●グリモアベースにて
「グリードオーシャンの、占拠されている無人島を解放してください」
アウグスト・アルトナー(悠久家族・f23918)は、まず今回の作戦の目的を端的に述べた。この羅針盤戦争において、コンキスタドールの首領格である七大海嘯を探すために、島を解放していくのは重要なことなのだ。
「島を占拠しているのは、怪物化した海獣たちです。それらは、コンキスタドール『森羅の巫女』の集団が生み出しています。森羅の巫女たちは島の中心で、集団で祈りを捧げており、その中央には『巨大な子宮のような塊』が鎮座しています。皆さんは島の中心に向かい、この塊を破壊してください。そうすれば、巫女も怪物海獣も、全て溶けて死に絶えますから」
一拍置いて、彼は説明を再開する。
「島の中心に向かうには、ジャングルを突破する必要があります。このジャングルには、猛毒の沼が多数あります。沼だけなら、気をつけて移動すれば問題はないのですが、そこで厄介になってくるのが、先刻述べた怪物海獣です」
アウグストは上に片手を掲げて、下に手のひらを向け、その手を真っ直ぐ下に下ろした。
「ジャングルの樹上から、巨大なヒトデが降ってくるんです。頭部を包み込み視界を塞ぎ、さらに、幻覚性の霧を吹き付けてきます。その幻覚は、『自身の願いが叶った世界が見える』というものです」
例えば、お金が欲しい者は一面にお金が降ってくる幻を見るだろうし、美味しい物が食べたい者は、美味しそうな食べ物の山を見ることだろう。もう会えない大切な人がいるならば、その姿が見えたりするかもしれない。
「ヒトデの霧を受けて、幻に身も心も囚われてしまえば、毒沼に落ちるのは避けられないでしょう。ジャングルの毒沼、降ってくるヒトデ、そのヒトデが見せてくる幻覚……これらに対処し、島の中心を目指してください」
具体的な対処法について、アウグストはこう語った。
「ヒトデは数が多く、降ってくるヒトデの全てを避けたり撃ち落としたりするのは難しいと思います。ですが、一度ヒトデの霧を受けて幻覚を見れば、それ以降、皆さんはヒトデの霧に耐性がつきます。そうなれば、降ってくるヒトデを頭からひっぺがしつつ、足元の毒沼に気をつけながら進めば、問題はありません」
つまり、最終的に必要なことは一つだ。
「『あなたの願いが叶った世界』の幻に、強い心で打ち勝ってください」
地斬理々亜
地斬です。
よろしくお願いします。
このシナリオは、グリードオーシャンの戦争『羅針盤戦争』のシナリオです。
第1章のみで完結します。
●プレイングボーナス
『ジャングルと怪物海獣に対処する』
これに基づく行動をすると有利になります。
ジャングルや怪物海獣の詳細は、オープニングのとおりです。
●プレイング受付期間
2/9(火)、8:31~22:00の間にお送りください。
ただ、全員採用のお約束は致しかねます。
採用人数少なめで完結させていただく可能性もあります。あらかじめご了承ください。
●リプレイでのアドリブについて
アドリブ多め希望の方は、お手数ですが、プレイング冒頭に『◎』の記号をお入れください。
何もなければ、可能な限り、プレイングに忠実なリプレイに仕上げます。
それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしております。
第1章 冒険
『怪物化した海獣たちの無人島』
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POW : 怪物化した海獣の脅威を打ち払って前進する
SPD : 不気味なジャングルを探索して、目的地である島の中心を目指す
WIZ : ジャングルの生態や、海獣の行動・習性などから、島の中心地を割り出す
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
パルピ・ペルポル
このヒトデの大きさだとわたしは全身包まれそうだし。
雨紡ぎの風糸を己の周囲に球状に展開して、オーラ防御で直接触れるのだけは避けたいわ。
あとは沼の上は避けてと。
(幻はかつての冒険者仲間との再会の約束が叶う日の話)
すでに4人揃ってたの、みんな久しぶりね。
解散してから数年たったかしら。
皆あの頃と全く変わらないわね。
…そんなはずはないのだけれど。
一部は冒険者引退してるからあの頃と変わらないはずはない。
それでも変わらないでいてほしいって思うのはまぁ否定しないわ。
よい夢をありがとうね。
ヒトデをひっぺがして糸で切り裂いて。
降ってくるのは糸で防いで切り裂いて。
沼を避けつつ中心に向かって目的を果たすとするわ。
●変わらない仲間たち
透明な糸を自身の周囲に球状に展開し、加えて防御用のオーラを放ちつつ、パルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)は毒沼の上を避けながら飛ぶ。
身長24センチのフェアリーである彼女の体は、こうした対策をしなければ、樹上から降ってくるヒトデに全身を包まれてしまうことが予想されるからだ。
――べちゃ、という湿った音と共に、パルピの視界は闇に包まれる。ヒトデが降ってきたのだ。
糸とオーラのおかげで、ヒトデが直接パルピに触れることはなかったが、幻覚性の霧は吹き付けられた。
「すでに4人揃ってたの、みんな久しぶりね」
パルピは、かつての冒険者仲間たちの姿を見た。
「解散してから数年経ったかしら」
交わした、再会の約束。『今日は、その約束が果たされる日』なのだと、パルピはいつしか認識していた。
「皆、あの頃と全く変わらないわね」
笑って言ったパルピは、ふと真顔になる。
「……そんなはずはないのだけれど」
かつての仲間たちのうち一部は、冒険者を引退している。
そうなれば、纏う雰囲気には違いが出てくるはずだ。
けれど、今、『目の前にいる』かつての仲間たちは、全員、少しも変わっていないではないか。
「……そういうことね」
次第にパルピの中で、思考がはっきりしてくる。そう、この仲間たちは、ヒトデが見せている幻だ。
「変わらないはずがないけれど、それでも変わらないでいてほしいって思うのは、まぁ否定しないわ」
パルピはユーベルコードで己の怪力を強めると、全身を覆うヒトデをひっぺがした。
「よい夢をありがとうね」
それからただちに、そのヒトデを風糸で切り裂く。
続けて降ってくる別のヒトデたちは、糸で防ぎ切り裂く。
毒沼の上を避けながら飛ぶパルピは、もう幻を見ることはない。
「……見つけたわ」
ジャングルの奥に、子宮のような巨大な塊が見えた。パルピは、雨紡ぎの風糸を操り、その塊を端から刻んでゆく。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
◎
★靴に風魔法を宿しほんの少し【空中浮遊】で毒沼回避
念の為自分自身も【オーラ防御】で身を守り
耐性が付くなら早めに受けちゃった方が楽かな
【聞き耳】でなんとなくヒトデの位置や数を把握しながら
最初の1匹分は敢えて避けずに
見えるのは、両親が笑顔で揃ってる姿
顔も覚えてないくらいに過去の存在だから
本当に両親かはわからなくても優しい笑顔で受け入れてくれる
そんな世界
受け入れてしまえば楽かもしれない
それでも、最期に残した形見は僕の手元にある
★お守りも★ネックレスも
僕にかけられた想いの証
幻覚なんかに、僕らの約束は壊させない
お守りの持つ【破魔】の力でヒトデも幻覚も祓い対処
中央に着いたら【指定UC】で塊を狙います
●想いの証
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は軽やかにジャングル内を進む。彼の白い靴には、風の魔法を宿している証として、小さな翼が生えていた。ほんの少し空中に浮かび上がった状態で、身を守るオーラを体に纏って駆ける澪は、毒沼に足を沈ませることがない。
ある程度ジャングル内に踏み込んだところで、彼は耳を澄ませた。
樹上から、かさかさと音がする。周辺に、無数のヒトデが潜んでいる気配が感じられた。
(「早めに受けちゃった方が楽かな」)
降ってくるヒトデ。その最初の一匹を、澪はあえて避けずに受け止めた。
幼くして囚われ、奴隷となった澪には、本当の家族の記憶がない。
それでも、今、目の前にいる、笑顔を浮かべた二人が、両親であるらしいということが、不思議と澪には理解できた。
言うべき言葉を探した澪は、
「ごめん」
と、そう口にしていた。
「もう、顔も覚えていなくて。二人が本当に僕の両親なのか、わからないんだ」
それは両親が、あまりに、過去の存在だから。
目の前の『両親』は、それでも構わないと言うように、優しい笑顔を浮かべて一つ頷く。
それから『両親』は、腕を広げた。澪を抱き止めようとするかのように。
その胸に飛び込んでしまえば、受け入れてしまえば。きっと楽だろうと、そんな予感がした。
(「けれど、それでも」)
澪は自分の手の中の感触を確かめる。
桃色兎の魔除け守りと、子供用のネックレスが、そこにある。
お守りは母親からもらった物であり、ネックレスは『寵愛の証』だ。最期に残された、形見である。
「――幻覚なんかに、僕らの約束は壊させない」
両親が澪にかけた想いの証たるそれらを、彼は幻の『両親』に向ける。幻覚は祓われ消え去り、同時にヒトデもべちゃりと地面に落下した。
島の中心に着いた澪は、子宮のような巨大な塊に、指先を向ける。
「香り高く舞い遊べ」
無数の花嵐が、塊に向かって吹きつけられた。塊の崩壊の時が、近づいてゆく。
大成功
🔵🔵🔵
ベアータ・ベルトット
毒沼対策の為、水面に液状防具を放出。骨の足場を渡って進むわ
海星は機腕銃の乱れ撃ちで迎撃…ッ!?急に視界が―!
―右眼が開いてる?それに、手足も…。あぁ、これが。人間の体…
気づくと、目の前には白衣を纏う科学者然とした女―未来の私が優しく微笑む
自分は人間だと証明完了し、餓獣機関の呪縛から解き放たれた…へぇ、そりゃ結構な事ね
辛かったでしょう、と慰める女。世界のどこにも仲間が無く、飢餓と孤独に苛まれ続ける地獄の日々―それも、もう少しの辛抱だと
女の顔面に銃弾をぶっ放す
アンタのお上品な喋り聞いてると虫唾が走んのよ
目覚めたらUC発動させ海星を捕食
瞼に浮かぶ友の顔
私の『現在』を否定するな。そんな未来などいらない
●少女の願い
ベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)は、自らの身に着装された機装から、ジャングルの毒沼の水面に向けて、液体を射出した。
その液体は、瞬時に硬骨化する。彼女に植え付けられた餓獣機関が生成する、『Armored Fluid』の特性である。通常は防具として用いるものだが、ベアータはこれを足場として、渡って進んだ。
毒沼を渡り終えて着地したところで、がさり、と斜め上方から音がした。
その方向に、機腕銃の銃口を向け、ベアータは弾丸を乱れ飛ばせる。
彼女の視界は、不意に闇に閉ざされた。
「……ッ!?」
驚き、ベアータは『両眼』を見開く。
(「……右眼が開いてる?」)
自身の右眼は特殊義眼で、眼帯で覆っているのではなかったか。
両手両足に視線を落とす。機腕や機脚はそこになく、あるのは、柔らかな手足だ。
「あぁ、これが。人間の体……」
呟いてから、ベアータは顔を上げる。
白衣を纏った女性――未来のベアータ自身が、そこに立っており、優しげな微笑を浮かべていた。
『私は、獣ではなく人間。そう証明完了したのよ。そして、餓獣機関の呪縛から解き放たれたの』
「……へぇ、そりゃ結構なことね」
皮肉げに返すベアータへ対しても、女性は微笑みを崩さない。
『辛かったでしょう』
ベアータに共感するように、女性は言う。
『世界のどこにも仲間がなく、飢餓と孤独に苛まれ続ける地獄の日々。それももう少しの辛抱だから――』
女性の顔面に、突如突きつけられた機腕銃。そこから、銃弾が吐き出された。
「アンタのお上品な喋り聞いてると虫唾が走んのよ」
ユーベルコードを発動させ、四肢の生物捕食機能の封印を解いたベアータは、自分の頭部を覆っていたヒトデを喰らい、分解吸収する。
島の中心に向かいながら、ベアータは一瞬だけ左眼を閉じた。
瞼の裏に浮かぶのは、友の顔。
「私の『現在』を否定するな」
子宮のような塊へ、機腕銃を向ける。
「――そんな未来などいらない」
放たれた無数の弾丸が、塊を穿った。
大成功
🔵🔵🔵
アパラ・ルッサタイン
◎
うへぇ悪趣味なモノを掲げている
水操る友を喚び
毒耐性を込めた水で体を覆ってもらおう
沼の深みに足を取られぬよう注意して進む
密林でヒトデだなんて不思議な
アレ急に日影が……あ痛ッ
夜が来た
看板替わりに店先のランプを点す
棚には丹精込めて作ったランプ達
今日は良い鉱石が手に入ったから新しいのを作ってみたんだ
扉が開く
お客様、友人知人
店主は笑顔でお迎えしよう
ようこそ
――嗚呼、そう
お迎えしなくちゃね
やりたい事も
会う事も
現実で叶えねば意味が無い
現に戻れたなら再び密林を進む
ヒトデが多く降る方が中心かな?
塊を発見したら【2回攻撃】で再び友を
塊を氷針で貫いておくれ
にしても意外だな
てっきり『彼』が現れると思っていたのにさ
●点される願い
アパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)の、遊色を宿した髪が、ジャングルの木漏れ日を反射してきらめく。
歩みを進めた彼女は、毒沼の手前で立ち止まり、ランプを取り出した。アパラ自身が制作した、鉱石ランプである。
ユーベルコードにより、そのランプから召喚するのは、あらゆる水の術を操る『内緒の友人』、アプサラスだ。
「この沼の毒に負けることのない水で、あたしの体を覆っておくれ」
『友』はアパラに応じ、毒耐性の込められた水で彼女の体を覆った。
(「あとは、沼に足を取られぬように」)
慎重に、沼に向かって足を進める。
(「それにしても、密林でヒトデだなんて不思議な」)
そう考えた途端、ふっと、唐突に、影。
「アレ……あ痛ッ」
べちっと、湿った感触と共に、周囲が真っ暗になった。
――夜だ。
アパラは、店先のランプに触れ、点す。『OPEN』の看板の代わりだ。
アパラが経営するランプ屋の棚に並ぶのは、丹精込めてアパラが手ずから制作したランプたちだ。
今日アパラが入手した、良い鉱石を用いて作った、新顔のランプも仲間入りしている。
店の扉が、開いた。姿を現すのは、お客様に、友人知人。
「ようこそ」
ランプ屋の店主、アパラは笑顔で迎えた。
「――嗚呼、そう。お迎えしなくちゃね」
アパラはヒトデを頭から外す。
ランプ屋の仕事も、そのランプを求める人と会うことも。幻で満足するのでなく、現実で叶えなければ意味がないのだと、アパラは前を向いた。
ヒトデが特に多く降っている方向に、アパラは進んでゆく。やがて視界は開け、子宮のような巨大な塊が見えた。
「うへぇ」
話には聞いていたが、悪趣味だと、アパラは顔をしかめる。
再び、彼女はアプサラスを喚んだ。
「塊を氷針で貫いておくれ」
鋭く放たれた氷の針が、塊に大きな穴を開ける。
(「にしても、意外だな」)
てっきり、『彼』が煤だらけの姿で現れると思っていたのに。
アパラが見た、『自身の願いが叶った世界』は――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴァネッサ・ラドクリフ
◎
この世界の人々を守る為にはあたし自身の心の弱さと向き合わないといけない……
覚悟は出来た、いくよ!(幻覚ヒトデが落ちてきても避けない)
遠くの先に見えるあの集団は、吸血鬼に殺されてしまった人々だ
吸血鬼が誰を殺すのか気紛れ、あたしが生き残ったのも偶然
誰も悪くないけれど、あたしは生き残っていた事をずっと謝りたかった……
待って、いかないで!
あたし強くなったから、もう吸血鬼に誰も殺させないから!
武器や必殺技だって揃えて……あれ、布槍のテットが全然鋭くない
UCの正義の誓いもあまりに弱弱しい
そうか、幻でもいいって甘えた考えだからこんなに弱いんだ
必ずダークセイヴァーに帰ってお墓参りするから、幻とはさよならだ
●弱さと誓い
ヴァネッサ・ラドクリフ(希望のプリンスを目指して特訓中・f30475)には、自分の心が弱いという自覚がある。
(「それでも、この世界の人々を守るためには……」)
その、自身の心の弱さと、向き合わなければならない。
「――覚悟は出来た、いくよ!」
ヴァネッサは上を見上げる。降ってくるヒトデを、彼女はあえて避けなかった。
遠くに、集団が見える。
それは、ヴァネッサの故郷であるダークセイヴァーにおいて、吸血鬼に殺された人々であった。
吸血鬼が誰を殺すのかは、いつも吸血鬼の気紛れであり、ヴァネッサが生き残ったのも偶然に過ぎなかった。
(「誰も、悪くないけれど」)
ヴァネッサも、人々も、誰一人として悪くない。それでもヴァネッサは、
(「生き残っていたことを、ずっと謝りたかった……」)
集団に向けて近づこうと、ヴァネッサは足を踏み出す。すると、集団はヴァネッサに背を向け、離れるように進み始めた。
「待って、いかないで! あたし強くなったから、もう吸血鬼に誰も殺させないから!」
ヴァネッサは駆け出すが、集団には追いつけない。
「武器や必殺技だって揃えて……あれ」
布槍『テット』に視線を落としたヴァネッサは、硬直する。
『テット』は、身に着けた者の意志に応じて、鋼の鋭さを宿す。それは今、まるでただの布のようになっており、少しの鋭さもなかった。
発動していたユーベルコード、『正義の誓い』も、あまりに弱々しい。
「そうか」
ヴァネッサは理解した。
「幻でもいいって甘えた考えだから、こんなに弱いんだ」
ヴァネッサは集団に自ら背を向け、走り出す。
「必ず、お墓参りするから。さよなら」
ヴァネッサはヒトデを頭から外し、投げ捨てる。
「あたしは絶対に、この世界の人々を守る!」
改めての『正義の誓い』。強化された真の姿となったヴァネッサは、ジャングルを駆け抜ける。その勢いのままに、子宮のような塊を、鋭い布槍で真っ二つに切り裂いた。
ヒトデたちが溶けながら樹上から落ち、周囲の巫女たちもまた溶けてゆく。
それを見据えるヴァネッサの瞳には、確固たる信念の輝きが宿っていた。
大成功
🔵🔵🔵