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羅針盤戦争〜青焔の業

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #フライング・ダッチマン #鬼火島

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●鬼火の業
「ああ、とうとうこの島へやってきたか! 忌まわしき猟兵達!!」
「偉大なる王カルロスではなく、われを狙いに!!」

 青の炎がゆらゆら揺れる。
 命の灯ではない、邪悪な業を燃やした悪魔の炎が。

 七大海嘯が一人、『鬼火』のフライング・ダッチマンが座する島。
 ようやく見つかった敵の本拠地は、今もなお邪悪な霊が飛び交い怨念を撒き散らしている。

「いいだろう、いいだろう!! われと戦うというのであれば!!」
「わが不死身の力を持って、相手をしようではないか!!」

●いざ、決戦の時
「……鬼火、フライング・ダッチマン。見つけたから、カチコミじゃー……」
 眠そうな顔をしている土屋・サトル(《怠惰の盾》[スロウス・シルト]・f29993)は猟兵達を集めた後、簡易的な説明を行ってくれた。

 曰く、フライング・ダッチマンへの到達が成功。彼の者との決戦が可能となったということで、可能な限りの戦力を送り出したいとのこと。
 敵は先制攻撃を行ってくるため、その対処を絶対に忘れないようにして欲しいと。

 ただ、問題があった。フライング・ダッチマン自身が「何度殺されても瞬時に蘇生する」というユーベルコードを持っている点。普通に戦えば勝てる相手ではない。
 しかしそのユーベルコードの対処も、サトルはしっかり掴んでいる。それを皆に伝えるのだが、彼は首を傾げつつ教えてくれた。

「……なんか、『迷いなき心』を見せることで……大丈夫っぽい? ほら、フライング・ダッチマンって彷徨う亡霊みたいなもんだから……」

 彷徨う亡霊には、芯のある心を。それが今回のもう一つの対処法のようだ。
 何処までが迷いなき心なのか、何処からが迷う心なのか。それはある種の己との戦いになるかもしれない。

 自分に負けるなよ。そう後押しするサトルは、鬼火島へと猟兵達を送り出す。


御影イズミ
 閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
 今回シナリオから若干採用数を絞り、回転数をあげます。
 そのため必ずしも採用が出来るとは限りません。ご理解の程をよろしくお願いします。

●受付日:即時
 採用は「シナリオの成功数に到達する🔵の確保が確定した時点」で締め切ります。
 全員採用ではない点にはご注意ください。
 採用が難しいと判断したプレイングはお返し致しますのでご了承ください。

●プレイングボーナス:敵の先制攻撃ユーベルコードに対処した上で、「迷いなき心」を見せる
 今作難易度は「やや難」となっております。
 戦闘方法よりもどちらかと言うとキャラクターの心情がメインとなります。
 もちろん、先制攻撃ユーベルコードに対処も必要となりますが、それを対処した上でどう動くか、己の意志をどう貫くかが重要になります。
 MS側のアドリブが多くなりますので、苦手な方は参加を控えたほうが良いと思われます。

 皆様の素敵なプレイング、お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『鬼火』フライング・ダッチマン』

POW   :    鎖付き骸球
【『燃え盛る邪悪な魂』の集合体である骸球】が命中した対象を燃やす。放たれた【骸球の『口』から溢れ出す】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ブルーフレイムカトラス
自身に【怨念の青き炎】をまとい、高速移動と【カトラスからの青炎】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    冥鳥の羽ばたき
【飛び回る愛鳥ゼンタが青炎の羽】を降らせる事で、戦場全体が【生者を蝕む青き炎の海】と同じ環境に変化する。[生者を蝕む青き炎の海]に適応した者の行動成功率が上昇する。

イラスト:爪尾

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

片桐・公明
【POW】
相手の先制攻撃は雲長・翼徳を盾にして防御する
その際[火炎耐性][オーラ防御]を使用することで被害を最小限にし
火が付いた場合は[吹き飛ばし]で払い飛ばすことを試みる

武器を盾にして敵に接近し、妖刀とUCで攻撃する
首をはじめ急所を的確に斬りおとし確実に撃ち滅ぼす
蘇生するたびに撃ち滅ぼす
相手がこちらの心を揺さぶるなら、平坦に答える
「どうでもいいわ。あなたが敵として私の前に立ちはだかるなら殺すだけよ。」
「蘇生するというなら蘇生するたびに殺してあげる。」
「あぁ。霊だから殺すという表現は不適切かしら。なら滅するというわ。」
[殺気]を放ち、いつも通りの様に敵と相対する

(絡み、アドリブ歓迎です。)



●霊は"滅する"もの。
 邪悪な意志を持った魂―――骸球は主たるフライング・ダッチマンの命令に従い、走った。青焔が揺れ、踊り、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)を燃やしてしまえと。魂を焼き尽くし、意志を焼き尽くし、骨の髄まで灰へと変えてしまおうと。
 公明は骸球の動きを瞬時に読み取り、手の形をした武器・雲長と翼徳を前に呼び出して骸球を弾き返す。しかし弾き返した骸球は上空へと舞い上がると、口から焔を吐き出して地上に立つ雲長と翼徳ごと公明を燃やしてきた!
「くっ……!」
 ギリギリで雲長と翼徳を回収し、その場から退避した公明。肉体に支障はないが、僅かに服が焦がされたため己の身体を吹き飛ばすようにステップを踏み、そこから生まれる風を使って焔を消し飛ばした。

「はっ! 猟兵ってのはこの程度か!? われが早々に手を下すまででもなさそうだなぁ!?」
 フライング・ダッチマンが煽る。その言葉で戦う者の心をかき乱し、己の不死身の身体を有効活用する算段なのだろう。
 だが、公明は言葉に揺さぶられること無く。もう一度呼び出した雲長と翼徳を前に、妖刀・血吸を片手に、前を歩く。
「どうでもいいわ。あなたが敵として私の前に立ちはだかるなら、殺すだけよ」
「ほぉう、大見得を切ったな。いいだろう、殺せるものなら殺してみるが良い! 出来るものなら、だがな!」
 その煽りに答えるように公明はユーベルコード『諸葛流舞闘術』を発動させ、様々な武術に舞踏を組み合わせた独特な動きをする体術でフライング・ダッチマンの首を、胴体を、足を切り落とす。

 青い焔は妖刀の切れ味に負け、寸断される……。"普通であれば"の話、だが。
 『鬼火』フライング・ダッチマン。彼の者の性質は『不死身』。たった一度の斬り込みでは倒れることはなく、焔を重ねて幾度となく蘇る。それを目の当たりにしても尚、公明の眼は氷のような殺気を放ったままだ。
「そう。それがあなたの蘇生……いいえ、それはもはや組成ね」
「なんとでも言うが良い! われは滅びることはない! われらが偉大なる王カルロスの為に、われは責務を果たすのみなのだからな!」
「そう。なら、その責務を果たす前に、蘇生をする度に、殺してあげるわ。……ああ、でも」
 もう一度、血吸を大きく振り下ろしてフライング・ダッチマンの肉体を縦に切り裂く公明。今度は全ての急所を巻き込むように、身体を真っ二つに割いた。
「霊だから、殺すというよりも"滅する"と言ったほうが良かったかしら」

 ―――フライング・ダッチマンの身体は、僅かに不死身の力を失った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルカ・スノードロップ
アドリブ連携◎

【火炎耐性】【呪詛耐性】【環境耐性】【毒耐性】により、敵UCによる環境変化に適応
【無酸素詠唱】による聖属性魔法(【属性攻撃】)を障壁に転換して更に防護を固めます。
決して、折れず挫けず、この世界を救いましょう
そのためにも、借りるべき力は借ります
邪悪な炎などに、この身を、この世界を、灼かせることは、させません。絶対に!
『世界の平和と人々の安寧を願い戦ってきた歴戦の英霊たちよ。私に力を貸してください』
《選択UC》で英霊を召喚して【集団戦術】と【継戦能力】で、鬼火の対応に当たります
「見せましょう。人を、世界を護るという意思の力を!」
そして鬼火の思惑もすべて、打ち砕いて見せましょう



●世界を"護る"
 青焔の鳥は、くるくる回る。鬼火島を燃やし尽くさんと言わんばかりに、大きく、羽根を撒き散らす。
 地に落ちた羽根はやがて生者を蝕む青い炎へと成り、鬼火島を死者の国へと変貌させる。死者を敬い、生者を貶めと言うように。

 そんな酷な環境ながらも、己が使える限りの耐性を持って炎の海を歩くのはベルカ・スノードロップ(少女を救済せし夜の王【中将】・f10622)。炎によって酸素と生を奪われながらも、彼は自分が生きられるだけの酸素を確保し、詠唱を無酸素で済ませ光の障壁を作り出す。
 ―――決して、折れず、挫けず。必ずや世界を救うという理念が、ベルカの中に立てられる。炎の中でも溶けることのない意思を持ち、フライング・ダッチマンとの戦いに挑むことにしたのだ。
「はっはっはっ! 面白い、ならばその意思でわれを貫いて見せろ! 猟兵ッ!!」
 大きく左腕のカトラスを振るい、ベルカを真っ二つにしようと斬りかかるフライング・ダッチマン。戦場に満ちた青い焔はその動きを阻害すること無く、むしろカトラスの勢いは増した。
 刃は光の障壁によって防がれ肉に届くことはなかったものの、衝撃だけはベルカの体に響く。思わず痛みに顔を歪めたが、激痛耐性を追加で付与して痛みに耐えてフライング・ダッチマンの動きを覚え続ける。

 次に大きく振られたカトラスを上手く蹴って躱した後、空中で酸素を補給した後距離を取る。まだ自分の意思が折れてはいないことを証明するために、彼は炎の中に陣を生み出した。
「邪悪な炎などに、この身を、この世界を、灼かせることは、させません。―――絶対に!!」
 己の迷いなき正義の心を保ち、ユーベルコード『英霊たちを乗せし聖船』を発動。陣の中から現れた精霊船は、ベルカの心と同じく決して折れることのない迷いなき正義の心を持った多数の英霊達を乗せてやってきた。
 彼らは皆、主たるベルカを焔から護るように周りに降り立ち、ベルカの指示に従った。周囲を飛び交う冥鳥によって広げられる焔の広がりを食い止め、フライング・ダッチマンのカトラスを持ちうる限りの力で対抗し続けた。
「見せましょう。人を、世界を護るという私達の意思の力を!!」
 ベルカの声は英霊達の意思を上げ、青焔をも振り払う力を与える。ベルカもまた己が立てた強い意思に応じるために、シェンヌ・ダルジャンを振るう。決して折れぬ心の刃を、黒と金の鎖に重ねてフライング・ダッチマンを穿ち続けたのだ。

 ―――強い意思によって、不死身はまた僅かに力を失った。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
先制攻撃には【激痛耐性と呪詛耐性】を組み合わせた【オーラ防御】で
飛行可能な場所なら阻害を受けない程度に【空中戦】
例え足場が燃えても直に触れないように

これだけじゃ対処には足りないかもしれない
下手したら大怪我する可能性もあるかもしれない
でも僕は、火傷も苦痛も怖くない
死ぬ前に家族が残してくれた想いがある
命を救ってくれたあの人との約束がある
この世界には、護りたいものが沢山ある
だから僕は、命をかけてでも
あんた達を倒す

目の前の鬼火だけでなく
今後の全てを見据えての覚悟
これが僕の迷いなき心だ

炎が邪魔なら上書きしてあげる
【指定UC】を発動し戦場を破魔で満たし
【高速詠唱】で【破魔】を宿した【光魔法】の【属性攻撃】



●"護りたいもの"がたくさんあるから
 轟々と燃え盛る青い炎。それは、生を蝕む冥鳥ゼンタの羽根から生まれし死の領域。
 そんな領域の中、耐性用のオーラを纏って耐えている栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、炎に触れないように飛び回っていた。
 それでも尚、冥鳥ゼンタは澪の行く手を遮るように飛び回り、羽根を残して行く手を阻む。生を許すな、死を受け入れろと言わんばかりに。
「くぅっ……!」
 足場が燃やされようとも、行く手を阻まれようとも、彼は炎に巻き込まれないように―――死を避けるように―――飛び回った。
「はっはっはっ! 貴様、逃げ回るだけか! 面白い、ならば逃げ続けてみせろ!!」
 同時にフライング・ダッチマンはカトラスを振るい、澪を炎へ突き落とそうと躍起になる。オーラによる防壁で凌いではいるものの、その衝撃によって炎の中へと落とされることもしばしばだ。

(でも、僕は)
 ―――火傷も苦痛も怖くない。
 澪の心の中が、少しずつ埋め尽くされる。
 家族が残してくれた想い。命を救ってくれたあの人との約束。失われた記憶が多くとも、彼が覚えていなくとも、この世界には守りたいものがたくさんあるのだと。
「だから僕は、命をかけてでも……あんた達を倒す!!」
 彼のその覚悟は、目の前にいる『鬼火』に向けてだけではなく、その先に訪れるであろう未来、今後与えられるであろう苦難に向けて発せられた。
「はっ! だが、逃げ回ってばかりではわれは倒せんぞ!」
 カラカラと笑うフライング・ダッチマン。しかし、澪はその笑いに反撃をするように、ニヤリと笑って答えを返した。
「ああ、そうだろうさ! だから、『上書き』させてもらったよ!!」
 その言葉と同時に、澪が飛んできた場所から光の柱が上がる。青い炎は光の柱に打ち消され、その一部が浄化されていた。
 ユーベルコード『心に灯す希望の輝き』。事前に発動させていたことで彼は炎を打ち消せる部分を見出し、タイミングを合わせて光を降らせることに成功させていたのだ。
「ば、馬鹿な……!? われの炎が!?」
 狼狽えるフライング・ダッチマンの横を通り過ぎ、澪は素早く光の柱を踏みしめる。そして、素早く光の柱に同調させた破魔の力を宿した光の矢を作り出し、高速詠唱で矢を打ち放った。
「これが、僕の迷い無き心だ!!」

 ―――迷い無き心の矢は、青い炎の業を打ち破る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神酒坂・恭二郎
「成程。これは因果な御仁だね」
迷いなき心は中々の難題だ

まずは問いの答えを提出するだけの力を見せよう
迫る骸魂を●見切り、そこに風桜子を帯びた刀の剣先を合せて●ジャストガードだ
更に脱力で刀を引きサイドへの●受け流しを行う
僅かでも恐れや怯みがあれば失敗する、不動の●覚悟を試される技だ

「彷徨と航海の違いは分るかい?」

刀を八双に構える
銀河剣聖壱の型
振り下ろし振り下ろすだけの技だ
師が過去に一度だけ見せてくれ、星の獣を両断せしめた無二の太刀だ

目指すには遥か遠く、だが目指さずにはいられない至高の頂だ
その道行は星を頼りに、未知の大海へと船を進めるのに似ている

「その先に求める夢があるかどうかさ」

一刀を振り下ろそう



●"航海"の意味
「成程。これは因果な御仁だね」
 青い炎が轟々と揺らめく中で、神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)は考える。迷い無き心とは、人によって何に重きを置くか、何を芯とするかが違うからだ。
 だが彼が考える合間に燃え盛る邪悪な魂―――骸球は襲いかかる。大きく口を開け、その頭を砕いてやろうと。
「……まずは、己の答えを提出しなくては、だな」
 此処から先は恐れや怯みがあれば失敗する、不動の覚悟を持たねばならぬと恭二郎は構えをとった。
 一直線に迫る骸球の動きに合わせ、光の剣・風桜子を纏わせた銀河一文字の剣先をその口に向けてガード。刃が挟まれると同時に力を抜いて刀を引き、まるで野球のボールを打つように受け流して骸球との距離を大きく広げた。
「はっ、面白い! 彷徨う邪悪な魂共を集めて練り上げた、特製の骸球だったんだがなぁ!」
 豪快に笑ったフライング・ダッチマンはその鎖を引き、骸球を手元に戻して再び恭二郎に向けて突撃させる。今度は骸球の口から青い炎を吐き出させ、恭二郎の逃げ道を塞ぐ。

 ゆらゆらと揺らめく青い炎を背に、恭二郎は小さく、しかしはっきりとフライング・ダッチマンに問いかける。
「彷徨と航海。その違いは、わかるかい?」
 切っ先を天に向け、八双の構えを取る。それは、ただ構えた後に振り下ろし断ち切る技だが、彼自身の"航海"の道すがらに見た技。師がただ一度だけ、星の獣を両断するために使った唯一無二の太刀筋だ。
「はっ、われら『鬼火』の大艦隊! 責務のためならば、彷徨も航海も同じだ!!」
 再び骸球を一直線に突撃させたフライング・ダッチマンは、今度は己のカトラスをも用いて恭二郎を断つつもりでいる。骸球の攻撃とカトラスの攻撃、2つの攻撃を時間差で恭二郎に打ち付けようという作戦なのだろう。
「―――俺が目指すにははるか遠く。だが、目指さずにはいられない至高の頂」
 恭二郎はただ一度見せてくれた師の一太刀を思い出す為に、己が目指す道を今一度思い出す。海になぞらえ、己を船と見立て、これが彷徨ではなく航海であると宣言して。
「その道行きは星を頼りに、未知の大海へと船を進めるのに似ている」
 2つの影が重なった、その一瞬。1秒にも満たない刹那の時に、恭二郎は刀を大きく振り下ろす。
 ……何も起きない……と、フライング・ダッチマンが笑おうとした、その瞬間。骸球が、纏っていた鎧が、崩れて落ちる。
「なっ……!?」
 がらり、がらりと崩れる鎧を抑えるのに必死で、フライング・ダッチマンには聞こえなかっただろう。
 彷徨と航海、その違いについてが。

「その先に、求める夢があるかどうか。それが2つの違いさ」

成功 🔵​🔵​🔴​

シャオロン・リー
呵呵ッ、「迷い無き心」か!
俺は正義の味方とちゃう、悪党や
悪党やからな、正義や義憤なんぞで戦わん
俺が戦う理由は私欲や
暴れたいから暴れ倒す!
暴れ竜シャオロン、そこに迷いなんぞあらへんわ!

先制含めて敵の攻撃は見切って躱し、火炎耐性と激痛耐性で耐えて継戦能力でどこまでも戦い続ける

三尖刀
血脈、封印解除
限界までなぁ!
炎の属性攻撃纏った二槍振るうて思う様暴れたあと、分裂さした槍の雨霰、全部纏めて喰らわしたる
これが俺の暴力、暴走、暴動!
串刺しにしたるわ

「俺は悪党、【鋼の鷲】の暴れ竜、シャオロン!オマエも思うやろ、正義の味方なんぞに倒されて堪るかってな…!せやから俺が来てやったわ、ただ暴れ倒す、その為になぁ!」



●"悪"の迷わぬ心
 鬼火島の風向きが、少しずつ変わる。
 死を生み出す青の焔が、血のように赤い灯火に徐々に喰われてゆく―――。

 その戦いの中心にいるのはシャオロン・リー(Reckless Ride Riot・f16759)。己の"迷い無き心"を証明するために、彼はすぐさま鬼火島へと降り立った。
 怨念の炎を身に纏ったフライング・ダッチマンの高速移動を見切り、カトラスから溢れる炎はそのままその身で受けて、耐性で対応。禍焔竜槍『閃龍牙』と発破竜槍『爆龍爪』、2つの槍を自在に操って青焔の肉を穿つ。
 風が己の身体を撫でる度、耐えた身体が痛みを訴える。彼の身体に"戦っている"、"暴れている"という証拠を残すために。
 ―――『楽しい』。ただそれだけが、シャオロンの脳内を埋め尽くし、さらなる戦いを望む。

「……貴様……他の猟兵と、何かが違うな?」
 しかしフライング・ダッチマンが足を止め、言葉を紡ぐ。シャオロンという男が、今まで向かってきた者達とは何かが違うからと。カトラスの刃を向けたままにして、問いただした。
 問うことはそれだけかと。嘲笑ったシャオロンは2つの槍を向けたままに、その問いへと答えを投げる。
「俺は正義の味方とちゃう、悪党や。悪党やからな、正義や義憤なんぞで戦わん」
「ならば、貴様がわれと戦う理由とは」
「決まってる。俺が戦う理由は、俺自身の"私欲"や」
 ユーベルコード『三尖刀』がシャオロンの"私欲"に反応し、炎を纏った中華槍を呼び起こす。今まで喰われ気味だった青い炎が、赤い灯火が呼び起こした竜に更に喰われてゆく―――。
「暴れたいから暴れ倒す!! 暴れ竜シャオロン、そこに迷いなんぞあらへんわ!!」
 ―――さあ、一直線に暴れてやろうか!

 禍焔竜槍『閃龍牙』と発破竜槍『爆龍爪』を力任せに振るってカトラスを弾き、体勢を思いっきり崩す。フライング・ダッチマンは苦し紛れにカトラスからの炎を放つものの、シャオロンは一度それを見た故に、ひらりと躱した。
「俺は悪党、【鋼の鷲】の暴れ竜、シャオロン! オマエも思うやろ、正義の味方なんぞに倒されて堪るかってな……!」
 印を結び、中華槍に施された竜の血の封印を限界まで解除。炎槍の雨霰を全て一直線に青い炎目がけて降らせ……その身体を、不死身と呼ばれる身体を串刺しにする。
「……せやから俺が来てやったわ。ただ暴れ倒す、その為になぁ!」

 牙を剥いた暴れ竜は、青い炎を全て喰らい尽くすまで止まらず―――。



●"迷い無き心"
「馬鹿な……馬鹿な……ッ!! われが、負け……!?」
 冥鳥ゼンタの羽根が、骸球の炎が、青い炎が、フライング・ダッチマンの声が消えてゆく。
 彷徨い、死を克服したはずの者が再び死を受け入れる時がやってきたのだ。

 ―――それでも尚、鬼火島には火が灯る。
 戦争の終わりは、まだ先にあるのだから……。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年02月15日


挿絵イラスト