羅針盤戦争〜賞金首ハンターに、俺はなる!
●とにかく金が欲しい奴ら
蒼海羅針域は彼らには大きすぎた。その価値を理解する能も無い。ただ誰かが何かで声を上げて、ついていけばお宝にありつけそうとか、何かの拍子で大物を小突けば名を上げられそうとか、他人と運に任せたしょうもない者達だ。
その彼らはとうとう蒼海羅針域の突破を諦める――が、中途半端な欲望と覚悟に燃える野心はまだ尽きていなかったのだ。
賞金首、そう、賞金首だ。もう百を超える手配書を見た。日々上がっていく賞金額は、彼らに果てしない夢を抱かせる。高額であればあるほど、討ち取った時に馳せる名は大きい。
そうして堪らず船を出し、艦隊を組んで猟兵達の船に襲い掛かろうとする彼らは――ドロップアウト・ルーキーズ。
●蒼海羅針域・第二の戦い
「蒼海羅針域に関して、敵に動きがありました」
ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は新たな一報をグリモアベースへともたらした。
「皆さんの日々の頑張りのおかげで、蒼海羅針域破壊という危機の第一波は退けられたと言っていいでしょう! ありがとうございます! ですが、これを受けてコンキスタドールの中で、蒼海羅針域ではなく私達猟兵の撃破を目論む動きが出てきたことが明らかになりました!」
今や立派な(?)賞金首となった者も多い。羅針盤戦争の大局を見ることなく、ただ己の欲のために猟兵達へと襲い掛かろうとする者達も出てくるだろう。
ロザリアが視たものは、まさにそういう者の存在だ。
「私が確認したところでは、『ドロップアウト・ルーキーズ』が乗り込んだ艦隊が一つ、海域を航行して猟兵の皆さんが乗る船を狙っているようです! 聞いたことのある敵ですね! やっぱりどうしようもない人達です!」
猟兵達の船を発見すれば、一目散に向かってくることだろう。ならば避けるか? そんなバカな。
集団で粋がる小悪党など、思い切り蹴散らしてやればよいのだ。
「なので皆さんには、この艦隊を叩きに行っていただきたいです。ですが注意点がありまして、この海域は飛行や転移が阻害されてしまうので、戦い方にはちょっと注意が必要かもしれません。また、『邪剣』ピサロ将軍が逃走に成功した場合、この残存勢力を連れていってしまうようなので、そうならないようにきっちり倒しておくことが大事ですね」
まだ見つかっていない本拠地を探し出すためにも、戦力をとにかく削っていく。それが大事なのだ。
「戦争も折り返しになりましたが、まだまだこれからという感じもしています。気を緩めず、しっかり対処していきましょう!」
沙雪海都
沙雪海都(さゆきかいと)です。
本拠地を暴くために、いざ出撃です。
●フラグメント詳細
第1章:集団戦『ドロップアウト・ルーキーズ』
海上は飛行や転移が阻害されるので、うまい立ち回りを何かしら考えておくといいと思います。
敵については……物理でどうにかしようって輩かと思いますので物理でも魔法でも何でも当ててください。
●MSのキャパシティ
戦争ということもありますので、全てのプレイングを採用することが難しい場合も出てくるかもしれません。
その際はご容赦頂きたく、また戦争期間中はシナリオ運営を継続して参りますので、採用に繋がらなかった方については次の機会をお待ちいただければ幸いです。
合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
でも複数採用リプレイとかは気まぐれで書いたりするのでソロ希望の方は明記しておいてください。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『ドロップアウト・ルーキーズ』
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POW : 初歩的な斬撃
【大剣】が命中した対象を切断する。
SPD : 未熟な第六感
【山勘で】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 軽率な限界突破
【闘志】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
イラスト:ももんにょ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
火土金水・明
「海上は飛行不可ですか。だったら、水の上を動きますか。」(【水上歩行】の技能で、海の上を歩きます。)「とにかく、相手を全滅させないといけませんね。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【新・ウィザード・ミサイル】を【範囲攻撃】にして、『ドロップアウト・ルーキーズ』達をを纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。
●海上に八重が咲く
海は広いが空駆ける翼はご法度だ。なれば、海を駆ければよいと、
「海上は飛行不可……だったら、水の上を動きますか」
敵艦隊を前にした火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は鉄甲船から海の上へと降り立った。広がる波紋。不思議と沈まないのは猟兵の為せる業だ。
「とにかく、相手を全滅させないといけませんね」
それこそ「腐る」ほどドロップアウト・ルーキーズは存在するわけだが――明は新たな力を携えて敵に向かう。
「全ての属性を収束し――」
明の眼前に展開するは八重の魔法陣。それぞれは炎、水、土、氷、雷、光、闇、毒という、明が扱う全ての属性を司る。
「おい! あれやべぇんじゃね!?」
明の存在は、その巨大な魔法陣によりドロップアウト・ルーキーズ達にも感知された。魔術の心得を全く持たない彼らでも、行く先に広がるものが魔術を行使するための魔法陣であることくらいはわかる。
海上に出現した巨大な砲台だ。魔法陣はそれぞれがくるくると右、または左に回転し、魔の息吹を感じさせる。
「大丈夫だ! あんなの、なんてことねぇよ! 何か飛んできたら打ち返して、驚かせてやろうぜ!」
だが真実を知らぬが故の蛮勇か。ドロップアウト・ルーキーズは闘志を燃やし、打ち返すなどと意気込んだ。それにより一時的な限界突破は見込めるが、明の前にどこまで及ぶか。
「今、放つ!」
押すように突き出した明の両手から白い無数の魔法の矢が放たれた。それは八重の魔法陣を通り抜けるうちにそれぞれの属性に染まり、八色の虹となってドロップアウト・ルーキーズ達へ襲い掛かった。
打ち返す、という言葉の通りに大剣を構えていたドロップアウト・ルーキーズ達。だが魔法の矢はかくかくと空中で曲がりながら飛び、彼らのタイミングを外していた。
ぶん、とバットのように強引に振り回される大剣をするりとかわして、炎の矢が肩に突き刺さる。
「ぎゃああぁぁ!! 熱い! 熱いぃぃ!!」
他方では氷の矢がどすんと腹に突き刺さって、
「うごぉ……こ、凍る……」
熱く燃え上がる闘志が凍え、氷漬けになって転がった。
何が来るかは運次第。だが何が来ても一撃必殺の致命傷になり得る魔法の矢がスコールのように降ってくる。燃やした闘志など嵐の前の蝋燭の炎だ。船の上は阿鼻叫喚、地獄絵図となる。
「生きてる奴はいるか!? いたら何としても生き残れ! んであいつを倒せ!」
傍で倒れた仲間を盾にして、矢が収まるまで耐え忍ぼうとするドロップアウト・ルーキーズ達がいた。どんな手を使ってでも生き残れば光明が見えると信じて。
範囲内の船はいくつも沈んだ。まだ生きている者が海上で助けを求めているかもしれないが、残った船にいる者達には救いの手を差し伸べられない。
そんな暇はない。倒すべき相手がいる。残ったドロップアウト・ルーキーズ達は仲間の亡骸を脇へ転がして立ち上がる。
さぁ、反撃の狼煙を上げるぞ――と息巻くが、彼らの目に映ったのは、止んだと思われていた八色の光。
絶望だ。スコールとなるほどの物量が、まさか二回も飛んでこようとは。
標的となるべき者達は数を減らしている。すなわちこれは、絶対駆逐の矢。仲間を盾にしたところで到底逃れられるものではない。
「来るな……来るなあぁぁぁっ!!」
絶叫の中で振る大剣に当たる的などあるはずもなく。今度は豪勢に、ドロップアウト・ルーキーズ達を三方から射抜く。
「あぁ……ぐる、じ……」
毒にやられた者は甲板を掻き毟りながら息絶え、闇に飲まれた者は肌を青黒く変色させて倒れた。船は燃え上がり、また船体を割られて海中に消えゆく。
「それなりの数は倒せたでしょうか。これで他の人が少しでも楽になれば」
常に思うのは仲間達のこと。まだ力は使い果たしていない。明は新たなる敵を求め、海上を彷徨うのだった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
やっぱり皆お金なんだねー
僕は全然興味無いからよくわかんないけど
【高速詠唱】で★靴に風魔法を宿して跳躍力を強化
跳べない分【ダンス】の要領で船上を跳ね回ったり
敵の船と行き来したりで戦おうかな
万一落ちても靴に宿した風と水面との反発で【水上歩行】を
特技は接近戦?
残念僕は遠距離型
敢えておちょくるように声かけつつ
氷魔法の【属性攻撃】で敵の足場を凍らせることで滑りやすく
その状態じゃ狙いも定まらないでしょ
更に【催眠術】を乗せた【歌唱】で判断力を低下
挑発という名の【誘惑】でのせてみる
避けられるなら避けてみれば?
光より速く走れるならね
【破魔】を乗せた【指定UC】を発動し【範囲攻撃】
お金に目が眩んだ者の末路だよ
●金しか見えない視野の狭さ
金、金、金。
彼らの世界は全て金で回っている。金さえあれば思いのまま。
だから金の生る木がそこにあれば、我先にと飛びつくのだ。
(やっぱり皆お金なんだねー。僕は全然興味無いからよくわかんないけど)
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は執着しない。もちろん生きていく上で金銭が必要になることは知っているが、金には代えられないものもたくさんあることを知っており、そちらのほうが澪にとっては大切なのだ。
「風さん、お願いね」
靴に風魔法を施す。この海域では翼の恩恵を受けられないので、跳躍力の強化を考えた。船上や船間を跳ね回るだけなら、きっと海の神様も許してくれることだろう。
敵艦隊が澪の乗る鉄甲船目掛け速度を上げてきた。
「賞金首だ! 行くぞー!!」
ドロップアウト・ルーキーズ達は大剣を抜いてやる気満々。乗り込んでやろうと船の縁に足を掛ける彼らに、澪は強化した跳躍力を生かしてさらに遠い間合いから敵船に跳んだ。
「特技は接近戦?」
びゅう、と風のようにドロップアウト・ルーキーズ達の間を抜けて敵船に乗り込む。虚を突かれた格好で、ドロップアウト・ルーキーズ達は全く反応できていない。
「残念、僕は遠距離型」
「へへっ、そっちから乗り込んで――」
「えい」
振り返りようやく相対したドロップアウト・ルーキーズ達の前、甲板の上に魔法で一面氷を張った。網を絞るように接近してくるドロップアウト・ルーキーズ達は足を踏み入れた途端につるりと足を取られた。
「だぁ!?」
「うぉっとっとっとぉ!!」
大剣を構えたまま、すてんと尻餅。一度堪えてもその足がまたつるりと滑り、結局どてんと転んでしまう。
一度転んでしまうと再び立ち上がるのも楽ではない。ついた手が滑り、踏ん張った足が滑り、またまたつるつる、見事に転ぶ。
「あー、あー、よし。ふふふ~ん♪ ~~~♪」
それをいいことに今度は歌声に催眠術を乗せて広げていった。ドロップアウト・ルーキーズ達は聞いている暇もないような状況だが、耳から入った音が脳内で勝手に変換されていく。
「避けられるなら避けてみれば? 光より速く走れるならね」
「光より速くだと!? やって……やるぜぇぇぇええ!?」
それこそ光の速さで転げ回っているような連中だった。大した広さもない氷原から、ドロップアウト・ルーキーズ達はまだ抜け出せていない。
『全ての者に光あれ』
「うぉぉおこっち――ぎゃあぁぁ!!」
山勘で適当に動こうとしたが、滑りっぱなしで動けなければ全くの無意味であった。魔を浄化する光は金の亡者を瞬間的に包み込み、消し去っていく。
あれだけ騒がしかったのに、船の上は気づけば小波が聞こえてくるほどに落ち着いていた。
「お金に目が眩んだ者の末路だよ、じゃあね」
無人となった船に別れを告げ、澪はまた次の船に跳んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アリアケ・ヴィオレータ
アドリブ・連携OK
【POW】
「中途半端な覚悟で海に出る奴らにゃ負けねぇ!」
『鉤付ロープ』を使って向こうの船に乗り込んで
《船上戦》と行かせてもらうぜ!
《覇気》のオーラを纏わせた『強靭鰭』と拳で相手に対抗。
揺れる船の上での戦いにゃ少々覚えがあるし、
向こうの攻撃は上手いこと避けたいぜ。
(《船上戦》《足場習熟》技能)
波や他の猟兵の攻撃で相手が体制を崩したら、
その隙を逃さずに拳を叩き込んで【一撃必殺】だ!
「テメェらみたいな奴に、オレの首が取れると思うなよ!」
と声を張り上げて《恫喝》
怯んだ奴を狙ってぶっ飛ばすぜ!
●海に出るのは遊びじゃねぇんだぜ!?
グリモア猟兵の話を聞いている時から、アリアケ・ヴィオレータ(夜明けの漁り人・f26240)は腹にもやもやしたものを抱えていた。
島に生まれ、海に生きる者として物申しておかなければならないことがある。敵艦並ぶこの大海原で、ようやくそれを吐き出せる。
「中途半端な覚悟で海に出る奴らにゃ負けねぇ!」
その声は遥か遠くの敵船にも届いたことだろう。丁度いい誘引剤となってドロップアウト・ルーキーズ達を呼び寄せる。
だが待ち伏せるのは性に合わない。アリアケは舵を握る船員に指示を出し、自ら敵地へ乗り込もうと画策する。鉤付ロープを振り回し、相手の船の舳先へ引っかけるとロープ上をまるで平地のように駆け抜けど真ん中へ。
「テメェらみたいな奴に、オレの首が取れると思うなよ!」
開口一番恫喝し、ぐるりと取り囲んできたドロップアウト・ルーキーズ達を一瞥した。
威勢は良いが落ちこぼれ。戦場経験など片手で数えても指が余ってしまうくらいだ。真の強者の覇気を知らぬ者達は、アリアケの一声で簡単に顔を強張らせる。
当然アリアケは逃さない。怯んだドロップアウト・ルーキーズの懐にすかさず飛び込んで腰の下から思い切り拳を振り上げた。ぐぼんと重く低い音がして、海の男と言うには少々貧弱な体が軽々と空へ打ち上げられた。
「おっ……落ち着け! 全員でかかりゃぁなんとかなる!」
言った本人があまり落ち着いていないような声の震えだが、誰かが声を上げれば追従していくのもドロップアウト・ルーキーズだった。一人が大剣を振り上げれば、二人、三人とアリアケに向かっていく。
だが波に揺れる海の上だ。小刻みに揺れる船体。ドロップアウト・ルーキーズの足は今一つ地についていない。大剣を頭上から振り下ろしてくるが腰が入っておらず、鈍らな太刀筋だ。その点、船上での戦いに覚えがあるアリアケは軽い足捌きで攻撃をかわしていく。
攻撃後の隙は絶好の狙い目だ。大振りの斬り下ろしは当たれば大ダメージの反面、外れれば隙が大きい。アリアケはのめったドロップアウト・ルーキーズの体を腕の強靭鰭で薙いだ。両肩を結ぶように首元を斬り裂くと、背中から襲い掛かろうとした別の相手の後ろへ更に回り込むように身を翻し、今度は薄っぺらな背中を引き裂いた。
「所詮! 落ちぶれたモンじゃ! 数がいても! こんなもんか!?」
一声ごとに数体を殴り飛ばし、斬り伏せて。彼らの軟弱さを嘆き終えた頃には、船の上にはもうアリアケ以外に立つ者はおらず。
「まったく、準備運動しに来たわけじゃないんだぜ、オレは。次の船はもっと骨のあるヤツがいるんだろうな?」
アリアケは鉤付ロープを回収し、次の船を狙う。アリアケの期待に応えられるだけの戦士は、果たしてこの海域にいるのだろうか――。
大成功
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ナイ・デス
『文明守護竜』連続発動済みで、海中からひっそりと艦隊へ近づきます
そして、ざっぱーんと現れる、巨大な竜
手配書で描かれている姿
サイズがわからない手配書
現れたのは、オルキヌスやクェーサービーストにも匹敵するような、巨大な竜!【恐怖を与える】
倍増に倍増を繰り返した【念動力オーラ防御】は、ルーキーズも、艦隊の砲撃も物ともせず
通じても、巨体過ぎて傷ともいえない小さな傷
【継戦能力】それも中枢からの「聖なる光」ですぐに再生して消えてしまい
【重量攻撃】拳一振りで船を沈め
舵きって逃げても、全身から発光の後【エネルギー充填】口から【レーザー射撃】
ばらばらに逃げても全身から【一斉発射でなぎ払う】
大暴れは、楽しいですね
●大迫力の怪獣映画
船上でこれだけ猟兵達が大暴れしているのに、さらに海中から迫る影があるなどドロップアウト・ルーキーズ達は思うはずもない。
新生ダイウルゴスと化したナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)はひっそりと艦隊へ近づいていた。
ナイの浮上に合わせて、盛り上がる海面。押されてその上に浮いている船が次々に傾いていく。
「な、なんだぁ!?」
その姿はどこかの手配書で見た気がした。しかしそれはただ顔写真に金額が添えられているだけで、その者がどのくらいの大きさなのか、ということは教えてくれない。
ざっぱーん、と海を突き破って現れたのは、空に鎮座する太陽にすら手が届きそうなほどの巨体。全体を捉えきれないその姿。ぎろっと瞳が動いてドロップアウト・ルーキーズ達を見下ろす。
「うわぁぁぁ!!」
叫びながら船の上を転がり落ちていく者がいた。それは落ちる恐怖か、巨大な竜を目の当たりにした恐怖か。
まあ、どちらもあるだろう。そのままぼちゃんと海に落ちると、再起不可能なまでに垂直に立ち上がった船はずぶずぶと沈む。
「おらああぁぁっ!!」
ドロップアウト・ルーキーズ達の中にも個体差というものがあるのだろう。ほんの一握りだけ他より勇敢だったドロップアウト・ルーキーズ達が、傾く船を駆け上がっていく。
ああ、無謀。振り上げた大剣を巨体に叩きつけようとしたが、その行く手を半透明のオーラに防がれた。大剣は後方に弾かれ、するっとその手から離れて海に落ちる。
ざぱん、とまた海が持ち上がった。今度は何をしたのか――腕だ、腕を持ち上げた。それで船がまた何隻か激しく揺れて、ドロップアウト・ルーキーズ達は名前の通りにドロップしていく。
その腕を今度は海に突き下ろすのだ。影に入った船は絶望の黒に染まり、べきぐしゃと叩き潰された。海は液体だが、全ての衝撃を逃がしてくれるわけではない。一定以上の速度の中では鋼鉄の壁となり、船を潰すのに一役買っていた。
遠くへ逃げていく者達がいる。結構、結構。身の程を弁えた者達だ。
だが逃がしてやるなどとは言っていない。鱗の一枚一枚がイルミネーションのように発光すると、口から吐き出されたレーザーの如きブレスが海を焼く。
命中した船は原形を留めないほどにバラバラに破壊され、救助を求める声も聞こえてこない。
まさに暴虐の限り。周りで海に沈んでいくドロップアウト・ルーキーズ達の恐怖と釣り合いを取るかのように、ナイは戦いを楽しんでいた。
存分に暴れた。海はちゃんと受け入れてくれて、ひとしきり暴れ終わった後も変わらずゆったり揺れている。
ただしもう、ドロップアウト・ルーキーズ達が乗っていた船は一つとして残っていなかった。
大成功
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