羅針盤戦争~楽してズルしていただきよ!
「みんな、羅針盤戦争も順調に展開してるみたいね! お疲れさま!」
ユメカ・ドリーミィ(夢幻と無限のシャボン玉・f18509)は、ふわふわと浮かぶシャボン玉を舞わせながら猟兵たちに感謝の意を述べる。しかし、その顔がすぐに曇った。
「でも何か、コンキスタドールの奴ら、みんなに賞金を懸けてるんですって? あたしの友達や仲間たちも賞金首になっちゃった人が多いんだけど、みんなもそう? まったく、人を馬鹿にしてるわよね」
細い腰に手を当て、ぷんすかぴーといった表情を浮かべるユメカ。だが、その表情がもう一度コロッと変わる。ニヤリと口元を悪い形に歪めて。
「……じゃあさ、せっかく懸かった賞金なんだし、もらっちゃお?」
何を言い出すのか、と猟兵たちが聞いてみれば、つまり。
「賞金稼ぎにつかまったフリをして、コンキスタドールのもとに引き立てられるって計画はどうかしら。で、うまく賞金を手にしたところで種明かし、みんなで一斉に暴れだしてコンキスタドールもやっつけちゃうのよ! 敵も倒せるし賞金も稼げる、一石二鳥じゃない?」
複数人で参加する場合は、どちらかが賞金稼ぎの役でどちらかが捕虜の役、と演じ分けてもいいだろう。個人参加の場合は、コンキスタドールではない普通の海賊の皆さんが協力し、賞金稼ぎの役を演じてくれる。自分の島を取り戻すためなので、海賊の皆さんは無償で力を貸してくれるそうだ。
あるいは逆に自分が賞金稼ぎで海賊さんを捕虜、としてもいいが、当然海賊さんは猟兵ではないし賞金が懸かっていないので、そこをどう誤魔化すかの考慮は必要になるだろう。
「でも、猟兵を捕まえたといっても敵もすぐに信用はしないでしょう。だからこの作戦で一番重要なのは、うまくコンキスタドールを騙して賞金を出させることね。無傷だと怪しまれるでしょうから傷だらけのメイクや変装をしてみるとか。どうやって捕まったのかを話すとか。それに、捕虜としての芝居……、命乞いをするふりをしてみるとか、くっ殺的な態度に出てみるとか」
とにかく、コンキスタドールを信じさせ、うまく賞金を引き渡せさせることが重要だ。
「だから、皆のスキルやユーベルコードは、今回は「騙す」ことに重点的に使うといいかも。騙すことに成功すれば相手は完全に油断するから、戦闘自体は通常攻撃であっさり片付くと思うのよ」
ちなみに、もし賞金を上手く分捕ることに成功しても、それで猟兵たちのこれまでに懸かった賞金が減ったりすることはないはずだ。
「……だって、それを知って生き延びる敵はいないはずだものね?」
再び悪い顔でニヤリと笑うユメカ。比較的常識人だったはずのユメカだが、最近は猟兵の流儀に染まってきているようだ。……いいのか悪いのか。
それはともかく。
勝手に人に賞金など懸けているのだから、それをもらっても文句を言われる筋合いはあるまい。
猟兵たちよ、自分たちの賞金を自分たちで分捕りに行こう!
天樹
こんにちは、天樹です。
羅針盤戦争も序盤の佳境といった感じですが、ライトなシナリオで軽く息抜きにでもいかがでしょう。
ということで、「自分たちの懸賞金を自分たちでもらいに行くシナリオ」です。
ユメカが言っていた通り、「疑っている敵をどうやって騙すか」に重点を置いた構成がいいと思います。倒すだけなら簡単ですが、それでは懸賞金がもらえませんので。RPで騙す、スキルで騙す、ユーベルコードで騙す、などなど。
もっとも、たとえ懸賞金を受け取ったとしても、それはこのシナリオだけのフレーバーであり、他シナリオ及び公式設定に反映されるものではありません。ご了承ください。
でも敵から騙し取るのは何となく気分いいかなって。せっかくの懸賞金ですからね。
ではご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『略奪船長』
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POW : 海賊船長の長口上
自身の【敵を見下して悦に入り虚栄心を満たす欲求】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : 海賊流戦闘術
いま戦っている対象に有効な【取り回しの良い片手武器】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 彷徨える海賊船
【ボロボロのカトラス】で武装した【ガリガリに痩せた奴隷戦闘員】の幽霊をレベル×5体乗せた【朽ち果てた海賊船】を召喚する。
イラスト:山庫
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラモート・レーパー
対(ラモート・アンゲルスと連携)
「というわけで対手伝って?」
お姉さんの姿で挑む
UC【万人の理想像】【夜の領域】を発動。前者で姿を後者で存在をコキンスタドールに書き換える。
あとは賞金首を連れてきた振りして潜入、適当に狩猟武器に変化させた黒剣で暴れるだけかな。
ラモート・アンゲルス
対(ラモート・レーパー)と連携
「わかりました」
お姉さんの姿を挑む
UCを発動し、対の姿をしましょう。
あとは捕まった振りして潜入し、あとは兵士の武器に変化させた白剣で暴れます
まあ賞金は対にかかってるだけで私には1ビタもかかっていませんが
「てえへんだてえへんだ、親分てえへんですぜ!」
けたたましい声をあげて海賊船の船長室に駆け込んできたのは海賊子分。海賊というより江戸っ子のチンピラっぽい雰囲気だが、れっきとしたコンキスタドールである。
「てやんでえ、やかましい野郎め。ちょっとやそっとのことで取り乱すようじゃ、俺様や七大海嘯の皆さんのような立派なコンキスタドールにゃなれねえぜ」
船長室の立派な椅子にふんぞり返り、ラム酒を片手に山のような金貨の枚数を数えていた船長は不機嫌そうに子分を一瞥した。なんかやっぱり江戸っ子っぽい話し方になっているが気にしないでおこう。
「そそ、それが、ほんとに大変なんで!」
子分は息を飲み、船長へ告げる。
「賞金首の猟兵が! 捕まってきたんでさあ!」
「まったくてめえは、何でそういう大事なことを早く言わねえんだ! 報告連絡相談がきっちりできねえ奴は、俺様や七大海嘯の皆さんのような立派なコンキスタドールにゃなれねえぜ!」
自分も慌てて椅子から転げ落ちた船長は、痛む尻をさすりつつ、子分を叱りつけながら甲板へと赴く。
そこには、つややかな髪を流したすらりとした美しい容姿の女性がキリキリとロープに絡めとられ、引き立てられてきていた。そこにいたのは……
ほわほわほわーん……(回想開始的なSE)
「……私が捕まった役を? 捕まえる役ではなく?」
ラモート・アンゲルス(生きた概念・f18548)は対存在であるラモート・レーパー(生きた概念・f03606)の提案に目を丸くして尋ね返す。
「だって、懸賞金が懸かっているのは対でしょう、私には1ビタもかかっていませんが」
「そこはほら、ユーベルコードで、対がぼくの格好になればいいじゃない」
そう、二つの概念は概念であるがゆえに無貌にして無限、無窮にして無辺。ともにいくつもの姿、いくつもの容貌を有し、千の姿に変じ万の姿に化することが可能なのだ。
「……ま、回りくどっ……素直に私が賞金稼ぎ役、対が捕虜でよくはないですか?」
頭痛を抑えるアンゲルスに、レーパーはにっこりとほほ笑み返す。
「だって相手を騙したりするのはぼくの方が得意そうだし? 適材適所だよ」
「……絶対嘘ですね。ただ面白がっているだけですね。……はあ、まあ、いいでしょう。仕方ありません、対の提案を飲みますよ。それで、対はどんな姿に?」
「そりゃ、対がぼくになるんだから……」
ほわほわほわーん(回想終了的なSE)。
ということで、そこにいたのは、ラモート・レーパーの姿をしたラモート・アンゲルスであった。ではレーパーは?
「こんにちは、コンキスタドールの皆さん。ぼくが賞金稼ぎのラモート・アンゲルスだよ」
……アンゲルスの姿に成り変わっていた。
「いやなんかお前たち似てねえか? いや、でも存在感は確かに俺たちコンキスタドールによく似た感覚だな……」
「うん、もちろんぼくはコンキスタドールだよ(にこにこ)」
不思議そうに首をかしげる船長と子分たち、そしてそれをほほ笑みで迎えるレーパー(アンゲルスのすがた)。そう、レーパー(アンゲルスのすがた)の使用しているユーベルコードは「存在」それ自体を書き換えることができる恐るべきものだ。つまり、今のレーパー(アンゲルスのすがた)は猟兵ではなく、コンキスタドールそのものと言ってもいい。固有名詞さえつけてもらえなかったような下っ端コンキスタドールたちでは、到底、見破ることなどできるものではなかった。
「確かに、姿こそこいつに似てるが、どうやらコンキスタドールの仲間らしいな。だったら疑う余地はねえ、ええと、こいつの懸賞金は……」
船長は丁寧に毎日更新されて『王笏』カルロス・グリードから送られてくる賞金首一覧表を広げ、確認する。王笏は意外と真面目なのだった。分身体も多いので、作業もはかどるのだろう。
「あった、ラモート・レーパーってやつか! 額は5700G……ご、ごせんななひゃく!? マジかおい、すげえ大物じゃねえか!」
興奮した船長はすぐに手下に命じ、山のような金貨を運んでこさせた。5700G、すなわちUDCアースの現代価格にして5700万円。莫大な額である。キラキラと輝く金貨は、あたかも天上の星々のきらめきにも似ていた。
「ひいふうみい……うん、確かにいただいたよ!」
「ああ、同じコンキスタドールとして鼻が高いぜ。どうだい、その金で一杯? 祝いだ、楽しく騒ごうじゃねえか」
懸賞金をしっかりとカウントし終わって、レーパー(アンゲルスのすがた)は美しい顔でにっこりと笑う。
「いいね、楽しく騒ぐっていうのは賛成だよ。……ね、対」
「ちょっと強く縛りすぎて、私はあまり楽しくありませんでしたよ、対」
レーパー(アンゲルスのすがた)の声に、アンゲルス(レーパーのすがた)はふうとため息をつく。そのただならぬ雰囲気に、コンキスタドールたちがぎょっとした時。
「じゃあ、後は暴れるだけかな!」
「私も、うっぷんを晴らさせてもらいましょう」
空結びしていた結び目をぐいと引っ張ると、はらりとアンゲルス(レーパーのすがた)を縛っていたロープが解け落ちる。同時、レーパーとアンゲルス(アンゲルスとレーパーのすがた)は手に手に剣を取り、コンキスタドールたちへと襲い掛かった!
風を切って唸る剣が光の軌跡を残して舞い踊る。すっかり油断しきっていたコンキスタドールたちがこれに対応しきれるはずもない。あっという間に切り立てられ、叩きのめされ、あるいは海に追い落とされていく。一人も逃さじと、二つの概念はまっしぐらに追い立てる!
「ば、馬鹿な! これはいったいー!?」
目を白黒させながら逃げまどい、切り捲られるコンキスタドールたちの頭上に、レーパーとアンゲルス(アンゲルスとレーパーのすがた)の声が高らかに響くのだった。
「あははは! 賞金、確かに頂いたよ! ぼく自身のね!」
「私の取り分はどうなるのでしょうね……」
RESULT:5700Gをゲット!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
スピーリ・ウルプタス
全身全霊で捕虜になりに行きます!
海賊の皆様、遠慮は要りません
私を目一杯殴って蹴ってズタボロにしてやって下さい(活き活きする変人)
最終的にはぐるぐる巻きにふん縛られて、敵さんの眼前に投げられるのが理想です。
とはいえ、良心的な海賊様でしたら申し訳ないので
その時は、本体の鎖で自ら雁字搦めになっておきます
命乞い、というかこの世に未練たらたら風に
ああっ…ご慈悲を欠片でもいただけぬでしょうかっ…
私まだまだ体験したい事が山程っ(意外と本音な為、土下座も躊躇なくやる)
敵さんが騙されてくれたのに気付かぬ程熱心に命乞いし
あわや本気で危なくなって思い出し、UC発動
ダイ様その調子です!
あ、私もどうにかしていただけると
才堂・紅葉
「くっ……殺しなさい!」
傷つき中座した巨大蒸気ゴーレム
抉じ開けられ、中が露出した無人のコクピット
そして、その前に縛られ転がされた女猟兵がいる……
島の賞金稼ぎの皆さんと一芝居打ちました
前の戦で傷ついた蒸気王を舞台演出に用いてます
シチュは激戦で疲弊した賞金首を、地元衆が棚ぼたで確保した!ですね
「女一人を皆で囲んで。恥ずかしくは無いのかしら?」
【演技、パフォーマンス】で強気と、そしてこの先の未来への不安を演出します
賞金が無事、賞金稼ぎさん達の手に渡ったら
「ご苦労様。そして、さようなら……捻り潰しなさい、蒸気王」
油断する敵船長達を、置物と化したと思わせおいた蒸気王の遠隔機動でまとめて鉄拳制裁です
「なるほど、そいつぁいい作戦だな!」
海賊たちが大きく頷く。もっとも、この海賊はコンキスタドールではない普通の海賊のみなさんである。普通の海賊という表現自体がなんかおかしいが、ともかく敵ではない。彼らは、コンキスタ海賊たちによって奪われた自分の島を取り戻すべく、猟兵たちに協力してくれているのだ。
「でしょう? あとはこちらでうまくやりますから、よろしくお願いしますね」
海賊たちの声に、才堂・紅葉(お嬢・f08859)も楚々とした美しい容貌に微笑みを浮かべた。お嬢様然としたその美貌から、抜け目なくそして容赦もない策謀が生み出されたことに、普通海賊の皆さんは、さすが猟兵、と感心する。だが。
「……こっちの姐さんはいいとしてだ。……そっちの兄さん、ほんとにそれでいいのかい?」
海賊たちが一転して心配そうな表情を髭もじゃの顔に浮かべた。視線の先には、スピーリ・ウルプタス(柔和なヤドリ変態ガミ・f29171)の上気しきった顔がある。端正なその顔は、しかしトロンと瞳がとろけ、唇の端からは今にもよだれが零れ落ちそうだ。
「ええっもう、遠慮は要りません、私を目一杯殴って蹴ってズタボロにしてやって下さい!」
「いやあの、ただの芝居だからな? 別に獣の血とかでうまく誤魔化せばいいだけで……」
「全然! ぜんっぜん問題ありませんから! 最終的にはぐるぐる巻きにふん縛られて、敵さんの眼前に投げられるのが理想ですから!」
はあはあ、と熱い息を荒げ、目を充血させているスピーリの姿に、普通海賊たちは、よくわからないながらも、さすが猟兵、俺たちの常識を超えている、と感心したりしなかったりするのだった。
「そ、そうか、そこまでしてコンキスタの野郎どもをやっつけようって覚悟なんだな、すげえぜ兄さん」
「……いやたぶん、違うとは思うのですが……」
首を振りながらぽつんとつぶやく紅葉の声は幸いにも海賊たちに届くことはなかった。
「てえへんだてえへんだ、親分てえへんですぜ!」
「てやんでえ、やかましい野郎め。ちょっとやそっとのことで取り乱すようじゃ、俺様や七大海嘯の皆さんのような立派なコンキスタドールにゃなれねえぜ」
椅子にふんぞり返って大量の金貨を数えていた海賊船長のもとへ、子分が泡を食った調子で転がり込んできた。だが、賞金首が捉えられてきた、という報告に慌てて船長も椅子を蹴立てて立ち上がる。
「賞金首だと!? どんな奴だ!」
「それが何かすげえデカい機械ごと、とっ捕まえたって話でさあ」
「デカい機械だと? どうやってそんなものを……」
口々に言い合いながら甲板上に赴いた船長の目に、確かに巨大な戦闘機械がごろりと転がっている様子が映った。その機械は、しかしあちこちに大きな損傷が目立ち、黒い煙を上げている。
「これはコンキスタドールの皆さん。皆さんの敵の賞金首をつかまえてきやしたんで、ここはひとつ、今後ともお手柔らかに願いてえと思いやしてね」
普通海賊が揉み手をしながらコンキスタ海賊たちに近づく。同時に、戦闘機械のハッチが軋んだ音を立てて開き、その中から、一人の女性と一人の男性が転がり出た。
「くっ……殺しなさい!」
「ああっ……ご慈悲を欠片でもいただけぬでしょうかっ……!」
対照的な言葉と共に、女と男はコンキスタ海賊たちを見上げる。紅葉とスピーリの姿であった。紅葉もスピーリも傷だらけであり血に塗れている。
──もっとも、実際に「ああっ、もっとぉ!」などと嬉しそうな声を出しながら、心配そうな普通海賊たちにボコられたのはスピーリのみであり、紅葉の血はスピーリの傷から付いたものであったが。しかし、結果的に、スピーリのその傷は非常に強い信憑性をコンキスタドールたちに与えることに成功していた。
「よし、賞金首リストを見せろ……な、なんだと、こいつはまさか、13500G!?」
船長は大きく目を見開き、紅葉のその巨額の懸賞金を二度見、さらに三度見した。UDCアースでの現代価格にして1億3500万円!
「す、すげえじゃねえか。しかしそれにしても、どうやってこんなデカブツを捕まえたんだ?」
「くっ、前の戦いで消耗し傷ついてさえいなければ、こんなことになったりはしなかったのに。女一人を皆で囲んで、恥ずかしくは無いのかしら!?」
髪を振り乱し唇を噛んで悔しそうに漏らす紅葉の言葉は、低い抑揚の中に内心の無念さが溢れるような真に迫るもの。芝居だとわかっている普通海賊でさえ、もしかしたらほんとにそうだったのかもしれない、と思いかけるほどであった。
「なるほど、棚ぼたって奴か。まあそれでもいいさ、捕まえたって結果が大事なんだからな。で、こっちの奴は?」
海賊船長のジロリとした視線を受け、スピーリはミノムシのように緊縛された姿を器用に転がして船長の足元に土下座する。
「ああっ、この世には、私まだまだ体験したい事が山程っ……どうかどうか、せめて命だけは!」
紅葉の絶妙な演技とは逆に、スピ-リのその言葉は紛れもない本心であり、芝居の必要さえないものだった。彼は心からこの世界に深い愛着を持っており、それ故に死にたくないとの慨嘆は紛れもないものだったのである。したがって、コンキスタドールたちは見抜けなかった。それが本心であったために。
「よぉし、じゃあ賞金だ、大金だからちゃんと持って行けよ? すぐに上納金として俺様たちのもとに返ってくる金なんだしなあ! がはははは!」
上機嫌で船長が巨額の懸賞金を普通海賊たちに渡した瞬間。
冷ややかな声が紅葉の唇から漏れた。それは最後通牒にも似た響き。
「ご苦労様。そして、さようなら……捻り潰しなさい、蒸気王」
ギクッと驚愕する船長たちだったが、遅い。
擱座しただのスクラップと見えていた巨大戦闘機械、すなわち紅葉の操る蒸気王が、怒りの唸り声にも似た作動音とともに、無人のまま動き出したのである。
「な、何だとっ!?」
逃げまどう隙さえ与えず、遠隔操作された蒸気王の拳が大気を割り絶つように叩きつけられる!
「グワーッ!!」
空の彼方へ、あるいは海の藻屑となって消えていくコンキスタドールたち。逃げようとする船長の足を、うねりながら絡め取ったものは、漆黒の大蛇!
「ダイ様その調子です!」
スピーリの声に応じ、バキバキと音を立てながら大蛇は船長を締め付けると、そのまま海中へと投げ落とした。ごぼりと大きな泡を立て、船長は黒き海底へぶくぶくと沈んでいく。
「ちょっと羨ましいかも……死にさえしなければですが……」
その光景を見ながらぽつりとつぶやいたスピーリの声を、あえて紅葉は聞こえなかったことにしたのだった。
RESULT:13500Gをゲット!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
あはは♪どうやって捕まったって?ボク、アクマだもん。契約を迫られちゃねー。ほら「ユニ・バンディット」ってボクのサインも入ってるでしょ?。([存在感]放つ契約書を見せながら。但し最後の「ト」は濁点抜きなので不成立)
ボクの身体でイロイロしちゃう?([誘惑])でも契約譲渡は払うもの払ってからね。
コンキスタドールを対象に【デモン・フェイカー】。賞金を貰ったら精巧なる贋作武器をボクの身体から生やして[騙し討ち]。ごめんね?手がすべちゃった♪。
溜め込んでる財貨もいただいちゃおう♪。ワルいね?所有権は既にボクの手の中だよ♪ユーベルコードで操作権を[盗み]出した、本物の財貨を宙に巻き上げちゃえ。
佐那・千之助
なんと名案。是非もらおう
海賊の皆さんに協力してもらう
または他の猟兵さんとの連携・アドリブ大歓迎
「戦いで力を使い果たした直後を狙われ、しびれ薬を嗅がされるとは…」
この戦場に来る前の戦いの汚れを落とさずに、縛られてぐったり引き摺られる
まだ魔力も体力も回復してないていで、重い首を弱々しく横へ振り
「私には残してゆけぬ大事なひとがいる。ひとりだと壊れてしまいそうな脆いひとが…」
これは本当のことなので、想い人を案ずる表情は本物
「心を入れ替えて静かに暮らすから、どうか見逃してほしい」
哀願する。…そんな私など、かのひとは好いてくれぬ気がするけれど
賞金が行き渡ったら縄を焼き切ってUC
報酬は山分けじゃよ
「ほほう、大したもんだ、二人も賞金首を?」
「へい、それもこれもコンキスタドールの皆さんのお役に立ちたいからこそでさあ」
揉み手で近づく海賊(普通の)たちを、コンキスタドールの船長は上機嫌で打ち眺める。
その視線のさらに先には、言葉通り、二人の捕虜が捉えられ、引き出されていた。
「よぉし、賞金首リストを持ってこい。ええと、こいつらは……」
船長は賞金首リストを広げて検分した。大事に扱わなければならない、このリストは『王笏』のカルロス・グリードが毎日一生懸命更新している苦労の結晶であるのだから。
「ふむ……こいつらか。ユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)、賞金は900G。こっちは佐那・千之助(火輪・f00454)同じく900Gだな。だが、本当に本物か? 本物なら大したもんだが……」
船長はもじゃもじゃ髭をなでながら、ぎろりと海賊(普通の)たちを睨みつけた。
「だが、こいつらは猟兵だ。普通の奴が手に負える相手じゃねえはずだぜ。なんたって、あの七大海嘯の皆さんでさえ苦戦してるんだからな……いったいどうやって捕まえたってんだ?」
「そりゃあ、ボク、アクマだもん。契約を迫られちゃねー」
縛られながらも、ユニはどこか暢気そうに、他人事のように答えた。輝く金糸のような美しい髪と透き通るオレンジ色の瞳は明るく宝石のように煌めいて、悪魔というおどろおどろしい名にはそぐわないようにも見える。しかし、可憐でありながらもその抜け目ない目つきは、まぎれもなく彼女が世界の裏を覗き見る魔性の存在であることを示してもいた。
「ほう、悪魔か、契約して捕まえたってことか? がはは、人を騙すのが悪魔だって聞いてたが、人に出し抜かれる悪魔がいたとはなあ!」
船長は愉快そうに哄笑を空に響かせ、海賊が差し出した契約書を手に取る。そこには確かに、『ユニ・バンディット』のサインがはっきりと書き記されていた。
「ボクの体でいろいろされちゃうのかな? 賞金を払われたらそこで契約が譲渡されちゃうからねー。ああ、心配だなあ」
悩ましく身をよじるユニの魅惑的な体に、そそるように縄が食い込む。柔らかそうな膨らみがむにゅっと形を変え、体のラインが浮き出るさまを見、船長はごくりと生唾を飲み込むと、ろくに契約書を見もせずにしまい込んだ。
「よ、よし、支払いを急ごう。で、こいつの方は……」
次いで船長はもう一人の捕虜、千之助に視線を移した。ユニと同じように美しく輝く陽光のような長い髪が、今は千々に乱れ、その端正な風貌も泥と埃に塗れてしまっている。
「私としたことが、戦いで力を使い果たした直後を狙われ、しびれ薬を嗅がされるとは、無念じゃ……」
千之助は苦しそうに息を吐きながら声を漏らした。深い瞳に昏い影を刷き、彼は嘆願するように船長を見上げる。
「私には残してゆけぬ大事なひとがいる。ひとりだと壊れてしまいそうな脆いひとが……」
その声には真実の苦悩と悲哀の音色が含まれていた。さもあろう、この言葉だけは嘘も偽りもない、千之助の魂の奥底からの慨嘆であったのだから。千之助はそのひとの面影を胸の奥にそっと抱きしめながら、苦し気につぶやく。……そんな自分を、かの人は好いてはくれぬだろうと自嘲しながらも。
「コンキスタドールよ、今後は心を入れ替えて静かに暮らすと約束しよう、どうか見逃してほしい」
「がはは、しびれ薬たあ、こいつも残念な話だな。心配すんな、お前の大事な人とやらもすぐにお前と一緒になれるさ、あの世でなあ!」
千之助の哀願に船長は馬鹿笑いで答え、嘲けると、すっかり満足した様子でくつろぎ、子分が用意した椅子へどっかと腰を掛けた。
「よし、それじゃあ賞金を持ってこい。ちゃんとな、やることやった奴には褒美を出す。これがこれからのホワイト海賊の在り方だからな」
「さすが親分! 時代を先取りしていやすぜ!」
「そしてちゃんと配った懸賞金は、俺たちが後からちゃんと上納金として取り戻すってわけだ。これがこれからのインテリ海賊の在り方ってやつよ」
「さすが親分! 時代を先取りしていやすぜ!」
頭悪いやり取りをしながら、海賊は懸賞金を運び出し、賞金稼ぎたちの前に置いた。双方900Gずつ、UDCアースでの現代価値換算にして900万円ずつという大金である。
「ちゃんと確認しろよ? あとから、少しピンハネしてたなんて言われると、カルロス様にコンプライアンス違反で俺が注意されるからなあ、がはは!」
賞金稼ぎたちはしっかりと賞金を数え終わると袋に詰め、頷いた。
「確かに、間違いなくいただきやした。……つーことで」
「うん、ということで」
「ということで、じゃのう」
賞金稼ぎたちの言葉に和したのは、コンキスタドールではなくユニと千之助。
その違和感にコンキスタドールたちが驚くより早く……朗々と詠唱が響いていた。
「『闇にありし魔の理よ、我が呼びかけに応え暴威を振るえ』!」
刹那、轟、と音を立てて大気が焦げるほどの灼炎が立ち上る! これこそ千之助の秘儀、千思蛮紅に他ならぬ! 赤々と燃え盛った地獄の炎は、きつく固く二人の猟兵を縛めていたはずの縄をあまりにも容易く焼き切った。
「何いっ!?」
仰天する間も有らばこそ。周囲でのんびりとくつろいでいた海賊たちに向け、ユニのはやした無数の贋作武器が嵐のように襲い掛かる!
「『『――我が意のままに、あらゆるものを模り生み出す。精巧なる贋作。揺らぐ真実。偽りの財貨にかき乱されて、崩れし真作が悪魔の手に堕ちる』!』
海賊たちはたちまちのうちになぎ倒され、悲鳴とともに荒海に突き落とされていく。
「ば、馬鹿な! てめえ、契約してたんじゃなかったのか! ほら、こいつを……」
船長は慌てて懐から契約書を取り出しユニに突き付けた。が、ユニは涼しい顔でクスリと笑う。
「よく見てよ、ボクの名前は『バンディッド』。そしてその契約書に書かれてるのは──『バンディット』。名前が違うから無効だよ」
「だ、騙しやがったな!?」
「キミが言ったんじゃないか、悪魔は人を騙すものだってね」
可憐な顔で魔性の笑みを浮かべるユニの隣で、千之助がゆらりと船長に詰め寄る。
「私の大事なひとをあの世に送ると言ったかえ? ……すまんがその一言、万死に値するのぅ」
おっとりとした声の中に、決して許さぬとの怒りを込めて。
千之助が放った業火が船長を包み、しかるべき報いを受けさせたのだった。
RESULT:900Gずつをゲット!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ビードット・ワイワイ
我は全賞金首の中でもトップクラスのモササウルス
違う恨まれし者
だが我の姿は何故かメカモササウルスとして大体記録されている
敵方に我の真の姿を知る者は居ないのでは?
というわけでまずメカモササウルスになる
では味方海賊諸君我を運んでくれ
ある程度までは我が動力で補助するゆえ重さの心配はあらん
我は動力を半休眠状態にしモササウルスの本能を理性で無理やり押さえつけ眠る
外装を引き剥がしヒレも壊して損傷具合を演出
UC使用中に討伐し今は動力を切ってある。その為巨体だがこれをそのまま再利用すれば戦艦としてこの上ない戦力になる上解体すれば途方も無い資源となる
という方向で話をしてもらおう
賞金さえ貰えば角から雷撃
うはうはよ
トリテレイア・ゼロナイン
…島の解放に繋がるのなら、目を瞑りましょう
●防具改造でこれまでの戦いで破損した装甲を纏い、激戦を演出
両腕を取り外し、身体の各所に太い鎖を巻き付け跪き、海賊の皆様に荷車に運んでもらって戦闘不能だと見せかけましょう
昔、UDCEの触手邪神絡みの依頼でネットワークで情報収集した際、余計な物まで見聞きしてしまったのですよね(●世界知識)
『触手 騎士 対処法』等という検索条件にしたばかりに…
なので…
味方の足手纏いになる積もりなどありません
さあ、一思いに殺すと良いでしょう!
接近した瞬間頭部格納銃器で騙し討ち
UCを展開し●操縦
辺りを切り刻みつつ立ち上がり
…色々と違う気がいたしますね
(海賊を縛りつつ)
「猟兵どもは七大海嘯さえ決して油断できぬ恐るべき相手である」
朗々と声が響く。天空のごとき威厳と帝王の気品、そして底知れぬ邪悪さを秘めた声が。その声こそは、『王笏』カルロス・グリードの声に他ならぬ。
「ゆえに、おそらくほぼあり得ぬ事態ではあるが、万が一にもこの世界の民草が猟兵を捕縛した場合、しかと賞金を支払うのだ。その事実があることにより、民が我らに積極的になびくとまでは言わずとも、猟兵への協力意思が多少なりとも弱まるであろう。それこそが戦略的大局的見地から重要である。ゆえに、今一度念を押す、必ず懸賞金を支払うのだ」
「……ってカルロス様は言ってたけどよぉ……」
海賊船船長は船長室の豪華な机に頭を突っ伏し、カルロスの言葉を思い出しながら、一人でぼやいていた。
「無理無理無理! 払えるわけねえだろ!」
「いやでも、カルロス様のご命令ですし……」
傍らにいる子分は気の毒そうに声を掛ける。のろのろと船長は頭を起こすと、船長室の窓からもう一度外を覗き、そしてまた机に頭をうずめてしまった。
「……だからってよぉ……なんであんなのが二人も来るんだよ!?」
船長室の窓から見える光景。
──そこには、3万G超えが二人いた。
「あー、……一応確認するが、そいつら偽物だとカネ払わなくて済むんだけど……」
「そりゃ本物ですよ。ていうか、こんなすげえもの模型でも作れませんよ」
物憂げな船長の問いに、賞金稼ぎに扮した普通海賊たちは心外だというように答える。それはそうだろう、彼らが引き連れてきた捕虜は、ビードット・ワイワイ(絶対唯一メカモササウルス・f02622)、そして、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)であったのだから。
ともに巨大な鋼の超越者、想像を絶する技術の結晶たる古き機神。その人知を超えた存在自体が、真贋の議論を無意味なものにしている。
「しかし、どうやって捕まえたんだ、こんなすげえのを二つも」
ビードットとトリテレイアの輝く装甲は共に破損がひどく、ビードットはヒレが損壊し外装も多くが剥がれかけている。トリテレイアも外装を大きく損傷した上に両腕が欠落し、ビードットの巨体に無造作に括り付けてあった。
……もちろん、二人とも、自分で破壊したり、あるいはかつての損傷した装甲を引っ張り出して換装したりしたものであるが。
「あー、たぶんですが、近くでデカい戦いがあったんじゃないすかね? その戦場で倒れてたのを捕まえたってわけでして」
「そっかぁ、本物かあ……じゃあ仕方ねえか……ううっ、俺の船よ、今まで世話になったなあ」
「どうしたんです?」
「賞金が払えねえから船を抵当に入れたんだよ! チクショウ!」
涙にかきくれる船長を慌てて賞金稼ぎがなだめる。
「あーでも、ほら、捕まえてきたこいつら、すげえじゃないですか? 解体すれば相当の資源に。っていうかこいつをそのまま新しい船にしちまうって手もありそうですぜ」
「むっ! それはナイスアイディア!」
途端にぱあっと顔を明るく輝かせた船長。その姿を見、ビードットとトリテレイアはネットワークの超高速通信でひそひそとささやきかわす。
(……相手は予想以上にうまく乗っているようであるな。我らは全賞金首の中でもトップクラスであったが、その資産価値が戦略的規模に達していたか)
(これは想定外の効果を上げるタクティクスでした。こうして賞金代わりに敵の海賊船を全部売らせてしまえば、以後の羅針盤戦争を有利に進めることも可能かもしれません)
然り、戦争とは実弾のみで勝敗を決するものにあらず。その本質は即ち経済の戦い、札束での殴り合いである。無理やり懸賞金を支払わせて経済的に追い詰めるというのは、そういった意味でも、素晴らしい作戦だといえるだろう。きっと。
……あまり正義の味方側がとるような手ではないが。
(……まあ、これも島を開放し、世界を救うためです。目を瞑り、是としなければなりませんね)
(然り。何事も世界のためであるがゆえに、堂々と懸賞金を騙し取るべし)
そんな悪だくみが交わされているとも知らず、可哀そうな船長は一転上機嫌になり、ビードットとトリテレイアの現状を観察する。
「ふむふむ、結構傷んではいるが、まだ使えるだろう。こいつを俺様の船にして、こっちで武装を強化する。そうなれば、一躍七大海嘯の仲間入りだって夢じゃねえぜ!」
楽しそうに夢見ている船長のもとへ、子分たちが全員掛かりで膨大な懸賞金を運び込んできた。その総量だけで海賊船がぐらりと揺れるのではないかと思えるほどの莫大な財宝である。仮に金貨1枚が15グラムほどとして、概算で1トンを軽く超える重量だ。
その金額、ビードット・ワイワイ、36000G。
トリテレイア・ゼロナイン、31500G。
総額67500G、UDCアースの現代価格換算で6億7500万円也。
「さあ持ってけ! ちゃんと、コンキスタドールから賞金もらいましたって噂を広げるんだぜ? そいつがカルロス様のご命令だからな」
「へえ、確かに頂きました。ですが、もってけって言われても、この量はなかなか……」
「そういわれればそうだなあ……おお、いい考えがある、そいつに括り付けて持っていけばいいんだ」
船長はパンと分厚い手を打つと、得意げに命じた。……ぷかぷかと浮いているビードットのボディに金貨の袋を括り付けるようにと。
(……ええと。手間は省けたであるが、なんかこれ、いいのであるか? ちょっとチョロく行き過ぎて、相手が哀れになってきたであるが)
(戦争は非情です。この哀れさを乗り越えて我々も未来へ進まねばなりません)
(そっかーそうであるなー)
(そうなのです)
そういうことになった。
「親分、準備終わりましたぜ!」
その時、子分の声が響いた。それが終焉への引き金となる声が。
「うははははー! 賞金さえいただけばもうこちらのもの! 三文芝居の幕は降ろすのである! さあぶち食らうべし!」
「ではフィナーレとさせていただきましょうか」
次の瞬間、二機のウォーマシンが起動した。超古代の超越文明の遺産、想像を絶するテクノロジーによって生み出された恐るべき鋼の怒りが大海原を振るわせ、荒波を蹴立て、竜巻を起こし、そして懸賞金を分捕るために!
「『実行仮想破滅・七海征する最新にして古代の龍(アクセス・イマジナリールーイン・メカモササウルス)」―!」
「『収納式ワイヤーアンカー・駆動出力最大(ワイヤーアンカー・ヒートエッジモード)』」
おお見よ、ビードットの天空に聳え立つ角から放たれた雷霆が、大気を引き裂き荒れ狂って、海賊船を焼き払い、打ち砕き、微塵と化す!
その傍らではトリテレイアが立ち上がり、収納された全武装を展開、烈火の塊となって全方位を無差別に乱射! 乱撃! すべてを破壊しつくす!
「ああああ! 俺の船が! 抵当に入れたのにこれじゃ台無しだー!」
悲痛に叫ぶ船長の声は、無情にも逆巻く波間に飲まれ、こだまとなって消えていったのだった。
「うむ! めでたしめでたしであるな!」
「……何か違う気がいたしますね……」
RESULT:36000Gと31500Gをゲット!
大成功
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リーヴァルディ・カーライル
『…へえ、面白そうね。良いわ、受けましょう、その依頼』
…リーヴェ、貴女また勝手に出てきたの
吸血鬼人格の分身を賞金稼ぎ役、自身が捕虜役になり、
"写し身の呪詛"に魔力を溜め武器改造
捕虜になった自身の残像を身に纏い、
同じ顔のリーヴェにも男の海賊の残像を被せる
『不細工は嫌よ?どうせなら金髪で、黒眼鏡をして、
身長177cmぐらいで、怪しい雰囲気の…』
…どうして、そんな乗り気なの、貴女
『七大海嘯に逆らう愚か者を連れてきましたよ、旦那』
…っ、離しなさい!汚い手で私に、触らないで!
『ご覧の通り、まだ騒ぐ元気があるのでご注意を
最も武器も無しに何も出来ないと思いますけどね』
…等々、芝居をして賞金を受け取り反撃する
カツミ・イセ
僕の神様は言ったよ。『使える手は、全て使いなさい』って。
僕は、この世界を守りたいからね。
できるだけ屈強な見た目の海賊さんに、協力してもらうね。僕が賞金首役だよ。
ほら、幼女だから簡単に捕まったってなるでしょ?
しかも、しっかり賞金かかってるからね!
縛られながら「こらー!放せー!放せったらーっ!」ってじたばた駄々こねてみるよ。
え?絵面が何か問題?うん、その点は、あとでごめんなさいするよ。
戦闘が始まったら、海賊さんには【秘密基地】に避難してもらおう。お疲れ様ー。
『偽装皮膚』を解除して、武器として展開。海賊船出される前に、締め上げちゃえ。
「賞金を騙し取る依頼……お金が目的ではないけれど……」
『……へえ、面白そうね。良いわ、受けましょう、その依頼』
考えかけたリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の思考を途中で言葉が遮る。その声の主を、リーヴァルディは細く華奢な肩を竦めて眺めた。
「……リーヴェ、貴女また勝手に『出て』きたの?」
語りかける相手もまた同じく美しい姿のリーヴァルディ、正確に言えば吸血鬼人格の分身リーヴェである。もともとは血の一滴、髪の毛の一本を触媒にして作る分身だが、時折こうして楽しそうな事件には自ら首を突っ込んでくるのだ。
「私はまだ決めたわけじゃ……」
『私が決めたわ。今決めたわ。もう決めたわ。いいじゃない、行きましょうよ』
くすくす、と可憐に無邪気に笑いながら自分の手を引いていくリーヴェに、リーヴァルディは、やれやれと細い首を振りながらついていくのだった。
「僕の神様は言ったよ。『使える手は、全て使いなさい』って」
一方、カツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)もまた、この依頼に参加する意思を決めていた。神の子機という出自を持つミレナリィドールである彼女に取り、金銭欲というものは縁が薄い。けれど、金銭を必要以上に蔑むつもりもない。それに縛られる必要はないが、それがあれば自分の可能性もまた増える、そうしたものが金銭だという感覚は、一般の「神様」であれば持ちにくいかもしれない。しかしカツミの「神様」はもともと人であった。人であったがゆえに、良きも悪しきもすべて併せ呑む度量を有している。
「それに、僕は、この世界を守りたいからね」
くすっと笑うカツミ。今回のコンキスタドールも、やはり世界の人々を苦しめ、その脅威となっているという点では同じ。ならば倒さねばなるまい。
以上二つの点から、カツミは依頼に参加すると決めたのだった。
「……あと、面白そうだし?」
──実はこれが一番の理由だったかもしれないが。
『不細工は嫌よ? どうせなら金髪で、黒眼鏡をして、身長177cmぐらいで、怪しい雰囲気の……』
「……どうして、そんな乗り気なの、貴女……」
はあ、とリーヴァルディは何度目かわからないため息をつく。リーヴェを賞金稼ぎ役として姿を変えさせ、リーヴァルディを引き立てていこうという目論見だったが、リーヴェの美意識はゴツい賞金稼ぎを許さなかったのだ。結果、十数項目に及ぶ発注書を作り上げ、事細かにリーヴァルディに注文をつけている凝りようだった。
『この角度から見たらちょっと髪のウェーブが緩いかしら。あと、サングラスもこの形よりはもう少しシャープにしたいわね。もちろん美形があえてワイルドなデザインをチョイスするというのも素敵よ? でも今回の場合は……』
「……だから、どうしてそんな超乗り気なの、貴女」
「んー、僕の方はあなたに捕まえてもらおうかな、よろしくね海賊さん」
一方、リーヴァルディと合流したカツミの方は、リーヴェとは逆に、あえて屈強な風貌の海賊を賞金稼ぎ役として選んでいた。
「俺でいいのかい? あっちの嬢ちゃんみたいに、かっこいい奴のほうが良くねえか?」
「んー、それは捉え方の問題だね。僕の場合はさ、こういうちっちゃい女の子でしょ。そこを強調していきたいムーブなんだよね。そうすると、逞しい男の人のほうが並んだ時にギャップが強調される。そういう方向で攻めてみたいかなって」
「……なんか難しくてよくわかんねえが……そういうもんなのか」
「そういうもんなんだよ、ふふ」
くすくすと笑いながら、カツミは手を後ろに回し、ウインクしながら自分を縛らせ始める。
「まあ、この絵面はちょっと問題かもしれないけどね?」
「絵面? やっぱ、よくわかんねえな……」
この海賊さんは逞しい体に似合わず、意外に純朴なのだった。
かくして準備が整った二人の猟兵はそろって海賊船へ引き立てられることとなる。
「……っ、離しなさい! 汚い手で私に、触らないで!」
リーヴァルディの悲しげな、それでいて決して希望を捨てず未来をあきらめない強い意志を込めた叫びが響く。その澄んだまなざしは厳しく光り、艶めく唇は固い意志を示してきゅっと結ばれる。
「こんなことくらいで、私は決して、屈したり、しないわ!」
そんなリーヴァルディを見ながら、リーヴェは心中でそっとつぶやくのだった。
‘(……貴女の方もたいがいノリノリに見えるのは気のせいなのかしら)
そしてカツミもまた、じたばたと反抗する姿を見せつつ連行される。
「こらー! 放せー! 放せったらーっ!」
「ちっ、活きのいいガキだ。コンキスタドールの旦那方、こいつらが賞金首ですが、どうぞ気を付けておくんなせえ」
「ほう、なるほどな」
船長は二人の猟兵を見ながら賞金首リストを調べていく。
「こいつが900G……うおっ、こ、こいつは……37200G!? ちょっと待て、37200!?」
UDCアースの現代価格換算にして、カツミは900万円。リーヴァルディは実に3億7200万円である。
「ど、どんだけ暴れたんだ、この小娘……」
『ええ、そりゃもう言葉にできないようなあんなことやこんなことを』
「ちょっとリーヴェ!?」
声を出そうとしたリーヴァルディの口を慌ててリーヴェが押さえつけ、もがもがとする彼女を押さえつけながら言う。
『ご、ご覧の通り、まだ騒ぐ元気があるのでご注意を。最も、武器も無しに何も出来ないと思いますけどね』
「こっちのガキも、早いとこ受け取ってくださらねえと逃げられちまうかもしれねえです」
「そうだー! 早くしないと、僕逃げるぞー!」
リーヴェとカツミ係の海賊が口をそろえ、船長も二人の様子を見て、早めに懸賞金を渡し、身柄を受け取った方がいいと判断したようだった。あわただしく巨額の懸賞金が用意され、リーヴェと海賊に引き渡される。
「よし、ご苦労だったな。今後もコンキスタドールのために忠勤を尽くせよ」
満足げに船長が言い終わった瞬間。
「じゃ、お芝居はここまでだね!」
『ふふ、楽しかったのだけれど』
カツミの偽装皮膚が解除され、武装が一斉に展開されて、カツミとリーヴァルディを縛めていたロープが容易く切り裂かれる。
「はい海賊さん、危ないからここに入っててね、お疲れ様―」
カツミは賞金稼ぎ役の海賊を自分のユーベルコード『秘密基地』に収納すると、きらりと大きな瞳を輝かせ、目を丸くして動けないコンキスタドールたちに向き直る。同時、リーヴァルディとリーヴェもまた戦闘態勢を取り、舞うように艶やかに、驚愕してなすすべを知らない敵陣へ突入していった。
「……小さな女の子の持ち物の中に入れてもらう、か……」
外界で大騒ぎとなっているころ、「秘密基地」の中に収納された海賊さんは、どこかきゅんとした感覚を覚えていた。外側から遠く、ぐえーとかぐわーとかコンキスタドールたちの悲鳴や爆音破裂音その他の喧騒が聞こえてくるような気もしたが、気にしない。
「何か、いいかもしれねえ……」
……さっきまで純朴だった海賊さんに、ちょっとだけ妙な性癖を付けてしまったかもしれないことを、カツミはまだ知らない。
RESULT:37200Gと900Gをゲット!
大成功
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外邨・蛍嘉
【馬県さんち】
人格:クルワとしての行動。武器は妖影刀
こっちの普段の関係性:手合わせ相手
賞金稼ぎ役デス。
ワタシは髪先が水のようになってマスカラ、セイレーンのふりをシマショウ。
義透の黒燭炎を預かってマスヨ。
相手が武バカで直線的なのが助かりマシタ。
エエ、挑発していなし、罠にて捕らえマシタ。
血流阻害しない程度に、しっかり縄も縛ってマスヨ。
ああ、この武器はワタシがこのままもらい受けようかと。
サテ、賞金貰いマシテ。素早く藤流しを投擲、縛ってる縄を切りマショウ。
黒燭炎を投げ渡し、一斉攻撃を。
…長口上だから、割り込まれるんデスヨ。
馬県・義透
【馬県さんち】
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎(クルワ預かり)
相手との普段の関係性:手合わせ相手
賞金首役。わりと額高めであるし、ちょうどよい。
たまにはこういうのもよいであろ。
見えるところに、怪我のような化粧も施して。
ふん、武バカで悪かったな!(半分本当)
だが、捕まったのならば仕方なし、観念したふりにて。
縄が切れたら、怪力にて残りの縄を破り、黒燭炎を受け取ろうかの。
一斉攻撃よ。なぎ払いで体制崩し、二度目に指定UCよな。
…うん、長口上の最中、すまんな。聞いてやる義理はないのだ。
「ほほう、なるほどな。なかなかに大した面構え、俺様ほどの立派なコンキスタドールになりゃあ、こいつが只者じゃないってのは一目でわかるぜ」
もじゃもじゃとしたあご髭をなでながら、海賊船船長がじろじろと値踏みするように目の前の捕虜を見る。縛り上げられて連れてこられたのは、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)。彼を引き立てているのは外邨・蛍嘉(雪待天泉・f29452)であった。
「どれ、賞金は……うお!? 12300G!? す、すげえ大物じゃねえか……俺の目に狂いはなかったぜ」
「さすがですぜ、親分!」
賞金首リストから義透の顔を見つけ出した船長は目を丸くして驚き、それをほめたたえる子分たち。実際、固有名詞さえ与えられていない程度のコンキスタドールではあるが、同時に船長は手勢を率いる一部隊の長でもある、それなりの見識は有しているのだ。
(まあ、そういわれるとわしも悪い気はせんな)
義透は自分への高い評価に、思わずふふん、と満足げな表情を浮かべかけ、慌てて「いかんいかん」と首を振る。もっとも、濃い怪我の化粧を施した義透の表情の変化に気づく者はいなかった。……あるいは、それは常に眠ったような眼の義透目のためであったかもしれないが。
「んで、おめえは……セイレーンか? これほどの奴を、よくも捕まえてこれたもんだな」
船長は蛍嘉に向き直る。今の「彼女」は本来の姿ではなく、クルワと呼ばれる鬼の姿を取っていた。透き通るような青い髪をなびかせた姿に。
「相手が武バカで直線的なのが助かりマシタ。エエ、挑発していなし、罠にて捕らえマシタヨ」
「ふん、武バカで悪かったな! ……(というか、おい、多少その言い方には引っ掛かりもあるぞ)」
捕虜役を演じつつも、義透はぼそぼそと隣の蛍嘉に文句をささやく。
(でも半分は合ってマスヨネ)
(武とは無念無想、一の太刀にすべてをかけて思い残すことなく振るうものじゃ。まっすぐに一直線なのはむしろ我が本懐、誉とするところよ)
(さて、それは考え方次第デスネ。相手の注意をそらし、気を引き、もって隙を作り太刀を振るうのもまた武の神髄ではナイデショウカ。古人曰く、兵は詭道ナリト)
(いや、それはあくまで技巧の話じゃ、わしが言うておるのは心がけ、士道であって……)
「お前ら、何ごしょごしょ話してんだ?」
ささやき話ながらつい武術談議に夢中になりかけた義透と蛍嘉の姿に、眉をしかめながら船長が突っ込む。二人は良き手合わせ相手であり、こうして武談に花を咲かせるのもしょっちゅうのことではあったのだが。
「ああイエ、捕まえた時の話をしてオリマシテネ。まあ、こうなってしまってはもうおしまいデショウ」
「ふん、だが、捕まったのならば仕方なし。士は覚悟が肝心よ。どうとでもするがよいわ」
観念したように目を閉じる義透。もっとも彼の目はいつも閉じているようだが。
「まあいい、確認はできたから、今賞金を持ってこさせよう。……ん?」
船長は子分たちに賞金を運び出すよう命じながら、蛍嘉の手にする黒い槍を目にとめた。最初は蛍嘉の武器かと思っていたが、よく見ると蛍嘉は自分の刀を既に帯びている。
「そいつはどうした?」
「ああ、これは、この捕虜の武器デシタが、ワタシがこのままもらい受けてもいいデスヨネ?」
「武器か……ほんとなら身ぐるみこっちに渡してもらいてえところだが、まあいいや。役得ってことで、好きにするがいいぜ」
大物賞金首を捉えて上機嫌の船長は特に深く追及することもなく、子分たちに向き直る。
「おめえら、見ての通り、かなりの大物を捕まえることができた。これもみんな、おめえらのおかげってもんだぜ。今まで苦労を掛けたが、これで俺も出世できる。おめえらにもいい暮らしをさせてやれるってもんだぜ。だがこれに満足しちゃいけねえ、人は向上心を失ったら終わりだぜ。これからもどんどん手柄を立てて、ゆくゆくは七大海嘯にまで上り詰める、それくらいの野心を持たなくっちゃいけねえ。……おお、賞金が来たな、そこへ置いときな。そのためにどうすりゃいいかってとだ……」
延々と海上に流れゆく船長の感動の演説に、子分たちも目に涙を浮かべて聞き入っている。そのため、気づく者はいなかった──ぷつんぷつんと義透を縛った縄が切れていく音に。
「何というかじゃな……過去の亡霊たるはずのコンキスタドールが未来の展望を語るというのも、見ていて不思議な気持ちじゃのう」
「まあ、自分たちだけの勝手な計画デスノデ、本当の意味の未来ではないデショウネ。さて、さっさと片付けてしまいマスカ」
「合点じゃ! 賞金も無事いただいたことだしのう!」
蛍嘉からひょいと投げ渡された黒い槍、黒燭炎を手並み鮮やかに掴み取り、義透はりゅうと槍をしごいて向き直る。同時、蛍嘉もすらりと妖影刀を抜き放った。
「いいか、イノベーションだ。意識を高く持て。俺はどうせここまでしかできねえ、とか、そういう心持じゃいけねえんだ。昨日より一歩でも遠く、高くだな……」
「いいこと言ってマスが、続きは骸の海でドウゾ。……長口上だから、割り込まれるんデスヨ」
「長口上の最中、すまんな。聞いてやる義理はないのだ」
船長の演説を断ち切って、踊りこんだ蛍嘉の刀が風を切って唸り、黒い破滅を巻き散らす! 義透の槍が轟と竜巻のように振り回され、並みいる海賊どもを次々となぎ倒していく! 共に武を極めた二人の達人が容赦なく振るう刃の嵐に、すっかり油断しきった海賊たちが立ち向かえるはずもなし。
「ぐわあああ!?」
悲鳴を上げて転がり、空高く吹き飛ばされ、あるいは甲板から海中へゴミのように叩き落とされていく海賊たち。
その姿を見ながら、義透と蛍嘉は同じ結論にたどり着き、頷きあっていた。
「まあ、武の道に一番大切なのは、じゃな」
「油断や慢心をしない、ということデスヨネ」
よき反面教師となってくれた海賊達に手を合わせて感謝しつつ、二人はしっかりと賞金を手に取り、凱歌をあげて引き上げるのだった。
RESULT:12300Gをゲット!
大成功
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エインセル・ティアシュピス
【ワンダレイ】アドリブ歓迎
ぼくがしょーきんかせぎ……はみんながうたがわれちゃうから、つかまったがわになるね!
やのといっしょにるいすとかんちょーにつかまるよ。
「にゃーん……こわいよう、ぼくどうなっちゃうの……?」
みたいなかんじでだいじょうぶかにゃ?
(耳としっぽをぺたんとさせてそれっぽくして)
おかねもらったらやのがこうげきしてるあいだにぼくは【指定UC】でおともだちをよぶね!ねこになるからロープもへっちゃらだよ!
てきさんはみーんなくしゃみがとまらなくってたたかえなくなっちゃうとおもうにゃーん。
ねこのすがただけど、いざとなったら【破魔】の【全力魔法】でこうげきするし、【結界術】でみんなをまもるよ!
ルイス・グリッド
【ワンダレイ】で参加
アドリブなど歓迎
賞金稼ぎ役
アルフレッドは演技中だとボス、普段は艦長と呼ぶ
捕虜役は演技中は名前を呼ばず、普段は名前の左で呼ぶ、
うるせぇ、黙って来い!
まずは金からだ、ちょろまかされたら堪らねぇ
こいつらの身柄だが…誰が渡すか
俺も賞金首だし長髪のウィッグを被って【変装】し下っ端の賞金稼ぎのように【演技】
賞金を貰った後に銀腕を【武器改造】で剣にして敵を【不意打ち】
あとは指定UCで銀腕の範囲を広げて【怪力】【範囲攻撃】【鎧無視攻撃】で攻撃する
敵が逃げ出そうとしたら【ダッシュ】【悪路走破】で追いかけて切る
アルフレッド・モトロ
【ワンダレイ】
ルイスと一緒に賞金稼ぎ役だ!
俺は見た目が深海人っぽいし
現地人になりきれば
相手も特に疑わねぇだろうと思うんだよな
【捕縛】技能を使って「しっかり捕まえているように見えるが実はアッサリ解けやすい縛り方」で夜野とエインセルを捕縛したフリをしたい
エインセルに対し
「どうなるかだあ?お前らはここで死ぬんだよォ!」
と最大限に悪役っぽい雰囲気を演出
ノリノリである
賞金を受け取ったタイミングを見てUC発動
長口上とやらが終わる前に【ダッシュ】で駆け寄り
蒼炎を纏わせた【ワンダレイアンカー】を【怪力】で思い切り叩きつける
口上の途中で攻撃するのはご法度だが
世界を守るためだ仕方ない!!
尾守・夜野
■ワンダレイ
捕まったふりする側
名前はアルフレッドのみ船長呼び
他は名前の左側呼び
演技中はてめぇとかだけで名前は呼ばん
■行動
とりあえず普段なら刻印から取り出してるパーツで埋めている所…つまり腕やら脇腹やら足部分のパーツを外しておこう
長時間ならちとまずいが演技するくらいなら…
適当に泥とか顔につけ
血も…まぁ包帯とれば元から滲んでるし(演技・変装)
「くそっ離しやがれ!
こんな事してただですむとは思うなよ…!
てめぇら皆殺しにしてやる!」
仲間を除いて皆殺しにするから嘘はいってない
ガルガル唸り反抗的な捕虜を演じよう
まぁ腕とかないから口だけにしか見えんだろ
仲間が賞金貰ったら即座にUC発動で攻撃
アドリブ歓迎
海賊船長は眺める。じっと眺める。
「にゃ、にゃーん?」
縛り上げられておどおどとしている姿さえ愛らしい、純白のエインセル・ティアシュピス(生命育む白羽の猫・f29333)の可憐なたたずまいをじっと眺める。
次いで、目を移し、きっちりと縛められたもう一人の方をジロリと見つめる。すなわち、尾守・夜野(墓守・f05352)を、矯めつ眇めつ。
「……んだよ、なんか文句あんのかコラァ!」
夜野の罵声も聞き流しつつ二人をじっくりと比べ見てから、船長は不可解げに、もじゃもじゃ髭の生えた顎に手を添え、首を捻った。
「どうもよくわからねえ。こっちの人畜無害っぽいぬいぐるみみたいな奴と、こっちのヤバそうなやつがつるんでたとは思えねえんだがなあ?」
確かにもふもふで愛らしく、見るものにきゅんきゅんするような衝動を与えるエインセルと、四肢の一部が欠損し、血まみれの凄絶な姿の夜野とでは、あまり仲間と言ってもピンとくるものではない。だが、そんな船長の言葉をニヤリとした笑みで受けて、賞金稼ぎ──すなわちアルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)は動ぜずに言う。
「猟兵ってのはそういうもんだ、わけわからねえくらいに色んな種族や外見の奴がいるもんさ。疑わしかったら調べてみな」
「ああ、ボスの言うとおりだ。とにかくこいつらは間違いなく猟兵だ。ったく、手間取らせやがってよ」
もう一人の賞金稼ぎことルイス・グリッド(生者の盾・f26203)も忌々しそうに二人の捕虜を軽く小突き、いらいらとした口調で吐き捨てた。
「んだとてめえ! くそっ、離せ! 離しやがれ! こんなことしてただで済むと思うなよ!」
夜野が縛られていながらも未だ諦めていないギラギラした目つきでルイスに食って掛かり、それにルイスも激しく応じた。
「うるせぇ、黙ってろ! 無様な負け犬がギャンギャン吠えてんじゃねえぞ!」
「誰が負け犬だ! 薄汚えコンキスタドールなんぞの飼い犬になり下がった奴よりよっぽどましだぜ!」
その言葉に今度はアルフレッドもピクンと耳をそばだて、ぎろりと目を剝いて突っかかった。
「聞き捨てならないな、飼い犬とは何だ! ただ単にこいつらを利用して金を稼いでるだけだぜ! おまえらとは頭の出来が違うってだけだ!」
さらにさらに、この喧騒に、エインセルがおびえてぺたんと耳や尾を伏せ、にゃーにゃーと鳴き声を上げ始める。
「にゃーん……こわいよう、ぼくどうなっちゃうの……?」
「この三下賞金稼ぎどもが!」
「うるせえ、てめえはもう終わりなんだ、黙ってろ!」
「あとで吠え面かくな、てめぇら皆殺しにしてやる!」
「そんな体で何ができると思ってるんだ。お笑い草だな!」
「にゃーん、怖いよぉ……!」
喧々囂々。
侃々諤々。
すったもんだ。
とにかくものすごい勢いで罵声と怒声と悲鳴とが飛び交い、海賊船の甲板上は蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。海賊船の巨大な帆さえあまりの騒ぎにびりびりと震えてはためき始めるような錯覚さえ覚えるほどに。
……無論それは芝居であったが、それはそれとして全員がめちゃくちゃ気合の入った演技であった。これはもうアカデミー賞級といっても過言ではないだろう。っていうか単に全員ノリがが良すぎるというだけの話かもしれないが。
「……ええい、てめえらうるせえええええ!!!!」
あまりにも収拾がつかなくなりかけた海賊船上で、ひときわ巨大な声量が海の上はるかにまでとどろく。それは海賊船長の怒声だった。
「いい加減にしやがれ! 耳がおかしくなりそうだぜ!」
一瞬静まり返った船上だが、すぐに夜野がニヤリと皮肉気な笑みを浮かべて賞金稼ぎたちに向き直る。そう、ストップがかからない限り芝居は止まらないのだ。素晴らしいアドリブ根性である。
「おうおう、怒られたねえ。おめえらがすり寄ってるコンキスタドール様に怒られた気分はどうだ?」
「誰がすり寄ってるだと!? それにそもそもてめえがたてつくからじゃねえか!」
「そうだ、捕虜は捕虜らしくおとなしくしていろ!」
「にゃーん、みんな大きい声怖いのー!」
ああ言えばこう言う。
売り言葉に買い言葉。
甲論乙駁。
また大騒ぎになりかけたところで、再び船長が怒鳴る。
「だからいい加減にしやがれえ!!!」
広い大海原で鍛えた大声量は全員の耳をつんざき、ぴたりと静まり返った。そこで、船長は腰に手を当て、全員を見回す。
「いいかてめえら、まず猟兵ども。つかまっちまった以上はもうしょうがねえんだ。勝敗は兵家の常っていうだろ。戦いに身を置く以上はいつかこういう目に遭っても仕方ねえ、そういう覚悟を持っているのが大事なんだぜ。まあおめえらも武運拙く今日はこういうことになっちまったが、心を落ち着けて静かに最期を受け入れるんだ。いいな?
それから賞金稼ぎども。もう勝敗がついた以上は、これ以上捕虜をなぶったって意味がねえだろう。おめえらは金を受け取る、俺たちは捕虜を受け取る、それだけのビジネスライクな話で、いわばこの猟兵どもは俺たちとてめえたちの間の商品。商品と喧嘩する商人なんざいねえんだぜ」
……なんか演説が始まっていた。
そう、お忘れかもしれないが、この海賊船長の使うPOWユーベルコードは「海賊船長の長口上」である。調子に乗ると延々と長話を始める系のボスキャラなのだった。
(……あー……どうする艦長、なんか変な流れになってきたが)
(まあ、いいんじゃねえか? 相手も気分良さそうだし。しかし意外といいこと言いやがるなこいつ……あとでメモっとくか)
ひそひそとささやきかわすルイスとアルフレッドの様子も目に入らないようで、海賊船長はさらにオンステージな感で演説を続けていく。その言葉に、海賊船に並み居る子分たちもみな目を潤ませ、鼻を啜り上げて感動していた。
(にゃーん、この海賊さんたち、いいひとかも?)
(いや本気にするな! コンキスタドールなんだぞ、自分の都合のいいような言ってるだけだからな!?)
エインセルまでがうっかり巻き込まれかけている様子に、夜野が慌てて制する中、ようやく海賊子分たちが懸賞金を運び込んできた。
「おお、ご苦労。ええと、そっちのぬいぐるみみたいなのが5400G、そっちの喧嘩っ早そうなのが5700Gか。確かに、両方ともかなりの大物賞金首だな。よし、しっかり確かめて持って行けよ。ところでだ、この大金を獲得しておめえらがこれからどう生きるか? それが大事になってくるんだぜ。湯水のように使っちまうだけじゃあだめだ、大事に貯蓄し、自分に投資し、将来のために……」
またトンチキな演説が違う方向に行きかけたところで、アルフレッドがニヤリと笑う。
「コンキスタドールの旦那、これじゃ、まだ足りないぜ」
「ん? いや、それで金額は合っているはずだぞ。ちゃんと毎日カルロス様が更新したリストを送ってきてくださるんだからな、間違いねえ」
くっくっ、と今度はルイスがほくそ笑み、ばさりと長髪のウィッグを投げ捨てた。
「俺たちの分の賞金が足りないのさ! 艦長は4800、俺は10800、さあ耳を揃えて出してもらうぜ!」
「何っ!? てめえらは!?」
それこそが開戦の合図! はらりと捕虜を縛りあげていたはずのロープが解け落ち、猟兵たちは各々武装を展開して一斉にコンキスタドールたちのもとへ殴り込んだ!
「こ、こいつらも猟兵!?」
慌てて迎撃しようとする海賊達だったが、しかし。
「はっくしょん! びゃああっくしょん! ずびずばー! な、何だこれは、はっくしょおおぃ!!」
なんたることか、全員が派手にくしゃみ鼻水目のかゆみ涙の諸症状を訴え始めた! 季節に早い花粉症か!? 否! これこそエインセルの恐るべきユーベルコードによる強制猫アレルギーである! いやマジにこれは恐ろしいと思う! エインセルは可愛らしい姿でちょこんとすましているだけだが。
「てきさん、みーんなたたかえなくなっちゃったにゃーん」
「いつもながら可愛い顔して致命的な技だよなそれ……だが、可哀そうだがこれも世界を守るためってな! いくぜ!」
アルフレッドが走りこみ、溟獄の蒼き炎を纏わせたアンカーを敵中に思い切り叩きつけた。揺らめき燃え上る炎が海賊船の帆に燃え移り、轟と音を立てて青白く凄絶な巨大キャンドルと化さしめ天を衝く! それはあたかも海賊船自体の立てる断末魔の悲鳴の如し!
「言ったよな、てめえら皆殺しだってよ! うふふ、逃げないでね。っていうか逃がさないけど!」
次々に人格を入れ替えつつ舞うような剣閃が宙に軌跡を描き、夜野の前に立ちはだかる不運な敵を切り立てていく。暴嵐の前の木の葉のように、為すすべもなく追い散らされ海中深く叩き込まれていくコンキスタドールたちに、夜野の哄笑が響き渡る。
「騒がしいぜ、わめいたらダメだってお前らの船長さんがさっき演説ぶってただろ?」
そして皮肉に笑うルイスの銀なる右腕は終焉をもたらす刃となって光り輝く。周囲一面を薙ぎ払う死の旋風はコンキスタドールたちをまとめて骸の海へと送り返すために。海賊船もろともに叩き割るほどの暴戻が、軋んだ船体を見る見るうちに刻み、砕き、打ち破っていく。
「ぐう……なんということだ……これも俺様に隙があったということなのか。これを深き反省材料とし、今後の海賊活動に活かしていく所存であり……」
「演説はもういいって!」
倒れながらなおも言いつのろうとした海賊船長に、あきれたように肩を竦めたアルフレッドのとどめの一撃がガツンと炸裂した。きらーんと遠い空の彼方のお星さまになった船長へ、アルフレッドは唇の端を釣り上げて笑う。
「ま、同じ船の長として、いろいろと参考になったぜ」
「えー。艦長、これから演説癖をつけるなんて言わないよな?」
ルイスの言葉に再び賑やかな騒ぎが、しかし今度は和やかな笑いとして起こる様を、船上に残された金貨の山がキラキラと輝きながら見つめているのだった。
RESULT:4800G・10800G・5700G・5400Gをゲット!
大成功
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ナターシャ・フォーサイス
【聖影】
えぇと…これは使徒としていいのでしょうか。
先日の焼肉の一件も思い出してしまいますし、使徒的にはアウトな気も…
ひとまず、それがかの哀れな魂を導くことになるのなら。
天使達を呼び、ティノさんの鎖で我々を捕えさせましょう。
多勢に無勢、我らの力をもってしてもこの数には太刀打ちなどできないのです。
…などとまぁ、演技してみましょう。
実際、この数を相手では骨も折れますしね。
捕まっても悠々としている?
使徒なのですから、焦ることなどないのです。
賞金が来たら、今度は彼らを導く番。
天使達と共に【高速詠唱】【全力魔法】【範囲攻撃】【焼却】の聖なる光を以て、海賊船諸共導きましょう。
賞金…また焼肉、でしょうか(
ティノ・ミラーリア
【聖影】
敵の金を掠め取る…デビルキングワールドで、魔王の金で焼肉を食べたときみたいだ。
活動資金を削ぐのも戦術の一つだから…どう使おうとセーフじゃないかな、せーふ。
≪支配の鎖≫で生成した鎖でUCを封印しない程度に、自分とナターシャを拘束。
鎖はナターシャの召喚した天使に持たせ、現状に不服そうな表情で二人が捕虜になったと見せかける。
賞金が出てきたところで合図を送りながら一旦UCを解除、拘束を霧散させる。
「槍影」の【串刺し】で【先制攻撃】しながら≪支配の鎖≫を再発動。
「纏影」で守りつつ敵を拘束・無力化し一方的な【蹂躙】を行う。
さて…この賞金は何に使おう?
二人の賞金を合わせれば、比じゃない贅沢が出そうだ
「また焼肉ですか?」
「また焼肉」
ナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)と、ティノ・ミラーリア(夜闇を伴い・f01828)の二人は顔を見合わせ同じ単語を口にした。
「いやでも、そういつもいつも焼肉というのも。それに、敵とはいえ人を騙してしまうというのも、使徒的にはアウトな気も………」
ナターシャが、うーん、と細い顎に指をあてて考え込む。その肩をとんと叩いて、ティノは表情を変えずにさらりと断言した。
「活動資金を削ぐのも戦術の一つだから……結果として得た資金をどう使おうとセーフじゃないかな、せーふ。焼肉的にせーふ」
「焼肉的にですか」
「焼肉的に」
その言葉の強さはナターシャをして納得させるに十分だった。肉の表を焼くものは進んで裏も焼くべしという言葉もあるような気がするし。
それにまあ、親しき友との絆を深めることは使徒としても悪いはずはない。力を合わせて同じ料理を作り上げるという意味で、焼肉は確かに人と人とを繋げる尊い力を秘めているといっていいだろう。さらに、シンプルな料理であるがゆえに談笑の余裕もあるという点で、焼肉はまさに素晴らしいコミュニケーションツールでもある。であれば、むしろ積極的に焼肉し、焼肉によって愛を広めていくというのはむしろ使徒として奨励されるべきことかもしれない。そうに違いない。
ということで、二人は焼肉をするために海賊たちを騙しに行くことに決めたのだ。
「……目的が変わっているような?」
「気のせいだよ」
ふと浮かんだナターシャの疑問に、ティノはあっさりと答えるのだった。
「こいつが2400Gと、……おいおい、こいつは13200Gか! こいつは大物だ、良く捕まえてきたじゃねえか」
海賊船の船長は上機嫌で二人の捕虜を迎えた。二人を縛めているのは強靭な鎖、そしてその先端は宙に浮かぶ天使たちがしっかりととらえている。
もっとも、天使が賞金稼ぎというのはさすがに設定的に難しいだろうと考え、二人は普通の海賊の皆さんに応援を頼んでいた。だが、それはそれでまた問題が発生する。
「しかしよ。あれは……」
と、船長は不思議そうに上空の天使を眺め、そして視線を下ろして海賊の皆さんを見つめた。
「天使ってやつか? ……お前ら普通の海賊だろう、なんで天使なんて使役できるんだ?」
「いや、それがですね、実をいうと、あっしらが使ってるわけじゃねえんで。むしろ、逆に天使たちがこの二人を捕まえたところにあっしらが出くわして、そのままここへ連れてきてもらったってえか」
「どういうこった?」
不思議そうに首を捻る船長に、ナターシャは顔をうつむけ、悲しそうにつぶやく。
「そう、すべては──すべては、あの焼肉のためだったのです」
「焼肉?」
ますます訳が分からなくなっている船長。頭上には特大のクエスチョンマークが浮かんでいる。
「僕たちはこの間、とある敵と戦ってね……その敵の溜め込んでいた金を使って焼肉をしてしまったんだ」
ナターシャの言葉を受けてティノが目を伏せた。
「……結構えげつねえことしてねえか?」
「いや、その世界では悪いことをすることが正しいことだったんだ。しかし、逆に言えば、その世界でいいことだとしても他の世界の基準では悪いこと。だから僕たちはこの世界に来た時に、その世界の分の罪の罰を受けてしまったんだ」
「そう、つまり、天使に天罰を与えられ、つかまってしまったのです。そこをこの海賊さんたちに連れてこられたというわけです。……ああ、あの焼肉がやはりすべての原因でした」
再びナターシャが慨嘆しながら美しい髪を振り乱す。その表情は悲痛にして哀切であり、重い源罪を抱えてしまった人の業とその苦悩を示すようでもあった。……話題が焼肉でさえなければだが。
まあ、とにかく、これが二人の考えた設定であった。魔王の金で焼肉をした天罰により天使につかまった! これはまさにかんぺきなりろんであり、コンキスタドールたちが疑う余地はない!
「なんかおかしくね?」
疑う余地はない!
「……まあ、猟兵を捕まえたのは事実だし、いいんだけどよ。……よし、じゃあ懸賞金だ。ほらよ」
どさり、と重々しい音を立てて金貨袋が積み上げられた。二人合わせて15600G、UDCアースの現代価格換算にして、実に1億5600万円である!
「焼肉っていいますか、焼肉屋さん自体が作れそうですよねこれ」
「なるほど。それもいい案かもしれないね……」
ナターシャとティノは顔を見合わせて焼肉の将来について思案する。だが、取りあえず、その話は後にするべし。なぜなら、コンキスタドールたちが油断した今こそが絶対の好機なのだから!
「さて、賞金さえ手にすればよし。じゃあ、改めて──」
「ええ、今度は彼らを導く番ですね」
きらり、と二人の猟兵の瞳が輝く。ぎょっとしたコンキスタドールたちが身構えようとした次の瞬間、既に戦いは事実上決定していた。
二人を拘束していたと見えた鎖も、そして二人を捉えたと見えていた天使たちもまた、その向けていた力の先をぐるりと反転させ、猟兵の意のままに新たな舞台を用意する。
ナターシャの纏った神秘なる光は天にも届く清らかな煌めきをもって、罪びとを焼き清める聖なる恩寵。コンキスタドールたちは次々と打ち叩かれ、ソドムとゴモラの街の罪びとたちのように天に逆らうものの末路をその身で示す。
身を翻し慌てふためいて逃げようとするコンキスタドールたちの足がぴたりと止まる。目に見えぬ何かにしっかと捕縛されているかのように。そう、それは鎖であり首輪であり手枷、地を這う影から湧き出でて無情に無慈悲に獲物を捕らえ、その身動きを奪う絶対の拘束!
次々にコンキスタドールたちは聖なる輝きに焼かれ、あるいは影から打ち出される刃に貫かれて霧消していく。そう、すべては焼肉のために。大いなる焼肉のために、邪悪なるものよ滅すべし!
「チクショウ……俺も最後に焼肉食べたかっ……た……がくり」
つぶやいてばったりと倒れ伏した海賊船長の姿に、ナターシャとティノは作戦の成功を悟るのだった。
「……いや、まだ成功とは言えなかったね」
「焼肉を食べつくすまでは、ですね」
顔を見合わせて微笑みあう二人の瞳に映るまばゆい水面のきらめきは、あたかも焼肉屋さんの鮮やかなネオン看板にも似て、二人を祝福するかのようだった。
RESULT:13200Gと2400Gをゲット!
大成功
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ヘスティア・イクテュス
【ヘスつゆ】
賞金を奪い取って…海賊として理想のムーヴね!
よし!その作戦に乗りましょう!!(既に澪を縄で縛り)
ほら、とっとと歩きなさい賞金!(軽く蹴りつつ)
一応自身も少額の賞金首なので顔&澪をボロボロにホログラムで偽装(そしてたまに蹴って雑に扱うアピール)
高額の賞金首を連れてきたのだけど換金はここでいいのかしら?(悪い笑み)
どう捕まえたか?その辺の島の一般人を人質にね
本当、こういう甘っちょろは損ね
で、もう少しおまけは無いの?この顔よ?色々使いみちはあるでしょ?
その後は縄を斬って開放、いけ!賞金!わたしのために!!
因みに澪の賞金分はわたしが全取りで良いわよね?…なんか言った?(頬を引っ張り)
栗花落・澪
【ヘスつゆ】
ちょっと!?
作戦乗るはいいけど扱い雑!
大事な人質なのにー暴力はんたーい
やり取りしつつ相手の姿が見えたら即【演技】
大人しく引っ立てられながらも涙目でヘスティアさんも敵もキッと睨みつけ
ちょっと離してよ、もう逃げないって言ってるじゃん!
紐が食い込んで痛いんだってば
などなど文句を言いながら身を捩るフリ
…ほんとにあの人達には手出ししてないんだろうね
ヘスティアさんと話を合わせるようにしつつ
顔の話を出されたら敵を睨む…ついでに涙目上目で【誘惑】
その気にさせて、近づいて来た所で思いっきりジャンプして頭突き
まったく、人使いが荒いんだから!
敵が体勢を整える前に即狙いを定め【指定UC】
強欲(ぼそっ
「賞金を奪い取って……海賊として理想のムーヴね! よし! その作戦に乗りましょう!!」
ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)はグリモアベースでその作戦を聞いた瞬間から躍り上がるような意気込みで参加していた。奪われた平和を海賊として奪い返すのが彼女の矜持と使命に他ならない。そして……ついでに言えば、それが面白おかしく達成できればいうことなしだ。
「ということで、ほら、とっとと歩きなさい賞金!」
「ちょっと!? 扱い雑! っていうか、縛るの早すぎない!?」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が抗議するも、ヘスティアには馬耳東風だ。……グリモアベースでこの依頼を聞いた瞬間に、気が付いたらもうヘスティアに縛られていたのだから、澪が抗議するのも無理はないのだが。
「敵を騙すにはまず味方から。捕虜を縛るにはグリモアベースからよ!」
「いやわけわかんないし! 大事な人質なのにー暴力はんたーい」
「おっと、まずホログラムで私自身も変装しないとね! わたしも賞金首なんだし」
「だから縛るのはそれやってからでよかったんじゃないかな!?」
なんだかんだ言いつつ、二人はちゃんと海賊船までやってきているのだから、気の合ったコンビである。
「ちょっと離してよ、もう逃げないって言ってるじゃん! 紐が食い込んで痛いんだってば!」
澪が苦しげにうめきながら哀訴してみせる。その語調、表情、態度、すべてが心ならずもとらえられてしまった捕虜の悲哀そのもの。讃嘆すべき澪の演技力であった。
「高額の賞金首を連れてきたのだけど、換金はここでいいのかしら?」
そんな澪を荒々しく扱いながら、ニヤリと黒い笑みをその美しい唇に乗せるヘスティア。その語調、表情、態度、すべてが悪辣にして残忍な賞金稼ぎそのもの。……もっともこれは演技力というよりは、ヘスティアの天性のノリによるもの、かもしれなかったが。
「賞金首だと? いやちょっと待てよ、こ、こいつは確か……」
海賊船長は澪を一目見て目の色を変え、声を震わせた。多くの賞金首の中でも、1,2を争うほどの位置につけている澪の顔は、当然穴のあくほど見知っている。その賞金額、実に──54300G! UDCアースの現代価格換算にして5億4300万円!
「お。おおおおおお!? まさか、まさか本当に本物なのか!?」
「失礼ね、本物よ、決まっているでしょう」
ヘスティアのムッとしたような声にも気づかない様子で、船長は額の汗をぬぐう。
「こいつを捕まえたとなりゃあ、俺は一気に出世の階段が、いや出世の超高速エレベーターが約束されるも同じだ……し、しかし、これほどの懸賞金が掛けられるほどの相手、どうやって捕まえたんだ!?」
「その辺の島の一般人を人質にしただけで、ころっと、よ。本当、こういう甘っちょろは損よねえ」
「くっ…… ほんとにあの人達には手出ししてないんだろうね!」
ヘスティアの出まかせにちゃんとついていく澪。やっぱり気が合っているようだ。
「あはははは! 賞金稼ぎって顔が売れたら賞金首どもが逃げちゃうじゃない? ってことは、なるべく顔が知られない方がいいわけよ。ということは? 証人は? いなくなったほうがいいわよねええ!」
そしてこのヘスティアの外道ムーブである。内心「うわあ……」とかドン引きしている澪は、しかし頑張って努力し、可憐な顔を苦悩と悲嘆に歪めてみせる。
「な、なんてひどい奴なんだ! こんなひどい奴はコンキスタドールにもそうそういるもんじゃないよ! きっと友達でも自分の目的のためにすぐ縛りあげたり! 蹴ったり! 雑に扱ったり! そういうことをする悪い奴に違いない!」
「……具体的な例を挙げてるんじゃないわよ!」
げしっ、と、軽くではあるが、澪を蹴飛ばすヘスティアに、大袈裟によろけて澪は取れこんでみせ、悔しそうに顔を曇らせた。
「ほほう、おめえなかなか外道で見どころがあるな。よし、気合入れて賞金は用意しよう。子分どもの今月の給金を全部止めて、後は保険とかも全部解約して足しにして。……ところでおめえ、今後も俺様に仕えて働かねえか? なんといっても俺様は今回の手柄で、きっと七大海嘯にさえ加えられるのも夢じゃねえくらいだしな!」
親分そりゃ酷いっすよー、などと涙目で抗議している子分海賊たちの声も聞き流し、ヘスティアは賞金の山が運び込まれてくる様子を横目でしっかりと確認しながら時間を稼ぐ。
「あら、嬉しいわ。ならせめて右腕くらいにはしてほしいわね。ほら、ただ手柄にするだけじゃなく……こいつは『この顔』よ? ……ふふ、色々使いみちはあるでしょ? イロイロと、ね」
ヘスティアが水を向けた言葉に、船長は改めて澪の細い顎に野太い指をかけ、くいとその顔を上向かせた。手配図でもわかっていたことだが、澪の少女とも見まごうほどに艶やかで可憐な相貌が、蒼白い月の光の中で静かに揺れる花のように弱々しく震えている。
「確かにな。こいつは上物……」
さらに船長がその顔を澪に近づけた時。
ぐいとヘスティアは澪を捉えていた縄の端を引き抜いた。捕縛術の達人であるヘスティアの縄術は、同時に、いとも容易く縄抜けを行える空結びもまた自在!
「いけ! 賞金! わたしのために!!」
「賞金言うなー!」
二人の気合が重なって響いた刹那、自由になった澪は、間近に迫った船長の顔面に、思い切り……頭突きを食らわせていた!
ぐしゃりと鈍い音がすると同時、悲鳴を上げて船長が派手にぶっ倒れる。ひん曲がった鼻から溢れる鼻血で顔面を真っ赤にして。
「さあ、パーティの始まりよ!」
仁王立ちになって哄笑するヘスティアの号令一下、無数の球体型妖精ドローンが浮かび上がり、一斉に閃光を放つ。鮮烈に獲物を追い詰め焼き尽くす、それこそがヘスティアの誇る妖精兵団!
ヘスティアのビームによる爆風と衝撃に合わせ、澪の花が舞う。Orage de fleurs(オラージュ・ドゥ・フレア)──それは敵をどこまでも追尾する華麗にして残酷なる美。
二人の連携により、コンキスタドールたちは見る間に追い詰められ、撃ち抜かれ、焼き尽くされていく。
「ば、馬鹿な……俺の出世が……!」
「ふざけないで。彼はあなたの出世の道具じゃないわ」
弱々しくうめく船長の言葉に、ヘスティアはきっぱりと言い放つ。その声を聴き、一瞬澪が心を潤わせた次の瞬間。
「──わたしの賞金よ!」
断言したヘスティアに、澪はがっくりと細い肩を落とすのだった。
「……いや、まあわかってはいたけどね……」
そんな澪に、ヘスティアは嬉しそうに目を向ける。
「因みに澪の賞金分はわたしが全取りで良いわよね?」
「なんでそうなるのかな!? 僕の賞金だよね!?」
「なぜなら作戦を立て、主導し、指揮を執り、主役を演じたのはわたしだから!」
何言っても聞きゃしねえ。という意味を込めて、澪はたった一言つぶやく。
「……強欲」
RESULT:6300Gと54300Gをゲット!
大成功
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アイ・リスパー
フィーナさんと
「なるほど、私達にかけられた賞金をゲットする……
ナイスな発想です!」
ここはフィーナさん(賞金額900G=900万円)をコンキスタドールに引き渡し、その賞金は私が懐に収めるとしましょう。
フィーナさん、惜しい人を亡くしました。その遺志(900万円)は私が引き継ぎますので、安心して逝ってくださいね!(お金に敗れる友情)
「というわけで、フィーナさん、気絶してくださいっ!」
超広域破壊電脳魔術【破砕領域】で周辺一帯を爆破します。
「フィーナさんを行動不能にさせるには、これくらいの威力は必須!」
なっ!?
私の最大火力を耐えきりました!?
ならもう一撃……!
(コンキスタドールは巻き添えになりました)
フィーナ・ステラガーデン
アイと
こいつが賞金首よ!(アイを指さしつつ)
いやいやちょっと待ちなさいよアイ!
そう言って私の分の賞金持っていくつもりじゃないの!?
私?難しいことはちょっとわかんないわね!
ちょっとあんた(コンキスタなんとか)待ってなさい!今すぐこの賞金首を縛りあげるわ!(アイとの醜い戦いが始まる)
とりあえずUCで爆破していくわ!周囲が消し飛ぼうが知らないわよ!
なんかコンキスタなんとかが騒いだり介入するようなら
あんたちょっと黙ってなさいよ!って巻き添えにするわ!
なんだかんだで戦いが収まったら賞金をゲットするわ!
え?周囲の修理費?もらえるお金これだけ?なんでよおおおおおお!!
(アレンジアドリブ大歓迎!)
「なるほど、私達にかけられた賞金をゲットする……ナイスな発想です!」
アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)は伝えられた作戦案に目を通すとしっかりとうなずき、澄んだまなざしに決意を秘めた光を宿らせた。
「そうね! ただ懸賞が懸けられたとかいうだけじゃムカつくし。叩き潰しにいきましょう、アイ!」
アイの傍らで、フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)もまた強い意志を宿す相貌で同意を示す。
「ですが、敵の懐に飛び込むのです。きっと危険な任務になることでしょう」
「まあ、いつものことよ。それに、きっと何とかなるわ。だって、アイと一緒なんだものね!」
「フィーナさん……うるうる。なんてすばらしいお言葉でしょう、私たちの友情は永遠です」
「もちろんよ、アイ!」
「はい、フィーナさん!」
不変の友情を込めてきゅっと固く固く手を握り締めあう二人の美しく尊い姿。それは、鮮やかな聖画のように、キラキラと光り輝いてさえ見えるかのようだった。
……もちろんフラグだが。
「この人が賞金首です!」
「こいつが賞金首よ!」
海賊船に乗り込んできた二人は同時に相手を指さして叫んでいた。思わずぽかんと口を開けるコンキスタドールたちに、二人はなおも言い募る。
「騙されないでください、この900G・ステラガーデンさんを逃がしてはいけません! そしてその賞金は私のものに!」
「何言ってんの、この1500G・リスパーこそ逃がしちゃだめよ! そして賞金は私が全部いただくのよ!」
「あの時誓った友情を忘れたのですか900G-デンさん! 友情の証としてあなたの賞金は私が必ず有効に使って見せますから、安心して逝ってください!」
「1500Gパーこそ誓いを反故にするつもり!? あの時約束したでしょう、どんな時にもアンタは私の都合のいいように動いてくれるって!」
「うわ勝手な記憶を捏造してます! この900Gさんダメな人です!」
「甘いわね1500G! 記憶とは捏造するためにあるのよ!」
……何この争い。
女の友情は紙より薄いというが、まさかこんなところでそれを実際に目にすることになろうとは、コンキスタドールたちも思わなかっただろう。
もはや舌戦は意味がないと悟り、ぱっと間合いを取って、二人は身構える。相手の実力は共によく承知している。しかし、たとえどんな手を使おうと、最後まで立っていたものが……真の懸賞金だ!
アイのユーベルコードは対消滅を引き起こす絶対破壊の恐るべき能力。対して、フィーナのユーベルコードはシンプルゆえに欠点のない純粋なる大火力。どちらも凄まじい威力を誇り、まともに撃ち合えば両者ともに無事ではすむまい。
だがフィーナに勝算あり。それはずばり、詠唱の長短である。
(ふふ、アイの詠唱は長くて時間がかかるけど、私は短い一言! 発動時間の差で私の勝ちね!)
(……と、フィーナさんは考えていることでしょう。ですが、それは物理領域に縛られたものの考え方。量子コンピュータで演算を行いつつ詠唱を行えば、それはまさに一瞬以下。余裕でフィーナさんの詠唱時間を上回ります)
(……と、アイはなんか難しいことを考えているに違いないわ! 詳しいことはよくわかんないけど、こっちには限界さえ突破する高速詠唱の技法があるのよ。高速の限界を突破、それはすなわちゼロ時間。結局は私の勝ちね!)
(……と、フィーナさんは企んでいるに違いありません。しかし、私にはこのハッキング技術があります。自分自身をハッキングすることで故意にバグを発生させ、限りなく詠唱時間を短縮することが)
(と、アイは)
(と、フィーナさんは)
以下エンドレス。
っていうか、そう延々と考えている隙に二人ともユーベルコード撃てばいいのに。
「じゃなくて、そもそも撃つなよ! どうしても撃ちたいなら別のとこでやってくれ! 俺の船を巻き込むんじゃねえ!」
海賊船長の悲痛な訴えが切なく響く。失礼、確かにごもっともであった。
「ああ? 何言ってんのよ、賞金を分捕るためなんだから、ここでやんなくちゃ意味ないじゃない! アンタもう少しものを考えた方がいいわ!」
「まったくです、非常識ですよねほんとに」
「おまえらだー!!」
船長は絶望的な表情で叫び、もはやこれまでと子分たちに指令を下す。
「この歩く迷惑どもをとっ捕まえろ! 捕まえた奴に懸賞金を出すぞ!」
船長の号令一下、部下の海賊たちは勇気を振り絞って二人の猟兵を取り押さえるべく突進してきた。その姿に、フィーナとアイはくわっと目を怒らせる。なんと醜いのだろう、金の魔力に負けた者たちは、と。
「懸賞金に目がくらむなんて、あさましい奴らね! 邪魔するんなら容赦しないわよ!」
「懸賞金がそんなに大事ですか。これが欲望に負けた人の末路なのですね。ならば仕方がありません、まず障害物を殲滅します!」
……なお、前述の通り。
二人のユーベルコードは様々な技法を使うことにより、一瞬で発動するのである。
絶対破壊と純粋火力の大爆発が、同時に巻き起こった。
滅亡と終焉の代名詞たる光と音の舞いが海賊船もろとも巻き込んで、すべてのコンキスタドールを消し飛ばしていく、空の彼方へ、あるいは海の底へと。
「俺……どこでフラグを間違えたのかな……」
しみじみと悲しげにつぶやきながら、海賊船長もまた雲の彼方へ吹っ飛ばされていくのだった。
「よし、邪魔者はいなくなったわね!」
「ええ、これで勝負をつけられますね」
残骸と化した海賊船の船上で、フィーナとアイはニヤリと笑みをかわす。
「コンキスタなんとか、待ってなさい! 今すぐこの賞金首を縛りあげるわ! そしたら賞金を……あら?」
ふと気づいたフィーナが辺りを見回す。自分たち以外誰もいなくなった現状を。
「……誰もいないんだけど、私誰から懸賞金をもらえばいいの?」
「懸賞金をもらうのは私ですが。……あれ、本当に誰もいませんね?」
きょとん、と首をかしげる二人。……何やってるのだろう。
「うーん、とりあえず、船を調べて懸賞金が残ってないか探しましょう」
「そうね、それがいいわ!」
かくして二人は全壊した海賊船をあさることで、一応それぞれの懸賞金分はかき集めることができたのだった。
「これも二人が力を合わせたからね!」
「やっぱり友情って素晴らしいものですね、フィーナさん!」
固く固く手を取り合う二人の尊い姿を、波に跳ねるまぶしい光が優しく祝福していた。
めでたしめでたし。
RESULT:1500Gと900Gを何とかゲット!
大成功
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ベルカ・スノードロップ
アドリブ◎
《指定UC》で技能上昇
懸賞金の【誘惑】を利用しての
無防備なフリして【おびき寄せ】て【だまし討ち】です
【コミュ力】で演技をして【催眠術】をかけて信じ込ませて【捕縛】されます
懸賞金を手に入れるまでは、大人しくしています
懸賞金を奪えるようなタイミングを【見切り】
【瞬間思考力】で反撃というか略奪開始
【捕縛】と【ロープワーク】の技能を駆使して縄抜けします
あとは手持ちの『シェンヌ・ダルジャン』を使い
【ロープワーク】を駆使して【捕縛】
懸賞金も敵の武器も【盗み】ます
コンキスタドールの【生命力吸収】で、命は刈り取っておきますね
シャルロット・シフファート
「クッ...離しなさいよ変態!私を誰だと思っているの!」
そう言って賞金稼ぎに扮した味方の海賊に両腕を縛られながら連れてこられる。
その姿にはユーベルコードで召喚した完全なる蒸気獣に宿る災魔十属性の内オルクスの「接敵を避けて隠密を好む迷彩能力」とセクスアリスの「存在の確保」を複合させたオルクス・セクスアリスの「確保した存在の認識などに干渉して騙す能力」でコンキスタドールからは怪しまれないように認識をずらしていくわ。
「や、やめなさい...なーんちゃって」と処刑寸前で怯える振りをした直後に召喚したオルクス・セクスアリスをけしかけてばらす。
そして完全なる蒸気獣に騎乗して蹴散らすわ。
「クッ……離しなさいよ変態! 私を誰だと思っているの!」
朱唇をかみしめ、絞り出すようにシャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス・f23708)が声を出す。その言葉を聞いた瞬間、シャルロットを縛り上げようとしていた分厚い胸板の大男が、濃い髭の中からうろたえたような声を出した。
「あ、す、すいやせん姐さん! どっか触っちまいましたか!? 全然そんなつもりはなくて……」
「はい、すとっぷ、すとーっぷですよー」
ぱんぱん、と手を叩いて、ベルカ・スノードロップ(少女を救済せし夜の王【中将】・f10622)がくすくすと笑いながら中止を告げた。
「素にならないでくださいね、お芝居お芝居、ですよ」
「はあ……もう、お芝居なんだからいちいち真に受けなくていいのよ? ああいうのはさらっと流すアドリブが大事なの。真面目なのはいいことだけどね……」
「さ、さーせん、姐さん、兄さん……」
ベルカとシャルロットがやれやれ、といった様子で見やるのは大柄の海賊。もちろんコンキスタドールではない普通の海賊だ。協力者として賞金稼ぎの役を演じてもらうべく、ベルカとシャーロットが多くの海賊の中から選び出しただけあって、その容貌は魁夷、相貌はいかつく威圧感があり、いかにも腕利きの賞金稼ぎといった雰囲気がある。
だが。一つだけ、そして致命的な問題があった。
……芝居が下手なのである。
これではコンキスタドールに見破られてしまうかもしれない、と危惧した猟兵たちは、芝居の特訓を行っていたのだった。
「芝居って難しいもんなんっスね……俺じゃあ、兄さんと姐さんの足を引っ張るだけ……こんな俺なんかはもういない方が……」
「ばかあっ!」
ぺちん! 弱音を漏らした海賊の頬をシャルロットが叩く! 背が小さいのでぴょこんとジャンプしながらという可愛いらしい絵面になっているが!
「何弱気になっているの! アンタの演技道はまだ始まったばかり! これから果てしない演技坂を登っていかなきゃいけないというのに、そんなことでどうするの!」
「あ、姐さん……!」
喝を入れられ、海賊は頬を抑えてジンと胸の熱さを感じる。平手打ちの中に込められたシャルロットの強い思いが伝わったのだ。
「それにですね、お芝居はそんなに難しく考えることもないんですよ。楽しく、そして感じるままに、自分を表現していけばいいんです。海賊さんの心の中の賞金稼ぎという姿を思い描いたとおりに表すんですよ」
ベルカもそばから口添えする。ベルカは国民的スタアであり、また芸能神を奉じる身。ゆえに、演劇の道にも詳しいのだ。
シャルロットの激しい気合と、ベルカの優しい導き。種類は違えども、芝居に掛ける夢は変わらない。その二つの熱く激しく強い想いが化学反応を起こすかのように情熱の火花を散らし、再び海賊を奮い立たせた!
「兄さん、姐さん……いや、師匠! 師匠と呼ばせてくだせえ! 俺、もう一度やってみます! 果てしない演技の極みを目指して!」
「その意気よ! アンタならきっと、あの幻と言われた『スカーレットエンジェル』の主役だって演じられるわ!」
「さあ、そのためにも練習ですよ。さんはい、アメンボ・アカイナ・アイウエオー」
「オッス! アメンボアカイナアイウエオー!!」
燃え上るような夕日が、険しい芝居の道へ挫けることなく挑戦していく夢に溢れた若人たちを優しく見つめていた。
そして、作戦当日。
「こいつは……11100Gの賞金首! そしてこっちは3600Gか! どっちも大物だな、良く捕まえてきたもんだ!」
海賊船船長が感心したような声を出す。
「ふっ、俺にかかればこんなもんよ。さあ、お宝をいただこうじゃねえか」
ドスの利いた声で答える海賊には、以前のような気の弱さも妙に真面目過ぎるような部分もなく、見た通りの荒くれかつ冷酷非情な凄腕の賞金稼ぎといった雰囲気を全身から滲み出させていた。
思わず気圧され、船長は言われるがままに懸賞金を用意し始める。その様子を見て、シャルロットは満足そうに弟子の進歩を認めるのだった。
(いい芝居よ、弟子! ……まあ、私がユーベルコードを使って、敵の認識をずらしているからってことはあるんだけどね)
師匠たるもの、ただ漫然と弟子の力に頼ってばかりではいない。認識に干渉し迷彩を持って相手を惑わす能力を使い、コンキスタドールたちの正常な判断力を奪っていたのだ。
同様に、ベルカもまた、にこにこと弟子の晴れ姿をその目に焼き付けている。
(うん、弟子さん、その調子です。あなたに足りなかったのはその自信だったんですよ)
(……ねえ、弟子に何かしたでしょ?)
隣で縛られているシャルロットがささやく声に、ベルカはくすっと笑って肯定する。
(ただ軽い催眠術を掛けただけですよ。弟子さん本来の力を発揮できるように、アガらず緊張しないように、それだけの術をね。だから、今頑張っているのは確かに弟子さんの力なんです)
おお、なんと感動的な話であろうか。二人の師匠は、シャルロットがコンキスタドールの認識を狂わせ、一方ベルカは弟子に自信を持たせる催眠術を掛け、協力してこの大舞台に立たせていたのだ。
「よ、よし、お宝の準備はできたぜ。確かめてくんな。それと、おめえほどの男、ただ放っておくにゃあ惜しい。どうでえ、俺の部下にならねえか? 高い地位を約束するぜ」
船長が大金を積み上げながら弟子の広い肩をポンポンと叩きつつ、猫撫で声で勧誘する。だが、その手を払いのけ、弟子は不敵に笑うのだった。
「悪ぃな、俺の生涯の師匠と仰ぐ人はたった二人だけなのさ。──師匠、今ですぜ!」
同時、漆黒と黄金の鎖が虚空を切り裂きちぎるように唸りをあげる!
それは鮮烈なる光と闇の舞か、めくるめく旋律を刻む至高の音曲か。見るも聞くも及ばぬ刹那の間に、コンキスタドールたちは激流の中の木の葉のごとく叩きのめされていく!
そして傍らでは大いなる獣が咆哮を上げる。十の属性を掌中に、因も果も思うがままに蹂躙し翻弄する完全なる獣、それこそはかつて災いの名で呼ばれし超越者に他ならぬ! その無垢ゆえに無慈悲な一撃が、容赦なくコンキスタドールたちを駆り立て、虚無の中へと帰さしめていく。
「な、何っ!? バカな、今までのはすべて芝居だったとでも!?」
追い詰められた船長の前に、ベルカとシャルロットが昂然と進み出る。その威圧感はまさに偉大なる師匠、グレートティーチャー・ベルカ&シャルロット!
「その通りですよ、さすが僕の弟子。確かにあなたの心を「盗んだ」ようですね」
「ふふん、まあ師匠がいいのよ師匠が。さあ、あきらめて骸の海へ消えなさい!」
「……くっ、な、なんて演技力だ……恐ろしい子! がくり!」
ばったりと倒れた船長が消えていき、後には金貨の山が残された。
「師匠、お見事っす!」
駆け寄ってくる弟子に、ベルカとシャルロットは静かにうなずく。
「演技の道は果てしなく、そしてそれゆえに極め甲斐もあるというものです。いつかあなたも、芸能神に認められるような見事な役者になってくださいね」
「ま、どっかで舞台に立つときは声を掛けなさい。この世界に遊びに来た時なら顔を出してあげないこともないかもね!」
胸を打つ感動的な会話である。……まあ、いつの間にか、弟子はただの海賊から、完全に役者の道を歩むものとして話が進行してしまっているような気がするが、誰も気づいていないのでよしとする。
それもまた美しき人生。満足げな彼らを、金貨のまばゆい光が舞台のスポットライトのように照らしているのだった。
RESULT:11100Gと3600Gをゲット!
──そして、後日。
「な、なんだこの莫大な出費は!? これでは戦費が完全に赤字ではないか!?」
『王笏』カルロス・グリードが収支報告書を見て絶望の叫びをあげていた。
本事件におけるコンキスタドール側の最終出費:258900G。
UDCアースでの現代価格換算にして、25億8900万円也。
この莫大な戦費拠出をコンキスタドール側に強いたことで、猟兵たちはまた一歩勝利に近づいたのだった。
おしまい。
大成功
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