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「どうやらおぬしらの活躍のおかげで、鮫牙島の場所が判明したようじゃな」
ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)はそう厳しい表情で語り始めると、詳しい説明を始めた。
「新たに発見されたのは七大海嘯『鮫牙』ザンギャバスのいる鮫牙島なのじゃが、これが厄介な能力があってな」
猟兵達が近づくと、鮫牙島は海中に急速潜航するのだ。そして、深海で待ち受けているのが七大海嘯『鮫牙』ザンギャバス大帝だ。
「七大海嘯『鮫牙』ザンギャバス大帝は、「無敵」の存在じゃ。じゃが、唯一長時間暴れると飢餓状態になるという弱点があるのじゃがな? 厄介なことに空腹になったザンギャバス大帝は鮫を喰らうのじゃ」
この鮫がいる限り、ザンギャバス大帝に空腹の文字はない。このままでは無敵なまま、挑んだとしても返り討ちにあうのが関の山だ。
「じゃからな、鮫を遠ざけてなんとか飢餓状態にしなくてはならん」
鮫を遠ざけ、戦いながらザンギャバス大帝を飢餓状態に追い込む――この困難な状況を乗り越えなくてはならない。
「不幸中の幸い頭の回転が悪いからの、ザンギャバス大帝をなんとか抑えて鮫を追い払えせばまだ勝ち目のある相手じゃ」
戦闘に勝利すると、やはり獅子のような姿になって撤退する。倒す事はできないが、何度も撃破することでようやく出てこなくなるのだという。
「これ以上、あのザンギャバス大帝に引っ掻き回されてはたまらんからの。とっとと始末をつけたいところじゃ。そのためには確実に撃退する必要がある、頼んだぞ」
波多野志郎
生鮫って美味しいんですかね? どうも、波多野志郎です。
今回は深海の中で鮫を追い払いつつ、ザンギャバス大帝と持久戦をしていただきます。
プレイングボーナスは『敵の先制攻撃ユーベルコードと「巨大鮫を喰おうとするザンギャバス」に対処する』となります。ただ追い払えばいいというものではなく、ザンギャバス大帝にも対抗しなくてはいけません。皆様のアイデアとプレイングをお待ち致しております。
それでは、深海の戦場でお会いしましょう!
第1章 ボス戦
『七大海嘯『鮫牙』ザンギャバス』
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POW : ザンギャバスハンド
レベル×1tまでの対象の【腕や頭】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD : ザンギャバスファング
自身の身体部位ひとつを【竜、山羊、蛇、蛇のいずれか】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : ザンギャバスポイズン
攻撃が命中した対象に【肉体の部位「蛇」からの猛毒】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【肉体を侵食する猛毒】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:白
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ
【アドリブ・連係歓迎】POW
暴食の化身、お前は飢え続けるのがお似合いだよ☆
事前に「肉体改造」を自身に施し、自身の表面をヌルヌル成分と吐き気成分で覆います。
これで掴もうとしてもヌルヌルして掴めないよね!
対策したら次はUC【飢餓つくと肉肉しい惨劇】で肉塊になるよ!
肉体改造はそのままに、巨大鮫にわざと肉塊の一部を齧らせて鮫の内部で増殖して爆散★肉片に吐き気成分を纏わせよう!
吐き気成分ごと肉片や肉塊をザンギャバスにも食べさせて、内側のものを全部逆流させれば飢えるよね!
UCの飢え続ける匂いを海水に混ぜてもザンギャバスを飢え続けさせられるはず!
それに、水中戦はちょっと得意だよ♪
勝利の暁には羊肉で宴会だよ☆
大豪傑・麗刃
できれば平和的にサメを遠ざけたい。動物と話す持ちの道具をいっぱい装備してきた。サメを説得してザンギャバスから逃がす方針で。
ザンギャバスの先制対策。ここは古典的な方法でいこう。
相手がわたしを掴みにくるタイミングを見切り、掴まれる直前に早業の早着替えの応用で素早く服を脱いでデコイにする。
以降はザンギャバスの目を鮫から逸らすべくギャグをかます。
やあ残虐超人くん。
ちがった?ごめんごめん三国志演義くん。
そう怒るな残念バスを逃したくん。
ギャグ通じるのかって?
大丈夫、ユベコだよ。
一方で鮫に逃げるよう説得。
鮫たちよ!早いトコここから離れるのだ!
わたしの言う事聞くことなど癪かもしれんが!
シャークかもしれんが!!
ブルース・カルカロドン
POW
アドリブ歓迎
口調:ユカイなカタコトしゃべり(固有名詞以外の漢字はカタカナ)
「鮫牙をなのっておきながらサメをたべる」
「いや、なんというか、ハラたつね」
「ひさしぶりだよ、こんなにサメをコケにしたおバカさんは」
「コロす」
怒りを爆発させる
指定UCによって身体はかつてないほど巨大化する
ちょっとした戦艦くらいあるかな
もうヒレや頭がザンギャバスの手で掴めるサイズじゃないし
近づくだけでサメ達は勝手に逃げてくだろう
「さあ、コンドはキミがくわれるバンだ」
無敵化が解けた頃を見計らって大口を開け、ザンギャバスにかじりつく
サメの怒りを思い知るがいい
黒川・闇慈
「鮫はそのままだとアンモニア臭で食べられたものではないそうですが……オブリビオンの食性を気にしても詮無きことでしょうか。クックック」
【行動】
wizで対抗です。
スペースシップワールド用の宇宙服で水中での空気と機動力の備えをしておきましょう。
ザンギャバスの攻撃は第六感の技能で回避し、回避しきれぬ場合はホワイトカーテンを用いたオーラ防御でしのぎます。攻撃を受けても毒耐性の技能でどうにか持ち堪えましょう。
さて、鮫はなんでもロレンチーニ器官という器官で電流や電位差を感じ取って獲物を見つけるとか。
ですのでUCを用いて雷の矢をザンギャバスから遠くへ向けて発射し、サメを誘引し遠ざけましょう。
【アドリブ歓迎】
ルルティア・サーゲイト
ザンギャバスか……ある世界の暦において凡そ16年前。最初の妾が初めて戦った強敵。その名をよく覚えておる。昔馴染みに会うたような気分じゃ、念入りに殺してやろう。
スキュラ形態で水中戦に適応し、死閃永断衝で斬る。鮫対策は他に任せる。只管に斬り続ければ空腹になる筈である。
目の前に美味しそうなタコが居るじゃろう? 鮫よりは美味しいと思われる。こやつが妾を喰らわぬ理由が無い。足の四本でも食わせたら自切して逃げる。
タコにもな、毒がある種類が居る。フグと同等の猛毒を持つ唾液をたっぷり塗った足を喰らえばただでは済むまいて。
「ふふっ、妾も化け物ぶりが板についてきたのう」
たまにはまともに戦いたい気もするが。
尾守・夜野
(深海か…泳げんのだが)
だから飴玉で対応するが…俺、飴は噛む派だから出来るだけ早くUC使わねぇと…
(…近くで見るとでけぇな
横に)
初撃は身代わりの宝珠で受けよう
毒までは防げねぇだろうがそちらは耐性で耐える
そして攻撃したな?
そしてし続けているな?
UC起動
「…ここでは一対一
故に俺に攻撃し続けているてめぇは鮫を襲えない!」
毒による影響…受け続けている攻撃は利点でしかない
近距離に張り付いて相手に攻撃し続け生命力吸収と吸血し続ける事で限りなく影響を減らす
減る以上に回復し続ければ実質ノーダメという考え方が強いぞ
俺は
だから致命傷以外のほぼ全ての傷は一般では重症でもかすり傷扱いしてるバーサーカー
アドリブ共闘歓迎
死之宮・謡
アドリブ歓迎
……漸く此奴を殴れるか…だが、耐久戦は面倒だな…
其れでも殺れんとは…
面倒で面妖な…だが、まぁ関係は無い、さぁ戦を始めよう
周囲の海域を悍ましき・呪詛で染め上げて鮫共を殲滅しながら近寄らぬように。一応周囲の猟兵には影響しないように呪いの作動条件を体温と生体の二重判定に(鮫:魚類の体温は人間より低い)
そのまま海に呪いを溶け込ませて攪乱と囮の役割を。
更に、虚構の呪術で腕や頭と錯覚・摩り替えた呪いでUCを受けて。
距離を取って間合いを外して呪撃を叩き込みながらイレンアトラで攻撃を弾いて
最後は突っ込んで【覇神滅槍】を叩き込む
ニィナ・アンエノン
島が深海に沈んじゃうなんて不思議!
まぁこんな事もあろうかと、にぃなちゃんってばバイクを【深海適応】出来る様に【武器改造】しちゃってるんだよね☆
これならバイクを【操縦】しながらでも【高速泳法】でザンちゃんの噛み付きを回避しながら翻弄出来るはず!
視界は【暗視】ゴーグルで確保するぞ☆
鮫さんは確か電気が嫌いだったかな?
ユーベルコードも使って電気の【属性攻撃】が出来るような弾丸をばら撒きながらザンちゃんに【範囲攻撃】してれば自然と鮫さんも散らせるかも!
にぃなちゃんはジャケットに【電撃耐性】があるから我慢我慢。
後はどれだけ息が続くかの勝負かな☆
空腹と窒息の我慢比べだー!
ヴィクティム・ウィンターミュート
ようやくテメェを倒すチャンスが回ってきたか
禍根は根元から断ち切るのが好きなんだ
ここでテメェを無力にしておけば、俺は大助かりってわけ
そういうわけで……一つ死んでほしいんだけど?
猛毒をぶちこまれるわけにはいかねえからな
変化する部位にも兆候はあるはずだ…それを【見切り】、そこから推測される攻撃のモーションに合わせ【早業】でステップ
避けながら、UCを展開──『Robbery』
その毒…欲しいな。蛇にガラス片を殺到させ、猛毒を『強奪』
これは今から俺の物…そんじゃあ、お前の身体に注入してやる
残りのガラス片は鮫に毒を入れさせる
テメェが食おうとしても毒の倍がけ、最悪鮫はすぐに死ぬだろう
自分の業で、自分が苦しめ
非在・究子
あ、相変わらず、ふ、不死身、か。ち、チートボス、め。
さ、最初の蛇からの、毒、は、【防具改造】と【ハッキング】を、組み合わせた、げ、『ゲームアーマー』の、ステ改変、で、ど、毒耐性を、カンストさせて、耐える。そ、そうして、稼いだ、時間、で、ゆ、UCを、起動……た、対オブリビオンの、トラップを、満載した、迷宮に、ざ、ザンギャバスを、ご招待、だ。も、もちろん、鮫はご退場、願って、な。
あ、あとはひたすら、迷わせて、あ、相手の、く、空腹ゲージが、尽きるまで、ぼ、妨害を、続ける、ぞ。さ、鮫の、代わりに、あ、アタシの、トラップコンボを、喰らって、いけ。
ナイ・デス
ただ無敵と思える程にタフなだけ……ではなくて、攻撃も通らない、のですよね
それならそれで、戦いますが……本当、どうすれば倒せるのか!
【動物と話す】で、鮫さん達には避難を呼びかけます
聞いてくれないなら【生命力吸収】の光で動けなくして【念動力】で無理やり遠くへ【吹き飛ばし】
蛇は【第六感】で、生命力は奪われないように、けれど毒は付与される程度に受け
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】
『いつか壊れるその日まで』猛毒ダメージと再生の繰り返しで【リミッター解除】
鮫を食べるより、私をまず追い払いたいと思えるように光で【目潰し】したり
増強した能力で受け流し試みたり、できなくても再生して
疲れるまで、鮫さん達、守ります!
御剣・刀也
無敵?面白い
無敵=無敗って訳じゃないことを教えてやる
あいにく俺は搦め手が苦手でな。お前を真っ向から斬り捨てる。人が磨き上げてきた武の真髄を見せてやる
ザンギャバスハンドで掴もうとして来たら、手近な鮫に捕まりその場から移動し、第六感で他の鮫の位置を感じとり、見切り、残像でザンギャバスを惑わしつつ、鮫を斬り捨て、飢餓状態になったら勇気でダメージを恐れず、最短距離をダッシュで駆け、捨て身の一撃で斬り捨てる
「無敵大帝か。正に名前の通りとはいかなかったな。歴史の英雄も無敵の奴はいなかった。完全無欠なんてものがないから、それを目指して進むんだよ。命って奴はな!」
●深海への誘い
鮫牙島、そこには一つの特異な特徴がある。それは猟兵が近づくと、自ら深海へ沈むという特徴だ。
「島が深海に沈んじゃうなんて不思議」
そう目を輝かせたのは、深海適応にZ17テンプテーション・カスタムの改造を終えたニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)だ。
(「深海か……泳げんのだが」)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ、と渦巻きながら消えていく島を見て、尾守・夜野(墓守・f05352)などはしみじみと思う。マジックドロップ、口に含む間全環境で生存を可能とさせる飴を舐めて対応するが……夜野は飴は噛む派だから出来るだけ早く『使おう』と決意した。
「ザンギャバスか……ある世界の暦において凡そ16年前。最初の妾が初めて戦った強敵。その名をよく覚えておる。昔馴染みに会うたような気分じゃ、念入りに殺してやろう」
そう言ったのは、ルルティア・サーゲイト(はかなき凶殲姫・f03155)だ。何にせよ、敵は海の底――猟兵達は、鮫牙島を追って海中を急いだ。
そこはすでに、サメの楽園――否、サメの踊り食い会場だった。大量のサメが泳ぐ中、のっそりと立ち上がったのは七大海嘯『鮫牙』ザンギャバス大帝だった。ちなみに、既に一匹のサメが食事となっていた。
「来ィやがったな」
(「鮫はそのままだとアンモニア臭で食べられたものではないそうですが……オブリビオンの食性を気にしても詮無きことでしょうか。クックック」)
黒川・闇慈(魔術の探求者・f00672)の思う通り、オブリビオン――特にこのザンギャバス大帝相手に、味だとか食べられるとか食べられないなど考えるだけ無駄だった。いれば食う、あれば食う、むしろ食わないものを探した方が大変だ。
(「……漸く此奴を殴れるか……だが、耐久戦は面倒だな……其れでも殺れんとは……面倒で面妖な……だが、まぁ関係は無い、さぁ戦を始めよう」)
死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)としては、すぐに終わらせるに限ると哀想旋刃イレンアトラを構える。そして、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は息とともに笑みえをこぼした。
(「無敵? 面白い。無敵=無敗って訳じゃないことを教えてやる」)
ザンギャバスが動く――その背から伸びた蛇が、猟兵達へと毒の牙を剥いた。
●サメとは一体、何なのか?
「鮫牙をなのっておきながらサメをたべる。いや、なんというか、ハラたつね」
ブルース・カルカロドン(全米が恐怖した史上最悪のモンスター・f21590)は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の七大海嘯を除かなければならぬ。だって、サメだもの。
「ひさしぶりだよ、こんなにサメをコケにしたおバカさんは。コロす」
ブルースはバイオミック・オーバーロードで巨大化した。かつてないサイズ、戦艦規模まで。そのまま牙を剥き、ザンギャバスに食らいついた。
「あ?」
だが、その巨大な牙が刺さらない。ザンギャバスは無敵だ。その体は、どれほどの巨大ささえ、平等に無効化するのだ。
(「あ、相変わらず、ふ、不死身、か。ち、チートボス、め」)
非在・究子(非実在少女Q・f14901)からすれば、あの無敵は理不尽の域だ。スキップできないムービーシーンのようなもので、呆れるほどの無敵で理不尽で、そしてどうしようもない。
(「で、でも、攻略……手段が、ある、なら……」)
ボォ! とザンギャバスの伸ばした毒蛇の牙が、究子に噛み付いた。究子は防具改造とハッキングを組み合わせ、ゲームアーマーのステータスを改変。毒耐性をカンストさせて耐えた。
だが、蛇は構わない。そのまま究子を、海底の岩場に叩きつけた。
(「できれば平和的にサメを遠ざけたい」)
大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は動物と話す持ちの道具をいっぱい装備してきたのだ。クワっと目を見開き、麗刃は言った。
「鮫たちよ! 早いトコここから離れるのだ! わたしの言う事聞くことなど癪かもしれんが! ――シャークかもしれんが!!」
サメ達は、優雅に泳いでいた。優雅に、優雅に――しかし、パタン、パタン、と次々に麗刃をヒレで叩いて。優しい笑顔に見えたのは、気の所為だろうか? いや、きっと気の所為だ、爆笑してるはずだもの、海ってしょっぱいな。涙じゃないよ?
(「暴食の化身、お前は飢え続けるのがお似合いだよ☆」)
ボフン! と大量の水泡を出しながら、ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(ハラペコかわいいコックさん(可食・高栄養・美味)・f31483)が巨大化していく。飢餓つくと肉肉しい惨劇(ラ・ファミーヌ・デ・ラ・ヴィアンド)による巨大な肉塊となったラヴィラヴァは、ザンギャバスの掴みを滑るようにと表面をヌルヌル成分と吐き気成分で覆う。
その肉塊の上を、スキュラ形態で水中戦に適応したルルティアが泳いでいく。ザンギャバスの眼前へと迫ると、ルルティアは死閃永断衝による大鎌の一撃を巨漢へ放った。だが、刃は食い込むことさえしない――ぐいっとルルティアの大鎌の柄を掴み、ザンギャバスはルルティアを投げ飛ばした。
(「っと!」)
そこへ、ニィナがガジェット忍法・弾丸祭の術(ガジェットアーツバレットフェスティバル)により電気属性の弾丸を撃ち込んでいく。手に受けて投げ方をミスったザンギャバスから、ルルティアは即座に離脱した。
(「……近くで見るとでけぇな、横に)」)
ザンギャバスの山羊頭の一撃を身代わりの宝珠で耐え、夜野は大きく弾かれる。海中なのが幸いした、水が威力と速度を減衰するからこそ吹き飛ばされずにすんだ。
(「ようやくテメェを倒すチャンスが回ってきたか、禍根は根元から断ち切るのが好きなんだ。ここでテメェを無力にしておけば、俺は大助かりってわけ。そういうわけで……一つ死んでほしいんだけど?」)
ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)は追いかけてくる毒蛇の牙を、ステップでかわす。そして、かわして舞い戻ってこようと弧を描く毒蛇の首を、刀也の獅子吼が斬り落とした。
(「あいにく俺は搦め手が苦手でな。お前を真っ向から斬り捨てる。人が磨き上げてきた武の真髄を見せてやる」)
切り落とされようと、次の蛇が再びザンギャバス大帝から生えてくる――それを見ながら、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は思う。
(「ただ無敵と思える程にタフなだけ……ではなくて、攻撃も通らない、のですよね
それならそれで、戦いますが……本当、どうすれば倒せるのか!」)
ナイは周囲のサメに動物会話で避難を呼びかける。実際、戦いが始まっても優雅にそこにとどまり続けていた一部が、退避を始めている――その一つ一つにの排除こそが、重要だ。
「ほら、向こうだ」
スペースシップワールド用の宇宙服姿の闇慈が、遠くへ雷の矢を飛ばす。サメにはなんでもロレンチーニ器官という獲物をみつけるための電流や電位差を感じ取る器官があるらしい。それを刺激して、サメ達を遠くへと逃がそうとしたのだ。
その上で謡は、周囲の海域を悍ましき・呪詛で染め上げて鮫共を殲滅していく。周囲の猟兵には影響しないように呪いの作動条件を体温と生体の二重判定に――サメだけが、謡の呪詛によって排除されていった。
「おい、餌ァ……!」
ザンギャバスは怒った。せっかくの餌が、どんどん減っている事に。それは正直、面白くない。だからこそ、ザンギャバスは邪魔をしようとする猟兵達へ、問答無用で襲いかかっていった。
●無敵は確かに常勝ではない
『ふふふ、この姿の妾からは逃げられると思うでないぞ』
ルルティアが、巨大タコへと変身していく。ルル・スキュラ・シフトによる変身だ。ザンギャバス大帝をタコ足が包み込むが、ザンギャバスは内側から食いちぎるながら脱出する。
(「タコにもな、毒がある種類が居る。フグと同等の猛毒を持つ唾液をたっぷり塗った足を喰らえばただでは済むまいて」)
ザンギャバスは、うっとおしげにルルティアが自切した味を食い切る。毒とわかっても食べているのは、周囲のサメが目に見えて減っているからだ。
「ふしゅる――」
(「その毒……欲しいな」)
ヴィクティムがForbidden Code『Robbery』(ゴウダツノキバ)によって触れたものから尽くを奪う無数のガラス片を生み出し、毒蛇を包んでいく。そして、文字通り毒蛇の毒を『奪取』することに成功した。
「これは今から俺の物……そんじゃあ、お前の身体に注入してやる」
音もなく、水中でガラス片がザンギャバスへ突き刺さっていく。その間にもヴィクティムは周囲に残ったサメにも毒を注入していった。
(「テメェが食おうとしても毒の倍がけ、最悪鮫はすぐに死ぬだろう。自分の業で、自分が苦しめ」)
ザンギャバス大帝の口から、ゴボっと泡が溢れる。怒りの息だ、なおも残りのタコ足を繰り出しながら、ルルティアは笑った。
「ふふっ、妾も化け物ぶりが板についてきたのう」
たまにはまともに戦いたい気もするが、と思いながらルルティアは後退する。それを追おうとしたザンギャバス大帝を、不意に迷宮が飲み込んだ――究子のオブリビオンのくせになまいきだ。(シンニュウシャヲトラップトカデゲキタイスルヤツ)だ。
「ご招待、だ。も、もちろん、鮫はご退場、願って、な」
そう、対オブリビオンの致死トラップなど、ザンギャバスの敵ではない。問題は、食料が排除された事だ。
「コロす! コロス! コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスッ!!」
迷宮をドタドタと踏破したザンギャバスは、見る。出口は再び次の入り口だったのだ。
「……ここでは一対一。故に俺に攻撃し続けているてめぇは鮫を襲えない!」
「じゃァますんなァあああああああああああああああああああああああ!」
ザンギャバスが夜野の四辻回廊大禍時(イカイ・ヨツジカイロウ)をまっすぐに駆けていく。竜の牙が夜野に迫った刹那、夜野は近距離に張り付く。傷を負おうと決して離れない、バーサーカーがごとき動きだ。
「チィ!!」
埒が明かない、とザンギャンバスは四辻回廊から脱出を試みる。新たな出口へと――ザンギャバスが外へ踏み出そうとした、瞬間だ。
「死ぬが良い」
ザンギャバスが脱出した瞬間に、覇神滅槍(オール・キリング・スティンガー)が炸裂した。謡の致死の呪いと闇を籠めた槍の連撃がザンギャバスを後退させ、ガリガリガリガリ! と靴底がすれて火花を散らす――ギリギリ踏みとどまったザンギャバスを、ナイが抑え込んだ。
「疲れるまで、鮫さん達、守ります!」
いつか壊れるその日まで(リジェネレイター)で回復と生命吸収を同時に行ない踏ん張るナイへ、ザンギャバスはその掴み、大きく投げ飛ばした。
「やあ残虐超人くん。ちがった? ごめんごめん三国志演義くん。そう怒るな残念バスを逃したくん」
「どんどん遠くなってんだろうがァ!!」
掴まれて素早く服を脱いで麗刃は、続けざまに冗談をまくしたてる。本来なら無視できたのだろうが――ネタキャラとしての矜持(ソレデモワタシハギャグヤネタガヤリタイ)でギャグ時空を展開されては、さしものザンギャバスもツッコミに回っていた。
「水中戦はちょっと得意だよ♪」
ラヴィラヴァの肉塊が、ザンギャバスを押し潰す。念には念を入れてだ、何としてもここで食い止めるという意志を感じた。
「天より至れ雷轟の嚆矢。一切全てを襲い撃て、ケラウノス・ブリッツ」
「空腹と窒息の我慢比べだー!」
闇慈の雷獄襲軍(ケラウノス・ブリッツ)が右から、ニィナのガジェット忍法・弾丸祭の術が左から、掃射となってザンギャバスを襲った。ザンギャバスは、その場でガードを固めて雷の雨あられを耐えきり――。
「さあ、コンドはキミがくわれるバンだ」
ガキン! と戦艦サイズのブルースがザンギャバスを咥える。ガキガキガキ! とサメの歯が、ザンギャバスを挟み身動きを封じた。
「無敵大帝か。正に名前の通りとはいかなかったな。歴史の英雄も無敵の奴はいなかった。完全無欠なんてものがないから、それを目指して進むんだよ。命って奴はな!」
そこへ、獅子吼を構えた刀也は迫る。繰り出されるのは雲耀の太刀――持てる力を振り絞って上段から振り下ろす斬撃が、ザンギャバスを捉えた。
「チィ! 気にいらねぇ」
大きく、ザンギャバス大帝が後退する。ミシミシミシ、と体の内側から肉が軋む音がした。ザンギャバスは、獅子の姿へと変わり――その場から、駆け出した。飢餓状態が、極まったからこその退却だった。
無敵のザンギャバスは倒せはしない。だが、それでも積み重ねた勝利の上に排除はできるのだ。猟兵達はそのための一勝を、確かにもぎ取っていた……。
大成功
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