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羅針盤戦争〜パールちゃんは蒼海羅針域が欲しい!

#グリードオーシャン #羅針盤戦争

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●真珠の貝の女戦士
 トライデントを掲げる様は、まるで海賊のようで。
 しかし容姿は比較的男受けが良さそうな、海の女戦士だった。
 男がすなる海賊というものを、女の私もしてみんとす。
 そんな気持ちなのかもしれない。

 蒼海羅針域。それは猟兵にとって、決して失ってはならぬもの。
 だから破壊しに行くのだ。それがコンキスタドールの使命なのだから。

●壊れるまで襲撃すれば壊れるってマ?
「むぅ~、敵もなかなか諦めませんね……」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は珍しく眉根を寄せていた。グリモアベースに到着はしていたが、猟兵達が戦いから戻り、または戦いに赴くために集まってくるのを待っていた。
「そろそろいいでしょうか。はい、また蒼海羅針域の破壊を目論む敵が現れたんです」
 敵は諦めることを知らない。だからと言って猟兵が折れるわけにはいかないので、ロザリアは今日も作戦の案内をする。
「現れた敵は『パールウォリアー』という、阿古屋貝の戦闘員のようです。武器はトライデントと呼ばれる槍を持っていて、また、肩に装着した貝殻で防御態勢も取ってくるようですね。攻防共に優れた敵で、しかも近接、遠距離どちらにも対応できる能力を持っていますので、そこそこ手ごわい相手のような気がします」
 ロザリアは詳細に敵の情報を伝えていく。
「それで、この海域の特徴についてですが、飛行や転移といった強力な移動能力は制限されてしまうようです。こういう海域は今回の戦争ではよく見られますね。私が皆さんを送るところもそういう場所なので、普段飛行や転移を主な移動手段として戦う方は気を付けてください」
 人によっては戦い方に工夫がいるところ。そうでない人は、普段通りに戦えばよいのかもしれない。
 しかし戦闘場所は船上ということになりそうなので、足場をしっかり保つことも肝要だ。
「現れる敵も多種多様と言いますか……私も結構ご案内していますが、まだまだ色々な敵が出てきそうですね。物量に次ぐ物量……ですが、私達はこの世界を救うためにも、決して負けることはできません! えいえいおーの精神でいきます! えいえいおー!!」
 ロザリアは小ぶりな手を高々と突き上げて、猟兵達を鼓舞するのだった。


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 サバイバルで頑張っている皆様のためにも、こちらの依頼を運営していきます。

●フラグメント詳細
 第1章:集団戦『阿古屋貝の戦闘員『パールウォリアー』』
 遠近防御と三拍子揃っているような相手ですが、遠はまあ……どちらかと言えばデバフ? でしょうか。
 艦隊作ってやってきますので、迎撃しましょう。こいつら泳げそうだけどあまり泳がないと思います。肩の貝邪魔で遅そうだし。
 接近戦でも遠距離戦でもどうぞご自由に。

●MSのキャパシティ
 戦争ということもありますので、全てのプレイングを採用することが難しい場合も出てくるかもしれません。
 その際はご容赦頂きたく、また戦争期間中はシナリオ運営を継続して参りますので、採用に繋がらなかった方については次の機会をお待ちいただければ幸いです。

 合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
 でも複数採用リプレイとかは気まぐれで書いたりするのでソロ希望の方は明記しておいてください。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『阿古屋貝の戦闘員『パールウォリアー』』

POW   :    アコヤガイシールド
【肩の巨大貝殻を前面へかざしての防御モード】に変形し、自身の【移動速度】を代償に、自身の【高い防御力】を強化する。
SPD   :    トライデントスロウ
【手に持つトライデントを投擲】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    スタチューパールズ
【肩の巨大貝殻の内側】から【真珠色の粘液】を放ち、【真珠化】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:小鬼田平子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

香月・赤兎
船上戦かー……。
泳ぐの苦手だし、ちょっと不安だなあ。
でも私は弓で遠距離攻撃するスタイルだし平気かな?

船上である程度、距離をとりつつ装備している弓で攻撃するよ。
【乱れ打ち】や仲間への【援護射撃】をして戦況が有利になるように頑張る!
隙があれば【千里眼射ち】で確実にトドメを刺していこー!
敵の攻撃は近くに居なきゃ当たらなそうだし、大丈夫……だよね?

水着姿もこれだけ揃っちゃうと魅力も何も無くなっちゃうよね。
私はやっぱりオンリーワンの可愛さを目指していこーっと!


エルナリア・アリルゼノン
なるほど…事前の情報通り敵の防御力は高いようです。
しかし貝殻部分以外の耐久力は然程でもないようにも見えます。
ここはUC「パラレルシューティング」によってソーシャルレーザーを大量に複製し、全方位からの射撃で一体ずつ確実に撃破していきます。
猟兵の飛行は困難との事ですが、目視できる範囲に武器を飛ばす位は問題ないでしょう
あとは敵の投射武器に当たらないように位置取りには注意します。



●ならば寄せ付けねばよかろう
 遊覧船ほどの風情は無いが、鉄甲船もまた心地よい潮風を届ける。香月・赤兎(赤い月・f03801)は鉄甲船が海を分け入って立てる白波を見つめていた。
「船上戦かー……泳ぐの苦手だし、ちょっと不安だなあ」
 戦場となる海域まではまだ少しばかり距離があるが、先刻より騒ぐ心はなかなか落ち着かない。戦闘の最中で万が一にも落ちることがあれば――想像するだけで身震いがする。
「大丈夫です。この船に乗っている海賊さんは頼りになります。大船に乗ったつもり、ではなくまさに大船に乗っているんですから、気持ちを楽にいきましょう」
 赤兎の横へ、頭一つ分背が低いエルナリア・アリルゼノン(ELNA.net・f25355)が並び声を掛けた。コンキスタドールと実際に戦火を交えるのは猟兵だが、例えば船の操舵であるとか、猟兵が活動しやすいように支えてくれているのがこの世界にいる海賊達だ。赤兎は一人ではないし、赤兎とエルナリアの二人でもない。
 赤兎が振り向けば、船外に顔を出した海賊が拳を掲げてみせた。後ろは俺達に任せて存分に戦ってくれ――そんな海賊達のエールだ。
「うん……そうだね」
 温かい優しさに包まれて、赤兎の気持ちも少し和らいだ。
 そうこうしているうちに敵船団が見えてくる。船に立つのは大きな貝殻を両肩に乗せたパールウォリアー達。
「なるほど……事前の情報通り、あの貝殻で守られると一筋縄ではいかなさそうです。しかし貝殻部分以外の耐久力は然程でもないようにも見えます」
「そうだね……。それに、武器はトライデント……私は弓で遠距離攻撃するスタイルだから、注意していけば平気かな……?」
 敵を知り己を知れば百戦危うからず。互いの長所、短所を見極めることが勝利へと近づく第一歩だ。
「私達にはこの貝殻と槍があります! 猟兵だろうと何だろうと、臆せず立ち向かいましょう!」
 パールウォリアー達も気を吐いている。ただでは通さぬ、と二人を睨みつけていた。
「弓ですか。それなら狙いは一致しているようですね。相手の間合いには踏み込まず……撃ち抜いてやりましょう。アイテム、複製――」
 エルナリアは空に向かって自身が装備するソーシャル・レーザーを掲げる。するとその上に輝く宝石のような眩しい光が現れ、ソーシャル・レーザーが次々と複製されていった。
 エルナリアの周囲にずらりと並ぶ複製ソーシャル・レーザーは、全て念力で動作する。
「――エリア内展開、完了」
「わっ、凄いね。よーし、私も数で勝負……頑張る!」
 赤兎は手に取りやすいように矢を整えた。自分に喝を入れ、いざ出陣――。


 敵船団は積極的に舳先を鉄甲船へ向けてきた。あわよくば船ごと突撃――それを紙一重で回避しながら航行するのは海賊の腕だ。揺られる甲板に踏み止まりながら、赤兎は休むことなく矢を射っていく。
 絶対命中の一射より、手数重視の十射。赤兎が放つ矢は海上を乱れ飛んで敵船に襲い掛かっていた。
 パールウォリアー達は貝殻を盾にして受けに回りチャンスを伺うが、乱れて低く入ってきた矢が貝殻の届かぬ足に命中する。
「うぅっ……これでは……」
 足を奪われれば、たとえ敵船へ接触しようと乗り込み立ち回ることが叶わなくなる。ダメージ以上に大きな痛手に、可憐な容姿も崩れてしまう。
「動けなくなったらただの的です。逃がしません」
 その隙に乗じるのがエルナリアだ。物量を武器にパールウォリアーを取り囲み、全方位からの一斉射撃。貝殻の盾も一度に360度全てを防ぐことはできない。
「きゃあぁぁっ!!」
 じゅっとレーザーで体を焼かれ、倒れていくパールウォリアー。レーザーを放つ電力もまた、エルナリアをSNSで支える仲間達から受け取ったものだ。
「くっ……待ちなさい!」
 パールウォリアー達は船を接近させ縁ぎりぎりまで近づいてくる。トライデントが届く射程なら一矢報えるが、超高速かつ大威力の一撃は至近でなければ命中しない。
「近くに居なきゃ大丈夫……だよね?」
「大丈夫です。こうして甲板の中央に立てば、どこから狙われても距離を保てます」
 赤兎とエルナリアは互いに背を預けて死角を消しながら、船で取り囲んでくるパールウォリアー達のトライデントから逃れている。安全地帯を確保して、赤兎は弓矢を構え集中する。
 パールウォリアー達は身を乗り出して鉄甲船に手を掛けようとするが、そうはさせじと赤兎の瞳は鋭く見つめていた。
「この位置からなら、確実に……!」
 今度は絶対命中の一射を求め、赤兎は矢を放っていった。高められた集中力により射られた矢は真っ直ぐパールウォリアーへと走っていく。
「いけな――ぁぐぅっ!」
 両肩の貝殻で咄嗟に防ごうとしたが、矢は合わせられようとしていた貝殻の隙間を抜けてパールウォリアーの胸を貫いた。貝を開きながらパールウォリアーは船の中へ落ちていく。
 射ればまた別の者が立ち向かってくる。まるで的になりに来ているようだった。一射一射、祈りを込めるように集中しながら赤兎は矢を敵船へ浴びせていく。後に続く者が出てこなくなれば、また次の敵船へ。
 他方、エルナリアのソーシャル・レーザーは海上を飛行しパールウォリアー達へ襲い掛かっていた。猟兵自身の飛行や転移は制限されるが、念力の及ぶ範囲に自身の武装を飛ばすことには支障がない。パールウォリアー達の周囲を回るように飛んでいくソーシャル・レーザーの群れは天からの迎えの使者のようで、放たれるレーザーは地獄の如き熱線となって瑞々しい肌を焼き尽くす。
「水着姿もこれだけ揃っちゃうと魅力も何も無くなっちゃうよね」
「そう……ですね。確かに、やや見飽きた感が少々。それだけ敵が多いということですが」
「私はやっぱり、オンリーワンの可愛さを目指していこーっと!」
 ばしゅん、と放たれた矢はまた一体のパールウォリアーを射抜く。戦の前の不安はどこ吹く風か。調子の出てきた赤兎は大きく弓矢を構えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニィエン・バハムート
グリードオーシャンの海域の不便さなんて言われるまでもありませんわ!
…めっちゃ地元ですし!!

竜王ですが深海人なので【水上歩行】【空中浮遊】の併用で仮に船から落ちても復帰は容易。もしくは船外の敵に狙われても自分も海に降りて迎撃することが可能。
船上での動きは空中浮遊を併用した船各所にあるロープを使った【ロープワーク】を駆使して敵に狙いをつけさせません。

私の攻撃方法も今回は射程の広いUCによる電撃【属性攻撃】の【範囲攻撃】ですし、余程油断しない限りは敵の射程内に入らずとも攻撃ができるはずですの。
貝殻で防御されても電撃であれば感電させる【マヒ攻撃】で中身にまでダメージを与えられる…といいですわね。



●電撃投網の阿古屋貝漁
 飛行、転移が制限される海域など知ったこと――。
「グリードオーシャンの海域の不便さなんて言われるまでもありませんわ! ……めっちゃ地元ですし!!」
 ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)が吼えていた。鉄甲船上に張られたロープを足場に跳び回り、空中まで利用してパールウォリアー達を迎撃する。
「ちょこまかと……待ちなさい!」
 自船の縁に足までかけて、ロープを渡って跳んでくる一瞬を狙っていたパールウォリアーだったが、ぶん、と力強く投擲されたトライデントはニィエンの脇をすり抜け鉄甲船を横切り、海へと吸い込まれていく。
「どこを狙っていますの!? 私はここですわ!」
 空中を駆け上がるニィエンが日の光と重なった。陰となった姿に見るは、鋭き眼光、不敵な微笑み。
『雷霆万鈞! バハムート・サンダー!』
 発達した超強力な発電器官から雨あられの如き電撃が迸った。鉄甲船の周囲一帯、ニィエンを討ち取ろうと集まって来たパールウォリアーの船団を、雷の網が捕らえていく。
「いやあぁぁぁっ!!」
 両肩の貝殻を盾として掲げていたパールウォリアー達も、表面を潤す粘液が却って仇となり、雷が体を打ち痺れさせた。びんと反るように伸び切った体は白い湯気のような煙を吐くと、船上にばたばたと倒れていく。
 一網打尽、大量だ。
「まだまだ行きますわ! さぁ、船を!!」
 ニィエンの声に発破をかけられ、鉄甲船は速度を上げる。見える範囲は全て獲物。次なる敵目指して舳先へ立つニィエンは海賊達の頭のようで、実に様になっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
随分と防御寄りみたいですけど、コンキスタドール的にどうなのでしょう?
一応そっちが侵略する側なのですよね?

アマービレでねこさんをたくさん呼び氷【属性】【全力魔法】で船の揺れを押さえつつ沈没させない様に固定する氷の手を生成してもらうのです。
これで船上でも地上と同じ感覚で戦えますね。

【第六感】と【野生の勘】で敵の行動を【見切り】回避からの【カウンター】を軸に【踊る】ように近接戦。

相手の攻撃はそこまで激しくなさそうですね。
それならあの防御さえどうにかすれば。

敵のユーベルコードは【絶・蘇威禍割】を【早業】で放って粉砕します。
もし駄目でもオラトリオで足元から奇襲をして防御の裏からの攻撃を試みます。



●海を割るか、貝を割るか
 七那原・望(封印されし果実・f04836)はタクトを振る。涼やかな鈴の音が海に響き現れるのは魔法猫。
 共達・アマービレ。振れば其処が望の世界。
「ねこさん、お願いします」
 甲板に集まった猫たちは一声、にゃっと前足を片方上げると、タタタッと駆けて海へ飛び込み、船底を全力の氷魔法で一気に凍らせていく。
 海面から船側へ張り出した氷は巨大な手のように船を支え、海底まで到達した氷柱が船を支える芯となる。海面に広がる氷の層は絶えず上下する波を打ち消し、海上に陸地のような安定地帯が生み出された。
「これで船上でも地上と同じ感覚で戦えますね」
 氷で固着された船は不自然なまでに海上でぴたりと止まっていた。
「何をしているかわかりませんが……動かないならチャンスです!」
 待ち受ける望を前に、パールウォリアー達は躊躇うことなく船を近づける。がつんと広がる海氷を砕き、程よく船同士が近づいたところで鉄甲船へと跳び乗ってきた。
「はあっ!!」
 立ち尽くす望へ迫り、トライデントを突き入れる。大海の宝玉が如き蒼き輝きが閃く――が、白と黒、対極の二振りを手に取っていた望は裏返るようにターンし逆に斬りかかった。
 視覚に頼らず、音と振動で距離を把握することで放たれた一閃だが、腕に張り付くように閉じた貝に刃が当たり、守られる。
「一応そっちが侵略する側なのですよね? 随分と防御寄りみたいですけど」
「海の上では死なぬが先決――これが私達の戦い方!」
 鉄甲船に響く音が増えてきた。囲まれつつある中で望は感覚を頼る。薙ぎ払い、振り払われるトライデントの穂先を掠めるか、掠めないかのぎりぎりのところで跳んでかわすのは五感の埒外からくる生存本能。視界を閉ざしているのなら横も後ろも関係なく、社交場の踊りのようにするりと抜ける。
(相手の攻撃はそこまで激しくなさそうですね……それならこの防御さえどうにかすれば)
 またトライデントをひゅっと避けながら、刃を叩きつけるように振り抜く。だが甲高く鳴るのは貝殻の音で、やはり生半可な攻撃では防御を貫けない。
 もっと速く、もっともっと速く。一つ振り抜くごとに、望の速さは神の頂へと近づいていく。
『外すなんて有り得ない。絶対に割ります』
 そしてついに到達する。神速の一刀が一枚の盾となった貝殻をこじ開ける。
「きゃあ!?」
 貝殻を跳ね上げられたパールウォリアーが見たのは、時を駆けるような鮮烈な光。
「いやっ……ぐっ……ああぁっ!!」
 望が放つ無数の剣閃は光と共に、盾と言う概念を粉砕した。瓦礫となった貝殻に塗れながらパールウォリアーは船外へと弾き出される。
「割れた……ようですね。であれば、もうわたしに、斬れないものは……ない!」
 吹き飛ばされた仲間を見たパールウォリアー達は、望の強い口調にぞくりと寒気を覚えた。絶対と思っていた防御すら破壊する。それはパールウォリアー達にとって、天敵に他ならない。
「ぜっ……全員で、かかりましょう!」
 やけっぱちの指揮だった。声に応じて周囲のパールウォリアー達が一斉に飛び掛かってトライデントを振り下ろす。
「……無駄、です」
 全くの同時に見える攻撃も、わずかな綻び――隙がある。そこを縫うようにすり抜け、穿つ。両肩の貝殻を狙い、望は二振りの得物を振るい、踊った。
 パキ、ピシとひびが入り、砕けた貝殻が甲板に散っていく。貝殻を失ったパールウォリアー達はもはや剣閃に立ち向かえず、柔肌に無数の傷をつけられ倒れていった。
 音が鈍くなる。感覚が教えてくれるため気に留めてもいなかったが、足の踏み場が制限されていく。甲板を倒れたパールウォリアー達が埋めていくのだ。
 そして足音がとうとう聞こえなくなった時、戦の跡はパールウォリアー達の墓標となり、開放された大海原へと捧げられるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月10日


挿絵イラスト