羅針盤戦争〜森奥に潜むは醜き祈り
●緑深まる場所で祈る乙女は異形の使い
小さく名もなき島。
無人であり、申し訳程度の森、小さな船が一隻泊まるだけで精一杯な浜辺。
穏やかな波間から顔を出すのは色鮮やかな魚の群れ、空を漂うカモメ。
何者かに荒らされるはずもない島に突如として現れたのは異形の肉塊。新たな命を育む神秘を宿す姿に近しいそれが鼓動を刻む事に、島の姿が変わっていく。
申し訳程度の森は鬱蒼と茂るジャングルへと変わり、今までいなかった禍々しい獣たちが姿を現した。
小さな船ならば転覆しかねないほどに波は荒れ、通常より一回りも二回りも大きなカモメが牙をむき出しに翼が空を叩く。
島の変貌が終わる頃、異形の女たちが肉塊を囲うように並ぶと祈りを捧げ始めた。耳障りな言葉、声音でナニカを望む女たちは変わり果てた島を占拠。
鼓動を刻む肉塊から何が生まれるのか、それを知るものはいない。
●醜き者達の望みを打ち砕くために
「ハロー、みんな。今回の戦争に関してのお仕事の時間よ」
安海・藤子(ダンピールの死霊術士・f02909)がすでにグリモアを起動させ、威勢よく声をかけた。
「今回は平和な無人島が占拠されたわ。ジャングルを踏破し、異形となった生物を退け、島の中心にある肉塊を壊すこと。これが今回の成功条件よ」
島自体はそこまで大きくはない。大きさは半径1キロ程度、木々は絡まりあい大樹へと変貌、太陽を遮るほどになった。空を舞うカモメは牙をむき、眼下に広がる狩場で獲物を求めてさまよっている。
「んで、今回の黒幕っぽいのが肉塊をあがめてる女たちね。その女たちに攻撃力はないから、障害にはならないわ。それとね、肉塊を壊したら変質したのも女たちも溶けて消えるから、よろしくね?」
なんてことなく告げた内容は覚悟がいるかもしれない。せめてもの救いは一般人が巻き込まれていないことくらいだろうか。
「道無き道を突き進む方法と獣避けを考えると効率がよくなるわよ。それじゃ、行ってらっしゃい」
当たり前のように藤子は笑って猟兵たちを見送る。彼ら彼女らの行く先に勝利があることを願って。
紫雨
お久しぶりです、紫雨です。
今回は戦争シナリオとなります。1章簡潔となりますので、ご注意ください。
シナリオでも触れておりますが今回のボーナスは以下の通りとなります。
皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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プレイングボーナス……ジャングルと怪物海獣に対処する。
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第1章 冒険
『怪物化した海獣たちの無人島』
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POW : 怪物化した海獣の脅威を打ち払って前進する
SPD : 不気味なジャングルを探索して、目的地である島の中心を目指す
WIZ : ジャングルの生態や、海獣の行動・習性などから、島の中心地を割り出す
👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヘスティア・イクテュス
【ヘスつゆ】
この島の怪物はカモメね…
まぁ、単純に襲ってくるだけなら対処は楽よね…
というわけで澪、空飛んでカモメに突っ込んで囮になるのよ?
ここで澪が集めれば他の人が進みやすくなるしわたしも一掃しやすいし
(僕ごと…に目をそらし)…上位賞金首のーちょっといいとこ見てみたいー(棒)
…強欲(ぼそりと)
アベルを起動し『情報収集』、この後進むのに羽音とか鳴き声、あと体温とかね…
そして(澪ごと)マイクロミサイルの『一斉発射』
ちっ、全滅できないとは使えない淫魔ね
得た情報を使い隠れて先へ【索敵】…先導してるのはわたしだから案内料として払う賞金無しで良いわよね?
たどり着いたら塊にミスティルテインで狙い撃ち
栗花落・澪
【ヘスつゆ】
だからなんで可愛い動物がこんな事に…
声は控えめにしつつも
可愛いもの好きとしては色々思うところが…
というところでヘスティアさんの言葉を聞いて
は?(素
どうせいつもみたいに僕ごと狙う気でしょ(ジト目
この前依頼で取った賞金半分ね!
それ以上はまけませーん
べーっと舌を出して見せ
翼を広げ【空中戦】でカモメの元へ
【高速詠唱】で雷魔法の【属性攻撃】を打ち
なるべく派手にする事で下に残るカモメ達も誘導するように
鳥には鳥をってね
【指定UC】でまとめて対処
ヘスティアさんの攻撃もくるりと回避して戻り
誰が淫魔だ
ほら怪物は無尽蔵だろうから隠れながら進むよ
あっちに見えた
…元々僕の懸賞金だったんですけど
塊も魔法で攻撃
「だからなんで可愛い動物がこんな事に……」
「この島の怪物はカモメね……。まぁ、単純に襲ってくるだけなら対処は楽よね……」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はカモメが怪物へと姿を変えたことに心を痛め、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)は道中での対処を考えている。
「というわけで澪、空飛んでカモメに突っ込んで囮になるのよ?」
「は?」
何がというわけなのかわからないが、ヘスティアの一言に澪は本来の反応を返した。その声がやや低く聞こえたのは気のせいだろう。
「ここで澪が集めれば他の人が進みやすくなるしわたしも一掃しやすいし」
「どうせいつもみたいに僕ごと狙う気でしょ」
このやりとりから幾度か繰り返されたやり取りのようだ。じっとりとした目線で澪はヘスティアを見つめる。その目線に動揺を現さないようにしつつもヘスティアはそっと視線を逸した。
「……上位賞金首のーちょっといいとこー見てみたいー」
「もぅ、この前依頼で取った賞金半分ね! それ以上はまけませーん!」
よく聞く煽り文句を棒読みで告げるヘスティアに対してべーっと舌を出してから澪はくるりと身を翻し空へと飛び立っていく。彼の背中を見送った彼女はぼそりと呟いた。
「……強欲。アベル、あの鳥の情報を集めなさい」
『かしこまりました』
彼女が背負うジェットパックに搭載されているAIが答え、空舞う鳥の情報を的確に集めていく。あとは空を怪鳥が覆いつくした時にマイクロミサイルを撃てばいいだけ。
「やるからには全力でやらないと」
澪の羽が空を叩き、何か唱えたとわかる音を遺して上へ上へと昇っていく。その速さに音に周囲にいた怪鳥が集まってきた。仲間の動きに気付いた他の怪鳥達も彼の方へ流れてきている。
「ほら、こっちだよ!」
詠唱済みの雷魔法を四方八方へ放ち、遠くにいる怪鳥にもアピールを忘れない。少しでも多くの敵を集め、数を減らすことが目的であるからだ。
「鳥には鳥をってね。みんな、お願い」
十分集まってきた
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
十分集まってきたところで彼は破魔の炎を呼び起こす。清廉な炎は様々な鳥の姿を取るとまっすぐに怪鳥の方へと走っていく。
「始まったようね。こっちも、一斉発射」
背中のバックパックに内蔵されていたマイクロミサイルが飛び出した。その数は数えきれないほど。これだけの弾幕を張るも、澪への配慮が感じられない。
「これくらいなら平気でしょ」
涼しい顔をしてAIが調べた情報を精査する作業にヘスティアは移る。
集まってきた怪鳥の集団を迎撃している澪の耳に空を駆けるミサイルの音が聞こえてきた。誰が行ったかはすぐにわかるだろう。
「やっぱり! 目当ての場所は見つけたし、充分かな」
華麗に空を舞って駆け上がってくるマイクロミサイルを避けながら、交差しながら、降りていく。
「ちっ、全滅できないとは使えない淫魔ね」
「誰が淫魔だ」
上空の状況を分析しながら告げるヘスティアへすかさず突っ込みを入れる澪。彼はオラトリオである。軽口を交わしてから次へと進む確認を取る。
「怪物は無尽蔵だろうから今、倒しきってもすぐ増えるよ。隠れながらあっちに診たし進むよ」
「なら、私が案内してあげる。もちろん、案内料として賞金は貰うから、取り分なしでいいわよね?」
先ほど集めた情報をもとに最適な道を探し二人は進んでいく。お互いに賞金に目がないらしい。
「……元々僕の懸賞金だったんですけど」
ヘスティアの後ろを行く澪は小さくぼやきながら後に続いていく。賞金に関しては二人で決めていただくことになるが、やることはやらねばいけない、と迅速に静かに進む。
狂乱の終わりまで、猟兵達の手が届くまで、あと少し。
二條・心春
あのカモメさん達はもう、助けられないんですね……。心苦しいですがこれ以上被害が広がらないよう、あの塊を壊します。
私一人では進めそうにないです……。ここは【召喚:蛇竜】でワームさんを召喚します。頼りにしてますからね。
ワームさんの体に乗せてもらってジャングルを進みます。体は細いから大樹を縫っていけるかな。どうしても通れなければ尻尾で木々をなぎ倒してもらって道を作ります。
襲ってくるカモメさんには、ワームさんに空へ毒のブレスを吐いてもらって近づけません。数が多い時には私がスタングレネードを投げて気絶させますよ。
島の動物さん達をこんな風にしたこと、許せません。ワームさん、あれを叩き潰しちゃってください!
ビスマス・テルマール
●POW
ビルド・なめろうビームウェポンで『早業』で【ホタルイカのなめろうビームソード】を命中率重視で生成
『第六感』も併用し
ビームソードを『範囲攻撃』で幅をリーチを伸ばし
『属性攻撃(超音波)』を込め
木々や道等を照射しつつ進む事で
超音波探知機の要領で
地形や道筋やカモメ達の動きを『情報収集』しつつ探索します
カモメ達が襲ってきたら『第六感』で『見切り』攻撃を仕掛けて来る瞬間【ホタルイカのなめろうビームソード】に付与するのを『属性攻撃(太陽)』に切り替え『カウンター』で敵を焼き『切り込み』斬ります
たどり着いたら、肉塊も
同様の技能で【ホタルイカのなめろうビームソード】で一思いに
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
切なげに空を見上げている少女、二條・心春(UDC召喚士・f11004)は決意を込めた眼差しで召喚を行う。
「力を貸して? 私と一緒に戦ってほしいの。私たちを乗せて進んで」
彼女の最初の仲間である蛇竜を呼び出した。人の身の丈を超えるほどの姿で、彼女の前に静かに頭を垂れる。
「乗せてくれるみたいです。早く行きましょう」
「わかりました。道は私が見つけます」
心春の隣にいたビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は蛇竜へ乗る前に地形を把握するようだ。
「生成開始(ビルド・オン)っ! ホタルイカのなめろうビームソードっ!」
瞬時に生成されたのはなめろうの気を練りあげたビームソード、その刀身が幅広く伸び、その長さはおおよそ島の4分の1弱。これならば中心近くまでの道を調べることができるだろう。
「行きます!」
力強く踏み込み、ビームソードを一閃。目の前に広がる地形に超音波を当て、最短で進める道を割り出していく。
「囲まれる前に急ぎましょう。向こうへ進みましょう」
「はい。ワームさん、全速力でお願い」
ビスマスが乗ったのを確認すると心春はすぐさま駆け出すよう蛇竜へ指示を出した。このままとどまっていれば敵の的になってしまう。そうなる前に身を隠せるジャングルへ向けて駆け出す。目ざとく彼女達を見つけたのか上空から急降下してくる怪鳥の姿。その羽ばたきに気付いた心春が振り向きざまに何かを投げた。
「しばらく気絶しててください」
二人と蛇竜は正面を向いていたため、スタングレネードの閃光に目がくらむことはない。だが、怪鳥達は白光が瞳に焼き付く。後続もひるんだのだろう、一瞬だけ羽ばたき音が乱れたように聞こえた。その隙に蛇竜はジャングルへの突入を果たし。器用にその身をくねらせ、道なき道をひた走る。道に悩む度、ビスマスが超音波による地形把握を行い、道筋を示す。
おどろおどろしい呪文や肉塊を崇拝する異形の女達がひしめく場所にたどり着いた。
「ここが目的の場所。一思いに断ち切ります」
「ワームさん、やっちゃってください!」
蛇竜より飛び上がったビスマスが再度刀身を巨大化し、太陽の如き熱を宿したビームソードを振り下ろす。その軌跡のあとを追うように蛇竜の尾が肉塊を叩き潰した。
肉塊の鼓動が止まると同時に女達の姿も崩れ落ち、粘度の高い液体状に変わり果て、遠くで聞こえていた鳴き声も聞こえなくなった。
この儀式が何のためか、それは誰にもわからない。だが、この島に平和が訪れたのは紛れもない現実なのだ。
大成功
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