羅針盤戦争〜ぴっちりが集団で攻めて来る
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます」
君達に頭を下げたフェリクス・フォルクエイン(人間の天馬聖騎士・f00171)はグリードオーシャンの世界で七大海嘯が大攻勢に出たことはもうお聞きかもしれませんがと前置きした上で、蒼海羅針域の破壊に向かおうとしているコンキスタドールの大艦隊が存在することを明かした。
「これを放置することはできませんので、皆さんには海上でこれを迎え撃っていただきたいんです」
厳密に言うなら、君達が相手にすることになるのは大艦隊の一部だが、撃破すればその分敵の数は減るのだ。
「こういう迎撃の積み重ねが渦潮に迫ろうとする動きを鈍らせ、最終的に食い止めることにつながると思うんです」
他所の負担を軽減するためと考えても決して無意味ではない。
「それで、皆さんに戦っていただくコンキスタドールはリストリクトソルジャーと言いまして……」
ただ、コンキスタドールの説明を始めたところで何故かフェリクスの目が遠くなる。
「リストリクトスーツを着用したコンキスタドールの戦闘員で、自由を嫌い束縛や服従を好む異常性癖をもち、自分達と同じ存在を増やそうとしてくるらしいですよ」
それでも説明は続けるフェリクスによると、ドン・リストリクトなる存在を敬愛してもいるのだとか。尚、件の存在が艦隊の船に乗船しているということはなく、戦場にいるのはリストリクトソルジャーのみである。
「……どこまで説明しましたっけ? あ、コンキスタドールの説明は終わったんでしたね。ええと、あとは……そうそう、皆さんが艦隊を迎撃する海域ですが、ユルユール海域と言う名で呼ばれているようです」
ゆるりとした海流が流れているのがその由来らしいが、まるで敵がピッチリなら戦場はゆるゆるじゃあとでも言わんがばかりのネーミングである。
「蒼海羅針域を破壊させるわけにはいきませんから」
ご協力、どうかよろしくお願いしますねとフェリクスは頭を下げたのだった。
聖山 葵
チケットがもらえるキャンペーンをするらしいと聞いて。
という訳で、今回は蒼海羅針域の破壊に向かおうとしているコンキスタドールの大艦隊の一部を迎撃していただくお話となっております。
また、このシナリオフレームには下記の特別な「プレイングボーナス」があり、これにのっとった行動をすることで、戦いに有利になります。
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プレイングボーナス……海上戦、船上戦を工夫する(海上では飛行や転移が阻害されています)。
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ではご参加お待ちしておりますね。
第1章 集団戦
『リストリクトソルジャー』
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POW : もっと虐めて!もっと蔑んで見て!もっと罵って!
全身を【虐められる他の子への嫉妬強化オーラ】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【負傷、視線、言葉を被虐的に解釈した回数】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
SPD : 自由なんていけない、そうでしょ?服従しましょう?
対象への質問と共に、【対象の着ている衣服のすぐ上】から【自身の纏うのと同じリストリクトスーツ】を召喚する。満足な答えを得るまで、自身の纏うのと同じリストリクトスーツは対象を【包み込み被虐束縛嗜好に体と心を染める洗脳】で攻撃する。
WIZ : 新たな同志の召喚&洗脳(即興)
召喚したレベル×1体の【一般人を全身スーツとベルトで包みこんだ上】に【一般人を自身と同じ思考に洗脳するアンテナ】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
イラスト:すねいる
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
日紫樹・蒼
性格:弱気
性質:ヘタレ
※どんな酷い目に遭っても構いません
うわぁ、変態だ
なんで僕だけ、こんなのと戦わなくちゃいけないの……?
相手の性癖にドン引きで、戦闘どころではありません
あっという間に追い詰められ、仕方なく悪魔に頼ることに
「うぅ……もう、これしか最後の手段が……
『あら、また私の力を借りたいの?
敵の姿を見て何かを閃き、いきなり蒼を拘束緊縛するウェパル
全身を縛り、衣服を破り、おまけにロープで吊るして海の中へドボン!
その効果により、敵の軍勢にはダメージを、味方には回復効果をもたらします
「ぶはっ!? ちょっ……な、なんで僕がこんな……
『はいはい、我儘言わないの。ほ~ら、ついでに目隠しと猿轡も追加よ♪
鈴木・志乃
あぁ、分かるよ。被虐趣向ね。
自分の尊厳を地に堕とすことで快楽を得るんだったか。
……君達愛に飢えてるんじゃないか?(謎発想)
いや個人的な考えなんだけど、徹底的に虐め抜かれることで空っぽな心を満たされたいんじゃないかなーと。痛いのが好き? もう生半可な刺激じゃ足りないんでしょ?
与えてやろうじゃないのよ(遠い目) UC発動。
はい岩をどーん、木をどーん、海をどーん。
苦しいでしょ? 同時になんか頭冷めてくるしょ?
ここは神域。欲望は穢れ。浄化の対象。ほら強制的に禊してやるから覚悟せい。あんたらみたいな欲望の権化、この場所じゃ動き辛かろう。
あ、水陸空兼用のヒーローカーに乗って爆走
高速詠唱で爆破攻撃します。
栗花落・澪
リス…リ…なんだっけ
リトマスソルジャー??
ほんとにぴっちぴちだけどそれ前見えてる?大丈夫?
小舟かなにかで接近
★靴に風魔法を宿す事で跳躍力にブーストをかけ敵船に跳び移り
着地と同時に足場に【破魔】を宿した★花園を生成
船上を一面の花畑にしちゃう
せめて一般人の洗脳は【浄化】出来るように
束縛が好きな割に手も足も自由過ぎない?
船上に”僕の魔力を宿した”★飴を瓶の中身丸ごとばら撒き
【高速詠唱】から植物魔法の【属性攻撃】
散らばる飴玉を種として蔦を急成長させ
敵の手足を巻き取る【範囲攻撃】
足止めついでに飛翔の阻害
残念だけど、僕はやっぱり自由が好きだから
せめて綺麗に終わらせてあげる
女性には優しいからね(【指定UC】
「うわぁ、変態だ」
艦隊の甲板を埋める紫の戦闘員達を見て、日紫樹・蒼(呪われた受難体質・f22709)はドン引きした。
「なんで僕だけ、こんなのと戦わなくちゃいけないの……?」
「あぁ、分かるよ。被虐趣向ね。自分の尊厳を地に堕とすことで快楽を得るんだったか」
まるで世の無情を嘆くように言葉を紡ぎ出す一方で、鈴木・志乃(ブラック・f12101)はしきりと頷いていた。一定の理解は見せてる辺り、蒼とは対照的で。
「……君達愛に飢えてるんじゃないか?」
いや、謎の発想に至って敵に問いかけるあたり、志乃もまた平静ではないのか。
「リス……リ……なんだっけ。リトマスソルジャー??」
そんな中、甲板から敵艦隊に接近すべく小舟に移動した栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はグリモア猟兵の少年が説明したコンキスタドールの名前が思い出せなかったのか、首を傾げて試験紙もった戦士みたいな名前を口にして。
「ほんとにぴっちぴちだけどそれ前見えてる? 大丈夫?」
「「もっと罵ってぇぇぇ!」」
相手の容姿に抱いた疑問を素直に問いとして投げてみるも、願望からか遠回しの侮辱か何かと取ったらしく、返ってきたのはただのアンコール。
「いや個人的な考えなんだけど、徹底的に虐め抜かれることで空っぽな心を満たされたいんじゃないかなーと」
「それよりももっと虐めて!」
「そう、罵って!」
澪が問うたのとは別のリストリクトソルジャーと話していた志乃の目が遠くなるあたり、コンキスタドール達のブレないある種のふり切れっぷりは変わらなかったのだろう。
「痛いのが好き? もう生半可な刺激じゃ足りないんでしょ?」
続くやり取りの中、相手のコンキスタドールが口にしたらしい言葉を取り上げた志乃は遠い目のままで、与えてやろうじゃないのよと言った。
「はい岩をどーん、木をどーん、海をどーん」
唐突に志乃の降らせた水柱をあげた岩やら木やらが浮島となって艦隊を囲み。
「滝に打たれてみましょうか」
作り上げた強制的に不浄を取り除く神域へコンキスタドール一行をご案内した志乃は促し。
「苦しいでしょ? 同時になんか頭冷めてくるしょ?」
「ぐ」
「うう……」
「ここは神域。欲望は穢れ。浄化の対象。ほら強制的に禊してやるから覚悟せい」
立つことすら辛そうな戦闘員達へ宣言し。
「「新たな同志を――」」
追い込まれたリストリクトソルジャー達は一般人を召喚、洗脳して戦力を増やし形勢逆転を試みるも。
「あれ?」
「わたしは?」
召喚された一般人たちは、茫然としてその場に立ち尽くすのみ。
「ど、どういうこと?!」
「スーツのアンテナが!」
よく見れば、一般人に生えていたアンテナが輪郭をぼやけさせて消滅してゆくところであり。
「何とか間に合ったみたいだね」
一般人たちの足元には、靴に風魔法を宿しいつの間にかコンキスタドール達の艦隊に乗り込んだ澪の咲かせた花畑があった。これが、一般人の洗脳を洗脳してくるアンテナごと浄化し消滅させていたのだ。そもそも、艦隊は既に志乃の手により神域にされており、相乗効果が花畑の浄化の力を跳ね上げているとも思われた。
「っ、そんな」
「これでは戦力の補充が――」
「それに、あんたらみたいな欲望の権化、この場所じゃ動き辛かろう」
完全に手段の一つを潰されてコンキスタドール達が動揺する中、そう言い放った志乃は水陸空兼用のヒーローカーへと飛び乗り。
「神域で動きづらいとしても、その恰好……束縛が好きな割に手も足も自由過ぎない?」
澪は自身の魔力を宿した飴を瓶事ばら撒いてから、高速で詠唱を開始し。
「な」
「きゃああ」
一般人は避けて放った植物魔法が散らばる飴玉を種として伸びる蔦を増やし、急成長させて、リストリクトソルジャー達を捕まえてゆき。
「更に動き辛くなった、と」
ヒーローカーで駆けながら高速で詠唱を済ませた志乃が好都合と続けたときには魔法による爆破はもう行われていて。
「残念だけど、僕はやっぱり自由が好きだから……せめて綺麗に終わらせてあげる」
コンキスタドールの悲鳴や断末魔が上がる中、澪は自分の持つ聖なる杖へ視線を落とし。
「罪を背負いし者達に、清浄なる裁きを与えん」
杖が無数の雪のように美しく輝く鈴蘭の花びらへ変わり流れてゆく。風に舞う花びらの流れは、敵を切り裂き終わらせる刃に代わって。
「ああ、仲間が!」
声をあげたのは、志乃でも澪でもなく蒼へと向かって行ったコンキスタドール達だった。蒼からの抵抗が乏しく一方的に圧せていたが故に仲間達の最期に終わるまで気づかなかったのだ。
「なら、せめてこの子だけでも――」
「うぅ……もう、これしか最後の手段が……」
『あら、また私の力を借りたいの?』
一矢報いんとせん戦闘員達を前に追い詰められた蒼は水の悪魔ウェパルを召喚し。
「本当は使いたくないけど……もう、僕自身を生贄にするしか方法が……」
断腸の思いで協力を求めれば。
「ふふ、そう」
楽し気に笑ったウェパルは、ちらりとコンキスタドール達を見て蒼の全身を縛り、衣服を破り、おまけにロープを括りつけるとそのまま海へと放り込む。
「ぶはっ!? ちょっ……な、なんで僕がこんな……」
唐突にもかかわらず海水を飲んで咽たりしてないのは、何かされること自体は予測できていたのか。
『はいはい、我儘言わないの。ほ~ら、ついでに目隠しと猿轡も追加よ♪』
「ごぼぼ、ごぼぼっ」
「うぐ」
「ぐはっ」
抗議する蒼へ更に不自由を強いて溺れさせれば、それがダメージへと変わり、蒼を追い詰めていたリストリクトソルジャー達もバタバタ倒れ伏してゆくのだった。
大成功
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草野・千秋
へ、変態さんが現れました
しかも被虐性愛嗜好ですか
あいにくと僕はSではないです
Mでもないのでその嗜好はわかりかねるところもありますし
他社の性癖を貶めるなんてとやかく言われそうですが
それでも言います、虐めるなんて愛などではありません!
一般人の召喚・洗脳は鼓舞と勇気で正気に返そうと
しっかりして下さい!
最期がこんなコンキスタドールのせいなんて悲しくないですか!?
そちらがアダルティなムードでいくなら
こちらは子どもらしいUCでいきましょうか
歌唱、楽器演奏、UCを発動、敵はスナイパーで射撃
この世界に海は多数あれど還るべきは躯の海ですよ
アルミナ・セシール
あんなにいるんじゃ真っ当に相手しても疲れるだけよ。ここは一つ一網打尽にするべきね。
小型の船で敵船に忍び込むわよ。そしたら用意した紫のぴっちりスーツにベルトで変装。顔も隠れてるんですもの同じような言動してればバレないんじゃないかしら?
目的地は船の船底。道中話を合わせながら進んでいくわよ。バレたらその時はプランB、正面突破よ!蹴り飛ばして踏みにじって蹂躙よ!
無事船底にたどり着いたらUC【バンカーナックル】で船底に大穴開けてやるわ。船と共に皆まとめて沈めてあげる、ふふふ。
(アドリブ大歓迎です)
ジェムス・ゴールドシップ
…こいつまた変な予知したな?
っていうかこの…何?
名伏しがたきもの過ぎるんだが…いや、あーいう格好もまたファッション…?
こいつは商売のタネにならんな。潰すか
でも海上戦だから…シャチの餌だな。あいつらは
資産がすっ飛ぶからあんまり使いたくはないが今回の新商品だ。
爆弾で海にすっ飛ばしてしまおう
そんで後で使った分の経費はしっかり徴収せんと
カシム・ディーン
機神搭乗
え…何この人達怖い
ソウルブラザーったらこういうのが趣味なんですね
「メルシーもご主人サマになら縛られてもいいんだゾ♥」
OK鎖を巻いて海に沈むか?
「いやん♥」
【属性攻撃】
水属性を機体に付与して海上と海中での機動力を強化
もう面倒くさいし此奴らの性癖を蹂躙してやりますか
【情報収集・視力・戦闘知識】
取り合えず敵陣と敵のぴっちりスーツの構造
特にどこを壊せば弾けるかを把握
UC発動
【瞬間思考・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
超高速機動で容赦なく連続斬撃からとりあえずぴっちりスーツと一般人は変なアンテナを切り捨てつつ拘束具とか盗みまくる
……ええと…ソウルフレンドにプレゼントするべきでしょうか(真顔
「……あいつまた変な予知したな?」
前にも依頼を受けたことのある同じグリモア猟兵の少年のことを思い浮かべ、ジェムス・ゴールドシップ(経済界のラスボス(多分)・f32116)はぼそっと零した。
「っていうかこの……何?」
「へ、変態さんが現れました」
「え……何この人達怖い」
言語として説明する言葉が見つからなかったのであろうが、草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)にしても、賢者の石で錬成したしたサイキックキャバリアに乗るカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)にしても艦隊に残存するリストリクトスーツを着用したコンキスタドール達は色々な意味で一歩後退りさせるには足る存在だったようだ。
「新手が来たわ! さあ、もっと蔑んで見て! もっと罵って!」
「しかも被虐性愛嗜好ですか」
猟兵達に見られ引かれても欲求を隠さない戦闘員達に千秋が苦いモノでも口に含んだかのような表情をし。
「名伏しがたきもの過ぎるんだが……いや、あーいう格好もまたファッション……?」
ジェムスは困惑しつつも無表情のまま首を傾げ。
「ソウルブラザーったらこういうのが趣味なんですね」
グリモア猟兵をカシム発の風評被害が襲う。この場に居たならそんな訳あるかと当人が叫んでいたことだろう。
「メルシーもご主人サマになら縛られてもいいんだゾ」
「OK、鎖を巻いて海に沈むか?」
「いやん」
代わりに口を開いた頭上の鶏らしきナニカとカシムはコントめいたやり取りを繰り広げ。
「あいにくと僕はSではないです。Mでもないのでその嗜好はわかりかねるところもありますし、他者の性癖を貶めるなんてとやかく言われそうですが」
相変わらず蔑んでだとか罵ってと求めてくるコンキスタドール達にそう前置きして千秋は大きく息を吸い。
「それでも言います、虐めるなんて愛などではありません!」
譲れぬ主張とともに視線を向けた頃、アルミナ・セシール(タイプ・フィフス・f31124)は小型の船に乗り込み、千秋がリストリクトソルジャー達の注意を集めているのに乗じて艦隊へと秘かに近づいていた。
「あんなにいるんじゃ真っ当に相手しても疲れるだけよ。ここは一つ一網打尽にするべきね」
というのがアルミナの見解であり。リストリクトソルジャーに扮し中に紛れ込もうという策は、数が減ったと言えど新たな手勢を召喚できる相手には有効だった。
「顔も隠れてるんですもの。同じような言動してればバレないんじゃないかしらとは思ったけれど、案の定ね」
などと口にする訳にはいかなかったが、千秋に注意が逸れていることでアルミナはすんなり敵中に紛れ込み、そのまま移動を開始する。目指すは艦の船底だ。
「ちょっと拍子抜けだけど……」
意外にも複数の猟兵が居るため、ほとんどの戦闘員達は迎え撃つべく甲板に出ており、内部の人員はまばら。アルミナはどんどん艦内を下へ下へと降りてゆき。
「こいつは商売のタネにならんな。潰すか」
「もう面倒くさいし此奴らの性癖を蹂躙してやりますか」
同じころ鉄甲船の甲板で相手を蹴散らすという意味で意見の一致を見たジェムスとカシムが動き出していた。
「さて、海上戦だから……シャチの餌だな。あいつらは」
独言しつつジェムスが召喚するのは、販売予定の新商品。
「資産がすっ飛ぶからあんまり使いたくはないが」
リストリクトソルジャーに有効なソレは声なき声で使えと訴え。
「敵陣と敵のぴっちりスーツの構造を解析……だいたいこんなとこですか」
必要な情報を集めたカシムは機神を駆って艦隊目掛け高速で突き進み。
「自由なんていけない、そうでしょ? 服従――」
「加速装置起動……メルクリウス…お前の力を見せてみろ……!」
これを迎撃すべく戦闘員達が問いを投げかけようとしてきたところでカシムの駆る機体はさらに加速。
「きゃあっ」
「ああっ」
リストリクトソルジャー達の間を駆け抜けながら攻撃を見舞いつつぴっちりスーツを剥ぎ取り。
「な、おおっ! ぶっ?!」
スーツの下にあった戦闘員達の肌が晒されるのを見て思わず操縦席から立ち上がりかけたカシムの身体が召喚されたリストリクトスーツに包まれた。
「ふざけるな! 僕はッ、こんなところで――」
洗脳せんとするそのリストリクトスーツへカシムが覚えたのは、純粋な怒り。あとちょっとで色々見えそうだったのだ。
「うぐっ」
同じ頃、ジェムスもまた突然出現したリストリクトスーツへ捕獲されていたが。
「ふふ、これで……え?」
勝ったと思った戦闘員達の足元から光があふれ出し、爆発となってコンキスタドール達を消し飛ばす。ジェムスが召喚したのは爆弾の類で、主の意志に起動が左右されないタイプのものだったらしい。つまり、ジェムスが身動きがとれなかろうが洗脳されてしまおうが爆弾の爆発は止められず。
「上の方は派手にやってるわね。なら」
艦内で上からの爆発音へ少しだけ意識を向けたアルミナは目の前にある船底へとパイルバンカーが装着された腕部を向け。
「大穴開けてやるわ。船と共に皆まとめて沈めてあげる、ふふふ」
笑みを浮かべ拳を繰り出せば、艦は大きく揺れ。アルミナの穿った船底から大量の海水が噴出す。
「うっ、あぁ」
「しっかりして下さい! 最期がこんなコンキスタドールのせいなんて悲しくないですか!?」
スーツを剥ぎ取られ爆破され、艦は船底から海水が侵入して傾き始め。コンキスタドール達の敗北は時間の問題。それでも一矢報いようと考えたのだろう。一桁にまで減ってしまった戦力を補充すべくコンキスタドールに召喚され洗脳された一般人を正気に戻そうと、千秋はただ声をかけていた。
「あ、あぁ……わた、し、は」
「っ」
先の猟兵が作り出した神域や花畑の影響が残っていたのか、千秋の思いがアンテナからの洗脳に打ち勝たせたのか、あるいは両方か。千秋へ襲い掛かって来ようとしていた一般人たちの動きは止まり。
「今です」
千秋は群青色のギターをかき鳴らし歌い始める。
「真面目になりすぎず、ちょっとしたことを楽しもう。大人とはそうなりがちだから」
「うっ、やめ……」
召喚される子ども達の星の国の住人の霊も歌い始め、千秋自身の歌声と合わさって合唱となれば、ただ、まだ生き残っていたリストリクトソルジャーががくりと崩れ落ち。
「終わりですね」
艦は傾いたまま沈んでゆく。一般人は救助され、コンキスタドールだけが骸の海へと還っていったのだ。
「使った分の経費はしっかり徴収せんと」
と、海に浮かぶ敵艦の物資だったモノをジェムスが回収する一方。
「……ええと……ソウルフレンドにプレゼントするべきでしょうか」
サイキックキャバリアから降りたカシムは鉄甲船の甲板で戦利品のぴっちりスーツを握り締めたまま、真顔で呟いた。
大成功
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