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羅針盤戦争〜甘く危険なチョコレートの海

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #メロディア・グリード

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「羅針盤戦争への参戦に感謝します。リムは戦況を報告します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)はグリードオーシャンの海図を広げると、淡々とした口調で語りだした。
「蒼海羅針域(コンキスタ・ブルー)を指針とした攻略は順調に進んでいます。既に多くの『七大海嘯』の本拠地が発見されましたが、対する敵の攻勢も激しさを増しています」
 開戦から二週間ほどが過ぎ、コンキスタドールもいよいよ本腰を入れてきたということだろう。発見された本拠地の制圧も重要だが、敵の襲撃を退け、航路を先に伸ばすのも必要。そして今回リミティアが予知した敵襲は、この海でもひときわ奇妙な現象であった。

「リムが予知したのは、これから先の航路上のとある海域で、突如として海の水全てがチョコレートに変貌したかと思うと、その『チョコレートの海』から大量のオブリビオンが出現するという現象です」
 予知によるとこのオブリビオンの大群は七大海嘯『桜花』メロディア・グリードの分身『増殖する私の残滓達(スイート・メロディア)』。一体一体が本体と同等の力を持つ、メロディアが『王笏』カルロス・グリードを支援すべく差し向けた軍勢である。
「この分身体の肉体はチョコレートやキャンディなどのスイーツでできているため、耐久力は低いです。しかし攻撃力に関しては他の七大海嘯とまったく同等。それが何百体、いえ何千体と同時に存在するのです」
 もし、これほどの大軍勢の一斉攻撃を受けた場合、いかに猟兵と言えども耐えるすべは無いとリミティアは言う。無尽蔵とさえ思えるスイート・メロディアが放つ、甘い香りとお菓子と毒に包まれて、チョコレートの海の藻屑となるだろう。

「これに対抗するには、一斉攻撃を受ける前にこちらから攻撃して敵の数を減らすしかありません」
 スイート・メロディアの耐久力は先述のとおりスイーツ並み。先手を取ることさえできれば破壊することは難しくない。ただし一人や二人倒したところで焼け石に水だ。出来る限り多くの敵をまとめて倒して、敵群の総攻撃力を減らさなければならない。
「それでも一人一人が七大海嘯級の攻撃力を持つことを考えれば、数が減っても反撃を凌ぐのは簡単ではないでしょうが……数百人から一斉に攻撃されるよりは遥かにマシです」
 いくら七大海嘯と言えど、本当に無制限に自分の分身を作り続けられるわけでは無い。
 広大なチョコレートの海を徘徊するスイート・メロディアにも、いつかは限りがくる。それまで立ちはだかる敵を倒して、耐えて、倒し続けるのだ。

「こちらが殲滅されるのが先か、相手が全滅するのが先か。今回の戦闘はそういった双方の"削り合い"になるでしょう。どちらがより長く耐えていられるかの勝負です」
 全力で攻撃し、全力で耐える。言ってしまえばシンプルな戦いとも言える。それだけに苛烈な戦闘が予想されるが、猟兵達なら勝算は十分あるとリミティアははっきり告げた。
「季節は丁度バレンタインの頃合いですが、楽しいお祝いの日を迎える為にもこんな相手に負けていられません」
 そう言って彼女は手のひらにグリモアを浮かべ、チョコレートの海に通じる道を開く。
 七大海嘯『桜花』メロディア・グリードの放った刺客。増殖する残滓の群れを駆逐する戦いが幕を開ける。
「出港準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 バレンタインの季節にタイムリーな襲撃。今回の依頼は七大海嘯『桜花』が放った分身体『増殖する私の残滓達(スイート・メロディア)』との戦闘です。

 このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。

 プレイングボーナス……一斉攻撃を受ける前に、可能な限り多くの「増殖する私の残滓達」を倒す。

 戦場は『桜花』の影響で変貌した広大なチョコレートの海となります。
 少々甘くて粘っこいかもしれませんが、基本的には普通の海上戦と仕様は同じです。猟兵側は乗ってきた船の甲板上で戦うか、各自の能力で飛ぶなり泳ぐなりして戦うことになります。

 スイート・メロディアはチョコレートの海面上を自由に動いて襲ってきます。耐久力はスイーツ並みに低いですが攻撃は1体1体が七大海嘯と同等の威力を持ちます。
 もし何百・何千体もの分身から一斉攻撃を受ければひとたまりもないので、その前にできるだけ数を減らすのが重要になります。数は減っても全滅しなかった場合は反撃が来るので、その場合の対策もあったほうが良いかもしれません。
 こちらが殲滅される前に、全てのスイート・メロディアを倒せば勝利です。

 それでは、皆様のプレイングとお待ちしております。
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第1章 集団戦 『増殖する私の残滓『スイート・メロディア』』

POW   :    スイート・エンブレイス
【甘い香りと共に抱きしめること】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    キャンディ・ラプソディ
【肉体を切り離して作った毒入りキャンディ】を給仕している間、戦場にいる肉体を切り離して作った毒入りキャンディを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    チョコレート・ローズ
対象の攻撃を軽減する【融解体】に変身しつつ、【毒を帯びた薔薇の花型チョコレート】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

九重・白亜
なんだこの海域!?
というか、幹部レベルの攻撃力持つ量産型とか勘弁してくれよ……

甲板上から攻撃を開始。ストリーマを使い、弾幕と制圧射撃で粗方数を減らすのを狙う。耐久力が雑魚並みならできるか……?
近づいてきた相手にはメモ用紙をぶん投げて指定UC発動。確実に破壊する。

クソが、拉致があかねぇぞ……!
トランジスタ、コイルグレネード……とにかくなんでもいい。攻撃できる手段を使う!

【アドリブ・絡み歓迎】


シノギ・リンダリンダリンダ
桜花、お前ほんと趣味良くないですよ
チョコの海って…あと、男の趣味もあまり良くないので気をつけてくださいね
あのコスプレ野郎は良くないですよ

優しさからそう助言して【越流せし滄溟の飛蝗】を召喚
砲手を大砲前にセット、その他の死霊海賊達も銃、魔法を準備させて船の縁へ
操縦も死霊に任せます。私の部下ですこの程度の海どうともないでしょう

さぁ、後は蹂躙です
大砲で、銃で、魔法で、そして船自体でひき殺しながら、そして私自身も船首に立ち、Midās Lichで連射
とにかく広範囲を、数に任せて、その無敵の船体でなぎ倒していきます

あはははは!桜花、素敵なバレンタインですねぇ?



「なんだこの海域!?」
 報告にあったエリアに到着した九重・白亜(オルタウィザード・f27782)は、実際にそこで海が茶色く染まっているのを見て目を丸くする。同時に鼻にかかる甘ったるい香りは紛れもなくチョコレート――お伽噺でも童話でもなく、現実に海がチョコ化している。
「「――……来たのですね、猟兵よ」」
 そのチョコレートの海で彼らを待ち受けていたのは、豪奢な装束と薔薇に身を包んだ美女の集団――七大海嘯『桜花』が分身『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』。何百・いや何千という人数になる敵意ある群れが、船上の猟兵達に一斉に視線を向けた。

「というか、幹部レベルの攻撃力持つ量産型とか勘弁してくれよ……」
 ぼやきたくなる気持ちを押さえきれず、ぶっきらぼうに言い捨てながらも、白亜の行動は迅速だった。片手持ちの軽機関銃「ストリーマ」を構え、甲板上から制圧射撃を開始。破壊魔術によって威力を底上げされた弾幕が、スイート・メロディアの大軍に降り注ぐ。
「耐久力が雑魚並みならできるか……?」
 緊張の面持ちでトリガーを引き絞る彼の前で、弾丸を喰らった敵は身体に風穴を開けて倒れ伏し、チョコレートの海に溶けていく。容姿等は『桜花』本体を忠実に再現されているものの、耐久力は素材のお菓子並みにしかないスイート・メロディア。これだけ数が多ければ狙いをつける必要すらなく、撃てばどこかで敵が死ぬシチュエーションだ。

「「ここを通す訳にはいきません」」
 だが、どれだけ撃っても、どれだけ倒しても、まったくキリがないほど敵の数が多い。
 チョコレートの海を比喩でなく埋め尽くす程のスイート・メロディアは、仲間を壊されようとお構いなしに甲板に上がってきては、甘い香りと共に猟兵を抱きしめようとする。
「うわ、来るなって」
 白亜はさっとメモ用紙に【破壊魔術:破砕】の術式を描き、近付いてきた相手にぶん投げる。接触と同時に起爆した術式は魔力爆発を引き起こし、脆いスイートの人型を周囲にいた者も含めて破壊した。

「「あの男を、カルロスをここで死なせる訳にはいかないのです」」
 それでもスイート・メロディアは止まらない。耐久力こそご覧の通りではあるものの、彼女達の攻撃力は一人一人が七大海嘯級。物量にものを言わせた一斉攻撃を仕掛ければ、個人の武勇で太刀打ちできるものではない。ゴリ押しと言っても差し支えのない戦法が、最も効果的であることを、彼女達は理解していた。
「クソが、埒が明かねぇぞ……!」
 倒しても倒しても押し寄せる敵の大軍に、白亜の頬には一筋の汗がつたう。ストリーマの弾が切れかかればコイルグレネードを投げつけて敵をふっ飛ばし、二丁目の小口径機関銃「トランジスタ」で追い撃ちを――とにかく攻撃できる手段はなんでもいいので使う。

「誰か手伝ってくれ……!」
 どうにか敵軍を退けながらもその勢いに押されかけていた白亜が、なんとか状況を打開しようと手を尽くしていた、その時。ざざぁんと波音を立てて、彼の乗っていた船の後方から別の船が近付いてくる。
「「あれは……?」」
 対峙するスイート・メロディア達も見た。その船は見るからにボロボロで不気味な雰囲気に包まれ、甲板の縁には銃で武装した死霊の群れがひしめき合う。そして船首の先端には1人の女海賊が、外套を海風になびかせて堂々と腕組みして立っていた。

「桜花、お前ほんと趣味良くないですよ」
 女海賊――シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)は開口一番、メロディアの分身達にそう告げた。出会い頭に初対面の敵からダメ出しをくらい、敵軍が一斉にカチンとした表情を浮かべるのが見えた。
「チョコの海って……あと、男の趣味もあまり良くないので気をつけてくださいね。あのコスプレ野郎は良くないですよ」
 本人はあくまで優しさから助言しているつもりなのだが、その内容は相手によっては煽りと受け取られかねないやつであり。案の定と言うべきか、スイート・メロディア達はそれまで白亜に向けていた敵意の矛先を一斉にシノギに突きつける。

「……何を言っているのか分かりません。私とあの男は飽くまで利害関係に過ぎません」
「姫君として娶られたと言っても形式上の事で。決して懸想している訳では無いのです」
「まだ死なれては困るというだけのこと。だから、あの男の敵は全力で倒さなければ」
 若干早口で口々にそう宣いながら、わらわらと向かってくるスイート・メロディア達。
 果たして彼女達の真意がどうなのか、実際のところシノギにはあまり関係がない。他所様の恋愛事情に首突っ込む前に、目の前に立ちはだかる敵をぶちのめすほうが先である。
「さぁ、後は蹂躙です」
 【越流せし滄溟の飛蝗】で喚んだ死霊海賊達に号令を発せば、海賊幽霊船シャニムニーが動きだす。砲手が大砲を発射し、甲板からは銃弾と魔法の雨が降り注ぐ。七大海嘯何するものぞと破壊の嵐を巻き起こすかの魔船に、翻るは黄金髑髏の海賊旗。

「私の部下です。この程度の海どうともないでしょう」
 シノギは船の操舵を配下に任せ、自らも船首より攻撃に加わる。黄金化した右腕パーツ「Midās Lich」の掌からマシンガンのように連射される呪いの弾丸は、脆っちい標的を次々に撃ち抜いていく。
「「くっ……!?」」
 スイート・メロディア達は【チョコレート・ローズ】を発動し、融解体に変化することでダメージを軽減しようとするが、その程度でどうにかなるほど海賊団「しゃにむにー」は手ぬるくない。死霊の数に任せた広範囲攻撃で敵勢の数を減らしたところに最大船速で突っ込み、船体そのものを武器として進路上の邪魔者共を轢き殺す。

「あはははは! 桜花、素敵なバレンタインですねぇ?」
 奇しくも世はバレンタインの時節。広いチョコレートの海を砲火と爆音で彩りながら、シノギはノリノリで敵をなぎ倒していく。衝撃でバラバラにふっ飛ばされ海に溶けていくスイート・メロディアの群れ――その光景はまさしく蹂躙であった。
「いやほんとノリノリですねリンダ様」
 圧倒的な暴力で戦局をひっくり返してしまったのに、白亜は感心するやら呆れるやら。
 しかし彼もまたしゃにむにーの団員、ここで敵に同情するほど甘くはなく。リロードを終えた機関銃を構えると、敵船襲来に戸惑う敵軍目掛けて容赦なく銃撃をぶっ放す。

「お前達の前にいるのは厄災たる大海賊です!!」
「出会ったのが運が悪かったと思って死んで下さい」
 轟く銃声に砲火の嵐。当たるを幸いとばかりに全力全火力をぶちかますしゃにむにー。
 想像を超えた海賊団の暴威に、スイート・メロディア達は反撃の機会さえ与えられず、「そんな馬鹿な……!」などと叫びながら急激に数を減らしていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルデルク・イドルド
アドリブ歓迎

確かにバレンタインも近いがチョコレートの海か…甘味が好きな相棒には見せられん状況だな。
こんな毒々しいものに触れさせるのは嫌だし。
素直に俺の作ったもんだけ食べてもらおう。

一か八かな所があるんだが上手くいくといいんだが…UC【海賊の舞台】を発動。
これでしばらくは海上と同じ状態になってるはずだから船は進めやすくなるはずだ。
あとは【結界術】でチョコ攻撃を防御。
チョコレートやキャンディの敵は【属性攻撃】海で攻撃



「確かにバレンタインも近いがチョコレートの海か……甘味が好きな相棒には見せられん状況だな」
 一面に広がる茶色く染まった海を見て、アルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)はそんなことを呟いた。彼の相棒は年齢の割に子供っぽいところがあり、常に糖分補給にお菓子を持ち歩くくらいの甘党だが、そもそもこの"チョコの海"が食えるのかは謎だ。
「こんな毒々しいものに触れさせるのは嫌だし。素直に俺の作ったもんだけ食べてもらおう」
 帰ったらまた何か作ってやるかと考えつつ、船の甲板から空に向かって片手をかざす。その指に嵌められた「深海石の指輪」が、照りつける太陽の光を浴びてキラリと輝いた。

「一か八かな所があるんだが上手くいくといいんだが……」
 発動するのは【海賊の舞台】。指輪の放つ光が戦場を照らすと、チョコレートに変貌していた海が元の海水に戻っていく。どこまでも深い海を閉じ込めたような、美しい蒼碧の深海石――その宝石に籠められた魔力が、戦場の環境を一変させたのだ。
「「これは……まさか、メガリスの力?!」」
 立ちはだかる『桜花』の分身体『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』達は、自分たちのフィールドが書き換えられたことに驚愕と動揺を示す。彼女らはチョコレートの海上でこそフルに実力を発揮できる一方、普通の海水や潮風との相性はよろしくない。

「これでしばらくは船は進めやすくなるはずだ」
 一方のアルデルクの持ち船「モナ・リザ号」は、粘性のあるチョコレートから解放されたことで本来の船足を取り戻し、波しぶきを立てて快調にスピードを上げる。メロディア達とは逆に、メガリスの力で変化したこの環境は彼にとって庭のようなものだ。
「海こそが海賊の舞台だ!」
「「きゃあああああっ!?」」
 アルデルクが意気揚々とモナ・リザ号の舵輪を回せば、船体が起こした大波が敵集団に押し寄せる。チョコレートやキャンディ、ビスケット等のお菓子でできたスイート・メロディアは、メガリスの魔力が宿った海水を浴びるだけで溶けて崩れていく。

「「くっ、やってくれましたね!」」
 蒼海に沈んでいく仲間を横目に、生き延びたスイート・メロディアは反撃を仕掛ける。
 猛毒を帯びた【チョコレート・ローズ】の花が、甲板上にいるアルデルク目掛けて一斉に放たれる――だがその時、彼が首にかけていたラピスラズリのネックレスが、深海石の指輪と共に光を放った。
「おっと、危ないな」
 メックレスに篭められた「天藍石の加護」とメガリスの魔力が、彼を守る結界を張る。
 敵がもし万全の状態で一斉攻撃を仕掛けていれば、これでも耐えきれなかっただろう。しかし先んじて数を減らしていたお陰で、結界は無事チョコレートの攻撃を弾き返した。

「悪いがこんな所に用は無いんでな」
 海上戦に適応したアルデルクの航海は、たとえ幾千のオブリビオンにも止められない。
 結界を張ったまま前進するモナ・リザ号は、波と共に立ち塞がる敵をなぎ倒していく。
 しょせん肉体はお菓子に過ぎないスイート・メロディア達に、この海賊の攻勢を耐える術は無かった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニィエン・バハムート
【先制攻撃】のUCブッパは正義ですの!
アンドヴァリの首飾りで強化されたオーラで更に電撃【属性攻撃】【範囲攻撃】を強化!
【限界突破】した威力の電撃で約8km先までの敵を【なぎ払い】ますわ!
ぶちかましたら【空中浮遊】して【衝撃波】を放つことでその勢いを利用して翼による【空中戦】で離脱ですの!
私の行動速度が遅くなろうと衝撃波の威力と、その威力から生み出される加速はそのままのはずですわ!

『桜花』メロディア・グリード…『過去』の竜王…!
この現在の竜王が必ず屠ってやりますわ!我がメガリスと誇りに懸けて!
竜王よりも姫君であることを選んだあなたに負けるものですか!

やはりそれだけ愛しい相手ということなのでは…?



「「くっ……思ったよりやりますね。ですが、まだまだ……――」」
 圧倒的物量差にも怯まぬ猟兵達により、手痛い被害を受けたスイート・メロディア達。
 だが多少数を減じたとはいえ、チョコレートの海にはまだ数千に上る分身がひしめいている。この優位を活かせれば負ける訳がない――そう考えて態勢を整えようとするが。
「雷霆万鈞! バハムート・サンダー!」
「「――えっ? きゃああああああっ!!?!」」
 突如として水平線の彼方から、落雷と見紛う程の凄まじい電撃が彼女達に襲い掛かる。
 予期せぬ攻撃を浴びたスイート・メロディア達は、電圧により砕けるか電熱により焼き焦がされるか、いずれも原型を留めぬ形となってチョコレートの海に散っていく。

「先制攻撃のユーベルコードブッパは正義ですの!」
 敵集団を薙ぎ払ったその電撃の正体は、ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)の放った【デンキナマズのビリビリ電撃】。メガリス「アンドヴァリの首飾り」で強化されたバハムート・オーラが、ナマズ目の深海人である彼女の発電能力を更に増強した結果、限界を超えたその放電距離は最長約8km、電圧は10億V超に及ぶ。
「「よ、よくも……魚もどきの分際で……」」
「魚ではなく竜! 私は竜王のドラゴニアンですわ!」
 辛くも雷撃から生き延びた敵は、彼方にいるメガリスボーグの少女を憎々しげに睨み、反撃を仕掛けようとするが、流石にキロ単位で離れている相手に届く攻撃手段は乏しい。

「『桜花』メロディア・グリード……『過去』の竜王……!」
 ニィエンはアウトレンジから攻撃できる現在の距離を保つため、敵集団を見据えながら翼型メガリス「バハムート・ウイング」を羽ばたかせる。そこから放たれた衝撃波は敵を吹き飛ばし、さらにその反動を利用して彼女自身は後方に離脱する。
「この現在の竜王が必ず屠ってやりますわ! 我がメガリスと誇りに懸けて!」
「「くっ。小癪な!」」
 海上を吹き渡る衝撃波に、吹き散らされるスイート・メロディア達。ならばと【キャンディ・ラプソディ】を発動し、肉体を切り離したキャンディを身内で給仕しあうことで、ニィエンの行動速度だけを低下させようとするが――それでも彼我の距離は縮まらない。

(私の行動速度が遅くなろうと衝撃波の威力と、その威力から生み出される加速はそのままのはずですわ!)
 敵の使うユーベルコードを予測したうえで、本体の動きが鈍っても関係のない戦法を。竜王を名乗る者として絶対に負けられない相手を倒すために、ニィエンは必勝の策を練ってきていた。飛ぶ、と言うよりは吹き飛ぶような形でビュンビュンと海上を動きまわり、敵を寄せ付けないまま衝撃波の嵐を巻き起こす。
「竜王よりも姫君であることを選んだあなたに負けるものですか!」
 凛々しくも勇ましく豪語する彼女の振舞いには、確かにその名に恥じぬ威厳があった。
 一方のスイート・メロディアはお菓子の肉体故の脆さが仇となって、彼女に近付く前に衝撃波に負けてボロボロと崩れていく始末。

「そう……今の私はあの男に娶られた姫。ですので不本意ですが、大変不本意ですが」
「今ここであの男に死なれない為に、全力を賭けて貴女達を阻まねばならないのです」
 それでも進撃を止めないスイート・メロディア達からは、いくらでも補充のきく分身ということを差し引いても並々ならぬ覚悟を感じられた。彼女達にそうまでさせる行動原理の中心は、夫である『王笏』カルロス――それを見てとったニィエンはふと呟く。
「やはりそれだけ愛しい相手ということなのでは……?」
「「なにをばかな大変不本意だと言っているでしょう」」
 返答は異口同音かつ超早口だった。ちょっと露骨なくらいめちゃめちゃ動揺している。
 マジで違うのか照れ隠しなのかは定かではないが、とりあえず攻撃のチャンスである。

「隙ありですわ!」
「「きゃああああああっ?!!」」
 再び放つ【デンキナマズのビリビリ電撃】が、スイート・メロディアを黒焦げにする。
 過去と現在の「竜王」を名乗る者同士の戦い――その前哨戦の軍配はひとまずニィエンに上がったようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
心情)おゥおう、甘ったるい匂いがひどいこと。泥の海みてェだ。一発でやられっけどそこそこ強いのがたっくさん…と。ああ、なンかそォいう技あった気がすンなァ。チョコが無機物なら楽だったンだが。さァて、能書きはこれまでだ。
行動)眷属ども。《虫・鳥・魚・獣》の群れよ。祝福をやろう。翼をやろう。その身すべてにあふれるほどの《毒》をまとい、あちらのレディたちにつっこみな。触れればいい。かすめればいい。もちろん殺せるなら殺してもいいが、お前らはいまや《毒》に満ちている。触れば腐る。どろどろに腐敗し融けるのさ。俺はでかいアメンボを《虫》から喚んで、チョコ海の上で待っていよう。



「おゥおう、甘ったるい匂いがひどいこと。泥の海みてェだ」
 なみなみと広がるチョコレートの海を前にして、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は皮肉げに笑う。適量なら甘くておいしいチョコレートも、これだけ膨大になると不気味でさえある――その中から現れる、同じ顔、同じ格好をした無数の美女達を見れば殊更に。
「一発でやられっけどそこそこ強いのがたっくさん……と。ああ、なンかそォいう技あった気がすンなァ」
 電脳魔術師の【エレクトロレギオン】のように、これと類似した召喚系ユーベルコードを使う者は猟兵にもいる。これほどの規模を再現できる者は稀有だろうが――どう対処すれば良いかの方向性が分かっていれば、やりようはある。

「チョコが無機物なら楽だったンだが。さァて、能書きはこれまでだ」
 逢真がぱんぱんと手を叩くと、数え切れないほどの虫・鳥・魚・獣の群れがわらわらとざわざわと姿を現す。病毒の神の眷属として疫病を媒介する役割を持つそれらは、青年の足元でざわつく【黯】と交わることでさらなる力を与えられる。
「眷属ども。祝福をやろう。翼をやろう。その身すべてにあふれるほどの《毒》をまとい、あちらのレディたちにつっこみな」
 黯とはすなわち凶神の影にして未分化の"わざわい"。それに感染した眷属達は遺伝子を組み換えられ、自由に空を翔けるための翼を生やす。生命の系譜を無視したそれは異形であり、目の前の敵を侵し尽くすために生まれた"わざわい"そのものであった。

「「なッ、なんですかこれは……?!」」
 翼を生やした不気味な鳥獣虫魚の群れに、ぎょっとしたのはスイート・メロディア達。
 爪や牙を剥き出しにして襲い掛かってくるそれらから身を守ろうと、彼女らは反射的に【チョコレート・ローズ】を発動、敵の攻撃を軽減する融解体に変身する。
「「こんな畜生風情に喰われるなど、屈辱極まりない!」」
 お菓子で出来ているために耐久力に難のある肉体でも、自ら融ければ物理攻撃には多少強くなる。相手が単なる畜生であればどうにか耐えることもできただろう――だが、逢真の眷属の真価は物理的な攻撃力でも、群れの多さでもない。

「触れればいい。かすめればいい。もちろん殺せるなら殺してもいいが、お前らはいまや《毒》に満ちている」
 逢真の権能のひとつである《毒》を宿した眷属は、ただ触れただけで相手を腐らせる。
 攻撃を受けたスイート・メロディア達がどろどろと融けていくのは、本人のユーベルコードの効果ではない。恐ろしいほどの速さで身体が腐敗しているのだ。
「「――……!?」」
 毒の脅威を知ったメロディア達は一様に青ざめるが、その時にはもはや手遅れだった。
 虫や獣により媒介される毒はまたたく間に感染を広げ、密集した集団を汚染していく。

「ご愁傷さまだなァ」
 逢真はスイート・メロディア達が毒に侵され腐り果てていく様子を、大きなアメンボ型の眷属に乗って眺めていた。眷属に毒を仕込んで放ったあとは彼が何かする必要はなく、敵集団が瓦解するのをただ待っているだけでいい。
「「よくも……よくもおぉぉぉぉぉ……」」
 苦しそうに呻きながら、生きながら融けて腐れて沈んでいくスイート・メロディア達。
 阿鼻叫喚の地獄絵図とは、まさにこの事を言うのだろう。腐敗臭と混じり合うチョコレートの甘ったるい匂いが、惨状の不気味さをより際立てていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄荷・千夜子
チョコの海は素敵…と言えなくもないのですが流石にそこからオブリビオンというのは頂けませんね
これはもうチョコへの冒涜では?
被害が出る前に迅速に対応しましょう

【結界術】【空中浮遊】で足場を作って【空中戦】
海に向かってUCを発動します
まずはそのチョコの海から覆わせてもらいましょう
チョコの海を花の足場に造り替え、結界の足場と花の足場を自在に駆け巡りながらスイート・メロディアの方へ
できるだけ一気に纏めて倒さねばですね
花嵐の威力を強化するかのように【全力魔法】【浄化】【範囲攻撃】でできうる限りの敵を巻き込みつつ毒の薔薇の力も消し去ろうと
チョコと花なんて、私が負けるわけにはいかない組み合わせですよ!!



「チョコの海は素敵……と言えなくもないのですが流石にそこからオブリビオンというのは頂けませんね」
 聞くだけならメルヘンな言葉と、現実に目の前に広がる光景とのギャップに、薄荷・千夜子(陽花・f17474)は眉をひそめる。チョコの海水の中から無尽蔵に湧き出てくる、お菓子でできたオブリビオンの大軍――そこにスイートのような優しさは一切ない。
「これはもうチョコへの冒涜では? 被害が出る前に迅速に対応しましょう」
 食べ物を粗末にするどころの話ではない。明確な悪意をもって猟兵の航海を阻み、世界を滅びに誘わんとする『桜花』メロディア・グリードの尖兵を討たんと、少女はぐっと拳を握りしめた。

「まずはそのチョコの海から覆わせてもらいましょう」
 千夜子は結界術で作った空中の足場にとん、と乗り、眼下に広がるチョコレートの海に向けて【操花術式:七彩天趣】を発動する。指差した先から放たれるのは虹色に乱れ舞う花嵐――これには敵を攻撃するだけでなく、地形を彼女に有利に塗り替える用途もある。
「「まあ……!?」」
 花びらがチョコレートの海を埋め尽くしていくのを見て、スイート・メロディア達は目を丸くする。あっという間に花畑のようになった戦場に敵軍が戸惑っている隙を突いて、千夜子は颯爽と駆け出した。

「できるだけ一気に纏めて倒さねばですね」
 花嵐に造り替えられたこの戦場は既に千夜子の独擅場だ。結界と花の足場を自在に駆け巡りながらスイート・メロディアの方に向かう姿は、まるで天女のように軽やかである。
 敵もそれを見てただ立ち尽くしている筈はなく、毒を帯びた【チョコレート・ローズ】の花を放って相手を撃ち墜とそうとする。しかし千夜子のように花の足場に慣れていない彼女らでは攻撃の命中率もおぼつかず、多勢による一斉攻撃の利を活かしきれていない。
「「このっ……足場がチョコの海でさえあれば、このくらい……!」」
 敵がなかなか狙いをつけられずにいる間に千夜子はギリギリまで集団との距離を詰め、乱れ飛ぶ薔薇型チョコレートごと敵を吹き飛ばすように、全力の【七彩天趣】を放った。

「虹の花、咲き誇れば天上楽土」
 持てる技能を駆使して最大限まで威力を強化された花嵐が、敵の大集団を巻き込んだ。
 それはお菓子でできた脆い敵を破壊するだけでなく、チョコの薔薇が持つ毒を浄化し、戦場に満ちる甘ったるいチョコレートの匂いを、芳しい花の香りに変えた。
「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」
 花薫る嵐に包まれながら、悲鳴と共に消え去っていくスイート・メロディア達。もはやここは邪悪な者のいるべき場所ではないと、花畑が彼女らを拒絶しているかのようだ。

「チョコと花なんて、私が負けるわけにはいかない組み合わせですよ!!」
 ちょっとキャラが被っている気もする相手に対抗心を燃やしつつ、花嵐を操る千夜子。
 何百という敵を前にしても怯まぬその気迫は、スイート・メロディアの大軍を順調に駆逐していく。海上に咲き誇る花の数が、即ち彼女の倒した敵の数であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【指定UC】で兎の耳を生やして【聞き耳】を強化
敵の立てる僅かな音も逃さず聞き取り
少しでも行動に出ようとした個体にすぐ反撃出来るように
一応★靴にも風魔法を宿して跳躍力を上げておく

チョコレートなら冷やせば固まるよね
【高速詠唱】で氷魔法の【属性攻撃】による【範囲攻撃】で
船の上で【ダンス】のように端から端へ移動しながら
敵を海ごと凍結させていこうか
更に“僕の魔力を宿した”★Candy popを
全方位に乱雑に投擲
一粒目掛けて炎魔法を当てたら
魔力同士共鳴して全部の飴が爆発するよ

敵の攻撃は音を察知した、または接近を目視した瞬間
思いっきりジャンプして回避
対象は30cm以内だもんね
氷魔法で香りごと封じ込めるよ



「僕の中の兎さん、力を貸して」
 チョコレートの海で栗花落・澪(泡沫の花・f03165)がそう呟くと、彼の頭から桜色の垂れた兎の耳がぴょこんと生えてくる。少女と見紛うほどに愛らしいその姿を見て、対峙する『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』達は笑い声を上げた。
「あら、可愛らしいですね」
「ですが容赦は致しません」
 チョコレートの甘い香りを漂わせる、七大海嘯『桜花』の分身体。何千人いるかも分からないその大集団から決して目を離さずに、澪は耳を澄ませる。【Mini Lop Blossom】で生やした兎耳は決して飾りなどではなく、変異中の彼の聴力は大幅に強化されていた。

(よく耳を澄ませて、動きを見て)
 敵の立てる僅かな音も逃さず聞き取り、少しでも行動に出ようとした個体にすぐ反撃出来るように、澪は神経を研ぎ澄ませる。全て同一の姿形をした敵の中から、何体かが抱擁するように腕を広げてみせた瞬間――ぱっと弾かれたように掌をかざし、呪文を唱える。
「チョコレートなら冷やせば固まるよね」
 船上より放つは氷の属性魔法。凍てつく冷気が今まさに【スイート・エンブレイス】の抱擁を仕掛けようとしていた敵を包み込み、その身をチョコレートの海ごと凍結させる。
 身体がお菓子でできたスイート・メロディアでは、この攻撃には耐えられないだろう。凍った敵が他の敵の足止めになっている内に、澪は続けて飴玉の入った小瓶を取り出す。

「目には目を、お菓子にはお菓子を、なんてね」
 澪は小瓶の蓋を取り、ダンスのように船の上を端から端に走りながら、中に入っていた「Candy pop」を乱雑に投げつける。ぱらぱらと飴玉が全方位に散らばってチョコレートの海に落ちていく様子はメルヘンチックだが、これ自体には何の威力もない。
「「一体何のつもりで……」」
 だが、この飴には一粒一粒に魔力が宿っている。訝しむスイート・メロディア達の前で澪はぽっと指先に炎の魔法を灯すと、適当な一粒に向けて放つ――すると命中した瞬間、魔力同士の共鳴が発生し、戦場に撒かれた全ての飴玉が一斉に爆発を引き起こした。

「「―――……!!!!」」
 共鳴し連鎖する爆発は一瞬で戦場全域に広がり、海上にいたスイート・メロディア達を吹き飛ばす。脆いスイーツの身体では、この衝撃に耐えるのは不可能だろう。バラバラになった彼女らの骸が、チョコレートの海に沈んで消えていく。
「どうかな、僕からのプレゼントは」
「おのれ、よくも!」
 運良く爆発を生き延びた者は怒りの形相で船上に迫り、死の抱擁を仕掛けようとするが――音と目視でそれを察知した澪は、抱きしめられる前にぴょんと兎のようにジャンプ。予め靴に風の魔力を乗せていたらしく、人間離れした跳躍力で空に跳び上がる。

「対象は30cm以内だもんね。ここまでは届かないよね」
 強力なぶん射程の短い敵のユーベルコードの弱点を見切り、即座に反撃を仕掛ける澪。
 上空より放たれた氷の魔法が、香りごとスイート・メロディアを氷の棺に封じ込める。
「そんな……馬鹿な……!!」
 信じられないと言った表情のまま、彼女達はチョコレートの海と共に凍りついていく。
 甘い香りにかわって辺りに漂うひんやりとした空気に、澪は小さく微笑みを浮かべた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒川・闇慈
「チョコレートの海ですか……甘い物は嫌いではありませんが、ここまでの量だと胸焼けしそうですねえ。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
とにかく広域を攻撃して相手の数を減らさねばなりませんか。
高速詠唱、呪詛、呪詛耐性、全力魔法の技能を用いてUCを使用します。
戦場を覆う侵食呪詛での広域攻撃を行いましょう。また、お菓子の体では怨念領域に適応できないはずです。相手の攻撃成功率も落とすことができるでしょう。
それでも殲滅し切れない場合の保険としてホワイトカーテンの防御魔術を展開しておき、オーラ防御、激痛耐性、覚悟の技能で術式を維持し続けましょう。

「コーヒーが欲しくなりますねえ。クックック」

【アドリブ歓迎】



「チョコレートの海ですか……甘い物は嫌いではありませんが、ここまでの量だと胸焼けしそうですねえ。クックック」
 眼前になみなみと満ちた甘い液体を見下ろして、皮肉げに笑う黒川・闇慈(魔術の探求者・f00672)。単に海にチョコレートが混じっているのではなく、海水そのものが膨大なチョコに変貌しているのだ――『王笏』の姫君にして七大海嘯『桜花』の力によって。
「「心配する必要はありませんよ。貴方達はみなこの海に沈むのですから」」
 そして立ちはだかる『桜花』の分身『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』。
 この先の航路を切り拓く為には、この何百何千という大軍を撃破しなければならない。

「とにかく広域を攻撃して相手の数を減らさねばなりませんか」
 数多の死霊を格納した18式呪念集積宝珠・ゲヘナダイヤモンドを加工した指輪を掲げ、闇慈は敵の攻撃が来る前に素早く詠唱を行う。黒いダイヤに篭められた膨大な呪詛を力に変えて、戦場を覆う規模の広域攻撃を仕掛けるつもりだ。
「日は沈み雨が来る。生は消え死が現れる。暗く、黒く、どこまでも我らを包め亡者の嘆き。亡域形成・怨呪大殺界」
 呪文と共に晴天だった天はにわかにかき曇り、どんよりとした暗雲から黒い雨が降る。
 ただの雨ではない。触れたものを侵食し呪いをもたらす怨念の雨だ。チョコレートの海全域に降りしきるそれから逃れる術は、せいぜい味方を盾にするくらいのもの。

「「なんですか、この雨は……くっ、あああああああっ!?」」
 呪いの雨に侵されて、次々と倒れていくスイート・メロディア達。術者である闇慈が健在な限りこの雨が止むことはなく、戦局はじりじりと彼女達にとって不利になっていく。
 ゆえにまだ動けるメロディア達は【チョコレート・ローズ】を発動し、一斉攻撃を仕掛ける構えを取ろうとするが――何故だか身体が思うように動かない。
「身体が重い……それに妙に息苦しくて……」
「この海で私達が不調をきたすなんて……?」
 呪詛の雨を浴びた影響にしてはあまりに顕著な変調。それは雨が彼女達だけではなく、この海域そのものを侵食していたことに起因する。いつの間にか戦場は彼女達が得意とするチョコレートの海から、呪詛に満ちた怨念領域に変化していたのだ。

「お菓子の体では怨念領域に適応できないはずです」
 この領域に完全に適応できるのは、ここにいる中では呪詛耐性のある闇慈だけだろう。
 一度戦場を呪いで満たしてしまえば、後は彼が何もしなくても敵は勝手に弱っていく。反撃しようにも狙いをつけることさえままならない程に。
「「このッ……貴方さえ倒せれば!」」
 それでも闇雲に放たれたチョコレートの薔薇は、ごく一部しか闇慈の元には届かない。
 その一部も、保険として彼が展開していた防御魔術「ホワイトカーテン」に阻まれる。一体一体が七大海嘯に匹敵するスイート・メロディアの攻撃力はこの状態でも舐められるものではないが、油断なく全力で術式を維持する闇慈を倒せるほどでもない。

「コーヒーが欲しくなりますねえ。クックック」
 甘ったるいチョコレートの香りが漂う戦場で、おどけたようにそんなことを言う闇慈。
 怪しげに笑いながらも彼は決して術式の操作を緩めない。チョコレートの薔薇が結界を突破するよりも、呪いの雨が敵を殲滅するペースのほうが速かった。
「「もう……駄目……」」
 呪詛の侵食に耐えかねて、ばたばたと怨念領域に沈んでいくスイート・メロディア達。
 彼女らをひとり残らず消し去るまで、亡者の嘆きの涙が、黒き呪雨が止むことはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧沢・仁美
うわあ。凄い数…。
確かにこれだけの敵に一斉に襲われたら堪ったモノじゃないよね。
よし、一気にやっつけるよ!

ブーツからプラズマ噴射しての【推力移動】で海面上を移動。
兎に角攻撃の的を絞らせないよう、可能な限り常に移動し続ける。

攻撃する時は念動超昂を発動、強化したサイキック・バスター・ウェーブの【範囲攻撃】で片っ端からメロディアをら一掃していくよ。
疎らに残った敵は【衝撃波】で倒していく。でも足は止めないように。

行動速度が落ちた場合は、近くにユーベルコード使用中の敵がいると判断。
それっぽい敵がいる方を狙って攻撃を重ねていくよ。
甘いお菓子に!毒はいらないんだから!」



「うわあ。凄い数……」
 チョコ化した海を埋め尽くす大量の『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』を見て、霧沢・仁美(普通でありたい女子高生・f02862)は驚いたように目を丸くする。
 この一体一体が『桜花』メロディア・グリードの分身であり、耐久力を除けば本体とも遜色ない力を持つというのだから、七大海嘯の恐るべき実力を改めて実感させられる。
「確かにこれだけの敵に一斉に襲われたら堪ったモノじゃないよね。よし、一気にやっつけるよ!」
 しかし彼女の表情に驚嘆はあっても恐怖の色はない。両足に履いた「キネティック・プラズマブーツ」からプラズマを噴射し、チョコレートの海面上を滑るように駆けていく。こんな所で立ち止まってなんていられないと、その眼差しには力が宿っていた。

「最初から加減はなしでいくよ……!」
 【念動超昂】を発動した仁美の身体からは、膨大なサイキックエナジーがあふれ出す。これを純粋な物理的破壊力に変換して放つのが「サイキック・バスター・ウェーブ」――彼女が持つ攻撃手段の中でも特にシンプルだが、それ故に威力は高い。
「えーいっ!」
 ユーベルコードにより強化されたサイキックの波動は、チョコレートの海を津波のようにめくり上げながら敵陣に押し寄せる。耐久面に関しては脆いスイート・メロディアが、これを耐えきれるはずもない。
「「ちょっ、待ちなさ……きゃああぁぁぁぁぁぁぁっ?!」」
 怒涛のサイキック・ウェーブに呑み込まれ、海中に没するメロディア達。辛くも直撃を逃れた者も余波に吹き飛ばされ、体勢を崩したところに仁美から追撃の衝撃波を放たれ、粉々に砕け散る。

(兎に角足を止めないようにしないと)
 敵集団を一掃していきながら、仁美は常に海上を移動し続けるように心掛けていた。数で勝る敵に攻撃の的を絞らせないためには、動き回るのが重要だと分かっているからだ。
 サイキックエナジーを推力に変換する彼女の移動速度は簡単には追いつかれはしない。しかし不意に、まるで見えない錘を付けられたように、その動きがゆっくりと鈍くなる。
「あれ? これって……」
 装備が壊れたわけでもエナジーが切れたわけでもない。速度が落ちた理由は外的な要素にあると即座に判断した彼女は、近くにユーベルコードを使用中の敵がいると見抜いた。

「ちょこまかと厄介な。ですが動きを封じてしまえば……」
 仁美の予想は正しく、スイート・メロディアは【キャンディ・ラプソディ】を発動し、毒入りキャンディを互いに給仕しあうことで彼女の行動速度を低下させていた。足が止まっている隙に包囲する気だったのだろうが、誤算だったのは気付かれるのが早すぎた事。
「そこっ!」
 怪しい動きをしている敵に向かって、サイキックの弾丸と衝撃波が放たれる。給仕中のメロディアの手からキャンディがこぼれ落ち、続く衝撃が肉体をバラバラに吹き飛ばす。

「甘いお菓子に! 毒はいらないんだから!」
 敵のユーベルコードが解除され行動速度が元に戻ると、仁美はさらなる攻撃を重ねる。
 吹き荒れるサイキックエナジーはチョコレートの海に嵐を起こし、敵は為す術なくなぎ払われる。
「「そ、そんんなあああぁぁぁぁぁっ!!!!?」」
 海上に木霊する悲鳴。念動の波に呑まれ何百ものスイート・メロディアが消えていく。
 チョコレートの海から湧き出す敵数も、徐々にだが減ってきているように感じられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
●アドリブ&絡みOKです

【SPD】
簡単な問題だね!
毒に対抗するのは、毒消し!
ぼくのスペシャリテにかかれば、毒を中和することだって可能さ!

『本日のスペシャリテ』
🍀ミント&レモン🍋グラニテ!

【戦闘】
毒の中和しながら、紅路夢で機動力を活かして二丁掃射術を駆使して数を制圧していこう!
お菓子(料理)で【毒耐性】、弾は武器改造でプラチナコロイド粒子の特殊加速砲仕様!

ぼくの持てる技術を見せてあげるよ!

そういえば、チョコレートの海ってどうなってるんだろう?
塩っぱい?甘い?
できれば持ち帰って、何かできないか新しいレシピを作ろうかな!



「思っていた以上にやりますね。これは少し不味いかもしれません」
「ここは一つ、休憩して体勢を立て直すことに致しましょう」
 猟兵の力を侮り大打撃を受けた『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』達は、おもむろに自分の肉体を切り離してキャンディを作り出すと、それを互いに給仕しあう。
 この毒入りキャンディは彼女らにとっては無害だが他者にとっては有害。これを楽しんでいない者の行動速度を低下させる、それが【キャンディ・ラプソディ】の効果である。
「「お菓子のようにスイートなひとときを」」
 顔も服装も同じオブリビオン達による奇妙なパーティ。これで猟兵を妨害しながら再びチョコの海で増殖する時間を稼ぐのが、スイート・メロディア達の作戦のようだが――。

「簡単な問題だね! 毒に対抗するのは、毒消し!」
 そこにやって来た国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)は、お手製のパティスリー・スペシャリテを用意してスイート・メロディアの輪の中に入る。
 そして彼女達の手からキャンディをひょいとかっさらうと、毒入りだと知った上で躊躇なくそれを口に放り込んだ。
「ぼくのスペシャリテにかかれば、毒を中和することだって可能さ!」
 【桜菓浪漫パテシエイル】である彼女が作り上げた『本日のスペシャリテ』は、ミント&レモンのグラニテ(氷菓子)。シャーベット状になったレモンのさっぱりした酸味と、スッとしたミントの香りが、キャンディの甘さと毒をほどよく和らげてくれる。

「うん、このキャンディもなかなか美味しいね!」
「そんな……私達以外の者がそれを食べて平気なはずが……?」
 毒入りキャンディを食べてもけろりとしているどころか、むしろ楽しげな鈴鹿に驚いたのはスイート・メロディア達。毒を食らうか速度低下を受け入れるかの二者択一を強いるはずの【キャンディ・ラプソディ】は、彼女の料理スキルの高さにより無意味となった。

「料理だけじゃないさ。ぼくの持てる技術を見せてあげるよ!」
 口の中でころころとキャンディを転がしながら、鈴鹿は自作のフロヲトバイ「百弐拾伍式・紅路夢」に乗ってチョコレートの海を駆ける。レトロな赤銅色のボデーに先進的テクノロジヰを詰め込んだその機体は、発明者を乗せて変幻自在な機動を見せる。
「「なんなのですか、あの見たこともない乗り物は?!」」
 スイート・メロディア達がその機動力に翻弄されている隙に、仕掛けるのは双式機関銃「ナイヤ」「ダスラ」による制圧射撃。弾丸にはプラチナコロイド粒子による特殊加速砲仕様を使用し威力を高めてある。これら全てが鈴鹿の天才的発想と技術による産物だ。

「これが特級パーラーメイドの特級射撃術!」
 ハイカラで小洒落たメイド服を翻し、手放しで紅路夢を操縦しながら、二丁掃射術を駆使して弾丸をばら撒く鈴鹿。時折お菓子を口に運んで、飴の毒を中和するのも忘れない。
 給仕から戦闘まで何でもござれなパーラーメイドとしての超技巧を遺憾なく発揮して、彼女は敵を追い詰めていく。
「「ただのメイドがどうしてこれほどの力を……!?」」
 困惑と驚愕を抱えたまま、反撃する暇もなく撃ち倒されていくスイート・メロディア。
 天才とはその独創性ゆえに理解されがたいもの――鈴鹿の有り余る才能を把握するのは七大海嘯にさえ困難だったようだ。

「そういえば、チョコレートの海ってどうなってるんだろう? 塩っぱい? 甘い?」
 敵を掃討する最中に、ふとそんな事が気になった鈴鹿は、水面に指先をつけてチョコ化した海水をひとくち舐めてみる。オブリビオンの力で変貌したものと聞けば普通は躊躇しそうなものだが、彼女は遠慮なしである。
「甘くて口溶けもいいね! これは何か新しいレシピを作れるかも!」
 意外なほど上質な味わいに彼女はぱっと笑みを浮かべると、チョコレートを容器に入れて持ち帰ることにする。果たしてこのチョコからどんなスペシャリテが誕生するのか――それは彼女の頭脳のみが知ることであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイグレー・ブルー
むせかえるような香り、美味しいチョコレートもこれだけあるととんでもないであります…!
しかしチョコとスイーツとは…アフタヌーンティーのような気すらしてまいりますね。それにしては毒々しいでありますが……いえ、わたくしに出来ることをしなくては。


空中浮遊にと念動力による移動で海上戦を挑ませていただきます。
わたくし自身の身体と槍に込められた力で防ぐであります……!
数で来るというのであれば、わたくしも数で挑ませていただきます……!ひとつひとつの力は小さいですが、集まって沢山降り注げば数を減らす一助になりましょう!



「むせかえるような香り、美味しいチョコレートもこれだけあるととんでもないであります……!」
 充満する甘い匂い、辺り一面を満たす茶色い液体、そしてお菓子で出来た敵の大集団。『桜花』メロディアの力で変貌したチョコレートの海を、アイグレー・ブルー(星の煌めきを身に宿す・f20814)は驚きの表情で見渡していた。
「しかしチョコとスイーツとは……アフタヌーンティーのような気すらしてまいりますね。それにしては毒々しいでありますが……いえ、わたくしに出来ることをしなくては」
 字面だけならメルヘンで美味しそうなのだが、これらが蒼海を脅かす敵なのは明らか。カルサイトの穂を持つ重槍「нечуплив ще」を携え、ブラックタールの少女は戦場に赴く。

「それでは挑ませていただきます」
「「ほう。貴女1人に何ができると?」」
 念動力で海上を浮遊して移動するアイグレーの前には、無数のスイート・メロディアが立ちはだかる。チョコの海より湧き出たこの何千という分身は、その物量による一斉攻撃を最大の脅威とする。
「数で来るというのであれば、わたくしも数で挑ませていただきます……!」
 アイグレーは【星周塵のクーベルチュール】を発動し、自身の身体から数え切れないほどの小さな礫を発射する。ひとつひとつが彼女の分身とも言えるそれらは、複雑な幾何学模様を描いて空を舞い、キラキラとまたたきながら敵集団に飛来する。

「「この私達に、数で対抗するとは……?!」」
 流星群の如く降りしきる飛礫の豪雨に、次々と砕かれていくスイート・メロディア達。頭数を強みとする一方でスイーツ並の強度しか持たない彼女達にとって、こうした物量による攻撃は最も効果的な手段であった。
「ひとつひとつの力は小さいですが、集まって沢山降り注げば数を減らす一助になりましょう!」
 小さな身体から幾百・幾千もの飛礫を生成し、休みなく放つアイグレー。彼女が作り出す光景はまるで無数の星々がまたたく宇宙のようで、それに包まれたメロディア達は断末魔の悲鳴を上げてチョコレートの海に沈んでいく。

「よくもやってくれましたね……っ!」
 猛襲を生き延びた者は【チョコレート・ローズ】を発動し、毒を帯びたチョコレートの薔薇をお返しとばかりに放つ。だが数を減らされたうえに陣形の足並みも揃っていない、そんな苦し紛れの反撃ではアイグレーは倒せない。
「わたくし自身の身体と槍に込められた力で防ぐであります……!」
 硬軟自在のボディでダメージを吸収し「砕けぬ意志」を象徴するカルサイトの槍の力で毒に耐える。自称なれども皆を護る防衛隊長として、戦場に立ち続ける覚悟と決意が彼女には宿っていた。

「ここは通していただくであります!」
 チョコレートの薔薇に耐えきり、再び放たれる【星周塵のクーベルチュール】。カルサイトの穂が指し示す先で、行く手を阻むスイーツな敵軍を、宇宙の煌きが駆逐していく。
「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」
 破壊されたスイート・メロディア達の悲鳴が海に木霊する――互いに数と数のぶつかり合いとなったこの戦いを制したのは、宇宙からやって来た防衛隊長・アイグレーだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
チョコレートは嫌いじゃないけど
ここまで多いとげんなりするね
立ち込める甘い匂いだけで胸焼けしそう

UCで使い魔を召喚

わあ、チョコレートが一杯なのです
とっても美味しそうなのですよー

UDCアースに戻ってからにしようかと伝えつつ
攻撃して貰うよ

金属化の能力で分身やチョコレートの海を希少金属に変え
超硬装甲に取り込ませて巨大化させよう

大きくなれば攻撃範囲も増えるから雪だるま式に大きくなるよ
物理的なダメージでは無いから融解体にも通じるし
装甲は毒の影響を受けないだろうから大暴れするんじゃないかな

UDCアースの放射性元素を冠した怪獣みたいだね
翼竜じゃなくて飛竜だけど
そんな事を思いつつガトリングガンで範囲攻撃してるよ



「チョコレートは嫌いじゃないけど、ここまで多いとげんなりするね」
 立ち込める甘い匂いだけで胸焼けしそうだと、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は眉をひそめながら呟く。辺り一面を茶色く染める、途方もない量のチョコレートの海を見れば、いくら甘いものが好きでもこうなるのがごく普通の反応だろう。
「わあ、チョコレートが一杯なのです。とっても美味しそうなのですよー」
 だが、晶が召喚した【式神白金竜複製模造体】の使い魔は、この異様な光景を目にしても無垢に喜んでいた。緊張感が無いのかよほど甘いものに目がないのかは分からないが、敵のフィールドの真っ只中だというのに、ある意味肝が据わっている。

「チョコはUDCアースに戻ってからにしようか」
「ご褒美くれるなら頑張るのですよー!!」
 晶の指示で放たれた使い魔は、チョコレートの海に降り立つと辺りを金属化し始める。帝竜「プラチナ」をモデルにコピーされたこの使い魔は、オリジナル譲りの超硬装甲と、物質を希少金属に変える力を有していた。
「「私達の海が……!?」」
 茶色い海がみるみるうちに白金の大地に変わっていくのを見て、スイート・メロディアは慌てだす。プラチナコピーの攻撃はそれだけに留まらず、付近にいた彼女らも巻き込んで金属化させ、自らの装甲にそれを取り込んでいく。

「おっきくなったのですよー!」
 大量のチョコと分身を素材として取り込んだ使い魔は、大きな白金のドラゴンのような姿となって四肢や尾を振り回す。まるで子供がはしゃいでいるような仕草だが、巨大化に伴うリーチの増加と金属化能力を鑑みれば、敵にとってそれは恐るべき脅威でしかない。
「大きくなれば攻撃範囲も増えるから、雪だるま式に大きくなるよ」
 晶が見ている前で使い魔は辺りの物をどんどん金属化させていく。このままでは不味いとスイート・メロディア達は【チョコレート・ローズ】を発動して反撃態勢を取るが――彼女らの能力は、このプラチナコピーの特性と非常に相性が悪かった。

「「この、大人しくしなさいっ……!」」
 スイート・メロディア達が投げつけたチョコレートの薔薇は、分厚くなった超硬装甲に阻まれて使い魔の本体まで突き刺さらない。薔薇が帯びている毒も普通の生物には有害だっただろうが、耐蝕性にも優れた希少金属の装甲には効果が薄い。
「うるさいのですよー!」
「「きゃあぁぁっ!!?」」
 そして使い魔の攻撃は物理的なダメージではないため、融解体に変身しても防ぐことができない。融けた肉体を貴金属に変えられ、装甲をより強固にする素材にされるだけだ。
 巨大化を続ける使い魔に何ら有効な対抗策を見出だせないまま、スイート・メロディア達はそれの糧として無情にも貪り食われていく。

(UDCアースの放射性元素を冠した怪獣みたいだね。翼竜じゃなくて飛竜だけど)
 暴れる使い魔の姿からそんな事を思いつつ、晶もただ後ろでサボっている訳ではない。
 金属化の攻撃範囲から逃れた敵に狙いをつけて、携行型ガトリングガンによる範囲攻撃を仕掛ける。元が脆弱なお菓子の敵には、弾丸一発当たるだけでも致命傷だろう。
「「きゃうっ?!」」
 弾幕の中でダンスを踊り、力尽きてチョコの海に沈んでいくスイート・メロディア達。
 前線では変わらず白金の使い魔が暴れており、もはやどこにも逃げ場がないことを悟った彼女らには金属化するか蜂の巣になるか、どちらかの未来しか許されてはいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジュリア・ホワイト
フゥム
一体一体がフォーミュラ級の攻撃力を持った数百人規模の軍勢か
これは武器でちまちま倒していたらとても無理だね
「状況を打開できるのは、個人の力では抗いようのない規模の攻撃……よし、決めた!」

【エレメンタル・ファンタジア】で荒れ狂う自然現象を呼び出してぶつけてしまおう
制御よりも威力重視……というか、意図的に手綱を手放すぐらいの勢いで行こう
「なぁに、ここは海上。周囲は見渡す限り敵。ちょっと暴走しようが対して困らないよ」
呼び出す自然現象は……そうだね、『冷気の竜巻』にしよう
周囲すべてを飲み込んで凍りつかせる竜巻をご賞味下さい、だ
チョコの体の強みは半流体なところだね?
全部凍らせて砕いてあげよう!



「フゥム。一体一体がフォーミュラ級の攻撃力を持った数百人規模の軍勢か。これは武器でちまちま倒していたらとても無理だね」
 と、目の前の敵軍を分析するのはジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)。ともすれば何千人に達しようかという『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』の軍勢は、1人ずつ撃破するのではとても手が足りない。
「状況を打開できるのは、個人の力では抗いようのない規模の攻撃……よし、決めた!」
 何か打つ手を思いついたらしい彼女は、天地に満ちる精霊に向けて意識を集中させる。
 普段は武器を使った戦闘や突撃で活路を開く戦法を得意としているが、彼女は精霊術士でもある。ひとたび精霊と心を通わせれば、天地自然の力が彼女に協力する。

「「何をするつもりですか……?!」」
 ジュリアの周りで魔力が高まっていくのを感じて、スイート・メロディアは警戒する。
 精霊の力で荒れ狂う自然現象を呼び出す――それが【エレメンタル・ファンタジア】。彼女が発動させようとしているそれは、強力なぶん暴走しやすい力として知られている。
(制御よりも威力重視……というか、意図的に手綱を手放すぐらいの勢いで行こう)
 それをジュリアは一切制御するつもりが無かった。彼女の元に集った精霊達はそのまま暴れだし、逆巻く風と凍てつく冷気となって吹き荒れる。あっという間に規模を拡大したそれは天を衝くような『冷気の竜巻』を生じ、チョコレートの海を凍らせ始めた。

「なぁに、ここは海上。周囲は見渡す限り敵。ちょっと暴走しようが対して困らないよ」
「「な、なんてメチャクチャな……!?」」
 これが島や市街地での戦闘ならいざ知らず、敵しかいない海上に巻き込んだらいけない物はない。清々しいほどに思い切ったジュリアの戦法に、メロディア達は目を丸くした。
 一度拡大を始めた冷気の竜巻は、もはや術者であるジュリアの制御さえ受け付けない。真冬の北国を思わせるような極寒の風がチョコレートの海にいる全てに吹き付けられる。

「周囲すべてを飲み込んで凍りつかせる竜巻をご賞味下さい、だ」
「「――……!!」」
 抗議の声を上げる前に、瞬間冷却された敵達は直前の姿勢のまま物言わぬ立像と化す。
 チョコの海水はカチカチに固まった茶色い大地に変わり、その上に白雪が降り積もる。季節は春に向かおうとしている時期に、ここだけ真冬に逆戻りしたかのような光景だ。

「「い、いけない……!」」
 スイート・メロディアは【チョコレート・ローズ】を発動して少しでもダメージを軽減しようとしたものの、暴走する大自然の猛威の前では儚い抵抗でしかない。右往左往する敵軍を眺めながら、ジュリアが高らかに笑う。
「チョコの体の強みは半流体なところだね? 全部凍らせて砕いてあげよう!」
 高温の蒸気「スチームレイヤー」を纏っている彼女だけが、冷気の竜巻の中で凍りつかずに動くことができた。融解体となったメロディアが冷え固まり動けなくなるのを見て、携行式4連詠唱ロケットランチャー「ML106」のトリガーを引く。

「「きゃああああぁぁぁぁぁ――……ッ!!!!」」
 爆炎と爆風が固まった敵を粉々に吹き飛ばし、甲高い女の悲鳴が竜巻の中に木霊する。
 もはや誰にも手のつけられない勢いで、冷気の精霊とジュリアの饗宴は続いていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メフィス・フェイスレス
成る程?つまりチョコレート食べ放題、天国ってわけね
カロリーも高そうな相手だし私にお誂え向きじゃない

「宵闇」によるダッシュ、滑空で敵の群れの中心に突貫し先制攻撃でUC発動
毒耐性でケアしつつ捕食、大食いを行う

反撃対策に「飢渇」によるオーラ防御
さらに捕食した敵のチョコレート・ローズをコピーして融解体に変身し
「微塵」を混ぜた薔薇チョコで攪乱しつつチョコの海に紛れて移動
その後再度敵の群れの中心に移動し同様の攻撃、反撃を繰り返す

寿命(ハラ)が減ったらまた喰って満たせばいい話
これ以上やりやすい戦場もないわね

ああ、いえ、むしろ――こんなんじゃ全然足りないのよ!!
もっと!もっと欲しいのよ!!寄越せぇええ!!!



「成る程? つまりチョコレート食べ放題、天国ってわけね」
 眼前に広がるステキな光景に、メフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)は思わず涎を零しそうになった。どれだけ飲んでも飲み干せそうにないチョコの海に、お菓子で出来た敵の群れ。ここは彼女の飢餓衝動を刺激するものが揃いすぎている。
「カロリーも高そうな相手だし私にお誂え向きじゃない」
 ヒトであるための一線を保つために、普段は苦慮して抑制しているこの衝動。それを今だけは思う存分発散するチャンスと見て、彼女は獣のように歯を剥き出しにして笑った。

「それ、欲しい」
 走り出したメフィスは背中から醜悪な骨身の翼を生やし、海上を滑空して敵群の中心に突貫する。風が外套をめくり上げると、露わになった素肌には無数の牙と口が――全身を捕食器官に変えるユーベルコード【貪】が、すでに発動済みだった。
「「――……ッ?! 吸い寄せられ……っ!」」
 彼女に"獲物"として狙われたスイート・メロディア達は、強烈な吸引力によって捕食器官に引き込まれる。その過程でお菓子で出来た肉体は急速に圧潰され、一飲みサイズまで縮んだところで、ばくん、と彼女の体中の口に捕食される。

「悪くない味ね。これなら幾らでも食べられそうだわ」
 スイーツな敵を全身で味わい、さらに足元からチョコの海を吸い上げて飲むメフィス。
 しかし彼女の飢えはまだこの程度では満たされない。黄金の眼を爛々と輝かせ、次の獲物に向かって捕食器官を向けるその形相に、スイート・メロディア達は恐怖を覚えた。
「「こ、こちらに来ないでください!」」
 彼女らは【チョコレート・ローズ】により融解体に変身すると、チョコレートの薔薇を投げつける。美しく精巧な造形に猛毒を帯びたそれは、普通の獣を駆除する毒エサとしては有効だっただろう。

「あら、くれるの? ありがとう」
 しかしメフィスは躰から滲み出す「飢渇に喘ぐ」オーラで投擲の威力を削ぎ、毒があろうとお構いなしに薔薇チョコを吸い込む。元より死肉の継ぎ合わせであり、悪喰を経て毒耐性を獲得した彼女の肉体は、この程度ではどうともならない。
「それじゃあお返しね」
 逆に捕食を通じて敵の【チョコレート・ローズ】をコピーした彼女は、敵と同じ融解体に変身して薔薇チョコを投げ返す。ご丁寧に躰から滲んだ「飢渇」を混ぜ込んだそれは、触れた相手を「微塵に砕く」、危険な爆弾に改良されている。

「「きゃああぁぁぁぁぁっ?!」」
 返ってきた薔薇チョコの爆発に巻き込まれ、数十体のスイート・メロディアがバラバラに砕け散る。全身がお菓子で構成された彼女らの肉体は、爆風に煽られただけでも砕けるほどに脆い。
「よ、よくもやってくれましたね……って、あの女は何処に……?」
 そして辛くも爆発から生き延びたメロディア達は、いつの間にかメフィスが姿を消していることに気付く。彼女は薔薇チョコで敵を撹乱するのと同時、融解体のボディを活かしてチョコの海に紛れこんでいたのだ。その目的は言うまでもなく、次の獲物への接近。

「よそ見してたら食べちゃうわよ。まあ、どちらにしろ食うんだけど」
「「ひっ?!」」
 とぷん、と海中から敵群の中心に姿を現したメフィスに、スイート・メロディアの表情がひきつる。そして再び竜巻のような吸引力が逃げる間もなく彼女らを吸い寄せ、有無を言わさず餌食にする。
「寿命(ハラ)が減ったらまた喰って満たせばいい話。これ以上やりやすい戦場もないわね」
 コピーした【チョコレート・ローズ】の代償もなんのその、毎秒失う以上の生命を喰らい、メフィスは力を増していく。何十・何百という数の敵を貪ろうとも彼女の腹は満たされず、捕食の手が止まることはない。この戦場はまさに彼女の独擅場だった。

「ああ、いえ、むしろ――こんなんじゃ全然足りないのよ!!」
 目につく傍から獲物を喰って、喰って、喰って、喰って。それでも彼女は飢えに喘ぐ。
 植え付けられた飢餓衝動は寧ろ喰うほどに渇きを増し、メフィスの心を焦がしていく。
「もっと! もっと欲しいのよ!! 寄越せぇええ!!!」
「「ひいいぃぃぃぃ……っ!!!!」」
 ヒト真似をやめて、いっとき"獣"に回帰した彼女の狩りを止められる者は誰もいない。
 怯える菓子共を片っ端から喰らい尽くし、反逆の飢獣は存分に衝動を満たすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パリジャード・シャチー
●心情
・ふと思う。このチョコレートの海って料理じゃね?ってかうち甘い料理好きじゃないのよね。作るのは好きだけど。んでね、うちのソースって【どんな料理でも1滴入れればパリジャードでも辛いレベルに仕上がる激辛調味料】なのよ。ソースを海に入れたらどうなるんだろうね。試してみよう

●戦闘
・スパイシーヘルを海にちょびっと注ぎマース。さて、どうなるかな。どこまで辛くなるかな。辛さに悶えれば動きは止まる筈。後は高速詠唱したUCで範囲攻撃して暗殺しましょ。融解体って要するにチョコに溶けるんでしょ。うちが辛くした奴に。うふふ。低防御力で耐えられるかナ。毒のバラは見切りつつ風で飛ばして対処しようかな。



「このチョコレートの海って料理じゃね?」
 目の前に広がる戦場の光景を眺め、パリジャード・シャチー(因達羅神のハナヨメイド・f17808)はふと思う。大海原をなみなみと満たすチョコレートに、お菓子で出来た敵の集団。これらを七大海嘯『桜花』の作った料理と見做すこともまあ可能――だろうか?
「ってかうち甘い料理好きじゃないのよね。作るのは好きだけど」
「「貴女は何を言っているのですか?」」
 戦いの場でいきなり敵に料理の話をされても、『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』は困惑するだけだろう。しかし彼女達は知らない。料理人としてのパリジャードが持つ、とある絶望的な趣味嗜好と、危険極まる"隠し味"を。

「んでね、うちのソースって【どんな料理でも1滴入れればうちでも辛いレベルに仕上がる激辛調味料】なのよ」
 ひょいと取り出しましたるはメイド特製激辛調味料『Spicy hell』。自他共に認める常軌を逸した辛党であるパリジャードが作った品である。その激辛レベルは耐性のない者がひと口舐めると気絶するという――もはや料理に使っていい物なのか不安になるのだが。
「このソースを海に入れたらどうなるんだろうね。試してみよう」
「「え、ちょっ、待っ……!?」」
 スイート・メロディア達が止めに入る間もなく、パリジャードはソース瓶の蓋を開け、その中身をちょびっとだけ海に注いだ。チョコレートの海の広大さを考えれば、その程度の異物はすぐに希釈されてしまうのが普通だが――生憎このソースは"普通"ではない。

「さて、どうなるかな。どこまで辛くなるかな」
 どことなくウキウキした様子でパリジャードが見守るなか、茶色いチョコレートの海が赤く染まっていく。この異常事態にスイート・メロディア達が驚く間もなく、海上にいる彼女らを襲ったのは肌を刺すような"辛さ"の暴力。
「「あ、あがががががががががっ?!」」
 生物の感覚において"辛さ"と"痛さ"は同じものである。『Spicy hell』が生み出す度を越した激辛は溶け込んだ海を通じて激痛をもたらし、辛さに耐性のない敵を悶えさせる。

「おお、効いてる効いてる」
 このクラスの辛さを日々味わっているパリジャードは1人だけ平然とした様子で、辛さに悶絶する敵に【無双風刃】を放つ。ここまでの言動だけだとそうは見えないが、彼女は水と風を司る神の一柱でもある――その権能は不可視の風刃を生み出し、敵を切り刻む。
「きゃぁぁぁっ?!」
「よ、よくも……っ」
 まるでケーキをカットするように、バラバラに刻まれるスイート・メロディア。戦場を激辛地獄にされた上にこんな仕打ちまで受けて、彼女達が怒らない理由はない。なんとか一泡吹かせてやろうと【チョコレート・ローズ】で反撃の構えを取るのだが――。

「融解体って要するにチョコに溶けるんでしょ。うちが辛くした奴に」
「「あっ」」
 激辛化した海と能力の致命的な相性の悪さを指摘され、メロディア達の時が止まった。
 融けて非実体化すれば風刃のダメージは軽減できるだろう。だが代わりに激辛ダメージを今以上に受けることになる。あまりにも理不尽な究極の二者択一。
「うふふ。低防御力で耐えられるかナ」
 パリジャードはにこやかに微笑みながら、逡巡する敵に向かって容赦なく風刃を放つ。
 どっちに転んでも待っているのは地獄。悩んでいる間にも風は姿なき暗殺者となって、敵の頭数を続々と減らしていく。

「う、ううううう、よくもッ……!」
 苦し紛れにスイート・メロディアが放ったチョコレートの薔薇も、風に飛ばされ標的の元には届かない。終始パリジャードがペースを握る形で激辛チョコ海の戦闘は進行する。
「「も、もう辛いものは懲り懲りですっ……!」」
 そんな心からの断末魔を絞り出して、彼女らは赤いチョコの海へと沈んでいった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イコル・アダマンティウム
「お菓子の、食べ放題?」
え、毒……?
残念

僕は格闘特化のキャバリアで出撃する、よ

【海上戦】
がんがん、攻撃しなきゃ、だ
僕は海の上を走って移動
沈む前に足を出して、前へ、前へ
<水上歩行><ダッシュ>


【攻撃】
「ん、食べたい……けど」
「こっちで……我慢」

[EPライフサプライヤー]、起動
メロディアも、チョコレートも、キャンディも全部握りつぶして
機体の燃料にする、よ
「食べないと……勿体ない、よね?」
<暴力><グラップル>

「ん……まだまだ、行ける」
バイキング、だ
どんどん握りつぶしていく、よ
<継戦能力><エネルギー充填><限界突破>

【対反撃】
「むぅ……時間切れ」
水中に逃げる、ね
走るのをやめて沈む、よ
<地形の利用>



「お菓子の、食べ放題?」
 格闘戦特化クロムキャバリア「T.A.:L.ONE」に乗ってチョコレートの海を訪れたイコル・アダマンティウム(ノーバレッツ・f30109)は、甘い香りを漂わせるスイーツで出来た敵をじっと見る。表情の変化にこそ乏しいものの、明らかに興味を持っている様子だ。
「「貴女もこちらに来てはいかがですか? 甘い毒で蕩かしてあげましょう」」
「え、毒……? 残念」
 が、対する『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』達の誘い文句にはがっかりした様子で、キャバリアの拳を握り戦闘態勢を取る。お菓子で出来たオブリビオンも、それが作り出したお菓子も、無闇に口に運ばないのが賢明だろう。

「がんがん、攻撃しなきゃ、だ。れっつごー」
 乗っていた船の甲板を蹴って、チョコレートの海に飛び出すイコルと「L.ONE」。格闘戦に超特化したこの機体には、飛行能力なんて洒落た機能は付いていない。水上戦程度、二本の脚さえあれば十分。
「「ふふ、その鉄の人形でどうやって海を……なっ?!」」
 海面に足を踏み込んだら、沈む前に次の足を出して、前に、前に。キャバリアとしても尋常ではない運動能力を以て、蒼い巨人が水上を走る。その足元からは一歩ごとに爆発のような波飛沫が上がり、それを見たスイート・メロディア達の表情がひきつる。

「「す、すこし休憩されてはいかがですか?」」
 このままだとマズいと感じ取ったメロディア達は【キャンディ・ラプソディ】を発動。肉体を切り離して作ったキャンディを給仕しあい、相手の行動速度を落とす作戦に出る。
「あれ……遅くなった」
 爆走中の「L.ONE」がふいに減速し、イコルはきょとんと首を傾げる。この速度低下のユーベルコードから逃れるには、彼女もメロディア達からキャンディを貰わないといけない――明らかに毒だと分かっているものを、食べる勇気があればの話だが。

「貴女もいかがですか? 美味しいですよ?」
「ん、食べたい……けど」
 差し出される毒入りキャンディをじっと見つつ、イコルは沈みそうになる機体を懸命に走らせ、敵に近付く。食べなければこのままだとやられるが、食べても無事な保障はない――ならば。
「こっちで……我慢」
 【EPライフサプライヤー】の起動と同時に脚部に取り付けた「EPレッグスラスター」で跳躍。驚異的な推力で一気に距離を詰めた蒼の巨人は、驚くメロディアも、チョコレートも、キャンディも全部纏めて、鋼鉄の拳で握りつぶす。

「貰った」
「ぎゃッ?!」
 圧砕されたお菓子の塊は「L.ONE」の動力炉である「EPオーラエンジン」に転送され、機体を動かす燃料になる。口にするのがキャバリアか操縦者かの違いだけであって、これも「食べた」ことには変わるまい。
「食べないと……勿体ない、よね?」
 ユーベルコードの呪縛から逃れた機体は本来の動きを取り戻し、手の届くところにいる敵を次々と握り潰していく。その強靭なボディから出力される暴力的なまでのパワーは、脆いお菓子で出来たスイート・メロディアに耐えられるものではない。

「ん……まだまだ、行ける」
 イコルが敵を潰せば潰すほど、エンジンに送られる燃料も増える。攻撃とエネルギー充填を同時に行えるこの戦法は、とにかく獲物が多い今回の戦いとうまく噛み合っていた。
「バイキング、だ」
 食べ放題感覚で敵を掴んでは潰し、砕いて炉に放り込み、逃げても走って追いかけて。
 コックピットに映る「L.ONE」の燃料ゲージは常にMAXから下がらない状態。このままなら本当に敵を食べ尽くすまで戦闘を継続するのも夢では無いかもしれない。

「「い、いい加減にしなさい……!」」
 完全におやつ感覚でつまみ食いされるスイート・メロディア達であったが、彼女らにも分身とはいえ七大海嘯のプライドがあるらしく、生き残りを集めて反撃の構えを取った。
「むぅ……時間切れ」
 かなり人数は減らしたとはいえ、それでも一斉攻撃を食らうのは危険だと判断したか。
 イコルはすこし残念そうにしつつも機体を止める。走るのをやめた「L.ONE」は、自重に導かれて海中に沈む。
「「待ちなさいっ?!」」
 と、スイート・メロディア達が叫んでももう遅く。水面下に逃れて敵群の攻撃を躱したイコル達は、そのまま悠々とチョコレートの海を泳いで前線から離脱するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
攻撃力と数で押してくる敵……ある意味、わたしの能力は相性が良いかも…。

【九尾化・魔剣の巫女媛】封印解放…。
飛行して敵を迎え撃つよ…。

【呪詛】で強化した無限の魔剣を顕現…。
連続一斉斉射で敵に反撃の隙を与える間も無い程、ひたすら魔剣の掃射で殲滅していくよ…。
敵が魔剣を潜り抜けて反撃して来たら、アンサラーの反射【呪詛、オーラ防御、武器受け、カウンター】で跳ね返し、逆に攻撃を利用するよ…。

攻撃力の高さと耐久力の低さが仇になったね…。
わたしの魔剣は無限…貴女を全て倒し尽くすまで幾らでも付き合ってあげる…!
それに、耐久力の低さ故に自分の攻撃にも耐えられないでしょ…?
自分の攻撃で滅びると良いよ…



「攻撃力と数で押してくる敵……ある意味、わたしの能力は相性が良いかも……」
 チョコレートの海で待ち受ける『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』の大軍を見て、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)はぽつりと呟いた。幾千を数える物量による一斉攻撃は恐るべき脅威だが、どうやら彼女には対抗する策があるらしかった。
「我らに仇成す全ての敵に悉く滅びと終焉を……封印解放……!」
 解き放つのは【九尾化・魔剣の巫女媛】の力。莫大な呪力を身に纏って空に浮かび上がった彼女は、無数の魔剣を周囲に顕現させて敵を迎え撃つ構えを取る。九本に増えた尾を海風に揺らし、海上の敵軍を見下ろすさまは堂々としたものだ。

「「あれは――……ッ!!!?」」
 上空を見上げたスイート・メロディア達の元に降り注いだのは、巫女媛の呪詛で強化された魔剣達。逃げる隙間もないほどの密度の一斉射が、脆いお菓子の肉体に突き刺さる。
「わたしの魔剣は無限……貴女を全て倒し尽くすまで幾らでも付き合ってあげる……!」
 璃奈はその一度きりで攻撃を止めることなく、即座に新たな魔剣を顕現させて連続斉射を行う。一撃で標的を破壊するだけの威力を持った攻撃が、間断なく限りなく襲ってくるのだ。数の優位に驕っていたメロディア達も、これには顔色を変えて慌てだした。

「「この私達が、逆に敵の物量に押されている……? そんなことが!」」
 信じられないのか、あるいは信じたくないのか。いずれにせよ目前の現実は無慈悲であり、止むことのない無限の魔剣によってスイート・メロディアは次々と撃破されていく。
「まだまだ終わらないよ……」
 敵に反撃の隙を与えないように、璃奈はひたすら魔剣の掃射を続ける。この猛攻を突破して空中にいる彼女に攻撃を当てるのはどんなオブリビオンにも困難だろう。だが相手は七大海嘯の分身――まだ何か仕掛けてくる可能性はあると、彼女は油断していなかった。

「まだ私達は負ける訳にはいきません。あの男を生き延びさせるために……」
 幾百幾千の仲間の屍をチョコレートの海に沈められながら、スイート・メロディア達の戦意は失われていなかった。串刺しにされた仲間を盾として、肉体を融解体に変化させて少しでもダメージを軽減しながら、降り注ぐ魔剣の発生源に迫る。
「調子に……乗るなっ!」
 そして遂に1人のメロディアが魔剣を潜り抜け、毒を帯びた【チョコレート・ローズ】を璃奈に放つ。たった1人とはいえその攻撃力は七大海嘯と同レベル――もし直撃を受ければ猟兵と言えども重傷は免れない。

「流石だね……だけど……」
 その反撃を予測していた璃奈は、魔剣「アンサラー」を抜いてチョコレートの薔薇を受け止める。この剣に籠められた魔力は、敵から受けた攻撃を跳ね返すというもの――即ち敵の攻撃力をそのまま利用する報復の魔剣。
「耐久力の低さ故に自分の攻撃にも耐えられないでしょ……?」
「な……ぁッ!?」
 愕然と目を見開いたスイート・メロディアの胸に、チョコレートの薔薇が突き刺さる。
 自分の攻撃で滅びると良いよ――そう呟く少女の眼下で、敵の肉体はチョコに溶けるように崩れ去っていった。

「攻撃力の高さと耐久力の低さが仇になったね……」
 物量には物量を、反撃には反撃を。敵の弱みを突き強みを凌駕する璃奈の戦いぶりは、本人が口にした通りの相性差を浮き彫りにするものだった。もはやスイート・メロディアに打つ手はなく、止まぬ魔剣の雨に打たれて滅びるのみ。
「「よくも……よくもぉっ……きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!!」」
 絹のような断末魔に紛れた怨嗟の叫びは、チョコレートの海に溶けて消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…チョコレートの海なんて冗談みたいな展開ね

…敵の力が強い時は利用して、敵の数が多い時は同士討ちさせろ

…今考えても、とても救済の天使様の教えじゃないわ、プレア

大鎌に鏡の魔剣の魂を降霊して武器改造を施し、
無数の敵の姿を刀身に写して魔力を溜めUCを発動

…お前達に聞きたいのは、そうね…
"…七大海嘯の拠点の座標は何処?全て教えなさい"

…最も、素直に教えてくれるとは思っていないけどね

同じ能力を持つ偽物を召喚し『増殖する私の残滓達』発動
同じ攻撃力を持つ分身を幾百と創造し敵の大群を乱れ撃ち、
敵の攻撃も分身達に迎撃させる

…っ。流石は七大海嘯、消耗が激しい

長時間は保ちそうにないけど…その分、効果は折り紙付きよ



「……チョコレートの海なんて冗談みたいな展開ね」
 その"冗談みたいな"光景が目の前に広がっているのを見て、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は肩をすくめた。戦場には似つかわしくない甘ったるい空気に、お菓子でできた美女達が立ちはだかる――随分と悪趣味なメルヘンである。
「「貴女もこの海の底に沈めてあげましょう」」
 『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』達は口を揃えてそう言って、静かな殺意を示す。彼女らの攻撃力は本体と同等なうえ、数は数千人規模――これにどう対処するかを考えるリーヴァルディの頭に浮かんだのは、大切な友からの教えだった。

「……敵の力が強い時は利用して、敵の数が多い時は同士討ちさせろ」
 かつての師にして志を受け継いだ同志の言葉を口ずさみながら、リーヴァルディは大鎌"過去を刻むもの"を掲げる。かの者の魂はすでに骸の海に還って久しいが、その教訓は今でも彼女の血肉となって息づいている。懐かしい数々の思い出と共に。
「……今考えても、とても救済の天使様の教えじゃないわ、プレア」
 仄かな苦笑とともに発動するのは【代行憑依・鏡像の魔剣】。かつての師が持っていた剣の魂を自らの武器に降霊させ、その力を一時的に借り受けるユーベルコード。鎌から剣に変化した"過去を刻むもの"の刃は鏡のように煌き、無数の敵の姿を刀身に映しだす。

「……お前達に聞きたいのは、そうね……"七大海嘯の拠点の座標は何処? 全て教えなさい"」
 鏡の魔剣をかざしたまま問いを放つ。それは本戦争において最も重要な情報であった。
 本拠地を制圧された七大海嘯は復活能力を失う。ゆえに猟兵達は「蒼海羅針域」を頼りに拠点の捜索を行い、オブリビオンはそれを阻止するために襲撃を繰り返す。今回の戦いは突き詰めればその座標を巡る攻防なのだ。
「……最も、素直に教えてくれるとは思っていないけどね」
「「当然です。誰が貴女達に重要な座標の情報を……」」
 案の定スイート・メロディアは回答を拒絶する。それが自身の拠点だろうと、夫である『王笏』の拠点だろうと彼女らは答えないだろう。だが、それによってリーヴァルディのユーベルコードは発動条件を満たし、ここに魔剣の力が発揮される。

「……この世界に救済を。貴女の剣を借りるわ、プレア」
 鏡の魔剣が召喚するのは、その刀身に映し出した対象の偽物。それは鏡像なれども本物と同じ能力を持つ、紛れもない『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』の一体。
 それらはまたたく間に幾百もの大群を為すと、甘い香りと共に本物達に襲い掛かった。
「「なっ……!?」」
 分身である自分達がさらに複製されるとは思ってもみなかったのだろう。驚きのあまり反応が遅れたスイート・メロディア達に、鏡像がチョコの薔薇を乱れ撃つ。その攻撃力ももちろん本物と同じ――お菓子でできた脆い本物を破壊するには十分な威力だ。

「……っ。流石は七大海嘯、消耗が激しい」
 鏡像達に敵群を攻撃させながら、リーヴァルディの額には汗がつたう。これほど強大なオブリビオンの偽物を、これほど大量に造りだしたのは過去に例がないことだ。鏡の魔剣に溜めた魔力も恐ろしいほどの速さで消費されていく。
「長時間は保ちそうにないけど……その分、効果は折り紙付きよ」
 高い攻撃力と脆い耐久力、そして膨大な数というスイート・メロディアの特性は、そのまま本人達にとって最大の脅威となる。同等の力を持った同数の敵が現れれば、最終的に撃退できたとしても必ず甚大な被害を受けることになる――まさにプレアの教え通りに。

「「このッ……私達が私達に牙を剥くなんて……!」」
 同じ『メロディア』から生じた分身と鏡像は、互いを攻撃しあい互いに滅ぼされあう。
 唯一無事なのは鏡像の群れに守られたリーヴァルディだけ。反撃と迎撃の応酬の中で、数え切れないほどのスイート・メロディアが散り、チョコレートの海に沈んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

斬断・彩萌
はぁ~、チョコレートの海ね
季節的にはぴったりだけど、生憎甘すぎるのはノーセンキューよ

それにしても数が多いわね
各個撃破は効率が悪すぎる…
こういう時は【翠炎】を使うが吉ね
銃からめいっぱいサイキックエネルギー製の網を広げて
出来るだけ軍勢を巻き込んだら一気に火を放って溶かし尽くす!

チョコレートやキャンディと同化しちゃう気分はどうかしら
熱に弱いのはこっちにとってはラッキーだけど
明確な弱点を作ったあなたたちに勝ち目はないわよ

幸い相手に近づかなければ高威力の一撃は喰らわないみたいだし
距離感には十分注意するわ
もし急接近されたら咄嗟の一撃を喰らわせて逃げる

甘いのは人生だけで結構よ



「はぁ~、チョコレートの海ね」
 一面に広がる茶色い海を見て、呆れたようなため息を吐くのは斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)。奇しくもバレンタインデーの時期にこんな能力を持つ敵が現れたのは偶然なのか、それとも意図してこんな揶揄するような真似を仕掛けてきたのか。
「季節的にはぴったりだけど、生憎甘すぎるのはノーセンキューよ」
 何にせよやることは変わらない。「Executioner」「Traitor」と名付けられた二丁拳銃を構え、立ちはだかる『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』に狙いをつける。

「「そう遠慮なさらずに。甘い甘い醒めない夢に沈めて差し上げます」」
 異口同音に同じ言葉を発し、甘い香りを漂わせて近付いてくるスイート・メロディア。
 分身とはいえその攻撃力はオリジナルの七大海嘯と同等。その抱擁に巻き込まれるのは危険だと感じた彩萌は、距離感に十分注意して後ずさる。
「それにしても数が多いわね。各個撃破は効率が悪すぎる……こういう時は【翠炎】を使うが吉ね」
 精神力を銃に込めサイキックの弾丸として放つ。それが彩萌の射手としてのスタイル。
 放たれた弾丸は見えない蜘蛛の巣状の網となって広がり、押し寄せる軍勢の上に覆い被さる。足止めを目的とした妨害――網にかかった敵はそう考えたかもしれないが、違う。

「灰も残さないわ」
「「――……ッ!? あ、熱いっ!」」
 敵が網にかかった直後、サイキックエナジー製の網は透き通る翠緑の炎を放って一気に燃え上がる。お菓子でできたスイート・メロディアは熱に弱く、火に炙られればみるみるうちに身体が溶けていく。慌てて網の中から脱出しようともがいても、もう遅い。
「チョコレートやキャンディと同化しちゃう気分はどうかしら」
 【翠炎】に包まれてどろどろになったメロディアは、断末魔の悲鳴と共にチョコレートの海に混ざっていく。まさしく敵を一網打尽にした彩萌は、別の方向に銃口を向けて次弾を発射。まだ大勢いる敵の群れをサイキックの網で捕らえていく。

「熱に弱いのはこっちにとってはラッキーだけど、明確な弱点を作ったあなたたちに勝ち目はないわよ」
 七大海嘯に匹敵する攻撃力は確かに脅威。しかしそれ以上に致命的な欠点を持った分身など、彩萌にとっては恐るるに足らない。せめて熱対策くらいして出直して来るべきだ。
 幸い相手に近づきさえしなければ高威力の【スイート・エンブレイス】も食らわない――つまり、射撃戦の距離を維持して戦い続けるだけで、この戦いは勝ったも同然だった。
「「ッ、まだです、まだ……この生命にかえても!!」」
 それでもスイート・メロディア達は翠炎に身を焦がされながら彩萌に迫り、半壊した状態でも死の抱擁を食らわせようとする。一体何が彼女らを衝き動かすのか、ただの分身とは思えないほどの執念である――だが意思の力ならば彩萌とて負けてはいない。

「甘いのは人生だけで結構よ」
 咄嗟に銃口の向きを変え、放たれた精神力の弾丸が目の前のメロディアの眉間を貫く。
 抱擁のために伸ばした手は標的まであと僅かに届かず。彩萌は素早く距離を取り直す。
 糸が切れたように倒れた女は「口惜しい……」と呟きながらチョコレートの海に沈む。それから何人ものメロディアが挑もうと、彩萌に一矢報いれた者は1人もいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

非在・究子
こ、高攻撃力、か、紙防御の、敵軍の、相手、か。た、タイムアタック、だ、な……そ、そういうのも、キライじゃ、ない、ぞ。や、やって、やろうじゃ、ない、か。
ゆ、UCを、使って、ぶ、物理を、超えた……す、スピードの、向こう側を、見せて、やる。(減り始めるHPのゲージを横目にしつつ)
……こ、この状態、なら、み、右足が、沈む、前に、左足を、出して、海の上を、走ることも、よ、余裕、だ。ちょ、チョコレートの、海を、最速、最短で、駆け抜けて、グレネードランチャーに、変化させた、『ゲームウェポン』と、『ボム』を、使って、できる限りの、スコアを、叩きだして、やる。こ、こういう、場合は、出し惜しみは、なし、だ。



「こ、高攻撃力、か、紙防御の、敵軍の、相手、か。た、タイムアタック、だ、な……」
 チョコレートの海に立ちはだかる、スイート・メロディアという名の"ターゲット"。
 訪れた戦場のシチュエーションを、非在・究子(非実在少女Q・f14901)はゲーム的に解釈する。敵が反撃してくるまでをリミットとして、それまでに何体敵を倒し"スコア"を稼げるか――これはそういう"ゲーム"だと、彼女の脳は理解する。
「そ、そういうのも、キライじゃ、ない、ぞ。や、やって、やろうじゃ、ない、か」
「「お遊戯のつもりですか? でしたら、痛い目を見て貰いますよ……」」
 傍目からはナメているようにしか見えない言動に、敵は怒りの炎を燃え上がらせるが。
 究子の態度は変わらない。その独特の認識のままに、今日もゲームを攻略するだけだ。

「ぶ、物理を、超えた……す、スピードの、向こう側を、見せて、やる」
 スタート地点である船の甲板上から、究子は【ToolAssistedSpeedrunner】を発動して走り出す。現実をハッキングしチートコードを使用することで、彼女の肉体はありえざるスピードで加速し、ただ"最速"の称号のみを目指すモードに変貌する。
(……こ、この状態、なら、み、右足が、沈む、前に、左足を、出して、海の上を、走ることも、よ、余裕、だ)
 フィクションの中でしか見たことのないような挙動も、物理を無視した今の彼女なら実現できる。代償として減り始めるのは彼女にしか見えないステータスのHPゲージ――即ち寿命の消費を横目にしつつ、TAS究子はチョコレートの海を最速最短で駆け抜ける。

「「何ですかそのデタラメな速さは……!?」」
 この海域をまさか走ってくる猟兵が何人もいるとは、スイート・メロディア達も思っていなかったのだろう。バグじみた挙動に彼女らが困惑しているうちに、究子はメイン装備の「ゲームウェポン」と「ボム」を、グレネードランチャーの砲身と弾に変化させる。
「こ、こういう、場合は、出し惜しみは、なし、だ」
 照準は適当に、敵が密集している場所をおおまかに狙ってトリガーを引く。発射されたボムはシューティングゲーム的なエフェクトと共に炸裂し"画面上"の敵を吹き飛ばした。

「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」」
 スイート・メロディアの攻撃力はボス級だが、耐久力ではそこいらのザコ敵にも劣る。ボムの威力なら一撃で倒せるレベルだ。それを確認した究子は次のグレネード弾を異常な速さで装填し、また敵軍が集まっている所にぶっ放す。
「できる限りの、スコアを、叩きだして、やる」
 所持しているボムの残弾が尽きるまで、反撃の暇さえ与えず徹底的に攻撃に専念する。
 究子にとっての対戦相手とは目の前にいる雑魚共ではなく仲間である猟兵達。誰よりも速く多くの敵を倒す――そのために思考を、挙動を、パターンをチートで最適化するたびに、彼女の動きはどんどん変態的なものになっていく。

「「な、なんなのですか一体。どうすればいいので……ぎゃっ!!?」」
 自分達の理解の及ばない存在に翻弄され、次々に撃破されるスイート・メロディア達。
 やがて全てのボムが撃ち尽くされたとき、究子の視界に表示されたスコアボードには、本日の最高得点がマークされていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…臭いが甘ったるい…チョコの海とか御伽噺ではたまにあるけど実際は良い物でもないね…
…さて…あれが薔薇を纏ってるけど『桜花』の分身体か……
やたらと居るな……まずは数を減らす必要があるね…

…重奏強化術式【エコー】で効果を増幅してから【連鎖する戒めの雷】を発動…全体に伝播させて一気に拘束と殲滅をしよう…
…全部同じ分身体だから効果は覿面…動きを封じている間に殲滅するまで繰り返し放ってしまおう…

…あとは残った個体からの反撃の毒の薔薇は…復元浄化術式【ハラエド】で浄化の属性を付与した術式組紐【アリアドネ】を布状に展開して防ぐとするか…
…やっぱり桜じゃなくて薔薇だよね…桜花と言うだけの何かが他にあるのかな…



「……臭いが甘ったるい……チョコの海とか御伽噺ではたまにあるけど実際は良い物でもないね……」
 あまりにも濃密過ぎるチョコレート味の空気に、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)はやれやれと眉をひそめる。"魔女"がこんな事を言うのも妙かもしれないが、メルヘンはメルヘンの中に留めておいたほうが良い事もあるかもしれない。
「……さて……あれが薔薇を纏ってるけど『桜花』の分身体か……」
 チョコレートの海を見渡せば、視界に入るのは豪華なドレスに身を包んだ美女の集団。
 桜の要素はまったく見当たらないが、あれこそが七大海嘯の作り出したお菓子の分身体『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』である。

「やたらと居るな……まずは数を減らす必要があるね……」
 敵がこちらに気付き一斉攻撃を仕掛けてくる前に、メンカルは素早く術式を準備する。
 初めに起動するのは重奏強化術式【エコー】。他の術式を強化するこの術式に合わせて周囲に無数の魔法陣を描きあげ、本命となるユーベルコードを連続発動する。
「紡がれし迅雷よ、奔れ、縛れ。汝は電光、汝は縛鎖。魔女が望むは魔狼封じる天の枷」
 展開された魔法陣から放たれるのは【連鎖する戒めの雷】。稲妻のように海上を翔け、集団の先頭にいたメロディアに絡みつき――そして拘束と電撃によるダメージを与える。
「きゃっ?!」
 スイーツを素体とする脆い分身には、これでも十分過ぎる威力。電撃に灼かれた女の体からはチョコが焦げたような匂いが漂い出す。だが戒めの雷の効果はこれで終わらない。

「「雷の鎖ですか。しかしこれで私達の全員を縛り上げることは……?!」」
 数人から数十人程度を拘束されても、何千何百という物量を誇るスイート・メロディアにとって大したことはなかっただろう。だがメンカルが発動させた雷の鎖は最初の標的から次の標的に伝播し、まるで意思を持つかのように集団全体に攻撃規模を拡大していく。
「……これで一気に拘束と殲滅ができる……」
 【連鎖する戒めの雷】の真価は、その名のとおり近くにいる同じ性質の存在に伝播する"連鎖"にある。一体から十体に、十体から百体にと伝播するたびに雷の鎖は減衰するどころか逆に威力を増す、対集団戦において絶大な効果を発揮するユーベルコードである。

「……全部同じ分身体だから効果は覿面……」
 何百何千という物量の強みは、メンカルの術式の前では完全に仇となる。雷の鎖が連鎖を続け、広大なチョコレートの海全体に広がっていく様子は、いっそ壮観ですらあった。
「「あぎゃあああぁぁぁぁああぁぁッ!!!?!!」」
 スイート・メロディア達は高圧電流の鎖に全身を封じられ、悲鳴を上げる他には指先一つ動かすこともできない。その間にメンカルは繰り返し同じ術式を放ち、まだ動いている敵にも雷鎖を伝播させていく。

「ぐ……ま、まだですっ……!」
 このままでは何もできないまま全滅しかねないと焦った分身達は、雷鎖が伝播してくる前にと個別に反撃を仕掛ける。放たれるのは毒を帯びた【チョコレート・ローズ】の花。既に数的有利は崩壊しているに等しい状態だが、単発の威力とて侮れはしない。
「……まあ抵抗くらいはするよね……」
 メンカルはすかさず浄化復元術式【ハラエド】と術式組紐【アリアドネ】を同時使用。布状に編み上げた紐に浄化の属性を付与し、猛毒のチョコレート薔薇を防ぐ盾とする。

「……やっぱり桜じゃなくて薔薇だよね……桜花と言うだけの何かが他にあるのかな……」
 布の盾に突き刺さったチョコの造花を見て、不思議そうに首を傾げるメンカル。本拠地である『桜花島』と本体であるメロディア・グリードを見つけ出せば、この疑問にも何かしらの答えは出るだろうか。
「……機会があれば本人に聞いてみるかな……」
 ともあれ今はこの海域を抜けるのが優先だと、灰髪の魔女はさらなる術式を紡ぎ上げ。
 海面に張り巡らされた雷の鎖は、スイート・メロディアの群れを順調に殲滅していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェルト・ユメノアール
圧倒的に多勢に無勢だね、でも、どんな状況でもひっくり返してみせる!
だってボクはエンターテイナーなんだから!

先手必勝!『トリックスターを複数投擲』し、怯んだ敵を一閃
まずは確実に1体の敵を倒す!
そしてこの瞬間、ボクは手札からUCを発動!

稀代の奇術師よ!その技巧にて想いを集め、闇を打ち払う光に変えよ!
カモン!【SPソウルジャグラー】!
さらに、ソウルジャグラーの効果発動!
敵ユニットを撃破した時、その魂を吸収して戦闘力がアップする!
ソウルエナジーチャージ!
敵の反撃を『ワンダースモーク』を使うことで攪乱、回避しながら
多数の光弾をジャグリングのように操り遠くの敵に投擲、近くの敵は拡散エネルギー波で殲滅する!



「圧倒的に多勢に無勢だね、でも、どんな状況でもひっくり返してみせる!」
 水平線まで続くチョコレートの海に、数え切れないほどの敵集団。七大海嘯『桜花』の凄まじい力を実感させるような光景を目の当たりにしながらも、フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)の表情に怯懦の色はない。
「だってボクはエンターテイナーなんだから!」
 観客が多ければ多いほど舞台は盛り上がるというもの。逆境もまた道化師としての腕の見せ所だとばかりに、彼女はダガーを握りしめて敵に向かっていく。幾百を数える敵軍に単騎で挑まんとする少女の運命やいかに――?

「先手必勝!」
 フェルトはまず投擲用ダガー「トリックスター」を複数取り出し、敵集団に投げ放つ。
 曲芸で鍛えたその投擲術は確かなもので、牽制としての効果は十分。その隙に彼女は距離を詰めると、怯んだ敵を一閃。
「きゃぁっ!!」
 お菓子でできたスイート・メロディアの肉体は非常に脆く、その一撃で簡単に倒れる。
 だが1体を倒したところで敵はまだ何百人と控えているのだ。このままだと多勢に無勢なのは明らか――だがその時、フェルトは一枚のカードを手元に取り出す。

「この瞬間、ボクは手札からユーベルコードを発動!」
 腕に装着した「ソリッドディスク」にカードをセットする事で、封じられた魔物や魔法の力を開放するのがフェルトのユーベルコード。今回、彼女がこの状況を打開する切り札として選んだのは、闇・魔タイプの4つ星ユニットカード。
「稀代の奇術師よ!その技巧にて想いを集め、闇を打ち払う光に変えよ! カモン! 【SPソウルジャグラー】!」
 呼びかけに応え戦場に降り立つのは、道化風の奇抜な衣装をまとった奇術師の魔物。
 彼は口元にスマイルを浮かべながら、周囲に浮かぶ鬼火を器用にジャグリングする。

「「1人増えたところで、この数に対抗できるとでも……」」
「さらに、ソウルジャグラーの効果発動! 敵ユニットを撃破した時、その魂を吸収して戦闘力がアップする!」
 嘲るような敵の言葉を遮り、フェルトはまだターンは終わっていないとばかりに叫ぶ。
 この効果を発動させるために、彼女はまず確実に1体の敵を撃破する事に拘ったのだ。
 彼女が倒したスイート・メロディアの攻撃力はソウルジャグラーの攻撃力に加算され、奇術師は死者の魂をその身にまとう。
「ソウルエナジーチャージ!」
 パワーアップを果たしたソウルジャグラーは手から虹に似た拡散エネルギー派を放ち、近くにいた敵をまとめてなぎ払う。その威力はただでさえ脆いスイート・メロディアを跡形もなく蒸発させるほどで、範囲外にいた者も予想を超えるその破壊力に目を丸くした。

「「なっ……よくも!」」
 一瞬の動揺から立ち直ったメロディア達は、これ以上あの奇術師に攻撃させるのは危険だと反撃に打って出る。だがそれよりも一手早くフェルトが「ワンダースモーク」で煙幕を張り、敵を撹乱する。
「まだボクらのショータイムは終わっていないよ!」
 舞台を演出する色とりどりの煙の中から、奇術師が多数の光弾をジャグリングのように投げつける。敵ユニットを倒せば倒すほど<魂魄吸収>の効果で彼の戦闘力はアップし、身にまとう魂の数も増えていく。最初の攻防さえ乗り切れば、あとはもう彼の独擅場だ。

「「きゃああぁぁぁぁぁぁっ!!?」」
 数え切れないほどの光弾の投擲攻撃に晒され、悲鳴を上げるスイート・メロディア達。
 離れれば投擲、近づけばエネルギー波。今やソウルジャグラーの戦闘力は完全に彼女らを上回っており、並み居る敵集団を一騎当千の働きで殲滅していく。
「これぞエンターテイメントだよね!」
 逆境からの大逆転、少数による多勢の圧倒。胸がすくような戦いの舞台を演出してみせたフェルトは、満足そうに笑いながら奇術師と共にダガーをジャグリングするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
食べ放題!
……なんて、言ってもいられないでしょうか?
とにかく戦わないと、ですね

光を噴いて【推力移動】水上を走るように低く飛んで飛んで
【生命力吸収】する「聖なる光」を両手から【レーザー射撃】
光剣のように振り回し【なぎ払い】光が触れたところ吸収消滅させて【切断】してく
毒チョコ喰らうのは【覚悟】
【激痛耐性、継戦能力】苦しくても痛くても、死なないから平気と気にしない
毒は「聖なる光」が【浄化】していくし
【念動力】で動き補助するから止まらない
光が喰らう
『いつか壊れるその日まで』再生し、喰らい疲労も回復して

一斉攻撃も、本体(魂)無事だから死なない
再生
攻撃吸収したかのように、強くなって
【範囲攻撃】光が、喰らう



「食べ放題! ……なんて、言ってもいられないでしょうか?」
 チョコレートの海にお菓子の敵。字面だけならメルヘンで美味しそうな状況に、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は多少期待を抱くも、すぐに気を引き締める。
 七大海嘯が作り出した強大な分身体『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』。何百何千という大軍を前にして油断すれば、食べる前に"呑まれる"のはこちらの方だ。
「とにかく戦わないと、ですね」
 少年は体内から聖なる光を噴き出し、その推力を利用して水上を走るように低く飛ぶ。
 彼が放つ光には二種類ある。ひとつは傷を再生する光。もうひとつは生命力を奪う光。後者を両手から前方に向けて放てば、それは敵を射抜く二閃のレーザーとなる。

「道を開けて、ください」
 レーザーを浴びせられたスイート・メロディア達は、今に生る、在る為の力を奪われ、光に溶けるように消えていく。耐久力の低い彼女達なら生命力が尽きるのも一瞬だろう。
 ナイはそのまま両手を横に動かし、レーザーを長大な光の剣のように振り回す。二本の光の線が薙いだ後には、上半身と下半身で真っ二つに切断された骸の群れが出来上がる。
「「これは……っ?!」」
 あの光が触れた者は吸収消滅すると、敵もそれで理解しただろう。これ以上暴れられる前にと慌てて【チョコレート・ローズ】を発動し、融解体に変身して反撃の構えを取る。

「「生命を喰らう光……ならばこれも食べてみなさい!」」
 放たれるのは毒を帯びた薔薇の花型チョコレート。一つ一つは美しい精巧な造花でも、何百何千とあれば死の花吹雪となる。自分に向けて一斉に襲い掛かるその毒チョコから、ナイは避けようともしなかった。
「私は、死なない。私は、死ねない」
 チョコに砕かれようと、毒に侵されようと、ヤドリガミである彼にとってヒトの肉体は仮りそめに過ぎない。行方の知れぬ本体が【いつか壊れるその日まで】、何度でも再生して復活する。そのたびに彼の全身を覆う聖なる光の輝きは、強さと激しさを増していく。

「「な……確かにその身は打ち砕いたはず……!」」
 スイート・メロディア達が驚愕するなか、ナイは毒チョコの薔薇を光で切り裂いて戦闘を継続する。敵の攻撃を喰らうのは最初から覚悟のうえ、聖なる光で直せば全て元通り。
(苦しくても痛くても、死なないから平気)
 毒を光で浄化し、砕けた身体が再生するまでの動きは念動力で補助し。どれほど苛烈な攻撃を受けても彼は止まらず戦い続ける。その戦闘力は傷を負うたびに増していき、放つ光は視界にいる全ての敵を喰らう。

「「まさか貴方も無限再生能力を……いえ、これは違う……?!」」
 似て非なるカラクリとはいえ、自身と同じように再生を強みとする猟兵と出会った事はメロディアにとって誤算だったのだろう。攻撃を吸収したかのように強くなっていくナイを止められず、彼女の分身達は次々と光に消えていく。
「さようなら、です」
 生命を喰らうことで疲労も回復した少年は、目も眩むほどの輝きを纏いながら淡々と。
 この海域から敵軍がいなくなるその時まで、休みなく聖なる光を放ち続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
数と力も厄介だけど、海の上なのも厄介ね…

【ブラッディ・フォール】で「群竜大陸護る柱、それを護るは伝説の魔物達」の「アークデーモン」の力を使用(悪魔の角と翼、尻尾が生えた姿)。

敵が出てくるチョコレートの海に先制で【全力魔法、高速詠唱、限界突破】の【妖星招来】を発動。
チョコレートの海ごと可能な限り吹き飛ばし、それでも尚現れる敵に対して、【攻性魔法・多重発動】で炎や爆裂、凍結等大量の多属性攻撃魔法を放ち、こちらも手数で圧倒。
反撃には【念動力】の防御壁を張り、【多重詠唱】で同時に【妖星招来】の再発動も進め、詠唱完了次第、逐次【妖星招来】を叩き込んで行くわ!

シュテル、一部制御を任せるわ。サポートお願いね



「数と力も厄介だけど、海の上なのも厄介ね……」
 甘ったるい匂いに満ちたチョコレートの海で、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は小さくため息を吐く。陸地での戦いと比べて海戦には様々な制約がかかる。敵だけがその制約を無視して自由に海上を動けるとなれば尚更面倒な事だ。
「ここはあの悪魔の力を借りることにしましょうか」
 彼女は【ブラッディ・フォール】を発動し、かつてアックス&ウィザーズで打ち倒した「アークデーモン」の力を力を身に宿す。悪魔の角と尾、そして翼を得た吸血姫はひらりと軽やかに空に舞い上がり、チョコレートの海全体を見下ろせる高度につく。

「「ここは通しませ――……」」
 猟兵達の航海を阻むために、新たな『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』が海中から湧いてきたその瞬間、フレミアは先手を取って呪文を唱え【妖星招来】を発動。宙に描かれた巨大な魔法陣から、これまた巨大な隕石がチョコレートの海に飛来する。
「まとめて吹き飛ばしてあげるわ!」
 直撃を取れなくても問題ない。海に落下した隕石はその質量で海底を抉るほどの大規模な破壊を引き起こし、衝撃の余波で大津波が発生する。お菓子で出来た脆いメロディア達には、これだけでも十分過ぎるほどの威力があった。

「「なぁっ……きゃああぁぁぁぁぁぁぁっ?!!!」」
 チョコレートの海ごと吹き飛ばすような大破壊に巻き込まれ、粉々に砕け散るスイート・メロディア達。今の一撃だけで軽く数百体の分身が散っただろうか。それでも尚海の中からは新たな分身が続々と現れ、失った戦力を補充しようとする。
「シュテル、一部制御を任せるわ。サポートお願いね」
『畏まりました。どうぞ存分にお力を奮って下さいませ』
 この無尽蔵の敵群に対して、フレミアは知能ある真紅の魔杖「クリムゾン・シュテル」と共に【攻性魔法・多重発動】を仕掛ける。詠唱も動作も一切無しに、先ほどの大魔法陣に比べれば幾分か小さい魔法陣が無数に出現し――その中から炎や爆裂、凍結等の大量の多属性攻撃魔法が放たれ、スイート・メロディアの大軍に襲い掛かった。

「向こうが数で攻めてくるなら、こちらも手数で圧倒よ」
 毎秒100発近いペースで発動する攻性魔法のラッシュは、魔杖シュテルの補助を受けることで威力と精度を増す。主の戦闘に合わせて適切な変形とサポートを行う機構を持ったこの杖は、現在は完全な魔術戦に特化したフォルムで主の詠唱の一部を代行している。
「「くっ……この私達が、何もできないなんて……!?」」
 反撃を仕掛ける暇もなく、出現した傍から破壊されるスイート・メロディア。幸運にも被弾を免れた一部の敵が【チョコレート・ローズ】を放つも、そのほとんどは攻撃魔法の嵐で撃ち落とされるか、フレミアが張った念動力の防御壁によって阻まれる。

『【妖星招来】、再詠唱完了しました』
「良くやったわシュテル。決めるわよ♪」
 魔王のごとく敵勢を圧倒するフレミアの耳元で、クールな声で魔杖が囁く。シュテルは主の戦闘をサポートしながら、並行して別のユーベルコードの再発動も進めていたのだ。
 フレミアがにこりと微笑みながら杖を海面に向けると、再び天空より隕石が飛来する。
「「ッ――……!!!!」」
 今度は断末魔を上げる間もなく、チョコレートと共に蒸発するスイート・メロディア。
 天災と見紛うほどの破壊には、無限の再生と増殖も追いつかず。海域上にいる敵の軍勢は明らかにその数を減らしつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エィミー・ロストリンク
【POW】
攻撃がとっても強くて、防御が脆いなんて不思議だねー。
でも守りに回るわけにもいかない! だから攻めるよー!

キャバリア・アカハガネに搭乗
両腕のガトリングキャノンで弾幕を張りつつ、UC「CN:23の雷雲の無限竜を制し者の権能」を発動

メイスンお義姉ちゃん、力を貸してねー!

現れたクローンドラゴンの雷ブレスでメロディアの数を減らしつつ、雷雲の海で足場を作って、場所を変えながら攻撃を続ける
接近されたら両腕のバーニングナックルの高熱攻撃でチョコを溶かして対応する
甘い香りに名残惜しそうにするが、それでも今は殲滅を優先して、アカハガネと動かす

でも戦いの後だったらチョコレート再利用できないかなー?



「攻撃がとっても強くて、防御が脆いなんて不思議だねー」
 あまりにも両極端な敵のスペックを聞いて、首を傾げるのはエィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)。耐久面に関してはスイーツのように脆い『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』だが、攻撃面においては全員が七大海嘯と同格という。
「でも守りに回るわけにもいかない! だから攻めるよー!」
 スーパーロボット型メガリス「アカハガネ」に搭乗して、彼女はチョコレートの海を勇ましく前進する。たとえ何千の敵が立ちはだかろうとも、吶喊・粉砕・撃滅あるのみだ。

「くらえー!」
 敵軍が射程距離に入ると、「アカハガネ」の両腕のガトリングキャノンが弾幕を張る。
 メガリスを動力・武装化した重装キャバリアの火力は相応に高く、射線上のスイート・メロディアをビスケットのように撃ち砕く。
「「あの鋼鉄の巨人からメガリスの力を感じます……興味深いですね」」
 しかし大量のメロディア達は仲間の屍を踏み越え、数にものを言わせて近付いてくる。
 メガリスの産物に興味を示すのはコンキスタドールとしての性だろうか。あの数に寄ってたかって攻撃されたら、いかに「アカハガネ」の装甲でも保つかは分からない。

「メイスンお義姉ちゃん、力を貸してねー!」
 しかしエィミーもまだ全力を出し切ってはいない。【CN:23の雷雲の無限竜を制し者の権能】を発動すると、蒼天がにわかにかき曇り、雷雲と共に巨大な蛇のようなドラゴンの群れが姿を現す。
「「あれは……帝竜?!」」
 それを見たスイート・メロディアが驚きの声を上げる。まさしくそれはエィミーの義姉メイスンの科学力により創造された『帝竜ワーム』の因子を持ったクローンドラゴン。体長はオジリナルの数百分の一程度だが、それでもヒトと比較すれば巨大なサイズを誇る。
 彼らはチョコレートの海上に雷雲の海を広げながら、口から一斉に雷のブレスを吐く。耳をつんざくような雷鳴が轟き、落雷の嵐に打たれた敵は木っ端微塵に吹き飛んでいく。

「アカハガネちゃん! わたし達もいくよ!」
 クローンドラゴンの群れが敵軍の数を減らしている間に、エィミーも追撃に移行する。
 質量を持った雷雲の海を足場にして、赤銅のキャバリアが戦場を駆ける。雷ブレスと共に降り注ぐ銃弾の雨は脆い敵を跡形もなく破壊し、暴力的なまでの破壊の嵐を具現する。
「「くっ……ですが、召喚者さえ倒せば!」」
 一気に劣勢に陥ったスイート・メロディア達は、エィミーの「アカハガネ」一機に狙いを絞って襲い掛かる。雷雲の海に自分達も足を踏み出せば、数十数百の犠牲のうえで何体かは接近を果たせるだろう。分身体ゆえの生命の軽さを強みにした、集団特攻だ。

「なかなか全滅しないね。でも負けないよ!」
 敵に格闘戦の距離まで接近を許せば、ガトリングに代わり両腕のバーニングナックルが唸りを上げる。真っ赤に熱した「アカハガネ」の拳が、スイート・メロディアを砕いた。
「かは……っ?!!」
 【スイート・エンブレイス】の体勢のまま高熱で溶けたメロディアの残骸から、チョコの甘い香りが漂う。それを嗅いだエィミーは少し名残惜しそうにするが、それでも機体を動かし戦闘を続行する。

(今は殲滅が優先だよね。でも戦いの後だったらチョコレート再利用できないかなー?)
 この敵軍を退けた後でなら、チョコレートの海を少しくらい持ち帰っても文句は言われないだろう。ちょっとしたお土産を楽しみにしつつ、少女は赤銅の巨人を駆るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
骸の海程度は飲み干してから出て来い

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
無限を超えて尚、無限に続く先へ届かせるは叶わぬこと
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

天楼で捕獲
対象は召喚物含む戦域のオブリビオン及びその全行動
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込める

高速詠唱を無限加速し現着後即座に展開
対象外である味方へは影響皆無故に最大規模で

内より外へは何も出来ず逆は自由な理不尽の檻だ
破壊の手段も自壊対象。存分に憤れ

出口は自身に設定
『解放』にて迷宮へ全力の魔力を注ぎ強度と自壊速度を最大化
速やかに殲滅を図る

※アドリブ歓迎



「骸の海程度は飲み干してから出て来い」
 チョコレートの海上を我が物顔に席巻する『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』達に、辛辣な言葉を浴びせるのはアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)。淡青色の光の粒子を周囲に漂わせ、それが拾う情報を元に戦況を把握しているようだ。
「この程度の物量で"無限"を名乗るとは、愚かだな」
 彼自身は外套のポケットに手を入れたまま、光の粒子が惑星のようにその周囲を廻る。
 この輝きは彼が操る『原理』の具象。限りなく万能であるが故に人の手には余る力を、名を与え概念を限定する事で漸く制御可能としたもの。その一端である顕理輝光『煌皇』が、光輝の刃となってスイート・メロディアの軍勢に襲い掛かった。

「「こんな力は私達は知りません。猟兵とはつくづく不可解な存在ですね」」
 無限に廻る十一の『原理』の輝きが、軌道上にいる敵を寸断する。それは刃であると同時にアルトリウスを守護する鎧でもあり、高速で周回し彼に接近しようとする敵を阻む。
 技術的には魔術に近いように見えるが、このような異能はメロディアが知るどの世界の魔術体系にも存在しない。未知の力故にどう対処すべきかの判断が遅れたのは、彼女らにとって致命的だった。
「無限を超えて尚、無限に続く先へ届かせるは叶わぬこと」
 アルトリウスは『煌皇』を加速させながらユーベルコードの発動に移る。行程に必要な魔力は顕理輝光『超克』を介して"世界の外"から供給させ、詠唱速度を無限加速して新たな概念(ルール)を最大規模で展開する。その発動に必要な詠唱は一言。

「惑え」

 その瞬間、アルトリウスの知覚内にいた全ての敵は、不可視の迷宮に閉じ込められた。
 物理的な構造物ではなく「迷宮に囚われた」という概念により対象を封じる【天楼】。一度捕らわれてしまったが最後、ここからの脱出は困難を極める。
「「何ですか、これは……何も見えない、なのに壁がある……?」」
 スイート・メロディア達の前には、猟兵との間を隔てる不可視の壁がある。だがそれは囚われた対象にとってしか存在しない概念の壁で、アルトリウスを含めたその他の対象の通行は一切阻害しない。虜囚という状態を概念的に再現するための論理の牢獄である。

「内より外へは何も出来ず逆は自由な理不尽の檻だ」
 この論理迷宮を脱する唯一の"出口"でもあるアルトリウスは、壁の向こう側から顕理輝光『解放』を通して全力の魔力を迷宮に注ぎ込む。目的は迷宮の強度維持と、迷宮内部に満ちる"自壊の原理"の最大化。
「「何が起こって……なぜ私達が崩れていく……?!」」
 概念的に対象を消去する原理の力が、スイート・メロディア達を高速で侵食していく。
 理解が追いつかない彼女らは【チョコレート・ローズ】を発動し、防御力を高めながら不可視の迷宮の破壊を試みるが――融解体に変身したところで自壊のペースは落ちない。そして壁に投げつけたチョコレートの薔薇も、空中ですぐさま塵となってしまう。

「破壊の手段も自壊対象。存分に憤れ」
 淡々としたアルトリウスの言葉通り、迷宮に囚われた全ての存在と事象は自壊の原理の影響を受ける。発動時に彼のユーベルコードから逃れられなかった時点で、半ば勝負は決まっていたようなものだ。
「「おのれ……おのれぇ……ッ!!!」」
 逃げ場のない迷路と止まらない自壊に怒り狂いながら、どうすることもできないスイート・メロディア。彼女達の存在が消失するまで、それから然程の時間はかからなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
(予兆で奥方の内心を盗み聞きしたような状態となってしまい、騎士として少々気まずい)

…兎に角、先ずはこの悪夢の様な御伽噺染みた海域に対処せねば

この規模では致し方ありません
UCを装着し海上を飛翔
狙いを付ける必要もありません
重力波の範囲が被らないことを重視し只管圧壊

防具改造で継戦能力を高める増設エネルギータンクは装着しても…
発射機構のクールタイム要求は如何ともし難いですね!

センサーでの情報収集で残敵位置を見切り全格納銃器での乱れ撃ちスナイパー射撃
リロード中はワイヤーアンカーに接続した大盾と剣をUCの加速性能合わせ鞭と鉄球の如く振り回し接敵される前に撃破

発射機構スタンバイ完了…騎士の時間は終わりですね



「ッ……猟兵の戦力が、よもや私の増殖を上回るとは」
「ですが、それならば尚のこと退く訳には参りません」
 予想を超える猟兵達の攻勢によって、チョコレートの海を埋め尽くしていた『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』は徐々に駆逐されつつあった。彼女達も愚鈍な木偶ではない、自身の劣勢は理解しているだろうが、それでも撤退する気配は見せない。
「あの男の、カルロスの脅威となる者は排除しなくては」
「まだ、あの男にはやって貰わねば成らぬことがあるのですから」
 竜王であった彼女を娶り姫君としたという『王笏』カルロス。メロディアが戦線に立つ理由は彼のため。それは飽くまで利害関係だと彼女は言うが、そこには複雑な感情の機微が見え隠れしていることを猟兵達は知っている。

(……予兆による未知情報の獲得も、時には良し悪しですね)
 奥方の内心を盗み聞きしたような状態となってしまい、騎士として少々気まずいものを感じるトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。あくまで向こうが利害関係だと言い張るのなら、そういうことにして触れないのがマナーだろうか。
「……兎に角、先ずはこの悪夢の様な御伽噺染みた海域に対処せねば」
 いかなる事情があろうとも、蒼海を侵略するこの襲撃を放置してはおけないのは事実。
 今だ数千を数えるスイート・メロディアの大軍に立ち向かうべく、機械仕掛けの騎士は【戦機猟兵用重力制御兵装装備型強化ユニット】を装着する。

「この規模では致し方ありません」
 頭部にレーザー照準、背部には大型スラスターと二門の大型グラビティガンを装備し、もはや騎士とは名乗りがたい重武装形態に変身したトリテレイアは、背中からジェットを噴射し海上を翔ける。搭載された重力・慣性制御機構の補助もあり、その飛行速度は外観から想像されるよりも遥かに速い。
「狙いを付ける必要もありません」
 海面を埋め尽くすほどの敵集団にレーザーを浴びせ、グラビティガンの砲身を向ける。すると照射ポイントを起点に強力な重力波が発生、周囲にいた敵を引きずり込んでいく。

「「な……きゃあぁぁぁぁぁぁっ」」
 光さえも歪める重力に押し潰され、圧壊するスイート・メロディア達。お菓子を素材に作られた彼女達に、その威力はとても耐えられるものでは無かった。トリテレイアはただ重力波の範囲が被らないことだけを重視し、上空からグラビティガンを連射だけで良い。
 交戦開始からわずか数十秒で、数百体ものメロディアが海の藻屑と消えた。だがそこで騎士の攻勢はストップし、背部グラビティガンの駆動音が停止する。
「継戦能力を高める増設エネルギータンクは装着しても……発射機構のクールタイム要求は如何ともし難いですね!」
 センサーを照準用から索敵モードに切り替える。今の連射でかなりの数を削れたのは間違いないが、それでも周辺にはまだ少なくない敵が残存している。この場合最も避けるべきは態勢を立て直される事――重力波が撃てなくとも攻撃の手を休める訳にはいかない。

「では、ここからは火と鉄の力でお相手いたしましょう」
 空中の優位を保ちつつ、トリテレイアは機体各部に格納された全ての銃器を乱れ撃つ。
 大雑把だった重力波の攻撃とは逆に正確な照準で放たれたそれは、残存するスイート・メロディアの急所を的確に射抜き、破壊する。
「「くっ……まだです、まだ……!」」
 あの重力の攻撃がまたくる前に反撃できれば勝機はあると、メロディア達は同胞の屍を盾に、銃のリロードの隙間を狙って接近を図るが――それを許すほど騎士も甘くはない。
「御婦人を相手にするには些か暴力的な武器ですが」
 携えた大盾と剣をワイヤーアンカーに接続し、鞭と鎖鉄球のように振り回す。慣性制御で加速した質量の塊をぶつけられ、メロディア達の肉体がビスケットのように砕け散った――その直後、騎士の背中で二つの砲身が駆動を再開する。

「発射機構スタンバイ完了……騎士の時間は終わりですね」
「「―――……!!!!」」
 チョコレートの海を再び席巻する重力波の嵐。吸い寄せられた水面には大波が起こり、スイート・メロディアの集団が圧潰する。その悲鳴が鳴り止んだ時、トリテレイアの眼下に漂うものは、粉々になったお菓子の破片だけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
甘ったるいの海の中には、危険物がうじゃうじゃってか
嫌だねぇ、戦争ってのは毎度毎度…バリエーション豊富でよ
隠し芸大会でもやってた方が良いんじゃない?
なんて、やるわけねえか

俺は船の上でやらせてもらう…巻き込まれないようにご注意だ
大量殲滅には良い札があるんだ…貰い物なんだけどね
座標転送、範囲設定、砲門開け
海面上にいるカスどもを、甘ったるい底に沈めてやりな!
アクティベート──『Buster Call』
潜ってる連中付近は出来るだけ狙わねえようにする

さて、殺し切れれば御の字だが…残ってるなら…そうだな
業腹だが海に飛び込んでやりすごすしかねえ
一発しのげば、後は残党狩りでどうにかなるだろ
勝つぞ、この戦い



「甘ったるいの海の中には、危険物がうじゃうじゃってか。嫌だねぇ、戦争ってのは毎度毎度……バリエーション豊富でよ」
 アリスラビリンスにでもありそうなメルヘンで悪趣味な戦場を見渡して、ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)が皮肉げに笑う。海をチョコにするなどふざけた発想だが、それを実行したのが敵の幹部格というのだからタチが悪い。
「隠し芸大会でもやってた方が良いんじゃない? なんて、やるわけねえか」
 よくもまあ連中も毎回ネタが被らないものだと、感心するやら呆れるやら。飄々とした調子で軽口を飛ばし続けていると、相手もカチンときたようで大量の敵意が返ってくる。この数をまともに相手取るには確かに危険だろう――だったら速攻で殲滅するまでだ。

「俺は船の上でやらせてもらう……巻き込まれないようにご注意だ」
 付近や海上にいる味方に予め警告を発してから、ヴィクティムは周囲にホログラフを表示する。サイボーグ化した肉体に埋め込んだ電脳デバイスを通じて、使用するプログラムを選択――チョコレートの海域とレイヤーを重ねるように、電脳空間が展開されていく。
「大量殲滅には良い札があるんだ……貰い物なんだけどね」
 彼も一目置くとある人物から贈られたプログラムを起動させると、ホログラフの表示が設定画面に変わる。殲滅する対象の指定と攻撃範囲の設定を要請する表示に、青年は必要な諸元を素早く入力していく。

「座標転送、範囲設定、砲門開け。海面上にいるカスどもを、甘ったるい底に沈めてやりな!」
 開かれた電脳空間の入り口の向こうで、膨大なエネルギーが高まっているのが分かる。
 それを見たスイート・メロディア達は慌てて阻止しようとするが、彼女らが船を攻撃できる距離まで近付くよりも、ヴィクティムのユーベルコードのほうが圧倒的に速い。
「アクティベート──『Buster Call』」
 電脳空間から射出される、何十・何百の殲滅砲火。それは戦場に真っ赤な火線を引いて指定された座標に着弾し、チョコレートの海を火の海に変える。息も詰まるような爆炎と熱風、そして衝撃波――それらはお菓子でできた脆弱な敵を破壊するには十分すぎた。

「「なあッ……?! これほどの火力を、1人でッ!!」」
 個人が携行するレベルではない、艦隊クラスの大規模攻撃に晒されたスイート・メロディア達は、驚愕を抱きながら砲火の中に消えていく。その威力もさることながら、優秀なハッカーであるヴィクティムの演算の下設定された攻撃は照準も正確で、これだけの規模でも味方には誰一人被害を及ぼしていない。

「さて、殺し切れれば御の字だが……残ってるなら……そうだな」
 【Program:『Buster Call』】の終了後、ヴィクティムは砲火に烟る戦場を見渡す。
 今の攻撃だけで千か二千は敵を削れた手応えはある。だがそれでも討ち漏らしがあったか、新しく湧いてくる連中がいた場合は――。
「業腹だが海に飛び込んでやりすごすしかねえ」
 前方にまだ動いているドレスの女の影を見た瞬間、彼は躊躇せず甲板から飛び降りた。
 どぶん、と通常の海水よりも粘ついたチョコレートの海が彼を出迎える。ひどく不快なうえ後で洗濯が大変だろうが、背に腹は代えられないというやつだ。

「「くっ……逃げられ、ましたか……」」
 砲火から辛くも生き残ったスイート・メロディアは即座の反撃を考えていたのだろう。だがそれはヴィクティムが海中に退避したことで不可能となった。水面下にいる敵を発見し攻撃する技術やユーベルコードを彼女らは持ち合わせていない。
(一発しのげば、後は残党狩りでどうにかなるだろ)
 そしてヴィクティムもただ逃げたつもりはない。まだ態勢の整っていない残党共に水面下から近付き、足元や背後からナイフで一閃。ケーキを切るような軽い手応えとともに、女の首がストンと落ちる。

「勝つぞ、この戦い」
 チョコレートの付いた刃を拭い、確信をもってヴィクティムは言う。辺りを見渡しても残っている敵の数は当初よりも遥かに少なく、増殖のペースも明らかに落ちてきている。
 失った数を補う余裕も無いほど、スイート・メロディアは確実に追い詰められていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

見渡す限りのチョコレートの海ね…
フッ、流石にミルクとナッツは浮かんでないか

UCを発動
船上からジャンプで跳び、敵集団に強力な飛び蹴りで切り込む
巨大戦艦すらも轟沈させる威力の蹴りだ
目標地点だけでなく、周囲の分身も一気に消し飛ぶだろう
更にジャンプを繰り返し、船や敵を足場にしながら敵を消し飛ばしていく

フン、バレンタインと言えども気持ちだけで結構だ
その抱擁は遠慮しておこう

敵の残党が抱き着こうとこちらに来たら、早業で蹴りを繰り出し、カウンターになる形で敵を纏めて吹き飛ばす
死角にいる敵の攻撃はデゼス・ポアの刃でなぎ払いで対処する

…甘いものは嫌いではないが、なかなかに胸やけのする光景だな…


ネフィリア・キングプロテア
(アドリブ・絡み歓迎)
「こんなにチョコレートがいっぱい…す、凄いですね…」
【指定UC】で口から炎を吐いてチョコレートや残滓たちを溶かして戦います
「ち、チョコレートならこれが一番…!やります!」
とにかく炎でできるだけ数を減らします
必要なら【水上歩行】で海の上を歩きます



「こんなにチョコレートがいっぱい……す、凄いですね……」
 目の前に広がるチョコレートの海を見て、ネフィリア・キングプロテア(巨人のアリスナイト・f27212)は感嘆の声をもらす。メルヘンチックでありながら不気味な光景と、そこに蔓延る敵の大軍に少し緊張しているのか、瞳に宿る蒼白い炎がゆらゆらと揺れる。
「見渡す限りのチョコレートの海ね……フッ、流石にミルクとナッツは浮かんでないか」
 そんな彼女とは対照的に、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は同じ光景を前にしても余裕のある笑みでジョークを飛ばす。傭兵として多くの戦場を駆けてきた彼女は、戦いにおいて平常心を保つことの重要さをよく理解していた。

「では、行くか」
「は、はいっ」
 甲板でとんとブーツのつま先を鳴らすキリカに、すうと大きく深呼吸するネフィリア。
 先陣を切ったのはキリカだった。運動能力を強化する「アンファントリア・ブーツ」の効果で脚力を増し、全力のジャンプで船上から跳ぶ。その飛距離は跳躍というよりもはや飛翔に近く、まだ十分にあった敵集団との距離を一気に詰める。
「吹き飛べ」
「「な―――ッ!?」」
 ひとっ跳びで敵陣に切り込んだ彼女が放つのは【サバット】の飛び蹴り。ブーツの効果で最大強化された脚力に本人の技量が重なれば、その威力は巨大戦艦すらも轟沈させる。
 着弾地点にいたスイート・メロディアは跡形もなく吹き飛び、艦砲射撃のような巨大な水柱が立ち上る。その余波を食らっただけで、周囲にいる分身も一気に消し飛んでいく。

「ち、チョコレートならこれが一番……! やります!」
 キリカに続いてネフィリアも、口から超高温の「煉獄の炎」を吐いて敵軍を攻撃する。
 蒼白く燃え上がる【業炎の息吹】は、チョコレートを溶かすには十分な火力。たちまち戦場は火の海と化し、巻き込まれたスイート・メロディア達の身体が溶けていく。
「「あ、熱い……っ! み、水を……!」」
 溶けやすいスイーツでできたその肉体に"耐熱性"というものは無いらしい。消火しようにも足元を満たすのはチョコレート。自分で作った戦場に足を引っ張られ、彼女らは悲鳴を上げながら海に溶けて混ざっていく。

「「よくもやってくれましたね……!」」
 手酷い損害を受けたスイート・メロディア達は怒りの形相を浮かべ、生き残った分身を集めて反撃に転じる。耐久面においてはご覧の通りではあるものの、彼女らの攻撃は本体の七大海嘯にも引けを取らない。至近距離からの強烈な【スイート・エンブレイス】を受けて無事でいられる猟兵は稀有であろう。
「フン、バレンタインと言えども気持ちだけで結構だ。その抱擁は遠慮しておこう」
 甘い香りを漂わせた美女達の抱擁に、キリカはカウンターの蹴りを繰り出す。ピンと伸びた脚が三日月のような回し蹴りの軌跡を描き、近付いてきた敵を纏めて吹き飛ばした。

「デゼス・ポア、死角は頼むぞ」
『ヒヒヒヒヒヒヒッ』
 倒した敵を足場にして跳びながら、キリカは呪いの人形「デゼス・ポア」に呼びかける。可憐な外見に錆びた刃を生やしたその人形は、不気味な笑い声を上げながら彼女の周囲をひとりでに飛びまわり、近付いてくる敵をなぎ払う。
「……甘いものは嫌いではないが、なかなかに胸やけのする光景だな……」
 チョコレートの海に浮かぶスイートの破片を見下ろすうちに、なんとも言えない感情が湧き上がってくるが。その気持ちは胸の中にしまい直して、敵の撃破に意識を集中する。
 跳躍による移動と【サバット】による攻撃の繰り返し。戦場を兎のように跳ね回る彼女の下で、消し飛ばされたスイート・メロディアの残骸が増えていく。

「「こ、このままでは全滅です。なんとか態勢を――」」
「が、がおー! そこをどいてください!」
 焦燥にかられるスイート・メロディアに追い撃ちをかけるのはネフィリア。4メートルを超える巨人の少女がのしのしと水上を歩きながら【業炎の息吹】を放つさまは、まるで怪獣映画のような迫力があり、可憐な容姿や服装と相まってのギャップが大きい。
「こ、これ以上悪いことはさせませんから! えーいっ!」
「フッ、甘いものを粗末にした報いだとでも思ってもらおう」
 近付いてきた敵は「剛華斧ドジスン」で両断し、気弱な性根を隠すように威勢を張り。巨人の猛攻にメロディアが怯めば、駆けつけてきたキリカが一蹴りで残党を消し飛ばす。
 戦場傭兵と巨人の少女の連携は付け入る隙を与えず、優勢のまま敵を駆逐していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

春乃・結希
店長(f24111)と

集団面接では、面接官にそれぞれ役割があるって聞いたことあるし
店長が圧迫するなら、私は優しくして油断させる役します
あ、withは無言の圧力をかける役ねっ

まぁまぁ、そこまで言わなくても良いやないですか
人…オブリビオンそれぞれの生き方があるんですから
そのドレスと髪型も今日のために用意してきたんですか?とても可愛いですよ
か、勝手に立たないでください!何か質問がある時は挙手でお願いしますっ
with『……』(敵の接近を封じるプレッシャー)

あ、お疲れ様でした!良い結果を期待しておいてくださいねっ
…はぁ、だる。帰ろ帰ろ…
ついでな感じで焔飛ばしてチョコの海ごと熱々にする攻撃しつつ帰ります


カビパン・カピパン
結希面接官(f24164)と一緒に圧迫面接。
貴女達はすでに巻き込まれているのよ、就活戦争の渦に!
スイート・メロディア相手に集団面接開始。

「今まで職歴なしの無職ですか。この履歴の空白をご説明ください。今まで就職活動はされなかったのですが?他の就活での結果は?なんかいつも増殖して群れているようですが、リーダーシップを発揮した体験を聞かせてください。また、雇うことで当店にどんなメリットがありますか?

ハァーもう結構です。以上で集団面接を終わります。
結果は近日中に連絡しますので本日はどうもお疲れ様でした」

あのカレー屋からすらも不採用を喰らったスイート・メロディア達の精神的ダメージは計り知れなかった。



「「あれほど用意した私達がもう、ここまで減らされてしまうとは……」」
 想定をはるかに上回る損害の規模に『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』達は動揺を隠せずにいた。猟兵の力を侮っていたわけでは無いが、増殖した何千人もの分身のほとんどを駆逐されるとは、彼女達も思っていなかったようだ。
「「ですが、まだ。本体の無限再生能力がある限り、私達は……」」
「あらあら、そんな呑気なことを言ってていいのかしら?」
「そうですよ。ちょっと気が抜けてるんじゃないですか?」
「「!?」」
 態勢を立て直そうとする分身達にふいにかけられた声。それはなんか威圧的な雰囲気をまとう軍服姿の女と、優しそうな笑顔で大剣を背負う娘。彼女達は「悩み聞くカレー屋」を運営する店長並びにバイトのカビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)と春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)である。

「「呑気なことを、とは、どういうことですか……?」」
 ふっと現れた二人の猟兵に、スイート・メロディア達は警戒しながら身構える。彼女らの立場からすれば当然の反応だろう――だがカビパンが次に発した言葉は、警戒も理解もまったく及ばないものだった。
「貴女達はすでに巻き込まれているのよ、就活戦争の渦に!」
「「はあ????」」
 びしっ、と居丈高に指を突きつけられても、いや何のことだかさっぱり分からない。
 しかし彼女達の理解が追いつかずとも【黒柳カビパンの部屋】は既に発動している。
 ここは面接会場で、スイート・メロディアは審査対象。そしてカビパンと結希は新たなカレー屋の従業員を引きずり込――もとい審査するための面接官という配役である。

「はい、集団面接を希望された皆さんはこちらへどうぞー」
 船上のスペースを借りた面接会場に、結希面接官がスイート・メロディアを案内する。
 普通なら敵を船に上げるなど絶対やっちゃいけない行為である。しかしカビパン面接官のトーク力に乗せられたメロディア達は何がなにやら分からないまま席についてしまう。
「「なんなのですかこれは……いや本当になんなんですか???」」
「はいそこ、私語は謹んで下さい。こちらの質問にだけ答えるように」
 それまでのシリアス感はどこへやら、完全にギャグ時空に巻き込まれてしまった彼女達をこれから襲うのは、ある意味戦闘よりももっと恐ろしい、理不尽な集団面接であった。

「今まで職歴なしの無職ですか。この履歴の空白をご説明ください。今まで就職活動はされなかったのですが?」
 面接開始の口火を切るのはカビパン面接官。一体どうやって用意したのか、スイート・メロディアの履歴書をぺしぺしと叩きながら、厳しい表情と威圧的な態度で問いかける。
「他の就活での結果は? なんかいつも増殖して群れているようですが、リーダーシップを発揮した体験を聞かせてください。また、雇うことで当店にどんなメリットがありますか?」
「「え、ええと……」」
 そんなことを言われてもメロティア達は答えられない。だって分身だし、お姫様だし。
 就活なんてしなくても今まで考えたことすらなく、リーダーになる必要性もなかった。だがそれを正直に答えようにも、カビパンは反論を許さない強烈なプレッシャーを放っている。ただ面を向かい合わせているだけで、心が折れてしまいそうだ。

「まぁまぁ、そこまで言わなくても良いやないですか。人……オブリビオンそれぞれの生き方があるんですから」
 と、そこに横から助け舟を出したのは結希面接官。集団面接では面接官にそれぞれ役割があると聞いたことのあった彼女は、圧迫するカビパンと対になるよう、優しくして油断させる役を引き受けたのだ。
「そのドレスと髪型も今日のために用意してきたんですか? とても可愛いですよ」
「「あ、ええ、まあ……」」
 そもそも面接の予定などメロディア達は知らなかったのだが、ここは話に乗っておくべきだと考えて曖昧に頷く。もうひとりの女(カビパン)と比べればまだ会話の成り立ちそうな相手が来てくれたと、ほっとした様子で彼女達が視線を外すと――。

『…………』

 面接会場の端っこに、なんか、剣が。人の身の丈と同じかそれ以上はありそうな黒い剣が、甲板にぶっ刺さる形で突き立っている。なんでこんな物があるのかは分からないが、近付きがたいプレッシャーを感じる。
「「あ、あのっ……!」」
「か、勝手に立たないでください! 何か質問がある時は挙手でお願いしますっ」
 思わず席を立とうとしたスイート・メロディア達を、慌てて結希が制する。その大剣は彼女の相棒にして最愛の恋人である『with』。今回の面接では結希の提案により、第三の面接官の役を割り振られている。

(あ、withは無言の圧力をかける役ねっ)
 という、割と無茶振りっぽい結希のお願いにも律儀に威圧感を放ち続ける『with』。
 メロディア達は再び席に座ったものの、まだ剣のほうをチラチラと見ている。気になるのだが近付きたくないという、ある意味針のむしろのような状態である。
「話聞いていますか? そんな態度で社会人舐めているんですか?」
 注意散漫な就活生(仮)を容赦なく叱責するカビパン面接官。結希面接官が表向き優しかったぶん、こちらの厳しさがより際立ってくる。それこそがタイプの違う面接官がいる理由なわけだが――もう翻弄されっぱなしの分身達にそこまで頭を働かせる余裕はない。

 ――30分後。

「ハァーもう結構です。以上で集団面接を終わります。結果は近日中に連絡しますので本日はどうもお疲れ様でした」
 1分が1時間にも感じられるような重苦しい時間は、カビパンのため息と共に終わりを迎えた。その瞬間、メロディア達の中から安堵の息が漏れたのも無理からぬことだろう。
「あ、お疲れ様でした! 良い結果を期待しておいてくださいねっ」
 結希面接官のフォローも果たして彼女達には聞こえているのかどうか。結果なんて聞かなくても不採用だと分かりきっている。それ自体は屈辱だし精神的ダメージは計り知れないものがあるが、それでも今はこの地獄の面接から開放される喜びのほうが勝った。
「「もう二度とこんな面接来ません……」」
 すごすごと面接会場を後にし、船を降りていくスイート・メロディア達。何をしに来たのか忘れているような気がするが、もうどうでもいいから今はさっさと帰りたい――。

「……はぁ、だる。帰ろ帰ろ……」
 ――そんなことを考えていたのは結希も同じだったらしい。優しい面接官の顔で愛想とフォローを振りまくのに疲れた彼女は、無言の圧力を止めた『with』をひょいと担ぎ直し、ついでな感じで【拒絶する焔】を去っていくスイート・メロディア達に飛ばす。
「「あっつううぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!?!」」
 哀れな分身は絶望を拒絶する緋色の焔に灼かれ、チョコの海ごと熱々になって死んだ。
 結希はそれを見届けることすらなく、会場の片付けをしていたカビパンに声をかける。
「帰りましょうか」
「そうですね」
 ――かくして本日の「悩み聞くカレー屋」集団面接は、採用者ゼロの結果に終わった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘンリエッタ・モリアーティ
【TIME】
チョコレートは洗濯の時落とすの大変なのに
良くもまぁ――困っちゃう
踏み込みもできないし、ってことで
【雷王竜行進】
電磁波を使って浮遊しましょう
悪いけど汚せるほど安い服は着てないから

さてさて――お嬢さん型
触るのは許さないわ。ごめんなさいね
心に決めた人がいるしそういう
甘ったるいのは胸焼けしてしまうの
素敵な紳士がたにお相手を譲りましょう
ということで拳を突き出したらエスコート
どうぞ会場はあちらですよっと
どんどん怪力伴ったパンチの風圧で押し出していきます
クロトさんと匡が狙いやすいようにね
彼らの射程圏内がダンスホール

さ、甘い海で
――素敵なダンスパーティーにしましょう
魔法がとけるまで、なんてね


鳴宮・匡
【TIME】


……甘いもの嫌いじゃなくても
こんな吐き気がしそうに甘いやつは願い下げなんだけど
紳士らしいのは兄さんに任せるよ

できれば海域全体を見渡せる位置を取りたい
マストの上を借りるとかでもいいか
視野を広く取り、海域上の敵群を全て視界内に捉えておく

一撃で壊れるくらいには脆いんだろ
【影装の牙】は攻撃回数を重視
近づかせるつもりはないから、防御(装甲)は薄くていい

相手がこちらを射程圏内に捉える前に撃ち殺していく
兄さんの死角にいる敵を重点的に撃破しつつ
そちらの心配がなければ数減らしを優先
押し切られちゃ話にならないしな
ハティが押し戻した敵も、体勢が崩れていて殺りやすいか

この眼がある限り、一兵たりと逃さないよ


クロト・ラトキエ
【TIME】

こんな時期に甘ぁい香り?
されど催事には疎いもので。
派手に、散ってくださいね?

――弐式、起動。

視認でのヘンリエッタの動き、狙う座標、
敵の速度や軌道計測の他。
己の得物の害意察知も交え、得物より位置、距離、数等を測り。
寄らば黒剣、遠けりゃ鋼糸、反応に力を加え、精度調整。
範囲攻撃も交え、一気に巻き断ち、絡げ斬り。

尚、攻撃からの即移動を基本とし。
移動しつつも糸を張り、追走の足を切り。
甲板にての対空対応、接近物への対応のみならず、
船のマスト等へも糸掛け足場に、陸空己の領域に。
30cm…
左様な距離、与えませんとも。
敵意断つ斬撃の領域だけじゃない。
如何な障害をも撃ち抜く匡の眼が、共に在るのですから



「チョコレートは洗濯の時落とすの大変なのに、良くもまぁ――困っちゃう」
 一面に広がるチョコレートの海を目にして、ぼやいたのはヘンリエッタ・モリアーティ(悪形・f07026)。確かにここではもし波しぶきひとつかかるだけでも、後のことが大変かもしれない――言い換えればそれは"後のこと"を気にする余裕があるという事だが。
「……甘いもの嫌いじゃなくても、こんな吐き気がしそうに甘いやつは願い下げなんだけど」
 一方で彼女の頭上、船のマストに昇って海域全体を見渡しながら眉をひそめるのは鳴宮・匡(凪の海・f01612)。彼の視界にはこの海域上にいる敵群の様子が全て捉えられている。スイーツでできた『桜花』の分身、その数は残すところあと数百体程度。
「紳士らしいのは兄さんに任せるよ」
「さて。こんな時期に甘ぁい香り?」
 匡に話を振られた兄貴分のクロト・ラトキエ(TTX・f00472)は、なぜまたチョコなのかと首を傾げていた。催事には疎いらしい彼にはバレンタインに向けた巷の賑わいも縁遠いものなのか。柔和な笑みを浮かべつつも、眼光は獣のように鋭く敵を見据えている。

「では参りましょうか」
「ああ」
「ええ」
 黒柄の長剣「Neu Mond」をすらりと抜いたクロトに合わせ、匡は「黒き海の深影」を裡から漂わせ、ヘンリエッタは【雷王竜行進】を発動。雷光をその身に纏った多重人格者の女が、まずは先陣を切ってチョコレートの海に踏み出す。
「悪いけど汚せるほど安い服は着てないから」
 踏み込みのできないチョコの海と、肉弾戦主体の彼女の戦法はあまり相性がよくない。なので、纏う雷を応用した電磁波で宙に浮く。海面スレスレを滑るように飛んで、一直線に『増殖する私の残滓(スイート・メロディア)』の元へ。

「さてさて――お嬢さん方。触るのは許さないわ。ごめんなさいね」
 格闘の間合いからはまだ少し遠い距離から、ヘンリエッタは拳を突き出した。抱擁を仕掛けようと近付いてきた集団を押し返すように――竜の如き怪力を伴った拳打は、たとえ届かずとも颶風を巻き起こす。
「心に決めた人がいるし、そういう甘ったるいのは胸焼けしてしまうの。素敵な紳士がたにお相手を譲りましょう」
「「きゃぁっ!!?」」
 悲鳴を上げるスイート・メロディア。お菓子で作られた肉体は見た目よりも軽いのか、パンチの風圧に押し出された彼女らは宙を舞い、クロトと匡のいる方に吹っ飛んでいく。

「ようこそ。派手に、散ってくださいね?」
 飛ばされた先でメロディア達を待っていたのは、柔和に微笑むクロト。ヘンリエッタの動き、狙う座標、敵の速度や軌道等の諸元から敵の位置、距離、数を計測した彼は、片手で黒剣を、もう片手で鋼糸を構え、視界に収めた全ての標的に狙いを定める。
「――弐式、起動」
 はっとそれに気づいたメロディア達の害意が、自身に向くのに合わせ――蛇腹剣へ換えた黒剣と鋼糸による広範囲斬撃が、敵集団を一気に巻き断ち、絡げ斬る。その鋭利なるやスイーツを裁くには過分な程で。バラバラになった菓子の破片が、チョコの海に散る。

「一撃で壊れるくらいには脆いんだろ」
 白兵戦の間合いでの敵殲滅を担当するクロトに対し、匡は彼の死角や遠距離にいる敵を狙い撃つ。【影装の牙】により変形した黒き影は、連射性能を重視した銃器の形となって手に収まり。その銃口を吹っ飛んできた敵に向け、青年は静かにトリガーを引く。
「「――……!!」」
 たたっ、と乾いた銃声が響き渡り、悲鳴を上げる間もなくメロディアの頭が吹き飛ぶ。
 今回のチームの中で最も射程の長い武器を扱う匡の役割は、相手がこちらを射程圏内に捉える前に撃ち殺すこと。近づかせるつもりはないから、防御は薄くていい――装甲を犠牲に高めた手数は豪雨の如き影の弾幕となって、スイート・メロディアを寄せ付けない。

「どうぞ会場はあちらですよっと」
 クロトと匡の戦いぶりを遠目に見やりながら、ヘンリエッタは彼らが狙いやすい位置に敵をエスコートする。唸る剛拳が作り出す突風は彼女を汚そうとするもの一切を寄せ付けず、まるで春風に舞う花びらのようにドレスの女達を吹き飛ばしていく。
「さ、甘い海で――素敵なダンスパーティーにしましょう。魔法がとけるまで、なんてね」
 ダンスホールは仲間達の射程圏内。信頼のおける相手だからこそ、己はこうして舞台を整える裏方でいられる。仇なす連中をこの手で殴り殺すのも痛快だが、こういう役回りも"黒幕"のようで、"悪"らしくて面白い。

「くっ……まだ、ここを通すわけには……」
「あの男を守る……この命を賭して……!」
 三人の連携に翻弄されるスイート・メロディア達だが、その瞳は闘志を失っていない。
 彼女らを衝き動かすものが打算か慕情かは、本人にしか分からぬことだが。何れにせよ漲る敵意を感じ取ったクロトは、さっと距離を取るように後退する。
「譲れぬものがあるご様子。ですがそれはこちらも同じこと」
「待ちなさ―――ッ?!」
 追いすがろうとしたメロディア達の脚に、ぴんと張られた鋼の糸が絡む。移動する際に仕掛けていたのか――脚を切られて転倒したところに、追討ちの【弐式】が止めを刺す。

「勦滅」
 切り刻んだ敵の破片を横目に、クロトはまた走りだす。攻撃からの即移動を基本とし、糸を張り巡らせ敵への妨害を、そして己の足場を増やす。甲板だけでなく船のマストにも糸を掛ければ、どこから敵が接近してこようとも、陸空全てが己の領域だ。
「30cm……左様な距離、与えませんとも」
 スイート・メロディアの攻撃手段【スイート・エンブレイス】の射程を見切った上で、彼は笑う。それは敵意を断つ斬撃の領域が相手を上回っているからという、己の力量への自信によるものだけではない。

「如何な障害をも撃ち抜く匡の眼が、共に在るのですから」
 信頼を込めて笑うクロトの背後で銃声が響く。この場で最も広い視野を持ち、敵味方の位置を常に俯瞰する匡は、仲間に迫る脅威をけして見逃さない。影装の牙を巧みに操り、的確な状況判断で優先度の高い敵を順に仕留めていく。
「かは、っ!!」
 死角から隙を窺っていたスイート・メロディアが、マストからの銃撃に撃ち抜かれる。
 奇襲の心配がなくなれば今度は数を減らすことを優先し、敵が密集している所を狙う。

「押し切られちゃ話にならないしな」
 態勢を立て直す暇も、一斉攻撃を仕掛ける余裕も与えない。裡よりあふれ出す黒き影を使用した武器に弾切れはなく、途切れることのない弾幕は着実に敵の数を減らしていく。
 当初は幾千にも上ったスイート・メロディアも、今や残る手勢は百にも満たない程度。いよいよ窮地に陥った敵は、銃撃の射程内から一時撤退を図る。
「「ここは先ず、距離を取って……」」
「あら、パーティーはまだ終わっていないわよ?」
 その背後から雷速で迫ってきたのはヘンリエッタ。途中退場など許さないとばかりに、繰り出される拳圧がメロディア達を再び味方の射程圏内に押し戻す。敵は退避に失敗したばかりか、風圧に体勢を崩され大きな隙を晒すことになってしまった。

「この眼がある限り、一兵たりと逃さないよ」
 匡は味方の作った好機を突いて、狙いすました銃撃で敵残党の掃討にかかる。的当ての板よりも脆い標的は、銃弾を浴びた箇所からボロボロと崩れ、チョコの海に倒れていく。
「おのれ……おのれぇ……っ!!」
 最後に残った1人のスイート・メロディアは、怨嗟に満ちた鬼のような形相を浮かべ、せめて一矢報いんと【チョコレート・ローズ】を放つが――それが匡に届くよりも早く、クロトがマストに張った糸を駆け上り、剣で薔薇を切り落とす。
「此れにて閉幕……なんて、ね」
「口惜しや……!!」
 直後、蛇腹に換わった刃がうねり、最後のスイート・メロディアの首を刈り落とす。
 すとんと海面に落ちた頭は、憎々しげに猟兵達を睨んだまま、水底に沈んでいった。


 ――かくして猟兵達は『桜花』が差し向けた幾千の分身との戦いに見事勝利を収めた。
 チョコレートに変貌していた海域も、次第にゆっくりと元通りの蒼い海に戻っていく。
 航路を阻む脅威をまたひとつ取り除き、彼らは次なる戦場へと航海を続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月17日


挿絵イラスト