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羅針盤戦争〜賞金稼ぎ『メリー・バーミリオン』の野望

#グリードオーシャン #羅針盤戦争


●賞金に釣られる者
 グリードオーシャンのどこかの海域、そこをひたすら走る一つの船があった。
「60900G、59700G……おっ、こいつも57300Gかい……」
 船に乗っている女海賊は大量の手配書を見ながら選り取り見取りしていた。
「どいつもこいつも可愛いじゃないか……」
「お頭、これどこに向かえばいいんですかい? このままだとマズいですぜ」
「ああん? 島に行ければそれでいい! 適当な島を襲えば猟兵が来るだろうからね!」
「へ、へえ……でもこの先は渦潮が……」
「なあ、こいつも可愛いだろう? こいつも――」
「へ、へえ……」
 捕まってしまった部下と忠告する部下、そして手配書の可愛い顔にニヤリな女海賊。
 しかしその一見平和そうに見えるそれは長く続かない。
 突然、船が大きく揺れ、女海賊が手配書を撒き散らかす。
「ああっ、もう、野郎共何してるんだい!」
「それが、その――島はもうすぐそこなんですが、渦潮につかまってしまって――」
「っかー、島を前に渦潮!? いいから早く脱出して接岸するんだ!」
 女海賊――メリー・バーミリオンの声が船の上で響いていた。

●賞金を背負う者
「賞金出たところで誰に身柄引き渡せば貰えるのかしらね」
 ふとマリア・ルート(千年の王国から堕ちのびた姫・f15057)がそんなことを呟く。
「まあ、そんなことはどうでもいいけど。下る気なんてないし」
 と、前置きしたところで。
「グリードオーシャンのある島を賞金稼ぎの女海賊が私たち猟兵を誘き出そうと襲撃しようとしてたんだけど――どうも島の目の前で渦潮につかまったみたい」
 これは好機である。相手の船が混乱している今こそが彼女を討ついい機会だ。
「船の上は渦潮のせいで相当揺れていて安定しないけど……幸い、いい感じに座標を掴めたから――ここからが重要よ」
 一呼吸おき、マリアが言う。
「今回は、女海賊の海賊船に『直接』送るわ」
 つまり、島に送って迎撃するわけではない。最初から海賊船に乗り込み、襲撃をかける形だ。
「乗り込んだらあとは普通に煮るなり焼くなりすればいい。ただ下っ端も相当いるし、女海賊もなめてかかると苦戦するから気を付けて。あと――こいつ、たぶん賞金首出たら欲望に駆られて隙ができると思うわ――多分」
 多分、と防衛線を張りつつもグリモアを展開するマリア。その先に見える揺れる海賊船。
「天候は晴れ、風もなし。思いっきり暴れてらっしゃい! 渦潮に沈めるくらいの勢いで、ね!」


結衣謙太郎
 賞金が上がってくるとなんかニヤリとしない?
 結衣(戦争モード)です。
 賞金稼ぎを倒してもっと賞金増やしちゃおうぜ……?
 以下詳細。

●メイン目標
『メリー・バーミリオン』の討滅。

●章構成
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「羅針盤戦争」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 今回の相手は女海賊メリーです。
 今回は何と『直接』海賊船にテレポートになります!
 また現在海賊船は晴天、風なしの中渦潮につかまり大きく揺れています。
 近くには島も見えます。多分放置したらそこが襲われます。
 賞金首であればそれだけで特別プレイングボーナスが入りますが、別に金額の大小や自分が賞金首だアピールをしてもかまいません。

●備考
 プレイングはオープニング公開後から受け付け開始します。
 ただし全採用できない可能性がいつもより大きい点、ご了承ください。

 以上です。
 それでは、バウンティハンターハンターな皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『メリー・バーミリオン』

POW   :    野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ   :    大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​
城田・紗希
手配書がまだないから、作ってきたよ!(プリクラとかアルバムとかのノリで選んだ「一番写りのいい写真」と、明らかに手書きな3万Gの額面)
…間違えた、最新の手配書を持ってきてあげたよ!(メタ:12日午前時点で未手配)

という訳で戦いだー、海賊掃除だー!(下っ端海賊を流水の如く斬りつけつつ、隙あらば親分にも切りつけようと)
そういえば、子分海賊の撃破数に応じて、賞金増えたりしない?増えるよね??
(下っ端への応戦しつつもバーミリオンから「賞金増える」と言ってほしそう)



●さすがに舐めすぎた
『何しているんだい、早く渦潮から――』
「やっほ!」
『ああ? 誰だ、こんな時に――』
 ――メリーは城田・紗希(人間の探索者・f01927)を眺めると首をかしげる。猟兵であるのは本能でわかるのだが、はてこんなの手配されていたか……?
「手配書がまだないから、作ってきたよ!」
 このアイコンみたいな目で差し出したのは、あろうことかまるでプリクラとかアルバムとかのノリで選んだ『一番写りのいい写真』――と、明らかに手書きな『30000G ALIVE ONLY』の文字だった。
 そう、あろうことかこの子、未手配である!
『っかぁー、話になんないね! おい、適当にあしらっときな!』
『へい!』
「お? やるか? というか手配されてないのはそっちのオブリビオンのせいじゃないの?」
 こいつ、コンキスタドールに濡れ衣着せやがった!
「ふふん、これでも一応猟兵だから舐めないでよ!」
 紅時雨を取り出すと海賊たちを流水の如く斬り始めるが、いかんせん数が多い!
「んー、そういえば、子分海賊の撃破数に応じて、賞金増えたりしない? 増えるよね??」
『増えるかい! ゲームじゃないんだよ!』
 ワンチャン賞金増えるとでも言ってほしかったのだろうが、言われたのはツッコミだった。ボケ沼にようこそ。それとも天然沼か?
「ん? あっ」
 おっと、紗希の懐から何かこぼれた。これは――人の全身のように見える歪な形のカブ、だが――?
『へいお頭、こいつはどうなんですかい?』
 下っ端たちが手を止めて落ちた人? の賞金を確かめる。
『ん? そいつは』
「隙ありぃ!」
『賞金首じゃないねごはぁっ!?』
 紅時雨の持ち手の部分がメリーのあごに衝突! 若干前に出すぎた! 抜き身が刃じゃなくて持ち手の部分が当たる形に!
『痛いじゃないか! やってくれるね!』
 気づけば紗希は完全に囲まれていた。
「あれ、もしかして、私大ピンチ?」

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルカ・スノードロップ
部下の忠告も聞かず航行をミスする海賊になんて負けられません
と対抗心を燃やして《指定UC》発動

賞金という【誘惑】で【おびき寄せ】て【蹂躙】する【だまし討ち】としましょう
船に乗り込み【船上戦】と【足場習熟】で立ち回ります
【集団戦術】は『対集団の戦術』として活用します


キャプテンが女性ですから……
部下の海賊たちの武器を、シェンヌ・ダルジャンで【武器落とし】から落とした武器を【盗み】ます

そのまま、メリーに対して【鎧砕き】で丸裸にしてから、芸術的に縛り上げて部下の男海賊たちに見せつけます☆

メリーに対しては【吸血】して【生命力吸収】しますね

シェンヌ・ダルジャンの扱いは【ロープワーク】駆使しますよ



●縛りプレイ+放置プレイ+……?
 紗希が大ピンチな中、メリーに忍び寄る影が一つ。ベルカ・スノードロップ(少女を救済せし夜の王【中将】・f10622)だ。
「こんにちは、メリーさん」
『ん? あんた……ほう、16200Gの賞金首じゃないか! しかも可愛い顔の!』
「お褒めに預かり光栄です、ですが部下の忠告も聞かず航行をミスする海賊になんて負けられません」
『おい野郎共! そんな小物よりこっちの賞金首を重視しな! 確保だ!』
 下っ端たちが紗希から離れてベルカに向かうが、船の上の戦いになれているのか素早く鎖を見張り台の手すりに巻き付け体を持ち上げ上昇、そのまま一気に鎖を縮め勢いよく飛びあがり見張り台の上へ。
「た、助かった……?」
 紗希が少し震えているのは内緒だ。
「さぁ、懺悔の時間といきましょうか。シェンヌ・ダルジャン」
 鎖を数回しならせると見張り台から一気に下っ端たちを薙ぎ払うように振るえば下っ端たちが武器を落とし、あるいは数個は奪われていく。
「まだ終わりじゃないですよ」
 下っ端たちが混乱した一瞬の隙を縫って鎖がメリーを締め付け、下っ端たちの前につるされる!
「本当はこのまま丸裸にしてあげたいんですがね――たぶんそれやると報告書が発禁になりそうですね」
『かまわねーいいぞーやれやれー!』
『野郎共覚えてろよ!』
 ――が、いつまでたってもそれをすることはなく、ただ芸術的に縛って下っ端たちの前に吊るすまま。
「――これだけやれば屈辱的でしょう。放置プレイとか。ふふ」
 女の子のようなにこやかな笑顔でそう言われればメリーもプッツン★
『調子に乗るんじゃないよ……!』
 と、サーバルを振って津波を出そうとした――が。
『腕が、動かない!?』
「そう来るのわかってますしね。あーあ、無駄にそうしなければよかったのに」
 一瞬、縛りを緩めたかと思えば素早く鎖をしならせて何ということでしょう、メリーが丸裸になってしまったじゃありませんか。えーいもう発禁覚悟だ!
「あなたが下手に抵抗したからですよ」
 と言いつつ再び縛り上げるベルカ。下っ端たちが盛り上がる中見張り台にメリーを引き寄せると、素早く首筋に噛みつく。
「んー……いや、一度味わえばもういいですねこれは。生命力の足しにはなりますか」
 べしっ、と甲板にたたきつけられたメリー。生命力を奪われて津波を出す気力がすぐには出ない。
『こんな屈辱的な……!』
 ワナワナと震えるメリーをよそににこやかにほほ笑むベルカだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロラン・ヒュッテンブレナー
※賞金首だが小柄で人見知りなのでとても弱くおいしい相手に見えるかも?

え、えと、あの…、こ、こんにちは?
(転送先の人の多さにおどおどしつつ礼儀作法)
えと、大人しく、捕まってくれる?

船の揺れは重力の結界術とオーラ防御でちょっとだけ浮いて、どうにかするの
とにかく、まずは避けながら情報収集なの
狼の脚力でダッシュ、残像を残しながら第六感も使って逃げるの
人数や、ちょっとした性格や癖が分かってきたら、反撃なの

高速詠唱で逃げながらあちこちにUCの魔術陣を設置
マストの周りがいいかな?
設置できたらマストに追い詰められるの

ね、ほんとに大人しく捕まってくれないの?
それじゃ、仕方ないの…
『発動』

このまま骸の海に還ってね



●その素行もすべてが罠
「ふええ、人がいっぱい……」
 転移してきたはいいが人見知りが出てしまうロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)。ここまでメリーが縛られるとかいろいろあったが、人見知りなあまり彼はそっちではなく重力で少し浮いて船の揺れをどうにかしながら情報収集をしていた。
(や……やっぱり、野蛮で、男のひとだし……そうなっちゃうよね……)
 ロラン、君はまだあの吊るされてる女を見るにはまだ幼い……ああ、見てしまったんだね……
 と、ロランは何か思い浮かんだようにマストの周囲に何かを仕込む。それを見ていた海賊が一声。
『坊ちゃん、何しているんだい?』
「ふええ!?」

 一方。
『ひどい目に合った……』
 船室に素早く戻って新しい服を着てきたメリー。と、マストに人影が。
『ん? あれは――おい、そいつも賞金首だよ!』
 その声におずおずと振り向くロラン。
「え、えと、あの……、こ、こんにちは?
 えと、大人しく、捕まってくれる?」
『そう言って油断させるつもりだろう、そうはいかないね! 野郎共、離れてな!』
 サーバルを構え、ロランに先を突き付けながら迫るメリー。ロランはゆっくりとマストに後退していく。
「ひう……」
『観念しな!』
 と、ロランの背がマストに当たる。万事休す――!
「ね、ほんとに大人しく捕まってくれないの?」
『言われて捕まる奴がいるかい!』

「それじゃ、仕方ないの……『発動』」

 瞬間、マストの周囲に仕込んでいた魔術陣が起動、メリーを取り囲む!
 慢心、油断。それこそがこのコードのトリガーだ!
「荒っぽくはしたくないから、暴れないで」
 重力の鎖が、あっという間にメリーを縛り上げる!
「ぐ、また鎖かい――しかも、なんか体が重い……!?」
 重力の鎖だからね。多分どっかの番犬の世界線とは関係ないと思うけど。
「このまま骸の海に還ってね」
 締め付けが強まり、メリーを圧殺しようとする中――
『なめんじゃないよ……ガキが!』
 サーバルから出した津波で自分の体を津波の中へ。水の中では重力より浮力が勝ることもある。これを利用して束縛からも脱出。
『ったく、おいしい相手だと思ったら油断ならないね!』
「……」
 その言葉に、おろおろするロラン。さてこれは演技か、それとも――

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携OK!

もう大丈夫デース! ワタシが来マシタ!
笑顔と共に開幕UC《鉄拳制裁》にて、甲板にクレーターを作りながら登場デース!
初見インパクトは大事デスネー!

さあ、あとは左手に握ったチェインハンマーを錘として置き、ファルシオンを抜いて縦横無尽に斬り伏せていきマショー!
船が揺れても跳んで跳ねても、沈没しない限りは鎖で保持されるって寸法デース!
あんまり遠くには斬り込めマセンガ、この首目当てでかかってきてくれるなら迎え撃つ(【カウンター】など)だけで済みマスネー!

お互い獲物に不足はありますまい? ダンスパーティーはこれからでありますよー!



●バルタン・インパクト
「HE-----Y!」
 突如、甲板に轟音が鳴り響く。
 ただでさえ揺れている船がさらに揺れ何事かと思えばそこにはバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)の姿が。
「もう大丈夫デース! ワタシが来マシタ!」
 笑顔なんだけど腕から伸びてる鉄球チェインハンマーがもろに甲板突き破る勢いで周囲にクレーター作ってるのよ、怖いのよ。
「初見インパクト(精神)は大事デスネー!」
『インパクト(衝撃)を与えられる身にもなってほしいねえ!』
 軽くすれ違いが起きた気がするがそこはそれ。
「カモーン、エブリワン! レッツパーティー!」
『野郎共、あの変なのをさっさとどうにかしちまいな!』
 下っ端たちがバルタンの方に向かう中、ハンマーを重し代わりにして華奢な体(サイボーグ基準)を支えつつ、右手に抜いたファルシオンで次々に下っ端たちを斬っていく。
 船が揺れようと彼女に何の影響はない。錨で船を支え流されるのを避けるように、ハンマーが彼女の体を支えよろけないようにしている。もちろんその分遠くまではいけない――いや、ハンマーのチェーンを伸ばせば行けるのだろうが斬られる危険性がある――が、自分目当てに来るならばそれを迎撃さえすればいいだけの話だ。
「ワタシはアナタの首、アナタはワタシの首。お互い獲物に不足はありますまい? ダンスパーティーはこれからでありますよー!」
 一瞬、メリーが見えた瞬間に一気にチェーンを伸ばし肉薄、絞めるように首を掴めば鎖を戻して勢いよく元の場所に戻りながらメリーを甲板にたたきつける。
『っつー……お前ら!』
『へ、へい!』
 メリーを守ろうとさらに大量の海賊たちが来るが、それもファルシオンで斬っていき、一瞬、見えた瞬間にメリーに近づけばファルシオンをその腹に突き刺し――
『っ!』
 ――外した。メリーが咄嗟にローリングして回避、船の揺れを利用し遠くに転がっていく。感触もせずただ甲板に突き刺さったファルシオンを抜くとバルタンは一つ首を傾げた。
「あんまりガツガツ攻める肉食系ではないのでショーか?」
 ……多分翻弄されているだけだと思う、が――賞金とかより前に死んだら元も子もない。メリーは生きるのに必死だった。想定より猟兵が強い――

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
欲に眩むと碌なことがありませんよね
今のあなたたちがまさにその状況ですが
そういえば賞金首をお探しでしたっけ?
1万ちょっと程度でよろしければお相手致します
(肩幅ほどに足を開き、両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こした後{紅焔の旋律}で『ダンス』を始める)
これは燃え上がる欲望と情熱のリズム
(UC【蠱の夢】を発動し{紅焔の旋律}から生まれた炎で海賊船を燃やしながらメリーに微笑む)
何にも邪魔されず踊り続けることができる
これが私の夢です
貴女の夢はなんですか?


栗花落・澪
揺れる足場の対処は得意だよ!
【聞き耳】で船の軋みや水の音を聞き取り
揺れに合わせて【ダンス】の要領でぴょんぴょんと
★靴に風魔法を宿し跳躍力だけあげておいて

はいどーも、賞金首です

手近な手下の頭に跳び乗り足蹴にジャンプ
高所から船目掛けて【高速詠唱】で氷魔法の【属性攻撃】
床を凍結させる事で滑りやすく

僕は非力だけど
滑る床の力借りればこれくらいはできるよ、っと

そのまま落下の勢いを利用
【滑空】するように手近な団員にメリーさんの方に向け跳び蹴り
味方をぶつけ隙を作り、魔法で弾いてサーベル落とさせるか凍らせたいな
技の放出封じ

敢えて対照的な技見せてあげようか
【破魔】を乗せた【指定UC】
火の鳥での【範囲攻撃】



●本当のダンスパーティーで問われる『夢』
「欲に眩むと碌なことがありませんよね――もっとも、今のあなたたちがまさにその状況ですが」
 軽快なステップを踏みながら乗ってくる播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)。
「そういえば賞金首をお探しでしたっけ? 1万ちょっと程度でよろしければお相手致します」
『嘘つけ15000弱を1万ちょっとと言うかい!』
「それは恐らく手配書が更新されたんじゃないですかね」
 メリーのツッコミもよそにクロリアは肩幅ほどに足を開く。
「さて、そういえば先ほどダンスパーティーという声が聞こえましたね。あれほど荒ぶったダンスではないですが、私も一つ」
「お、ダンス? 僕も自信あるよ?」
 その辺の呻いている手下の一人の頭にバランスよく乗っかっている栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。気づかれるや否やそれを足蹴にして高く跳びあがり、そのまま船の揺れに合わせてぴょんぴょんと跳びながら氷の魔法を次々放てば甲板がたちまち氷に包まれて凍っていく。
「はいどーも、賞金首です」
『トップクラスの賞金首じゃないかいこれは……!』
 現在トップクラスの賞金首の登場にメリーのテンションも上がっていく。
「所詮はお金なんですね。全くダラキュなことで」
 クロリアがため息をつく中、澪が華麗に着地。
(大丈夫、揺れる足場の対処は得意だ――)
 澪が聞き耳を立てつつ意志を固める傍で、クロリアが両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こしダンスを始めていく。それは燃え上がる欲望と情熱のリズム。
「僕は非力だけど――滑る床の力借りればこれくらいはできるよ、っと」
 さらに澪がまた手近な下っ端の頭を踏みつけ大きく跳躍、まるで空を飛ぶように――否、実際に澪は飛べるのだが――別のメリーと同じ直線上にいる下っ端に跳び蹴りを放てばそのまま吹き飛び下っ端がメリーに激突!
『ふぐっ! ああもう、何しているんだい!』
『へ、へい、すいません……お頭!』
『あ!? 何だい!?』
『ふ……船が! 燃えています!!』

 その言葉でメリーは初めて気が付いた。己の船が炎に包まれていることを。
「燃え上がるように熱き欲望と情熱のリズム、あなたも持っているでしょう」
 目線の先にはクロリアが。彼女の踊りが、炎を『誘発させている』! まるで、彼女が放つのではなく、彼女に合わせて船が自ら燃え上がるように――!
「何にも邪魔されず踊り続けることができる――これが私の夢です」
 そこで後ろ向きに首をかしげメリーを見ながら問う。
「貴女の夢はなんですか?」
 と。
『あたしの夢……? そんなの、あんたらを捕まえて賞金を稼いで――』
「――その先には?」
『その先――?』

 ――そうだ。賞金を稼いで――それで――何をしたいんだ、あたしは?
 ――わからない。本能が賞金を稼げと言っている。
 それがあたしの在り方だと思っている。
 ――あれ? でも、何のためだったか――思い、出せない――

『……』
 サーベルを持つ手が震える。
『お頭……?』
「そこだ!」
 瞬間、考える隙を与えないかのように澪の氷の魔弾がメリーの右手に当たればサーベルを弾き飛ばす。
「過去の結晶であるがゆえに夢も思い出せず、ただ本能のままに従うのみ――」
 クロリアが燃え盛る船、凍った甲板の上で踊りながらつぶやく。
 ――実にダラキュだ、と。
「僕も夢はない。考えたこともない――自分自身、無理もできないってわかってるから――でも」
 澪がクロリアに並び立ちながら言い放つ。
「過去に囚われるどころか、過去から『進めない』オブリビオン――コンキスタドールなんかに、現在(いま)を生きる、未来がある僕たちが負ける要素はないよ」
 澪が続けて空に呼んだのは、鳥の姿を模した炎。凍り付いた床とは真逆、対照的だ。
「敢えて僕に今一つ夢があるとするならば――僕は、敵も味方も関係なしに、1人でも多くの心を救いたい。それはメリーさんにも同じだよ」
『あたしを……救いたい?』
 頷く澪に微笑み、実にリアな発想です、と呟くクロリア。
「だから――鳥たちよ、どうかあの人を導いてあげて」
 ――こんな過去なんかに縛られない運命へ。
 炎が、メリーに向かっていく。手でそれを払いのけるメリー。まるで拒むかのように。変わることに恐怖を抱くかのように。
『あたしは――あたしは!』
 苦虫を噛み潰したような顔で応戦するメリー。船を燃やされた怒りよりも、それよりも。自分という存在が否定されようとしている、それが許せなかった。
 もはやそうなってしまったからには――
『お、お頭! もう、船が!』
 一つ、大きく船が揺れ、船体の一部が壊れ、渦潮に沈んでいく。
 だが、もはやそんなことに気を払う余裕すらも、なくしていた――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

二條・心春
賞金はあまり気にしていませんでしたが、それを理由に島を襲われるのは見過ごせませんね。

まずは彼女の部下達と戦いながら、召喚の準備をしましょう。押されている感じを装って船の縁まで追い込まれたら、あえて海に飛び込んで【召喚:守護竜】を使います。今回は武器を全部使ってしまいましょう。召喚したフンババさんに乗って、海上から敵を攻撃します。
水を操れるフンババさんなら渦潮の中でも大丈夫です。逆に向こうはこちらに近づくことはできませんよね。他に戦ってる方もいますし船を沈めるのはまずいので、海上から水の弾を撃ちこんだり、縁まで来た敵を波で揺らして海に落としちゃいましょう。
島も賞金も、貴方には渡しませんよ!


ナイ・デス
賞金稼ぎさん、古い首よー……にゃんて作戦を思い付きました
でも、そこまでする程では……ないですよ、ね?

と、テレポートしたら賞金首発見の隙を突いて【ジャンプ】
光を噴いて【推力移動】渦潮中央側の船縁に移動して

今から、渦潮に飛び込みます!
この首が欲しければ、追ってこーい!

と、また光を噴いてぴょん!
道連れ誘います
掴まれそうだったら【念動力】で自身【吹き飛ばし】逃れて
渦へー

そして【覚悟激痛耐性継戦能力】落ちながらか落ちてから
『文明守護竜』連続発動
渦の中央から、でんどんでんどんと巨大な竜になりながら現れて

首を求めて、挑む奴はいるかー!

口に光【エネルギー充填】
船を飲み込む【範囲攻撃レーザー射撃】放ちます!



●竜たちの明日への咆哮
 焼け落ちていく船の中で、ただそこに在り続けるメリー。
 その視界の片隅に映るナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)。
『あ――あんたは――』
 その瞳が一瞬ナイに奪われたその隙に船のふちに光とともに跳び乗る。
「今から、渦潮に飛び込みます!
 この首が欲しければ、追ってこーい!」
『ま――待て!』
「待ちません!」
 掴もうとしたその手は空を切り、ナイの体は渦潮の中へ。
 弱ければ考えられないその行為――それができるのは、かの少女が教えてくれた勇気あってこそのもの。
『――っ!』
「お頭、お気を確かに!」
 飛び込もうとするメリーを抑え込む下っ端たち。その後ろには。
「賞金はあまり気にしていませんでしたが、それを理由に島を襲われるのは見過ごせません」
 タブレット端末を持ちながらメリーに向かう二條・心春(UDC召喚士・f11004)がいた。
『お、お頭に何をするつもりだ!』
『守れ! お頭を守れ!』
 こんなところで一致団結して心春に襲い掛かる下っ端たち、それから逃げながらタブレット端末を叩いていく。
(水を操れるフンババさん、なら――渦潮の中でも大丈夫です。逆に向こうはこちらに近づくことはできませんよね……!)
『お、お頭!?』
「っ!」
『っ……!』
 奇しくもメリーと隣り合うように淵に追い込まれた心春。だが――追い込まれたならそれもまたよし。
「コスト・オールウェポン。我が声に応えよ。召喚――」
『あっ!?』
 そのまま背面跳びで渦潮に飛び込む心春。青に包まれた世界の中で――
「――守護竜(フンババ)」
 心春の武器が意志を持つように離れていくとそれらが光り輝き、獅子の顔を持つ竜となりて心春を優しく左手で持ち、浮上していく。

 同じく、渦潮に跳びこんだナイは――
(私は死なない。私は死ねない。渦潮に飲まれても――いや、これは、勇気だ。死ねないから、こそ、あえて、この手段を使う、という勇気)
 覚悟と共に、周囲の渦潮を変質させていく。ダイウルゴスとして――
(私を、包んで。私の、盾となって。私の、剣となって。今を守る力を、みんなに。世界を、守りましょう。私達は、『文明を守護する竜』、ダイウルゴスです……!)
 落ちゆくその体が天を求め右手を掲げた瞬間、ナイの体は渦潮に飲み込まれ見えなくなった。

『い、いったい何が――それより火を!』
『も、もうダメでさぁ! 見張り台にまで火が!』
『お頭も早まらないでくだせぇ!』
 下っ端たちも大混乱の中、渦潮から何かが出てくる――
『――? なんだい、ありゃあ……』
 虚ろな目でメリーが見てみればそこには2頭の龍。
 片や今まさに少女を左手から肩に乗せる獅子の頭をした竜。
 片や渦潮の中心からゆっくりと浮かび上がる、巨大な竜。
「首を求めて、挑む奴はいるかー!」
 巨大な竜が一つ咆哮を挙げれば、もう片方の龍も咆哮を上げる。
「島も賞金も、貴方には渡しませんよ!」
 肩に乗る心春が睨みつけながら叫ぶと、フンババが水の弾を撃ち込みながら波を立てていく。波が渦潮と混ざり、さらに大きな揺れとなる――
『おおわぁ!?』
『振り落とされるな!』
『も、もうダメでさぁ――!』
 船の火が消火されていく中、波で大きく揺らされた船からは大量の下っ端が落ちていく。他の猟兵たちのことも思いこの戦法にした心春だが――

「船が焼け落ちちゃう……!」
「消火されてはいますが、焼けた部分が脆さのあまり自重で折れそうですよね」
「みんなこっちー」
「何その桃!?」
「なんかあった!」
「え、あう……乗って行ける、の?」
「エブリワン、一人くらいナラ、ワタシが持って水上を走っていけマース」
「僕は飛べるけど、飛行阻害されてるから自信ないなぁ」
「私がキャバリア持っているのでそれでよければ」
「あ、助かるー」
「踊りで暴走を抑えている代物ですが」
「えっ!?」

 ……なんやかんや心配なさそうである。
 ふぅ、と一息をつく心春。次々に波を起こし、下っ端たちを落としていく。
 ――が、この戦法も万能ではない。
「! 気を、つけて、大砲――!」

 それは一瞬のことだった。
 下っ端の一人が、大砲でフンババを撃ったのだ。
『へ、へへ……お頭、やりました……ぜ……』
 満足したかのように波に落とされていく下っ端。
『お前……!』
 それに色んな意味で驚くメリー。
 そして――
「guaaaaa!!」
 呻きを上げ揺れるフンババ。その揺れにバランスを崩し――
「う、うわっ――!」
 心春が、落ちていく。フンババが慌てて左腕で抱えるが、それでさらに体勢を崩し渦潮の中へ――
「――!」
 ナイ=ダイウルゴスの中でナイが何か決断したのはそれと同時だった。

(私――ここで――)
 渦潮の中で、心春は目をつぶっていた。フンババの感触はあるが、彼が体勢を直し浮上するより先に自分が死んでしまう、のか――
 その時、一つの声が響く。
(あなたに、死んでほしくはない)
 聖なる光が、『変質』を起こし、彼女たちを包む――
(一緒に、戦いましょう。私たちは、『ダイウルゴス』です!)

『片方、やったのか……?』
 メリーが恐る恐る視線を上げる。そこにいるのは巨大竜――ダイウルゴスのみ。
 ――だが。
『お頭――その、竜が! さらに大きくなって――!』
 メリーが見上げる。ダイウルゴスが、さらに大きくなっていく。さらに――獅子の頭が、左胸に生えてきた。

(っ――ここは? この感覚は?)
(大丈夫、です。一緒に、戦いましょう。一時的なもの、なので、後で、元に戻れます)
 ――あの時使われたのは、再び放たれたナイのコード。
 心春もまた、ダイウルゴス。
 フンババもまた、ダイウルゴス。
 渦潮もまた、ダイウルゴス。
 大気もまた、ダイウルゴス。

 一時的なものとはいえ――世界の全てが、ダイウルゴスだ。

「――うん。一緒に」
「ええ、一緒に」
 二人の意思が合わさり、ダイウルゴスの口に光が宿る――!
「「今を守る、力を!」」
 放たれた極光が、船を飲み込んでいく。
『お頭っ――!』
『!?』
 最後の力で、下っ端が海にメリーを突き落とそうとする、も――その下っ端ごと船が光に飲み込まれていく。
 光が去った後には――船や下っ端など、跡形もなかった。最後に海に落ちる1つの影が見えたのは、おそらくメリーだろうか――それとも。

 ――こうして――1つの巨大な竜により、メリーの船は跡形もなく、消えていった――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
あは♪とっても美味しそうな賞金稼ぎさんね。とっても“なかよし”になりたいわ☆
あらあらあらしたっぱを差し向けるなんてつれないわねぇ。まぁ、このこの程度の連中なら、UCと区別つかない程に磨き上げた結界術でどうとでもできるけど。化術肉体改造神罰で男の娘化させてー、分霊達(式神使い/集団戦術)で“なかよし”になる儀式をヤルわよ♪
さ、メリーも私と“なかよし”になろ?はっはっは、限界突破してリミッター解除した私の継戦能力による耐久性と再生力の前ではメリーの攻撃も『我々の業界ではご褒美♡』でしかないわ☆
破壊の衝動を情熱の炎に焚べて恋心に変換し、じっくりと料理しておいしく捕食しメリーと“なかよし”になるわよ♡



●そしてその先に
 極光のもとに、船は消滅した。あれだけいた下っ端も、ほぼすべて消えた。
『……あ、は、は……』
 虚ろな目となったメリーの精神はもはや、限界を超え、崩壊していた。
 屈辱を浴びせられ、海に落とされ、船を消され、下っ端もほぼ全部消され。
 さらには未来へ進められない自分を言及された――これだけやられれば、精神が壊れるのも当たり前のことだ。
 渦潮の海面上、流木の一つにつかまり、見る影もない姿のメリーに一人の影が。
「あは♪ とっても美味しそうな賞金稼ぎさんね。とっても“なかよし”になりたいわ☆」
 ――なんということだ。アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)。このタイミングに最高にして最悪の存在だった。
 嗚呼、それでも――
『お頭に何を!』
「あらあらあらしたっぱを差し向けるなんてつれないわねぇ」
 だが瞬間、海に投げ出されて最後の思いでメリーを守ろうとした下っ端たちはアリスの手により『男の娘』と化し、虜にされたかのようにアリスに向かう。それは不可思議な祈祷師の秘儀、不可思議な寄生触手の合体(意味深)、不可思議な邯鄲乃夢。
「さ、メリーも私と“なかよし”になろ?」
『う、うう――』
 メリーが流れてきたサーバルを持つも、手は完全に震え、その攻撃はアリスに届かない。
「こんなの、『我々の業界ではご褒美♡』でしかないわ☆」
 そして肉薄したその瞬間に、アリスの触手は深々とメリーの全身に巻き付き、そして貫いていた。
「go down the rabbit hole♡  破壊の衝動を情熱の炎に焚べて恋心に変換、私と“ひとつになって””なかよし”になろ♪」
『あ、ああ――』
 壊れてしまったメリーに、その囁きは蜂蜜のようで。
 虚ろな目はもはや光をなくし、精神は完全にアリスの“なかよし”となって元の壊れた心を完全に凌駕しとどめをさし、肉体はその触手に力を吸い取られ、しかしどこか恵まれたような恍惚の笑みで、最期を迎えた。
『あ――アリ、す――なか、よし、ずっ――と――』
 とぎれとぎれにサーバルを手から海に落としながらこぼれたその言葉。
 果たして彼女は救済されたのかそれとも――その真偽は、アリスにしかわからない、が――メリーの肉体は、もはや力をなくし、触手に包まれ貫かれたまま、渦潮に沈んでいった。
 ――果たして彼女に『未来』が生まれたのか。それは定かではない――

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月14日


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#グリードオーシャン
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#羅針盤戦争


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十六夜・巴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト