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「暴食ってのは恐ろしいモノだよねぇ」
グリモアベースでそんなことを呟いたミサキは、やってきた猟兵達に気付いて笑みを浮かべた。
「おっとごめんごめん、こっちの話。まあ、関係無くはないのだけど」
と、そう前置きをして話を始める。
「ザンギャバス大帝の居所がわかったんだ。鮫牙島って言うんだけど、そこへ向かって大帝と戦って欲しい。ただまあ、その島、僕らが近付くと海中に沈んじゃうから、戦場は海の中になっちゃうんだけどねぇ」
ミサキはソレを、倒せ、とは言わない。
そもそも、不可能なのだから。
「なんせ無敵だからねぇ。敵が無いと書いて無敵……うーん強キャラ感の溢れる特性だ」
しかも敵は先制のユーベルコードを使ってくるのだ。勝ち目の無い戦いでしかない。
では何故戦うのか。
それは、ザンギャバスが唯一持っている弱点を攻める為だ。
「暴食する件の化物は、長時間暴れると極度の飢餓状態に陥るとわかっている。燃費の悪い事だよね」
ただ、問題は、戦場である海中には凄まじい数の巨大鮫がいると言うことだ。
ザンギャバスは、広い間合いでその鮫を捕食する。
「ま、つまり、鮫をなんとかザンギャバスの間合いから引き剥がさなきゃいけないってこと。食欲は何よりも優先されているから、注意を引くだけじゃあ弱い……でもね」
いいかい?
「なんとこの無敵で暴食の敵は――知能が著しく低い」
ある意味では一番の弱点とも言えるだろう。
餌と、知略とで攻め、飢餓状態に追い込んだら、敵はその場から撤退する。
それが今回の最終目標だ。
「これが成功すれば、七大海嘯支配下の島を一つ解放出来る。だからみんな、がんばってね」
ぴょんぴょん跳び鯉丸
戦争依頼です。
やや難相当。
現場は海中で、周りの餌をなんとかしつつ、撤退に追い込めば勝ちです。
よろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『鮫牙』ザンギャバス』
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POW : ザンギャバスハンド
レベル×1tまでの対象の【腕や頭】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD : ザンギャバスファング
自身の身体部位ひとつを【竜、山羊、蛇、蛇のいずれか】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : ザンギャバスポイズン
攻撃が命中した対象に【肉体の部位「蛇」からの猛毒】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【肉体を侵食する猛毒】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:白
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
急速潜行する島を追い、決戦は海中に場を移す。
2月14日
9時19分
プレイング受付中
2月15日
10時40分
プレイング受付終了
シズホ・トヒソズマ
海に無敵に先制に鮫にとやること多すぎません?
ま、やりますけど!
マインドテンタクルで複数の人形を◆早業◆操縦
人魚型深海人に着用して貰い水中でも活動可能に
噛みつきはクロスリベルで反応強化し
マジェスの◆盾受けとイズンの刀で◆武器受けし
同時に盾から◆生命力吸収、刀から噛みついた口に◆毒を流し込み隙を作ります
鮫には先制の間にミコから水を伝い歌声を届かせ
鮫だけに◆催眠術で『遠くの離れた場所に獲物がいるのを感知した』と認識させて戦場から遠ざけます
UCで弥助アレキサンダーの力を使用
敵近くの海水を雷を放射する渦潮に変え
雷撃と共に渦潮で動きを止め
トドメはマジェスの盾で再び生命力吸収し飢餓を誘発し◆光熱喰剣で斬撃
セルマ・エンフィールド
この敵は何者なのでしょうね。ただカルロスに従う海賊というには……
まぁ、敵ならば倒すのみです。今回は倒せずとも撃退まではさせてもらいましょう。
「氷晶ゴーレム」を鮫の形で作成、背びれに掴まって『水中戦』を。
過度な期待はしませんが、本物の鮫と思ってこちらを追ってくれれば儲けものです。
私は普通の人間ですし、毒を受ければひとたまりもありませんが……あんな巨大な蛇に食いつかれればどの道同じですね。
蛇の動きを『見切り』避けつつ、どうしようもない場合は周囲の鮫を盾にすることで防ぎます。
敵の攻撃を凌いだら【シェイプ・オブ・フリーズ】を。戦場全体に氷の雨を降らせ、水温を下げることで鮫を遠ざけます。
メイスン・ドットハック
【SPD】【絆】
鮫を栄養分に無敵になるとか本当に厄介じゃのー
それじゃまずはその飽食の元を断たねばのー
キャバリアKIYOMORIに搭乗して参戦
AIドクトルに揚陸艦ロストリンクを操縦させて、潜航させてザンギャバスを集中砲撃を行い、狙いをそちらに移し、移動しながら攪乱する
自身も水中モードで機動し、巨大鮫を電脳魚雷で潰していく
先制後はUC「汝は元素、その鎖を断ち切ろう」を発動し、巨大鮫のみを溶解させる水溶性毒ガスを作り出して、ザンギャバスの一面に散布する。その周辺の巨大鮫を死滅させて栄養素を奪う
後はエィミーがうまくやってくれれば大分糧食を断てるじゃろーのー
キャバリアが破壊される前にしっかりと離脱する
エィミー・ロストリンク
【SPD】【絆】
ものすごい食欲だね! しかも巨大鮫がいっぱいいるし!
鮫さんには悪いけど、鮫牙を放ってはおけないからねー!
ナノシリアに搭乗して水中機動
ケルベロスのアンカーで絡めとりながら、ロストリンクの砲撃を当てる援護をする
ザンギャバスの意識が向く前にしっかりと高速離脱し、ロストリンクに追いつこうとすれば再びケルベロスで拘束する
先制後は「失われた絆を紡ぐ姫君」を発動させ、ラクチェの要石で海水を鉄水に変えて、メイスンの毒ガスの範囲外を覆うように作り出し、巨大鮫がザンギャバスに近づかないようにドームにような空間を作り出す
今の内に鮫狩りだよ!
閉じ込めている間に鉄水のドーム外の鮫を狩り続け、排除を続ける
深海人魚のボディに着用されたシズホは、沈んだザンギャバスの住処を追って落ちていく。
「海に無敵に先制に鮫、と……やること多すぎません?」
話を聞くだけでも属性過多だ。
そんな、反則とも言える相手に、これから戦いを挑まねばならない。
「やるだけやりますけどねっ」
進みながら、シズホは約90本の触手を泳がせる。
うねる先端を、複数の人形へ接続。糸が解ける様にバラけたそれらが各部位へ。
「準備よし――うわっ」
タイミング悪く、いや、丁度良く、自分を目掛けた攻撃が見えた。
それは口だ。
ギザ歯の並びを大きく開けた口。それが、シズホのボディを喰い付こうとしている。
「マジェス……!」
盾を構えた人形が受けようとして、
「いえ口が大きすぎますねコイツぅ!」
刀を持つ人形、イズンと手分けさせて改めて受けに行く。上顎と下顎へそれぞれ突撃して、その際に毒と生命力の吸収技能を発揮させる。
だが効果は芳しくない、どころか、人形を食おうと引き寄せる力に、シズホは引っ張られた。
「どれだけ食い意地が強いんですかね!」
逆らえない程の強い力に、引きずり込まれていく。
一瞬で深く落ちた彼女の前には、爛々と光るギョロ目のザンギャバスが居た。
「あァ? なんだオマエ」
言葉と同時に拳が来た。
無造作で、しかしとんでもなく速く、そして恐ろしい破壊力を含んだ拳だ。
食らえば一撃で致命傷だろう。
「では、当たらないようにします!」
いつの間にか口から解放されていた人形をバラけさせつつ、下方向へ屈みながら進行。拳からの退避を成功させ、即座にユーベルコードを発動させる。
かつて、サムライエンパイアにて猛威を振るった存在の出現だ。
幻影としてのそれを自分に纏い、再現という形でその力を行使する。
つまり、
「渦と雷撃で拘束ですよ!」
あ、コレ、中々にハードな締め付けですね?
とは思わず、シズホはマジェスの盾に付与した生命力吸収を追い討ちに使う。
「鬱陶しい……!」
ザンギャバスは、巨木の様な両腕をブオンブオンと振り回す。
ただの抵抗にしか見えないそれは、容易く渦を払い、放電の光を散らしてしまう。
「あァ、腹ァ減ったナァ」
キョロキョロと辺りを見るザンギャバスの目に、餌は映らない。
普段なら大量にいるはずの鮫が居ないのだ。
それもそのはず。引きずり込まれる最中に、シズホが先手を打っていたのだ。
歌による催眠術。音は波となり、水を伝うそれは周囲の鮫達を遠くへ誘導させていた。
だから周りには何もないし、仕方なくさっきの奴を食おうとザンギャバスがシズホを探す頃にはもう、彼女は戦線から離脱していた。
●
セルマは、鮫と共に居る。
水中を泳ぐその魚影はうっすらと透けていて、瞬きの間に行方を見失いそうだった。
それは、氷晶で作られた擬似体だ。
鮫の形で形成したのは、それが機動力として扱いやすいということと、もう一つ。
「来ましたか」
ザンギャバスがそれを、本物の鮫と勘違いするという理由だ。
まあ実際、喰われてしまえば、多少の空腹は紛れてしまうだろうが。
「中身も無いのでは、ツマミにすらならないでしょう」
問題は無い筈だ。
迫り来る蛇の口から逃げつつ、セルマはふと思う。
「この敵は、何者なのでしょうね」
不明点の多い存在だ。カルロスに従う海賊、という風には見えない。
「敵ならば倒すのみですが……いえ、倒せないので撃退、となりますか」
どのみち、まともにやりあっても一撃で倒されてしまいそうだとも思う。
毒とか以前に、蛇に食らい付かれたらその部位ごと噛み千切られてしまいそうだ、と。
しかし、やはり、というか。
「いけます」
ザンギャバスからの攻撃は激しいが、実は単調だ。
逃げる姿があれば真っ直ぐにひたすら追う。
捕まえられないのだからイライラもするし、頭に血が昇れば是が非でもそれをなんとかしてやろうという心境になっていた。
故にザンギャバスは、徐々に集まり出す鮫には目もくれない。
しかし、ザンギャバスの集中力は恐らく、いや間違いなくそこまで長くはない筈だ。
「この領域、私がもらいます」
追うのに飽きて捕食に行かせる訳にはいかない。逃走を続けながらセルマは、ザンギャバスの周囲を氷の粒で覆わせる。
それは熱を奪い、戦場である水中の温度を極端に下げる効果があった。
住みにくいそこは鮫にとっても良くない場所となり、自然、戻ってきていた個体はそのまままた、離れていく。
「っ。この辺りで退きます……!」
急速浮上で離脱していくセルマを叩く様に、空腹を訴える咆哮が海中を震わせた。
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「ぐおおおおおおお!」
咆哮は、砲火によってもたらされる。
声の主は勿論ザンギャバスだ。
そして、そこに攻撃を加えるのは、大きな艦船だった。
搭載された武装を斉射しつつ、ザンギャバスから伸ばされる牙を巧みに回避。
引き付け、離脱し、射撃を行いながらの接近をして、また離れていく。
「そこだよ!」
ただ勿論、そんな事を続けていればいずれは失敗する。ザンギャバスの知能がどれだけ低かろうと、戦うという行為に関しては、強引なやり方で勝利をもぎ取るタイプの敵だ。
故にそうさせないため、エィミーの働きがある。
海竜の首上に股がる幼女は、艦船――ロストリンクの挙動に呼応して、自身の行動をパターン化していた。
「つかまえ、た!」
それは、ケルベロスと名を付けた錨型メガリスの使用だ。
白い重り部とそこに連なる黒の鎖で一つの武装であるそれは、それぞれの部位で拡縮が可能な代物。
ロストリンクに集まりすぎたヘイトを分散させるため、海竜で対称位置を取りつつ、鎖を伸ばしてザンギャバスの腰に巻き付かせて強く引く。
「うわわ」
腕や足は攻められない。掴まれれば逆に捕まる危険があるからだ。無理はせず、最適と思われるタイミングで鎖は手元へ納める。
「本当に厄介じゃのー」
深く吐き出した息に混ぜて、メイスンは呟く。
彼女が居るのはキャバリアのコックピット内部。パープルカラーのKIYONORIだ。
住処に戻って来る鮫を都度、魚雷で処理するという作業を行っている。
とはいえ、鮫の数は一向に減る気配は無い。
ロストリンクとエィミーの攻防もじり貧であることに変わりはないのだ。
「そろそろ、攻める頃合い、かのー」
特大の魚雷を発射、爆撃してから、メイスンはザンギャバスへと機体を向けた。
鮫の密集が始まっている。敵を基点に360°、広範囲の魚群だ。
それらを視界に納め、その全てをメイスンは一つの空間と定義し、ハッキングする。
「ザンギャバスは無理じゃろーけどのー」
それ以外は可能だ。
ロストリンクの退きに合わせてエィミーの後退が合わさり、ザンギャバスは突如途切れた攻撃に、一瞬の停滞がある。
その隙を、二人は逃さなかった。
「空間ごと――ここに閉じる!」
エィミーが行ったのは、海水を鉄水に変化させる事だ。敵の大きく下から、器を作る様に半円状で囲っていく。
メイスンが放ったのは、鮫だけを溶解させる特殊な毒ガスだ。水より重い気体で生成されたソレは敵の頭上から大量に落ちていく。
ガスは器の底に溜まり、やがて完全な球体となった鉄水の檻に満ちる。
「鮫さんには悪いけど……!」
結果、ザンギャバスの周囲に生き物は居ない。
檻の外にいる鮫は魚雷とガトリングが掃討し、悪食の真価は完全に殺されている。
「……」
そうしてしばらく、ギョロ目は辺りを見回して、そこに何も無いのだと理解したのか停止する。
やがて、徐に彼方を見て、一拍。
「え」
姿を変えた巨体は檻を容易く突き破り、深海の闇へと消えたのだった。
大成功
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