羅針盤戦争〜勝利を求めし最強の天使
●舵輪島
海から浮かび上がるような感覚に、目蓋を開ければ空が見える。それは見慣れた青い空。
「よもやこの俺が海戦で敗れようとはな」
七大海嘯『舵輪』ネルソン提督が海で船ごと沈み意識が途絶えた後、自分の拠点である舵輪島で傷一つ無い身体で目覚めていた。
「侮っていた訳ではない。万全の備えを以って戦った。猟兵はそれを上回ったというだけの話だ」
ならば再び海戦を挑んでも結果は同じ。沈んだ空母を上回る船をすぐに用意出来るはずもない。
「海戦で勝てぬなら、この地で決戦しかあるまい――」
起き上がったネルソン提督は命令を待って整列する天使の軍勢を見渡した。
「天使共、敵はすぐにでもこの地に来るだろう。最早戦術では覆せぬ差が彼我にある。ならば最後の手段しかない。最大戦力による最大火力をぶつける――」
ネルソン提督が軍勢に向かって歩き出すと、天使達が粒子となって吸い込まれていく。全ての天使を自身の肉体に融合し、キャバリアを彷彿とさせる純白の決戦形態(トラファルガー・モード)へと変貌した。
『我々は義務を果たさなくてはならない。そう――勝利という名の義務を』
●グリモアベース
「諸君、七大海嘯『舵輪』ネルソン提督の拠点である舵輪島が見つかった。決戦の時だ」
バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)がそう告げると、猟兵達に緊張が走る。
「海戦で敗れたネルソン提督は、島での決戦を望んでいるようだ」
既に多くの船が沈み、海で戦うだけの戦力を喪失しているのだ。
「だが油断はするな。追い詰められたネルソン提督は、天使の軍勢を自らに融合し、決戦形態(トラファルガー・モード)という最強のオブリビオンと呼べるほどの強化を行っている」
決戦形態となったネルソン提督は死ぬまで痛みを感じず、あらゆる状態異常を無影響化する特殊能力を持っている。
「どのような攻撃でも痛みを感じず、状態異常を受けてもその悪影響を無効にする能力のようだ。それと諸君よりも早く行動し必ず先制攻撃をしてくる」
3つの特殊能力を持つ強敵となっている。船で戦っていた時よりも純粋な戦闘力は遥かに上がっている。
「如何にして先制攻撃を凌ぐかを考え、強力な決戦形態を貫く火力を用意しなくてはならん」
七大海嘯との決戦だけあって求められる水準は高い。
「戦術に優れた戦士が、形振り構わず戦うのは怖ろしいものだ。しかし諸君は今までも強敵との戦いを乗り越えてきた」
真剣な顔で攻略法を考える猟兵を見渡したバルモアが舵輪島へと続くゲートを開く。
「最強のオブリビオンだと称するならば、それを破り猟兵の力を知らしめてやれ!」
最強に挑む猟兵達は力強く頷き、必ず勝ってみせると闘志を胸にゲートを潜った。
天木一
こんにちは天木一です。羅針盤戦争です。
舵輪島で決戦形態(トラファルガー・モード)となったネルソン提督との決戦となります!
このシナリオは、1章だけで完結する戦争シナリオとなります。
強敵ですので難易度は高めとなります。
ネルソン提督は天使と融合し、白い天使型キャバリアのような形態となっております。体高5mほどです。
死ぬまで痛みを感じず、あらゆる状態異常を無影響化します。(喰らうが悪影響を受けません)
敵のユーベルコードの先制攻撃と決戦形態(トラファルガー・モード)」に対処するとプレイングボーナスを得られます。
ネルソン提督の撃破に成功すると、舵輪の支配下の島の一つ『エンゼルリング島』が解放されます。
複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページかタグにて。
ネルソン提督との決戦です! 全力を尽くし最強のオブリビオンを打ち破りましょう!
第1章 ボス戦
『七大海嘯『舵輪』ネルソン提督』
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POW : 天使の銃
自身の【肉体に吸収融合した天使の軍勢】を【敵に応じた『天使武装』】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD : 聖守護天使
【手から現れる天使達】で攻撃する。[手から現れる天使達]に施された【瞳を覆う聖なる帯】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ : 天使槍兵団
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【舵輪の脚から現れた天使達が放つ光の槍】で包囲攻撃する。
イラスト:シャル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
月白・雪音
…天使の軍勢を自らに集めましたか。
あの形態、少なくとも軍勢一つを相手取るに等しい戦力を有するのでしょう。
此処よりは掛け値無しの全力、ということですね。
…されど、死地において痛みを忘れる。
それはこの上ない愚策となりましょう。
初撃に対しては野生の勘、高速思考力にて天使の動きを予測
アイテム『氷柱芯』を一体に巻き付けてそのまま振り回し、敵そのものを武器に天使を一掃する
初撃を凌げばUC発動
野生の勘、見切りにて攻撃を予測し残像の速度で撹乱しつつ、怪力、グラップル、部位破壊にて
関節などの身体動作の要にあたる部分を徐々に破壊
自らの消耗に気付かず体勢を崩せば、
頭部に怪力、2回攻撃を交えた最大威力の拳打を叩き込む
才堂・紅葉
「これが最終戦ですか。気合の入った姿は好みですよ」
赤の塗料で戦化粧し、迷彩外套を翻して蒸気バイクに跨る
・先制対策
あの天使達は余りに危険だ
蒸気バイクのニトロギミックで奴目掛けて推力移動
勢いのまま「機構召喚符」で召喚した「金剛石式鎖鋸」をもって、早業で天使達を薙ぎ払う
天使達の反撃は野生の勘と見切り、そして操縦テクニックと気合で凌ぐ
大事なのは、帯の封印を解かせる時間を削る事だ
「痛み無き肉体と言えばゾンビでしょ? ゾンビと言えばチェーンソーよね!!」
痛みに怯まぬならバラバラにすればいい理屈だ
反撃にUC発動
紋章を輝かせて金剛石を超重力で六方晶金剛石に錬成
「ロンズデーライトの輝き、その身に受けなさい!!」
●決戦形態
ひらりと季節外れの雪がひとひら落ちるように、ふわりと月白・雪音(月輪氷華・f29413)が暑い日差しの降り注ぐ舵輪島に足を踏み入れる。
「……天使の軍勢を自らに集めましたか。あの形態、少なくとも軍勢一つを相手取るに等しい戦力を有するのでしょう」
その視界には、逃げも隠れもせず堂々と猟兵を待ち構えるキャバリアのような5mにもなる巨大な純白の天使――決戦形態となったネルソン提督の姿があった
「此処よりは掛け値無しの全力、ということですね」
その溢れ出る圧倒的なオーラは、離れていても感じられる。
「……されど、死地において痛みを忘れる。それはこの上ない愚策となりましょう」
対抗策を練りながら、雪音は高速思考で敵の動きを予測する。
『現れたか、猟兵』
すぐにネルソン提督は自らのテリトリーに現れた猟兵に気付く。
『見敵必殺。征け天使よ。封印を解き敵を討て』
そして真っ直ぐ右手を伸ばして、光と共に目隠しをした天使達を生み出した。天使達はその聖なる帯を解くと、瞳から眩い光を放ち、輝きを槍に変え一斉に翼を羽ばたかせて雪音へと飛翔した。
「さあ、来なさい」
対して雪音は無手で構え、胸に突き入れられる槍をくるりと回転するように躱し、すぐに次の天使の首を刎ねるように振り抜く槍を屈んで避ける。休みなく今度は上から槍を突き下ろされるが、野生の勘でぞくっとする殺気を感じて雪音は屈んだ勢いのまま地面を転がって回避した。そして【薄氷帯】を槍を振るって隙を見せた天使に巻き付け、跳ね起きながら引っ張って振り回し、天使そのものを武器にして周りの天使を薙ぎ払った。
「初撃は凌ぎました。ここからは反撃と参ります」
天使達を退け道を作ると、雪音はユーベルコード『拳武』を発動する。ネルソン提督に向けて駆け出し、素早い動きで残像を残して攪乱する。
『強化した天使共も抜けてくるか、ならば俺の手で葬ってやろう』
ネルソン提督は右腕の手甲から光の刃を伸ばし、迫る雪音へと低く一閃する。しかしその像が乱れ消えてしまった。
『残像か』
「力ではそちらが上でしょう。しかし戦いは力だけで決するものではありません」
跳躍した雪音が伸ばしきった敵の右腕の肘に拳を打ち込む。
「圧倒的力は技術の差など容易く覆す」
しかし構わずにネルソン提督は右腕を切り返した。
「ならば我が武をその身で試してみますか」
それを雪音が舞い落ちる花びらのように受け流し、着地すると踏み込んで懐に入ろうとする。しかしその眼前に左腕が銃となって突きつけられた。
「ああ、試してみよう」
放たれる光線が身を捻った雪音を掠め、直撃しなかったが余波だけで軽々と吹き飛ばした。さらに薙ぎ払われていた天使達が大した傷もなく眼帯を巻いて消耗を抑えて舞い戻り、ネルソン提督の周囲に展開する。
「これが最終戦ですか。気合の入った姿は好みですよ」
飛び去った光線のエネルギーをビリビリと肌で感じ、才堂・紅葉(お嬢・f08859)は身の内から熱く溢れる闘志に体を震わせ笑みを浮かべた。
「あの天使達は余りに危険ですね」
赤の塗料で戦化粧を施し、迷彩外套を翻して蒸気バイクに跨る。その視線はネルソン提督を守ろうとする天使達に向けられた。ただの雑魚ではない。その一体一体がこちらを殺せるだけの戦闘力を秘めていると紅葉は強さを読み取っていた。
「先にあの天使達をどうにかしないと勝機はありませんね」
紅葉はアクセルを全開にして、ニトロギミックを起動する。飛ぶように急加速したバイクが突っ込んだ。
『天使共、次の敵だ。出迎えてやれ』
天使達が紅葉の進路上に集まり、瞳を覆う帯を取ろうとする。
「封印を解く時間を与えない!」
【機構召喚符】で召喚した金剛石式鎖鋸を手にし、すれ違いながら回転する刃を振るって天使達を薙ぎ払った。力が封じられている天使を駆動する刃が切り裂く。そのままバイクを旋回させ、次々と天使に鎖鋸で襲い掛かる。そうして邪魔者を追い払うと、紅葉はネルソン提督へとバイクを向ける。
「痛み無き肉体と言えばゾンビでしょ? ゾンビと言えばチェーンソーよね!!」
痛みに怯まぬならバラバラにすればいい理屈だと、紅葉はユーベルコード『六方晶金剛石式鎖鋸』を発動し、鎖鋸を持つ手の甲に浮かぶハイペリアの紋章を輝かせ、刃の金剛石を超重力で六方晶金剛石に錬成する。
『天使の力を発揮させぬよう機先を制したか、やはり戦上手だな。だがこの姿となった俺は強いぞ』
ネルソン提督が右手の光刃を横薙ぎにし、バイクに乗って突っ込んで来る紅葉の胴を両断しようとする。しかし紅葉は後輪を滑らせバイクを横向きにして傾けスライドさせると、刃の下を通り抜けバイクを蹴って跳躍する。
「ロンズデーライトの輝き、その身に受けなさい!!」
唸りを上げる鎖鋸がネルソン提督の胴を抉り、六方晶金剛石の刃がガリガリと脇腹の装甲を削っていった。
「この決戦形態の装甲を削るとはな、怖ろしい切れ味だ。しかし俺を倒し切るには足りん」
ネルソン提督が返す光剣を閃光のように薙ぐと、紅葉は咄嗟に鎖鋸で受け止める。しかしそのインパクト時に衝撃波が起こり、地上のバイクごとふっ飛ばされた。
「足りないのであれば、力を合わせて足せば良いだけです」
駆け戻った雪音が、膝裏に体当たりのように肘を撃ち込みネルソン提督の姿勢を崩す。そこへ正面に回り込んで跳躍すると下から突き上げるように頭部に拳を打ち込み、仰け反らせたところで高く上がって上から拳打を叩き込む。しかしその必殺の一打は光剣によって防がれた。
「一度でダメなら何度でもやってやるわ!」
敵の注意が逸れている隙に、態勢を立て直した紅葉がバイクで丘を飛んで突進し、先と同じ脇腹に鎖鋸で切りつけ、装甲の傷を深くした。
「もう立て直したか。しぶとい奴だ」
紅葉へと視線が向いた隙に、雪音は敵の腕を蹴ってもう一度拳を打ち出し、顔面を捉えてひびを入れた。
「見事なものだ。だが今の俺の力はさらに上を行く!」
ネルソン提督が跳躍し、真下の地面に向けて左腕の光線を放つ。視界全てが白く染まるような爆発を起こして紅葉と雪音を纏めて吹き飛ばした。そして散っていた傷を負った天使達が戻り、ネルソン提督を守るように周囲を飛び回る。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
杼糸・絡新婦
最終決戦で巨大化か、嫌いやない展開。
痛みを感じないてのはな、
危ない状態も気付かんてことやで、。
鋼糸・絡新婦で【フェイント】をいれながら
【捕縛】するように絡みつき行動阻害、
巨体をあえて足場にしたりしてこちらに意識をむけさせつつ、
周囲の状況を観察し提督と天使達の立ち位置を【情報収集】
【鎧無視攻撃】の効きやすい場所を探してみる。
敵へのこちらへの先制攻撃や他猟兵への攻撃を【かばう】形で受け止めたり
敵の先制攻撃は【見切り】でタイミングを図り脱力して受け止め、
オペラツィオン・マカブルを発動させる。
排し、返せサイギョウ
リーヴァルディ・カーライル
…決戦形態、最強のオブリビオンね
確かに真っ向から闘えば苦戦は必至でしょう
…だけど生憎、私は戦士でも無ければ騎士でも無い
お前が強大な力を得たならば、それを利用して狩るだけよ
第六感を頼りに敵の微弱な殺気や闘争心を暗視して見切り、
今までの戦闘知識から最適な動作で攻撃を受け流し、
大鎌を武器改造して鏡の魔剣化し敵の姿を写しUC発動
…軍人のお前なら色々と情報を集めているはず
…だから問いましょう。七大海嘯の拠点の座標は?
敵と同じ能力を持つ偽物を召喚して闘わせている隙に、
自身は存在感を消して敵の死角から切り込み、
魔力を溜めた魔剣から闇属性攻撃の斬撃を乱れ撃つ
…完全な模倣は無理だけど、お前を討つのに不足は無いわ
●己に返る力
「……決戦形態、最強のオブリビオンね。確かに真っ向から闘えば苦戦は必至でしょう」
眩い光の爆発を目にしたリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、その圧倒的な戦闘力にまともに戦うのは危険だと悟る。
「……だけど生憎、私は戦士でも無ければ騎士でも無い。お前が強大な力を得たならば、それを利用して狩るだけよ」
冷徹にグリムリーパー【過去を刻むもの】を構え、間合いに入ろうと踏み出した。
『天使共、全力を以って仕留めよ』
ネルソン提督が命じると、天使達は眼を覆う帯を取り外し、光を宿す瞳でリーヴァルディを見つめた。そして光の槍を手にすると一斉に高速飛翔して襲い掛かる。
「……どれだけ速くても、その身から発する殺気や闘争心よりも遅い」
槍よりも先んじて肌を刺すような殺気を感じ取り、リーヴァルディは敵の攻撃を読んで回避行動に入る。右に左にと大鎌を振るって突っ込んで来る天使を受け流し、周囲から一斉に振り抜かれる槍は跳躍して躱し、空中に向けて躱しようのない振り下ろしは大鎌で受け止め、その衝撃で後退することで間合いを離した。しかし天使達はすぐさま襲い掛かり、一瞬の油断が命取りとなる防戦が続く。
「最終決戦で巨大化か、嫌いやない展開」
杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)が巨大な天使型キャバリアと化した姿を見上げて微笑む。
「やけど痛みを感じないてのはな、危ない状態も気付かんてことやで」
そこに勝機があると絡新婦は鋼糸【絡新婦】を周囲に伸ばし蜘蛛の巣のように張り巡らせた。
『伏兵か、無駄な事だ。天使の軍勢はまだまだこの内に在る』
振り向いたネルソン提督が絡新婦に気付き、手を伸ばして新たな天使の軍勢を放った。飛ぶ天使達は目隠しを外し光の槍を構えて加速する。
「完全に上から目線やね。その驕りが身を滅ぼすんよ」
絡新婦は突っ込んできた天使を糸で絡め取り動きを封じていく。しかし天使も光の槍を振るって糸を薙ぎ払うが、幾重にも張り巡らされた蜘蛛の巣のように、数本糸が切られても全てを切断されずに拘束する。
『蝶を捕える蜘蛛の糸か、しかし俺の軍勢は蝶ほどか弱くはないぞ』
それを見てもネルソン提督は動かずに天使に任せたままにしている。糸に絡まれた天使達は、自らの体が傷つくのも厭わず、強引に動いて槍を振るい絡新婦に襲い掛かかった。
「痛みが無いからって強引過ぎやね」
手足が切断されても天使は戦闘を続けるが、既に絡新婦は天使の身体のあちこちに糸を巻き付けていた。槍を振るう勢いで、天使はバラバラになって消え去った。
「そやからこんなことにも気づかへん。糸いうんは長いもんなんや。見えへんとこまで届くくらいにな」
絡新婦の伸ばす糸が地を這い、リーヴァルディを攻撃する天使の元へと届いていた。
「油断大敵ってやつやね」
糸を引くと天使達がまとまって絡まり、同士討ちするようにぶつかり合った。
「……助力に感謝を。この機に攻めに転じましょう。貴女の剣を借りるわ、プレア」
天使の猛攻を凌いだリーヴァルディは、途切れた連撃の合間に手にした大鎌を鏡の魔剣へと変化させる。そして鏡の魔剣の刃にネルソン提督の姿を写し込んでユーベルコード『代行憑依・鏡像の魔剣』を発動した。すると偽物のネルソン提督が召喚される。
「……軍人のお前なら色々と情報を集めているはず。……だから問いましょう。七大海嘯の拠点の座標は?」
『尋ねられれば答えると思ったか? 元より尋問されようとも味方を売るような軍人はいない』
リーヴァルディが質問をするとネルソン提督は毅然と答えるのを拒否した。その拒否によってユーベルコードは効果を発揮し、偽物のネルソン提督が本物に向けて偽天使の群れを放った。
『俺の偽物だと? 面白い。どれほど真似できているか、試してやろう』
ネルソン提督は天使を呼び戻し、互いの天使が槍を合わせ空中戦を演じ始めた。
「今がチャンスやね」
絡新婦は敵の意識が偽天使に向いている間に、ネルソン提督を観察して装甲の薄そうな場所を探る。
「あの脇腹にある傷、あそこが狙い目やね」
先んじて仲間が付けた鎖鋸の傷を狙おうと動き出し、糸をネルソン提督に巻き付け動きを拘束しようとする。
『こそこそと無駄なことを。その程度の糸では俺は止められん』
糸を引き千切りネルソン提督は手を絡新婦へ向け、真っ直ぐに矢のように放たれた天使達を差し向けた。構える光の槍が、脱力して棒立ちになる絡新婦の体を次々と刺し貫く。
「ちょっかいかけたらユーベルコードで攻撃してくれる思うてたで」
ユーベルコード『オペラツィオン・マカブル』を発動し、絡新婦は受けたエネルギーを吸い込むように無効化した。
「排し、返せサイギョウ」
そして消えたエネルギーが【からくり人形:サイギョウ】から放たれ、何体もの天使の幻影が光の槍を携えてネルソン提督へと飛翔する。
『くだらん』
右手の光剣で払い落し、槍が当たっても装甲を少し傷つける程度で弾かれる。
「効かへん思とるやろうね。でも本命はこれや」
しかし、その内の一体が死角から近づき、狙い定めて脇腹の傷口に深く突き刺した。
『お前にも俺の力を真似する能力があったのか、しかし模倣は模倣。俺を倒すには至らん』
ネルソン提督は刺さった槍を無造作に抜き捨て、絡新婦へと左腕の銃口を向ける。どれだけのダメージを受けても痛みを感じずに平然としていた。
「……完全な模倣は無理だけど、お前を討つのに不足は無いわ」
そこへ注意が外れた隙に存在感を消して近づいたリーヴァルディが跳躍して飛び込み、魔力を溜めた魔剣を振るい左の肩口に刃が深く入る。刀身から放たれる闇の波動によって切れ味を増し、着地までに乱れ打つ斬撃がネルソン提督の身体の装甲を幾重にも斬り裂いていった。
『痛みのないこの状態に、多少のダメージなどあってないようなもの』
ネルソン提督は負傷を気にせずに左脚を後方に振り上げ、着地するリーヴァルディをボールのように蹴りつける。
「それはちょう危ないなあ」
そこへ後方から絡新婦が振りかぶった敵の脚に糸を巻きつけ、引いて蹴りの威力を弱めようとしていた。しかし糸が食い込みながらも構わず思い切り蹴り抜かれ、大鎌で受け止めようとしたリーヴァルディが蹴り飛ばされる。さらに糸に引っ張られた絡新婦の体も放り飛ばされた。
『贋作では真作に敵わん』
ネルソン提督は右腕の光剣を一閃し、自身の偽物を両断して消し飛ばし、偽天使達も天使との対消滅で消し去った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
白斑・物九郎
●WIZ
ワイルドハント、白斑物九郎
白い天使を狩りに来た
●対先制
・『モザイク状の空間』を散布(投擲+なぎ払い)し、視認性減衰、回避率増を(迷彩)
・光槍の複雑機動の着弾点を【野生の勘】で察知し回避専心(ダッシュ)
・回避困難と見た光槍は、特に致命的そうなものから優先し得物の魔鍵で【ジャストガード】敢行
●反撃
・今現在の戦闘行為のみならず、提督がこれまで「対猟兵」として実施して来た行為全て(空母運用やコンキスタドールによる賞金首制度等)も「敵対行為」にカウントし自己強化
・回復代わりに天使をフリントロックピストルで射る(生命力吸収)
・提督は海賊装から無尽に具現するカトラスで遮二無二刺突斬撃!(暴力+蹂躙)
非在・究子
た、天使と、融合、して、さ、最終形態に、変身、か……お、お前、そういうことやって、巨大化、するのは、な……ま、負けフラグって、やつだ、ぞ。
あ、相手の、先制攻撃、は……は、【ハッキング】で、あ、アタシ自身の、当たり判定を、ごまかす。こ、攻撃の、合間を、抜ける、ぞ。だ、ダメそうなら、『ボム』を、切って、無敵時間で、耐える。
ゆ、UCを、起動、して、魔砲少女、モードに、なったら、飛行しつつ、ひたすら、魔砲の、火力を、叩き込んで、いく、ぞ。す、スーパーアーマーは、うざいが、だ、ダメージ、無効では、ないんだ、ろ? 【学習力】で、相手の、攻撃パターンを、抑えつつ、落ちるまで、やって、やる。
鞍馬・景正
天使の洗礼、確と頂戴した。
次は此方が攻め込ませて頂きましょう。
◆
馬に【騎乗】し、同時に疾走。
木々や岩陰など遮蔽物になりそうなものを目指します。
敵の攻撃間隔や速度に応じ、加減速や蛇行、または【第六感】を澄まして被弾を避けつつ、多少の衝撃は甲冑の【結界術】で防御。
敵の射線から外れた瞬間に飛び降り、夙夜はそのまま走り抜いて囮になって貰いましょう。
その隙に【蛇之麁正】にて式神を具足のように纏い、【天候操作】で霧を呼び寄せ視界を晦ませつつ接近。
【空中戦】を挑みましょう。
痛みを感じず、異常を無効にする――結構、我が太刀は死を届けるのみ。
そのまま【怪力】を乗せた一閃で、その首か四肢のいずれかでも【切断】を。
●天使狩り
『次の相手はお前か』
ネルソン提督が顔を向けると、新たな猟兵が堂々と正面に立った。
「ワイルドハント、白斑物九郎。白い天使を狩りに来た」
白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)が名乗りを上げ、【モザイク状の空間】から巨大な魔鍵を引き抜いて構えた。
『俺を狩るか……言うは易く行うは難し。力を示してみろ』
ネルソン提督が右手から伸ばす光剣を掲げると、島にある巨大な舵輪の脚から天使の群れが現れ、一斉に光の槍を投げた。それは空で分裂し、まるで光の雨のように降り注ぐ。
「目ん玉ひん剥いてよーく見やがれ!」
啖呵を切った物九郎は、モザイク状の空間を空中に散布して視界を遮り、その陰に隠れるように動き回って槍を躱す。
「さぁて、口では軽く言ってみたものの、こいつはかなり厄介っスね」
逃げ場のない程の槍が背中や脚に掠り始め、物九郎は直撃コースの槍を魔鍵で弾いて防ぐ。しかし防ぐ事で足が遅くなり、さらに槍は狙いを鋭くして放たれた。
「て、天使と、融合、して、さ、最終形態に、変身、か……お、お前、そういうことやって、巨大化、するのは、な……ま、負けフラグって、やつだ、ぞ」
非在・究子(非実在少女Q・f14901)はよくあるゲームのボスらしい変身に、これは勝ったなと確信する。
「あ、相手の、先制攻撃、は……は、ハッキングで、あ、アタシ自身の、当たり判定を、ごまかす。こ、攻撃の、合間を、抜ける、ぞ」
究子は空から降り注ぐ光の槍をシューティングゲームの弾幕と認識し、アシストツール【Q】を使用してハッキングを仕掛けて自身の当たり判定を少なくし、自分を自機と認識して携帯ゲーム機で操作して弾幕の中をすり抜ける。しかし弾幕は前に進むほど厚くなり、光の槍が収束して回避不能な極太レーザーのように放たれた。
「か、回避できない、攻撃は、ク、クソゲーの、証拠だ、ぞ」
究子はシューティングゲームの【ボム】を使い、光線を打ち消す無敵時間で耐える。しかしレーザーは長く残り、最後の部分が消えずに地面にぶつかって爆発を起こし、範囲から逃げ出す究子を巻き込んで吹き飛ばした。
光の槍を放ち続けていた天使達は、全ての力を付き果たしたように粒子となってまた巨大な舵輪の脚へと戻っていく。
「天使の洗礼、確と頂戴した。次は此方が攻め込ませて頂きましょう」
仲間達が天使の攻撃を凌いだのを見た鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)は、愛馬【夙夜】に乗って駆け出す。
『ふん、天使共の攻撃の途切れたタイミングを狙っていたか』
ネルソン提督は左腕を優美で長大なライフルに変え、銃口を向けて高速光弾を放つ。それを景正は速度の強弱や、木々や岩陰の遮蔽物を使って視界から姿を消して躱す。しかし光弾は遮蔽物を粉砕し、どんどんと逃げ場が失われていく。
「もう少し、行けるな!」
景正が声をかけると、夙夜がブルルッと気合を入れるように鼻を鳴らし、ぐんっと速度を上げて敵に向かった。
『少し躱した程度で調子に乗るな』
銃口を下げてネルソン提督が大きな光弾を放つ。すると地面に着弾して爆発が起こり、大穴が開いて土塊が巻き上がって道が塞がれた。その土煙の中から明後日の方向に馬が走り去る。
『逃げたか? ……いや、そんな甘い考えが通じる敵ではない』
ネルソン提督は走り去る馬から視線を切ると、土煙を突っ切って人影が現れる。それは結界術で身を守りながら強行突破した景正の姿だった。
『あれは囮か』
すぐに意図を察したネルソン提督は、銃口を向けて光弾を撃ち出す。
「反撃の準備は既に整っている」
景正はユーベルコード『蛇之麁正』を発動し、式神を具足のように纏って跳躍して光弾を躱しながら、霧を呼び寄せ視界を塞ぎ姿を眩ませた。
『姿を隠したか、ならばこちらが一方的に攻撃できる位置取りをすればいいだけのことだ』
ネルソン提督は翼を広げて空に舞い上がる。そして霧の範囲から出て地上を見下ろす。すると同じように霧を突破して目の前に景正が迫った。
「飛べるのは貴様だけではない」
『ちっ、いいだろう空中戦で決着をつけてやる!』
右の光剣を振り下ろし、ネルソン提督は景正を両断しようとする。しかし宙を蹴るように景正が回り込み左側面を取った。
「痛みを感じず、異常を無効にする――結構、我が太刀は死を届けるのみ」
間合いを詰めると、景正は敵の首を狙って【濤景一文字】を一閃した。
『死だと? 死など元より怖れてはいない。俺が怖れているのは勝利という使命を果たせないことだけだ!』
その一刀をネルソン提督は銃となっている左腕で受け止める。刃が装甲に食い込み勢いを弱めるが、景正が全力で押し切って左手首を切断した。銃身が手に戻って地面へと落下していく。
『鋼よりも硬い装甲を断つとはな。いいだろう、手の一つくらいくれてやろう。だがお前の命は貰う』
ネルソン提督は右腕の光剣を袈裟斬りに身体を断ち切る勢いで振るう。それを景正は刀で受け止めるが、押し切られ左肩を斬られ地上へと叩き落とされた。ドンッと爆発するような音が響いて地面に穴が穿たれる。
『止めを刺しておくか、仕留められる時に確実に数を減らしていくのが戦場の鉄則だ』
ネルソン提督は景正を追って地上に出来た穴に向かって降下する。
「なら既にその鉄則は破綻してる。まだ俺めは生きているからな――」
地上では物九郎が待ち構え、ユーベルコード『亡霊船長式喧嘩極意』を発動した。
「提督、今まで随分と猟兵に敵対してたみたいだな。そのカウントの分だけ、俺めは強くなる!」
ネルソン提督が行った猟兵に対して行った敵対行為に比例して物九郎は戦闘力を増し、海賊装に変身するとカトラスを手に跳躍して斬り掛かった。その一撃をネルソン提督は光剣で受け止めた。しかし物九郎の力は想定を超え、剣が押されてカトラスの刃が頭の装甲を削った。さらに物九郎は遮二無二に叩きつけるような斬撃を繰り返す。
『この力、ユーベルコードによるものか』
ネルソン提督は近接戦は不利と見て、カトラスを受け流すとすぐに再上昇して空中に上がる。
「『ラジカル・エクステンション! 魔砲の力でなんでも壊決! ラジカルQ子、ただ今、惨状!』……こ、この決めセリフ、毎回、言わないと、いけないの、か」
ユーベルコード『魔砲少女ラジカルQ子』によって魔砲少女に変身した究子は、飛行して敵の頭上を取ると魔砲形態にコンバートした【ゲームウェポン】を装備して砲門を向ける。
「ま、魔砲で、撃ち落として、やる、ぞ」
究子は特大のビームを放ってネルソン提督を地上へと押し戻す。
『ふざけた相手だが、火力は本物だ』
ネルソン提督はオーラバリアを張って攻撃を防ぐが、ビームを受け続けているとすぐに破られるほどの火力に回避行動へと移行する。
「スーパーアーマーは、うざいが、だ、ダメージ、無効では、ないんだ、ろ?」
究子は追いかけながらビームを連射し、回避パターンを覚えて先読みした位置にビームを放って命中させた。
『今のは――こちらの動きを読んでいるのか、ならばこれでどうだ!』
反転したネルソン提督が一気に接近し、究子に斬撃を浴びせる。それをギリギリで降下して究子は回避した。
「あ、危なかった、ぞ」
冷や汗を掻きながらも、究子はこんなピンチはゲームでは日常茶飯事だと、相手の攻撃パターンを目に焼き付ける。
「相手の、攻撃パターンを、抑えつつ、落ちるまで、やって、やる」
究子は回避と攻撃を繰り返し、本当にシューティングゲームをやっているように、一進一退の攻防を演じる。
『しつこいやつだ。ならばこれを喰らえ!』
ネルソン提督が切断された左腕を、短い銃に変えショットガンのように細かな光弾を放射した。それに被弾した究子が落下する。
「この身は天使で出来ている。よっていくらでも変形が可能だ」
それを追ってネルソン提督は急降下して追いかける。しかしその視界がモザイクによって塞がれた。
『これは先ほどの奴か』
「戦闘力が高くなり過ぎて、戦い方が雑になってるっスよ」
物九郎がフリントロックピストルを発砲して敵の右翼を撃ち抜く。
「ここで白い天使を狩ってやりまさァ」
そしてバランスを崩して降下したところへ飛び込んで、カトラスを突き入れ腹を刺し、さらに滅多打ちにするように斬撃を浴びせた。
「確かにその通りだ。この力は大き過ぎてな、まだコントロールが甘い」
ネルソン提督が斬り返して刃と刃をぶつけて押しやり物九郎との距離を開く。
「だから圧倒的なパワーで粉砕するとしよう」
左腕の銃口にエネルギーが集まり、無数の光弾がシャワーのように放出された。接近を許さぬ弾幕が視界を塞いだ。
「これ以上は危険だ。一度退こう」
仕切り直しだと穴から這い出た景正が、力を振り絞って刀を薙いで光を切り裂き、その隙に猟兵達は射程外へと逃れた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
最後は策をかなぐり捨てて、真っ向勝負で来たか
フン…私としても、そちらの方が好みではあるな
装備アイテムで天使達を迎撃
天使達の群れに乱れ撃ちで弾幕を張って撃ち落とす
接近してくる天使はデゼス・ポアの刃で次々となぎ払っていく
ダッシュで自分の位置を変えて、天使達に捕まらないように上手く立ち回りながら攻撃を行う
やはり、そう簡単には届かんか…
では、私も此処で命を懸けるとしよう
UCを発動
リミッター解除を行い、全力の念動力を拳に乗せた限界突破の一撃を叩きつける
痛みを感じずとも無敵ではないなら、その身体を打ち抜く事は必ず出来る
この技は天使から与えられた聖剣の名を由来とする…
お前に相応しい技だろう?
グロリア・グルッグ
爽やかイケメンな提督殿に引導を渡すとしましょう。
海に生きるもの風に言えば『ここが潮時』ってやつですね。
自前のキャバリアに乗り込んで参戦します。
このまま戦うのではなく、敵の先制攻撃を凌ぐためのデコイとしてキャバリアを用います。
敵の天使が放つ光の槍のいくつかをミサイルで相殺しつつ、爆炎に紛れるようにしてコックピットから緊急離脱。
早業でUCを展開し、敵の攻撃を軽減する機械天使の姿へと変身しましょう。
そのまま槍の雨を掻い潜りながらダッシュし、プラズマブーツの機動力を活かしながら提督目掛けて突撃です。
騎兵の突撃は覚悟をキメてなんぼのごり押し戦法なので、一撃当てれば勝ちの精神でぶちこんでやりましょう!
●強敵
『掛って来い猟兵。我等の力で撃砕してやろう』
あちこちにダメージを負ったネルソン提督は、負傷を全く気にせずに天使の軍勢を新たに生み出し、正面から猟兵が向かって来るのを待ち構える。
「最後は策をかなぐり捨てて、真っ向勝負で来たか」
それを見てキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は獰猛な笑みを浮かべた。
「フン……私としても、そちらの方が好みではあるな」
その天使の軍勢を前にしても一歩も引かぬと、キリカは【VDz-C24神聖式自動小銃”シルコン・シジョン”】と【強化型魔導機関拳銃"シガールQ1210"】を左右に構えて踏み出した。
『征け、蹂躙せよ!』
命令を受けた天使達が、瞳を覆う帯を解いて力を解放し、光の槍を手に空から強襲する。
「これだけ飛んでれば、どこを撃っても当たりそうだな」
空を見上げたキリカは乱れ撃って弾幕を張り天使達を迎撃する。翼に弾丸が当たった天使が撃ち落とされるが、被害など構わずに天使は突っ込んで来る。
「接近戦は任せた」
キリカが人形の【デゼス・ポア】に声をかけると、ポーチから飛び出たデゼス・ポアは空中に舞い、全身から生える錆びた刃で近づく天使を切り裂いた。しかし天使の群れはまだまだ分厚い陣を敷いて立ち塞がる。
「爽やかイケメンな提督殿に引導を渡すとしましょう。海に生きるもの風に言えば『ここが潮時』ってやつですね」
グロリア・グルッグ(はお金が好き・f00603)は【量産型キャバリア改『ニトロパルス』】に乗り込み、空を覆うような天使の軍勢に守られるネルソン提督へと視線を向けて辿り着くルートを計算する。
「どのルートでも天使に阻まれます。強行突破は困難……ですが何とか天使の猛攻を突破しなくてはなりませんね。なら意識の隙を作りましょう」
作戦を決めたグロリアがキャバリアを前進させると、すぐにこちらに気付いた天使達が光の槍を空から投擲する。
「来ました。ミサイルで迎撃します!」
迫る槍をミサイルの一斉発射で迎撃し、空中で爆発を起こす。しかしその中を突破する高速の槍は、キャバリアを掠めて装甲を抉る。
「やはり全ては防ぎ切れませんか。ですが作戦通りの展開です」
ミサイルの派手な爆炎で視界が塞がれている間に、グロリアはコックピットから緊急離脱を行い、外に飛び出るとユーベルコード『心無い天使』を発動する。その身が真の姿である機械天使へと変身し、巨大な機械式騎兵槍を手に疾走を始めた。その後方では光の槍に貫かれたキャバリアが爆発する。
『撃破したか……いや、まだだ! 総員一斉射!』
爆炎から飛び出してくる機械天使のグロリアに気付いたネルソン提督が急ぎ指示を飛ばす。光の槍が雨のように降り注ぐが、既に最高速度まで加速されたグロリアはそれを掻い潜って突撃した。
「騎兵の突撃は必殺の一撃!」
覚悟をキメてグロリアは飛ぶように突っ込み、一撃を当てれば勝ちの精神で強引に光の雨の中を被弾しながら駆け抜ける。
『ちっ、弾幕を抜けられたか。ならば俺の手で葬ってやる!』
対してネルソン提督は右手の光剣を伸ばし、上段に構えてタイミングを計って振り下ろす。それは真の姿のグロリアですら一刀両断にするだけの威力がある。
「この程度でビビッてたら騎兵は務まりません!」
騎兵槍の切っ先を敵に向けてグロリアは地を蹴って限界を超えてさらに加速し、両者一歩も引かぬ一撃が放たれる。
先に当たったのは騎兵槍の一撃。ネルソン提督の腹を貫き穴を穿っていた。しかし痛みを感じぬネルソン提督の一刀も止まらずに振り下ろされ、グロリアの左肩を深く抉っていた。先にランスチャージを当てたことで、敵の姿勢を僅かに崩し剣筋がずれていた。
『……俺の予測を上回ったか、だが勝つのは俺だ!』
ネルソン提督は腹を貫かれたまま、左手の銃口をグロリアの胸に当てて光線を放ち、その体を吹き飛ばして腹の槍を引き抜いた。
「いいや、勝つのは私たち猟兵だ」
天使の群れを振り切ったキリカが敵の意識が逸れている隙に跳躍して飛び込み、至近距離から銃弾を連射して腹の穴に撃ち込む。内部から弾丸が傷口を広げるが、ネルソン提督は構わず左の銃身でキリカを払い落した。
『その程度の豆鉄砲では俺の体は傷つけられん』
ネルソン提督が右手の光剣を天に伸ばし、消し飛ばそうと振り下ろした。
「やはり、そう簡単には届かんか……では、私も此処で命を懸けるとしよう」
両手の銃を放り捨てて受け身を取ったキリカは、跳ね起きてユーベルコード『デュランダル』を発動し、リミッター解除を行うと全力の念動力を固めた右拳に乗せた。
「痛みを感じずとも無敵ではないなら、その身体を打ち抜く事は必ず出来る」
下から飛び上がりながら放つ信念の籠った一撃は、高エネルギーの光剣を突っ切り振り下ろした姿勢の敵の顔をカウンターで打ち抜いた。
「この技は天使から与えられた聖剣の名を由来とする……お前に相応しい技だろう?」
キリカが眼前でどうだと笑ってみせると、衝撃が伝わり既にあったネルソン提督の顔のひびが広がり右目が砕ける。
『右の視界が塞がったか、だが問題はない』
ネルソン提督は片目を失っても動じずに、掬い上げるように下からの斬撃を浴びせた。それをキリカは念動力を纏った腕で受け止めるが、衝撃で高々と放り上げられて飛んでいく。
『天使共、我が傷を塞げ』
戻ってきた天使達が粒子となり、ネルソン提督の右目と腹の傷に入り込む。見かけ上の傷は溶接されたように歪に塞がるが、ダメージは残ったままで目の機能も戻らない。
「決戦形態の俺がここまで手こずるとはな。猟兵とはやはり侮れん強敵だ」
強敵だと再認識して警戒しながらも、どこか楽し気にネルソン提督は次の猟兵の出現を待った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
霧島・絶奈
◆心情
愉しみましょう
◆行動
…どれを五倍にしようとも無駄です
【Evolution】に搭乗
先制攻撃対策として【オーラ防御】を展開
更に【罠使い】として持ち込んだ「白燐発煙弾」を【衝撃波】に乗せて周囲に散布
散布後にキャバリアをパージ
【空中浮遊】で足音を消しつつ【目立たない】様に回避行動
敵の位置は「赤外線センサー」と【聞き耳】を立て捕捉
『獣ノ爪牙』にて呼出した軍勢と共に【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で其々が【二回攻撃】
痛みを感じない故に煙幕内では攻撃位置を特定不可能
そして數の齎す火力は特筆に値します
是が貴方が破棄した【集団戦術】です
負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
秋月・信子
●POW
キャバリアサイズとなる最終形態…
ジャイアントキャバリアとも言えるこの姿は不退転の証であり、同時に元の姿に戻らない現れなのでしょうね
ですが、それは私達も同じです
この戦いも勝たせて頂きます
ピースメーカーの機動性では相手の先手を許してしまうでしょう
でしたら、この盾を利用して一計を案じます
機体を隠す程の大盾の影を利用して、影の【残像】を形成
爆炎の中で【盾受け】し続ける影を囮とし、それに気を取られている隙にバーニアを全開にして躍り出ます
痛みを感じない
ですが、その身体に宿る天使達を喪う気持ちは…どうなのでしょうか
ハンディマシンガンの【制圧射撃】による『浄化の魔弾』
その身体に宿る力、削がせて貰います
●死闘
「キャバリアサイズとなる最終形態……ジャイアントキャバリアとも言えるこの姿は不退転の証であり、同時に元の姿に戻らない現れなのでしょうね」
量産型キャバリア【HCM-74『ピースメーカー』】に搭乗した秋月・信子(魔弾の射手・f00732)は、モニター越しに敵を見てもう元には戻れはしないだろうと推測する。
「ですが、それは私達も同じです。この戦いも勝たせて頂きます」
不退転の覚悟で信子はキャバリアを前進させた。
『ほう、こちらと同じサイズの人型兵器を用意したか。面白い、俺が直接相手をしてやろう』
ネルソン提督は左腕の銃を光の粒子に変えて改造し、ガトリング砲へと変化させた。束なった銃口が高速回転して次々と光弾が発射される。
「ピースメーカーの機動性では避けようがありませんね。ですがそれは想定内です」
最初から避けられるとは思っていなかった信子は、機体を隠せるほどの大型の盾を構え光弾を受け止める。盾が甲高い音を立て、どんどんとへこんでいく。その衝撃に機体も少しずつ後退していた。
『どうした、動けんのか? ならばそのまま盾ごと粉砕してやろう』
ばら撒かれる銃撃の嵐が収束して盾を貫こうとする。
「海で戦った時よりも遥かに強化されているようですね」
その猛攻を見て霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は、海戦の時とは比べ物にならぬ個人戦闘力を得ていると判断した。
「しかし此処で倒しきればもう復活はしないはずです。最後の死闘を愉しみましょう」
微笑んだ絶奈は【Evolution】に搭乗して敵側面から接近する。
『そちらからも人型兵器か、だが二機で掛かろうとも無駄だと教えてやる』
それに気づいたネルソン提督は、右腕の光剣を変形させて大型ライフルに変形させる。銃口に光が集まり、威力を5倍にした特大の光弾が放たれた。
「威力を上げましたか……ですが、どれを五倍にしようとも無駄です」
絶奈はキャバリアを球状のオーラで包み回避運動を取る。その直後に光弾が通過し、オーラを抉って左腕をもぎ取っていった。さらに銃口が絶奈を狙うと、辺りに白い煙がもうもうと上がって視界が塞がれる。
「視界が塞がれれば、射撃武器は早々当たるものではありません」
被弾した機体で絶奈は白燐発煙弾をばら撒き、自らの姿を隠していた。
『煙幕か』
構わずネルソン提督は光弾を発射するが、煙に穴が穿たれてもすぐに充満して視界が塞がれる。
『小癪な真似をする。では次はどんな手を見せてくれる?』
ネルソン提督は面白そうに僅かに声を弾ませ、盾に当たる音がしなくなった左の銃撃も止めた。
『ここは海が近い。風が強く煙は長くは持たん。晴れる前に動かなければ俺の一撃がお前達を仕留めるぞ』
煙を見通すように、ネルソン提督は隻眼となった左目を凝らす。すると黒い影が見えた。
『そこか!』
左のガトリング砲を撃ち出すと、黒い影は消し飛ぶ。しかし命中音がしないのを疑問に思い攻撃を止めた。
「残像に引っ掛かりました。この隙に一気に仕掛けます」
影の残像を囮にした信子は、キャバリアのバーニアを全開にして敵の近くに躍り出る。
「痛みを感じない。ですが、その身体に宿る天使達を喪う気持ちは……どうなのでしょうか」
『そちらが本命か!』
ネルソン提督が銃口を向けようとするが、それよりも速く信子はユーベルコード『浄化の魔弾』を発動し、ハンディマシンガンから浄化の力が籠められた魔弾を連射した。次々に命中する魔弾は、装甲には傷一つ付けず、その内に宿る邪悪な天使の力を削っていった。
『これは? 霊的な攻撃か!』
自身のエネルギーが減っていくのに気づいたネルソン提督は、右のライフルを信子に向けた。キャバリアを木っ端微塵にできる高エネルギーが充填される。
「言ったはずです。無駄だと――」
声が頭上から聴こえネルソン提督が見上げると、そこには機体を降りてふわりと宙を浮いて音もなく接近した絶奈の姿があった。
『兵器を捨てて忍び寄ったか!』
ネルソン提督が左の銃口を向けようとしたが、既に絶奈はユーベルコード『獣ノ爪牙』を完成させていた。展開する屍の砲兵が一斉に砲撃を行い、側面から敵を爆撃した。それに合わせて絶奈も左右に持った剣と槍を振るい、斬撃の衝撃波を浴びせる。そうしている間に信子は射線から逃れていた。
『ちっ、陽動か!』
ネルソン提督は先に大きな兵器に乗る信子を仕留めようと移動しながら銃口を向けるが、連続して命中する砲撃が邪魔をする。
『この霧の中をどうやって正確に当てている?』
左のガトリング砲を連射して霧の中にばら撒くが、殆ど屍兵に直撃した気配はない。
「痛みを感じない故に煙幕内では攻撃位置を特定不可能。そして數の齎す火力は特筆に値します」
煙に身を隠した絶奈が、背後から斬撃を浴びせる。振り向けば、脚と止めたところに砲弾が飛び込む。
「この好機にその身体に宿る力、削がせて貰います」
信子も連携して動きながら魔弾を撃ち込み、敵の力の源である融合した天使の数を減らしていく。
「是が貴方が破棄した『集団戦術』です」
攻撃しながら絶奈が声を掛けて注意を引き、敵の意識を攪乱させて的を絞らせない。
「術中に嵌ってしまったか。見事な戦術だ。俺をやり込めた事を誇るがいい。しかし、勝利は俺が手にする!」
翼を展開してネルソン提督が空に舞い上がる。そして左右の銃を前で合わせて巨大ライフルと化し、強大なエネルギーを集めた。
「あれは……この辺りを更地に変える程のエネルギーが溜められています」
「拙いですね、距離を取りましょう」
この場所にいるのは危険だと、信子と絶奈はすぐに移動を開始する。
『もう遅い。消し飛べ』
放たれる光が地上を貫き、世界が白く染まるように閃光が広がって大地を焼き払った。
手足がもげてぼろぼろになった信子のキャバリアが離れた位置まで吹き飛ばされ、同じように全壊して転がるキャバリアに絶奈も咄嗟に戻って難を逃れていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リダン・ムグルエギ
行くわよニコ(f02123)!
ニコの車に改造を施し
自分も防具改造した服を着て車の上に乗って行くわ
うあああああ!映画感あるけど風強い!
振り落とされないようにしないと
天使を侍らせるイケオジなんて中々いないわよね
得意の幻惑は通じないけど、ニコと一緒にきちんと撮ってみせるわ
天使達とすれ違いざまに
その聖なる帯をミシンや針で縫い付け封印解除を封じていくわ
ピカピカ輝くキャバリアも呼んで陽動しつつ
その様子を撮影&万魔電で異世界へ放送しながら実況するの
こんな大スペクタクル、中々ないでしょう?
きっと視聴率は稼げるハズ!
巨肢に踏みつけられても、映像の面白さと満足感で攻撃を無効化してみせるわ
さぁ、ニコ、やっちゃって!
ニコリネ・ユーリカ
リダン隊長(f03694)、舵輪発見です
涼し気な目元が素敵なオジサマかと!
👼先制対策
防具改造で装甲を強化したFloral Fallalに乗り
向い来る天使を巧みなドラテクで躱すか
攻撃を物理的に緩衝、魔法諸々は各種耐性と根性で堪える!
むぐぐー!
🦦決戦形態攻略
提督は無痛なだけで攻撃は通る筈
キャバリア風の巨躯に車ごと突貫した後
ルーフトップから脱出して敵の足元を強襲!
私は第六の猟虎
襲い掛かる巨肢をスイスイ躱し
手に持ったラッコの石を怪力いっぱい叩き付ける
どんな固い貝をもぐちゃぐちゃにする海の猟師の力で鎧砕き
らいらいらいらいらぁーい(おたけび)!
今際までダメージ蓄積量が実感できない危うさを教えてあげる!
●大スペクタクル映画
『思った以上に猟兵が入り込んでいるな。天使共、見敵必殺だ。猟兵を見つけ次第撃滅しろ』
高エネルギーを放出したネルソン提督は更地となった大地に着地すると、天使の群れを出して迎撃を任せ、停止してエネルギーチャージを始めた。
「リダン隊長、舵輪発見です。涼し気な目元が素敵なオジサマかと!」
「天使を侍らせるイケオジなんて中々いないわよね、行くわよニコ!」
改造を施した愛車【Floral Fallal】を運転するニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)が大きな敵を見つけると、その車の上に乗ったリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)が改造服を纏い巨大なイケオジを指さす。
「了解です!」
ニコリネがアクセルを強く踏むと、突風がリダンの髪を後方に流した。
「うあああああ! 映画感あるけど風強い!」
思った以上の向かい風に、リダンは振り落とされないように前傾でバランスを取った。すると近づく車に反応して、瞳を覆う帯を解いて力を解放した天使達が一斉に手に光の槍を持って襲い掛かって来る。
「リダン隊長、天使の群れの襲撃です!」
「このまま突っ込んで! ニコならできるでしょう?」
「任せてください!」
リダンが窓から顔を覗かせてウインクすると、張り切ったニコリネはハンドルを強く握って天使の群れへと車を突進させた。
天使達が容赦なく槍を突き入れると、ニコリネはハンドルを切って回避する。しかし天使は波状攻撃によって次々と襲い掛かり追い詰められていく。
「流石ニコ、やるわね。ならこっちもしっかり撮ってみせるわ」
アトラクションのようなカーアクションと天使の攻撃を、リダンはスマホ【万魔電】で撮影し、臨場感ある映像を異世界へと実況込みで放送する。
「ライブ動画よ! 現在、天使を侍らせるイケオジとバトル中! 大スペクタクルアクションよ!」
ネルソン提督の顔が映ると、すぐにその動画再生数といいねが上昇を始めた。
「天使達の妨害を突破して、イケオジまで辿り着いてみせるわ!」
盛り上がるように実況を入れながら、リダンは妨害する天使に一瞬の早業で針を使い、天使が持つ帯を顔に縫い付けて封印を施してしまった。しかし天使の数は多く、装甲を強化してある車が被弾して傷ついていく。
「むぐぐー!」
ニコリネは必死にハンドルを操作し、右に左にと車が傾くような運転を繰り返す。更地は走りやすくドライビングテクニックを最大限に発揮できる。だがそれにも限界がある。車には穴が開き、煙を上げ始めた。
「ぬ、ぬぬーー! 根性ーーー!」
一瞬が命取りとなるレースを車の性能と運転技術、そして最後に根性で天使の猛攻を凌いで走り続ける。
「ここで助っ人登場といくわ!」
リダンが宣伝特化のキャバリア【スター・オブ・シェル】を呼び出し、ピカピカと輝かせて陽動する。それに釣られて天使の部隊が分かれ、車への攻撃が弱まった。
「チャンス!」
ニコリネはアクセルをベタ踏みして、車を真っ直ぐネルソン提督の元へと走らせる。多少の攻撃は装甲で誤魔化し距離を詰めた。
『騒がしい。先の人型兵器ならともかく、そんな車で俺と戦うつもりか?』
ネルソン提督はエネルギーを充填させ、猟兵を乗せた車へと右腕の巨大ライフルを向けた。光が集まり、大きな光弾が放たれる。
「ニコ! 最後の難関よ!」
「お任せを!」
屈んでしっかり車に掴まったリダンの呼びかけに返事をして、ニコリネはハンドルを思いっきり切って戻して車をドリフトさせ、光弾の射線から逃れながら敵に近づくルートを描く。通り過ぎる光弾はその熱量だけで車の側面と、リダンの纏う改造服を焼く。それに耐えながら、長く感じる一瞬を過ぎて車は何とか走り続けていた。
「やった! このまま突撃ー!」
最も危険な攻撃を潜り抜けたニコリネは笑顔を浮かべ、敵の足に突撃して衝突した。衝撃でタイヤが外れて転がり、車が動かなくなる。
「再生回数も『いいね』も爆上がりよ! 囮は任せて!」
ご機嫌にリダンは車を飛び降り、敵の注意を引き付けるように上を見上げて撮影しながら動き回る。
『何がしたいのか知らんが、鬱陶しいぞ』
ネルソン提督はその様子にイラっとして、巨大な脚を上げて踏み潰す。しかしユーベルコード『トレンドストリーマー・GOATia』によってリダンは映像の面白さと満足感で攻撃を無効化して平然としていた。
『なんだ? 俺は悪夢でも見ているのか?』
ただただ楽しそうにこちらを撮り続けるリダンにネルソン提督は困惑した。
「今のうちにっと……」
リダンが気を引いている間に、ニコリネはドアが変形して開かなくなった車のルーフトップから脱出し、ユーベルコード『第六猟虎』を発動する。
「私は第六の猟虎――」
ラッコの特性を得て、敵の右足へ手に持ったラッコの石を思い切り叩きつけた。すると明らかに足の装甲の方が硬いはずなのに、石ではなくネルソン提督の足にひびが入った。
『ん? そこにもまだ居たか』
叩きつけた音からニコリネに気付いたネルソン提督は、無造作に踏み潰そうと歩く。しかしニコリネはまるで海を泳ぐようにスイスイと躱しながら、何度も石で足を叩く。
「どんな固い貝をもぐちゃぐちゃにする海の猟師の力で鎧砕きよ。今際までダメージ蓄積量が実感できない危うさを教えてあげる!」
痛みを感じないネルソン提督は石で何度叩かれようとも、子供の児戯のようなものだと危機感を覚えていなかった。
「らいらいらいらいらぁーい」
可愛らしい雄叫びを上げ、ニコリネはリズムに乗るように石を振るってガンガンとぶつける。
『鬱陶しい。そんなものでは俺に傷一つ付けられんぞ』
ネルソン提督は足元へ、左腕をショットガンに変えて銃口を向けた。しかしその銃口をニコリネに向ける前に、ちょこまかと動きまわって撮影をするリダンが視界に入る。
『どちらも鬱陶しい。消えろ』
ネルソン提督が先に狙い易い位置に居たリダンへと光弾の散弾を発砲する。
「さぁ、ニコ、やっちゃって!」
それを受け止めながら、リダンが声援を送った。
「これで、終わりよ!」
ニコリネが全力で石を叩きつける。すると幾つも入っていた小さなひびが繋がり、大きなひびに変わってネルソン提督の右足がビキビキと音を立てて砕け散った。
『何だと!? 莫迦な! そんな小さな石で俺の足を砕いたというのか?』
バランスを崩したネルソン提督は片膝をつき、驚いて己が失われて右の足首から先を見つめた。
「これがラッコの力よ!」
「やったわね! 再生数がとんでもなく上がってるわ!」
ニコリネとリダンが作戦が成功したとハイタッチして喜び合う。
『まさかこのような手で俺に膝をつかせるとはな。猟兵とはこちらの想像を上をいく奇想天外な存在だ』
ネルソン提督が翼を広げて浮かび上がる。さらに天使達も戻って周囲を囲んだ。
『しかしどんな相手であれ勝利を掴むのが俺の義務だ』
両腕の銃口が地上に向けられ、光弾が連射されて地上に無数の穴を穿つ。
「面白い映像は撮れたし長居は無用よ!」
「脱出ー!」
リダンとニコリネは一目散に逃げ出し、光の雨の起こす爆発に宙を舞いながら離脱した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エミリオ・カリベ
【ドヴェルグ】
※グループ内での連携・アドリブ歓迎
決戦形態……
強敵だけれどみんなで力を合わせて頑張ろう。
まずはみんなの力を集結させた多重障壁を展開。
【高速詠唱】【多重詠唱】【全力魔法】【オーラ防御】【結界術】【各種耐性】
更には【世界知識】と【占星術】で星の配置を読み、障壁の力を最大限引き上げる。
【限界突破】の魔力を注いで先制攻撃からみんなを守ってみせるよ。
守り切れたらいよいよ反撃だね。
僕は引き続き障壁を維持してみんなを【かばう】けれど、それだけじゃないよ?
提督の攻撃を防ぎつつ、隙を見て禁書の封印を解く(UC発動)。
刻まれたUCは当然……
天使たち、歪められてしまった偉大な提督に再び安らかな眠りを。
日野・尚人
【ドヴェルグ】
提督さ?
状態異常の無影響化は厄介だけど、痛覚の喪失は逆に危ないぜ?
ともあれ先制攻撃対策だ!
俺たちはリオ(f07684)を中心にみんなの力を合わせた多重障壁を展開。
俺も<全力魔法><オーラ防御><受け流し>を上乗せする。
凌ぎ切ったら反撃開始!
あーちゃん(f06524)と<手をつなぐ>・・・ユ、ユーベルコードの為な!?
(あーちゃんとポーラ(f06947)、それにみんなも俺が守る!)
よーし、全力全開っ!行くぜっ!
<ダッシュ>で接近しつつ<力溜め>。
勢いも乗せて<2回攻撃><零距離射撃><鎧無視攻撃><部位破壊>。
狙いは関節、頭部に胸部。
痛くなくてもここを潰されたらタダじゃ済まないだろ!
ユスミ・アルカネン
【ドヴェルグ】※グループ内での連携・アドリブ歓迎
天使まで奪っちゃうの…?
貴方はどこまで罪深いの…
皆が守ってくれる…、それならボクは戦いの準備をします
「氷の精霊よ、その躰に剣を宿せ、数多な刃となって彼の者を斬り伏せよ…」
《全力魔法》の【氷葬】を詠唱をして、氷の《属性攻撃》をする精霊を喚び出します
凌いだ…、戦いが始まる…
展開した【氷葬】で後衛から皆の後を追います
限界数まで出した氷剣を操って、ゆかりさんや尚人さんの与えた傷口へ突き刺します
関節や傷口に何本も氷剣を突き刺せば、きっと動くのも辛くなるはず
光の槍は氷で屈折させて狙いを逸らし、飛び交う天使は斬り伏せて数を減らします
リーンハルト・ハイデルバッハ
【ドヴェルグ】の皆様と共に
愛用のキャバリア『ガイストリヒェ』に搭乗して参戦
「故郷の外で対キャバリアを想定した戦いを致しますとは。ええ、昂ってございます」
相手方の先制攻撃に際して【結界術】を用いて結界を構築
カリベ様の構築された結界を補強するようにいたします
「私も魔術に縁のある者、結界は必須技能でございますれば!」
相手方の攻撃をしのいだら【空中浮遊】して反撃開始
『朝嵐』による中長距離からの【制圧射撃】を行います
他の皆様の行動を阻害せず、またネルソンの意識を私に向けられるよう、攻撃を絶やさずに
皆様との連携を取って行動
頃合いを見て攻撃力重視で『弾丸』を発動
「この大きさの動く敵は大いに慣れております!」
クリストフ・フロイデンベルク
【ドヴェルグ】
成程、天使との融合か……くくく。
(何か悪い笑みを浮かべている)
しかし多重障壁とは考えたな?
ならば私の魔力(【時間稼ぎ】効果のある【オーラ防御】)も貴様(エミリオ)にくれてやる。
確と凌ぎ切ってみせるのだ!
とはいえ全くの無傷とはいかないだろう。
ならば負傷した者には……
(流血を代償にUCを使用。自らの手の平を短剣で突き、流れ出た血を負傷者へピピッと飛ばす)
安心するが良い、これで暫くは負傷しても勝手に傷が癒える。
さて、私の役割は果たした。
後は高みの見物と洒落込ませてもらおうか。
(と言いつつ近くに居るユスミへ攻撃が来たら【かばう】)
ふん、目の前で小娘に倒れられては寝覚めが悪いというだけだ。
ミュゲット・ストロベリー
【ドヴェルグ】のチームで参加。
チーム内での連携やアドリブは歓迎よ。
天使……ミュゲの霊剣の最初の獲物としてはこの上ないわ。
先制攻撃をふせぐために、エミリオ達の障壁を【結界術】で援護するわ。
先制の一撃を凌いだらミュゲは攻撃に転じるわ。
……ん、お前のターンはこれで終わり。ここからはミュゲ達のターンよ。
なるべく遠距離から雷の【属性攻撃】を使った【衝撃波】で少しでも敵を削るわ。
チャンスがあれば【空中浮遊】で少し距離を詰めて、ミュゲのとっておき【霊王の神装(ミストルティン)】で一気に叩くわ。
擬似神装・code : Mistilteinn、展開、起動。
いいかげん……沈みなさい。
霧鵺・アギト
【ドヴェルグ】
チーム内での連携、アドリブ歓迎。
天使と融合か…。
きっと傲慢な奴なんだろうな。
こちらも本気でいかせてもらおう。
まずは敵の攻撃に備えて、カリベ君の展開する障壁を【結界術】で補助しよう。
これだけ皆の力を注いでいるんだ、簡単に打ち破られては困ってしまうな。
厳しそうなら【全力魔法】で更に結界強度を上乗せだ。
敵の攻撃の手が弱まった隙を見て反撃開始。
前衛の仲間の攻撃を援護する形で【指定UC】発動。
これだけ巨体ならどこを狙っても当たるんじゃないかな?
痛覚が無いなら倒れる時にしまったとでも思うが良いさ。
まあ、その時は既に手遅れだろうがな。
リリウス・テイケー
今回の決戦もまた【ドヴェルグ】の仲間と共に。
キャバリアに乗ってぶつかり合いたいような相手であるが……持ち合わせがなくて残念だ。
先制攻撃には皆が防御を構築済み。
私は必要に応じて仲間たちを『かばう』なり、天使達の迎撃を行おう。
スライムモードの私は人形から『投擲』されて割り込んだり体当たりできる。
体の形状を変えて動きを阻害したり、相手が複数ならそのまま次の相手に突撃したり。
そのまま【バウンドボディ】で、跳ねる勢いや触手での妨害を加速だ!
『忍び足』『目立たない』『フェイント』も駆使して私の軌道は読ませないよ。
おや、属性付与とはありがたい。もう少し派手に暴れようか!
……あれ、コレもしかして武器扱い?
村崎・ゆかり
【ドヴェルグ】
ご機嫌よう、ネルソン提督。天の御使いでも気取りたいの?
「全力魔法」「オーラ防御」「範囲攻撃」を乗せた「結界術」をリオの結界に重ねて防御を強化。
初手を凌げば、後はリオ達に任せて提督を叩くのみ。
摩利支天九字護身法で「オーラ防御」を纏い、提督の手から湧き出る天使達を「衝撃波」で「なぎ払い」ながら前へと進む。
多少の負傷は覚悟の上。
提督の元まで辿り着いたら、人体の急所に当たる部位を「串刺し」にするわ。
痛みがないなら、どこをどう損傷したかも分からないはず。無痛覚の弱点ね。
尚人や仲間の動きを見て、自分の立ち位置を考えて。いざとなれば尚人の盾になる覚悟も出来てるわ。
さあ、天使は天へと還りなさい!
アイシャ・ソルラフィス
チーム【ドヴェルグ】で参戦
ユスミちゃんのお義母さんからよろしく言われてるから、ボクらが守ってあげなくっちゃ!
ポーラちゃんも協力してくれる?
敵の先制攻撃に対するエミリオくんの結界を《全力魔法》《祈り》で強化
尚くんと手を繋いでUC発動…って尚くんどうしてお顔が赤いんだろ?
《電撃耐性》を持ってるリリウスさんに、ボクが《属性攻撃》で雷属性を付与するから、ビリビリボディでやっちゃえ~!
状態異常は無影響化できても、五感の無影響化はできないよね? 《全力魔法》《属性攻撃》《多重詠唱》《高速詠唱》で雷撃を生成して連続投射!
その眩しさと派手さで、尚くんとゆかりさんの接敵を気付かれないよう注意を引くよ!
ポーラリア・ベル
【ドヴェルグ】で参加
わぁー!おっきい!大天使様なのね!
状態異常がどうとかわかんないけど、冬を告げにきたよ!
先制対策:
えみりおに防いでもらうの!
【属性攻撃・氷】のプリズムな氷の盾を結界に重ねて強化して、相手の光攻撃を分散、和らげてみる!
危ない時は【残像】で躱してみるね。
攻撃:
今回の冬は皆の追い風(サポート)
【エレメンタルファンタジア】で、氷の嵐を起こすよ!
皆の攻撃を加速させる様な追い風と、天使を吹き飛ばす氷の暴風で皆を攻撃する天使さんをドカーンしちゃう!
光の槍に対しても嵐で作った氷の槍で、やたらめったらに相殺して、攻撃なんて当てさせないんだから!
●みんなの力
「決戦形態……強敵だけれどみんなで力を合わせて頑張ろう」
エミリオ・カリベ(星空と本の魔法使い・f07684)は『空中工房ドヴェルグ』の仲間達を見渡し、みんなと一緒なら大丈夫だと自信を持つ。
「天使と融合か……」
全ての天使の力を手にした敵がどんな相手だろうかと、霧鵺・アギト(叡智を求めし者・f32015)は少ない情報から推測する。
「きっと傲慢な奴なんだろうな。こちらも本気でいかせてもらおう」
配下をただのエネルギーとしか考えていない傲慢な敵だと判断し、容赦なく叩き潰そうと決めた。
「天使まで奪っちゃうの……? 貴方はどこまで罪深いの……」
ユスミ・アルカネン(Trollkvinna av Suomi・f19249)は大量の天使を吸収して巨大化したネルソン提督へと視線を向ける。その悲しそうな目は相手の犯してきた罪が見えているようだった。
「ユスミちゃんのお義母さんからよろしく言われてるから、ボクらが守ってあげなくっちゃ!」
そんなユスミを心配そうに見るアイシャ・ソルラフィス(隣ん家の尚くんを毎朝起こす当番終身名誉顧問(願望)・f06524)は、ここに居ないユスミのお義母さんの分もしっかり守らなくてはと意気込む。
「ポーラちゃんも協力してくれる?」
「うん! いっしょに守ってあげようね!」
アイシャのお願いをポーラリア・ベル(冬告精・f06947)は二つ返事で了承し、フェアリーの小さな体で元気一杯に飛び回った。
「成程、天使との融合か……くくく」
天使と融合した敵を見て、クリストフ・フロイデンベルク(堕ちた聖職者・f16927)は普段通り何か思いついたような悪い笑みを浮かべている。
「天使……ミュゲの霊剣の最初の獲物としてはこの上ないわ」
ミュゲット・ストロベリー(ふわふわわたあめ・f32048)は初めての依頼でも、見知った仲間達と共に挑むこともあって落ち着いていた。
「まずは敵の先制攻撃に対処しよう。みんなの力を集結させるよ」
占星術で星の配置を読んだエミリオが、最も強固となる位置や形を考え音頭を取って基礎となる皆がすっぽりと入る大きめの障壁を張った。
「よーし! 全力で先制攻撃対策だ! リオに力を合わせるぜ!」
気合を入れた日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)は、エミリオに魔力を合わせて全力で障壁を張り重ねる。
「そうだな、カリベ君の展開する障壁を結界術で補助しよう」
「……ん、ミュゲも結界術で援護するわ」
アギトとミュゲットも魔力を障壁に込めて、層を何層も厚くして防御力を高める。
「リオの結界に重ねて初撃を凌げるようにしないとね」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)も得意な東洋呪術を用いて、全力で結界の防御力を強化して強固で緻密な守りを築く。
「ボクもエミリオくんに魔力を送るね……」
祈るようにアイシャは神聖の宿る力を送って結界を強化する。
「えみりおに防いでもらうの! それと……」
ポーラリアも魔力を渡して、氷属性のプリズムの氷の盾を結界に重ねて、光属性の攻撃を分散させる効果を付与した。
「これで光攻撃を和らげてみる!」
一つでも多くの手を打とうと、ポーラリアは結界に工夫した。
「カリベ様の結界は見事なものでございますな」
黒いキャバリア【ガイストリヒェ Sn-V】に搭乗したリーンハルト・ハイデルバッハ(黒翼のガイストリヒェ・f29919)は、エミリオの構築した結界を読み取る。
「私も魔術に縁のある者、結界は必須技能でございますれば!」
そして補強するように魔力を流し、結界の強度を高めた。
「キャバリアに乗ってぶつかり合いたいような相手であるが……持ち合わせがなくて残念だ」
仲間のキャバリアを羨ましそうに見ながら、からくり人形に抱かれたスライムモードのリリウス・テイケー(自称悪くないスライム・f03261)は、障壁に力を注いで防衛陣地の構築を手伝う。
「しかし多重障壁とは考えたな?」
成程とクリストフは感心し、複数人数で組み上げる形式の多重障壁を見上げた。
「ならば私の魔力も貴様にくれてやる」
エミリオに魔力を渡し、多重防壁がまた分厚く形成される。
「確と凌ぎ切ってみせるのだ!」
そのクリストフからの激励にエミリオは笑顔で返し、集中して障壁を丁寧に構築していく。
「皆が守ってくれる……、それならボクは戦いの準備をする……」
仲間達の障壁があるならば大丈夫だと信頼し、ユスミは魔力を練ってユーベルコードの詠唱に入る。
「氷の精霊よ、その躰に剣を宿せ、数多な刃となって彼の者を斬り伏せよ……」
魔力が高まると『氷葬』を発動し氷の精霊を喚び出し、いつでも反撃できる準備を整えた。
「みんなの力が合わさったこの障壁なら、きっと防げる!」
エミリオの言葉に仲間達も頷き、皆の力を合わせた最大規模の多重障壁が強固に展開された。
●光
『ほう、それで俺の攻撃から身を守るつもりか。ならば防ぎ切れるかどうか確かめてやろう』
面白そうにそれを見ていたネルソン提督が天使の軍勢を空に展開する。猟兵の守りの準備が整うと同時に、上空の天使達が一斉に光の槍を投下する。それは何本にも分裂して光の雨のように降り注ぎ、多重障壁の表面があっという間に削られていく。
「結界が壊れる……」
その様子にユスミが仲間を信じながらも、敵の強力な殺意を感じて不安な顔になる。
「大丈夫! ボクらに任せて!」
「何枚もあるんだから、破れた結界は直せばいいよね!」
そんな不安を吹き飛ばすように、アイシャとポーラリアが破られた障壁をまた張り直す。
「絶対に凌ぎ切ってやるぜっ!」
咆えた尚人が両手を伸ばして魔力を送り、障壁がこれ以上突破されないように強化する。そこで光の雨が止んだ。
『第一陣は防いだが、では次だ』
光の雨に紛れるように目隠しの帯を外した天使達が急降下し、速度を乗せて手にした槍を障壁に突き入れる。穂先が深く障壁を抉り中ほどまで到達する。しかしそこで勢いが止まり、天使は上昇して次の攻撃の為に高度を上げる。
「結界を抉じ開けようという算段でございますか? しかし私達がそう易々とさせるとでもお思いですかな」
リーンハルトは攻撃によって空いた穴やほつれに魔力を通し、編むように修復していく。
「……ん、穴が開いたら塞げばいいわ」
それにミュゲットも協力し、光の槍で貫かれた障壁の補修を手伝っていく。
「天使達の攻撃は危険だな。私が迎撃しよう」
リリウスは丸いスライムの体を人形に投擲させ、敵の空けた穴から飛び出て天使に体当たりする。天使達が集まって手にした槍を突き刺すと、その部分を変形させて自ら体に穴を作って攻撃を躱した。
「そんな攻撃では私には当たらん――」
天使は刺突が当たらないとみると、すぐに斬撃に切り替えて槍を振るった。それが掠めてリリウスの体が少し飛び散った。
「油断できない相手のようだねキミ」
リリウスは触手を伸ばして敵の足を掴み、振り回してぶつける。そして包囲が乱れたところに体当たりをしてバウンドし、ユーベルコード『バウンドボディ』によって強い伸縮性と弾力性を以ってゴムボールのように反動で連続して敵にぶつかっていった。
そうして天使の攻勢が乱れ、その間に障壁が補修されて保たれる。
『第二陣も防ぐとはな。次が最後……俺の最大火力の砲撃だ。最強の天使となった俺の攻撃に耐えられるかな』
ネルソン提督の銃と化した両腕を目の前で合わせ、巨大ライフルとなり銃口に眩い光が次々と集束する。
「これに巻き込まれては危険だ!」
慌てて障壁の外に出ていたリリウスは天使にぶつかる反動で空高く舞い上がる。その直後に光が迸った。
放たれる光の奔流が障壁にぶつかる。一気に何枚もの障壁が吹っ飛び、小さな綻びが出来て細い光条が入り込む。それが当たったエミリオや尚人の体が焼けるように傷ついた。
「全くの無傷とはいかんか。だが負傷したならば癒せばよい……」
クリストフはユーベルコード『アムリタの雫』を発動し、自らの手に短剣を突き刺し、流れ出た血を負傷者へピピッと飛ばす。不老不死の霊薬が溶け込んだ血は、吸い込まれるように消えて一瞬にして傷を再生した。
「安心するが良い、これで暫くは負傷しても勝手に傷が癒える」
だから障壁の維持に集中していればいいと、さらに他の仲間にも血を付着させていった。
「これだけ皆の力を注いでいるんだ、簡単に打ち破られては困ってしまうな」
このままでは壊れると判断したアギトは全力で魔力を放出し、結界の強度を上乗せする。
「これが敵の本命でしょ。なら防ぎきればこちらの勝ちだわ」
ゆかりもまた呪術によって結界の崩壊を防ごうと、【霊符『白一色』】を手にして目を閉じ集中して結界を張り直した。
「絶対にみんなを守ってみせるよ」
さらにエミリオは限界を超える魔力を注ぎ込み、障壁の防御力を少しでも上げた。
太陽を思わせる光が止むと、薄っすらと障壁が残り一枚で保たれていた。
●総力戦
「敵の攻撃の手が弱まったな……どうやらエネルギーが切れたようだ」
油断せず障壁の維持に力を入れていたアギトが、冷静に敵の状態を見て一時的なエネルギー切れだと指摘した。
「守り切れた……いよいよ反撃だね」
皆の無事な姿を見たエミリオは微笑み、ここからは反撃だと敵に視線を移した。
「後は提督を叩くだけよ――オンマリシエイソワカ。摩利支天よ、この身に験力降ろし給え」
ゆかりはユーベルコード『摩利支天九字護身法』を使い、その身を眩いほどの力放つオーラで包みネルソン提督に向かって駆け出す。迎撃に天使達が光の槍で攻撃するが、障壁を破るような光もオーラによって阻まれゆかりの身には届かない。
「邪魔よ!」
ゆかりが【薙刀『紫揚羽』】を振るうと、衝撃波が巻き起こって天使達を薙ぎ払った。
「凌ぎきれたようでございます。反撃と参りましょう」
リーンハルトもキャバリアを結界の外へ動かし、【RSキャバリアライフル『朝嵐』】を構えて宙を舞う天使に向けて弾をばら撒いた。ゆかりを狙おうと動きを止めていた天使が被弾して堕ちていく。
「露払いはお任せを」
天使達の注意を引き付け、ネルソン提督への道を作り出す。
「凌いだ……、戦いが始まる……」
ユスミは精霊から無数の氷剣を展開させ、まだ近くを飛んでいる天使を切り払う。そして敵に向かう仲間の後を追い駆け出した。
「さて、私の役割は果たした。後は高みの見物と洒落込ませてもらおうか」
自分の役目はここまでだとクリストフは仲間を見送るが、空から光の槍を投げて前を走っていく後方のユスミを襲おうとしている姿が目に入った。
「……ええいっ!」
仕方がないとクリストフは駆け寄り、ユスミの死角から迫る光の槍を代わりにその身で受け止めた。
「だ……大丈夫なの……?」
「この程度、私にとっては蚊に刺されたようなものだ」
驚いた顔で振り返って攻撃に気付いたユスミは心配そうに声をかける。それをクリストフは背中に開いた穴をすぐに再生して平気な顔で見下ろしていた。
「ありがとう……」
「ふん、目の前で小娘に倒れられては寝覚めが悪いというだけだ」
感謝するユスミに、さっさと行ってこいとクリストフは敵に向かう仲間達の方へと視線を向けた。
「うん……行ってくるね……」
仲間の背中を追って駆け出したユスミを見送り、クリストフは空を見上げる。
「また庇うのも面倒だ。貴様らの相手は私がしてやろ」
クリストフは空の天使達の気を引くようにその身を堂々と晒した。
「おおっと! ちょっと高く飛び過ぎたようだ!」
そこへ天から落下してきたリリウスが天使の頭にぶつかり、跳ねてネルソン提督の方へと飛んでいった。
「……気が抜けるな」
シリアスな空気を潰されやる気を失いながらも、クリストフはやれやれと天使を迎え撃つ。
『あれを受けて誰一人死んでいないとは。俺の最大火力に耐えたというのか……猟兵とはここまでのものか……しかしまだ雌雄が決した訳ではない!』
ネルソン提督は驚きながらも、新たな攻撃を加えようとエネルギーを集め始める。
「……ん、お前のターンはこれで終わり。ここからはミュゲ達のターンよ」
それを妨害するように、遠距離からミュゲットが雷を宿した【霊剣ミストルティン】を宙に浮かべ、意思に従うように剣が勝手に一閃して雷光の如き衝撃波を飛ばし銃身を削った。
「状態異常にならなくても、雷なら金属の体によく当たるわ」
銃身から伝った電流が、ライフルにダメージを与えてエネルギー充填を遅らせる。
「わぁー!おっきい! 大天使様なのね!」
小さな体を活かしていち早く天使達の防衛ラインをすり抜けたポーラリアが、間近で大きな敵を見て驚く。
「状態異常がどうとかわかんないけど、冬を告げにきたよ!」
そんな強大な敵を前にしても無邪気に笑い、ポーラリアはユーベルコード『エレメンタル・ファンタジア』を発動した。気温が下がって冷気が漂い、突風が巻き起こって氷の嵐が発生した。
「天使さんをドカーンしちゃうよ!」
その氷の暴風を叩きつけると、ネルソン提督の巨体がよろめく。
『その小さな身体のどこにこれほどの力があるのか……お前たち猟兵は俺を次々と驚かせてくれるな』
ネルソン提督は右手を光剣に変えて伸ばし、両断しようと振り上げた。
「反撃開始だあーちゃん!」
「反撃しよう尚くん!」
尚人はアイシャと手を繋ぐと、その男子とは明らかに違う柔らかな感触に照れる。
(ユーベルコードの為、ユーベルコードの為!)
それをユーベルコードの為と自分に言い聞かせぎゅっと握る。だが一層顔が赤くなった。
(尚くんどうしてお顔が赤いんだろ?)
そんな尚を不思議そうに見ながら、アイシャは首を傾げた。
(あーちゃんとポーラ、それにみんなも俺が守る!)
大切な人々を想い尚人はユーベルコード『愛はすべてに打ち勝つ』を発動する。手を繋ぐ二人が魔力で覆われ、愛の力の分だけ戦闘力が跳ね上がった。
「よーし、全力全開っ! 行くぜっ!」
「行ってらっしゃい!」
愛の力に包まれた尚人は名残惜しく思いながら手を離し、アイシャに見送られて飛翔すると、敵に急接近して胸部目掛けて左手のハンドガンを撃ち込む。
『そんな銃弾が何になる』
胸部装甲に小さな穴が開くが、気にも留めずにネルソン提督は右の光剣を虫でも払うように薙いだ。
「提督さ? 状態異常の無影響化は厄介だけど、痛覚の喪失は逆に危ないぜ?」
斬撃を掻い潜った尚人は、右手のコンバットナイフを敵の左肩の関節部に突き立て、飛ぶ速度を上げて大きく切り裂いた。
『無駄な事だ』
ネルソン提督は追うように光剣を振るい、斬撃で巻き起こる衝撃波で尚人を吹き飛ばす。
「ご機嫌よう、ネルソン提督。天の御使いでも気取りたいの?」
入れ替わるように跳躍したゆかりが突っ込み、薙刀を胸の銃弾痕に突き入れた。オーラ纏う刃が装甲を抉るが、強固さと分厚さに途中で勢いが止まる。
『天の使いなど死神と同じだ。つまり天使も兵士も違いはない。ただ敵を殺すだけの存在だ』
ネルソン提督がゆかりを腕で払うが、オーラによって守られていて接触が阻まれる。
『バリアか、貫く出力が必要だな』
跳び下がって剣の間合いにすると、光剣を太くしてオーラごと人体を消し飛ばす火力で振り下ろした。
「痛くなくてもここを潰されたらタダじゃ済まないだろ!」
そこへ尚人が飛んで戻ると、顔に向かって零距離から銃弾を叩き込んだ。それは潰れた右目の傷口を抉り、ぼろぼろと溶接していた部分を粉砕する。その衝撃で視界が乱れたのか、斬撃が僅かにずれゆかりは直撃を免れた。
「助かったわ」
ゆかりは礼を言いながら、薙刀を振るって敵の腕を切りつけながら位置を変える。
「少しでも攻撃対象が分散した方が良さそうだな……援護しよう」
敵の火力は高く直撃すれば危険だ。アギトは意識を散らしてリスクを減らそうと、ユーベルコード『最後の審判』を発動した。周囲に無数の巨大な時計の針が浮かび展開する。
「これだけ巨体ならどこを狙っても当たるんじゃないかな?」
その時計の針を無造作に飛ばし、次々とネルソン提督の全身に突き刺していった。
『数だけは多い。しかし俺の装甲を破るには火力が足りんな』
痛みがないため多少のダメージなど気にもせず、ネルソン提督はショットガンに変えた左腕をぶっ放して針を吹き飛ばす。しかし少々の針が砕けようとも、まだまだ数え切れない数が飛翔してあちこちに突き刺さっていった。
「痛覚が無いなら倒れる時にしまったとでも思うが良いさ」
アギトが操る針は仲間が攻撃した箇所を狙って傷口を深くする。
「まあ、その時は既に手遅れだろうがな」
どれだけ強かろうとも倒れる時は一瞬なのだと、地道に傷を広げる攻撃を繰り返す。
『数で俺の装甲を砕くか、だが俺が息絶えるより先にお前達を撃砕してやろう』
ネルソン提督が火力を上げたライフルにして構える。しかしそれを邪魔するようにリーンハルトが弾を腕に撃ち込む。
「皆様には手出しはさせません!」
『ならばお前から砕け散れ!』
銃口が向けられ、キャバリアであれ喰らえばひとたまりもない火力の光弾が放たれた。だがその直前に既にリーンハルトは飛んで回避運動に入り、光弾は機体を掠めて飛んで行った。しかし掠めただけでも左の腕と脚の装甲が溶けるように破壊されていた。
「故郷の外で対キャバリアを想定した戦いを致しますとは。ええ、昂ってございます」
キャバリア戦では直撃を受ければお仕舞いだと、リーンハルトはとにかくヒット&アウェイで動きを止めずに撃ち続ける。
『飛行タイプか、ならば装甲は薄いとみた』
ネルソン提督は左腕をショットガンに変え、散弾を連射して弾をばら撒き、キャバリアの翼を撃ち抜いてリーンハルトを撃墜した。
「傷口を狙うよ……」
注意が逸れている隙にユスミは氷剣を次々と飛ばし、胸や肩や顔の傷口に突き刺す。傷が広がり周囲の装甲が砕けていく。
「傷が大きくなれば……きっと動くのも辛くなるはず……」
ダメージの中でも特に左肩は酷く、左腕の動きが鈍くなり始めていた。
「左肩が弱ってる……集中して……」
ユスミは左肩に向けてさらに氷剣を放つが、天使達が邪魔をして槍で防ぐ。
「どいて……、邪魔するなら先に倒すよ……」
氷剣は空中に展開する天使達を優先して斬り伏せていった。
「間に合ったようだね。真打登場だ!」
そこへ突っ込んだリリウスが戦っている天使を踏み台にし、ネルソン提督の体に衝突するが壁にぶつかったように弾き返されて地面に落ちた。バウンドするとアイシャの元にまで転がり、それをアイシャが拾い上げた。
「いやはや、思ったよりも硬いね」
「リリウスさん! ボクが属性攻撃で雷属性を付与するから、ビリビリボディでやっちゃえ~!」
どうしたものかと考えるリリウスに、アイシャが雷属性を付与してビリビリと雷を纏う体にして、ぽいっと敵に向かって投げ飛ばした。腕力だけでは足りないので魔法で風を送って加速する。
「おや、属性付与とはありがたい。もう少し派手に暴れようか!」
リリウスはそのままネルソン提督に突進し、雷の衝撃を装甲越しに透してダメージを与える。
「……あれ、コレもしかして武器扱い?」
そこでふと我に返ったリリウスは、自分がまるでスライム型投擲武器になっていると現状に思い至った。
●最強を貫く刃
『個々でも強いが、それにしても群となって連携されると俺でさえ敵わん。一気に纏めて始末するしかないか』
体内のエネルギーを集めたネルソン提督は空に両腕を銃にして向けた。
『全て消し飛べ!』
空に放たれた特大の光弾が弾け、拡散して地上に光弾の雨が降り注ぐ。
「大丈夫だよ」
しかしその攻撃が空中に残っていた障壁に防がれる。
「僕が障壁を引き続き維持しているよ。けれど、それだけじゃないよ?」」
攻撃を防いだエミリオがユーベルコード『Vengador en exceso』を発動し、禁書【過剰なる復讐者】の封印を解く。禁書に刻まれた敵のユーベルコードが倍の威力となって再現される。
「刻まれたユーベルコードは当然……」
現れたのは天使の軍勢。その数は天を覆うほど――。
「天使たち、歪められてしまった偉大な提督に再び安らかな眠りを」
エミリオが呼びかけると、支配下に置かれた天使達は一斉にネルソン提督へと光の槍を放った。光が降り注ぎネルソン提督の体が穿たれていく。
『天使共!』
ネルソン提督を守るように残っていた天使達が上空に集まり、光の槍に刺し貫かれていく。しかしその間に僅かな余裕ができた。
『お前がリーダーだな。ならば頭を叩けば連携が崩れる』
ネルソン提督は仲間を見守り守りを固めていたエミリオこそがトップだと判断し、ライフルと化した腕を向ける。
「もっと早くに気付けば可能性はあったが、もう手遅れだ」
既に機は逸したと、アギトは全ての時計の針を銃身にぶつけて軌道を僅かに逸らした。
「防ぐね……」
さらにユスミが氷剣を並べて壁にし、光を氷の屈折で逸らした。放たれた光弾が地面を抉って誰も居ない場所を飛んでいく。
「天使たちは任せて……」
そしてネルソン提督を守る天使の群れに向かって氷剣を飛ばし、串刺しにして撃墜していった。そんなユスミに向けて反撃に天使達の光の槍が放たれる。
「天使さんたちが光の槍なら、あたしは氷の槍だよ!」
ポーラリアが氷の嵐から氷柱のような槍を幾つも作り出し、相殺して空中で弾け飛ばせた。
「攻撃なんて当てさせないんだから!」
仲間には届かせないとポーラリアはさらに氷の嵐を強くして、向かい風を浴びた天使達は減速した。
「みんなもう少しだよ!」
戦う仲間をアイシャは応援し、偶にぼよんぼよんと戻ってくるリリウスに雷を充填して投げ返す。
「ちょっと休憩を――?!」
そんな叫び声も聞こえないくらいアイシャは集中して敵を観察していた。
「状態異常は無影響化できても、五感の無影響化はできないよね?」
そう考えて愛用の杖【イルミンスール】を手にして雷撃を生成し連続投射する。
「これで煙幕くらいにはなるはずだよ! その間に尚くん、ゆかりさん、お願いするね!」
雷光が敵にぶつかると派手に眩しく輝いて散る。それがネルソン提督の視界を塞いだ。
『効かんなこんな派手なだけの……目晦ましか』
その意図に気付きネルソン提督はアイシャではなく周囲に注意を向ける。しかし一足遅く、既に光に紛れて至近距離に尚人が飛翔して近づいている。
「追い風でスピードアップだよ!」
ポーラリアが仲間達を加速させるように風を起こし、その飛行速度を上げていた。
「倒れるまで何度でも攻撃してやるぜ!」
尚人が執拗に顔を狙って攻撃を繰り返す。それを鬱陶しそうにネルソン提督が後ろに下がって銃口を向けた。
「尚人は私の後ろに!」
そこへゆかりが割り込み、纏うオーラに全ての力を込めた。
『纏めて光となれ!』
ネルソン提督は光弾を発射しゆかりとその後ろの尚人を呑み込んだ。光が飛び去ると、そこにはオーラを弱め体に傷を負いながらも無事なゆかりと尚人の姿があった。その傷もみるみるうちに治癒されていく。それは先に付着したクリストフの血の効果だった。
「私の血はアフターケアも万全だよ」
そんな仲間達の戦いをクリストフはのんびりと眺めていた。
「ありがとうな! このまま潰してやるぜ!」
尚人は二人に礼を言って銃弾を撃ち込み、度重なる攻撃で顔の右目周辺を粉砕した。
「さあ、天使は天へと還りなさい!」
さらにゆかりも薙刀から衝撃波を放ち、胸の傷口に当てて装甲を砕いた。
「この大きさの動く敵は大いに慣れております!」
機体が損傷しようとも、リーンハルトは慣れたもので最低限の機動力を保ちながらユーベルコード『制圧用射撃兵器『弾丸』』を使用し、ライフルの弾を威力の高いものへと変える。
「故に、どこが脆いのかも熟知しております……!」
狙い定めて放たれた弾丸が、ネルソン提督の傷の入った左肩に命中した。爆発が起こり甲高い悲鳴のような音が響き、左腕が肩からもげて地面に落下して光の粒子となって拡散して消滅した。
『最強となった俺の腕を……破壊しただと?』
驚愕にネルソン提督の動きが一瞬止まる。
「まだ生きてる。ならミュゲのとっておきで一気に叩くわ」
ミュゲットが浮遊して少し距離を詰め、ユーベルコード『霊王の神装』を発動する。
「擬似神装・code : Mistilteinn、展開、起動」
霊剣ミストルティンに施されたルーン魔術の封印が解除され、命を削る程の眩いエネルギーが放出される。
「いいかげん……沈みなさい」
真の姿を見せた霊剣が飛翔し、閃光の如く飛んでネルソン提督の傷ついていた胸を貫いた。胸に背後が見える大穴が開く。
『まだだ……まだ……勝利を、この手にしてはいない!』
即死でもおかしくないダメージを受けて、それでも痛みを感じないネルソン提督は、死すらも感じぬように空に舞う。しかし傷口からは光の粒子が漏れ出て、その力は弱っていく一方だった。
『この身が死ぬ前に、お前達を倒す!』
光が無差別に全方位へ放射され、猟兵達を纏めて薙ぎ払う。
「みんな集まって……」
エミリオが残った力で仲間を覆う障壁を保つ。光を受けて障壁が削れてゆくが、魔力を振り絞って維持する。そして光が消えると同時に力尽きたように障壁も砕け散った。空を見ればネルソン提督は離れた位置に移動して間合いを開けている。
残された僅かな時間を使い、ただ勝利を求めて最強の天使はまだ戦い続けようとしていた。
大成功
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河原崎・修羅雪姫
【全世界サイボーグ連盟】で参加
「先日とは立場が逆転したわねぇ。今度はこちらが航空攻撃させてもらうわよぉ」
戦闘中、ネルソンの注意を引き付け、おとり役をします。
スーパーロボット・サイバーリリィに搭乗し【拠点防衛】。
上空にサーチドローンを飛ばして【情報収集】。
「ゴースト・コマンダーよりゴースト攻撃隊全機へ。一斉攻撃開始!」
七大海嘯『舵輪』ネルソン提督の「天使槍兵団(WIZ)」に対し、ユーベルコード「宇宙攻撃戦略空母ガトランティカ」を使うことで、数百機の艦載機を飛ばし、ネルソン目掛けて編隊を組んで次々と急降下爆撃。
ネルソンが回避・迎撃にリソースを取られたところを、仲間がとどめを刺してくれます。
伊高・鷹介
【全世界サイボーグ連盟】
・配下の天使どもを取り込んで決戦を挑んでくる、か。かなり必死なんだろうが、こっちもここで勝たねぇと明日がないもんでな。
全力で相手させてもらうぜ。
・俺に対応する武装…おそらくは精神攻撃。念動力は俺の意志の力だからな。ここに干渉する武装を出すんだろう。
なら…アレをやるか。対邪神用の手口だが、念動力で脳に干渉して意識をカット。要するに一時的な仮死状態になって精神干渉をやりすごす。
意識のない奴に精神攻撃とかゾンビに即死呪文みてぇなモンだよな? それに今回は俺を叩き起こす仲間がいるからな。安心して死ねらぁ。
・その後は【超パワー】の力をネルソンの足元に集中。身動き取れなくしてやるぜ
サブナ・ダディ
【全世界サイボーグ連盟】で参加//【POW】//「なんで追い詰められた奴の行動って同じ事が多いのかねぇ」と言いつつ【阿形、吽形像】を主軸に突撃を行う//多少の傷は構わず、されど危険な攻撃は【阿形、吽形像】で攻撃をいなす等致命傷を避けながら攻撃をし続け、タイミングを見計らいUC【六道輪廻】で傷の回復と同時に阿修羅に姿を変える//「俺も姿を変える事に対して、人の事言えなくなるよなぁ」//仲間にネルソンへの最大の一撃を与える為の時間稼ぎを行う//「まったく、義務だなんだ大層な事言ってるが、んなくだらねぇ独りよがりな考えで人の道を簡単に捨てられるもんかねぇ」
クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
「ターゲット、ネルソン」
【SPD】
「アルゲス、スタンバイ」
相手がキャバリア級であるならばこちらもキャバリアに搭乗します。
●UC対策
敵は手から天使を出す、そこを狙います。
【スナイパー】の技量を活かし『RBSイーグルレイ』で眼帯を外す前の天使を狙撃。合わせてミサイル【弾幕】で迎撃します。
●UC
肩の「対キャバリア用」レールガンを展開、敵に狙いを定めUCを発動。
「GEAR:VACUUM ARC。チャンバー内圧力低下」
味方が時間を稼いでる内に、威力・射程を3倍に電気【エネルギー充填】を済ませたレールガンで【砲撃】を行います。
「最強ですか、この一撃で検証すると致しましょう」
ドロレス・コスタクルタ
【全世界サイボーグ連盟】で参加。「ここで悪縁を断ち切ります!」
POW対抗。キャバリアに搭乗し金棒型戦槌Tyrantで地面を殴り【怪力、地形の利用】で大量の土砂を吹き上げ、敵の攻撃の威力を減衰させつつ目くらましに利用し【オーラ防御、武器受け】で耐える。仮死状態で耐えた恋人(伊高・鷹介)を起こす。
「シェロ! 起きて!」
UCは攻撃回数を増加。【誘導弾、一斉発射、範囲攻撃、見切り】により多数のマイクロミサイルを軌道を変えつつ撃ち込み続ける。ダメージを蓄積させると同時に敵の注意力を削ぎ、多数の着弾で防御処理能力をオーバーフローさせ仲間が攻撃を撃ち込む隙を生む。
「強くても脳は一つ。処理能力は有限でしょう」
●光に還る
『残された時間は少ない……猟兵よ、最後の勝負だ。最強の天使の首が欲しいなら掛かってくるがいい!』
片目片腕を失い、胸に大穴を開けても、命を燃やしてネルソン提督は死に絶える瞬間まで勝利を求めて戦意を失わない。
冷たくも燃える左目は、新たに向かってくる猟兵へと向けられていた。
「今度は逃がさないわよぉ」
全世界サイボーグ連盟の仲間達と共に、河原崎・修羅雪姫(プリンセス・スノーブラッド・f00298)が白いスーパーロボット【サイバーリリィ】に乗り込んで堂々と姿をみせる。
『最後の相手はお前達か。この命尽きるまで相手をしてもらうぞ』
ネルソン提督は切断された左肩の傷口から天使の群れを生み、一斉に光の槍を投げて光の雨を降らせた。
それを修羅雪姫はサイバーリリィの腕をクロスしてガードする。機体に何本も槍が突き刺さるが、致命傷だけは避けるように耐え凌ぐ。
『どうした? 動かねばそのまま力尽きることになるぞ』
「元より私の役割は囮よぉ……」
呟く修羅雪姫はじっと攻撃に耐えて敵の注意を引き付けた。
「アルゲス、スタンバイ」
クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)もクロムキャバリア【アルゲス】に乗り込み起動する。
「天使の出どころ、そこを狙います」
出た瞬間に潰せば真価を発揮できないと、クネウスは狙撃銃【RBSイーグルレイ】を構えて狙いを定める。
『まだ粘るか、ならば天使共を増やしてやろう』
ネルソン提督が左肩口から新たに天使を呼び出す。その瞬間、閃光が駆け抜け天使を撃ち抜いた。
『狙撃だと?』
ビームの飛んで来た方向を見ると、続けてミサイルが着弾し天使達が吹き飛んでいく。
「命中。やはり眼帯を外す前に叩けば脆いようです」
クネウスはミサイルを撃ち続け、避けたものは狙撃で落とす。そうして天使の数を減らしていった。
『狙撃兵か、征け! 接近して串刺しにしろ!』
眼帯を取るのが間に合った天使達が一気に加速して襲い掛かり、クネウスはその迎撃に【RSエクスパンド】を持って弾幕を張った。
「なんで追い詰められた奴の行動って同じ事が多いのかねぇ」
巨大化した敵を見たサブナ・ダディ(サイボーグの破戒僧・f21228)は、皆最後は変身したり大きくなったりと、同じ行動を取るのは何故だろうと首を傾げる。
「ならまぁ、結末も同じにしてやろうかねぇ」
巨大化したものは最期に倒されて終わると、サブナは二体一組の像【阿形、吽形像】を召喚する。阿形、吽形が前に出て敵に接近すると、ネルソン提督の右腕の銃口が光を集める。
『お前達を近づけるのは危険だ。俺の距離で始末をつける』
放たれる巨大な光弾が飛び、逃げる間もなく一瞬にして迫る。
「こいつぁ耐えるしかねぇな」
サブナは阿形、吽形を盾にして光から身を守る。しかし像は光に削られていき、サブナの体にも当たって焼けるような痛みが走る。光が通り過ぎると二体の像はばたりと倒れるが、サブナは全身が傷だらけの状態で何とか立っていた。
「弱ってるとは思えねぇ強さだ。だが耐えたんなら反撃といくかねぇ」
サブナはユーベルコード『六道輪廻』を発動し、受けた傷を瞬時に癒して身長が二倍に膨れ上がりその姿を阿修羅へと変える。
「俺も姿を変える事に対して、人の事言えなくなるよなぁ」
ぼやきながらも変身したサブナが突っ込み、6本の腕で拳の連打を敵の腹に浴びせた。
『拳で俺を砕くつもりか。ならば俺はお前を斬り裂いてやろう』
ネルソン提督が腕の銃を光剣に変え、一閃するとサブナは跳躍して飛び退き、踏み込んではまた殴るを繰り返す。
「ここで悪縁を断ち切ります!」
真紅のクロムキャバリア【Red Dragoon】を駆るドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)は、反対側に回り込んで金棒型戦槌【Tyrant】を手に攻撃を仕掛ける。
『人型兵器での挟撃か、兵器の方が危険か……お前から消えろ』
振り返りながらネルソン提督が光剣を横に薙ぐ。
「光なら!」
刃が届く前にドロレスは戦槌を地面に叩きつけ、地面を粉砕して爆発を起こし大量の土砂を巻き上げた。それが光刃に当たって消し飛んでいくが、質量によって威力を減衰させ、ドロレスに届く頃には光が弱まり、さらにオーラを纏った戦槌で受け止めることで、機体を両断するはずだった一撃は装甲を裂く程度に留まった。
「何とか初撃を耐えました、このまま反撃に移ります!」
ドロレスはRed Dragoonを背後に踏み込ませ、戦槌を背中に叩きつける。
「チッ、仕留めそこなったか」
ネルソン提督はドロレスとサブナを右腕一本で相手取り、一歩も引かぬ剣戟をみせる。
「配下の天使どもを取り込んで決戦を挑んでくる、か」
海戦の時とは全く違う姿となっている敵に伊高・鷹介(ディフェクティブ・f23926)は視線を向ける。そこには決死の覚悟が見受けられた。
「かなり必死なんだろうが、こっちもここで勝たねぇと明日がないもんでな。全力で相手させてもらうぜ」
こちらも同じく引けない身だと念動力を高める。その精神エネルギーに反応するようにネルソン提督の鋭い視線が一瞬向けられた。
(俺に対応する武装……おそらくは精神攻撃。念動力は俺の意志の力だからな。ここに干渉する武装を出すんだろう)
鷹介は敵がしてくる攻撃を予想し、それに対抗する手段を考える。
「なら……アレをやるか」
覚悟を決めて鷹介はさらに念動力を高めて攻撃の意志を見せる。
『精神エネルギーか、確かに俺の強固な装甲を抜くには有効な手だが、先に潰してしまえばいいだけのことだ』
光剣を振るいながらネルソン提督は腹を変形させて大きな天使の顔を生み出す。それが歌い出すと精神波を放って鷹介の心を狂わそうとする。すると何の抵抗もなく鷹介がばたりと倒れた。
『何だ? 抵抗しなかったのか。反応が感じられん……』
その様子にネルソン提督は拍子抜けしたように精神波を止めた。そして深く考える間もなくドロレスとサブナの相手をするため視線を戻した。
「ここからはこちらの番よぉ。先日とは立場が逆転したわねぇ。今度はこちらが航空攻撃させてもらうわよぉ」
天使達の攻撃が止み、先制攻撃に耐えきった修羅雪姫は上空にサーチドローンを飛ばして敵の位置情報を詳細に得る。
「ゴースト・コマンダーよりゴースト攻撃隊全機へ。一斉攻撃開始!」
そしてユーベルコード『宇宙攻撃戦略空母ガトランティカ』によって空に宇宙空母を召喚する。そこからカタパルトを使って数百機の艦載機が発進し、天使よりも上空を覆うように編隊が飛び交う。それが一斉に天使の群れごと粉砕するようにネルソン提督へと急降下爆撃を開始した。
『迎撃だ。空はこちらの領域だと教えてやれ』
ネルソン提督は天使達に光の槍を放たせて戦闘機を落とすが、爆撃によって天使はより多くの被害を受ける。
『あのような巨大な船を空に飛ばすとはな。その技術があれば俺の軍勢もさらに強くなれただろう。フンッ、ない物ねだりか』
ネルソン提督は空を見上げ宇宙空母に向けて右腕を上げ、エネルギーを集束して光弾を発射した。閃光が空を駆け上がり、空母に被弾して爆発を起こす。しかし巨大な空母はその程度の損傷では沈まず、空に浮かび続けて戦闘機を飛ばしていた。
「回避・迎撃にリソースを取られて隙を見せたわねぇ、それを逃すほど全サ連は甘くないわよぉ」
修羅雪姫が罠に掛かった獲物の行く末を眺めるように敵を見つめ、仲間達の動き出す様を視界に収めた。
「シェロ! 起きて!」
倒れた鷹介の傍まで移動したドロレスが大声を上げる。それが仮初であっても倒れた姿を見ていると不安が湧き起こるのを抑えられなかった。
「ん……げほっ」
その声は死んでいても覚醒を促し、パッと目蓋が開く。
「よっと、仮死状態ってのはどうも体が硬くなっていけねぇな」
仮死状態から起き上がった鷹介が首や肩を回す。敵の精神攻撃から逃れる為に、念動力で脳に干渉して一時的な仮死状態になってやり過ごしたのだ。
「意識のない奴に精神攻撃とかゾンビに即死呪文みてぇなモンだよな?」
死んでいたとは思えぬいつも通りの調子で笑みを浮かべて鷹介は振り返った。するとそこにはコックピットから身を乗り出して、心配そうなドロレスがほっと息を吐いている姿があった。
「さぁて、ここからは反撃といくぜ」
「ええ、ここで決着をつけましょう!」
鷹介がユーベルコード『超パワー』を発動し、強大な念動力で敵の足元を空間ごと捻じ曲げ、地面に巻き込むようにして固定した。
コックピットに戻ったドロレスはユーベルコード『Death Ballet』を使用し、多数のマイクロミサイルを連続発射した。ミサイルは軌道を変えて次々と着弾し、ネルソン提督の装甲を砕いていった。
『足が……動かんっ』
回避しようとしたネルソン提督は、空間に取り込まれたように足が引っ張られその場から動けなくなっていることに気付いた。
「これで身動きできねぇだろ。後は任せたぜ」
後はやりたい放題だと、鷹介は仲間達へ視線を向けた。
『天使共! 防衛しろ!』
宙に展開した天使達が空からのミサイルや爆撃を防ぐ。
『そんじゃあ、任されるとするかねぇ』
その隙に正面に立ったサブナがガチンコで殴り始め、敵の腹部や穴の空いた胸部を粉砕していく。
『ちぃっ! まだだ! 勝利を! 義務は果たされていない!』
ネルソン提督も反撃に光剣を振るい、サブナを斬りつける。
「まったく、義務だなんだ大層な事言ってるが、んなくだらねぇ独りよがりな考えで人の道を簡単に捨てられるもんかねぇ」
構わずサブナは殴り続け、敵の意識を自分へと集中させた。
「対キャバリア用レールガン展開」
離れた位置でクネウスはアルゲスの肩に装着されたレールガンを展開して砲門を敵に向けた。
「GEAR:VACUUM ARC。チャンバー内圧力低下」
ユーベルコード『VACUUM ARC』を起動し、機体のありったけのエネルギーを充填してレールガンの威力と射程を高める。
「最強ですか、この一撃で検証すると致しましょう」
ゲージが頂点まで上がって充填が終わると、クネウスはターゲットをロックしてトリガーを引く。
「真空アークレールガン、発射!」
放たれる閃光は一瞬にして長距離を翔け、真っ直ぐにネルソン提督の顔を狙う。
『――させるか!』
それが何かを知る前に反射的に右腕を上げて銃身で守る。しかしその銃身を貫き、穴を開けて顔に届くと、顔の右半分を粉砕して海の彼方へと飛んでいった。
『………ここまでか』
もはや体を維持できなくなったネルソン提督の全身が光の粒子となって消えていく。
『見事だ。負けを認めよう……だが心しておけ。戦争の勝利は新たなる勝利への一歩でしかない。お前達もまた勝利を続けることが義務となるのだ――』
全身が崩れて粒子一つ残らず消え、最強の天使は光に還った。
「今度こそ七大海嘯『舵輪』ネルソン提督を討ち取ったわぁ!」
修羅雪姫が勝利だとサイバーリリィから出て肩に乗り、全世界サイボーグ連盟の戦旗を掲げた。
「強敵でしたが、仕留めることができましたね」
クネウスもパワーダウンした機体をチェックして、止めをさせなかったら危なかったと小さく息を吐いた。
「勝利を続ける義務ねぇ」
敵の最期の言葉を思い返し、サブナはそんなものよりも人の道の方が大切だと、まるで呪いのように言い残された言霊を振り払った。
「シェロ! 身体の方は大丈夫なの?」
「ああ、そんなに心配しなくても大丈夫だって……」
戦いが終わって心配そうに詰め寄るドロレスに、鷹介はたじたじとなって平気アピールをすることになっていた。
「まぁ勝利ってなぁ、こうした光景を守る為にあるもんだよなぁ」
肩を竦めサブナは犬も食わぬなんとやらと視線を外した。
空は晴れ渡り、地上で戦いが繰り広げられているとは思えぬほど平和だった。
最強の天使『舵輪』から勝利を掴んだ猟兵達は、また次の戦場に駆り出される前に休息を取ろうと戦場を後にした。
大成功
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