羅針盤戦争〜帰りたい、その場所へ
●仲間の元へ
「………………」
ふわり、ふわりと海月は漂う。
その身に宿した水晶を、大きく、大きく煌めかせて。
月のような淡い光を宿した海月は、ふわり、漂い続ける。
何処へ行けばよいのか、戻る場所はどこなのか、何もわからぬままに。
●帰りたい
「敵襲! 敵襲ーー!!」
「急げ急げー!! このままだと喰われちまうぞ!!」
けたたましい号令と鐘の音が、海賊島の要塞に鳴り響く。
島の上空に巨大な海月が現れたというのだから、誰もが戦慄していた。
というのも、この島にはとある伝承があった。
海賊島が巨大な水晶海月の住処、という嘘か真かもわからぬ伝承。
この島は元々水晶海月と共存関係にあったという、古くからおとぎ話として語られている伝承だ。
必ず巨大水晶海月は戻ってくるという文章とともに、今もなお受け継がれている。
それ故に海賊達は誰もが恐れおののいた。
なぜなら、その伝承には続きがあり―――。
「………………」
水晶海月に島が喰われるという、恐ろしい道へ導かれているのだから。
●住処へ
「昔から語られる話ってのは、あんまりバカにも出来ねぇな」
大きく溜息ついた木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)は、集めた猟兵達に今回の事件についての説明を始めた。
今回、海賊島に現れた巨大な水晶海月を討伐するというのが主な目的。しかしこの水晶海月は通常のコンキスタドールに比べ、強大な力を持っているのが特徴となっている。通常の戦いでは消耗戦になること待ったなしとのこと。
「そこで、海賊島の海賊達と協力して戦って欲しい。彼らは伝承通りになってて慌てふためいているかもしれないが、そこはなんとか説得して。島に設置されている武器や砲台等を借りて、絶え間ないダメージを与え続けるんだ」
島が喰われるという最悪の結末を迎えさせないこと。これは島に住む海賊達ならば、誰もが願うことだろう。故にサライはその部分で説得して、海賊達との協力を行うことを推奨した。
とは言え慌てる海賊達を宥めるのは少しばかり骨が折れるかもしれない。その場合は武力行使でも何でも構わないから、とにかく正気に戻せとのことだ。
「ま、島を救うって気持ちがあるのなら、正気に戻すのは早いとこ出来ると思うけどな。それじゃ、頼んだぜ」
すぐにサライは猟兵達を戦場へと送り出す。
儚くも強固な、意志のある戦場へ。
御影イズミ
閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
1日に何本出してるんでしょうこの人。
でもアリラビ戦争時代よりは少ないはずです。まだ。
MSページをよくご覧の上、プレイングの提出をお願いします。
なおこちらのシナリオのプレイングボーナスは「海賊達と協力する」ことです。
海賊島、主に海賊砦には武器が豊富に転がっております。砲台、投石機と言った遠距離武器や、投槍、花火と言った小型な武器まで。
これらを使用する、あるいは他の協力方法でボーナス入りとなりますのでご活用ください。
皆様の素敵なプレイング、お待ちしております。
第1章 ボス戦
『水晶海月』
|
POW : イタリエカ
【半径1km内の有機物を変換した海水の雨】を降らせる事で、戦場全体が【水晶海月の生息域である深海】と同じ環境に変化する。[水晶海月の生息域である深海]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD : ヘカミス
自身からレベルm半径内の無機物を【瞬く間に数十万トンの海水】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
WIZ : ヘトモノマカナ
非戦闘行為に没頭している間、自身の【触手に触れたモノ】が【生物は水晶海月に、非生物は海水に変化し】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
イラスト:井渡
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「グラニュエール・テウシス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
片桐・公明
【WIZ】
遠距離からUCと銃撃をつづけることで相手を常に戦闘行為(防御)に徹しさせ、敵UCの効果が発揮しないようにする
こちらに延びてくる触手を優先的に撃ち落とすことで海月が増えないように立ち回る。
(防衛戦はあまり得意じゃないのよ。)
海賊たちにもありったけの遠距離火器を用意してもらって一緒に銃撃、砲撃をしてもらう
「あなたたちは海賊でしょう。勝ち取った財宝が奪われようとしているのを黙って見ているどころか逃げるつもり?」
「……まぁ。別にいいわ。命は大事だものね。」
「勝ち取ったものを捨てて、そのための犠牲者も忘れて、敗北者になってでも生き延びたいというのなら逃げればいいわ。」
(絡み、アドリブ歓迎です)
●命は大事。
水晶海月が帰りたい場所へ帰りたいと願いを携え空を舞う中、海賊島から銃撃音が鳴り響く。
音の主は片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)。ユーベルコード『紅蓮『赤壁乃業火』』を使用し、彼が射出の起点として認めた武器―――Mathem842から業火の如きエネルギー砲を射出させ、大蛇のようにまとわりつく焔で水晶海月に防御を続けるように仕向けておいた。
それでもなお、土地へ帰ろうと触手を伸ばす水晶海月はもう片方の銃・臥龍炎で撃ち落とし、その力を使わせないように立ち回った。
(でも、防衛戦はあまり得意じゃないのよね……)
ちらりと周囲を見渡せば、海賊達が水晶海月を撃ち落とすか撃ち落とさないかで揉めていた。代々伝わる伝承を大事にするか、それとも島を守るために戦うか……そんな内容ばかり。
その争いを無視して公明に支援するように遠距離攻撃する者もいるが、人数はまちまちで水晶海月にまともなダメージは与えられていない。
大きくため息を付いた公明は、一度攻撃の手を止めて言い争う海賊達に向き合う。そして、争いを止めるように海賊達の輪に強引に入り込み、大声を上げた。
「あなたたちは海賊でしょう! 勝ち取った財宝が奪われようとしているのを、黙って見ているどころか逃げるつもり?」
「なんだとぉ!!?」
「伝承どおりに島と言う名の財宝を明け渡し、昔の人々が築いた全てをたった一度の行いで台無しにすると言うの?」
公明の強い言葉に、海賊達は誰も言い返すことが出来なかった。伝承を重んじる者達だからこそ、過去に彼らの先祖が築いた島という宝を捨てるのかと思いっきり煽った。
「……まあ、別にいいわ。命は大事だものね。勝ち取ったものを、築いてもらったものを捨てて、そのための犠牲者も忘れて。敗北者になってでも生き延びたいというのなら、何処へでも逃げればいいわ。逃げられるものなら、だけれど」
くるりと振り向いた公明は、再びMathem842でエネルギー砲を絶え間なく放ち、臥龍炎で触手を貫く。ありったけの遠距離火器で海賊達にも支援してもらっているが、それでもやはり人数の少なさで押し負けそうになる。
(……撤退も視野にいれなくては……)
公明の頭に撤退の2文字が浮かんだが、その2文字は大きな大砲の音にかき消された。先程まで闘いを続けていた海賊達が、固定砲台を全て用いて一斉射撃を行い始めたからだ。
「あなたたち……」
「……姐さんの言うことも、もっともなんでさァ」
「俺達の故郷は俺達で守らなきゃ、ッスよね!」
彼女の言葉で目が覚めたと告げる海賊達は、業火の発せられる2丁の拳銃に合わせて砲撃を続けた。
成功
🔵🔵🔴
栗花落・澪
何もわからないっていうのも辛い事だよね
だから
海賊さん達、僕に協力して!
この島は絶対に食べさせたりなんかしない
貴方達も絶対に守る
(そして、あのクラゲ自身を救う為にも)
海賊達に声を届ける為にも
先手を取って海月に一撃を
【高速詠唱】から放つ雷の【属性攻撃】
派手な音と光があれば、流石に視線も集まるよね
協力して?
島上なら飛行は阻害されないかもだけど
飛ぶのは目立つんだよね
だから突っ込むことにするよ
投石器で僕を飛ばして
大丈夫だから
砲台や投槍で攻撃し続けてもらう事で
非戦闘行為に没頭する隙を与えず視線誘導してもらい
隙を見つけて飛ばしてもらう
翼で高度調整しながら【指定UC】
杖を海月に当てて
ゼロ距離で雷の【全力魔法】
●絶対に食べさせたりなんかしない
巨大な水晶海月が迫る中、海賊達は狼狽えていた。伝承通りの終わりが今、ここに近づいているのだと。
そんな中、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はぎゅっと拳を握りしめていた。あの水晶海月が、何もわかっていないということにいち早く気づいていたためだ。
(何もわからないっていうのも、辛いことだよね……)
水晶海月はふよふよと、何処へ戻ればいいのか、何処に行けばよいのかわからぬまま、島へと近づいている。このままでは海賊達の言う通り、喰われてしまうのがオチだろう。
そうはいかない。島を守らねば、戦いに負けてしまう。
「っ、海賊さん達、僕に協力してッ!!」
大きく声を上げた澪は、水晶海月に向けて高速詠唱からの雷による乱射撃を放つ。大きく響く雷の音に、思わず近場にいた海賊達は振り向き、澪へ視線を向ける。
「この島は絶対に食べさせたりはしない! 貴方達も、絶対に守るから!!」
絶対に守るという強い意志。それが海賊達の心を軽く揺さぶったのか、澪に協力しようと集まり始めた。出来ることなら何でもするからと言葉を残した彼らに、澪は反応する。
「飛行は阻害されないかもしれないけど……飛ぶのは、目立つんだよね」
「確かにそうッスね……」
「僕が投石機で突っ込んでいる間に、砲台や投槍で攻撃し続けてもらってもいいかな?」
「えっ、そりゃ構わないッスけど、大丈夫なんッスか?」
「僕は大丈夫。それに、あっちには戦闘行為をしていてもらわないと、ね」
ちらりと澪が視界を横に向けると、戦闘行為を行っていない水晶海月が触手を岩に伸ばしている。触れられた岩はまたたく間に海水へと変化しているのが見えており、これが生物に当たった場合何が起こるか考えたくもないため、何としてでも食い止めなければならないのだ。
その様子を軽く伝えた澪は、すぐさま投石機へと乗り込み準備を開始。海賊達による砲台と投槍の攻撃が開始されたことで水晶海月が海賊達に気づき、触手でべしべしと叩き落とすように攻撃をし始めた。
叩き落されるいくつかの攻撃にタイミングを合わせ、澪は投石機で一気に空へ飛び込む。翼を広げて高度を調整しつつユーベルコード『マジカル☆つゆりんプリンセスフォーム』を発動、からの照準合わせ。豪華絢爛なドレス姿に変身した彼は、清浄な輝きを放つ杖・Staff of Mariaをゼロ距離で水晶海月に近づけ……。
「は、はっ、恥ずかしいからっ、一瞬で終わらせるよ!!」
杖の先からあふれる全力の雷魔法は、砲台と投槍の雨の中で大きく鳴り響いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鈴木・志乃
分かった。私がアレを止める。
無力化する。あのおかしな力をとめる。そうしたらみんな――戦って、くれますか?
行っときますけど、他の島も今コンキスタドールだらけですからね。男ならここで歯あ食いしばれ!! 止めてやっから!
水陸空兼用のヒーローカーに乗って爆走接近するよ。高速の多重詠唱でオーラ防御張って、無理矢理にでも近寄る。なんなら全力魔法も辞さない。
接近さえ出来ればUC撃ち込んで、そしたらある意味チェックメイトだもの。
攻撃力が格段に落ちて、UCも封じてしまえば後はデカイ的に砲弾を叩き込むだけでいい。
ロケラン持ってきたからね。汚い花火を打ち上げようじゃありませんか。
●花火を打ち上げろ!
水晶海月に狼狽える海賊達。しかしそんな中で、鈴木・志乃(ブラック・f12101)は彼らを支えるため、前へ出る。
「私がアレを止める。無力化する。あのおかしな力を止める。そうしたらみんな……戦って、くれますか?」
「けど、アレの対処法なんて……!」
「対処法はどうにか見つけますよ。言っときますけど、他の島も今コンキスタドールだらけですから。……っていうか」
狼狽えまくる海賊達の中から1人ひっつかみ、志乃は大声を張り上げた。男ならここで歯を食いしばれ! と。負けるなでもなく、勝てでもなく、ここで歯を食いしばってでも生き残れと。
「止めてやっから!! アンタ達は海賊らしく、生きる術を使えばいいんだ!!」
自分が止めてやるから、なんとしてでもこの島を守り抜け。海賊達に向けた志乃の目はそう訴えていた。
その後、水陸両用のヒーローカーに乗り込んだ志乃はすぐに爆速で接近。高速の多重詠唱を用いて己を守る防御膜を張り巡らせ、無理矢理にでも近づいた。
水晶海月は近づく何かを遠ざけたい一心で、周囲の無機物を瞬く間に何十万トンの海水へと変貌させる。本来の海とは違い、水晶海月の思うがままに海水は志乃を押し出そうと流れてゆく。
どんな流れであろうとも、全力を出し切って近づく志乃。やがてその煌めく肉に近づくことが出来た彼女は、ユーベルコード『聖者の裁判』を発動させた。
「貴方はこの島を害しました。その罪を……償ってください」
聖者のオーラと、裁きの言葉が水晶海月に降り注ぐ。それだけならば攻撃力―――もとい、海水の量を減らすだけだったが、最後に追加で光の鎖を放った。
その巨体は鎖から逃れる事はできず、ぐるぐると巻きつけられる。さらには既に放っておいたオーラと言葉が鎖に反応し、水晶海月の海を消滅させる。消滅した海は全て元の無機物へと戻され、その場に浮いていた志乃とヒーローカーもゴトリと地についた。
「よーし、あとはこれにコイツをぶち込むだけ!」
ヒーローカーから取り出されたもの。それは……ロケットランチャー。海賊から拝借したわけでもなく、彼女がパフォーマーとして常日頃から持ってきているものである。
水晶海月は既にユーベルコードにより力を失い、どうしたらいいのかと彷徨っている。そんな中で彼女は、狙いをつけて引き金を引き絞る。
「そうら、汚い花火を打ち上げてあげるよ!」
―――その日、水晶海月の頭の上で大きな花火のような爆発が上がったのだという……。
成功
🔵🔵🔴
トリテレイア・ゼロナイン
騎士が海賊に助成を…等と奇妙な話やもしれませんが
私達はこの島を、この世界を護る為に戦うという利害は一致しております
板子一枚下は地獄…海の恐ろしさは皆様の方が理解されている筈
陸を飲み込むあの海月の討伐にご協力願います
陸上で水中用装備を装着しつつ接近
●防具改造で対圧性等の●環境耐性を向上させた以上●水中戦では後れを取りません
嘗ての御伽噺のように共存の道があれば良かったのですが…
今はコンキスタドール…島を呑む結末だけは防がねば
高速誘導魚雷(●誘導弾)で打撃を与えつつ●水中機動怪力ランスチャージUCで突撃
水晶海月に打撃与えると同時、UC地形破壊効果で深海吹き飛ばし
そこへ海賊達に砲弾を叩き込んで頂きます
●共闘戦線
「騎士が海賊に助成を……等とは、奇妙な話やもしれませんが」
海賊達に協力を申し出ているのはトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。本来であれば騎士は海賊を処する、罰するものという扱いが多いためにトリテレイア自身も慣れないと言った表情だ。
だが、海賊達の島を守る、トリテレイアの世界を守るという点では利害が一致している以上、協力しない手はなく。
「板子一枚下は地獄。海の恐ろしさは、何よりも皆様が理解されている筈」
「おうともさ。だが、俺らでは伝承のこともあってうまくヤツを倒せねぇ」
「ええ。ですから、討伐にご協力願います」
騎士として頭を下げたトリテレイアは、すぐに海賊達との共闘のためにその装備を水中専用の装備へと切り替える。自分自身が引きつける間にありったけの砲弾を準備してもらい、吹き飛ばしと同時に一斉射撃を行ってもらいたいと。
「ふむ、となれば発射地点はあのへんか?」
「ええ。島に影響が出ないように、少し遠くへ」
「それならあの辺りがいいだろう。あそこは、少し深いしな」
「ありがとうございます」
海賊達の言葉を聞き、すぐさまトリテレイアは出撃。防具改造と環境耐性を整えた装備は、水中戦で遅れを取ることもないだろう。
「……嘗ての御伽噺のように、共存の道があれば良かったのですが……」
ぽつりと、水晶海月の到達前に呟く。既にコンキスタドールとして蘇っている以上、水晶海月にはこの島に戻る権利など何処にもない。今やその身を砕き、死を迎えて島を守ることで伝承のように帰ることが出来るのかもしれない。
軽く首を横に振るトリテレイアが準備を整え終えると、突如空から海水の雨が振り始める。水晶海月が海上近くにいた魚を変換し、水晶海月の存在域である深海へと周囲を切り替えたのだ。
当然この深海に適応出来る水晶海月は、その行動力が増してゆく。少しずつだった侵略速度が、ゆっくりと確実に上昇している。ならばと同じく適応できたトリテレイアは、高速誘導魚雷で己の存在をアピールし、水中に適応した行動力を兼ね備えた状態のユーベルコード『戦場の騎士』を発動した拳で、思いっきり水晶海月の肉をえぐる。
その力は周囲の環境―――すなわち、変化していた深海の環境をも吹き飛ばす。おかげで環境に適応出来なかった海賊達も、元の通りの行動力を取り戻した。
「今だ! 撃てェーー!!」
トリテレイアが環境を戻した直後、海賊達の砲撃が水晶海月に直撃。また一歩、水晶海月の進撃を食い止めることに成功した。
大成功
🔵🔵🔵
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流
とりあえずって言い方でいいのかわからんが一喝して海賊たちに攻撃指示、いやここは協力を願うって事で。
このまま島ごと食われていいのか?それで海賊をよく名乗れるもんだな、と多少あおりを入れて。
伽羅に乗せてもらい、一応存在感を消し海賊たちの攻撃に紛れ目立たない様に接近。そして隙を見てマヒ攻撃を乗せた暗殺のUC剣刃一閃で攻撃。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らうものは激痛耐性で耐える。
俺自身は深海適応できなくとも、伽羅は水龍だ。一緒ならマイナスペナルティもない、と思いたい。
●界渡、海渡り。
海水の雨が降りしきる中。伝承通りの水晶海月が現れ、破滅への道を歩んでしまうと狼狽える海賊達。戦おうにも、脚が竦んで動かない者が多いこと。
しかしそんな中、コンキスタドールを討ち取るためにやってきた黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)の声が響き渡る。
「おいおい! お前らいいのかそれで! ここで戦わなきゃ、せっかく集めてきたお宝を全部失うってことになるんだぜ!?」
―――このまま島を喰われていいのか? それでよく海賊を名乗れたものだ!
そう煽りも入れながら、海賊達の闘争心に火を付けた。島を守らせるためにも、多少の煽りで敵への牙を剥かせることも大切だと自分に言い聞かせつつ。
一喝を入れられた海賊達は一転、気を引き締めた。しかしどう対処をとったものかわからないために、海賊達は皆瑞樹の指示を仰いだ。
「よし……んなら、俺に協力してくれないか? 接近の手助けをしてほしいんだ」
「了解ッス。でも、兄さんはどうやって近づくんッスか?」
「俺は相棒と一緒に、ヤツに近づくさ」
そう言って瑞樹は空に向けて軽く手を叩き、水神の竜・伽羅を呼び出した。1.5mもの体躯を誇る伽羅は、水晶海月に向けて睨みを効かせている。
大きめの伽羅に飛び乗った彼は、まず視界誘導のための砲撃を頼んだ。自分が向かう方向とは逆方向へ発射して視線誘導をしてほしいと。
「了解ッス。兄さん、気をつけてくださいね!」
「そっちもな!」
そのまま瑞樹は伽羅の背に捕まり、水晶海月の元へと向かった。
だが、気づけばいつの間にか周囲が深海のような深い空間へと切り替わっている。どうやら先程から降っていた雨は水晶海月の力によるもののようで、海上近くに存在した魚を利用してこの海の空間を作り出しているようだ。
それでも、砲弾は指示をした方向へと向けて発射される。海の空間とはいえ呼吸が出来るようで、ただ、適応をみなされない故に行動に少し制限がかかっているのがみられた。
瑞樹はそのまま、海の空間を泳ぎ続ける。存在を出さないようにゆっくりと、海水の流れに逆らって水晶海月へを近づこうと。伽羅のおかげで水流は苦もなく逆らうことが出来、また飛び交ってくる深海の生物達は全て瑞樹の第六感と見切りによって回避が成功した。
「これならば……!」
水晶海月に近づく瑞樹は伽羅の背を借り、蹴って大きく飛び上がる。暗殺の一撃を込めたユーベルコード『剣刃一閃』によって黒鵺と胡が振るわれると水晶海月の一部がざっくりと切り開かれたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
エミリィ・ジゼル
なるほど……島が滅ぶですか。確かにそれは大変です。
ですが海賊の皆さま、問題ありません。落ち着いてください。
このサメぐるみがあれば百人力。
着るだけで力が漲り、サメと会話が出来るようになり、クラゲ特攻能力を得て、便秘に悩まされることもなく、異性にもモテモテ。
今ならなんとこのサメぐるみを無料!無料で差し上げます!
さぁ、これを着てわたくしと一緒にあの水晶海月しましょう!
と、虚実織り交ぜた説得で身に着けるとパワーアップするサメぐるみを海賊たちに布教。
海賊たちの協力を仰ぎ、砦にある投石機や砲台で巨大水晶クラゲを迎撃します。
「今ご注文いただいた方には、更に無料でもう一着差し上げます!」
●勝ち残るのは上手い商売が出来るやつ。
ボロボロに朽ち果てようとしている水晶海月だが、未だに何処かへ帰ろうと必死で、手探りで島の何処へ帰るか探している。
そんな中狼狽えていた海賊達に、エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)は彼らに励ましの言葉を送る。
「なるほど……島が滅ぶですか。確かにそれは大変です」
「でしょう? 俺達、どうしたらいいものかと……」
「なるほど。でしたら、問題ありません。落ち着いてください」
エミリィのしっかりとした芯のある言葉が、海賊達を落ち着かせた。今慌てていては逆に敵に付け入る隙を与えるだけだ。ここはしっかり、心を強く持てと。
―――だが次の瞬間、彼女の商売根性というものを海賊達は思い知ることとなる。
「このサメぐるみがあれば、百人力」
「さ……サメ??」
「なんとこのサメぐるみ。着るだけで力が漲り、サメと会話が出来るようになり、クラゲ特攻能力を得て、便秘に悩まされることもなく、異性にもモテモテ」
ぺらぺらといかにサメぐるみが素晴らしく、いかに強くなれるか、いかに異性にモテるようになるかを語るエミリィ。しかも最後の一言のおかげで、海賊達が食いつくようにサメぐるみを見ている。男しかいない環境故の、ある種の悲しい性とも言えよう。
だがここで、お約束の台詞が海賊側から出てくる。
「……でも、お高いんだろう?」
それを待っていましたと言わんばかりに、エミリィは無料と書かれた札をサメぐるみに貼り、大声で喧伝した。
「いえ、滅相もございません! なんとこちらのサメぐるみ、今なら無料! 無料で差し上げます!!」
「む、無料だってぇ!?」
「ええ! ですから皆様、これを着てわたくしと一緒にあの水晶海月を倒しましょう!」
「「「おおおぉぉーーー!!」」」
エミリィはうまく交渉の術が成功し、ユーベルコード『サメぐるみを布教するメイドの術』を発動させ、同意した海賊達全員にサメぐるみを提供した。おかげで現在、サメぐるみを着込んだ海賊という珍妙集団が爆誕したのだが。
しかしそれでもその戦闘力の飛躍的上昇は抜群だ。海賊達の砦にある全ての投石機や砲台が彼らの手によって一瞬でメンテナンスを終了し、水晶海月に向けて連続発射が可能となった。これも素晴らしいサメぐるみのおかげである。彼女が出来るかは流石に知らないが。
「今ご注文いただいた方には、更に無料でもう一着差し上げます! お電話はお早めに!」
その宣言と同時に降り注ぐ投石と砲弾の雨嵐は、サメぐるみの売れ行きの上昇とともにたくさん増やされていったのだった。
●伝承の終わり
猟兵達と海賊達の共闘により、水晶海月はその身を砕け散らせる。
やがては海の底へと欠片は落ち、砂に埋もれて伝承とともに受け継がれるだろう。
海賊達は忘れない。
水晶海月の死の間際に呟いた言葉を。
「タ レ エ カ」という言葉を。
大成功
🔵🔵🔵