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羅針盤戦争~suite of sweetmelodia

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #メロディア・グリード #桜花島

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「ああ、とうとうやってきたのですね。我が桜花島まで」
 桜舞い散る島の中、見目麗しき女が甘い香りを放ちながら言う。
「敵に攻め入られたのならばそれを討ち果たすが道理。それに命をかけることに何の躊躇いがありましょう。ましてやあの者たちは我が夫、カルロス・グリードさえも幾度となく屠り去った存在……例えこの身が黒き残滓の欠片と成り果てても、その報いを受けさせなければなりません」
 聞く者などいないはずなのに、女はまるで自分に言い聞かせるかの如く声高に宣言する。
「どうせ私は死なぬ身。それを賭す程度で我が目的に近づけるなら安いもの。あまつ夫の仇討ちなどと言う大義名分まで得られた。それを活かすのは己のため当然の事!」
 その身から放たれる黒く甘いものまで溶かすかのように、女の声が熱を帯びていく。
「そう、まずは倒された夫の数だけその身を引き裂いてくれましょうか。さすれば敵の骸の数だけ夫は私にほだされ、私の利が増すことでしょう。全ては、私一人を利するために!」
 しつこいくらい全ては己のためと宣言し、女は迫る夫の敵を待ち受けるのであった。


「あなたのメルでございます。バレンタインはまだ終わってないようで」
 そう言ってメルは箱入りのチョコを猟兵に配る。惑星を象ったと思しきそれは、やたら大きな箱にたった七つと言う過剰なまでの包装が印象的だ。
「一箱四千円ですがお気になさらず。経費で落ちますので。さて、本日の依頼ですが、今回もチョコ狩りに行っていただきます」
 そう言って箱の中から美の女神の名を持つ金星を象ったチョコを取り出すメル。
「はい、七大海嘯の紅一点……ではなかったですが、麗しの人妻にして竜王、『桜花』メロディア・グリードとの決戦でございます。今回は分体ではなく彼女本人。攻撃力こそチョコメロディアと変わりませんが、それ以外は七大海嘯の名に恥じぬもの。勿論先制攻撃も完備でございます」
 まかり間違っても一発殴れば倒せるなどと思ってはいけない。むしろ彼女の真の脅威は、その真逆にあるのだ。
「彼女の最大の能力。それは『死なない』ことです。彼女は尋常ではない超回復力を持ち、傷をつける端から再生し続けます。少しでも間が開けば全快してしまいますが、一応限界はあるようなのでとにかく息つく間もなく彼女を殺して殺して殺しまくってください」
 分体生産能力もこの能力の副産物にすぎないらしい。最も、彼女がこの能力を好ましく思っているかと言えばまた微妙なところなのだが、少なくとも戦闘においては最大限活用してくるつもりではあるようだ。
「戦闘においては分体と連携しての攻撃に、自分は飛翔しながら大量の分体をけしかける集団戦術。そして嗅いだ者を眠らせる甘い香りの散布となります。どれも遅延に適した能力ですので、これをどうにか掻い潜り彼女を殺しまくってください」
 致命の一撃を入れるだけでは足りない。二度、三度と殺し続けられる作戦が必要ということだろう。
「彼女を倒しても直接桜花島を解放は出来ませんが、彼女の直轄地の島を一つ解放できます。どうやら配下に与えていた超長距離砲搭載蒸気船を作っていた島のようで、中々に価値ある島ではないかと」
 七大海嘯はそれぞれに強力な力を持った船を配下に与えていた。もしかしたらその技術を奪えるかもしれない。
「ご存知の通り彼女はとーっても利己的な性格で、己の目的のためなら夫の敵を排除するのもそのために命を懸けるのも一切躊躇しません。立場を良くするための忠誠心アピールかやたら夫の名前を口にしたりもするみたいですよ? 悪い女ですねぇ」
 わざとらしくそう言って、箱からもう一つ、地球を象ったチョコを取り出し金星と並べるメル。
「強敵ですが、その辺りつついてあげれば面白い反応を返してくれるんじゃないですかね? 戦況に悪影響のない範囲でご自由に。それでは皆様、お気をつけて……あむ」
 そう言って二つのチョコを纏めて口に放り込み、メルは桜花島への針路を取った。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。本命チョコのお届けでございます。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードを対処した後、殺して殺して殺しまくる』

 毎度おなじみ先制攻撃に加え、メロディアは一度倒しただけでは死にません。とにかく傷つく端から回復していくので、それを上回る勢いで相手を殺しまくってください。幸い最大HP的なものはさほどではありません(といってもチョコ程脆くはないですが)ので、それを高速で何回ゼロに出来るかが勝負となります。
 ちなみに彼女は聞かれてもいないのに自分の利己主義っぷりをやたらアピールしてきます。文字数に余裕があったら聞いてあげてもいいでしょう。
 若干コミカル要素も入るかもしれませんが『やや難』依頼です。押さえるべきところはしっかり押さえないとビターな結果が待っているかもしれません。
 それでは、甘くないプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『桜花』メロディア・グリード』

POW   :    スイート・フュージョン
【残滓達(スイート・メロディア)】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[残滓達(スイート・メロディア)]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    スイート・レイン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【肉体】から【スイーツで出来た分身の群れ】を放つ。
WIZ   :    スイート・パフューム
【甘いスイーツの香り】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。

イラスト:hina

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニィエン・バハムート
・先制対策
【衝撃波】を放ち香りを散らし、その後【オーラ防御】で以降の香りを遮断。既に発生している眠気には自分に向けて電撃【属性攻撃】を放ち覚醒し、更に自分の義肢の繋ぎ目付近の肉を抉りその激痛で以降の眠気に耐えます。痛みは【激痛耐性】で耐えて行動を続けます。

先制対処後にUC発動。津波の霊で呑み込む対象は敵本体と残滓達。眠るように息絶えながら圧殺されるといいですの。津波とはいえこれは召喚された霊。動きにはある程度融通が利きますのでその場を沈めるように留まり続け【継続ダメージ】を与え続けさせ殺し続けます。

これだけの目にあってもまだ立ち向かい続けるんですのね…その愛には感服ですの。でも殺す。絶対殺す。


マデライン・アッシュリア
死なない……?
それはとてもよろしくありません
同じ花嫁同士、もしかしたらお話が通じるかと思いましたが
死をないがしろにするものは許すことはできません
この死の花嫁がお相手しましょう

「オーラ防御」で身を守っても
未熟者の私では完全には抗しきれないでしょう
ですがさらに、「呪詛」の「誘導弾」を撃っておきます
目標は……私自身
私が眠らされた直後に私に向かって来るように誘導しておくのです
その衝撃で目を覚まし「ダッシュ」で間合いに入り
「限界を突破」した花束の一撃です

既に妻たるあなたにブーケトスもおかしな話ですが
まだ式は挙げていないでしょう?
どうぞ受け取ってください
その瞬間にあなたはマヒし永遠に攻撃を受け続けるのです


終夜・日明
【アドリブ連携歓迎】
……まあ、僕におあつらえ向きの相手ではあるか。
心にも思っていないことでほだされてくれるとは、カルロス・グリードという奴は身内にはとことん甘いようですね……その甘さに甘える奴の方が余りにも矮小と言うが。

敵のUCは【息止め・継戦能力】を使用。香りを吸わぬようにしつつ【乱れ撃ち】で【地形破壊】、擬似的に遮蔽物を作って空気の流れを作り回避。
初撃を乗り切ったら接敵、ライフルスピアで【串刺し・零距離射撃】。《蠱毒》の力で【恐怖を与える】。
それをトリガーに【指定UC・継続ダメージ】で殺し続けましょう。

――怖いか?その恐怖を抱いたまま走馬灯を繰り返し続けるがいい。
貴様の安寧はここにはない。



 ついにお目見えとなった七大海嘯『桜花』にして『王笏』カルロス・グリードが妻、竜王メロディア・グリード。二つ名多きその女のそのうちの一つを、決して許して置けぬ者がいた。
「バハムートは竜王! 誰が何と言おうと竜王なんですの!」
 ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)にとって、グリードオーシャンを荒らしまわりながら竜王を名乗る彼女は決して無視して置けない存在であった。それ故分体が現れ始めた時から積極的に彼女を狩り取っていたが、ここに来てついに本物と戦う機会を得たのだ。士気が上がらぬはずがない。
 そして、メロディアを許して置けない理由を持つ者は他にもいた。
「死なない……? それはとてもよろしくありません。同じ花嫁同士、もしかしたらお話が通じるかと思いましたが」
 マデライン・アッシュリア(死の花嫁・f32233)にとって、死とは永遠の伴侶である。その死と完全に決別した存在であるメロディアは、彼女にとっては伴侶を侮辱する者と言っても良い。妻、という属性を持つ敵が存外少ないこともあり彼女に強い興味を抱いていたが、結果としては互いの夫が相容れぬ。あるいはこの決別も、また双方が花嫁である故か。
「死をないがしろにするものは許すことはできません。この死の花嫁がお相手しましょう」
 花嫁として相手に向かうマデライン
 無論、そのような特別な事情がなくとも、戦う理由は十分にある。七大海嘯という存在は常にグリードオーシャンを圧し、そこに住む人々を脅かしてきた。そう言った存在を討ち果たすため、徹底的に訓練を受けた者がいるのだ。
「……まあ、僕におあつらえ向きの相手ではあるか。心にも思っていないことでほだされてくれるとは、カルロス・グリードという奴は身内にはとことん甘いようですね……その甘さに甘える奴の方が余りにも矮小と言うが」
 終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)が彼女の言動と、それによって彼女に寵を注いでいると思しきカルロスを否定する。その目的が利己だろうと愛だろうと、彼女たちの行動が許されることは決してあってはならない。日明は怒りに任せて彼女にすぐさま撃ちかかりたいのを、理性によって抑え込みあくまで冷静さを保っていた。
「そう。夫カルロスは力があり航海の度にその地の全てを奪い去る傲慢にして貪欲な男。それ故その欲するところを与えてやれば容易に私に絆される。だが、それをしていいのは私だけ。私だけがあの男の欲を満たし甘えさせることを許されるのです。他の七大海嘯にも、そしてあなた達猟兵にも……あの男を見通すことは許されない」
 日明の言葉を夫への侮辱と取ったか、早口に言うメロディア。それと同時にその身から、脳を侵すほどに甘い香りが辺り一面に漂い始めた。
「来るなっ!」
 まずはニィエンがバハムート・ウィングをはばたかせ風を起こし、その香りを散らせる。さらに前方では日明が銃を乱れ撃って足元を壊し、それによって巻き上がった岩土を積み上げ即席の遮蔽物とする。元々匂いとは空気を伝って人に届く者。吹き飛ばして遮ると言うのはシンプルながら的確な対処法と言えた。
 だが、これはただの芳香ではない。ユーベルコードであり、その発生源であるメロディアはすぐ前にいるのだ。簡単な遮蔽物で完封できるような楽な者ではない。
「オーラ防御で身を守っても未熟者の私では完全には抗しきれないでしょう……予想はしていました」
 現に味方の援護に加え自身でオーラを張っていたにもかかわらず、マデラインは既に相当な眠気に襲われている。そして、眠いのならばとる手は一つ。
 マデラインは大きく息を吸い込んで周囲に漂う香りを吸い込んだ。味方の分まで眠りを引き受けようとする自己犠牲か。簡単に許容量を超えた香りに、マデラインは目を閉じてその場に倒れ込んだ。
 そして同時に、その背から呪いの塊を大量に打ち上がる。その呪いはある程度の高度に行ったところで方向を転換、発射元であるマデラインに纏めて降り注いだ。
「ああ、痛い……眠ってなんか、いられないほどに……!」
 その呪いが体を侵し、マデラインを無理矢理目覚めさせる。さらに後ろでは、ニィエンが自身の体に電気を流して眠気を消し、さらにメガリスである義体と肉の境目の肉を抉り、簡単には塞がらぬ傷を自らに追わせる。
「痛そうですわね……いやこっちもですけど!」
 壮絶な手段で眠りを堪える女性たちの前、訓練の成果か故無呼吸での行動に耐性を持つ日明が前に出る。自身は無傷なのだ、ならば先んじて道を拓くのが役目。日明は『ライフルスピア』を構え、メロディアへ向けて一直線にそれを突き刺した。
「ぐっ……!」
 メロディアの顔が歪むが、構わず日明はトリガーを引く。密着状態から何発ものライフル弾と、彼の体に宿る蟲毒の恐怖が注がれる。
「生存本能から揺り起こす恐怖には誰も敵わない――その竦んだ瞬間が、貴様の生死の境目だ」
 そして、さらにそれを呼び水に注がれるのが【《蠱毒》顕現・虞に猛り立つ蒼雷霆】の蒼い稲妻。生命を喰らう猛毒……それは無限の生命を持ち菓子を生むメロディアにとっては誂えたような好相性。尽きては甦る命に、何度となく稲妻が降り注ぐ。
「既に妻たるあなたにブーケトスもおかしな話ですが、まだ式は挙げていないでしょう? どうぞ受け取ってください」
 復活の繰り返しで強引にそこを抜けようとするメロディアに駆け寄るのはマデライン。ウェディングドレスという衣装を感じさせぬほど軽やかに彼女に駆け寄り、手に持った白薔薇のブーケを投げつける……否、叩きつける。
「さあブーケトスですよ……おめでとう、あなたが次の死者ですね」
 花嫁から人妻に送るブーケ。それを受け取った者に齎されるのは、【寿げ死の婚礼、祝え亡びの典礼】による永遠の麻痺と、亡霊たちによる終わらない腐毒の祝福。あるいは死との夫婦生活を始めることで、それは終わりを告げるのだろう。だが、その死を拒絶し続けるメロディアに、その時間は永遠に訪れない。
「わが、夫、は……カルロス、ただ、一人……!」
 痺れながら、死にながら、メロディアは夫の名を呼ぶ。ならば、その声も封じてくれようとニィエンが彼女を文字通りに沈めんとする。
「眠るように息絶えながら圧殺されるといいですの……全てを呑み込み滅ぼす力! バハムート・アクア・パニッシャー!」
 ニィエンが呼ぶのは大津波の霊。自然現象に魂があるのか、などと言うのは今更であろう。海は時に意思があるかの如く怒り、荒れ狂い、自らを汚したものを滅するのだ。
 その津波はニィエンの意思に従い、メロディアを押し潰したところで止まる。そのまま窒息と水圧でメロディアを包み、水中での死に彼女を繋ぎとめた。
 溺れるように手を伸ばし藻掻くメロディア。だが、その間にも彼女の体には毒は回り、空からは蒼雷が落ち、息もできぬ彼女を息つく間もなく殺し続ける。
 死に続けるメロディアは、しかし恨みの視線だけは絶えず水の向こうの三人に向け続けていた。
「――怖いか? その恐怖を抱いたまま走馬灯を繰り返し続けるがいい。貴様の安寧はここにはない」
「これだけの目にあってもまだ立ち向かい続けるんですのね……その愛には感服ですの。でも殺す。絶対殺す」
 その姿を言葉で切り捨てる日明とニィエン。そしてマデラインは永遠の麻痺に溺れる彼女を、死という永遠の伴侶を知らぬ相手として柔らかく見つめるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
厄介ですが、何とかやってみますぅ。

『FMS』のバリアを周囲を覆う形で多重展開、『分体』に対処しましょう。
周囲から集まるなら『足止め』、召喚されるなら『狭所による数的上限』を利用し『集まる数』を最小限に留めますぅ。
強化幅の低いその状態の攻撃なら『FSS』多重展開の防御&角度調整による力の分散を利用した受け流しで防げるでしょう。

そして【紘器】を発動、全ての『祭器』を大量複製し『FRS』と『FSS』の[砲撃]&[爆撃]による[範囲攻撃]を行いますぅ。
『FMS』のバリアは更に多層化し周囲の干渉を防ぎつつ光線で追撃。『FBS』の斬撃で攻撃の隙間を埋め、間断なく仕留め続けましょう。


岩倉・鈴音
チョコレートも食べ過ぎると体に悪いんだよ。
どうやら命も永らえすぎると歪んじまうみたいだねェ。

先制に対しては天候操作で風を起こし、甘い匂いを吹き飛ばせ。
残滓たち、分身体ってやつは本体と合体しか能がないのか?キミたち、自立するべきなんだ!
ここは【ラプチャー】で自立支援してあげるよっ。
達者でな~(何処か知らんけど)
さて、本体メロディアに対しては力溜めての鎧無視、貫通など切って切って斬りまくり。
防御はオーラ防御や盾受けでなんとかダメージ軽減をはかりたいところだね。
再生のために逃げようものならスキュラに騎乗してとどめを刺してあげる。
甘いチョコレートもほどほどにな。食べたら運動。島一周だ!



 様々な手段で何度も殺され続けたメロディア・グリード。しばし息絶えたかのように倒れていたが、やがてその体が動き、壊れた場所が再生しそれ以上に肉が盛り上がり、分体となって零れ始める。
 そのあまりに強靭すぎる不死性に、岩倉・鈴音(JKハングマン・f09514)はうんざりしたように言う。
「チョコレートも食べ過ぎると体に悪いんだよ。どうやら命も永らえすぎると歪んじまうみたいだねェ」
 繰り返し繰り返し再生を続け、最早死ぬに死ねない体とも言えるメロディア。そんな歪んだ永遠を生きる彼女に鈴音は一体何を感じるのか。
「厄介ですが、何とかやってみますぅ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も、そんな彼女の存在をそう評する。ただ生きているだけで厄介者となるなど通常なら悲劇、迫害として語られる話だが、メロディアに限ればその生きているというそれこそが何よりも厄介なことであり、誰にとっても不都合なことなのだ。
 その評価を否定するかのように、あるいはあてこするかのように、メロディアは己の分隊を無数に生み出し自身の周りを固めさせる。
「天使の肉、それさえあればあなた方の願いもまた叶いましょう。それには我が夫カルロスの目的が達成されることが不可欠。ですので私が己のため、命を懸けて夫を助けるところを見ていなさいませ」
 それは本当に己のためか、などと聞く者はもういまい。それより為すべきは今から放たれる先制の対処と、るこるはバリアを張る円盤『FMS』を周囲に配置した。
 だが、その円盤が囲むのは操作者であるるこるではなく、敵であるメロディア。一体何のつもりか、その行動を疑問に思いつつも、メロディアは己の体から残滓達(スイート・メロディア)を次々と生み出しては自分の周りに寄らせ、互いの力を強化していく。
 そして何体もの残滓たちがメロディアに寄り添い、さて動き出そうと思ったメロディアははたと気づく。妙に残滓たちとの距離が近い。確かに集まるのが強化の条件だが、こんなお互いが邪魔になるまで寄り添い合う必要はない。その答えは残滓の頭越しに見えた。るこるが配置したFMS。その円盤が壁となり、残滓を内側に押し込めていたのだ。
 こうなればこれ以上産み出したところで動けない。下手をすれば脆い残滓たちは互いの圧力で壊れてしまうかもしれない。
 ならば動かずできることをと、メロディアはその場から眠りを誘う甘い香りを周囲に振りまいた。それはチョコ製の残滓たちの匂いさえ乗せ、気体故にバリアを通り越してより遠くまで広がっている。
 だが、気体ゆえに広がるのなら気体らしく押し返せばよい。鈴音は如何な原理か天候を操作し風を呼び、そのにおいを散らせ押し返した。
「残滓たち、分身体ってやつは本体と合体しか能がないのか? キミたち、自立するべきなんだ!」
 目の前に匂いがなくなったのを確かめ、鈴音はメロディアたちへ歩み寄る。その瞬間るこると僅かに目線を交わし、バリアをずらして一瞬だけ隙間を開けさせた。
「ンフフ神の掬いです。べつの場所に置かれて咲きなさ~い!」
 その隙間を縫って、【ラプチャー】の巨大掬い網がまとめて残滓たちを捕まえ放り投げた。そのまま空高く飛んでいく残滓たちを笑顔で見送る。
「達者でな~」
 まあどこに行くか知らないのだけど、そんなことを思いながら、残るはメロディアと鈴音は向かい合う。だが、彼女の放つ催眠の香りは強力で、至近に至れば片手間の風では拭いきれずその意識を大きく揺らがせた。
「大いなる豊饒の女神、その『祭器』の真実の姿を此処に」
 残滓がいなくなればこちらのもの。るこるは【豊乳女神の加護・紘器】にて装備する祭器を全て大量複製、それらを一気にメロディアへと差し向けた。
「この程度のもの……!」
 タフネスそのものは決して高くないとはいえ、流石に一撃では倒れない。そんなことは分かっているのだから大量にけしかける。かつてメロディアが無数の分身で広い海を汚染したように、無数の武器が無限の命を持つメロディアを何度となく殺す。
 射撃能力を持つものは豪雨の如く弾の雨を降らせ、斬撃の出来るものは微塵になるまでその体を刻む。さらにバリアを張っていた円盤までが、その力を光線としてメロディアに放ち攻撃に加勢する。どうせ生き返っている間は攻撃できないのだ。それなら少しでも攻めた方が良いと、バリアで囲む範囲内を破壊の嵐に包みこんだ。
 そしてその破壊の嵐の中、大量の人型が落ちてくる。それは先に鈴音が投げた残滓たち。何のことはない、メロディアから生まれ落ちたばかりの彼女たちが帰る場所はそもそもここなのだ。だが、そのメロディアは現在破壊の嵐の中。その中に放り込まれ、残滓たちは次々砕け散っていく。
「さーて、目も覚めたし、軽く体操と行こうか」
 その衝撃ではっきりした意識の中、鈴音が溜めた力を『勝虎巣』に込めてメロディアに切りかかる。破壊の嵐に加わった蹂躙に、もはやメロディアの再生よりも破壊の方がスピードがあるくらいだ。
 そのまま最後のとどめとして、『スキュラ』と名付けた巨大タコに乗って押し潰しをかける鈴音。元々原形をとどめぬほどに破壊されていたメロディアの体は、これで完全に地面のシミと化した。ここから甦るには、仮に出来たとして相当な時間がかかるであろう。
「甘いチョコレートもほどほどにな。食べたら運動。島一周だ!」
 健康的にそう言う鈴音と、触腕を振り上げ賛同の意を示すスキュラ。その横で、以前メロディア産のチョコを大量に持ち帰っていたるこるはそっと目を逸らすのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
POW

守護霊の【ドーピング】で戦闘力を高め
【空中戦・残像】で的を絞らせず
【戦闘知識・第六感・見切り】の回避と
【オーラ防御・激痛耐性・気合い】で先制攻撃を耐え
瀕死になっても『永劫火生』で強化復活

不死身は貴女の専売特許ではありません。
さあ、カルロス様。奥様を救えるのは貴方だけです

私に宿る彼の魂に肉体の主導権を渡し
【化術】で彼の姿に

ルルに屈した我に、あれは怒るであろうな……
引き継いだ技能と永劫火生で凌ぎつつ
一人一人【生命力吸収】の口づけを。
あれも我を想ってくれているなら自ら求めてくるはず。
【怪力】で抱きしめ、改めて夫婦の契りを交わそう

共に行こう、メロディア。
新たなる航路……第2の骸の海へ



 ここまで完膚なきまでに破壊されても、時が経てばメロディアは甦る。それはまるで地面から生えてきたかのように。あるいは、地獄から舞い戻ってきたかのように。
 そのメロディアが立ち上がるのを、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は彼女の残骸の前でずっと待っていた。
 そしてその復活を見届けたドゥルールは、その眼前でふわりと浮き、攪乱するかのように低空で素早く飛び回る。
「あなたも私を殺そうというのですか。構いません。その無駄の内に潰れなさい」
 分体の残滓たちを大量に呼び、自身の周囲に集めて能力を高めるメロディア。そこから瞬間的に手を伸ばし、メロディアはドゥルールを捉えんとする。その速さは本物級と言われたかつての残滓たちよりさらに早く、普段以上の力がそこに込められていることが見て取れた。
 すんでの所での回避を繰り返すドゥルール。だが、ついにその動きは捉えられ、かつて残滓が使った技のように大力をもってその腕の中で抱き潰された。
 体が軋み、骨が砕ける。それをオーラと精神力によって内外で耐えるが、たった一撃で命は風前の灯火だ。
 あともう少し。そう思いメロディアが腕にさらなる力を込めた時、ドゥルールは初めて口を開いた。
「私は過去も未来も超越した、永遠の女神」
 その言葉と共に、ドゥルールの体が灰になって崩れ落ちた。勢いあまって自分を抱きしめるような格好を取るメロディアの前で、その灰が盛り上がり中から無傷のドゥルールが姿を現す。
 ドゥルールのユーベルコード【永劫火生】。瀕死をトリガーとし、無傷のより強化された肉体を得る技だ。そうして甦ったドゥルールはメロディアを見つめる。
「不死身は貴女の専売特許ではありません。さあ、カルロス様。奥様を救えるのは貴方だけです」
「不死などいくらでも差し上げましょう。なれど貴女如きが我が夫を量るなど何たる不遜」
 自身の特性よりも夫に言及されたことに怒りを見せるメロディア。その前で、ドゥルールの肉体はまるで別の者へと変じていった。身長は大きく伸び、涼やかな顔立ちと細く均整の取れた体は紛れもない男性のもの。そしてその身には、宇宙の騎士が如き白き鎧が纏われていた。
「ルルに屈した我に、あれは怒るであろうな……」
 その声は紛れもない、グリードオーシャンのオブリビオン・フォーミュラでありメロディアの夫、カルロス・グリードその人であった。
 厳密には、彼の分体の一つである四の王笏である。だが、その意思はカルロス・グリードと何ら変わることはなく、本人の一部と言っても良い存在だ。
「夫の姿で……私を謀ろうと言うのですか……!」
 メロディアの声が震える。それは紛れもない怒りだが、そこに滲むのは僅かな困惑。彼女が誰よりも思う相手であるが故、本人でなければ出せない何かを感じ取っての事だ。
 この姿はもちろん本人がここに現れたわけではない。かつてドゥルールが戦い吸収した彼の魂の一部、それに自らの体を明け渡し、肉体さえ変じさせて疑似的に再生したのだ。
 分体の一部であれオブリビオン・フォーミュラである彼を使うのは並の事ではなく、少し間違えれば本当に肉体すら乗っ取られかねない。だからこそ、ドゥルールは永劫火生で肉体を強化したし、彼に全てを任せるために過剰な言葉をメロディアと躱さなかった。防衛と信頼、その二つを得るために。
 困惑の中、メロディアはカルロスに残滓を差し向ける。一斉に抱き着くそのメロディアを、カルロスは一人一人受け止めては口づけし、その命を自らのものとしながら蕩かせていった。元はドゥルールの肉体なのだ。その強靭さと各種の技はカルロス本体には及ばずとも、上位の猟兵レベルはある。
 そして最後に残ったメロディア本人。彼女もまた抱き潰しをかけた……あるいは、夫の胸に手を広げて飛び込んだ。そのメロディアをカルロスは鎧を軋ませ永谷抱きとめた。
「我を想ってくれているなら自ら求めてくる、そう思っていた。改めて夫婦の契りを交わそう」
 メロディアを強く抱き返し、カルロスは囁く。傲慢な男が自分にだけ囁く甘い言葉。その優越の独占こそが己の最大の利己であり強欲と、目の前の相手はなぜ知っているのか。
「共に行こう、メロディア。新たなる航路……第2の骸の海へ」
 そうして唇から、そして体から生命を啜り続けるカルロス。愛で殺して、そんな台詞すら似合ってしまう男に、メロディアは尽き果てるまで長く長く命を吸われるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベアトリス・ミラー
※アリス、エルーゼ、ジェイクと行動
絡み・アドリブOK

あの残滓たちの処理をしなければ面倒な事になりそうですね。
呼び出す兵に邪神竜の金貨で作り出した武器、私も願望の刃にて数を減らしましょう。そうしなければ面倒な事になりそう。
前に対処した時、残滓の耐久力は低かったですが、今回もそうなのかは分からないので油断できませんね。
瞬間思考と集団戦術で戦略を立てつつ、相手の攻撃を見切りで避けつつ反撃しましょう。
あとは残像と迷彩を用いて罠使いの技で隙を作るなど。
大きなダメージを連続で与えるとしたら、結界術で閉じ込めて毒とかを用いるとか?


アリス・スラクシナ
※エルーゼ、ミラー、ジェイクと行動
絡み・アドリブOK

連携されると厄介だな。残滓を減らしていくしかない。
獣の盟約を抜き、魔力溜めを行いながら残滓の数を減らす。前と同じく脆いか分からないところは注意しないと。
早業で槍や大鎌などに切り替えながらなぎ払いによる範囲攻撃を繰り出し、できる限り減らしていく。
溜めた魔力で光刃を纏わせてより範囲を広めたり、属性攻撃を用いていく。
本体への攻撃は遠慮なしで。ステイシスポールを突き刺して凍らせればやりやすくなるだろ。
利己主義に耳を傾ける気はない。


エルーゼ・フーシェン
※アリス、ミラー、ジェイクと行動
絡み・アドリブOK

いつも通り、あの剣を形成して対処するわ。剣に名前決めないと不便ね。
集まられる前に数を減らせれば、倒しやすくはなるわね。
なぎ払いによる範囲攻撃、そこに属性攻撃で風を用いた鎌鼬を加えれば。
一組の柄と光刃を形成したら滑空とダンスの要領で見切りながら乱れ撃ち繰り出してさらに攻める。
また剣に戻さて一気に攻めるわね。簡単に倒れてくれないなら倒れるまで攻めればいいだけ。
数で攻めまくって押し通す。


ジェイク・リー
絡み・アドリブOK

分身の群れに対して第六感とダッシュによる距離を取りつつ、カイアトルの眼差しを三本放つ。
燃焼と言えどダメージを与えられないが一本に纏めた矢を撃ち込めば爆発を起こす特性を持ち、それを利用する。
呼び出すのは英霊であるヨル、ジョウとアラスとヤマト。
ヨルはフード付きクロークでヘルメットを無くしてロボットの顔を出し、暗緑色のオーラを放つガントレットを装備。
閻羅刀と刀に形成した十束刃で対処する。
本体を閉じ込める寸前にヨルが掌打を繰り出し、毒を付着させる。
「壊死の魔手。魂まで崩壊させる籠手だ」



 以前戦った時は海の上だが、今回メロディアがいるのは桜花島の陸の上。
 そしてなすべきは無数の残滓を殲滅することではなく、それを生み出し続けるメロディア・グリード本人を倒すこと。ゲーム感覚で仕留められるような相手ではない。故に、猟兵たちは成すべきことをしかとする。
「あの残滓たちの処理をしなければ面倒な事になりそうですね」
「ああ、連携されると厄介だな。残滓を減らしていくしかない」
 既にメロディアは残滓たちを生み出し、自分の周りに集め連携の態勢を整えている。ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)とアリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)はその攻撃に対処すべく、各々に武器を構えて集まる残滓たちに攻撃をかける。
「あら……なら、構いません。残滓たちよ、受け止めなさい」
 メロディアは自分に集まる残滓たちを前に出し、その攻撃を受け止めた。
 アリスは『獣の盟約』を槍や大鎌など長物に変えて素早く切りつけていく。残滓たちは一撃ごとに崩れ去っていくが、その手ごたえは依然戦ったチョコの軍団よりは妙に引っかかりがあり、何もないかの如く、とまでは言えない手ごたえであった。
 同じく『願望の刃』で残滓を打ち払ったベアトリスも首をかしげる。
「前に対処した時、残滓の耐久力は低かったですが、今回もそうなのかは分からないので油断できませんでしたが」
「そのようだ、注意しておいてよかった」
 残滓の素の耐久力自体は変わっているまい。だが、共に強化するユーベルコードを先制で纏ったことで残滓の方も強化され、人数の分上積みされているということだ。
 もっともこれで恐ろしいのはないも同然の耐久が微増したことより、本体と同等と言われた攻撃力が激増しているであろうこと。それを考え、エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)は一気に残滓を減らす作戦に出る。
「集まられる前に数を減らせれば、倒しやすくはなるわね」
 宙を舞い、手に持った剣をなぎ払うエルーゼ。その剣は今まで幾度か用いた宝石のついた片刃の剣。
「剣に名前決めないと不便ね」
 安定して出すことができるようになったのなら銘を付けていい、と考えながら、巨大な鎌鼬を起こすエルーゼ。広範囲の攻撃は強化されたとはいえ所詮元が脆い残滓たちを纏めて切り刻んでいく。
「そうですの……ではそのまま残滓たちの相手をしていなさいませ。どうせ無数に湧いてくる私の欠片。私は私一人利すればそれでいい」
 そのまま空中へ後退しつつ、残滓をばらまきけしかけるメロディア。それに対してはジェイク・リー(嵐を齎す者・f24231)が弓『カイアトルの眼差し』を持って相手取る。
「吹っ飛びな」
 燃焼の三本か爆発の一本化を使い分けられるその弓で射るのは爆発の矢。一本の矢が残滓に突き刺されば大爆発を起こし、周囲の残滓まで巻き込んで砕いていく。強化よりも飛翔に力を裂いた今の残滓は三人が攻撃したものよりより脆く、周囲に散る衝撃波だけでも次々と砕けていった。
「来い!」
 残滓の群れは凌いだ。残るは本体と、【守護者召現】で己の従える人格や英霊を呼び出すジェイク。現れたのはジェイクによく似た男に、戦神と巨人の親子、そして。
「……ロボットだったのか?」
 フード付きクロークで暗緑色のオーラを放つガントレットを装備した魔術師。普段ヘルメットをかぶっていた顔は今は曝け出され、機械の頭部が見えていた。
 魔術師と言う肩書から連想し難いその姿だが、だからと言って彼の力が揺らぐわけではない。その道を拓くため、ジェイクと呼び出された者たちは『閻羅刀』や『十束刃』など、各々の武器を持ってメロディアに切りかかる。
「いかした顔してるな、あいつ!」
「後にしろ」
 いかにも少年じみた口調で言う『娘』を、戦神は窘める。だがその力は強く、ジェイクとジョウによる回転切りで崩したメロディアをその剛力で切り裂き、まずは一度死を与えた。
 だが、メロディアはすぐ再生する。その姿を見たベアトリスは瞬間的に状況を分析、即座胃に対策を練った。
「大きなダメージを連続で与えるとしたら、結界術で閉じ込めて毒とかを用いるとか?」
 ならばと【クイーン・フォース】の軍団が牽制の打ちかけと罠を張ってメロディアを動けないようにする。これはまだ死に至るほどのダメージにはならないが、その布石としては十分。指揮官的役割を負うベアトリスの行動は、その場にいる全員に何をすべきかを指し示す。
「なるほど、なら遠慮はいらなかろう」
 アリスはその罠と迷彩に惑うメロディアに、全力で『ステイシス・ポール』を叩き込んだ。武器から放たれる氷がメロディアをさらに戒めていく。
「私、は……!」
「利己主義に耳を傾ける気はない」
 メロディアが何か言おうとするのを遮り、【罪なる災害】の連打で強引に黙らせるアリス。戦場で己を示したいならくだらない言葉ではなく行動で。戦いに悩みを持ったことのあるアリスなればこそ、彼女の姿勢は許しがたかった。
 そこに舞い踊るのがエルーゼ。武器の形を光刃に変え、踊るような斬撃で何度もその身を切り刻む。回復するとは言え一瞬で全快するわけではないメロディアは、僅かに治った体を切られ何度となく死んでいく。
 最後にエルーゼは再びあの剣を出し、高熱を伴った斬撃で彼女を両断した。手数で攻めまくって押す。メロディアも得意とする手だが、こちらはそれを放つ人数自体がずっと多いのだ。メロディアは戦場においては所詮は一人、それ故に何度も夫の名を口にするのだろうか。
 そして最後に、魔法の力を持つ全員がメロディアを戒める結界を作る。確かな実力者である彼女を動けなくするためには、一人分の力では足りずこの場の全員が協力する必要があるだろう。
 その結界が成立する直前、ヨルがメロディアに向けて手を突き出した。
「壊死の魔手。魂まで崩壊させる籠手だ」
 ガントレットから暗緑色のオーラがメロディアへ注ぎ込まれる。その色はまさに腐毒を思わせる色。甘い菓子でもこれに覆われてしまえばもうお終いだ。
 閉じ込められた結界の中、メロディアは何事かわめき続けるが、その体はすぐに腐って溶け落ちた。その残骸の中からまたメロディアが現れ、そしてまた腐り落ちる。
 そのまま何度でも、誰にも聞こえない何かを喚き続けながら、メロディアは死に、腐れ続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
折角だし奥さんの方にも挨拶に来たけど。大事な旦那さんには悪い事をしたね
ま、コンキスタドールの所業も捨て置く訳にもいかないし?
因果応報って奴さ
安心していいよ、どっちもきちんと骸の海に還してあげる!

先制対策は《早業+高速詠唱+先制攻撃》、《天候操作+地形破壊+属性攻撃》の天変地異を引き起こし《体勢を崩す+吹き飛ばし》
分身を《蹂躙・薙ぎ払い》同時に本体の飛行も阻害しよう
敵の攻撃は《第六感+戦闘知識》で《見切り》回避

先制を退ければ【天災輪舞】で《空中戦》
蒼雷の性質は《属性攻撃+継続ダメージ+マヒ攻撃+焼却》、再生も増殖も上回る速度で滅ぼすまで焼き続ける
本体は高速移動で《追跡》、《早業+怪力》で撃墜だね



 何度も殺され、消し飛ばされ、その都度再生を繰り返してきたメロディア。あまりに殺され続ければいずれ限界を迎えるとは事前の説明にもあったが、確かに、その速度は鈍り、最早不死にも最後が訪れるようにも見え始めていた。
 そのメロディアに、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)があえて明るく話しかける。
「折角だし奥さんの方にも挨拶に来たけど。大事な旦那さんには悪い事をしたね。ま、コンキスタドールの所業も捨て置く訳にもいかないし?」
「我が夫カルロスを……あなたも殺してきたと言うので?」
 怒りに震えるメロディアの声。例え分体でも、完全に滅されぬ限り何度でも甦る存在であっても、誰とも知れぬ女が夫を傷つけたという事実は彼女にとって許しがたい。
「因果応報って奴さ。安心していいよ、どっちもきちんと骸の海に還してあげる!」
「その言葉、全てあなたに返しましょう……我が利を損じた報いを受けるのです!」
 宙に舞い、無数の残滓を雨のように降らせるメロディア。だが、空から来る相手への対策は既にカタリナも考えていた。
「今日の天気はお菓子の雨、のち天変地異が起きるでしょう!」
 敵の先制を上回ることは出来ないが、それでも可能な限り早く、力を唱え巡らせ、周囲の気候を操る。元々荒れやすいグリードオーシャンの気候だ。たちまちに風が荒れ狂い、雷が落ち、竜巻が地を抉って岩を飛ばし、災害の防壁を辺りへと築いた。
 残滓たちの組成は所詮チョコ、辺りを覆う無差別な破壊の嵐に巻き込まれれば次々と壊れ、黒い欠片となって地面に降り注ぐ。さらには暴風が空中のメロディアを煽り、その姿勢制御を困難にする。
「この程度……空高く渦巻く風に比べれば!」
 それでもグリモアさえ阻害する乱気流に比べれば遥かにまし。メロディアは急降下し、音速さえ超えるスピードでの体当たりをカタリナへ仕掛けた。
「おっと……!」
 見切ることすら難しい速さだが、直感に従い倒れ込むように横に避けるカタリナ。真っ直ぐ来るのだから横に避けるという基本的な考えだが、その考えは当たりどうにか直撃は避けることができた。
 メロディアのぶつかった地面は抉れて大穴が空き、その衝撃だけで倒れ込んだカタリナは吹き飛ばされるが、転がってその衝撃を消す。
 すぐに再度の追撃が来るだろうが、一撃外せば反撃の目はあるのだ。そしてもう地面で待ち受ける必要もない。
「ふ、ふふ、あはははははっ! さぁ、最っ高のパフォーマンスで魅せてあげるよ!」
 笑い声とともに【天災輪舞】を発動、荒れ狂う周囲にさらに蒼い雷が巻き起こった。その雷は打ち付けるようにカタリナに殺到。その身を焦がすことなく、力となってそこに纏われた。
「嫌な色の……!」
 この戦いの初め、似た色の雷に散々苦しめられたメロディアは忌々し気にそれを見て歯噛みする。それを迎え撃つように、カタリナは高速で地をけり彼女へ接近した。
 まるで地面すれすれを飛んでいるかのような高速の接近。それをメロディアは上へ跳ぶことで躱し、下となったカタリナに再度残滓の雨を降らす。
 それを高速で跳躍することで追撃するカタリナ。降ってきたはずの残滓は、彼女とすれ違うたびに全て弾け飛んでいた。
「衝撃波……!」
「違うね、こっちだよ!」
 メロディアの眼前まで迫ったカタリナの背に、雷でできた翼が広がる。その羽が算段のように広がり、纏めてメロディアを襲った。
 残滓たちにはすれ違いに一つずつ叩き込んで破壊していたが、本体であるメロディアには持っているものを纏めて一斉放射だ。その羽はメロディアの全身を取り巻き、余すところなく焼き焦がした。
「ああああっ……ですが、この程度……!」
「分かってるよ、だから終わるまで一緒にいて貰うだけだ!」
 焼けていくメロディアの体をカタリナが抱きすくめる。力による束縛と電撃による麻痺が、敵の攻撃の届かない場所への退避を許さなかった。
「く、あぁぁ……カル、ロス……せめて、最後は貴方の腕の中で……!」
 知らぬ女の腕を拒み、夫の胸を求めながら、メロディアの焦げた体は雷によって爆散した。体に散ったその残骸をぬぐい、カタリナは油断なくその場で待つ。
「……やっと終わった?」
 シミのような状態からですら再生したメロディアだが、とうとうそれも終わったようだ。ならばこれ以上力を残しておく余裕はないと、カタリナは寿命を削るユーベルコードと彼狂う天災を鎮める。
 吹き散らされた桜の花が、桃色の絨毯のように戦場全体を覆っていた。その女性的な淡い色は、利己を謳い続けたメロディアの隠しきれぬ本心を、消えた主の代わりに代弁しているようでもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月23日


挿絵イラスト