羅針盤戦争〜打ち破れ八艘飛び
●黄金浮かぶ大海原にサクラ舞う
「皆さん、戦いは順調でしょうか!」
猟兵たちの前に立つ千束・桜花(浪漫櫻の咲く頃に・f22716)は、海図を見ながら頭を悩ませていた。
王笏島の発見と制圧が進み、七大海嘯との戦いも熾烈さを増しているところである。
「さて、今回皆さんには七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍の黄金艦隊へ攻め込んでいただきます!!」
邪剣島より出てきたであろうピサロ将軍は、黄金艦隊と共にとあるサクラミラージュ島の近くで停泊するという予知を得られた。
そこを叩く、というのが、今回の作戦である。
黄金艦隊とは、魔法黄金製の超硬度を誇る帆船で編成された艦隊だ。
「それ自体の驚異は大したものではないのですけれど、気をつけなければならないのはピサロ将軍の高速起動ユーベルコード、八艘飛びです!」
黄金艦隊で相手を囲い、帆船の間を高速で飛び移りながら敵船に襲いかかる。
それがピサロ将軍の戦い方というわけだ。
「方向を絞らせない一撃離脱、というとかなりの浪漫を感じますね……ええ!」
桜花はぐっと拳を握り不敵に笑う。
「ですがこのピサロ将軍の動き、攻勢ではなく遅滞戦術に出ているように見えます。なにか別の目的があるようですし……。七大海嘯の力量で本気の時間稼ぎをされると、打ち破るのは至難の業でしょう」
目にも留まらぬ速度で飛び回るピサロ将軍を、如何にして時間をかけずに打ち破るか。
これが作戦の肝になる。
「さしあたっては、そうですね……急がば回れ! ピサロ将軍本人よりも、黄金艦隊から攻めて機動力を奪うのもアリかもしれません! それでは、いざ参りましょう!」
るーで
●ご挨拶
ごきげんよう、るーでです。
戦争シナリオに初挑戦します。
わくわくですね!
●概要
七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍との戦闘です。
とにかく速ーーーい相手です。
先制攻撃をしてくるので、それを受けてからどうやって反撃するか、が論点になりますね。
プレイングボーナスは「敵の先制攻撃と八艘飛びに対処する。」となっております。
それではよろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍』
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POW : ケチュアの宝剣
【黄金太陽神の神力】を籠めた【ケチュアの宝剣】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【魂】のみを攻撃する。
SPD : 黄金艦隊砲撃陣
【各艦に刻まれた黄金魔術印】によって、自身の装備する【黄金艦隊】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
WIZ : 邪剣烈風斬
【超高速移動によって生じた激しい風】を放ち、レベルm半径内の指定した対象全てを「対象の棲家」に転移する。転移を拒否するとダメージ。
イラスト:もりのえるこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リーヴァルディ・カーライル
…確かにあの船を破壊するのは相当な力がいる
だけど、あの艦隊を沈めるだけなら、そこまで大変じゃなさそうね
"精霊石の耳飾り"を頼りに空中戦を行う敵の存在感を捉え、
今までの戦闘知識と経験から攻撃が来る方向と機を見切り、
最適な動作の早業で攻撃を受け流しUC発動
風の精霊、私に教えて。邪なる風を纏う者の居場所を…
…そこね。おおよその位置が分かれば、避ける事ぐらいは…っ
水属性攻撃の魔力を溜めた魔刃を艦隊の周囲に乱れ撃ち、
渦巻きのオーラで防御を無視して敵船を海中に沈める
…水の魔術は不得手だけど、これだけの補助具があれば…
…我に仕え、我を助け、我が呪文に力を与え、
我に背く諸霊を悉く水底へ沈めよ…!
●満ちて穿て
海原には、ピサロ将軍率いる黄金艦隊。
魔法黄金で出来たその帆船は、元々隠密行動よりも硬度を活かした直接戦闘に向いている。
並んでいるだけでも大層な威圧感だ。
(……確かに、あの船を破壊するのは相当な力がいる)
まさにその直接戦闘を求められたのだから、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は策を用いる必要があった。
船体に大穴でも空けられれば早いのだが、艦船の硬度を考えるとそうもいかない。
黄金艦隊を見つめて、耳飾りに触れる。
(だけど、沈めるだけなら……)
直接的な攻撃だけが、戦い方ではない。
差し当たって、水を利用して───。
そんなことを考えていた時である。
「……っ!」
風の精霊が、リーヴァルディに危険を告げた。
リーヴァルディの知識と経験を以って攻撃が上から来るものだと予測して、咄嗟に後ろへ跳び、姿勢を低くする。
直後に、先ほどまでリーヴァルディの居た場所を局所的な暴風が襲った。
巻き込んだもので形がわかるほど強く渦を巻き、暴れ回る風の塊。
それが上空より放たれたのだ。
リーヴァルディがそちらへ視線を向けた時には、そこにはもうなにもいなかった。
(なるほど……これが高速機動)
ピサロ将軍の速さは、十分に分かった。
続けて放たれる2発目、3発目を、風の精霊の助言で方角を測り、己の知識と経験でタイミングを掴んで躱すリーヴァルディ。
(おおよその位置が分かれば、避ける事ぐらいは……っ)
攻撃の直前にはどこから来るか判断できれば、十分に避けられる。
だがこちらから攻撃を仕掛けるには、敵はあまりに速い。
(せめて方向を絞ることができれば……)
やはり足場である黄金艦隊を、なんとかせねばならない。
「……刃に満ちよ、水の理。この刀身に全てを飲み込む渦の力を与えよ」
攻撃を躱しながら詠唱するリーヴァルディ。
黄金艦隊の一角に手を向けて、無数の魔力の刃を放った。
(……水の魔術は不得手だけど、これだけの補助具があれば……)
魔刃は、艦船には全く当たらなかった。
いや、当てなかった。
リーヴァルディの狙いは、あくまで直接的な破壊ではない。
刃が海面にぶつかると水柱が上がり、大きな波を作る。
幾本もの刃を海に飲ませて、現れたそれは───。
「……我に仕え、我を助け、我が呪文に力を与え、我に背く諸霊を悉く水底へ沈めよ……!」
───大渦だ。
黄金艦隊の一部を、突如出現した大渦が飲み込んでいく。
どれほど頑強な船であっても、水に浮いている船には変わりない。
浮力を上回るほど下向きの力がかかれば、その硬度に関わらず沈む。
「おいおい、嘘だろ! 私の黄金艦隊が!」
八艘飛びに使う足場が急激に減り、仕方なく付近の艦船に着地するピサロ将軍。
甲板に落ちる影に気付いて顔を上げた時には、もう遅かった。
「……全て沈めるとまでいかずとも、逃げる方向を絞れるだけで十分」
ピサロ将軍へと飛来する、無数の魔刃。
その全てが、ピサロ将軍を襲うのだった。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
◎ POW
なるほど、高速機動のヒット&アウェイ。実に強敵デース!
長引かせればその分不利になる、となれば、初手が決め手となりマスネー!
意気揚々と参りマース!
戦地に着きますと、見晴らしの良い場所でファルシオンを抜いてスタバイ。
いつどの方向から来ても対応できるよう、クールダウンであります。
ワタシに向かってきたところで、武器を狙ってのカウンター!
ピサロの宝剣を受け流したその時、その機を逃さずUC起動デース!
「六式武装展開、煙の番!」
煙を噴出して虚を造り、逃げられる前に瞬時に展開したパイルバンカーの一撃を叩き込むであります!
好き勝手暴れておいて、サヨナラは通りマセーン!
アディオス、ジェネラル・ピサロ!
●アディオス!
空を見上げれば、船の間を跳んで翔るピサロ将軍。
風を切って動き続け、四方八方、あらゆる方角から猟兵へ向けてケチュアの宝剣を振るうのだ。
「なるほど、高速機動のヒット&アウェイ。実に強敵デース!」
黄金艦隊へと攻撃を仕掛ける帆船。
そのマストの上に立っているのは、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)だ。
バルタンが選択したポジションは見晴らしの良い場所。
艦隊に囲まれてしまえばどこからでも狙われる一方で、どこへ行っても見ることのできる。
(長引かせればその分不利になる、となれば、初手が決め手となりマスネー!)
一撃で、強烈な打撃を与えるためだ。
やる気は十分。
猟兵たちを襲撃するピサロ将軍を見つめると、意気揚々とファルシオンを構えた。
準備が整うと、心の波を静める。
もう既に、いつどの方角からピサロ将軍が襲いかかってきてもおかしくはない。
バルタンが集中力を高めていたそのとき、突如眼前にピサロ将軍が飛来した。
「ここにも猟兵がいるじゃないか!」
つい先程まで遠くの艦隊に居たと思ったのに、今は目の前で宝剣を振り上げている。
目にも留まらぬ、というに相応しい速さだ。
(速い……ケド!)
ピサロ将軍の振るうケチュアの宝剣に、ファルシオンを合わせる。
腕力で打ち払うのではなく、身体を引くことで、刃の上を滑らせるように。
衝撃を殺すために身体ごと大きく回って、
初撃さえ逸らせば、やれることはあるのだ。
「六式武装展開、煙の番!」
バルタンの周囲に噴出する煙。
ピサロ将軍ごと包み込んで、マスト上を覆い隠す。
「煙幕とは! 面倒だから後回しにさせてもらう!」
黄金艦隊へ戻るためマストを蹴って跳ぼうとしたピサロ。
だがその後ろで、バルタンの目が光る。
「好き勝手暴れておいて、サヨナラは通りマセーン!」
煙に隠れて死角に移動していたバルタン。
だが、持っていたファルシオンを振りかぶるわけでも、武器を構えているわけでもない。
ただその手をピサロ将軍に向けているだけだ。
にも関わらず、ピサロ将軍の脳が、身体が、神経が、危険を告げている。
「チィッ! 何をする気だ!」
空気を揺さぶるような発射音と共に、ピサロ将軍に向けられたバルタンの腕から、巨大な杭が打ち出される。
「アディオス、ジェネラル・ピサロ!」
その衝撃で煙幕が晴れると同時に、バルタンの放つ強烈なパイルバンカーがピサロ将軍の身体を穿つのだった。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
まずは将軍を狙うより、足場をなくしていくことから、だね。
艦隊戦になるし、現場に着いたらわたしは【ネルトリンゲン】で出撃するよ。
とはいえ、黄金艦隊はかなり耐久度高そうだからね。
ここは、狙うなら海!
【M.P.M.S】の炸薬は上限いっぱい。
遅延信管モードで相手艦隊の至近の海上に向けて発射。
海中で爆発させて波を起こし、相手艦隊の足並みを乱れさせるよ。
ぶつかったり転覆したりする艦が出てくれれば、なおよし、かな。
足場が不安定になれば、八艘飛びも威力半減だよね。
将軍を捉えられるようになったら、みんなと連携して集中砲火を浴びせちゃおう。
相手の風は【E.C.O.M.S】で防風壁を作って耐えきりたいと思うよ-。
●Gold ship Battle
苛烈さを増していく戦場。
ピサロ将軍率いる黄金艦隊が占拠するこの海原に、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はやってきた。
艦隊の砲撃音、ピサロ将軍の剣戟、斬撃を受けたものたちの悲鳴。
様々なものが飛び交うこの海域に、戦闘空母ネルトリンゲンに乗って。
「なるほどなるほど。あれを狙うのは確かに合理的じゃないかも」
艦隊の間を飛び回るピサロ将軍を見て、理緒はつぶやく。
「まずは将軍を狙うより、足場をなくしていくから、だね」
狙うは、黄金艦隊。
しかし超硬度の魔法黄金製艦船を直接的な攻撃で沈めるのは、容易なことではない。
ならば、〝直接的〟でなければいいのだ。
理緒は即座に、ネルトリンゲンのM.P.M.Sの弾薬に、炸薬を上限ギリギリまで詰める。
だがその作業を待っていてくれるピサロ将軍ではない。
上空から、理緒のいるネルトリンゲンへ向かって、暴風が放たれた。
まともに食らっては、船から落とされてしまう。
「作戦行動、開始!」
そこで理緒が号令をかけたのは、大量の空飛ぶ正八角形だ。
それが隊列を成し、防波堤のように並んで、風を散らす。
理緒の元へ届く頃には、少し強いだけの風だ。
作業を終えると、甲板でミサイルランチャーを構える。
「ここ、狙うなら海!」
理緒は掛け声と共に、黄金艦隊──その至近海上──へ向けてミサイルランチャーを打ち込んだ。
大きな着水音と共に、弾丸が水中へと飲まれていく。
「外したか!? 都合がいい!」
猟兵たちの動きを見ていたピサロ将軍が、理緒へと狙いを定める。
黄金艦隊を足場に、一気にネルトリンゲンまで飛び移る気だ。
だがその直後である。
海中で、大きな爆発。
その余波を受けて、黄金艦隊が大きく揺れる。
遅延信管モードで打ち込んだミサイルが、船の下で爆発したのだ。
艦隊は大きな揺れに対応するばかりで、ピサロ将軍の望むように移動することもままならない。
「くそっ、足場が!」
ピサロ将軍も着地した艦船の大きな揺れに、すぐには跳ぶこともできない。
その間に、ネルトリンゲンの主砲がピサロの方へと向く。
「撃って!」
理緒からの号令で、ピサロ将軍へと次々放たれる艦砲射撃。
ピサロの乗った黄金の艦船に、砲火が集中した。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
逃げの一手、大いに結構
小賢しい者同士、仲良くする気は無いか?
おや、無い?それは残念だ…
それじゃあ、どっちかが絶滅するまで…殺し合うしか無さそうだ
跳んで来いよ、俺を絶やしに
さて…黄金艦隊が面倒なんだったな
最初に砲撃が来るだろうから──『Metamorphose』
着弾する前にデータゴーストに変化し、重力操作【ハッキング】で飛んでくる砲弾を撃ち落としてやる
まだまだ止まらないぜ──今度は艦隊を狙う
どんなに強く豪奢な艦でも、重力で沈めれられちまえばどうしようもねえ
さぁ、お前の足場が無くなってきたな…
ま、跳ぼうとしても重力がそれを許さないがな
歓待と一緒に、仲良く海の底で終わっておくのがお似合いだぜ、レディ
●黄金は海底に
剣戟一閃。
光のように振るわれるピサロ将軍の宝剣を、ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)がナイフで弾く。
戦いは、どれほど続いたのだろうか。
幾合か打ち合い、互いに致命傷は与えられないまま、持久力での勝負となってピサロ将軍に軍配が上がりかけた頃である。
「なぁレディ、これはただの時間稼ぎなんだろ?」
オイルと汗と海水がべっとりとついたナイフを握り直しながら、距離を取ったピサロ将軍に語りかける。
ピサロ将軍は、いつまで経っても力押しで攻めてこない。
ヴィクティムには、この戦い方に思い当たる節がある。
「さあ、どうだろう。猟兵諸君の懸命な攻撃で私は防戦一方なんだ」
ピサロ将軍はまだまだ余裕そうに微笑むと、大きく踏み込んで宝剣を振った。
二本のナイフでその宝剣を受けとめて、ヴィクティムも口角を上げる。
「逃げの一手、大いに結構。小賢しい者同士、仲良くする気は無いか?」
ハッタリと虚仮威しだ。
ヴィクティムの両腕はぎりぎりと不快な音を立てている。
宝剣を切り払い、ナイフを振るが、すでにピサロ将軍は大きく後ろへ飛んでいた。
「せっかくのお誘いだが、断らせてもらう。私にはやるべきことがあるのでね」
黄金艦隊まで下がり、八艘飛びで高速移動を始めるピサロ将軍。
角度を絞らせず、今度こそ一撃でヴィクティムに斬りかかるためだ。
「おや、それは残念だ……それじゃあ、どっちかが絶滅するまで……」
片方のナイフを仕舞い、中指を立てる。
もとより敵ではあるが、完全なる決別をした。
「殺し合うしか無さそうだ。もう一度跳んで来いよ、俺を絶やしに」
それを見たピサロ将軍はというと、一度動きを止めた。
態々構えを解いたということは、なにか別の攻撃手段を用意できたということだ。
「私が行くまでもない。貴様の相手は黄金艦隊にしてもらおう」
不敵に笑うピサロ将軍。
手を掲げると同時に、黄金艦隊の砲門が次々にヴィクティムの方へと向く。
重く響く砲撃音。
だがヴィクティムは動かない。
幾発もの弾丸が、ヴィクティムの身体を粉々に打ち砕く───はずだった。
揺らぐヴィクティムの姿。
そして放たれた砲弾は、ヴィクティムのいる場所まで届かず海へと落ちた。
「狙いを外した? いや、そんなはずはない」
この砲撃で終わるだろうと思っていたピサロの顔に、少しの焦りが見える。
ピサロ将軍の心に小さな小さな種火だ。
超硬度の艦船で作られた黄金艦隊に死角はない。
当たるまで打てば良いと、次の砲撃を指示しようとした時だった。
大きく揺れる艦船。
将軍の乗った船が、急激に海へと飲まれていく。
「なんだこれは……!」
ピサロ将軍の中で焦りという名の炎が、一気に燃え広がった。
黄金艦隊は攻撃を受けた様子はない。
にもかかわらず、船は沈んでいるのだ。
これで驚かずして、何に驚くというのだ。
「どんなに強く豪奢な艦でも、重力で沈めれられちまえばどうしようもねえ」
揺らぐヴィクティムが嗤う。
慌てて他の艦隊へ跳ぼうとしたピサロ将軍だが、その身体も重い。
上手く跳ぶことができず、その身体は海へと落ちていった。
「艦隊と一緒に、仲良く海の底で終わっておくのがお似合いだぜ、レディ」
そこに来て、ピサロは自分と黄金艦隊に何が起きたのかを理解した。
データゴースト化したヴィクティムの重力操作によって、砲弾を、艦隊を、ピサロ将軍を、海の底へと引きずり落としたのだ。
纏う風もなく、足場になる船も無く、ピサロは海の中でひとりもがくように腕を振るった。
大成功
🔵🔵🔵