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羅針盤戦争〜群影殲滅戦

#グリードオーシャン #羅針盤戦争

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#羅針盤戦争


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 広がる水平線。
 島の無い、広々とした海域。
 青い空を雲が駆けるその直下。波は荒れていた。
 影の魚群が、波を黒く染めている。
 骸を纏う影。
 うねり、水の中を自在に泳ぐそれは、まるで生きているかのように群れを作り、敵を追い詰めんとしている。
 狙うは、猟兵。
 その身に宿す怨念を、ただその存在へと向け。
 黒白が渦を巻く。


 蒼海羅針域の破壊。それを諦めたコンキスタドールが、海域に散り、猟兵を襲おうとしている。
 それを撃退する。というのが猟兵達へと向けられた指令だった。
 留意してほしいのは。
「足場は存在しない、という事だ」
 ルーダスは、その魚群が存在する海域を示し、告げた。
 更に、海底の複雑な起伏によって複雑に渦を巻く水流が、コンキスタドールの影響で更に狂い荒れている。
 水中戦を挑むのならば、相応に策を講じる必要がある。だが、海上であったとして、このコンキスタドール、淵沫は群れることで、自身の戦闘能力の向上、飛翔能力を会得する。
 既に群れているこの状況は、海上であっても安全とは言えない。
「海上で足場を構築するなど、船も持たない敵への対応が必要となるだろうね」
 白い犬はその鼻先を動かしながら、短く話を終えると笑みを浮かべた。
 心配することは無いというように。
 相手も手強かろうが、それでも猟兵達がただ敗北するだけの戦場とはなりえないと確信した表情だ。
「後は好きに暴れると良い。幸い、波は割ろうと砕こうと、壊れはしないのだからね」


オーガ
 海上で戦います。
 足場とかは勝手に作ってください。
 プレイングボーナスは以下です。

=============================
プレイングボーナス……海上戦、船上戦を工夫する(海上では飛行や転移が阻害されています)。
=============================

 詳細はOPの感じです。

 多分最低数でのリプレイになるかと。
 好きに書きます。

 よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『淵沫』

POW   :    残影
【屍と影の機動力に併せ、思念を読み取り】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    群影
全身を【深海の水圧を帯びる液状の物質】で覆い、自身の【種のコンキスタドール数、互いの距離の近さ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    奔影
【屍の持つ骨や牙】による素早い一撃を放つ。また、【屍が欠ける】等で身軽になれば、更に加速する。

イラスト:鴇田ケイ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

おっとっと
揺れる揺れる!これは水中はもっと大変そうだなあ
んもー
これならわっと攻めてきてくれるほうがずっと楽だよ

●対策
UCを使用!強化するのは【足場習熟、水上歩行、カウンター、挑発、ジャンプ】!
足場代わりに球体くんをそこかしこに浮かべて彼らをやーいやーいこっちだよー!と挑発しながらピョンピョン飛びまわって彼らを誘引するよ!
そうやってどんどん移動して彼らの個体間の距離を引き離し…
一瞬速度を落として誘ってボクに飛びかかってきた子たちにカウンター!球体くんを砲弾のように叩き付ける!めったやたらと叩き付ける!

さーてモグラ叩きだよ!
ボクが飽きるかキミたちが諦めるが先か…
勝負だー!


エィミー・ロストリンク
【POW】
これ以上この海で好き勝手はさせないよー!
これからの平和の為にも絶対に逃がさないよー!

ナノシリアに搭乗して海中戦を仕掛ける
セイレーンの能力もあり、魚にも負けない起動を発揮して、UC「DL:昨日の強敵は今日の親友」を発動
正確無比な未来予知によるケルベロスの巨大化したアンカーのピンポイント投擲によって背骨を粉砕するように狙って機動力を奪うことに専念
釣れたらオルトロスの水中ガトリング弾の連射によって丁寧に破壊し、群れを一つずつ崩していく

未来予知による代償の頭痛に悩まされながら、ナノシリアを信じて水中機動を任せて行動する

うー、頭が痛いー! この能力便利だけど、なるべく使いたくなーい!



「うわ、と、と、と」
 荒れる波音の中で、サーカスのように海に浮かべた球体を足で転がしてバランスを取ろうとしているのは、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)だ。
「ふうー、危ない危、ないっ、と」
 極彩を宿す球体は、波に押され上下に揺さぶられて平衡感覚を乱す。
 普通であれば、足を取られて海に転落するか、もしくは瞬く間に強烈な船酔いを起こして気を失うような状況。
「これは、水中はもっと大変そうだなあ」
 ロニはむしろ余裕すら見せて、次の球体へと飛び移る。
 その一瞬、後を――。
 ズ、ォ――! と骸の牙が空間を裂いた。紙一重。ほんの一瞬波に足を取られたならば確実に餌食になっていただろう攻撃は、この時だけではない。
「ほらほらー! 当たってないよー? やーいやーい!」
 先程から、僅かな隙をも許さぬような、海面へと飛び出した淵沫の攻撃が絶え間なく襲い来ている。
 うーん、落ちたら終わりだろうねえ。ボクならなんとかなるだろうけど。
 それは、自惚れでも何でもない。群であるほどに、その力を増していく淵沫を引き付けながらも、加速度的にこの戦場に慣れ、自在な動きを見せつつある彼は、この荒れ海に放り出されても、無事に逃げ帰ることは容易いだろう。
「やっぱり、わっと一気に襲いかかってくれる方が、ずっと楽だよねえ」
 連携を重ねながら、虎視眈々とロニを暗い海に引きずり下ろす。その瞬間を狙うような影達に、口を尖らせるのだ。

「うわー、すごい!」
 その光景を俯瞰して見たならば、餌に群がる魚の群れ。
 それ、すなわち。
「負けてらんないね、――ナノシリアっ」
 より強大な存在にとっての餌場とも言える。
 エィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)。ロニの無邪気が混沌、染まりきった極彩色故とするなら、彼女は正反対。純真無垢、染まらぬ一色による無邪気。
 彼女の声に、雪白のサーペントが速度をゴゥ! と上げた。
 サーペント型のメガリアであるナノシリアは、水中行動を得てとするセイレーンであるエィミーの繰手により、極限まで己の能力を高めるほどに群れた淵沫にも劣らぬ、速度、機動力、そして群を抜く優美さ。
 舞うように波を渡る海竜の背で、エィミーはすぅ、と息を吸い込んだ。
「うぅ……、嫌、だけど……やるッ!」
 決心の声を上げ、エィミーは鎖を引き揚げた。ナノシリアに引き摺られるように海中を割って追従してきていた白い巨大な錨が海上へとその姿を現す。
 ――だけではない。そのままノータイムに叩き落とされた錨は、纏う骸を砕いて盛大な水飛沫で水柱を発する。
 偶然ではなく。
 エィミーの正確無比な未来予知によって錨の刃が淵沫を撃ち抜くことは必定とされていたのだ。
 だが、その強い力がノーリスクであるはずがない。
「ぅ、ぁ……ッ!」
 白騎士ディアブロの能力を脳にダウンロードし、無理矢理に未来予知の能力を発現させる強引な方法。
 それはエィミーの脳に、膨大な負荷を強い、激痛を走らせる。
「はっ……ッ」
 エィミーは食い縛るように苦痛の声を上げる。目に涙が浮かぶも、泣きじゃくりたい欲求に視界を隠すことはない。
「ぅうー! でも、これからの平和の為にも絶対に逃がさないよー!」
 潤んだ目を、赤く腫れた瞼を、閉ざさず開いて彼女は、逆の腕に構えた黒鉄のガトリングの引き金を引く。
 突如、潮騒を銃声が裂いた。錨に群れをかき乱された群れに弾丸が容赦なく襲いかかる。
 幾百の弾丸に身を削られて朽ちていくその仲間に、ロニの挑発に集められていた淵沫も彼女を無視出来なくなったのだろう。
「あっと、これは……」
 ロニが、変幻自在の球体を浮かべた海帯。そこに群がる淵沫達の外縁を削るように、泳いでいたエィミーとナノシリアに群魚の意識が分散する。
 刹那。
「チャンスとうらーい?」
 ロニの顔に、獰猛な笑みが刻まれた。

「うー、頭が痛いー!」
 エィミーは、継続する頭痛に、錨の操作、ガトリングの操作にと、更に頭を使わなければいけない状況に、誰にでもない駄々を捏ねながら、苛立ち混じりに敵を上空へと打ち上げた。
 その時。
「ど――」
 巨大な質量が過ぎる。そんな風が吹いた。
「っかーぁん!!」
 海水ごと掬い上げた骸の怪魚が、吹っ飛んだ。
 突如風を纏って突っ込んできた、色鮮やかな巨球の突進によって。
「……へ」
「うーん! やっぱり一気に蹴散らすのが一番気持ちいいーッ」
 仲間の仇、とばかりに声の主、ロニへと飛びかかっていった淵沫は、しかし、完璧な包囲に彼を追っていた時より精彩が欠ける。
「よ」
 一声。ロニの周囲を回転した球体が突進を弾いて、左右から万力のごとく、骸と影を諸ともに押し潰す。
「ねえ、今のもっとやってよ。どーんと打ち上げる奴」
 もぐら叩きだ。
「ここまで集まってくれたんだ。ボクが飽きるかキミたちが諦めるが先か……勝負だ!」
 まるでエィミーがどう答えようと構わないと言うように、ロニは魚達と再び戯れ始める。
「……うん」
 一つに集中できるなら、ありがたい。
 動きはすべてナノシリアに任せたエィミーは、錨の操作へと集中する。
 少し肩の重みと一緒に、頭の痛みも和らいだ気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…幸い、この戦争で異世界の奇妙な技術や乗り物は山と見た

…後はそれを再現するだけよ

UC発動して101本の魔刃を召喚して武器改造を施し、
1本の魔刃はサーフボードのように変型して足場に、
残り100本の魔刃には光属性攻撃の魔力を溜める

…っと。他の猟兵がやっている処を見ていたけど、
重心移動にさえ注意すれば意外と面白いわね、これ

今までの戦闘知識から足場の揺れを受け流して波に乗り、
"精霊石の耳飾り"で周囲や水中の敵の存在感を暗視して見切り、
光線化した魔刃を乱れ撃ちして敵群をなぎ払い浄化する

…光の精霊とは相性が悪い事に変わりは無いけど
この業ならば十分、実戦で扱えるはず…

…我が敵を切り裂け、光の刃達…!


ヴィクトル・サリヴァン
船なしで泳いでくるのは気合入ってるねー。
後片付けが楽だからこっちとしてもいいんだけど。

水中戦を挑む…渦巻く水流は厄介だね。
ならもっと搔き乱そうとUC起動。
重力属性と渦潮を合成して複雑な水流を巨大な大渦で取り込んでしまおう。
俺自身は無酸素詠唱で水の魔法を使って周囲の水流を打ち消す形で巻き込まれぬように。
打ち消しきれずとも素潜りや水中機動、水泳を活かせば自滅は防げるはず。
コンキスタドール達もこの渦に引き寄せ海底に押し付け潰していく感じで纏めて潰す。
渦を突っ切ろうとする個体が居たら銛でカウンターしたり水の魔法で渦へと押し込んで倒してくね。
綺麗さっぱり、やっぱ海はこうじゃないと。

※アドリブ絡み等お任せ



 ギュ、カ――!
 駆け抜ける光を纏わせた魔力結晶の刃が、水中から飛びかかってきた淵沫を切り捨てた。
 百の刃が、瞬く間に影と骸を千々に払って海へと溶かしていく。
「……見様見真似でも、案外出来るものね」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、荒れる波に銀色の髪と纏う黒衣を映しながら、呟いた。
 彼女は今、波に乗っていた。慣用句としての比喩ではなく、文字通りに、物理的に。
 召喚した魔刃の一つを幅広の笹の葉のような形へと広げ、その上に足を乗せている。
 この戦争の中で、猟兵が集まることで様々な世界文化が混合する様を見てきた。知らぬ技術、理のある形状。
 リーヴァルディのしていることは、そこに己の解釈を混ぜ、再現。
 波の動きを受け止めて推進力へと変える。それそのものは単純な物理学。つまりはサーフィン。そこに刃が持つ飛翔能力を掛け合わせた機動力を以てして、リーヴァルディは荒れる波を制するように海原を駆ける。
「……っと。他の猟兵がやっている処を見ていたけど」
 その表情には、波を読み、制限される中で自由に動くことへの享楽が僅かに浮かぶ。
「重心移動にさえ注意すれば意外と面白いわね、これ――ッ」
 影が彼女へと牙を剥く。
 その一瞬の気の緩みを読み取ったか。
 警戒するように、リーヴァルディの周囲を巡り、刃の回避に専念していた淵沫が一斉に飛びかかったのだ。
「……、まだ」
 呟く。
 放つには、未だ足りない。
 白骨の刃を急旋回し、回避。押し寄せる波のアーチをくぐり抜け、出口に待ち構える淵沫を結晶刃で貫いて、道を抉じ開ける。
 百の刃で裂いた十余のコンキスタドール。だが、海中に残る淵沫は、リーヴァルディの隙を常に狙っている。
 最善として、緩衝は必要である。リーヴァルディは考える。攻撃の後、次ぐ攻撃に移る為の緩和然り。
 故に、『これ』を放てば、リーヴァルディは隙が出来るだろうし、その後の行動の柔軟さを捨てて、その隙を無くそうとも思わない。
 放つのであれば、出来るだけ数を巻き込みたい。
 故に、未だ足りない。
 結晶への魔力の充填。範囲内の敵の数。そして、動く状況。
 耳飾りが僅かに震える。精霊が彼女に伝える。
 荒れる波の奥。暗い海中。
 
 そこで何かが蠢いた。

「……波が」
 変わる。

「うーん、振り回されるなあ、ここ」
 ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は、砕いた骸の残骸が複雑な海流に流されていくのを見て、頷いた。
 絶え間なく襲い来る淵沫の攻撃。砕けば砕く程に速度を増していく影。
 質量が力だというのはヴィクトルが体現するところではあるが、速度も力だ。
 更にそれが群れると、残骸と相まって視界がすこぶる妨げられる。右を見ても左を見ても敵しかいないし、上から襲ってきたと思えば実は下にいる。
 乱水流は、僅かに動きを鈍らせるだけ。だが、この骸の魚はその僅かを最大限に利用することに長けている。
 ついさっき、深く噛まれた肉厚の尻尾が痛い。
「――まあ、いっか」
 ため息混じりに泡を吐く。
 近いところで猟兵が戦っているのを感じるからこそ、止めていた手ではあるけど。
 上手く適応しているみたいだから、どうにかしてくれるでしょ。
 ヴィクトルは、銛を脇に挟んで両手を合わせた。
 途端に、猛攻を仕掛けていた淵沫達が一斉に距離を取る。一目散に彼から逃げ出した。
 ヴィクトルの思考を感じ取ったのだろう。
 それに思う。でも、遅いかなあ、と。
 刹那。
 巡りうねっていた波が凪いだ。
 だが、直後それは全てが大渦となって飲み込まれる。
 現れるのは巨大な渦潮。超常の重力を纏い、複雑に互いを押し付けあっていた海流が一つの流れに併合していく。
 巻き込まれれば、海底に押し潰される大口。
 その中をヴィクトルは、むしろ自在に泳いでいく。魔法で周囲に水を張り、急流に対して飛行機の翼のように強力な揚力すら得ながら、渦を裂く。
 ゴ、ゴバ――ゴッ。
 海底に壮絶な勢いで叩きつけられる音が、鈍く低く響く。ヴィクトルは既に渦に絡め取られた影魚は無視した。狙うは、どうにか踏み留まらんと足掻く淵沫。
 曲線を描く雷撃の如く、銛で貫き、時には渦に更に水流を合わせて地獄の喉奥へと叩き込んでいく。
 彼らにとっての最善の戦場であった海中は地獄と化した。
 ならば、向かう先は、――空。
 身を寄せ、大魚の影となり、渦を穿ち、波を割る。

 そして――。

「今」
 渦潮の起こす波に乗り、しかし逆らいながら、結晶刃を展開したリーヴァルディがそこにいた。
 数秒、襲撃の失せた時間は、百一の結晶へと魔力を十分に行き渡らせ。
「切り裂け」
 飛び出してきた一群を、光線化した結晶刃が焼いた。膨大な魔力による乱れ撃ちが瞬く間に骸の魚を喰らい潰し。
 ――ぎ、ギュオ!!
 残った一体がリーヴァルディへと、襲いかかる。対するリーヴァルディは全ての刃の魔力を解放させた直後――ではない。
 真下から跳ね上がり、増幅した魔力を縁へと集中させたサーフボード、最後一枚の結晶刃が淵沫を両断する。
 渦潮は消えていた。穏やかな波にサーフボードと共に着地したリーヴァルディは、濡れた髪を払った。

「うん、綺麗さっぱり。やっぱ海はこうじゃないと」
 再び海流の戻り始めた海中。
 しかし、怨念の怪魚の姿のない海の光に、ヴィクトルは、そう一人ごちた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ピエール・モルズ
・さて、俺の初依頼がまさか戦争の場とは。まあ、これも黒騎士としての運命か。では、掃討のため尽力しよう。

・幸運なことに、俺の体の一部であるスライム部分は「水上歩行」や荒れる波を「悪路走破」……一種の船のような運用が可能だ。これに乗ることで海上戦に対応しよう。

・戦闘ではチェインシールドの「投擲」で牽制し、黒剣やラスボスアーマーでの接近戦を仕掛け、確実に当たる距離でUCを使う。敵の素早い攻撃は「盾受け」「オーラ防御」で防ごう。

・ふむ、体が欠けると加速するのか。ならば、UCは屍に巣食う影に向けて放つ。魔力という「暴力」で消え去るがいい!


皇・美虎
●WIZ

ほーん、海の上を飛ぶか歩けったァ中々無理な注文をしてくれるじゃねぇか
無理な注文だが、できねぇ訳でもないさね
ただちーっとばかし骨が折れるがね

そんじゃ、いっちょブチかますかねぇ
あらよっと『グラフィティスプラッシュ』だ!
宝石みてぇに澄んで綺麗な海を汚しちまうのは気が悪ぃが、これが今回のキャンパスと【アート】さ!
油分で浮かぶコイツを足場にして【水上歩行】で沈む前に【ダッシュ】だぜ
化けクジラが水ン中から上がってきたら、絵筆の絵の具を斧や鉈に見立てさせた【重量攻撃】で、その骨をぶっ叩き落としてやらぁ!
ついでにそこを絵具で塗ったくって、そいつを浮き袋にして沈まねぇようにしてやんよ

連携は歓迎だぜ



「早々に海原に放り出されるとは」
 難儀な話だ。とスライムに騎乗した黒騎士――ピエール・モルズ(スライムを連れた黒騎士・f32279)は嘆息する。
 従属させている、ように見える彼の体の一部であるスライム部分は、少し潰れたように広がり、海面に浮上しながら荒波の中で器用にバランスを取っている。
「――くるか」
 云うや否や。
 直下。海面を突き破って飛び出してきた淵沫を急発進で避け、追い縋らんとするその体へと構えた盾を擲った。
 ゴ、ガッ! と鈍い音を響かせて海中へと戻る。
「……っ」
 その瞬間、ピエールは見る。周囲の水面がうねる。
 いや、海中に集まる淵沫が彼を囲むように水中で渦を巻いたのを。
 攻撃が始まる寸前。繋いだ鎖で盾を引き戻したピエールは、攻撃を諦め、防御に集中する。
 水中からのヒットアンドアウェイ。ピエールが反撃の機会を得るのは、被弾の瞬間のみ。
 ならばまずは耐え、動きを読みきる――!
 黒い流れが迫り、一斉に海を突き破る、刹那。
「ちいと、頭下げなあッ!!」
 声と共に。
 荒れる灰色の海に似合わぬ、極彩色の雨が降る。
「――」
 来るはずの淵沫による攻撃は、色とりどりの雨粒の弾丸に打ち弾かれる。
 骸の破片が、粉塵のごとく散るその飛沫へ。
「助かるっ」
 ピエールは、好機を逃さず突貫する!
 水面に浮かぶ塗料は、淵沫の動きを鈍らせてくれている。黒剣でそこを突き、切り裂いていく。
 その傍ら。
 乱入者、皇・美虎(壁絵描きのお虎・f18334)はばら蒔いた絵の具の上を跳び跳ねて、海をキャンバスに筆で色を散らしながら、ふと首を傾げた。
 なんとなく、もっと強大な存在を感じて、ここに来たのだ。
 そう考えたその時。
「おい! 黒いの!」
「俺の事か、それはっ」
「気ぃ付けろ」
 美虎の言葉にピエールは思わずに、海を覗きこんだ。
 暗い水底に影。
 淵沫が骸を纏う怨念の影なら、その巨大さは骸のそれに準ずる。
「大クジラだ」
 大波とともに水面へと飛び出した、淵沫に美虎は大きく跳躍して波をかわす。と同時に筆の先へと塗料を集中させる。
 絵の具の造形が渦を巻くように整っていく。
「クジラ仕留めんのは、コレっきゃあるめえよ!」
 現れたるは巨大な銛。滑らかな刃先に超重量がかかる。
 跳躍したままに、美虎は重力に従い落下。落ちる勢いを乗せて、着水する鯨の骨。
 その中心へと銛を突き立てるッ!
 ド――ァッ!!
 大量の水が巻き上がる。衝撃が周囲の波を更に狂わせ、悲鳴が上がるような潮騒の中で美虎は駆けた。
 暴れる鯨の上。とんだ大道芸じみた軽業だが。
「は、こちとら、海の上を飛ぶか歩け、なんざ無理な注文受けてここまで来てんだ」
 筆が絵の具を骸に、影に描いていく。
「お茶のこさいさいってな、海よか汚し甲斐あるぜ。クジラの旦那ッ!」
 線は鎖となり、鎖は縛りとなり、再びの潜水を防ぐ。
 そこへ。
「まったく、驚かされる――だが、的が広いのは助かるな」
 ピエールが、美虎の銛が砕いた骸の大きな傷。そこへと黒剣を僅かに突き込んでいた。
 淵沫にとって、無視しうる傷。だが、本命はそれではない。
「砕ければそれだけ速くなるのだろう?」
 周囲の淵沫を切り裂き始末して理解した。この鯨がさらに速度まで付ければ厄介この上ない。
 故に、ここで仕留める。
「魔力という『暴力』で消え去るがいい!」
 深く鈍い衝撃が走り、屍ごと淵沫は崩れていく。
 剣先から溢れた膨大な魔力が膨れ、影を内側から破壊し尽くした。


 荒れ海に再び騒がしい静寂が戻る。
 怨念の影は潰え、海域に平和が戻ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月21日


挿絵イラスト