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赤とピンクの邪悪な暗室

#UDCアース

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#UDCアース


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「「「我らが偉大なる旧き神よ……我らが捧げし供物によって再び現世に顕現し、善良なる人々を幸福と安寧に包み給え……我らが偉大なる旧き神よ……」」」
 巨大な暗室の中に多くの人々の掠れた声が響き渡っていた。彼らは皆が皆一様に赤黒く不気味なローブを身に纏い、フードを目深に被っている。暗室の各所に取り付けられた燭台が、血の気の引いた彼らの青白い顔を照らしていた。
「おお、我らが偉大なる旧き神よ……早く、早く貴方様に会いたい……どうか、どうか早く……でないと私は、あぁ……」
「うぐ、う、うう……我らが偉大なる旧き、神よ……お、おぉ……どうか私に、じ、じひ、お慈悲を、を、をぉおおおお……!!」
 彼らは彼らが信じる神に一心不乱に祈りを捧げていた。時折感極まった様に身体をくねらせてみたり、何かを懇願するかの様に頭を地面に擦り付けて嗚咽を漏らしてみたり、と。端から見ればとても奇妙な光景であっただろう。
 だがそんな事よりも余程奇妙な物が、この暗室には存在していた。
 それは暗室一面に描かれた赤い魔法陣と、中心部に積み上げられたピンク色の塊。燭台に照らされ赤黒くぬらりと光る赤色は間違いなく何かの血の色であっただろうし、暗室の中心に積み上げられたピンクは何かの臓物に違いない。
 これが一体何の血で、何の臓物かは知れたものでは無いが。
「まだ、供物が足りぬか……おい、贄を此方に」
「はい」
 祈りの声が響き渡る暗室で、1人の老人がしわがれた声で指示を出すと、背後に控えていた若い男が静かに部屋から出ていく。
 程なくして男は暗室に戻ってきた。全身をロープで縛られ身動きの取れぬ、若い女を両腕に抱えて。
「ここへ寝かせてくれ」
 老人の指示に男は頷くと、女を暗室の中心部、ピンクの塊の直ぐ側に寝かせた。
「あ、あ、ああ……つ、つ、次は私の番だっていうの……? いや、いや、嫌よ……誰か、誰か助けて……」
 悲壮に満ち溢れた声が女の口から漏れる。その両眼は真っ赤に腫れ上がっていたが、既に出せるだけの涙は出し尽くしてしまっていた。
「そう心配するでない、選ばれし贄よ……我らが神は偉大で、慈悲深く、義理堅く、何より人を愛しておる。贄となったお主の魂は、未来永劫我らが旧き神の祝福を受ける……永遠の幸せが約束されるのだ」
 老人は優しげに女に語りかけた。ごまかしや体の言い訳ではない。老人は自分の言う事を正しいと確信していたし、死の恐怖に怯える女をどうにかして安心させたいと思っていた。
「イカれてる……イカれてるわアンタ達……」
「…………」
 老人は悲しげに眼を伏せると、懐から赤い短刀を取り出した。そして躊躇なく刀身を鞘から抜き、振り上げた。
「離して……離して!! 死にたくない!! イヤ!! 家に返し」
 喉笛に短刀を突き刺され、女の悲鳴は血の泡の埋もれて消えた。女の瞳から程なくして光が消えるが、老人は構わず短刀を更に突き立てた。
 突き立て、引き抜き、引き裂いて、抉って、切り取ってくり抜いて刻んで剥がして……。
「我らが偉大なる旧き神よ……誉れ高き贄が今そちらへいきました……どうか、どうか姿を見せて下さい、どうか……」
 暗室の赤は更に鮮やかに、ピンクの塊は少し大きくなった様に見えた。


「よう、お前ら集まったか……UDCアースで事件発生だ。全く胸糞悪ぃ……とあるイカれた集団が邪神サマを復活させようと儀式を行ってるらしい。放置しておけば大分ヤバイ力を持った邪神が野に放たれちまう。全速力で現場に向かい、邪神復活を阻止するんだ」
 グリモア猟兵、フィリス・クロードは集められた猟兵達を前に、事件の説明を始める。
「現場はとある寂れた町の片隅にある廃校、その体育館の中だ。ここではイカれた集団……邪神を崇める邪教徒共が集い、現在進行系でクソ忌々しい儀式を行っている」
 儀式は多くの邪教徒達の祈りと、生贄によって進行する。生贄となるのは当然というべきか生きた人間であり、生贄となった人々は全身を短刀によって原型を留めぬほど解体させられている。
「犠牲者の数は既にかなりの物だ。だがこれで終わりじゃねぇ。体育館に隣接する廃校舎には未だ多くの生贄候補が囚われている。次は自分の番じゃないかと怯えながら、な」
 多くの犠牲を出しているものの、未だ邪神は復活していない。どうにかして儀式を妨害する事が出来れば、完全な邪神の復活は阻止できるだろうとフィリスは言う。
「だが復活自体を止められる段階では無ぇ。余りにも多くの血と、邪悪な祈りが捧げられすぎた……ハア。儀式を妨害する為の手段は……まあいくつか考えられるな。この儀式において重要な点は3つ。邪教徒の祈りと、人間の生贄。そして儀式場に描かれた邪神召喚用の魔法陣だ」
 ひとまずはこれら3つの要素を排除し、復活する邪神の力を削ぐ事が第一の目標となる。
「そんで、奴らが崇めてる『神』とやらだが、これについてはある程度検討が付いてる……恐らくは『灰霞の剣』だろうな」
 『焔を焚く者』という別称も持つこの邪神。かつては人を愛する心優しき神であったのだが、現在は人の肉の味を好む、狂気に塗れた邪神となってしまっている。
「神が発狂か……ハハ、笑えるぜ。面白くは無ぇけどな」
 フィリスは忌々しげに吐き捨て、猟兵一同に目をやった。
「さ、これで説明は終わりだ。現場は大分キツイ状況だろうが、心の準備は出来たか? それともまだか? それならさっさと腹を決めな……仕事の時間だ」


Ric
 どうも、Ricと申します。狂気に塗れた暗室を、皆様の手で粉々に打ち砕いて下さいませ。
 以下補足です。

●体育館
 外部からの光は遮断されており、光源は体育館各所に設置された燭台の灯りのみ。
 中心部には血で描かれた巨大な魔法陣と肉塊が鎮座している。それらを取り囲む様に数十人の邪教徒達が座り込み、一心不乱に祈りを捧げている。邪教徒達のリーダーと思われる老人や、数人の幹部は儀式に滞りが無いか常に目を光らせている。
 体育館の周囲には数人の見張りが立っており、部外者の侵入を拒んでいる。

●廃校舎
 3階建ての廃校舎。2階より上には人は居ないが、1階部分の各部屋には全身を縛られた多くの生贄候補が放置されており、脱走を防ぐための見張りが1階を巡回している。

●邪教徒
 邪神『灰霞の剣』に心酔する人々。その心は既に狂気に満たされており、説得は一切聞き入れない。
 祈りを捧げている邪教徒は短刀を持ち、見張りや幹部の邪教徒達は拳銃やスタンガン、警棒等を所持している。
 全体的に戦闘能力はあまり高くは無いが、死に対する恐怖が希薄で、儀式を邪魔するものを排除する為には自身の命の危険をいとわない。
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第1章 冒険 『邪神召喚儀式阻止』

POW   :    正面突破による邪教徒の撃滅

SPD   :    さらわれた人間が儀式によって殺される前に救出する

WIZ   :    秘密裏に召喚用の魔方陣に手を加える。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

江戸川・律
【SPD】使用
戦闘が苦手な俺…出来るのはかき回す事

◆目的は二つ
①1階の見張りの誘導
②1階部分に捕らわれている人たちを極力逃がす

事前に「情報収集5」で廃校舎の見取り図を調べたうえで
スピードを生かし1階の端の教室に忍び込み
捕らわれている人の口元を押え
「大丈夫、助けに来たんだ…」と
「言いくるめ5」と「コミュ力5」で落ち着かせます

「鏡写しの影法師」で分身を作成
自分は赤黒いローブを
分身には捕らわれていた人の服装を参考に「変装5」を使用
分身を脱走させて
「脱走だぁ!!」と声を上げ
見張りを誘導し、仲間が動きやすいように警備の穴を作り
もし一人二人見張りが残るなら背後から攻撃
上手く排除出来たら、迅速に逃がします


天使・灯夜
「心の準備は出来た。たとえ元神様だろうと邪神の復活なんて許される事じゃない。
今も、囚われて苦しく怖い思いをして居る人達がいる…これ以上犠牲者を出したく無い。」

・行動
出来る限りさらわれた人の救出を優先する。【SPD】

裏口などが無いか探りながら廃校舎内に進入し、物陰に隠れたりしながら足早に部屋を目指す。

障害物があれば破壊か隅に避ける。

自身が猟兵をである事を明かし、拘束を解くのを試みる。

もし見張りに見つかってしまった場合は…さらわれた人の安全を確保。
攻撃され、もし避けきれなかった場合は実力行使する。

「ちいさな事でも、おれに出来る事があればそれをやり遂げてみせる。」


ボアネル・ゼブダイ
(行動選択:WIZ)
まさしく、ヘドが出るほど胸糞の悪い話だな。
一刻も早く捕らわれた人々を救い、この下劣な儀式をチリも残さず消してやろう
まずはこの世界で見つけた技を使わせてもらうか、私の【零れ落ちる深淵】で儀式中央部の肉塊を秘密裏に追跡。
意のままに形を変える粘液なので万に一つも発見されることはないだろうが、細心の注意を払う。
肉塊まで来たら、魔法陣の無効化と・・・そうだな、光るだけとか音が鳴り出すだけと言ったそれらしく作動するだけと改竄しておこう。
見張りを刺激しない位置に隠れて行動する、この学校という場所は潜みやすいスポットが多いだろうからな。
他に参加する猟兵がいるなら其方とも連携を取って行動する


ジェラルド・マドック
目的のために他者を犠牲にする…理解はできるが許せないな。自分が贄になって幸せになればいいんじゃないか?
俺は救出に尽力するよ。[オート]に減音器の準備をしながら[影の追跡者の召喚]で見張り・贄候補の数と位置を確認。1階に空き部屋があるならそこ、無いなら2階の適当な窓から(下手に贄候補に騒がれて意図しない位置バレ防止)侵入(バレずに入れるなら侵入して戦闘。ダメならバレてもさっさと侵入→音で生贄が逃げ出したと思わせて見張りを釣る)。戦闘は拳銃所持してる奴優先でオートで手足を攻撃、多人数に囲まれたら選択ユーベルコードで攻撃・足止めしたいね。途中で意識戻るのも面倒だ、銃身で殴ったり体術で昏倒させる。


ティル・ライハ
うっわ、酷ぇ事する奴等がいるもんだなぁ…。そいつ等に痛い目あわせるのは他の仲間に任せて、俺は救出活動する!
[目立たない]ように見張りの隙をついて[鍵開け]して部屋に侵入、人質怖がってるだろーし安心させねぇとな。で、ナイフで縄切った後ははぐれないように[手を繋いで]行きと同じ様に注意して[救助活動]する!。
あ、もし往復時に見張りに見付かりそうなら、[暗殺……[先制攻撃]しちゃうのも手だよな。その時に[盗み攻撃]で鍵とか色々取れりゃいいんだけど…

『SPD 隠密・救助系技能フル活用して、出来るだけ見付からないように、さらわれた人を第一に考えながら行動』
『場合によっては、見張りへの攻撃も実行』


カペラ・ウィザーノット
恐ろしい話ね…。皆、正気とは思えない。
会場は明かりの少ない体育館…、可能な限り事前の用意はしておきたいわね。

私は事前に体育館の内部の構造を記憶に留めるわ。
ステージで跳ねまわることを考えたら、こんなもの朝飯前ね。
イメージトレーニングは十分、視界に頼らずとも音と気配に配慮すれば十分よ。
室内に入るや否や燭台の灯りを消し、暗闇に紛れるわ。
まさか相手が自ら視界を手放すなんて相手も思っていないことでしょう。

無駄な殺傷に時間を割く必要もないわ。
目標はさらわれた人の救出、ここだけに注力いたしましょう。

…そうね、一つ気を付ける事といえば、魔法陣かしら。
得体のしれないものには触れないようにしないと。


トルメンタ・アンゲルス
なるほど、こいつはあまりに臭い一件のようですねぇ。
いいでしょう、俺らの手でぶっ壊してやろうじゃないですか!

先ずは俺の相棒、宇宙バイクのNoChaserに乗り込んで、正面から突っ込んで行って、勢い其のままに何人か撥ねれれば僥倖!
誰だと聞かれたら答えてあげましょう、「通りすがりの猟兵だ、覚えておきな!」ってねぇ!
勢い其のままに「アクセルユニゾン」で変身!
防御力を強化し、大立ち回りと洒落込みましょうか!
派手に暴れれば、十分な「時間稼ぎ」になるはず!
その間に、俺ほどとはいかないでしょうが(自信の塊)動きの速い方々がいれば、生贄となりそうな方々を助けてくれるでしょう!


屍蝋火・灰人
ふざけんじゃねぇぞテメェら……。
そうやって俺の子も生贄に捧げ――いや、違う。俺の子は生きてる。
屍蝋火・灰人の子は生きてる、この前見ただろう。なんで、なんで……。
……ああ、どうでもいい、殺さないと頭の靄が晴れない。

■行動
「捨て身」で体育館に突貫。見張り役を張り倒し倒した端からゴースト・リボーンで操り片っ端から邪教徒を襲わせる。
「何でこんな事するんだよ。お前ら人間だろ?」
数に押されても「生命力吸収」で回復しながら突貫する。
「ああ、不味い。」
「血だ、血の方が良い。」

アドリブ歓迎です。


守谷・貴一
正直、儀式をぶっ壊しにいきたいが、生け贄に準備されてる人たちをほおってはおけないな、なので、俺は救出にいくぜ。
しかし、普通に救出に行けば生け贄にされる人が巻き込まれかねないな……一応隠れて中の見張りの人数を確認して少なければ(5人以下)持ってるワイヤーフックを使って死角から潜入して3階か2階に潜入して大きな音を出して見張りを誘い出して持ってる銃で手早く片付けて救出に。
大勢いるなら、他の人と協力・連携して救出にあたるぜ、その際には俺が囮になってできるだけ見張りを引き付けるように行動する。




「正直、戦闘は苦手分野だ……だが猟兵の本分は何も腕っぷしだけじゃない……よし、やるか」
 現地に到着した律は、廃校舎の側の物陰に潜んでいた。体育館や校舎の周囲には情報通り見張りが巡回していたが、未だ気づかれてはいない。
 そして律は手にした廃校舎の見取り図を改めて確認する。限られた時間の中でこの代物を入手する事はそう容易では無かったが、そこは流石ジャーナリストといった所か。きっちり時間内に入手していた。
「向かうべきは端の教室……それもなるべく死角の多いルートで行ける場所が望ましい。となると……こっちだ」
 そして律は自身が導き出したルートに従い、一気に廃校舎に接近する。持ち前の素早さも活かし、誰にも気づかれること無く教室の中に転がりこんだ。
「な、アンタは……むぐっ」
 その教室には1人の若い男性が放置されていた。突如姿を表した律に驚き大きな声を上げそうになるが、律はすかさずその口元を抑える。
「大丈夫、助けに来たんだ……落ち着いて行動すれば、きっと生き延びられる」
「…………」
 男は律の態度と言葉に安堵感を覚えたのか、静かに首を縦に振り全身の力を抜いた。そして律は手早く男の拘束を解いた。
「よし……少しじっとしててくれ。あとは……その上着を貸してくれるか? 他の人質を助ける為に必要なんだ」
「あ、あぁ……」
 男から上着を受け取った律は、ユーベルコード『鏡写しの影法師』を発動。どこからともなく律のドッペルゲンガーが姿を表した。
 呆気に取られる男を脇目に、律はドッペルゲンガーに男の上着を着せ、髪型を整えた。即席ではあるが最低限の変装を施すと、ドッペルゲンガーに堂々と教室から脱走させ、大きく息を吸い込んだ。
「……脱走だぁ!!」

「……儀式はまだ終わらないのだろうか……灰霞の剣様の御尊顔を、早く拝みたいものだが……」
 猟兵達が行動を開始し始めた時分。その事を知る由も無い2人の邪教徒が、拳銃とスタンガンを持ち廊下を巡回していた。
「慌てるな。急いては事を仕損じると言うだろう。此度の儀式は決して失敗する訳にはいかぬ。尊き贄の為にもな。その為にも慎重に……」
「……脱走だぁ!!」
「!?」 
 唐突に廊下へ響き渡る大声。男たちが咄嗟に振り向くと、遠目に贄候補らしき若い男が必死に走っているのが見えた。
「クソ、一体どうやって!! 1人も逃がすわけには……」
 ガシャン!!
 男が走り出そうとした刹那、今度は上の階からガラスが割れた様なけたたましい音が響いてきた。
「チッ……なんなんだ一体!! 誰かあいつを追え!! 私達は上の階を調べてくる!!」
 そして2人の邪教徒は必死の形相で階段へ向かい、一気に駆け上がった――。

「……タイミングは完璧だな、多分。これで多少見張りを分断できるといいんだけどな……」
 2階の教室で窓を叩き割った張本人、貴一が独りごちる。貴一はフック付きワイヤーを駆使して密かに2階への侵入を果たしていたのだ。
 そして窓を叩き割った目的は当然ながら見張りの撹乱と陽動。そして音に釣られてやってきた邪教徒の排除である。
「誰だ!! 一体何処にいる!?」
「来たな……」
 貴一は呟き。懐から拳銃を取り出した。銃も弾丸も魔術により強化された、特殊な一品である。貴一はこれを天井に向け、引き金を引いた。
「ここだよ! さっさと来いノロマ共!!」
 するとバタバタと騒がしい足音と共に、2人の邪教徒が貴一の前に姿を表した。
「貴様、一体何者だ!! 贄候補の中に貴様の様な奴は……」
「答える必要は無い」
 邪教徒の言葉を遮り、貴一は迷いなく引き金を引く。強化された弾丸が邪教徒の胸を貫き、そのまま床に崩れ落ちる。
「我らの邪魔をするな!!」
 残るもう1人の邪教徒が貴一に飛びかかる。そのまま貴一に向けスタンガンを突き出すが、貴一はこれを軽く身を反らして避け、スタンガンを持つ邪教徒の腕を掴み上げる。
「遅いぜ」
 そして邪教徒の手からスタンガンを叩き落とすと、鳩尾に蹴りを叩き込む。呻きながらよろめく邪教徒に銃口を合わせ3度引き金を引くと、仰向けに倒れそのまま2度と動かなくなった。
「俺はこのまま囮を続けるか……上手い事皆を救出してくれよ?」
 
「おぉ、我らが偉大なる旧き神よ……どうか我らにお慈悲を与え給え……我らが偉大なる旧き神よ……」
 廃校舎で騒ぎが起き始めていた一方、儀式場である体育館では特に変化なく儀式が行われていた。廃校舎にて異変が起きたことは既に幹部やリーダーの老人には伝わっていたが、それ以下の信者には伝えられていなかったのである。動揺し、邪神への祈りが疎かになる事を恐れたのだ。
 その為体育館周辺に配置された見張り達も、廃校舎で何かが起きていると薄々感じていながらも、持ち場を離れてはいないという状況であった。
「まだ……まだ贄が足りないと仰っしゃりますか……分かりました、それでは更なる贄を捧げましょう……」
 魔法陣の中心に鎮座する肉塊、その側に、1人の少年が寝かされていた。全てを諦めた少年の瞳には絶望しかなく、さっさと終わらせてくれとまで思っていた。
 そしてそんな少年のすぐ側には意思を持った粘液が不気味に蠢いていたのだが、この場にそれを察知出来る人間はいない様だった。

「……まずいな。また1人、生贄の少年が殺されようとしている。早く行かなければ犠牲が増えるぞ」
 体育館近くの物陰に潜む猟兵の1人、ボアネルがそう呟く。ユーベルコード『零れ落ちる深淵』を使用し召喚した粘液を用い、体育館の中の様子を探っていたのである。
「一瞬だけでいいわ。誰かどうにか時間を稼げない? 体育館の外の見張りの気さえ引ければ、私が侵入してその子をこっそり攫い返して見せる」
 自信有りげに言い切るカペラ。カペラは既に体育館の構造は頭に叩き込んでいる。それにボアネルからの情報も合わせれば、スムーズに動くことが可能だろう。
「ついでに私も儀式場へ潜入し魔法陣に細工できるかもしれない……アレは確かに五感を共有できる便利な使い魔だが、流石に私が直接近づかねばどうにも出来ない」
 直接儀式場で騒ぎを起こせば、例え魔法陣に近づくことが出来ても周囲の邪教徒達が必死に邪魔してくるだろうし、少年の命も危ない。最初の一手は慎重に出なければならないのだ。
「なるほど分かりました……そういう事なら俺に任せて下さい!! 最初からドカンと儀式場へ突入する予定でしたが、まずは体育館の周辺の見張りを引きつけてやりますよ!」
 状況を把握したトルメンタは頼もしげにそう言い、相棒である宇宙バイク『NoChaser』に乗り込んだ。
「俺も陽動に出よう……生贄の子供の救出と……魔法陣への細工、だったか……それらが終わったら合図をくれ。すぐに儀式場へ突入する……」
 灰人は仲間たちにそう告げると、黒剣を構えゆらりと体育館へ向かう。それを見たトルメンタも慌ててアクセルを掛け、凄まじい勢いで突撃する。
「……ん? お、おい……あれは一体、なん……」
「おっと失礼! 次からは気をつけます!!」
 宇宙バイクに乗り込み邪教徒へ突撃したトルメンタ。不意を打たれた邪教徒をアクセル全開で撥ね飛ばし、そのまま体育館周辺を駆け回る。
「なん、だ……今のは? バイク……?」
「どうだっていいだろう、そんな事は……これから死に逝くお前にとっては、特にな」
「な……」
 必死の跳躍でどうにかバイクの突撃を避けた邪教徒。しかし立ち上がるも束の間、背後から姿を表した灰人に心臓を刺し貫かれ、血の泡を吐きながら絶命した。
「よし……今ね。儀式場へ入りましょう。すぐに灯りが全部消えるけど、大丈夫? 魔法陣まで辿り着けるの?」
「問題ない。入り口から魔法陣まで粘液を伸ばした。それを伝えばすぐだ……そっちこそどうなんだ? 成功する見込みは本当にあるのか?」
「ステージで跳ね回ることを考えたら、こんなもの朝飯前よ。……それじゃ、始めましょう」
 そんなやり取りを交わし、カペラとボアネルは儀式場の中へ足を踏み入れた。警戒を強めていた幹部達はすぐに2人の存在に気づいたが、それも束の間。凄まじい跳躍力で一気に燭台の元へと向かい、火を吹き消していく。
「な……!! 誰か、あの女を止めよ!!」
「残念、もう手遅れよ」
 そう微笑んでカペラが最後の炎を吹き消すと、儀式場は完全な暗闇に包まれた。ここまでは上々だが、ここからが本番だ。カペラはそのまま頭の中の地図とボアネルからの情報、そして一瞬視認出来た少年の居所を繋ぎ合わせ、的確なルートで一瞬で少年の元へ向かう。
「え……?」
「シーッ、声を出さないで。すぐにここから出してあげるわ」
 困惑の声を上げる少年にカペラは耳打ちして抱え上げると、再び頭の中の地図を頼りに出入り口へ向かう。
「ク……何も見えん!! 誰か火を付けんか!! もしくは一時的に扉を……」
 邪教徒達が混乱に陥っている間に、ボアネルは粘液を辿り魔法陣の側へ辿り着いていた。すぐ側に邪教徒達も居るようだが、部外者であるボアネルの存在には当然ながら気づいてはいない。
「さて、どうしたものか……」
 とりあえずはと魔法陣に触れてみるボアネル。僅かに触れただけだが、そこには確かに邪悪な魔力が満ち満ちており、今にも溢れ出さんとしている様に感じられた。
「これを完全に無効化する事はもはや出来ない……だがこの魔力を別の用途に転用する事で、多少の弱体化は図れるかもしれない……そうだな、無駄に鮮やかな光が溢れ、無駄に大きな音が流れる様にしよう」
 そうしてボアネルが魔法陣に手を加えている頃、少年を抱えたカペラは出入り口へ到着した。
「こっちは大丈夫よボアネルさん! そっちはどう?」
「私の方も完了した。合図は任せた」
「了解!」
 そして正面扉が開け放たれ、僅かな光が儀式場に差し込んだ。幹部たちが一斉に光の方へ向かうが、カペラは懐から取り出した笛を高らかに奏でると、そのまま少年を抱え一目散に走り出す!
「くっ……祈りを止める訳にはいかん……皆の者落ち着け! 祈りを止めるでない! 今の賊に関しては我々が対処を……」
 リーダーの老人がそう告げ、正面扉から差し込む光を頼りに燭台に火を付け直した、その刹那。凄まじい破壊音とエンジン音と共に、トルメンタと灰人の2人が儀式場へ突撃してきた!!
「さあ、大立ち回りと洒落込みましょうか!!」
「待ちわびたぞ……」

「一体何がどうなっている! 最初に逃げた男は何処に消えた? 上の階へ向かった連中は何故戻ってこない!? それに儀式場からも人を寄越す様連絡させた筈だぞ、何故誰も来ない上に使いの者も帰って来ない!! まさか儀式場でも何か起きたのか!? クソッ!!」
 廃校舎を警備する見張りの1人……恐らくは幹部格であろう男が、苛立たしげに声を張り上げる。
「う、上の階へは今しがた増援を送りました! すぐに戻ってくるかと……」
「ああ、クソ……!! この儀式は絶対に失敗するわけにはいかないのだ、絶対に……!!」
 贄の脱走と貴一の襲撃により、一気に緊張感に包まれた廃校舎。しかしこの騒ぎに乗じ、幾人もの猟兵が廃校者への侵入を果たしていた。ジェラルドもその中の1人だ。
「随分と混乱してるな……だけど、念には念を入れておくか」
 ジェラルドは空き教室の中から『影の追跡者』を用い、廊下に居る幹部他数人の邪教徒達の姿を捉えていた。監視を継続しながらジェラルドは小型拳銃『オート』を取り出し、減音器を取り付けた。
「最低限陽動を成功させて……出来れば救出が完了するまで全員纏めて足止めしたいところだね」
 そう言って、ジェラルドは一気に廊下へ飛びだした。影の追跡者によってそれぞれの所持している武器を把握していたジェラルドは、拳銃を所持する邪教徒達の手を的確に撃ち抜いた。無音の射撃は邪教徒達の一瞬の判断の遅れを招いた。
「グ……!! いたぞ、侵入者だ!! 銃を所持している、殺せ!!」
 撃ち抜かれた腕を抑え、幹部が声を荒げた。警棒やスタンガンを所持した邪教徒達がジェラルドの元へ突撃するが――。
「相手が悪かったな」
 ジェラルドは銃を構えたまま、右足を強く床に叩きつけた。そうして生まれた小さな音の波はジェラルドの力によって増幅され、向かい来る邪教徒達の身体を吹き飛ばす!!
「なんだこの力は……? おのれ、我らの偉大なる神の復活を妨げる悪魔め!! 貴様には必ず天罰が下るだろう!!」
「ああそうかい、それは随分と恐ろしいね。でもまあその天罰とやらが下るまでは、せいぜい好きにやらせてもらうとするさ」

 猟兵達の度重なる陽動と襲撃により、廃校舎は既に大きな混乱の渦中にあった。見張りの数割は既に猟兵達の手によって倒され、廃校舎の警備は穴だらけとなったといっても過言ではない。
「……心の準備は出来た。たとえ元神様だろうと邪神の復活なんて許される事じゃない……早く助け出さないとな」
 廃校舎に潜入した灯夜は、空き教室の中に潜んでいた。本来ならば見張りだらけの校舎内を移動することは容易では無いが、今は仲間たちの陽動がある。猟兵達の対処へ向かう見張りの目を掻い潜って次から次へと部屋を移り、ようやく贄候補の姉妹が捕らわれている教室へ辿り着いた。
 教室の扉が開けられ、縛られていた姉妹はもしや自分達の番が来たのではないかと小さな悲鳴を上げた。
「大丈夫、安心してくれ。おれは味方だ。この狂った場所からお前達を助ける為に来たんだ」
「み、み、味方……? 私達をバラバラにする為に来たんじゃないの……?」
「違う。あんな奴らと一緒にしないでくれよ。今拘束を解くから、大人しくしててくれ」
 多少時間はかかったが、どうにか灯夜は姉妹の拘束を解くことに成功した。死の恐怖に震えていた2人も、その頃には幾分落ち着きを取り戻していた。
「よし、これで良いな……立てるか?」
「どうにか、立てるけど……連れ去られた時に足をひねったみたいで……ゆっくりなら歩けるけど、走るのはちょっと……」
「2人ともか? 参ったな……時間はかかるけど、1人ずつ確実に脱出させるべきか……」
 灯夜が頭を捻らせていると、2人目の来訪者が教室に現れた。姉妹は一様に再び悲鳴を上げ、灯夜は咄嗟に得物を構えるが、すぐに警戒を解いた。
「ん、あれ? まさかのカブり?」
 姿を表したのは、灯夜と同じ猟兵、ティルだったからだ。
 灯夜から現在の状況の説明を受けたティルは、自身有りげにドンと胸を叩いた。
「よし、そういう事なら俺に任せとけ!!」

「それじゃあ、頼んだからな。おれも出来る限りの応戦はするけど、2人を庇いながらじゃ限度がある……もちろん全力は尽くすけどな」
「心配すんじゃねえよ! 他の皆の陽動もかなり効いてるし、いざとなったら俺が何とかするからな!」
 ティルの発案により、2人の先導兼護衛を務める灯夜と、影に潜みながら3人に追従し、邪魔な敵を素早く排除する役目のティルの2人で一気に姉妹を脱出させる事となった。
 姉妹の手を取り歩き出す灯夜に先んじて、ティルは廊下の様子を見やる。大立ち回りを続ける貴一とジェラルドの活躍もあり、幸い今は付近に敵の存在は見当たらない。
「よし、敵影無し……今なら行けるぜ!」
 ティルが促し、灯夜と姉妹は教室の外に出た。そしてゆっくりと着実に歩を進めていく。
「…………止まれ! 1人こっちに来る……そこで待ってろ、すぐに片付ける!」
 曲がり角の先からの邪教徒の接近を察知したティル。ダガーを構えると、息を殺し曲がり角の際でじっとタイミングを待つ。
「何故こんな酷い事を……我らは唯偉大なる神に慈悲を請いたいだけだというのに……どうしてこんな」
「いやいやいや……お前らがそんな台詞言えた立場かよ!!」
 邪教徒が曲がり角に差し掛かった直後、蛇の様な動きで邪教徒に組み付いたティル。そのまま背後に回り込み首筋にダガーを当てると、一気に掻き切った!
「な……! こ、ここにも敵が……」
「……チッ! もう1人居たか!!」
 2人目の邪教徒が存在したのは想定外であったが、ティルは振り向きざまにダガーを投擲。更に隠し持っていた2本めのダガーを投擲すると、邪教徒の胸と脳天にダガーが突き刺さり、そのままバタリと床に倒れ伏した。
「ふー、ちょっとだけ危なかったな……だけど増援を呼ばれずに済んだ。よし、もういいぜ! このままさっさと逃げちまおうぜ!!」
 そして灯夜と姉妹は再び歩き始めた。危ない場面も無くは無かったが、どうにか姉妹を安全圏まで逃がすことに成功した。そしてすぐさま廃校舎に戻った灯夜とティルは、一連の陽動の切欠となった男性を逃した律とも合流し、一気に救出作戦を進めていくのだった。

「おのれ、おのれおのおのれぇええええ!! 貴様ら、一体何故……自分達が何をしているの分かっているのか!? これは、神に対する冒涜じゃ!!」
「ふん……何故こんな事を、という問いは俺がしたいくらいだ……テメェらにはあの肉塊が見えないのか? 何でこんな事するんだよ。お前ら人間だろ?」
 激昂するリーダーの老人に、灰人は冷たい声色で返す。
 トルメンタと灰人の突撃後、体育館内では激しい戦いが繰り広げられていた。戦闘能力は低いながらもその誰もが死ぬ気の邪教徒達が、猟兵達に必死に襲いかかる。
「こうやって俺の子も生贄に捧げ――いや、違う。俺の子は生きてる。この前見ただろう、なんで、なんで――ああ、どうでもいい。殺さないと頭の霧が晴れない」
 怒り、憂鬱、疑念、苦悶――様々な感情の渦が灰人の胸中を駆け巡るが、生憎それを解消するすべは1つしか知らなかった。灰人は倒れ伏す邪教徒達を変容させた『シャーマンズゴースト人間』を率いながら、唯ひたすらに刃を振るった。
「た、たった数人でこれだけの数を……なんだ、なんなんだ、貴様らは……!!」
「ようやっと聞いてくれましたね……『通りすがりの猟兵だ、覚えておきな!』……って、これが言いたかったんですよ!!」
 軽妙な口調で語るトルメンタは、既にユーベルコード『アクセルユニゾン』を発動していた。自らの宇宙バイクを装甲とした戦闘形態、防御特化型に変身する事によって得たすさまじい耐久力を以て、波の様に襲いかかる邪教徒達の攻撃を凌いでいたのだ。
「さて、流石にそろそろ時間稼ぎは済んだでしょうか……ここで暴れまわることで廃校舎に人を回す余裕も無かったでしょうし……無事にここに居た少年も助けられた様ですしね!!」
「ク、グゥゥウウウ……もはや、もはやこれまでか……我らの祈りは、灰霞の剣様に届く事は無かったというのか……!!」

 老人が嘆きの声を上げ、床に崩れ落ちた時。床に描かれた魔法陣が無駄に眩い光を放ち、廃校舎まで届くほどの轟音が響き渡った。
 その場に居た全ての者が一瞬動きを止めた。魔法陣の上に置かれた肉塊から突如として赤黒い炎が噴き上がる。それは肉塊を一瞬の内に灰へ変えた。
 赤黒い炎は不気味に蠢きながら徐々に拡がり続け、その中心に青緑色の目玉の様な何かが浮かび上がる。
「おぉ、オオオオオォォオオオオオ……!! ついに、ついに姿を表して下さいましたか、我らが偉大なる旧き神よ……我らがどれほど、どれほど貴方様の顕現を待ち望んでいた事か……」
 ついに姿を表した邪神に、老人は歓喜の涙を流し頭を下げる。ついに念願が叶った。灰霞の剣様に会う事も出来た。これでもう、思い残す事もない。
 老人が本気でそう思った直後、灰霞の剣の周囲に呪われた鳥人間……嘲笑う翼怪と呼ばれる怪物が一斉に姿を表した、嘲笑う翼怪は儀式場である体育館の中を縦横無尽に飛び回る。
「『タノシイ!! ウレシイ!! アソボ!! アソボ!!』」
「あれは、な」
 老人が奇妙な鳴き声に思わず声を上げた直後、その首がごろりと床に転がり落ちた。嘲笑う翼怪の持つ鋭い足の爪が、老人の首を一瞬にして刈り取ったのだ。
「『キャハハ!! アハハ!! ボクトアソボ!! ミンナデアソボ!! ナニシテアソブ? ナニデアソブ?』」 
 翼怪は際限なく増え続け、彼らの度重なる衝突に耐えかね体育館の壁が崩れ落ちた。子供の声の様な無邪気で気味の悪い鳴き声が、幾重にも重なり合って響き渡る。
 奴らは灰霞の剣を守るかの様に周囲を飛び回り、その場の人間を無差別に殺している。体育館に居た邪教徒は既に全員殺された。
 猟兵達の目的は灰霞の剣の討伐だが、その為にはまずこの気持ち悪い鳥人間共を殲滅せねばならない!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『嘲笑う翼怪』

POW   :    組みつく怪腕
【羽毛に覆われた手足】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪神の加護
【邪神の呪い】【喰らった子供の怨念】【夜の闇】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    断末魔模倣
【不気味に笑う口】から【最後に喰らった子供の悲鳴】を放ち、【恐怖と狂気】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ボアネル・ゼブダイ
邪教に狂った者の末路がこれか、哀れなものだな。
とはいえ、まずはこの怪鳥共をどうにかしなくては。
まずは私の【彼方からの来訪者】で戦力を増強、剣術や怪光線で飛び回る梟人間共を攻撃するように指示。
同時に私も【黒剣グルーラング】で相手の生命力を吸収しつつ前線で戦う。
この後に訪れる本命との戦いを邪魔されぬために、ここで雑魚は全滅させるつもりだ。
共に戦う猟兵達とも連携を取りながら、無駄な消耗を避けつつ一匹でも外へ逃がさぬように注意する。
「残念だが、貴様等と遊ぶ時間はもう無い。大人しく在るべき処へと還るが良い」




「「『キャハハ! アハハ! アソボ!! アソボ!! アソボウヨ!!』」」
 辺り一帯を縦横無尽に飛び回り、子供の笑い声様な、機械的で気味の悪い鳴き声を発する翼怪達。その言葉自体に大した意味は無いのだろうが、不気味さを感じずにはいられない。
「邪教に狂った者の末路がこれか。素直に同情出来るような連中では無かった。が、哀れなものだな……」
 しかしそんな不気味な鳴き声の合唱をまるで意に介さない様子で、ボアネルは小さく呟いた。その視線の先には、地面に転がった老人の首があった。邪神の復活を見届けた男の魂は、果たしてどこに誘われるのだろうか。
「とはいえ、まずはこの怪鳥共をどうにかしなくてはな…………『来たれ異界からの魂よ、闘争と流血を友とし、安寧と静謐を敵と呼び、戦場を自らの臥所とする戦士の魂よ、今一度蘇り、その力を我に示せ!』」
 ボアネルは『黒剣グルーラングを構え詠唱を終えると、淡い光と共にボアネルの側に四本腕の戦士の霊が現れた!!
「残念だが、貴様らと遊んでいる時間は無い。大人しく在るべき処へと還るが良い」
 ボアネルが剣を怪鳥共に突きつけると、戦士の霊は一気果敢に怪鳥共の群れに突っ込み、荒々しい斬撃を次々と叩き込む!!
「『……キャァアアアアアアアアアアアアア!!』」
「その様なこけおどしが、私に通用すると思うな」
 狂気を誘う悲鳴を振り払い、ボアネルもまた剣を振るう。黒い刃は怪鳥共の命を断ち、その魂の残り火を吸収していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティル・ライハ
うっわ……ぜってぇ今日夢に見るレベルのモンスターじゃん、何アレ…。しかも多いし!

飛ぶのが厄介だけど、悲鳴以外の敵の直接的な攻撃手段は近距離攻撃のみって感じか。じゃ一匹仕留める事に専念する。
2本のタガーナイフを[投擲2]で[2回攻撃1]。そうだ、余裕があったらナイフに“ポーション”で[マヒ攻撃1]付与できりゃ空中から落とせねぇ?
あ、ちゃんと標的以外にも気ぃ配って【スピード・サバイバル】で攻撃避けしないと!
もし倒したら、[おびき寄せ2][逃げ足3]とかで仲間のフォローにまわろっか。敵多いしさ……

『SPD ナイフによる2連投擲攻撃』
『周囲にも気を配り、攻撃等を避ける』
『余裕次第で、仲間のフォローを』




「『キャハ!! キャハハハ!! オトウサン! オトウサァァァアアアン!!』」
「うっわ……ぜってぇ今日夢に見るレベルのモンスターじゃん。何アレ……しかも多いし!」
 辺り一帯に響き渡る不快な鳴き声に、猟兵達を見下ろす無数の窪んだ瞳。その異様な状況にティルは思わず顔をしかめる。
「だけどまぁ、1匹1匹確実に仕留めてくしか無いか……」
 ティルは懐から2本のダガーナイフを取り出し、構えた。更にその切っ先に麻痺毒を塗りつけた所で、ティルは視界の隅に写った1体の怪鳥が、こちらに急接近する事を確認した。
「そんな攻撃を俺に当てる気?」
 その瞬間、ティルのユーベルコード『スピード・サバイバル』が発動。怪鳥の攻撃の動作、そのタイミングを見計らい、身を翻す事で振り下ろされた爪を回避する。
「アハ、アハハハ、イヤ、シニタクナイ!! シニタクナイヨォォオ……!!」
 嘲笑う翼怪は子供を喰らい、犠牲者の声を真似発すると言う。ティルの脳裏にはかつて起こったであろう惨劇の光景がよぎったが、それを拭い去るように頭を振る。
「集中、集中だ……ここ!!」
 そしてティルは2本のダガーを投げ放つ。1本目は怪鳥の羽根の根本を貫いた。刃に塗られた麻痺毒の効果も合わさり、その動きが鈍った所に、2本めのダガーが脳天に直撃。怪鳥は痛々しげな叫びを上げながら地に堕ちていくのだった。
「それにしても本当に多いな……仲間のフォローにも回らないと……」

大成功 🔵​🔵​🔵​

トルメンタ・アンゲルス
やれやれ、親玉かと思えば、先ずは露払いですか。
ピーピーギャーギャー数だけ多くて、烏合の衆とはよく言ったものですねぇ。
叩き落としてチキンにしてやりますよ!

バサバサ飛び回って、空が自分達のフィールドとでも思っているんでしょうかねぇ?
甘い!俺も宇宙空間で、空中戦には慣れているんですよ!
自慢の速さやスマッシュ・エアを駆使し、大地を宙を縦横無尽に駆け回り
、奴らを蹴落としてやりますよ!
墜とせば、飛べない人も仕留められましょう。

団体で追ってきたらあえて宙に跳んで隙を晒し、群がってきたところを襲撃のブリッツシュピーゲルで、一気に始末して差し上げましょう!


守谷・貴一
さて、外の方で大きな音があったな、確認のために体育館を見に行ってみるか……その前に自分の安全を確保してから……かな

さて……どうなって……って大変なことになってやがるな……なんて冗談言ってる場合じゃなさそうだぜ……

胸糞の悪い連中が大勢いやがる、こいつら子供を喰ったことあるんだろ、俺としては本命よりも憎らしいような連中だぜ……

戦闘は特殊魔術弾を使って攻撃して撃ち落としたり落ちてきたのをトドメさしたりするぜ、弾は攻撃回数を重視した構成だぜ。むかつくとはいっても相手も多い、できるだけ味方と協力して撃破にはあたりたいかもな。

台詞等
「うるせぇよ、もう囀るな……」
「ちっ……許せねぇ……」
銃構えて「黙れ……」




 廃校舎二階における陽動作戦に徹していた貴一。次々襲いかかる邪教徒共を全て返り討ちにした後、轟音が響いてきた体育館へ向かっていた。
「さて……どうなって……って大変なことになってやがるな……冗談言ってる場合じゃなさそうだぜ……」
 荒れ狂い飛び回る怪鳥と、その中央に浮遊する赤黒い邪神。貴一は拳銃を構えると、魔術の込められた弾丸を込め狙いを定める。
「アハ、アハ、アハハハハハハハハ!! タノシイ! タノシイ!! タノシイヨ!!」
「黙れ……」
 どいつもこいつも胸糞悪い、と。貴一は誰に言うでもなく呟いた。眼の前を飛び回る怪鳥『嘲笑う翼怪』は、子供を喰らう怪物である。その事を知っている貴一にとって、怪鳥共は邪神に匹敵する、あるいはそれを超える程に憎らしい存在だった。
「『タノシイタノシイタノシイ!! イヤダイヤダイヤダ!! イキタイイキタイシニタクナイィィイイ……!!』」
「うるせぇよ、もう囀るな……」
 迫りくる怪鳥共に銃口を向け、貴一は迷いなく引き金を引く。次々と放たれた弾丸は怪鳥共の羽根を吹き飛ばし、地面へ墜落させていく。
「『アァ、アァアアアアアアア……』」
「…………」
 もがれた羽根をばたつかせ、苦悶の声を上げる怪鳥を見下ろし、貴一はドドメの一発を額に撃ち込んだ。歪んだ笑顔を浮かべながら動かなくなった怪鳥を見、貴一は忌々しげに舌打ちする。
「ちっ……許せねぇ……」
 その直後、側方から飛び込んできた怪鳥の額に銃口を押し付け、貴一は再び引き金を引いた。

「やれやれ……親玉かと思えば、先ずは露払いですか。ピーピーギャーギャー数だけ多くて、烏合の衆とはよく言ったものですねぇ」
 体育館にて邪教徒共を相手に大立ち回りを行ったトルメンタ。邪神復活と共に現れた怪鳥共、その喧しく飛び回る様を見て深い溜め息を吐いた。
「まったく……バサバサ飛び回って、空が自分達のフィールドとでも思っているんでしょうかねぇ? ……甘い! 俺も宇宙空間で、空中戦には慣れているんですよ!」
 宇宙バイクを基とした装甲を身に纏ったまま、トルメンタは怪鳥共に突っ込んだ。重厚な装甲からは考えられぬ機敏な動きで駆け回り、腕部から放つ熱戦によって怪鳥共の羽根を消し炭に変えていく。
「『アァ、アァ、アァァアアアアアアアアア……!!』」
「本当にうるさいですねぇ……いい加減、終わりにさせてもらいますよ!!」
 不意に攻撃を止めたトルメンタが、強かに地を蹴り宙を舞う。無防備な状態となったトルメンタに多くの怪鳥共が群がるが、トルメンタはニヤリと笑みを浮かべると、両腕から超高温のプラズマブレードを出現させる。
「『纏めていくぜぇ!!』」
 次の瞬間、トルメンタが放った超高速の斬撃の嵐が、爪を振り上げた怪鳥共の全身を微塵のごとく切り刻んだ!! 怪鳥共は断末魔の悲鳴を残す間もなく息絶え、ボトリボトリと地面に落ちた。
「よっ、と……さあ、頼りない取り巻き共はこれで消え失せました!! 次はあなたの番ですよ!!」

 プシュー、プシュー、と。全身からか細い息のようなものを漏らしながら、邪神『灰霞の剣』はウネウネとその不定形な全身を蠢かせていた。
 その辺りに転がっていた邪教徒達の死体に焔を伸ばし、次々とその体内に取り込んでいく。その度に灰霞の剣は歓喜を表現するかの様に全身を震わせた。
 そして全ての邪教徒の死体が消え失せた時。その全身から無数の赤黒い剣が飛び出した。赤熱した刃からドロリと焔が零れ落ち、地面を焼き焦がす。漆黒に浮かんだいくつもの瞳が、猟兵達の姿を捉えた。
 新鮮な猟兵達の肉を喰らうため、決して満たされぬ食欲を満たす為、灰霞の剣は猟兵達ににじり寄る。
 だが、当然ながら大人しく喰われるという選択肢など端から有りはしない。眼の前の邪神を打ち倒し、不毛な死に塗れたこの儀式に決着を付けるのだ!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『灰霞の剣』ヴォル・ヴァ・ドーズ』

POW   :    焔を焚く者
真の姿を更に強化する。真の姿が、🔴の取得数に比例した大きさの【灰色の焔 】で覆われる。
SPD   :    灰霞の剣
【灰霞の剣 】が命中した対象を燃やす。放たれた【霧とも霞とも見える灰塵の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    焔・灰・剣(BLAZE ASH BLADE)
【焔か灰か剣】が命中した対象を切断する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ボアネル・ゼブダイ
「聞いてはいたが、元は善神だという面影は既にないな・・・醜悪な邪神よ、先ほどの怪鳥同様、貴様も在るべき処へと還るが良い」
【人工血液パック】を使い【血呪解放】を行う
強化する所は攻撃力
相手の剣に注意しつつ【黒剣グルーラング】で生命力吸収を行い、先ほどの戦いで呼び出した【彼方からの来訪者】と連携を取りながら相手を攻撃
後に続く猟兵達のために出来るだけ相手の体力を削る
他に戦う猟兵達がいれば彼らとの連携も積極的に行い、味方のダメージが溜まりつつあるなら後ろに下がり【生まれながらの光】で回復を行う
「貴様が生きるべき場所は人の営みの中にはない。消え去れ!!」



ついに姿を表した邪神。その禍々しい巨体を前にし、ボアネルはその意思を揺らがす事無く剣を突きつけた。
「聞いてはいたが、元は善神だという面影は既にないな……醜悪な邪神よ、先程の怪鳥同様、貴様も在るべき処へと還るが良い」
 そう言い放ち、ボアネルは人工血液パックを取り出した。そして自らの身体と、手にした『黒剣グルーラング』に鮮血を注ぎ込んだ。
「血の香りに狂う忌まわしき半身よ……人の理を外れた悍ましき吸血鬼の力よ……我が正義を示すためにその呪われた力を解放せよ!」
 詠唱を終えた瞬間、忌まわしき血の力がボアネルの全身に満ち溢れた。そしてボアネルは怪鳥との闘いにて呼び出した『彼方からの来訪者』と共に、目の前の邪神へ突撃する――!!
「――――」
 灰霞の剣はボアネルの動きに反応する様に身をくねらせ、不定形の身体から赤黒い剣を生み出した。それらの切っ先が一斉にボアネルに向けられたかと思った次の瞬間、凄まじい速度でボアネルへ接近した。
「無駄だ」
 ボアネルが呟いた瞬間、背後に追従していた『彼方からの来訪者が』ボアネルの前方に飛び出し、四本腕を駆使した素早い斬撃を繰り広げる。
 するとボアネルの喉元目掛け放たれた赤黒い剣は一瞬にして両断され、地面へと落ちる。そして歩みを止めぬボアネルが、黒剣グルーラングを振り上げた。
「貴様が生きるべき場所は人の営みの中にはない。消え去れ!!」
 振り下ろされた黒き刃が、灰霞の剣の身体を捉えた!! 血の力を解放した一撃は邪神の身体を大きく抉り、その剣先から生命力を奪い取る。
「狂気に堕ちた貴様に、これ以上誰かの未来を奪わせはしない」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティル・ライハ
今度こそ、あのすっげぇ禍々しいボスを倒せばいいんだな?
うぅん、正直俺の苦手なタイプのモンスターっぽいのが不安だけど…。

とりあえず、まだ味方が動けてねぇ状態で深入りは危険だよな。
ヤツの剣が命中しねぇように『UC』と『逃げ足』を駆使して攻撃にはあたらねぇようにしよ…。
で、俺はあのキラキラ光ってる中央の目っぽいのにナイフ2本を『投擲』して少しでも体力削っとく戦法でいく!

『SPD ナイフ投擲による攻撃』
『近寄らずに攻撃を回避する』

もう誰も食わせねぇよ



「今度こそ、あのすっげぇ禍々しいボスを倒せばいいんだな? ……うぅん、正直俺の苦手なタイプのモンスターっぽいのが不安だけど……」
 ティルは不気味に蠢く灰霞の剣に一抹の不安を覚えつつも、間合いを取りながらその動きを慎重に観察する。
「――――」
 すると、灰霞の剣はか細い息の様なものを漏らしながら全身を震わせた。するとその赤黒い身体に何処からか生み出された灰色の焔が覆い尽くしていく。
「あの焔は……? もしかしなくても自己強化の類だよな……だけどまだ深入りは危険だな。ヤツの剣にはあたらねぇ様にしねぇと……」
 そう呟いたティルはナイフを構え、ユーベルコード『スピード・サバイバル』を発動。動体視力や身体能力、予測能力が大幅に増加する。
「――――!!」
 刹那、灰霞の剣が動き出した。その禍々しき肉体より十数本の焔の剣を生み出すと、それらがまるで意思をもったかの様にバラバラに、猟兵達の命を奪い取らんと動きだした!!
「最初よりも速く多くなってるじゃねぇか……!! だけど……今の俺には当たらねぇよ!!」
 素早い判断でティルは跳躍、足元に放たれた剣を回避。
 跳んだティルに向け、更に上方に位置していた剣が降りかかるも、ナイフの先で軌道を逸らし回避。
 着地した所に3本の剣が同時にティルの首元を目掛け迫るも、ティルは流れるような動作で身を逸らし避けると、剣の柄を蹴り飛ばしながら焔の剣の間合いを外れるようにバックステップを行った。
「焦る必要は無ぇ……今は少しでも体力削っとく戦法でいく!」
 そしてティルは灰霞の剣の中心、焔の中に浮かぶ目玉らしきものにナイフを2本投げ放った。
 正確な動作で放たれたナイフは確かにその蒼き瞳を穿ち、邪神は声にならぬ凄まじい絶叫を上げた。
「少しは痛みって奴を思い出したか……? もう誰も食わせねぇよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

トルメンタ・アンゲルス
へぇ、うねうねとしてねっとりと動きそうだと思ったのですが、案外素早いんですねぇ。
が、俺ほどじゃあありませんねぇ!
貴方も、送り返してあげますよ!

とはいえ、動き方が掴めたわけではないですからねぇ。
視覚的にギリギリ捉えられて、鬱陶しいスピードで、
スマッシュ・エアを駆使して地を駆け天を駆け、四方八方からブラスターを撃ち込んで牽制。
動きの癖が何となく読めたら、隙を突いてプラズマブレードで切り払ってみましょうかねぇ。

ぶわっと広がってきたり、大きな隙が出来たら、味方を巻き込まないように気を付けて、グリッタービームで薙ぎ払いますよ!



「へぇ、うねうねとしてねっとりと動きそうだと思ったのですが、案外素早いんですねぇ……が、俺ほどじゃありませんねぇ!!」
 自信有りげに言い切ったトルメンタ。全身に装着した分厚い装甲、その腕部に組み込まれた熱線銃、『Meteor』を灰霞の剣に向ける。
「貴方も、送り返してあげますよ!」
 ニヤリと笑みを浮かべると同時に、トルメンタはユーベルコード『スマッシュ・エア』を発動。速すぎず、遅すぎず。灰霞の剣の視覚内にギリギリ捉えられる範囲を駆け回り、あらゆる角度から凄まじい勢いでブラスターを連射する。
「――――!!」
 灰霞の剣はそんなトルメンタの存在が鬱陶しく感じたのか、不定形な身体からドロリと赤黒い焔の塊をいくつか生み出し、トルメンタを追尾する様に撃ち放った。
「おっと、これは少し厄介ですね……まあ勿論、どうとでもなりますけどね!!」
 焔の塊は延々とトルメンタを追尾する。するとトルメンタは不意に回避する事を止めたかと思うと、両腕からプラズマブレードを出現させ、降りかかる焔の塊を次々と斬り払った!!
「――――」
 だが灰霞の剣は攻撃の手を緩めない。全身から飛び出した赤黒い剣がトルメンタに向け射出され、再びその全身をゆっくりと灰色の焔が覆っていく。
「何度やっても同じですよ! 貴方の攻撃は、俺に当たりません!!」
 トルメンタは仁王立ちしたまま、装甲胸部に埋め込まれた動力炉をフル稼働させる。そして生み出された膨大なエネルギーのが、凄まじい速度で胸部に収束していく――!!
「グリッタァァァ、ビィィィィム!!!」
 辺り一帯に凄まじい轟音と衝撃を放ちながら、極太のビームが放たれた。降り掛かってくる赤黒い剣を消し飛ばし、ビームは灰霞の剣の中心を穿つ!!
 灰霞の剣は全身を震わせながら叫びを上げた。怒り、苛立ち、悲しみ。いくつもの負の感情を内包した叫びを。
「……さあ、このまま討ち滅ぼしてやりましょう!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

霑国・永一
おや、まーたあの連中がやばいの生み出したんだね。相変わらず悪趣味だなぁ。金目にはならないけど盗むとしよう。無論この神の命を、だ。

SPD重視で【オルタナティブ・ダブル】を主軸に使うよ。
別々の方向から攻めて相手の対応手段をある程度攪乱して隙を見てダガーから【シーブズ・ギャンビット】を放ってブスッとやるよ。
余程相手が隙晒さない限りはヒット&アウェイで少しずつ確実に削る方針だ
一応【だまし討ち1】も活用しておこう
どうしても本体の自分が避けきれないとかだったらガードするか分身を盾にしてでも長く立っていこうかな。
他の猟兵が居てもやり方は不変。
「その沢山ある目は飾りじゃないだろう?活かせないなら命を盗むまで」



「おや、まーたあの連中がやばいの生み出したんだね。相変わらず悪趣味だなぁ……」
 多重人格者のシーフ、霑国・永一はナイフを構えて眼前の邪神に目をやる。かつては善神だったとはいうが、この禍々しい姿で人を喰らうのだ。悪趣味と言われても仕方は無いだろう。
「金目にはならないけど盗むとしよう。無論この神の命を、だ」
 呟くと同時に、永一はユーベルコード『オルタナティブ・ダブル』を発動。何処からかもう一人の自分が現れると、本体と同様にナイフを構え灰霞の剣と相対する。
「さっさと決めてしまおう」
 トン、と地を蹴り駆け出した永一。並びのその分身。2人の永一は別々の方向から灰霞の剣へ接近し、攻め入る隙を慎重に伺う。
「――――」
 刹那、灰霞の剣の身体から赤黒い剣が飛び出した。灼熱を宿した刃が2人の永一を襲うが、軽妙な足取りで刃を避け続け、ナイフの先で剣を弾き飛ばした。
「危ない危ない……分身の方も無事だな……今!!」
 永一は一気に邪神との間合いを詰め、ナイフを突き出した。不定形な焔の様な姿をしているが、確かに手応えはあった。永一は反撃される隙を与えず三連の刺突を放つと、素早いバックステップで距離を取る。
 まるで血の様にドロドロと零れ落ちる真紅の焔。それはまるで意思を持っているかの様に蠢き、収束すると、まるで弾丸の様な速度で永一の眼前に迫る――!!
「ッ!! 悪いな、お前の役目はここまでだ」
 永一は自らの分身を呼び寄せ、自らの盾とした。焔を浴びた永一の分身が蒸発する様に掻き消えるが、その隙に永一は再び邪神へと接近。焔に浮かぶ無数の目の1つをナイフで突き刺した。
「その沢山ある目は飾りじゃないだろう? 活かせないなら命を盗むまで」

成功 🔵​🔵​🔴​


※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「真壁真人」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
香神乃・饗
人を愛する心優しき神っすか……見る影ないじゃないっすか。
戻すことはできないとしても、これ以上喰わせてやる肉は一片たりともないっす!教徒ともども眠らせてやるっす!

香神写しで武器を増やしておくっす
苦無を投げたり、死角に入るときや、剛糸で締める時に地形を利用できるなら利用するっす!
視界を塞ぐように苦無を投げフェイントをかけて死角に回り込み暗殺を狙うっす!離れるとみせかけ、剛糸で絞めて動作をとめるっす!
隙を作れば誰かが討ってくれるんじゃないっすか、もし誰もいないならそのまま締め落とすっす!
燃やされても退かない覚悟で挑むっす!消えた命の焔の重みに比べたら軽いものっす!


御剣・疾風
どういう理由があって狂っちまったか知らないっすけど
女性が生贄にされてる時点でアンタは滅殺確定っすよ!

他の猟兵の方がいるなら
出来る限り援護に努めるっす
効果があるかは分からないですが
閃光手榴弾を使ってみて
仲間には使う前に注意を呼びかけます

必要ならば庇う事も厭わないっすよ
瀕死になったらユーベルコード:戦場の亡霊を発動して
やはり援護中心に戦って貰うっす

燃えた時のために消火剤でも持ち込みます
効果があればいいんすけどね
転がりまわって消せればいいなあ

フック付きワイヤーを利用して移動したりしつつ
改造銃や手榴弾で確実に削りたいっすね
余裕があればC4を相手に付けて起爆したいもんですが

アドリブ、共闘歓迎です


ジェラルド・マドック
邪神の復活は止められなかったか。
仕方ない、それならここで俺達で討ち果たすまでだね。

あくまで俺はサポートだから他の猟兵さんと連携してもらえると嬉しいな。
サウンドウェポンをフィドルに変えて、UCで俺も含めた味方に祝福を、多くの犠牲者と邪教徒そしてこれから倒される君に葬送曲を。
どんな代償が来ても今までに培った関連技能にかけて演奏は止めないようにするよ。
敵からの攻撃は、UCの効果があるとはいえ出来るだけ【戦闘知識】【視力】でフォローして敵の攻撃を【見切り】たいね。



「邪神の復活は止められなかったか」
 囚われていた者達の保護を終え体育館にやって来たジェラルド・マドック(しがない演奏家・f01674)は、その惨状と邪神の姿に、一瞬眉をしかめた。
 体育館の壁はすっかり破壊され、頑丈な支柱や梁、天井を残すのみとなっている。
「しかし、本当に彼ら自身まで贄となってしまうとはね……」
 信奉する神に殺された信者達は、いまや血痕だけを残してこの世から消えていた。神に取り込まれ、その血肉の一部となった信者が幸せを感じているとは、ジェラルドには到底思えなかったが。
「元は人を愛する心優しき神だったそうっすが……見る影ないじゃないっすか」
 香神乃・饗(東風・f00169)は邪神の姿に悲しみの混じった視線を向ける。
 狂える邪神となり果て、決して満たされることのない食欲に突き動かされる今の灰霞の剣の姿は、見るに堪えないものだ。
「どういう理由があって狂っちまったか知らないっすけど、女性が生贄にされてる時点でアンタは滅殺確定っすよ!」
「ここで俺達で討ち果たすしかないだろうね」
 フィドルを取り出したジェラルドに、御剣・疾風(ザ・フール・f02264)はうなずいて見せると手榴弾を取り出した。

 猟兵達に合図をすると、疾風は閃光手榴弾を投げつけた。
 空中ではじけた手榴弾は、激しい光と音をまき散らす。幾つもの目を持つ邪神の注意が逸れた間に、猟兵達は邪神を滅ぼすため、最後の行動を開始した。
「この曲を、多くの犠牲者と邪教徒……そして、これから倒される君への葬送曲としよう」
 邪神を見つめジェラルドが弾く曲は、戦う猟兵達の身を邪神の攻撃から守り、その攻撃力を勢いづける祝福をもたらす、彼のユーベルコードだ。
「この曲が終わる前に決着をつけようじゃないか」
 だが、それと共に音楽の祝福は、ジェラルドの体内に毒を蓄積させ始める。
 激痛を感じつつも、決してそれを表に出すことなく、ジェラルドは曲を弾き続けていく。

「一つが二つ、二つが四つ、香神に写して数数の」
 饗の詠唱と共に、彼の手にする苦無が鏡写しのように無数に増えていく。
「行くっす!!」
 合図と共に、饗の苦無は意志を持つかのように次々と灰霞の剣へと向かっていく。
 無数の瞳が苦無を映すと、たちまちにして不定形の体から無数の切っ先が、炎を帯びて飛び出した。饗と邪神との間の空間で金属の響きが巻き起こり、断ち割られた苦無の群れがバラバラと床に散らばっていく。
「──────────」
 念動力によって操作されていた苦無を切り払い、邪神は己へと兇器を投げつけた無礼者に剣を向けんとする。だが、
「こっちっすよ!」
 今度は疾風が、手榴弾を立て続けに投げつける。
 激しい爆発に、体を揺るがせる邪神。
 その時すでに、饗は疾風と共に、体育館の梁を伝い、巨体の上へと跳んでいた。
 迎撃せんと邪神の体から剣が飛び出すが、直撃しかけた剣は、饗の眼前に現れた『音の壁』によって遮られる。
「行くんだ!!」
 ジェラルドが声を上げる。
 感謝の意志を視線だけで返すと、饗ははじかれた剣を蹴りつけた。
「返すっす!!」
「──────────!?」
 饗が着地すると同時、邪神の体の一部でもある剣が、邪神の体へと再び吸収される。
 直後、蹴りつけた瞬間に饗が結び付けておいた鋼糸が、邪神の体内で花開くように展開された。
 既に体育館各所に設置されていた鋼糸とも結びついたそれは、梃子の原理や摩擦すらも利用し、巨体の邪神の全身を体の内外から締め上げる。
 軟体を蠢かせ、逃れようとする邪神を、饗は渾身の力で抑え込んだ。熱を帯びた邪神の肉体が、饗を焼け焦がしていこうとするが、
(この、程度……!! 消えた命の焔の重みに比べたら軽いものっす!)
 決意と共に耐える饗の手の中で、鋼糸もまた高熱を帯びて主の手に火傷痕を刻み付けていく。
「──饗さん、いいっすよ!!」
 疾風の合図が聞こえた瞬間、饗は拘束していた手を放した。
 そのまま体育館の外へと駆け出していく猟兵達を、邪神は追おうとし──鋼糸と邪神自身の剛力によって、体育館の柱がへし折れる音が響き渡る。
 邪神の無数の目に最期に移ったのは、疾風が体育館の柱にワイヤーで結びつけた幾つもの爆弾が、自分へと向かって来る光景だった。

 そして、巨大な爆発音が、夜を裂くように廃校舎跡に響き渡る。
 その音が邪神の最期を告げる葬送曲の最後を飾るものであることを、戦いに挑んだ猟兵達だけが知っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年04月10日


挿絵イラスト