リア充は焼き討ち! 炎のバレンタイン大作戦!!
●燻る嫉妬の炎
巡り巡るキマイラフューチャーの年間イベントで、今年もこの季節が到来した。
バレインタイン・デーだ。
この時期になるとSNS上では数多くのバレンタインに因んだ実況も盛んになるもので、王道の視聴者からの声援に後押しされる本命チョコ告白実況、はたまたフラレるのを当たって砕けよと言わんばかりの告白自爆実況、これみよかしと言わんばかりのリア充カップルのバレンタイン実況、今年もチョコが貰えなかったおまえらの為にチョコを貰いすぎたオレが施してやる実況などなど、その内容は多種多様だ。
そんな中、今年のトレンドは『手作りチョコ』だ。ここキマイラフューチャーではコンコンさえすれば作らずとも凝った造形のチョコは幾らでも作れるが、去年のバレンタイン動画で板チョコから溶かした物から成形する実況がバズった事で、流行に乗ったキマイラ達がこぞって手作りチョコ作りをするのが今年の風潮だ。
だが、日頃からコンコンに慣れ親しんでいるせいで、料理など生まれてこの方やったことの無いキマイラも少なくはない。そこは需要と供給というもので、これを得意とするキマイラが手作りチョコ教室を開いて、どこもかしこも教室は連日満員という賑わいっぷりだ。
だが、それに目を付けたものが居た。
『オーッホッホッホ!』
キマイラフューチャーの大都市『ウキウキシティ』。そびえ立つ摩天楼の中で最も高いモノス=ゴーク・タッカイビルの屋上から、高らかな笑い声が響く。その正体は、誘拐したキマイラを改造した下僕怪人軍団をもって、この星を手中に収めんとする悪の組織『ワルドーラ』が首魁『ドーラ・ワルダー』だ。
『ゲーッソッソッソ!』
同じく燃え盛る松明を両手にゲソた笑い声を上げるのは、ワルドーラ下僕怪人『ゲソフレイム』だ。
『前回はイェーガーに油断をして敗れましたが、今回はそうはいかないですわ。今日この日の為、作戦が察知されないよう準備に準備を重ねましたのですもの』
『ゲソゲソ。どこもかしこも空きテナントが無いのを逆手に取り、ワルドーラ支部である雑居ビルのペーパーカンパニーを貸し出して利用するとは。ドーラ・ワルダー様の才気煥発ぶりには恐れ入りましたでゲソ。既にキマイラ共は誘拐済みな籠の鳥でゲソ。後はこのまま逃さず、ドーラ・ワルダー様が下僕怪人化の儀式を済ませば、正に濡れ手に粟の大収穫でゲソー』
前回のハロウィン大作戦でドーラ・ワルダーは猟兵達に敗れた。だが、骸の海より復活を遂げた彼女は、こうして再起を果たしたのだ。
『オーッホッホッホ! 後は最後の仕上げあるのみですわ。ゆけい、下僕怪人ども! リア充のキマイラ共がすし詰めになったワルドーラ支部を焼き討ちするのです!』
『ハハー…へっ? 焼き討ちでゲソ?』
『? そうですわよ。ヤ・キ・ウ・チ、ですわ。目障り極まりないリア充のキマイラどもに、恐怖と絶望という名の天罰…いえ、火を放ち、外へ一歩も逃さないようにするのです! そうなれば後は私が時空転送して、炎の中でキマイラ共を下僕怪人としましてよ。オーッホッホッホ!』
『やけにドーラ様が荒れてるでゲソ(ひそひそ)』
『きっとアレでゲソ。独り身であられるゲソから、彼氏持ちの女が気に食わないんでゲソ(ひそひそ)』
取り繕うドーラ・ワルダーを前にしながら、ゲソフレイム達がおよそこういう理由だろうと聞こえないようにひそひそ話をする。だが、彼らの言葉を遮るように、風を切る音を立てながらムチがピシャリとゲソフレイムに叩きつけられた。
『シャラップ! つべこべ言わず、アベック共を恐怖のドン底に叩き落としてきなさい!!』
『『『げ、ゲソ~!!』』』
●バレンタインムードのグリモアベースにて
「グリードオーシャンでの羅針盤戦争で忙しい中だが、キマイラフューチャーで猟書家が事件を起こすようだ」
集めた猟兵を集め、ギアに乗り込んだまま彼らと目線の高さを合わせるリコ・エンブラエル(鉄騎乗りの水先案内人・f23815)が状況を説明する。
バレンタインのプレゼント、バレンタインチョコ作りでキマイラフューチャーが連日賑わう中、それに乗じてワルドーラが暗躍するという予知をしたというものだ。幸いにも計画が決行される前で時間に余裕があり、今転送すれば下僕怪人達が火を放つ事を防げるであろと言うのがリコの見解である。
「ドーラ・ワルダーの動機だが、恐らくバレンタインという人と人を絆で繋ぐ催しを破壊することで、キマイラ達を屈服させて下僕させやすくする為と思われる。まぁ、半分嫉妬や私怨も入り混じっているであろうが、そこはどうでもいい」
流石にどの動画チャンネルでもバレンタイン一色だと気持ちは分からなくもないが、それはそれでこれはこれ。思うところがあっても、ドーラ・ワルダーの悪事を成功させる訳にはいかない。
「雑居ビルを燃やす事が叶わなければ、奴らは首領命令の割とどうでもいいサブオーダーを捨てて、本来の目的を達成する為にビルの中や野次馬のキマイラ達を攫うかもしれない。くれぐれもそこに注意しながら、今回もドーラ・ワルダーの野望を打ち砕いてきてくれ」
そう告げると、リコはキマイラフューチャーに繋がるゲート展開し、猟兵達を転送するのであった。
ノーマッド
ドーモ、ノーマッドです。
何処に行ってもチョコが陳列されてる時期となりました。
貰うのは良いですが、お返しもせねばなりませんので嬉しいのやら悲しいのやらです。
参考までに、以前のドーラ・ワルダー戦はこちらになります。
( https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=29630 )
●シナリオ解説
第一章は【集団戦】フラグメントです。
現在キマイラ達が手作りチョコ教室を行っているドーラ・ワルダーのペーパーカンパニー支部が入居する雑居ビルへ火を放とうと、下僕怪人となったゲソフレイム達が襲撃してきます。
猟兵達が転送された時には幸いにもまだ火の手は上がっていませんが、雑居ビルの中にはキマイラ達が残されています。彼らを守りつつ、押し寄せるゲソフレイム達を倒していきましょう。
第二章は【ボス】フラグメントです。
ワルドーラ首魁のドーラ・ワルダーとの戦闘になります。
この戦闘でもキマイラ達は健在ですので、彼らの応援を背に受けながら今回も悪の野望を挫いてあげましょう。
●プレイングボーナス
プレイングボーナスは、第一章と二章共通で『キマイラに応援される』です。
ヒーローである猟兵達とは違い、彼らは一般人ですので戦力としては期待できません。ですが、そんな彼らにも勇気を振り絞り、猟兵達に声援を送ったり何か手助けとなる行動をしてくれます。
それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『ゲソフレイム』
|
POW : 汚物は消毒でゲソーッ!
【松明に油を吹き付け発射した火炎放射】が命中した対象を燃やす。放たれた【油の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 俺色に染めてやるでゲソーッ!
レベル分の1秒で【ベタベタするイカスミ】を発射できる。
WIZ : 見るがいい、これが俺の変身ゲソーッ!
対象の攻撃を軽減する【激情体】に変身しつつ、【右腕に装備された火炎放射器】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
山梨・玄信
この未熟者共が!
リア充はほんの少しだけ不幸にして笑ってやるものであって、殺傷してどうする。
わしが正しいRBを教えてやるわい。
【POW】
敵が放火する前に立ち塞がり、正しいRBのやり方を説くぞ。
それでもやるというのなら、戦闘じゃ。
オーラ防御を全身に展開し火炎放射の攻撃を受け、周りには火を付けさせないようにするぞ。わしは火炎耐性で耐えるからの。
そのまま敵が集まっている所に突っ込み、気の放出(範囲攻撃)でダメージを入れてから褌一丁になるぞ(UCの発動条件です)。
後はUCで召喚した女性に、纏めて敵を吹き飛ばしてもらうのじゃ。
「どうせやるなら世界中のチョコを買い占め、カップル共の前で食べるとかどうじゃ?」
「うわぁ!? 下僕怪人だぁ!」
『ゲソゲソー!!』
途中街中に現れたボンテージ姿のゲソフレイムに逃げ戸惑うキマイラ達を他所に、彼らはワルドーラ支部であるペーパーカンパニーが入居する雑居ビルへ急いでいた。全ては敬愛するドーラ・ワルダーの命の元、ビルごと今頃貸し出したワルドーラ支部で開かれている手作りチョコレート教室でチョコレートを作っている最中のリア充キマイラを焼き討ちせんがために。
それよりも、道中のキマイラ達を捕獲して帰っても良いのでは? とも思いもしたが、これはこれでそれはそれ。ドーラ・ワルダーの命に背けば結構シャレにならないきつーいオシオキが待ち構えているのを知る彼らは身震いをしながら、彼らは燃え盛る松明を両手で持ちながら目標となる雑居ビルの前までに到着した。
「この未熟者共が!」
しかし、突如ゲソフレイムの一団へ一括が飛ぶ。彼らが雑居ビルに到着する前に転送されたドワーフの山梨・玄信(3-Eの迷宮主・f06912)が、両腕を組みながら行く手を立ち塞がった。
「リア充はほんの少しだけ不幸にして笑ってやるものであって、殺傷してどうする。わしが正しいRB(リア充爆発しろorリア充撲滅etcetc)を教えてやるわい」
流石に誘拐するためとは言え建物ごとを燃やすのはゲソフレイムも躊躇いはしたが、首領命令では逆らう事ができないのが下僕怪人としての定め。ましてや猟兵に邪魔さ手にした松明を口吻の傍まで持ってくると、玄信目掛けて内部から油を吹き出して燃え盛る炎で襲いかかる。
『ドーラ・ワルダー様の野望を邪魔だてする汚物は、消毒でゲソー!』
だが、玄信は怯むことなく腕組をしたまま炎を一心に浴びる。リア充を少し不幸にする事で少しの幸福を感じ、反動で自滅する事まで楽しむのがRBという信念(?)を持っている彼としては、ドーラ・ワルダーが果たそうとしているRBとは相反している。そう思えば、心頭滅却すれば火もまた涼し。
「この程度の炎など、自らの嫉妬の炎に過ぎんわ!!」
と言いつつも、今こうして道着が燃えている上に実際物凄く熱い。気合で耐えているものの、すごく熱い。だが、彼は耐える。真なるRBをゲソフレイムへ叩きつけるために、彼は燃えながら走った。
「憤ッ!!」
そしてゲソフレイム一団の中心に飛び込むと、彼は内部で練り上げた気を一気に放出する。炎は衝撃波と共に現れた脱衣の国からやってきた神々しい女性の幻影と共にゲソフレイムらを吹き飛ばし、ついでに道着の燃えカスも辺りに飛散する。玄信とはいうと、ぷすぷすと肌から煙を立ち上げているものの、褌一丁のみの姿となって全焼を免れたようであった。これはこれでひどい絵面なのであるのだが、野次馬のキマイラ達はその光景を面白がって写メを送ったり、ライブ配信をしている。
「すっげー! 火だるまになったと思ったら、一気に消して褌姿になったじゃんか!!」
色々と突っ込む要素が多いのではあるが、キマイラ達にとってはチャメシ・インシデントそのものである。この程度の路上パフォーマンスは、ここキマフュでは日常的光景なのだ。
「どうせやるなら世界中のチョコを買い占め、カップル共の前で食べるとかどうじゃ?」
『げ、げそ~~~』
目を回しながら倒れているゲソフレイム達へ、呵呵と笑いながら提案する玄信。彼らは今度はドーラ・ワルダー様へそのように意見具申をしようと、心に誓うのであった。
大成功
🔵🔵🔵
死絡・送
火炎耐性とオーラ防御でバリヤーを張り現場の建物を庇う。
「モテないからって、平和を乱す奴らは許さない!」
念動力と天候操作で雨を降らせて火災を起きにくくする。
飛ばせ鉄拳とばかりにロケットパンチのラッゾプーニョで重量攻撃。
「ルーチェ・デル・ソーレ!」
と必殺ビームの一斉射撃と範囲攻撃。
光子魚雷一万発発射!!で止めを狙う。
「モテないからって、平和を乱す奴らは許さない!」
ダンピールのダークヒーローにして正義の味方の死絡・送(ノーブルバット・f00528)は怒った。いくらモテないからと言って、この暴虐な仕打ちを許してはなるものかと。
『ゲソゲソー! 火を放てゲソー!!』
別ルートから進行してきたゲソフレイムの一団が路地から姿を見せ、雑居ビルへ火を放とうとしていた。だが、今彼らを止めようとしてもビルは焼き討ちされるであろう。そうなれば無辜のキマイラ達が、彼らが思い思いに作ったチョコが溶けてしまう。送は拳をギリっと握り締め、ゲソフレイム達の前に躍り出た。
「おのれ、ワルドーラめ……ゆ゛る゛さ゛ん゛!! 」
その時、不思議なことが起こった。晴れ上がっていた空が急に暗転して、大粒の雨が振ってきたのだ。彼の天候操作も操る念動能力による思いがけない緊急事態にも臆せず、ゲソフレイム達は手にした松明に油を吹きかけて立ち塞がる送を焼き払おうとする。
『ゲソーゲソー! ワルドーラに歯向かうとは、トンだ命知らずだゲソ。お望み通りに燃やし尽くしてやるでゲソー!』
送の身体とその周辺に、ゲソフレイムが吐き散らした燃え盛る油で火の海となる。勝ち誇ったようにゲソゲソ笑うゲソフレイムだったが、炎の中から何者かが姿を見せた。
「そんな炎など、このノーブルバットには効かん!! ルーチェ・デル・ソーレ!」
蝙蝠を模したヒーロースーツ姿となった送…いや、ノーブルバットが高らかに天へ掌を掲げると、雲に切れ目が走り彼へと光が降り注いだ。
「ルーチェ・デル・ソーレ! 全てを光に変えて消す!! 光子魚雷一万発発射!!」
ノーブルバットが腕を振り落とし、光から創り出された必殺ビームが一声に放たれる。それらは魚雷の如くゲソフレイム達を追尾し、着弾すると彼らが眩い光に包まれた。
『ゲソゲソー!?』
「光となり、消え去れ!」
その光が消えると、先程居たはずのゲソフレイムが光と共に消え去っていた。雲は晴れ上がり、再び姿を見せた太陽の光の反射と共に路上に貯まった水たまりがノーブルバットの姿を写していた。
成功
🔵🔵🔴
フローライト・ルチレイテッド
アドリブ連携歓迎でーす。
空から【空中浮遊】でふわふわ降ってきて。
【地形の利用】で攻撃をガードしつつ宣言を。
さあバレンタインゲリラライブを始めましょう!
【真っ赤な夜】の音量は窓が割れない程度に大きく。
【存在感】を主張して周辺を【誘惑】しつつ、
指定UCを起動、正規メンバー二人の分身を召喚!
【情熱】を燃やして、犬耳イケメンベースとワイルド魔王ドラム兼リーダーとメドレーライブを開始します!楽曲とアンコールが尽きるまで!
(UC=楽曲は現在66曲)
ライブ空間でビル周辺の半径90mを僕たちの世界に取り込み、
【楽器演奏、歌唱、パフォーマンス、鼓舞】を駆使して全力でライブします。
やってる間疲れないのは実に便利。
ティエル・ティエリエル
SPDで判定
リア充とかまだまだよくわかんないお子様だけど、
せっかくのチョコレート作りを邪魔なんてさせないぞー!
ようし、タコウィンナーの着ぐるみを着て下僕怪人達の中に紛れてから不意打ちだ!
真っ白なイカだとバレるかもだけどこのイカは赤いから大丈夫だよね!
(けどまぁ、サイズも違うしバレないわけはなく)
しょうがないから、タコの姿でイカを挑発しながらこっちに引き付けてる間にキマイラさん達には逃げてもらうね♪
【スカイステッパー】でぴょんぴょん飛び跳ねるタコになりながらレイピアでイカ刺しにしていっちゃうぞ☆
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
「うっひゃ~、物凄いゲリラ豪雨だった」
「ねぇねぇ。あれ何だろ?」
先程の猟兵が降らせた雨にビルの軒下に避難していたキマイラの一人が、雨が止んだ空に指を差した。雲の切れ目から出る陽の光と共に、何かがふよふよと降りているように見える。
「なんだろう……スカイダンサーのフライング・パフォーマンサーかな?」
「違う違う。そんなのありきたりだって。きっとさっき見た怪人達の親玉だよ」
「そうかな~。猟兵がまたやってきたんじゃないの?」
やいのやいのとキマイラ達があれだこれだと憶測を述べる中、甲高い電子ギター音がそれを遮った。
「これは……もしかして」
「さあバレンタインゲリラライブを始めましょう!」
「「「Flawless Signのゲリラライブだぁ~~~~ッ!?」」」
フローライト・ルチレイテッド(重なり合う音の色・f02666)は、蛍石色のダブルネックギターを調べを自身の周囲で浮遊している赤い野外用スピーカーポッドで高層ビルのガラスが割れない程度に増幅させながら、Flawless Signゲリラライブの知らせをその存在感を主張させながら降下していく。
『耳障りな音でゲソー! これでも食らえでゲソ!!』
加減されているとは言え、ビルとビルをやまびこのように反響しているこの大音量。ゲソフレイムはその根源であるフローライトにイカスミを浴びせようとする。
「そうはさせないよ☆ せっかくのライブとチョコレート作りを邪魔なんてさせないぞー!」
高粘度のイカスミを浴びせようとしたゲソフレイムの上に、小さなゲソフレイムのようなものがピョンと飛び乗りながら、その正体を現して何かを突き刺した。
『痛ったーゲソ!?』
『お、お前はイェーガー! どうやって俺達に気づかれずに潜り込んでいたでゲソ!?』
「ふっふーん♪ ボクの完璧な変装に気づかなかったんだね☆ このタコウィンナーの着ぐるみを来て紛れていたのさ♪」
ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)がしてやったりの顔でゲソフレイム達に正体を明かした。ゲソフレイム達が目を凝らしてみると、確かによく見れば脚は8本のタコウィンナーの気ぐるみである。イカの怪人とは言え赤い身体のゲソフレイムは、雑居ビルに到着する途中にこの着ぐるみを着たティエルがこそっと紛れ込んでいたのに気づかなかったのも無理はない。
「オーケー、みんなは今日もノリノリだね。そんなみんなの情熱に負けない熱いライブをやっちゃうよ!!」
一方、ティエルに気を取られているゲソフレイムらを他所にフローライトは手頃なスペースに降り立つと、彼の宣伝を聞いたキマイラの他に噂を聞きつけたキマイラやビルから降りてきたキマイラ達が集まり、周囲はごった返していた。フローライトがビルを見上げると、その特等席さながらの窓ガラス越しにもキマイラ達が集まっているのが分かる。
「今回のゲリラライブは僕だけだって? ざーんねん、外れだよ。UCの分身体だけど、Flawless Sign正規メンバーの犬耳イケメンベースとワイルド魔王ドラム兼リーダーもこの通り、健在さ! 楽曲とアンコールが尽きるまで! メドレーライブを始めよう!! ARE YOU ON?!」
「「「YEAHHHHHHHHHH!!」」」
『むむむ!? タコの変装をしていたイェーガーに気をとらわれていたら、いつの間にかキマイラが大勢居るでゲソ!』
『もうこうなれば、このキマイラを誘拐して最低ノルマだけは達成するでゲソー』
ワルドーラ首領のドーラ・ワルダーの命令は絶対的であるが、こうなってしまえば当初の目的であったビルを焼き討ちを果たせるか怪しい。であれば、本来の目的であるキマイラ誘拐を果たそうとゲソフレイム達は舵を切ろうとした。
「そうはさせないもね~♪ えいっ☆」
ぴょんぴょん飛び跳ねるタコさながらにティエルがゲソフレイムからゲソフレイムへとスカイステッパーの二段ジャンプで飛び移り、その度にレイピアを目の間にある急所に突き刺して〆ていく。〆られたゲソフレイムは赤い体色が一気に白くなり、ドサッと倒れるとそのまま塵となって骸の海へと還っていく。
『ゲソゲソー、こんなタコの小娘に遅れをとるなでゲソ!! キマイラを触腕で絡め取ったらトンズラするんでゲソー!!』
ゲソフレイムが粘つくイカスミをキマイラに向けて吹き付ける。これを浴びれば逃げ惑うこともできずに身動きは取れなくなり、その隙に捕らえて誘拐するというゲソフレイム十八番の捕縛方法だ。だが、キマイラに浴びせたはずのイカスミは彼らに届くことはなかった。まるで視えない壁があるかのように、イカスミは宙を伝って落ちるだけだ。
「走り出せ、もう一度そこへ 手を伸ばせ 手を伸ばせ あの日見た夢を 掴み取れ 手を伸ばせ 手を伸ばせ 情熱燃えゆく エルドラド!」
「「「YEAHHHHHHHHHH!!」」」
それもその筈で、フローライトが展開したUCは創り上げたライブ空間、即ち自分達の世界観に取り込んでしまえば外部からの攻撃を遮断するものだ。ライブを熱演し楽しんでい間は、如何なるものでさえこれを破ることはできない。
「へっへーん♪ どんなにイカスミを吐いても無駄だよ☆ 悪いイカさんは一網打尽にしちゃうよ、タコさんウィンナーの…お姫様ビーム☆」
『げ、げそーッ!!?』
ちょどーんとゲソフレイムが爆破四散するが、フローライトのゲリラライブを楽しんでいるキマイラ達にとってはPVのようなエフェクトに過ぎない。
そしてUCを発動している間は疲労しないという恩恵もあってか、体力を激しく消耗するメドレーライブを一周終えてもフローライトはまだまだ余裕である。
「みんな、まだノリノリだね。そんなに楽しんでくれて僕達も嬉しいよ。じゃあ、メドレーライブの2周目もついて来てくれるかな?」
「「「いいともー!!」」」
こうしてFlawless Signのバレンタインゲリラメドレーライブは2周目へと突入するのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ケイ・エルビス
「バレンタイン?そんなの、ただの14日じゃねえか」
ワルっぽい感じでタバコを吸いながら意表をつく
携帯灰皿に煙草を捨て
「でもまあ、イベントを楽しんでる奴らを
邪魔しないであげようぜ。代わりにオレが付き合ってやるよ!」
炎をかわしながら服の下に着込んでる
フィルムスーツとオーラ防御で直撃を避け
ビルのに残ったキマイラ達をかばいながら
避難の声かけで不安になってるキマイラ達を鼓舞
敵の前に存在感を持って立ち塞がる
彼らを守りつつ押し寄せる敵を
カウンターでUCの精密なクイックドロウ乱れ撃ち
猟兵が他にいれば援護射撃でサポート
ガンガン倒していくぜ
アクション映画みてえな各銃撃の魅せプレイで応援も得やすくするぜ
『ゲーソゲソ! こうなればビルの外からではなく中から焼き討ちだゲソー!』
手をこまねいた残存するゲソフレイム達は、雑居ビルの中へと押し寄せた。エントランスに侵入すると、外で何があったのか様子を伺いに出たキマイラと遭遇する。キマイラ達の悲鳴と共に、ゲソフレイムはゲソゲソと笑いながら周囲を燃やそう松明を掲げた。
『ゲソゲソゲソ! ドーラ・ワルダー様の命でゲソ。恨むならバレンタインに恨むんだゲソ』
「……バレンタイン? そんなの、ただの14日じゃねえか」
ゲソフレイムの言葉をケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)が遮ると、ゲソフレイム達は一同に振り向く。ケイは壁に背を預けながらワルそうにタバコを一服吸うと、携帯灰皿の中へにポイッと吸い殻を投げ捨てて仕舞うと同時にハンドガン型ブラスター銃を抜いた。
「でもまあ、イベントを楽しんでる奴らを邪魔しないであげようぜ。代わりにオレが付き合ってやるよ!」
『小癪な野郎ゲソ! ビルごとお前も焼いてやるでゲソ!』
ゲソフレイムが両腕に持った松明でケイごとビルを焼こうとしたが、それよも早くケイはブラスターを抜き撃った。正確にはゲソフレイムではなく、スプリンクラーであるが。
「こうすりゃ自慢の焼き討ちもできねぇだろ?」
『お、おのれゲソー!!』
火災用スプリンクラーから出される水が激しい雨のように降り注ぎ、ゲソフレイムの松明は消え失せてしまう。突如起きたことに彼らが狼狽する中、ケイはもう一丁のハンドガン型ブラスター銃を抜くとクイックドロウ乱れ撃ちを放つ。
「オラオラ! ガンガン倒していくぜ!!」
「スッゲー。まるでカンフーみてぇだ!」
カンフーならぬガンフー。アクション映画張りの銃撃戦を物陰で隠れているとは言え、キマイラ達は黙っているわけには行かない。魅せるような早業に彼らは声援を贈り、流れるような動作の元で次々とゲソフレイム達を撃ち抜いていく。
「こいつで・・決まりだぜ!」
ケイが仕上げとばかりに、残ったゲソフレイムをブラスターの熱線で焼き貫く。最後はくるくるとガンスピンを決めながら収めると、ゲソフレイム達は塵となって骸の海へと還って行った。
「さて。残るはワル・ドーラが貸し出したとかいう、雑居ビルの中にある支部だな」
ビルで行われているイベント開催の掲示板を確認したケイは、エレベーターを待つ時間を惜しみ階段を駆け上がって行くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ドーラ・ワルダー』
|
POW : わたくしにひれ伏しなさい!
【鞭】が命中した対象に対し、高威力高命中の【踏みつけ攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 下僕達、やっておしまいなさい!
戦闘用の、自身と同じ強さの【力自慢の下僕】と【テクニック自慢の下僕】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ : こうなったら奥の手よ!
自身が戦闘で瀕死になると【巨大なびっくりメカ】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ガジル・コリアンダー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
下僕怪人ゲソフレイムの集団による襲撃から、猟兵達は雑居ビルと周辺に居たキマイラ達を守り抜いた。
だが、ドーラ・ワルダーが直々に狙う獲物は彼らではなく、雑居ビル内にある貸し出されたワルドーラ支部で開かれているチョコレート教室に集まるリア充なキマイラ達だ。彼ら、彼女らの安否を確認しようと、猟兵らは雑居ビルを駆け上がった。入り口の案内板に張り出されていた情報を頼りに指定された階へと辿り着くと、でかでかしく『チョコレート教室会場』の立て看板を見つけた。ここが件のチョコレート教室なのだろう。
猟兵達が勢いよく中へ突入すると、ぎょっと驚いた様子でキマイラ達が一斉に振り向いた。どうやら一室を借りた講師の指導の元、手作りチョコレートを作り上げようとしている最中であったようだが、突如として甲高い笑い声が部屋内に響いたのだった。
『オーッホッホッホ…おのれ、イェーガー。一度ならず二度もわたくしの崇高なる計画を台無しにしてくれるとはッ!』
この声はドーラ・ワルダーの物であった。しかし、猟兵達が周囲を見渡しても彼女らしき姿は何処にも見当たらない。
『ですが、これはこれで前回の雪辱を晴らす好機に転じた、と考えを改めてもいいかもしれませんわ。そのキマイラ共々貴方達もわたくしの下僕に差し上げ、這い蹲らせながら靴を舐めさせるのも良いかもしれませんからね。オーッホッホッホ』
再び笑い声が上がったかと思いきや、部屋内の空間が歪み始めた。元々ここはワルドーラの支部である。何か細工が仕掛けられていたとしても可笑しくはない。自体を飲みきれていないキマイラ達を囲むように守り続けていると、次第に空間の歪みが収まり、元の部屋よりも奥行きが広い場所へと変わった。薄暗いが目が暗闇に慣れていくと、周囲にはおびただしい血痕の跡が残る拷問器具の数々がずらりと並んでいるのが分かるだろう。
『ようこそ、これからかわいいかわいい下僕怪人に生まれ変わるキマイラとイェーガー。ここはわたくしドーラ・ワルダーが作り出した異空間「魔空監獄」ですわ。ここで貴方方はわたくしに跪き、許しを請いながら惨たらしく死んでいき、下僕怪人へと生まれ変わるのです。のこのことワルドーラのアジトへ足を踏み入れた自分自身を恨むことね。オーッホッホッホ!』
ピシャリとムチが床へ叩きつけられる音がした方に顔を向けると、次々と灯る松明の光にドーラ・ワルダーの姿が照らし出された。彼女自身が作り出した空間とするならば、恐らくはUCの類いによるものであろう。であれば、ドーラ・ワルダーを倒せば元の空間に戻るはずだ。キマイラ達を拷問によって血のバレンタインにさせないため、彼らが作ったチョコレートを無事に想い人へ手渡すために、巨悪の野望を挫かねばならない。
ドーラ・ワルダーの笑い声が魔空監獄に響く中、正義と悪の戦いの火蓋が切って落とされた。
火土金水・明
「あなたの計画は成功しませんよ。なぜなら、キマイラさん達に応援された私達猟兵が勝利するのですから。」(攻撃は味方を巻き込まないよう敵だけを攻撃します。)
【SPD】で攻撃です。
攻撃方法は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【シルバータイフーン】で、『ドーラ・ワルダー』と召喚された者達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
フローライト・ルチレイテッド
アドリブ連携歓迎です。
さあ、翼を広げ、蒼天へと飛べ!あの空へ!あの空へ!
大きいロボにはこの手です!
可変戦闘機隊、ヴァルキュリア、ファントム、各小隊へ!
目標はあちらの巨大メカさんです!
どーんとやっちゃってください!
指定UCを発動。次元を超えて宇宙戦艦エルドラドから発進した戦闘機部隊が攻撃します。メカが出ても尚場所が狭い場合はミニチュアが来ますが。
自分は観客を【誘惑】し【鼓舞】しながら、【存在感】を発揮しつつ動き回りましょう。
スピーカーの音量は最大。演奏や歌の【パフォーマンス】も忘れずに。
味方を鼓舞する【浄化】のサウンドを流し続けます。
攻撃はここの【地形の利用】と【オーラ防御】で凌ぎます。
「あなたの計画は成功しませんよ」
火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)の声が、ドーラ・ワルダーの笑い声を遮った。ほぅ、と見下すように明を見やるドーラ・ワルダーに対して、彼女は高々と叫んだ。
「なぜなら、なぜなら、キマイラさん達に応援された私達猟兵が勝利するのですから」
そうだそうだとキマイラ達が次々と叫びながら合いの手を入れたが、ドーラ・ワルダーの笑い声が再び響いた。
『オーッホッホッホ。そうでなければ、ですわ。応援されるイェーガーを倒し、絶望に打ちし枯れているキマイラを下僕とせねば、こちらも面白みが無いですもの……ねぇ?』
ピシャンと鞭を石床に叩きつけると、それを合図として彼女の背後の暗闇から何かが前へと出てきた。
『下僕達、やっておしまいなさい!』
ドーラ・ワルダーが命令を下したそれらは、どちらも麻のズタ袋を被った怪人めいたモノであった。片方は筋骨隆々とした大柄な体つきだ。首切り用であろうか、巨大な両手斧を引きずっている。もう片方は相方より小柄である。巨大なハサミを鳴らしながらにじり寄っており、さしずめこの異空間『魔空監獄』での彼女の下僕怪人なのだろう。こころなしか巨漢、小男、そして悪女の組み合わせが下宿先のアパート縁栄荘で見たテレビアニメの悪役を思い起こさせるが、今はそれどころではないと明は銀の剣を抜いた。
振り落とされる大斧を避けたと思いきや、それを見越したかのように大鋏が口を広げさせながら明を真っ二つにさせた。だが、手応えはあったのだが、彼女の身体は霞のように解けて消えていく。
「残念、それは残像です」
下僕怪人が相手にしていたモノの正体は、明が羽織っていた黒色のマントであった。魔術によって作られた分身体が消えると同時に、透明化していた明の姿が現れた。彼女は小柄下僕の大鋏を足場として跳ぶと巨漢下僕の頭を踏み台にし、一息に奥へ控えていたドーラ・ワルダーに距離を詰める。そして、一閃。照らされる明かりに反射する銀の剣が、残光を描きながらドーラ・ワルダーを斬り抜いてみせたが、既の所で躱された為に致命傷には至らない。
『オーッホッホッホ! 相変わらず小癪ですわ。ですが、何も備えをしていないとお思いだったかしらぁ?』
明から与えられた傷を押さえながら、さも想定内と言わんばかりに再び鞭を振るうと、突如として空間内が揺れ始めた。床から壁から天井から何ががせり出すと、それらが組み合わさることで石造りの巨大なびっくりメカが完成されたのだ。
『ここはわたくしの空間という事をお忘れだったかしら? こんなこともあろうかと、この様な備えは十全とありますのよ、オーッホッホッホ!』
やはり、記憶にあるアニメと同じ展開だ。明が今度は同じ手を食わないぞと詰め寄る二体の下僕らを相手にする中、頭の中では次の展開が映し出される。悪役メカが出たら、そうメカはメカで対抗するのだ。
「大きいロボにはこの手です! 可変戦闘機隊ヴァルキュリア、ファントム、各小隊へ! 目標はあちらの巨大メカさんです! どーんとやっちゃってください!」
そして、その時には何故か主題歌やテレビの前の皆が応援したくなる鼓舞する挿入歌が入るもの。フローライトが手にしたギターでイントロを流しAメロの冒頭を歌い上げると同時に、虚からダウンサイズ化された今週のびっくりどっきりメカ……ではなく、UCにより次元を超えて宇宙戦艦エルドラドから発進した戦闘機部隊が転移されてくる。
その様子をこんなアニメもあったと言う顔持ちの中、前触れもなく飛来した戦闘機群に注意が逸れた巨漢下僕の隙を突いて、銀の剣による袈裟懸けで斬り伏せた。
「蒼天飛翔だ! まさかこんな所で聞けるだなんて!!」
だが、キマイラ達はさも当然のように場を理解したようだ。それもその筈で、普段は航空ショーに使われている可変戦闘機が小さくなっているとは言え、目の前で臨場感ある機動戦を展開すれば目を輝かせない筈がない。泰然自若と、突然神パフォーマンスに遭遇しても良いように携帯しているのが当然のアイテム『スティックライト』を取り出せば、血塗られた拷問器具類場も演出アイテムと化してしまう。場の空気は、既に猟兵達とキマイラ達の物になったのだ。
『キィ~、おのれぇ! ゴーモン・レム、やっておしまい!!』
だが、雲霞の群れのごとく波状攻撃を与える可変戦闘機隊ヴァルキュリアとファントムの編隊の前に、ドーラ・ワルダーの巨大なびっくりメカは成すすべもない。噴射煙をあげながらサーカスめいた曲芸の複雑な軌道を描くミサイルの雨、それらを全て撃ち切ったら人型に変形するとガンポットを手にし、上から下からの多重攻撃を展開するのだ。ミサイルが命中する度に、銃弾が命中する度に石造りの装甲が抉られ、もげ、あっという間に瓦礫となるのはそう遅くはなかった。
「みんな、応援ありがとー!」
アウトロで曲を切り収め、応援してくれたキマイラにフローライトが手を振りながら感謝の言葉を述べると、キマイラらは声援が再び魔空監獄内に響くのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ケイ・エルビス
異空間の拷問器具に残った血痕の数々を見て今までの悪事を悟り
怒りのテンションで敵の鞭にオレの鞭を早業で当てて絡め命中を防ぎ
疾走感のあるお気に入りのロックナンバーを
ステップや身体でリズムを刻み挑発を交えて走りだけ口ずさみUC発動
鞭、ナイフ、様々な格闘術を交えた連続攻撃を
勢い良く叩き込み圧倒
ガードしても怪力で通す
かわそうとしたら鞭や拷問器具を利用して足止め
たとえ踏みつけられてもそのまま気合で起き上がる
距離が離れたらブラスターの早撃ちで仲間を援護射撃
ピンチの仲間がいたらオーラ防御でかばう
事後
「想いを伝えるの躊躇ってたら、
もしかしたら何かあって渡せなくなるかもしれねえよ。
最高のリア充になってきな♪」
とっておきのメカを喪い怒りを顕にさせるドーラ・ワルダーを前にしながら、ケイは壁際にずらりと並んだ様々な拷問器具を見やった。その中でも一際目立っていたのが、中に入れた者を無数のトゲで串刺しにする鉄の処女、アイアンメイデンに似た物であった。その周辺には流れ出たであろうおびただしい血の痕跡が残っており、この拷問器による犠牲者はどうなったかの想像は容易いものだ。
「よくもまぁ、いたぶりにいたぶったものだな」
そう呟くと同時にドーラ・ワルダーが鞭を振るった。だが、それは宙で先端が浮かんだまま、ケイの身体を打ちめすには至らなかった。咄嗟に振るった皮製の鞭がドーラ・ワルダーの鞭を絡め取り、互いに引き合う攻防を繰り広げていた。
『オーホッホッホ、中々洒落た真似をしますわね。ですが、甘くてでございましてよ』
「それはどうもだ。だけどよ、甘いのはチョコだけで結構…ッ!?」
ケイが言葉を返している最中、ドーラ・ワルダーは突然手にしている鞭を握りしめる力を緩めた。思わぬ返しにケイは後方に態勢を崩そうとしたが、それがドーラ・ワルダーの狙いであった。彼がそのまま体制を崩して倒れたの機に、ハイヒールのピンヒールで踏みつけようという魂胆なのだろう。
しかし、それはケイにとっても予測の範疇内であった。下手に挑発をしては、キマイラ達に被害が及ぶかもしれない。それならば、わざと態勢を崩したフリをして彼女の攻撃を誘ったのだ。そして、身体を持ち直そうする中で疾走感のあるお気に入りのロックナンバーを口ずさむと、彼はUCを発動させた。身体をリズムに任せ、即興による行きあたりばったりのビートを彼は刻んだ。
「ヘイ、一緒に踊ろうぜ!」
まずは一発、絡め取ったドーラ・ワルダーの鞭で長さが伸びた自らの鞭を無造作に振るった。壁際までに届くそれは拷問器具も巻き込んで、それらを力づくで引き寄せるとドーラ・ワルダーめがけて放った。
『なっ!?』
当然のこと、彼女はこのような事態になるのは想定外であった。機敏にも迫る拷問器具を咄嗟に避け続ける素振りは、踊っているように見えるであろう。そうしている内に絡めていた彼女の鞭が解け、ほどなくして元の持ち主の手に戻るが、既に鞭の射程外にまでケイは仕切り直した。そうなれば、こちらが射程外から攻撃すればいいとばかりにブラスターを抜き撃った。
「想いを伝えるの躊躇ってたら、もしかしたら何かあって渡せなくなるかもしれねえよ。次に復活する時は、最高のリア充になってきな♪」
矢継ぎ早の早撃ちで放たれたブラスターの熱線を、ドーラ・ワルダーが苦虫を噛み潰したかのような顔のまま鞭で叩き落とそうとさせる。だが、その軌道を抜けるようにケイは彼女の身体を穿ってみせたのであった。
成功
🔵🔵🔴
ティエル・ティエリエル
SPDで判定
ふふーん、おばさんの悪事もここまでだよ♪
ドーラ・ワルダーにびしっとレイピアを突きつけてやるよ!
おばさんの嫉妬は見苦しいぞーと挑発しまくって怒らせちゃうね♪
UCで呼び出した部下をけしかけてきても、背中の翅で飛び回ってスピードで翻弄しちゃうぞ☆
応援してくれるキマイラたちに手を振るパフォーマンスをする余裕まであるもんね♪
ぐるぐる飛び回って下僕達が目を回したら、ドーラ・ワルダーに突撃だ!
【妖精の一刺し】でぐさっとやっちゃうぞ☆
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
七瀬・夏希
あの鞭をかいくぐって近付くのはちょっと辛そうね。
なら、この銃で仕留めてみせるわ。
鞭の間合いの外から《拳銃》を用いて攻撃。
最初は通常弾を使用。
敵がこちらの力を見切ったと判断したようならば、奥歯に仕込んだ《強化薬》を使用。
《拳銃》の神器としての能力を解放して障害無視の銃弾を両脚に叩き込み、移動を封じる。
貴方、キマイラを部屋に閉じ込めて火を放つつもりだったそうね。
せっかくだから今から同じ目に……恐怖と絶望という名の天罰を与えてあげるわ。
跪い、許しを請いながら惨たらしく死になさい。
《鋼糸》を用いて縛り上げた後、UCを用いて《魔眼》の能力を解放。
敵の身体全てを火焔で包み込む。
UC指定:属性攻撃、焼却
「ふふーん、おばさんの悪事もここまでだよ♪ チョコを渡す相手が居ないからって、おばさんの嫉妬は見苦しいぞー☆」
ブラスターの一撃を受けたが僅かに致命傷を逃れたドーラ・ワルダーに向け、ティエルは手にしたレイピアの切っ先を彼女に突き向けながら宣言した。
『お、おば…ッ!?』
いつもなら猟兵の挑発を笑い飛ばすドーラ・ワルダーであるが、今回は『おばさん』という単語が琴線に触れたようだ。敢えて年齢こそは伏せるが、彼女のような境目になれば『お姉さん』か『おばさん』か曖昧になるものだ。女性としては永遠のお姉さんでありたいものであるが、うら若いティエルからすればおばさんはおばさんでしかない。
その言葉に嫉妬の炎とは別の怒りの炎が沸々とたぎらせ、いくつものダメージを受けた身体でありながら鞭を振るうと、先程のズタ袋を被った凸凹コンビの下僕が再び召喚された。
『オーッホッホッホ! 小娘め、わたくしに言ってはならない事を言いましたわね……下僕共、あの羽根虫を八つ裂きにしておしまい!!』
視界を確保するための穴しか空いていないズタ袋からは、あーあ言ってはならない禁句を言っちまったよという様な冷ややかな目が見えた。その哀れみがどちらに向けられているかは定かではないが、下僕怪人らは主人の命に従ってティエルを捕らえようと動き出した。
「ふふん、お前達みたいなノロマにボクは捕まらないもんね♪ 鬼さんこちら、羽音がするほうへ☆」
下僕怪人の野太い指先がティエルを捕まえようとするが、敢えてギリギリまで踏み止まって捕まえられる距離を保ちながら背中の翅で飛び抜けていく。そんな見ているだけでもハラハラしてしまうパフォーマンスに、キマイラ達が思わず声援を送るとティエルは手を振りながらそれに応える。つまるところ、下僕怪人達は彼女に遊ばれる形で翻弄されていた。次第に高まるキマイラ達の声援で場の空気は既に猟兵ムードとなっており、それにドーラ・ワルダーはギリッと歯を鳴らした。
「注意が逸れている今がチャンスね」
ドーラ・ワルダーは与えられ続けたダメージにより満足に動けず、召喚した下僕怪人が頼みの綱ではあるが、鞭捌きに関しては先程のように健在だ。だが、今こうしてティエルが彼女の気を引きつけている時が好機である。
七瀬・夏希(UDC-SWAT・f29827)は、神器である拳銃を抜きながら奥歯を噛み締めた。奥歯に仕込まれた強化薬のカプセルが破れ、薬剤は唾液に混ざり合いながら口内の粘膜吸収を経て全身に行き届く。それにより強化されたされた能力で神器の力を解放すると、防壁や結界などの標的以外の障害は透過と貫通する弾丸を撃ち放った。
『オーッホッホッホ! 拳銃の玉など、わたくしの鞭で振い落して…ッ!?』
夏希が拳銃を抜いた時点でドーラ・ワルダーは気づき、自慢の鞭で弾道を遮る。しかしそれがタダの銃弾であると侮ったのが運の尽きであった。鞭を透き通った弾丸は彼女の脚を撃ち抜いたのだ。
ティエルが下僕怪人を翻弄してお互いに正面衝突したところで、ドーラ・ワルダーが放ったUCの効力は喪われた。
「貴方、キマイラを部屋に閉じ込めて火を放つつもりだったそうね。せっかくだから今から同じ目に……恐怖と絶望という名の天罰を与えてあげるわ。跪い、許しを請いながら惨たらしく死になさい」
脚を撃ち抜かれ、片膝を着くドーラ・ワルダーに向け、夏希は同じく神器であり生き物の様に動く極細の鋼線で彼女の身体を縛り上げて捕らえた。鋼線が食い込む中、血の代わりにそこから炎が噴き出し、ドーラ・ワルダーが炎に包まれ始める。
「いっくぞーーー!! これがボクの全力全開だよ☆」
下僕怪人が消滅したと同時に、ティエルは夏希の手により動きを封じられたドーラ・ワルダーに向け、レイピアを突き出しながら突撃した。彼女を遮る物が何もない中で加速を早め、風鳴りのレイピアが軽やかな音楽を奏でさせた。
『お、おのれ、イェーガーめ…。一度ならず二度も、わたくしの野望を……ッ!!』
風鳴りのレイピアが振るわれるとドーラ・ワルダーの身体を刻み込み、彼女の断末魔が監獄魔空内に響き渡った。夏希が鋼線に纏わせたUCにより一気に炎に包まれ、爆破四散して大爆発を起こした。
「野望? いいえ、貴方の狂った嫉妬よ。ともあれ、これで一件落着ね」
夏希が骸の海へと消え去ったドーラ・ワルダーに向け、そう溢しながら鋼線を巻き取ると、再び空間が歪み始める。監獄魔空の主であるドーラ・ワルダーが消え去った事で、再び元のチョコレート教室に戻ったのだ。
こうしてリア充なキマイラ達のバレンタイン・デーを台無しにしようとしたワルドーラの野望は、猟兵達の活躍により潰えた。恋人友人問わず、キマイラ達はチョコを贈り合ってバレンタインという特別な一日を楽しむ事だろう。
だが、忘れてはならない。バレンタインデーの翌月には、貰ったチョコのお返しするをするホワイトデーがあることを。そして悪は倒されても蘇るもので、二度あることは三度ある。再び復活するだろうドーラ・ワルダーが何をしでかすか分かったものではないが、その時はまた猟兵が彼女の悪しき野望を打ち砕くのみだ。
頑張れ、猟兵!
負けるな、猟兵!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵