羅針盤戦争〜不滅の鬼火
●鬼火島
「愛鳥ゼンタよ、見よ!」
七大海嘯『鬼火』フライング・ダッチマンが指し示す先には島に乗りつける猟兵達の船があった。
「遂に猟兵達はこの鬼火島にまで乗り込んできた!」
次々とこちらの拠点が見つかり、瞬く間に支配海域を失ってしまっている。その魔の手がこの鬼火島にまで及んだのだ。
「彼らは異常だ! 賞金を掛けても気にも留めずに戦い続けている! 否、それどころか嬉々としているものまでいる始末だ!」
こちらの思惑を全て蹴散らしてしまう敵に、フライング・ダッチマンは頭を抱えるように両腕を上げた。
「このままでは偉大なる王カルロスにその刃が届いてしまう! それは阻止せねばならない!」
フライング・ダッチマンは青白く燃える炎の中からギロリと鋭い視線を侵入者に向けた。
「この不滅の身を以てすれば、猟兵といえども刺し違えることは可能なはず!」
死しても蘇るフライング・ダッチマンは敵の数だけ相討ちを繰り返せばいいと嗤う。
「さあ愛鳥ゼンタよ、われと共に行こう。いま再びの眠りに就くその日まで、われらが責務を果たそうぞ!」
●グリモアベース
「みんなー! 七大海嘯『鬼火』フライング・ダッチマンの拠点、鬼火島が見つかったよ!」
ラフィロワ・ベルシルト(幸せ運ぶ星のうた・f04751)が猟兵達に七大海嘯討伐依頼を持ってきた。
「フライング・ダッチマンは青い炎の体をしていてとっても強いんだけど、炎の体はやっつけてもすぐに蘇生しちゃうんだ!」
何度殺そうとも瞬時に蘇りまた戦い始める。炎のように不滅の肉体を持っているのだ。
「でもそれを破る方法も予知でわかったんだ。それは……『迷いなき心』だよ!」
あてどなくさまようが故に得た蘇生ユーベルコードを強き信念の刃で打ち破ろうというのだ。
「その心を見せて戦えば、蘇らなくなって負傷を重ねるようになるんだ」
炎の体の内にあるフライング・ダッチマンという存在そのものへとダメージが与えられるようになる。それを重ねれば完全に倒す事が可能だ。
「でも油断しないで! フライング・ダッチマンは普通に戦っても強いんだ。みんなより先にユーベルコードを使って攻撃してくるし、蘇られなくなったとわかったら必死になって戦うと思うよ」
先制攻撃を仕掛けてくる。それを何とか凌がなくては攻撃チャンスが来ない。そして最大の武器である蘇生がなくなれば、まさに死に物狂いで襲い掛かってくるだろう。
「んー、迷いなき心って言葉にするのは難しいよね」
説明を終えたラフィロワは鬼火島へと繋がる輝く道を作りながら、迷いなき心について考えていた。
「けど、もうみんなが持ってるものだと思うんだ! だからきっと大丈夫! その強くて温かい心はどんなに熱い炎にだって負けないよ!」
鬼火などに負けぬ心を持つ猟兵は、その心と同じように輝く道を歩み出した。
天木一
こんにちは天木一です。羅針盤戦争の七大海嘯戦です。
鬼火島で『鬼火』フライング・ダッチマンとの決戦となります!
このシナリオは、1章だけで完結する戦争シナリオとなります。
強敵ですので難易度は高めとなります。
フライング・ダッチマンは『迷いなき心』を見せて戦わないと幾らでも瞬時に蘇生してしまいます。蘇生を阻止できれば、ダメージが累積して倒す事が可能となります。
敵のユーベルコードの先制攻撃に対処し、迷いなき心を見せることでプレイングボーナスを得られます。
フライング・ダッチマンの撃破に成功すると、鬼火の支配下の島の一つ『モリス島』が解放されます。
複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページかタグにて。
皆様の迷いなき心で、不滅のフライング・ダッチマンを撃破してください!
第1章 ボス戦
『七大海嘯『鬼火』フライング・ダッチマン』
|
POW : 鎖付き骸球
【『燃え盛る邪悪な魂』の集合体である骸球】が命中した対象を燃やす。放たれた【骸球の『口』から溢れ出す】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : ブルーフレイムカトラス
自身に【怨念の青き炎】をまとい、高速移動と【カトラスからの青炎】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 冥鳥の羽ばたき
【飛び回る愛鳥ゼンタが青炎の羽】を降らせる事で、戦場全体が【生者を蝕む青き炎の海】と同じ環境に変化する。[生者を蝕む青き炎の海]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:爪尾
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
緋神・美麗
アドリブ歓迎
性懲りもなくまた鬼火が出てきたのね。まぁ、何度出てこようと潰すだけだけどね。しっかりきっちり完璧に潰すわよ。
POW
シールドビットを念動力で操作して骸玉の口を塞ぐように配置しオーラ防御も全力展開して炎を遮り、そのままシールドビットを指定UCの砲弾として撃ちだし骸玉を貫いて鬼火を攻撃する
「燃やせるものなら好きなだけ燃やしてみなさいな。まぁ、そんな悠長な時間をあげたりはしないんだけどね」
「ダッチマンは必ず潰すわよ。何度でも復活するっていうなら使う気力も起こらなくなる位何度でも滅ぼしてあげる。そっちの心がへし折れるまで何百何蝉何千何万回でも滅ぼしてみせるんだからね」
クネウス・ウィギンシティ
※アドリブ&絡み歓迎
「責務に準じますか」
【WIZ】
●UC対策&迷いなき心
「敵影感知、戦闘を開始します」
キャバリアに搭乗して出撃します。
敵UCによる生者を蝕む青き炎の海を生者では無い機体の装甲の【盾受け】頼りに踏み越え、環境に適応する狙いです。
「戦争を終結し、故郷の戦いに馳せ参じなければ」
迷いなく立ち止まることなく、敵へ一目散に突撃。
●UC
「CODE:DELIBERATE ATTACK。周辺構造物スキャン、掌握開始」
UCを発動し地面、岩、鉱石、島の周囲の無機物を砲台へと変換。
「全砲門、ターゲット: フライング・ダッチマン。ファイア!」
機体と砲台による一斉【砲撃】を放ちます。
栗花落・澪
敵の先制には
【高速詠唱】で水魔法と【呪詛耐性】を乗せた【オーラ防御】を纏い
【空中戦】で少しでも炎から距離を取り対策
念のため足元に【破魔】を宿した★花園をばら撒きながら
反撃の機会を狙って逃げ回る
賞金とかどうでもいいよ
狙いたい人は好きなだけ向かってくればいい
その程度で折れるような柔な覚悟で猟兵やってない
僕も救われた身だから
世界の美しさ
人の優しさ
笑顔も、愛も
僕の見てた世界は凄く狭いものだったって
人を信じる事は悪い事じゃないんだって
仲間達が教えてくれた
だから
怖くても
辛くても
僕はもう迷わない
今度は僕が返す番だ
破魔を乗せた光魔法の【属性攻撃】で
攻撃兼目眩しを
その隙に狙いを定め
追尾する【指定UC】で追撃
●迷いなき心
「責務ですか、ではこちらも責務に準じますか」
敵の発した責務という言葉を反芻し、クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)が乗り込んだクロムキャバリア【アルゲス】を起動する。
「敵影感知、戦闘を開始します」
レーダーに映った敵影を確認して、敵に向かうルートへと進み出す。
「おお、さっそく猟兵を発見したぞ! この不滅の体で仕留めてやろうぞ!」
丘から七大海嘯『鬼火』フライング・ダッチマンがキャバリアを駆るクネウスを見つけ、その身の青い炎を猛らせる。
「愛鳥ゼンタよ! その美しくも猛き翼で炎の海を描くのだ!」
呼びかけると肩に乗っていた青き炎の冥鳥が飛び立ち、青炎の羽を一面に降らせて炎の海を作り出した。その炎は生者を蝕む地獄の炎だった。
「生者を攻撃する炎なら、このアルゲスの装甲で耐えられるはずです」
クネウスは機体を止めずに前進させ、装甲の厚い部分でできるだけ炎を受けるように動く。炎は機体を焼かないが、生者だけが感じる熱は内部にまで達っして蒸し風呂のようにクネウスの体温を上げた。
「まるでサウナのような環境ですが、兵士は如何なる環境であっても適応するものです」
びっしりと顔に汗が流れる中、クネウスは熱に耐えて炎の海を踏み越える。
「派手に燃やしてるね」
降り注ぐ青い炎の雨を避けながら、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は水魔法に呪詛耐性を付与して身を守る膜を纏った。
「これで耐えてみせるよ」
ふわりと澪は空中に浮かび上がり、地上で燃える炎から離れ飛び回る。その足元には花が舞い飛び、花園がばら撒かれる。花は炎に燃やされていくが、少しは炎を湿気させて火勢を弱めた。
「賞金首になっている猟兵が何人も入り込んでいるではないか! ハンターに狙われるのが怖くないのか? やはり彼らは戦いに狂ったものなのだろうか?」
フライング・ダッチマンは手配されている顔が幾つもあると、そんな凶悪な猟兵がこちらの拠点にまで乗り込んでいる事に驚愕する。
「賞金とかどうでもいいよ。狙いたい人は好きなだけ向かってくればいい。その程度で折れるような柔な覚悟で猟兵やってない」
水の膜を破って生きる者を燃やす青い炎の熱にも負けず、傷付こうとも澪は空を舞い続ける。
「炎の海だけでは倒し切れないか! それならば次の手だ!」
フライング・ダッチマンは広がる青い炎に耐える猟兵達に、次の攻撃手段を用意しようと燃え盛る邪悪な魂の群れを呼び出した。
「性懲りもなくまた鬼火が出てきたのね。まぁ、何度出てこようと潰すだけだけどね。しっかりきっちり完璧に潰すわよ」
そんな敵に炎の薄い側から回り込んで向かう、緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)は【シールドビット】を念動力で浮かべた。
「回り込む猟兵がいたか。それならば先にこちらを狙うとしようか!」
フライング・ダッチマンは狙いを変えて美麗に向け、邪悪な魂の群れを固めた骸球を鎖に繋いで振り回し、速度を上げて放った。
高速で迫る骸球を美麗は浮かべたシールドビットで受け止める。骸球は幾つもある口から炎を放ってシールドビットや周囲を青い炎で燃え上がらせた。
「燃やせるものなら好きなだけ燃やしてみなさいな。まぁ、そんな悠長な時間をあげたりはしないんだけどね」
シールドで炎が直接当たるのを防ぎ、オーラを障壁にして周りに飛び散った炎からも身を守る。それでも皮膚を焼くような熱さが伝わり熱風に煽られるが、汗を流しながらも耐え凌いでユーベルコード『超巨大電磁砲』を発動する。
「ダッチマンは必ず潰すわよ。何度でも復活するっていうなら使う気力も起こらなくなる位何度でも滅ぼしてあげる。そっちの心がへし折れるまで何百何蝉何千何万回でも滅ぼしてみせるんだからね」
その迷いなき心が力となって表れるように、ビリビリと帯電した美麗がシールドビットを電磁加速して射出した。目の前に浮かんでいた骸球を粉砕し、勢いを衰えさせずにフライング・ダッチマンの元へと届く。
「うぉおおおっと!?」
慌てて躱そうとするが間に合わず、フライング・ダッチマンの左肩をふっ飛ばした。服が破れ中の青い炎が漏れ出て拡散する。
「んんー? 何だ? おかしいぞ、炎が蘇らない!?」
フライング・ダッチマンは首を傾げ、やられてもすぐに蘇る体が炎を少し弱めたことに疑問を覚える。しかし考えている間もなく、青い炎を猟兵が強引に突破しようとしていた。
「炎の海は乗り越えました。ここからは反撃です」
青い炎の海を突破したクネウスはキャバリアの速度を上げて接近する。
「戦争を終結し、故郷の戦いに馳せ参じなければ」
迷いなく前に前にと進む。その迷いなき心を以って不滅の炎に穴を穿つ。
「んん? 炎が……気のせいか?」
フライング・ダッチマンは自身の体から発する青い炎が揺らいで怪訝な顔をするが、気のせいかと視線を猟兵に戻した。
「CODE:DELIBERATE ATTACK。周辺構造物スキャン、掌握開始」
射線が通るとクネウスはユーベルコード『DELIBERATE ATTACK』を発動する。すると周囲の地面や岩が砲台へと変換されていく。その砲門群が一斉に敵へと向けられた。
「全砲門、ターゲット: フライング・ダッチマン。ファイア!」
キャバリアもロングライフルとガトリングキャノンを持って、砲台と共に一斉発射を開始する。
「おおっ! これは派手な砲撃だ!」
恐れもせずにフライング・ダッチマンは見物でもするように見上げて砲撃を浴びる。その体を構成する炎は幾ら滅びても何度でも復活する――はずだった。
「まただ! またわれの体が復活せずに減ったままだ!」
爆発によって吹き飛んだ炎が蘇らず、それどころか身体の炎が減っている。
「まさか……まさかまさか! 猟兵はこの不滅の炎を消す方法を見つけたというのか!!」
慌ててフライング・ダッチマンは炎で砲弾を迎撃し、爆破の範囲から逃げ出す。その背後で連続して爆発が起こり、押し出すような衝撃波を浴びて地面を転がった。
「ありえない! だが実際にこうして起こっている。猟兵とはここまで怖ろしい存在だったのか!」
這う這うの体で爆撃から逃れるフライング・ダッチマンの頭上に人影が舞い込む。見上げればそこには澪の姿があった。
「僕も救われた身だから――世界の美しさ、人の優しさ。笑顔も、愛も」
邪悪な炎にも負けぬ純粋で強き気持ちを澪が口にする。
「僕の見てた世界は凄く狭いものだったって、人を信じる事は悪い事じゃないんだって……仲間達が教えてくれた」
迷いなき心が不滅の悪しき炎を穿つ魂の刃となる。
「だから、怖くても、辛くても、僕はもう迷わない。今度は僕が返す番だ」
強き意思の宿る瞳で敵を見下ろし、指先を向けてユーベルコード『Orage de fleurs』を発動した。足元の花園が破魔の光りを宿して輝き、吹き荒れる風に乗って花嵐が巻き起こる。それに呑み込まれたフライング・ダッチマンの炎が吹き消されていく。
「消える? このわれの体が消えるというのか!? ありえない! この身は不滅の炎なのだぞ!」
フライング・ダッチマンが新たに作り出した鎖付き骸球を振り回して花を薙ぎ払う。そして猟兵から距離を取ろうと駆け出した。
「逃がさないわよ。復活できなくなるまで炎を全部吹っ飛ばしてあげる!」
美麗が【ライトニングセイバー】を振るい、雷が迸って骸球を弾き返し、返す刃で炎を薙いだ。
「これは逃げているのではない! お前たちの相手をするための準備を整えるだけのこと!」
言い訳しながらもフライング・ダッチマンは足を止めない。
「それを逃げてるって言うのよ!」
追いかけようとした美麗に、骸球の破片から炎が吹きつけられ、それを防ぐ為に足が止まる。
「いずれにせよ、そちらの思惑通りにはさせません」
クネウスはキャバリアの構えるロングライフルをしっかりと狙い、フライング・ダッチマンの右足を吹き飛ばした。
「足がっ?!」
「美しい世界を燃やす炎なんて、ここで消してしまうよ」
倒れたところへ澪が覆い尽くすように花を舞い散らす。燃えながらも次々と花が重なり青い炎が埋もれていく。
「無駄なこと! 愛鳥ゼンタよ! この場も炎に満たしてやるのだ!」
だがそこへ青い炎の鳥が戻り、降らせる炎で花を燃やすと、フライング・ダッチマンの足元にも広がり、生者を焼く炎はさまよう魂であるその身を逆に強化した。そして不滅すらも破る猟兵達の心を恐れるようにその場から逃げ出した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着
武器:白雪林
似た者同士なんですよね、彼とは。
だからこそ、相容れない。
先制攻撃への対処。ええ、『我ら』も死者で悪霊ですから、ここに適応しますよ。言い換えれば、生者への呪いですしね。
物理的攻撃には、四天霊障による三重属性(風、炎、重力)結界術+オーラ防御でいなします。
早業+制圧射撃つき二回攻撃。一の矢【四天境地・『雪』】、二の矢に破魔+水属性攻撃の矢を。
迷いがあれば、矢はぶれますからね。ぶれぬ矢こそ、迷わぬ証。
我らは、生きとし生けるものを守るために戦う悪霊なり。
故郷の二の舞、つくってなるものか。
上野・修介
※連携、アドリブ歓迎
己が得物は徒手格闘。
元よりやれることは多くはない。
故に
「俺のやることは変わらない」
――恐れず、迷わず、侮らず
――為すべきを定め、心は水鏡に
調息、脱力、敵を観据える。
敵の体格・得物・構え・視線・殺気から間合いとタイミングを量る。
「推して参る」
真っ向勝負。
持てる最速で真っすぐ突っ込む。
元より焼かれることは【覚悟】の上。
防御回避は最小限。炎を恐れず【勇気+激痛耐性】、最短距離を駆け間合いを殺す。
炎攻撃に対しては軌道を【見切り】廻し受け【戦闘知識+グラップル】で弾き散らす。
懐に飛び込む勢いをそのままに一撃。
そこからUCを用いて拳を密着させた状態から全関節を螺旋による勁を透す。
ビスマス・テルマール
●迷いなき心
故あって、なめろうも信念も
捨て掛けたけど
幼い頃恩師のなめろうに救われ
数々の絆と思い出に繋がり
今のわたしが居る
裏切られて、尚残った縁が
それを教えてくれた
だからもう迷いません
なめろうも、通りすがりのご当地ヒーローである事も捨てませんっ!
●POW(対策込み)
『空中戦&推力移動』で駆け『属性攻撃(デコイ)』込めた『範囲攻撃&一斉射撃&弾幕』張り『第六感』で攻撃を『見切り』『オーラ防御』込めた実体『残像』で回避し
『早業』でUC攻撃力重視発動
【ハワイアンなめろうキック用ビスマスブレード】に『怪力&水中戦&水中機動&水上歩行&ダッシュ』接近
ハワイアンなめろうキックを
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
●燃え上がる青き炎
「このわれが、不滅の鬼火たるわれが退くようなことになるとは……!」
いまだに混乱するフライング・ダッチマンは、己が身を見下ろしやはり炎が蘇ってこないことを確認した。
「駄目だ。炎が戻らない。今日がわれが眠りに就く日だというのか……?」
フライング・ダッチマンが肩を見上げると、じっと見つめる愛鳥ゼンタの姿があった。
「そうか……ならばこの身が世界から消えるまで、われらが責務を果たしてみせようぞ!」
覚悟を決め、フライング・ダッチマンは一人でも多くの猟兵を倒そうと青き炎で傷ついた体を一時的に塞いで待ち構える。そこへ新たな猟兵が姿を現した。
「来たな。愛鳥ゼンタよ! この地上を地獄の炎で満たすのだ!」
愛鳥ゼンタが羽ばたいて空に舞うと、青炎の羽が雨のように降り始めた。
「似た者同士なんですよね、彼とは」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は自らを構成する四つの悪霊の内の一つ、第二『静かなる者』霊力使いの武士が表に出て敵の元に向かっていた。
「だからこそ、相容れない」
似ているからこそ同じ場に二つはいられないと、義透は降り注ぐ青い炎の中に足を踏み入れる。
「生者を燃やす炎ですか」
燃え盛る炎の中だというのに涼しい顔で義透は真っ直ぐ敵に向かう。
「何故お前はわれらの仕掛けた炎の海を平気で歩いていられるのだ? ……まさかお前も!」
その様子を見ていたフライング・ダッチマンが首を傾げ、そして正解に思い至る。
「ええ、『我ら』も死者で悪霊ですから、ここに適応しますよ。言い換えれば、生者への呪いですしね」
悪霊である義透は、生者を燃やす青い炎から蝕まれず、それどころかその炎の力を浴びて力が湧き上がり、身体が活性化されていた。
「これは拙い! 距離を置いて違う攻撃方法で――」
「逃しません。既にそこは私の射程範囲です」
白い雪のような長弓【白雪林】を引いた義透は、ユーベルコード『四天境地・雪』を使い冷気纏う矢を放つ。放たれた矢は空中で分裂し、地面に当たったものは炎を消し、逃げる敵に届いた矢は背中や脚に突き刺さる。すると時が止まったようにフライング・ダッチマンが凍り付いて動きを止めた。そこに二の矢を放ち、止まった敵の頭部を射抜いた。
「迷いがあれば、矢はぶれますからね。ぶれぬ矢こそ、迷わぬ証」
狙い通りに的中して、義透は残心して敵の様子を窺う。
「寒い! われらの炎が消えてしまう! もっともっと炎が必要だ!」
頭を射抜かれながらも炎の塊であるフライング・ダッチマンは即死せずに穴を開けたまま動き出し、鎖付き骸球を振り回して、その骸球の幾つもある口から漏れ出る炎が辺りを炎上させていった。
「故あって、なめろうも信念も捨て掛けたけど」
ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は過去の出来事を思い出す。
「幼い頃恩師のなめろうに救われ、数々の絆と思い出に繋がり今のわたしが居る」
数々の思い出は辛いことも楽しいこともあった。その絆は過去から今へと繋がっている。
「裏切られて、尚残った縁がそれを教えてくれた」
良い事ばかりでもないし悪い事ばかりでもない。だからこそ本当に大切なものが何かが分かったのだ。
「だからもう迷いません。なめろうも、通りすがりのご当地ヒーローである事も捨てませんっ!」
迷いを乗り越え、ビスマスは強き意思を胸に宿して燃え上がる炎に立ち向かう。
「ご当地ヒーローを炎程度では止められませんっ!」
炎の海に向かって駆け出し、勢いをつけて跳躍するとなめろうエネルギーを放出して空を舞う。
「空なら安全と思ったか! 撃ち落としてやるぞ!」
フライング・ダッチマンが振り回す骸球を上へ放り投げ、邪悪な魂がビスマスに襲い掛かる。
「そして悪には負けませんっ!」
ビスマスは属性弾を拡散させて発射して弾幕を張る。弾は途中で爆発し、視界を遮ってこちらへの命中率を下げる。
「見えなくなったのなら、全部燃やせばいいだけだ!」
骸球が回転して青い炎が空中で螺旋に放射され、ビスマスに強烈な熱が届く。それをオーラで防ぐが強烈な熱風が伝わり態勢を崩した。
「われの炎で燃え尽きてしまえ!」
フライング・ダッチマンはさらに骸球を回転させて炎を撒き散らす。
「誰が相手であろうと――不滅の存在であろうとも、俺のやることは変わらない」
常と変わらぬ平常心を以って上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は灼熱のような炎の海の中に踏み込む。
――恐れず、迷わず、侮らず
――為すべきを定め、心は水鏡に
足元の炎など気にせず、その目はじっと敵を捉える。そして息を整え無駄な力を抜く――敵の間合いまであと一歩。
「推して参る」
地を蹴り一気に駆け出す。最速で以って最短距離を突き進む。
「真っ直ぐ飛び込むなど、死にたいといっているようなものだぞ!」
フライング・ダッチマンが手元に戻した燃える骸球を遠心力で勢いをつけて放つ。修介は踏み込みながら最低限の動きで上体を反らし躱そうとするが、骸球が左肩に掠めて衝撃が走り炎が移る。他にも身体のあちこちに撒き散らされる炎が飛び火した。
「元より焼かれることは覚悟の上」
熱さと焼ける激痛が襲う。それでも炎を恐れずに修介は前に駆け続け、間合いを縮める。
「炎に燃やされているのに何故止まらない!? 猟兵は死を恐れないというのか!」
フライング・ダッチマンは骸球を戻してもう一度叩き込もうとするが、それよりも速く修介は懐に飛び込んだ。
「戦うと決めたなら、迷いはない」
修介の右拳が胸に打ち込まれ、ユーベルコード『――崩す』へと移行する。足元の火が吹き飛ぶほど強く踏みしめ、そこから返る力を脚から全身に螺旋となって勁が練られる。最大まで高まった勁が右の拳を透って敵の身体に伝わり、全身を構成する青い炎がボンッと爆発した。
「こんなっ! われが拳如きの一撃でダメージを負うとは!!」
爆発の衝撃で吹き飛びながらフライング・ダッチマンは、自らの体が負ったダメージが思ったよりも大きい事に驚く。
「しかし、まだ消えていないのならば戦えるとも! われらの地獄の炎を味わえ!」
ふわりと着地したフライング・ダッチマンが弱まっていた青い炎を猛らせる。その炎は全てを焼き尽くさんと周囲に広がった。
「我らは、生きとし生けるものを守るために戦う悪霊なり。故郷の二の舞、つくってなるものか」
その燃えがる炎に対し、義透が【四天霊障】による風・炎・重力の三重結界を張って、守ろうとする強き意志が灼熱の炎を防ぎ耐え凌ぐ。
「これがわたしの信念。絆の力ですっ!!」
態勢を立て直したビスマスはユーベルコード『ナメロード・オーマグロ』によって【ハワイアンなめろうキック用ビスマスブレード】を強化し、急接近してハワイアンなめろうキックを浴びせた。頭に直撃を受けたフライング・ダッチマンの頭部が吹き飛ぶが、炎が戻って勢いを弱めながらもまた頭となった。
「危ないところだった。気を抜けば炎が消えてしまう。炎の海で強化しなくては――」
フライング・ダッチマンは気をしっかりと保ち、炎を強めんと内にあるエネルギーを高めて放出する。
「消えぬなら、炎が消えるまで拳を打ち込むだけだ」
そこへ修介が突っ込み、結界によって軽減された炎を浴びながら拳を叩き込む。澄みきった心の一撃は、不滅の炎であろうとも吹き消す突風となる。
「われはまだ責務を果たしておらぬ! せめて猟兵のいくらかは共に連れていかねば申し訳が立たぬ!」
己が存在を留めんと、フライング・ダッチマンはその身を激しく燃やし、修介の腕を焼いて後方へ吹き飛ばす。
「ぐっうぅっ……まさかこの不滅の体の維持が難しくなるとは……だがこの身が消える前に、猟兵よ! 道連れになってもらう! 愛鳥ゼンタよ!」
炎が戻らず一回り細くなったフライング・ダッチマンは、愛鳥ゼンタに掴まり飛び上がり、空から己が命を削るように青き炎を地上に落とした。大きな炎の塊が広範囲に爆発を起こした。
「もうこの世界で誰も犠牲は出させん」
仲間の前に出た義透が結界に全ての力を込めて迫る爆炎を受け止めた。
やがて炎が収まると辺りは猟兵達の立つ場所以外は焼け野原となり、フライング・ダッチマンはふらふらと飛びながら離れた位置へと着地して、残りの命を燃やすように最後の戦いの準備を整えていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
リーヴァルディ・カーライル
"…人類に今一度の繁栄を。そしてこの世界に救済を…"
…それが私が彼女達から受け継いだ闇を祓う誓い
そして今もこの胸に宿る光を生きる楔よ
心の中で救世の祈りを捧げ真の姿化して"聖霊鎧装"を身に纏い、
敵UCの青炎を浄化のオーラで防御して受け流しUC発動
…世界は違えど救世の祈りに変わりは無い
お前を討ち果たし、この世界を救済する
それが私の…"私達"全員の迷い無き意志と知れ
敵UCの補助を受けた黒騎士霊を大鎌に降霊し、
周囲の青炎を取り込み黒炎の魔力を溜め武器改造
極限まで切断力を強化した騎士剣を錬成し、
限界突破した剣閃をなぎ払い敵を切断する
…この一撃を手向けとする。呪われし航海者よ。眠りなさい、安らかに…
ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ
【アドリブ歓迎】POW
鬼火で料理したら美味しそうだね♪
その鬼火、頂戴☆
事前に「肉体改造」で耐火性と断熱性、防刃性、捕食能力を獲得・強化!
「敵を料理する」迷いなき心を魅せるよ!
敵のUCの骸球を『お肉へっど(たん)』でパクっと「捕食」!「オーラ防御」もして万全!
捕食したら【選択UC】で食べたUCをどばーっと吐き出して「カウンター」!
炎が消去されても、骸球がぶつかる衝撃は防げないよね!
ついでにそのまま『鬼火』に圧し掛かって食べちゃえ♪
UCを食べた時に『鬼火』の力の一部を取り込んでしまおう!
今後役に立つかもしれないし!料理とかで!
勝利の暁には、幽霊肉を鬼火で焼いて「宴会」だよ☆
ナイ・デス
全ての王笏島を、発見しました
あなた達は、強いです。それでも
「迷いなき心」
勝利するのは、私達、です……!
目で追えない高速移動も【第六感】で知覚して
僅かでも【見切り】回避、無理でも反応して黒剣で防御
【激痛耐性、継戦能力】両断されても【念動力】で繋げ動かす。そのうち再生してくっつく傷。痛みは【覚悟】でねじ伏せて
【浄化オーラ防御】怨念の青き炎は、聖なる光で防ぎ散らしながら
隙を探す
本拠地を見つけることが、できたように
必ず、見つける。見つけだす
迷いなき心は光となって【目潰し】強く輝き【生命力吸収】
その光を【推力】に大地【怪力で踏みつけダッシュ】
『瞬断撃』
【限界突破】の輝きで、一部真の姿
【鎧無視切断】の一撃
霧島・絶奈
◆心情
愉しみましょう
◆行動
先制攻撃対策として【環境耐性】と【火炎耐性】を高めた【オーラ防御】を展開
更に【空中浮遊】で炎の海に触れない様にしましょう
さて、「迷いなき心」でしたか?
私にとって其れは強敵との『逢瀬』を愉しむ事に他なりません
貴方が永遠に黄泉返り続ける限り、私の心もまた揺らぐ事無く貴方との闘争を求めるでしょう
終わりなき闘争の宴、ヴァルハラの様に…
『涅槃寂静』にて「死」属性の「濃霧」を行使し【範囲攻撃】
更に【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
序に【罠使い】として持ち込んだ「サーモバリック爆薬」も【衝撃波】で投射
負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
●消える鬼火
「もう時間が残されていないようだ……愛鳥ゼンタよ! 最後に共に燃え尽きようぞ!」
ゆらゆらと不安定に揺らめく自らの体を見下ろしたフライング・ダッチマンは、残りの魂を燃やし青き炎を猛らせた。
「偉大なる王カルロスの元へは向かわせん!」
左手にカトラスを構えて猟兵へと駆け出した。
「全ての王笏島を、発見しました。あなた達は、強いです。それでも」
迫る青き炎を前にしてもナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は怯まずに迷いなき心を胸に前を向く。
「――勝利するのは、私達、です……!」
そして視界から青い炎が消えた瞬間、ナイは第六感で背後に気配を感じ取り、自ら前に身を投げ出して地面を転がった。それと同時に先ほどまで首の在った場所を青き炎纏う刃が横薙ぎに通り過ぎていた。
「今の一撃を躱したか、勘のいいやつだ! だがこの斬撃をいつまで躱し続けられるかな!」
フライング・ダッチマンは高速移動によって右に左にと目にも留まらぬ速度で移動し斬撃を浴びせる。
「いつまででも、あなたを、倒すまで、凌いでみせます!」
ナイは籠手から黒剣を出して攻撃を受け止める。しかし敵の攻撃はスピードを上げてナイの体を傷つけ始める。やがて態勢が崩れたところへフライング・ダッチマンがガードする腕を弾き、隙を見せた頭頂部から一刀両断に斬り捨てた。
「フハハハハッ! 威勢がいいのは口だけだったようだな!」
これで一人仕留めたとフライング・ダッチマンが呵呵とばかり笑う。
「いいえ、まだ、終わってない、です……!」
仮初の肉体が壊されてもナイは念動力で体を繋げて動かし、黒剣を敵の胸を狙い突き入れた。
「なにぃ!?」
驚き慄いたフライング・ダッチマンは、慌てて攻撃を剣で弾き上げ後退する。
「今の一撃で死なないとは、お前も人ではないのか! ならば燃え尽きてしまえ!」
フライング・ダッチマンはカトラスを振るって青い炎を放射し、ナイを包み込んで全身を燃やした。
「鬼火で料理したら美味しそうだね♪ その鬼火、頂戴☆」
その燃え盛るフライング・ダッチマンの青い炎を見て、ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(ハラペコかわいいコックさん(可食・高栄養・美味)・f31483)は美味しそうだとご馳走を狙う目になって、肉体改造を施した熱耐性を持つ体で近づく。
「欲しいならたっぷり喰らわせてやるとも!」
フライング・ダッチマンが右手に持った鎖付き骸球を振り回して、ラヴィラヴァに向けて投擲した。
「いただきまーす♪」
ラヴィラヴァはゲル状のクジラの頭型の肉塊【ぶよぶよお肉へっど(たん)】で骸球をキャッチし、そのままパクッと丸呑みするように体内に捕食した。
「は? ……まさか骸球を食べたというのか? 悪食にもほどがある!」
その様子にフライング・ダッチマンは大きく口を開けて唖然としていた。
「んー☆ 中で動いてるのは新鮮な証だね♪」
ラヴィラヴァの身体の中では骸球が炎を吐いて、内から焼き尽くそうとしている。それにラヴィラヴァはオーラの膜を作って耐え、口から煙を吐く程度で済ませていた。
「強がっておられるのも今のうちだ! 骸球は延々と炎を撒き散らし続ける。やがて内から焼かれて燃え上がるがいい!」
フライング・ダッチマンはまだ繋がる鎖から、骸球へと邪悪な魂を送り込み続ける。
「そんなにご馳走してもらったらこっちもお返ししないとね♪ 次はおいらが料理をご馳走するね! たぁんとお食べー♪」
体内を焼かれようとも迷いない心で料理を楽しむラヴィラヴァがユーベルコード『恐ろしく肉肉しい黒穴』を発動し、クジラの頭型からコピーした骸球をどばーっと吐き出した。
「な、なにごとかー!?」
撒き散らされる炎を払っても、骸球の直撃を食らいフライング・ダッチマンが吹き飛ぶ。
「美味しそうな『鬼火』もいただきまーす♪」
そこへラヴィラヴァが飛び込むが、捕食する寸前に愛鳥ゼンタが割り込みフライング・ダッチマンの体を掻っ攫っていった。
「おお! 愛鳥ゼンタよ! 助かったぞ!」
フライング・ダッチマンが着地すると、愛鳥ゼンタは空を旋回し、燃える羽を降らせて周囲を青い炎で包み込む。
「此の世のものとは思えぬ光景ですね。其の魂が還るまで燃えるような闘争を愉しみましょう」
景色を眺めた霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は、耐性を高めたオーラを球状に展開すると、ふわりと浮いて炎の海の上を通る。
「さて、『迷いなき心』でしたか?」
不滅の炎を消すのは揺るぎない強き意思の力。
「私にとって其れは強敵との『逢瀬』を愉しむ事に他なりません」
それは絶奈にとっては闘争の中にあるものだった。
「貴方が永遠に黄泉返り続ける限り、私の心もまた揺らぐ事無く貴方との闘争を求めるでしょう」
落ちて来る炎の羽を剣と槍で払い、絶奈は敵へと鋭い殺気を飛ばす。
「終わりなき闘争の宴、ヴァルハラの様に……」
空中で舞うようにして絶奈は降り注ぐ炎の羽を薙ぎ払い、フライング・ダッチマンへの道を開いた。
「それほど闘争が好きならば、存分に味わうがいい! 命を蝕む炎を!」
フライング・ダッチマンが燃える腕を上げ、愛鳥ゼンタを乗せる。そして自らの炎を削り託して飛翔させた。羽ばたくごとに巻き起こる青き炎の嵐が絶奈を呑み込み、オーラごと燃やさんと高く伸びた炎の柱に閉じ込めた。
……人類に今一度の繁栄を。そしてこの世界に救済を……。
「……それが私が彼女達から受け継いだ闇を祓う誓い。そして今もこの胸に宿る光を生きる楔よ」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は心の中で救世の祈りを捧げ、真の姿となって聖なる鎧【聖霊鎧装】を纏う。
「そんな鎧を着たところで、愛鳥ゼンタの炎は防げまい!」
フライング・ダッチマンが愛鳥ゼンタを見上げると、空から逃げ場のない炎が降り注ぎ、鎧から発する浄化のオーラで生者を燃やす炎を受け止める。炎はオーラを侵食し鎧の上からでも皮膚を焼く。だがその苦痛に声ひとつあげずに耐え、前に足を踏み出す。
「……世界は違えど救世の祈りに変わりは無い。お前を討ち果たし、この世界を救済する」
ユーベルコード『限定解放・血の騎士団』が発動し、周囲が矢や剣が突き刺さった古戦場へと姿を変える。そこには折れた黒剣や砕けた黒炎の鎧で武装した呪われし黒騎士の霊で構成された騎士団がいた。死者である騎士達は青い炎を受けてその身の黒炎を猛らせて活性化していく。
「それが私の……"私達"全員の迷い無き意志と知れ」
リーヴァルディがグリムリーパー【過去を刻むもの】を手にすると、黒騎士達がその姿を薄め、鬼火のようになると次々と大鎌に降霊していく。青と黒の炎を纏った大鎌が鋭い刃を持つ騎士剣へと姿を変える。その刃を横薙ぎに振るい、放たれる剣閃が辺りの青い炎を吹き飛ばし、まだ距離のある敵の元まで届く。
「ぬああっ! われの炎が!!」
フライング・ダッチマンは避けようとしたが躱し損ね、刃が脇腹を抉って炎を散らす。
「愛鳥ゼンタよ、猟兵達をわれらの炎で覆い尽くすのだ!」
後退しながらフライング・ダッチマンは猟兵を近づかせまいと、周囲を青き炎の海に変え自身の能力を強化する。
「これだけ鬼火があったら幽霊肉の焼肉がやりたい放題だね♪」
その炎の中を焼けるのも構わずにラヴィラヴァが突っ込み、フライング・ダッチマンを捕食しようと圧し掛かった。
「うおおおおっ!?」
フライング・ダッチマンは慌てて飛び退くが、そのぶよぶよした大きなクジラの頭に左脚を食い千切られていた。
「あつあつで美味しー☆」
その鬼火をラヴィラヴァは自らの中に取り込む。
「われの炎の足を喰らうとは、化物め!」
フライング・ダッチマンはカトラスを振るい、青い炎の波を放ってラヴィラヴァを焼きながら押し流した。
「冷たく燃え上がるような炎ですね。存分に味わわせてもらいました。では次は此方が返礼する番です」
炎の柱から抜け出た絶奈はユーベルコード『涅槃寂静』を発動し、森羅万象の理に干渉し、死を宿す濃霧を生み出した。濃霧は湿気によって炎の勢いを弱くしていく。
「貴方にも炎の熱にも負けない闘争の熱さを感じてもらいましょう」
絶奈はサーモバリック爆薬を衝撃波で飛ばし、敵の周囲で爆発を起こす。
「炎の化身たるわれにそのようなものは効かんぞ!」
フライング・ダッチマンは炎を切り払い、絶奈に向けて青い炎の斬撃を飛ばす。
「しかし視界を乱す事には成功しているようです」
濃霧と爆煙によって絶奈を狙った斬撃は逸れて空を切り、絶奈は容易く身を隠して敵を牽制する。
「どこだ! そこか!」
フライング・ダッチマンは逃げ回る絶奈を追って、カトラスと骸球で連続攻撃を仕掛け続ける。
「本拠地を見つけることが、できたように、必ず、見つける。見つけだす……」
霧によって少し弱まった炎の中、全身を燃やされようとも聖なる光を纏ってじっと炎に耐え、ナイは敵の隙を見つけようと目を凝らす。その迷いなき心は光となって放たれ、鬼火を退けるように圧した。
「なんの光だ!?」
意識を絶奈に向けていたフライング・ダッチマンは不意を突く輝きを受け、腕で顔を覆うように光を遮る。
「見つけました、そこです……!」
その大きな隙に光を推力に変えて飛ぶように駆け出し、ユーベルコード『瞬断撃』を発動して、ナイは自身を一部真の姿に変え、光のように黒剣を一閃した。刃はフライング・ダッチマンの体を上下に断ち切った。
「ぐわああああっ!! われの体が切られ!? 拙い、炎が消えてしまう!」
フライング・ダッチマンは切断面から漏れ飛ぶ炎を塞ぐように、下半身を手に持って繋げようとする。
「……この一撃を手向けとする。呪われし航海者よ。眠りなさい、安らかに……」
その正面に飛び込んだリーヴァルディが上段に構えた騎士剣を振り下ろし、祈りの籠められた一刀は青き鬼火を両断した。
「ぐっがあああああああっ!!」
縦にも真っ二つになったフライング・ダッチマンがよろめく。しかしその炎でできた体は合わさり一つの大きな炎になろうとする。
「如何やら闘争の宴はもう終わりのようです。此の一撃に私の炎のように燃える心を籠めましょう」
絶奈が手にした槍を投擲する。真っ直ぐ飛んだ槍は敵の縦横に切断された中心部を穿つ。くっつこうとしていた体が糸を断たれたようにバラバラに解け、鬼火は散り散りになって小さな炎になって消え始めた。そこへ愛鳥ゼンタが戻り、共に存在を薄くしていく。
「ああ、愛鳥ゼンタよ、ここで共に眠ろうぞ………」
鬼火は小さくなりふっと煙のように無くなり、辺り一面を海のように覆っていた青い炎は、跡形もなく幻のように消え去った。
「……これでもう目覚めることはないでしょう」
リーヴァルディは消える鬼火に冥福を祈り、もう彷徨える魂が現れない事を願った。
「勝ったね♪ それじゃあ『宴会』だよ☆」
ご機嫌にラヴィラヴァは勝利を祝って食材を鬼火で焼いて食べ始めた。
「私達の勝ち、です。でも……」
ナイは強敵を打ち破り安堵する間もなく、次の戦いへと思いを馳せた。
「まだ王笏島の攻略は、終わっていません」
残りの王笏島を攻略しなくてはまだ安心はできないと、勝っても油断せずに最後まで気を緩めない。
「その通りですね。まだ戦争が終わった訳ではありません。王笏を討つまで手を緩めずに行きましょう」
その言葉に絶奈も頷き、最後までこの勢いを保とうと残りの戦場へと意識を向ける。
不滅の鬼火を迷いなき心で消滅させた猟兵達は、その邪悪を断つ強き意思を胸に、次の戦いへと向かった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵