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羅針盤戦争〜ノーティラスの午後は勇ましやかに始まった

#グリードオーシャン #羅針盤戦争

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「いよいよだな」
「ああ」
 大艦隊に乗って渦潮を目指す彼らの士気は高く、勇ましい。オウムガイとして甦ってこのかた、ようやくこの世界の覇権を賭けた戦いに身を投じることができたのだ。
「我がオウムガイ生に悔いなし!」
「いくぞ、野郎ども! 死ぬのが怖えやつはここで降りろ! こっから先はブレーキなしで全速前進突っ込むぜ……!!」

「やる気にあふれている」
 麒・嵐(東方妖怪の冒険商人・f29276)は微笑ましそうに事のあらましを語った。発端はコンキスタドールの大艦隊が蒼海羅針域の破壊を目指して動き出したことによる。
「あまりにも一生懸命だから、つい通してあげたくなるけどね。そういうわけにもいかないからさ」
 とんとん、と指先で海図をたどり、オウムガイ艦体が通る予定の進路を示す。
「グリードオーシャンの海上では飛行することができないから、それだけ気を付けて。敵の数は正確にはわからないけど、かなりの艦体群であることは確かだ。少しでも数を減らすことができれば、サバイバルに参加する猟兵たちの手助けにも繋がる」

 大艦隊は通常の砲撃や機雷の他、オウムガイ本人たちのUCを弾丸やエネルギー源として発射することもできるようだ。
「例えば、砲塔から放たれる粘液弾に機雷代わりの衝撃波。接舷しての殴り合いとなれば彼らの触手は脅威だね。何でも、『お前らは何の為に戦うのだ!』なんて詰問しつつ締め上げてくるんだとか? 直球だね」
 嵐は相好を崩して笑い、猟兵たちを見やる。
「そんなの、聞かれるまでもないでしょう? どちらの士気がより高いのか、やつらに思い知らせてやるといいよ」


ツヅキ
 プレイング受付期間:公開時~常時受付中。

 リプレイは他の参加者とまとめて判定・執筆する場合があります。
 共同プレイングをかけられる場合はプレイング冒頭にお相手の呼び名とID・もしくは団体名をご記載ください。

●第1章 集団戦
 渦潮を目指して進む『殺戮オウムガイ』 の大艦隊との交戦になります。この戦場でのシナリオ成功ひとつにつき、戦争サバイバルの🏅5000が加算されます。

 プレイングボーナス……海上戦、船上戦を工夫する(海上では飛行や転移が阻害されています)。
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第1章 集団戦 『殺戮オウムガイ』

POW   :    念動衝撃波
見えない【衝撃波】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    賢者の触手
質問と共に【無数の触手】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ   :    オウムガイ粘液
【粘液】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:りょうま

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:灰遠雷

ははは、不得手とはいえ、だいぶとここでの戦にも慣れたわ。
わしが一番、向いておるからの!

なるべく高い位置に陣取り、視力を活用して敵を見る。まあ、数が多いなら、見逃すことはなかろう。
視認したら、即座に早業での鈍化呪詛つき【四天境地・雷】を発動。
数が多けれど、この矢からは逃れられぬ…!
悪霊の執念、思い知れ。

戦う理由なぞ簡単よ。世界は誰かの故郷である。滅ぼさせてたまるか。
破壊などさせるかよ。


ヘヴェル・シャーローム
わあ、元気だねぇ!
こんな元気でやる気に満ちてるならリュウグウにスカウトしたげても良かったんだけど……
どうにもぼく達出会う場所が悪かったみたい

ぼくはセイレーンだからね
海に溶け込んで、海流に乗って彼らに近付くよ

ぼくも本当はこんな危ないところにひとりで来ちゃダメなんだ
カルムはいるけど怪我する危険はあるし……
でもね、この海は大切だから
この海の深い深いところに、母さんがいるから
荒らすやつらは黙らせないといけないんだ

これでもぼく、すんごい怒ってるよ
……ふふ、そう見えない?
じゃあその身を以て知ってもらおうか
リュウグウのオトヒメの逆鱗に触れたんだから……タダなんて許さないよ
その命すべてで支払って、凪に還りな


栗花落・澪
オウムガイ初めて見た…透けてる…
気になるけど僕触手は嫌いだから!
【高速詠唱】から放つ氷魔法の【属性攻撃】で
触手の凍結狙い
全部は無理でも一部固定出来れば自由な本数は減るでしょ

他の触手も【ダンス】のように身軽に回避し
雷を纏わせた杖で払いのける
でも…途中でわざと捕まろうかな
不注意に見せかけた「演技」で
海中に引き込まれても風魔法を内包した【オーラ防御】で呼吸確保

理由なんて決まってるじゃん
僕に感動をくれた風景を守るため
命をくれた大切な人や
笑顔をくれた仲間を守るため
色んな感情を教えてくれた人間を守るため
そして…あんた達みたいなのを解放するため

捕まった事で超至近距離で【破魔】の【指定UC】
油断するからだよ


イコル・アダマンティウム
「オウムガイ……って食べられる、かな?」

僕はキャバリア、格闘特化の愛機で出撃する、よ

【水上戦】
泳いでたら、不利
水の上をダッシュで走りぬける、よ
<ダッシュ><水上歩行><限界突破>

【対:賢者の触手】
「僕が、戦う理由?」
「ん……僕は戦える」
「えと、僕が戦うと……助かる人がいる」
「僕が戦うと……仕送りできる」
「美味しい物が、食べれる……皆が、笑顔になる」
「だから僕は……戦いたい。
戦いたいから、僕は戦う」

だから僕の為に、消えて。

【攻撃】
UC[閃光百裂拳]
水の上だと、いつもより踏ん張れない
一瞬で乱打を放って、一匹ずつ仕留める、よ。<暴力><乱れ打ち>

「んー……あんまり、美味しそうじゃない」

*アドリブ歓迎


トリテレイア・ゼロナイン
(水中用装備を装着し●水中戦能力高め海中へ。スピーカーからの音声なので海中でも喋れる)

その意気軒高ぶり、相手取るに不足無し
ですが私もこの世界の人々の安寧と他世界への侵略阻止の為、騎士として引き下がる訳にはいきません

纏めてお相手いたしましょう!

衝撃波による水の振動による光の屈折をセンサーでの●情報収集で見切り水中機動で躱しつつ、水中装備の高速誘導魚雷を発射

敵群の混乱に乗じつつランスの推進機構作動による推力移動ランスチャージで串刺しに
UCも展開しすれ違い様の溶断や、背後からの強襲の迎撃にも使用しオウムガイを一掃

最後は敵艦船底を怪力ランスで竜骨へし折り撃沈

護る戦いに迷いなし
次の相手はどなたですか!


マチルダ・メイルストローム
おー、見える見える。
ひのふの……数えるのも馬鹿らしくなるねぇ。

自前の秘宝「ゴースト・フリート」に乗って戦場に出るよ。
操船は接舷まではあたしがやって以降は船員に任せる。機雷や砲を避けながら接舷するよ。
接舷したら敵船に切り込み。
よりどりみどりだね、どいつからぶっ殺していいんだい?

戦う理由? んなもん決まってるさ。
この海であたしより偉そうにしている奴は七大海嘯だろうが何だろうが全員ぶっ殺す!
手始めは舐めた口を利いてくれたあんたらからだ!

船上戦はもとよりあたしの十八番だ、【シーウェイ・レイジ】でさらに強化したら秘宝「シー・ミストレス」と秘宝「メイルストローム」でひたすら切って撃ってで殲滅するよ。


ビードット・ワイワイ
オウムガイなるほどオウムガイ
食事の時間か

メカモササウルスを前にして
オウムガイが現れる
つまり食べてくれという事か
捕食者の頂点に居りしメカモササウルス!
我が宿りしモササウルスが飢えを叫ぶ
獲物の傲慢さに苛立ち覚える
ならば我らは力を振るう
これが蹂躙だ

深く潜りて適応せしモササウルスの姿にて機動力と速度を活かし
雷撃放ちて牽制しつつ体当たりと捕食を行おう
その衝撃波が如何程の物かは知らん
だが我が巨体を容易く揺らせると思わぬ事よ
油断すれば即座に我が顎に砕かれよう
今こそ誰が捕食者か海の殺戮者は何かを知れ


空桐・清導
POWで挑む

何のために戦うかだと?
んなもん、みんなの笑顔と明日の為だ!
オレはヒーロー、ブレイザイン!
テメエらにどんな理由があろうとも、
この名に懸けて此処でとめる!
オレを沈めんのは、どんな戦艦よりも難しいと思え!

彼らの進路を阻むように鉄甲船を移動
全力の啖呵を切ってUCを発動!
重武装形態に変身
巨大なサンライザーを展開して[誘導弾]を発射
群れを一気に[なぎ払う]
目に見えねえ衝撃波?
んなもん、[気合い]で耐える!
どうした!そんなもんじゃねえだろ!?

近づいてくる奴には剛拳を喰らわせる
更に纏った光焔で追撃だ!
手は抜かねえ、全力で来んなら俺も全霊で応える
それが俺なりの礼儀だ!
できれば、違う形で会いたかったぜ


播州・クロリア
死ぬつもりの兵ほど厄介な相手はいません
誰しも道連れになんてされたくありませんからね
(敵船と接舷すると敵船に乗船し肩幅ほどに足を開き、両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こした後{紅焔の旋律}で『ダンス』を始める)
はじめましてオウムガイの方々
貴方達の燃え滾るような闘志を表現したこのリズム
どうぞご堪能ください
(UC【蠱の夢】を発動し{紅焔の旋律}で生み出した炎で敵船を燃やしながら微笑む)
船が無くなれば進むことなどできませんからね
よろしければ沈没するまで私とダンスでもしませんか?


バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ・連携、歓迎デース!

今度は喋るオウムガイ、デスカー! 何でも出てきマスネ、この海は!

まずは、『水上用滑走靴』で海上を走りながら観察しマスガ……。
Hum,触手や粘液はともなく、衝撃波がとても厄介デース!
内蔵兵器で射撃しようとも、防がれてしまいそうデース……!
となると突撃しかありマセンネー……ここは無茶で押し通りマース!

UC《荷電粒子体》起動! 「六式武装展開、雷の番!」
飛翔しないよう身を屈めて、パイルバンカーを構えて、セット……ゴー!
オウムガイが攻撃するよりも先に、海上を滑走して白兵してその貝殻に叩き込んでやりマース!
突撃突貫、一撃必殺でありまーす!


シャルロット・クリスティア
ユーベルコードを砲撃してくる……とはまた一風変わった真似を。
仕組みを転用できればこちらも便利そうですが……流石にそんな余裕はなさそうですかね。

さて、船を近づけるにしろ砲撃戦を挑むにしろ、降り注いでくる敵の攻撃をどうにかしないといけません。
粘液となると普通の弾丸で砕くのも難しいので……凍らせて、砕く。
そう言う弾丸もあるのでね。迎撃はお任せください。

余裕があれば敵船そのものも凍らせていきたいところですが……こちらは余裕があれば。
ひとまず最優先は迎撃で。
皆さんの戦いやすい状況作りに徹するとしましょう。


ヴィクティム・ウィンターミュート
──オーオー、すげー景色じゃねーか
ゾロゾロゾロゾロ。骸の海で沈んでたカスどもがよォ
悪いが思い通りにさせる気は無い
オブリビオンは全員殺す 例外は無い

船上戦でインファイトを仕掛ける
接弦よろしく頼むぞ
触手?結構結構、絡ませてみな
で?「何の為に戦うか?」だったな

愚問も愚問だよ、俺にそれを聞くなんざ
「勝つ為」だ。それ以外に理由が必要なのか?ん?
くだらねえ質問だったな…クロスボウ、くらっとけ
今のでテメェらのことは覚えちまったな
船の揺れは、不安定な足場を相手にするパルクールの要領で、バランスを取ればいい

テメェらこれ見よがしにニューロンが丸見えだからよ
そこを撃ち抜いて、抉り潰せば簡単に死ぬんじゃねえの?


鳴宮・匡
何のために戦ってるのか、ねえ
……なんだろうな
それに答えられるだけの、信念、とかいうものを俺は持ってない

――まあ、だからといって関係ないよな
そんなものに、当たってやるわけがないんだからさ

砲撃を撃退するのがメインだな
通常砲撃、粘液弾、衝撃波――それに触手か
相手の出してくる手に合わせて、【無形の影】の形状を細かく変えて迎撃していくよ

オウムガイ本体を狙える隙があれば、勿論積極的に撃ちにいく
……その透き通る体、弱点を狙ってくれって言ってるようなもんじゃないか?
脳をしっかり撃ち抜いて墜とすよ
これだけの大群だ、一体ずつに時間をかけていられない
一射で確実に墜とせるように心掛けないとな


ロキ・バロックヒート
【猫ひげ:3人】
アドリブ歓迎

零時くんの友達?
初めまして俺様はロキっていうよ
ふたりとも可愛いねって微笑ましく眺めて
一緒に倒しに行こっか

はいどうぞどうぞ
って言いたくなるねこれ
あの子たちなんか零時くんに似てない?なんて
あはは

なんのため…うーん
実はなんのためってわけでもないんだよね
ここで猟兵が勝つかどうかなんてどうでも良いし
痛い痛い
ほんとなのになぁ
零時くんの答えを聴いて笑って
かれらのような可能性を見るなら
同じ土俵に上がらないと楽しくないでしょう
まぁ、単純にぶっ壊したいだけの時もあるけどね

もういいかなぁ
【神の指先】を向ければ
零時くんの魔法に合わせて
天から轟く雷光が降り注ぐ
よーし一緒に薙ぎ払ってあげようよ


兎乃・零時
【猫ひげ】
アドリブ歓迎

あれ、心結?
こんな所で逢うなんて奇遇だな
勿論!三人で戦えばより心強いってもんさ!

事前に紙兎のパルを傍に連れてきておく(UC)

うぉ、触手いっぱ…え、そんな似てる?

だが此処で負けてやる気はねぇ…!

光の魔力溜めつつ魔力によるオーラ防御を身に纏いながら

何のために戦うか?

当然、決まってる!
夢の為さ!
俺様の夢は全世界最強最高の魔術師になる事!
ならば、当然誰にも勝てて!誰だって守れるぐらい強くならなくっちゃならねぇ!
だから!何が有ろうと俺様は全力で戦い続けるんだ!

パル!援護は任せた!

オウムガイへ光属性攻撃×全力魔法×限界突破…光魔術の光線の強化型、極光一閃で敵を纏めて薙ぎ払ってやる!!


音海・心結
【猫ひげ】
アドリブ歓迎

あれは……零時?
隣にいるのはお友達でしょうか
初めましてですよ
みゆは音海・心結
よければご一緒してもよいですか?

沢山の触手に圧倒されるも
確かに零時に似てるっ
か、か……!
それ以上は口を噤み

みゆが戦う理由、ですか
戦うのが楽しいから
……昔ならそう答えるのでしょうね
でも、今は違う
聞いて飽きれませんか?
締めつけられても、挑発するように微笑み

護ってくれるとゆったひとがいるのです
でも、みゆは護られるだけではいやって
貴方が強くなるなら答えはひとつ
みゆも一緒に、傍で強くなること
……零時には秘密ですよ

さて、お喋りはここまでなのです
お返しに白リボンで逃げれない様に巻き付け
腰に下げてる黒剣で切り刻む


花盛・乙女
気に入った!なれば真っ向勝負と参ろうか!
羅刹女、花盛乙女。いざ尋常に!

【黒椿】と【乙女】の二刀を構えて船団の船に斬り込むぞ。
いの一番に狙うは面舵。渦潮への進軍を阻むのが大前提だな。
遠隔地の操作に長ける異能を持っているようだが、距離を詰めれば効果の程はあるまい。
念で縛ろうが触手で縛ろうが、鬼の「怪力」で打ち破ってくれる。

何のために戦う、か。
猟兵としては世界の平和のために。
剣士としては刀に立てた正義の誓いのために。
私としては…強者と腕比べがしたい故に、だ!

しかしこの触手というのは…鬱陶しいな…。
…む?貴様その声、もしや…男か?
男が私を縛って…?
く、くっころー!(UCでボコボコにします)


矢来・夕立
▼海上戦の工夫
貝類を見てたら思いつきました。
【紙技・炎迅】。モーターボートを作成。
次に紙垂の式紙で網を作ります。
はい。漁業ですね。
ある程度のグループを投網の要領で捕縛したいです。
そこを他の方に叩いていただくのがベストですけれど、
これなら飛距離もいらないので自前の式紙だけでも殺せます。骨は折れるでしょうが。

で?戦う理由と来ましたか。お金です。
手付かずの宝島は無論のこと、わかりやすい財宝がなくとも構いません。
島々の交易網を広げていくのだって良いビジネスですよ。
そこでコンキスタドールがデカい顔をすれば航海もままならないでしょう。
商売の邪魔なんで死んでいただきたい。残念ですがホントです。ほら無傷。



「ほう、あれか」
 鉄甲船の帆先にあぐらをかき、見張りをしていた馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は敵艦隊を視認するなりゆっくりと立ち上がった。弓を番え、戦いの嚆矢を撃ち放す。
「――敵艦発見! 矢のようなものが当たりました!」
「なに!?」
 俄かに警報が鳴り響き、海上全体が騒然となる。
「おー、慌てちまって可愛いもんだね。ひのふの……数えるのも馬鹿らしくなるねぇ。適当な奴に横づけするよ、面舵いっぱい!!」
 マチルダ・メイルストローム(渦潮のマチルダ・f26483)はゴースト・フリートを操舵し、ほとんど体当たりするような形で敵艦体へと側面をぶつけて乗り移る。
「ちくしょう、砲撃手はなにをやってんだ!」
「当たらないんですよ! あの船、相当いい船長が乗ってる!!」
 マチルダは敵の混乱を一笑に付すると、剣を抜いて自ら先陣を切った。
「渦潮のマチルダとはあたしのことさ! さあ、ぶっ殺されたいやつからかかってきな!」
 予想外の海域で戦端が開かれたことにオウムガイ艦体は軽いパニックに陥っていた。ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)は揶揄い混じりにそのイカれた景色を眺め渡す。
「おのぼりさんがゾロゾロゾロゾロやってくるからだよ。おとなしく骸の海で沈んでりゃあよかったのに……おかげでBAN! だ。接舷頼むぜ。大丈夫、敵の砲撃なんぞ当たるわけがない」
 回頭し、敵艦目がけて突き進む鉄甲船には当然の如く激しい砲撃が襲いかかる、が――敵観測員がたまらず叫んだ。
「あ、当たりません! こちらの砲撃、全て空中で相殺されています!!」
 ドッ、という重たい轟音とともに撃たれた粘液弾はシャルロット・クリスティア(弾痕・f00330)と鳴宮・匡(凪の海・f01612)の弾幕によって着弾前に排除されていた。
「やはり、凍らせると効率がいいですね」
「ああ、おかげでこっちも捗る」
 しっくりと手に馴染む漆黒の引き金に指をかけ、照準器を覗き込む匡の眼に一際巨大な砲弾が映った。小口径では力不足と判断したそれは瞬時に銃口を拡大、対物ライフル様の銃弾を放ち空中にて撃ち落とす。
「いくら撃っても無駄ですよ」
 それにしても、とシャルロットは興味深く目を細めた。
「ユーベルコードを砲撃してくる……とはまた一風変わった真似を。仕組みを転用できればこちらも便利そうですが……」
「ぐぬぬ、海上が駄目なら海中だ! 機雷を撒け、魚雷を撃て!!」
 だが、そこには完全武装したトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が布陣している。あまりにもすいすいと躱すので、まるで衝撃波が見えているのかと思うほどであった。いや、実際に“見えて”いるのである。彼の高性能センサーは水の振動による光の屈折を分析し、即座に安全な進路を算出・除去を秒単位で可能にする。
「お返ししますよ」
 そっと音もなく射出された魚雷が海底を泳ぐように近づき――艦底に穴を開けた。それも、次々と。
「今がチャンスデース!!」
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は更に走る速度を上げ、海面を爆走。目を凝らすと、特殊な靴を履いているのがわかる。
「あ、あれ欲しい……」
「馬鹿もん! どこに履く足があるんじゃい! いいから早く迎撃せんか、近付かれるぞ!」
「ふっふーん、砲撃なら撃ち落として見せマショウ! おっと、でも待って下サイ。衝撃波はちょっと厄介デスネー」
 なら、とバルタンは笑った。
「突撃あるのみデース!!」
 衝撃波の起こす白波と飛沫で荒れる海上を、バルタンはずぶ濡れになりながら突破する。
「よし、僕も」
 イコル・アダマンティウム(ノーバレッツ・f30109)のクロムキャバリアは艦隊に近づくため、その巨体をアスリートのように使って海上を駆け抜けた。
「あ、あ、あ……わーっ!」
 暴れるオウムガイを巨大で無骨な指先で摘まみ上げ、ぽつり。
「オウムガイ……って食べられる、かな?」
「や、やめてー!」
「――食事の時間か」
 その名は捕食者の頂点に居りし、メカモササウルスことビードット・ワイワイ(絶対唯一メカモササウルス・f02622)。
「食べるんです? こっちもいっぱい捕れましたよ」
 ふふ、と眼鏡の奥の瞳を物憂げに和ませた矢来・夕立(影・f14904)が握っているのは――網? いったいどこからそんなものを、という疑問はすぐに解かれることになる。紙だ。それも、紙垂製の網だけではなく夕立の乗っているモーターボートさえも紙技の応用だというのだから驚嘆に値する。
「沈没した艦から落ちて来たのが結構集まりまして。貝類といえば漁ですよね」
 話している間にも、仕掛けておいた投網にかかったオウムガイたちの悲鳴が海のそこかしこから聞こえてくるではないか。
「これしきのことで降伏などするものか! ええい、この網を離せ……うわなにを」
 往生際悪く暴れるところへ義透の雷矢とトリテレイアのランスチャージが襲い、問答無用で黙らせる。まさに一網打尽であった。命からがら網を逃れた個体は流れてきた廃材に捕まり、波間を漂いながら反撃の機会をうかがっている。
「くっ、ま……まだまだ……!!」
「わあ、元気だねぇ!」
 海流に乗って近づいたヘヴェル・シャーローム(まほろば・f26173)はにっこりと笑い、ひらひらと手のひらを振ってご挨拶。
「そんなにやる気があるならリュウグウに来る? ……なんてスカウトしたげても良かったんだけど」
「な……なんで、駄目なんでしょうか?」
「それはね、こう見えても……ぼく、すんごい怒ってるんだ」
 まるで檻か柵のよう、海域を取り囲む数十本もの槍がオウムガイたちに向かって鋭い穂先を並べた。
 ――母さん。
 この海の深い深いところにいる大切なひとの顔が去来する。だから危険を承知でやってきたのだ、この遠い海まで。海はどこまでも繋がっているから。
「だから、ね? もっと別の場所で会いたかったよね」
 それはさよならと同義の言葉で。
 慌てて逃げ出したオウムガイを追い立てるのはビードットの強靭な顎から放たれる手加減無用の雷撃であった。
「おっと、逃がすものか」
 こうなるとオウムガイの選択肢は2つしかない。
 戻って網に捕まるか、逃げて槍と雷に貫かれるか。
「た……戦う! 網の中で最後を迎えるだなんて貝類としての矜持が許さん! う、うおおおお……!!」
 自ら衝撃波を放つ核となりつつの特攻。だがビードットは容赦のない体当たりであっさりと吹き飛ばしてしまった。
「あっ」
 ぽーんと景気よく飛ばされた先では、夕立が網を持って待っていた。
「あ、あ、あっ」
 びちびちと網の中で身悶えるオウムガイが最期に見たのは大きな口を開けて迫るビードットの姿。
「あ――」
 ブラックアウト。

「何をしてる!? 俺たちの目的は渦潮の破壊だ。こんな奴らを相手してないでさっさと振り切れ!!」
「――やらせるかよ!!」
 オウムガイ艦隊の進路を塞ぐように一艘の鉄甲船が身を乗り出したのはその時である。舳先には空桐・清導(ブレイザイン・f28542)が仁王立ち、逆光を背に名を名乗った。
「オレはヒーロー、ブレイザイン! テメエらにどんな理由があろうとも、この名に懸けて此処でとめる!」
 真っ赤な装甲の肩部が変形し、誘導性能を持つ熱量兵器を一斉に射出――!!
「ぼ、防御ー!!」
 敵も乗組員が一斉に衝撃波を放ってこれに対抗した。だが、拮抗状態はすぐに清導の気合いによって破られる。
「どうした! そんなもんじゃねえだろ!?」
 もっと熱く、もっと輝け。
「諦めるな! 逃げるくらいなら前のめりになって死ね!! 前に――」
 最前線にいたオウムガイから順に、熱線に溶かされて骸の海へと還されてゆく。接舷と同時に敵艦へと侵入を果たした播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)は彼らの生きざまをじっと見つめ、頷いた。
「それがあなたたちの生きざまなのですね。けれど、道連れはごめんです」
 お辞儀をするように頭を下げた格好からゆっくりと天を仰ぐように上体を起こしてゆく。太腿をなぞり上げていた指先がしなやかに離れ――炎。紅蓮の、欲望と情熱を体現したダンスが始まった。
「火事か!?」
 別の艦の観測係が双眼鏡を覗き込む。クロリアの激しいダンスは炎を纏い、燃え落ちる艦体を舞台に美しくその幕を開けたのだった。
「すごく生き生きした旋律……僕も、頑張らなきゃね!」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は襲い来る触手を舞うように躱し、テンポよくステップを踏みながらとっておきの詠唱を口ずさむ。クロリアが火なら澪は氷だ。不気味な触手は全部凍らせて、動きを封じてしまえばいい。
 ひらりと甲板目がけて跳躍した花盛・乙女(羅刹女・f00399)は面舵を目指してひた駆けた。
「ここか!」
 船室の扉を斬り払い、ひとっ跳びに操縦していたオウムガイの元へ着地すると同時に二刀一閃で黄泉へと送る。
「お、お前は――!?」
「羅刹女、花盛乙女。いざ尋常に!」
 生き生きと深紅の瞳が輝いた。乱戦を制した乙女は颯爽と次の標的を求めて隣の甲板に飛び移る。
 そこではロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)と音海・心結(瞳に移るは・f04636)が兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)を挟んで初対面を果たしていた。
「心結? こっちこっち! こんな所で逢うなんて奇遇だな。こいつはロキっていうんだ」
「初めましてですよ。よければご一緒してもよいですか?」
「喜んで。両手に花で嬉しいよ。一緒に倒しに行こっか」
「はい!」
「ところでさ、俺ずっと思ってたんだけど……あの子たちなんか零時くんに似てない?」
 口元に手を添え、こそっとロキは心結に言った。
 オウムガイは自分たちの艦を奪われてなるものかと一生懸命に触手を伸ばしてこちらを追い払おうとしてくる。
「た、確かに似てるっ。か、か……!」
 ぴんと来た心結は頬を赤らめ、慌てて口を噤んだ。
「……え、そんな似てる?」
 きょとんと首を傾げる零時の横で紙兎のパルがぱたぱたと耳を動かした。やはり、オウムガイの特徴と言えばあの足だか手だかよくわからない触手だろう。ヴィクティムはくいくいと指を動かし、「Come on!」と気安く誘った。
「どうせ愚問なのはわかってんだ。さっさと済ませようぜ」
「なッ……」
 オウムガイは真っ赤になってあらん限りの触手を猟兵ら目がけて解き放つ。汝、我の問いに答えよ。
 ――一体、何の為に戦うのか?

「ははは、簡単よ」
 磊落に笑い、義透は――『侵す者』は遥かな地平線を眺めつつこう答えた。
「世界は誰かの故郷である。滅ぼさせてたまるか。破壊などさせるかよ」
「そうだ、みんなの笑顔と明日の為――」
「この世界の人々の安寧と他世界への侵略阻止の為に!」
 清導とトリテレイアが熱く叫び、
「守るために決まってるじゃん」
 澪が優しく微笑んだ。
 触手を払いのけられたオウムガイは感電したようによろけつつ、理解できないと首を振る。
「守るため? そんな消極的な理由で?」
「わからないかなぁ……僕に感動をくれた風景、命をくれた大切な人、それに笑顔をくれ仲間たち……みんなのことを思うと、感情を覚えたこの胸があたたかくなる」
 澪はそっと自分に胸に手を当て、微笑んだ。
「そして……あんた達みたいなのを解放するため、でもあるかな」
「みー―認めん! そのような生やさしい理由で戦うなど!!」
「でも、真実である証拠にぼくたちはどこも痛くないよ?」
 へヴェルは無垢に告げ、それと知らずにリュウグウのオトヒメの逆鱗に触れてしまった者たちへと右手を突き出した。
「言ってもわからないなら、その身を以て知ってもらうしかないよね。その命すべてで支払って、凪に還りな」
 水槍の洗礼を受けたオウムガイは風船が弾けるように爆ぜて金貨に変わる。きらきらと海中に落ちて来るそれをヘヴェルはまるで戯れるような眼差しで見上げた。心配そうに寄り添ってくるカルムに微笑み、大丈夫だよと囁く。
「はん、戦う相手にそんなこと聞きたがるなんて酔狂だね」
 マチルダは飛びかかってくる触手を剣で薙ぎ払い、本体に鉛玉をくれてやった。死角から忍び寄る触手は烈火の如き怒気に触れ、焼かれたように爛れ上がる。
「んなもん決まってるさ。この海であたしより偉そうにしている奴は七大海嘯だろうが何だろうが全員ぶっ殺す!」
 敵陣の真っただ中へと突っ込んだマチルダは鬱憤を晴らすかのように大暴れした。斬られて海へ落ちたのをビードットが顎に咥え、ばきりと噛み砕いて咀嚼する。彼に戦う理由があるとすれば、それは獲物の傲慢さに苛立ちを覚えたから――誰が捕食者であり海の殺戮者であるのかを命と引き換えに魂へ刻み付けるがよい。
 もはや、敵の戦線は統率を欠いて混戦の状況を呈していた。
「――」
 戦いの匂いを孕んだ海風に惹かれたかのように匡はふと青く澄み渡る海を見る。凪いではいない。そう、常に動きがある。それが海原の在るべき光景なのだ。
「何のために戦ってるのか、か……」
「なんだ、ぼんやりして」
 オウムガイの脳天にクロスボウをくらわしたヴィクティムが怪訝そうな顔を向けた。
「『勝つ為』だろ? それ以外に理由が必要なのか?」
「!」
 匡は苦笑し、「そうだな」と目を眇める。
「そんなものに、当たってやるわけがないもんな――」
 たとえ、――がなくとも。
 刹那、匡の姿がずれた。少なくとも、オウムガイからすればそう見えたはずだ。脳を撃ち抜かれた振動で視神経の位置に狂いが生じたのである。
「……オウムガイはともかく、弱点が丸見えの透き通る体に甦ったのは誤算だったな」
 立て続けに義透の雷矢が降り注ぎ、逃げ場をなくしたオウムガイの骸が積み重なった。帆先に佇んだまま、ふと笑みがこぼれる。
「悪霊の執念、思い知れ」
 
「敵が……動きを、変えた?」
 どうやら、残存兵力をひとつにまとめ直すつもりらしいと察したイコルとバルタンは合流を遮るように敵の航路上へと割り込んだ。
「皆さんこっちに向かってキマス! ――セット」
 聳え立つ鋼の艦隊からすればバルタンは小さい的だ。だが、火力とは大きさには比例しない。
「六式武装展開、雷の番! ゴー!!」
 ――一撃突貫、低い姿勢から飛び出したバルタンは手前の戦艦から順にパイルバンカーを突き刺し、薙ぎ払うように転覆させては次を穿った。
 水柱を立てて轟沈してゆく僚艦を前に、オウムガイ艦体総司令官は歯ぎしりして悔しがる。
「我々の殻がいくら固くとも、あんなの食らったらイチコロだぞ!! うわッ……」
 横合いから殴られた旗艦が大きく揺れた。
「司令官!」
「これくらいなんとも――」
 言い終えるより先に、イコルの拳がクリーンヒット。
「んー……やっぱり、あんまり美味しそうじゃない」
「よ、よくも司令官を!」
 一斉に絡みつく触手をイコルはいとも容易く振りほどいた。思い出すのは「ごちそうさま」と笑ったみんなの笑顔。
「僕が戦って……助かる人がいるから。だから僕は……戦いたい。戦いたいから、僕は戦う」
「小癪な……!! 最終兵器の使用を許可する、やれ!!」
 旗艦を引き継いだ戦艦が指令を出すと、周囲にいた艦体の船首から大量の触手が湧き出した。
「これが残る我らすべての触手だ!! 生半可な答えでは納得せぬぞ、くらえい!!」
 足先から腕から絡みつく感触にロキは身震いしつつ、「うーん」などと呑気に首をひねっている。
「すぐには思いつかないなあ……ってこれ、結構締め付けてくるね?」
「いいから早くなんか答えろよ!」
「でもさあ、ここで猟兵が勝つかどうかなんてほんと興味なくて。零時くんは?」
「――夢の為」
 零時は真っすぐに敵を見据え、杖を構えた。
「全世界最強最高の魔術師になるためには、こんなところで負けてられない――だろ?」
 するとロキはくすぐったそうに笑み、
「……だね。なら俺はその可能性を隣で見守るために戦いましょうか。心結ちゃんは?」
「そうですね。昔だったら、戦うのが楽しいから……なんて答えていたでしょうね」
「あ、その気持ち分かるよ」
「ふふっ。でも今は違うんです――聞いて呆れないでくださいね」
 心結は締め付けを受けつつも、挑発するように微笑んだ。白いリボンがするすると伸び、いつしか触手の根元に絡みついてゆく。
「……護ってくれるとゆってくれたひとの傍で、一緒に強くなること」
 こそっ、と隣の零時に聞こえないように小さな声で囁いた。同時に触手が意味を失い、自由になった腕で抜き払った黒剣を見舞う。
「いまです、零時!」
「ああ! ――パル! 援護は任せた!」
 降り注ぐ砲撃は紙兎の結界に阻まれ、三人の元までは届かない。ロキの指先と零時の杖が同じ方向を指し示した。
 ――光。
 雷を伴に降臨する、極光一閃。
 
 通常、戦争では部隊の三分の一を失った場合はほぼ壊滅といっていい。にも関わらず、オウムガイ艦隊はその七割近くを既に失っていた。
「やれやれ、往生際が悪い連中だぜ」
 体重を感じさせない跳躍で沈みゆく船から脱出したヴィクティムはしこたまニューロン丸出しの脳みそを潰しまくったボウガンをようやくしまって嘯いた。
 燃えている。
 蟲の齎す夢の中で踊るクロリアは猛火の中にあっても生命を脅かされる心配はない。一艘が沈めばまた次の艦へ。
「もとより死ぬつもりでしたのでしょう?」
 ならば、と優雅に手を差し伸べる。
 その姿はまるで死神にも似て。
「――よろしければ沈没するまで私とダンスでもしませんか?」
 また一艘、艦が沈んだ。
 船首を上にして海に消えゆく鋼の箱を背に、清導は流れる汗を拭う。どれだけの敵を殴り倒したのか、途中から数える余裕もなかった。
「――!!」
 背後から迫る敵の気配に振り返り、止めの光焔で焼き払う。
「できれば、違う形で会いたかったぜ」
 もはや勝ちはあり得ないと半ば悟りつつも、一度旗揚げした計画を棄てるには時にそれを実行するよりも多大な労力を必要とするのかもしれない。最後までオウムガイ艦隊は撤退命令を出さなかった。
 故の、全滅。
「ほら無傷」
 夕立はモーターボートの縁に寄りかかり、呆れたように肩を竦める。
「オレが戦う理由はお金です。つまり、商売の邪魔をするあなた方は敵以外の何者でもない」
 この世界は富の宝庫だ。
 未開拓の宝島に、島々の交易網。ビジネスチャンスならいくらでも転がっている。誰がコンキスタドール如きにくれてやるものか。
「残念ですがホントです。だから、この結末は必然でしょう」

「この艦が最後のようですね」
 凍りついた甲板にはシャルロットの撃ち込んだ弾丸が無数にめり込んでいる。時間はかかったが、なんとか動きを止めることができたようだ。警戒しながら内部へ踏み込むと、不意に物陰から伸びる触手が澪と乙女を絡め取り、脅すように尋ねた。
「答えろ、何故戦うのか――」
 乙女は挑むように敵を見据え、「三つだ」と言い切った。
「ひとつは猟兵として、ふたつめは剣士として平和と正義を世にもたらすべく戦う所存。そしてみっつめは……私個人の望みだ。即ち」
 触手を斬り伏せ、ここに宣る。
「強者と腕比べがしたい故に、だ!」
「な、なんという切れ味……!!」
「……む?」
 今さらながら、乙女は気になることがあって首を傾げた。
「貴様その声、もしや……男か? ということは、さっきまで男が私を縛って……?」
 乙女は耳まで赤くなり、刀を振り回して躍りかかった。
「死にも勝る屈辱! いっそ殺せ……いや、殺してやる!」
 手当たり次第に残党を狩り出し、一刀の元に斬り捨てる。澪は触手に捕まったまま、逃げるのではなくて破魔の呪文を紡いだ。
「貴様、まさかわざと――!?」
「油断するからだよ」
「させん!!」
 とっさに海中へ引き込むが、風の泡に護られた澪はそのまま抱いていた光を解放。眩い光に包まれながら竜骨をへし折られた艦体がゆっくりと海に呑まれてゆく。
 トリテレイアは僅かな間だけそれを眺めていたが、すぐに背を向けて声を張り上げた。決意を表明するように、高らかに。
「さあ、此度の任務は果たされました。次の相手はどなたですか!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月04日


挿絵イラスト