずんぐりとした体形ながらもヒレの優雅な一品だ。
「あ、丸っこくてかわいらしいネ。それはリュウキンかな」
「ですよね、可愛いですよね」
「うん。それに、赤系の色がソヨゴに似合うネ」
 さらりと言われて頬を赤らめる冬青。
「……アヤネさんは何にするんですか?」
「そうだなぁ……じゃあ僕はこの青いインコにしようかな」
 少し悩む仕種を見せたあと、アヤネが手にしたのは青い鳥。白い花をくわえて飛ぶ姿。
「わあ、それも可愛い。幸せの青い鳥ですね」
「ん」
 花一輪を手にした時のように、くるりと回せば鳥も楽しそうに回り飛んでいるようだ。
「食べる前に並べて写真撮りましょうね!」
「オッケー、色んなシチュエーションと角度で撮っちゃおう!」
 手を取り合って屋台の通りを抜ける二人は満面の笑顔。
 春の公園を背景に二人と二つの飴を並んで撮って、巡る春の思い出のひとつがまた増えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四宮・かごめ
※アドリブ連携OK
【POW】
日常に潜むUDCを倒すべく、
唐草文様の風呂敷背負って、忍者推参。

まずは梅の木の下にシートを敷いて確保するでござる。
風呂敷から取り出すのは五色米ではなく、
友人の雛祭りで余ったというので貰ったひなあられ。
器にカラカラと流し込み、その淡い色合いを……。

流石にこれだけでは寂しいので、立ち上がって屋台巡りをするでござる。
UDC職員、もとい屋台のおっちゃんでござる。
頼むのは後味さっぱりジュース。
あとは何か軽いものを一つ。

軽食とひなあられを食べ終わったら、後は梅を見上げてゴロ寝。
そうこれは、これから訪れる非日常に備える為の、完璧な作戦なのでござる。にんにん。



 日常に潜むUDCを倒すべく、こんにちも忍働き。
 いつもは影の者として動く四宮・かごめ(たけのこ忍者・f12455)であったが、今日はのんびりとした足取りでうららかな陽射しが降る公園へとやってきた。まぶしい。
 芝生に触れてまだ怪異は発生しなさそうだと判断したかごめは、梅林の園を訪れた。
 大きな梅の木の下へとやってきたかごめは、背負っていた唐草模様の風呂敷を屈んだ自身の膝の上へ。結び目を解いて、手裏剣柄のピクニックシートを広げた。
 地面には広がった枝と天を差す立枝の揺れる影が面白い模様を描いている。
 ちょこんと正座して、更に風呂敷から取り出したのは、五色米。忍者の伝達法の一つ、米を染めて組み合わせての暗号文を…………――ではなく、ひなあられだ。緑、ピンク、黄と色とりどりなひなあられは、雛祭りで余らせてしまった友人から貰ったもの。
 それを白い器に流し込み――ちょっと考えてかごめは器を振った。淡い色合いが踊り、からからと音がして……。
「…………」
 ちょっと寂しくなった。カラカラ。手遊びすればするほど寂しくなっていくのは何故だろう。
 ――かごめは屋台ごはんを貰いにいくことにした。

「おつかれさまでござる」
「あっ、猟兵さん、お疲れさん! 春のお花見、楽しんでるかい?」
「…………にんにん」
 屋台をしているUDC組織員に挨拶をしてみたものの、朗らかに返され、少しばかり答えに窮したかごめがそっと目を逸らした。
「は、ははは……忍者のお嬢さんには深刻な悩みがあるようだ。ここはおじちゃんが腕を振るってあげよう」
 UDC組織員であるおじちゃんがそう言うので、かごめはこくりと頷いた。屋台のれんを見上げればたこ焼きの文字。
「この前クラ……食べたたこ焼きは美味にござった」
「お、先日食べたのかい? じゃあちょっと風変わりのものを用意しような」
 いわゆるアレンジたこ焼きだ。
 具には小さくカットした餅やチーズ、甘辛くしたこんにゃく。
「ロシアンにチョコレートも入れておいたよ」
 ちょっとそこは余計なお世話な気がしたかごめであったが、やっぱりこくりと頷いた。
 たこ焼きと、隣の屋台で後味さっぱりな微炭酸ジュースを受け取るかごめ。
「お代は……」
「なに。怪異解決のためだ。お代は無しだよ。春を存分に楽しんでくれ」
「かたじけない。馳走になるでござる」
 にんにん。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『狂気の美術館の探索』

POW   :    美術品が壊れるのもお構いなし。力ずくで探す。

SPD   :    鍵がかかっている所などを、片っ端から器用に解除して探す。

WIZ   :    注意深く観察する。隠された仕掛けなどを見つけ、探す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 春の陽射しのなか、屋台のものを食べてお腹も満ちて、様々な花たちに囲まれて自由にのびのびと過ごしていると、少しずつ猟兵たちの周囲で様々な怪異が発生し始めた。
 ばたばたと梅が零れ落ち、地面を白に紅にと染めていく。
 陽射しは夏のように強くなり、時には固体化した光の檻へと収容された。
 芝から生えた数多の成長しきった竹は何かに叩かれ、竹取の物語のように、割れた中には人形たちの織りなす物語の数々。
 少しずつ変化していく景色に、猟兵たちが目にしたのはそれぞれの様々な美術館。
 扉を見つけて開けば、春の満開の桜の広がり、夏の川のせせらぎ、秋の果物園、冬の和室はレトロなもの。

 一歩、二歩、と引いてみれば猟兵たちから景色はぐんと遠ざかり、それらが美術品であることが分かった。近付けば再び佳景の檻の中。
 様々な光景の一つと出会った猟兵たち。
 もうしばらく遊んだり、探索したりとのんびり過ごす時間はありそうだ。
 もっとも、今すぐに破壊しにかかっても構わないだろう。この場を抜けるきっかけも時も、既に猟兵たちの近くにあるのだから。
箒星・仄々
梅林と比べると違和感はありますけれど
面白いです

折角なので
バーチャルリアリティとして
楽しんじゃいましょう

適当な美術館の扉を開き
そこに広がる四季や景色に合う曲を奏でます

はい、風景を楽しみながら
奏者としてのトレーニングの場とします

ひとしきり爪弾きましたら次の美術館へ
というのを繰り返します

春夏秋冬
昼夜
山や川や海
様々な景色を楽しんで
その気持ちを乗せて旋律を響かせていきます


色々な景色をありがとうございます
そして旋律と共に魔力も十分に練りあがりました

フィナーレは賑やかに参りましょう

四季や風景が持つ色や音や熱や形
そしてそれらに合わせた音色を
炎水風の魔力の矢として各美術館へ放ち
花火のような輝きと共に消滅させます



「これは……」
 ぽたり、ぽたりと空無き天から梅花が零れ落ちてきて箒星・仄々は手のひらを上向けた。
 夜色の猫の手を白梅はすり抜けて地面に降り積もっていく。ベンチから降りれば、仄々は瞬く間に梅香の強い場へと囚われた。
「バーチャルリアリティのようなものでしょうか?」
 あっという間に異空間だ。
 少し探検をしてみましょう、と仄々が歩き始めればにょきにょきと周囲に扉が生えた。
「…………不思議の国なアリスラビリンスみたいですね……」
 仄々の身長に合わせたかのような扉たち。
 桜が彫られたピンク色の扉は『春』のような気がして、そっと扉を開いてみれば、そこは夜の世界。
 朧な春の月が空にあり――まだ闇に染まったばかりなのだろう、地面は陽射しの名残か少し温かい。
 満開の桜の木の根っこに座って、カッツェンリートを懐中時計の形状から蒸気機関式竪琴へと展開させた。
 弦を一本、一本爪弾いて和の音の表現を。
 緑の夏の扉へと向かってみればやっぱり夜で、空には大きな花火。ひゅるりと飛んだ花火玉が向日葵や、土星、虹色の柳と、たくさんの火花の色。
「軽快なテンポも良いものですが、ここは少し哀愁も必要でしょうか……」
 この風景に合うのはなんだろう、と奏者として考えながら仄々が竪琴を奏でていく。
 オレンジ色のモミジの彫られた扉には秋の山。
 黄色や赤と暖色に染まった木々は燃えているかのようだ。イチョウの葉が風に舞って、くるりくるりと落ちていく舞踊曲。
 真っ白な扉の向こうは冬の海。
 ちらちらと降る雪たちが冬海に吸い込まれていく。波の音はどこか硬く、ちょっと悲し気だ。
 凍える海や波を解すように、カッツェンリートが竪琴独特のあたたかい音を紡ぎ出す。
 目で見るもの、感じるもの、心赴くままに弾けば――自身が様々な景色たちを楽しんでいたのが分かった。
 冬で奏でた音は、暖炉のようなあたたかなものに。
 あたたかな音はぱちぱちと火花を発生させて、虚空を舞う紅葉や高く飛ぶ火の花びらとなる。
 芽吹かせる新緑の春風がそれらをさらい、仄々を中心に少しずつ美術館内へと拡がっていった。
「さあ、ちょっと派手にいきますよ~」
 トリニティ・ブラストを発動させる仄々の音楽に乗って放たれていく魔力の矢たち。
 延々に続くかと思われていた異空間の、何もないところで花火のような輝きが次々と起こった。
 見えない壁や天井があるのだろう。
 光の花々をたくさん咲かせていけば、広がったのは瞬間的な花畑。同時にカシャン、カシャンと何かが割れていく音――空間に亀裂が走り、砕け落ちていけば、露わになってくる『エラー』の音。
 意味のなさない言語が場を走り、スノーノイズが徐々に仄々の周囲を覆っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリジ・グッドウィン
メルメっち(f29929)と
四季折々の絵画がずらずら並ぶ美術館

淡色を重ね寂寥感を感じさせる春
逆に原色やビタミンカラーをぶつけ様々な原動力を想起させる夏
デカルコマニーって技法を用いた秋
白のみで表現した冬
内装全体で季節を繰り返すドロステ効果の様な内装は不安感を煽ってる

……客観的に出てくるであろう感想はここまで
悪いなメルメっち。オレの中に感じるモノはあったかもしれねぇが、表面まで出す事が出来ねぇ
んで急な角度で褒められても反応に困る…

言うねぇ。メルメっち的に言えばオレ達がこれからする行為は芸術に値するって?
「んじゃ、試しに作ってみるか芸術。モチーフは停滞からの脱出、画法は破壊で」
銃(カラゴズ)を構え


メルメッテ・アインクラング
キリジ様(f31149)と

様々な四季の絵画が並ぶ美術館内
キリジ様の解説をお聞きしながら一通り見て回ります

「いいえ、キリジ様。お気になさらず
……あの。私には美術の詳しい事は分からないのですが、これらの絵には『過程』が欠落している様な……描かれた方の動や熱が伝わって参りません」
どの絵も、止まった時の中で忽然と現れたみたいで
どれほど立派な額縁に入れられ飾られていようとも、いつかキリジ様が青色の鉛筆で紙に描いて下さったネコの絵の方が、私は好きです
生を、命を感じられて

「かしこまりました、キリジ様」私も迷いなく自分の思念銃を取り出して構えます
「まあ。破壊でありながら創造へと繋がる。芸術とは奥深いのですね」



 眩いほどの陽射しがキリジ・グッドウィンとメルメッテ・アインクラングへ降ってきて、春爛漫の景色は真白の世界へ。
 あっという間に怪異の空間へと引きずり込まれた二人は大理石の床がある美術館の中にいた。僅かに輝くその場は、春の陽射しの名残をとどめたままで。
 目の前には大きな絵画。けれども壁にあたる部分はスノーノイズで、その粗さがそのまま伝わって来ようとする。キリジは触れようとした手を引っ込めた。
「進むしかなさそうだな?」
「……ここを、ですか?」
 キリジの言葉に絵画を見上げるメルメッテ。豪華な装飾が施された額内は――寂寥感を感じさせる春だった。絵画へと向けて一歩進めば、二人は絵の中へ。
 鮮やかとは程遠い淡色を重ねた、薄青の空。満開に咲く桜の絵はほんの少し手を加えれば絢爛なものとなるであろうにという世界。
「黄の絵の具でも差せば、温かみのある桜となるんだろうな」
 淡い、淡い、その世界を見回しながらキリジ。
 そうなのですか、と呟いたメルメッテは次の額縁を見つけた。
「見事な一本通行ですね……次は明るい色がたくさんあります」
「原色やビタミンカラーか。春とは真逆で、様々な原動力を想起させる夏だぜ」
 何というか、刺激が強いなァ、とキリジが言葉を続ければ、メルメッテも目を瞬かせながら頷いた。
 真っ青な空と微かに赤の差す陽射しは炎夏というもの。青々とした木々の緑も、その幹に止まるセミの絵も力強く荒々しい描写。
 けれども、先程の桜のようなリアルな生命力をメルメッテは感じなかった。
 秋の絵画はよくよく見れば似た部分を見つけられる。
「これは――デカルコマニーか」
「?」
「転写絵ってやつだな。紙に絵の具をのせて、二つ折りにすれば両面潰れた色が広がるんだ。どういう風に表現されていくのかは結構運任せなところがある」
「……落ち葉が同じ動きをしています」
 キリジの説明で気付くことがある。メルメッテが指差した先には、同じ動きをして地面へと落ちていく葉。
「動きもデカルコマニーなのか。動画みたいな絵画だな」
 興味深そうにキリジが観察する。
 秋の破片たちがもぞもぞと動いて、転写されたもの同士少しずつ重なり合っていけば、立体的なものが形成されようとしていた。
「急ごう、メルメっち。なんか不穏な雰囲気だぜ」
「はい」
 次の額縁をくぐれば、冬の世界。
 冬景色は、僅かな陰影すらも白のみで表現されたものだ。
 よく周囲を観察しながら歩いていたメルメッテが「ぁ」と小さく声を上げた。
 またもや額縁――同じ、春の絵画が前方にある。マジか、とキリジは呟いた。
「季節を繰り返すドロステ効果か――オレたちは完全に囚われちまったようだなァ」
 まあそれなりには楽しめたが、とそう言って。
「悪いなメルメっち。オレの中に感じるモノはあったかもしれねぇが、この世界、はっきりと表面まで出す事が出来ねぇわ」
 技法の説明はいくらでも出来るキリジであったが、豊かな、抽象的な感想を出せなかった。肩を竦めてあっさりと言った。その理由は、メルメッテと同じく感じなかったものがあるからだ。
「いいえ、キリジ様。お気になさらず」
 首を振ってメルメッテ。淡い彼女の色彩が春の前で揺れる。
「……あの。私には美術の詳しい事は分からないのですが、これらの絵には『過程』が欠落している様な……描かれた方の動や熱が伝わって参りません」
 どの絵も、止まった時の中で忽然と現れたみたいで。
 メルメッテが言いながら周囲へと視線を遣った。巡る季節で構成された場ではあったが、すべてが絵画。
 暑さを表現した色を使っても、寂しい色を使っても、その彩りは根幹が抜け落ちている。
「どれほど立派な額縁に入れられ飾られていようとも、その世界へ入ることができても、あたたかさはなく。――いつかだったか、キリジ様が青色の鉛筆で紙に描いて下さったネコの絵の方が、私は好きです」

 生を、命を感じられて。

 キリジは目を瞠った。
 有機パーツも所有し人と同じもので構成されたレプリカントである彼には、記憶にある猫がそう見られていたことに戸惑う。
 単調な線だったというのに。
 けれどもその一筆にのせたものは確かにあった。
 くっと笑む。
 メルメッテが言わんとしていることは理解できた。
「言うねぇ。メルメっち的に言えば、オレ達がこれからする行為は芸術に値するって?」
 ペトルーシュカ型義体、その左腕を振りながらキリジが右腕を提げる。生身の残る、幾度も色を差してきた右手には大型拳銃・カラゴズが。
「んじゃ、試しに作ってみるか芸術」
「かしこまりました、キリジ様」
 その言葉をお待ちしておりました、という風に頷いて。メルメッテは迷いなく思念銃を取り出して構えた。ややごつい銃であったが取り回しは利くらしく、難無く片手で照準を定める。
「モチーフは停滞からの脱出、画法は破壊で」
「――まあ。破壊でありながら創造へと繋がる。芸術とは奥深いのですね」
 キリジの言葉にメルメッテが微笑んだ。
 本来なら一般人を捕獲するための檻。延々と続き、死へと落とされる美術館から爛とした創造を。
 二人の銃撃が世界を砕き、動という名の生命が周囲を満たしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニオ・リュードベリ
【先輩後輩】

わ、なんか凄いことになってるよ先輩!
ベンチでのんびりしてたら、周囲の景色が目まぐるしく変わっていく
春夏秋冬……色んな景色が流れていく光景は綺麗だけど、どこか寂しい

立ち上がろうとした先輩の手を引いて、ベンチまで引き戻して
確かにこれはオブリビオンの影響だと思うけど……まだ動かなくて大丈夫じゃないかな?
危なくなったらあたしも戦うけど
この光景は……もうちょっと見ていたいから

桜が咲いて散って、葉っぱになって落ち葉になって、雪が積もって、また桜が咲いて
桜だけでも色んな表情があるんだね

綺麗だけどなんだか怖くなって
こっそり先輩の服の裾を掴む
一人きりだと此処に取り残されちゃうそうで
……一緒に帰ろうね


茜谷・ひびき
【先輩後輩】

のんびりしてたら異常事態だ
まるで俺達だけを取り残すように、周囲の景色だけが目まぐるしく変わる
次々に季節が変わっていっているみたいだ

邪神案件ならすぐに行きたい所だが
立ち上がろうとしたらニオが手を掴んできた
確かにすぐに危険は起きないか?
様子見も必要かとベンチに座り直す

桜の木なんて一年中見てるはずなのに
こうも忙しないとなんだか寂しいな
本当に俺達だけ取り残されてるみたいで
せっかく前に進むって決めたのに
それが少し嫌だと思う

服の裾を掴むニオの手には気付いてるけど何も言わない
だけどこのままにしておいて欲しいとは思う
気を抜くとはぐれちまいそうで、それも嫌だと思うから
……早く解決しないとな



 咲き始めていたはずの桜が一気に満開となり、散っていく。
 数日が過ぎたかのようなその光景にニオ・リュードベリは金の目を瞠った。落ちた花弁は降り積もり、風吹けばざあざあと音を立てて飛んでいく――その波打つ様が海そのものに変化した。
「わ、なんか凄いことになってるよ先輩!」
 思わずといったようにベンチの上へと脚を避難させるニオ。場にはいつの間にか二人とベンチ、側にあった桜の木。そして大海原が広がっている。
「こんなにいきなり来るものなのか」
 対し、茜谷・ひびきは立つ。海の中で立ったはずなのに濡れることもなく、いつしか夕焼けに染まる赤の海はさらに変化し紅葉が敷かれていった。
「次々に季節が変わっているみたいだ」
 邪神の仕業だとするのなら直ぐに動くべきか――しかし既に二人はこの異空間に囚われていて、脱出の糸口は分からない。
「先輩、待って」
 ニオが立ち上がるひびきの手を掴み、引く。抵抗はなく、ひびきはストンと再びベンチに座った。
「確かにこれはオブリビオンの影響だと思うけど……まだ動かなくて大丈夫じゃないかな?」
 そうニオが言う最中にも、紅葉の間から滲みでるように真白の世界が広がっていく。
 遠く、虹が差したように輝く、キラキラ陽射しを反射する銀世界。雪に覆われた空間は寒くはなかった。ただ、ただ観賞に優れた佳景。
「危なくなったらあたしも戦うけど……この光景を……もうちょっとだけ、見ていたいかな」
 目まぐるしく変化した春夏秋冬の景色は、どこか寂しさをニオに与えていた。
 残酷なほどに速い時間、一足飛びの一年は味気なく――まるで子供が大人になる瞬間を見逃してしまったかのような、そんな自身に気付かなかったような、後を引く寂しさだ。
 縋りついたかのようなニオの手は直ぐに離された。その瞳は過行く時をじっと見つめている。
(「……確かにすぐに危険は起きないか?」)
 両脚を抱えるように、体育座り状態となってしまったニオのつむじを見ながらひびきは静かに息を吐いた。
「様子見も必要か……」
「うん」
 そのやり取りをしているだけで、既に二年が過ぎた。本当の時間の中ならば、ひびきは成人している。
「桜が咲いて散って、葉っぱになって落ち葉になって」
 ひらり、ひらりと花弁が落ちては海が飲みこみ、はらりはらりと葉が落ちれば紅葉の絨毯に吸い込まれていく。
「雪が積もって、また桜が咲いて」
 いつ蕾が出来たのかは確認できなかった。光沢のあった樹皮は今や墨の影が差している。
「桜だけでも色んな表情があるんだね」
 一本の桜の木の側で新たな年を迎えた。けれどもそこに歓びはない――そんな桜の木の物語。
 ニオの声に、そうだな、とひびきは頷いた。
「桜の木なんて一年中見てるはずなのに、こうも忙しないとなんだか寂しいな……本当に、俺達だけが取り残されてるみたいで」
「うん」
 例えばの話。
 この桜の木の下で、本当に時間が在るのなら。出会いの喜び、別れの悲しみがたくさん繰り返されているのだとしたら。
 彼らの目の前の景色が未来へ進んでいるのだとしたら、ここは停滞した、骸の時の中のようなもの。夏の海の音が、やけに耳にこびりつく。
(「せっかく前に進むって決めたのに、な」)
 少し嫌だな、とひびきは思った。言葉にせずとも、ニオも同じものを感じているのかもしれない。
 時折赤の差すひびきの漆黒の瞳に、景色の濃淡を映し耀くニオの金の瞳に、無情な時が流れていく。
 ――何年が過ぎただろう。
 ふと、この佳景に何だか怖くなって、ニオはこっそりと服の裾を摘んだ。ふわふわふらふらとした偽物の時の中で、現実味のある少し硬い服の感触にほっとした。そのまま、服を着ているひびきに気付かれないように裾を掴む。
(「一人きりだと此処に取り残されちゃいそう」)
 追いかけるから置いていかないで、と願う。
「先輩……、一緒に帰ろうね」
「……ああ、そのためにも早く解決しないとな」
 巡る季節の中で確かな約束。言葉にすればどこかほっとする。

 服の裾を掴むニオの手には気付いていたが、ひびきは何も言わなかった。
 このままにしておいて欲しい、と。
 そう思った。いや、願った。
 きっとはぐれる瞬間が訪れるのなら、それは一瞬だ。

 UDCがこの檻に捕獲した人間を贄にする――漸く、敵が現われる瞬間を二人は迎える。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【恋華荘】

次は美術館……いいデートコースだよね!

えと、美術館のモチーフは夏の海、なのかな?
透き通った感じが綺麗だねー♪

あ、あれ?絵に吸いこまれて……海に強制転送!?

水着も準備されてるし……え?いちごさん見たいの?
い、いいけど……うーん

いまさらではあるけど、ぺったんは多少気になって。

あ、でもここは空想の世界。と、いうことは……えい。

やっぱり!盛り盛りもいけるね!

巨乳な自分に喜びつつ、
選ぶ水着はもちろんセクシー系ビキニ!
「いちごさーん、着替えてみたけどどうかな?似合う?」

と、いちごさんに水着姿を見せたら、いきなり胸を揉まれて……。
ほんものだから!?……ここでは!

って、奏莉ちゃん、帰ってきて!?


菫宮・奏莉
【恋華荘】

えへへ、ちょっとお邪魔虫かもなのですけど、
お姉ちゃんとお兄ちゃんといっしょは、とっても楽しいのです。

ここは海の美術館なのですね。

え?水着になるのですか?
かまいませんですけど……サイズが合うのがこれしかないのです。
(子供用ワンピースを持ち上げつつ)

!!?
お姉ちゃんの胸が、膨らんでいるのです!?

ここはそんなこともできちゃうのでしょうか?
そうなりますと、わたしもちょっとしてみたく……。

って、えええええ!?
お兄ちゃんがお姉ちゃんの胸を揉み出したのです!?(一歩後ずさり)
そ、そういうのは、依頼が終わってからが……。

ゼンブシッテル?(後ずさり2歩目)

お兄ちゃん、けっこう危険な方でしたのです……。


彩波・いちご
【恋華荘】
美術館…普通にデートで来たいところですねぇ

夏らしい絵が集まっているエリアにやってきて
そのうちの海の絵を見ていると…なんだか吸い込まれそうな…?

気が付くと浜辺に立っている私達
どうせならこんな恰好じゃなくて水着だったらいいですよね
理緒さんの水着姿見てみたいですし
…なんて言ってたら、いつの間にか水着になっていた理緒さん&奏莉さん
しかも理緒さんに胸が!?
そんなバカな…理緒さんの身体の事なら全部知っているはずなのに…と、ついそのまま理緒さんの偽乳に手を伸ばして…え、偽じゃない?
なるほど、確かにこれは異常事態…(ふにふに

…って、つい勢いでやってしまいましたがっ
奏莉さんそんな目で見ないで!?



 春の花を堪能して、美味しい物を食べて。
 一休みしようと広場のベンチへと向かっていた三人の周囲が目まぐるしく変化していった。
 芝生がさらさらと崩れ落ちて、砂浜に。
 春の陽射しは遮られ、真白の壁が【恋華荘】の三人を囲っていく。
「これは――」
 それとなく二人を背に警戒していた彩波・いちごが周囲を見回し呟いた。
「美術館……?」
「何だか――デートにぴったりな場所ですね」
 公園、美術館、と穏やかなお付き合いをする恋人同士のデートコースのよう流れ。
 少しばかりほわほわとした菫宮・理緒の声にいちごは頷きを返す。
「そうですね、普通にデートで来たいところですねぇ」
 怪異に飛びこんでいく猟兵たちであったが、それはそれとして楽しめるものは楽しんでいきたい。いちごと理緒が微笑み合っていると、菫宮・奏莉ももじもじと指先を遊ばせながら控えめな声。
「えへへ。ちょっとお邪魔虫かもなのですけど、わたしも、お姉ちゃんとお兄ちゃんといっしょなのがとっても楽しいのです」
「か、奏莉ちゃん! お邪魔虫なんかじゃないよ、いっぱい遊ぼう……!」
 繋いでいた手をぶんぶんと振って理緒が笑う。
「まずは美術館? を見て回ろうね。ここは――夏の海がモチーフ、なのかな?」
 床はラリマーのような海模様。
 ワンポイントに白い貝殻やヒトデの装飾があって、カニが横歩きで過っていく。
「あ、ほら、あの絵。透き通った感じが綺麗だねー♪ まるで本物の海みた……い?」
 指差す理緒が近付いていけば、僅かな目眩。
 あれ? と呟いた時には、理緒と奏莉は海にいた。
「わ、すごいのです!?」
 奏莉が砂を蹴るように走っていく。波は砂を洗うように寄ってきては引いてと繰り返す。
「ふ、二人とも!? ――あっ、良かった、ちゃんといましたね」
 慌てたようにいちごも追ってきて、姉妹の無事な姿を目にして安堵した。
「って、海ですか? 陽射しも強い……――水着だと気持ちよく過ごせそうな夏の海ですね」
 浜辺で砂遊びをしたり、海の中を泳いだり、水を掛け合ったりすると気持ち良さそうだ。そういちごが言えば、「水着かぁ」と呟いた姉妹は次の瞬間には水着姿になっていた。
「…………」
「……?」
「????」
 水着姿になっていた。
「えっ、えええ!?」
「お姉ちゃん、まさか」
「えええっ、虚実変換はしてないよ!?」
 理緒がぶんぶんと手を振った。ほら、端末は持ってない。無実でしょう? という風に。
「なるほど、これが怪異……。それはそれとしてお似合いですよ、二人とも」
 奏莉も理緒も可愛らしいワンピースの水着だ。
 フリルとリボンをたくさん使った水着姿の奏莉は、えへへ、と嬉しそうに。くるりと一回転。
 理緒は少しどぎまぎとしている。にこにこと和やかに姉妹を眺めるいちごの視線が気になっているようだ。
(「い、いまさらではあるけど、ぺったんが多少気になっちゃう、かも」)
 何がぺったんってそりゃあ、なだらかに控えめな曲線を描く自身の胸である。
 ちょっと隠すように腕を組む理緒ではあるが――ふと、電脳世界に通じている彼女の頭は閃いた。
「あ、でもここは空想の世界。と、いうことは……」
 理緒の呟きが聞こえたのか、奏莉といちごが「?」と視線を向ける。
「えいっ」
 可愛らしい理緒の声と同時に、ふっくら膨らむ彼女の胸。谷間ができた。
「!!? お姉ちゃんの胸が、膨らんでいるのです!?」
 抱き着けばぺったんな姉の胸に、柔らかそうなマシュマロができている? 奏莉は驚きの表情になる。
「!? 理緒さんに胸が!?」
 衝撃を受けたいちごが若干後退る。
 そんな二人に対し、やっぱり! と喜びの声を上げたのは当然、理緒だ。ならば――。
「盛り盛りもいけるね! いちごさーん、着替えてみたけどどうかな? 似合う?」
 虚実変換ばりの華麗な、水着から水着への着替え。
 選んだのはセクシーな水着だ。水着が際立たせてくれるのは、水滴も弾くハリのある肌とマシュマロのような胸。
「そんなバカな……理緒さんの身体の事なら全部知っているはずなのに……」
 真顔になったいちご。難解な問題を目前にしたかのような声だった。
「ゼンブシッテル? お兄ちゃん??」
 はい? という顔でいちごを見上げる奏莉。少女が見つめていると彼の手が伸びていく。
 その接地点は、どうだ、と言わんばかりに胸を張った理緒だった。そう、胸。
 はい??? 思わず後退ってしまう奏莉。
 しかし、いちごは真面目に直面した問題をどうにかしようとしている。
「理緒さん、偽乳はちょっと……」
「ちょっとちょっと、いちごさん!? ほんものだからね!? ……――ここでは!」
 揉めばリアルな感触だった。
「なるほど、確かにこれは異常事態……」
 そんなやりとりをしていた二人の耳に、さく、さく、さくと砂浜を踏み遠ざかっていく足音が。奏莉だった。
「……お兄ちゃん、けっこう危険な方でしたのです…………」
「あっ。つい勢いでやってしまいましたっ」
「奏莉ちゃん、帰ってきて!?」
 ハッと我に返ったいちごと理緒であったが時すでに遅し。多感なお年頃の奏莉は胡乱な視線になっている。
「……えー、やです……」
 かなりはいちごにうたがいのまなざしをむけた。
「奏莉さんそんな目で見ないで!?」
 いちごのひつうなさけび。
 ひらいたこころのきょりが、ちょびっとかいふく。3みりちぢまった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクター・グレイン
【箱庭】
奴等が動いたな。
全てに対応出来る様に真ん中に居よう。
さて、此方も準備するとしよう。
「夜咫、黒、闇人。警戒を怠るな、敵はいつ何処から仕掛けて来るか分からん。」
とは言え、こちらから手を出していけない訳じゃない。
「夜咫、黒。お前らは他のメンバーのサポートを。闇人、お前は俺と来い。暴れるぞ。」
闇人の紫色の眼光が光線の様に撃ち出され、美術館ごと破壊する。


蛇塚・レモン
【箱庭】
いきなり風景が変わった~っ!
『案ずるな。まだ此処は危険は及ばぬ』
え、蛇神様、本当?
『神の言葉を信じよ。皆の者、今暫くは休息を取っておくのだ』
……だってっ!

……そっか
すぐ壊すと異変が早まっちゃうかもしれない訳だねっ?
だったらあたいも少し探索してみようかなっ?

魔法の辞典を使って、頁に異変が起きたらすぐにみんなに知らせるよ
あたいも第六感を駆使して部屋を探索
あたいは秋の部屋に行ってみようかなっ?
わぁ~! 紅葉が綺麗だな~っ!
でもこれは幻なんだよね……
あたいは毎日、農作業で四季の移り変わりを肌で感じてるし
ちょっと物足りないかもっ?

(茶器の破損に頁が感知)
そこだーっ!
蛇腹剣で茶器ごと美術館を破壊!


鳳凰院・ひりょ
【箱庭】
春夏秋冬の4部屋で構成された美術館に囚われてしまったみたいだ
とはいえ、まだ怪異も安定していないのだろう
直ぐにこちらに牙をむいて来ないみたいだ
少しの間、皆自由に行動してみよう?

俺はとりあえず各部屋を調査してみるか
【結界術】とかの知識が役に立つのかな?
ん~…とはいえ、専門じゃないからなぁ…まだ不安定なのもあって手掛かりなしだ
ひとまず皆と合流して情報交換しよう

皆の所へ戻って来て小休憩
喉が渇いたのでお茶を飲みたいな、と思った所に茶器が現れる
まぁ、せっかくだし使わせてもらおう
小休憩をしていると茶器が動き出し襲い掛かって来る

とうとう敵さんも準備万端か!
呪符で茶器を叩き落しながら戦闘準備に


シャルロット・シフファート
【箱庭】
あら、UDCのユーベルコードとは言え中々に美麗な場所じゃない。
そう言って四季がめくる巡る変わる美術館内にてテラスに移動し、高級な茶葉と豆を取り出して紅茶とコーヒーを入れていく。
最近、お茶入れ等の令嬢としての技能も中々に高めることが出来るようになったのよ?
そう言って紅茶やコーヒーを皆に渡す。

綺麗な冬の星空ね。私が生まれた大晦日もこんな夜だったのかしら?
そう言いながら冷気に満ちた庭園を紅茶を飲みながら寒さを凌ぎ、ゆっくりと天体観測を行う。
あら、もうお終いかしら?無粋なのね。
そう言って電脳精霊術で茶器を叩き落としながら戦闘態勢に入るわ。


サージェ・ライト
【箱庭】
っとと?ありゃ、いつの間に
春夏秋冬の4部屋美術館……
なるほど、ここは春の部屋、ですかね?

まあ確かに壊す方が早いんですけど
調べたら何か得られるかもですし
逆に今すぐ壊すと調べる間もなく襲われるかもですし
自由行動に賛成で

それならベースが必要ですね
ではここをキャンプ地とする!
ウソデスゴメンナサイ

私は春の部屋を調べながらここで待機してますよー
探索いってらっしゃーい

というわけで一緒に巻き込まれたお花見の残り(食べ物)片付けちゃいましょうか
幸い、部屋一面が春模様ですし、お花見続行も辞さない私
あむあむ、もぐもぐ

お帰りなさーい
おや?茶器が?
休憩終わりってことなら腹ごなしに頑張りますかね(カタール装着!)



 梅林のお花見を楽しんでいると、突然と梅花が零れ落ちてその色が大地を侵食していく。
「えっ」
 半ば腰を浮かせて周囲を見回した蛇塚・レモンはその色違いの目を瞠った。
 夏の夜風、秋の湿った風が交差するように吹いて周囲の景色が四季を狂い咲かせていく。
「えええっ、いきなり風景が変わった~っ!」
 そう叫んだレモンに落ち着け、と諫めるのは蛇神様。
『案ずるな。まだ此処は危険は及ばぬ』
(「え、蛇神様、本当?」)
 元気で無垢な声が次いで紡いだのは、確りとした女性のもの。
『神の言葉を信じよ。皆の者、今暫くは休息を取っておくのだ』
「……――だってっ!」
 言葉を紡ぎ、次の瞬間には元気なレモンの声。
 そっか、と鳳凰院・ひりょがにこやかに応じる。
「直ぐにこちらに牙をむいて来ないというのなら、少しの間、皆で自由に行動してみようか?」
 ほら、と彼が視線を巡らせれば、ここ春の間から続く冬の光景、秋の色は鮮やかでちょっとした散策も楽しんでいけそうだ。
「楽しく散策……じゃなかった探索できそうですねぇ」
 のんびりとサージェ・ライトが言えば、ヴィクター・グレインが警戒たっぷりの鋭い視線を辺りに巡らせた。
「何を呑気な。奴らが動いたというのならば、早速――」
「あら、無粋な。まだお皿にケーキが残っているわよ」
「む」
 囚われゆくこの場をどうにかしようとするヴィクターに、すかさずシャルロット・シフファートが留めるように言った。ケーキが残っている。それを残していくのかと。
「それに、UDCによる怪異空間とは言え中々に美麗な場所じゃない。刹那的なこの場所で、とっておきのお茶を楽しむのも悪くないわ」
 ここは四季折々の美術館。見応えのある佳景。
 喫茶を伴うテラスもあるだろうとシャルロットが思えば、UDCの構成したこの空間はその場所を引き寄せてくれた――心地よく、贄たちが自ら囚われの身となれるように。
「……怪し過ぎる」
 敵の意図が容易に判り、ヴィクターが舌打ちする。
 そう言いながらも甘い物は手にしたままの彼の様子にサージェは苦笑した。
「まあ確かに壊す方が早いんですけど、調べたら何か得られるかもですし――それに逆に今すぐ壊すと調べる間もなく襲われるかもですし」
「あ……そっか。すぐ壊すと異変が早まっちゃうかもしれない訳だねっ?」
 レモンが息をのむ。
 サージェの読みは正しい。ここは邪神に捧げる生贄の檻。平穏な場から、惨劇へと変わるその落差を生む空間でその時は必ず来るのだ。
「だったらあたいも、少し探索してみようかなっ?」
「皆が探索から帰る頃には美味しい紅茶やコーヒーが飲めるようにしておくわ」
 探索に赴こうとするレモンとひりょへ、シャルロットが言う。喫茶スペースにある茶器を取り出した。
 ではでは、とサージェが両腕を広げて。
「ここをキャンプ地とする! ――ウソデスゴメンナサイ。でも一時のベースとしましょうか!」
 満開の桜を楽しめる喫茶スペース。
 いってらっしゃい! と、サージェが送り出した。


 ベースである春の場から夏の山へと入ろうとするひりょ。
 警戒しながら一歩を進めると気付くことがあった。
 春の萌える葉、一枚が夏のものへと色が変化していくその境目にスノーノイズが一瞬走る。
「視覚操作……?」
 ノイズ混じりの春風が夏のせせらぎに飲みこまれた。
 ミンミンと蝉が鳴き、岩から岩へ落ち流れていく夏の川。
「ん~……とはいえ、専門じゃないからなぁ……」
 黒髪をかきあげて周囲を見回す。葉の隙間から落ちてくる陽射しは強く、一足早い夏の中をひりょは進んでいった。


「この空間は、今は危険な場所かなっ?」
 ――いいえ。
 レモンが魔法の辞典に質問をすれば、その回答が頁に浮かび上がった。
 彼女がでた空間は、秋色に染まる山畑であった。
「わぁ~! 紅葉が綺麗だな~っ!」
 黄色や赤と染まる景色、空の青は少し薄くて高く感じる。
 山畑では栗の木が並び、鬱蒼とした場所にはアケビが実っている。割れた実から果肉が覗いていた。胸いっぱいに深呼吸するレモン。
「秋晴れだなぁ」
 ――でもこれは幻なんだよね……と、呼気を吐く。
 毎日、農作業をするレモンはその身に四季の移り変わりを直に感じる日々だ。
 今日は春めいていて、あたたかいな、とか。
 ちょっと寒さが戻ったね? とか。
 そんな感覚に慣れていて、ちょっと物足りなさを感じてしまう。やっぱり、ここは作り物の空間なのだ。


 公園にはなかった満開の桜。
 はらはら、ひらひらと桜の花弁が舞い落ちていくなかで――柔らかな春の陽射しのなかだというのに、ヴィクターの闇――夜咫鴉、黒猟狼、闇人は先程と違って寛ぐ姿を見せない。
「夜咫、黒、闇人。警戒を怠るな、敵はいつ何処から仕掛けて来るか分からん」
 甘味をきっちり食べ終えたヴィクターは臨戦態勢である。
 探索に向かった面々がもしもの事態に陥ろうとした時の迎撃要員。
「あっ、このおにぎり、甘辛くしたそぼろが入ってて美味しいですね」
 怪異空間へ一緒に来てしまった食べ物たちをちゃんと楽しむサージェ。
「キウイやイチゴのフルーツサンドも、クリームと酸味の相性が素晴らしいといいますか……」
 彼女の感想に、そうだなフルーツサンドは美味かった、と内心頷くヴィクター。
「シャルロットさんの淹れてくれた紅茶が、それにすっごく合いますね!」
「今日のは季節もののフレーバーミックスね。最近はお茶入れとか、令嬢として人へ振る舞うための技術も行えるようになったのよ?」
 美味しい紅茶は茶葉と技術から。ブレンドもこなしはじめたシャルロットは楚々とした動きを披露する。
 沸かしたお湯で葉を躍らせて、じっくりと抽出させた一品。
「は~、あっつ。暑かった。ちょっと水分補給させて」
 ひりょが戻ってきて、ぱたぱたと自身を扇ぎながら言うので、シャルロットはミント水を用意した。
「おかえりなさーい。ひりょさん、水まんじゅう食べます?」
「いるー。ありがとう」
 サージェの差し出した和菓子と、ミント水で一息つくひりょ。オススメの紅茶ももちろん頂くのだった。

 シャルロットもティーカップを持ち、テラスへと出ればそこは冬の空間であった。
 月明りのない冬の夜空が広がっていて、キンとした冷たさが冴え冴えと星を輝かせている。
「綺麗な冬の星空ね。私が生まれた大晦日もこんな夜だったのかしら?」
 星の流れは少し鋭く見える。
 冷気に満ちた庭園で、淹れたばかりの紅茶を飲みながら寒さを凌ぎ、ほうっと息を吐いた。
 郷愁を誘う空間は、何も知らない人が閉じ込められたのなら、じわじわと精神を蝕むものであっただろう。
 けれども、怪異を誘引し、誘引された猟兵たちは刹那の四季を楽しむ。
 痺れを切らすのは相手の方。
 ぶるりとティーカップが揺れて、シャルロットの手から滑り落ちた。
「……あら、もうお終いかしら? 無粋なのね」
 パン! と割れた音が次々とあちこちで上がっていく。
 星々の光を逆手に、炉心化させていくシャルロット。
 みんな! とひりょが叫べば、呼応したレモンが蛇腹剣・クサナギを繰り紅葉を斬り裂いた。
 元々から一枚絵であったかのように、秋の景色が裂かれ落ちていく。
 ひりょが呪札を振らば光陣が描かれ、数条の光が放たれた。
 ひとつ、ふたつと、集束するスノーノイズが周囲を駆け始める。
「夜咫、黒。お前らは他のメンバーのサポートを。闇人、お前は俺と来い。暴れるぞ」
 闇人の眼光が光線のように撃ち出され、紫色のそれが異空間の檻を破壊する。
 カシャン、ガシャンと硝子が砕けて割れる音が辺りに響き、スノーノイズの侵食が始まった。
 八咫烏が翔け、旋回する。
「お花見も終わりですね! 腹ごなしに頑張るとしましょう!」
 支柱を渡るグリップを握り、カタールを装着するサージェの言葉を掻き消すように――ザザザザザッッ!! と耳障りなノイズ。
 そしてエラーが混ざりゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

兎乃・零時
💎🌈
アドリブ歓迎
3Dプラネタリウム的美術館

おぉ…此処凄そう…心結!早く早く!
思わず目を輝かせつつ早く早くとぐいぐい手を引きながら

さっきの桜も凄かったが、こんなのも凄い見ごたえがあるよな!

空に見えるは綺麗な星星、本来はこの季節に見えない星座も良く見える
夜空に浮かぶ星々は故郷をつい思い出してしまうが…宇宙空間とはまた違う素晴らしさを感じる

あ、流れ星も流れてる
……沢山流れてきたな!?あれが噂の流星群なのかな…(宇宙ではこんな風に見えないのだ)
流れ星って確か願い事三回言うと良いんだよな…折角だしなんかやっとく?

俺様の幸せ……?
不思議には思うけど悪い気はしない
じゃあ…俺様は心結の幸せを祈るとするぜ!


音海・心結
💎🌈
※アドリブ歓迎
3Dプラネタリウムで春夏秋冬

合わされた掌に結ばれた指先
導かれるままに辿り着いた其処で

よく気づきましたねぇ
流石、零時なのです

あの桜は迫力がありましたが、
やはり此処ならではの魅力はありますねっ

ふと、上を見渡せば無数の星たち
疑似とはいえ幾千の夜を超えて生まれたこの星たち
どんな物語があるかなんて想像もつかない

わあ!
いっぱい流れてますねぇ
きっと流星群ですよっ!
……願い事、ですか?

願いは在れど、貴方は誓ってくれた
傍に居て護ってくれると
これ以上の願いなんて今はない
何時か望む日が来ても、それはきっと――

ふふ
みゆは零時の幸せを願っておきます

幸せな彼の傍に居たいという想いを込めて



 見上げていた桜が満開になるとともに、空は夕焼けとなり夜の帳が落ちていく。
 猟兵たちが怪異に囚われた刹那の空間では、様々な景色が巡っていた。
「おぉ……こっちが凄そうだ……! 心結! 早く早く!」
 なだらかな丘で、星の散らばる夜空をもっと間近に感じようと兎乃・零時が音海・心結の手を引いた。
 合わさった掌に指を絡めて、ぬくもりが指先に行き渡る。
 周囲を見回せば、星は二人の傍に。
 空いた手を伸ばせば触れた光はすり抜けて、夜空のただなかにいるような感覚。
 丘をのぼった先には三次元の星天が鎮座していた。
「さっきの桜も凄かったが、ここも凄い見ごたえがあるな!」
「よく気づきましたねぇ。流石、零時なのです」
 目を輝かせて言う零時へ、ゆるやかに心結は頷きを返す。
 綺麗、と呟いて。
 星の集まるうみへび座、その双方向にはしし座とこいぬ座が――春の星図だ。
「心結、あっちには夏に見える星座があるぞ」
 移動すればぐるりと回る星図。丘の草地にも星が落ちていき、星溜まりが出来ていく。
 夜空に浮かぶ星々に、零時は故郷をついつい思い出す。
 けれども宇宙空間とはまた違う素晴らしさもここにはあって、感嘆の息が零れた。
 心結はどうだろう、と。そっと隣を見れば、彼女は空を見上げるように。
「心結?」
「――いえ……どんな物語が、あの星々にあるのだろう、と考えていました」
(「疑似とはいえ、幾千の夜を超えて生まれたこの星たち」)
 この地に届く輝きは、長い時を経てようやく辿り着いたもの。
 想いを馳せて星空を眺めていると、弧を描いて流れていく星。
「あ、流れ星」
「わあ!」
 零時が指差して、心結の目が追う。
「……って、沢山流れてきたな!? あれが噂の流星群なのかな……?」
「ええ、きっと流星群ですよっ」
 きらり、きらりとした流れ星はどこか艶やかだ。数えていると、数え切れないほどたくさん流れる瞬間もある。
「なあ、流れ星って、確か願い事を三回言うと良いんだよな……。……折角だしなんかやっとく?」
 零時の言葉に心結は目を瞬かせた。
「……願い事、ですか?」
 胸に思い出がよみがえる。
(「――願いは在れど、貴方は誓ってくれた」)
 心結の傍に居て、心結を護ってくれると。
 指先をより絡めれば心地良い熱をもっと近くに感じて。
「心結?」
 呼ばれる音も心地良い。
(「これ以上、なんて」)
 これ以上の願いなんて今はない。
(「何時か望む日が来ても、それはきっと――」)
 心結は微笑んだ。
「――ふふ、みゆは零時の幸せを願っておきます」
 幸せな彼の傍に居たい、という想いを込めて。
 これからも、ずっと。
「俺様の幸せ……?」
 彼女の願い事を不思議に思う零時であったが、悪い気はしなかった。心が、魂が震えてうずうずとする。
「じゃあ……俺様は心結の幸せを祈るとするぜ!」
 その心赴くままに願い事を告げる零時。
「ふたり、一緒に幸せですか。お揃いですね」
「そうだな」
 二人一緒に微笑んで。
 今、この瞬間に生まれた幸せを、指先で暖め合った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四宮・かごめ
※アドリブ連携OK
寝ぼけ眼をこすりつつ、謎の美術館に潜入でござる。

たぶん目の前に水墨画が現れて、そこに竹林が描かれているのでござる。
あるいはいきなり、さっぱりとした香りの広がる竹林の中に現れるのかも知れない。

状況はともかく、良質な竹につられて、散策開始でござる。
そういえば季節を確かめてなかったでござる。
春なら筍が生えているし、冬なら雪が積もっている筈。たぶん雀とかもいる。
光る竹を斜めにスパッと切り落としたら
中には春夏秋冬の旬の食べ物が詰まっているとか、いないとか。

この竹林、枯れるまでどのくらいかかるのやら。
それまで待つのも気鬱ゆえ、根絶やしにしてやるでござる。

※詰まるところ、大部分お任せ



 ちょっぴりロシアンなたこ焼きでお腹も満ちて、ゴロンと寝転がれば空に満開の梅花と枝模様。
 落ちてくる香りも影も心地よく、うとうととしていた四宮・かごめ。
 ふと、違う香りに気付いてゆるりと目を開く。
「……?」
 黒い瞳に差すのは白梅の色――ではなく、薄らとした墨色。
 ぽかぽかと温まった身体を再び猫のように伸ばして、前傾がてら飛び起きた。
「この匂いは……墨にござるか?」
 目を擦ったのちに周囲を見回せば、淡く繊維の残る和紙の世界が広がっている。
 松煙墨で表現された竹林を眺めていると、のっそりとした熊が現われた。
「…………」
 ちょっと警戒したかごめは身を屈めて、墨で描かれた竹林に潜む。忍びである彼女の黒髪も、忍び装束もその景色に同化するように。
 のしのし動く熊もまた筆で大胆に描かれた姿をしており、深みのある油煙墨。
 熊を指でつつくのはちょっとあれなので、目前の竹をちょんとつついてみるかごめ。墨を多分に含んだ画仙紙の触感だった。
 歩き去っていく熊を追うようにかごめが一歩を踏み出せば――色と音が変化した。
 濃淡の緑。風に擦れる竹葉が数多に、さっぱりとした香りが肺いっぱいに満ちて、一瞬ここが本物の竹林であるかのような錯覚にかごめは陥った。
 呼び起こされる郷愁。
 こうやってどこか懐かしい四季ある風景に導いて、UDCは贄を『檻』へと閉じ込めていくのだろうか。
 チュン、チュンと雀の声が聞こえてきて忍襟巻に隠れたかごめの口元が緩やかに動いた。
 しっとりとした土から筍が生えている。
 並び合う竹とはいえ色や質感はちょっとだけ違っていて、視えぬ地下茎を確かめるようにかごめは歩いていく。親しみ、和む風景だった。
 ひとつの竹を軽く叩き、その詰まったような音に異質さを覚えたかごめは鉈で斜めに切る。――その中から現れたのは、ほかほかな筍蕨ごはん。
 面妖な、と思いながらも味見をしてみれば――美味しかった。筍と蕨の食感の違い、もちもちしたお米。
 美味。
 もう一度心の中でそう感想を告げ、きゅっと目を瞑るかごめ。
「しかしながら」
 人々をこの怪異へ誘ったUDCは、いつ噛み付いてくるのだろうか。
 それまで待つ必要もなし。そう判断した彼女は改めて飄風鉈を握った。
 風の呪法を鉄に練り込んだ鉈は振らば辻風が発生する。下方へと落とした一振りの風は地を抉り、大地に根を張る地下茎を分断した。
「この竹林、枯れるまでどのくらいかかるのやら。――それまで待つのも気鬱ゆえ、根絶やしにしてやるでござる」
 真・唐竹割りを打てば破壊された大地からスノーノイズが溢れだす。
 ザ、ザザザッ!
 かごめの辻風が抜ければ、虚空にも集束する白黒のノイズが出現し、場を侵食していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【月風】

春の小鳥の鳴き声がしてきたと思ったら
…いつの間にか蝉鳴いてね?
暑ぃ
瑠碧姉さん大丈夫?
でも木陰が涼しいな
あっちの方、小川も流れてる
ちょっと入ってみねぇ?
進んでみるもなかなか近づけず
…あれ?
いつの間にか4枚の絵画の前
…こういうのがだまし絵?
『連作・森の四季』だって
タイトル口にし
新緑の小鳥が春で
眩い日差しの小川が夏?
へぇ…面白そうだな
手を伸ばせば小川の畔
瑠碧姉さん
壊す前に満喫しねぇ?
手を引いて夏の絵に飛び込もうと
ほら水面きらっきらだし
魚もいるぜ
いそいそと小川へ

すげぇ
水の魚に目を細め手を伸ばし

瑠碧姉さんはどの季節がいい?
そっか
冬の絵も綺麗だった

ありがとうな
冷えたら春の絵で日向ぼっこするし大丈夫


泉宮・瑠碧
【月風】

桜は、何処に…?
…暑さには弱いので
少しへんにょりしつつ
氷の精霊が周りを冷やしてくれて
大丈夫、です

小川…?
公園に、ありましたっけ
不思議がっていたら絵画の前に
…これが例の、怪異ですか

理玖の様子で
絵なのに隔たりが無い事に気付き
手を引かれて
恐る恐る絵の世界へ

強い日差しも苦手ですが
木の葉も遮ってくれますので

小川の傍でしゃがみ
お魚に、こんにちはと挨拶して
水で魚を型作り、水面をジャンプして遊びます

川へ入る理玖へも
水の魚が跳ねてじゃれつきましょう
濡れない程度に

私は…強いて言えば、冬でしょうか
生命は眠りますが…とても、静かなので

理玖が川から上がれば
水の精霊に願って水気を飛ばします
冷えたら、風邪ひきますよ



 枝を渡り、小鳥がリズムよく鳴き始める。
 そして一瞬で満開となった桜は強い陽射しにさらされて、その花びらは溶けていった。
「え」
 陽向・理玖が気付いた時は既に春は過ぎ、夏の空気。広がっていた公園の風景は少し違うものになっていた。
 ジワジワ、ジジジ、ミンミンと時季外れの音が遠くからし始めた。
「は? ……いつの間にか蝉鳴いてね? 暑ぃんだけど」
「……桜、溶けてしまいましたね……」
 今にも溶けそうな声で泉宮・瑠碧が呟けば、少し慌てたように理玖が様子を窺ってくる。
「瑠碧姉さん、大丈夫?」
「だ、大丈夫、です」
 一緒に怪異空間に囚われてしまったのだろう、精霊たち――氷の精霊が周囲を涼しくしてくれていた。彼らは瑠碧にぴったりとくっついている。
 理玖が周囲を見回せば、公園はより自然に近いものへと変化していた。舗装された道はなくなり、砂利の敷かれた道が出来ている。その先には林――否、山だろうか。
「瑠碧姉さん、木陰がある。とりあえずあっちに行ってみよう」
 理玖に促され、頷き立ち上がった瑠碧。
 二人で砂利道を進んでいくのだが、なかなか辿り着けないことに気付いた。
「……? 近付けてない? いや、小川も見えてきたし、進めるには進めているのか……?」
 ザ、と時折ノイズの音が走る。
「小川……? 公園に、ありましたっけ……」
 理玖の呟きに、ふと我に返ったように今度は瑠碧が周囲を見回した。
 そこには違和感が溢れていた。
 一枚の葉を分断するかのように、細いスノーノイズ。ある部分でそれが空間を囲っている。
「理玖」
 前を行く理玖の服裾を少し引いて瑠碧が一歩下がれば、途端にスノーノイズが場を切り取った。
「トリックアート? ……こういうのがだまし絵ってやつなのか?」
 砂利道はそのままに、夏の描かれた壁を前にした理玖が視線を巡らせれば、ゆるりと変化していく色彩。葉が色付く秋へと向かう。
「……これが例の、怪異ですか」
 佳景の檻を改めて感じ、瑠碧は呟いた。
 白黒ノイズの額縁を辿り、改めて美術館然としたこの檻に名札があることに理玖は気付いた。
「連作・森の四季、だって――新緑の小鳥が春で、眩い日差しの小川が夏?」
 切り取られたかのような空間を前に理玖が耳を澄ませてみれば、岩を下る水の音。涼し気な空気が流れてきた。
「へぇ……面白そうだな。なあ、瑠碧姉さん、壊す前に満喫してみねぇ?」
「満喫、ですか」
「ああ。一足早く、俺らだけの夏! って感じで」
 にっと笑った理玖が手を差し伸べれば、恐る恐るといった様子で瑠碧の手が乗せられる。
 手を引かれリアルな絵画をくぐり抜ければ、夏の空気。
 陽射しを半ば遮る木々の香りはどこか爽やかで、岩を打ち流れていく水音が場に満ちている。
「ほら水面きらっきらだし、あっ、魚もいるぜ」
 童心に返ったかのような理玖の声。その表情につられ瑠碧も笑みを浮かべた。
 落ちてきた陽射しを反射して光る魚。小川で器用に停留しては、流れに逆らって水中を行こうとする。
「こんにちは」
 魚へと挨拶した瑠碧は、驚かせないように魚の隣に水で魚を型作った。しばらく並走して泳いでいた魚たち、一匹が水面を跳ねればもう一匹も跳ねて。
「すげぇ、本物みてぇ。な、瑠碧姉さん、この魚遊べんの?」
 川を上っていく魚に置いていかれた水の魚。川面に触れた理玖が問えば、瑠碧は頷いた。
「理玖がそう願うのなら」
 理玖の手に頭突きをした水魚が跳ねてじゃれつく。
「川に入って遊んでもいい?」
「もちろんです。それなら、もう少し、魚を作りましょうか」
 靴を脱ぎ、いそいそと無邪気に川へ入っていく理玖に、水魚を数体向かわせる瑠碧だった。

 しばらく遊んで、そういえば、と理玖。
「瑠碧姉さんはどの季節がいい?」
 言わんとしているのは、行ってみる? というもの。
 水から上がりながらの問いかけだった。
 そうですね……と瑠碧は先程の光景を思い出す。この夏以外にも、春、秋、冬とあった。
「私は……強いて言えば、冬でしょうか。生命は眠りますが……とても、静かなので」
「そっか。冬の絵も綺麗だったしな」
「はい。冬の雪空。木々もしんしんとした様子でした。……それよりも、理玖」
「?」
「冷えたら、風邪をひきますよ」
 そう言って瑠碧が水の精霊に願って、濡れた理玖の水気を飛ばしていく。
「あ。ありがとうな。冷えたら春の絵のとこで日向ぼっこするし大丈夫――」
 言いながら視線を移せば、じっとこっちを見上げる瑠碧の目。ぽん、とその手が岩を叩いた。
「夏の岩も温かいですよ」
「……今すぐあったまる」
 油断大敵。
 『今』の絵画に付くとしたら、そんなタイトルだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城島・冬青
【橙翠】

これがその怪異ってやつですか
美術館と聞いてはいたけど
まるで映画のセットみたいですね
あ、アヤネさんは映画村って行ったことあります?時代劇の撮影が行われてるんですよ
今度映画村行きましょう
太秦とか日光の!
イカ焼き香ばしくて美味しいですね

夏の海が広がる風景に飛ばされ
太陽の眩しさに目が眩む
リアルですね
去年の夏休みに旅団のみんなと遊びに行った海を思い出す
潮の香りもリアルだなぁ

お!次は向日葵畑ですね
向日葵…うっ頭が!
以前とある依頼でアヤネさんと向日葵畑で色々大変だった記憶が蘇る
思い出に浸っていたら
アヤネさんと距離が空いてしまった
はいはい
私はここですよ
はぐれないよう手を繋ぎましょう

向日葵、綺麗ですね


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】
ははーんこれが怪異ってやつか
それはそうとイカ焼き買ってきたからソヨゴにもあげる
イカを齧りながら状況確認

魔法的な仕掛けってところかな?
面白い
壊すのは趣に欠ける
もうしばらく楽しんじゃおうか
色々と見て回ろう
映画村?行ったことはないけど想像するに大掛かりな映画のセットとかあるのかしら?

海の景色に一緒に飛び込む
暑い
砂をサクサク踏みながら散歩する
ああまたみんなでどこか行きたいネ

次に行ってみようか
ひまわり畑に迷い込む
晩夏の夕方
背丈があるので見通しが悪い
ソヨゴどこ?
ふと不安になる
昔こんなことがあった気がするけどいつだったか
大声でソヨゴを呼ぶ
なんだすぐ近くにいたのネ
離れないように手を繋いでいこう



「ははーん、これが怪異ってやつか。トリックアートに放り込まれたみたいだネ」
 屋台で買ったイカ焼きを手に、アヤネ・ラグランジェが周囲を見回した。
 城島・冬青と一緒に立つこの場は、四季それぞれの佳景が切り取られて並んだ場所。
「つなぎ目は――スノーノイズ……?」
「? あの、テレビでザーってなるやつですか?」
 うん、ほら、ここに、と指差したアヤネに近付いて冬青が注視すれば、細いノイズの線が入っている。
「魔法的な仕掛けってところかな? 電脳世界から『干渉』しているようにも感じるネ。なら、敵側が今も『観賞』しているのかな? ――面白い。壊すのは趣に欠けるネ」
 もうしばらく楽しんじゃおうか、とアヤネ。わくわくとした表情だ。
 へえ、と呟いた冬青が一歩、二歩と下がって改めて場を眺めた。
「美術館と聞いてはいたけど、まるで映画のセットみたいですね」
「映画?」
「はい。アヤネさんは映画村って行ったことあります?」
「行ったことはないけど、想像するに大掛かりな映画のセットとかあるのかしら?」
「時代劇の撮影が行われてるんですよー。そうだ、今度映画村行きましょう! 太秦とか日光の!」
 冬青の誘いに、うん、と頷くアヤネ。新しい次の約束に、にこにこだ。
 つられて笑顔になった冬青が、それにしても、と言葉を続ける。
「こんな不可思議な場所で、イカ焼きがめっちゃリアルですね」
「ネー」
 香ばしいイカ焼き。UDCがどんな不思議ゾーンへ誘引しようとも、引きずり込まれない精神を保つ自信が、今はあったりする。


 二人が訪れたのは夏の空間だった。
 ミャアミャアとカモメが鳴く、夏の海が広がる世界。
 強い陽射しを受けて、冬青が手を翳し空を見上げれば輝く太陽。その眩しさは容易く目蓋に残像を作る。
「リアルですねー。去年の夏休みに旅団のみんなと遊びに行った海を思い出します。こんな風に、凄く陽射しが強かったので」
「ああまたみんなでどこか行きたいネー」
 今年の夏は、海はもちろん行くでしょ? 夏祭りと、花火。川原でバーベキュー? 指折り数えるように、二人で交互に言っていく。
 毎年やることだけど、思い出は全部違う。一緒に過ごした時間はかけがえのないものだ。

 歩いていくと、次に行き当たったのは向日葵畑。
 元気な向日葵たちが太陽を追っかけるように咲いている。
「――うぅっ……」
 背高の向日葵に囲まれて、ちょっぴり天を仰いだ冬青はこめかみに指先をあてた。
(「以前……」)
 ある依頼でアヤネと共に訪れた向日葵畑で色々大変だった記憶が蘇る冬青。
 一方、アヤネもまた不安そうに周囲を見回していた。四方を背丈のある向日葵に囲まれて、先を見通せない。
「ソヨゴ……?」
(「昔こんなことがあった気がするけどいつだったか」)
 どうして手を離してしまったのか。ちゃんと繋いでいればと考えれば、不安はどんどんと募る。
「ソヨゴ!!」
「はいっ、はいはい、私はここですよ」
 応じた第一声は大きく、それでいて手が伸びてきた。次いで太茎の間を縫うように冬青が現われる。
「……なんだすぐ近くにいたのネ」
 アヤネはホッと安堵して呟いて――どちらともなく手を繋いだ。

 佳景の四季巡り。
 穏やかな日常から、ふとした瞬間の不安、恐れを引きだすための『檻』。
 贄の感情の落差に応えるかのように、スノーノイズが夏の空を侵食し始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

筧・清史郎
【満】
狂った四季の美術館か
どの様な景色に遭遇するのか、興味はあるな

桜が舞う『夢』と綴られた書の掛軸
見遣れば刹那、数多の文字と桜花弁踊る春の庭の檻へと誘われる
…桜ノ匣庭、か
不可思議な光景を暫し眺めるも
だが一人では少々寂しいな
蒼桜の刀で一閃、二人の元へ

菊里の覗く四季彩絵巻を共に見れば
目くるめく巡る四季の風景
おお、団子か
それは良いな、頂こう(微笑み
俺も買っておいたたこ焼きが(にこにこ取出しお裾分け
ふふ、伊織の分も勿論あるぞ
ああ、万華鏡の如くくるり移ろう四季を眺めるのもまた面白い
折角だ、花も団子も引き続き存分に味わおう

佳景も食も十分に楽しめば、二人と共に幻の四季に別れを
桜吹雪舞わせ、現つの春へと戻ろう


千家・菊里
【満】
屋台は遠退きましたが
佳景のおかわりは続く様ですね

雄大な四季彩広がる絵巻物覗けば
雪と桜が舞い踊り
視線移せば夜桜に蛍が戯れ
いつしか花弁が紅葉に変われば
空の輝きも天川から満月へ
紅差す木々にはまた雪化粧

万華鏡の様で面白いですねぇ
こんな事もあろうかと
団子をとっておいて正解でした
清史郎さんもデザートをどうぞ
(垣間見た匣庭のお話は、またいつか――
今は景色も馳走も余す事なく分け合い楽しみ)
佳景と馳走の饗宴は色んな意味で味わい深くて堪りませんよね

然し楽しい時間も美味しいお団子もあっという間で――
でも、例え此処は消えようと、現でもまた皆で巡る四季を楽しんで行けるのですから、惜しまずとも大丈夫ですね

共に一閃を


呉羽・伊織
【満】
敵の術中とはいえ、面白い事になったな
折角だし楽しく乗り越えてこーか!

不思議な渡鳥の彫像に近寄れば不意に隣の絵巻物の四季渡る旅路に誘われる

春の花の中を舞遊び
夏は木陰や水辺で羽休め
秋の実りを満喫し
冬は雪だるまの如くまるく身を寄せて

目眩く光景に和むも
そろそろ二人の所へ帰らないと
(――冬の果てに再びの春
桜ノ匣庭が遠くにちらりと過るも、敢えて横槍は入れずに)

二人も楽しめた?
って聞くまでもなくまた謳歌してんな!
んじゃ有難く!
(寂しさも吹き飛ぶ様な飯交換に笑い)
ああ、本当に万華鏡の如き眼福で

怪異の誘いでなけりゃ最高だったが――否、皆でまた誘い合ってけば、此処に浸らずとも最高の景色を巡る事だって出来るな



 春の綻び始めた花巡り――だが一瞬にして満開となった桜は、熱い陽射しにその花びらを溶かし、したたり落ちた雫が地面に紅葉を敷く。
「敵の術中とはいえ、面白い事になったな」
 どこか楽し気に呉羽・伊織が言った。
「果たして、誘引したのか、されたのか――うつつ世は遠のきましたが、佳景のおかわりは続く様ですね」
 突如として訪れた怪異、四季の檻に囚われながらも千家・菊里はゆったりと言葉を紡ぐ。
 淡く繊維の残る和紙の世界が広がり、松煙墨で表現された竹林。純朴な風景のなか、菊里の視界に真っ先に飛びこんだのは色鮮やかな絵巻物であった。
 対し、筧・清史郎は溶けゆく花弁をその目で追い、一歩を踏み出した。敷かれた紅葉が払われ、その下には桜色に染まった掛け軸が落ちていた。拾えば重力に沿ってはらはらと桜色が流れていく。
 残った色に書を読み取れば、瞬く間に彼の身は桜花弁踊る春の庭の檻のなかに。
「ほう」
 僅かに目を瞠った。
 数多の文字が踊る。艸から成り立つ花や草木が『春』を構築している。
「……桜ノ匣庭、か」
 文字一つが自然を想起させる。その羅列が情を作る。
 不可思議な光景を清史郎はしばし眺め、だが、と目を瞑った。
「一人では少々寂しいな」
 目を閉じ、字の流れる場にて鎮座する。かつて在った日のようだ。磨られた墨を筆先が含み、駆ければ意味を成す。
 ――今世、踏み出す一歩を、一刀を清史郎は持っている。
 抜刀と共に蒼き刀を一閃させれば、その斬線にスノーノイズが走った。

 伊織は硝子で出来ている渡鳥の像を見つけ、近寄っていけば不意に渡り鳥が飛び立った。
 その羽ばたきはノイズ混じり。
 翼を広げれば春の花を映しこみ、渡鳥は七の色彩を。
 夏の木陰をその硝子の身に宿し、水辺に降りて羽を休めれば水面の輝きが散乱する。
「涼しそうだなぁ」
 渡鳥の旅を眺めながら、伊織もまた『彼』の映す風景を楽しんだ。
 夕暮れは郷愁を思わせる。空に身を溶かし、どこへ帰ろうというのか。
 秋の森の散策。アケビをつつき、ブドウをつつき、枝を渡っていく姿は弾んでいて楽しそう。
 落ちる紅葉は白く儚くなるも、ぎゅぎゅっと楽し気に雪だるまが形成されていく。
「寒いなぁ」
 羽毛を震わせる渡鳥に触れれば、不思議と柔らかかった。丸くなった渡鳥を抱き上げて、伊織が雪原に佇む。その身を撫でれば、ひとつひとつが細い硝子の様。伊織の温もりが伝わっていく。
 遠く、再び見えた春に桜ノ匣庭が遠くにちらりと過り、ふ、と呼気を吐き伊織は来た道を戻る。
 そう歩かないうちに、絵巻物を広げる菊里の元へと戻った。
 伊織の手からすり抜けた渡鳥が巻物の端を啄む。

 雄大な四季彩広がる絵巻物を菊里が覗けば、彼の周囲には四季が巡り始める。
 雪と桜が舞い踊り、つと視線を移せば夜桜と蛍の戯れの場へ。
 桜咲く季節に冬が帰り、晩春から初夏への移りはいつも刹那だ。
 瞬きにも満たないひと時は、巡り合い気付ければ僥倖のもの。
 花弁が紅葉に変わる頃の空を見上げれば、季候の空の輝きも天川から満月へ。境目無き日々を織りなす彩。
 黄に紅にと差す木々にはまた雪化粧――視線をほんの少し移せばころころと変化する景色はまさに。
「万華鏡の様で面白いですねぇ」
 僅かに、閉じるように絵巻物を傾ければ松煙墨の園。
 目蓋に残る桜色は、いずれ、また違う物語として綴られるだろう――目を向ければ清史郎が戻ったところで。
 そして対角からは伊織が片手を軽く挙げながら寄ってくる。
「楽しんでる?」
「ええ、それはもう存分に。ほら」
 伊織の何となくな問いに、すでに誂えていたかのように菊里の手にあったのは三色団子。みたらし団子。草団子。それらを差し出して、
「こんな事もあろうかと団子をとっておいて正解でした」
「聞くまでもない謳歌っぷり!」
 伊織が笑う。んじゃ有難く! と三色団子を手に取って。
 更には。
「今ならお二人の好む四季折々にもご案内できましょう」
 絵巻物臨時案内人となった菊里が言った。
「清史郎さんもデザートをどうぞ」
 至れり尽くせりとはまさにこのことか。くつくつと笑いの収まらない伊織を横目に、菊里が清史郎へと進めれば、にこやかな微笑みが返ってくる。
「それは良いな、頂こう。――俺もな、買っておいたたこ焼きがここにある」
 あったりする。
「ふふ、伊織の分もちゃんとあるぞ」
 良く食べて良く育て、とでもいうように、一箱、菊里へと渡す清史郎。
(「ああ、本当に万華鏡の如き眼福で」)
 どの四季を巡っても、一人では味気ない。同じ時を一緒に過ごしてこそ――そう伊織は思うのだった。

 さて、まずは何を眺めましょうか。
 菊里の声に、全部! と答えたのは伊織だ。
 閉じた絵巻物を広げれば、眩く景色が変化する。
 夜一つ。春の夜桜、夏の天川、秋の満月、冬の星天はいっそうの耀き。
「ああ、万華鏡の如くくるり移ろう四季を眺めるのもまた面白い」
 清史郎の声は静かなもので、けれども時駆ける四季の姿に面白そうな含み。
 けれども郷愁を誘う、穏やかな檻は贄を絶望へと落とすためのもの。
 その落差の瞬間は突然訪れる。
 スノーノイズが僅かに走り、場を侵食しようとしていた。
「怪異の誘いでなけりゃ最高だったが――」
 残念そうに言う伊織であったが、直ぐに、否、と呟いた。
「皆でまた誘い合ってけば、此処に浸らずとも最高の景色を巡る事だって出来るな」
「そうですね。例え此処は消えようと、現でもまた、皆で巡る四季を楽しんで行けるのですから、惜しまずとも大丈夫ですね」
 菊里が頷く。楽しい時間も美味しいお団子もあっという間だった――けれども、また紡いでいけるその未来。
「では――現つの春へと戻ろうか」
 幻の四季を覆うように、清史郎の桜吹雪。
 菊里が妖刀を、伊織が烏羽を一閃させれば、四季の檻が斬り裂かれる。
 ザザザザッ!!
 スノーノイズが走り、エラーの声がその空間を支配した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『『エラー』』

POW   :    ■、1あ■アオ、蒼、青い■あァあ、%2■3屍%蒼
【■アl■%あ、蒼い跳ぶ、頭■%、■格闘技】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    %2あ、か■赤血赤赤、■ア垢か、ぁ■赤い、%1■
【紅、?■2閼伽■紅い紅い紅い紅い紅い紅い】【紅い、紅い■■あああ■、紅い%貴方、四肢】【屍%、4赤■■、■ぁ■死あァぁ7。%呪術】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    キき■%、4■黄イ生ぇ膿キ■徽き、君、君■■%4
【■%黄い脳m、キ嬉々、黄%■未来、予知で】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 穏やかな四季の巡りの終焉は、ザザザザッ、とスノーノイズの侵食という形で迎えた。
 織りなした彩は白黒の砂嵐にかき消されて、原色強くぼやけた光景が世界に映り始めた。

「%2あ、か■赤血赤赤、■ア垢か、%2■3屍%蒼、キき■%君、君■■%4」

 蒼から赤へ変化する光の飛沫。
 乱反射する黄。
 その全てがぼやけて、鮮烈な集束ノイズが場を駆けた。
 数多のエラーが吐く言葉は意味がなく、エラーの動きを繰るのは終末の言語。
 格闘技による攻撃。
 紅を四肢に纏う呪術で自身を強化する。
 自身の身体に混ざるエラーが映すは、ほんの少し、先の未来。

 力なき人々が誘われたのだとしたら、狂い咲く虚構の檻に圧し潰されていたことだろう。身も心も、肉片となり恐怖の塵となり、跡形もなく。
 けれどもこの場にいるのは邪神を狩る猟兵たち。

「%2■3屍%■徽き、■死あァぁ7――キ嬉々!」

 けたりけたりと嗤うように身を震わせながら、エラーが猟兵たちへと襲いかかる。
キリジ・グッドウィン
メルメっち(f29929)と

ああいった目に悪そうな色使いのピクセルノイズ、色相をずらしたりするのはグリッチ効果とか。どっちかといえば写真や映像の技法で使われてるって感じだな。
まぁ、一日で色々見たからな……そのでけぇ瞳の瞼揉んでおきな。

メルメっちも自分の身は自分で守れるって事らしいしこちらも好き勝手にやらせてもらう。
ナイフと格闘による白兵戦にて応戦。
接近して相手を掴んでからの咄嗟の一撃、逆に相手には見えてんじゃねぇの、斬られたトコとかもさ
返す刀でどんどん斬りつけて傷口も抉っていく。……色かき混ぜるペインティングナイフみてぇだなァ?軍用ナイフだけど
とどめに"左"(使用UC)でまとめてぶっ飛ばす!


メルメッテ・アインクラング
キリジ様(f31149)と

打って変わった色の氾濫。目がチカチカします「キリジ様、こちらも画法の一種なのですか?」
先程の絵画と同じく、心に響くものはありません。全て壊して生の世界へ戻りましょう

私はキリジ様の援護に回ります
私を狙った敵攻撃は「私で防げます、どうぞお構いなく」腕輪型防御装置から発生するシールドで【オーラ防御】です
思念銃で光弾を撃ち【マヒ攻撃】。敵の動きを鈍らせましょう
けれども避けられてしまっては……いいえ、慌てずに参ります「お任せ下さい、キリジ様」
【瞬間思考力】で敵の動きを更に【見切り】、銃から『等除却』です
ここからキリジ様へと繋ぐべく。「目標、捕捉しました。ぶっ放させて頂きます!」



 ノイズと多色を刹那的に纏うヒトガタ・エラーを視認したメルメッテ・アインクラングが、続けて周囲へ目を遣ればそこには様々な景色の流れる色の氾濫。
 チカチカする目をやや細めて、その不規則性に何かあるのだろうかとメルメッテはキリジ・グッドウィンへと確認を取ることにした。
「キリジ様、こちらも画法の一種なのですか?」
 軍用ナイフ、ワヤン・クリの柄を握りながらキリジは「そうだなぁ……」と思考しながら呟く。
「ああいった目に悪そうな色使いのピクセルノイズ、色相をずらしたりするのはグリッチ効果とかかね? ……どっちかといえば写真や映像の技法で使われることが多いって感じだが」
「視覚、目くらましの効果の有用性はありますね。ですが、先程の絵画と同じく、心に響くものはありません」
 メルメッテが思念銃を僅かに上げた。サイキックエナジーの供給率が1%も欠けることのないレベルまで充填されている。
「全て壊して生の世界へ戻りましょう」
「まぁ、一日で色々見たからな……。メルメっち、終わったら、そのでけぇ瞳の瞼揉んでおきな」
 メルメッテがそうしますと告げれば、既にキリジは一歩前へと出ていた。

「■、1あ■アオ、蒼、青い■あァあ、%2■3屍%蒼!!」
 エラーが踏み込み、キリジの間合いへと滑りこんでくる。低くした姿勢から繰り出されるその腕を掴んだキリジは、敵を引っ張り振り回そうとする動作に大型ナイフによる一閃を加える。敵胴を薙ぎ、その切っ先は次敵へと向かった。
 片脚を軸に半身反転させ捻りの入った斬撃が逆袈裟に。
(「手応えはある、が」)
 相手の鮮血は飛沫せず、かわりにノイズが耳を劈く。エラーの開かれた体が景色のノイズに同化する。
 彼我の距離をあっという間に詰め、接近し戦うキリジの死角を補うのはメルメッテだ。
 思念銃で光弾を撃ち出してエラーの動きを鈍らせれば、その大きな隙に一撃を叩きこむキリジ。
 一発目を胸部に、エラーが怯んだところで頭部に一発。間断なく撃ち放たれるメルメッテの光弾に、仰け反り倒れる敵が次々と出る。
「■%黄い脳m!」
 エラーたちが的確な狙撃に警戒し、メルメッテへと意識を向け始めた。近いエラーが彼女へと殴りかかる。
「メルメっち!」
 気付いたキリジの声を耳にしながらもメルメッテは瞬間的に腕輪型防御装置を作動させた。
 練り上げたサイキックエナジーが破裂するかのように展開すれば、それは敵を弾き飛ばす一撃となる。
「私自身で防げます、どうぞお構いなく」
「お、そうか」
 再びシールドを発生させながらメイド然とした言葉に、キリジはあっさりと頷いた。
 貫いたナイフが敵胴を更に抉り、抜き払えばその残滓に数多の色がのる。
「はは……色かき混ぜるペインティングナイフみてぇだなァ?」
 斬撃された場所にモザイクが走り、撃破となれば彩りあるピクセルノイズが景色と同化していった。
 その最中にも接近してくる敵をいなしながら思念銃を撃つメルメッテだったが、ふいに違和感を覚える。
 光弾が回避され始めたのだ。
「……? 精度は――いえ、問題ありませんね」
 命中精度は保持されたまま、加えて撃つまでのエラーは確りと捕捉している。となれば。
「黄%■未来、予知で!」
 エラー音のなか、捉えた雑音ではない言葉。
「目標、捕捉しました。ぶっ放させて頂きます!」
 偽りなき言霊と力に向かって放たれた等除却が、エラー自身が捉えていた道筋を相殺していく。0と1で構成されたコードを破壊され、予知を失ったエラーの動きが一瞬鈍った。
「ナイスだぜ、メルメっち。これで――ぶっ潰れちまいなァ!!」
 キリジが眼前のエラーに左の剛撃を振り下ろす。機械化された左腕の加速ののる単純で重い一撃は敵をそのまま地に叩きつけ、放たれたスカッシュ・フィストカフが異界を破壊する。エラーやノイズを掻き消し――。
 ブツン! バチン!
 場を構築する電波が断たれ、『落ちた』。

 キリジたち猟兵を捕らえていたUDCの一部区画が破壊された瞬間だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
日常を満喫している方を狙うのは
日常への憧れ
そう出来ない事の悔しさ故でしょうか

無機質で悍ましいお姿ですが
それも過去の化身故

不条理な自身の存在に
苦しんでおられるのかも知れませんね

…いえそれを感じ悩む心も
既に失ったのかも知れません
お可哀そうに

エラーさん方を海へお還しし
世界と命と未来を守りましょう

竪琴を爪弾き魔力を練り上げて魔力の矢
放射状に放ち予知されても逃げ道がないようにして
緋蒼翠の輝きで撃ち抜きます

エラーなる存在ですし
それでも回避されるかも?

逸れた矢を周囲で自爆さ
魔力の余波でエラーさんへ干渉

映る未来の情景を歪めたり
映らなくさせます

そして次なる矢で貫き海へ還します

終幕
鎮魂の調べ
穏やかな眠りを


四宮・かごめ
※アドリブ連携OK
なんだかデジデジしたオブリビオンでござる。
あの美術館はホログラムか何かだったのでござろうか?

開幕早々、術が整ったので、敵の密集地帯にこれをぶちかますでござる。
忍法四宮流・筍退き。
当たれば良し、回避したら竹林が出来るので、ささっと入って身を隠すでござる。
そこからさらに竹林を広げたり、手裏剣を投げたりして、遠距離攻撃を行うでござる。

あとは、敵の体にほんの少し先の出来事が映るらしいので、物陰に身を隠しながら、敵の行動を逆に予測してみたりするでござる。
避けた瞬間を狙って手裏剣を放ったりして、味方の支援を行えれば幸い。

日常が戻れば、影は去るのみ。
では、これにて!(ちゅどーん)



 刹那が次々と現れては消えていく、切り取られた世界。
 周囲の異様さ、そしてオブリビオンを視認した四宮・かごめは即座に印字を打つ。
「湯津爪櫛折り捨てて、渡らせられませ黄泉坂」
 忍法四宮流の言の葉が魂宿りて、0と1で構築された異界に熱をもたらした。
 温められた『地面』から突き出したのは筍だ。凄まじい勢いで成長を始めた筍がエラーの脚を、胴を貫くように打ち攻撃した。敵に回避されたらされたで、筍は皮を剥がし青々とした竹藪へと場が変わっていく。
「生ぇ膿キ■徽き、君、君■■%4――!」
 現世へ導くたかむなたちが育つなか、箒星・仄々がカッツェンリートを爪弾き奏でる音が流れた。炎、水、風と三色の矢が放射状に放たれてエラーたちを射貫いていく。
 けれどもそれが通用したのは初手のみだ。
 複数からなる二手目が射たのはエラーの残像たち。
「■%黄い脳m、キ嬉々、黄%■未来、予知で」
 意味をなさないノイズ混じりのなか、正気に返ったかのような声。
 それは無機質な音に入った『誰か』の音だ。声を猫の耳で捉えた仄々は、痛ましそうにエラーたちを見た。
「日常を満喫している方を狙うのは日常への憧れ……そう出来ないことへの悔しさ故でしょうか」
「――なれば、ホログラムのような美術館にも合点がいくというもの、にござる」
 投げた手裏剣も避けられ始めて、一旦、身を屈め竹藪へと隠れるかごめが仄々に呟き応じた。
 彼らは骸の海から甦りしもの。何かの、誰かの、過去。
「無機質で悍ましいお姿ですね――不条理な自身の存在に、苦しんでおられるのかも知れませんね」
 そこまで言って、いえ、と仄々は首を振った。直ぐだった。
「それを感じ悩む心も既に失ったのかも知れません……お可哀そうに」
 呟き、仄々の指が弦を弾く。
「エラーさん方を海へお還しし、世界と命と未来を守りましょう」
 音が竹を伝い回って広範に影響する。奏でれば反響し合ってエラーたちのある意味規則正しい無機質な世界に、不規則な生きる音色が宿るようだ。
 異界はエラー、エラーが作った異界は同質のもの。
 掛け合わされた猟兵たちのユーベルコードがエラーの異界を変質させていく。かごめは黄泉坂の渡る領域を更に拡げた。
 再びトリニティ・ブラストを発動した仄々がエラーへと魔力を集束させた無数の矢を迫らせれば、竹藪を反響し合う音波にのってすり抜けていく緋蒼翠の輝矢が変則的な動きで敵を射る。
 光の軌跡の映像が時折エラーの身体を走った。
 竹藪にうつ伏せて身を潜ませるかごめが彼らの動きとその映像を観察する。
 回避しようとする未来。回避した先にある未来。カウンターとして仄々へと迫る――拳。
 その現実としてエラーが魔力の矢を回避すれば、僅かに逸れた矢は爆発した。炎の爆発、水の爆発、風の爆発と混ざり合えばその輝きも飛散する。
 明滅する戦場のなかで的確に敵影を捉えたかごめが手裏剣を投げ、エラーたちを怯ませたところで仄々の矢が命中した。
 この場にいた敵陣を撃破した瞬間。
 バンッ! と他矢が爆発すれば竹が揺れ、空を掻きまわした。
 続き、ブツン! バチン! と、場を構築する電波が断たれ、落ちてゆく。
 かごめと仄々を捕らえていたUDCの区画が壊れた瞬間であった。
「怪異が終わったのでしょうか」
 仄々が風を繰れば、ざああっと払われていく電波の帳。向こうに先ほど擦れ違った猟兵たち――空は青空が見え始めている。
 かごめはこくりと頷いた。
「……日常が戻るならば、影は去るのみ」
「あっ、かごめさん……!?」
 これにて! と煙玉を自身の足元に放ち、立ち昇った煙と共に去るかごめ。
 忍者らしい去り方にあわあわとした仄々であったが、しばらくして落ち着きを取り戻す。
 そして、カッツェンリートを手に奏でるは鎮魂の調べ。
 穏やかな眠りを、と願う音色は流れ続け、続々とそれぞれの異界から帰還する猟兵たちを迎えていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

陽向・理玖
【月風】

確かに一瞬ノイズ走ってたもんな
しっかし何言ってっか全然分かんねぇ
だからエラーなんだろうが…
一瞬怖気が走るがかぶりを振って

実にUDCっぽいけど
瑠碧姉さん…
大丈夫?

不思議さで済んじゃう?
ならよかった

龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
衝撃波飛ばし残像纏い手近な敵にダッシュで間合い詰めグラップル
拳で殴る

何かよく分かんねぇけど
ジャンプキックでもしてくんのか?
頭上注意しつつ動き見切り
瑠碧姉さんありがとうな
しゃがんで躱し着地点をカウンターで足払いし
他の敵狙って吹き飛ばし
追い打ちで攻める

すげぇ
瑠碧姉さんかっけぇ

青やら赤やら黄やら
信号機かようぜぇ
俺も負けらんねぇ
一気に片付けてやる
残った敵にUC


泉宮・瑠碧
【月風】

頭を振る理玖を心配そうに見て
言語は、分かりませんが
UDCは…
モンスターとは、また違う不思議さ、ですね

私は大丈夫、です
…悲しみはあっても、怖くは無いので

私は杖を手に
浄化や破魔を乗せ、呪術の効果も削ぐ様に
水の槍で理玖へ援護射撃と
離れた位置では夢幻包容

相手に速度増加は無いので
間合いを取りつつ視界内なら動きで見切り
目くらましや死角には気配や第六感に従い
避けたり、先に水の槍を射る事で回避や援護を

格好良い要素が、不明ですが…
格闘なら、より速く、力強い理玖を見てますので
彼らは読み易い方、です

集めた残滓が、歪み、狂った様は…
元になった彼らが、可哀想な気がします
…また、ゆっくり眠りましょう

おやすみなさい



「%2あ、か■赤血赤赤、■ア垢か、%2■3屍%蒼、キ嬉々キき■%君」
 あんなにもリアルだった四季の情景がホログラムのように消えて、明滅する景色とエラーが現われる。
「しっかし何言ってっか全然分かんねぇな。――だからエラーなんだろうが……」
 数多の音が重なり無機質なオブリビオンたちの声に、眉を顰めながら陽向・理玖が呟く。
 時折混じる正気に返ったかのような一音がいっそう不気味で、一瞬怖気が己の身に走ったが、直ぐに理玖はかぶりを振った。
「実にUDCっぽいけど――瑠碧姉さんは……大丈夫?」
 横に佇む泉宮・瑠碧を見れば、逆に心配そうに見られている。
「俺は大丈夫」
 そう告げれば瑠碧は分かったという風に一つ頷いた。
「言語は、分かりませんが……UDCは……モンスターとは、また違う不思議さ、ですね」
「え、不思議さで済んじゃう? それならいーけど」
「……――悲しみはあっても、怖くは無いので」
 呟き応じた瑠碧の真意を問う暇は無く、世界に捕らえた猟兵たちへエラーが襲いかかる。
 と、同時に龍珠を弾き、一瞬握り締めた理玖がそれをドラゴンドライバーにセットした。
「変身ッ!」
 群青と黄昏の色混じるスーツへとフォームチェンジしながら理玖が駆ける。その一歩一歩に夜の帳を落としていく空と風の如き衝撃波が発生し、周囲のノイズを掻き消した。
「■アl■%あ、蒼い跳ぶ、頭■%、■格闘技!」
「遅ぇ!」
 ヒトガタのエラーが構えようとするも、飛ぶように間合いへと入った理玖が敵腕を掴み相手の態勢を崩した。下段から突き上げる拳がエラーを撃ち抜く。
 腕を戻し、腰を落とした理玖が伸びあがるように背後に迫るエラーを蹴り上げた。
 彼の挙動ひとつひとつに衝撃波が発生し、交差し放たれる風圧にエラーたちは少しだけ遅れを取る。
 衝撃波に煽られ若干仰け反ったエラーを穿つのは飛来させた瑠碧の水槍だ。精霊杖を繰って周囲に水を躍らせながら、狙い定めた相手へと水槍を放つ。
 跳躍し、理玖に蹴撃を繰り出そうとしていたエラーは格好の的となった。
「ありがとうな」
 穿たれた敵の着地点へ――落ちてくるエラーを理玖が蹴り飛ばす。
「より速く、力強く動く理玖をいつも見てますので、彼らは読み易い方、ですね」
 杖を構えて瑠碧が応えた。
「紅い、紅い■■あああ■、紅い%貴方、四肢」
 飛んでくる水の槍に警戒し、防御姿勢をとるエラーたち。
 敵陣を彼我の距離を保ちながら瑠碧は言霊を紡ぐ。
「其れは夢の銀砂、降るは天蓋、深き眠りの道標……等しく、覚めない夢へと誘わん」
 歌うような紡ぎに応じて精霊たちが動き、後方のエラーへと誘眠の銀砂を振り撒いた。
「■、1あ■ア■あァあ%2あ、か■、キ、■■■%、■休ャ根ね――音、寝」
 エラー音を元気に吐き出していたエラーたちの挙動が、がくがくとなり酩酊した声色となっていく。
 バチン、と。
 スイッチを消したテレビみたいに真っ黒になったヒトガタのエラーは、周囲の景色をその身に映して地面へと倒れていった。
「すげぇ。瑠碧姉さんかっけぇ」
 負けてらんねぇなと理玖が近くのエラーへと一気に距離を詰めた。
「■、1あ■アオ、蒼、青い■%!」
 命中精度を高めたのだろう、迫る理玖に放たれるはエラーの拳。
「青やら赤やら黄やら、信号機かよ。うぜぇ」
 真っ向から立ち向かう理玖の疾風纏う正拳突きは、敵拳が加速の頂点を迎える前に届く。
 膂力と弾丸の如き一撃がエラーを粉砕し、飛散した映像コードが明滅する。
 攻撃が起爆となり、怒濤の衝撃波が残ったエラーを砕き、周囲の景色に罅が走った。
 ブツン! バチン! と激しく断たれる音が飛び交い、場を構築する電波が落ちる。
「瑠碧姉さん」
 ネオンが落ち、真っ暗になっていくような――そんな世界で理玖が瑠碧に駆け寄った。
 仄かに光の残滓を残していたエラーが消えていく。
「か■赤……赤アオ■、紅い……%貴方、%……呪術……■あお」
 無機質で意味をなさないノイズ混じりのなかで、正気に返ったかのような声が時々混じる。
 きっと『誰か』の音だ。瑠碧はそう感じた。
「集めた残滓が、歪み、狂った様は……元になった彼らが、可哀想な気がします」
 UDCの一部区画が破壊され、0と1の世界で構築された世界が暗くなる。
「……また、ゆっくり眠りましょう」
 おやすみなさい。
 祈り、瑠碧がエラーに視線と言葉を落とす。
 少しずつ、現実の色を取り戻していく世界。
 理玖が視線を上げれば、いち早く戻った春の空が二人の上に広がっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴィクター・グレイン
【箱庭】
「紛い者共が…、まぁいい。夜咫、黒、闇人、出番だ。」
三体の影…オブリビオンに影朧、マシンも揃って岩壁に向かって力を溜め始める。
「あの壁ごと消しても問題はないのだろう?ならば最大火力をお見舞いしてやろうか。」
UC【三種の呪物】を発動、夜咫は口から黒は額にある第三の目から、闇人は一つ目から暗くしっとりとした波動砲を放つ。
目前の岩壁ごとエラーを、跡形もなく…な。
「流石に代償はでかいか…。」
右腕の義手からオブリビオンのそれと似た黒い霧が溢れ出す。


シャルロット・シフファート
【箱庭】
アドリブ歓迎
WIZ

未来予測には因果干渉の異能をぶつけるまでよ。
ユーベルコードを起動。展開する二元論的な性質を体現する黒白の宇宙。
それは黒騎士と白騎士の力を宿す双剣と双銃を顕現し、過去と未来を操る力を得るわ。
そして白騎士の未来を操る力で未来予測に対抗。
白き銃と剣を振るってエラーを切り裂き撃ち抜いていくわ。


鳳凰院・ひりょ
【箱庭】
アドリブ歓迎
WIZ

予測回避系の行動を取ってくるのは面倒だな…
あ、でも…相手の行動範囲を狭めてやれば…?よし!

携帯したドロップを媒体に固有結界・黄昏の間を発動
地の疑似精霊を召喚
【高速詠唱】で次々と岩壁を生成していく
敵をサージェさんが追い込んでくれるから、それに連動する形で囲い込みを行っていこう

囲い込んで敵の動きを封じたら皆で包囲して一気に畳み掛けちゃおう
俺は万一にでも敵が逃走しないよう包囲した皆のさらに外周を覆うように【結界術】で結界を張るよ
【全力魔法】力を注いでこれ以上外へは絶対出さないよ!

俺はこの結界の維持に専念するから攻撃は皆に任せるね
敵さんを目一杯おもてなし(物理)してあげてよ!


蛇塚・レモン
【箱庭】
技能適宜活用

作戦は委細承知だよっ!
サージェさんが敵を追い込んで
シャルロットさんが未来を塗り替えて
ひりょさんが岩壁で敵を閉じ込めて
ヴィクターおじ様がまるごと消し飛ばすっ!
あたいはみんなの行動の補助に回るねっ!

UCの激しい御神楽で1000本の霊光線を発射!
矛先神楽鈴を鳴らすたびに幾何学模様を描いてゆくよ
光線はひりょさんの結界と岩壁を貫通
範囲内のエラー達に不運とマヒ捕縛の呪詛を与えるね

シャルロットさんのおかげで、未来予測を阻害できたっぽい?
敵の不運も重なって未来予測は出来ないはず

ライムの魂魄を蛇腹剣に憑依させて
炎属性の斬撃の乱れ撃ちで衝撃波の爆撃!
ヴィクターおじ様と一緒にトドメを放つねっ!


サージェ・ライト
【箱庭】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、影より悪を討つ者なり!!

と【威風堂々】な前口上と登場をバッチリ決めたところで
クノイチ・サージェ、先陣で参ります!

未来予知に対する策は数あれど
シャルロットさんもそこらに干渉するみたいですし
とりあえず皆さんの準備が整うまで気を引きましょう!

まずはダッシュ&接近
相手の攻撃をジャストガード&武器受けで受け流しつつ
カタールでの2回攻撃を仕掛けます
私の攻撃は回避されるでしょうけど
絶え間なく攻撃を仕掛け続けましょう

おっレモンさんのUCが発動したみたい?
ならばさくっと撤退クノイチ!

後はひりょさん、ヴィクターさんお任せしました!
あんまり無茶はしないでくださいねー!



 ノイズと多色を刹那的に纏うオブリビオン・エラーを視認した【箱庭】の面々が、続けて周囲へ目を遣れば様々な景色の流れる色の氾濫。
「紛い者共が……――まぁいい。夜咫、黒、闇人、出番だ」
 ヴィクター・グレインがそう告げれば旋回していた夜咫鴉がゆるりとした飛行となる。
「何というか、物理的な面で目に悪い光景ね」
 シャルロット・シフファートが呟き、空間を走るノイズを目で追った。
 0と1で構成されたかのような世界には電波が漂っているようで、読み取った猟兵たちの情報をエラーは映し取ったようだ。敵自身の身体に集まったピクセルノイズが猟兵の色を映しこむ。
 ほんの少し先の未来として。
「何だあれ――予知からなる回避行動をされると面倒だな……」
 鳳凰院・ひりょが目を眇める。けれども今ここに立つ猟兵は彼ひとりではない。直ぐに仲間がいるという戦線だということを改め、「あ、でも」と彼は何かを思いつく。
「……相手の行動範囲を狭めてやれば……?」
「ひりょさん、何か思いついたの?」
 どこか無邪気さを思わせる声で蛇塚・レモンがひりょへと問えば、確りとした頷きが返ってくる。
 こんな作戦はどうだろう? という言葉付きで。
「――なるほどっ! 作戦は委細承知だよ。あたいも、あたいに出来ることをやってみるね!」
「敵の惹きつけならばお任せ下さい。私はクノイチ、影より悪を討つ者なり!!」
 先陣にと駆け出したのはサージェ・ライトだ。
 威風堂々とした言霊が彼女の動きを向上させていく。
 エラーへと一気に距離を詰めた彼女の扱う武器はカタール。敵が繰り出した拳を、当たる寸前で易々と回避した彼女が手にした短剣を突き上げた。
 握りから直角に構成された剣はサージェの挙動を素直に相手を伝えるものでもある。突き上げた拳を振り払えば、刃がエラーの腕と胴を裂いた。
 ――けれども彼女の動きを予知した別のエラーが、死角から蹴撃で襲いかかる。
「ッ!」
 サージェのフォローをするようにエラーへと黒猟狼が飛びかかった。
「囲まれると厄介ね。――未来予測には因果干渉の異能をぶつけるまでよ」
 先陣を切ったサージェが、前線で狙われるのは必須となる。直ぐに場へと干渉のできるユーベルコードを起動させたシャルロットが展開したのは、黒白の宇宙だった。
 二元論的な性質の体現として顕現されたのは黒騎士と白騎士の力を宿す双剣と双銃。
 白銀の一閃が駆ければピクセルノイズの色を侵食し、黒騎士の双銃がそれを撃ち砕き無きモノとする。
 刹那に色を失い、モノクロとなったエラーへサージェの一撃が叩きこまれた。
(「わあ、さすがシャルロットさん! 未来予測を阻害できたっぽい」)
 一手、一手を確実なものとし始めたサージェの道を明るいものとする、シャルロットの騎士剣と騎士銃。
 その光景を視認し――そしてレモンは指先に至るまで自身の神経を集中させた。
 敵の未来予測の力を阻害できれば、そこからはひりょの出番となる。
 粗塩という無機物を使った塩ドロップを放ったひりょは、それを媒体に地の疑似精霊を召喚する。
「場よ変われ!」
 その言葉通り、召喚されゆく疑似精霊たちが岩壁を造りあげ、次々と囲いを作っていく。
「さあ、ここからですよ!」
 軸となる片脚を入れ替えながら連続の蹴りをお見舞いしたサージェがエラーを囲いへと追いやれば、直ぐにひりょが閉じ込めるための岩壁を出現させた。
 閉じ込めてしまえば、未来予測がされてもそのエラー自身は何もすることが出来ない。
 だがエラーも抵抗はするようで、繰り出した術式越しにその衝撃をひりょが受け耐える。
「外へは絶対出さないよ!」
 ひりょが力を注ぎ敵を留め置こうと奮戦するなか、レモンの破魔の鈴音が世界を渡った。軽やかな音は魔を払い、穢れた電波世界に刹那の清浄を。
 憑装・蛇塚ミツオロチ神楽を舞うレモンが白蛇神の鋒先神楽鈴振らば、その鈴音に伴い霊光線が放たれ、岩壁を貫いた。
 閉じ込めた岩を砕こうとしていたエラーたちの攻撃が鈍る。
「ひりょさん、次! です!」
「了解!」
 サージェとひりょの息を合わせる道を切り拓くのはシャルロットの白き銃と剣。
 そしてエラーの不運を招かんとするレモンの霊光線が彼らの成功率を底上げしていった。

「黒」
 ヴィクターの声にサージェと共に動き回っていた黒猟狼が態勢を整えた。そしてヴィクターはひりょを呼ぶ。
「あの壁ごと消しても問題はないのだろう?」
「はい。まったく問題ありませんね。俺はこの結界の維持に専念しますから――敵さんを目一杯おもてなししてあげてください!」
 おもてなし=物理である。
「ならば最大火力をお見舞いしてやろうか」
「わわっ、サージェさん!」
「はい! さくっと撤退クノイチ!」
 普段躊躇うということもないヴィクターである。彼が言った瞬間にひりょがサージェを呼べば、素早く退避行動へと移るサージェ。
「あんまり無茶はしないでくださいねー!」
 そう言われるも、無茶とは? と思うヴィクターである。
「仕上げだ、お前達」
 旋回していた八咫烏が一声鳴き、身を低く狩る姿勢となっていた黒猟狼額にある第三の目、闇人の一つ目から暗くしっとりとした波動砲が放たれた。
 深淵を這いまわり続けた泥濘のような波動砲は、粉砕した岩壁をそのまま闇へと飲みこみ、中にいたエラーをも飲みこんでいく。
「あたいも! ライム、いくよっ」
 炎蛇神ライムの魂魄を蛇腹剣と憑依させたレモンが駆けた。
 闇覆う場へと飛びこんだレモンがクサナギを振るえば、燦々とした焔の軌跡が描かれてエラーたちを撃破していくのだった。

 【箱庭】の周囲にいたエラーたちを撃破すれば、異界が壊れ、少しずつ現世の光景へと戻っていく。
 偽物ではない陽光が差してレモンは眩しそうに空を見上げた。ピクセルノイズのなかに、良く知った空の色がある。
「流石に代償はでかいか……」
 ヴィクターが視線を落とし呟けば、右腕の義手から似た黒い霧が溢れ出す。それは彼が使役する影たちに似ていた。
「わわ、ヴィクターおじ様だいじょうぶっ?」
 レモンが慌てたように駆け寄ってくる。
「無茶はだめですよー、って、ヴィクターさんたら、全然聞いてませんでしたね?」
「――そう言えばこの人。あの時、無茶って何? っていう顔してたわ」
 サージェの言葉に、すかさずシャルロット。
「え、えぇー。ひりょさんは、大丈夫でしたか? 結構、相手の攻撃跳ね返っていた気がするんですが」
 ちょっとジト目でひりょを見るサージェに、何となく、何かをお見通ししているかのようなシャルロットの視線にひりょが若干後退った。
「だ、だいじょうぶだいじょうぶ。無茶シテナイ!」
 思わずカタコトになる。
 一瞬きょとんとした女性陣が忍び笑い始めた瞬間。
 世界は本来の春のものとなり、今再び、穏やかな場へ猟兵たちは戻っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
【恋華荘】
奏莉さんにドン引かれてしまいました
理緒さんとはいつものノリでしたが…刺激が強すぎたようで、反省

…と理緒さんとひそひそ話している間に敵に遭遇
あれは見てるだけで正気が削れますね

敵の先制攻撃を奏莉さんが防いで…
これ以上負担かけられません

私は【異界の顕現】で五尾…いえ、奏莉さんを守るため更に力を望んだせいか、六尾でより邪神に浸食された依代体に変化
…尾の数が増えてるから無理してることは理緒さんにわかりますよね
お説教は後で受けるので、今は援護お願い

奏莉さんの横を駆け抜け接近戦挑みます
その際、さりげなく回復魔法かけて、無理はダメですと一言

私は理緒さんの援護を受けて、鋭く尖った爪で敵を引き裂きます!


菫宮・理緒
【恋華荘】

奏莉ちゃんがドン引いている……。

「いちごさん、ちょっといきなりすぎたかな?」
なんてこっそり囁いていたら、
「デジタル、ノイズ?」

うわー……電脳系としては見たくないなー。

って、電脳系のくせに近接打撃!?

奏莉ちゃんが防いでくれたけど、すごい速さと威力、

どうしようか悩んでいたら、奏莉ちゃんが足止めしてくれたけど、
「だ、だいじょぶ!? え? 慣れてる?」

そういうものなのかな……?

よろけている奏莉ちゃんは心配だけど、
このチャンスは逃せないね。心の距離の意味でも。

「いちごさん、とどめ任せたよー!」
って、6本!?
あわてて【E.C.O.M.S】を発動していちごさんをフォロー。
壁にして攻撃を防がせるね。


菫宮・奏莉
【恋華荘】

3mmだけ距離を詰めて、
お姉ちゃんとお兄ちゃんのあとをついていくのですが、
あれはなんでしょう?

ピカピカしていますですけど、
あまり綺麗ではありませんですね。

かっくん、と見ていたら、急にものすごい攻撃が!?
なんとかトレーで受け止められましたけど、
べっこん、しちゃってるのです。

「か、かなりな強力なのです!
これは当たったら危険なのですよ!」

それなら【禁足結界】で足止めしちゃいますのです!

ちょっとくらっとしますですけど、
貧血には慣れていますので、まだまだ戦えるのですよ。
動きが止まったら松葉杖で、どーん、です!

って。え?落ち着いたのです?
むぅ、いまのお兄ちゃんは、ちょっとかっこよかったのです。



 さくさくと砂を踏み浜を歩きながら、菫宮・理緒はそっと後ろを振り返った。
 後方には先程よりもちょっぴりだけ距離を詰めながら、足元を注意して歩く菫宮・奏莉。
「か、奏莉ちゃんがドン引いている……」
「理緒さんとのやり取りはいつものことだったんですけど……どうやら、刺激が強すぎたようですね……」
「そ、そうだね。いちごさん、ちょっといきなりすぎたかな?」
「反省します……」
 理緒と隣を歩く彩波・いちごがひそひそと話し合っている――その構図は年頃の娘を前に戸惑い相談しあう夫婦のようである――。
 そんな穏やかな時間が続くなか、ふと、穏やかな夏の場が突然転換した。
 ざざ、と打ち寄せる波とは違うざらついた音に、はっと理緒は顔を上げる。
「デジタル、ノイズ?」
 そう呟いた瞬間、砂浜は白黒に、空はぼやけて色彩のずれていくグリッチ効果――乱れ捲った異空間に無機質な音。
「%2あ、か■赤血赤赤、■ア垢か、%2■3屍%蒼、キき■%君、君■■%4」
「――何ですかあれは……見てるだけで正気が削れますね」
 現れたエラーを視認したいちごが少し前へと出ながら言った。
「うわー……電脳系としては見たくないなー」
 0と1が羅列し構築された、その電波な裏側を知る理緒が呆然と呟く。『エラー』ばかりの世界。
 後方の奏莉はかっくんと首を傾げて、エラーを見つめる。
「あれはなんでしょう? ピカピカしていますですけど、あまり綺麗ではありませんですね」
「■%黄い脳m、キ嬉々、黄%■未来、予知で」
 電波が漂う場で、読み取った猟兵たちの情報をエラーは映し取ったようだ。身体に集まったピクセルノイズが猟兵の色を映しこみ、「うわ」と理緒は声を上げた。
「厄介そう――」
 LVTP-X3rd-vanを手にすれば、敵がそうはさせまいと猟兵に飛びかかっていく。
 狙いは一人離れた奏莉だ。
「奏莉ちゃん!」
「奏莉さん!」
 理緒といちごの声が重なった。
 身長を活かして少女を蹴り飛ばそうとするエラーの攻撃を防いだのは――奏莉が咄嗟に掲げたメディカルトレーだ。
「ひゃ!?」
 直接的なものは防御できたものの、衝撃に飛ばされ転がる奏莉。
 姉の悲鳴が聞こえるも、だ、大丈夫です! と答えながら奏莉は起き上がった。
「か、かなり強力なのです! これは当たったら危険なのですよ! お姉ちゃんも、お兄ちゃんも気を付けてください……!」
 べっこんとへこんだメディカルトレー。
 だが敵の攻撃が一撃で終わるわけでもなく、再び詰められる彼我の距離に――奏莉は自身の包帯を解いた。縫合テープを取れば「ぱたたっ」と赤の飛沫が白黒の砂浜に落ちる。
「あなたを足止めです」
 そう告げれば周囲の重力が変化する。攻撃第一に動いていたエラーが突然身体を傾けて、地面へと倒れ込んだ。起き上がろうとするも掛かった重力攻撃が敵を地面に縫い止める。
「奏莉ちゃん……」
 心配そうな姉の声にへらりとした笑みを向けた。
「……えっと、ちょっとくらっとしますですけど、貧血には慣れていますので、まだまだ戦えるのですよ」
「そ、そうなの? すごく心配だけど――でも、うん、奏莉ちゃんを信じるね」
 わたしもお姉ちゃんだからね、と理緒が言う。心配だけれども、任せる、という自身の信じる心を大切にすれば、それは奏莉のためになるような気がした。
 それと同時に、これ以上の負担をかけることもできないのも確か。
 そう考えたいちごが言霊を紡ぐ。
「いあ……いあ……――無限無窮の最奥より夢見る力をこの内に」
 姉妹の心を守りたい、傷つく奏莉のことを守りたい。
 そう願ったいちごがその身を代償に、内なる邪神を呼び起こす。封じている異界の力に内部から侵されたいちごは、邪神に浸食された依代体へと変化していた。
 彼の姿を見た理緒が息をのむ。
「いちごさん――尾の数が……」
「……お説教は後で受けるから」
 異界の顕現は、五だったはず。けれども今、尾の数は六となっていた。それだけ侵食が進んだという証拠でもあるのだろう。
 駆け出すいちご。
 奏莉を囲もうとするエラーの眼前へと迫る最中、擦れ違った少女に回復魔法をかけていく。
「無理はダメですよ」
 そう言い置いて大きな踏み込み。
 繰り出すのは鋭く尖った爪だ。大きく振るった腕の後を追い、霞光の残滓が弧を描く。
「いちごさんってば!」
 後で受けると言ったお説教を、絶対にしなきゃ! と理緒が慌ててOctagonal Pyramidたちを召喚する。それぞれを飛ばして自立化のコードを打ちこみ、いちごのフォローへと入っていった。
 回復された奏莉はぱちぱちと目を瞬かせている。
「むぅ、いまのお兄ちゃんは、ちょっとかっこよかったのです」
 そう言って、怪我していた場所を撫でて確認して、どこか安堵を思わせる笑顔。

 目くらましとして壁を構築したOctagonal Pyramidがいちごの攻撃に合わせて散開する。
 エラーの飛び蹴りを弾き、体勢を崩した敵へ奏莉が松葉杖で突撃した。
「どーん、です!」
 突撃の少女と交差するように、尾へ刹那に自重を任せたいちごが遠心を利かせた攻撃をエラーに叩きこむ。
 しなる鞭の如き一撃にエラーは砕け散った。くるんと二尾を動かし方向転換。今度は死角から迫ってくる敵へと立ち向かう。
「もうっ、奏莉ちゃんもいちごさんも、無茶は駄目だよ!」
 E.C.O.M.Sで瞬間的な盾を作りながら理緒。
 エラーの個体が減っていくと、上空では徐々に本物の青空が広がっていく。
 穏やかに三人が過ごす、春待つ世界に帰るまで、あと少し――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニオ・リュードベリ
よし、分かりやすい敵だね!
ここからは暴れちゃおう、先輩!

さっきまでの怯えた様子をかき消すように立ち上がって頑張るよ
相手は格闘が得意なのかな
それだと動きを止めたいね

強化された紅い四肢を塗り潰すよう、影から生み出す薔薇の蔓と影の手をけしかける
さあ、捕まえちゃって!
最初は上手く拘束出来なくてもいいの
先輩の攻撃さえ当たれば流れは掴めるもの

上手く先輩の準備が整ったら後は殴りに行くだけだね!
どんどん影で敵を拘束して、あたしもアリスランスで攻撃していくよ

巡る景色はまだちょっぴり怖いけど
敵から目を逸らさなければきっと大丈夫、見失ったりしない
先輩と一緒に帰らせてもらうよ
帰ったら口直しに甘いもの食べようね!


茜谷・ひびき
流石にこんなのが出てきたら殴りに行くしかないな
ニオ、思いっきりやるぞ

腕を捕食態に変えつつ敵を睨む
まずは相手の習性を知りたいな
敵は俺が引き付けるから、ニオは拘束を頼む

敵の攻撃は出来るだけ躱しつつチャンスを見つけてぶん殴る
……得体の知れない味がして気持ち悪いが、習性は覚えられたな
相手の動きの癖も分かる、ここからは踏み込んでいくぜ

ニオと連携しつつ、拘束してもらった敵を殴りにいく
俺もニオも接近戦してるしな、挟み撃ちなんかもやっていこう
一体も逃さねぇぞ

周囲の景色に少し頭がチカチカするが、常に敵を睨むことを忘れない
ちゃんと帰らせてもらうからな、俺達の日常に
帰ったら屋台と花見、また楽しませてもらうからな



 幾年が過ぎたことだろうか、あんなにもリアルだった四季の情景がホログラムのように消えて、明滅する景色とエラーが現われる。
「%2あ、か■赤血赤赤、%2■3屍%蒼、キ嬉々キき■%君」
 無機質な音に時折正気に返ったかのようなクリアな声がいっそう不気味さを引き立たせる、オブリビオン・エラー。
「流石にこんなのが出てきたら殴りに行くしかないな。ニオ、思いっきりやるぞ」
 四季の色がずれ、デジタルノイズの走る世界になった瞬間で既に立ち上がっていた茜谷・ひびきが言えば、うん! と快活なニオ・リュードベリの声が返ってくる。
 その声に、眼差しに先程の怯えた様子はすっかりと消えていて、彼女もまた立ち上がり現れたエラーたちを見据えていた。
「武器も何も持っていない――あの動きだと、格闘戦になるのかな?」
 ニオの疑問を耳にしながらひびきが朱殷の刻印を起動させれば、彼の両腕は捕食態へと変形した。その視線は油断なく敵陣を睨むものとなっている。
「さて、どうだろう――まずは相手の習性を知りたいな。敵は俺が引き付けるから、ニオは拘束を頼む」
「わかった!」
 ニオが頷き答えればひびきはとうに背を向け駆け出している。
「紅、?■2閼伽■紅い紅い紅い紅い紅い紅い!!」
 まずは一番近い敵へ。
 向かってくるひびきを待つ、ということはせずにエラーもまた走る。真っ向からの衝突はエラーの先制から始まった。
 敢えて僅かな待ちの態勢となったひびきが繰り出された敵拳を寸前に避ける。真横を突き抜ける風圧とピクセルノイズ。抜けた敵腕を払いひびきが眼前の胴へと拳を打つ。
「先輩!」
 ニオの声と共に、半身反転したひびきが背後から迫った敵を肘打つが、更に新手。
(「早く、動きを止めなきゃ」)
 エラーの纏うピクセルが真紅に染まっている。
 ざっと周囲を見回したニオが、自身の影から生み出した薔薇の蔓と影の手をけしかける。
「さあ、捕まえちゃって!」
 影から這い出、伸びあがるように低く飛んだ蔓がエラーへと向かう。
 回避のために跳躍するエラーを追う蔓と影の手。最初こそ払われたが、喰らいつくように追えば脚から胴、腕とエラーを拘束できた。
 拘束されて襲ってくるエラーの個体が減った十分な機を得たひびきは、一度いなした敵へと殴りつけた。
 腕がエラーを食い散らかしていく。
 捕食した敵から噴出するのは鮮血ではなく、明滅する光だ。バチンと電波の断たれた光が景色と同化する。
「……得体の知れない味がして気持ち悪いが、習性は覚えられたか」
 深淵の泥濘、刹那にジャリジャリとした食感は直ぐに溶けるが何処かピリピリとした電気のようなものを感じた。
「紅い、紅い■■あああ■、紅い%貴方、四肢」
 エラーの纏うピクセルの範囲が変化する。けれども明滅するピクセルはその効果が一定ではないことをひびきは読み取っている。
「ニオ。敵に色の隙間が必ず出来る。――ここから一気に畳みかけるぞ」
「うんっ!」
 白銀の槍を手に、ニオも本格的な攻勢へと出た。
 ニオが駆ければ、敵との彼我の距離も狭まり、拘束の影もあっという間に届く。
 這うように影蔓が地を覆い、影の手がエラーを追う。相手が防御に長けようともノイズの隙間を狙えば、影の指先が入りこみ敵脚を掴んだ。
 そこへアリスランスで一突きするニオ。
 穿った穂先を払い、その長柄を横薙げば迫る別のエラーを打った。
「ギ■ッ!」
 衝撃によろめいた敵をひびきが拳を叩きつける。次いで両手を組み頭部を撃てば、バチン!と色を失くし落ちたエラーが倒れた。
 そのまま互いに対角の距離を保ちながら次敵へ向かう二人。
 戦場と化した檻――エラーの作った異空間は、相変わらず四季が巡り、年月が流れていく。グリッチ効果だろうか、色彩の歪みは絶えずチカチカとひびきの視界を遮るように。ニオに目くらましを与えるように。
 けれども二人は敵を見据え、一撃を放ち続ける。精度を欠くことなく、的確に。
(「巡る景色はまだちょっぴり怖いけど――敵から目を逸らさなければきっと大丈夫、見失ったりしない!」)
 少しずつ、本物の『青』が上空に混ざり始めていく。
「先輩と一緒に帰らせてもらうよ」
 アリスランスが敵を貫けば、ニオの元に春の陽射しが落ちてきた。
「ああ、ちゃんと帰らせてもらうからな、俺達の日常に」
 ひびきが腰を落とし、相手の真胴へと正拳突きを放てばバリンと何かが砕け散った。
 共有されているのだろう、エラーと世界。割れ始めた空間に優しい色が戻り始める。
「ニオ、帰ったらまた屋台と花見を楽しませてもらおう」
「うんっ、口直しに甘いもの食べようね!」
 猟兵の一撃が日常を取り戻す道となる。
 穏やかに四季の巡る時の中へ。
 春謡ううららかな世界へ帰る道を進んでいく二人だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

千家・菊里
【満】
先程迄はあれ程に味わい深い景色だったのに――打って変わって、随分と味気無い彩となりましたね
ともあれ、良き一時のお陰で気力も腹拵えも万全です
後でまた平和に夜桜晩餐を楽しむ為に、腹ごなしがてら、再び穏やかな春の彩を取り戻しに参りましょう

予知されるなら、回避先を与えぬ様に攻め立てるまで
早業の2回攻撃で、UC踊らせ敵を囲い逃さぬ炎壁展開しつつ、炎属性霊符も散らし範囲攻撃
反撃の気配あれば浄化の霊符に切替
桜に合わせて花弁の如くひらり
春色の結界術巡らせノイズを祓いましょう

敵も腹も良い具合に消化出来てきましたね
ふふ、益々後が楽しみになってきました
夜桜は目前――不穏なる檻は閉ざし、幸いなる宴を開きましょう


筧・清史郎
【満】
先程の不可思議な四季は見ていて面白かったが
この奇怪な雑音は何の趣きもないな
ああ、早いところかたをつけて
今度は夜桜を愛でながら楽し美味しい晩餐と洒落込もうか、菊里
ふふ、花も団子も、夜も引き続き共に楽しもう、伊織

この目障りな色を春の彩りに染め変えてやろう
敵の予知見越し初撃躱される事は承知の上で
回避された後の敵の隙を見切り、二人と連携し畳みかけ
二回攻撃の連撃にて乱れ桜の数多の刃を見舞ってやろう

敵の攻撃は確り見切り躱し、避けられぬならば扇で受け流し
菊里の成す春の結界に桜の彩りを添えようか

ふふ、たこ焼きは先程美味しく食し終えたからな
今度は何をいただこうか、とにこにこ笑みつつも
春の夜の祝宴も楽しみに


呉羽・伊織
【満】
花に嵐とはよくいったモノ
嫌なノイズで荒らしてくれたな
一面の花に綻ぶ笑顔や歌う鳥――そんな世界をコレに蝕まれちゃ敵わない
ってまた飯の話してる…!
まぁ夜も夜で楽しむ事にゃ賛成だ!

早業で毒に絞ったUC放ち、足元狙い先制攻撃
回避は予想の上で、せめて体勢崩れるよう仕向け、皆の攻撃が通り易くなるよう援護
――其を隠蓑に、自らも続け様に闇に変えたUCで2回攻撃
先の先、予知は出来ても回避が追い付かないトコまで連携し畳掛けに
反撃は残像で眩ましつつ見切って処理

(春色踊る視界に目を細め)
不穏なノイズなど、楽しい思い出で吹き飛ばし、明るい未来で彩り直そう
食気も楽しみも尽きないな!
こりゃ夜桜も良い気分で拝めそーだ!



 妙趣の箱庭が失われ、グリッチ効果とピクセルノイズの走った世界に囲われて千家・菊里は残念そうに息を吐いた。
「先程まではあれ程に味わい深い景色だったのに――打って変わって、随分と味気無い彩となりましたね」
 まったくだ、と同調し頷く呉羽・伊織は、ざざざ、と無機質なざらついた音波に眉を顰める。
「花に嵐とはよくいったモノ。嫌なノイズで荒らしてくれたな」
「先程の不可思議な四季は見ていて面白かったが、この奇怪な雑音は何の趣きもないな」
 直ぐに飽いたのか、何処か呆れたように筧・清史郎も言葉を紡ぐ。
「ああ。一面の花に綻ぶ笑顔や歌う鳥――そんな世界をコレに蝕まれちゃ敵わない――現つの彩はオレたちが守らなきゃ」
 真剣に頷き言った伊織を見て、菊里は使用した妖刀を鞘に納めながら「ともあれ」と言葉を次いだ。流暢に、穏やかな言葉遣いで。
「良き一時のお陰で気力も腹拵えも万全です。後でまた平和に夜桜晩餐を楽しむ為に、腹ごなしがてら、再び穏やかな春の彩を取り戻しに参りましょう」
 …………ん? 真顔のままふと何かに引っ掛かる伊織。
 特に引っ掛かることもなく素直に応じるのは清史郎だ。
「ああ、早いところかたをつけて、今度は夜桜を愛でながら楽し美味しい晩餐と洒落込もうか、菊里」
「ってまた飯の話してる……!」
 一周した気分だ。
 きりりとしたとても真剣な表情になっていた伊織が思わずといったように、せずにはいられないツッコミ。
「ふふ、花も団子も、夜も引き続き共に楽しもうではないか、伊織」
「あーそりゃまぁ夜も夜で楽しむ事にゃ賛成だけどな!」
「決まりですね」
 では、行きましょう。
 そう言って猟兵たちはオブリビオン・エラーへと対峙する。

 
「キき■%、4■黄イ生ぇ膿キ■徽き、君、君■■%4!」
「何て言ってるのか分かんねぇな!」
 抜く手も見せず風切を放った伊織の変眩がエラーたちへと向かう。闇に染みる暗器ではあったが明滅する空間において光を映す。
 そしてエラーの構築した、電波に満ちた世界は容易に猟兵たちの情報を読み取った。彼らの身体に集まったピクセルノイズが猟兵の色を映しこむ未来予測。
 だが敵陣の足元を狙った伊織の攻撃は、叩き落とすこともできず回避一辺倒となる。
 そこへ踏み込むのは清史郎だ。
 身を低く、鍔を弾き、抜き様の一閃。確かに胴を捉えたと思った斬撃であったが、刃は届かず。
(「伊織の一手、俺の二手と読まれたか」)
 敢えての一撃は、なるべくして成ったもの。刃を戻した清史郎が足摺り、僅かに半身を傾けてその一刀が敵を追う。
「予知されるなら、回避先を与えぬ様に攻め立てるまで、ですよ」
 菊里の九一からなる狐火が既に放たれおり、明滅する戦場で煌々とした壁を構築していた。
 炎壁に行く手を遮られたエラーは清史郎の逆袈裟の斬撃に倒れる。
 駆ける狐火の焔風に符を乗せて、炎の呪力を宿す霊符をばら撒いていく菊里。
 飛び交う狐火、刹那の上昇気流から散る炎符の動き。翻弄されるエラーたちのピクセルノイズは焔色となり、未来予測が追いつかなくなっているのを証明していた。
 一刀に敵を斬り伏せ、次の敵へ彼我の距離は詰めずに清史郎は蒼桜綴を花びらと変化させる。花刃の淵に冴え冴えとした鋭利な蒼。
「舞い吹雪け、乱れ桜」
 乱れ桜の数多の刃がエラーたちを襲っていった。
「この目障りな色を春の彩りに染め変えてやろう」
「オレも一口、乗らせてもらおうか」
 伊織の変眩が桜花に紛れ、夜へと染める。
「先の先、予知は出来ても回避が追い付かないだろ?」
 紗が広がるが如き広範の攻撃に、明滅する世界が少しずつ闇のものへと変化していく――否、エラーに呼応する空間は少しずつ色を失くしていくようだ。
「キ嬉々、黄%■未来――不■!」
 ブツン! バチン! と電波が断たれる音が飛び交い、エラーたちが捨て身の攻撃へと移る。
 何かをさらう波のような音が猟兵たちの耳を劈いた。
 狐火はそのままに、咄嗟に霊符を浄化のものへと切り替えた菊里が、清史郎の乱れ桜へと符を送った。
 清史郎が蒼天桜雪を翻せば、時に夜、場に桜、起こるは清廉な風――春色の結界術が花弁とともに戦場を巡り、ノイズを祓っていく。
 四方八方へと放たれた浄化の霊符は、空間を通し、エラーが内包する穢れた電波をも祓う。
 落ちた画面のように、突然暗闇に支配されたエラーが次々とその場に倒れ、空間に溶け消えていく。
 エラーの構築した空間は嫌なものではあったが、春色の踊る戦場に伊織は目を細めた。
 少しずつ色が変化する。
 春を呼ぶユーベルコードが、0と1の空を、本来の空へと染め変えていく。
 落ちてくる春の陽射しに、今だ手に届く夜桜の妙趣。空と地と、そのさなかで少しオレンジに染まるそれは夕暮れの色。
 ――ああ、綺麗だな、と伊織は思った。
 その時、菊里が穏やかに声を零す。
「敵も腹も良い具合に消化出来てきましたね。ふふ、益々後が楽しみになってきました」
「ふふ、たこ焼きは先程美味しく食し終えたからな」
 今度は何をいただこうか。にこにこと笑む清史郎。
 ――二人とも流石だなぁ、とかなんとか、伊織は思った。
「はは、食い気も楽しみも尽きないな! こりゃ夜桜も良い気分で拝めそーだ!」
「うむ。春の夜の祝宴も楽しみだ」
 少し寒ければ温かなおでんや甘酒、ホットチョコとセットのチュロス、とろとろチーズの入ったもちもちチーズボールなど、美味なるものはまだまだあるだろう。
 春の夜の食べ尽くし。
「夜桜は目前――不穏なる檻は閉ざし、幸いなる宴を開きましょう」
 菊里の声が言霊となったのか、彼らのいた一区画はとうとう破壊され、春現つへと帰る猟兵たち。

 穏やかに、楽しく過ごした、迎えたばかりの春世はそのままに。
 友と共に、まどゐをたのしまん。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

兎乃・零時
💎🌈
アドリブ歓迎

なんだこのノイズ……!
この世界を長時間維持してんのは不味いな…

だったら!速攻でぶっ潰すっきゃねぇ…!
やってやろうぜ心結!俺様達に叶う敵はいねぇさ!
パルにも協力して貰いつつエラーに対して迎撃だ!

こっの、ニマニマ笑ってたってそうはいかねぇ!強化すんならこっちだって!
まず心結と俺様、パル全員に対して属性付与《エンチャント》による加護(オーラ防御)を張る

そんまま自身は敵に特攻しつつ時に地形を利用して足元に魔法陣を踏みつけ起動!
閃光で敵の視界を一瞬でも目潰ししつつ光線《レイ》の魔術で時に薙ぎ払い、時に貫き制圧射撃!

心結の頼もしさを感じつつ狙うは敵の制圧
その程度のエラーにビビるかよぉ!


音海・心結
💎🌈
アドリブ歓迎

耳障りな音
ずっと聞いてたら頭が可笑しくなりそうです
早く倒しちゃいましょう
みゆと零時に倒せない敵などいません

呪縛を代償に自身を超強化
みゆがこんなものに億すとでも?
どんなに辛かろうと苦しかろうと
こんな痛みなんてことないのです

彼から貰ったエンチャント
魔力を集中させて黒剣(鎌形態)へと力を誘発
攻撃が命中する毎に【生命力吸収+限界突破】
一気にかかってきてくださいよ
どうせ、みゆたちには勝てっこありませんけどねっ!

彼が狩り逃した敵の命を一匹ずつ頂戴
逃げるなんて、逃がすなんて
『許さない』

ふふり
みゆたちのコンビネーションに見惚れていたら痛い目に遭いますよっ
――なんて、遅いですけどね?



 ざざざざ、と走るスノウノイズ。
 オブリビオン・エラーの力で鮮やかなピクセルが0と1の世界を構築している。邪神なるUDCの力に兎乃・零時は目を瞠った。
「なんだこのノイズ……! ――この世界を長時間維持してんのは不味い気がする……」
 彼に同調し、音海・心結は頷くのだがその表情は僅かに眉を顰めたものとなっている。
「色の氾濫……耳障りな音……ずっと聞いていたら頭が可笑しくなりそうです」
「大丈夫か? 心結」
「ええ。けれども零時、早く倒しちゃいましょう。みゆと零時に倒せない敵などいません」
 確りとした心結の言葉に、ああ! と零時もまた頷きを返す。
「やってやろうぜ心結! 俺様達に叶う敵はいねぇさ! ――パル!」
 零時が呼べば紙兎パルが虚空に現れ、飛翔する。
「2あ、か■赤血赤赤、■ア垢か、ぁ■赤い、%1■笑エ■」
 ヒトガタのエラーが吐く無機質で意味をなさない音のなか、時折正気に返ったかのような声がいっそう不気味さを引き立てる。
 赤を纏い、明らかに強化されるエラーの四肢。
「こっの、ニマニマ笑ってたってそうはいかねぇ! 強化すんならこっちだって!」
 零時とパルからオーラが迸る。それは自身と、心結、そしてパルの加護となった。
 一方、心結は姿を変化させていく。瞳は惹きこまれるルビーの輝きに、天使のような白い羽根を背に、彼女を飾るようにひらひらくるりとたくさんの白いリボンが耀り踊る。
 手を組み刹那に握りしめた心結は自身へと、何処かへ誘うように呟き語りかけた。
「みゆがこんなものに億すとでも?」
 身を襲う呪縛は耐えられるもの。
「どんなに辛かろうと苦しかろうと――こんな痛み、なんてことないのです」
 身を包む零時のオーラはあたたかくて、やさしくて。
 Secretを手にすれば可愛らしい短剣は大鎌へと形を変えた。
 たんっと足を弾ませる起点、軽やかな心結の走りは翼に補助される、翔け。
 敵陣へと向かいながら長柄を順手、逆手と繰れば、遠心の効いた弧を描く斬撃。
 舞いの最中の飛沫は赤ではなく、霞光の残滓。エラーを――物理的映像を象るコードを心結は斬り刻む。
 一閃に、一体か二体。振るう大鎌を止め、心結は周囲をぐるりと見回した。薄く笑む。
「一気にかかってきてくださいよ」
「紅い、紅い■■あああ■、紅い%――貴方」
「どうせ、みゆたちには勝てっこありませんけどねっ!」

 パルが導くのは電波の道筋。駆ける零時と襲撃せんとするエラーとの真っ向勝負。パルの合図と共に、電波層の薄い場所へと入った零時が接敵寸前に魔法陣を展開させた。光属性の陣を中心に、集束・展開・放出・飛行と重なる魔法陣。
 それを踏みつけ起動させれば魔法陣が動き閃光が戦場を走った。
 彩り豊かな、色相のずれたピクセルノイズを掻き消す光は、空間共有をしているエラーにも目くらましが適用される。
「今だ!」
 光線《レイ》の魔術が敵陣を薙ぎ払い、エラーという存在を0と1の世界から撃墜していく。
「%2■3屍%蒼、キ危機■%逃■」
 光条に掠り態勢を崩したエラーが這うように逃げる。

 狩り逃した敵の命を一匹ずつ……頂戴?

 声なき声、心結のくすぐるような気配がエラーへと迫る。
 とん、と長柄を弾けば、振り子時計のように刃が振られた。

 逃げるなんて、逃がすなんて――『許さない』

 鎌が刈り取るは穢れた光。
 ジジッと命の炎が消えるように、闇へと溶ける。
 パルの誘導する光が走り、エラーたちを貫いていく。零時と目が合えば、彼は頼もしげな笑みを浮かべた。それは、きっと零時自身が心結の頼もしさに惹かれた笑顔。
 映し合った鏡みたいに、二人は信頼しあっている。
「ふふり。みゆたちのコンビネーションに見惚れていたら痛い目に遭いますよっ」
 黒鎌を振らば散光。
「――なんて、遅いですけどね?」
 次々とエラーを倒していく二人に、先程まで共に在った春が少しずつ戻ってくる。
 0と1の世界を壊し、穏やかな日々へと帰る道筋を二人は切り拓いていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

城島・冬青
【橙翠】

うわー…なんか変なの出ましたね
見てると目がチカチカしてくるし…
え?なになに?
何て言ってるのか全然わからないや
…てか嗤ってるのかな、これ

そうですね
まともに言葉を聞こうとするのはよくなかったです
怪異の原因はこいつらですし叩き斬りましょう

刀を構えUCのカラスくんを放つ
エラーがカラスくんの方に意識を向けたら
ダッシュで距離を詰め死角から斬りつける
余所見は厳禁ですよ
敵の攻撃は残像でなるべく喰らわないように残像を駆使して回避する

アヤネさん、なんかお腹空いてきたんでこいつらサクッと倒して焼きそばでも食べましょう!
ええー!私そんなに食べ物の話してましたっけ?
いっぱい食べるのはアヤネさんの方なのになぁ


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】

色の三原色に呪いを乗せて全て塗り潰すって意味なのかな?
ともかくこいつの言っていることがなんとなく理解できる自分が嫌になる

ソヨゴはこいつの言うことを聞こうとしなくていい
相手のペースに合わせずにやっつけてしまおう

大きく腕で弧を描き
袖口からずるりと巨大な鎌を引き出す
まとめてぶった切るとしよう
ソヨゴと並んで立つ
レッツゴー!

ふうん
妙な動きで避けるものだネ
だがしかし
鎌を避けられながらも
そのままさらに回転して斬りつける
予め避けることが分かっていれば対処はできるネ

ソヨゴはまた食べ物の話をする
まあ食べる量は否定しないけど
と苦笑しつつ
もちろんいいとも
ただしリウォの店は避けてよネ



 時折走るスノウノイズ。
「キ嬉々、%2■3屍%■徽き、■死あァぁ7」
 無機質に乱れた音に時折混じる正気に戻ったかのような声。オブリビオン・エラーが身体を震わせればそこにピクセルノイズが駆けた。
「うわー……なんか変なの出ましたね」
 腰の花髑髏へと手を掛けながら言う城島・冬青の姿勢は、臨戦態勢へと移っていく。その琥珀色の目は敵を見据え、何かを払うように瞬く。
「見てると目がチカチカしてくるし……」
「%君、君■■%4、キき■」
「え? なになに? ――ええ? 何て言ってるのか全然わからないや」
 ……てか嗤ってるのかな、これ。
 一瞬、聞き応じようとした冬青であったが意思疎通の出来なさに早々に諦めた。呟きにいっそう眉が顰められる。
「%2■3屍%蒼、%2あ、か■赤血赤赤」
「色の三原色に呪いを乗せて全て塗り潰すって意味なのかな?」
 嫌でも耳に入ってくる意味なき音に、少し判別したようでアヤネ・ラグランジェが言った。
 周囲を見れば色彩がずれ、ぼやけていくグリッチ効果。穢れた電波に満ちたこの世界は、エラーと共有化されているのだろう――否、彼らが構築した。
 0と1で作られた世界。
「……ともかく、こいつの言っていることがなんとなく理解できる自分が嫌になる。――ねえ、ソヨゴ。ソヨゴはこいつらの言うことを聞こうとしなくていい。相手のペースに合わせずにやっつけてしまおう」
 いつも通りに。
 大きく腕で弧を描き、袖口からずるりと巨大なウロボロスの大鎌を引き出していく。
「まとめてぶった切るとしよう」
 確りと、道を据えるようにアヤネが言えば、冬青も素直に頷きを返した。
「そうですね。まともに言葉を聞こうとするのはよくなかったです。怪異の原因はこいつらですし、叩き斬りましょう」
「Let's go!」
 ひゅん、と長柄を振るい構えたアヤネ。そして鯉口を切り、冬青が駆け出す。

「カラスくん、遊びの時間ですよ!」
 冬青がクラーニオ・コルヴォを放てば、周囲の目まぐるしい彩色を映し見えないコルヴォが飛翔する。滑空し、その羽搏きでエラーと世界が発する音波を乱せば、自然と敵がそれを追う。
 駆け続けていた冬青がたんっと踏み切り突然の方向転換。ひとっ飛びで手に入れた間合いは、エラーの死角。
 深く届く一刀を放つ。
 胴へと送った斬撃、刃に付随するのは赤の飛沫ではなく光の残滓。僅かに目を瞠る冬青。
「余所見は厳禁ですよ」
 映像コードを断ち切られたかの如く、刹那に黒と染まったエラーが異空間に溶け消えた。
「■、1あ■アオ、蒼、青い■あァあ、%2■3屍%蒼」
 跳躍したエラーがジャンプキックを放つも、駆け続ける冬青を捉えることは容易ではない。当然空振る敵の蹴撃はあっという間に花髑髏の餌食となった。
「着地点って、読みやすいですよね」
 エラーを斬り伏せ、冬青は呟いた。
 電波に満ちた世界は容易に猟兵たちの情報を読み取った。彼らの身体に集まったピクセルノイズが猟兵の色を映しこむ未来予測。
 エラーのピクセルノイズが形成するアヤネの色。
 軽く振った一薙ぎを敵は避け、二手目も回避。
「ふうん……妙な動きで避けるものだネ」
 軽やかな一閃もまた避けられた。
 ――だが、そこでアヤネは大きな踏み込みを。
 自然、低くなった姿勢から弧を描き斬り上げる大鎌。
 突如伸びた間合いは易々とエラーを真っ二つにした。
 長く、大鎌の柄を持ったアヤネが順手逆手と持ち替えて、大刃を舞わせる。
「予め避けることが分かっていれば対処はできるネ」
 予測回避をしようとも、その身が伴わなければ意味がない。柄を短く、長くと持ち方も切り替えてアヤネがエラーたちの読む間合いを狂わせ斬り刻んでいく。

 エラーが撃破され続け、個体が減ってくると本物の空の色が現れ始めた。
 春の陽射しひとすじ。
 帰る道が見えてきた冬青は、アヤネさん、と彼女を呼ぶ。
「なんかお腹空いてきたんで、こいつらサクッと倒して焼きそばでも食べにいきましょう!」
「ソヨゴは~、また食べ物の話をするー」
 からかいの色を瞳に宿し、アヤネは応じた。
「ええー! 私、そんなに食べ物の話してましたっけ? いっぱい食べるのはアヤネさんの方なのになぁ」
 冬青の抗議の声は、けれども明るく弾んだもの。
「まあ食べる量は否定しないけど」
 言われちゃったネとアヤネは苦笑する。
 答えはもちろん『是』だ。いいとも。そう言えば「やったー、さっくさく倒します!」と、より軽快な動きとなる冬青。
「それじゃあ、さっき見かけた――」
「ただし! リウォの店は避けてよネ」
 冬青が言い終わる前に、咄嗟の遮り。
「はいはーい、それじゃあ新たな焼きそば店を探しましょう。私、見つけるの得意なんですよ~」
 交わされるほんの少し先の、未来への約束。



 猟兵たちの元に春が戻ってくる。
 瑞々しい自然の気配が、どこか懐かしく感じた。
 お疲れさまでした、と一時避難をしていたUDC組織に迎えられて。
 夜へと向かう春のイベントは、近隣の住民たちも呼んで賑やかに。
 笑い合う声は、楽しい未来を呼ぶ。
 過ごした穏やかな時間は、また次も、と明るい未来を呼ぶ。
 春の時間も、夏の時間も、秋も、冬も、巡る季節を皆で辿って行く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年03月31日


挿絵イラスト