●
その島は波間に揺蕩う。
海上に露出した大地と、海中に沈んだ土壌の面積は等しく、嵐がくれば島そのものが影響を受けてしまうような、そんな島だった。
地上の縁より繋いだ無数の錨を降ろすという、途方もない大工事の末に安定されたそこは、この世界に落ちてから長い年月を経ている。
試練の島だった。
人々は様々な苦難を味わい、その都度、全員の力を合わせて乗り切り生きてきたのだ。
そこへ、また、試練が訪れる。
「?」
突然の揺れが、島を襲った。
「なんだこの揺れは」
左右への揺れではなく、上下の揺れがある。
まるで沸き上がる水に押されている様な、そういう感覚だ。
「まさか、下から何か来ているのか……?」
「何かって……なんだよ」
「分かったら苦労は無い!」
深く、深く、底の海の更に下から。
『――!!』
天災は昇っていた。
●
グリモアベースで案内をする肆陸・ミサキ(SolitusVamp・f00415)は、難しい顔をしていた。
「みんな、海に潜るのは得意?」
問い掛け、解せないという表情を見て苦笑い。どう伝えようかと、暫くの思考があって。
「海の中から来る化物を倒す為には、どうすれば良いと思う?」
と、そう聞いた。
まあ問いの形ではあるが、それは前置きだ。猟兵達もそれをわかっているから、静かに続きを促す。
コホン。一息の咳払いを挟み、一拍。
「全長50m。見た目は鯨。深海から甦った海獣。名前はオルキヌス」
とある島の真下から海上を目指して浮上するそれは、地上の生物を水泡の渦へと飲み込んで滅ぼしてしまうだろう。
それを止めなければならないが、しかし敵はまだ海の深く底だ。
「だから潜って浮上する前に倒すのが良いと思うんだよね。みんなだって、何かしらの手段は持ってるでしょう?」
水中では相手の方が適性は高い。
その不利を覆すだけの策を持たなければ、倒すどころか傷つけることすら出来ないかもしれない。
「まあだからさ、なんかこう良い感じにどばーっといってずばーっとやっつけてきてよ」
その辺り、やり方は自由だと、ミサキは丸投げにも聞こえる台詞で締めくくり、
「じゃ、いってらっしゃい? 世界を救いにね」
猟兵達を送り出した。
ぴょんぴょん跳び鯉丸
戦争依頼です。
海の底に潜ってデカイ敵を倒しましょうというお話。
水中でどう立ち回るのか、という点を重視すると良いかもしれません。
よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『森羅冠す『オルキヌス』』
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POW : 冥海銀河オルキヌス・オルカ
【支配下にある海の生物】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[支配下にある海の生物]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : 海帝覇濤ディープブルー
敵より【海に適応した生態をしている】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ : 回帰狂濤ティクターリク
攻撃が命中した対象に【「海に帰りたい」という強迫観念】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【肺から海水が湧き出す呪い】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:山庫
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「曾場八野・熊五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
~プレイング受付中~
内側から外へと向かう波が起きる。
ゆっくりと波紋を広げるそれは、数分の間隔ごとに発生していた。
下から、奴が近付いてくる時計だ。
滅びの前に、底の見えない蒼い水面へと身を投じるしか、救いの道はない。
~2月5日22時40分 プレイング受付終了~
セレン・アキシマ
連携アドリブ歓迎。
水中で巨大な鯨相手とか、普通は無茶だよね。
まぁ、何とかするしかないんだけど!
【早着替え】で着てるものを全て脱いで海にIN。
そして【全てを喰らう大海の王】を起動。
全長20mの鮫になって【素潜り+高速泳法】で敵に向けて潜るよ。
水圧等は鮫の身体だし【深海適応】や【環境耐性】で耐える。
敵を見つけたら【水中戦】の態勢に入り、【水中機動】で相手の喉元に突撃、その歯を突き立てようとするよ。
それ以外にも尾びれで叩く、【高速泳法】からの体当たり等で浮上の邪魔をして【おびき寄せ】、水中に留める努力をする。
相手の攻撃は【野生の勘】で事前察知、【水中機動】で回避を試みる。
鈴木・志乃
なんだこのてき(白目)
水中は苦手だよ……。だがしかし逝く。
事前に催眠術を自身にかけて、敵UC対策。コイツを倒すという強迫観念を持ちます。あと私の居場所は陸です。
水陸空兼用のスーパーカーで爆走します。捕まったら負けでござる。魚雷とか積んでくよ!
当然だけどオーラ防御展開。攻撃受けたら後がきついからな……。
UCは可能な限り早く発動。ぶっちゃけ上手く機能するか分からん。
第六感で行動を見切り回避。極力口の中狙って魚雷をシューーーーーッ!!
ちっこい針を沢山詰めた爆弾も持ってきたので、こいつも口の中に入れたいところ。毒塗ってあるよ、スズランとカエンタケの毒。
山の幸の怖さを思い知れ(頭抱えてる)
才堂・紅葉
「深海かぁ……当てにしてるわ、天蛇王」
真の姿で龍を意匠した中華装束に神器“天蛇王”を担ぎ、海へと飛び込む
(壮観ね……プライベートで来たかったわ)
呼吸はアルダワ学園錬金科の【メカニック】で口に含むガジェットを使用
移動は天蛇王の【封印を解く】事で、蛇矛に変じた九つ頭の大水蛇の一頭が紅葉を海底へと誘ってくれる
海の生物達の妨害は蛇矛で片っ端から迎撃してくれよう【怪力、早業】
「気合よ、天蛇王!!」
奴の巨体を正面に見据え、遠間から神器開放で大薙ぎ一閃
古の聖者の如く海を断ち割る地形破壊で、奴と海の生物達から切り離そう
「もう一丁!!」
すかさず【二回攻撃】
懐に飛び込み、神器開放中の蛇矛の追撃を叩き込みたい
●
この島には砂浜が無い。
構造的な理由に因るもので、海に面した部分は防波堤の様な腰壁が並んでいる。
だから、水中への侵入の為、その上にまずは立つ。
「……なんだこのてき」
片方の眉を上げながら唸った志乃は、水面を見下ろしながら思った事を呟く。
「水中で巨大な鯨相手とか、普通は無茶だよね」
「ですよねぇ」
セレンの言葉に頷く。
……水中は苦手だし。
と、内心で思いつつ、そこに逝く――もとい行く事になるとは、まあ、ツラい。
「まぁ」
と、躊躇いの感情がある内に、隣のセレンが徐に動きを作る。
リボンを解いて襟を緩め、何の迷いもなく上着を脱ぎ捨てた。
「ちょ」
っと待ってと言うより速く、パンツを落として空中へと彼女は飛ぶ。身体を捻って背中から、頭を下にして、
「何とかするしかないよ!」
巨大な鮫に変身して入水した。
「……」
どデカイ質量によって高く打ち上がる水柱を、志乃は見上げる。
「深海かぁ……当てにしてるわ、天蛇王。じゃ、お先にね」
呆然とする志乃の横を跳び跳ねて、片手をひらりと振った紅葉も到着早々に海へ。
暗い海中に飲み込まれ、一瞬で姿を消した二人を前に、呼吸を一つ。
「……出遅れた……!」
●
光の無い世界だった。
先行するセレン――巨大鮫が起こす水流の荒れ筋を、武器から変じた九頭の大水蛇が遡り、牽引される形で紅葉は底へ向かう。
……見通し悪いわ。
光が届かない世界で、頼りになるのは鮫と蛇。一寸先すら目視出来ない状態は、あまり宜しくない様に思う。
どれくらい潜っただろうか。
深さは、時間は、どれ程だろう。
「あら?」
と、一抹の不安を感じる紅葉の視界が、急に開ける。
セレンの尾びれが見えて、その先、逃げて散る魚達も見えた。
「壮観ね……」
人が普段立ち入らない道の領域。映像として見ることは出来ても、直接見る機会は無いものだ。
プライベートでじっくり観光気分を味わいたかったと、素直に思う。
「というか、それ有りなの?」
チラリと振り返った紅葉の視線が、海中に似つかわしくない物を捉える。
それは、グオングオンと異音を鳴らし、猛スピードで追い掛けてきて、今は5m程離れた間隔を空けて追従してくるマシン。
「水陸空兼用スーパーカーですよ……!」
運転席には志乃が乗っている。ハイビームで照射されるヘッドライトの白い光が、前方広範囲を見通せる様にしてくれていた。
と。
「ぉっ」
ぐんっ、と引き込まれる感覚に底を見ると、セレンが力強くヒレを打って加速した所だった。
●
行くセレンの目には、黒い壁がある。
それは緩やかな起伏を描いていて、視界一杯を使っても納まらない程に広く高いモノだ。
「……いくよ!」
その正面に沿って迂回する形で進み、照らされた光を頼りにしてもっと深くへ進む。
だが行く先は、魚群の出現で遮られた。様々な種で構成されたそれらは、明確な意志を持ってセレンの前を塞いでいる。
「この……、っ」
思わず停止した所に横からの衝撃が襲う。弾くのではなく潰す様な、重く長い衝撃だ。
「ぐぅ」
吹き飛ばされた身体は、水圧に受け止められながら暴れる。なんとか体勢を戻した目の前に、邪魔をした魚達が追撃に泳いできていた。
「割りなさい、天蛇王!」
紅葉が放つ一閃が接近を許さず間を貫く。産み出されたそれは海を押し退け、深海に刹那の空白を作り出した。
そこへ、セレンは行く。
「ありがとねぇ!」
立ちはだかる魚は今の攻撃で散っていて、自分は一直線に最高速で突撃出来る状態だ。
それに感謝しつつ、好機を逃さない様に、
「行くから……!」
壁へ――いや、浮上を続ける巨大な敵であるオルキヌスへ向かう。
ヒレの打ちで加速を加え、表皮が白の、推測として喉の器官へ噛み付き、牙を食い込ませる。
……分厚い……!
千切る、破るが不可能と即断したセレンは、全身をネジ回転させて自らの牙を折った。
皮には噛み痕の楔が残っていて、
「これでどうかな!?」
遠心力頼りな尾びれの払いをぶちこみ、皮を突き破らせた牙を深く侵入させる。
『――!』
瞬間、生じたのは波だ。
オルキヌスが痛みに怒り、体内から体外へ、咆哮変わりに口から発する音の砲撃。
それは、正面はもちろん、横手に居るセレンにも影響を起こす。
紅葉は九頭蛇の一速い行動で距離を取り、志乃は、
「コイツは倒す」
ギアをローへ、アクセルはベタ踏み。迫る音波に正面から競り合い、オーラの放出をフロントに集中することで耐える。
そして、衝撃が収まった瞬間に魚雷発射のボタンをポチった。
「倒す、倒す、倒す!」
自己暗示による敵性を排除しなければ、という強烈な強迫観念の元、ギアを今度はバックへシフト。
浮上を続けるオルキヌスとの距離を一切変えない速度を都度調整しつつ、オルキヌスからの精神干渉を暗示で抵抗し続ける。
「たお、す!」
狙いは口腔内への魚雷と手製爆弾の放り込み。
オルキヌスに取っては微細な針に、スズランとカエンタケの毒を浸した特別製の物だ。
深海生物にどこまで効くかの心配はあったが、
「嫌がってる! ……はず!」
巨体をくねらせ、明確な敵意の集中を志乃は感じる。
身体にのし掛かるプレッシャーの増幅がそれを証明していて、しっかりとダメージが通った実感があった。
とはいえ、開いた口は閉じられてしまっている。外から撃ち込んだとして、どれ程の効果を期待できるかもわからない。
「それでも倒す、射てぇー!」
ありったけの魚雷を射出。狙いは雑に、顔正面。
だがそれらは、着弾するより速く爆裂して、水中に濁った汚れを撒き散らした。
「神器開放」
その前へ、紅葉はスライド。長柄の石突き側と中程にそれぞれ握りを持って、大きく身体を捻って溜めを作る。
十全な力の行き渡りを意識して、一拍。
「気合いよ、天蛇王!」
大薙ぎで一閃を放つ。
魚群を払った時より強く、範囲を絞った一撃だ。
濁りを斬り裂いて向かうそれは、オルキヌスの頭部を打った。
「もう一丁!」
「送るよっ」
紅葉は開いた手を横へ。そこに、泳ぎ込んできた鮫姿のセレンが来る。その背びれを掴んで、一気にオルキヌスの腹部へ。
「お」
身体を回す。水中の抵抗を感じつつ、上から底側へ、叩き落とすつもりで全力を込め、
「うおおお!」
蛇矛の一撃をぶちこんだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
スピカ・ネビュラスター
なるほどね
水中でまともに戦えば、結構大変そうだね
なら……フィールドをボクの得意なものに変えてしまおうか
人間の少女の姿の形態で参戦
魔星『アークツルス』に乗って水中を進んでいくよ
敵の姿を捉えたら、『コズミックフィールド』を発動だね
水の中を泳ぐのは得意でも
この宇宙空間はそう簡単にはいかないよ
極寒と真空の宇宙空間の洗礼を受けると良いよ
距離を取って、攻撃を受けないように立ち回るよ
最初の攻撃さえ喰らわなければ、呪いも受けないわけだからね
まあ、呪いを受けても、
宇宙空間が得意なラスボスに、呼吸の阻害は無意味だね
ついでに、魔法弾でも攻撃してあげようかな
「全力魔法5、誘導弾3、高速詠唱3」
カイ・ザァド
まさか、これほどまでに強大な敵が現れるとは! だが、このカイ・ザァド!負けてはおらぬ!!
指定UCにて、55mの巨大キャバリアとなりて、水中へと飛び込む!!
敵UCに対して、支配下に置かれた海の生物たちを散らすべく、両肩の砲塔より、金属粒子竜巻を放つ! ビームよりは効くだろう! 更にミサイルも追加で放ち、一気に追い散らす!
「ラストツイスター!!」
「カイザァ!ミサイル!!」
オルキヌスには【水中戦】【水中機動】で追いすがり、LEOにて【勇気】を持った【重量攻撃】の【切り込み】で【切断】する!
「我が必殺の一撃を喰らうがよい! カイザァ!!オーヴァーブレェードっ!!」
●
鯨は加速する。
出会った敵性を振り切る速さで海上を目指して。
急がなければ、また邪魔をされる前に、地上全ての生命体を、裏切り者どもを消し去らねば。
●
「ぬぅ、まさか、これほどまでに強大な敵が現れるとは!」
緩やかな降下をするカイは、オルキヌスとの邂逅を果たしていた。
向かい合い、睨み合う様な形でそこにいる。
巨大だ。
とてつもなく大きな敵だ。
(いやキミ、敵の事言えないと思うけど)
そんな並びを見下ろすスピカの位置は、まだ遠い。
星に乗り、水中を落ちていく少女と二体の間には、約100m位の距離があった。
それでも肉眼で確認出来るのは、シンプルに、相対する二つが同等の巨体を有しているからだ。
「このカイ・ザァド! 意気も大きさも負けてはおらぬ!」
キャバリアの合体によって得た彼の全高は55m。もしかすると、オルキヌスを凌ぐかもしれない。
そんなカイの周りには、オルキヌスの意志を受けた深海の生物が集まっている。
タコに似た個体は吸盤を連ねて間合いを広げ、武器そのものや、武装が格納されている部分を探しだしてへばり付き機能を阻害。
牙を有した魚達は、鋼の身体へと果敢に噛み付き、少しずつ削る様な攻撃を行っている。
「くっ、なんと気合いの入った者たち……! しかし、情けをかける事は出来ぬ!」
健気に見える。感動もある。
だが退かない。
カイは両肩の砲塔を駆動させ、その際に発生する熱と振動で乱暴にタコを振り払うと、
「ラストツイスター!」
金属粒子の竜巻を海中に生成。渦を巻き、周囲の魚をその中へ捉える。
「カイザァ! ――ミサイルッ!」
そして一気に火力を集中させ、オルキヌス支配下の生物を一掃した。
『Aa!』
直後に衝撃がカイを打つ。
胴体側面から響くそれは、オルキヌスが振り抜くヒレの殴打だ。
「ぬぅ……!」
軋む関節系の悲鳴を覚えながらもカイは組み合い、しかし止まらない浮上の動きに焦りを感じて、
「このままでは……?」
不意に、きらめきを見た。
赤い色が上腕部にある。オルキヌスの身体には黄色が、いや、意識を良く周りへと向けると、オレンジや緑、目視しにくい暗い色も存在していた。
「感謝するよ、お陰で、準備が出来た」
雨が降っている。
水中でおかしな話かもしれないが、確かにそれは上から下へ落ちるモノで。
「深海も辛かろうが、星の世界もなかなか過酷なんだよ」
見上げるカイの前に、星に仁王立ちしたスピカが笑みを浮かべて見下ろしていた。
●
始めようか、と、少女の姿で魔女は笑う。
七色の彩りが混ぜ込んだ世界はその姿を、彼女が望むままに変化させていく。
「水中でまともに戦うのは結構大変そうだし、わざわざ相手の得意な空間に甘んじる必要、ないだろう?」
そこには、空気が無い。
周囲数㎞に及んだ空白は、その周りを海のまま、宇宙空間へと化してしまっている。
日は変わらず存在せず、温度を可変させる大気も無いそこは極寒の世界だ。
「ようこそ、ボクのフィールドへ」
『 』
オルキヌスが何事か叫ぶ。だがここは極小の宇宙で、スピカの支配する戦場。音を発し、伝えられる機能など、水中生物に有りはしない。
だから。
「水と違って、宙を泳ぐのは初めてだろう? 折角だ、この極寒と真空に満ちた宇宙空間の洗礼、楽しんで受けると良い」
蒼星の魔力塊を、スピカは前面に作り出す。丸く、大きく、威力はぎゅぅっ、と圧縮して。
終わらせようかと、彼女は笑う。
「トドメと行こうか、皇帝クン」
「よかろう!」
オルキヌスを蹴り飛ばし、カイは大剣を両手に握って構える。
脚部ホバーを活用して前傾姿勢の加速で行った。
『 』
無音の咆哮。
振り上げる刃はそれを断ち切って。
「我が必殺の一撃を喰らうがよい! カイザァ! オーヴァーブレェード!」
逃げようともがくオルキヌスの首から胴体へ、斜めに抜ける両断をぶちこんだ。
千切れ浮かぶ、頭部だけになったそれは、額の目玉をギョロリと動かして地上を睨む。
「さようなら」
だがその目に移るのは、殺意の塊。
「海の底へとまた、墜ちて逝け」
着弾と同時に爆発する魔弾が、オルキヌスの核を消滅させた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2021年02月07日
宿敵
『森羅冠す『オルキヌス』』
を撃破!
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