羅針盤戦争〜咲き誇る甘い薔薇の終わりに
●桜花島
嗚呼、とメロディア・グリードは配下の報告を聞いて思う。
とうとうこの島へ猟兵がやってくるのだと。
「ならば私の全てを以てして、猟兵をここで食い止めてみせましょう」
そうでなければ、あの男が猟兵に倒されてしまうかもしれないのだから。
嗚呼、でも、これは飽くまでも利害関係。
あの男には、グリモアを得て、大天使の肉を探して貰わねば成らぬのです。
あの男を想っての事では無い。だから、命を賭しても問題は無いのです……。
「だから、この命を賭して」
お前たちの一切合切を殺しましょう、鏖殺いたしましょう。
「増殖する私の残滓達で――」
お前たちの命を散らしましょう、竜王たる私を娶い姫君とした、あの男を生かす為に。
●グリモアベースにて
皆の力によって、新たな島が発見されたと、深山・鴇(黒花鳥・f22925)が集まった猟兵へと告げる。
「島の名は桜花島、名の通り桜の咲き誇る美しい島だ」
そしてその島を支配しているのは、先日から海をチョコレートに変えて己の分身によって猟兵達を襲っていた七大海嘯『桜花』にして、カルロス・グリードの妻であるメロディア・グリード。
「お前さん方にはこの島に向かってもらいたい」
そして、メロディア・グリードを討つのだ。
「ただ、厄介なことが一つある。メロディアは無限再生能力により『死なない』という特性を持っているってことだ」
けれど、攻撃は通る。勝機はそこにあると鴇が話を続ける。
「メロディアの攻撃を躱し、お前さん方が得意とするやり方でメロディアを――」
殺し続けること。
そこに容赦などなく、悼む心もなく。
「相手もこっちを殺すつもり……いや、殺す気で向かってくるからな」
少しでも手を緩めれば、メロディアはその隙をついて再生能力を高めてしまうだろう。その上、「増殖する私の残滓達」の大群を放ってくるとなれば、慢心は敗北を招く結果にしかなり得ない。
「途切れることなく、メロディアに攻撃されても瞬時に対処し、再生が途絶えるまで殺し尽くせ。覚悟を以て向かってくるメロディアに、己の覚悟を示すんだ」
それだけが、かの姫君に勝つ方法だと鴇が頷く。
「強い覚悟を見せれば、それは彼女の隙になる。尽きぬ命を持つ者だからこそ、命の煌きに惑うだろうさ」
それじゃあ後は頼んだと、鴇が猟兵達を送り出す為に道を開いた。
波多蜜花
閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
桜花島にてメロディア・グリード戦をお送りいたします。難易度はやや高めです、十分に策を練ってくださいませ。
恐らくシリアス寄りですが、コメディ寄りなプレイングがくればコメディ寄りのリプレイをお返ししますので、思う様なプレイングをどうぞ!
●受付期間について
公開後、すぐに受付開始致します。
今回は早期完結を目指しておりますので締切が早いです、公開日当日の夜23:59までは最低でも受付け予定ですが、もし予想よりも多いプレイングをいただけた時は、大成功となったプレイングからの採用&受付を締め切らせていただき、書けるだけの採用といたします。
受付の締め切りはタグでご確認いただけると幸いです。
●今回のシナリオについて
このシナリオは戦争シナリオです、この章のみで完結いたします。
OPにあります通り、連続でUCを使用し無限に増えるメロディアを倒すこと。戦う事への覚悟や、生きる覚悟、ご一緒する方がいらっしゃればその方との覚悟などをメロディアにぶつけると相手に隙ができますので、より倒しやすくなるでしょう(どのような覚悟でも構いません)
心情半分、戦闘半分くらいのプレイングだといいかもしれません。
●プレイングボーナス
敵の先制攻撃ユーベルコードを対処した後、殺して殺して殺しまくる。
強い覚悟を見せる(こちらのボーナスはこのシナリオのみに限ります)
●同行者がいる場合について
今回に限り、同行者様の数は二名様までといたします。
プレイングの最初に、互いのお名前を記載してください。
プレイングの送信日を統一してください、送信日が同じであれば送信時刻は問いません。
未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反するプレイングなどは一律不採用となりますのでご理解よろしくお願いいたします。
それでは、皆さまの覚悟が詰まったプレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『七大海嘯『桜花』メロディア・グリード』
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POW : スイート・フュージョン
【残滓達(スイート・メロディア)】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[残滓達(スイート・メロディア)]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : スイート・レイン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【肉体】から【スイーツで出来た分身の群れ】を放つ。
WIZ : スイート・パフューム
【甘いスイーツの香り】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
イラスト:hina
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ニィエン・バハムート
・先制対策
全身のメガリスから放つ【衝撃波】で香りを散らし、以降の香りは【オーラ防御】で遮断。同時に電撃【属性攻撃】とガントレットで自分の肉を切り裂く2種の自傷ダメージで意識を覚醒。痛みは【激痛耐性】で耐える。
先制対処後はUCを発動し雷を纏った何か数百体による【マヒ攻撃】【捕食】による波状攻撃で【蹂躙】。私自身も何かたちの攻撃を少しでも長続きさせるためにメロディアに【部位破壊】【グラップル】などで攻撃を仕掛けます。香りには先制対処と同様の対処。
私にはバハムートの名を真なる竜王へと押し上げる野望がありますわ!
自分の願い1つ、言い訳混じりでしか行動できない姫君なんかに!
竜王は絶対に負けないのですわ!
●龍王になる為の覚悟
甘ったるい香りの中、ぽこぽこと湧き出るかのように現れる――それこそ無数と表現しても差し支えないスイート・メロディア達を前にして、ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)は己の欠損を覆う全身のメガリスから衝撃波を放つ。
脆い硝子細工のように、チョコレートや飴でできたスイート・メロディア達が瞬く間に崩れ去っていくのを眺めながら、ニィエンはまた纏わりつくような甘い香りを振り払うように全身から闘気を発してそれらを遮断した。
「チョコレートの香りは嫌いじゃありませんが、ここまでくると鼻に付きますわ」
甘い甘い、頭の芯を痺れさせる様な香りに柳眉を顰めながら、己の意識を鈍らせようとするそれをガントレットの爪で肉身を切り裂いて耐える。
それでも遠のきそうになれば、雷撃をその身に流して意識を保ち、襲い来るスイート・メロディアに向けて即座にニィエンが得意とするナマズ流鮫魔術の奥義を展開する。
「現れよ! 雷纏いし竜王の眷属! サンダー・バハムート・レギオン!」
ニィエンの喚び掛けに応じ、彼女がドラゴンと定義するそれら――雷を纏った鯰みたいな鮫みたいな何かが、ニィエンの力に応じた数……960体ものそれらが、雷を纏いながら幾何学模様を描き飛翔し、スイート・メロディアを蹂躙していく。
その力はぽこぽこと際限なく湧き出るメロディア・グリードの残滓の数を減らし、メロディア本体へとニィエンを導いた。
「私には、バハムートの名を真なる竜王へと押し上げる野望がありますわ!」
ニィエンのその叫びに、メロディアがニィエンを見た。
己の残滓を破壊し、己に迫らんとする、ニィエンを。
「自分の願いひとつ、言い訳混じりでしか行動できない姫君なんかに! 竜王は絶対に負けないのですわ!」
そして、小さく肩を揺らした姫君はその一瞬だけ動きを止めて。
「私の、望みは」
そう呟いた彼女の胸をニィエンの爪先が抉る。
甘い甘い、甘い香りが弾けて。
死んで、生き返って。
メロディアは考える、ニィエンの言葉を。彼女の攻撃が己を滅ぼすまで、考え続けて――。
大成功
🔵🔵🔵
ビスマス・テルマール
◎
俗に言うツンデレと言う属性
でしょうか?意地らしいですし
おまけにチョコレート使い
な所を見ると親近感は湧きますが…
●POW(対策込み)
『オーラ防御&激痛耐性』で備え
『先制攻撃』で『空中戦&推力移動』で敵の攻撃を『第六感』で『見切り』『残像』で回避しながら『制圧射撃』を取り巻きの残滓達に蒔きつつ
メロディアの上空まで
『属性攻撃(重力)&誘導弾』の『範囲攻撃』の『一斉射撃』を残滓達と本体を分断する様
撃ち『早業』UC発動
残滓達と本体の間に割り入り
残滓達ごと【なめろうフォースセイバー】で『範囲攻撃』を『怪力&衝撃波&属性攻撃(炎)』込めふるい『継続戦&限界突破』で本体を味方と連携しつつ『切り込み』続けます
セシル・バーナード
こんにちは、竜の姫君。チョコレートはこの前一杯もらって飽きてきたところなんだ。だから、きみで締めにするよ。
強い覚悟か。娶ったお嫁さん達を必ず幸せにしてみせるってところかな。
カルロス・グリードのように、こうして敵の前には絶対出させない。
甘いスイーツの香りね。でも対策は万全だよ。
スペースシップワールドで使われる、極薄の宇宙服を着てきたんだ。絶対零度の真空からすら着用者を守る代物だ。スイーツの香りくらい、遮断するのはわけはない。
じゃあ、討滅を始めよう。「範囲攻撃」「全力魔法」の雷球乱舞。
雷霆珠の一撃で、残滓共は砕けるはずだ。適度に周囲の残滓共を排除しつつ、本体に雷霆珠の集中攻撃を叩き込むよ。
●誰かを幸せにする覚悟
これはまた、強いチョコレートの香りだとセシル・バーナード(セイレーン・f01207)が小さく笑う。
「チョコレートはこの前一杯もらって飽きてきたところなんだ」
バレンタインデーのチョコレートはご存じかな?竜の姫君、とセシルが問い掛けながら、己に向かってくるスイート・メロディアを次々に叩き潰す。
「チョコレートの海も、ここへ来るまでに散々見ましたから」
ええ、チョコレートに飽きる……とまではいきませんが、少々食傷気味といったろころですか? と、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)がメロディア・グリードの形を模したようなチョコレートと飴で形作られたスイート・メロディアを壊していく。
「あの方、俗に言うツンデレと言う属性でしょうか? 意地らしいですし」
「意地らしい……そうだね、意地らしい姫君ではあるかな」
思わず呟いたビスマスの言葉に、たまたま隣り合ったセシルがそう頷いた。
「おまけにチョコレート使いなのですよね」
「チョコレート使い……なのかな?」
チョコレートの他にも飴とか、甘いスイーツ全般のような気もするけれど。
「そう思うと、親近感は沸きますが……」
親近感? と、首を傾げながらセシルが押し寄せるスイート・メロディアをまるでシャボン玉を壊すかのように倒す。
「はい、わたしはなめろう使いなので」
「なめろう使い」
はい、と丁寧にビスマス結晶型クリスタリアンの少女が頷く。
頷かれた方としては、その、とても反応に困るのだけれど、セシルは女性には紳士な性質なのでそこは曖昧に笑ってみせた。一緒にされた方は困るんじゃないかな、とは思ったけれど。
「でも、負けるわけにはいきませんので」
先陣を切らせていただきます、と途切れることの無いチョコレートと飴で出来たメロディアの残滓に向かいビスマスが飛ぶ。
「いってらっしゃい」
セシルに見送られながらビスマスが空に舞い上がり、その身を覆う機械鎧の推力によってメロディア・グリードを目指すように進む。もちろん、無限に増える残滓を制圧するべく、弾丸を撒きつつの進軍だ。
「制圧した傍からの増殖、メロディアはあちらですか」
それでも、空中にいる己に手を伸ばそうとする残滓を無視するわけにもいかない。何せ腕の一振りで壊れるようなものであっても、その力はオリジナルと同じもの。倒さずに進もうとすれば、逆にこちらが倒されてしまう。空を飛んだまま、ビスマスは只管に増殖する残滓を吹き飛ばしては前へと進んでいく。
「さて、ぼくは陸から行こうとしようか」
ビスマスが空から殲滅してくれているお陰で、陸地であってもそれなりに歩きやすくなっている。
とは言っても、増え続ける残滓は彼らが思うよりも凄まじい速度で増え続けている為、一人で進むよりは歩きやすい、という程度なのだが。
「じゃあ、討滅を始めよう」
ゆったりとした足取りで、セシルが指先程の大きさをした金属球を喚び出す。その数は彼の力に比例し、セシルの周囲に浮かび上がった。
「雷の爪牙、我が敵を穿て」
青白く輝くそれは、セシルの意志のままに複雑な幾何学模様を描きながらスイート・メロディアをただの甘い無機物へと変えていく。
空からのビスマスによる掃討、そして地上からのセシルによる殲滅。それは尽きることなく湧く残滓達の数を減らし、とうとうメロディア本体へと差し迫る。
「こんにちは、竜の姫君。チョコレートの最後はきみで締めにするよ」
雷霆珠を操って、メロディアから湧きいずるスイート・メロディアを瞬時に壊し、かの姫君の肉体へと雷霆珠が降り注いだ。
死んで、死んで、それでも死ねずに生き返るメロディアへセシルが唇を開く。
「竜の姫君、きみはカルロス・グリードのお嫁さんなのだよね」
「ええ、そうね」
「ぼくなら、娶ったお嫁さん達を必ず幸せにしてみせる。カルロス・グリードのように、こうして敵の前には絶対出させない」
お嫁さんと呼ぶならば、大事にして守るものだとセシルはメロディアに言ってのける。
「私は、守られる必要は無い」
死なぬ者を守る必要など、ないでしょう? とメロディアが歪な笑みを浮かべて残滓達を吐き出していく。
けれど、その残滓達はどこか悲し気な顔をしているようにも見えて――。
ビスマスが哀しい人ですね、と呟いてセシルの雷霆珠が残滓を消し去るのに合わせてハイパービスマスに変身し、なめろうフォースセイバーをメロディアに向かって振り下ろした。
死んで、生き返って、死んで。
繰り返すそれが止むまで、セシルとビスマスの猛攻は止まることは無かった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
栗花落・澪
【心情】
素敵な愛だね
本当は女性には優しくしたいけど
護りたい人達がいる
護りたい景色がある
護りたい約束がある
信じたい仲間がいる
僕のせいで消えた命があった
僕にとって人を信じるのは怖い事だった
でも、それでも
もう一度信じてみたいと思えたんだ
皆が僕に勇気をくれた
だから僕は戦うんだ
その想いに応えるために
【先制】
自身に【オーラ防御】を纏わせ
【高速詠唱】で風魔法の【範囲攻撃】
香りが届く前に吹き飛ばすように
可能なら【空中戦】も駆使しつつ
吸ってしまっても少しなら耐えてみせる
【反撃】
【破魔】を乗せた【指定UC】を発動
敢えて合体させず四方八方からごく僅かな時間差で連続攻撃
消火されない限り減らないから
反撃の隙も与えないよ
●護ることへの覚悟
あの男を生かす為に――だから命を賭して猟兵達を攻撃するのだと言ったメロディア・グリードに、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は素敵な愛だね、と素直な賞賛を送る。
きっと、あなたのその愛は本物なのだろうけれど、だからと言ってこちらが手加減をしていい訳でもない。
澪は立ち昇る陽炎のようなオーラを身に纏って、彼女が放つ無数の残滓達の群れを恐れることなく相手にし、甘い匂いごと彼が操る風魔法で吹き飛ばす。
脆い飴細工が壊れていくように、薄い音を立ててスイート・メロディア達が地に崩れ落ちる。
「本当は、女性には優しくしたいけど」
敵であっても、そう思う気持ちは否定できない。
けれど、けれど。
「僕には護りたい人達がいる」
想う人、大好きな人達。自分が死ねば、きっと悲しむであろう人達。
「護りたい景色がある、護りたい約束がある、信じたい仲間がいる」
その言葉は、澪がメロディアに聞かせるというよりも、自分に言い聞かせているかのようで。
風魔法を駆使しながら、足を掴もうとするスイート・メロディアを避ける為にその身を宙に舞い上がらせる。消えていく命のようなものを眺めながら、それでも澪は攻撃の手を止めない。
僕のせいで消えた命があった、僕にとって人を信じるのは怖い事だった――。
「でも、それでも」
もう一度信じてみたいと思えた、それはきっと皆がくれた勇気で。
「だから僕は戦うんだ、皆の想いに応えるために!」
目前にしたメロディアが、目を瞬かせる。
「想いに、応える……?」
想い、なんて。それは、私にもあるのかしら?
僅かな思考の隙を突いて、澪が破魔の力を増幅させ、力ある言葉を紡ぐ。
「鳥たちよ、どうかあの人を導いてあげて」
その声に導かれるかのように姿を現した、あらゆる種の鳥の姿をした破魔の炎がメロディアに降り注いだ。
チョコレートが溶ける甘い匂いが辺りに立ち込め、メロディアも残滓達も溶けていく。
さながらチョコレートの海のようになったそこで、メロディアが生き返る。残滓達も同じように姿を現すけれど、炎はそれすらも焼き尽くして――。
「溶かし尽くすよ」
その身も心も、あなたの全てを。
炎が、燃え盛った。
大成功
🔵🔵🔵
隠神・華蘭
◎スティーナ様(f30415)と
延々と燃える姿を見るなど主には耐えられないはず……
即刻始末させていただきます、お覚悟を。
分身はスティーナ様が防いでくださいます。
尚迫る者は鉈で切断し小判の範囲攻撃を合わせて弾きましょう。
主に守っていただく身ですがこの華蘭も主を守りたいのです。
『貴女、ここまで必死になる程大事な相手でもいるのですか?』
質問を起点にUC使用。主の竜巻に火の玉を乗せて放ちます!
はいスティーナ様! 神薙業炎陣!!
退かぬ限り炎を消すことはありえませんよ!
承知しておりますスティーナ様。
主が弱いと言うのならばこの華蘭が補いましょう。
他を護るのが主なら、敵を苦しめ滅するのはこの華蘭の役目です。
スティーナ・フキハル
◎華蘭(f30198)と
口調スティーナ ★だけミエリで
死なないんだから耐えて逃げちゃっていいのに……
退けないもんがあるんだね。悪いけどこっちもだ。
華蘭の準備ができるまで残滓を氷属性攻撃付き誘導弾の投擲で撃ち落とす。
アタシ達に近づいてくるやつは捨て身の一撃で体当たりして衝撃波で吹っ飛ばすよ。
いくぞ華蘭! 神薙業炎陣!!
華蘭がUCを出せたらアタシもUC使用。華蘭の火の玉を消さないよう竜巻に乗せて本体を中心に届くだけの敵にむけてぶっ放す!
ヤバ、熱がってるの見てたら辛く……。
★お姉ちゃんしっかりして! 姉が狼狽えて手が下がるのを念動力で布槍を巻き固定し防ぎます!
分かってるミエリ……攻撃緩めるなよ華蘭!
●退けない覚悟
島を覆い尽くそうとするほどの甘い匂い、そして彼女の残滓達がメロディア・グリードを倒さんと桜花島へやってきた猟兵達を阻もうとメロディアより湧き出していた。
「死なないんだから、耐えて逃げちゃっていいのに……」
多くの猟兵の相手をしようとするメロディアの姿を見て、スティーナ・フキハル(羅刹の正義の味方・f30415)がぽつりと呟く。
逃げたっていいのに、逃げない理由がきっと彼女にもあるのだろうとスティーナは前を見据えた。
「退けないもんがあるんだね。悪いけどこっちもだ」
凛とした声を響かせて、スティーナが残滓達を迎撃するべく氷属性を持つ誘導弾を撃ち放ち、彼女達をチョコレートと飴の残骸へと変えていく。
「華蘭!」
「はい、スティーナ様!」
スティーナの声に、隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)が答える。たった一言、名前を呼ばれただけで彼女が何を言いたいのか察して華蘭がスティーナの後に続いて走った。
分身を防ぐのは主たるスティーナが、そして華蘭がメロディアの元まで到達したら主に合わせて焔を放つのだ。
「甘ったるい匂い、嫌いじゃないけどここまで濃いときっついわ」
「噎せ返る様な、とはこの事でしょうか」
口元を布で覆ったところで、意味がないほどに濃い匂い。けれど、この毒のような甘い甘い香りがきつくなればなるほど、メロディアに近付いていると言っても過言ではない。
押し寄せる残滓達をスティーナの誘導弾が弾き飛ばし、それを擦り抜ける残滓は華蘭が鉈を振るい攻撃される前に壊す。スティーナの誘導弾では防ぎきれないと判断すれば、華蘭の葉っぱが空飛ぶ小判へと変わって誘導弾の動きに合わせる様に残滓達を弾いた。
「主に守っていただく身ですが、この華蘭も主を守りたいのです」
「……ったく、わかったよ」
仕方ないと頷くスティーナに、華蘭が笑みを浮かべる。
守られるばかりではなく、大事な人を守りたいという気持ちは華蘭にとっての覚悟だ。
スティーナがメインとなって残滓を滅し、華蘭がその補助をする形で二人はメロディアの本体へと近付いていく。近付くほどに残滓の増殖も勢いを増していくので、辿り着くのには些か手間取ったが二人であれば何ということもない。
スティーナが華蘭に目配せをすれば、心得たとばかりに華蘭がメロディアに向かって言葉を投げかける。
「貴女、ここまで必死になる程大事な相手でもいるのですか?」
その問い掛けを起点にし、華蘭が力を開放していく。彼女の体から無数の青白い火の玉が現れ、その熱で残滓が溶けるのが見えた。
「答えねば、燃えるのみです」
「大事な、相手。いいえ、あの男は、私の大事な相手などでは」
ないのだと、メロディア・グリードは呟く。でなければ、でなければ、私は。
その彼女の戸惑いを察したかのように、スティーナが叫ぶ。
「いくぞ華蘭!」
「はいスティーナ様! 神薙業炎陣!!」
華蘭の青白い火の玉を消さぬよう、スティーナが左手からメロディアとその残滓達にのみ影響する霊気の竜巻を放つ。そしてそれに合わせ、華蘭が火の玉を乗せるように放った。
それは青白い炎の竜巻となって残滓達を舐めるように焼き尽くし、メロディアへと届く。
「私は、大事だとは、嗚呼、嗚呼」
燃え盛るメロディアからも、絶えず残滓は生まれ、そして炎に溶けていく。
延々と燃える姿を見るなど、主には耐えられないはず……早く始末してしまわねばと華蘭が燃える炎の勢いを上げた。
「退かぬ限り炎を消すことはありえませんよ!」
退かぬならば、燃え尽きなさいと華蘭が念じる。
紙が燃えるように、次々と残滓が溶け、メロディアが身を捩った。
「……ッ」
目を逸らさず、竜巻を起こす左手を突き出していたスティーナが僅かに顔を歪める。
ヤバ、熱がってるの見てたら辛く……口には出さず、そう胸の内で呟けば、ミエリの声がスティーナの中で響き渡る。
『お姉ちゃんしっかりして!』
狼狽え、手が下がるのを念動力で布槍を巻き、スティーナを支えるかのように固定し、それを防ぐ。
「分かってる……ミエリ」
ありがとう、そう囁いて。
「攻撃、緩めるなよ華蘭!」
「承知しております、スティーナ様!」
あなたが見せる弱さは、この華蘭が補いましょう。他を護るのが主なら、敵を苦しめ滅するのはこの華蘭の役目――!
双眼に強い意志を宿らせ、華蘭の炎が敵を滅せよとばかりに轟、と逆巻いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
新山・陽
wiz 万人が織りなす世界に向け、その一つに凝り固まった有様を覚悟と?
貴方は、死なないという椅子の上で「命を賭す」などと、ため息をついただけに過ぎませんね。
相手のUCに対しては『黒い蓮華』を出して消臭して対応します。
不意の攻撃があれば【見切り】や【野生の勘】で回避を試みます。
お察しの通り、私はこの世界の未来をコンキスタドールにくれてやるつもりはありません。覚悟とは、圧倒的な貴方を前にしても毅然として抗うと、言葉の代わりに行動で示すものです。
UC『凍えた液鋼』を発現させ【集団戦術】で鋼球を操作し【部位破壊】や【咄嗟の一撃】を加え攻撃し続けます。
長期戦でも、超長期戦でも結構ですよ。
●覚悟とは
仕立ての良いスーツを着た女、新山・陽(悪と波瀾のお気に入り・f17541)が桜花島に降り立つ。不似合いにも思える恰好だが、彼女の堂々とした仕草がそれを感じさせない。そして、押し寄せようとするスイート・メロディア達に対してもその態度が崩れることは無かった。
「ここまで甘い匂いが充満していると、健康に悪そうですね」
普段は気化させて纏わりつかせている黒い蓮華を具現化し、己の周囲だけでもと匂いを消させる。
「多少はマシ、といったところですが」
そう言って、冷気を纏う鋼球を己の力に見合った数だけ召喚すると、ハイヒールに包まれた足を数多の残滓に向けた。
「各個体は速やかに、これを解決せよ」
その一言で、残滓達に向かって鋼球が機関銃のように放たれる。鋼球は残滓達に当たるとそれらを破壊し、消えていく。消えた傍から陽は鋼球を召喚し、同じように無限に湧き出る残滓達をただの甘い残骸へと変えていった。
歩みを止めず、鋼球は弾切れを起こさない機関銃のように陽の思うままに役目を果たす。
そうして進んだ先には、延々と残滓を生み出すメロディア・グリードの姿があった。
「死んでは生き返ってを繰り返しているのですね」
猟兵達の攻撃を受け、死んでは息を吹き返す、出来の悪いホラー映画のような光景に陽が薄く笑い、ねえ、あなたとメロディアに向かって告げる。
「万人が織りなす世界に向け、その一つに凝り固まった有様を覚悟と?」
笑っているのに、瞳は笑わないまま陽がメロディアを視線で射抜く。
「貴方は、死なないという椅子の上で『命を賭す』などと……ため息をついただけに過ぎませんね」
残機無限でゲームをしているようなものですよ、それ。
チート能力にも程があると言いながら、襲い来るスイート・メロディアを鋼球で崩し、メロディアに一歩一歩近付く。
「お察しの通り、私はこの世界の未来をコンキスタドールにくれてやるつもりはありません」
「私はお前達猟兵をあの男の元へ向かわせるわけにはいかないの」
疎ましく思う、この力を使っても。
「知りませんよ、そんなもの」
お前の覚悟などは知らない、私には私の覚悟があるのだと陽がメロディアの前に立ち塞がる。
覚悟とは圧倒的な力を前にしても毅然として抗うこと。ならば私は言葉の代わりに行動で示してみせよう。
その全てを眼光に込め、陽がメロディアに向かって笑う。
そうして、鋼球を以てしてメロディアとその残滓を地に伏せさせる。
何度でも、何度でも。
「長期戦でも、超長期戦でも結構ですよ」
持久力にはそれなりに自信があるので。
そう言って、死んでは生き返る相手に、陽は不敵に笑った。
大成功
🔵🔵🔵
朱赫七・カムイ
⛩神櫻
ひとつを守るために生命を散らす
愛ではないのだろうか
私は守る
櫻宵を守り抜く
私を望んでくれた
共にあることを…生きることを
私も死なぬ神たる身だ
私の命よりも大切な愛しい巫女よ
きみを傷つけさせはしない
今度こそ私はサヨを救うのだ
立ち止まれない
祝災ノ厄倖
サヨには凡て叶う幸を
増え続ける厄災には約されぬ成功を
神罰を重ね降らせ守りの結界で愛しい櫻を守護する
第六感を活かし見切りかわし切り込み、広範囲になぎ払い切断し
サヨが危なければかばう
私は大丈夫だよ
きみの隣で戦う栄誉を戴けた
まだいける
有限なる命の煌めきはこんなにも美しい
戦うきみは何より美しく愛おしい
噫
共に生きよう
死なぬ身であるが死ねぬ
きみと共に、生きたいから
誘名・櫻宵
🌸神櫻
想ってもないのに身を賭してもいいだなんてお熱いわ
あまい愛(チョコレート)のよう
カムイ
私の唯一の神様
私の救い
例え死なぬ身であろうとも私はあなたを死なせない
もう、二度と
守ってみせる
一切を殺し屠り食らいつくしたとしても
私は護龍─この刀は守るためにふるうのの
死なぬなら死ぬまで殺して刻む
斬撃に添わせるのは生命を喰らう神罰
破魔を纏わす衝撃波でなぎはらい、桜化の神罰を巡らせて
喰華
押し寄せる残滓達を斬り祓い桜とかえ散らす
食らった生命こそが私の力となり
愛しい神の守りこそが私の覚悟となる
この命を賭けてなんて言わない
死ぬ覚悟より生きる覚悟を貫くほうがむつかしく尊いの
私は生きると決めたの
大好きな、あなたと共に
●生きる為の覚悟
サクラミラージュから落ちてきたのであろう島、桜花島の桜の花弁が甘い香りと共に散っていく。
まるで尽きぬ残滓を生み出し続けるメロディア・グリードのようだと、朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)が己に寄り添う誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)に襲い掛かろうとするスイート・メロディアを滅しながら思う。
「大丈夫かい、櫻宵」
「ええ、カムイも」
「私は死なぬ神たる身だからね」
大丈夫だよ、と告げる前にカムイの言葉を遮って、櫻宵が手にした血桜の太刀に破魔の力を乗せて残滓達を薙ぎ払う。
「カムイ、私の唯一の神様」
あなたは私の救い、と櫻宵が屠桜を持たぬ方の手でカムイに触れる。
「死なないからと言って、傷付いていいわけではないわ」
「……櫻宵」
押し寄せる残滓達を容赦なく殲滅し、二人共に前へと進む。
まるで互いが互いを護るように動き、艶やかな演舞を披露するかのようにカムイが手にした喰桜と櫻宵が手にした屠桜、二つの牙が残滓達を屠り、喰らう。
そうやって、二人が徐々に島の中央へ向かって行けばスイート・メロディアを生み出し続けるメロディア・グリードの姿が小さく見えた。
「あの女性がメロディア・グリードのようだね」
「そうね、この出来の悪いチョコレート細工と同じ顔をしているわ」
ならばあの女がいるところまで、と二人が視線を交わして頷き合う。
「―― 明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき あさぼらけかな」
カムイが歌人の和歌を諳んじれば、どこからともなく鈴が鳴る。そうして、それはカムイの力に比例した半径内の対象――カムイが定めた敵に、厄災の黒桜が齎す神罰、連鎖する不運と崩壊を与え、櫻宵には祝福と約された幸運、そして再生を与えた。
「想愛絢爛に戀ひ綴る――私の桜にお成りなさい」
カムイの加護を受け、櫻宵も力を開放する。それは蠱惑の龍眼で睨み桜獄へ捉える事で、視るものの存在や力を吸収し己が桜花として咲かせる櫻宵の呪。
崩れ落ちる残滓達の中を、悠然と二人が歩く。
そうして、メロディア・グリードの前へと来れば、二人の刃が彼女へと突き付けられた。
「想ってもないのに身を賭してもいいだなんてお熱いわ、あまい愛のよう」
蕩けるチョコレートのようね? と、櫻宵が足元で溶けては崩れる残滓達を見遣って笑う。
「私は汝に問いたいのだけれど、良いかい?」
カムイがメロディアに向けてそう言うと、絶え間なく生まれ消えていく残滓達を冷めた目で見遣るメロディアが鷹揚に頷く。
「ひとつを守るために生命を散らす、それは愛ではないのだろうか?」
「愛……? 愛、などでは」
無いのだと、死んでは生き返るメロディアがはくり、と口を開いた。
「そうなのかい? でも、私は守る。サヨを守り抜くよ」
私を望んでくれた、共にあることを……生きることを望んでくれた私の愛しい巫女と共に。
「守る、からといって、それが愛ばかりでは」
無いでしょう、とメロディアが苦し気に眉根を寄せる。それは不死の肉体が死んで生き返る痛みによってではないだろう。
「私も死なぬ神たる身だ、私の命よりも大切な愛しい巫女を傷付けさせはしない」
今度こそ、私はサヨを救うのだとカムイが隣に立つ愛しい巫女へと笑みを浮かべる。
「それは私だって、そうだわ。例え死なぬ身であろうとも私はあなたを死なせない」
もう、二度と。
「私は護龍――この刀は守るために振るうもの」
一切を殺し屠り食らいつくしたとしても、そんなことは些事だ。
ほら、こんな風に飴細工を壊すくらいのことだもの。
振るう刃は残滓を壊し、メロディアの命を壊す。壊しては元に戻る命を何度でも。
食らった生命こそが私の力となり、愛しい神の守りこそが私の覚悟となるのだと櫻宵が嫣然と微笑んだ。
「この命を賭けてなんて言わない、死ぬ覚悟より生きる覚悟を貫くほうがむつかしく尊いの」
だから、あなたのように命は賭さない、必ず愛しいものと愛しいものの元へ帰るのだと櫻宵が屠桜をメロディアに突き立てる。
「無限であるということは、少し悲しいことだね」
見てごらん、とカムイがメロディアに笑う。
「有限なる命の煌めきはこんなにも美しい、戦う私の巫女は何より美しく愛おしい」
「生きて、帰る……?」
生きて、あの男の元へ? それは、それは許されることなのだろうか。僅かにメロディアの意識に隙が生まれる。
「噫、共に生きるんだ。死なぬ身であるが、私は死ねぬと強く思うよ」
サヨ、きみと共に、生きたいから――。
桜が散って、舞って。
生きる為に、大切な人が待つ場所に愛する人と帰る為に、カムイと櫻宵は尽きぬ命が尽きるその時まで、刃を振るい続けた。
大成功
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シェフィーネス・ダイアクロイト
【溟海2】◎
自己犠牲は結構
貴様が罷り通したい其の願望ごと全て嬲り尽くす
虐殺は私の十八番だ
譲る訳にはいかんな(皮肉
船を出せ、アンカー
ほう、途を
貴様の船長よりも上手く使いこなせると云えば?
誰の物でも構わん
存分に利用させてもらう
能力強化済の残滓にUC使用
当たれば勝利も同然
二丁拳銃で蜂の巣にし核を破壊
チョコの飛沫を舌で舐め
次々と制圧射撃・蹂躙
貴様程の熱量や覚悟を私は持ち併せていない
私が動く理由は己自身の欲のみ
他者や世界がどうであれ
…噫、海賊たるもの(一瞬獰猛に笑む
メガリスの眼鏡で敵の位置を素早く把握
アンカーを隠れ蓑にし銃撃戦
アンカーの死角を結果的に無くす
桜が舞い、オウガの蒼炎込めた呪殺弾で炎移らせ一掃
ガイ・アンカー
【溟海2】
◎
言われるまでもねえよ、とボトルから船を出す
折角だ。俺がお前を敵さんまで連れて行ってやる
その代わり、お前が俺をうまく動かせるか…お手並み拝見といこうか
ほお。俺が「誰」の錨かお忘れで?ハニー
錨の鎖が絡まねえように気をつけな
先制攻撃には【波濤の号砲】で迎え撃つ
押し返す勢いで撃ちまくってやるさ!
覚悟ならあるさ
この強欲な海で生きてるからな
それに俺はもう一度海へ漕ぎ出したあの日から
ここで終わらねえ
二度と錆びつかねえって決めてんだよ!
お前にもあるだろ、シェフィーネス
ま、奪いにくるならこっちも奪いにいくまで
海賊の流儀だ
敵の意識を此方へ向けるように錨で切り込み、大立ち回り
銃士様が狙いやすいように、な
●誰が為の覚悟
際限なく増えるスイート・メロディアを眺め、シェフィーネス・ダイアクロイト(孤高のアイオライト・f26369)がふん、と鼻先で笑う。
「自己犠牲は結構、貴様が罷り通したい其の願望ごと全て嬲り尽くす」
虐殺は私の十八番だと、シェフィーネスが皮肉気に目を細める。
「譲るわけにはいかんな。船を出せ、アンカー」
「言われるまでもねえよ」
シェフィーネスの要求にガイ・アンカー(Weigh Anchor!・f26515)が煙草の煙を真っすぐに吐き出しながら、ボトルシップを取り出した。
「シルヴィア」
そう囁いて、ガイがボトルからセーリングカヌーを出現させる。それは風の祝福を帆に宿したセーリングカヌーのヤドリガミである仲間から譲り受けた複製品。帆に受けた祝福はそのままに、どこであろうと進む頼もしい逸品だ。
「折角だ、俺がお前を敵さんまで連れて行ってやる」
「ほう、途を」
目の前に広がるのはチョコレートや飴で出来たメロディアの残滓達、倒せばそこはたちまちチョコレートの海へと変わるだろう。
「その代わり、お前が俺をうまく動かせるか……お手並み拝見といこうか」
錨のヤドリガミがそう言ってシェフィーネスへと、不敵に笑ってみせた。
「貴様の船長よりも上手く使いこなせると云えば?」
挑発には挑発で、三倍高値で買ってやるともとシェフィーネスの唇の端が持ち上がる。
「ほお。俺が『誰』の錨かお忘れで? ハニー」
「誰の物でも構わん、存分に利用させてもらう」
例えあの男のものであろうとも。
「錨の鎖が絡まねえように気をつけな」
く、と笑ってガイが船へと乗り込み、それに続くようにシェフィーネスも乗り込んだ。
「まずはあの残滓どもを片付けていかないとな」
ガイが今にも自分達を飲み込まんとする残滓達に向け、煙を吐き出し――。
「全砲門、開け!」
ガイの声に空間が歪み、砲門が出現する。
「さあ、派手にぶっ放してやろうぜ。――撃て!!」
号令と共に、大砲による砲撃がガイの狙う全ての対象へと降り注ぐ。
「鉛玉の雨あられだな」
砲撃を受けた残滓達はとぷんと溶けて、チョコレートや飴の海を作り出す。ガイの思うままにその上を船は走り、無限とも思える残滓達を砲撃が狙い撃ち、二人を乗せた船はメロディア・グリードの元へと向かった。
「そろそろ貴様の砲撃だけでは心許ないようだな」
「抜かせ」
メロディアに近くなればそれだけ残滓の数も増えるというもの、それまで傍観を決め込んでいたシェフィーネスが囁くように言葉を紡ぐ。
「──Loose lips sink ships」
口は災いの元――そう言って、唇を持ち上げると二丁拳銃で残滓を蜂の巣にし、描くを破壊していく。唇の端に付いたチョコレートの飛沫を舌で舐めとれば、毒のように甘い味。
暫しの間砲弾の音と拳銃の音が響き渡り、数が減ってきたところでシェフィーネスがメガリスの眼鏡でメロディアの位置を把握する。
「あそこだ、アンカー」
指さした方へとガイが船首を向ければ、残滓とは違うメロディアがこちらを向いた。
「シェフィーネス、覚悟はあるか」
「ハ、それを今更聞くのか」
この強欲の海で生きる者ならば、覚悟の一つや二つはあるだろう。
「俺はもう一度海へ漕ぎ出したあの日から、ここで終わらねえ、二度と錆びつかねえって決めてんだよ!」
あの女のように、甘く溶けたような思考はしていないとガイが吠える。
「お前にもあるだろ、シェフィーネス」
「……貴様程の熱量や覚悟を私は持ち併せていない、私が動く理由は己自身の欲のみ」
他者や世界がどうであれ、それだけが変わらぬ己の矜持であり、覚悟。
メロディアの残滓がぞろりと動き、ガイとシェフィーネスを狙うように動く。
「ま、奪いにくるならこっちも奪いにいくまで。海賊の流儀だ」
「……噫、海賊たるもの」
そう言ったシェフィーネスが獰猛な笑みを浮かべ、ガイを隠れ蓑にして銃撃戦を始める。それに異を唱えることもなく、ガイが当たり前のように砲門を展開したまま砲撃を繰り返し、巨大な戦闘用の錨で切り込み大立ち回りを決めてみせた。
その動きを徹底的に利用し、シェフィーネスがアンカーの死角を結果的に無くすように銃撃を繰り返し、メロディアに向けてとっておきの一撃を放つ。
「喰らえ」
オウガの蒼炎を込めた呪殺弾が舞い散る桜と共にメロディアに着弾すれば、それはメロディアを包んで燃え上がった。
死んで、死んで、生き返って、死んで、生き返って。
終わらぬワルツを踊るように、シェフィーネスとガイがメロディアとその残滓を滅ぼし続ける。
咲き誇る甘い薔薇が散り尽くすまで――。
大成功
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