羅針盤戦争〜美味しい料理を召し上がれ!
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『うんうん、やっぱり争うのなんてよくないね。美味しい料理を食べて仲良くしよう!』
ぐるぐる大鍋をかき混ぜているのは、『『災厄になれなかった魔女』ニュンペー』。
彼女が扱っているその大鍋は、『魔女の大鍋』というメガリス。
美味しい料理を誰でも作れるという優れもの。これがなければニュンペーの手料理は壊滅的で――。
『う~ん、なんか誰かに侮辱された気がするぞ?』
気のせいかな? と首を傾げると、ニュンペーはそのあたりにあった食材を掴んで、大鍋のなかへぽぽい。また、ぐるぐるぐるとかき混ぜる。
『戦わずに勝つなんて、わたしってばなあんて賢いんだろう!』
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「さて、人助けならぬ海賊助けに行ってほしいのだけれど! いいかしら?」
グリモアベースに集まった猟兵たちをぐるりと見回して、メール・ラメール(砂糖と香辛料・f05874)がそう告げる。
「ただのコンキスタドールだったら地元の海賊だけでどうにかなったと思うんだけどネー、今回はちょっと事情がありまして」
どうやらそのコンキスタドール、『『災厄になれなかった魔女』ニュンペー』は七大海嘯の息が掛かっていて、ただのコンキスタドールより強力らしい。
つまり、海賊たちと協力して倒せばいいのか、と聞けば。メールはふるりと首を振って。
「……美味しそうな料理で誘惑してくるから、打ち勝って」
うん?
「美味しい料理を振舞って、戦う気をなくして戦力を削ぐつもりみたい。……ニュンペー自体の戦力は、もともと、そんなに、ない」
つまり。
「……既に料理の虜になっている海賊たちがいるということです。目を覚ましてあげて」
あー、はいはいはい。またそういう。
「がんばれ!」
言いながら、メールはグリモアをくるりと回す。グリモアがちかちかと光って、グリードオーシャンへの道が開いた。
戦争に行く雰囲気じゃないのは、なんでなんだろうなあ。
あまのいろは
あまのいろはです。お見舞いするぞ。
こちらは、羅針盤戦争の戦争シナリオです。
地元の海賊たちと協力して、強力なコンキスタドールを撃破してください。
真面目よりもコメディ寄りです。またです。
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プレイングボーナス:海賊達と協力する。
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公開され次第プレイングを受付致します。
タグに『#プレイング受付中』とある間は受付しております。
成功度に届き次第、プレイング受付を締め切る予定です。よろしくお願い致します。
第1章 ボス戦
『『災厄になれなかった魔女』ニュンペー』
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POW : はは、失敗作だから無理に食べなくて良いよ
【周囲に気まずい空気が漂うほど下手な手料理】を給仕している間、戦場にいる周囲に気まずい空気が漂うほど下手な手料理を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
SPD : それじゃあ、甘いケーキはどうかな?
【此処から去って欲しくないと言う切ない思い】を籠めた【鍋型メガリス『魔女の大鍋』によるケーキ】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【闘争心や冒険心、何より故郷への郷愁】のみを攻撃する。
WIZ : ささ、遠慮なくキュケオーンをお食べ?
【鍋型メガリス『魔女の大鍋』による麦粥】を披露した指定の全対象に【使用者と一緒に毎日食べ続けたいと言う強い】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:キイル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「黒玻璃・ミコ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ジェムス・ゴールドシップ
なるほど料理で戦力を削ぐタイプ…惜しい、実に惜しい
君(この場合オブリビオン)がまだ存命であったならばこの料理だけで荒稼ぎできたというものを
そうであったならば我が商会で雇用していたであろう
でもオブリビオンだから倒す。悲しいが仕方あるまい
海賊たちの協力を得るためにラスボス変身を行い威圧感のある姿に変えたのちに一言
飯を食いながらでも構わんから聞け、その飯をもっとうまくするためにもあの魔女を倒すために思う存分飯を食うのだ。あの魔女が忙しすぎて根を上げるほどに
要するに物理的に倒すとは別方向のアプローチで相手を疲弊させるのが狙い
隙ができたら攻撃を叩き込むだけ
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『はは、失敗作だから無理に食べなくて良いよ。こちらの料理をお食べよ、美味しいよ』
海賊たちに囲まれて、『『災厄になれなかった魔女』ニュンペー』は手元の大鍋をぐるりと混ぜる。
暫くして、メガリス『魔女の大鍋』で作られたケーキがぽぽんと飛び出せば、料理の虜になっている海賊たちが我先にと飛びついた。
「なるほど料理で戦力を削ぐタイプ……。惜しい、実に惜しい」
そんな様子を見て、ジェムス・ゴールドシップ(経済界のラスボス(多分)・f32116)はぽつりと呟く。
材料は問わず、大鍋のなかからいくらでも出てくる美味しい料理。
こんな時でも、ジェムスの脳内では算盤がぱちぱち。だって彼は冒険商人だから。
――君がオブリビオンでなければ、この料理だけで荒稼ぎできたというものを。まずは我が商会で雇用して、価格設定は――……。
でも、ニュンペーはオブリビオンであるから。雇用することは出来ず、倒さねばならないのだ。
「悲しいが仕方あるまい」
溜息ひとつ。ジェムスは料理を貪り続ける海賊たちのもとへ現れると、ユーベルコード、ラスボス変身で姿を変えた。
高い身長はより高く。ひとから逸脱したその姿は、より異形のものへ。
そんな生き物が急に目の前に現れたものだから、海賊たちも思わず料理から目を離さざるを得ない。
「飯を食いながらでも構わんから聞け」
ジェムスが言葉を発すれば、海賊たちがひょっと震え上がる。
海賊たちの反応も無理もない。ひとすら食いそうな生き物が自分たちに声を掛けてきたのだから。
ジェムスはやれやれといった様子で言葉を続ける。
「存分に飯を食え」
『えっ?』
「その飯をもっとうまくするためにも、思う存分飯を食うのだ」
あの魔女を倒すためにも、あの魔女が忙しすぎて根を上げるほどに。――それは心のなかだけで呟いて。
ジェムスの言葉を聞いた海賊たちは、次から次へと料理を掻き込み始めた。
海賊たちが料理を掻き込み始めた理由は、ジェムスの言葉に同意したわけではなくて命の危険を感じたからなのだけれど。
(ふむ、効果があったようで何よりだ。隙が出来たら攻撃を叩き込めばいい)
ジェムスはそれには気付かない。だって、なんだかんだでいい子だから。
ちらり、ニュンペーを見る。ご機嫌な彼女の大鍋は、まだまだ料理を振舞うことをやめそうにない。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
自分に催眠術をかけていきます。
ここの料理は全部くそまずい、と。
戦闘終了後まで続くように。
ヘルメットかぶって口にオーラ防御展開。
麦粥は恋人の麦粥が一番美味しいので食べたくありません。
開幕無言でUC発動。
えーとあれだ、海賊団さん。こんな臭いところにいたいですか?
ここにいたら延々メシマズの悲劇を食らいますよ。
いやですよね? いやなら逃げましょう。
出口はあちらでございます。
(魔女の大鍋に近くのツキヨタケやドクツルタケを念動力で放り込みつつ)
私は食べないよその大鍋の料理は!
だって君が味見もしてない料理なんて食べられるわけないじゃない!
味見しなさいよ! 味見!
ほら、ほら、ほらあ!
(めそらし)
臥龍岡・群青
確かに料理は美味そうだが、海賊が魔女に骨抜きにされるなんて恥ずかしくないのか!
とりあえず海賊達から無理やり皿を奪うぞ
そして頬をぺちぺちしてやる!
馬鹿野郎!目を覚まさんか!
この麦粥は食べたものを魔女の元に縛り付ける力があるのだな
確かに愛らしい魔女と美味いものを食べて暮らす生活は楽しいかもしれぬ
だが……それなら何故お前は海賊になった?
何かやりたいことがあったのだろう
ワクワクする心を捨ててしまって何が海賊だ
今の海は荒れている
だからこそ冒険に出る意味があるのだろう!
他人を誑かす悪い魔女も退治してやらんとな
わしも世界を冒険したい、貴様なんぞに囚われるつもりもない
UCで拘束し、わしの身体で引き裂いてやる!
●
そうだ、自分に催眠術掛けよう。
鈴木・志乃(ブラック・f12101)が思いついたのは、敵も味方もびっくりな作戦である。
ここの料理は全部くそまずい。麦粥は恋人の麦粥が一番美味しいので食べたくありません。
頭にヘルメットを被って口にオーラ防御も展開。……ヨシ!!
志乃は無言でユーベルコードを発動。――あの日味わった惨状を私は忘れない。
「地獄を見ろ」
そうして現れたのは、なんの変哲もないキッチン、――を構えた迷宮。志乃はそのなかにニュンペーと海賊たちを纏めて閉じ込めた。
どんがんがっしゃん。ぷしゅーぷしゅー。ぴこぴこぴー。
キッチンにしては不穏なおとを響かせながら、次々と作り出される料理。それになんだか異臭がして――。
『ぎゃあああああああ!?』
――……なんだか悲鳴が聞こえた、ような。気のせいかな。気のせいだといいな。
でも悲しいことに、気のせいじゃないのである。
志乃は倒れていた海賊のひとりを見つけると、そっと寄り添って。
「えーとあれだ、海賊団さん。こんな臭いところにいたいですか? ここにいたら延々メシマズの悲劇を食らいますよ」
メガリス『魔女の大鍋』が美味しい料理を無限に作り出すものなら、この迷宮は失敗した料理を無限に作り出す空間。
しかも、食べさせてくる。本人の意思を無視して。――なにそれこわい。
「いやですよね? いやなら逃げましょう。出口はあちらでございます」
そう言って優しく声を掛ける志乃の手にも、失敗料理が握られているものだから。
『やっ、やめてくれええええ!?』
海賊たちは出口へと一目散に走り出す。――おやまあ、これじゃ私が無理矢理食べさせようとしているみたいじゃないですか。いやですね。
『麦粥……。麦粥、を……』
命からがら(?)迷宮から逃げだした海賊たちが求めるのは、ニュンペーの作る麦粥。
失敗料理をめいっぱい食べさせられたのだから、魔女の料理を求めてしまうのも無理はない。
けれど、そんな海賊たちの前に臥龍岡・群青(狂瀾怒濤・f30803)が立ち塞がった。
「こら!」
金魚のような尾びれをひらひら揺らしながら、群青は海賊たちの元へ近付くと彼らが手にしていた麦粥の皿をばっと奪い取った。
「確かに料理は美味そうだが、海賊が魔女に骨抜きにされるなんて恥ずかしくないのか!」
そのまま群青は、海賊たちの頬をぺちぺちぺちぺち。突然の出来事に、海賊たちは目を白黒させる。
「馬鹿野郎! 目を覚まさんか!」
叱咤の言葉に冷静さを取り戻した海賊たちは、料理を求めることを止め彼女の顔を見た。
「――……この麦粥は食べたものを魔女の元に縛り付ける力があるのだな」
群青はすぅっと息を吸い込む。彼女は吸い込まれそうな青い瞳で海賊たちを睨め付けると。
「何故お前たちは海賊になった?」
自分を見詰める海賊たちに、問うた。
確かに愛らしい魔女と美味いものを食べて暮らす生活は楽しいかもしれぬ。
だが……、……それなら何故お前は海賊になった?
何かやりたいことがあったのだろう、ワクワクする冒険がしたかったのだろう。
「その心を捨ててしまって何が海賊だ!」
こんなもの、と群青が皿を地面に叩きつける。
がちゃんと派手なおとを立てて皿が割れ、中身の麦粥が零れたけれど、海賊たちの視線は群青に向けられていて。地面に落ちたそれに手を伸ばそうとする者はいなかった。
「……今の海は荒れている、だからこそ冒険に出る意味があるのだろう!」
それでも目を覚まさぬなら、と海賊たちの頬をもう一度張ろうとした群青の手を止めたのは、ニュンペーだった。
『いけない子だねぇ、わたしの料理を粗末にするなんて!』
なんとか迷宮を抜け出したニュンペーは、地面に落ちた皿を見て群青をきろりと睨む。
群青は掴まれた手を振り払うと、負けじとニュンペーを睨み返した。
「わしも世界を冒険したい、貴様なんぞに囚われるつもりもない」
『そんなこと言わないでおくれよ、きみも一口食べれば分かるさ』
止める間もないほど作り出せばいいと言わんばかりに、ぽぽぽんと現れる料理の数々。
口を開けてごらん、とニュンペーが嗤う。避けきれないかもしれない、と群青が思ったそのとき。
「それ、味見したの?」
背後から掛けられた声に、ぴたとニュンペーの動きが止まる。
彼女の背後に立っていたのは、失敗料理を持った志乃だった。群青はその隙にニュンペーから距離を取る。
「してないよね味見。私も食べないよその大鍋の料理は! だって君が味見もしてない料理なんて食べられるわけないじゃない!」
君だって嫌でしょう、と志乃はニュンペーに迫る。
適当に材料を入れた料理がおいしいだなんて、そんな奇跡があるわけない。こっちは念動力で近くにあった毒キノコも大鍋のなかに投げ込んだんだぞ。
「味見しなさいよ! 味見! ほら、ほら、ほらあ!」
『それはきみの作った料理だろう! 食べないよわたしは!』
「ほら! やっぱりきみだって嫌なんじゃないか!」
料理片手にぐぎぎぎぎと互いに揉み合うふたりを、暫く遠巻きに見ていた群青と海賊たちだったが。
『……あっ、わたしの料理になにするのさ!』
ぽわと飛んできたシャボン玉が、料理を持つニュンペーの腕ごと包み込んで閉じ込めた。
群青のユーベルコード、水船。ぽわぽわ、ぽわわ。次々と浮かび上がるシャボン玉に、ニュンペーは動き封じられて思うように動けない。
『ちょっと! これじゃあ料理が作れないじゃないか!』
「往生際が悪いやつだな、……わしの身体で引き裂いてやる!」
にまり。歯を見せて群青が笑う。瞳を爛々と光らせた彼女は、鋭利な爪でニュンペーの身を裂こうと襲い掛かった。
ぽたり。滴る赤い液体。――――……嗚呼、やはり暴力の味が、いちばんいちばん、美味しいな。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
栗花落・澪
つまり料理バトルだね任せて!(曲解
【料理】なら大得意
ちゃんと愛情込めて作った料理の方が美味しいって教えてあげる
丁度ニュンペーの料理を食べようと口を開けた手近な海賊の口に
手作りの★飴をぽいっと
幸せの味はどう?
ちょっと協力してね(笑顔で【誘惑】
まだ無事な海賊が居ればその人達にもお願い
厨房に案内してもらって
手伝ってもらいながら料理を量産
魚料理も肉料理も
時間の許す限りなんでも作る
属性魔法を使って時短もするけど
愛情はしっかり込めたよ
完成ものから笑顔で振る舞い
さぁどう?どっちが好き?
いくら美味しくても愛情の欠片も無い料理なんて
上部だけで味気ないものだよ
勝負だけじゃなく料理面でも徹底的に
最後は【指定UC】
ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ
【アドリブ・連係歓迎】WIZ
美味しい料理対決だね!?
頑張っちゃうよ☆
似たり寄ったりな料理ばかり食べてたら、飽きちゃうよ?
たまには口直しにどうぞ、とUC【潤沢なる肉肉しい満漢全席】でこちらも手料理を海賊達(ついでにニュンペーにも)振舞っちゃう!
敵UC等で魅了されてる状態を食事療法で解除!
(ニュンペーの強化も解除しちゃえる?)
こちらの「料理」の美味さで正々堂々と魅了し返しちゃえ!
なーに、食材ならいくらでもある、オイラだよ☆
「肉体改造」で自身の肉体を切り落としては再生し、美味しい食材に改造!種類問わず!
全員食べたならこれで友達だね!
友達が集まったらやる事はひとつ!
そう、「宴会」だね!!!!!!!!!
リカルド・マスケラス
目には目を、歯に歯を、料理には料理っす
「どもー、流しの料理人っす」
そんな感じで現れるのはバイクになったお面
「重いタイプの女性って料理がワンパターンになりがちっすよね」
などと言いつつ、【世界知識】を利用して様々な国、世界の【料理】を作り、海賊に振る舞う。和洋中様々なジャンルを。【霧影分身術】でたくさんに増えて一気に様々な料理を作る
「なんでアンタ達は海賊になったんすか?自分たちの島にはなかった新しい世界を見たいとかじゃないんすか?」
と冒険心とかをくすぐる。【郷愁を誘う】料理は締めで充分
「男は船、女は港。旅立つ男が帰って来るのをどっしり待つ気概がなきゃ、海賊は捕まえられないっすよ」
戦闘は適当に
●
料理で戦ってくるのなら、こちらも料理で倒してしまえばいいのだ。
料理なら大得意! と胸を張るのは栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
コックコート姿のラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(ハラペコかわいいコックさん(可食・高栄養・美味)・f31483)は、頑張っちゃうよ☆と聖剣シェフスカリバーを光らせる。
バイクにくっついているヒーローマスクのリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)も、そうは見えないが料理人らしい。
集まった料理上手な猟兵たち。
ひとりでは海賊たち全員の腹を満たすことは難しいかもしれないけれど、三人ならばひとり残らず猟兵たちの料理の虜にしてしまえそうだ。
「ちゃんと愛情込めて作った料理の方が美味しいって教えてあげる」
相変わらずニュンペーの料理を食べ続ける海賊たちを見て、澪はもう、と呆れ顔。料理を食べようとしていた海賊の顔を掴むと、その口に手作りの飴をぽいっと放り込んだ。
「幸せの味はどう?」
そう言って、澪は海賊へと微笑む。その笑顔があんまりにも愛らしいので、海賊は口のなかの飴を思わず飲み込んでしまった。
「あっ、飲み込んだら身体に悪いよ!」
『…………はい……』
「飴の代わり、ってわけじゃないけれど、ちょっと協力してね。いいかな?」
澪がまた微笑んで見せれば、すっかり誘惑された海賊の出来上がり。
可愛い女の子には目がないから仕方ない。だって海賊だから。
実は澪は男の子なのだけれど、間違えてしまっても仕方ない。だって可愛いから。
「ねえ、厨房に案内してくれる?」
その申し出に海賊はこくこく首がもげそうな勢いで頷くと、澪を厨房へと案内するのだった。
「似たり寄ったりな料理ばかり食べてたら、飽きちゃうよ?」
ラヴィラヴァはぶよぶよしたクジラの身体ですいと空中を泳ぎながら、海賊たちの前に現れるとずいっとお皿を差し出した。
口直しにどうぞ、と差し出したのは彼女のユーベルコードによって作り出された賄い料理。
「さぁさぁ、たぁーんと召し上がれ♪ 沢山あるから遠慮しないで♪」
――その名も、潤沢なる肉肉しい満漢全席。
皿の上に乗ったぶよんぶよんのそれは、素材が何なのかすらさっぱり分からない。けれど、なんだかとっても食欲をそそられる。海賊たちがごくりと唾を飲んだ。
「こちらの料理の美味さで正々堂々と魅了し返しちゃうぞ!」
我先にとラヴィラヴァの料理を奪い始める海賊たち。その姿を見てふふんと得意気なラヴィラヴァ。ニュンペーは、むむむと唇を尖らせる。
『なんだいその料理は! そんなぶよぶよした訳の分からないものにわたしの料理が負けるなんて!』
そんなことあるわけない! と対抗心を隠しもしないニュンペーにも、ラヴィラヴァは料理を差し出す。食べてみれば分かる、そんな顔をしながら。
悔しさはあれど、ニュンペーも未知の料理は気になったようで。なんだかんだで皿を受け取ったニュンペーは、肉の塊をぱくり。
『…………これは……!』
口に入れた瞬間の食感は、見た目通りなんだかぶよぶよしている。けれど一口噛めば口のなかに旨味がどろっと溶けて広がった。よく噛まずとも飲み込めるほど柔らかいそれは、喉越しも滑らかで――……。―――美味しい。
『これは、いったい……!!』
はじめて出会う味。もはや彼女の料理に海賊たちを奪われたことも忘れて、ニュンペーはラヴィラヴァの料理を味わう。
「ふふん、美味しいだろう。たぁーんと召し上がれ! なーに、食材ならいくらでもある、オイラだよ☆」
『えっ』
「オイラだよ☆」
ラヴィラヴァとニュンペー、ふたりの間に沈黙が落ちる。
ちらり。ニュンペーがラヴィラヴァの身体を見た。クジラの形をした、ぶよぶよどろどろ、魅惑のボディ。――そう、食材は、『それ』。
ラヴィラヴァは得意そうに笑顔だったけれど、ニュンペーの顔はさぁっと青くなって。
『…………ぅ゛え゛っ』
「あっ! 食べ物を粗末にするのはよくないぞ!!」
窘めるラヴィラヴァのこえは、もはやニュンペーには聞こえていなかった。
そんな騒ぎを知らないリカルドは、ニュンペーがいない隙に海賊たちへと近付いた。
「どもー、流しの料理人っす」
目には目を、歯に歯を、料理には料理を。丁度ニュンペーの動きが止まって、海賊たちもお腹を空かせていることだし。
「重いタイプの女性って料理がワンパターンになりがちっすよね」
麦粥とか麦粥とか麦粥とか。そんなことを言いながら、リカルドはちゃっちゃと料理を作っていく。
だれが重いって! なんてそんな突っ込みを入れる元気も、今のニュンペーにはない。
様々な世界を巡る彼は、様々な世界や国の知識を持っている。それは、料理も例外ではなかった。
「とは言え、手が追いつかないないっすね」
手は休めることなく、ふむ、とすこし考え込んだリカルドは、ユーベルコード忍法・霧影分身術を発動。
リカルドの身体がひとつ、ふたつ、みっつと増えていく。現れた分身は、ずらり、97人。
「夢か現か幻か、とくとご覧あれっすよ。……ま、食べれば分かることっすけど」
97人のリカルドたちが、次々と料理を作り上げていく。ニュンペーの大鍋が作り出す速度も、流石にこれには敵わないだろう。
「……なんでアンタ達は海賊になったんすか?」
料理を作る手は休めず、リカルドは海賊たちに問う。海賊は食べる手を止め、リカルドの顔をじっと見た。
「自分たちの島にはなかった新しい世界を見たいとかじゃないんすか?」
例えばこれは、サクラミラージュという世界の料理っすよ、そう言いながら差し出したのは桜もち。次はサムライエンパイアらしいおにぎりを――。
見たことない物珍しい料理は、海賊たちの気を引き正気に戻すのには十分だった。
新しい世界を知りたい、見たい。海賊である以上、誰もがそんな冒険心を持っているのだろう。
『俺たちは……』
リカルドは、油の乗った骨付き肉をすっと差し出す。――それは、グリードオーシャンの海賊たちにとって、最も馴染み深い料理。
「……アンタ達がしっかりしないと、この島がなくなるんすよ」
『そうだ……』
奪うことが海賊の本分。奪われるのは我慢がならない。海賊たちは、それを思い出した。
『やるぞ! 奪われてたまるか!』
『おう!! それに……、オレたちには澪さんがいる!!』
「えっ?」
名前を呼ばれた澪が、思わず目をぱちくりさせる。
そりゃあ、ちょっと誘惑してみたけれど。どっちが好き? なんて可愛く聞いてもみたけれど。――こんなにもあっさり魅了されるなんて。
『俺は澪さんの愛を知ったんだ!』
『純粋な思いに応えないなんて、漢じゃねえなあ!!』
「いくら美味しくても愛情の欠片も無い料理なんて上部だけで味気ないものだよ、とは言ったけどね?」
戸惑う澪を、盛り上がる海賊たち。でも、それも仕方ない。だって、海賊だから。
「男は船、女は港。旅立つ男が帰って来るのをどっしり待つ気概がなきゃ、海賊は捕まえられないってことっすね……」
「うん、僕は男だよ……?」
「しっ! 知らないほうが幸せなこともあるんすよ……」
リカルドはなんだかしみじみとしているが、澪はちょっぴり納得がいかない。
混沌極まろうとしていた会場に戻ってきたラヴィラヴァは、暫く考えたあとぽんっと手を叩いて。
「全員食べたならこれで友達だね! 友達が集まったらやる事はひとつ! そう、宴会だね!!!!!!!!!」
料理はまだまだあるのだし。ラヴィラヴァは、ぱちんとウインクしてみせる。ほんわかした提案に、ほんのちょっとだけ場が和んだ。
『わたしはもうそのぶよぶよは食べないよ!!』
ただひとり、ほんのちょっとだけ心に傷を負ったニュンペーを除いて。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
イコル・アダマンティウム
「わかった……一杯食べて良い」
誘いに乗ってケーキを食べる、よ
【対ケーキ攻撃】
闘争心を攻撃されちゃうから
まったりする
けど
「もっと……いっぱい食べたい、な」
食欲は刺激されちゃうから料理を独占する、ね
【協力:みんなの分も貰う】
海賊たちの目を覚まさしてあげなきゃ、いけない
だから美味しい料理を食べさせちゃ、いけない
美味しい料理が、もったいない
「だから僕が、食べる」
勿論ケーキはもらうし、ケーキ以外もいっぱい奪って食べる、よ
海賊に文句を言われたら
殴って目を覚まさしてあげる
「ダメ、これは……これも僕の分」
<暴力><大食い><エネルギー充填>
「欲しい、なら奪ってきて」
知らないけど、それが海賊の流儀だって、聞いた
怨燃・羅鬼
らきちゃん☆はアイドル!体型維持のためにカロリー計算はバッチリ☆
故に美味しくてもらきちゃん☆の心は動かせないのだ!
くふふ☆そもそも陰の気大好きならきちゃんを満足させるなんて……
これ☆美味しいネ!おかわり~☆(即落ち)
甘いものは別腹って言うよネ!食レポもアイドルの仕事の内だしこれもお仕事お仕事☆あっ、次はフルーツ山盛りのケーキが食べたいな☆
らきちゃん☆ずっとここで住んで歌ってたいネ!
お礼に楽しい思いを込めて
大 声 で 歌 う よ !
らきちゃん☆は美味しいごはんと歌って愉しい☆
皆は美味しいごはんを食べて歌も聞けて死合わせ☆WIN、WINだネ!
●
「らきちゃん☆はアイドル! 体型維持のためにカロリー計算はバッチリ☆」
どんなに美味しくてもらきちゃん☆の心は動かせないのだ! と、怨燃・羅鬼(怒りの心を火に焚べろ・f29417)は強気だった。
だから、目の前に並ぶケーキがどんなに美味しそうでも、らきちゃん☆の心はそう簡単に動かない。
――……いや、でもちょっとだけならいいかな。味見、味見するくらいなら。心が動いたわけじゃないんだよ。うん、だってほら、食べずにひとの料理を否定するのもよくないし。だからちょっと舐めるだけ。それだけだよ☆
「これ☆ 美味しいネ! おかわり~☆」
――そこには、らきちゃん☆の姿が!!
即落ちである。ニュンペーもびっくりな早さで即落ちである。
くふふ☆ そもそも陰の気大好きならきちゃんを満足させるなんて――……。
そんなことを言っていたのは、ほんの数秒前の話なのに。ネットに上げたら一部の層から燃やされること間違いなし。炎上系アイドルの名は伊達じゃない!
「甘いものは別腹って言うよネ!」
むぐむぐもぐもぐ。ケーキを食べる羅鬼の手は全く止まる気配がなかった。
そんな様子を見ていた、イコル・アダマンティウム(ノーバレッツ・f30109)もケーキの乗った皿をひとつ手に取る。
『ふふん、きみも彼女のようにお食べよ! こんなに美味しいケーキを食べないなんて勿体ないだろう!』
羅鬼の食べっぷりを見て、いくらか(精神的に)回復したニュンペーはふふんと得意そうに胸を張っている。
イコルは、ケーキをじっと見る。真っ赤なイチゴに、ふわふわクリーム。ふんわり漂う砂糖のかおり。――――おいしそう。
「わかった……一杯食べて良い」
こくりと頷いて。イコルはケーキを口に運ぶ。暫くもぐもぐと味わっていたイコルの瞳が、僅かに輝いた気がした。
「もっと……いっぱい食べたい、な」
その言葉に、ニュンペーは嬉しそうにぱっと顔を明るくして。
『そうだろうそうだろう、ふふん。愛がなにさ、美味しければそれでいいじゃないか!』
ニュンペーは上機嫌で、羅鬼とイコルのためにぽぽぽぽんとケーキをいくつもいくつも作り出す。
海賊たちは、出されたそばから消えていくケーキを見ながら指を咥えていた。ふたりが食べるスピードについていけないのだ。
『くそっ……。俺にもひとつくれ……!!』
我慢出来ずに、ひとりの海賊がケーキに手を伸ばすけれど。――ぺちんっ。イコルが海賊の手を叩いた。
「これは僕が、食べる」
『なっ……! ひとつくらい寄越せ!!』
「ダメ。僕のだって、言ったでしょ」
言うが早いか、イコルは左手でケーキを抱え込み、海賊の頬に向かってまっすぐ右ストレート。
『ふぐぉっ!!?』
イコルの拳がばっちり決まった海賊は、勢いそのままに吹き飛ばされていった。
その飛ばされた海賊に巻き込まれて、他の海賊たちもばったばったと倒れていく。
『お前、何するんだ!?』
「……これは、僕のだから」
ケーキを抱え込んだイコルは、海賊たちが奪おうと近付けばしゅっしゅと拳を突き出して威嚇する。
「欲しい、なら奪ってきて。…………それが海賊の流儀だって、聞いた」
――実はこれは、海賊たちの目を覚ますためのイコルの作戦だったのだけれど。
(目を覚まさしてあげなきゃ、いけない。だから、美味しい料理を食べさせちゃ、いけない)
そんなことを知らない海賊たちは、イコルの言葉を真に受けて、本気で殺り合おうとする5秒前。
剣呑な雰囲気を感じ取ったニュンペーが、イコルと海賊たちの仲裁に入った。
『……待て待て! みんなで美味しく食べようじゃないか。いくらでも作り出せるんだよ?』
独り占めしようとするイコルを見て若干動揺しつつも、ニュンペーはまたケーキを作り出した。――けれど、それもすかさずイコルと羅鬼がかっさらっていく。
「食レポもアイドルの仕事の内だしこれもお仕事お仕事☆」
『仕事でそんなに食う必要があるのか!?』
「ダメ、これは……、……これも僕の分」
『チクショウ! また奪われた!』
「あっ、次はフルーツ山盛りのケーキが食べたいな~☆」
『あの女も血も涙もねえぞ!!』
暫く続いた、ぎゃあぎゃあ賑やかなケーキ争奪戦に終止符を打ったのは羅鬼だった。
羅鬼は膨らんだおなかを擦りながら、とろけた笑顔を浮かべる。
「はあ、おなかいっぱいでしあわせ! らきちゃん☆ずっとここで住んで歌ってたいネ!」
羅鬼は、自称アイドル☆である。
きゃるんきゃるんな態度も、歌もアイドル☆には欠かせない。だから、羅鬼も歌うことは好きだった。
「よ~っし☆ お礼に楽しい思いを込めて、大 声 で 歌 う よ !」
すぅっと息を吸い込んで。アイドル☆らきちゃん☆の歌声は――。
『~~~~~~~ッ!!!!?』
ものすごく、音痴だった。
歌うことは好きだけれど、歌が上手いとは言ってない。
不意打ちで開催された地獄のようなコンサート。その破壊力は――、――……というかこれユーベルコードだね。
(らきちゃん☆は美味しいごはんと歌って愉しい☆ 皆は美味しいごはんを食べて歌も聞けて死合わせ☆ WIN、WINだネ!)
けれど、そう思っているのは羅鬼ひとりだけで。
ニュンペーはもちろん、海賊たちも無事ではいられない。歌声に耐えきれない海賊たちが、ばたりばたりと倒れていく。
イコルはそっと耳を塞いで。彼女の歌が終わるのをじっと待つのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
黒玻璃・ミコ
※美少女形態
◆行動
【POW】で判定
魔女ミコです、魔女ニュンペーお久し振りですね
A&W世界で全然姿を見掛けないと思ったらこんな処にいたんですね
ある意味、寂しがり屋の貴女に相応しい場所ですが
……と言いますか、海賊の皆さんは何をしてるんですか、ヘタレですか?
メガリス製の料理です、多少は心奪われるのは仕方ありません
でも彼女が本当に振る舞いたかったのは其ですか?
食べて欲しかった料理は棚の影にあるじゃないですか
海の漢の心意気が無い
意気地無しの貴方達が食べないなら私が全部食べます
・
・
・
前よりも下手になってるじゃないですか
もう会えないのに……私にはしょっぱいのですよ
(溢れる涙を流しながら食べて)
※アドリブ歓迎
●
『…………いやぁ……。……あれは不意打ちだった、な……』
やっと地獄のコンサートから逃げ出したニュンペーは、目を白黒させている。
歌声が未だに頭に響いてくらくらがんがんするけれど、それでも料理は作らなきゃ。
よろよろと魔女の大鍋に手を伸ばしたニュンペーのもとに現れたのは、黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)。
「魔女ミコです、魔女ニュンペーお久し振りですね」
『…………、……屠竜の魔女……?』
お互い、見知った顔だった。――けれど、ニュンペーはそんな相手に出会うことだなんて考えていなかったものだから、思わず言葉を詰まらせる。
「アックス&ウィザーズで全然姿を見掛けないと思ったら、こんな処にいたんですね」
『……どうして』
「ある意味、寂しがり屋の貴女に相応しい場所ですが」
ニュンペーの呟きが聞こえているのかいないのか、ミコはからから笑った。
ちらり。ミコは海賊たちを一瞥して、またニュンペーへと視線を戻す。ニュンペーの顔には、動揺の色が隠しきれない。
それは、知己に再開したからなのか、ミコに心のうちを覗かれているような気分になったからなのかは、彼女にしか分からないけれど。
「……と言いますか、海賊の皆さんは何をしてるんですか、ヘタレですか?」
海賊たちの心を奪った、魔女の大鍋の料理。
メガリス製の料理であるから、多少は心奪われるのは仕方ないとしても。ちょっと、心奪われすぎじゃないだろうか。
「それに」
今度はニュンペーに視線を向けて。彼女が何かを隠そうとした素振りを、ミコは見逃さなかった。
「……貴女が本当に振る舞いたかったのは其ですか?」
『…………はは、何を言ってるんだい。それに、これは……』
「失敗作だからって言うんですか? ……まったく、海の漢も心意気が無い」
ニュンペーが隠した料理を奪うように掻っ攫うと、ミコはそれを躊躇いなく口へ運んだ。
魔女の大鍋を使わずにニュンペーが作った料理は、それはそれは悲惨なものだった。
焦げ付いていて、酸っぱいのに柔らかい。かと思うとどこからか甘さが来る。野菜は生煮えなのだろうか、噛めばじゃくりと変なおとがした。
味覚が可笑しくなりそうです。――そう思いながらも、ミコは食べる手を止めない。ニュンペーの料理をひとつ残らず掻っ攫うと、次から次へと口へ放り込んでいく。
「…………んぐ。ま、前よりも下手になってるじゃないですか」
『はは、それは失敗作だって言ってるだろう。無理に食べなくて良いよ』
「いいえ、食べます。食べきってみせますとも」
『……何を意地になっているんだ。無理に食べなくて良いって、言ってるじゃないか……』
ほろり。
ミコの瞳から涙が零れ落ちたのは、ニュンペーの失敗料理のせいだけではなかった。
「だって、もう、…………会えないのに」
消え入りそうなこえで。料理を頬張りながらミコが呟く。
世界中に眠る呪いの秘宝『メガリス』。それに魅入られた彼女は、もうこの世の理から外れてしまった。だから。――だから、どんなに願っても、これで最後なのだ。
「…………なんですかこれ。私にはしょっぱいのですよ」
『……は。……は、はは……』
溢れる涙を拭うこともせず、失敗料理を口へと運び続けるミコを見て、ニュンペーの顔がくしゃりと歪む。
『……っはは、ばかだ。ばかだなあミコは』
泣きたそうな顔で笑っていたニュンペーの瞳からも、ほろり。涙が零れ落ちて。
「なに泣いてるんですか。ほら、はやく料理を出したらどうです」
『…………もういい。もういいよ。じゅうぶんだよ』
きみも、みんなも食べてくれただろう、と。ほろりほろりと涙を流しながらニュンペーが笑う。
『それで最後だ』
――――だから。もうお別れだ、とニュンペーは言った。
きっと、彼女は気付いていた。でも、ひとりになるのは怖いから。誰からも忘れられてしまうのは寂しいから。
だから、料理を振舞い続けた。それが、世界を壊すと分かっていても。
「……ほんとうに大丈夫なんですか、寂しがり屋な貴女が」
『大丈夫と言ったら、嘘になるけれど――……』
それでも、気持ちが揺らぐ前に。どうかきみが終わらせてくれ。――そう言って、ニュンペーは笑った。その瞳には、もう涙は残っていなかった。
こうして、災厄になれなかった魔女は最後を迎える。
ミコが、猟兵たちが、海賊たちが、今まで彼女が料理を振舞った相手が。覚えていてくれるに違いないから。――彼女はもう、きっと寂しくないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2021年02月09日
宿敵
『『災厄になれなかった魔女』ニュンペー』
を撃破!
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