●
それは、海の彼方からやってくる。
水平線、その一本の境目を壊すようにそびえる、小山のようなシルエットは、ただただ恐怖を煽っていた。
人々は、その姿にただただ恐れ、怯え、しかし胸の内から出てくる謎の安心感に混乱していた。
「おいで、我が子たち、愛しいぼうや」
空気を震わせ伝播する音は、一つの島に直撃しては、そこに住む者達を半狂乱させる。
「小さきこと、母の海へ還っておいでなさい」
身体の一揺れで津波が起き、一つの島を消滅させる。
「さあ、母の元へ――」
それは、深淵から湧き出た海底の魔性。あらゆる者を我が子と断じ、海のような広く大きな保護欲と独占欲で愛する。
化物であった。
●
「母なる海、とか良くいうけどね。自分がその母だって言い出す奴は、まあ、シンプルに異常だよね」
と、そんな前置きをしたミサキは、海上に出現した敵についての説明を始める。
母ってなんぞや? という独自のご高説は端折って言うと、
「まあ化物だね」
そういう感じだ。
全長100m。白亜の巨体に赤い瞳。孕んだように出っ張った腹部。周囲にはクリオネの様なフォルムの「我が子」達。
「見た目もオカシイけど、でも一番警戒しなきゃなのは、攻撃手段だよ。特に、精神に作用するのは要注意だ。虜になっちゃうともう抜け出せないからねぇ」
その他の攻撃も油断はならない。島をまるごと飲み込む津波も、母と繋がる子も、強力だ。
「あとは好きに海上を渡ってくれればそれで、やりたいように戦えばオッケーかな。うん、頑張って」
ぴょんぴょん跳び鯉丸
戦争シナリオです。
敵は先制してきませんが、攻撃手段が強力です、ヤバいですね。
対抗策が無かったり不十分だったり良くわからないと採用が難しいと思います。
よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『海底の母』
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POW : 海女神
【100m近い自身の巨体】を披露した指定の全対象に【魅了、敵意喪失、母体認識と従順になる】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD : 回帰
【津波】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に関係なく飲み込み海に変える】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : 底無しの愛
自身が【自分の子に底無しの愛情を注いで】いる間、レベルm半径内の対象全てに【愛の力で強化された子供たちの攻撃】によるダメージか【鎖を通じて愛の力】による治癒を与え続ける。
イラスト:白暁
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ラモート・レーパー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
2月18日
11時35分
プレイング受付中
2月19日
10時11分
プレイング受付終了
ラモート・レーパー
「だーははは! わーははは!」
四つ這いになって地面をバンバン叩くほど大笑いしているお姉さん
「あー笑った、笑った。こうゆうカタチで陰に出会えるとは思わなかったわ」
UC対策
子の攻撃はあくまで近接格闘のみ。動くためには身体を動かせるほどの空間の余裕がなければその力を振るうことは出来ない
こちらのUCで海を凍らせる。海面だけでなく海中にまで深く広く凍らせる
「お互い何してくるか分かってるでしょ? だって『』なんだから」
エィミー・ロストリンク
【POW】
でかーーーーい! 説明不要だね!
見たらやばそうだし、わたしはアカハガネちゃんに籠るよ!
キャバリア・アカハガネに搭乗して参戦
視覚モニターをすべてオフにして、聴覚で敵位置を把握することで、魅了対策とする
巨大故に大きな音を出してくれるので、UC「姫君の財宝を取り込みし巨神」を発動して、12個のメガリスを取り込んで、60mのアカハガネの両腕のガトリングキャノンで撃ちまくる
近づいてくる子等の小さい音には特に反応して迎撃して落としていく
海女神が近づく音がしたら、タイミングを見計らってバーニングナックルの拳のラッシュを叩き込む
もー、近づいてこないでーー!
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
水上バイクの乗り、魔銃のレプリカを持って出撃
母、いたのかどうか分からないが、アレを母と思いたくないな
さて、狙撃と行こう
SPDで判定
【運転】【操縦】【航海術】の技術で安定してバイクの上から遠距離攻撃する
まずは【視力】【暗視】で敵を捕捉
波が来たら義眼のメガリスの橙の災い:爆破【爆撃】の力を付与した弾丸を【クイックドロウ】【範囲攻撃】【全力魔法】で放ち攻撃と相殺
今度は藍の災い:圧壊【重量攻撃】を【全力魔法】【スナイパー】で放ち【逃亡阻止】した後、【2回攻撃】で黄の災い:感電【マヒ攻撃】を同様に放ち攻撃する
クトゥルティア・ドラグノフ
※ルク君(f14346)と共闘!
こ、この巨体
まともにやるのはきついね……でも私たちならやれる!
いこうルク君!
なんで……あんなの、母さんじゃないのに……
抗えない……母さん、母さんっ!
『二人そろって未熟者が……』
父さん!?
『ルク、お前はそれでも俺の娘の貰い手か? 気を張らんか! クトゥルティア、俺を超えたんじゃなかったのか、馬鹿者が。世話の焼ける……』
ありがとう……父さん
行こうルク君、目が覚めたよ!
『俺もついていってやる……気張れよ』
【戦闘知識】と【野生の勘】全開で、攻撃を【見切り】つつ【切り込む】!
親子と……いずれ夫婦になる者の力を、その身に受けろぁ!!
ルク・フッシー
クーさん(f14438)と共闘
お、大きいです!
でも大丈夫、クーさんが一緒なら!
やりましょう、クーさん!
…あれ?…お母さん…
そっか…お母さんなんですね…
じゃあ、戦っちゃいけません…
はひぃっ!?お義父…ウィリアムさん!?
ご、ごめんなさいっ!がんばりますっ!
ありがとうございます、ウィリアムさん。
もう屈しません!あんな…邪悪なオブリビオンなんかに!!
クーさんと一緒に突撃!邪魔する子クリオネは、早業で切断面を描き真っ二つ!
全力でクーさんの動きについていく事で、クーさんの見切りの恩恵を受けます!一緒にトドメ!
ボクとクーさん、それにウィリアムさんの愛も合わせれば!
そんな化物の愛に、ボク達の愛は壊させません!
●
「でかーーーーーーーーーーーーーーーい!」
その姿を見た瞬間、エィミーの視界は真っ暗になった。
「……よし」
幼女は静かに頷き、キャバリアであるアカハガネのコックピット内部で設定を完了させる。
表示枠に記されたモニターの部分を全てオフに変え、外部からの音を拾うマイク感度を最大に。
「見ちゃダメなら、見なければいいってことだもんね……!」
正面の集音は指向性でセット。敵の巨体故に起きる波の荒立ちや風鳴りを察知することに専念する。
「ああ、我が子、母に顔も見せずに斯様な……」
声が、内部で反響した。
それはエィミーの行動を窘める台詞で、まるで本当に心配している様に聞こえる。
「ええ、しかし、安心して、いいのです。母に、任せて」
だが違う。
「引きこもりはいけない。今、そこから引きずり出してあげましょう」
敵はただ、子の自由を許さず、管理下に起きたいだけだ。
「余計なお世話なんだよー!」
そんな物は求めていないエィミーの戦いが始まった。
構える両腕にはガトリングキャノンが装備されていて、音を頼りに距離と目標を算出し、ばらまく意識で撃ちまくる。
「……!」
効果はあるのか無いのかはわからない。着弾の音はあるが悲鳴は無く、止まることの無い相手が近付いてくる気配だけがわかる。
「ううん、むだじゃない」
マイクの集音を正面に一点集中。
探るのは敵の出す音ではなく、自分が撃つ弾丸の直撃音。
その間隔が狭まれば狭まる程に近く、そして間合いとしては最適な瞬間を感覚でエィミーは捉えた。
「ここっ」
拳を握る動きがアカハガネにトレースされる。
左腕を前に軽く伸ばし、接触を感知。その瞬間に、
「近付いてこないでー!」
右の拳を振り抜く。打撃の感触をしっかり確認しながら戻す動きで左、さらに右と、乱打の回転を入れて、
「お世話は間に合ってるから!」
フィニッシュのストレートをぶちこんでから即、アカハガネのブーストで戦域から離脱した。
●
波を掻き分ける水上バイク。そこに跨がるルイスの目に、敵の巨体が映った。
曰く、あれは母であるらしい。
不気味な子供を鎖で繋げ、全ての者を我が子と捉える母であると。
「いたかどうかすら分からないが……すくなくとも、アレを母とは思いたくないな」
海上で停車したバイクの踏み板へ足を乗せ、ふくらはぎで車体を挟み身体を安定。
立ち上がり、遠く離れた敵へと銃口を向ける。
「さて、狙撃と行こう」
射角高め、頭部より上辺りに狙いをつける。
引き金に指を掛け、一息整えながら眼を一度閉じ、義眼の力を弾丸に落とし込む。
「……ッ」
射撃した。
藍色の弾丸は緩い放物線で飛んでいく。
風の影響に揺られながらも、誤差少なく相手の腹部へと着弾。
「ふ、っ」
再度の射撃。今度は黄色で、感電による麻痺狙いの力を込めてある。
だがそれは子供に命中し、母体の停止は叶わなかった。
「まあ、神経があるかも怪しいが」
電流で止まる程繊細な身体でも無さそうだという感想を飲み込むルイスの前に、波が来る。
白泡を吹くその波は、敵の身体を発生源にしたモノだ。
距離を離してあるのにその勢いは、近付くほどに強く、分厚く、高くなっていく。
「――!」
バイクに跨がり直したルイスは、片手でハンドルを握る。逆の手で銃を前へ構え、アクセル全開で津波へ突撃を敢行した。
橙色の弾丸を真正面にぶちこみ、爆撃による波の壁の破壊を試みるが、勿論足りない。
ので、間髪を入れず連射した。
前方へと伸びていく、多重範囲攻撃だ。
津波の中を突き破る唯一の道を自分で作り上げたルイスは、荒く跳ねる波をバイクで吹き飛びながら超えていき、
「む」
敵の姿を見失った。
海へ潜ったのか、それともとんでもない速さで逃げたのかは定かではないが。
「一先ずダメージは通した、か」
やることはやったのだろうと、そう思う。
●
「な……」
呆然と見上げるクトゥルティアとルクは、敵の巨大さに圧倒されていた。
「こ、この巨体……」
「お、大きいです……!」
余りの差に、息を呑む気配がお互いにある。
まだ距離があるというのに感じるプレッシャーは、それだけ、相手の力が強大だという証だろう。
「……でも、私達ならやれる! 行こう、ルク君!」
「うん……クーさんが一緒なら! やりましょう!」
二人でならと。
握り合う手の温もりを頼りに、二人は敵へと挑んだ。
●
(……あれ?)
握り合う手の冷たさに、ルクは首を傾げた。
隣を見ればクトゥルティアがいる。並んだ二人、寝転がる様にしてふわふわと浮いていた。
いや、ゆらゆらと、揺れているようでもある。
なんだろう、この感覚。
不思議に思っていると、こちらを心配そうに覗き込む顔があることに気付く。
(ああ、いけません、お母さんに心配を掛けてしまっては)
また、あれ? とルクは思う。
母、だっただろうか。
先程まで、自分はこの母を叩こうとしていたように思うが、何故そうだったのかが解らなくて、親に敵意を向けるなんてどうかしているはずなのに、それが正しいとも思ってしまうのだ。
ルクは、クトゥルティアをまた見る。
クトゥルティアは混乱していた。
見開いた目に映る顔は知らない。それなのにこれこそが母親だと認識してしまう脳の異常に、心が順応しないからだ。
(こんなの、母さんじゃないのに……!)
心細さと恐怖から、握った手を強くする。
ルクの方を見れば、彼もまたぼんやりとして母を見上げていた。
(いや違う、ちがう!)
自然と、母と呼称していることに気付いて頭を振る。
自分の母親はもっと、もっと……。
(かあ、さん……母さんっ!)
ああ、そうだ、こんな風に白くて、赤い、ひどく歪んだ笑みを作るような、そんなヒトだった。
二人は沈んで行く。
海に落ち、底まで――
●
「おお……!」
母は、身体の痛みに仰け反った。
股から胸へと通る肉の裂けた痛みだ。
『二人揃って未熟者が』
その痛みは海を割り、墜ちた二人を浮上させる謎の第三者。
その正体は、
「とう、さん……!?」
「はひぃっ!? お、お義父……ウィリアムさん!?」
クトゥルティアの父親、ウィリアム・ドラグノフその人だ。
父は敵から眼を背けないまま、娘を小突いた後にルクへと意識を向ける。
『ルク、お前はそれでも俺の娘の貰い手か?』
手にした刀で無造作に寄ってくる子を斬り刻み、深く重苦しい溜め息を吐き出した。
それからチラリと眼を向け、ルクを見る。
『もっと気を張らんか!』
「ごめんなさいっ! がんばりますっ!」
『クトゥルティアお前もだ、俺を越えたんじゃなかったのか馬鹿者が!』
「ぐくっ……」
父からの容赦の無い指摘と発破に、二人は改めて敵を見る。
未だに母だと思ってしまう感情は胸にあるが、先程の様な強制力は薄らいでいるように思えた。
だから。
「行こうルク君、目が覚めた」
「はい、ボクももう、屈しません」
父を越して前に行く。
踏み出した足で海面を掴み、飛び上がる動きで敵へと迫る。
「っおお!」
子供を散らす一刀両断をクトゥルティアは抜き身の刀で放つ。
それに追従するルクは特製の絵筆を母体の肌に滑らせ描く。
「母を、母なのに、斬りますか」
その動きを止めるべく振るわれる巨体の拳が二人に迫る。
空間ごと押し潰す質量の一撃だ。
だがそれが到達するより速く、父の斬撃が拳を縦に裂いた。
『俺もついていってやる……気張れよ』
行く。
邪魔する子供はクトゥルティアが排除し、ルクの描く線が母体の至るところに作り出されていく。
「ボクとクーさん、それにウィリアムさんの愛が合わされば……!」
「親子と、いずれ夫婦になる者の力を! その身に受けろぁ!」
登り切ったクトゥルティアは、敵の背中から刃を突き立て一気に下へ斬り落とす。
ルクは正面から対称に絵筆を沿わせて一線を画す。
そうして起きるのは、描かれた斬撃の具現化事象だ。
全身に生まれた裂傷に苦しむ敵は暴れまわり、振り落とされる二人をウィリアムがキャッチ。
『ちぃ……!』
発生した津波に逆らわず流されることで距離を取った三人が見る先は遠く、敵が去る背中が見えた。
●
女は目の前の現実を見上げていた。
今、自分は、世界を襲う存在の正面にいる。
面積の狭い小島だ。相手が前進する余波で容易く沈む、何もない場所だ。
そんな場所で彼女、ラモートは這う様にして敵を見て項垂れる。
「くっ、うぅ……ふ……」
ガタガタと身体を震わせ、噛み締めた下唇が真っ白になっていた。
抑えた声が喉から鳴り、そしてとうとう我慢の限界を迎えた彼女は息を吸い込んで。
「だーっははは!」
笑い声を轟かせた。
肺に溜まった空気の分だけ吐き出す様に笑い、吸って補充してはまた笑い、頼りない地面をこれでもかと叩きながらひとしきり発散して、彼女はふぅ、と一息。
「あー、わらったわらった。まさかこうゆうカタチで陰に出会えるとは思わなかったわ」
海の上を歩いていく。
無造作に進むそこへ子供達は殺到するが、ニヤケ笑いのラモートは意に介さない。
ただ、一撫でする風が吹き、
「分かってるんだ」
周囲は凍結する。
子も、海も、海中ですら凍り付いて、彼女は彼女とご対面を果たした。
「 」
何も、言葉は無い。
ただ子は散り、海へ落ちて、凍結の中へ組み込まれるだけの時間が過ぎた。
「分かっているのでしょう」
ふと、声の後に破砕音がある。
凍った海の中、子が再生と破壊を繰り返して起きる、氷の壊れる音だ。
「お互いに」
割れた氷と氷のぶつかり合いで出来た飛沫が氷柱となって飛ぶ。
子はそれを防いでまた砕け、海と一つになり、やがてそれも再生するだろう。
「分かっている。だって――」
そうして唐突に、空間ごと凍結する。
海も、人も、魔も。
世界から隔絶され、極小の空白地域となっていた。
「――ほら」
ふと、ラモートの声が起きる。
「わかってたろう」
さらさらと、潮風に吹かれて塵になる巨体を見上げて、最後に一言。
『』
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2021年02月20日
宿敵
『海底の母』
を撃破!
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