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羅針盤戦争〜王笏は邪神すらも支配する

作者：夢幻

●決戦！　三の王笏
「『蒼海羅針域』から予兆を頼りに探索を進め、我ら猟兵は遂に敵の本拠地の一つである『三の王笏島』を発見した！　さあ、今こそ決戦の時だ！」
　グリモア猟兵の天御鏡・百々（その身に映すは真実と未来・f01640）は、集まった猟兵達に『七大海嘯』の本拠地が見つかったことを告げる。そこに座すのは『三の王笏』カルロス・グリードだ。彼を撃破することが今回の任務となる。

「このカルロスは、『UDCアース』の力を具現化しているぞ。彼の持つ不気味なメガリスからの、邪神を召喚が主な攻撃手段だな。もちろん、先制攻撃の力も持っているぞ」
　何度戦っても、強力なオブリビオンの先制攻撃の力は脅威だ。今回もしっかり対策を考えて挑まねばならないだろう。
「脅威はそれのみでは無い。この島自体が巨大な『邪神山脈』と化しているのだ。カルロスは島全体に蔓延る邪神達を操り、地形全体で攻撃してくるのだ」
　先制攻撃だけでも大変なのに、カルロスの召喚する邪神は通常の数倍もの大きさを持つとのことだ。
「だが、そこに付け入る隙が存在する。如何なカルロスと言えど、邪神の大いなる力は完全には制御出来ぬのだ。そこを上手く突けば、勝利は近づくであろう」
　オブリビオン・フォーミュラであるカルロスをしても、邪神の力は強大に過ぎる。その制御の乱れをどうにかして利用する方法を考えると良いだろう。

「敵は強大だ。しかし、オブリビオン・フォーミュラを倒さねばこの戦争に勝利は無い。また、カルロスを撃破することが出来れば、この島とは異なる彼の支配下の島を開放することが出来る。全力を尽くして、『三の王笏』を倒すのだ！」
　百々の激励を受けた猟兵達は、次々に決戦の地へと転移していくのであった。

第1章 ボス戦 『七大海嘯『三の王笏』カルロス・グリード』

POW   :    邪神「大地を喰らうもの」 【本拠地の島の面積】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【大地を牙の生えた触手】に変化させ、殺傷力を増す。 SPD   :    邪神「吼えたけるもの」 【目にした者の正気を奪う、漆黒の巨人型邪神】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。 WIZ   :    邪神「輝き惑わすもの」 【光り輝く宝石のような美しき邪神】の霊を召喚する。これは【命中した対象を宝石に変える光線】や【敵の欲望をかきたて混乱させる輝き】で攻撃する能力を持つ。 イラスト：hoi 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

「……ようやく辿り着いたわ、三の王笏」

　この『三の王笏島』へと最初に降り立ったのは、リーヴァルディ・カーライル（ダンピールの黒騎士・f01841）であった。

「……お前を討ち果たし、この世界を解放する。……それが猟兵としての私の使命よ」

　油断なく『過去を刻むもの』を構えて敵を見据えるリーヴァルディに、カルロスは余裕を持って応じてみせる。

「よくぞ見つけたことだ。しかし、この島に足を踏み入れた者は、等しく狂気の中で死する運命なり」

　カルロスが不気味なメガロスの力を発動させると、彼の背後に漆黒の巨人が現れた。邪神『吼えたけるもの』、その姿を見ただけで、人は正気を失う。

「……っ、これが…ＵＤＣの、邪神の力……っ」

　慌てて目を閉じたものの、リーヴァルディの精神を邪神の力が蝕んでいく。

「……一瞬、眼にいれただけで、この威力……端倪すべからざる存在という事ね……」

　かろうじて自身の闘争心を賦活して、リーヴァルディはその精神攻撃に耐えきった。しかし、目を開けてまた邪神を見れば、再び精神を苛まれる事になる。つまり、目を閉じたままこの邪神を、そしてカルロスを倒さねばならない。

「正気を喪失すれば、楽に死ねたものを。目を閉じたまま、何も解らずに死んでいくが良い」
「……そうはいかない。……例え眼が見えなくても、今の私には死角は無い！」

　巨体を生かしての邪神の近接攻撃を、リーヴァルディは全て見えているかの如く見切り、その悉くを回避する。そのタネは彼女のユーベルコードにあった。『吸血鬼狩りの業・天響の型』、イルカと同じ反響定位の能力を得た彼女には、この戦場にことは手に取るように解るのだ。

「消え失せなさい。この世界から、永遠に……！」

　邪神の攻撃をすり抜け、リーヴァルディはカルロスへと接近する。そして、超音波を纏わせた大鎌で、カルロスの身体を両断した！！

「猟兵の強さがこれほどとは……予想以上だ」

　だが、両断されたはずのカルロスが、次の瞬間には元通りの姿となって呟いた。邪神を支配する過程で、その力すらも取り込んでいるのだろうか？　しかし、彼より感じられる力は明らかに減少している。簡単には致命傷とならないだけで、ダメージ自体はしっかりと蓄積している様子だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「出でよ！　邪神『吼えたけるもの』よ！」

　『三の王笏島』に侵入した非在・究子（非実在少女Ｑ・f14901）を歓迎したのは、カルロスの召喚した漆黒の邪神であった。

「め、目にしたもの、の、正気を、奪う、巨人……み、見なければ、どうと言う、ことは、ない、わけだ」

　見るだけで正気を奪われるというその邪神も、目を閉じていれば問題は無い。とはいえ、それはあくまで邪神の能力に対してのみだ。目を瞑ったままで、邪神のその巨体に対処出来なければ、あっけなく潰されるだけである。

「TASさんの、力を、借りれば、大丈夫……」

　しかし、そこはバーチャルキャラクターである強みとして、究子は仮想ツールに自分を操らせることで、邪神の攻撃に対処する。漆黒の邪神は巨大なだけで、その動きは単調だ。『Tool-Assisted Superplay』の発動している間ならば、相手の攻撃は当たりはしない。

「い、今のうちに……アタシは、相手の、め、メガリスに、干渉する、ぞ」

　そうして時間を稼いでいる間に、究子はカルロスへとハッキングを仕掛ける。狙いは邪神の制御を司るそのメガリスだ。

「なんだ……？　制御が……くそっ！」

　元より邪神の制御は完全では無かった。そこにハッキングで乱されたことで、カルロスの制御から邪神が離れる。そして、無差別に暴れ回る邪神の腕が、カルロスを吹き飛ばした！

「ぐ、ぐひひっ。追撃、だ」

　邪神に殴り飛ばされたカルロスに、究子は『ゲームウェポン』で攻撃を加える。
TASは未だ発動したまま、ポーズやスロー、更には当たり判定の改竄すらも駆使したトリッキーな動きで、彼女はカルロスをボコボコにするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「ようやく本物の三の王笏おじさんを見つけました。前は一の王笏おじさんの分身と戦いましたが、あれでも難しかったです」

　続いて決戦の地に転移してきたのは、神代・セシル（夜を日に継ぐ・f28562）であった。彼女はこの羅針盤戦争の初戦となる任務で一の王笏を攻略していたが、その時のカルロスは分身体だ。『本体』であるこのカルロスが、一筋縄でいかない相手であることは間違いない。

「次は……『輝き惑わすもの』の力を、見せてやろう」

　セシルの姿を認めたカルロスは、邪神山脈と化した島の大地より光り輝く宝石のような美しき邪神を召喚する。邪神はその煌びやかな身体より、謎の光線を撃ち放ってきた。

「来ることがわかっていれば……回避出来ます！」

　命中した相手を宝石へと変えるその危険な光線の軌道を見切り、セシルは身を躱す。グリモア猟兵より敵の情報は聞いている。この攻撃に防御はまずい。回避こそが正解だ。

「そして、バブルワンドで防御します。　すみません、私は宝石より、知識への欲望が大きいです」

　次に、セシルは『バブルワンド』から土属性のバブルを作り出しす。それで自分を保護してやれば、欲望をかきたて混乱させる輝きも抵抗出来る程度まで影響を弱められるという寸法だ。

「おじさんはまだ上手く邪神の力を制御できないはず……それなら、接近戦です！」
「くっ、光線を……いや、駄目だ」

　『Eternal Vigilance』を発動して『星月夜の調停者』へと変身したセシルは、一気にカルロスへ接近する。カルロスは迎撃の光線を邪神に放たせようとしたものの、躊躇して取りやめる。邪神の制御が完全で無いと言うことは、その光線の精度もまた完全で無いと言うこと。如何なカルロスも、宝石化の光線が誤爆しては無事では居られないのだ。

「最善を尽くすは、言葉だけではありません！！」

　対処に窮したカルロスへと、セシルは雷魔法と光の剣のコンビネーションを喰らわせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「…………あー、あたまいたい。ほんとにきついなこのカルロス。対象がデカすぎるだろ……」

　鈴木・志乃（ブラック・f12101）はこれから戦うことになる『三の王笏』の能力を考えて頭を抱える。邪神山脈と化した島、そこから巨大な邪神を召喚するとは、これまでの敵と比べてスケールが段違いだ。

「『輝き惑わすもの』よ！　その猟兵を宝石へと変えるのだ！」

　しかも、相手は待ってはくれない。カルロスは邪神山脈と化した島の大地より光り輝く宝石のような美しき邪神を召喚すると、志乃への攻撃を指示する。

「ぶっちゃけ一か八かだけど、最初から狂気に陥れば混乱もなにもないよね？」

　邪神の輝きは、欲望をかき立て混乱さる。そんな精神汚染に対して、志乃は自身に向けて催眠術を掛けることで対処する。カルロスを殴ることに執心するように精神を狂わせておけば、別の精神攻撃は効かないという理論だ。確かにそれで邪神の力は無効化できたが、その状態でまともに戦えるかというのは疑問点だ。
　そして、邪神の輝きはその力の一つでしか無い。志乃へと向けて、カルロスの指示に従った邪神から宝石化の光線が撃ち放たれた。それは、命中すれば即死にも等しい凶悪な攻撃だ。

「邪魔しないで……！」

　その光線に対し、志乃はオーラ防御を多重展開することで防ぐ。光線を受けても宝石化するのは最外の一層のみ。それを捨てつつオーラ防御を絶やさぬように展開し続ければ、志乃まで光線が届く事は無い。彼女の心はカルロスへの攻撃で占められているものの、そのための行動を邪魔するものということで対処は出来たようだ。
　そして敵の攻撃を防御しきった志乃は、狂った精神の元ですぐさま反撃のユーベルコードを発動した。

「……全部降らす。全部降らすよ！」

　志乃が発動した『■■■■の神域』の効果により、海、山、川、岩、木、神域を構成する様々なものがカルロスへ向けて降り注ぐ。敵の力は不浄な邪神を核とするもの、これが効いてくれれば、弱体化を期待出来るはずだ。

「チッ……面倒な」
「カルロスッ！　これでも、喰らええええ！！」

　志乃の狙い通り、邪神の動きが鈍っている。その機に乗じて、カルロスを殴ることしか頭にない彼女は、邪神をすり抜けてカルロスの元へと疾走する。そして、全力の浄化魔法をカルロスへとぶち込んだのであった！

成功 🔵​🔵​🔴​

　猟兵とカルロスの激闘が繰り広げられているこの『三の王笏島』に、一人の海賊が降り立った。

「あぁ、王笏！　ついに、ついに！！　第三の王笏となれど、お前は夢にまで見た、七大海嘯！！　蹂躙し、略奪対象！！　あははは！！　楽しくなってきましたね！」

　待ち望んだ七大海嘯との決戦に歓喜しているのは、シノギ・リンダリンダリンダ（強欲の溟海・f03214）であった。『強欲』の二つ名を持つシノギにとっては、七大海嘯すらも略奪対象のようだ。

「我を前に笑うか猟兵よ！　しかし、この島こそが貴様の死に場所となるのだ。出でよ！」

　カルロスが召喚したのは、光り輝く宝石のような美しき邪神であった。その放つ輝きは、周囲の敵の欲望をかき立て混乱させる。

「……もしかして、お宝を献上してくれると、そういう事で？」

　しかし、その輝きを受けたシノギは、邪神の身体を為す宝石に目を奪われていた。狂気じみた欲望ならば、元より彼女の心を満たしているものだ。邪神の力に侵されたところで、欲望に塗れた精神は何ら変わりが無いのだ。
　確かに精神汚染が効いているはずなのに、一切の変化の無いシノギに、邪神は光線を発射してくる。命中すれば対象を宝石化する恐るべきその攻撃に、シノギはユーベルコードを発動して応戦する。

「強欲の右腕を起動します。相殺してあげましょう！」

　そしてシノギは強化した『Midās Lich』から放たれる黄金の弾で光線を相殺した。弾丸は宝石化されるも、それはこの後に彼女が略奪する財宝が増えただけだ。

「それでは、私の番ですね！」

　呪詛のエネルギーで飛翔したシノギは、戦場に黄金の弾丸をバラまく。もちろんそれは単なる弾丸では無く、そこには対象をじわじわと黄金と化す黄金竜の呪いが込められていた。

「あぁ、蹂躙の幸せだけで、略奪の幸せまでお前はくれるのですね！？」
「くそっ……呪いのせいで……邪神の制御が……！」

　呪詛による黄金化の進行によって、メガリスの制御が狂ったようだ。制御を外れた邪神の動きが、明らかにおかしくなる。

「これは利用するしか無いでしょう！　あぁ王笏！　我が強欲、その目に焼き付けよ！」
「なっ！？　しまっ……た……」

　その様子を目にしたシノギは、暴走する邪神を誘導して宝石化光線を放たせる。その光線は、邪神を使役していたはずのカルロスへと命中した！　如何なカルロスと言えど、その効果からは逃れられない。ここに三の王笏は、宝石として『強欲』の戦利品になったのだ！

　こうして猟兵達の力により、三の王笏は滅ぼされた。それは彼の勢力の低下に繋がり、『イイダコ島』がコンキスタドールの支配下より解放されたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2021年02月06日