3
羅針盤戦争〜バウンティハンター×ハンター

#グリードオーシャン #羅針盤戦争

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#グリードオーシャン
🔒
#羅針盤戦争


0




 豪華な装飾で派手な見た目の帆船がグリードオーシャンの海を征く。
 行く当てはなんてことのない小さな集落のある島、しかしそこに隠し財宝が埋まっているわけでもない。
「お頭ぁ、なんだってあんな孤島に行くんです? 略奪するにも道中の食い扶持の方が金喰い虫でかないませんよぉ……」
 バンダナ被りの海賊が、舵を握りながら目の前の女性に語り掛ける。
 質の良い生地で仕立てられた赤いマントを滑らかに翻すと、お頭と呼ばれたスタイルの良い金髪の彼女が振り返った。
「馬鹿だねぇあんたは、そんなんだからいつまでも下っ端なんだよ。 いいかいよく覚えて置き、別に襲う場所はどこだっていいのさ。 あの賞金首共が慌てて止めに来さえすればね」
 そういってマントの裏からバサリと分厚い紙束を取り出す。
 そこには顔写真と、その人物に掛けられた多額の賞金額が書かれていた。
「百万、一千万、億……!! いいねぇ、このバウンティハンター『メリー・バーミリオン』に相応しい獲物じゃないか」
 一枚また一枚と捲り、その賞金の高さに目を丸くする。
「なぁるほど! ようやく分かりやしたぜお頭ぁ! そいつらがのこのこと、この海賊船に飛んできたところを叩くって寸法ですね!」
「そういうことだよ。 さぁ野郎ども、武器の手入れをしておきな!」
「「「アイアイサァー!!」」」

「ってことになってるんだって!」
 そういうと、グリモア猟兵の明石・真多子(軟体魔忍マダコ)が動画の停止ボタンを押す。百聞は一見に如かず、拙い説明より動画を見せたほうが楽な現代っ子だ。
「まさかあの賞金を本当に払うつもりがあっただなんて驚いたよね! ただ、オブリビオンが出してオブリビオンが回収するのはマッチポンプ感あるけど……」
 真多子が画面を切り替えて、『メリー・バーミリオン』の乗る海賊船を映す。
「それと、万が一でも本当に小島で暴れられたら不味いし、みんなにはこの海賊船に直接飛んでもらうね! どうもこの海賊船自体がメガリスみたいで、沈めることはできないみたい。 止めるならメリーを倒すしかないよ!」
 何百人も乗船できるほど大きな海賊船を一通り映すと、次のデータを表示する。
「見ての通り、甲板はすっごく広いからキャバリアでもドラゴンでもなんでもイケるとは思うよ。 ただし! 向こうも大勢で取り囲んで来るってことだから注意してね! メガリス海賊船も不思議な力があるみたいだし、これだけの数を束ねるメリー自身もすごく強いみたいだよ!」
 力でのし上がってきた賞金稼ぎだもんねぇと頷きながら猟兵達に視線を戻す。
「きっと皆ならこの困難も切り抜けられるはず! 転送後はいきなり囲まれたりはしないけど、それでも余裕はないはずだから気を付けてね!」
 そういうと、真多子はすぐさまキミ達をグリモアで転送し始めた。


ペプシ派
 戦争シナリオです。
 ついに皆さんに掛けられた賞金に目を付けた者が現れたみたいですね。
 ここは逆にバウンティハンターをハンターして返り討ちにしてやりましょう!
 プレイングが多い場合は、こちらの作業時間の都合で全採用が難しいと思いますのでご了承ください。
 また、プレイングの採用は先着順ではなく書きやすいものから選んでいきます。

 【メリー・バーミリオン】について。
 物凄い数の手下を従えています。
 ほとんど無尽蔵に近い数が湧いてきますので、油断しない様に頑張りましょう。
 あまり手下を虐めすぎると、メリーも本気を出すかもしれませんね。
 注意点として、彼女達の乗る船を沈めたりは出来ないようです。

 【プレイングボーナス】について。
 賞金が掛けられていることです。
 賞金額によってボーナスに差を付けたりはしません。
 気にせず参加してください。
86




第1章 ボス戦 『メリー・バーミリオン』

POW   :    野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ   :    大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。

イラスト:和狸56

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十六夜・巴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
★靴に風魔法を宿す事で跳躍力を上げ
転送された直後に足場に【破魔】を宿した★花園を広げる
破魔が効くかはわかんないけど
花の美しさに一瞬でも怯んでくれればラッキーって事で

ちょっとしつれーい

ぴょんっと手近な下っ端の肩に跳び乗り蹴り飛ばして跳躍
飛べない事を逆手に取り、翼を閉じて落下の勢いを利用した飛び蹴りで
サーベル蹴り飛ばしたいな
かわされても着地のバネで急接近
今技を発動したら自分や仲間も巻き込むくらい
それでも撃てるならどうぞ

【聞き耳】で発動の兆候が聞こえた瞬間
【高速詠唱】で氷魔法の【属性攻撃】撃って止めるけど

物理は苦手なんだ
だから、大人しくしてね

【催眠術】を乗せた【歌唱】で操る【指定UC】で攻撃を


アトシュ・スカーレット
え、本気にしてるやついんのかよ!?
だ、大丈夫だ、オレの賞金額は安いからな、多分狙われない!!…多分(小声)

【指定UC】の蝶たちの鱗粉で【マヒ攻撃/毒使い/催眠術】で手下たちを可能な限り無効化するか
オレ自身は【属性攻撃(風)/呪詛(腐敗)/範囲攻撃/武器落とし/鎧無視攻撃/貫通攻撃】やらで攻撃していくか
Shīsuから最適だと思った武器を【早業】で取り出しながら戦うな

その他
アドリブ、共闘大歓迎
自分より強くて高い人がいるから、という理由で自分は安いし目立たないと思ってるだけ



 猟兵達、特に賞金首が現れるまでは律義に孤島へ向かうフリを続ける海賊船。
 実際は予知によりバレバレなのだが、当人たちは完璧に偽装出来ていると確信しているらしい。
 そんな日常を演じる海賊の一人が、甲板の掃除のためにデッキブラシを担いで太陽の元に姿を晒した。
「きょ~うは快晴、風も無く~、海にゃ落ちねぇ~働きな~っと。 ん、なんだあれ……」
 口笛交じりにリズムを取って作業をしていると、濡らしたデッキに反射する影が大きくなっていく。
 不審に思った海賊が頭を上げた。
「ふんがっ!?」
「ちょっとしつれーい♪」
 その正体を目に映す前に、彼の顔が何者かの足で覆われる。
 顔の上でぴょんとバランスよく飛退くと、ようやく栗花落・澪(泡沫の花・f03165)がスカートの裾をつまんで礼儀正しく挨拶している姿が見えた。
「みなさんが探しているみたいだから、僕の方から来てみたよ」
「ふが、て、手前ぇナメてん……」
 鼻血を垂れ流す鼻声の海賊が、澪へデッキブラシで殴りかかろうとしたその時、またもや何かが空を切る音が鳴る。
「ふんげぇっ!!」
「うわ、オレが悪いんじゃないぞ! お前が丁度下にいたのがわるいんだからな!?」
 澪に続いて降り立ったのはアトシュ・スカーレット(狭間を歩く放浪者・f00811)。
 完全に目を回してしまった海賊を下敷きにして、焦ったように言い訳をしていた。
 もっとも、その相手は意識がないため届くことはなかったのだが。

 甲板でそんなドタバタとコントを繰り広げていると、物音に気が付いたバウンティハンター『メリー・バーミリオン』とその手下たちが洪水のようにドッと湧いてきた。
「何事だいっ!? おっと、あんた達は確か……」
 駆け付けたメリーが澪とアトシュの二人の顔にピンと来ると、マントから取り出した手配書を捲る。
「6億900万と6千300万かい、いきなり大物が釣れたみたいだねぇ」
 値踏みするように二人を見比べて唇を舐めると、それぞれの手配書をナイフで刺してマストに貼り付けた。

「え、賞金とか本気にしてるやついんのかよ!? あんな額、普通に考えたら払えるわけないだろ……っていうか6億!?」
 出鱈目に高額な賞金を懸ける手配書に疑いを持っていたアトシュが呆れていたが、隣でニコニコしている澪が文字通り桁違いな賞金を懸けられていて驚愕する。
 実にアトシュの約10倍の賞金である、いったいどれだけオブリビオンから恨みを買っているのだろうか。
 そう考えると、最初は馬鹿にしていた賞金について意識し始め、アトシュは自分の賞金額と比較する。
「だ、大丈夫だ、オレの賞金額は断然安いからな、これなら多分狙われない!!……多分」
 そして澪には聞かれない小声で、そう自分に言い聞かせるのであった。
 一方、澪も張り付けられた手配書を見て口を開く。 
「そっか、もうそんなに賞金額が上がってたんだね。 でも残念だけどその賞金は払われないんじゃないかなぁ? だって賞金を支払う七大海嘯は僕達がやっつけちゃうからね!」
 獲物を睨む鋭い剣幕の海賊たちに対し、ニコニコと笑顔でいいのける澪。
 さりげなく『僕達』とアトシュを巻き込んでいるため、こっちに振るなと視線で訴えて来るが気にしない。

「ほぉ~? なるほどねぇ、万が一でもそうなれば確かに儲けはないだろうね。 だがあんた達は顔立ちも良い、他の手段で高く売りはらう伝手だってあるのさ」
 メリーの言葉に海賊たちが色めき立つ。
 女に飢える海の男たちからすれば、ある意味その方がおこぼれにあやかりやすいのだろう。
「へへへ、お頭ぁそんときゃ俺達がたっぷりと世話してやりますぜ。 いやぁ『女』なんていつぶりだ?」
 急に眼の色を変えて澪とアトシュに視線が刺さるが、当の二人は困惑気味に返す。
「いや、オレ達は……」
 アトシュが澪と目を合わせ、向き直った。
「「男だぜ(だよ)」」
 二人の口から放たれる衝撃の事実。
 同時に、海賊たちの間に電撃が流れた様に崩れ落ちる者が続出する。
「そ、そんな……そんなに可愛いのに……?」
「いやまて、俺はアリかもしれん」
「考えてみれば二人共可愛いしな」
 アホな男どもが開き直ると、より一層二人へ刺さる視線が強まった。
「はぁ~何やってんだいうちの馬鹿どもは……そら野郎ども、どちらにしたってカモのお出ましだよ! やっちまいなぁ!」
 頭を抱えていた船長のメリーが号令を出すと、手下の海賊たちが野獣のように一斉に飛び掛かるのであった。

 だが女の子と間違われた澪とアトシュは、はいそうですかと黙ってはいられない。
 特に澪はその境遇から、捕えて奴隷の様な扱いを目論む海賊たちにおかんむりであった。
「悪い海賊さん達にはぐっすり眠って頭を冷やしてもらおうかな」
 力づくで羽交い絞めにしようと向かって来た海賊の肩へひょいと駆け上がると、勢いを乗せたまま跳躍。
 一斉に飛び掛かった海賊たちは仲良く頭をぶつけて、頭の上に星を散らす。
 跳び上がった澪は半回転して空を蹴ると、電光石火の如く甲板に直下して左腕の聖痕が輝き浮かび上がった。
「花よ咲き誇れ……」
 澪の聖痕と同じ模様が甲板に広がると、その上に満開の花畑が出現。
「そして幸せのままに眠れ」
 一連の動作はまるでミュージカルのように洗礼されていて、歌うように口ずさまれた澪の言葉で花が散る。
 すると、散開した花弁が海賊に貼り付き、彼らは昏睡したように眠り出した。

「やはり、オレの方には来てないな。 今の内だ!」
 澪が眠らせただけで、実際はアトシュの方にもかなり海賊が来ていたのだが本人は知らない。
 残る海賊たちを無力化しようと、アトシュも動き出す。
「おあつらえ向きに花が咲いたんだ、オレも華を添えてやるよ」
 迫りくる巨漢の海賊の股の間を前転で潜り躱すと、その際に触れた花畑から煌めく蝶々が溢れ出した。
 鏡のように光を反射する蝶は、その幻想的な見た目で海賊たちの目を惹き隙を作る。
「煌きの羽持つ蝶にご用心、心まで痺れるぜ」
 アトシュの言葉通り、彼らの振り撒く鱗粉が既に一帯に充満していた。
 それを全身に浴びた海賊たちのは、これまた昏睡したように倒れていく。

 あれだけ集まっていた海賊たちは、二人の搦め手で全滅。
 甲板に足の踏み場も無く、後続も上がってこれない始末であった。
「良かった。 物理は苦手だからこれくらいで大人しくなってくれて」
「オレ達を女扱いした罰だ。 しばらくそうやって反省してろ」
 軽い準備運動にもならないとばかりに余裕を見せる二人に対し、今度はこの船の船長であるメリーが激昂する。
「随分とうちの馬鹿どもを可愛がってくれるじゃないか。 このままいいようにされちゃ海賊の沽券に関わるんだ、馬鹿ども含めて洗い流してやるよ!」
 甲板の花弁と鱗粉をまとめて片付けるつもりなのだろう。
 メリーがサーベルを抜くと、振るった切先が割れて空間から津波が溢れ出す。
「仲間まで巻き込んだら可哀想だよ。 えい!」
 しかし澪が氷の魔法を放ち、空間の出口を氷で固めて不発に終わる。
「その危ない玩具は没収だな」
 諦めの悪いメリーが次の津波を呼ぼうと振りかざした瞬間、アトシュがすぐさま反応して刀の様な銃でサーベルを空へ弾く。
「しまった!?」
 思わず天に手を伸ばすメリーだがもう遅い。
「もう一曲必要みたいだね」
「演出は任せてくれ」
 サーベルの反射する光が蝶々を輝かせ、コンサートのように歌う澪を照らしてメリーは深い深い眠りにつくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
船が沈められなくて
拙者は
ガッカリした

まあいっか!別の手段を取るだけでござる
拙者の新技を見せる時が来たようだな…!
【流体金属】君をお出しし棒状に硬化、したっぱを叩きながらボスの元へ

拙者のUCの弱点を言ってみろ!ヒント?しょうがないでござるね可愛いからOK!これこれこういうUCなんだけど…そんな弱点が…知らなかったそんなの…
まあ封じられた所でコピーができないだけでござるが
むしろ流体金属君はUCを使わなくても存在するでござる!という訳でバーミリオン氏目掛けてそぉい!働け!
全身に流体金属君がかかるバーミリオン氏!いいぞ!そのまま締め付けだ!!むっ!いいねェ…したっぱ共も見るといいですぞ!


鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
俺の場合は掛けられている賞金が低い…だと?
酷い言われようだ
なら俺に掛けられる賞金はいらないかい?
塵も積もれば…とか恐ろしすぎるわっ!

という事で【コミュ力】使い敵と会話、俺を狙ってくるという恐怖心から防衛衝動を発動

これだけいれば、塵も…とか言わせないぞっ!
サーベルでの攻撃が怖いので遠距離から皆で光陣の呪札の【乱れ撃ち】だ
ついでに敵の部下も巻き込めば敵戦力を減らせるかな?
最悪津波が来たら全員で同じく光陣の呪札の【範囲攻撃】の【乱れ撃ち】と気合で押し返す

気合いだ、気合いだ~っ!



 舵は手放され、海賊船は波に揺れる。
 風も無くゆったりと上下に揺れる船体は、まるでゆりかごのように心地良かった。
 そんな陽の当たる甲板の上で眠りこけていた海賊たちの意識が急速に呼び戻される。
 空気を震わす爆音と衝撃、そして鼻をくすぐる硝煙の臭いが一気に彼らを襲ったからだ。
「……っは!? 一体何事だ!! ほら野郎ども、いつまでも惰眠を貪ってないで働きな!」
 この海賊船の船長、麗しきバウンティハンター『メリー・バーミリオン』が足元に転がる手下を蹴り上げ叩き起こす。
 大事な船に異常はないのか、それが船長として気がかりなのだ。
「お頭ぁ! あそこに変なおっさんが!!」
 手分けして船外の異常を調べていた手下の一人が、大きな声を上げてメリーを呼んだ。
 彼の指差す先では、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)が船のヘリにもたれかかり、しょぼくれている。
「船が沈められなくて……拙者は……心底ガッカリした……」
 ヒゲ面の彼の足元にはC4、火炎放射器、ヌカランチャーに、真っ直ぐ転がれず横たわった憐れなパンジャン……とありとあらゆる手を試行錯誤した痕跡が伺える。
 また、よく見ればエドゥアルトは一人ではなかった。
「いやぁ、俺は無駄だからやめようって止めたんだけどね……騒がせちゃったかな?」
 騒ぎに駆け付けた海賊たちに対しごめんねと謝る天然な鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)も傍らにおり、エドゥアルトの背中をさすっていたのだ。
 聖者らしく気が利いて優しい男なのだが、どうにも微妙にズレている気がする。

「人の船に放火しようだなんて五体満足では帰せないねぇ、何本か置いてきな。 いや待ちな、確かあんた達は……」
 目の前の男たちをどうしてやろうかと思案していたメリーだが、その顔に見覚えありと手配書を取り出す。
 パラパラと慣れた手つきで捲っていくと、サッと目当ての二枚を抜き出した。
「ふふふ、誰かと思えば2億2千8百万の黒ヒゲと4千2百万の聖者様じゃないかい。 優男の方は子供の小遣いみたいなもんだが、これは益々帰すわけにはいかなくなったねぇ!」
 メリーが手下達にもよく見えるようにマストへ貼りつけ、サーベルを舌で舐める。
 馬鹿な獲物がやってきたと興奮しているのだろう。
「むっ! 美女の舌とかマニアックでござるな! 沈められないのはまあいっか! 元気出てきたし別の手段を取るでござる!」
 目の付け所が違うエドゥアルトは、メリーの威嚇に怯むどころかメンタルを快復してやる気に満ち溢れた瞳に戻る。
 そのキラキラとしたおっさの眼の輝きに、女海賊の方が「ひっ」と小さく悲鳴を上げて逆に怯ませていた。
 ちなみに寝ているメリーへの悪戯はひりょに阻止されていたらしい。 

 そしてそのひりょはというと、マストに貼り付けられた賞金額に目を丸くしていた。
「俺の懸けられている賞金が低い……だと? しかも子供の小遣いって、酷い言われようだ……」
 そっちで勝手に懸けた賞金だろうに俺が悪いのかと少々落ち込むひりょだが、それはおくびにもださず海賊へ言い返す。
「そうか、なら俺に懸けられる賞金はいらないかい? 流石に女の子へ手を上げるのは気が進まなくてね」
 なるたけ穏便に行こうと会話術を繰り広げるひりょであったが、生憎相手は荒くれの腕ひとつで海を跨ぐ海賊たちである。
 そんな生易しい話が通じるはずも無かった。
「何言ってんだい、うちが大所帯なのは見ればわかるだろ。 塵も積もればってやつさ、野郎どもの酒代くらいには役立ててやるから大人しく首をよこしな!」
「く、首って!? 恐ろしすぎるわっ!!」
 メリーが首を掻き切る仕草を喉元に突き立てたため、余計に生々しく惨状が脳裏に浮かんでひりょが青ざめた。
 その時、彼の中でドクンと何かが脈打ち鼓動が大きくなっていく。

「おっと話の途中だけど拙者の新技をお披露目するでござるよ! 何が出るかわかるかな?」
 何かゴキゲンなBGMを口ずさみ、エドゥアルトが怪しい液体を取り出す。
 ドロリとした液体は彼の掌から垂れて床まで伸びていく。
「くくく、お前の様なヒゲの考えなど全部まるっとお見通しだ!……が、一応ヒントを聞いておこう」
 明らかに見通せていないが、何か考えがあるのかハッタリで誤魔化しメリーが問う。
「しょうがないでござるねぇ。 でも可愛いからOK! これこれこういう、かくかくしかじかなやつでござるよ」
 そう言いながらエドゥアルトは長く垂れた流体金属を棒状に固定すると、思いっきり振りかぶって海賊たちを薙ぎ払った。
 怒った他の海賊たちが反撃するも、流体金属に触れると海賊と同じ武器が飛び出し返り討ちにしてしまう。
「ちっ、思ったよりも厄介だねぇ。 だが墓穴を掘ったね、口を滑らせたおかげであんたの弱点はわかった! そいつに攻撃を当てさえしなえれば問題ないってことさね!」
「そんな弱点が……知らなかったそんなの……まぁ相手の武器をコピーできなくなるだけでござるが」
 白々しく棒読みで驚いたフリをしたエドゥアルト。
 彼がギュッと流体金属を握ると、流体金属が勢いよく飛び散りメリーに飛び掛かった。
「という訳でバーミリオン氏目掛けてそぉい! えちえちな束縛ショーの幕開けですぞ!」
「ちょ、ちょっと何だいこれはっ! ひゃぁん!?」
 意思を持った流体金属は『話のわかる』やつであり、メリーの腕を頭の上で拘束。
 脇を大きく見せながら、さらに胸をほどよく搾り上げて寄せることで大きく見せる。
「むっ! いいねェ……したっぱ共も見るといいですぞ!」
 言われなくとも、といわんばかりに手下たちもラッキーハプニングに釘付けであった。
 この黒ヒゲ、海賊たちと肩を並べてやけに馴染んでる……

 一方、己の中で膨らむ鼓動に意識を向けてなんとか気を保っていたひりょが覚醒する。
 鮮明になった意識に戻ると、首を狙われる恐怖心から逃れるための防衛衝動が、彼をいくつも分身させてくれていた。
「「「「よし! これだけいれば、塵も……とか言わせないぞっ! 本物の首を盗れるものなら盗ってみろ!」」」」
 まったく違いがわからないひりょ達が一斉に声を重ねてメリー含む海賊たちへ振り返る。
 が、そこにはあられもない姿で辱しめられているメリーの姿。
「ちょ、ちょっと!? いくら敵だからって、やっていいことと悪いことがわるだろ!?」
 慌てて上着を脱いでメリーの身体を隠すと、周囲を睨む。
 だが女に飢えていた手下達からは大ブーイングの嵐。
 なぜか味方であるエドゥアルトもブーイングしていた。
「仕方のない人達だなぁ……しばらく目を瞑ってもらうよ!」
 一人見世物にされて憐れなメリーに対し、敵に情けをかけてしまったひりょと分身たちは呪札を取り出す。
 数を使って一斉に全方位へ札を投げると、指向性フラッシュライトの強化版のような光が下卑た男どもの眼を射抜き目を眩ませた。
「目が、目がぁ~!!」
 ついでにエドゥアルトも巻き込まれていた。

「まったく、猟兵ってのはとんだ甘ちゃんだねぇ!」
 その声にひりょが振り返ると、流体金属を上着に包んで封じたメリーの姿。
 海賊たるもの縄抜けの一つや二つは心得があるのだろう。
「高額な黒ヒゲが動けなくなったんだ、この好機乗らせてもらうよ!」
 その勢いでサーベルを抜いて空を切り裂くと、虚空から津波が溢れひりょと分身、そしてエドゥアルトも押し流そうと迫りくる。
「しまった!? こうなったら全員気合を込めろ!」
「「「「気合いだ、気合いだ~っ!!」」」」
 残る呪札を全て取り出し、全力で津波に向かって分身たちと放つ。
 かなり拮抗していたが、溢れる光が津波を押し返すとメリーが波に飲まれた。
「きゃぁ~!!」
 荒波の揉まれて体力を消費したのか、メリーは焦燥して膝をつく。
 さらに彼女の白いブラが濡れて薄く浮かび上がった。
「むっ! 濡れ透けとはやるでござるなぁ!」
 いつの間に復帰したのか、ひりょの肩に手を置き同行の士だとばかりにエドゥアルトが頷く。
「違う、誤解だ! 俺はわざとやったわけじゃないよ!」
 にやにやと後方腕組でひりょを見つめるエドゥアルト、そして懸命に弁解するひりょが場を賑やかにするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「あんまし美味しくなさそうな血がいっぱいに、まだ美味しそうな血が一人ね。」
メインに行く前にお腹たぷたぷになりそうだねぇ…。

貪食剣のUCを発動し、大剣を召喚して戦う。
強化された力と脚力を駆使して一直線に敵さんに向かって行くことにしようか。
大剣の能力で手下や船団員の生命力を奪い、斬りやすくしてバンバン殺っていきつつ敵さんまで突っ切って行く。
あんまし時間をかけるのも不味そうだし、ぱっぱと殺っていこう。
もちろん手下達の血の味見も忘れずに。

敵さんの所まで辿り着けたら、とりあえずぶった斬っておく。
あ、悪魔の見えざる手にはLadyで僕のフォローに回ってもらっとこうかな。
吸血は隙があれば全力で。


マリア・ルート
ふん、この5700Gの賞金首のマリア・ルートを倒せるとでも?
私がここまで賞金跳ね上がってるのには理由があるーーそれを見せてあげようじゃない。

【指定UC】で下っ端達相手に大暴れしようかしら。
蹂躙をしようとする相手には蹂躙で応えてあげないとね!ワイルドハント【殲滅担当】として!
数多の武器で無数の下っ端に応戦して場をカオスにしてやるわ!

もしメリー本人に攻撃出来そうな隙があるならプルガトリウムを構えて【焦滅のプルガトリウム】でホールドしてやろうかしらね。
(アドリブや連携歓迎です)



 船長メリー・バーミリオンが疲弊したため、海賊船の上では大騒ぎであった。
「お頭ぁ、大丈夫ですかい!? くっそー賞金首どもめ、次に会ったらただじゃおかねぇ! 七大海嘯へ突き出す前にお頭の仕返しをくれてやるぜ!!」
 いつの間にか騒ぎを起こした猟兵達は姿を消しており、やりどころのない怒りが下っ端たちに募っていく。
「くそっ、油断したよ。 まぁせっかく水も滴るいい女になったんだ、しばらくはお前らに任せるさね」
 消耗した体力でどさりと腰を下ろすと、メリーは子分たちへ弱った姿を気取らせない様強気に振舞う。
 そんな船長のことを皆理解しているのだろう、より一層不安そうに彼女を囲んで身の回りの世話を行った。

 そんな情けない姿を見下すように、マストの上に立つ影が大声でマリーへ激を飛ばす。
「ふん、手下を召使みたいにこき使って、随分といいご身分ね!」
「だ、誰だ!?」
 海賊たちが声の方を見上げると、逆光で顔が定かではないが赤い髪が潮風に揺れる。
 声の主がマストを蹴って跳び降りると、黒いマントを翻して彼女は口を開いた。
「そんな体たらくでこの6600Gの賞金首、マリア・ルートを倒せるとでも?」
 乱れた髪を掻き上げると、その顔は手配書にあったマリア・ルート(千年の王国から堕ちのびた姫・f15057)その人であると気が付く。
「ちっ……いうじゃないかお嬢ちゃん。 だったらその六千万の首、置いてってもらおうじゃないか。 野郎ども、相手は女一人だ囲んじまいな!」
「「「アイアイサァー!!」」」
 マリーの号令が上がると、船内からも溢れんばかりに海賊たちが湧いて出てきてマリアを包囲する。
「まったく、権力に従ってへこへこしてるなんて、あんた達も情けないわね」
「うるせぇ! お前の首を差し出せば俺達も昇進するってもんよ!」
 完全上下縦社会の海賊達に呆れるマリア。
 ガチガチの組織というものに嫌気がさしている彼女は、海賊という反逆者でありながら組織に縛られている彼らに失望したのだろう。

 血気盛んな海賊たちは、相手が少数で圧倒的不利と見るや強気に出る。
 マリアが煽っているのもあり、どいつもこいつも顔を真っ赤にしながら青筋を立てていた。
 その浮いた血管はマリアからもクッキリと分かるほどに。
 すると、突然海賊の一人がバタリと派手に音を立てて甲板に倒れ伏せた。
「お、おいどうした義兄弟!? 真っ青じゃねぇか!!」
 隣にいた海賊がすぐに気が付いて彼を起こそうとした時、首筋に二つの穴が開いているのが目に入る。
「あんまし美味しくない血だったね。 でも吸える時に吸っとかないとだからねぇ……」
 その声の方へ目線を上げると、血色の薄いやせ型の青年が立っていた。
 その口の端には鮮血の雫が縦線を描く。
「ひぇっ吸血鬼!?」
「はずれ、僕はダンピール。 それにしても美味しくなさそうな血がいっぱいだね。 いや、まだ美味しそうなのが一人だけ……」
 蒼白な青年の須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)は、ゆらりと顔をメリーの方へと向けて呟いた。
 航海という補給の難しい生活環境上、海賊たちは万全とは言い難い栄養状態であった。
 そのため、一人だけ食事の違う健康的なメリーに目を付けたようだ。
「思い出した! このダンピールも賞金首だぜ、確か8700G! こっちも大物だ、手柄が増えたぜぇ!!」
 莉亜の目的など気付きもせず、海賊たち新たな獲物に盛り上がる。
「鬱陶しいなぁ、この分だとメインに行く前にお腹たぷたぷになりそうだねぇ……」
 アンニュイな表情で海賊たちに向きなおすと、莉亜は口の血を手の甲で拭うのであった。

「あら、これで役者は揃ったみたいね。 ならそろそろ私がここまで賞金が跳ね上がった理由……それを見せてあげようじゃない!」
 そう声高にマリアが叫ぶと、彼女は一瞬目を瞑って意識を集中させる。
 だが海賊たちはそんな悠長に待ってはくれなかった。
「馬鹿が! 隙だらけなんだよぉ!」
 取り囲んでいた悪漢が一斉にマリアへ飛び掛かり怒声を張る。
 しかし、彼らの振り上げたサーベルの刃がマリアへ触れることは無かった。
「はんがっ!?」
「あら、隙なんて何処にあるっていうの? この目の前を埋め尽くす、武器の大群の中に」
 マリアがゆっくりと瞼を上げると、口の中に銃身を突っ込んだ海賊たちの間抜けな姿があった。
「ふひぃ……ゆ、ゆるひてくれ……」
 ガチガチと口を鳴らし銃を外そうとする海賊達だが、まるで意思を持つように離れずいつ発砲されてもおかしくない状況。
 あれだけ騒がしかった彼らも、涙や鼻水をたれ流して怯えだす。
「だめよ、蹂躙をしようとする相手には蹂躙で応えてあげないとね! それに私はワイルドハントの殲滅担当と呼ばれているのよ」
 しかしマリアは敵に情けはかけない。
 パチンと指を鳴らすと、無数に生成された銃が同時に放たれて海賊を一掃する。
「ちなみに作れるのは銃だけじゃないわよ。 さぁ、次は誰が相手なのかしら?」
 囲われていたはずのマリアが、今度は数多の武器で敵を囲みだす。
 完全なる形成逆転で、戦場はカオスとなっていくのである。

 マリアの方からたまらず逃げ出した海賊たちは、自然と莉亜の方に集まり出した。
 命は惜しいが功績もほしい。
 ならばひょろっとして弱そうな彼から狙うのが道理だとばかりに動いたのだろう。
「はぁ、こんなに集まっても吸い切れないよ。 それにあっちへ用があるからどいてくれないかな」
 じりじりと距離を詰める海賊たちをものともせず、莉亜は懐から何から取り出す。
「面倒だからこれでいいかな。 これとこれを混ぜて適当にどーん。 はい、完成っと」
 皮袋に包まれていた腐肉らしき物、それに匂い立つ怪しい黒液をふりかけて握りしめた。
 それはたちまち悍ましく蠢き形を変える。
 腐肉に入っていた骨がバキバキと伸びて刃となり、肉が乾き固まって柄となることで巨大な大剣が生成されたのだ。
「くそっ、こっちもバケモノじゃねぇか!! だけどたかが剣だ、やっちまえ!!」
 あまりに不道徳的な莉亜の武器に海賊たちは恐れ戦くが、数の優位に任せて二度奮い立つと斬りかかる。
 その恐ろしさを忘れなければもう少し長生きも出来ただろうに。
「どこを見てるの? 僕はこっちだよ。 キミ達の身体もこっちだけどね」
 一瞬、莉亜の言っている言葉の意味が全員理解できなかった。
 しかし、すぐにそれがハッキリとする。
 海賊たちの視線がグルンと世界を縦に一周すると、顔面から地にぶつかった。
 そして横たわった景色には、首のない自分たちの無残な姿。
 さらに噴き出す血を比べるように舐めていく、脚の筋肉が肥大した莉亜がいたのだ。
「やっぱりどれも不味いね。 ここはぱっぱと殺ってメインに急ごう」
 海賊たちは目の前で起きている恐怖に声も出せず散っていき、賞金首の実力に後悔し血涙を流すのであった。

 あれだけいた海賊たちも、賞金首二人のあまりの理不尽な強さに壊滅してしまう。
 残る敵は船長のメリー・バーミリオンただ一人。
「あんた達……あたしの可愛い馬鹿どもをよくも!! 絶対に許さないよ!!」
 苦悶と怒りを混ぜた表情で目の前の二人を鋭く睨んだ。
 だがそれで怯むような猟兵達ではない。
「賞金稼ぎを狩れば、どれくらい私の賞金も跳ね上がるのかしらね。 あんたはどう思う?」
 まだ甲板へ上がってこようとする残党を自在に操る武器に相手させながら、マリア自身も剣を携えメリーを追い詰める。
 彼女の隣には巨大な剣を引きずり、血の跡で線を書く莉亜が並んだ。
「さぁ……僕はそんなことより血の味の方が気になるかな」
 そう呟きながら大剣を振るって、滴る血糊を払って次の獲物を狙う。
 その切っ先が向いたのはメリーの喉元だ。
「こうなったらあたしも意地だよ! お前らの首で賞金稼ぎとしての再起を図ろうじゃないか!」
 やるかやられるか、腹を括ったメリーがサーベルを抜くと津波を呼ぼうと動き出す。
「おっと、そうはいかないわね。 悪あがきは止めて大人しくしててもらおうかしら」
 敵の先制をさらに牽制してマリアが剣を掲げる。
 手にした煉獄の刃は、灼熱の炎を呼び出しメリーを焼きながら縛り付ける。
「がぁぁ!! だけどうちの馬鹿でもはもっと苦しかったんだ、これくらい!! 死んでもお前らは海に沈めてやるよぉ!!」
 メリーが最期の力を振り絞り能力を使おうとしたが、突如何もない所から銃声が上がりサーベルが手を離れる。
「惜しかったね。 見えないものまで見えるくらいじゃないと、僕はやれないよ」
 絶望の表情のメリーにトドメを刺すと、莉亜はその血を美味しそうに啜るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月14日


挿絵イラスト