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羅針盤戦争〜ジ・オーバーウェルム

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #バルバロス兄弟 #先着四名

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「わあい! 皆さんすごいすごーい! たくさん島が開拓されていってますねー!」
 ぱふぱふと拍手をしながら、シーカー・ワンダーは猟兵たちを温かく讃えた。

 さて、時にグリードオーシャンにて新たな島が発見された。
 島の名は『コロッサス・コロッセオ』と言い、中央に巨大なコロシアムが築かれているのが特徴だ。このコロシアムで戦い続ける戦士の中で、最も強い者に住民が従う風習があるのも個性である。

「それでですねえ、この島に七大海嘯のバルバロス兄弟が居着いてしまいましてー……並み居るコロシアムの戦士をみーんなやっつけて島を支配しちゃったんですよー……」

 現在、コロッサス・コロッセオは島民全体の総意として『七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟』に従っている状態であり、島は名実ともにバルバロス兄弟の私物と化してしまっている。このまま放置すれば、島を挙げての侵略攻勢などが起こりかねない。

「解決するにはですね、もちろん、コロシアムに行って戦ってバルバロス兄弟をやっつけてもらうしかないんですー!」

 猟兵たちがやることはただ一つ。コロシアムでバルバロス兄弟と戦いこれを打ち倒すことである。
 幸い、観客の島民たちは試合に手出しをするようなことはしない。ルール上はチームを組んでバルバロス兄弟に挑むのも許されている。
 加えてバルバロス兄弟は武芸達者。彼自身もそれを自覚しているため、複数人で挑んでも喜んで受けてくれるだろう。
 そして真っ向から勝負を仕掛け、バルバロス兄弟を倒すことができれば、島民たちは島のルールに従って猟兵たちに突き従ってくれるはずだ。

「七大海嘯と呼ばれるだけあって、バルバロス兄弟は楽な相手じゃありませんけど、皆さんなら大丈夫! がんばってくださいねー!」


鹿崎シーカー
 ドーモ、鹿崎シーカーです。シナリオの回転早くて震えてます。

●舞台設定
 グリードオーシャンの島、『コロッサス・コロッセオ』。古代ローマ的な街並みで、島の中央には大きなコロシアムがあるのが特徴。このコロシアムで最も強い者が島を統治するのが掟。島民たちは誇り高き戦士か、公平な審判か、熱狂する観客である。
 現在はバルバロス兄弟が最強を誇り、島を支配している状態。

●第一章・ボス戦『七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟』
 七大海嘯の一員で、身長5m、双頭四腕の巨人。2つの首は別の意識を持ち、隻眼が兄オルチ、赤髭が弟ハイレディンという。様々な敵から肉体の部位とメガリスを奪ってて来た。

 アドリブ・連携を私の裁量に任せるという方は、『一人称・二人称・三人称・名前の呼び方(例:苗字にさん付けする)』等を明記しておいてもらえると助かります。ただし、これは強制ではなく、これの有る無しで判定に補正かけるとかそういうことはありません。

(ユーベルコードの高まりを感じる……!)
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟』

POW   :    フォーアームズ・ストーム
【四腕で振るった武器】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    「オルキヌスの瞳」
【弟ハイレディン(左頭部)の凝視】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【肉体、精神の両面に及ぶ「退化」】で攻撃する。
WIZ   :    バルバロス・パワー
敵より【身体が大きい】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:ちーせん

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒田・牙印
・おう、こういう場での真っ向勝負は大好きだぜ。
観客もいることだし派手にやるか!

・必ず先制される。それが分かってんなら、俺がやることは1つだ。
脚を踏ん張り、腰を落として体に「怪力」を漲らせ、「グレイトスケイル」を鎧として正面から受けとめる。
あの4本の腕による攻撃は「4連撃の内どれかで相手の体勢を崩す」ことで十全な威力を出す。全部踏ん張れば痛手は受けても致命打は受けねえよ!

・初撃を受けたら俺の番だ。「怪力」で奴らの腕を掴んで強引に引き寄せてからの全力ボディアッパーで屈ませて噛みつき、その体をUCで捻って噛みちぎってやる。
どうせてめえらの身体は借り物だろう? そろそろ持ち主に還してやったらどうだ?


高砂・オリフィス
見た目に似合わず技巧派な攻撃! 強いかも……でもこういう時こそ笑顔笑顔、声出してこ!
でっかい得物にでっかい図体。おまけに態度までデカイときたら、ぼくも負けてらんないねっ! 何を張り合うかって? そりゃあ気迫の声だよ!
技術が退化したところで、ぼくのハートは燃え尽きない! 稚拙? 単純? むしろそういうエンタメほどぐっと気持ちを掴むことってない?
踊りながら戦うぼくの技! そのおっきい目でしっかり見てよね! 見飽きるくらいまで味わってもらうよ、あははっ!


ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
自慢の[視力]で敵の動きを[盗み]先読み、「オルキヌスの瞳」対策を兼ねた支援に[武器改造]によって光の反射率を高めた、ボクの空飛ぶ金貨達の[存在感]に視線を惹きつけ、陽光等を反射して敵の目を晦ませるよ。
隙を見て【スキルマスター「スティール」】。[騙し討ち]する様に胸元から収納の魔術カードを取り出して[投擲]。
狙いは、ハイレディンの持つ「オルキヌスの瞳」。ユーベルコードによって強化された収納の魔術でカードの中へ瞳を[詰め込み]奪う、[盗み攻撃]。
厄介な瞳、奪っちゃえ♪アクマ達にいくらで売れるかなー♪。ボク、武芸者というより盗賊だもん。盗めるものは盗んでおかないとね♪。


ファラン・ウルフブラッド
〇アドリブ歓迎

今までオレもこの海で色々掠奪してきたけどよォ、他人のパーツまで掠奪しようなんざ思いもしなかったぜ?
哀れなもんだなぁ。オレから言わせてもらえば、そんな不細工なパッチワークに何の価値も見いだせねぇよ。

【対先制攻撃】
相手の攻撃は『見切り』で受け流し、バックステップや『残像』で被弾を最小限に抑えます。
「確かにオレのタッパ(身長)とテメェの身長差はどうやっても覆せねぇよ。……だが、それはオレが戦う場合には。って意味だ」
UCを発動、最初は一体だけ召喚。その後ネズミ算式にドンドン鮫を増やしていき物量で圧殺します。
「ハッハァー!! 戦いは数だぜ、兄貴ィ!!」



『ウオオオオオオオオオオオオオッ!』
 コロシアムに轟くバルバロス兄弟の咆哮! 歓声をふっ飛ばした彼らが武器を振り上げ突っ込む先で、黒田・牙印(黒ワニ・f31321)は両足を肩幅に開く頭上で両腕を交叉した。
 一瞬で距離を詰めたバルバロス兄弟の五本腕が閃き、巨大な武器を矢継ぎ早に叩きつけていく!
 DDDDDDDOOOOOOOOOM! 放射状に放たれる衝撃波! 轟音! ギリシア哲人めいた格好の実況役がエキサイト!
「命中ゥ――――――ッ! バルバロス兄弟の必殺技フォーアームズ・ストームがチャレンジャーに襲いかかったァ――――――ッ! 数多の戦士をまるで嵐の中の木っ端のように吹き飛ばし続けた破壊の乱撃ィ! だがチャレンジャー・ガイン! 崩れない! 怒涛の攻撃をその肉体で受けているゥ―――――――――ッ!」
 観客たちが口々に叫び、怒鳴り声じみたエール、反撃の示唆、応援がごちゃ混ぜになって激しくうねる!
 バルバロス兄弟の攻撃を雨あられと受ける牙印の足元には既に巨大な蜘蛛の巣状の亀裂が生まれ、黒鉄じみた鱗が砕けて血の雫が舞う! しかし腰だめ姿勢のまま倒れぬ!
 そして、バルバロス兄弟は巨大な片手斧を振り上げた!
『ぶッ…………潰れろおおおおおおおおおおおおおッ!』
 兄弟が共に吠え、戦斧を牙印のクロスガードに打ち下ろす! CRAAAAAAAAAAAAAASH! コロシアムの地面が牙印を中心に大きく凹み、亀裂からトゲのように岩肌が突き出した!
 だが牙印は血の滴る両腕で拳を握り、肉厚の刃を押し返し始める!
「ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…………!」
「オルチ兄ッ!」
「しぶといわ……このワニがぁぁぁあああああッ!」
 兄弟の斧持つ腕が筋肉を隆起させ、牙印を一息に潰さんとす! だが牙印はカッと両目を見開いた!
「ゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―――ッ!」
 斧を! 弾き飛ばした! バルバロス兄弟の斧が跳ね返され、放射状の風が吹き、観客たちが湧き上がる!
 そろって驚愕の面持ちをするバルバロス兄弟! その懐にとびこんだ高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)は巨体の鳩尾に鋭いキック!
「せいやぁぁぁぁぁっ!」
『うぐおおおおおおおおッ!?』
 前かがみになる兄弟の体躯! オリフィスは歯を食いしばったオルチが横薙ぎに振るサーベルを反動ジャンプで回避し、ハイルディンが突き出す巨大トライデントの穂先をブレイクダンスめいた蹴りで跳ね上げる!
「あはははははははっ! 連撃ならぼくだって負けないよッ!」
「ガキが!」
 ハイルディンのカトラスが逆立ちしたオリフィスの両腕を狩りに行く! 肘を折り曲げ小ジャンプしたオリフィスの腹に、真横から振るわれた二連鎖つき鉄球が直撃! そのまま真横へ吹き飛ばす!
 SMAAAAAAASH! プロペラめいて回転しながら吹き飛んだオリフィスは背中からコロシアムの壁を激突粉砕!
 刹那、空から竜燐と龍角を生やした巨大鮫がバルバロス兄弟めがけて急降下! その頭に乗ったファラン・ウルフブラッド(鮫と掠奪は海の華・f03735)は片刃の黒大剣を頭上で振り回しながら豪快の笑う!
「ハッハァーッ! サメのクソになっちまえよ、チャンピオン殿ォォォ―――ッ!」
『SHAAAAAAAAAAAAARRRRRRRRRRK!』
 ドラゴンめいたメガロドンが大口を開けてバルバロス兄弟に噛みかかる! バルバロス兄弟はサーベルとカトラスを振り上げ、背中を反らす!
「こんな鮫如きィ!」
「俺たち兄弟は、いくらでもぶった斬って来たぜええええええええッ!」
「あァッ!?」
 歯噛みし、目を剥いたファランは鮫からバックジャンプで退避! 直後、バルバロス兄弟は渾身の二刀流斬撃を繰り出した!
 SLAAAAAAAAAAAAAASH! 空を駆け、雲を斬り裂く飛ぶ斬撃!
 真っ二つに捌かれた巨大鮫はバルバロス兄弟の左右をすり抜けてハードランディング! コロシアムの砂地を滑り、実況席のすぐ目の前へ!
 実況者は身を乗り出した!
「なぁぁぁぁぁぁんと一撃! 一心同体! 兄弟愛の成せる技か! 巨大な鮫を一撃必殺―――ッ!」
「まだまだだ! それだけじゃあねえ! ハイルディンッ!」
「おうよオルチ兄ィ! まずはあの鮫ライダーだな!?」
 ハイルディンが右目を大きく開き、滞空するファランを捉える!
 その金に輝く瞳こそ、古の海王から奪いし魔眼! あらゆる命を海へと還す神の権能! しかしてその目が光を強めたその瞬間、地面に走る亀裂からバルバロス兄弟の周囲に無数の金貨が飛び出した!
 煌めく貨幣が陽の光を反射して、ハイルディンの視界を潰す!
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
「ハイルディンッ! 回るぞ!」
 オルチが叫び、バルバロス兄弟は竜巻が如く回転! 縦横無尽に放たれた暴風が金貨をまとめて吹き飛ばし、さらに観客たちを襲う! 客席から木の葉のように飛ばされる数人の人々!
 猛烈な風に耐えながら実況者が叫ぶ!
「こ、これはァ―――ッ! 一体何が起こったというのかァーッ!? バルバロイ兄弟が金色の光に包まれたと思ったら回り始めたァ―――ッ! まるでこれは海原にそびえ立つサイクロンの具現だァ―――! いきなり兄弟はどうしたというのかッ!?」
「知りたい? 知りたい?」
 実況席の真横から声! 実況者が振り向くと、そこには中身の詰まった革袋を振り回すユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)が立っていた。
 実況者が思わず後ずさる。
「のわっ!? あなたは……チャレンジャー・ユニ!」
「えへっ」
 口の端から舌を出してウィンクするユニ。彼女は振り回していた革袋を軽く放り上げ、落ちて来たそれをキャッチ。口を開くと、実況席からハイジャンプした。その先には回転を止め、周囲を見回すバルバロス兄弟!
「海賊ならぁ……欲しいよね! 山のようにある金貨っ!」
 宙空で革袋を振るい、ユニは大量の金貨をばら撒く! 貨幣同士が擦れるを音を聞いたオルチが振り返りながら片手斧を振りかぶった!
「さっきの金貨はテメェのかァァァァァッ!」
 SLAAAAAAAAAASH! 巨大斧の一閃が光る金貨をまとめて吹き飛ばした!
 バルバロス兄弟は地面を陥没させるほど強く屈み、中空のユニへミサイルめいたジャンプ! ハイルディンのトライデントが引き絞られる!
「海賊に金貨で攻撃なんぞナメた真似しやがって! このクソガキがァッ!」
「もう、海賊なら金貨に目を眩ませてなよ。どうせ贋作だけどさっ!」
 ユニは右腕を左肩近くまで振りかぶると、五指に握った金貨を投擲! 黄金色に輝く手裏剣めいたそれらを、バルバロス兄弟はカトラスの一撃で打ち払った! サーベルがユニを斬り裂かんと振り抜かれる!
「貧弱な体のガキが、せいぜいそのちんまい臓物ぶちまけやがれぇぇぇっ!」
「おっとォそうはいかねえなァーッ!」
 ユニとバルバロス兄弟の間にインターラプトした龍鮫がオルチのサーベルに斬り捨てられた! 落下する鮫の頭からジャンプしたファランは大剣を掲げる!
「ガキは大事な宝だぜェーッ! ま、テメェらにそれがわかるとは思わねえがなァーッ! やれ鮫ども! エサやりの時間だ!」
 バルバロス兄弟の周囲に次々と展開するオーシャンブルーの魔法陣から龍鮫の頭が飛び出し噛みかかっていく!
 兄弟は五本腕の武器を振り回して鮫頭蓋を粉砕! 粉砕! 粉砕! 空で花火のように爆散する脳漿! だが魔法陣は絶えず新たな鮫の頭を突き出していく!
「おおおおおおおおおおおおおおッ! ハイルディンッ! この鮫どもを退化させろおおおおおおおおおおおおッ!」
「無理だぜオルチ兄ィ! 凝視できねえ!」
 空中にとどまったまま360度から襲い来る鮫を次々と破壊し続けるバルバロス兄弟! 刹那、後ろ手に鮫の頭を薙ぎ払い砕いたフレイルの真下を潜った牙印が、その腕に組み付いた! 振り返るオルチ!
「あァッ!?」
「捕まえたぜ! さっきタコ殴りにされた礼、キッチリしてなかったよなァァァァァッ!」
 牙印は両腕の筋肉を隆起させ、バルバロス兄弟を空中ジャイアントスイング!
 爆ぜるように消えた鮫魔法陣の光を巻き込んで振り回し、途中で無理矢理バルバロス兄弟の巨体を引き寄せ鳩尾にボディブローじみたアッパー!
『うぐおおおおおおおおおおおッ!』
 くの字に折れる巨人の肉体! 牙印は大口を開け、オルチの喉笛に噛みかかる!
「SYAAAAAAAAAAAAAAARGHッ!」
 SQUAAAAAAASH! 噛み潰された兄の首筋から血が迸る!
 オルチはすんでで首の筋肉を膨らませ、一撃必殺をギリギリで回避!
「ぐおおおおおおおおおッ!」
「オルチ兄ィィィッ! 畜生、このワニ公がよォォォォォッ!」
 ハイルディンが金の右目を見開き、牙印を凝視! しかし光芒を放つその視線をオリフィスがインターラプトした!
 SMAAAAAACK! 金の光がオリフィスを包み込む。それを横目に牙印は空中でドリルめいて体をひねりオルチの喉笛を噛み千切った!
「うおらああああああああああああああッ!」
「ゴバアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
「オルチ兄ぃぃぃぃいいいいいいっ!」
 オルチの抉り取られた喉から噴水じみて血が吹き出し、牙印の全身をオーバーオールごと染め上げる!
 一方、退化の光をまともに食らい、あどけない幼女に変えられたオリフィスは兄弟の首の隙間を蹴ってジャンプ!
「あはははははっ! なんか体が軽くなったっ! これはこれでイケるかもっ!」
 何もない虚空でトリプルアクセルからの上下反転ブレイクダンスを決めて立ち直ったオリフィスは、大きく身を反らして息を吸う。自由落下を始めるバルバロス兄弟の胴体を狙い、シャウト!
「AAAAAAAAAAAAAAAAARRRRRRRRRRGH!」
 空気砲めいた裂帛の気勢が巨大な腹筋を撃ち抜き、コロシアムへと叩き落とす!
 CRAAAAAAASH! 地面に激突する巨人の周囲で大歓声! 巻き上がる砂埃を跳ね飛ばして復帰したハイルディンは項垂れたオルチに呼びかける!
「オルチ兄ッ! オルチ兄ッ! ……畜生、この虫ケラのチビカスどもがアアアアアアアアアッ!」
 憤怒の絶叫を撒き散らすハイルディン! 彼の足元に着地した幼いオリフィスは両足を広げ片手を突いた低姿勢からハイルディンを見上げる!
「技術が退化したところで、ぼくのハートは燃え尽きない! 稚拙? 単純? むしろそういうエンタメほどぐっと気持ちを掴むことってない? 踊りながら戦うぼくの技! そのおっきい目でしっかり見てよね! 見飽きるくらいまで味わってもらうよ、あははっ!」
「ほざけクソがッ!」
 振り下ろされるカトラスをサイドフリップで跳び避けたオリフィスはハイルディンの腿に飛び乗り、それを足場に跳び膝蹴りを繰り出した! ハイルディンの下顎にクリーンヒット! 巨体がのけ反る!
「いいのが入ったァァァァァッ! チャレンジャー・オリフィス! 数多の戦士を無力な幼子と化してきたハイルディンの目を受けてなお熾烈な抵抗―――ッ!」
「オオオオオオッ!」
 ハイルディンは気勢で実況をふっ飛ばし、頭突きでオリフィスを叩き落として蹴っ飛ばす!
 SMAAAAAASH! 砲弾めいて跳ぶオリフィスにフレイルを振り回し、トライデントを引き絞って全力疾走するハイルディン! だがその両脚に、左右の地面から飛び出した龍鮫がかぶりついて強制停止!
 つんのめる巨人の両肩に、空から飛来した鮫がさらに二体噛みついた!
 十数メートル先で吹き飛ぶオリフィスの首根っこを捕まえたファランが呟く。
「チビカスだァ? 確かにオレらのタッパとテメェの身長差はどうやっても覆せねぇよ。……だが、それはオレが戦う場合には。って意味だ。つまりな……」
 次の瞬間、ファランは歯茎を剥き出して笑い、大剣を振ってハイルディンを指し示した!
「ハッハァー! 戦いは数だぜ、兄貴ィ!」
 空の果て、雲を斬り裂き、雨の如く降り注いで来る龍鮫の群れ! 頭上から迫るそれを見上げたハイルディンは咆哮しながらトライデントを振りかぶり、ファランに投擲!
「ヌオアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
 SHOOOOOOOOOOT! 柱じみた巨大トライデントが一直線に飛翔! ファランはオリフィスを足元に落とすと、大剣の斬り上げで迎撃!
「ふんッッッ!」
 SKEEEEEEEEEEEEEM! 大剣の刃とぶつかった槍が金切り声を上げて穂先の角度を僅かに上げる。そしてファランの肩をザックリと斬り裂いて後方、実況者に向かって飛んでいった!
「な、え、ちょっと……アバ――――――ッ!?」
 トライデントに頭部粉砕殺された実況者の身体が仰向けにひっくり返った。一方のハイルディンが大量の巨大鮫に全身喰いつかれながらも右目を見開いたその時、瞳の中に一枚のカードが浮かび上がった。
 神の右目が白い光を帯びて一点に凝集! カラになった眼窩の中に残るカードは独りでに飛んでいき、観客席の最前列に腰掛けたユニの手に吸い込まれた。
 二本指でカードをキャッチしたユニは足をぶらつかせながら歌う。
「厄介な瞳、奪っちゃえ! アクマ達にいくらで売れるかなー! ボク、武芸者というより盗賊だもん。盗めるものは盗んでおかないとね!」
「う、ウオオオオオオオオオオオオッ! 猟兵ィィィィィアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
 叫ぶハイルディン……否、バルバロス兄弟の姿を無数の鮫が覆い尽くす! その様を遠目に見ながら、牙印は首を鳴らして言い捨てた。
「どうせてめえらの身体は借り物だろう? そろそろ持ち主に還してやったらどうだ? ……ま、その前に食われちまうようだがな」
 無数の鮫が頭を寄せ合う中心で、バルバロス兄弟は爆発四散した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月08日


挿絵イラスト