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羅針盤戦争〜あつまれ水着コンテス島

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #夕狩こあら #メリー・バーミリオン #水着コンテス島

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「皆は『緋色のメリー』を知っているだろうか」
 私は初めて知った、と言を添えるは枢囹院・帷(麗し白薔薇・f00445)。
 みやびた横顔を向けた儘、視線だけを寄越した彼女は詳しく説明を始めて、
「名をメリー・バーミリオン。お宝目当てに危険な海を巡り、儲け事から愉快な事まで、首を突っ込んでは暴れて散らす……コンキスタドールの賞金稼ぎだそうだ」
 自身の帆船を持ち、大人数の船員を抱えながら大海を往く女海賊。
 これまで秘境に隠された秘宝などを狙って大航海をエンジョイしていたと思われるが、羅針盤戦争でグリードオーシャンが慌しくなった今、野心溢れる彼女も動き出したと思われる。
「そのメリーが今回狙っているのは、賞金が懸けられた君達猟兵だ」
 猟兵は此度の戦争でコンキスタドールに賞金を懸けられるようになった。
 広い海、数多の島で目覚ましい戦功を上げる猟兵を危険視したコンキスタドール達は、猟兵が活躍する度に賞金を吊り上げているが、その莫大な額に目を付けたのがメリー。
 彼女は猟兵狩りをする事で、この戦争中に大金を手に入れようとしており、なんと猟兵全員の賞金を把握しているというのだから、その強欲と根性は本物だろう。
「今や君達は勇猛果敢に多くの島を巡っているから、メリーはどこか適当な島を襲えば、猟兵がやってくると思っているらしい」
 実に海賊らしい手段だが、狩られる訳にはいかないと帷は口を開いて、
「ならばこちらも、その大胆不敵な賞金稼ぎをやっつけようじゃないか」
 と、今度は秀でた鼻梁を向けて微笑む。
 その瞳は鋭く緋色を輝かせて、
「メリーが今回ターゲットにしたのは、キマイラフューチャーから落ちてきたと思われる島の一つ。どんな物でもゴージャスに登場させる“東西南北中央キラキラ☆せり上がり装置”で盛り上がっている水着コンテス島だ」
 愉快な事が好きなメリーも、島の賑々しさに惹かれてやって来たのだろうか。
 然し島民を巻き込んでは危険なので、実際に戦うのはメリーの海賊船。猟兵はガレオン船に乗り込んで戦う事になるだろう。
 彼女が率いる船員も戦闘員となり争う訳だが、有利な筈のメリー陣営にも弱点がある。
 メリーは猟兵全員の賞金を把握しており、賞金首を見ると欲を隠せず隙ができるので、この好機に乗じてやっつけてしまおう。
 かくして説明を終えた帷は、花脣に小気味よい微笑を湛え、
「金に目が眩むとは言ったものだ。メリーが君達に目を奪われた隙に痛烈な一撃をくれてやればいい」
 言うや、ぱちんと弾指してグリモアを喚んだ。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 このシナリオは、『羅針盤戦争』における賞金稼ぎ「メリー・バーミリオン」の襲撃に対抗して戦う、一章のみで完結するボス戦シナリオ(難易度:普通)です。

●戦場の情報
 キマイラフューチャーから落ちて来たと思われる島、「水着コンテス島」。
 目の前に美しい海が広がる白い砂浜に会場が設営されており、猟兵は“どんな物でもゴージャスに登場させる全方向照明せり上がり装置”から登場します。
 メリーが目を奪われた隙に海賊船に乗り込み、手下諸共やっつけましょう!

●敵の情報:メリー・バーミリオン
 数多の海を駆け抜けて、迫る危険に魅惑のお宝。
 そいつは全て私んモンだ、文句があるならかかって来な!
 儲け事から愉快な事まで、首を突っ込み暴れて散らす。
 誰が呼んだか“緋色のメリー”、その目はお宝を見逃さない!

●プレイングボーナス『賞金首になっている』
 このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
 これに基づく行動をすると、戦闘が有利になります。
 ご自身が賞金首になっているかどうかは、賞金首一覧にてctrl+F(command+F)で名前を検索できます。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や呼び方をお書き下さい。
 団体様は【グループ名】を冒頭に記載願います。シナリオ全体の参加者様の人数により一括のリプレイとなり、個別での描写が叶わない場合がございます。
 また、このシナリオに導入の文章はございません。

●プレイングと採用について
 早期完結を目指し、10名程度の採用とさせて頂きます。
 それ以上になった場合は、次作をご用意致します。
 舞台はキマイラフューチャー同様にキマイラ等の島民が居ますが、プレイング冒頭に「🌴」を記して頂けましたら、避難が完了して観客となった万全の状態で描写致します。文字数の節約にご活用下さい。
 水着はイェーガーカードを指定するか、新作をプレイングでお書き下さい。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 ボス戦 『メリー・バーミリオン』

POW   :    野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ   :    大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。

イラスト:和狸56

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十六夜・巴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
🌴
※去年の水着

★靴に風魔法を宿して跳躍力強化
靴が纏う風と水面の反発も利用して海を走り船に跳び乗る

どーも、つゆりんです☆(ウインクで【誘惑】

船員達は耐性薄そうだし
敢えて狙いを引き受けたい
他の猟兵の助けにもなるかもだし
なによりまとめて来てくれた方が対処が楽

一斉に跳びかかってきたら適当な船員の頭を足蹴にジャンプ
目標を失えば船員同士ぶつかるだけだし
【催眠術】を乗せた【歌唱】で判断力を奪うね

【聞き耳】であらゆる音を聞き分け
メリーさんの技の兆候が見えたら
放出される波が広がる前に【高速詠唱】で氷魔法の【属性攻撃】
凍結させて不発にしちゃう

冷静でいられたら勝機もあったかもしれないのにね
【指定UC】の追尾で攻撃


オリヴィア・ローゼンタール
🌴
流石キマイラフューチャー、世界を隔ててもノリと勢いは変わりませんね

たしか私の賞金額は……3000と少し、でしたか
首位争いをしている方々には遠く及びませんが、囮になるには充分でしょう

競泳水着は先の戦いで使ったので、今回はビキニの方で参戦
装置の上で【存在感】を放ち、【誘惑】することで場を盛り上げれば、【おびき寄せ】ることもできる筈

装置から海賊船へと飛び移る(ジャンプ)
【トリニティ・エンハンス】で水の加護を得ることで、波に揺れる船の上でも十全に活動可能(足場習熟)

有象無象を【誘惑】で【おびき寄せ】、【怪力】を以って聖槍を縦横無尽に振るい、斬り打ち穿つ
マストや縄も活用してアクロバティックに戦う


エィミー・ロストリンク
【POW】🌴
水着:2020水着JC参照

皆にも褒めて貰った水着なんだー!
皆も楽しんでいってねー!

観客に手を振って、メリーの海賊船に飛翔して乗り移る
賞金首上位で幼女、さぞ油断してくれる存在だろう。
そんな海賊達に、オルトロスのガトリング弾を情け容赦なく叩き込んでいく

ヒャッハー! 海賊は悪い消毒だー!
UC「引き寄せる怪力を振るう姫君」を発動して、弾が当たった海賊を引き寄せて巨大な肉団子海賊砲弾を形成
それを海賊の集団に叩きつけて一気に蹴散らす
メリーにももう片方の肉弾砲弾を投げつけて攻撃
それを回避したら巨大化したケルベロスのアンカーを投げつけて船ごと攻撃する

逃げるなー! 戦えー!


黒瀬・ナナ
🌴
共闘、アドリブ大歓迎!


楽しいコンテス島を荒らされたら大変だわ。
お気に入りの水着(https://tw6.jp/gallery/?id=47389)でいざ勝負!

“東西南北中央キラキラ☆せり上がり装置”で派手に登場!
紅白でおめでたい色と、巫女装束をモチーフにした和のデザインがオシャレでしょ?でしょ?
浜辺で優美な舞も披露し、相手が目を奪われている隙に海賊船に乗り込んじゃうわね。
この首にかかった賞金、ご存知でしょう?
わたし程度の賞金首に手こずっていたら、もっと高額の賞金首を倒すなんて夢のまた夢よ?

ひらり、ひらひら、舞いながら。
相手の攻撃を『見切り』回避。
津波も押し返す『衝撃波』をお見舞いしちゃう!


怨燃・羅鬼
🌴
水着コンテス島に東西南北中央キラキラ☆せり上がり装置☆
これは!正に!東西南北中央キラキラ☆スーパアイドルならきちゃん☆の為の装置だネ!
水着はアイドル☆って感じで逝くよ☆

ということで照明でキラキラ登場☆
火薬でバーン!【浄火】でふぁらりすくんがドーン!【重量攻撃】で海賊船に惨状☆


くふふ☆アイドルにはいつだって追っかけがつくもの☆
らきちゃんのそのブロマイド(手配書)にサイン要る?要る?

羅射武舞逝苦をもって、『串刺し』で真っ赤なサインを☆プレゼントフォー逝ー☆
血のバレンタインだネ!

怪炎で明るく楽しくお船を派手なステージへ☆【焼却】
最期は皆で愉死苦、羅逝武だネ!くふふ☆いい声で歌ってネ!


鬼桐・相馬
🌴JCの水着姿

●POW
脇腹の文字の下に俺の懸賞金額も書いておくか

水着に合わせ身の丈程の錨形態にした〈獄卒の金砕棒〉
鈎部分を装置の端に引っ掛けさっさと舞台へと上がろう
いや恥ずかしい訳じゃない
俺、見られるのあまり好きじゃないんだ

[ダッシュ]でガレオン船に乗り込み戦闘開始
立っていれば敵の方から来てくれそうだ
錨を[怪力]で振り回し[範囲攻撃]
手下もガレオン船も破壊、退路を断とう

お前の緋色と俺の紺青
お前の財宝への執着と見世物にされた俺の不機嫌、どちらが勝つか
[決闘の戦闘知識]を総動員し彼女の挙動を分析
踏み込みを察知したら[武器で受け、早業]で敵の武器を巻き取る
UCを発動し気に入らない全てを叩き割ろう


リーヴァルディ・カーライル
🌴

……え?此処から出るの?水着で??

…い、致し方ない。恥ずかしいけど水着は…
一昨年の水着コンテストの方が、露出が少なくて良い…かな


……ほとんど体型が変わっていないから普通に着れるし(ボソリ)

2019年の水着コンテストの白い水着衣装を身に纏い、
“東西南北中央キラキラ☆せり上がり装置”から存在感を放ちつつ登場

…~~~っ!

…も、もう良い!?行くわ…!


"影精霊装"に魔力を溜め闇に紛れて太陽光と視線を遮断し、
UCを発動して三対六翼の"血の翼"を広げ、
限界突破した超高速の空中戦機動の早業で敵陣に切り込み、
怪力任せに大鎌を乱れ撃ちながら敵陣をなぎ払う


(他の女猟兵やメリーを見て)………不公平だわ。色々と…


ジュリア・ホワイト
🌴
水着コンテス島。なるほど。
ではボクも水着で参戦しようかな。去年用意したやつがあるし
「なにより――どうせ服装は戦いに影響しないし」

というわけでステージから無防備な水着姿で登場して
観客に手を振ったりアピールタイムと行こう
おや、肝心のメリーから反応があまり芳しくない
賞金額が微妙だからしょうがないか
「ボクは本来賞金首を追う方で、賞金をかけられる方じゃないんだよ」

さて、本番の戦いはと言うと
船に乗り込むというか、船ごと一切合切を破砕しようと思うんだ。うん
「ひとつ派手に行こう。せっかくギャラリーも集まっているんだしね!」
【そして、果てなき疾走の果てに】を発動
器物の姿でステージからメリーの船まで一直線さ!


政木・朱鞠
「ウワ~…ワタシ賞金ガ安イカラ見逃シテ~(棒読み)」
参ったな~…賞金首狙いも現れちゃったか。
まんまと誘き寄せられるのは癪だけど、目の前で暴れられちゃうと困っちゃうんだよね。
抗う術のない人達を身勝手に巻き込む不安と厄災を企んだ咎はキッチリ償ってもらうよ。

戦闘【WIZ】
折角の祭だし…より一層大袈裟なショーにするために『忍法・火煙写身の術』を使用して分身達と【ダンス】を交えながら対処したいね。
あからさまな武器じゃ不粋だから、得物は『風狸ノ脛当』をチョイスして、【スライディング】技能を使いバランスを崩して、キック技で【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。

アドリブ連帯歓迎


イスラ・ピノス
🌴
猟兵全員の賞金把握してるの滅茶苦茶凄くない?
毎日凄い勢いで変わってて出してる方も半端ないなって思ってるんだけど。
でもその努力を実らせてあげる訳にはいかないね
悪いけど君で賞金増やさせて貰うよ!

島名が島名だし、去年の水着で…
勢いよく元気よく魅せにいこう!

それで問題の海賊船だね
海の上ならやっぱりそーちゃん!たっぷり吸って巨大化パワーアップ!
賞金首ならそろそろ知られてそうかもだけど、これが一番
脅しも効くし海上のそーちゃんに弱点はないよ!
精々僕狙いくらいだろうけどそーちゃんの中や水中を高速泳法で逃げ切るからね!
津波もドンとこい!
それじゃ思い切りぶん殴ろー!


アリエ・イヴ
🌴
アドリブ◎
水着 id=101338

ははッ!ド派手に登場すりゃ気を惹けるなんて
ずいぶん楽な話だな
楽しくなっちまう
ゴージャス装置に負けない存在感で堂々と
お宝が好きならおまけにそれも添えてやろう
揺らぐことなく敵を見据え
さぁ、俺の首はここだぜ
存分に夢中になれよ、なぁハニー?

碇をぶんと投げ込んで
それを基点に敵船へ
狙いは真っ直ぐ、敵の頭だ
手下共が狙ってこようが
ここは海だ、下手な攻撃が【海の愛し子】――俺に当たるかよ

かといって運だよりでもねぇぜ
目眩ましのように派手に羽織を投げ捨てて
低く深く踏み込んだら
覇気を纏った剣で払いあげ
流れるようにもう一撃

どうだ?
まぁでも、海への愛も
海の愛も疑うこともねぇけどな



 東西南北中央キラキラ✨せり上がり装置――。
 其は舞台中央に繰り抜かれた部分より昇降機によって浮上する物体の全てを、全方位に設置された万彩のLED照明にて出力全開、全身全力で輝かせる「迫装置」で、この装置から登場するものなら、仮令(たとえ)半額シールが貼られたスーパーのコロッケでも、揚げたてホクホクに見える、素晴らスィ演出効果がある。
 そんな装置から猟兵が登場したら如何だろう。
 憧れのアイドルやヒーローが、もしか世界を創生する神にも視えようか。
 とにかくカメリハ風景を捉えた島民がSNSに投稿したなら、情報は瞬く間に拡散され、今や全島民が眞白のビーチに集まり、スマホを手にお祭り騒ぎ。
 一方、装置を挟んだ海側では、一隻の巨大なガレオン船が、猟兵達の登場を今か今かと待ち侘びていた――。

 軈てドラムロールが鳴り響き、全ての瞳が舞台に集められる。
 ステージ上で七彩の光を躍らせていた投光器が中央で光条を結ぶと、光と影を際立てた奈落から幾人かの猟兵が現れ、碧落を押し上げんばかり歓聲に迎えられた。

「こんにちは! どーも、つゆりんです☆」
 元気に手を振って登場したのは栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
 純白のシャツを胸元で結び、黒地デニムのホットパンツを合わせた澪は爽やかさ満点、ウインクひとつして会場を魅了すると同時、大歓喜する島民達にビーチボールを投げ込む大サービス!
「つゆりーん! こっちむいてー!」
「あかい小花を添えたサイドテールがカワEー!」
 渚に天使が来たと、きゃいきゃい悦ぶ島民達。
 一方で、船から様子を窺うメリー・バーミリオンと配下の海賊らはと言うと――、
『よっしゃー! あれが75,300Gの賞金首……この島で大正解だったね!!』
『イエスマム。膝小僧が悩殺的であります』
 と、こちらも色々と色めき立つ。

「流石キマイラフューチャー、世界を隔ててもノリと勢いは變わりませんね」
 柔かく穏やかな苦笑を浮かべつつ、大熱狂の会場を見渡すオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は眞白のビキニを披露して。
 雪白の柔肌をより引き立たせる白が眩しかろう。
 美し金瞳を隔てるスクエア型レンズは紅いアンダーリムに縁取られて知性を匂わせるのに対し、魅惑のダイナマイトボディが眼路いっぱいに殴り掛かってくるこの暴力。
 テレビウム達は鼻血を出しながら画面にオリヴィアを映し出し、
「カメラさんズームイン、ズームイン!!」
「はぁぁぁぁあマルチで楽しむかオーバーラップさせるか迷う……」
 その一方、双眼鏡からその様子を見ていたメリーと配下の海賊らはと言うと。
『へーえ、あれが3,300G……水着だけでも1,000Gはいきそうね……』
『イエスマム。あっしは胸元の十字架になりたいであります』
 と、ザワつき始める。

「これ、皆にも褒めて貰った水着なんだー!」
 莞爾(にっこり)と元気な笑顔に会場を沸かせるは、水玉リボンのビキニが可愛らしいエィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)。
「皆もいっぱい楽しんでいってねー!」
 シュシュを飾る手をぶんぶん、島民に親し気に話し掛ける姿には好感度しかなかろう。
 愛らしい幼女体型を引き立てる白のビキニは海色にパイピングされて、可憐に清純に、観る者達をほっこり笑顔にさせてくれる。
「エィミーちゃーん! 浮き輪を持っている姿がKAWAIIよー!」
「水着のおリボンも、サンダルのお花もオシャレでイイネ!」
 喝采(やんや)と手を拍つキマイラたち。
 その一方、周囲の大型液晶でエィミーを捉えたメリーと配下の海賊はと言うと、
『よっしゃー! 24,300Gの賞金首がニコニコしてんじゃないか!!』
『イエスマム。あの天真爛漫の笑顔はプライスレスであります』
 と、賞金首一覧と交互に見合わせて笑顔に溢れる。

 翡翠の髪状(かんざし)をゆるく三つ編みに、黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)は久々にお気に入りの水着を着て、笑顔もバッチリ輝いている。
 光溢れる舞台でクルリと一回轉、ふうわと搖れる編髪(おさげ)と共に飜る桜文の袖が水着とお揃いとは、彼女の麗姿をガン見するギャラリーは勿論分かったろう。
「紅白のおめでたい色と、巫女装束をモチーフにした和のデザインがオシャレでしょ?」
「頭のヘアアクセから足元の草履までエレガントなWAHOO!!」
「でしょ?」
「手に持ってる赤いのなぁに? 真似していい?」
 異國情緒に溢れるナナに、エキセントリックが日常な島民はもう釘付け。
 同じくリンゴ飴を始めて見たメリーと配下の海賊達はと言うと、
『ほーん、4,500Gともなれば珍しいモノを持ってるモンだね……お宝かな……?』
『イエスマム。あれは奪うより、あのポジに収まるのが正解であります』
 と、なんだか注ぐ視線が違い始めてきた。

「この島にこの装置、そして会場いっぱいのギャラリー! これは! 正に! 東西南北中央キラキラ✨スーパアイドルならきちゃん☆の為の装置だネ!」
 水を得た魚の如く燦然を浴びるは怨燃・羅鬼(怒りの心を火に焚べろ・f29417)。
 アイドルらしくリボンとフリルをふんだんに取り合わせた水着は、赤と黒のバイカラーで幾許か小悪魔らしさを見せつつ、翡翠と艶めく髪の美しさを際立てよう。
 ぱちん☆ とウインクすれば、あざと可愛いビームに撃たれた観客は熱狂して、
「キャー!! こっちにもウインクちょうだいー!!」
「笑顔が眩しくてマトモに見れない! でも直視するぜー!!」
 スマホを手にやんややんやの大騒ぎ。
 一方、海賊船からその様子を窺っていたメリーと配下の海賊はと言うと、
『成程……賞金首3,900Gともなれば、観衆を悩殺するパワーがあるんだね……』
『イエスマム。最早らきちゃん☆以外は見られないであります』
 と、もう敵を洞察する観点が交わらない。

 而して歓喜の聲が雨と降り注ぐ熱狂の中、皆々から少し遅れて登場した男をギャラリーは見逃さない。寧ろメチャクチャ釘付けになる。
 身の丈に及ぶ巨錨を迫装置の端に引っ掛け、何ら勿体振らせずサッサと舞台に上がった鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)は、ロープにスカル、ボーンを添(あしら)ったアクセも相俟った船乗りの装いに衆目を惹き付けた。
「やだ超絶カッコEー! 目線ちょうだーい!!」
「見られると同時に見なくてはならないとは……」
 黄色い聲からついと視線を逸らすのは照れているのか。
 だが然し、これはスッと通った鼻梁が美しい横顔と、麗し金瞳を縁取る長い睫を見せるファンサービスになっているぞ!! サービスタイムになっているぞ!!
「俺は満足に應えられないから、他の猟兵を見るといい」
「キャーッ!! イケボで流盻だなんて反則よー!!」
 ここに来て島のギャル&ガールが熱に浮かされたように叫び出す。
 その大興奮を海賊船から伺ったメリーと配下の海賊達はと言うと、
『流石2,700G……会場の女の子達を全部惚れ殺すとはワルだね……!』
『イエスマム。ああいうイケメンは存在がワルだもんで、八つ裂き確定であります』
 おっと、感嘆と嫉妬が入り乱れているようだ。

 ――時に。
 如何に凄惨を極める戰地だろうと、そこに赦されぬ惡がある限り迷わず踏み込んでいたリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、この装置だけは躊躇った。
「……え? 此処から出るの? 水着で??」
 そうだヨ、とサムズアップするパンダのディレクターに何度も確認する。
 なるべく控えめに、白のドレス風水着をチョイスしたものの、花瓣の乱舞を連れ立って登場した少女は、鍔広の帽子を深めに、繊麗の躯を縮こめるようにして立った。
「ヒーハー! パレオから覗く瑞々しい脚がイイネ👍」
「ウェイウェーイ! ブリムから覗く戸惑いの星眸(まなざし)がカワウィー!!」
 清楚な白を纏う乙女の楚々たる姿影に、ピーピーと指笛を鳴らす島民たち。
 全身で大絶賛する文化に慣れないリーヴァルディは、赤面して瞳を逸らすしかない。
「……~~~っ!」
 そのもじもじとした様子を逐一観察していたメリーと配下の海賊はと言うと、
『出てきた、出てきた♪ あれが73,500Gの賞金首……ホクホクしちゃうねー!!』
『イエスマム。恥じらう姿にほこほこが止まらないであります』
 もう親分と子分の意見が違い過ぎて、連携とか取れなさそう。

「これが水着コンテス島。これが全方向投光型迫装置。なるほど」
 ジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)は熱狂の渦中にあっても冷靜に、虎視眈々と此方を見る海賊船の様子も聢と捉えている。
 陽だまりと煌めく佳瞳には、訝し気に双眼鏡を覗き込むメリーの姿も視えようか、
『ふむふむ、1,800G……なんか更に価値のありそうなお宝の雰囲気がするね……!』
『イエスマム。古きゆかしい雰囲気が漂流うであります』
 それもその筈、ジュリアはヒーローズアースのとある博物館で大切に展示されていた、旧式の蒸気機関車が變生したヤドリガミにて、海底に沈んだお宝とは格が違う。
「ふやぁぁああー、笑った時の八重歯が可愛いったらもー!!」
「首に掛かってるホイッスル吹いて、吹いて! かっこいいー!」
 喝采に手を振り返しながら、デコルテで煌めく『銀のホイッスル』を披露するサービスも満点なのは、普段から善良な市民の為に活躍するヒーローならでは。
 声援に應える傍ら、ジュリアは流眄に海賊船を見て、
「ボクは本来賞金首を追う方で、賞金をかけられる方じゃないんだよ」
 と、含みある咲みを湛える。

「折角のお祭なんだし……より一層大袈裟なショーにしようか!」
 と、スモークの中から登場したのは政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)。
 靉靆と棚引く白煙を艶かしいモデルウォークに裂いて現れた朱鞠は、瑞々しい小麦肌を惜しげもなく見せて凛乎堂々、ステージ前方でポーズを取る。
「ウェーイ、超絶セクシーで格好Eー!」
「ふわふわの尻尾も見せてー! お狐尻尾かわいいー!」
 観客に笑顔で應じつつ、内心では「参ったな」と苦笑を過らせて。
 メリーの作戰に旨々(まんま)と誘き寄せられたのは癪だが、罠と知ってても目の前で暴れられると困っちゃう朱鞠だ。
 緋色の麗瞳は波と押し寄せた善良な市民を一巡りすると、これらの抗う術のない人達を不安にさせてはならないと、飛び切りの笑顔を降り注ぐ。
 而してメリーと配下の海賊達はいうと、
『あれが2,100G……この島に来た賞金首の一人だって見逃すつもりはないよ……!』
『イエスマム。我々もあの美バディを見逃すつもりはないであります』
 と、珍しく意気投合していた。

「コンテス島の皆さん、こんにちは! ご縁を頂けましたら幸いです!」
 全方向から光を浴びて、元気に挨拶をするはイスラ・ピノス(セイレーンの冒険商人・f26522)。もしかこの島でビジネスチャンスがあるかも、と溢れる笑顔は淸々しい。
 海色に透通る艶髪を飾る七彩の花も鮮やかながら、空と海を映したような青藍の水着もキラキラと輝いて眩しかろう。
 ビーチに現れた凄艶の人魚には島民も大喜びで、
「お日様を浴びた夏色のお肌が、海色の水着とベストマッチ!!」
「汐の搖らぎを模したようなフリルとリボンがキュートだヨ!!」
 と、イスラがステージ上を歩く度にスマホを向けてフラッシュを焚く。
 メリーと配下の海賊達はその様子を海賊船からまじまじと視察して、
『へぇ、あの冒険商人は11,100G……フフフ、オイシイ商売になって来たねぇ!』
『イエスマム。かの娘は“カワイイ”を通り越して“オイシイ”が正解であります』
 と、満面の笑みを揃える。

「ははッ! ド派手に登場すりゃ気を惹けるなんて、ずいぶん樂な話だな」
 壯快(おもしろ)い、と端整の脣の端を持ち上げるアリエ・イヴ(Le miel est sucré・f26383)は、力強く踏み込めたグラディエーターサンダルからミサンガを覗かせて。
「ここまで豪勢というか大仰だと、楽しくなっちまう」
 云って堂々組み敷くは……金銀財宝の宝箱!!
 光の溢流と共に燿く黄金には、大海に夢を見る島民も大興奮の様子で、
「ひゃぁぁぁああ眩しい!! これリアルガチで眩しいやつ!!」
「美形でいて野性味溢れる笑顔が素敵だワ! 流石は海賊團の船長ネ!」
 然しこれにはメリーと配下の海賊達こそ釘付けになろう。
『くっ……賞金首も7,800Gとなれば、あれだけのお宝にありつけるのかい……!!』
『イエスマム。7,800Gにあの財宝も一緒にブン盗るであります……!!』
 と、垂涎を隠さず身を乗り出す。
 そんな彼等を搖らぐ事なく烱眼に見据えた彼は、宝箱に片脚を乗せたまま挑発して、
「そんなにお宝が好きなら、おまけにこいつらも添えてやろう」
『えっ!! いいの!? まさか向こうから言ってくれるなんて思ってなかった!!』
 俄に色めき立つ海賊船の甲板からも見えるよう、首をトントンとして見せる。
 黄昏色の瞳は、ここに鷹の如く鋭さを増して、
「さぁ、俺の首はここだぜ。――存分に夢中になれよ、なぁハニー?」
 スッと細むや塊麗の微笑を注いだ。

  †

 而してアリエが戰錨『アハ・ガドール』をブンと投げた音が鏑矢と成ったか。
 大胆にも錨冠は首領メリーの頭めがけて眞直ぐ、咄嗟に抜かれた劔先に往なされるも、鎖はグルグルとマストに巻き付くや鐵環の道を作る。
『賞金首共が来るよ。丁重にお迎えしな!!』
『イエスマム! 迎撃であります!』
 先ずは手下達がラッパ銃を撃つが、銃彈は颯然たる潮風に軌道を逸らされて命中を得ず――【海の愛し子】(ラ・メール・エデン)は不敵に麗笑を湛えた儘、赤銅と煌めく髪を靡かせて甲板に乗り込んだ!
「ここは海だ、下手な攻撃が俺に当たるかよ」
『ッッ、海に祝福された男か……!』
 これに柳眉を吊り上げたメリーは豪語して、
『でも豪運頼みじゃ海賊稼業はやってけないよ! いつか海はアンタの前で悪魔となる! ――それが今さ!!』
 弱点を指摘し、其を証明して見せんとサーベルを振り被る。
 強く踏み込んで衝き入れた鋩に手應えを得たメリーは、伝説の海賊『女海賊メアリー』を召喚して追撃を與えんとするが、急に、いや遅れて訪れた手の重みにハッとする。
 片刃劔の鋩に残る其は――、
『……ッ唯の羽織……!? じゃあ私の7,800G(と財宝)は――ッ?』
「こっちだ、ハニー」
『ッッ!!』
 刹那、精悍なテノール・バリトンを追い掛けた矢先に鋩を彈かれる。
 辛うじて残った視線は、覇気の漲るカトラス『レーシュ』を向けたアリエへと結ばれ、端整の脣を擦り抜ける科白に時を止められた。
「海への愛も、海の愛も疑うこともねぇ」
 其は常に俺の傍に、そして内に在る――と。
 波濤(なみ)の打ち寄せるように更に一撃、アリエの佳顔を玲瓏と映す弓張月の刃が、今度はメリーの手首を斬り付けたッ!

『ッッ、野郎共! こいつ等まとめてやっちまいな!!』
 ほた、と甲板に血滴を落したメリーが命じる……が、「イエスマム」の返事が無い。
 如何した事だと配下達を見れば、彼等は眞白のビーチで優美な舞を披露するナナの艶姿に鼻の下を伸ばしているではないか!
 船の縁に一列に並んだ男達は、陶然と麗人の舞踏を眺め、
『なんかもう神々しいというか尊いというか……』
『ナナちゃんって言うんだってー。どことなく雅よのー』
 それもその筈、佳人が舞い踊るは【巫覡載霊の舞】。
 神氣漂う神霊体と化したナナは、メリーに尻を叩かれた海賊達が彈く銃彈を、ひらり、ひらひら、華麗に舞いながら躱し、アリエが繋いだ鐵鎖を伝って海賊船に乗り込んだ!
『~~ッ! 私の手下を誑(たぶらか)して! アンタ達も無様ったらないよ!!』
 屈辱を受けたと齒切りしたメリーが、愛刀のサーベルを天に翳せば、穏やかだった海は忽ち悪魔となり、大きな渦動を成して津波を引き起こすが、彼女は押し流されようか。
 ――否。
 断じて否。
「この首にかかった賞金、ご存知でしょう?」
 ナナはふうわり嫣然を湛えた儘、迦陵頻伽『花嵐』を靭やかに嫋やかに振り払う。
 鳥の囀るように響いた斬撃は、神風を紡いで嵐となり、巨壁と押し寄せる津波を見事、一太刀で薙ぎ祓ッた!!
 而して煌めく飛沫だけを白皙に受け取ったナナは、メリーに振り向いて、
「わたし程度に手こずっていたら、もっと高額の賞金首を倒すなんて夢のまた夢よ?」
『く~~~~っっ!! 悔しい!!』
 と、甲板の上で地団太を踏ませるのだった。

 鐵鎖を伝って海賊船に乗り込む者も居れば、海面を渡る者も居る。
 澪は『Venti Ala』に風の魔力を纏うと、水面からの反溌力も活かして海上を駆け走り、最後の一歩は白翼を広げて大ジャンプ! 爽涼の飛沫を連れて海賊船に飛び乗った!
 他の猟兵の助けになるなら、ここは惹き付けた方が得策か。
 澪は甲板に降り立つや堂々と花顔を晒して、
「まとめて来てくれていいよ! その方が樂だから!!」
『言ッたね……! 野郎共、首だけ残してズタズタにしちまいな!!』
 船長の號令で一斉に飛び掛かる海賊達に、あわい微笑を浮かべたか――タンッと爪先を彈いた花車は高く、高く、船員の頭を足蹴にして跳躍! 群がる者は獲物を失って躓き、或いは互いに額を打ち付け合って顛倒した。
『いでーっっ!! 75,300Gは何処行った!?』
『~~ッ、ちょこざいな!! ふん捕まえてやる!!』
 甲板から起き上がった海賊達は顔を眞ッ赤にして怒るが、その頬を優しく撫でる旋律が更に感情を掻き乱そう。
「判断力を奪わせてもらうよ」
 其は美しい歌聲で船乗りを惑わすセイレーンの如き催眠術。
 甲板を自在に立ち回る筈の海賊達は、澪が紡ぐ魅惑の調べに跪き、輾轉(のたう)ち、部下の失態を屈辱と受け取ったメリーが間もなく津波を起こすが、怒りや焦燥のうねりは澪が全て捉えている。
「――冷靜でいられたら勝機もあったかもしれないのにね」
 嘆声を挟んで放たれるは【Orage de fleurs】(オラージュ・ドゥ・フレア)――!!
 澪は感情の波立ちを逸早く察するや、芳しく匂える花嵐に氷属性を付与し、せり上がる波を凍結させて不發に終わらせた!!

「よーしっ、らきちゃんも逝くよー☆」
「逝ってらっしゃーい!!」
 ばいばい、と観客に手を振った炎上系アイドル☆羅鬼は、己が『怪炎』と火薬を結んで大爆発し、爆風を推進力に海賊船へと向かう。
『お頭ッ! 空から女の子が……っ――ぉぉぉおおおお!!』
「はーい、らきちゃん惨状☆」
 跨っているのは真鍮の処刑具『ファラリスくん』。重くて硬い雄牛の像は、其の重量を甲板に叩き付けて大穴を開けると同時、凄まじい爆熱に船員を吹き飛ばした!
『ぐああああああ!!』
『んぎゃぁぁああ!!』
 甲板が俄に恐慌に陥る中、羅鬼は騒ぎに駆け付けた海賊達にニッコリと頬笑んで、
「くふふ☆ アイドルにはいつだって追っかけがつくもの☆」
『ッッ、気を付けろ!! 小さくて可愛くても賞金首だぞ!!』
「らきちゃんのそのブロマイドにサイン要る? 要る?」
『やめっ……そいつを近付けるんじゃ……ッッ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!!』
 手配書を見て顔を検めていた男が雄牛の突貫に呑まれ、ヒラ、と其を手放す。
 迎えられたのは【惨禍型☆羅鬼羅鬼楽遺負☆突ー】(クシザシノケイ)――海賊を腹に詰めた雄牛は、空洞の内部に無数の針を生やして串刺しに、鋭い絶叫を絞らせた!
 その叫喚は仕掛けを通して本物の雄牛の唸り聲のような音へと變えられ、實に雄々しく歌ってくれると、羅鬼も「参加型☆ラキちゃんライブ」に満足げに頬笑む。
 更に雄牛から絞られる鮮血はボタボタと手配書を染め、
「真っ赤なサインを☆プレゼントフォー逝ー☆ 素敵な血のバレンタインだネ!」
『ひっ、ひぃぃぃいいい……っっ!!』
 その手配書も煓々熾々と然あがる『怪炎』に焚かれ、俄に甲板に炎が広がる。
 明るく楽しく、敵船を派手なステージへと變えた羅鬼は再び雄牛を差し向けて、
「皆で愉死苦、羅逝武だネ! くふふ☆ いい声で歌ってネ!」
『はわわわわわやべぇぇええええ!!』
 而して刻下。
 炎上系アイドルに相應しい舞台が整った。

 花片の乱舞からスモーク、そしてシャボン玉と、全てのキラキラ✨演出を終えた處でペンギンのフロアディレクターが「OK, GO!」のサインを出す。
「……も、もう良い!? 行くわ……!」
 いってらっしゃいコールを背に飛び出すリーヴァルディは、もういたたまれない。
 赤面する花顔を腕に覆いつつステージを疾った可憐は、陽光を遮断する『影精霊装』を手に取って視線を遮ると、広がる闇に魔力を集めて【限定解放・血の熾翼】(リミテッド・ブラッドセラヴィー)――三対六翼の“血の翼”を羽搏かせて蒼穹を翔けた!
 然う、彼女は戰場でこそ燦然と耀こう、
「……海戰には慣れているでしょうけど、空戰は如何かしら……」
『73,500Gが空を舞って……メアリー! 何処にもいかないよう串刺しにして頂戴!』
 先に召喚された『女海賊メアリー』が刺突劔を構えるが、帆より高い位置から俯瞰するリーヴァルディの優れた視力には、敵味方の位置や姿が細部まで捉えられよう。
 其処からはメリーの豊満な胸が作る谷間もちゃあんと視えて、
「…………深い」
 きゅ、と眉根を寄せ、ぎゅっと大鎌『過去を刻むもの』を握り込める。
 リーヴァルディが一昨年の水着を全く遜色なく着られるのは、肌膚の瑞々しさは勿論、体型も殆ど變わってないからで……メリーのような豊満とは程遠くて……おまけに猟兵の仲間も魅惑のボディときたもんだ!!!
「………不公平だわ。色々と……」
 それから空中でぎゅんぎゅん加速したリーヴァルディは、複雑に張られた帆もヤードも超高速で潜り抜けながら高機動戰!! 甲板に斬り込んでは反撃の銃撃より逃れ、海上で急旋回した次の瞬間には、膂力いっぱい大鎌を振って衝撃波を乱れ撃った!!
『――ッッァアアアア!!』
『メアリーを圧倒するなんて……ッ、一体どんな力を持っているの!?』
 嫉妬か。
 ――いや、これが懸賞金73,500Gにも膨れ上がったリーヴァルディの実力!

『ッッ可怪しい……水着一枚の連中だと思ったのに、全然隙が無いなんて!』
 水着コンテストで和気藹々としたところを襲撃する。
 鎧を脱ぎ捨てた隙に賞金首をやっつける。
 周到な計画を立てて島を襲撃した筈が、全く強靭を手放さぬ猟兵に喫驚いたメリーは、更なる脅威を目の当たりにしたろう。

「立っていれば敵の方から寄って来るとは、歓待を受けたものだ」
 靭やかな筋肉を見せる脇腹に賞金額を書いた相馬には、続々と海賊が集まろう。
 金に目が眩んだ男達が曲刀や散彈銃を手に相馬を取り囲むが、鬼の怪力に振り回される獄卒の金砕錨は、凄まじい遠心力に武器を彈き、海賊達を轟然と吹き飛ばす!
「如何した。お前達が盾にならないと船が沈む」
 船員を悉く海に落とした後も、金剛錨は超旋回を止めず、
「退路は断たせて貰おう」
 と、不撓無双の【獄卒裁定】――ッ!!
 天獄の白い裁きの獄炎を纏った巨錨は、甲板をブチ抜き、帆柱(マスト)をボキ折り、二度とこの船で悪事は働かせぬと、海賊船メリー号の破壊に掛かる。
『野郎共ッッ!! たかが男一人に何を手固摺ってるんだい!!』
 これ以上は部下に任せられないと踏み出るメリー。
 彼女の鼻先を巨錨に掠めた相馬は、烱々と鋭さを増す金瞳を注いで、
「お前の緋色と俺の紺青……お前の財宝への執着と見世物にされた俺の不機嫌、果たしてどちらが勝つか」
『見世物って、それだけのルックスなら照れずに受け止めたら――』
「今から試す」
「なッッ……きゃぁっ!!』
 鼻を劓ぎ落したのでは無い。鐵鎖がサーベルに巻き付くや手から絡め取ったのだ。
 鏗鏘の音を彈いてメリーの愛刀を宙に躍らせた相馬は、歪な円を描いた後に甲板に突き刺さる其を目尻の際に組み敷き、
「全て叩き割る」
 お前も、と――。
 玲瓏の彩を研ぎ澄ます麗瞳は、内に燻る激發(不機嫌)を炎の如く立ち昇らせていた。

 時を同じくして、燦然を浴びて降り立ったオリヴィアの周りにも続々と悪漢が集まり、逃げ場を無くすよう隙間なく群がる。
 彼等は一様に野卑なる嗤笑を浮かべて、
『Dead or Alive……生死を問わず3,300Gだったよなぁぐへへへへ!!』
『生け捕りにしてやるぜェ……ふははははは!!』
 聖女の艶かしい姿態に誘われた者達が、散彈銃やカトラスを構えて次々飛び掛かるが、【トリニティ・エンハンス】――晴天に吹き渡る風と、炎々と降り注ぐ陽光、そして何処までも青い大海の加護を得たオリヴィアを穢す事は叶わない。
 彼女は縄を伝うやマストへ飛び移り、
「精霊に護られた今なら、波に揺れる船の上でも十全に戰える!」
『ッッ、上だ!! 撃てッ!!』
 間もなく迫る銃彈を黄金に輝く聖槍の穂先に往なし、白磁の肌膚の代わりに帆布を撃ち抜かせると、海賊達の手で船を破壊させた!
「何人でも来るがいい。悉く海に叩き落して遣る!」
 これにはメリーがキリキリ怒って手下の尻を叩き、
『~~~~ッ! アンタ達もあそこまで登って戰いな!!』
『イエスマム。水着だけズタズタにしてやるであります!』
 船上戰は得意だと、海賊達も帆柱を登ってオリヴィアを追うが、足場をモノにした今は槍の間合いが勝ろうか、佳人はアクロバティックに檣楼を跳び渡り、追い掛けてくる海賊達を膂力いっぱい斬り伏せ! 靭やかに打ち払い! 而して轟然と穿ッた!!
 帆柱で戰うオリヴィアの勇姿は、ビーチからも良く視えよう。
 コンテス島の住民は、彼女が颯爽と聖槍を操る度に拳を振り上げ、
「まるで翼があるみたい! かっこいいぞー!!」
「わぁすごい! 海に落ちていく海賊がまるでゴミのようだ!!」
 と、喝采の聲を上げるのだった。

「どんな装いであれ、服装は戰いに影響しないのさ」
『!? それは如何言う……』
 繊麗の指を櫻脣に寄せ、小気味佳く言ってのけるジュリア。
 花車の躯はふうわと膨れた蒸氣に覆われると、軈て本体たる器物の姿を暴いて――、
「ひとつ派手に行こう。せっかくギャラリーも集まっているんだしね!」
「――……あっ、あーっ! この漆黒に煌く巨きな鐵機は!!」
「すごい、すごーい!! 疾走するロマンだネ!!」
 島民達が湧き立つのも当然、白煙を噴いて顕現れるは蒸氣汽鑵車だ!
 名を『D110ブラックタイガー号』。ヒーローズアースでは既に旧式の黒鐵の汽車は、コンテス島に降り立つや夢と浪漫の大歓声を浴びる。
「さぁ列車が海上を通過するよ! 線路内への立ち入りはご遠慮願おうか!」
「はぁい」
「いってらっしゃーい」
 鋭く汽笛を鳴らし、進路方向に踏切結界を敷設したジュリアは、華々しいステージから発進ッ、【そして、果てなき疾走の果てに】(アンド・トレイン・ゴーン)――メリーの船まで一直線!!
『おおぉぉおお……気品があると思ったのは間違ってなかったであります!』
『感動してる場合じゃないよ! 野郎ども、あの鐵の塊をなんとかしな!!』
『ムーリー!!』
 敵船に乗り込む處では無い。
 ジュリアは轟然たる突貫に舳先ごと破砕し、船の一切合切を粉砕し、島民から大喝采を浴びるのだった。

『ッッこの船はもうダメだ! 一旦退こうじゃないか!!』
『イエスマム! 撤退であります!』
 身の危険、帆船の壊滅を感じたメリーが大聲を張り上げる。
 その手は伝聲管に伸びるや、戰闘時にも操舵を任せていた乗組員へと檄を飛ばして、
『野郎共、仕事をしな!! 新しい船を作って逃げ込むよ!!』
 目の前の賞金は惜しいが、命なくして賞金稼ぎはやってられない。
 またコンテス島を襲えば良いのだと、再起を誓って撤退しようとした時、そうはさせぬと猟兵達が追撃に掛かった!

「うーん、逞しいなー」
『!!』
 感歎を添えながら接近する輕やかなソプラノと、ソーダ水の巨人。
 イスラは鋭意建造中の巨船に【ソーダジャイアント】――海水を吸収して膨れ上がったソーダ水の巨人「そーちゃん」に抱かれるようにしてやって来ると、新しい船へ乗り込まんとするメリーを透徹の青瞳に捉えた。
「僕達の賞金額って毎日凄い勢いで変わってて、出してる方も半端ないなって思ってるんだけど、それを全部把握してるの、滅茶苦茶凄くない?」
 ぱちくりと佳瞳を瞬(しばた)くイスラに、コクコクと頷くそーちゃん。
 目下、建造中の船からも牽制の銃彈が次々と撃ち込まれるが、そーちゃんは少女を中に引き込んで損傷を拒み、且つ彼女の動きをトレースして攻撃に掛かる。
「でもその努力を実らせてあげる訳にはいかないよね」
 イスラが繊手を振り被れば巨人も腕を天に衝き上げ、而して彼女が拳を振り下ろせば、彼もまたソーダ水の巨拳を叩き付ける――ッ!!
「悪いけど、君で賞金増やさせて貰うよ!」
 船腹を強襲する其は宛如(まるで)悪魔の大海嘯。
 しゅわっと彈けるソーダ巨人は、元氣一溌! 水塊の戰槌で出来立ての船腹を貫穿し、手下の海賊達の涙ぐましい努力を文字通り水の泡と化した!

『うぇぇぇぇえん! 折角、一生懸命に作った船が……!!』
『なっ……なんてこったい!! 部下が受けた屈辱をお返しして遣るよッ!』
 ホロリ涙を流す手下を見たメリーが、吃ッと猟兵を睨め据える。
 沸々と復讐心を湧かせたサーベルが眞直ぐ猟兵へと向けられるや、彼女の怨嗟に應えた海が荒ぶり、渦動を成し、看々(みるみる)裡に大津波となって迫った――!!

「ウワ~……ワタシ賞金ガ安イカラ見逃シテ~」
『そこの棒読み! 私は1Gだって絶対に見逃さないよ!』
「…………だめかー」
 まだ舞台に居た朱鞠を、ビシリと人差し指に差し示すメリー。
 彼女の強欲と怨嗟の混じ入る殺氣に触れた朱鞠は、そこに小さな溜息をひとつ置くと、繊麗の手に印を結んで【忍法・火煙写身の術】――なんと470躰に分身した!
 これには島民も大喜びして、
「ひゃースゲー!! NINJAだ! 侍の國に居るっていうSHINOBIの技だヨ!!」
「いやいや、あれこそKUNOICHIのWAZAMAE!!」
 而して仮初の魂魄を付与された煙火の朱鞠(×470)も、決して島の住民を恐怖の色には染めぬと、輕やかにダンスを踊りながら迎撃に備える。
「粋に鯔背にいこうじゃないか!」
 華麗に踊る凄艶が其々に具すは『風狸ノ脛当』。
 其は一足で城堀を跳び渡る脅威の忍具にて、武器と装備された今は脚の一振りで疾風を紡ぎ、全員が蹴り出せば脅威の風刃と成る――ッ!
 而して不可視の鋭刃は海面を蹴立てて疾ると、巨壁と迫る大津波に衝突(ぶつ)かるや斬ッと波を切り捨て、無数の飛沫と掻き消した!!
 それだけでは無い。
「平和な島と善良な市民を餌にした咎はキッチリ償って貰うよ」
『ッッ、二撃目――ッ!!』
 キラキラと光を彈く泡沫を潜った二の撃は、建造中のガレオン船の帆柱に嚙み付くや、ヤードを千切り、帆を引き裂き、蒼穹へと垂直に伸びる木柱をボキ折ッた!!

『ダメだ、お頭!! もう逃げやしょうぜ!!』
「こらーっ、逃げるなー! 戰えー!」
 命からがら逃げようと目論むメリー海賊團に追撃を掛けるはエィミー。
 賞金首の中でも上位にランクする少女の、屈託無い金絲雀の聲は嘸かし油断させよう。
 メリーと配下の海賊達は名残惜しそうに振り向いて、
『ねぇ、なんかあの24,300Gは實はチョロいんじゃない……?』
『イエスマム。親の懸賞金を受け継いだとか……だってあんなチビッ娘ですぜ?』
 と、思ったのが大間違い。
 賞金額が実力を裏切らぬとは、幼女エィミーが浮き輪の代わりに持ったガトリングガン型メガリス『Black・Breaker』オルトロスの猛々しい咆哮が證左(あかし)しよう。
「ヒャッハー! 悪い海賊は消毒だー!」
『あああああ!! 容赦ねぇぇえええ!』
 一縷の慈悲なく、寸毫も躊躇わず銃爪を引く。
 然う、強者とはこうでなくては強欲の海は渡れまい。
 凄まじい砲圧に月白の艶髪を戰がせた可憐は、赫緋の麗瞳に朱に広がる惨憺を映すと、【引き寄せる怪力を振るう姫君】(カタストロフ・オブ・アトラクション)――ッ!
 “黒き破壊者”に屠られた海賊たちを凄まじい呪力に引き寄せると同時、巨大な肉団子海賊砲彈を形成し、其を装填して一氣に蹴散らした――!!
「無限の肉彈砲彈だよーっ!」
『やばばばばぐああああ!!』
 無尽無限に給彈・装填・発射・排莢を繰り返すオルトロスに死角は無し。
 これに慌てたメリーが翳影に隠れるも、錨型メガリス『White・Breaker』ケルベロスが巨大化して遮蔽物を破壊し、諸有る逃げ場を潰していく。
 漸う船が壊される様子は、ビーチ沿いに集まった島民にもよく見えて、
「エィミーちゃん、もっとやれー! 豪快で気持ちいいぞー!!」
「ありがとー! がんばるねー!」
 手をぶんぶんと振り返すエィミーの笑顔は、年相應に純朴で愛らしかった。

『……っ、ぶはぁっ!! こいつ等、マジで強いぶくぶくぶく……!!』
『ハァハァ、もう全滅でありますごぼぼぼぼぼぼ……――!!』
 海賊船メリー号は撃沈。
 新たに建造した船も悉く賞金首に破壊・沈没させられた女海賊メリーと彼女の配下は、敗者にはとことん嚴しい海に揉まれ、ごぶごぶと水を飲んで沈みゆく。
『くっそー! もう一度、もう一度来てやる!! 今度こそ賞金ゲットするからね!!』
『イエスマム。また連中の水着姿を拝んでやるであります……!!』
 最早、怨嗟の聲は海上で賞賛を浴びる猟兵達には届くまいが、メリー達は恨み節を泡沫と零しながら昏く冷たい海底へ――必ずや雪辱を果さんと誓って消えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月15日


挿絵イラスト