銀河帝国攻略戦⑦~猛攻!機械竜!
広大な宇宙が広がるこの宙域には、現在無数の巨大な鏡が並んでいる。
その鏡が映すのは、今も打倒銀河帝国を掲げて力を溜めつつある解放軍艦隊。
鏡の正体は、解放軍艦隊を撃滅すべく銀河帝国が用意した集積型反射鏡『カイザー・レイ』。
エンペラーズマインドから照射されるエネルギーを反射し、対象の艦艇を破壊せんと虎視眈々と期会を待っているのだ。
その鏡の内一つには、鎖に繋がれた番犬のように寄り添う大きな機械があった。
太く安定感のある四肢と巨体。
長くしなやかな首と尻尾。
凶暴に全てを噛み砕かんとする力強い顎。
その見た目は機械ながらも、さながら恐竜といった出で立ちである。
胴体から伸びる太いコードは鏡へと直結しており、鏡が待機中の余剰エネルギーを供給されているようである。
「みんな大変だよ!アタシたちを狙う悪い鏡があるんだって!」
慌てふためき、タコ踊りでグリモアベースに明石・真多子(軟体魔忍マダコ・f00079)が飛び込んできた。
慌てている相手を見ると、かえってこちらは冷静になるのもで猟兵達が真多子を落ち着かせる。
「あはは…ごめんごめん。それでね、その悪い鏡を割らないと大変みたいなんだけど、簡単には行かないみたいなんだ!そこには番犬…番恐竜?がいて近付けないみたい。アタシの予知だとそいつを倒せば鏡ごと壊せそうだから、頑張って機械恐竜を倒してね!」
内容を告げると、真多子はグリモアを光らせ猟兵達を転送させた。
ペプシ派
カイザーレイ攻略シナリオです。
現地に直接飛ばしますので移動は心配ありません。
戦闘場所はカイザーレイ上で、カイザーレイ方向に重力があります。
そのため、宇宙用の移動方法がなくても戦えます。
初めての第六猟兵の戦争ですね。
皆さん頑張りましょう!
第1章 ボス戦
『デスモ・ブラキオス』
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POW : CODE:Dino
【恐竜の本能 】に覚醒して【広域殲滅モード】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : CODE:Raptor
【体から生み出した無数の小型恐竜メカ 】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : CODE:Venom
【未知のバイオウイルス 】が命中した対象を爆破し、更に互いを【ダメージを共有する状態】で繋ぐ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ナハト・ダァト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シズホ・トヒソズマ
※他猟兵との絡み・連携OK
大決戦の前に、まずは脅威を少しでも削ぎに行きましょう!
【武器受け1】でユングフラウで敵の攻撃を凌ぎながらチャンスを待ち、
大技を待ち受けて【誘惑1・挑発1・ダッシュ1・ジャンプ1】でとにかくその攻撃を我が身で受け、オペラツィオン・マカブルによりユングフラウから放射したエネルギーで【カウンター1】し、ブラギオス及び周辺メカ共々一気に攻撃します。
その後は【空中戦1】で敵の上を獲りながら攻撃し、
【挑発1・誘惑1】で敵の攻撃を引きつけ、味方の大技の隙を狙わせない様にしたり、怪我した仲間を狙わせない様にします
「その光を放たせるわけには行かないのです!ヒーローとして、人々の為に!」
バルディート・ラーガ
WIZ/【芋煮艇】の仲間と出撃しやすぜ。バイクに載っけて貰って本体に接近!頭ブン殴って貰うのは百目鬼の坊ちゃん達に任せて、あっしはあのモヤモヤした緑のモヤに注目しやしょ。不用意に触っちゃあよくねえ事が起こりそうですが、あのフワフワ感はきっと炎であぶられンのにすこぶる弱いハズ。適度に腕の炎でふり払いつつ、【這いずる朽縄】で切り離しといた炎の蛇を噴出孔からやっこさんの体内にブン投げて、思いっきり消毒しちまいやしょうぜ。
帝国の差し金だか知りゃしませんが、機械仕掛けのトカゲごときにゃ負けてられませんよう。
数宮・多喜
【芋煮艇】で参加!
みんな、やったろうじゃないか!
【アドリブ改変・連携歓迎】
アタシのカブは宇宙用。最大化して、他の芋煮艇メンバーを
一緒に乗せながら高速で降下するよ。
明日多くんはメダルに入ってもらってアタシの胸元、かねぇ?
それぞれのポジションにルエリラさんやバルディートさんを降ろし、
テレパスでコインの中の明日多くんに合図する。
合図の後に恐竜の頭を目がけてコインを放ったらアタシは再加速開始!
恐竜の周囲を回るように走りながら、
サイキックブラストで小型恐竜を潰していく。
ぐるっと回り切ったらタイミングを見て、
【黄泉送る檻】を発動させるよ。
これで小型恐竜の生産は潰せるはず!
あとは皆、とどめは任せたよ!
ルエリラ・ルエラ
チーム名【芋煮艇】
脅威になるものを見過ごすことはできないね。
皆と一緒に絶対破壊するよ。
重力はあってもやっぱり宇宙。バイクから飛び出した後は、動きをスムーズにするためにブーツに魔力を込めて翼を生成して動きを補助するね。
私の役割は皆の道を切り開く事。『援護射撃』は任せて。
敵が無数の小型恐竜メカを出して来たら【魔力矢の雨(フィーア)】で迎撃するよ。散らばる攻撃なら効果的のはずだよね。本体までの道は私が開くよ。
迎撃完了したらあとは本体狙い。【貫通する矢(アインス)】で、あのこれ見よがしな太いコードを狙わせてもうよ。私に貫けない物はない。その後は本体にアインスでの継続攻撃だよ。
さぁ、行こうか。
百目鬼・明日多
【芋煮艇】で参加します。
『遊技場への招待』で自らメダルの中に入っておいて
数宮さんに運んで貰い、合図があると同時にメダルから飛び出し
その勢いで敵に『電脳化身の拳』を仕掛けます。
まずは頭部を狙いますが、これは相手を怯ませる為。
頭部破壊を確認したら、アバターで首を掴んで一本背負いし
ダウンを奪ってから、アバターでマウントを取り
本体であろう胴体目がけて『電脳化身の拳』と『融合する刃貨』の
合わせ技で拳の連打と、何度も旋回し相手を切り刻む無数のメダルによる
ラッシュを叩き込み、完全破壊を狙います。
「皆が作ってくれたチャンス、逃すつもりはありません…
確実に仕留めます!これが今の僕に出来る、最大級の必殺技ッ!!」
宙域にて英気を蓄え、解放軍艦隊を塵も残さず焼き殺さんと漂う巨大な鏡。
その鏡面に自らの顔を写し込んで主を守る機械仕掛けの番犬が、何かの反応に気が付き首をもたげる。
振り向くその視線の先、機械の眼に捉えたのはグリモアが発する淡く広がる光。
グリモア…敵。
黄色いバイザーが真っ赤に染まると、音のない暗黒の世界で怒りの雄たけびを響かせた。
●
光から一番槍で飛び出したのは紫色の全身スーツで宇宙"なら"違和感なさそうなシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)。
異様に眼を惹く紫色の全身スーツは、独特の光沢による反射光がチカチカと瞬き機械竜を挑発する。
「あなたがこの鏡を守る番人ですね。主を守るあなたには申し訳ないのですが、その光を放たせるわけには行かないのです!ヒーローとして、人々の為に!」
シズホの言葉へ返事するように、機械竜が地を伝わり響く咆哮を放ちながら長い首を上げる。
シズホが咆哮に警戒し足を止めると、機械竜の様子がおかしいことに気が付く。
首の付け根、そこに穴が空き何かが溢れ出してきたのだ。
巨体の影から這い出たその姿は、無数の小型恐竜メカ。
「まずいですね…。あの巨体なら攻撃を捌きながら皆さんの到着を待つつもりでしたが…。」
チラリと後ろを流し見る。敵の足止めをと、勇んで先んじたために未だ仲間は転送中だ。
この小型を後ろに通せば、転送と同時に味方が襲われてしまう。
ならば、やるべきことは一つ。
鏡面を滑るように駆け出すと、注意を惹くようにユングフラウを振り回した。
単純に動くものを襲う小型恐竜たちは、群を作って激しく動くシズホへと向かってゆく。
「狙い通りですね。」
上手く仲間の転送位置から引き離すと、自ら小型恐竜の群れへと飛び込み猛攻をその身に受けた。
自らに注意を惹き続けていれば、仲間の活路を作れる。
その一心で(正確には己の被虐願望も満たすため)、身を挺して時間を稼いでいた。
●
無数の小型恐竜が群がり、シズホが蠢く塊となったその時、グリモアの光が再び鏡面を照らす。
カイザー・レイが引き寄せる重力に逆らうように、勢いよく一台のバイクが空中へと飛び出した。
数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)が愛車、宇宙カブJD-1725に跨りその後部にバルディート・ラーガ(影を這いずる蛇・f06338)とルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)を乗せている。
正確には、ルエリラはブーツに魔力を込めて翼を生成して、後ろからバイクを支えているのだが。
飛び出したバイクがルエリラの魔法により僅かに滞空する中、一同は眼下を見下ろした。
そこには、先に出撃したシズホの姿はない。
まさか…誰もがシズホの安否を疑ったが、多喜がテレパシーリンクで思考する者を探るとすぐに見つかった。
「大丈夫だ、シズホさんはあそこにいるようだね!」
不安そうな顔をした優しい相棒たちは、安心したように顔を見合わせた。
仲間の安否を伝えると、多喜はすぐにシズホと念話した。
「(シズホさん無事かい!?)」
「(ん…大、丈夫、です。力を、解放します。多喜さん、アレを…)」
念話による合図を受けると、多喜は愛車から手を放し、真下に向けて力を込める。
「バルディートさんちょっとハンドル任せた!バランスとるだけでいいからさ!」
「ちょ、多喜の姐さんあっしはこういった乗り物は分からないんでございやすがね!?」
「ashes to ashes,dust to dust,past to past...収束せよ、サイキネティック・プリズン!」
慌てふためくバルディートが多喜の後ろから腕を伸ばし、密着する形でバイクのバランスをとる。
多喜は他のことを考えている余裕も無さそうに意識を集中すると、眼下で蠢く塊を中心とした激しい電流が爆ぜるサイキックブラストの檻を生成した。
機械竜から出現していた小型恐竜の、そのほとんどをシズホと共に脱出不可の檻へと閉じ込める。
「(シズホさん、今だ!!)」
意識できる全力で念話の相手に合図を返す。
すると、電流が爆ぜる光の中心で空気が揺れ、滞空していたバイクを再び空へと押し上げる衝撃波が周囲一帯に溢れ出した。
車上の一同が驚きの悲鳴を上げて衝撃の出所を見やると、電磁の檻の内側へ沿うように一面小型恐竜が張りつき焼け焦げていた。
耐え忍んでいた(楽しんでいた)シズホのオペラツィオン・マカブルが、絶頂の威力へとその瞬間を迎えて解き放たれたのだ。
多喜が檻を解除すると、恍惚とした表情で安否を現すように手を振っていた。
「ははっ!中々やるじゃない!久々にあたしも痺れる衝撃だったよ!」
「ふふ、打ち破るくらいのつもりだったんですけど残念です。」
●
漸く戦場の足場を確かにした一同が地に降り立つと、各々のポジションに散っていく。
放っていた小型恐竜達が全滅したのを確認した機械竜は、再び怒りの咆哮で地を揺らし小型恐竜を生み出していく。
無尽蔵に生み出されるそれは、見る間に機械竜の周りを埋めて近付くことを許さないと言いたげであった。
まるで、近付かれることを嫌がっているようにも見える。
多喜やルエリラが遠距離から攻撃するが、減ったそばから小型恐竜が後ろから這い出て壁を作る。
機械である彼らにとって、使命のためには仲間の死も厭わない。
機械竜を守る、カイザー・レイを守るそのために。
「ん、あれじゃキリがない。私が道を作るからバルディートはがんばってね。」
業を煮やしたルエリラが魔法のブーツで飛翔する。
チマチマと削ったところで徒労に終わる。
だからこそ全力で一気に削る。
飛翔したルエリラが先ほども使った弓を機械竜へと向ける。
弓は同じでも"矢"は違う。
魔力で淡く発光する一本の矢を構えると、狙いも定めず弓を上空へと向けて魔法矢を放った。
狙うは勿論機械竜達。決して外すつもりで放ったのではない。
上空へと伸びる魔法矢の発光が点滅すると、パッっと花が咲き誇るように魔法矢が分裂し、魔力矢の雨となって小型恐竜への群像へと降り注いだ。
魔法矢は自らの意思があるかのように、正確に小型恐竜たちの頭部を捉え地に伏せていく。
気が付けば、機械竜の眼前には猟兵達までの血の花道が敷かれていた。
「さ、早く早く。」
呆気にとられたバルディートを急かしながら、ルエリラは二射目を準備していた。
●
「っとと、呆けてる場合じゃねぇでしたね。あっしも仕事しやせんと。」
気を取り直すために長細い舌でペロと鼻の頭を撫でると、姿勢を低めにして臨戦態勢に入る。
「こういう雑多なところをのらりくらりとスリ抜けて行くのは、あっしに任せといてもらいやしょう!」
自らを"蛇"を自重するバルディートは、前傾姿勢で勢いよく機械竜へ駆けていく。
上空のルエリラからは、まるで本当に蛇が這っていくかのようにするりするりと小型恐竜の死骸を避けて、降り注ぐ魔力矢の雨をものともせずに進んでいた。
小型恐竜が殲滅されようと、あれほど近づかれるのを警戒していたのにもかかわらず、機械竜の反応は薄かった。
特に慌てるようでもなく、鬼気迫った様子もない。
ただただ静かに怒れるだけであった。
バルディートが機械竜の目前という所で、突然機械竜が咆哮を上げるでもなく大口を開けてバルディートを迎え撃つ。
気のせいか、緑色の"もや"のようなものが溢れ出していた。
そのことに逸早く気が付いたのは、激しく動くバルディートではなく、上空にてサポートに回っていた狙撃手のルエリラだった。
ただの蒸気であったなら気にも留めなかったであろうが、エルフとしての性か生理的恐怖をあのもやから感じ取る。
「っ!バルディートそのもやダメ!」
「もやですかい?…っ!コイツは!?」
ルエリラの忠告によりもやの存在に気がつくと、直感で不用意に触れては不味いと判断する。
咄嗟に両腕を前に構えて顔を防いだ。
もやの正体。
これは未知のバイオウイルスであり、生身で触れれば内部から腐食し気泡と共に爆ぜてさらに拡散していくという殺人ウィルスである。
銀河帝国が用意した細菌兵器であり、生身の肉体を持つ身であるバルディートも当然ただでは済まない。
ただしそれは、生身で触れた場合である。
彼の両腕は既に実体はなく、ブレイズキャリバーの炎で補っている。
両腕の炎が彼の周囲に漂う細菌を焼き殺し、彼を細菌の被害から守っていた。
機械竜は、初めて戸惑っていた。
細菌兵器をもろに喰らってなおも立っていられる者がいる。
エラーチェックを掛けても細菌に異常は無い。
いったい何が起こっているのか。
「くっさい息の機械仕掛けのトカゲごときにゃ負けてられませんよう。お返しといたしやしょう!」
両腕を伸ばすと、炎の腕が切り離れて2匹の炎の蛇となり機械竜へと襲い掛かる。
それはまるで、機械竜の纏った細菌を舐めとるように這っていき、鏡の主を丸裸にした。
●
機械竜は、一瞬の隙を突かれて虎の子の細菌兵器を失った。
目前までバルディートに接近を許したために、小型恐竜たちは眼下で次々炎に飲まれていく。
機械竜は初めて恐怖した。
機械であるため死の恐怖などは無い。
使命を全う出来ずに機能停止してしまうのではないかと恐怖した。
「(明日多くん、出番のようだよ!)」
多喜の念話が届くと、バルディートの被ったフードの中から一枚のコインが零れ落ちる。
「おっと、ようやくお目覚めですかい?」
「明日多、ごー。」
切り札は最後まで取っておくもの。
勝負はたった一枚のコインでひっくり返ることもある。
コインが眩く光ると、中から百目鬼・明日多(一枚のメダル・f00172)が満を持して現れた。
「よっとと、まるでゲームの主人公みたいなシチュエーションですね。さて、皆が作ってくれたこのチャンス、逃すつもりはありません!」
キッと明日多が機械竜を睨み付けると、コアがあると予想される頭部目掛けて拳を握りしめて飛び出した。
しかし、機械竜もただ茫然とやられる気はない。
機械竜にはまだ敵を引き裂く爪がある。敵を砕く顎がある。敵を叩き落す尻尾がある。敵を押しつぶす巨体がある。
ハイテクな機械が、アナログな方法での戦闘手段を選択した。
それはまるで、己に秘められた恐竜の本能を呼び起こすかのように。
機械竜が重心を後ろに落とし上体を起こすと、鋭い爪をもった両前脚で明日多を切り裂こうと襲い来る。
しかし、その切っ先が明日多へ届くことはなかった。
右脚を多喜のサイキック・ブラストで固定され、左脚をルエリラの貫通する矢で爪を射抜かれていた。
虚しく空を切った左脚を足場に、上方へと移動した頭部目掛けて明日多がさらに跳び上がる。
明日多の視線は頭部一か所。狙いは絶対にずらさない。
そこへ、横から太くしなやかな尻尾が明日多へと襲い掛かる。
巨体の影からの不意打ちに近い時間差攻撃に、多喜もルエリラも反応が遅れた。
バルディートは射程外。
明日多への猛烈な叩き落しが決まるかに見えたが、明日多へとぶつかる瞬間に割って入る青年がいた。
尻尾を片手で止めたこの青年に名は無い。
百目鬼・明日多の未来の姿を模した姿を現世に投影しているものだからだ。
「それは"未来"の僕の姿です。そしてこれが、"今"の僕に出来る、最大級の必殺技ッ!!ルゥァララララララララララララララ!!!」
狙いを付けてから、一度たりとも機械竜の頭部から視線を外しはしなかった。
背負った覚悟が、決意が、明日多の心を湧き立てる。
バイザーを叩き潰す勢いで、機械竜の顔面に青年型アバターによる拳の連打を叩き込み続けた。
後ろ脚だけで立ち上がっていた機械竜の巨体が、大きく軋みながら揺れ動き徐々に浮き上がる。
「確実に仕留めます!ルゥァラァッ!!」
青年型がメダル型自立飛行ブレードを放つと、機械竜のバイザーに突き刺し、ダメ押しのように拳で叩き付けて深々と食い込ませた。
トドメの一撃を喰らうと、機械竜は力なく後ろへ倒れていった。
大成功
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竹城・落葉
ふむ、あれが恐竜というものか。最も、恐竜ではなく、恐竜を模した機械に違いないが。まぁ、そんな事はどうでもいい。我がやる事は一つ、奴を切り伏せ、再起不能にする事のみ。
我は名物竹城を手に『支柱一閃』で奴を切り伏せる。だが、奴は手ごわそうだ。【早業】と【フェイント】を駆使して隙を突いて素早く一撃を加え、【2回攻撃】で更に駄目押しの一撃を加える事としよう。我は元武将、恐竜をした機械なぞ、獣狩りのように討ち取ってくれるわ!
ところで、こいつは恐竜を模しているようだが、食べられるのだろうか。腹が減っては戦はできぬという事で、断片でもいいから食してみよう。それが可能であるなら、味はマスター殿に一任する。
アルフレッド・モトロ
カイザー"レイ"だと?
銀河帝国のくせに"レイ"を名乗るとは上等だ。
本物のRAYを教えてやろうじゃあねえか…!!(気合充分)
見せてやる!これが俺の…俺達の光だ!!WONDER-RAY照射!!
UCの効果で照らされる中攻撃開始だ。
ワンダレイ・アンカーに地獄の炎を纏わせりゃ、いつもの熱々アンカーいっちょう上がり!
未知のウイルスは加熱消毒だ。存分に燃えろ!
小型恐竜共は怪力でブン回したアンカーで吹き飛ばしてやらぁ!
攻撃をシールドで防ぎつつ奴に近づいて
【力溜め】【怪力】【捨て身の一撃】【二回攻撃】の必殺コンボをお見舞いしてやるぜ!
デスモだかギズモだか知らねえが、俺の炎で消し炭にしてくれるわ!
ネージュ・ローラン
アルフレッド艦長(f03702)がやる気満々です。
全力でサポートしますよ。
【精霊獣召喚の舞】で雷の精霊の化身、サンダーバードを呼び出して騎乗します。
そのまま接近して雷の魔法による【属性攻撃】、サンダーバードの攻撃と連携して【二回攻撃】で小型メカを攻撃です。
相手の攻撃は【見切って】サンダーバードに回避の指示を出しましょう。
この子なら【空中戦】も得意です。
そうして本体への道を切り開きましょう。
メンカル・プルモーサ
【アルフレッド・モロト(f03702)と一緒に参加】……船長のお手伝い……
ウィルスがあると言われているのはコモドオオトカゲ……うん。オオトカゲである事は間違いない…
……小型のメカは船長達が吹き飛ばしてる……殲滅モードも厄介だけど……それ以上に危険なのはあのバイオウイルス。未知を既知に変えるのは学者の役目……バイオウイルスを解析して●CODE:Venomを【崩壊せし邪悪なる符号】で分解する……
ウィルスの脅威を除いたら……【鳴り止まぬ万雷の拍手】で恐竜の動きを止めたり…
【空より降りたる静謐の魔剣】で恐竜を凍らせて…援護。火力は充分だから妨害に回る……動きは止めるから…後よろしく…
尾守・夜野
【アルフレッド・モロト(f03702)と一緒に参加】
野郎はイグアナか何かか?
ウイルスがあるとか…
あん?
コモド…?
まぁ、関係ねぇよ
こまけぇことは気にするな!
ウイルスにかかろうが
何しようが気にせずぶったおせばいいんだよ!
黒剣で切りかかるが、
自分にダメージが来るならどうでもいいんだが…仲間がかかって攻撃したら苦しむようなら躊躇しちまうかもしれねぇな。
その場合は、相手に噛みつくか何かして血を頂き、解析し、ワクチン…とはいっても肉の形にしか出来ねぇがにして、飛ばして回復させる
多分、薬効が含まれるんだろう
薬もウイルスに取っての毒の一種だ。人には比較的影響が薄いだけな
星群・ヒカル
ワンダレイのみんなで艦長(f03702)をサポートするぞッ!
宇宙バイク「銀翼号」の本領発揮だッ!「騎乗」は任せとけ!
乗せられる人は乗せて敵の方まで行くぜ。
ある程度の距離まで近づいたら、小型恐竜メカ軍団を真正面から「超宇宙・強襲流星撃」で機銃掃射ッ!
流れ星が見たいなら目ぇ見開いてよく見てな!これが超宇宙番長の宇宙流喧嘩術だーッ!願いを叶える前に、てめーらがお星様になるんだよッ!
道は拓いた、後はデスモ・ブラキオス本体への攻撃だ!「空中戦」は銀翼号も得意だぜ?
引き続きガトリングガンの「先制攻撃」で撃ちまくるッ!
待ってろ、銀河帝国の野郎共!
この超宇宙番長が、必ずてめーらを追い詰めてやるからなッ!
ブイバル・ブランドー
【アルフレッド・モロトとその仲間達(f03702)と一緒に参加】するぜ!
でっかい恐竜だな!ならばオレも巨人進撃といかせてもらうか。
【ビルドロボット】ででっかくなり、【かばう】ことができそうな仲間達の壁になりつつブラキオスと格闘だ!
そして、重要な合体先は何にするべきか…お?たくさんいるじゃあないか?使えそうな奴が大量に(無数の恐竜メカ)
…まあだが、もともとあいつの配下だろうし、合体は拒絶されそうだ…だがな!知ったことかよ!オレの決意の力で強制的に合体させてやるッ
広域殲滅モードとかいう強化ができるのか!面白いぜ、ならこっちも【怪力】に【早業】を使って【二回攻撃】で畳み掛けてやらねえと、なあ!
猟兵達の連携により、四足が天を仰ぐように後ろへ倒れ込んだ機械竜。
やったか?
その場にいる誰もが勝利を期待したのも束の間、機械竜の全身からあの"もや"が勢いよく溢れ出す。
あの"もや"はブレスとして口から出していたものではなかったのだ。
巨体の全身を覆うほどの殺人ガスが急に溢れ出したために、猟兵達は仲間を守りながら撤退することしか出来なかった。
留まるところを知らず広がり続ける毒ガスに押されて、遂にはグリモアで転送してきたポイントまで戻され、全員緊急帰還となる。
切り札は最後まで取っておくもの。
それは機械竜にとっても同様であった。
最後の一手で生身の猟兵達を退け、主を守り抜いた機械竜。
割れたバイザーの奥に光る義眼が愛おしそうに鏡面を見つめると、勝利の凱歌を響かせる。
●……充填率……0%……
勝鬨を上げる機械竜の眼に、暗黒の宙空を照らす二筋の光が映る。
それは、広大な宇宙をも自由に泳ぐ一隻のエイ。
『飛空戦艦ワンダレイ』のサーチライトの光であった。
上陸の挨拶だと言わんばかりに巨大なアンカーが鏡面に向けて落とされる。
どこまでも固く、重く、深く撃ち込まれた楔は、綺麗に磨き抜かれた鏡面に歪な亀裂を無数に走らせた。
そして、アンカーで繋がったワンダレイが、地面の振動を通して外部音声を流し出す。
「待たせたな!宇宙の危機を救うためにワンダレイただいま到着だ!」
飛空戦艦ワンダレイ艦長、アルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)の声が鏡面世界に鳴り響く。
既に鏡面上へのワープは危険な状態。
こんなこともあろうかと、わざわざグリモアを使わず飛空戦艦ワンダレイを駆り出したのだ。
アンカーで繋がれたワンダレイが推進力を殺して停止する。
機械竜の攻撃範囲外に停泊、メインスラスターを停止し機関を潜行態勢から臨戦態勢へと移行していく。
「メンカル!"アレ"の準備だ。最大威力に設定しておいてくれよ!」
「……うん。任せて船長。情報戦もこっちでやっとく……。……艦内全エネルギー……充填開始……現在10%……。」
アルフレッドに指示されて、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)が艦内の制御を行っていく。
ガジェット研究者の一族として名高いプルモーサ家にとって、艦内制御の電子機器の操作は一人で捌ききれてしまう。
充填態勢に移行した艦内電灯が非常灯の赤い光へと変わり、ワンダレイ一味を闘志の色に染め上げた。
「全員用意はいいな!俺に続けー!!」
まさかの艦長自ら先頭に立ち戦場へと勇む。
ワンダレイ艦底部にある第三艦橋が開くと、一台の巨大なバイクの乗ったワンダレイ一味が姿を見せる。
シルバーメタリックな基部を包み込むように真紅と金色に煌めくボディが特徴的であり、4人を乗せるには十分な大きさの車体を有していた。
「頼んだぜ、番長!ブイバル!」
「振り落とされんなよ艦長!銀翼号withブイバル、ぶっ飛ばすぜぇ!」
「(エンジン全開、フルスロットル!ヒカル、銀翼号のやつ最高にご機嫌だぜ!)」
アルフレッドの期待に応えるように、星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)の自慢の銀翼号にブイバル・ブランドー(ソニックアタッカー・f05082)が合体した巨大バイクを唸らせて、勢いよくワンダレイから駆け降りる。
超宇宙番長の愛車が地を這いずるだけで済むはずがなく、我が道は己が決めると掟破りの空中を駆け回り、機械竜の周りに渦巻くもやの様子を調べていく。
●……充填率……30%……
「げぇ、なんだあのもやもや。おれの銀翼号が汚れちまうぜ!」
「(そんなこと言ってる場合かよヒカル!それに実際汚れるのは、外装覆ってるオレだろうが。)」
自らに跨るヒカルへ、くぐもった声でブイバルが突っ込みを入れる。
そんなやり取りに業を煮やした尾守・夜野(群れる死鬼・f05352)が後部シートから顔を伸ばす。
「なんだお前ら行かないのか?だったら一番槍はオレにやらせてもらうぜ。」
言うが早いか、夜野が愛刀片手にそのまま飛び降りる。
鏡面に着地する前には、夜野の全身は不気味な色の霧に包まれた。
瞬間、夜野は自身の身体の異変に気が付く。
熱い、燃えるように、内側から煮えた鉄を流し込まれたようだ。
外気に晒されている、愛刀を握った右手を見れば、沸々と煮え立っているかのように表面に気泡が膨らんでいく。
これは…毒か?
自身の身体の異変を意識すると、堪え切れずに苦痛の声が漏れだす。
その声に、様子に、仲間たちが直ちに気が付き、助けようと進路を取った。
「メンカル!夜野がやべぇ!あのもやはなんだ!?」
「……夜野は気が短すぎ……。待って……今結果出た……これはどこにも該当しない未知のウィルス……。もちろん血清なんかない……。」
「オイオイオイ、死ぬわアイツ…。ってそれどころじゃねぇ!ヒカル、ブイバル!すぐに夜野を助けに突っ込むぞ!」
「大丈夫だ船長、来なくていい!ウイルスにかかろうが何しようが、オレが死ぬよりも先にあの毒ガス野郎をぶったおせばいいんだよ!」
身を案じた艦長の救援を断り、夜野はそのまま地に降り立つと機械竜へ向けて駆け出した。
その間も、身を焦がす痛みが全身を巡り、意識が薄れそうになる。
しかし元より半死人。
片足棺桶に突っ込んでる状況は、さっきも今も変わらないのだ。
霧深く視界の悪い中、機械竜の眼光を頼りに走る夜野。
既に身体の気泡が弾けだし、ひたひたと血を零しながらも足を止めはしなかった。
眼光が見上げる位置に来ると、目の前には山のようにそびえ立つ巨体が現れる。
「はっ、随分と食いでがありそうじゃねえか。」
腕を降ろし、右手を伝い愛刀の黒剣を赤く染めると、封印を解かれた殺戮捕食態へと変貌し獲物を欲さんと怪しく煌めいた。
鋭さを増した黒剣が機械竜の外装を切り裂くと、機械の身体の中から有機体のような部分が覗いていた。
こいつがガスを生成してるってところか。
そう合点すると、機械竜が奇襲に気が付き反応する前に夜野が食らいつく。
刻印が毒ガスの情報を吸収し、血清を生成する。
敵の血肉を喰らい、自身の身体中にえぐれた欠損部を満たしていった。
「ぺっ、味は三下だな。ちょっと血が足りねぇが、やられた分はやり返すぜ!」
●……充填率……50%……
「……船長……夜野が自力で血清を作ったみたい……。……毒ガスの生成装置も……反応が無くなった……。濃度も増えてない……。」
「でかした夜野!あとはあのもやを焼き払えばいいんだな!」
上空で待機していたアルフレッド達が状況を確認した。
残る憂いは漂う毒ガス。
ワンダレイとは繋がってない、手持ち用のワンダレイ・アンカーを担ぎ上げると、アルフレッドが車上で大きく振り回す。
そのまま両手からブレイズフレイムの炎を鎖伝いに這わせていくと、炎の扇風機となった。
「うぉぉぉ、流石にちょっと揺れるな!よし、このまま焼き払うぞ!」
眼下で夜野が気を惹いてる隙に、上空から炎の錨を怒りのままに振り回し、みるみるまに毒ガスを焼き払っていく。
機械竜を中心に旋回するようにバイクが空中を駆けていき、次第に夜野の姿が見えてくる。
機械竜が自分を守る鎧が消えたことに気が付いたのは、ワンダレイ一味が五体満足に地に降り立った時であった。
人員運搬の役目を終えたブイバルがヒカルの愛車銀星号から合体を解き、機械の身体ながらに大きく伸びをして肩を回していた。
「お、夜野まだ生きてたのか。」
「夜野は生身なのに頑丈だな。」
「夜野さんですからね。」
「もっと酷い顔になってるかと思ってたぞ。」
功労者に労いの言葉?を口々に投げかけてワンダレイ一味が戦闘準備を行う。
そんな言葉に呆れた様に夜野が振り返ると、機械竜が反応した。
毒ガスを失った今、自信を守る護衛達を生み出していたのだ。
機械竜はその動きを止めて生み出すことに集中しているのか、慌てて退いた夜野の速度に追い付こうとするかのように場を埋め尽くす小型恐竜の群れ。
次第に地を埋めるだけでなく、堆く積み重なっていき人の身長ほどの壁となって機械竜を守っていた。
●……充填率……60%……
小型恐竜の壁。
あの生産力では、大振りの攻撃をしても隙を埋めるように修復されてしまうだろう。
「……船長……残念なお知らせ。……毒ガス生成装置の反応が……微弱だけど出てきた……。アイツ……時間稼ぎするつもり……。」
メンカルの分析による残念なお知らせが周知さると、全員に緊張が走った。
毒ガスの威力は先ほど目撃している。
至近距離で出されれば、全員無事でいられるか…。
「時間がねぇ!番長、ネージュ!頼んだ!」
アルフレッドの号令により、本来の姿に戻った銀翼号に跨るヒカルと、精霊獣召喚の舞で雷の精霊の化身サンダーバードを呼び出したネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)が頷いた。
先に動いたのは既にエンジンを回していた超宇宙番長。
タンと地面を蹴って、鏡面から浮いた銀翼号を思いっきり旋回させると真っすぐ機械竜をその目に捉える。
「宇宙流喧嘩術その一!漢なら真正面からツッパルぜ!」
銀翼号が全力でブーストすると、青白い炎が尾を引いて駆け出した。
カイザー・レイの鏡面に映し出された満天の星空に、銀翼号の流れる炎が反射して、それはまるで銀河を駆ける流れ星のようであった。
「オラオラオラオラオラァ!たらふく喰らいやがれぇ!」
銀翼号に搭載したガトリングガンを銃身が焼け付く勢いでフルバーストしていく。
円形の銃身を止まることなく回転し続け、けたたましく鳴り止まぬ銃声が響いた。
銃弾を受けると小型恐竜が弾け飛び、壁に穴を作る。
しかし、すぐに穴を埋めようと内側から小型恐竜が這い出て壁を修復していった。
だが壁の修復はすぐに徒労に終わる。
修復速度を圧倒的に凌駕する速度で、横一閃に銃弾の雨が降り注いだ。
壁のように積み重なっていた小型恐竜達は、中段から濡れた段ボールのように呆気なく崩れ落ちる。
●……充填率……70%……
雷の精霊の化身を呼び出したネージュは、サンダーバードの嘴を撫でて落ち着かせる。
頭を下げさせて背に跨ると、重力を物ともしなかのように垂直に飛び上がった。
上空で旋回し、地上で番長が大暴れして壁が横なぎに倒れていくのを確認する。
残った残党を指差しサンダーバードに合図を送ると、空気抵抗を無くすためにネージュは身を屈めて身体をサンダーバードへ押し付けた。
サンダーバードが首を縮め羽を広げて風を掴み降下態勢を取ると、ハヤブサのように素早く、鋭い線のような軌道で一直線に小型恐竜達の群れへと急降下する。
降下中、切り裂く空気との摩擦を受けていき、サンダーバードの両翼に雷が溜まっていく。
崩れ落ちた小型恐竜達による半壊した肉壁。
その上端スレスレを神業のように、両翼で撫でつけながら肉壁の上部を滑空した。
溢れ出したサンダーバードの雷が、小型恐竜達の機械の身体を撫でつけた瞬間に激しく放電し、白い閃光が機械竜の眼前を瞬いた。
一瞬にして黒く燻る生け垣を作ると、そのままサンダーバードは大きく縦に旋回、宙返りで再び降下態勢をみせる。
今度は大きく羽を広げてバランスを取りながら、鋭く尖った爪を前に突き出した。
再び襲い来るサンダーバードへ対抗しようとするものはなく、皆ショートして黒い煙を上げている。
勢いよく迫ったサンダーバードの爪が、砂を崩すかのように易々と生け垣を取り払っていった。
「これで本体への道は切り開けました!今ならまだショートしていて後続は無いはずです!!」
●……充填率……90%……
「番長、ネージュよくやった!メンカル、"アレ"の状況はどうなってる?」
「……まだ、充填率……現在90%……。あとちょっとだけ……ほんのちょっとだけ足りない……。」
アルフレッドの虎の子は未だ動けず。
このまま機械竜がおとなしく待っているわけは無いだろう。
案の定、牙城を崩された機械竜は遂に立ち上がる。
地を埋める小型恐竜の残骸をその巨体で踏み潰しながら、こちらへ一歩一歩地鳴りを上げて近付いてきた。
突如、地を揺るがす咆哮を上げると目の色を変えて、割れたバイザーの奥に秘めた野生の眼光を光らせた。
今までの機械らしい挙動はなく、まるで動物のような、太古から甦った恐竜のように威嚇の声を上げ続けて足を踏み鳴らす。
「うぉい!急に恐竜らしくなったな!」
「つか、こっちに向かってきてんじゃねぇか?」
「おいおいふざけんな!番長!ネージュ!助けてくれー!」
あの圧倒的質量と速度。
一目で力負けすると分かるとか以前に、まともあの衝撃を受け止められるわけがない。
このままでは仲間が危ない。
思わず飛行部隊が戻る前に、ブイバルが自ら前へ躍り出た。
しかし現状力負けは必須、打開策を見出さなければならない。
番長の銀翼号と再び合体するか、しかしそれでも体積は2倍程度。
到底あの巨体に押し勝てないだろう。
ともかく、奴に対抗できる質量を得るには相当な数の機械必要…。
いや、ある。沢山あるではないか。眼前に転がる機械小型恐竜の山が。
手に届く限りの、効果の届く範囲内の全ての小型恐竜を吸収するようにビルドロボットで大きくなっていく。
機械竜が一歩近づくのならこちらも一歩前進し、その身に機械竜の放った小型恐竜達を取り込んでいく。
その姿は、みるみる大きく重厚に膨れ上がり、2倍、3倍…と仲間たちが見上げる大きさへと成長していく。
遂には機械竜より合体ブイバルが頭一つ大きくなったかという所で両者向かい合う。
より身体を大きく見せようとする野生の本能か、機械竜が後ろ脚で立ち上がりそのまま合体ブイバルを押しつぶそうとのしかかる。
対する合体ブイバルは両腕で機械竜の前脚を掴んで自分の肩に乗せると、逆に押し返すように身体を前に倒す。
「すげぇ!ブイバルがスーパーロボットになったぞ!」
「ぐぉおお!まだまだ軽いぜ機械竜!これでも喰って出直しな!」
がっちりと組み合った両者が拮抗していると、合体ブイバルが自慢の石頭もとい鋼鉄頭で全力の頭突きを機械竜の頭にブチかます。
しかし一発当てても相手は怯まなかった。
頭突きの応酬と言わんばかりに、今度は機械竜が合体ブイバルへ頭突きをかます。
強がりは言いつつも、必死で堪えるブイバル。
彼の背には仲間たちがいる。
ここは絶対に退けない我慢比べが始まった。
●……充填率……100%……
既に何度も頭突き合戦が行われており、合体ブイバルの塗装は剥がれ落ち、右目のセンサーアイにもノイズが走る。
対する機械竜も、元から壊れかけだったバイザーは完全に崩れ落ち、アゴも左半分は欠け落ちた。
それでも、両者譲らず力比べ、我慢比べの一騎打ちが続く。
「……船長、充填率100%……。いつでも発射できる……。全員射線上から逃げて……。」
「よっしゃ!もういいぞブイバル!全員退避だ!」
「了解だ艦長!っグオォ!?」
アルフレッドの合図に返事をした一瞬の隙を突いて、機械竜は頭突きに加えて長い尻尾で合体ブイバルの脇腹をえぐる。
飛び散ったブイバルの肉片が再び小型恐竜となり地に落ちた。
膝をつきそうになるも必死に持ちこたえるが、機械竜は執拗に傷口を狙ってしならせた尻尾を2度3度立て続けに振るっていく。
このままではブイバルが押しつぶされて、脱出できない。
その時、上空のワンダレイ第三艦橋から救いの手が差し伸べられた。
手の主は、タコ焼きを片手に地上を見下ろす和服の剣客、竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)。
(先ほどまでワンダレイ内で謎触手の入ったタコ焼きを食べていた)
「ふむ、あれが恐竜というものか。最も、動きは兎も角、外面は恐竜を模した機械に違いないが。まぁ、そんな事はどうでもいい。我がやる事は一つ。」
手に持ったタコ焼きを頬張ると、すぐさま腰に下げた名物竹城を抜く。
気を高め、意識を集中すると太刀筋を見出し、ワンダレイから飛び降りた。
落ちていく最中落葉が心に思うのは、剣筋を外すかどうかではない。
こいつは恐竜を模しているようだが、食べられるのだろうか。
腹が減っては戦はできぬという事で、断片でもいいから食してみたい。
落葉には既に勝った後のことしか頭にない。
磨き上げた剣の腕、心を乱した畜生に読まれるわけがないからだ。
構えた名物竹城が、カイザー・レイの反射光を受けて淡く光る。
合体ブイバルへのトドメの一撃と、振りかぶったその瞬間を狙いすましていたかのように落葉が通り過ぎる。
天井より真っすぐ振り下ろされたその一閃は、アルフレッド達にはまるで天へと伸びる支柱の如きであった。
落葉が着地と同時に前転で衝撃を殺し、そのまま立ち上がって駆けると、その後ろをかすめるように巨大な尻尾が地に落ちる。
「うぉぉ!助かったぜタコ焼きのお姉ちゃん!」
「なに、働かざる者食うべからず…食客としての一宿一般の恩は返しますとも。」
尻尾を失い重心がズレたのか、機械竜が大きくよろめく。
最後の力を振り絞り、合体ブイバルが機械竜を押し返してひっくり返した。
●……充填率……120%……
「おし、お前ら全員ワンダレイに乗り込め!アレをブッ放つぞ!!」
アルフレッドが瓦礫の中からブイバルを掘り当てると撤収命令を放つ。
飛行部隊が鏡面上に残る船員をかき集め、第三艦橋へと帰還した。
全員がメインブリッジに戻ると、アルフレッドが腕を組んで眼下の漸く立ち上がった機械竜を睨み付ける。
「このドデカイ鏡はカイザー"レイ"っていうらしいな。だが、帝国の玩具にしては勿体ない名前だぜ、本物のRAYを教えてやろうじゃあねえか…!!」
「……船長、充填率120%……。ワンダレイの本当の力……出し切れるよ。」
「見せてやる!これが俺の…俺達の光だ!!WONDER-RAY照射!!」
「了解……遮光完了、WONDER-RAY照射!」
普段は闇夜を照らす、マンタを模した飛空戦艦ワンダレイの愛嬌を見せるサーチライト。
しかし、このワンダレイは未知のオーバーテクノロジーが眠っている。
このWONDER-RAYがその一つ。
艦内の全エネルギーを集中したその閃光は、照らしたものを影も残さず焼失させるのだ。
肉眼に映せば失明確実の閃光を防ぐためにブリッジが遮光されると、ワンダレイの2つの眼光が機械竜を睨み付ける。
これで決着が着いたかに見えたその時、立ち上がった機械竜が大きく後方へと飛退いた。
機械竜の足先をかすめてワンダレイの眼光が外れる。
機械竜は僅かに笑った。感情の無い機械が勝ち誇ったように半壊した口を開ける。
「……外したとでも思ったの……?あなたの情報は……全て解析出来てる。……これも計算通り……。」
誰にも聞こえないような声でメンカルが呟いた。
するとワンダレイの眼光は、地面をえぐらず機械竜に向けて反射すた。
ここは解放軍艦隊を撃滅すべく銀河帝国が用意した集積型反射鏡『カイザー・レイ』。
皮肉にも、守るべき主の仕組みを利用されて機械竜が一瞬のうちに光の中へと蒸発した。
機械竜が焼失したことにより、供給されていたエネルギーが引火した。
そのまま管を伝って、カイザー・レイの中枢、メインエンジンまで伝わると息もつかぬ間に大爆発していった。
既にエネルギーを使い果たしたワンダレイが爆発の衝撃に揺れる。
艦内でいくつか悲鳴があがるが、ワンダレイ自体に損傷は無いのは幸いであった。
その後、待機していた味方戦艦に牽引されて、戦闘宙域を誰一人欠けることなく離脱することに成功した。
銀河帝国攻略戦、猟兵達は解放のための力を蓄えることに成功したのであった。
大成功
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