羅針盤戦争~墓に収まるにはまだ尊い
●
「島が次々と開かれていく……」
正直計算外の速さだ。隠されていた七大海嘯、そして幾つかに身を分けた己の統括する島の座標が次々と暴かれ、猟兵に侵略されていく。
「これも姫君の恐れるグリモアの力か……? いや……」
其れだけではない、とカルロスの勘が告げている。空を見上げれば、皮肉なほど美しく、そして何も語ってはくれなかった。
聞こえるのは巨大な足音。骨と化して尚生き続ける古竜が空を仰ぎ、声なき叫びをあげる気配。
カルロスは待っていた。例え分け身の自分が斃されようとも、自分は斃されまい。麗しの姫君が自分に望む限り、其の望みを叶えなければ――。
●
「凄いぞ。今度のカルロスは竜を連れている!」
海を行く鉄甲船の船上。ヴィズ・フレアイデア(棺を創ろう・f28146)は恐ろしいまでに蒼い瞳を煌めかせて言った。
「どうやら荒野と幻想の世界――アックス&ウィザーズの力を衣服にして着用しているようだな。竜を従えているのは幻想の恩恵であろう。彼らは全員カルロスに服従を誓っている。心変わりを願うのは無理そうだ」
つまり、カルロスの攻撃をいなしつつ竜の攻撃にも気を配らないといけない訳だな。あっはっは、大変だなァ!
「だが其の竜は骨で出来ている。ブレスを吐く事も、飛ぶ事も出来ない。まあ、大きなトカゲくらいに思ったら良いだろう。其れに、カルロスからの攻撃を防ぐという事は、竜の攻撃を防ぐことにもなるはずだ。技はタイミングよく使えよ」
日傘をさしてふわふわと、グリモア猟兵は海の稜線を見詰める。
「そうら見えてきた。アレが“五の王笏”――幻想を借り物にした男の根城だ!」
key
こんにちは、keyです。
くそっどんな格好しても良い男だな……個人的にとても好きですカルロス・グリード……。
●目的
「カルロス・グリードを倒せ」
●こちらは
一章完結の「戦争シナリオ」です。
●プレイング受付
都度タグにて掲載いたしますが、
「2月17日8:30~18日23:00」までは確実に募集致します。
以降は成功値を達成していなかった場合のみ募集を続けます。
●この章について
“五の王笏”は「アックス&ウィザーズ」の力を具現化しており、「ベルセルクドラゴンの鎧」による高速思考・超戦闘力での攻撃を仕掛けてきます。
また、この島には大量の“白骨化した古竜”が存在し、カルロスの命令に応じて直接攻撃してきます。これらの竜はブレスを吐けず、体も脆いようですが、カルロス自身のユーベルコード(必ず先制攻撃してきます)に加えて彼らにも対処する必要があります。
●プレイングボーナス!
「敵の先制攻撃ユーベルコードに対処し、同時に“白骨化した古竜”にも対応する」
●ファイティングボーナス!
シナリオをクリアすると、七大海嘯支配下の島を一つ解放できます。
島を解放することで次のボスへの道が開けるかも知れません。
頑張りましょう!
●注意事項(宜しければマスターページも併せてご覧下さい)
迷子防止のため、同行者様がいればその方のお名前(ID)、或いは合言葉を添えて下さい。
また、今回グループ参加は『3名まで』とさせて頂きます。ご了承下さい。
●
此処まで読んで下さりありがとうございました。
皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『五の王笏』カルロス・グリード』
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POW : アリエント・ドラゴーン
【鎧から放射される凶暴化ブレス】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : エスパーダ・ドラゴーン
【鎧の身体強化】による素早い一撃を放つ。また、【肉体をドラゴン化する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : イーラ・ドラゴーン
【自身または竜に対する敵意】を向けた対象に、【負傷の分だけ威力を増す狂える竜のオーラ】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
片桐・公明
【WIZ】
敵の先制UC攻撃は[オーラ防御]と雲長・翼徳を盾にして防ぐ
「敵意に反応するオーラは確かに厄介だ。」
「だが、あいにくとあたしからお前に向けるのは殺意だ。」
古龍については妖刀と拳銃で応戦する
足を狙い、骨を断つように武器を振るう
大きく動くことで敵本体と古龍を
自身のUCで一凪で倒せる一に誘導する
隙をついて2挺拳銃と雲長・翼徳からUCを放つ
淡々と、殺意のみで相対する
(絡み、アドリブ歓迎です。)
九重・玄音
ベルセルク、そう……あなたも。
いいわ、戦いましょう。互いにその狂気をぶつけ合うのよ。
ドラゴンのオーラ、いいでしょう。あえて受けてます。激痛耐性と環境耐性で耐えきりながらも、殺意を向ける。──そうよ、あなたを殺すための殺意を。詠唱開始。
竜の威圧に狂い、古竜に身を剥がされながらも、獅子奮迅と睨み殺意を溜めに溜めに溜めに溜めて溜めて溜めて溜めて、全てを解き放つわ!
我を眼前としてベルセルクと名乗った罪、特と味わうがいい!!指定UCを放射状に放ち、古竜まるごとカルロスを焼き払うッ!!
【アドリブ・絡み歓迎】
*
片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)達の幸運だった点は、殺意を向けていてもカルロスを傷付けていなかった点だろう。
負傷すればするほど威力を増す其のオーラは、万全の状態では大した威力ではない。――威力ではないが、
「ッぐ、うう……ッ!!」
“雲長・翼徳”を盾にしても尚、其のオーラは凄まじい威力を誇っていた。けれど、後ろで詠唱を重ねる九重・玄音(アルターエリミネーター・f19572)は其れをものともしない。
殺す。ドラゴンだろうが分身体だろうが殺す。
其れが玄音のたった一つの目的にして意志。公明の盾をかいくぐってきたブレスが彼女の肌を焼いても、玄音は眉一つ動かさない。
「詠唱にもう少しかかる。敵の目を引き付けて貰える?」
「無茶言うね……! だけど、やってみる!」
走ってきた古竜の脚を銃で撃ち抜く。勢い余って大地を滑る其のアギトを大きくかわしながら、公明は答えた。後ろの“砲台”を護るのだと。
「これが竜の力……素晴らしい。古竜たちよ、我の尖兵となれ!」
己の腕を持ち上げながら、カルロスが恍惚と呟き、竜に命ずる。古竜たちは公明と玄音に向かってくる。其の数は数えるのも面倒になる程。
公明は動いた。あえて玄音を射線に晒すように、大きく。古竜を引き付けるために。古竜たちを銃と刀でいなし、其の足を砕き、最小限の接敵で動きを止める。脚を砕かれて横たわった骨がうらめしげに見上げてくる気がして、のっぺりと白い額を撃ち抜いた。
「――詠唱が終わった。いつでも撃てるわ」
「OK! じゃあ……」
雲長、翼徳。巨大な手の形をした公明の愛機がうなりを上げる。母の歴史、父の知識。それらを興すのは私の能力。――すべて焼き尽くす! “紅蓮『赤壁乃業火』”!
雲長・翼徳から放たれたエネルギー砲が、近付こうとしていた古竜ごとカルロスを直撃する。だが、狙いは直接のダメージではない。エネルギー砲の焔が纏わりつき、竜を纏ったカルロス達の動きを封じる。
「ふ、我の動きを封じたところで――」
「五月蠅いわ、黙りなさい」
「……何?」
「黙れ、と言ったのよ。貴方は竜。其れだけで殺すに値する。価値がある訳じゃないの、竜というだけで貴方は殺されるべきものになったのよ」
玄音が滔々と述べる。其の言葉は狂気にも似て。
「我を眼前として“ベルセルク”を名乗った罪、とくと味わうがいい!」
詠唱を解き放つ――! 其れは竜の咆哮。形なき破壊。ユーベルコードと呼ぶには余りにも凶暴に過ぎる其の一撃。“破砲:狂竜咆哮”!
殺意を込めに込めて、力を詰めに詰めた其の一撃は古竜たちを砂糖菓子のように粉砕し、カルロスの身体を吹き飛ばす。だがカルロスは吹っ飛んで逃げる事すら叶わない。公明が放った炎によって、いわばロープ際にいるのだ。
「ぐ、おおおおああああッ――!!」
……崩れ落ちたカルロス。ありったけの殺意の砲撃を2撃浴びれば一たまりもない。
「あは、はははは! はははははは……!」
笑い続ける玄音。公明は余波で大きくなぎ倒された木々を見て、頬をかり、と掻いた。己も殺意を向けていた。ヤバい奴、なんて言えないけど、……いや、やっぱり言おう。ヤバい奴と一緒になったなぁ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
播州・クロリア
(目を閉じ、すっと手を真横にピンと伸ばすと{絢爛の旋律}で『ダンス』を始める)
私一人で古竜の対処は骨が折れるので手伝っていただきましょう
({絢爛の旋律}で生じた光による『残像』でカルロスの視界では古竜の表示位置がずれるようにして
カルロスと古竜が同士討ちをするように立ち回りながら
自身は『衝撃波』を使った移動で攻撃を回避する)
大分片付きました
ありがとうございます
(『念動力』で破壊された古竜の骨を操りカルロスにぶつけて視界を遮ると
『オーラ防御』の応用によるオーラの檻でカルロスを覆う)
このリズムは貴方に捧げたものです
どうぞご堪能ください
(UC【蠱の珠】を発動し身を焦がす程の光の珠に閉じ込める)
*
播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)は目を閉じた。
「……どうした、諦めか?」
「いいえ。これは太陽と大地に捧げる旋律です」
輝く太陽。照らされて煌めく大地。豊穣の栄華を謡ったリズムで踊りだすクロリア。其の隙を逃すカルロスではない。彼は芸術を理解しない訳ではないが、戦闘では隙を打つものだと其れ以上に理解していたのだ。
身軽な体でクロリアに接近すると、まずは其の腹に一撃――
「ああ、そうだ。貴方のお友達にも手伝って頂きましょう。ダンスは一人でするものではありません」
ぱりん。
人の体を殴りつけたにしては随分と軽く脆い音がした。――しかしカルロスの目には、目の前で踊り続けるクロリアしかいない。……何だ?
二撃、三撃。打ち付けても、ぱりん、ぱりん、としか音がしない。クロリアが大きくステップを取り、其の衝撃波を真正面から受ける。両手で顔をカバーしてカルロスが後退。何が起こっている? 我は一体何を殴りつけ、破壊した?
「……ふむ。だいぶ片付きましたね、ありがとうございます」
「貴様……何をした? 手品の最後には種明かしが定石だろう」
「良いでしょう。これが貴方が殴りつけ、破壊した残骸です」
ぼやり、とぼやけたのは古竜の姿だった。まるで陽炎が消え去るように景色が変わり、クロリアの周りに浮かんだ其の骨は紛れもない、さっきまで健在だった古竜のものだ。
「……残像……!」
「ご名答です。では、仕上げと参りましょう」
念動力で浮かんでいた古竜の骨がカルロスへと迫る。それらを拳で打ち砕いたカルロスだったが、其の隙に周囲に張り巡らされたオーラ。まるで己を護るように、球形に……
「――このリズムは貴方に捧げたもの。どうぞご堪能下さい」
“蟲の珠”。
オーラの中が輝きで染まる。まるで太陽を間近にしたかのような猛熱と光に、カルロスは悲鳴を上げる。けれど其の声さえ、この球の中に閉じ込められて――
「……意識を失いはすれど、死なず、ですか。厄介ですね」
ぽつり。クロリアは翅を震わせて静かに呟いた。
大成功
🔵🔵🔵
クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可
今度は竜の力と来ましたか、本当に様々な世界の力を持つ男ですね、カルロスは
最後はこれまでの全ての力を……等と言い出さないでしょうね?
敢えて骨竜のいる方向から接近、敵の先制攻撃が来る前、手近な所にいる骨竜に鎖を巻きつけておき、先制攻撃のブレス発射にあわせてその鎖を巻き上げて高速移動で回避
ブレスがドラゴンを巻き込むなら尚良し
先制攻撃の回避後にUCを発動、飛翔力を得て竜の攻撃が届かない程度の高度を保っておく
機動力や伸縮自在の鎖、形態を変える黒剣の能力を活かして攻撃を切り替え、『フェイント』『不意打ち』を混ぜ込み、敵の思考に負荷をかけてやり、最後に黒剣の『鎧無視攻撃』を突き立てる
*
「今度は竜の力ときましたか」
本当に様々な世界の力を持つ男ですね、貴方は。最後はすべての力を……等と言いださないでしょうね?
クロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)はカルロスを前にして、極めて静かに丁寧にそう言った。くつくつと肩を揺らすカルロス。
「さてな。其れよりも、今の我に集中しなければ命を落とすぞ」
「判っています。貴方を倒し、最後の貴方も倒しに行くだけですから」
「……ほう?」
ぴくり、とカルロスの柳眉が動いた。
――そして、クロスが動き出す。カルロスを護るように位置している古竜に向かって走る。
「竜を纏った我を倒すか! ならばやってみせろ!」
凶暴化ブレスがカルロスの鎧から放たれる。クロスは片手をしならせると仕込んでいた鎖を伸ばし、古竜の骨に巻き付ける。そして其れを引き寄せて――疑似高速移動にて、其のブレスを見事にかわしてみせた。
「なっ……!」
「当たらなければルールもブレスも、恐れる必要はありません」
軽く脆い古竜は引き寄せられただけで砕け散ってしまうけれど、ブレスをかわすに足るなら其れで十分だ。クロスはさらに此処でカードを切る。闇を纏い、半妖としての衝動を解き放って空を舞う。【葬装】黒羽――そう名付けた黒い剣にて、空からカルロスを強襲する。
「其の程度でッ!」
拳で剣をいなそうとしたカルロスだが、其の拳は空振りする。フェイントだ。再び空へ舞い上がったクロス。其の速さと巧みに仕込まれたフェイント、更には不意打ちに、カルロスの思考回路が悲鳴を上げる。不確定要素が多すぎる。不測事態が多すぎる。これでは……!
頭痛に頭を押さえたカルロス。其の隙をクロスは逃しはしない。――いや。例え隙がなかったとしても、この攻撃は通るのだ。
竜の鎧を“ないもの”として……黒い大鎌に形を変えた黒羽でカルロスの身体を大きく薙ぎ払った。
大成功
🔵🔵🔵
ビスマス・テルマール
世紀末と触手大陸の次はベルセルクドラゴンですか、帝竜戦役のですね
そちらが竜で来るなら
わたしも竜でっ!
●POW(先制と取り巻き対策)
『先制攻撃』で『オーラ防御』と『属性攻撃(旋風)』込めた『一斉射撃』の『砲撃&弾幕』を『範囲攻撃』で放ち
それを盾に『盾受け&ジャストガード』で敵の先制UCブレスを散らし
取り巻きも攻撃しつつ『空中戦&推力移動』で駆け『第六感』で『見切り』『残像』で回避
隙みて『早業&大食い』でUC発動
『属性攻撃(旋風)』込めた『オーラ防御』張りながら
わたしの身長三倍の【沖膾光剣化したプラチナ鉱石】で『怪力&2回攻撃』で『範囲攻撃&切り込み』一閃をカルロスに
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
*
「世紀末に、触手大陸。其の次はベルセルクドラゴンと来ましたか……」
もうもうと立ち込める硝煙の香りの中、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は呟く。手持ちの銃器を総動員して広範囲を一斉射撃した其の煙、脆くも頼れるビスマスの盾である。
「ええい、小細工を…!」
苛々と呟いているのはカルロスである。思考力を弾丸で阻まれて苛立っているのだろう。しかし、直ぐに其れは来る。ビスマスだって判っている。鎧から放射される――凶暴化ブレス!
しかしお互いに、もう一つ判っている事がある。この靄でブレスは散らされてしまう事だ。向こうも当たるとは思っていない。……超思考力相手の読み合い。ビスマスの額を汗が滑り落ちる。
不意に唸り声が聞こえた。古竜だ……! ビスマスは咄嗟に空中に駆け上がる。彼女がさっきまでいた場所を骨となっても隆々とした爪が引き裂いていく。一、二、三。避けられたのは勘のおかげに近い。見切り、残像を見せる事で古竜を惑わし其の凶刃を避ける。
「――今! プラチナさん、力を借りますよ!」
ビスマスの“今”と、カルロスが自ら走り込んできたのは同時だった。生成した剣(秋刀魚のなめろう味である。美味しい)を口の中で噛み砕き、ビスマスもまた竜を纏う。其れは帝竜プラチナ――沖膾光剣化した希少金属を展開した白金の竜装態である。
「……互角とはいかなくても……! これで! 行きます!!」
「小癪な……! 帝竜の紛い物を纏うか!」
白金鉱石の沖膾光剣をビスマスが振り下ろす。其の長さは彼女三人分。一帯を薙ぎ払う其の一撃を、カルロスは拳で受けるほかなく――
悲鳴が一つ。ずどん、と鉱石が大地に突き刺さるような音がした。
大成功
🔵🔵🔵
エスタシュ・ロックドア
【骸と羅刹】
シンディーちゃんに【騎乗】【運転】
椋をタンデムさせて【ダッシュ】
敵陣に突っ込む
骨に関しちゃお前の右に出るものはいねぇからな
任せたぜ、相棒
ボスは俺がやってやらぁ
椋のヤツぁ骨を愛しこそすれ敵意はねぇ、
親玉に至っちゃ欠片程も興味がねぇ
っつーわけで先制攻撃は【激痛耐性】【呪詛耐性】で耐えつつ、
俺が一手に受ける
どれだけ深手を負おうとも、
アクセル握って回せてりゃ、
俺を阻むものは何もねぇ
血の代わりに青い業火垂らしつつ『結開友誼』発動
強化した【怪力】でフリント振るってカルロスに【重量攻撃】
バイクの勢いも乗せて【なぎ払い】【吹き飛ばし】だ
生命力吸収でさっきのダメ―ジ分、返してもらうぜ
六島・椋
【骸と羅刹】
骨(かれ)らが大勢いると聞いた
王だかなんだか知らないがそっちには関心が無い
なんで、相棒に任す
骨らが得るべき安息を得られるように
今は敵とはいえ、敬愛を以て対そう
UCを使いつつ人形たちにも協力してもらい、
古竜の体を解体させてもらいにかかる
(【二回攻撃・早業・範囲攻撃】)
竜種の骨格は知っている
実際に戦ったことも、この手で触れて調べさせてもらったこともある
脆い場所は、よく知っている
痛みはある程度は無視できる(【激痛耐性】)
まずは足など動きに関する部分から始め、
ひたすらに解体を行わせてもらう
なるべく相手に傷は残したくないところだが
嗚呼、美しき骨(きみ)ら
得るべき眠りを得、どうか、穏やかにあれ
*
六島・椋(ナチュラルボーンラヴァー・f01816)は、骨を愛している。軽視せず尊び、彼らより愛しいものなど存在しない。だから、骨の竜がたくさんいるというこの島に来た。――という事を、愛機シンディーちゃんに彼女を乗せて走るエスタシュ・ロックドア(大鴉・f01818)はよく知っている。だから、王の相手は彼がせねばならぬ。全くもって厄介で飽きない相棒だぜ、とエスタシュはため息交じりに笑った。
一気に敵陣に走り込んできた2人。古竜の傍に椋を下ろすとエスタシュは一気に走り出す。
「竜の傍に……? 生贄のつもりか?」
「いいや! あいつはお前よりあっちに興味があるんでね!」
アクセルと一緒に、カルロスへの敵意を燃え上がらせる。椋は骨に敵意を持たない。カルロスに至っては興味がない。故に竜のオーラを受ける可能性はない!
「っぐ……!」
アクセルを握る。これさえ出来ればエスタシュを阻むものはない。オーラが身を裂き、青い業火が落ちる。
「――ああ、動かないで。肋骨が折れる」
主の元へ向かおうとする古竜を、椋が的確な骨を押さえて留めた。傍には“人形”と呼ぶ愛しい骨の助手。敬意をもって、しかし速やかに、古竜の骨をパズルをバラすように一つ一つ外していく。
竜種の骨格は知っている。実際に戦ったことも、手で触れて調べた事もある。脆い場所はよく知っている、失敗はしない。
竜は勿論抵抗する。牙で、爪で、椋を傷付ける。けれど彼女は動じない。爪を捧げ持ち、外し、己の横に丁重に置く。一体ずつひたすらに解体していく。傷付けたくはない。ただ骨を骨として愛し、あるべき眠りに就かせたいだけ。
一方、血液すら許されない獄卒。
ユーベルコードにて黒い霧を纏った彼はさながらゴーストライダーである。傍を飛ぶのは骨の椋鳥。友と共に真っ直ぐカルロスへと突っ込んで、重量に任せてフリントをブン回した。其の威力は火の粉を散らすなどというものではない。火すら起きない。飛ぶのはただ血飛沫だけ……!
「おおっ……!」
カルロスの身軽な体躯はいとも簡単に吹っ飛ぶ。高速思考による戦闘用の体が仇となったか。敵の両腕がひしゃげた手ごたえを片腕に、エスタシュはこれで終わりとは思っていないけれども、相棒はどうなっているかと横目に見た。
「――って、お前血だらけじゃねえか!!」
「? 爪が時々刺さるから」
「じゃなくてな! ああもう、一旦撤退だ撤退!」
「まだこの子の解体が……」
「後でな!」
全く、手のかかる相棒だ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
(予兆で図らずも視てしまった王と奥方の言葉を踏まえると、騎士として好感は覚えない…とは嘘になりますが)
この世界の、他世界への侵略の野望阻む為…
五の王杓、折らせて頂きます、王よ
マルチセンサーでの●情報収集で鎧表面の温度変化やエネルギー反応からブレス発射タイミングを●瞬間思考力で見切り
逃げ場を塞ぐ為に迫る白骨竜の体躯にワイヤーアンカー射出
脚部スラスターの●推力移動とロープワーク併用し足場として●踏みつけ跳躍し回避
一対一での拝謁を賜りたく!
UCの発振器を戦場に●投擲
力場平面で王と自分を閉じこめ、竜を締め出す決闘場構築
内部への放電で王を弱らせつつ接近
剣盾の近接攻撃で一気に攻勢仕掛け
*
「この世界の平和を取り戻す為……他世界への侵略の野望を阻む為……五の王笏、折らせていただきます。王よ」
「ふむ。やれるものならば。我はカルロス・グリード。これよりお前を打ち倒すものである」
「トリテレイア・ゼロナイン。一介の騎士にて」
言葉を交わす間にも、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)のマルチセンサーは敏感に鎧の温度を察知している。既にかなり温度は上昇している。あとは王の意志一つ、というところだろう。
「騎士、か……生憎我は決闘の作法を知らん。許せよ――!」
鎧からブレスが放たれる! トリテレイアはすぐさま、カルロスの傍に控えていた竜の骨の体に向けてワイヤーアンカーを射出した。脚部スラスターの噴射で加速、一気にブレスの射程から抜け出し跳躍する。着地点は骨の竜。ワイヤーを回収しながら骨を踏み砕き、更に跳躍、カルロスの横合いに着地すると、指の間に仕込んでいた“其れ”を己とカルロスを囲うように投げ放った。
「―― 一対一での拝謁を賜りたく!」
「我を相手に一対一とは! 騎士とはかくも命知らずか!」
杭状の発振器が防御障壁を形成する。踏みつけられた竜が怒りでトリテレイアへと突撃したが、防御障壁にぶつかり四散した。硬度は十分か。
カルロスが身軽な動作でトリテレイアに肉薄する。其の拳を一撃、二撃、と盾でいなすトリテレイア。盾を持つ手が其の攻撃の重さを感じて震えた。流石は竜の鎧といったところだろう。
一方でカルロスは、違和感に眉を寄せていた。思ったより速度が出ない。振るった拳は思うより遅く、軽い。其れでもトリテレイアの命を刈り取るには十分だが、……何か仕掛けがある。そう思った時、一気になだれ込んできた衝撃にカルロスの拳が凍った。
「ぐっあ……!?」
筋肉が硬直する。こればかりはカルロスの竜の鎧も役に立たず、明確な隙となった。トリテレイアは其れを逃しはしない。手に持った剣でカルロスの鎧ごと胴体に剣を滑り込ませ、切り裂く。
「貴ッ様……!!」
「騎士が小手先の罠を使わないと思わないでいただきたい、王よ。確かに私は“手袋を貴方に投げはしました”が、正々堂々とは一言も――言っていないのですよ」
大成功
🔵🔵🔵
ナイ・デス
ベルセルクドラゴン、古竜の骨……群竜大陸のあの骨を思い出しますが、ユーベルコード軽減の力は、ないでしょうね……?
まぁ、あったとしても……脆いのなら!
彫像の塊「ダイウルゴス」の中、視界は0
【第六感】で感じるままに【念動力】で動かして
光を噴いて【推力移動】そのまま、突っ込む!
【重量攻撃】攻防一体の単純な質量攻撃で砕き、カルロスさんへ
【武器改造、継戦能力】彫像の塊という群体。合体の組み換えや「聖なる光」での再生で隙間なし
ブレスを遮断
できなくても【覚悟、激痛耐性】どんなルール宣告されても、私は、死なない。私の、すべきことを
帝竜の力には、帝竜の力!
『リベレイション』
竜人型となって、殴りとばす!
*
「古竜の骨……」
ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)はカルロスが纏う竜の根源となった大陸、其処にあった骨を思い出していた。が、ユーベルコード軽減の力があるとは聞いていない。あったとしても、竜が脆いのなら……そう考える彼は彫像の塊“ダイウルゴス”の中だ。視界はゼロ。カルロスがどんな顔をしているのかすら判らない。
「ほう、竜の猟兵か……この鎧を試す甲斐がある」
ちがいます。ごめんなさい。ちがうんです。ナイは心中で謝ったが其れがカルロスに伝わる事はない。
「だが残念だ……此処で猟兵の悉くは打ち砕く!」
「やってみて下さい……出来るものなら!」
頼りは第六感。動くには念動の力が要る。だが、其れでいい。相手のブレスで彫像が削れ、しかしすぐさま再生するのを感じながら一気にカルロスに突っ込んだ。
「うおっ……!?」
ブレスをかき消して、ダイウルゴスの群体が砕ける。ナイの姿が露になって……改めて見たカルロスの顔は、驚きに目を見開いていた。
「私は、ナイ、です……! 貴方を、倒します!」
「紛い物が……! やれるものなら!」
カルロスは強い。ダイウルゴスの群体を振り払うとナイが着地する前に接敵、其の痩躯を一気に殴り飛ばす。
――重い。痛い。でも、私は死なない身体だから。
本体が不明のヤドリガミだから。だから、死なない! 前に進むんだ!
「“リベレイション”!!!」
ナイの体を黒剣とダイウルゴスの彫像が覆っていく。鋼の鎧を纏い、着地するナイ。超低空飛行で今度はこちらがカルロスに接敵、黒剣を振り下ろした。――が、流石は超思考力というべきだろう。片腕で其れを防ぐカルロス……!
「ユーベルコード軽減の力は、ないみたい、ですね……!」
「ぐぬ……!」
腕と剣のつばぜり合いのまま、ナイは飛翔する。時速数百キロを超える其の速度は剣の重さを増して、カルロスの腕を削り、削り……斬り飛ばした。
「……!」
「まだまだ、いきますよ!」
飛翔してそのまま、ナイは両手にしっかりと握った黒剣…ではなく、拳を思いっきりカルロスに向けて振り上げた。
大成功
🔵🔵🔵
ルヴトー・シフトマン
強者であるかどうかは、匂いで分かる
これまでのカルロスの中でも、一番戦闘能力に秀でているんでしょう
相対すだけで異様なまでの重圧を感じますから
だけど、負けるつもりは毛頭無い
最初から全力全開…竜の姿で来るはずだ!
──未来が、視えた
異常な速度で天狼を粉砕される、ビジョンが見えた
だけど見れたなら、【見切り】が出来る
カルロスの接近からの必殺の攻撃に、『怒涛』を合わせる
【早業】で素早く掴んで、衝撃を受け流すように背負う
竜を相手にこんな真似をするなんて、思いもしなかったけど
だけどやれると思えば、やれるッ!!
竜の力をが流れる方向を定めて、何十倍にも増幅させ──竜を地に投げ落とす!!!
先に進むのは、この俺だッッ!
*
普段のルヴトー・シフトマン(ズレた時の中で・f31792)は、2秒遅い。人より2秒だけ遅い体感時間の中で生きているから、友人から呆れられる事もままある。
けれど、戦闘時のルヴトーは違う。2秒速くなる体感時間、其のズレる瞬間には未だに慣れないが――其れは一種の未来視となって彼を援ける。そして今回、きっとこの時間に助けられる。そうルヴトーは確信していた。強者であると匂いで判る。竜の力を纏ったカルロスは、これまでの彼の中でも恐らく最も戦闘能力に秀でているのだろう。
相対しているだけで「重い」。逃げ出せるものなら――いや。負けるつもりは毛頭ない。勝つのは俺だ。
「……腰が引けているのではないか?」
そうカルロスが言う。いいえ、とルヴトーは返した。
「俺は逃げたりしません」
けれど、彼には見えていた。愛用のキャバリアが粉砕される未来。――でも、見えたなら。
「そうか」
カルロスはそうとだけ返すと、まるで衣を翻すようにドラゴンの姿を取り、キャバリアへと真っ直ぐ突っ込む。
このままでは粉砕される。けれどルヴトーには見えたのだ。見えたなら、見切れる。其のタイミングさえ判るなら……!
カルロスの凶爪がルヴトーに迫る其のコンマ数秒で、キャバリアがカルロスを“掴んだ”。
「……な!」
「種明かしは……しねぇぞ……!」
竜を相手に戦うなんて、思ってもみなかった。正直、怖い。のかもしれない。身体の震えが止まらないのは、果たして怖さゆえだろうか。
でも。だけど。やれると思えばやれない事なんて、今まで一つだってなかったんだ! 死にそうな目にあっても、恐ろしい目にあっても!やれると思えばやれるッ!
「おおおおおおおおッ!!!」
竜の力の流れを、掴んだ手で増幅させる。
其れはコンマ数秒の攻防。第三者からすれば一瞬にも満たない間の出来事だっただろう。2秒先の未来? 今はそんなものはいらない。未来なんて判り切っている。
――先に進むのは、この俺だッ!!!
掴んだ力を何十倍にも増幅させて、ルヴトーはカルロスの身体を大地へと叩き付けた。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
敵の先制は【激痛耐性】を乗せた【オーラ防御】を纏い
【高速詠唱】で氷魔法の【属性攻撃】
魔力放出し続ける事で即席の氷の盾を生成し続け
少しくらいの負傷は気にしないよ
流石にちょっと疲れたかな
でも休んでる暇はない
終わったら好きなだけ遊べばいいんだから
島内なら飛べるよね
【空中戦】で羽ばたきながら
足元に【破魔】を宿した★花園を生成
空中では根を張れなかった花々はシャワーのように舞い落ちて
古竜達を【浄化】し足止めを
綺麗でしょ
この空も、海も
僕の大好きな景色
絶対に奪わせないよ
僕も貴方と同じ
愛するものの為に
【指定UC】を発動
戦場を破魔で満たし
高速詠唱から光の【全力魔法、範囲攻撃】を撃つよ
古竜諸共、眠らせてあげるために
*
「綺麗だよね、この空も海も」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はカルロスに語り掛ける。
「僕の大好きな景色だ。だから、絶対に奪わせない」
「……奪う、か。美しいからこそ、奪いたくなるものだ」
「其の点については相容れないか」
澪は苦く笑う。そうして己にオーラを纏わせ、氷の盾を作り出す。
「相容れては困るだろう? 我々は敵同士だ。そもそもが歩み寄れない。だからこそ戦うのだ――!」
そうだろう、と言いたげにカルロスがオーラを放つ。其れは澪の敵意に向けて放たれる。君も我を敵だと思っているのだろう? だから逸れないのだ。そう言いたげに。
オーラを防ぐのは氷の盾。其れは瞬く間に融解するけれども、澪の魔力ですぐさまに再生する。僅かにあふれたオーラが澪の肌を傷付けても、澪は動かない。
「……ッ!」
オーラが減衰し、終わりを悟った澪はすぐに飛翔する。――少し、疲れているような気もする。でも休んでる暇はないんだ。終わったら好きなだけ遊べばいい。
彼が飛び立った後には花園が広がっていた。花弁が汐風に舞う。其れは浄化の光を呼び、光は美しい花を呼んで、――気が付けば周囲は楽園に変わっていた。カルロスは恐ろしさを感じた。楽園は悪を許しはしないからだ。他世界へ侵略へ向かおうとする彼を、楽園は許さない。破魔の光が降り注ぎ、カルロスと古竜たちを灼く。古竜の未練が浄化され、骨は静かに横たわり、物言わぬ骨という物体と化す。
「僕は……僕が美しいと思うものを、守る」
澪が光を放つ。其れは破滅を呼ぶ光。決して悪しきを許さず、逃げる事も許さない。カルロスは其の光に呑まれ――花園へと倒れた。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
……「シンプルに強い」
ただそれだけが、とことん厄介なんだよな
特に俺みたいな小細工上等の野郎にとっては、さ
手練手管をフィジカルで全部潰してきやがって
そっちがその気なら、付き合ってやる
オーラ飛ばしてくるんだろ?
サイバネオール【ハッキング】、出力オーバーロード
【ドーピング】でペインキラーとコンバット・ドラッグ摂取
【リミッター解除】と【限界突破】の併用で、被弾面積を抑えつつ痛みを殺して耐え抜く
受けても腕1本くらいなら、安い
──今の技、しっかり覚えたぜ。
セット、『Dead Copy』
この負傷ぶりならダメージは高いぜ
お前の強力なオーラが5発…3発は古龍潰しに回し
残りの2発はテメェにぶちこんでやるよッ!
*
このカルロス・グリードは、シンプルに強い。
其れが己とどれだけ相性が悪いのか、ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)は痛いほど知っている。彼は策を弄し手練手管に搦手を重ねて敵の脚を掬うタイプだ。其れがこの相手には“通用するか判らない”。単純に力で叩き潰されてしまうかも知れない。
いいぜ、とヴィクティムは唾を吐く。力で叩き潰して来るなら、其処に毒針を仕込んでやろう。拳ですべてを打ち破って来るなら、幾つだって鋼の糸を仕掛けてやる。やってやるよ、付き合ってやる。
口に2錠、薬を含む。痛みを殺し、脳機能のリミットを解除する。眠っている9割を解放してやる、其の代償は決して小さくない。
笑ったカルロスがオーラを放つ。其れは果たしてオーラなのか? ビームともブレスとも呼べる其れは確実にヴィクティムの敵意をホーミングして彼を狙い撃ちにした。――まあ、狙い撃ちも何も、今回の彼は真正面に立っているのだが。
痛い? 痛みさえ判らない。痛み殺し(ペインキラー)のお陰か。肉体が損傷してゆく。肋骨は当然折れた。何本か数えるのはやめた。腕もやられた。二の腕の骨が音を立てて粉砕した気がした。意思に逆らって口から血液が溢れる。其の温度さえリミッターを外された脳は判別する。
まだ斃れぬか。そうカルロスが言っている。矮躯かと思えば意外と丈夫よな。
生憎な。そう、ヴィクティムは答えた気がする。思考を別の所でフル稼働させているから、巧く答えられたかは判らない。
――解析完了。模倣の為のエネルギーは十全。
「今の技」
今度ははっきりと、ヴィクティムは発音した。
「しっかり覚えたぜ」
「……何?」
「ご自慢のオーラ、ありがとよ。今度はテメェがこれを味わう番だ」
何せテメェも、俺に敵意を抱いてるんだもんな?
ヴィクティムがそういった直後、カルロスの周囲で古竜が一斉に砕け散った。御大層なオーラだ。たったの数発で古竜が一斉にサヨナラだ。
――逃げるなよ? とっておきだ、テメェにゃダブルパンチをくれてやる。攻撃力はよーく判った。其の鎧の防御力を試させてくれよ。なあ?
大成功
🔵🔵🔵
ハイドラ・モリアーティ
【BAD】
コスプレじゃん
いやそこまで行くとコスプレだよあんた……
大変だね、王様もさ――
ブレスならあえて受けるさ
【ξενογλωσσία】
わァーざわざ狂暴化させてくれてどォオもありがとォッ!!
ひひ、ひはははッ――ああ?ァんだって?
なァに命令してンだかわっかンねェ~~~よオッサン!
口がくせェンだわ
コードも、言葉も、お友達も
全部全部俺の魔術で「分解」
バラバラになっていくだろォ
真っ白な骨は灰に、あんたの言葉は不明瞭に、ブレスは俺たちに届く前に霧散する
いンやァ普段は使わねえンだけど
あんたが狂わせちまったから
優しくできねぇよ――なァエコー?
さあ、ぶち壊しやすくしてやった
ぎひひ、ひひはははッ
ぶっ殺しちまえ!
エコー・クラストフ
【BAD】
海を騒がす馬鹿共の親玉がお前か
まぁ、なんだろうと構わないよ。お前も、お前が集めた連中も、皆殺しにしてやるからな
凶暴化ブレス、ね
だがその先の「ルール」は、そもそもルールを知らなければ破りようがないわけだろ?
ブレスを食らうと同時に両耳の鼓膜を破る
これでお前のルールは聞こえない。残るのは凶暴化したボクとハイドラだけだ
しかし物好きだな。ボクは元々オブリビオン相手には凶暴だが……その先が見たいって?
あぁ、見せてやるよゴミ共
どんな攻撃だろうが古龍だろうがボクを止められはしない。ボクは死なない身でね
傷を厭わず突撃し、必ずお前まで接近するさ
負傷も威力も十分だ。さぁ――【罪人よ、血を流せ】
*
「コスプレじゃん」
ハイドラ・モリアーティ(冥海より・f19307)は最早呆れかえるしかなかった。お前が分身したのって8つだっけ? 其の全員が別の服を着てるって? コスプレじゃん……大変だな、王様も。
「あれが海を騒がす馬鹿共の親玉か」
どうでもいいけど馬鹿そうだな。エコー・クラストフ(死海より・f27542)は呟く。だよなァ、とハイドラは同意せざるを得ない。
「随分と失礼な物言いのレディたちだ。竜を目の前にしたことは?」
「うるせェよ。“俺がそう”だ」
「成程。では――竜のブレスを受けた事は?」
カルロスは容赦しない。例えレディであろうとも。鎧から放たれたブレスが2人を直撃する。さて、ルールは何にするかな? 簡単なものほど良いだろう。例えばそう、「動くな」とか……
―― きぃん…
耳に熱が灯った、とカルロスは思った。何が起きたか判らなかった。目の前にはエコーがいて、其の白い指先から血が滴っている。彼女は――歩いてきたのか? ブレスの中を? そんな、
「そんなばかな」
呟いたつもりだった。だが、カルロスの耳には届かなかった。鼓膜を破られているから、己の声さえ彼には届かなかった。そう、ハイドラの哄笑も。
「あーっはっはっはっは! わァーざわざ凶暴化させてくれてどうもありがとうございまァァすッ! あ? 何か言った? 聞こえねェんだよオッサン!! 口がくせェし耳も血腥ェんだわ! あ、血腥いのはエコーがやったんだっけ? じゃあいいや。しょうがないね」
「お前のルールは通用しない。お前が喋れないから。舌を切っても良かったけど、こっちの方が簡単だ。――皆殺しにしてやるよ」
「いィ~~~~~ねエコー! 皆殺し! そそる言葉だよなァ」
ハイドラが指を振るえばほら、可哀想な骨の竜はあっというまにバラバラ。三半規管をグラグラさせてフラフラなカルロスの不明瞭な言葉もバラバラ。万能の指がすべてを分解していく。
「しかし物好きだ。ボクは元々オブリビオン相手には凶暴だが……その先が見たいなんて。ゴミ共にしては見上げた精神だね」
「舞台は十全! ぶち壊しやすくしてやった! ひひひ! あはははッ! エコー、ぶっ殺しちまえ!」
「ああ」
エコーが刃を振り上げる。彼女は効率を尊ぶ。ならば、首からまず切断すべきだろう。身体の損傷は軽くないが、既に死んでいる身には関係ない。
オブリビオンは生きているだけで罪人なのだ。ならば血を流し、贖ってみせろ。
ざくん。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵