羅針盤戦争〜すきゅりんRTA
「なにこれおもしろいー!!!」
ぴかぴかごろごろぐるぐるぎゅんぎゅん。
すきゅりんがひらひらっと羽衣を靡かせると海の真っただ中に現れた竜巻はいっそう激しく渦巻き、曇天に閃く雷鳴は大音響のライブハウスみたいに鼓膜をつんざいた。
「すきゅりん……?」
麒・嵐(東方妖怪の冒険商人・f29276)は眉をひそめ、それで間違っていないことを確認して皆に向き直った。
「……愛称じゃなくて正式名称なのかな? まあいいか……とにかくそのすきゅりんっていうコンキスタドールが海域を通せんぼしていて船が通れなくなってるんだよね」
その竜巻は海水ごと鋼鉄人喰ザメという凶暴な生物を巻き込んで内部に泳がせていたり、絶え間なく鳴り続ける稲光などで大変危険な状態となっている。
「なにせ、鉄甲船でも吹き飛ばされるほどの威力らしいからね。こう、うまく竜巻の中をすきゅりんのところまで泳ぎきる工夫がいるよ。この現象は電光の羽衣っていうメガリスのおかげらしくて、すきゅりん自身はとても弱いんだ。だから、とにかく彼女の元へたどり着けさえすれば一発KOで間違いなし」
放っておくと邪魔だからね、と身もふたもないことを言う。確かに、いざという時に遠回りを強いられたり覚醒者の船が巻き込まれたりしたら面倒な案件だ。
「本人は楽しそうなんだけどねえ……説得が効くような相手でもなさそうだし、ちょっと行って軽くお仕置きしてきてもらえると助かるよ。多分駄々をこねるだろうけど、聞く耳持たずに倒しちゃってくださいな」
ツヅキ
プレイング受付期間:公開時~常時受付中。
リプレイは他の参加者とまとめて判定・執筆する場合があります。
共同プレイングをかけられる場合はプレイング冒頭にお相手の呼び名とID・もしくは団体名をご記載ください。
●第1章 冒険
電光羽衣を手に入れたすきゅりんが調子に乗って海域を封鎖しています。雷轟く竜巻を乗り越えてお仕置きしてあげてください。
※すきゅりんは一撃で倒せてしまうため、止めを入れたい場合は早い者勝ちです。最も早く彼女の元にたどり着いたと判定された人が止めを刺せます。
プレイングボーナス……竜巻と電撃に対抗する。
第1章 冒険
『電撃の竜巻で封鎖された海域を突破する』
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POW : 竜巻に巻き込まれた凶暴な「鋼鉄人食い鮫」の襲撃から身を守りつつ、すきゅりんのいる中心に向かいます
SPD : 絶え間なく発生する稲光をかわして、すきゅりんのいる中心に向かいます
WIZ : 竜巻の風に逆らわず、強風の流れを見切って、すきゅりんのいる中心に向かいます
👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
桐府田・丈華
【心情】
「竜巻やサメやカミナリやタコなんかに負けないよ!サクッと片付けるんだよー!」
という意気込みで挑みます
【行動】
竜巻の風に逆らわずに流れを見切る進む方針で行動します
ユーベルコードはバトルキャラクターズを使用
キャラクターズ達と共に竜巻の風を見切りをしながら警戒しつつ進みます
他の猟兵さんとも協力して確実に進みます
たどり着いたら一気に畳みかけますRTA
頭上から一気に襲いかかるように攻撃!
「見切った!そこだ!みんな、行くよー!」
(他のPLさんとの絡みOKです)
ビードット・ワイワイ
モササウルスは怒っている
モササウルスの獲物が持て囃されるのかと?
モササウルスの知名度もっとあってもいいではないか
モササウルス単品の映画とかあっても良いではないかと
鮫殺のモササウルスとかシン・モササウルスとか
そんな他人にはどうでもいい恨みを抱きながら進撃のメカモササウルス
鋼鉄人食い鮫トルネードvs鋼鉄人食いモササウルスサンダー
適応した体と向上した速度を活かし荒波を越える
自身の出す雷撃を身に纏い鮫にテイルアタック噛み砕き体当たりにて鮫を越える
最終手段は自身も竜巻に身を任せ質量と雷撃にてすきゅりんに迫る
モササウルスは鮫より強い
つまり鋼鉄人食いメカモササウルスよ流行れ!
…もしやすきゅりん鮫と関係無い?
鈴木・志乃
えー無茶を承知でやってみます。
力技です。
多分これが一番早いと思います(キマフュ脳)
オーラ防御展開。
UC発動。海と川を降らせます。降らせ続けます。流れに乗り続けます。出来るかどうかじゃねえやるんだよRTAさんもそう言ってるから!(?)
海の上に海降らせるってこれもう分かんねえわ……自分でやってて頭おかしいと思うもの。誰だこんなこと考えた奴。あ、魚落ちて来た。
高速詠唱
多重詠唱
全力魔法で敵竜巻の影響を可能な限り阻害。念動力で常に自分の波に乗るよう体ごと動き続ける。第六感で渦を見切り、必要なら敵竜巻の流れを逆利用して接近。
多分これが一番早いt
リーヴァルディ・カーライル
…すきゅりんタイムアタック、はっじまっるよ~
…こう言うのが流儀と聞いたんだけど…何これ?
UC発動し"演算、御使い、飛翔、雷避け、韋駄天、
暗殺者、雨避け、息止め、人魚、迷彩"の呪詛を付与
…この嵐を利用するわ。吹き飛ばされるというならば、
逆に行きつくところまで飛んでいくまでよ
体を●存在感を消す●迷彩のオーラで防御して覆い、
雷を●電撃耐性、暴風を●環境耐性で受け流し、
●息を止め●水中機動の早業で●嵐の中に切り込み、
過去の戦闘知識から●瞬間思考力を駆使し最適なルートを見切り、
●空中戦用の推力を加え超高速の●ダッシュで風に乗り上昇
無風状態の台風の目から銃撃し敵を●暗殺する
…ここならば狙いを外すことはない
エミリィ・ジゼル
すきゅりんにワンパンを入れるRTAはっじまるよー
サメぐるみを着て竜巻に突入したところから計測開始
サメぐるみを使う理由は後で説明します
竜巻に入ったら即サメを召喚。そのまま竜巻を駆け上っていきます
生身では危険な鮫竜巻ですが、こちらもサメを利用することで時間短縮に繋がってうまあじです
途中で人食鮫と遭遇しますが、これはチェーンソーで返り討ち
鮫と言えばチェーンソー。はっきりわがんだね
このあたりで雷が振ってきますが、これはサメぐるみの電撃耐性で軽減します。このために事前にサメぐるみを着て来たわけです
あとは竜巻の回転を生かして加速、十分な速度に到達したらすきゅりんへ突撃
ワンパンを入れたところで計測終了です
鳴宮・匡
……正直、あの中を泳ぎ切れる自信はないんだよな
精神の中身はどうあれ、肉体ばかりは普通の人間と変わらないし
とはいえ、手をこまねいている道理もない
“できること”をきっちりやるさ
海域を踏破する味方の援護をするよ
鉄甲船上から人食い鮫を狙撃していく
外側がいくら硬くても、鮫だって言うなら話は早い
脳の位置はわかってる、ってことだからな
よく狙って、そこを撃ち抜く
出来る限り体勢を崩した状態の時を狙うように心がけるよ
たとえば嵐に煽られて、自由に動けていないタイミング
人に襲い掛かろうとして急な制動をかけた時
そのほうが効果的に無力化できるだろうからな
足止めを食らってる暇はないんだ
早いところ踏破しないとな
九重・白亜
はい、よーいスタート(迫真)
やることは超簡単。
近づいて魔力炉の蓋を開ければ終わりです。
瞬間思考力と足場成熟を酷使し、海に浮かぶ足場を渡りつつ飛来するサメの回避を行います。ここで、すきゅりんが放つ雷に打たれないようにしましょう。でなければ再送です(1勝)
指定UCの射程圏内に近づいたら、魔力炉を置いても大丈夫そうな足場で発動。魔力炉を巨大化させ、周辺のサメやすきゅりんごと捕食吸引させます。すきゅりんはここで抵抗しますが、邪魔なサメが吸い込まれて魔力になるのでうまあじです。
この後は誰かが殴ってくれるのを待つのでお祈りポイントですが、まあ大丈夫でしょう。
【アドリブ・絡み歓迎】
ヴィクティム・ウィンターミュート
なんだあの頭の弱そうな女は
俺よりもフィジカル弱そうだぞ…本当にオブリビオンか?
とはいえ状況は面倒極まりないってか
──どんな手を使っても到達してやるさ
遠くでいいよ、遠くで
竜巻も雷も影響がないところがいいな
鮫が竜巻内部の海中に居るんだろ?わかってる
集中──よーく見えるぞ
鮫どもを全てターゲット、ウィルスを送り込む
これ自体にダメージは無いし、恐らく気付きもしないだろう
では、そろそろ手品のお披露目だ
──座標交換
鮫どもは元々俺が居た場所に、そして俺は…竜巻の内部に
いいもの見れただろ?代金はお前の命でいいぜ
右腕だけ水面から出して、仕込みクロスボウでターゲットを撃ち抜く
奇術師を相手にするには、不足だったな?
バルタン・ノーヴェ
POW 零時殿(f00283)と連携デース!
アドリブ歓迎デース!
竜巻の前で、『水上用滑走靴』を履いて海上を滑走してマース。
中々に強力なハリケーンデスネー、これは一筋縄では行きマセーン……!
やはり強行突破するしか、……オー、そこにいるのは零時殿!
ちょうどよいデース、力を貸してくだサーイ!
UC《金城鉄壁》を起動「六式武装展開、金の番!」
> 変 形 合 体 ! <
二人で力を合わせてこの海域を突破しマショー!
零時殿(とワタシ)に降りかかるダメージはすべて防ぎ、時たま【弾幕】張ったり【制圧射撃】したり、火砲支援しマース!
さあ、トドメデスヨ零時殿! 【一斉発射】(フルファイア)であります!
兎乃・零時
バルタン(f30809)と!
アドリブ歓迎!
UCは常時使用
中々やばそうだな…
箒のクリスタルと共に行きはすれど、これ以上近づけば危ない
どう強行突破するか…
ん?バルタンじゃん!え、なんだなんだ?
力貸した方が良いなら全力で…うわっ?!
が、合体…?!
かっけー!
護ってくれるなら
俺様はこの竜巻を貫くぜ!
行くぞー!
貫くなら螺旋の回転…ドリルをイメージ!
魔力を纏い
口の詠唱
杖の魔力文字合わせた疑似多重詠唱
辺りに舞う風や雷
鮫も丸ごと魔力として生命力吸収
そして竜巻裂きつつ直接すきゅりんに魔術を!
行くぞバルタン!
全力魔法×属性攻撃×リミッター解除×限界突破×悪路走破×貫通攻撃
《闇夜晴らす螺旋の道(ロード=グリッター)》
「準備はいいですか?」
ひそひそと相談する声。
どちらからともなく、「せーの」と声を揃えて。
「「すきゅりんタイムアタック、はっじまっるよー」」
エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)とリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が開幕を告げ、九重・白亜(オルタウィザード・f27782)が真顔でつけ加えた。
「では、よーいスタート」
現場は噂に訊きし魔境である。
船が通れなくて困ると言うだけあって、異常な大きさの竜巻であった。小さな島ならすっぽりと呑み込めてしまいそうなくらいに。これでは竜巻の中へ踏み込めたところで、直ちにすきゅりんのいる中心部にまで手を伸ばすのは難しかろう。
「……あれは、やっぱり無理だな」
鳴宮・匡(凪の海・f01612)は早々に判断を下し、鉄甲船の甲板から狙撃銃で援護に回る。
「俺はここから味方の援護を……ん?」
もはや周知の事実のように、彼の眼は過たず標的を捕捉する。稲光をともなう激しい竜巻の中を自在に泳ぎ回る存在――鋼鉄人食い鮫に狙いをつけようとして、ちょっと驚いたように照準器から目を離した。
「味方?」
「あのー……この着ぐるみ、もしかしなくても紛らわしくありません?」
問答無用で襲いかかるサメを躱すのは足場さえあればそれほど難しいことではなかった。どちらかというとすきゅりん本人が乱発している稲妻のほうがやっかいなくらいである。
白亜はさっきから思っていたことを、同じく水棲生物の着ぐるみを纏ったエミィに訊いたのだった。
「使う理由は後で説明します。いまはこの竜巻を攻略するのが先決です。サメにはサメを、というわけで出てらっしゃい」
サーフィンの要領でサメを操り、天高く吹き上がる竜巻の流れを乗りこなすエミィ。白亜もひょいひょいと稲妻の合間を縫って徐々に中心部へと近付きつつある。
さてもう一匹、ある意味では敵より敵らしい(はずの)ビードット・ワイワイ(絶対唯一メカモササウルス・f02622)は理不尽な怒りに荒ぶっていた。
先日はオウムガイだった。
今日はサメ。
「なぜモササウルスの獲物ばかりが持て囃されるのか? モササウルスこそ海における捕食者の頂点。こんなの絶対に間違っている」
なのに、なのに。
「……ん? 味方にも、サメ……いたんだ。がんばろー」
さっきと違う衣装でリーヴァルディが挨拶した途端、その存在感が波間へ溶け込むように薄れていった。
「へぇ、イカしたサメもいるんだな? ま、よろしく頼むぜ」
ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)はゴーグルを降ろして現場から大分離れてゆく。あっという間に姿が見えなくなった。そのうちに突然頭上から雨が降り出して、「あー、驚かしてごめん!」と鈴木・志乃(ブラック・f12101)が声を張り上げた。
「いまね、海の上に海降らせようとしてるんだ。言ってる意味わかんないと思うけど、とにかく水量が増えるから溺れないように気をつけてねー。サメって哺乳類なんでしょ?」
・ ・ ・ ・ ・。
ゴゴゴゴゴ……とビードットの怒りが有頂天に達しようとしていた。モササウルス知名度ない。だから映画も作られないしサメと間違われてしまう。
「我は誓う、鮫殺のモササウルスとかシン・モササウルスとかが撮られるまで戦い続ける……! まずは手始めに『鋼鉄人食い鮫トルネードvs鋼鉄人食いモササウルスサンダー』を見よ」
ビードットに噛み付かれて感電したところをエミリィのチェーンソーに分解されて、燃えないゴミの日行きの一丁上がりである。
「鮫と言えばチェーンソー。はっきりわがんだね」
「そーなの?」
きょとんと桐府田・丈華(カードバトルゲーマー・f01937)は首を傾げ、「知ってる?」とバトルキャラクターズたちに訊いた。
「どっちにしても、頑張ってこの竜巻を乗り越えなきゃね」
「そういうことです。さて、魔力炉を置けそうな場所はありますかね?」
気を抜けば吹き飛ばされそうな暴風域の中で、白亜は最低限の視界だけ確保してすっぽりと着ぐるみの口を閉じておく。
「その魔力炉、何が入ってるんですか?」
丈華がたずねると、白亜は「逆ですね」と言った。
「むしろ、この中へ入れます。まあ、見てのお楽しみということで」
「多分……これが一番早い、はず」
気膜で身を守りつつ、志乃は先を急ぎながら水を降らせ続ける。やってることは地味だが結構体力使ってる。渦の方向を見極め、竜巻を中和するように満ちる波を捕まえては一歩前へ。
「……自分でやってて頭おかしい気がしてきた……あ、頭の上に魚落ちてきた」
ぴちちっ。
「ワオ! 竜巻が見えてきましたネ。中々に強力なハリケーンデース!! まさにグレイト!!」
さて、どうするか? 強行突破でも構わないが――バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が躊躇ったタイミングで箒に乗った兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)と合流できたのは渡りに船の出来事であった。
「……オー、そこにいるのは零時殿! ちょうどよいデース、力を貸してくだサーイ!」
「ん? バルタンじゃん! え、なんだなんだ? 力貸した方が良いなら全力で……うわっ?!」
零時の軽い体を肩へ担いだバルタンの姿が瞬く間に変形合体し、彼を守るようにその武装装甲で体全体を覆ったのである。
「かっけー!」
はしゃぐ零時の胸元でバルタンの声がするのと同時に、ライトがぴかぴかと点滅した。
『さあ、二人で力を合わせてこの海域を突破しマショー!』
「ああ、護りは任せた! 行くぞー!」
「きゃはははははー!! もっとひかれー! もっと吹けー!! ……ん? あれ、あれれっ???」
この世の春を謳歌していたはずのすきゅりんは突然何かに引っ張られるような動きに慌てて抗った。
「なにこれ!? ひっぱられるううううう~~~」
「かかりましたね」
罠に獲物がかかったと見て、白亜は満足げに頷いた。彼が持ってきた炉はいまや巨大化して敵を吸い込むブラックホールとなっていたのである。
「ご愁傷さま。こっちも急いでるんだ、恨まないでくれよ」
吸入に抵抗するため、鮭の川登りよろしく水流に逆らって必死に泳ぐ鋼鉄サメを狙い撃つことは匡にとって造作もない。脳を潰され、制御を失った魚体はいともたやすく炉のなかへと吸い込まれていった。
「サメはいりましたー。うまうま」
白亜は嬉しそうに着ぐるみの尾を振り、すきゅりんはといえば。
「いやああああ! セットが乱れるううぅぅうううう」
「気にするのそこかい」
突っ込み、エミリィは竜巻の回転を生かして加速。あとは雷が降ってくるがこれは着ぐるみが軽減してくるので無問題。
「げえっ!!」
なにしろサメぐるみを来たメイドが突っ込んでくるのですきゅりんは必死に逃げる。
「まてー」
「こっちくるなー!!」
「そう言わずに。ワンパンいれさせてくださいよ」
「いやああああ!!」
「――うるっせぇ……!」
耳を小指で塞いで顔をしかめたのはヴィクティムであった。
「頭弱そうなだけじゃなくてかしましいとはな。しかも、俺よりもフィジカル弱そうだぞ……見事に三つ揃えてどうしたいんだこいつ?」
さっきまで竜巻より遠く離れた場所にいたはずの彼がなぜここにいるのか?
「相変わらず、手際がいいな」
一切合切を“視”ていた匡が肩を竦めた。
まずは竜巻内を回遊するサメたちに的をつけ、全個体へウイルスを送り込むための仕込みを済ませる。あとは、レディース&ジェントルマン。手品のお披露目だけだ。
匡はもはや自分の役目がないことを悟り、構えていた狙撃銃を肩へと背負い直した。なぜなら、あれほどいた鋼鉄サメは全てが竜巻の外へと放り出されてしまったから。
――何と引き換えに?
「げっ……」
凶悪そうなクロスボウが瀑布から突き出した時、すきゅりんはマジ恐怖を感じたものである。
もらった、と水流のなかでヴィクティムは笑った。
「代金はお前の命でいいぜ……!」
「あーっ! いた! みんな、行くよー!」
ぷはっ、となんとか竜巻の風を読み切って暴風域を抜けた丈華は目となる中心部から身を乗り出して叫んだ。
「ごー!」
エミリィとビードットが竜巻の内部を突き破って元気よく飛び出す。
「モササウルスは鮫より強い。故にすきゅりんよりも――」
さあ、この勇姿を目に灼きつけるのだ。バズらせるがよい! だが、ビードットはすきゅりんの姿を見た途端にきょとんとなった。
「タコ? ……もしやすきゅりん鮫と関係無い?」
思惑違いに固まったモササウルスの両脇を、ありとあらゆる手段で強化したリーヴァルディが弾丸の如きダッシュで突き抜けた。迷彩に電撃耐性に水中機動から戦闘知識に瞬間思考力、それに空中戦用の推力までとにかくいっぱい!
「……いた、すきゅりん」
しなやかに背を逸らし、その背に嵐を受けて更に加速しながら構えるマスケット銃。
「……ここならば狙いを外すことはない」
「ひ、え、え」
もはやすきゅりんに逃げ場はなかった。だが、彼女には重大な役目があった。
――誰の攻撃が最初に当たったか、である。
彼女自身は近い未来に爆散して散る運命にあるので、その最期がどうなったかはもはや語るまでもない。
まず、最初から援護に徹した白亜と匡は除外される。モササウルスは惜しかった。サメではなくタコに対する対抗心を燃やしていたならばあるいは違う結果になったかもしれない。
リーヴァルディとヴィクティムが狙いを定め、エミリィは跳ねた。ぴちぴち。志乃は海を降らせていたし、丈華のバトルキャラクターは四方八方からすきゅりん目指して殺到する。
「――間に合った!」
それらにほんの僅かだけ先んじて、零時の紡ぐ膨大な量の魔法陣が触れるもの全てを呑み込みながら竜巻内部へ到達。バルタンの弾幕が進路を切り拓き、損耗を全て引き受けてくれたのが大きかった。
「ふぅ、さすがに疲れたデース!! でもその甲斐がありマシタ。さあ、トドメデスヨ零時殿!」
じゃきん、と展開した武装群がエネルギーを集中――フルファイア!!「行くぞバルタン!」
既に大半を紡ぎ終えていた極大魔法が一気に弾けた。
「ちょ、ちょまッ ワンパンって言ったじゃ――もぎゃー!!!!!」
すきゅりんは塵と化した。真っ白な光に呑まれ、捨て台詞を残す時間すらない。
「よし! ……て、わわっ!」
しかし、攻撃は急には止まらない。すきゅりんがいたはずの場所へ残る皆の攻撃が降り注ぎ、大爆発を起こした。
ざっぱーーーーーーーーーーーーん、と竜巻があったはずの場所にものすごい高さの水柱が立った。
「多分これが一番早い……わけないだろが! 誰だこんなこと考えた奴。あ、私だ」
志乃は竜巻が去って真っ青に晴れ渡った空を見上げる。
「やっぱ、出来るかどうかじゃねえやるんだよってクソな理論だよな……うん、わかってたわ」
大成功
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