羅針盤戦争〜カルロスのコスプレコレクション・迷宮編
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「まさか我が二の王笏島までたどり着かれるとは、これで半数を超えたか」
蒸気に曇る島の中、見目麗しい男が衣装棚を開く。
「この島は訪れる者を迷わせる。なれば我が装いにも惑いが必要であろう」
その中から、鍵盤柄にパイプだらけという形容しがたい見た目の肩掛けを取り出し羽織る男。
「ふむ……我は余りこちらの造詣は深くないのだが……やってみれば存外面白いかもしれぬ」
そう言って男が肩の鍵盤に指を滑らすと、パイプから蒸気が噴きあがりながら荘厳な音色が奏でられた。鳴るのかそれ。
だが彼の奇行を止める者はここにはいない。男はそのままInteresting、興味深そうに鍵盤を押し続けるのであった。
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「皆さん、お疲れ様です……今日も、羅針盤戦争の、依頼です……」
アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)が集まった猟兵に頭を下げる。
「本日はオブリビオン・フォーミュラのカルロス・グリード、その本拠地の一つである二の王笏島へ向かっていただきます」
そろそろ言い慣れてきた感のあるこの口上。とはいえ敵はあの王笏である。今回も特異な戦場での激戦が予想されるだろう。
「二の王笏島は、カルロスの力によって具現化された『ダンジョンメーカー』により、アルダワ地下迷宮に似た不思議なダンジョンがひしめく大迷宮となっています。皆さんにはその内の一つを突破した上で、奥にいるカルロス・グリードを撃破していただきます」
ダンジョンを突破した上でのボス撃破。まさにアルダワ的冒険とも言えるだろう。
「この度皆さんに突破していただくのは、『Iの迷宮』と言う所です」
愛の迷宮? という言葉にアレクサンドラは首を横に振る。
「『I』の迷宮です。私の身内が、似たような迷宮を以前皆さんに作っていただいたらしいのですが……中にはIで始まるトラップがたくさんあるみたいです……頭を使わないと突破できないintelligenceが試される罠とか、すごい悪口が飛んでくるinsult部屋とか……」
後者は耳を塞いで突っ切ればいいだけでは……とも思われるが、とにかくIらしい罠が大量に仕掛けられているらしい。
「そして迷宮を抜けたら、カルロス・グリードとの戦いです。やはり先制で、背中のパイプからのダンジョントラップの連射や機械の黄金獅子の召喚、トラップと連動した蒸気魔導装置の装備を行ってきます……」
このダンジョンのトラップとの融合ということでどんなことを行ってくるかは皆目見当がつかないが、とにかく油断してはいけないことだけは間違いないだろう。
「彼を倒してもこの島を解放は出来ませんが、代わりに彼が蒸気製品のimportに使っていた島が一つ解放されます。もし平和になった暁には行く機会があるかもしれませんので、よろしければ……」
そう言うと、アレクサンドラは四の王笏島へと船を向かわせるのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。私はカルロス氏をどうしたいんだろう。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードと「蒸気迷宮」に対処する』
ボスの元へたどり着くためには、『Iの迷宮』を抜けて頂くことになります。その中には様々なIで始まるトラップが仕掛けられておりますので、どんなトラップがきてどうかわすかを明記してください。基本トラップそのものは妨害する気満々なものになりますので、楽そうな言葉を選んで素通り……とはできません。
迷宮を抜けたらカルロスとの戦い。彼もやはり先制攻撃をしてきますが、ダンジョントラップを利用した攻撃も行ってきますので、どんな攻撃をしてくるか予想してみるといいかもしれません。言葉自体が思いつかなくても方向性さえ明記されていれば、こちらで頑張ってそれっぽいトラップを作ります。
こんな依頼ですが『やや難』ですので、余り遊び過ぎたプレイングだと苦戦するかもしれません。ボーナス部分は抑えておいた方がいいでしょう。一応闇の世界編や宇宙編に比べればガチ度は低めの予定です。
例によってカルロス氏はこの格好を奇抜だとは自覚していますが、ハイセンスな方向に尖っているのだと信じています。どう対処してあげるかはご自由に。
それでは、integrateなプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『『二の王笏』カルロス・グリード』
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POW : 黄金なる王者
【背部に装着された魔導砲】が命中した対象に対し、高威力高命中の【連鎖するダンジョントラップ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ゴールデンレオ
いま戦っている対象に有効な【武装を生やした、機械仕掛けの黄金獅子】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : スチームエンチャント
自身の装備武器に【罠と連動して威力を増す蒸気魔導装置】を搭載し、破壊力を増加する。
イラスト:hoi
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
マリア・ルート
【Injury(怪我)の罠】
カルロスのファッションセンスはともかくとして、まず罠を突破しないとね。
どう考えてもこちらに怪我をさせる気満々の物理的デストラップ満載でしょうからまず【指定UC】でフェイントで武器を数個飛ばしてあえて発動させて無力化している隙にかわして進んでいくわ。
カルロス相手も基本は同じだけど相手は先制してくるからこちらは魔導砲に武器をぶつける。こうすればトラップのターゲットはその武器になるから、その隙に接近して残りの武器と自分の装備で攻撃するわ。
仕掛けは面白いけれど、甘かったわね。
私から最高のImpactをお届けしてあげるわ。
トリテレイア・ゼロナイン
蒸気ベルトコンベアに上から落ちてくるプレス機……。
この迷宮の罠は……『industry』!
加工されては堪りません
コンベア速度とプレスの落下間隔を見切りタイミング良く潜り抜け
フェイント考慮しセンサーでの●情報収集で装置の微かな稼働音聞き分け対処
王よ、その装置のデザインはアルダワ大迷宮の魔王第一形態が元となっております(空中に画像投影)
では…二の王笏、騎士として折らせて頂きます
瞬間思考力で魔導砲の射線見切り、歩行からの脚部スラスターの推力移動による急速加速で砲撃回避
カルロスが制御しているプレス機へUCで怪力で大盾を●投擲
装置を破壊しプレス機を無理矢理稼働させプレスから逃れた敵に接近
剣を一閃
無数の迷宮が乱立する二の王笏島。その中の一つ、『Iの迷宮』に猟兵たちは挑んでいた。それは外から見ればただ長いだけの真っ直ぐな迷宮に見えたが、中に入れば無数に道が枝分かれし、選ぶルートによってまるで異なる罠が仕掛けられているといういかにもアルダワ的な不可思議迷宮であった。
まずそこに挑むのは、マリア・ルート(千年の王国から堕ちのびた姫・f15057)とトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。二人は軽く頷き合うと、何が待ち受けるかも分からぬ迷宮へと足を踏み入れた。
そこに広がるのは、蒸気ベルトコンベアに上から落ちてくるプレス機。コンベア自体は奥へと誘うように動いてはいるが、安易に乗ればあっという間に機械に巻き込まれ連れていかれるのはあの世だろう。
その仕掛けを見て、トリテレイアは察する。
「この迷宮の罠は……『industry』!」
そう考えてみれば、この迷宮の様子正に工場。だが、その機械たちは規則正しく動いているが、その動きは妙に早く、また過剰なまでに一部の機械は外にはみ出しており、おおよそ安全が考慮されているとは言い難い。もちろん迷宮のトラップとしては正しい姿なのだが、余りに危険すぎるその様相に今度はマリアの方がはっとした表情をする。
「どう考えてもこちらに怪我をさせる気満々の物理的デストラップ満載……なるほど、Injury(怪我)の罠ってことね」
その見立て通り、こんな工場で作業をすれば怪我続出、操業停止待ったなしだろう。
「まあとにかく、カルロスのファッションセンスはともかくとして、まず罠を突破しないとね。あんたは見たことある? 目の前を埋め尽くす、武器の大群を」
だが何はともあれ、ここを突破しなければ始まらない。まずはこの迷宮のお手並み拝見と、【血見猛猟・百器野行】で精製したナイフを放ち前方のプレス機へと放つ。プレス機はナイフの接近を感知すると、速度を上げて落下、ナイフをぺちゃんこに叩き潰した。その迫力と威力は思わず想像力を揺らがせ、無敵のはずのナイフの数本が曲げられてしまう程だ。
「ありがとうございます、これで動きは分かりました。加工されては堪りません」
センサーで感知したその動きから、プレス機の加速具合と、コンベアの方は加速しないことを見切ったトリテレイア。これでまずここを抜ける算段はついた。
まずは再度マリアがナイフを投げ、プレス機を作動させる。その後二人で素早く動き、上がったプレス機の下を突破する。さらにその先の加工用の機械の音をトリテレイアが感知すれば、その指示によってマリアが武器を差し向け、先んじて破壊したりフェイントで誤作動を誘発させてすすむ。
感知と破壊を的確にこなし、二人は止まることなく工場を駆け抜けていった。
そして重々しい巨大な扉の先。そこには肩の鍵盤を撫でる一人の男が。
「ふむ、まず二人来たか。申し訳ないがまだ練習不足でな、人に聞かせられるようなものではとてもない」
肩から指を外し、鷹揚に構えて言うカルロス・グリード。その目の前に、トリテレイアが一つの映像を投影して見せた。
「王よ、その装置のデザインはアルダワ大迷宮の魔王第一形態が元となっております」
そうして見せるのは、黄金のパイプと機会を骨のように組み合わせた大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』の姿。それを見たカルロスは、好ましげに言う。
「ふむ……良い形状をしている。この者がいる地へも是非渡りたいものだ」
コンキスタドールの王たる彼が渡るということは、つまりそこを侵略するということ。それはならぬと二人は構える。
「では……二の王笏、騎士として折らせて頂きます」
その言葉を待たずに、カルロスは鍵盤をたたきプレス機を出現させた。だが、これは既に一度突破したもの。二人はただ先に行った突破法を繰り返すように、ナイフを投げ、そこへプレス機を作動させた。さらにそこから連鎖しコンベアも発動するが、トリテレイアはスラスターでの水力起動でそれを躱し、マリアは既にプレス機とかみ合わなくなっているそれを自身のスピードアップにさえ使った。
上がっていくプレス機に、今度はトリテレイアが自身の大盾を投げつける。再度魔導砲の狙いは防がれ、プレス機は誤作動。そして三回目の砲が放たれる前に、すでに二人はカルロスを捉えていた。
「王よ、付け焼刃の技術は自らの手を汚させますぞ」
トリテレイアの剣が一閃、鍵盤に触れようとするカルロスの胴を薙いでバランスを崩させ。
「仕掛けは面白いけれど、甘かったわね。私から最高のImpactをお届けしてあげるわ」
マリアの持つありったけの武器が、宣言通りにその体に叩きつけられた。猟兵たちの二の王笏島へのinvasionがこうして始まったのであった。
大成功
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久遠寺・遥翔
アドリブ歓迎
不思議なダンジョンか。カルロスって多芸すぎじゃね?
いいぜ、Iの迷宮とやら突破して見せる!
UCで飛行状態になり床系トラップは回避しつつ進行
さて、Iで始まる罠とやら、何が出るか
なるほど、ignition。発火トラップか
焔を操るからと言って他人の焔を無効化できるわけじゃない
せいぜい強めの【火炎耐性】を持ち合わせてるくらいだ
だから耐性に頼り切るではなく【オーラ防御】で直撃を防ぎつつ
【ダッシュ】でその一帯を突き抜けるぜ
カルロスとエンゲージ
奴が魔導砲を撃ち込んでくることは読んでる
【第六感】で【見切り】【残像】を残しつつ横っ飛びにかわし
【カウンター】UCの超加速で接近
焔の剣でその勢いのまま貫くぜ
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
また、妙な場所ですねぇ。
前後は当然、左右への傾きも含めた急傾斜に、それによる死角から放たれる様々な炎、ですかぁ。
『incline(傾斜)』と『ignite(燃やす)』の組み合わせですかねぇ?
であれば『FBS』を四肢に嵌めての飛行で移動しつつ【仰域】を発動し『炎』を吸収、そのエネルギーを『F●S』各種の強化に回しつつ進みますぅ。
『王錫』の先制攻撃は強化した『FMS』のバリアで角度を変えて受け流し、まだ維持が可能であれば、更に【仰域】による『吸収』を重ねて防ぎますねぇ。
後は、同様に強化済みの『FRS』『FSS』の[砲撃]、[範囲攻撃]で逃げ場を塞ぎ、確実に削って参りますぅ。
二の王笏島にある迷宮の一つ『Iの迷宮』。その迷宮を前に、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はこの上なく率直な意見を述べる。
「また、妙な場所ですねぇ」
ちなみに彼女はここの前身とも言える『Hな迷宮』にも挑んでいるのだが、方向性が同じなだけで恐らく罠はまるで違うものが用意されていることだろう。
「不思議なダンジョンか。カルロスって多芸すぎじゃね? いいぜ、Iの迷宮とやら突破して見せる!」
多種多様な衣装をまとい変幻自在の力を使いこなすカルロス・グリードにそう感じつつ、ダンジョン突破に意欲を燃やすのは久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)。
その前にあるのはまずは急な傾斜だ。先はやや暗く見通せないが、かなり慎重に進まなければ足を取られるだろう。
「なるほど、incline(傾斜)ですかぁ。それでは……」
その急傾斜を確認し、るこるは浮遊戦輪『FBS』を嵌めて宙に浮いてから傾斜へと入っていく。さらにそれに続き、遥翔もポーズを取り、気合を入れた。
「天焔解放(オーバーフロウ)――フレアライザー・ヘヴンッ!」
その掛け声と共に、漆黒と黄金の焔を纏った飛空騎士、フレアライザー・ヘヴンへと変身する遥翔。彼もまたその形態で宙を舞うと、るこるの後を追い傾斜へと飛び込んでいった。
しばし進む二人。足元はかなり急だが、飛んでいれば関係ない。ただ、飛行能力持ち対策なのか天井が低くなっていき、結局は床近くを浮くような状態になってしまっていた。
そしてその床に近づいた瞬間、カチリと何かの音がすると同時に、激しい炎が二人を炙った。
空中で炙られ思わずバランスを崩しかけた遥翔がその炎に思い当たる。
「なるほど、ignition。発火トラップか」
それは奇しくも彼のヒーロー名にもなっている言葉。だが焔を操るからと言って、彼は他人の焔を無効化できるわけじゃない。せいぜい強めの火炎耐性を持ち合わせているくらいだ。それ故己の耐性のみに慢心せずにオーラを展開。あえて床に足を付けたうえで重力に任せた高速ダッシュで駆け抜ける作戦に出た。
「『ignite(燃やす)』との組み合わせですかねぇ? であれば、大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて供物を捧げましょう」
るこるは炎に捲かれても焦ることなく、【豊乳女神の加護・仰域】。様々な力を吸収する波動を身に纏うことで炎を自分の力に変え、装備を強化しつつ飛行速度を上げて一気に突っ切っていった。
やがて、二つの火の玉が出口の扉を跳ね飛ばし、奥の大部屋へと転がり込む。
「ノックするのは結構だが、力加減を考えて欲しいな」
侵入者が来ることは既に予感していたか、さして慌てることもなくカルロスは鍵盤をたたく。背中のパイプのうち二つが二人の方を向き、そこから魔導砲が放たれた。
「カルロスとエンゲージ! 何やってくるかは読んでるぜ!」
だが、カルロスが出合い頭に攻撃してくるのは猟兵側だとて分かっていたこと。遥翔は駆け込んできた勢いのまま方向をわずかに傾け、高速で思い切り横に動くことでその初撃を躱した。
一方るこるは、円盤『FMS』を角度をつけ前に出す事で、魔導砲の直撃を防ぐ。だが、この初撃はいわばリード。命中をトリガーとし、連鎖するトラップ……大傾斜と発火装置が放たれた。
「これは……持ってくださいませぇ」
傾斜の方は浮くことで何とか無視できる。が、オブリビオン・フォーミュラたるカルロスが放つ炎はダンジョンの物よりはるかに強い。るこるの吸収能力さえ超え、その装備をエネルギーの過剰供給で破壊せんばかりに強烈な炎が注がれた。
「こっちも相手してくれよな!」
だが、その横から、焔黒剣に宿した焔を滾らせ猛スピードの方向をカルロスに向けた遥翔……フレアライザー・ヘヴンが突っ込んだ。そのスピードは最早視認できるレベルではなく、漆黒と黄金の矢……そうとしか形容できない姿となって、カルロスを刺し貫いた。
「ありがとうございます……それでは、お返ししますぅ!」
壊れることを免れたのなら、貰ったエネルギーは甚大だ。るこるは今にも溢れそうになっている射撃兵装を一斉展開、そのエネルギーを空にせんばかりの勢いでありったけの砲撃をカルロスに叩き込んだ。
「ぬぐっ……ぐ、うおぉぉぉぉぉぉ!!」
爆炎の中、カルロスの絶叫が響く。纏めて叩き込まれた攻撃が、今日最大のignitionとなって迷宮の主を焦がすのであった。
大成功
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アリス・フォーサイス
どんな罠が待ってるんだろう。事前対策ができない分、厄介だけど、ちょっと楽しみかも。
痛っ。これは見えないとらばさみ?invisibleな罠か。1発で致命的なダメージなものもあるかもしれないし、これはかなりハードだね。
エレクトロレギオン!機械兵器に探索させて、そのあとをとおろう。もちろん、床だけではなく、空中も探索させるよ。
なんとか突破できたかな。カルロスくん、なにそれ!かっこいい!
蒸気もとってもクールだね!
って、これ、すごい嫌な予感。罠を利用できるってことは、さっきの罠を利用して見えない攻撃できるってことじゃん。
先行させておいた機械兵器の影にすばやく隠れるよ。
高速詠唱で魔法の矢をとばして応戦だ。
ミリィ・ライジング
いつもはお兄ちゃんと一緒だけど、一人でできる事も頑張らないとね。
『I』の迷宮だけど……うっ、寒いっ!
何なのよ、この寒さ……iceage……『氷河期』!?
火の【属性攻撃】を利用した【オーラ防御・環境耐性・氷結耐性】で、
氷河期部屋を乗り越えていく。
「寒さを乗り越えるなら、前に経験した事があるからね」
迷宮を抜けたら、氷柱のつり天井に氷塊のトラバサミ!?
【ダッシュ・ジャンプ】で回避、罠に掛かったら【激痛耐性】で耐える!
攻撃を回避しきったら、UCを【高速詠唱】で発動。
火の【属性攻撃】を込めた手裏剣を【2回攻撃・投擲】で左右から挟み撃ちよ!
事前情報では具体的に何があるのかは分からないIの迷宮。その入口を、アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は不安と期待の入り混じる表情で見つめていた。
「どんな罠が待ってるんだろう。事前対策ができない分、厄介だけど、ちょっと楽しみかも」
事前の対策や心構えもできないのは冒険にとっては不利かもしれないが、同時に好奇心を刺激されるものでもある。元々先の見えない不安と期待に挑むのが冒険だと考えれば、あるいはそれも正しい姿と言えるのかもしれない。
その隣で緊張しつつも気合いを入れるのは、ミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)だ。
「いつもはお兄ちゃんと一緒だけど、一人でできる事も頑張らないとね」
深く尊敬し『自慢の兄』と呼んで憚らない兄が傍にいない不安はあるけれど、いつまでも何でも兄に頼り切るわけにもいかない。一人でできることは一人でやる、そんな強さを見せるためにも、ミリィはこの場に挑んでいた。例え隣に仲間がいても、その仲間と力を合わせることを『一人』でやると言う点では同じ。兄や誰かに仲を取り持ってもらうのではなく、自分の意思と考えで仲間と助け合わなければいけないのだ。
それぞれの思いを胸に一歩迷宮に入ると、突然凄まじいまでの冷気が二人を取り囲んだ。
「うっ、寒いっ!」
思わず呻くミリィ。いくら冬とはいえ基本的に温暖な地の多いグリードオーシャン。ましてここは迷宮とはいえ室内である。だが、その迷宮の中は凍り付き、辺り一面に氷が張って天井からはつららまで垂れている。
「何なのよ、この寒さ……iceage……『氷河期』!?」
それはある意味グリードオーシャンとは最も縁遠い言葉。だからこそこの迷宮の要素として選ばれたのだろうか。だが、ただ寒いというだけならいくらでも対処のし様がある。ミリィは手早く火の属性を放ち、同時に周囲の環境に適応できるよう自らの周りにオーラを張る。火は五行の一つでありどんな属性系統においても基本となるもの。その扱いには十分に習熟している。その力で動けるだけの暖を確保し、自分とアリスを凍傷から守りながら進んでいこうとする。
だが、先に進んでいたいたアリスが突然声を上げた。
「痛っ。これは見えないとらばさみ?」
足を抑えてうずくまるアリス。一見そこには何もないように見えるが、よく見れば流れた血が真っすぐ滴り落ちず、何かの形に添うようにゆっくり下へと垂れて行っている。
「invisibleな罠か。1発で致命的なダメージなものもあるかもしれないし、これはかなりハードだね」
冷え切って氷だらけの世界に、透明度の高い氷で作られた見えない罠。生かして返す気など微塵も感じられない凶悪な罠だが、そう言うものがあるというならアリスにも打つ手はある。
「エレクトロレギオン! 機械兵器に探索させて、そのあとを通ろう。もちろん、床だけではなく、空中も探索させるよ」
「じゃあ後は私が温めながらいくよ。寒さを乗り越えるなら、前に経験した事があるからね」
エレクトロレギオンの機械兵たちが寒さなど関係ないとばかりに前へ進んでいっては、次々見えない罠にかかって消えていく。その後ろで、ミリィは自分とアリスをしっかりと温めつつ、氷河の迷宮の中を進んでいくのであった。
そして凍り付いた扉を溶かして開けると、そこにはパイプから白い煙を噴き上げる男の姿が。
「なんとか突破できたかな。カルロスくん、なにそれ! かっこいい! 蒸気もとってもクールだね!」
その奇抜な装いに好奇心をこれ以上なく刺激されたアリスが感嘆の声を上げる。だがそれと同時に湧き上がるのは不安の感情。
「ふふ、そうであろう。何せ蒸気と氷河と言う本来相容れぬ者すら共存させてしまうこの島だ。これくらいの装いでなければ世界に負けてしまうというもの」
そう言うカルロスの肩の上で、パイプは透明になり見えなくなっていく。アリスの不安通り、罠を利用し見えない攻撃を仕掛けてくるつもりのようだ。
しかし、それはつまり迷宮と同じ対応策が通じるということ。先行させた生き残りの機械兵器の後ろに隠れ、その攻撃をやり過ごそうとするアリス。
「ふむ、やはり正面から撃つだけでは当たらぬか。ではこれでどうかな?」
そう言って肩に指を滑らせるカルロス。見えなくてもどこにあるか自分ではわかっているらしい。その動きに呼び出され、氷塊のトラバサミを生やした黄金獅子が現れる。獅子はまるで吊り天井を再現でもするかのように、大きく跳びあがってミリィを押し潰さんとした。
下を走り抜けるか、上を飛び越えるか、その一瞬の逡巡が仇となり、見えないトラバサミに捕らえられてしまうミリィ。
だが、激痛を耐えながら、ミリィは懸命に考える。獅子に攻撃を任せているなら本体はその制御に意識を取られているのではないかと。
「化身招来! 陰陽だぜよ閃き剣豪、誠に怪盗天使と勇者。私に集え!」
複数の口調に能力、職業に特徴を高速で纏めて諳んじるミリィ。それに呼ばれるように、彼女が招来できる化身の霊たちが全て彼女の体に降り、一斉にその力を振るった。
特に使われたのは火の属性の力と、それを宿した手裏剣を投げるための力。二方向から飛んだ手裏剣がカルロスを挟み撃ちにし、その動きを止める。
「よし、今だね!」
それを好機と、アリスも壊れた機械兵器の後ろから飛び出し魔法の矢を高速で連射する。狙いはカルロス本人なのだ、その兵装が見えなくなっていても関係ない。連続で放たれた矢がカルロスの体を前から貫いた。
「よもや……この機構の中で熱さを感じるとはな……!」
冷たく見えない迷宮を武器としたカルロスは、見えても避けられない熱い攻撃によって無視できぬダメージをinflictされたのであった。
大成功
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リーヴァルディ・カーライル
…ん?この迷宮は…力が抑制されている?
何時もの十分の一(Lv10)ぐらいの力しか出せない…
なるほど、Initio(最初から)の迷宮…ということ
アイテム初期化やUC初期化、技能初期化の罠を、
第六感を頼りに違和感や罠の存在感を暗視して見切り回避
…だけど、今までの戦闘知識やまで無くなった訳じゃない
敵もLv初期化しているがUCでLvダウン耐性の獅子を召喚
敵の攻撃を"写し身の呪詛"の残像を囮に受け流しUC発動
…条件はお前も同じはず…って、それは卑怯じゃない…?
…ええい、多少、力を抑えられていても関係無いわ…!
●暗号作成で超圧縮した●高速詠唱魔法陣を展開して、
超高速の●早業で魔弾を●乱れ撃ち敵陣をなぎ払う
迷宮の罠。それは体を傷つけるものばかりではない。時に不可思議な力で目に見えないものを侵し、奪い去ることさえあるのだ。
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はIの迷宮に入った時から、今まで感じたことのない違和感と脱力感に苛まれていた。
「……ん? この迷宮は…力が抑制されている? 何時もの十分の一ぐらいの力しか出せない……」
リーヴァルディは猟兵の中でも一握りのトップ集団に位置する実力者。同等の者はいても彼女より上の者はいない、最強を名乗って否定されることはないほどの力を持つ者だ。
だがその彼女が、この迷宮に入った時から全く調子が出ない。まるで猟兵として活動を始めたばかりのころのように力も技も大幅に衰え、物によっては丸ごと失われたようにすら思えてならなかった。
「なるほど、Initio(最初から)の迷宮……ということ」
初心忘るべからずという言葉はあるが、何から何まで最初に戻れと言う意味ではないはず。だが、それでも進むしかないのだ。
出来ると思った動きができず、あわやと言う場面は何度もあった。奇しくもそれによってこの二年と少しの間で自分がどれだけ成長したかを改めて実感することになったが、同時に失われたものの大きさが重くのしかかることともなった。
「……だけど、今までの戦闘知識まで無くなった訳じゃない」
いくつもの戦場を潜り抜けた。様々な強敵と戦った。その中で培われた知識は間違いなく
リーヴァルディは残った力と技、そして己の積み上げてきた消えないものを頼りに、さらに装備やユーベルコード、技能まで奪おうとしてくる罠を躱していく。
そうして迷宮の最奥までたどり着いたとき、そこには拙い手つきで鍵盤を弾く二の王笏の姿があった。
「ああ、少しはましになったと思ったのだが、すっかりこの様だ。ダンジョンメーカー、完全に制御するのは我にすら不可能な代物なのかもしれぬな……では仕方ない、踏み倒させてもらおう」
彼もまた迷宮の影響下にあるのか、折角練習した演奏が振出しに戻ってしまったようだ。だが、戦闘においてまで律義に従うつもりはないと、レベル低下に耐性を持つ装置を乗せた黄金獅子を召喚しそれをけしかけた。
「……条件はお前も同じはず……って、それは卑怯じゃない……?」
「持ちうる手段を用いて乗り越えたまで。貴様もそうすればよい」
『写し身の呪詛』を残像として用いそちらにターゲットを向かせることでまず最初の一撃は躱した。だが、すぐに獅子は狙いを戻し、今度こそリーヴァルディ本人を噛み裂かんと狙う。
「……ええい、多少、力を抑えられていても関係無いわ……! ……限定解放。精霊言語修正、魔力錬成、術式圧縮……殲滅せよ、血の銃士」
暗号化し短縮圧縮した術式を、高速で回転させ弾丸にする。術式に守られたその力は、一時的に十倍の力まで増幅された。それはつまり、猟兵最高峰に位置するリーヴァルディの常の力と同等まで戻されたということ。
無論常の状態で同じことをすればさらに比較にならないほどの力を得られる。だが、猟兵の中には駆け出しであってもフォーミュラ相手に戦果を上げるものすら存在するのだ。ましてや積み上げてきた知識は残るリーヴァルディに至れば何をかいわんや。
「お前の言った通り、そうさせてもらった……下手な演奏会は終わりよ」
50発の魔弾が敵陣をなぎ払う。獅子こそその弾丸に耐えることができたが、カルロス自身はその弾丸を避け切ることができず、背中のパイプ諸共撃ちぬかれ、鍵盤をちぎれ飛ばせ蒸気を溢れさせながらその場に倒れ込んだ。
「普段の我ならこの程度……いや、言うまい……やはり心残りは、披露できるほど極め尽くせなかったことよ……!」
そう言うカルロスの周囲から一斉に蒸気が巻き起こる。そしてそれが晴れた時、そこには何も残っていなかった。
カルロスが倒れダンジョンメーカーも消えたのか、景色が揺らぎ、Iの迷宮も消滅していく。そしてそれと同時に、リーヴァルディの体に常通りの力が戻る。
今はまだこの力を振るうべき相手がいると、リーヴァルディは足早にこの地を後にする。
解放すべきislandは、まだあまりにも多すぎるのだ。
大成功
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