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羅針盤戦争〜ぷるぷるすらいむ迎撃作戦

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #グリードオーシャン大海戦 #微エロ要素あり #プレイング受付終了

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●グリモアベースの一角に集まった猟兵。九重・白亜(オルタウィザード・f27782)はついさっき見た予兆の概要の説明を始める。

「渦潮へ侵攻するコンキスタドール共がまたやってきました。今度はスライムです」

 スライム?と首を傾げる猟兵たちに、白亜は用意した写真を見せた。
 海に浮かぶ、青一色の船。保護色のように海と同化しているソレだが、実際に同化しているらしい。ペイントでもなんでもなく、その船はスライムでできていた。

「セイレーンという種族は、皆様ご存知でしょうか。中にはセイレーン本人もいると思います」

 セイレーンとは、グリードオーシャンで多く見かける種族の一つ。ソーダ水で構成された、変化自在の美しき水の精霊だ。
 今回相手をするのは、その“ニセモノ”らしい。

「『セイレーンもどき』。いっそスライム娘と呼んだ方が早いでしょう。彼女らは自らの肉体を船とし、艦隊を組んで侵攻してきています」

 少なくともソーダ水ではないナニカで構成された彼女。変化自在という点はセイレーンと遜色なく、複数の同胞を固めて船を作り上げているという。
 そんな真っ青な船は、編隊を組んで渦潮を目指しているらしい。

「敵の懐、それどころか敵の体内に乗り込むような真似をしなければいけませんが……これも戦争の、引いてはグリードオーシャンのためです」

 『セイレーンもどき』が進んでいる海域は飛行や転移が阻害されており、飛んだまま遠距離攻撃……といったズルはできないらしい。
 船へ飛び乗るか、海上でなんらかの手段で攻撃を仕掛けるか、の船上戦と海上戦の二択を強いられる。

 船上であれば、彼の言う通り全てがスライムでできた船の上で戦うのだ。歩きづらいのはもちろん、『セイレーンもどき』に常に狙われる環境に置かれる。
 となれば、船そのものに攻撃を仕掛ける海上戦が有利か──それはさておき。

「今回も、貨物船を用意しました。そこが経由ポイントとなるので、皆様は準備をしてからグリモアへ入ってください。
 ……え?なんかボロボロだって?知るか行ってこい」

 前回の戦いで転覆したものの使い回し、なんてことはない。ないはずだ。
 メイドは恭しく一礼し、グリモアを開いた。


天味
 天味です。
 今回の相手はスライム娘。体も船もスライムな敵に、どう対処するかが肝です。

 今シナリオは羅針盤戦争のシナリオの内の一つ、『グリードオーシャン大海戦』。一章で完結する特殊なものとなっています。
 こちらの戦争シナリオは、シナリオ成功一つにつき、戦争サバイバルの🏅5000を加算されます。

 なお、以下のプレイングボーナスが設定されています。
『海上戦、船上戦を工夫する(海上では飛行や転移が阻害されています)。』

 ユーべルコードは指定されたものを一つのみ。技能に関しては、『』や【】などで囲む必要はありません。文字数制限にかからない程度に、自由なプレイングをよろしくお願いします。
 プレイング募集はOP開始からになりますので、ふるってご参加ください。

 ついでですが、今回はギャグ、シリアス、どちらでもオッケーです。

 簡単なオプション。
 ◎:なんでもあり。アドリブもギャグもやる。
 〇:アドリブを入れる。ギャグは控えめ。
 ●:アドリブ控えめ。ギャグもなし。
 上記三つのマークがない場合は、プレイング通りに行います。
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第1章 集団戦 『セイレーンもどき』

POW   :    捕食
【スライムボディ】から【捕食攻撃】を放ち、【体内に取り込んで弄ぶこと】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    集結
自身と仲間達の【スライムボディ】が合体する。[スライムボディ]の大きさは合体数×1倍となり、全員の合計レベルに応じた強化を得る。
WIZ   :    擬態
【偽ソーダ水の雨】を降らせる事で、戦場全体が【スライム】と同じ環境に変化する。[スライム]に適応した者の行動成功率が上昇する。

イラスト:猫宮さえか

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マヒロ・ゾスティック
◎【グロ、切断以外はドMリアクションOK】

アハ、スライムとかキモチよさそう
味合わせてもらおうかなぁ❤

水上ボートを用意してきて進むよー
自由自在ベルトや機関銃で撃つけど、うーん、やっぱ物理攻撃は効きが悪いなぁ
っと、スライムたちに体を取り込まれちゃった
あぁん、全身をスライム攻めされるぅ!
でもこれはこれでいいねえ♥

さてじゃあ堪能した所でそろそろこっちの番だね
水上ボートごとボクをベルトで包んでUCを発動してスライムを振り払う
完成するのは水上ボートから上半身を生やしてボクを下腹部に束縛して取り込んだサイバーロボ!
ボク自身からエネルギーを充填して全身のレーザーキャノン砲で◆制圧射撃!
エネルギー吸われるぅ♥



 ブゥゥゥン!と海上にエンジン音が鳴り響く。
 エンジンを噴かせているのは、一隻の水上ボートだ。小型のそれは一人の猟兵を乗せており、彼はまっすぐに青一色の海賊船へと向かっていた。

「アハ、スライムとかキモチよさそう♡」

 自由自在ベルトの悪魔の少年、マヒロ・ゾスティック(堕ちし快楽の淫魔忍・f31759)は、スライムの船を見て感嘆を漏らす。彼はボートのエンジンを停止させ、エンジンブレーキをかけながら軽機関銃を取り出す。
 "軽機関銃”と名ばかりのライトマシンガンだが、マヒロは気にせず制圧射撃を始めた。

「おらららっ!」

 ハイテンポな炸裂音と共に、マシンガンのシャワーを船体へ降らせる。片手間に"自由自在ベルト”を伸ばし鞭のように引っぱたきもするが、船体が少々えぐれただけで、ダメージはあまり入っていないように見えた。
 当然、そんなことをすれば船の主がマヒロに視線を向ける。
 船の乗組員であり、船そのものでもある『セイレーンもどき』たち。彼女らはえぐれた箇所からいくつもの上半身を生やし、一斉にスライムボディをボートまで伸ばした。

「お、これは」

 ボートを掴まれ、マヒロの体にもスライムボディが降りかかる。イソギンチャクが獲物を捕らえるように、マヒロと乗っていたボートは瞬く間にスライムに包まれ、船の中へと丸呑みにされた。

「あぁん全身をスライム攻めされるぅ!♡」

 一瞬のうちに体内に招待されたマヒロ。既に全身がスライムと密着し、服の中にまで入り込んでいる。口やあらぬ箇所まで入り込もうとする蠢く粘液に、マヒロは悦びの悲鳴を上げた。
 前後左右、どこへ行こうともスライムがまとわりつく。ぬじゅぬじゅと水音を立てて常に流動し、揉みこみマッサージをされるようだった。しかし『セイレーンもどき』がやっているこの行為は捕食であり、事実スライムが付着している箇所から生命力が吸い上げられている。力が抜け、意識が眠るようにとろけてゆくこの感覚を大半は快楽として実感する。マヒロもそれを堪能し──ようやく動き出す。

「んぐぼ……(さて、そろそろこっちの番だね)」

 共に取り込まれた水上ボート。そこに自身ごとベルトに包んでもらう。自由自在ベルトはスライムをかき分けて二つを結び、そしてドッキングを行う。『淫魔忍法・口寄せ吸収絡繰(インマニンポウ・クチヨセキュウシュウカラクリ)』の発動条件が揃った瞬間、マヒロを包むスライムがはじけ飛んだ。

 変身したのだ。下半身は水上ボートと融合し、上半身にはレーザーキャノン砲を装備したサイバティックなロボの姿へ。若干スライムを取り込んで水滴るイイロボットになっているが、もはや変身した彼の前に敵はいない。

「ぷは……♡いい、感じィッ!!」

 変身バンク中の相手に、攻撃は出せない。そんな法則が終わった瞬間、『セイレーンもどき』はもう一度マヒロをスライムの籠に捕らえようと動く。いくら変身したとはいえ、まだ彼は体内に収まっている。こちらが有利、のはずだった。
 上半身のみが回転し、装備されたレーザーキャノン砲の門が光る。極太の熱光線が放たれ、それは時計周りで『セイレーンもどき』を焼き払った。

 水蒸気爆発が起こる。高密度の水分に超高温のレーザーをまんべんなく浴びせたのだ。おかげで『セイレーンもどき』の船は爆散し、辺りにはハワイアンブルーにも似た甘い匂いが漂う。
 降りそそぐスライムだったもの。甘い蒸気の中を、一人のロボットが両腕を広げて歓喜した。

「あぁ、そんなぁ……けど最高ッ♡エネルギー吸わるのキモチいぃ♡」

 一瞬ではじけてしまった戦場に落胆するが、まるで敵の自爆を無傷で切り抜けたようなヒーローじみたシチュエーション。マヒロはスライムよりもガンガンにエネルギーを吸い取ってくるサイバーロボと共に、歓喜の絶頂を迎えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ

どうも私には苦手な場所だな
スライムは武装が剣故切れない…
なんて言えばシェル姉に溜息吐かれるのは必至だ
シェル姉……相棒の魔剣なら、例え相手が粘液でも問題ない

『常に武器は最高なの。勝敗はセリカ次第よ』
と、自信たっぷりな姉貴分だ
はいはい、シェル姉は常に最高ですよっと

足元がぷにぷにだと速度を生かしにくい
ここは、船へ飛び移る手段も含めて足場を別に作るしかないね

【蒼剣姫】でいこう
空中に魔力の壁を展開、それを飛び移り蹴り渡る事で相手の船へ
戦いの最中でも、脚を強く踏みしめなければならない局面では自分の足元に魔力壁を展開し、硬い地面を蹴るのと同じ状態を保つ
これなら、スライムだらけの戦場でもマシに動けるはず…!



 空中に魔力の壁を張り、それを飛び移り蹴り渡る。
 という戦法を取ったエルフのサイキックキャバリア、セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)だが、どうやら海の神はセーフ判定を下したらしい。阻害を受けることなく、真っ青な船の甲板に降り立った。

「っ、と──シェル姉」

 シェル姉、相棒の"魔剣シェルファ”に合図を送り、セフィリカは『蒼剣姫(ソードプリンセス)』となって『セイレーンもどき』に立ち向かう。蒼いオーラを身にまとい、魔剣シェルファの刃に魔力でコーティングがかけられる。

 スライムは武装が剣故に斬れない。液体の体である彼女らに、物理的な攻撃はあまり効かないのだ。
 しかし、そんなことを言えば親愛なる姉にため息を吐かれるのは必須。そもそも──この魔剣は常に最高の一品。斬れないものなど、無い。

「行くよ!」

 ぷにぷにの甲板を、彼女は固い地面を踏みしめるように跳躍。そのままマストを切り払った。断面には彼女が放つ魔力が塗りこまれ、結合を許すことなく裂く。
 『セイレーンもどき』は困惑する。自身の陣地にいるはずなのに、彼女に触れられないのだ。それもそのはず、彼女は先ほど使っていた移動手段を、そのまま戦闘に応用していた。

 靴の裏には魔力の壁を張っており、踏みしめる時には床バージョンの魔力壁を生成し足場にしている。おかげでスライムの甲板を踏むことなく戦闘ができる。さらに、剣には魔力のコーティングがあり、斬った断面にはそれが塗布される仕組みだ。
 スライムであるはずなのに、再生できない。普段なら生じない事態に、彼女らは慄き、祈る。

「はっ、せやぁッ!!」

 船室、船尾、舵輪と、船を解体するかのように剣を振るう。クレバスめいた断面が次々と真っ青な海賊船にでき始め、やがて船を構成する彼女らの一部が、ドロドロに溶けて死に始める。
 ここはもう十分だろう。一隻を沈めるほどのダメージを与えたセフィリカは、次の船へ移ろうと空中に魔力の壁を張る。そこに、

「……?雨……違う、これは」

 ポタポタと、何かが降ってくる。雨という割には、妙にねばっこい。それに甘い匂いがするのだ。”偽ソーダ水”、トロピカルな甘い味の雨が海域に降り注ぎ始めた。
 死ぬ寸前の彼女らのあまごいが、届いてしまったのだろう。

「うわ、まずいかも」

 慌てて自身の上にも魔力の壁を張り、振り向きざまに横凪を船体に放つ。傷だらけだった船にトドメが刺され、今度こそ船は自壊し始めた。グズグズに溶けてゆく角砂糖のように、海に沈む海賊船。その末路を見送る前に、彼女は次の船へと急ぐ。

「あーもう、濡れずに済むと思ったのに!いや、魔力で弾きながら行けるかな……ちょっとシェル姉?」

 壁を跳躍し渡りながら、海を駆ける。
 魔剣に濡れた服をどうにかできないかと頼むと、なぜかため息が返ってきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ
◎【アドリブ・連係歓迎】POW
何かシンパシーを感じちゃうね?
それはともかく、美味しそうだね☆

UC【膨張せし肉肉しい宇宙】で変身・巨大化!
巨大化しまくれば、海上でも問題なさそう!多分!
巨大化しまくってもどきちゃん達をぜーんぶ圧し潰しちゃおう!

勝利の暁にはスライム肉?で「料理」して「宴会」を開こうね!



「なんかシンパシーを感じちゃうね?」

 妙にボロボロな貨物船の甲板に、ラスボスの魔王、ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(ハラペコかわいいコックさん(可食・高栄養・美味)・f31483)はいた。
 シンパシーというのも、彼女の体は『セイレーンもどき』と同じく、スライムで構成されていた。綿密に言えばゲルだが、溶けかけであるという点は同じだ。まだ下半身がピンクゲルの鯨である彼女は、じゅるりと涎を啜る。

「それはともかく……美味しそうだね☆」

 瞬間、ラヴィラヴァの体は膨張を始めた。爆発でもしたかのような勢いでピンクゲルの鯨は姿を変え、体積を増やしてゆく。魚類にはないはずの四つ足を作り、錘状の頭を牛へと変え、肥えてゆく。
 牛だ。より正確に言うならば、”宇宙牛”。それは貨物船の半分を沈めるほど巨大化し、海の底にゲルの足を付ける。生食可能、高栄養、どこを食べてもおいしい牛の味──『膨張せし肉肉しい宇宙(ラ・エトワール・デ・ラ・ヴィアンド)』が姿を現した。

「そら行けー!」

 頭のてっぺん、変化せず残しておいた上半身が指示を送ると、宇宙牛はまたがっていた貨物船をバキバキと破壊しながら海を泳ぐ。否、海底を歩いて近くの一隻へと近づいてゆく。
 また破壊しやがった!!という門から届いた悲鳴は、聞こえなかったことにした。

 『セイレーンもどき』はというと、こんなの勝てるわけがないと、生き物として正しい判断を下していた。なにせあの宇宙牛、海賊船よりも大きい。サイズを比べるなら、宇宙牛の頭の大きさが、ちょうど作り上げた海賊船と同じサイズ。
 負けるビジョンしか見えなかった。

「どーん!」

 スライムの船は、不幸にもピンクゲルの宇宙牛に追突してしまう。
 さながら爆ぜる水風船のように海賊船は炸裂し、青い汁を宇宙牛にぶちまける。が、宇宙牛もまたスライムの一種。ハワイアンブルー味の返り血は表面から摂取され、宇宙牛に「おいしいもの」という認識を植え付けた。
 味を占めた牛は、もはや家畜として飼育された宇宙牛から、"闘牛”へと変貌する。

「おっ、おわわっ」

 ラヴィラヴァが制御するまでもなく、牛は海を荒立てながら次の獲物へと走りだした。草食が肉食へと進化した瞬間である。走って通り過ぎた時には海賊船は轢かれて、たまたま横にいた海賊船はというと、宇宙牛が生やした角に貫かれ、そのまま掃除機で吸われるように取り込まれていった。

「待ってよー、ちゃんと残して~」

 なお、本人はスライムで料理を味わおうとしていた模様。
 暴れた牛を止めなければ、食材が減ってしまうことに呑気に危惧していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・セシル


スライムさんはすごいです。本当になんでも作れるでしょうか?
そういえば、スライムも優れた錬金術素材みたいです。核が有ればを少しでも持ち帰りたいです。

まずは海上戦の足場を確保するためにバブルワンドで氷魔法のバブルを作り、バブルを乗って海上で移動します。

UCを使います。氷魔法と津波を合成し、スライムさんの艦隊を狙って氷の津波を放ちます。敵の行動を阻害します。
光の剣『レオナルソード』を召喚し、雷属性付かせます。接近戦を行います。【浄化】がありますので、行動妨害は効果無し……多分



 スライムの応用性は幅広い。そして優れた錬金術素材にもなる。
 それが、西洋妖怪の少女、神代・セシル(夜を日に継ぐ・f28562)のスライムに対する見解だ。
 生物的にも、魔法的にも、面白い存在と言えるだろう。なにせ体は液体で、その形状は自由自在。それでいて獣性を持っており、今回は"セイレーン”に扮することができるほどの力を持つ。

 できればサンプルをいくつか採って帰りたいものだ。そんな風に考えながら、セシルは氷魔法で薄膜の球体、バブルを作って海上を移動していた。氷のシャボン玉に彼女は乗り、ふよふよと海を流れる。

「接舷までもうすぐですね……では」

 スライムの船までもう少し。報告によれば、10メートルも近づけば『セイレーンもどき』の方からアプローチをかけてくる。さすがのセシルも、サンプルは欲しくとも自らスライムの体内を体験したいと思えるほど好奇心は狂っていない。
 シャボン玉の上で立ち上がり、一呼吸を置いて言の葉を紡ぐ。

 十八番である氷魔法と、海にまつわる代表的な災害、津波を融合し、イメージする。『Mastery of Nature(マスタリィ)』。属性と自然現象を合わせ具象化させるユーべルコードを、セシルはスライムの船に放った。

 ギィィィィ……!!と金属を引っかくような音とともに、彼女を中心に氷の牙が咲き乱れる。海上には一輪の巨大な花が咲き、それはスライムの船を巻き込んで花弁を増やしてゆく。
 もちろん、巻き込まれた船は極低温に晒され、パキパキと表面から凝固してゆく。スライムのためか若干凍結にムラがあったが、全てが凍り付くまでに彼女らに何かができるわけでもない。無情にも、氷の花と同化し死滅してゆく。

「……いいですね。これなら安全に対処できます」

 目の前の船は凍らせることができた。あとは、他にも巻き込まれた海賊船がないかと目線を配らせる。
 光の剣、"レオナルドソード”を手にした彼女は、少し離れた位置にある船を見つけて、歩いて近づく。ちょうどユーべルコードによる自然災害に巻き込まれたところらしい。表面が凍り付き、中も凝固し始めている。
 そこに、彼女は剣に雷属性を付与させ、おもむろに船の表面を切り裂いた。

 ぶしゅぅっ!と噴き出すスライム。中から、『セイレーンもどき』が我よ我よと逃げ出そうとしていたのだ。だが哀れなことに、最初に出てきたスライムは氷の床にへばりつき、そのまま凝固してゆく。次々出ていった彼女らも、次第に凍り付くだろう。

 その前に、とセシルは数本の試験管にスライムを採っていった。これだけあれば、何回か実験もできるだろう。彼女は十分な成果にほくそ笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オルヒディ・アーデルハイド

※絡み可

普段ならプリンセスナイトに変身すれば飛翔能力で飛び回れるのだけど…

いつでもフワリンで喚び出して
集団戦術で号令を出し陣形を組んでもらいそれを足場にして
ジャンプ&ダッシュで踏みつけて水上歩行で船に接近
魔力溜めてエネルギー充填をしてランスチャージで串刺し状態で
魔力を開放して爆撃し部位破壊

魚鱗の陣や鶴翼の陣など
その時の状況に合わせて陣形を組みなおし突撃

擬態に騙されて足を踏み込んでしまい捕食される
フワリン達がLの形に陣形を組んでいる


キト・デュフェル


僕は殆どの移動が翅での飛行だというのに…困りました
位置取りに難がある以上は
相手の船がこちらに近づいたタイミングで
直接乗り込むしか無いですね

それで、毒瓶をばらまきながら相手の攻撃を待ち、
合体のときに一緒に取り込まれます
ひぁっ…!服の中に入ってきてぞわぞわするっ…!
そ、そんなとこ入らないでっ…!

取り込まれたら
指定UCでNaCl(食塩)や
C3H3NaO2(給水ポリマー)を大量にバラ撒いて攻撃
スライムの身体なら脱水は効果が強いはずです…!

あとはこれを繰り返せば数を減らせるはず…!
…つまりはまたスライムに捕まるんですよね…
上手くタイミングを見つけて貨物船に戻れればいいんだけど…
体力と精神力もつかなぁ…


ミラン・アレイ
◎アドリブ、連携歓迎!
スライム娘ちゃんにスライムの船……まあなんとかなる!たぶん!

というわけで、船に飛び乗って船を何とかするんだよー。
不安定な足場に七転八倒で身体中ぬるぬるまみれに!ベッタベタだよもうー!
って、スライム船から伸びた触手に体中絡め捕られて、中にずぶずぶ沈んでいくんだけどー?!
スライム娘ちゃんからの攻撃はオーラ防御でなんとか防ごうとするね!
船の中心近くまで沈められたところで、雷霆剣を抜き放ってのUC雷迅剣でスライム娘ちゃんと船をすぱっと輪切りにして沈めようと最後のあがき!
これでダメならスライムまみれでノックアウト……!



 この海域は飛行や転移が阻害されており、もしそれを行おうとすれば、海の神が怒り同士ハヴォックを降ろすことになるだろう。
 というわけで、飛行が主な行動手段であるキト・デュフェル(秘薬使いのフェアリー・f31699)は内心焦っていた。フェアリーの少年である彼は、普段の移動を背中の羽に任せている。むしろ、フェアリーのほとんどがそうだろう。しかしそれらが阻害されるとなれば、もうどうやって移動すればいいんだ、という状況である。

「あのー……」

 そうして彼が思いついたのは、他の猟兵の肩に乗るという手段だった。
 同い年かそれに近い年齢の少年を見かけ、キトは勇気を振り絞ってその少年、オウガブラッドのオルヒディ・アーデルハイド(アリス適合者のプリンセスナイト・f19667)に話しかけた。

「なに?」
「すみません、肩に乗せてくれませんか……?」
「あ、うん。ボクでよければ」

 オルヒディは彼の事情を察したのか、すぐに快諾した。
 彼の使役するオウガ?である"フワリン”の二体を集め、それを元にユーべルコードで数を増やしてゆく。『いつでもフワリン』。フワリンが目の前で量産されていき、その数は88体と多い。

「よし。整列、あの船まで道を作って!接舷まではしなくていいから!」
「待ってくださーい!」

 フワリンに指示を出している彼に、もう一人の猟兵が合流する。竜神の少女、ミラン・アレイ(ドラゴンガール・f29182)だ。
 キトと同じ理由で便乗しに来たのだろう。

「わたしもそれ、乗っていいかな?」
「んー……いいよ。多分大丈夫」

 さらに指示を煽がれ、近くの船まで整列してゆくフワリンたち。彼らもまた飛行生物だが、皆海に浸かって上半身だけを晒す。その光景は稲葉の白兎に出てきた、サメの足場のよう。
 準備が整ったのだろう、従属している二体のフワリンが鳴いた。
 キトはオルヒディの肩に乗り、ミランはそれに続いてフワリンを足場に跳ぶ。

「ボクが槍で一撃を与えるから、それに続いて攻撃をお願い!」
「は、はいっ!」
「わかったよー!」

 リズミカルにフワリンの上を蹴り、ついにスライムの船へと近づく。
 宣言通り、オルヒディは白銀の槍、"ホフヌングランツェ”を顕現させる。予め溜めていた魔力を充填、それをエンジンに槍を投擲した。

「せァッ!!」

 華奢な体からは想像できないような速度の槍が、船底近く突き刺さり、余波でボゴォンッ!!と大きくえぐる。ぼっかりと空いた穴から、船の中へと侵入可能となった今、オルヒディは勇ましく二人に指示を送る。

「ボクはこのまま外から戦う!キミたちは!?」
「僕もっ、外から!」
「じゃあわたしは、入らせてもらおうかな!」

 遠く離れたフワリンを呼び戻しつつ、オルヒディはフワリンたちの陣形を変えて別のフワリンへ飛び移る。
 ここで、ミランは二人とは別行動になった。オルヒディが空けた船の穴へと入り、戦いに行く。

 ──と豪語したミランだが、彼女は船の上でどう戦うか、ノープランだった。

「わっ、わわっ!」

 スライムの床に、揺れる足場。ぷにぷにと不安定な環境に、ミランはバランスをとろうとするのが精いっぱいだった。倒れるか倒れないか、一歩も歩けない状況。それでもと一歩踏み出そうとすると、ミランはすっころんで尻もちをついた。

「きゃっ!うわーぬるぬるするー……にぎゃっ!?」

 ねっとりと体に付着するスライム。妙に甘ったるい匂いがし、生ぬるくへばりつくそれに嫌気感を覚える暇はなかった。起き上がろうとしたときには、ミランは三体ほどの『セイレーンもどき』に囲まれ、そしてべちゃっとサンドイッチされたのだ。
 手か足かもわからない硬めのスライムがミランの体にへばりつき、そのまま全身を拘束されてスライムの中へと沈められる。この時彼女の視界は塞がれて分からなかったが、オルヒディが空けた穴が再生を始め、閉じ込められようとしていた。

「むが、んん……!(やだっ、このままじゃ……!)」

 その頃、オルヒディとキトは別所で船そのものに攻撃をしていた。
 魚鱗の陣、鶴翼の陣とフワリンの陣形を何度も組みなおしては、船に槍を使って強烈な突きを与える。魔力を乗せた一撃は、確かにダメージを与えていた。しかし、スライムの船はまだ自壊するほど体力を減らせていない。
 キトもまた毒薬の入った瓶を投げ、支援をしていた。酸毒は着実にスライムの船に沁みを作り、構成している『セイレーンもどき』を一体ずつ減らしていっていた。
 だが、融合した『セイレーンもどき』をどれほど落とせているのか、わからない状況だった。

「っ、拉致があかない……!」

 オルヒディの焦りが、肩に乗っているキトにも伝わってくる。『セイレーンもどき』の再生能力は想像以上で、何度穴をあけてもみるみるうちに修復されていっているのだ。とても、有効打を突いているように見えない。

 彼はフワリンにもう一度指示を送り、陣形の変更を促す。
 場所を変えてもう一度、そう考えながらフワリンに乗った──つもりだった。ぐにゅん、と明らかに違うものを踏んだ感触がし、思わず彼は下に目を向ける。

「──んな!?」
「あっ!?」

 フワリンの陣の間に、ちょうど『セイレーンもどき』の一体が鎮座していたのだ。スライムの少女はしっかりとオルヒディの足を掴んでおり、船はオルヒディとキトを呑み込まんと顔を近づけていた。
 そして、襲い掛かる。飛び出した『セイレーンもどき』らが一斉に二人の少年に抱き着き、船の中へと丸呑みにした。

「しまっ、んぅ!」
「まって──ひぁっ!」

 オルヒディは『セイレーンもどき』の手を口に突っ込まれ、そのまま全身を沈められてゆく。キトは両手でキャッチされ、スライムの舌を服と体の間に入れられた。

「ぁ、そ、そんなとこ入らないでっ……!」

 肌に直接、スライム特有のぬるぬるとした感触が伝わる。キャンディでも舐めるように舌は体をなぞり、ねっとりと青い粘液をまぶし、彼の体を甘く溶かしてゆく。顔だけでなく足先まで彼女に味見され、キトの体はぞわぞわと震えあがった。
 このままでは船だけでなく、『セイレーンもどき』にも丸呑みにされてしまう。

「ん、んぅ……ふ、ぐ……」

 一方でオルヒディも無理やり飲まされたスライムに、意識が溶かされようとしていた。ハワイアンブルーめいたトロピカルな味。それがどうにも心地よく、ふんわりと敵意識を薄れさせてゆく。
 体のあちこちに『セイレーンもどき』が抱き着き、絡みついて離さない。大切なものが手や舌で拭われていき、スライムのようにとろとろにされてゆく感覚。体はそれに身を委ねつつあるが、彼の理性と意識はまだ残っていた。ここで落ちたら、確実に戻れなくなるとわかっていたからだ。

 しかしこの状況、あまりにもどうしようもない。抵抗できず、意志があってもままならない。文字通り沈んでしまいそうになった時、ビリ──と音がした。

「雷刃よ疾れ──!!」

 オルヒディに絡みついた『セイレーンもどき』たちが、キトの体を呑み込もうとしていた者が、一斉に紫電の刃でかき消された。蒸発し、力を失って自壊するスライムども。

 状況を切り拓いたのは、先に内部に入ったミランだった。『雷迅剣』をチャージ状態にして立っていた彼女の体は、スライムまみれでびしょびしょだった。

「ぷはっ!は、ぁ……はぁ……っ」
「ぁ……う、た……助かりました……」
「危なかったー!もう、触手が凄くて……そんなことより!」

 しかしそれは少年二人も同じ。ミランがどうにか作ったチャンスに、キトはすぐさまユーべルコードを発動する。スライムへの有効打として、"薬品”を召喚する。『秘薬妖精の現地調合』。体で実感したスライムに対し、彼が用意したものは──食塩と吸水ポリマーの粉末だった。

「仕返し、にっ!」

 キトがばら撒いた食塩と給水ポリマーの粉末。それらはスライムの床に降りかかり……ジュッ、と音を立てただけで終わった。

「……えっ」

 床に染み込んだ粉末は瞬く間に凝固し、水分を失って渇いてゆく。しかしそれを別のスライムがすぐに覆い、乾燥したスライムを取り込んでダメージを無かったことにした。
 脱水効果を狙ったキト。確かにそれは有効的だったが、あることに気づく。──量が、致命的に足りない。

「ちょっ、ど、どうしよう!?」
「おおお落ち着いて!?まだわたしがいるから!」
「そっそうだ!さっきの毒を使えばいいだろ!?」
「中で使ったらこっちにもかかっちゃうよ!……あ」

 三人が気づいた時には、もう遅かった。美味しそうな餌を見つけた『セイレーンもどき』。それらは皆我よ我よと味見したいがために飛びつき──またスライムの中へと沈んでいった。

 やがてその船が沈み、戦いに疲弊した三人が貨物船だったものへと帰ってきた頃には、日が暮れていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ベルカ・スノードロップ


水上歩行、地形の利用、足場習熟で海上移動
必要に応じて属性攻撃を応用した、地属性魔法や
冷気属性の魔法で海面を凍結させたりして、足場を作ることで
海上での戦闘を有利に運ぶように動きます

多重詠唱、無酸素詠唱、高速詠唱しつつ敵に近づきます
敵の動きは、視力で見切りつつ、野生の勘と瞬間思考力と戦闘知識・世界知識を用いて先読みします

充分に近づいて《指定UC》を零距離射撃
スライムボディへの対応は、鎧無視攻撃で攻撃効果を通します
敵を凍らせてしまいましょう

敵UCによる環境変化は、環境耐性で臨機応変に対応します



 パキン、パキン……。
 何かが固まり、砕ける音が強風と共に流れてゆく。そういえば、こんな音を"同胞”が聞いたような。それを思い出そうとするが、半端な獣性である『セイレーンもどき』が、それを思い出すことはなかった。

 だが、何者かが近づいてきていることだけは、理解できた。

「~♪」

 鼻歌を弾みながら、海を歩くダンピールの青年、ベルカ・スノードロップ(少女を救済せし夜の王【中将】・f10622)はまっすぐにスライムの船に近づいていた。足元には氷の結晶模様ができており、海を凍らせて歩いてきたのだとわかる。
 もうすぐ射程内だ。『セイレーンもどき』は船から顔を出し、青年を捉える。

「~……──」

 ベルカが何かを唱え始めた。口の動きが早く、妙にブレているように見える。それほど素早く詠唱した彼は、近づきながら両手をこちらに向ける。
 今だ。『セイレーンもどき』は自在な体を伸ばし、ベルカを体内へと誘わんとした。

「──かかった」

 ぴたり、とスライムの手とベルカの手が触れた瞬間、伸びたスライムにから船に向かって、ー196℃の冷気が放たれた。ドラゴンの吐息にも似た威力と凄まじさを伴い、スライムは瞬く間に凍り付く。
 『永久の氷河(トコシエニヒロガルゼッタイレイドノセカイ)』。ベルカが放ったユーべルコードだ。船の半分が凍り付くほどの冷気が『セイレーンもどき』たちに襲い、やがて船を保つほどの同胞が凍死したのか、スライムの船が溶けて沈み始める。

「ふー、これで一隻ですね」

 凍り付いた箇所は分離し、そのまま海に流れてゆく。それを一息つきながら、ベルカは見届けた。
 着実な一撃に、遠くで見ていた同胞はようやく思い出す。氷、そうだ。氷でたくさん死んだ。ついでに牛。

 となれば、同胞の行動は早かった。ぽたぽたと降り注ぐ粘った水。ベルカは何事かと上を見上げ、口に入った味で理解する。スライムの雨が降ってきた、と。
 しかしベルカが気にすることはなかった。海がスライムの薄皮で覆われようとも、体に降り注いで不快感をもたらそうとも、関係ない。とろける甘いシャワーだと思いながら、また海を凍らせて進む。

「分かりやすくてちょうどいいですね。次は──」

 パキン、パキン……。
 戦場をスライムの海に変えても、音が鳴りやむことがない。『セイレーンもどき』にとっての、死の音が近づいてくる。
 死を感じ取る時は常に、猟兵たちは楽しそうな顔をしているのだ。

「凍らせられてないモノは、ほとんど無いですよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】

よく浮いてられるな、アレ。
っていうかそもそも乗れるのか?

とはいえ、俺は水上を歩けないからシャーリーと一緒に敵船(?)に飛び乗って船上戦を挑む。
【足場習熟】で足場を確保し、シャーリーと互いの死角をカバーし合いながらセイレーンもどきの奇襲に備える。
発見次第【飢龍炎牙】で焼き払い、シャーリーが襲われそうになったら鉄鍋の【盾受け】で【かばう】。そして【カウンター】で炎の【属性攻撃】を付与した大包丁の【二回攻撃】で薙ぎ払う。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
最初に確認だけどさ
このスライムって服溶かしたりしないよね?

YESでもNOでも、食べられなければどうという事はないよねっ(←フラグ)
覚悟を決めて【船上戦】を挑む
ウィーリィくんとお互いをフォローし合いながら敵の襲撃に備え、周りに紛れて襲いかかる敵を【見切り】、離れた敵は【クイックドロウ】で熱線をお見舞いして近くの敵はフォースカトラスの【二回攻撃】で切り裂く
偽ソーダ水の雨を降らせたら【水上歩行】でスライムに適応する
そしてウィーリィくんと手分けして【ワールド・タイフーン】で周りの敵を一気に片付ける!
ところで服、溶けないよね?(念押し)





 今更だが、スライムの船と言われると、一つの疑問が浮かぶ。
 「どうやって浮いているのだろう」という疑問。ついでに乗れるのか。後者の答えは先行した猟兵たちが出しているが、前者についでは今だに解明されていない。

 というわけで、スライムの甲板に立つ人間の少年、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)と、スペースノイドの少女、シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)は『セイレーンもどき』とその船に船上戦を挑むことになったのである。

「服、溶かしたりしないよね?」
「しないらしい、がッ!」

 ウィーリィは龍の姿の紅蓮の炎を放つユーべルコード、『飢龍炎牙(グリード・ブレイズ)』で襲い掛かる『セイレーンもどき』を焼き払い、シャーリーは愛用のマスケット銃である、"シューティングスター”を使い遠くからの敵を狙撃する。
 ぷにぷにの甲板の上に居ながらも、ウィーリィは足場の感触をすぐに理解し適応していた。

「っと、させねぇよ!」

 一方で、シャーリーはその場で片膝をついて、そもそも動かないようにしていた。予めバランスを取らなくてもよい姿勢であれば、足場を習熟する必要はない。が、それは狙われやすくなるというリスクが付き物だ。
 当然、『セイレーンもどき』はシャーリーの背後を取って抱き着こうとする。ウィーリィは”戦闘用鉄鍋”を手にし、素早く背後に回ってそれを防御。押し返して『飢龍炎牙』を纏わせ焼き殺し、追加で来たものには”天霊大包丁”を素早く振るいけん制をする。

 彼女が奇襲の対処をウィーリィに任せているのは、一重に二人の信頼の証だ。事実、シャーリーが狙撃した『セイレーンもどき』は彼を狙って攻撃しようとしていたものであり、二人の華麗な戦いが、船上ならぬ戦場を有利に制していた。

「……ん?降ってきた!」
「うげっ、頼む!」

 『セイレーンもどき』が雨ごいを始めたのだろう。とろける甘い雨が降り始め、船の上だけでなく、海もスライムに覆われ変化してゆく。二人は瞬く間にスライムに濡れ、甘ったるい匂いに包まれてゆく。

「さぁ、世界サメ大戦の勃発だよ!」

 しかしこれをシャーリーは対策済み。
 『ワールド・タイフーン』を発動し、シャーリーは自身を中心にサメ型のエネルギーの刃を生成する。光学的なエネルギーで作られたホオジロザメは自ら横に回転を始め、甲板上を埋め尽くす。
 ウィーリィは大包丁と、もう一つ"三昧真火刀”を抜刀し、ユーべルコードの代わりに包丁そのものに火属性を纏わせた。

「いっけぇ!!」

 無数のエネルギーの刃と、ウィーリィが動き出す。甲板から顔を出した『セイレーンもどき』たちは一斉に刃の餌食となり、液体の半身を削られ、切り裂かれてゆく。
 さながら小規模の台風。しかしその数が無数となれば、『セイレーンもどき』たちにとっては大きな災害だ。たまに混じる火属性の刃がトドメを刺しにくるのも、彼女らに恐ろしいと感じさせた。

「よし、どうよ!」

 嵐が過ぎ去った船の上からは、『セイレーンもどき』は消えていた。シャーリーが制圧、ウィーリィが殲滅を行ったことで、敵は綺麗さっぱり掃討できたのだ。
 これも二人の力によるものである。

 ──話は最初に戻るが、なぜ船は浮いているのか。その疑問は、『セイレーンもどき』の肉体であるスライムに秘密があった。

「ふー……びちょびちょだな。早く乾かさないと」
「……ところで服、溶けないよね?」
「だから溶けねぇって……ん?」

 がっしりと、二人の足を掴む何かがあった。
 足元を見ると、『セイレーンもどき』が顔を出し、両腕でしがみついていたのだ。

 『セイレーンもどき』のスライムは、精確にはアメーバ状の細胞の集合体。ようするに、水でありながら水ではない。"生き物”なのだ。そのおかげか、『セイレーンもどき』と海水は、さながら水と油の関係。交じりはするが、混ざることのない水性の物体でもあった。
 そんな"生き物”は、餌を求めていた。都合のいい生命力の塊──特に猟兵は、その代表例だ。

 二人は確かに『セイレーンもどき』たちを薙ぎ払い、殲滅した。が、まだ船として残っていた『セイレーンもどき』は殲滅していない。
 ようするに、手のひらで踊っていたのである。

「おっごぼぉっ!?」
「ウィーリィく、んぅ……!」

 スライムの船に二名様ご案内。終わった頃には、夕方になっているだろう。
 ついでに服は溶かす必要がなかったのか、無事ではあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アリス・セカンドカラー
◎汝が為したいように為すがよい。

結界術で足場フィールドを展開し、表面効果で揚力を得て海面の上をホバー移動(空中浮遊)で滑走するわ。
ふむふむ、捕食ね。うかつに私を取り込むなんて☆ワンダーデモニックナイトメアで逆に内側から侵蝕してあげる♡
ま、侵蝕してる間は弄びを堪能しましょう♪
結界術でセイレーンもどきの“定義”を書き換え私の“理(ルール)”で支配するわよ☆ふふ、今度はこちらの番ね♪楽しませてくれたお礼に気持ちよーく逝かせてあげる♡情熱の炎でじっくりコトコト料理してエネルギー充填でエナジーを捕食し、その快楽で蹂躙してあげる♪
ふふ、魂を略奪されるのとーっても気持ちいいでしょ♡



 最後にこの海域に訪れた猟兵、ダンピールの少女、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)は、船上に赴いて自ら丸呑みされていた。
 すんなりと食えた獲物に困惑する『セイレーンもどき』だが、これをチャンスにと体内に押し込む。

「んぅんぅ(ふむふむ)」

 手足は動かすことができず、体はスライムの女体にもみくちゃにされ、口や服の裏といったところへスライムが流れ込み蹂躙する。
 これが『セイレーンもどき』の食べ方か。と一人で納得しながら、アリスは溶けてゆく理性に身を委ねていた。このまま溶かされ、栄養となるのも乙だろう。しかし、それでは物足りない。
 そう、まだこちら側から味わっていないのだ。

「んふん……ぐ♡」

 手足が動かせずとも、口を塞がれようとも、関係ない。アリスは一つのユーべルコードを起動する。
 瞬間、海域全体がわずか一瞬だけ、ネガ反転した。
 ほんの一瞬のことに、アリス弄んでいた『セイレーンもどき』はぴたっと動きを止める。だが何事も起きていない。不思議に思いつつも、アリスから生命力の摂取を続行しようとしていた。

 ここで、ようやく『セイレーンもどき』の一匹が気づく。アリスに触れている箇所が、妙に色が違う。ハワイアンブルーカラーのはずが、ケミカルなピンク色へと変色しているのだ。それはじわじわと侵蝕するように広がり、やがて『セイレーンもどき』の一匹が完全にピンク色へと変わった。
 瞳はとろんと蕩けて♡を浮かべ、カクカクと体を震わせて口を開く。まるで毒でも食べたかのような反応に、困惑していた一匹が事態の深刻さにようやく気づいた。

「ぷぁ……ふふ♡もう、遅いわ」

 目を向ければ、アリスの周りにいる同胞は、皆ピンク色に染まっていた。先ほどまでアリスを貪っていた連中は、命乞いをするように下半身にしがみついており、口から栄養摂取をしていたものは愛人を抱きしめ頬ずりをしていた。
 逆転している。食う側から、食われる側へ。

「実はね、侵蝕していないのあなただけなの」

 『セイレーンもどき』は気づく。上も下も、右も左も、前も後ろも、いつの間にかピンク色だ。皆ピンク色で、アリスに跪き、アリスの"モノ”になっている。なのに自身だけが取り残されていた。まだ青い、偽ソーダ水でできた体で。

「最初は素の味から楽しむ──それがマナーだもの。ねぇ♡」

 そもそもおかしかったのだ。自ら食われに行く猟兵は、今まで一人もいなかった。にもかかわらずだ。この少女だけは違う。否、この悪魔だけは。
 ──『不可思議なる真なる『夜』の領域(ワンダーデモニックナイトメア)』は、自らやってきた。
 同胞たちが一丸となって作り上げた体内は、もはや彼女の胎内と化してしまっていた。

「逃がさないし、タダで浸食もさせない」

 ガシリと、腕を掴まれる。

「私を堪能した分だけ、私も堪能させなさい」

 股に片足を挟ませ、顔を近づけて体を重ねてくる。

「大丈夫。お礼に気持ちよーく……逝かせてあげる♡」

 最後に映った彼女の瞳には、熱烈な淫欲が宿っていた。

 ──夕暮れから夜まで。ピンク色に染まったスライムの船は、自壊することなく海を漂い続けた。

 その間に、他の『セイレーンもどき』はついに侵攻を諦め、引き返してゆく。多くの数の同胞が葬られたことで、これ以上は無理だと判断したのだろう。コンキスタドールの撤退は早かった。
 海域は守られ、門である渦潮に迫る魔の手は、猟兵の根強い防衛により引いて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月10日


挿絵イラスト