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羅針盤戦争〜永遠に美しい無垢な空想迷路

#グリードオーシャン #羅針盤戦争

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#羅針盤戦争


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●Eternally Beautiful Innocent Fantasy LabYrinth
 とある海域。
 普通ならただ波が大荒れするだけな海域に、突如として雷が迸る。
 雷は壁を作り、迷い込んだ船を惑わせ二度と出ることの出来ない悪意のある迷路へと仕上がっていた。

 そしてそれは、目指すべきゴールはそこだと言わんばかりに一直線に渦潮へと向かっていた。

 それを形容するならば、『永遠に美しい無垢な空想迷路』。
 『Eternally Beautiful Innocent Fantasy LabYrinth』。
 略してE B I F L Y。
 エビフライ。

 ―――エビ、飛ぶ。

●もうむちゃくちゃだよ
「なあ、エビって飛ぶっけ??」
 火影・サイト(《無邪気な歌声》[イノセント・シンガー]・f29997)は集まった猟兵全員にそう問いかける。
 見えてしまったモノがどうしても夢としか思えず、しかしグリードオーシャンの海だった故に集めざるを得なかったと彼は言う。

 何でも空飛ぶエビ集団が、グリードオーシャンの中心である渦潮へと向かっているとのこと。
 進撃を止めなければ世界の崩壊一直線らしいので、なんとしてでも止めてもらいたいとのこと。

 ただし、戦場は海上戦。
 海の上では飛行状態や転移が阻害されてしまうため、海上戦・船上戦の工夫をすることが必須になるそうだ。

「海の上では空を飛んだり、転移するのが難しいから気をつけてね。俺が送り届けた先も、多分みんなバラバラになると思うから……そのときは、現地調達でなんとかお願いします!!」

 大きく頭を下げたサイトは猟兵達を送り届ける。
 いざゆかん、エビフライ!!


御影イズミ
 閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
 エビフライの文字になるように単語探すのに苦労しました。
 なんかこう並ぶと格好良いなって。
 ぜんぜんかっこよくない。

●戦場
 海上戦です。飛行・転移のプレイングは後述のプレイングボーナスにも影響してきます。
 海上は転移関係も阻害されてしまうため、スタート地点は皆バラバラの場所です。
 プレイングに何処に落ちたか書いていただければその地点からのスタートになります。記載なしはMS側で自由に設定します。

●受付日:2/11 8:31~
 MS事情により、受付日指定・プレイングの採用数の制限を設けます。
 受付日前のプレイングは全てお返しします。
 採用は「シナリオの成功数に到達する🔵の確保が確定した時点」で締め切ります。
 また採用が難しいと判断したプレイングはお返し致しますのでご了承ください。

●プレイングボーナス:海上戦、船上戦を工夫する
 海上では飛行や転移が阻害されています。
 そのため、飛行・転移のプレイングは全て判定が厳しくなりますのでご了承ください。

 皆様の素敵なプレイング、お待ちしております。
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第1章 集団戦 『ライトニングタイガー』

POW   :    雷の槍
【雷光を纏った大角】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    天使の抱擁
【帯電した羽根の竜巻】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    雷の絆
全身を【痛覚情報を共有する電磁波】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【負傷】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。

イラスト:イプシロン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
飛行がダメでもジャンプならいけるのかなー
★靴に風魔法を宿す事で
靴を覆う風と水面との反発で一時的に体重を支えさせ海面を走れるように

とはいえ足に回せる魔力が切れたら終わりだし
早いことケリはつけたいけど

【聞き耳】でほんの僅かな異音も逃さず聞き取ることで
敵の攻撃タイミングや軌道を推測
【ダンス】の要領で海上を跳び回り攻撃受けないよう回避しながら
電気は氷魔法で作った盾で阻害

物量で来られると面倒だからね…
下手に攻撃して他の子の攻撃回数増やされるよりは
まとめてやっちゃえばいいよね作戦

万一にでも海中に逃げられないよう
氷魔法の【属性攻撃】で海の一部を凍結
【指定UC】の【破魔】の炎をぶつける【範囲攻撃】
焼きエビ…



●焼きエビ。
「わ~~~?!」
 空から海へと放り投げられようとしている栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。流石にこのままだと海に叩きつけられるため、自身が履いている靴に風魔法を宿し、靴を覆う風と水面との反発を用いて海面を走れるように施した。
(とはいえ、足に回せる魔力は少ないから……早めにケリを付けなくちゃ)
 海面を走りつつ、聞き耳で雷の音から攻撃を察知。ライトニングタイガーは雷を纏い澪へと突撃するが、ダンスの要領で彼は海面を踊り、回り、そして飛ぶ。その様子は海上で起こるダンス会場のようなものだった。
 バチバチと飛び交う雷はいつの間にか迷路を作り上げ、澪を閉じ込める。それ以上の澪の進行を許すわけには行かない、ということなのだろう。
「っとと、僕を閉じ込めて物量でかかる作戦かな? 流石にたくさん来られると困るから……」
 ―――まとめてやっちゃえばいいよね!

 海中に逃げられぬよう、海の一部を氷属性の魔法で凍らせてライトニングタイガーの行動範囲を空中へ固定。更にユーベルコード『浄化と祝福』を用いて、あらゆる種の鳥を模した破魔の炎を呼び起こして全てを操作。飛びかかりに来たライトニングタイガーを一気に焼き尽くし、焼きエビとして氷の上へと落とす。
 燃やされたライトニングタイガー達は美味しそうな匂いを放ち、こんがりと良い焼色になって氷の皿の上へと並べられていた。
「……焼きエビ……」
 一瞬だけ美味しそうな匂いにつられそうにはなったが、ぐっとこらえた。帰ってから美味しいものを食べようと。
 しかし仲間がそんな美味しそうな見た目にされてしまった他のライトニングタイガーは大層お怒りである。痛覚情報を共有していた他の仲間達が、澪へと飛びかかる。
「わわー!?」
 ライトニングタイガー達は澪から受けた攻撃の負傷分だけ、その攻撃の回数を増している。焼きエビとなった者達の痛みを全て返してやると言わんばかりに、痛覚情報を共有する電磁波を纏って突進してきた。
 どうにか残っている魔力を用いて破魔の炎を撒き、最後の一飛びで澪は戦場から離脱。自身が雷で焼けてしまう前に危機を脱したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニィナ・アンエノン
エビが飛んでるからエビフライって事?
にぃなちゃん揚げてる方のフライが好きかな☆
まぁこのエビ、食べるには一苦労しそうだけどね!

とゆー事でにぃなちゃん、海上に落ちたらまずは【索敵】と【情報収集】!
【水上歩行】出来るバイクに乗ってるから暫く海上を【サーフィン】出来るかも!
よーく観察して、竜巻が来そうになったら水中に潜ってやり過ごそう。
【深海適応】が必要なくらい潜れば羽根の電気だって散っちゃうと思うんだよね。
頑張って息を止めてその辺やり過ごしたら【迷彩】で海の色に溶け込みながら【ダッシュ】で浮上!
ユーベルコードでブラスターやリボルバーをいっぱい複製して【乱れ撃ち】だ!
まぁ、お料理は帰ってからだね☆



●料理は帰ってから。
「エビが飛んでるからエビフライ、って事??」
 一体どんな状況なんだと首をかしげるのはニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)。ちょっとした平和空間を想像していたのだが、戦場である海へと飛んで見ればバチバチと雷が飛び交うエビ達が飛んでいた。確かに一字一句間違いない、エビフライだ。
「うーん、にぃなちゃん揚げてる方のフライが好きかな☆ まぁ……このエビ、食べるには一苦労しそうだけどね!」
 着地前に海上に水上歩行できるバイクを落とし、華麗に搭乗。海上の索敵を行い、情報収集でライトニングタイガーの群れを見つけてはそちらへと走る。バイクはサーフィンの要領で動かせば波に乗れるので問題なしだ。
 ニィナがライトニングタイガーの群れに近づくにつれ、徐々に竜巻が撒き起こり始めた。それはグリードオーシャン特有の竜巻ではなく、ライトニングタイガーの帯電した羽根から巻き起こされた竜巻。
 全ての竜巻がライトニングタイガーの敵であるニィナ目がけて飛ばされているため、彼女はすぐに水中に潜ってやり過ごすことに。
(ついでに、にぃなちゃん特製の迷彩モードをつけちゃえ!)
 バイクに装備された迷彩モードを使用し、海の色に溶け込みながらライトニングタイガーの群れへと近づくニィナ。竜巻は所構わず巻き上がっているが、ある一瞬を見極めるとバイクをフルスロットルで回し、ダッシュで海上へと浮き上がった。
 群れの中央に上手いこと浮上できたニィナは、そのままユーベルコード『ガジェット忍法・弾丸祭の術』を発動。自身の装備する全ての射撃武器を複製し、周囲のライトニングタイガーに向けて弾幕を張り巡らせた。
「そーれ、ばぁん! ばぁん! ばぁーん!☆」
 四方八方を飛び交うガジェッティアレーザー、スチームリボルバー、ニィナブラスターの複製武器はニィナの念力により自由自在に飛び回り、攻撃の軌道を読ませない。例え雷を纏った竜巻で落とされたとしても、全てが再び複製されて、また弾幕を張り巡らせる。
 エビを料理にするのは帰ってから―――とは、彼女の言葉。帰ってから調理が上手くいくよう、全てのエビ達を撃ち抜く勢いでバイクを走らせては弾幕を張って、身を傷つけないように撃ち抜いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

エビフライ……フライ……フライってそっちですか!?
思わずツッコミを入れつつも、繋がれた手を握り返し転移させてもらい

船の甲板に着陸できたものの、少しかれと離れてしまえば急ぎ走り寄り
僕は飛び道具使いなので、きみが傍にいないと守れませんからね

「視力」で見たエビの大群には
これがエビfly……
エビが飛んで襲ってくるとかわけわかりませんね!?
と半ばキレ気味に「高速詠唱」「多重詠唱」「全力魔法」を付加した
【天撃アストロフィジックス】を「対空戦闘」に特化させ、可能な限り船と渦潮に近づく固体から削ってゆきましょう

いけませんよザッフィーロ!
こんなものを食べてはお腹をくだします!


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

海老フライが飛んでくる…だと…?
いつどこで揚げられたのだ…?と混乱しつつ宵と手を繋ぎ転移を

海底を思うと何だ、恐ろしい故腰に浮きをつけておくが…丁度船の甲板に転移出来た様だな
安堵の吐息を漏らすも、繋いでいた手の先に宵が居らぬ様に気づけば慌て宵へ駈け寄る…が
向かって来る海老の大群を見れば思わず肩を揺らし怯んでしまう
…宵…!?海老がflyというか、何だ、その、向かってくるのだが…?!
そう混乱しながらも宵の隕石を見れば【蝗達の大群】を敵へ向け迎え撃とう
墜とせぬ海老は宵の前に立ち『盾受け』と『オーラ防御』で『かば』いながら受け流せればと思う
…宵…この甲板に落ちた海老は食えるのだろうか…?



●食べちゃメッ!
 とある船の甲板に転送されたのは、逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)とザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)の2名。2人共、転移直前に手を握りしめていたため、はぐれずに同じ場所へとたどり着けたようだ。
 転移の瞬間、世界からの阻害を受けてバラバラにはなったものの、近くにいたためすぐに近づいてお互いの安全を確認。船の船員たちに協力を申し出た後に2人はグリモア猟兵の話と重ね合わせて周囲を確認する。
「話によればエビフライ……フライ……飛んでくるエビがいる、ということですが……」
「エビフライが飛んでくる……。いつどこで揚げられたのだろうな……?」
「たぶん、そういうことじゃないとは思いますが……あ」
 見つけた、と声を漏らす宵はザッフィーロにもその方向を指し示す。指された方向を見てみれば、ザッフィーロもその光景に思わず固まってしまう。
 張り巡らされた雷の壁。吹きすさぶ竜巻。そして船を見つけて飛んで近づいてくる赤いエビ。なんとも逸脱した光景に、宵もザッフィーロも目をゴシゴシとこすっては、もう一度前を見直す。
「……エビ、ですね」
「……エビ、だな」
 やはりこれはなにかの間違いではないか? 2人の首が斜めに傾く。
 が、これは何も間違っていないし、目の前で起きていることは本物だ。羽を生やした空飛ぶエビが、今まさに渦潮を壊すために、渦潮を守る宵とザッフィーロの船へ近づいているのである。
「よ、宵! なんか、その、羽の生えたエビが大量にこちらに向かっているのだが!?」
 思わずザッフィーロは目の前の出来事に混乱してしまい、隣にいた宵の肩を掴んではぐらぐらぐらぐらとゆすり続けた。本当にこんなことが起こっているのか、確かめたかったが故に。
 しかしその行為も虚しく、残念ながら、と首を横に振った宵。本当に残念だが目の前で起きている出来事は全て本物なので、宵も認めるしか無いのだ。目の前からやってくる、空飛ぶエビの大群を……。
「ザッフィーロ、認めましょう。僕らは今から、エビFly……空飛ぶエビと戦うのです。わけがわかりませんけど」
 半ばキレ気味な宵は素早く高速多重詠唱を使用し、全力魔法を乗せたユーベルコード『天撃アストロフィジックス』を発動。飛び交う多数のエビに向けて流星の矢を、これでもかと言わんばかりに打ち付けてやった。
「太陽は地を照らし、月は宙に輝き、星は天を廻る。そして時には、彼らは我々に牙を剥くのです。さあ、宵の口とまいりましょう!!」
 降り注ぐ星々の煌めきに、ハッと息を呑むザッフィーロ。混乱した頭は徐々に星の光によって晴らされ、ようやく正常な思考を取り戻す。……とは言え、やっぱり空飛ぶエビは理解し難いので、頭の片隅のモヤだけが晴れたような感じだが。
 なんとか片隅だけでも正常を取り戻したザッフィーロはユーベルコード『蝗達の晩餐』を発動させ、蝗の大群の影を空飛ぶエビ達に浴びせる。それだけでも十分恐ろしいのだが、飛びかかれなかった蝗の大群は船の周りへと着地し、その場所に触れたエビ達の生気を吸収し、ザッフィーロへと還元させる。
 宵の星々がエビを甲板に叩きつけ、叩きつけられたエビ達が蝗の影によって生気奪われ絶命する。まさに2人のコンビネーションは輝いていた。
 しかしそれだけダメージを与えた分、ライトニングタイガー達も負けてはいられないと痛覚を情報共有する電磁波を身にまとい、やられたエビ達の痛みを全てその戦闘力に切り替え、星を振らせている宵へと突撃してきた。
「させるかっ!!」
 ザッフィーロはすぐに宵の前に立ち、盾受けの要領で電磁波を受けてはオーラ防御で痛覚を遮断し、飛びかかる速度を利用して甲板へ叩きつけ影に喰わせる。影は落としたエビの生気をザッフィーロへ還元するため、彼は何度も繰り返し宵をかばい続けた。

 と、ここで。てんこ盛りになり始めたエビの山を見てザッフィーロは呟く。
「……宵。この……甲板に落ちたエビは食えるのだろうか……?」
 落ちたエビ達は動くこと無く、ただ甲板で倒れ伏している。が、曲がりなりにもそれはコンキスタドール、オブリビオン、何もかもが不明なエビ。そんなものを食べたら何が起こるかわからない。当然ながら、宵は星々を落としながらちゃんと叱った。
「いけませんよザッフィーロ! こんなものを食べてはお腹をくだします! メッ!」
「むぅ……そうか……」
 なお、お母さんのような叱り方をしていたことについては、後になってから思い出す宵なのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

崎谷・奈緒
【アドリブ・連携歓迎】
エビ……飛ぶエビかあ……いやしかし、世界は広い!エビやサメが空を飛ぶ世界があってもおかしくはないだろう!

おわっと……転移先はどこかの島だ。持ち主さんには悪いけど、ちょっと場所をお借りしちゃおう。あたしじゃ飛んだり潜ったりはできないけど……その場から動かず戦う方法だってある!
まずは一直線に向かうエビたちの行先をどうにかしないと。高い位置に移動してUCを使うよ。UCは方向感覚を狂わせる音波攻撃。空が行き場をなくしたエビでわちゃわちゃしそうだけど、このハーモニカの【演奏】の【衝撃波】で【範囲攻撃】!あちこち飛ばれると気が散りそうだけど、【落ち着き】を失わず攻撃していこう。



●サメが飛ぶならエビも飛ぶ。
「エビ……空飛ぶエビかぁ……そっかぁ……」
 何処かの島に転移された崎谷・奈緒(唇の魔術・f27714)は、グリモア猟兵からの情報を頭に思い浮かべつつ島の高台を目指す。この世界は空飛ぶサメもいるのだし、空飛ぶエビがいたとしてもおかしくはないというのは彼女の談。少し遠い目をしたが、まあ、それもこの世界だから仕方ないかといった表情だ。

 高台に到達した奈緒は渦潮の方向と島の位置を確認した後、ライトニングタイガーが作り出す道がどのような移動ルートを辿っているかを確認、渦潮から逸らす作戦を打ち立てた。
 残念だが彼女には、潜ったり飛んだりといった手法はない。それでも、彼女にしか出来ない手法があるからと、負けずに高台から応戦する。
「悪いけど、ここで足止めさせてもらうよ!」
 ユーベルコード『惑う道、失う道』を発動させ、一直線に渦潮へ向かおうとしていたエビ達の方向感覚を失わせる。特殊な楽器の演奏方法はエビ達に視認されること無く、方向や距離感覚を奪い取って誤った方向へと強制的に進ませていた。
 それでも演奏が届いていないエビもいたため、彼らは感覚を奪われた味方を叩いてでも無理矢理にでも押し通ろうとしていた。
「おっとっと、そっちに行かれちゃ困るんだよね!」
 奈緒は素早くハーモニカ『フォークブルース・マークⅩ』と古びた音楽雑誌を取り出し、雑誌に記載されていた楽譜を軽く吹き鳴らす。サウンドソルジャーの根源たる魂の音楽は、やがて奈緒の情熱に反応して衝撃波を生み出し、渦潮へ向かおうとするエビ、散り散りとなったエビと全てのエビを巻き込んで吹き飛ばす。
 やがてライトニングタイガー達はこれが敵襲であるということに気づいたようで、何体かは奈緒の居場所を探るために別行動を開始し始めた。しかしそれでも奈緒のユーベルコードによって方向感覚を失わされているため、ぐるぐるぐるぐる同じ場所を回っていた。
「危ない危ない……。あちこち飛ばれると気が散りそうだけど、うん、落ち着いていこう」
 渦潮へ進めないように、しかし自分にも近づけさせないように。思った以上に広範囲に移動を繰り返すライトニングタイガー達を、奈緒は音をうまく操って阻害し続けた。
 焦ることがないように、慎重に、でも時には大胆に。一人で鳴らし続けるハーモニカは、いつしか電磁波にも阻害されることなく殆どのライトニングタイガーに音を運び続けたのだった。


●エビ、討伐!
 空飛ぶエビ達は無事猟兵達の手によって討伐された。
 渦潮も到達されることはなく、今は無事だ。

 それでもまだ戦争は終わらない。
 戦争の終わりは一体、いつやってくるのだろうか……。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年02月13日


挿絵イラスト