羅針盤戦争〜グリードオーシャン改めスイートオーシャン
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どこまでも青く広がるグリードオーシャンの海。時に地で赤く染まることもあろうとも、その青は絶対のはずであった。だが、今ここに、黒い海が広がっている。
その正体は泥か、油か、いや違う。
むせかえる程の甘い匂いで海を覆い尽くすそれは、紛れもないチョコレート。
「行きなさい、進むのです」
その発生源となっているドレスを着た女は、そのドレスの隙間から溶けたチョコレートと、そして自分自身と全く同じ姿の存在を無尽蔵に吐き出しては海へと流し込んでいく。
「この海を黒く甘く埋め尽くしなさい。そして甘く固まったこの海を私を娶ったカルロスへ捧げるのです。これは今日この日に必ずなさねばならぬこと」
並々ならぬ情念を持ってチョコを吐くこの女。それほどまでに彼女を突き動かす者は一体何か。
「そう……さすればあの男はより私を重用し、私への情も深くなる。私の立場が良くなれば大天使の肉を探すにも動きやすくなる。そう、全ては私の利、ただそれだけのため。それ以外に一切の邪念など無し。これは全て私自身のため!」
己一人の野望と利益のため。そう言うことにしておこう。
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「ハッピーバレンタイン。あなたのメルでございます」
メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)がカップに入ったホットチョコレートを差し出す。後ろには巨大なチョコファウンテンがあり、そこから汲んだもののようだ。
「こんな日ですが羅針盤戦争の依頼です。とある海域が、チョコに埋め尽くされてしまいました。これは七大海嘯『桜花』ことメロディア・グリードの仕業でございます。皆様にはこの海へ行き、このチョコを片付けて頂きたく」
掃除をしてこい……などという単純な依頼でないのは分かり切ったことだ。先を促されメルは続ける。
「もちろんこのチョコはただのチョコではなく、メロディア・グリードの無限に増殖する己の一部だそうで、メロディアと同じ姿を取って動き回ることができます。つまり、この海域が汚染され切ればここはメロディア無限生産工場となってしまいます。そうなる前に皆様にはこのチョコメロディアを全滅させていただきたいのですが……まず、このメロディア数にすれば数千体います。さらに、その一体一体が本物と同じ攻撃力を持ちます」
彼女が七大海嘯の中でどれほどの実力者かは分からないが、少なくとも『舵輪』ネルソン提督よりは上なはずである。それが数千体となれば、苦戦どころか最早勝負にならないのではないか。
「ですが、彼女たちの組成はあくまでチョコ。つまりタフネスはその辺の板チョコと同レベルということです。猟兵どころか一般人が殴っても壊れます。ですので皆様には、本格的な交戦に入る前にとにかくチョコを破壊しまくってほしいのです」
人型で破壊されたメロディアはなぜか再生できないらしい。本格的な戦闘に入る前、いかに数を減らすかが勝負ということだ。
「倒しきれなかった分は直接戦って倒していただきます。やはり敵は一発で倒せますが、相手もそれを分かって数で攻めてきます。油断すると七大海嘯クラスの攻撃を纏めて何百発も食らってしまうことになるので、十分にご注意を」
相手は自分の特性をよく理解し、個に価値を見出さず攻めてくる。囲まれることは即ち敗北、といってもいいだろう。
「発生源のメロディア本体は、海を汚染し終えたらさっさと帰ってしまうので戦うことは出来ません。どうやら彼女はこれをバレンタインチョコとして夫のカルロス・グリードへ捧げるつもりの様で……重い女ですね」
まあ、縄張りを広げ主に献上すると考えれば、海賊として不自然な話ではないだろう。本当にそれが真意かは不明だが。
「ともあれ、海域を汚染されたままにしておくのは様々な意味で危険です。皆様どうぞ、お気をつけていってらっしゃいませ」
そう言ってメルはその海域へと鉄甲船『黍団号』を向かわせた。
鳴声海矢
ハッピーバレンタイン。鳴声海矢です。海のチョコ全部抜く大作戦。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス……一斉攻撃を受ける前に、可能な限り多くの「増殖する私の残滓達」を倒す』
直接戦闘の前に一方的に攻撃する機会があります。その際に可能な限り『増殖する私の残滓達』ことチョコメロディアを倒してください。敵は攻撃力は七大海嘯クラスですが、防御力はチョコレベルです。何をしても一撃で倒せますので、とにかくたくさん倒してください。
戦場は主に海上となりますが、陸戦が得意な方は鉄甲船『黍団号』へ敵を乗り込ませそこで迎え撃つこともできます。水上戦ができる方は海に出て戦ってももちろん構いません。
ただ、どれだけ倒そうと相手は多いので、結局は直接戦闘にも持ち込まれます。その際の戦闘プレイングも用意しておかないと敵の物量にすり潰されてしまうでしょう。
ちなみにこのチョコは食べられますが、元をただせば無限に増殖し切り離されるメロディアの肉のようなものです。そこに目を瞑れるならおいしいチョコですのでご自由に。
それでは、甘く蕩けるプレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『増殖する私の残滓『スイート・メロディア』』
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POW : スイート・エンブレイス
【甘い香りと共に抱きしめること】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : キャンディ・ラプソディ
【肉体を切り離して作った毒入りキャンディ】を給仕している間、戦場にいる肉体を切り離して作った毒入りキャンディを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ : チョコレート・ローズ
対象の攻撃を軽減する【融解体】に変身しつつ、【毒を帯びた薔薇の花型チョコレート】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:hina
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
食べて大丈夫な品であれば、全て頂いても良いのですが。
『FBS』を四肢に嵌め僅かに浮遊、甲板での機動性を確保し【紘器】を発動、限界数までの『祭器』の複製を一気に形成しますぅ。
此方は最大で『基本台数×Lv×5』の複製を形成出来ますので。
『FMS』は全てバリアで船を守りつつ、中距離位置の相手をレーザーで。
『FBS』の複製は比較的近くの個体を斬撃を。
『FSS』は全て炸裂弾に換装し、中~遠距離の相手を中心に[爆撃]、『FRS』は[砲撃]で遠距離の相手を狙いますぅ。
全て、一度に多数を狙える様[範囲攻撃]を繰返し、一気に叩きますねぇ。
試しに『FTS』で、倒した後のチョコを回収しても?
ニィエン・バハムート
そろそろ飽きてきましたが【水上歩行】で海上に降り立ち【先制攻撃】の爆鳴気炎【範囲攻撃】!
竜の息吹(爆鳴気)による増殖する無限の炎と爆鳴気の爆発による【衝撃波】で敵が増える端からどんどん消し飛ばしていきますわよ!
船や私の方に炎と爆発が来そうだったら炎の任意消去と【オーラ防御】で防ぎますの。とにかく音が大きくてキツイですからね。それは敵も同じというか、もっと酷いでしょうけれども。
直接戦闘に持ち込まれたら身体の各メガリスから放つ衝撃波の範囲攻撃やオーラで強化された電撃【属性攻撃】などで【なぎ払い】私に近づけないようにしながら倒しますわ。
プレゼントしたいなら直接カルロスに送りつけなさいな!こんなもの!
鉄甲船『黍団号』は一つの海域に差し掛かる。そこに広がっているのは、胸焼けしそうなほどの甘い香りを放つ黒色の海。
「食べて大丈夫な品であれば、全て頂いても良いのですが」
それを見渡す夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の言う通り、その海は全てチョコ。それも味だけは相当に上物のチョコでできていた。
だが、ここに広がるのは文字通りにそんな甘いだけのものではない。
チョコの海面が盛り上がり、ドレスを纏った女の形を取る。それも一つ二つではなく、見る間に数千人の同じ姿をした女の群れが会場を埋め尽くした。
甘い世界が一転して悍ましい光景に変わったが、それを見るニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)の目にあるのは恐怖や戦慄ではなく、むしろ倦怠に近い感情であった。
「そろそろ飽きてきましたが、焼き払わせて貰いますの!」
既に何度となくこの光景を見て、チョコによって形どられた女、スイートメロディアを屠り去ってきたニィエン。今度もそうするばかりだと素早く鉄甲船から飛び降りると、沈むことなくチョコの水面に立ち、無数のメロディア軍団と向き合った。
「竜王の息吹で消し飛びなさい! バハムート・オーバード・ヘル・ブロア!」
先制は強豪オブリビオンだけのものではないとばかりに、早速【ナマズ流鮫魔術裏奥義・ナマズのトンデモ爆鳴気】を放つニィエン。鮫魔術により練り上げられた水と雷の気、彼女が爆鳴気と呼ぶそれが海面一体に広がり、一気に炎上して中にいるメロディアたちを燃やす。その気は竜王の炎とでも呼ぶべき業火となって燃え広がっていくが、魔術的な炎であるがゆえにその範囲は自在。そしてまた爆鳴気の名の通り爆音を立てて広がるそれは、その衝撃でも脆いメロディアたちを打ち崩していく。
炎は任意に消去できる故自分を焼くことはないが、とにかく音が凄くて酷い。こればかりはオーラを展開しても中々防げないが、敵にとってはもっと酷いのだからと甘んじて耳を撃たれるニィエン。
次々とメロディアたちは倒れていくが、この一帯は文字通りのチョコの海。いかに広げても一人でカバーしきれるものではなく、射程の外から船に迫るものが出てくる。甲板に残ったるこるは戦輪『FBS』を装備し甲板上で浮き上がり、乗船しようとしてくるメロディアたちに狙いを定めた。
「大いなる豊饒の女神、その『祭器』の真実の姿を此処に」
【豊乳女神の加護・紘器】の力で、自らの装備する浮遊兵装を大量に複製するるこる。円盤『FMS』で船を囲み守りを固めつつ、他の兵装たちを一気に攻撃へと差し向ける。
「まずは乗ってきそうなあなたたちからぁ」
FBSが船体に手を掛けようとしたメロディアたちの腕や首を切り飛ばし、海へと叩き落としていく。一見グロテスクな光景になりそうだが、その切断面は黒く彼女たちの体が全てチョコでできていることを如実に物語っていた。
さらには砲撃能力を持つ『FRS』が遠距離の相手を狙撃していき、同様に射撃のできる『FSS』は炸薬を発射しそれより少し近い一体を爆破していく。それよりも前に出てきた者は、FMSが光線を当て撃破と爆発範囲への押し返しを試みた。
それでも、余りの多さに僅かな漏れ、僅かな隙をついて船へ迫りくるものはいた。それへの防衛線となるのは、誰あろうニィエン本人である。
「受けて見なさい電気竜王の一撃!」
メガリスボーグとして埋め込まれた全身のメガリスを稼働させ、衝撃波を発生させ近づくものを押し返す。それでもなお迫りくるものには、オーラを乗せた電撃のなぎ払いがそのチョコの体を消し炭に変えた。
兵器と竜王の波状攻撃に、さしものメロディア軍団も一旦湧きが鈍くなり、海がほんの少しだけ平静を取り戻す。
「プレゼントしたいなら直接カルロスに送りつけなさいな! こんなもの!」
カルロスの前で一人で分身を出しているだけならだれの迷惑にもならなかったろうに、つくづく面倒な女だとニィエンは怒りをあらわにする。
だが一方、るこるは静まったチョコの海を別の視点で眺めていた。
「試しに『FTS』で、倒した後のチョコを回収しても?」
物品を亜空間に転送するための宝珠FTS。それ一つの収容量もなかなかのものなのだが、これも『祭器』でありユーベルコードによって数が増加していた。
大量の宝珠が海面に落ち、一斉にチョコを吸い上げていく。
事前の説明にもあったが、これはメロディア本体の体の一部ではあるものの、物としては味の良いチョコでしかない。そしてるこるならば、この量を食べ尽くすことも決して不可能ではなさそうですらある。
メロディア討伐のエキスパートであるニィエンすら取ったことのない対処法の効果のほどは、るこるの食欲次第であった。
大成功
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ジェイク・リー
※アリス、エルーゼ、ミラーと行動
絡み・アドリブOK
高く跳躍して爆発する炎のナイフ数本を投擲して範囲攻撃を行う。
できるだけばら撒くように投げてできるだけ数を減らす様にする。
直接戦闘になれば 長剣に形成した十束刃を振い対処する。
第六感で危険を察知したら回避か距離を取り、ダッシュで詰めたらストレートを打ち込む。
「撃破数勝負なあ」
アリスに挑まれ、気が済むならと受ける。
アリス・スラクシナ
※エルーゼ、ミラー、ジェイクと行動
絡み・アドリブOK
「どっちが多く倒すか勝負だ」
心の蟠りというか、モヤモヤしたものの正体、嫉妬というものを払うのに最適だろうと思い言ってしまった。
だがまあ、数を減らすという意味では問題ないかと。
リージョンを誘導弾を順次撃ち出す六連装式ロケットランチャーに形成して撃ち出す。
範囲攻撃による殲滅で数は減らせるだろうが、直接になれば切り替えねば。
獣の盟約に持ち替えて接近戦に挑む。
相手の攻撃を第六感と見切りで対処、カウンターで一閃を繰り出す。
エルーゼ・フーシェン
※アリス、ミラー、ジェイクと行動
絡み・アドリブOK
数減らす勝負ね。まあいいんじゃないかな?
空中浮遊で浮かびながらリヴァイアサンの息吹を撃ち込んで炎の属性攻撃と衝撃波による熱波とか有効かもしれないわ。
夢幻であの炎の長剣を形成して直接戦闘に切り替えね。
第六感と見切りで避けつつ炎と風を纏わせた剣で斬りつけるわ。
範囲攻撃で広範囲攻めればより効果的かも。
ベアトリス・ミラー
※エルーゼ、アリス、ジェイクと行動
絡み・アドリブOK
アリスとジェイクと共に鉄甲船上で迎撃に。
邪神竜のコインをランチャーや機関銃にして迎撃してもらいましょう。
数を減らすのが優先なので、特にいう事はないかなと。
直接戦闘になれば近接武器による迎撃に切り替えを。
数はあっても戦術が無ければ勝つことは難しいのですよ。
抜けてくるのであればお相手しましょう。
第六感で察知できれば残像を残して迷彩で消えてしまえば。
邪神竜の刃で斬り捨てます。
一度戦ってなお、船の甲板からは見えるのは一面のチョコの海。そしてその海からは、スイートメロディアの軍団が今だ際限なく湧き上がってくる。その集団を見ながら、アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)が同行する仲間に向けて言った。
「どっちが多く倒すか勝負だ」
ここの所ずっと晴れずにいる心の蟠り。そのモヤモヤしたものの正体が嫉妬というものだと悟り、それを払うのに最適だろうと思いつい言ってしまう。
「撃破数勝負なあ」
ジェイク・リー(嵐を齎す者・f24231)はいささか気のない調子で返すが、それで彼女の気が済むならと一応は承諾する。
また、最近の彼女のらしくない様子をずっと案じていた仲間たちも、彼女の提案に乗ることにした。
「数減らす勝負ね。まあいいんじゃないかな?」
エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)もそれに賛同の意を示す。無理に否定しても仕方ないし、結果として戦いに向かう動機付けもできる。差し当たって問題はないだろうと判断してのことだ。
「私のファイアチームをみせてあげましょう」
ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)も【クイーン・フォース】の兵士たちを呼び出すことで参加の意思を示した。
思わず言ってしまったと思っていたアリスだが、撃破数を減らすにはいいし、承諾の返事ももらえたことで自身の武器を構え前に出る。
ともあれ、これでゲーム開始だ。その合図とでもいうかのように一斉にメロディアたちが鉄甲船へと押しかけるが、まず一番手と言うようにエルーゼが甲板から飛び出し、宙を舞ってその群れへと攻撃をかけた。
「元素を交差させてより強く」
【クロス・エレメント】を発動し自身を強化しながら、コンパウンドボウ型の魔弓を撃ちかけるエルーゼ。相手がチョコだというなら何に弱いかは分かりやすい。陽焔の魔力を込めたやを力強く撃ちかけ、その高熱と衝撃でメロディアたちを溶かし、砕いていく。熱波によってメロディアは次々倒れていき、空中戦を得意とする彼女が真っ先にポイントを稼ぐ形となった。だが、移動しながら撃っている関係で一体ずつ仕留めているわけではなくうち漏らしはいささか出るし、なによりメロディアたちは通常の軍団のように奥から進んできているわけではない。手前側のチョコから発生するものも多数おり、そういった者たちが次々と鉄甲船へ昇り始めた。
「そう簡単には乗らせんぞ!」
それにはこのゲームの言いだしっぺであるアリスが真っ先に対応。『リージョン』を六連装式ロケットランチャーに形成して撃ち出し、誘導弾で次々と攻撃していく。爆発と熱、そして衝撃が当たった者のみならず周囲のメロディアまで巻き込み、船に乗ることを許さず次々海へと叩き落としていった。
「やるか」
一方でジェイクは、そもそも乗る動作にすら入らせずに排除すべく高く跳躍。【アトリビュート・アームズ】で作り出した炎のナイフを数本ずつ広範囲に投擲し、船間際のチョコを焼いていく。ナイフはチョコが盛り上がり、人の形を取り始めたところに発生を潰すかの如く的確に刺さり、それが人型を形成するより早く焼き溶かしていった。
「数を減らすのが優先なので、特にいう事はないかなと」
ベアトリスはその二人とは逆方向を向いて、そこから昇ってくるメロディアたちの対処に当たる。呼び出した兵士たちに『邪神竜のコイン』を変化させたロケットランチャーや機関銃を渡して一斉に迎え撃たせ、集団の制圧術で船には昇らせない。
一人に一つのコインしか渡せないため武器の威力自体は高められないが、チョコを壊すだけなのだ、過剰な火力など必要ない。数には数というシンプルな対処法で、ベアトリスの軍団は迫りくるメロディアを押し返していった。
だが、これだけの猛攻をもってしても完全には押し返せぬほどにメロディアは多い。鉄甲船の大きさも災いし、ついに弾幕を抜けて船に上がってくる者が出始めた。
「直接になれば切り替えねばな」
アリスは武器を『獣の盟約』に持ち替え、その軍団を迎え撃つ。一斉に抱き着いてくるメロディアの動きを見切り、しなだれかかるその動きにカウンターを取るようにして胴を両断。さらに動いた先にいるメロディアの攻撃を躱し、切り上げて今度は縦に割り、次のメロディアの攻撃をまたかわすと、流れるように次々とせまるメロディアを仕留めていった。
初撃を当てれば連撃の必要もなく砕け散る程脆い相手、とにかく早く動いて数を倒していかねばならない。ジェイクは『十束剣』を長剣にし、遠間からでも攻撃できるようにして迫るメロディアたちを切り捨てていった。
とにかく数頼みのメロディアは切っ先がかするだけでそこから血の代わりにチョコを流し倒れていくが、一方で一人がやられても真後ろからすぐにまた一人が来る。そして近づかれ過ぎたら、リーチの長すぎる武器ではかえって対処が難しい。抱き着きの動きに入るほどに近づくものが出てきたら、武器を使うのをやめ回避できるだけの距離を取り、そこから走るように踏み込んでストレートパンチでその腹に大穴を開けてメロディアを破壊した。
「数はあっても戦術が無ければ勝つことは難しいのですよ。抜けてくるのであればお相手しましょう」
メロディアが船にたどり着いたのは、あくまで凄まじいまでの数の暴力故でありそのための作戦があったわけではない。ならばとばかりにベアトリスは武器の形状を切り替え、兵士たちに近接戦を指示した。
戦術的優位があるという自信は兵士たちの無敵を支え、強力な抱き着き攻撃を受けてなお兵士たちは揺らぐことなく自分に抱き着いたメロディアを切り捨てていく。
だが、メロディアの一部は兵士に構わずベアトリスの方へ迫ってきた。恐らく指揮官を狙うというよりはいる相手にとにかく攻めかかっているだけなのだろうが、ベアトリスはそれを察知し、素早くその場から離脱しようとた。
その瞬間、メロディアたちが一斉にベアトリスへと抱き着く。だが、それは残像として残ったその姿をすり抜け、何人ものメロディアがそこに折り重なって倒れるばかり。その重なったメロディアを、ベアトリスは逆光に紛れて飛び掛かり、自らも一つ持っておいたコインを変形させた武器で貫いた。
こうして甲板に上がったメロディアも次々と倒されていく。だが、とうとう全ての囲みを抜け、船倉へと続く扉へ手を掛けようとするメロディアが現れた。
「しまった……!」
このままでは船の内部を破壊されてしまう。だが、止めに行こうにも自分の前にもまだ敵はいる。いくら弱いとはいえ倒すのに一手はいる、このままでは……
「悪いけど、乗船拒否よ」
甲板上の敵味方を飛び越え、舞い戻ってきたエルーゼがそのメロディアを宙から降りながら叩き切った。その手にあるのは、以前精霊術士の力を借り作った宝石のついた片刃剣。さらにその時借りた力を再現するかの如く、炎と風を合成した大竜巻を発生させ、周囲のメロディアを纏めて焼き払った。
「暖房の前にチョコおいちゃだめよ」
熱の風はチョコにとって大敵。熱風吹き荒ぶ砂漠を思わせる高熱の嵐が、甲板のメロディアを一気に焼き払った。
「美味しい所をもっていかれたな」
「元になったのがあれだからね」
一番最初にその剣を作り出すきっかけとなった、協調性のない術士の姿を思い出すエルーゼ。
一先ず敵の攻勢が落ち着いたところで、ベアトリスがはたと気づいたように言う。
「ところで……だれかスコア計測とかしてました?」
「……あ」
勝負、と言っていたが倒すのに夢中になり、勝負の付け方を忘れていた。
「まあいいだろ。どうせ大物はまだ来ていない」
一体でチョコメロディア数千体分以上のポイントを持つだろう大ボスはまだこの場にはいない。それを倒すまで勝負はつかないのだ。ジェイクのその言葉に、チョコの海の向こうにいるはずの大物の姿を三人も思い浮かべるのであった。
大成功
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シウム・ジョイグルミット
[POW]
おおー、ほんとに凄い数だねぇ
全部食べちゃいたいけど、さすがにお腹に収まらないかなー
とにかく数を減らさなきゃだから、『Contradiction』召喚!
脆いみたいだし、ナイフ1本1本違う敵に飛ばして壊していこうかな
海の上を進んでても船に乗り込んできても迎撃出来ると思うしねー
ゲーム感覚で、どんどん数を減らしちゃおう
囲まれちゃった時は、身体の周りにナイフを集めて同時に飛ばして回避かな
それも避けられたら、お皿で身体を囲んで防御しちゃおう
防いだところで、お皿をずらして隙間からナイフ飛ばしで反撃だね
他の仲間が狙われてるみたいなら、お皿を向かわせて防御サポートかな
防いだ隙に敵を攻撃して壊しちゃえー
死絡・送
※アドリブ、絡み、共闘可
ジガンソーレに乗って出撃。
「バレンタインのチョコ、他人様の思いを踏みにじるような事は嫌いだが
オブリビオンの悪事は許せねえ!」
水中も水上戦はできるのでロボを浮かして海上航行で戦う。
仲間達と力を合わせて必殺ビームのルーチェ・デル・ソーレでチョコに焼却と範囲攻撃を行い海の浄化をしつつ戦う。
相手の一斉攻撃はオーラ防御でバリヤーを張りかばうで自分の近くの
防御が薄そうな味方をかばう
エネルギー充填で溶かしたり砕いたチョコを吸収し糖分を燃やして戦闘を継続し根性で機体を操り格闘戦もしてしのぎつつ、光子魚雷一万発発射!!
を使用する。
広がるチョコの海と、そこからいくらでも湧いてくるスイートメロディア。その光景を船上から眺め、シウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)が声を上げる。
「おおー、ほんとに凄い数だねぇ。全部食べちゃいたいけど、さすがにお腹に収まらないかなー」
不思議の国でも見ないような見渡す限りのチョコの海。その上には一機のロボットが浮いていた。
「バレンタインのチョコ、他人様の思いを踏みにじるような事は嫌いだが、オブリビオンの悪事は許せねえ!」
死絡・送(ノーブルバット・f00528)はスーパーロボット『ジガンソーレ』に乗り、チョコの海に向かってそう叫ぶ。これが普通にチョコを作って渡すだけなら何も問題ないのだが、海域一つをチョコに染め上げオブリビオンの製造拠点にしてしまうなら看過は出来ない。
まずは海上の広範囲を攻めるべく、チョコの海の上にジガンソーレが降り立ち早速必殺のビームを放った。
超高熱の太陽光線『ルーチェ・デル・ソーレ』が海面を照らし、そこから生じるメロディアたちをあっという間に溶かしていく。直射日光をチョコに当てた時にいかなることになるかは言うまでもないだろう。『桜花』本人が夫の為に海に注ぎ込んだチョコはあっと言う間にドロドロに溶け、再度固めても白い油が浮いて風味が落ちた劣化チョコにしかならないだろう物へと変じていく。
まさにチョコ特効とも言える攻撃だが、光線は光である以上前方直線にしか届かない。その後ろから発生したメロディアは鉄甲船へ次々と乗り込んでいくが、それを迎え撃つのはシウムだ。
「とにかく数を減らさなきゃだからね。食器は食べるためだけの道具じゃないんだよ♪」
シウムの周りに銀製の食器が無数に現れる。その中からナイフを複数手に取り、シウムは上がってくるメロディアに向けて一体一本ずつ投げつけた。
「脆いみたいだし、どんどん壊しちゃおう♪」
ナイフが当たったメロディアは予想通りに一発で砕け、チョコの欠片になって甲板に散らばる。ゲーム感覚に次々とナイフを当ててはメロディアを破壊していくシウムだが、やはりこれまたゲームのように、徐々にメロディアの攻勢は勢いを増していく。手で投げて倒していくには限界があり、ついにシウムの周りに何体ものメロディアが到達してしまった。
「しょうがない、じゃあ必殺技だ!」
シウムは自分の周囲にナイフを複数広げ、それを一斉に射出する。それは放射状に広がって飛んでいき、周りを囲んだメロディアを纏めて打ち倒した。さながらシューティングゲームのボム攻撃と言ったところだろうか。
だが、ナイフばかり使ったせいか残弾が少し心もとない。シウムは今度は皿で自分の周りを固め、その隙間から少しずつナイフを投げていく防御主体の戦法に切り替えた。
そこに、前方のチョコを一先ず対峙し終えた送が戻ってくる。倒したチョコの一部をエネルギーに変え補充もばっちりだ。そのエネルギーをオーラとして展開、バリアを張りながら甲板に降り立つ送。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫! あ、でも武器がちょっと足りなくなってきたかな?」
そう言ったシウムの後ろから、船後方から乗り込んできたメロディアが迫る。それと同時に前方からも船の眼前から湧いたメロディアが奇襲気味に乗り込んできて、最後の猛攻と言った様子で一気に攻め上がってきた。ゲームで言うなら最後の発狂モードと言ったところだろうか。
両側からの挟み撃ち。しかしこちらも二人いる。ならばとるべきは一つと、二人はそれぞれの向いている方に進んですれ違った。
「よし、あっちはまかせろ。全てを光に変えて消す!!光子魚雷、射て~~~~~~~っ!!」
後方から来ていたメロディアの群れは、【光子魚雷一万発発射!!】の魚雷の群れが一気に押し返し光の中に消し去り。
「それじゃ最後の大盤振る舞い! 全部持ってってよ!」
前から猛攻をかけるメロディアはシウムが残ったナイフを全て投げつけ一気に撃滅した。
両側に放たれた攻撃で前後のメロディアは纏めて消し飛ばされる。万一に備え二人はそれぞれの背後にオーラと皿を広げ互いを守り合っていたが、そこまで届いたメロディアは一体もおらず、二人は船の完全防衛に成功していた。
「こんな状況じゃなければチョコのプールなんてのも良かったんだけどね」
「オブリビオンは許せんが俺もこれくらい重いチョコを貰ってみたいぜ」
チョコ自体には肯定的な二人は甲板に残ったチョコを見てそう思うのであった。
大成功
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シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
甘いのは好きだけどこれだけの量はちょっと…
しかも何かどんどん湧いて出てきてるし!
やっちゃお、ウィーリィくん!
ウィーリィくんと二人でボートで汚染海域の近くまで行ったら手分けして【ワールド・タイフーン】で増殖するチョコメロディアを片っ端からやっつける
半径100mなら手分けすればかなりの範囲をカバー出来るハズ
ある程度数を減らしたら囲まれる前にウィーリィくんと合流して敵を迎撃
近づく敵をビーム銃で【クイックドロウ】+【範囲攻撃】+【弾幕】でどんどん減らしていく
倒した敵のチョコは…遠慮したいかな?
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
汚染した海域がそのまま奴の一部になるって訳か。
だとしたら放っておけないな。
ボートを借りてシャーリーと一緒に海に出て迎え撃つ。
二人のUCの効果範囲を考慮して感覚を開け、汚染された海域の近くまで来たら【飢龍炎牙】で範囲内の敵を全て平らげていく。
海域が広がるスピードがボートよりも速ければ鉄甲船まで撤退しつつUCで敵を減らしていき、そうでなければ横に移動して他の海域の敵を掃討。
頃合いを見てシャーリーと合流し、直接戦闘にシフト。
【足場習熟】でバランスを取りながら二人で互いの死角をカバーし合いながら斬撃の【衝撃波】と炎の【属性攻撃】を付与した大包丁の【二回攻撃】で敵を片付けていく。
チョコの海に向かう手段は鉄甲船や飛行能力だけではない。近くまで来たところでボートを下ろし、それに乗り換えて進むこともできるのだ。
そうしてチョコの海へ向かった二つのボート。その上にはそれぞれに一人ずつ猟兵が乗っていた。
「汚染した海域がそのまま奴の一部になるって訳か。だとしたら放っておけないな」
その一つに乗るウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)が思う通りに、このチョコはメロディアの肉体も同然のものであり、それに満たされているということはここはメロディアの体の一部も同然ということだ。所詮分体とあなどらず、巨大な敵の体を削ぐのだという意識でウィーリィはこの海域へと向かい合う。
「甘いのは好きだけどこれだけの量はちょっと……しかも何かどんどん湧いて出てきてるし! やっちゃお、ウィーリィくん!」
もう一つのボートの上では、シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)が船を並べるウィーリィにそう声をかける。小さなボートでは鉄甲船に比べ海面に近い位置から見ることになるので、チョコの海はより広く、かなたまで広がっているように見える。流石にここまで多くては辟易する光景だと、シャーリーは船を動かしボートもろともウィーリィと大きくを開けて位置についた。
「喰らい尽くせ、炎の顎!」
「さぁ、世界サメ大戦の勃発だよ!」
そして放たれる、二人のユーベルコード。炎の龍と鮫の竜巻が、チョコの海を二色に塗り分けるかの如く両側へと大きく広がった。
半径100メートルの鮫竜巻が中のチョコを悉く食らい尽くし、龍は力の届く範囲のチョコを焼きつくして溶ける間もなく焦げへと変えていく。
その攻撃の中でメロディアたちは発生しかけては即座に潰されていき海が浄化され、それを確認すれば二人は少しずつずれ、ユーベルコードの発生起点自体を移動させていく。幸い本体のメロディアは既に撤収しているのか、海域の広がる速度よりも早く二人はチョコを消していくことができた。
チョコの海の中に、小さくない空白地帯ができる。だが、その海を乗り越えて、さらに遠くで発生したメロディアたちが迫ろうとしていた。その動きを感知した二人は、ボートを動かし合流。背中合わせとなってメロディアを待ち受ける態勢をとる。
やがて二人に襲い掛かるメロディア。だが、その足元はもうチョコではなく海となり、無尽蔵に思えたチョコもとうとう付きかけていることが伺える。
「よーし、いくよ!」
「ああ! 後ろは任せてくれ!」
互いに死角を守り合い、シャーリーは抜き撃ちにビームを放ってメロディアを撃ちぬき、そのまま横に動かしながら乱れ撃っては敵の進行を抑え込んでいく。回り込んで迫ってきた者はウィーリィの燃える包丁に切り裂かれて溶け落ち、その斬撃が起こす衝撃は周囲のメロディアまで纏めて砕いていく。さらに返す刀でメロディアをもう一体切り飛ばしては、その真後ろにいた次のメロディアがビームで射抜かれる。
ボート上という足場の悪さをものともしない連携で、迫るメロディアたちは次々と仕留められて行った。それはまるで表に出せない鬱屈で固められた重い愛を蹴散らす、誰恥じることなき堂々たる思い合い。
最後に撃ちぬかれたメロディアが両断され、ついにメロディアのウェーブは完全に途切れた。
ボートの周囲には青い海が広がっているが、遠目を凝らせばまだチョコに囲まれている。それでも、一か所に固めてしまえばもうそこまで極端な量は残っていないだろう。
「倒した敵のチョコは……遠慮したいかな?」
シャーリーの言葉にウィーリィも頷く。何しろずっと価値あるクッキーを、もう今年は貰っているのだから。
大成功
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ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
POW
守護霊の【ドーピング】と『欲望解放』で戦闘力を高め
9900km/hの速度で【空中戦】
周囲の敵から生命力を奪う
ドレインフィールド【結界術・生命力吸収・範囲攻撃】で攻撃
海いっぱいのバレンタインチョコ……
愛されてますね、カルロス様♪
私と居る事がバレたら浮気を疑われる?
殺気を感じつつも
吸収した彼女達の力と【戦闘知識】も加わり
攻撃を【見切り】ドレインフィールドで一掃
ご本人ではないので
少しくらいイイですよね♥
最後の数人は【激痛耐性・気合い】で
抱擁を受け入れるか【怪力】で組み伏せ
唇・乳・局部を舌で【慰め】たり
【化術】で肉棒を生やし【串刺し】にして生命力吸収♥
人妻チョコに塗れて余韻に浸るわ♪
ついに視界内に収められるほどにまで縮んだチョコの海。その上を、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)が高速で飛び回っていた。
鉄甲船上で【欲望解放】を発動し全裸に月下香の花弁という姿で眼下のチョコを視界に収めるその姿は、あらゆるものから解き放たれた自由人か獲物を狙う猛禽か。
上空に敵が来たことを察したか、チョコの海面が波打ちその全てがスイートメロディアへと変じた。これが最後の攻勢、というつもりなのだろう。だが、その形を作る瞬間こそドゥルールが空中で待ち望んでいた時であった。
「海いっぱいのバレンタインチョコ……愛されてますね、カルロス様♪」
そのいっぱいのチョコを囲うようにドゥルールは飛翔。その後に光の幕を残し、チョコ全体を他の海域から隔離した。
そしてその光の中、メロディアたちの中央に降り立つドゥルール。内部に現れた敵に、メロディアたちは一斉に殺気を向けた。
「私と居る事がバレたら浮気を疑われる? いえいえご心配なさらず」
向けてくる殺気は敵対者への物の可能性が高いが、本体であるメロディア・グリードの性格を考えればそちら方面の感情が混ざっていてもおかしくない。ただでさえも直近にいささか疑われる行動をカルロスの分体にしているのだ。勿論そのことをここのメロディアが知る由もないのだが、それでも完全な否定ができないのはメロディアと言う存在の印象の強さだろう。
ともあれ、この数の攻撃を受ければ間違いなく命が危ない。そうならぬための手として、ドゥルールは光の結界の中に、生命力を吸収する力を広範にわたって広げた。
結界と言う檻に閉じ込めたことで力は過不足なく広がり、その中の生命を的確に吸い尽くす。『ドレインフィールド』と名付けたその複合術の中、事前にユーベルコードで戦闘力を増強していたこともありチョコ並の耐久力しか持たないメロディアたちは一瞬にして溶け崩れていった。
そしてほぼ完全に青に戻った海域の中、ついに数える程となったメロディアが海上に浮かびあがっていた。極端な数故の僅かな討ち漏らしか。あるいはそれもあるかもしれないが、むしろドゥルールは数体だけメロディアが残るよう、強化された力で敵を倒しすぎないための力の抑制の方にすら気を遣っていた。
そうして残ったメロディアの前に体を曝け出すドゥルール。
「ご本人ではないので少しくらいイイですよね♥」
そのドゥルールに、メロディアたちは甘い香りを漂わせながら一斉に抱き着いた。
事前の説明にあったように、防御力はチョコレベルでも攻撃力は本物と同等。強烈な抱きしめがドゥルールの体を軋ませ、今にも抱き潰さんばかりに締め上げる。もし元の集団の数だけこれを喰らえばいかな歴戦の猟兵だろうとひとたまりもなかっただろう。
だが、事前に数を減らしたこともありどうにか耐えきった。そうして己にしがみつくメロディアを、ドゥルールは壊れないよう細心の注意を持って押し倒す。
そのままドレスを脱がし、唇や肌を舐めまわすが、そうして口の中に広がるのは甘い味。触った感触は一見人肌の様でもあったが、残念ながら普通の体内器官はやはりないらしい。
だがそれでもと、化術で作り上げた己の棒を刺しこみ、プレッツェルをチョコスティックに変えながら一体一体最後の生命力を吸い上げていく。
抱きしめた体温と中から放つ熱に最後のメロディアたちも溶けていき、後には青い空と広い海にチョコ濡れで浮かぶドゥルールだけが残された。
「申し訳ありませんカルロス様、貴方様へのチョコを先に頂いちゃいました♥このお返しは奥様共々……♥」
既に桜花島、そして全ての王笏島は発見されている。本当のグリード夫妻とまみえる日は、そう遠くはないのかもしれない。
大成功
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