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銀河帝国攻略戦⑥~デルファイの託宣

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 宇宙都市船『デルファイ』内部にいくつも設けられている広場は、どこも市民で溢れていた。集会の議題はただひとつ、銀河帝国と解放軍との戦いにおけるデルファイの去就についてである。
「参戦すべきだろう」
「いや、しかし……」
 議論が交わされる中、広場の上空に(広場のドーム状の天井には常に空の映像が映し出されていて、市民は天井を空と呼んでいる)立体映像が投射された。
 白い貫頭衣に身を包んだ神秘的な美女の姿。デルファイの政治について市民に助言する人工知能『シビュラ』のアヴァターである。
「市民の皆さん」
 快く響くシビュラの合成音声に、市民は耳を傾ける。
「シミュレートの結果、私はこの戦いに干渉しないことを、皆さんに勧めます。
 宇宙は広大であり、戦火を避けて逃げ続けることは可能です。
 また、私たちが参戦したとしても戦いの趨勢に与える影響は微々たるものです。
 あえて船を危険に晒す必要はないと、私は判断します」
 シビュラの託宣に、市民はざわめく。この託宣は真実だろうか?


「現在、スペースシップワールドの各地で、解放軍への合流が進んでいます。
 ですが銀河帝国は、様々な工作を行って戦力の集結を妨害しているようです。
 この都市船『デルファイ』では、既にポリティクスAI『シビュラ』が帝国のクラッキングによって帝国側に有利な偽証をする状態にされています。
 このままだと、デルファイの人たちはシビュラの嘘の助言を受け入れてしまうでしょう」
 そのように予知しました。とプルミエールは語る。

「私たちの目的は、シビュラの異変を明らかにすることと、デルファイの人々に解放軍に参加してもらうことです。
 シビュラの助言が無くてもデルファイ市民は参戦を迷っている様子ですから、市民の人々の意識に働きかけることも大切かもしれません。
 ……戦いに引き込むことになりますが、銀河帝国との戦いからは逃げられませんから」
 プルミエールはそこで少し口を噤み、続ける。

「手順としては、まず私が皆さんをミディアさんがいる宇宙船に転移させ、ワープ航法でデルファイに移動。参戦が決定すればミディアさんがデルファイのコアマシンにワープドライブを付与することになります。
 ですが、この辺りの細かいことは気にしなくても大丈夫でしょう。問題はデルファイ到着後に何をするかだけです。

 スペースシップワールドの未来のために、ご協力をお願いします」
 プルミエールはそう結んで頭を下げた。


魚通河
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 デルファイには、宇宙都市船にありそうなものは大体あります。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『⑥裏切者を暴け!』

POW   :    多くの市民の集まるイベントに乗り込み、情熱的な演説等で『解放軍』参加への機運を盛り上げます。

SPD   :    銀河帝国派の政治家の事務所などを捜索し、汚職や銀河帝国との内通に関する証拠を見つけ出し、公開します。

WIZ   :    反戦集会や公開討論等に乗り込み、銀河帝国の息を受けた反戦派政治家の意見を論破します。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

モルツクルス・ゼーレヴェックス
【WIZ】

【礼儀作法】はしっかりと

「ご紹介に預かりました、解放軍所属、モルツクルス・ゼーレヴェックスであります」

【情報収集】を密に行い
主戦派と接触、正規で招いてもらう形で【解放軍】として意見を述べる

「自分達、この宇宙を思い戦うものとして、客観的な意見を述べさせて頂きます」

【学習力】でそれぞれの意見をきちんと頭に入れて発言する

「戦うべきです」

【コミュ力】で訴えるように


「実際の力の大小など、問題ではありません。自由を求めて、合力して戦う……これが重要なのです」

【パフォーマンス】で重厚に

「自由を思う民が一丸となればこそ、圧政の帝国の民までも退きましょう」

真摯に、心から

「立ちましょう、自由のために」


河原崎・修羅雪姫
POW
多くの市民の集まるイベントに乗り込み、情熱的な演説等で『解放軍』参加への機運を盛り上げる。

「銀河帝国の圧制をひっくり返す音……。それはMUSIC(ミュージック)!」

ヘビーメタルの重低音ギグで、市民のハートをHOTにする。
【楽器演奏14】【誘惑14】【鼓舞15】で、
全世界サイボーグ連盟の戦旗をバックに、
熱く、情熱的にシャウトし、演奏し、観衆を魅惑して、シビュラの妄言を喝破する。

UCはヘビーメタル・シャウト。
【エレキギターの旋律】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強させ、
平凡な一般市民たちを、勇敢なる反逆者へと変貌させる。

「許すな帝国の圧制! つかみ取れ銀河の自由! 銀河皇帝を倒せ!!」


シル・ウィンディア
んー、たしかに、逃げ続けるのはできるかもしれないけど…
向こう、ワープする能力があるから、結局、追われ続けることになっちゃうよ?

逃げて、怯えながら過ごすのか?
それか、ここで立ち向かって、脅威を取り除く力を手に入れるか…

戦ってなんて言わないよ
戦う力には、わたし達、猟兵がなるから
でも、わたし達だけじゃ、そこにたどり着けないから
だから、お願い、少し力を貸してほしいの

説得時は、ちょっと目を潤ませて、訴えかけるように伝えていくね

シビュラさん、逃げ続けるって判断は、さすがにきついと思うよ?
敵が、ワープ能力を持っていないならいいけど
持ってるからね?
だから、逃げてるだけじゃ、安全なところなんてないと思うけどね?


アルビーナ・ヒルシュフェルト
連携歓迎
交渉役のベルデが汚職の可能性の高い者にあたりをつけ潜入し家探し。
「ここが匂うね、僕もうたまらないよ。こっそりその秘密開いてもらおうか。」
三魂分立を発動しアルビーナとベルデが連携しデータを精査、犯人を見つけ出そうと行動する。
「私がとりあえずメイン端末のデータを確認します。ベルデはほかの端末や証拠を探しお願いします。」
「僕、潜入で頑張ったと思うんだけど…。」
クリスティンは妨害に備えて仕込み杖を持った状態でつまらなそうに待機する。
「俺はどーする?」
「何があるかわかりません、攻撃態勢だけ整えて、ただむやみに殺さないよう頼みますね」
「あぁ?殺さねぇようにってなんだよ。ちっ!しゃあねぇな。」


フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(共闘可)
フィオ姉ちゃんがサイバー空間で頑張っている間に
ボクが物理で止めちゃうよ!

【行動】()内は技能
@『シビュラ』は帝国軍に操られているんだ
フィオ姉ちゃんの言う通り、あちこちのSNSでネガティブな
書き込みを行う
「わ、変なウイルスが送られてきた」

フィオ姉ちゃんの合図がでたらFlying Broom GTSに騎乗し
マップで指定エリアに急行
「わわ、行き過ぎちゃった」

更新情報をチェックして拠点らしき場所に着いたら
問答無用で破壊工作だね

通信施設や電源施設、怪しいところは(第六感)まで総動員して
みーんなまとめて
(2回攻撃×全力魔法)でイスベル・ウラーノを叩きつけるよ


フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(連携可)
「デルファイ内に必ずいるはずだわ」

■作戦
悪意あるのウイルス等からクラッキング場所を特定し
弟の攻撃で物理的に無効化させる

■行動
「電脳魔術士の力を見せてあげるわ」
フォルセティに様々なSNSでネガティブな書き込み行わせ、
反論や悪意の攻撃を呼び起こす

送り込まれたウイルスやワームを捉え、技能:ハッキングで
逆に乗っ取り、送り主の元へ転送するように書き換える
さらに複製・ばらまきながら、クラッキングしている場所(拠点)を探る

「デルファイのこの辺に移動して」
特定作業を進めながら弟を当該エリアに急行させる
(位置情報を随時転送、自身は動かない)

「ここであっているはず」


メンカル・プルモーサ
…ん、助言型…良く出来たAI…だからこそクラッキングは…許せないかな……
……まず、ハッキングする前に今の状態での「宣託」を聞いて…対話出来るならある程度対話する…(コミュ力・情報収集)
…それでクラッキングされた部分に当たりを付けてから……シビュラにハッキング……(ハッキング・封印を解く・鍵開け)
…たぶん判断能力の一部を弄られてるだろうから…そこを確認…証拠だけ取って…AIのメンテ担当の人間はいるなら…その人に報告…正常なプログラムを確認しないと正常に戻せないし……
……クラッキング犯はまた干渉してくるかもだから、それに備えてクラッキング経路には幾つも致命レベルの罠を張っておくかな……



●エレクトリック・アイ
 デルファイに存在する広場の一角。シビュラとの対話は誰にでも許されているし、中継配信も可能だとのことだった。
 市民が見守る中、シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)が演台の前でシビュラに疑問を投げかける。
「シビュラさん、逃げ続けるって判断は、さすがにきついと思うよ?
 銀河帝国は、ワープドライブで宇宙のどこにいても追いかけてくるんだから。
 わたし達も、そのワープを使って航跡を辿ってデルファイまで来られたんだよ。
 だから、逃げてるだけじゃ、安全なところなんてないと思う」
 シルは小さな体で、宙に浮くシビュラの映像を見上げながら問いかける。シビュラは穏やかな微笑みを崩さず返答する。
「私のシミュレートによれば、逃げ続けることは可能です」
 シビュラのこの答えは、もう何度も繰り返されたものだった。シルはワープドライブから逃れることの難しさを何度も説明するのだが、シビュラは同じ答えをするのみで、それ以上の情報はない。
「どうしたんだ、シビュラは?」
「答えられない理由があるのか?」
 市民も訝しんでいるようだ。

 シルは市民に向き直り、彼等にも語りかける。
「逃げ続けるだけじゃ、ずっと追われることになっちゃうよ?
 逃げて怯えながら過ごすのか、立ち向かって、脅威を取り除く力を手に入れるか……。よく考えて欲しいの。
 最前線で戦ってなんて言わないよ。戦いの矢面には、わたし達、猟兵が立つから。
 でも、わたし達だけじゃ、戦い続けられないから。
 だから、お願い、できる範囲でいいから力を貸してほしいの」
 少し目を潤ませて訴えるシルの姿に、少なくない市民が賛同の声をあげる。
「私のシミュレートによれば……」
 シビュラはまた同じ答えを繰り返した。

 デルファイに停泊中の、ミディアの宇宙船の一室。
「『私のシミュレートによれば……』」
 シルの質問に変わらぬ答えを繰り返すシビュラの配信映像を、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は眠たげな目でじっと観察している。
「……ん、助言型……良く出来たAI……だからこそクラッキングは……許せないかな……」
 コンソール前に腰かけたメンカルは、空中にいくつもディスプレイを開いて作業していた。自らの技能と封印解除術式【ルーナル】の力で、シビュラにハッキングを仕掛けているのだ。程なくして、ディスプレイのひとつがシビュラの内部構造を表示する。
「シルの説明を……シビュラは理解できている筈……でも結論は反対……」
 未知のAIに接して、メンカルのセンサつき眼鏡の奥の瞳は心なしか輝いてみえる。
「それはシミュレートに影響を与える欺瞞情報を混入されているから……確度最大の機密情報として……」
 予想を立てたメンカルがその個所を調べると、はたして介入の痕跡が見つかった。
「……この証拠を記録して、次は……」
 メンカルはシビュラのメンテナンス担当技官のリストを開くと、仲間の猟兵に連絡する。
「……このあたりの人物を調べてみて……帝国の協力者がいる可能性がある……」
 クラッキングが発覚しなかったのは、メンテナンス担当者の中の裏切り者が隠蔽している為ではないか、メンカルはその疑念を仲間に伝えた。

「了解しました。調査してみましょう」
 メンカルの要請に応えたのはアルビーナ・ヒルシュフェルト(超絶技巧の三重奏・f00958)。
 彼女は人格を交渉役のベルデに切り替え、リストの中から怪しい者を探った。そしてある者に目星をつける。
「ここが匂うね、僕もうたまらないよ。こっそりその秘密、開いてもらおうか」
 ベルデは夜闇に紛れ、特殊環境服の蒸気噴射で塀を飛び越え、その邸宅に潜入した。

 潜入したベルデは、まずユーベルコードを発動する。三魂分立(クアンタム・ケルベロス)。アルビーナの中のみっつの人格全員を実体化させる能力である。
「さて、とりあえず私がメイン端末のデータを確認します。ベルデは他の端末や証拠探しをお願いします」 
「えぇ。僕、潜入で頑張ったと思うんだけど……」
 実体化するや指示を出すアルビーナに、ベルデは軽口を叩きつつもデスクの書類を探り始める。
「俺はどーする?」
 もうひとつの人格、荒事専門のクリスティンが尋ねた。体重を仕込み杖に預けてつまらなさそうにしている。アルビーナが答える前に、警報が鳴った。
「『侵入者を確認! カメラの映像から1人の模様!』」
「1人だと思ってくれているようですね」
 アルビーナは薄く笑って続ける。
「相手はただの警備員かも知れません、むやみに殺さないよう頼みますね」
「あぁ? 殺さねぇようにってなんだよ。ちっ! しゃあねぇな」
 クリスティンが警備を引きつけている間に、ベルデが技官の汚職の物証となる書類を入手。アルビーナは脱出した後、 三魂分立を解除してひとつの体に戻った。

 メンカルとアルビーナの行動に並行して、フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)
とフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)の姉弟はクラッキング犯の行方を追っていた。
「船のセキュリティを抜けて船外から工作したとは考えにくいの。帝国の工作拠点はデルファイ内部に必ずあるはずだわ」
 ミディアの宇宙船の一室。フィオリナがフォルセティに作戦を説明する。
「フォルセティ、船内のSNSでシビュラに対するネガティブな書き込みを繰り返して。それに対して攻撃があれば、私が反撃して相手の居所を探知できるわ」
「解ったよ、フィオ姉ちゃん。やってみるね。ええと、『シビュラ』は帝国軍に操られているんだ……と」
 フォルセティは素直に頷いて、SNSへの投稿を続けた。その結果。
「わ、変なウイルスがいっぱい送られてきてる」
「そろそろ頃合いみたいね。さあ、電脳魔術士の力を見せてあげるわ」
 地水火風と、サイバー空間を操る魔術士であるフィオリナが電脳世界にその手を伸ばす。
 サイバー空間の中で、フィオリナは送り込まれたウイルスを捉え、検分していく。
 悪戯目的のものや精度の低いものから消去していき、最後に残った数種のウイルスが、悪意と洗練からして帝国製に違いなかった。
 フィオリナはそれらの性質を書き換え、放流する。
「送り主の下へ戻って、私に情報を送ってね。……フォルセティも、出発の準備をして?」
 サイバー空間への干渉を終えて、フィオリナは現実世界で自分を待っていた弟に告げた。

「それじゃ、行ってきまーす!」
「気をつけてね」
 フォルセティは『空飛ぶ箒』の名を持つ流線型の美しいバイク、Flying Broom GTSを駆って街へ出た。敵の位置は船に残ったフィオリナが解り次第ナビゲートしてくれる。
「『フォルセティ、この方面へ向かって』」
 フィオリナの指示する通り進み続けると、徐々に人気の少ない区画に入っていく。放棄された居住区らしい。コアマシンを持つスペースシップは自給自足が可能な筈だが、帝国の圧迫を受ける中で人口が減っているのかも知れない。
「『そこよ、停まって』」
「わわ、行き過ぎちゃった」
 行き過ぎた分を戻って、Flying Broom GTSを降りる。入り組んだ路地を通り抜けると、無人の家が並ぶ中に、薄明りの灯る建物があった。中からは慌てた様子の声が漏れ聞こえてくる。
「くそっ、こっちの情報を抜かれている!」
「急げ、ここの位置もバレて……」
 フォルセティがドアを開けて中に入ると、怪しげな機械に囲まれた男たちがこちらに目を向ける。
「な、何だお前は、誰の許可を得て……」
「フィオ姉ちゃん、ここであってるんだよね?」
「『ええ、間違いないわ』」
「よーし、『星霜纏いし冷厳の天王。黄天より招くは無窮の霊氷』」
 フォルセティは問答無用でイスベル・ウラーノを発動した。氷塊が諸々の機械類を圧し潰し、物理的に敵の企みを砕く。
「ひぃ、猟兵だ!」
「待て待て、投降する!」
 ユーベルコードの発動を目の当たりにした工作員たちは抵抗の意志を喪失したらしく、武器を捨てて手をあげる。
「任務完了っと」
 フォルセティが満足げに頷く。その顔だけを見れば、おつかいを終わらせた少年としか思えなかった。

 デルファイの捜査機関に、メンカル、アルビーナ、フィオリナの得た証拠が提出された。フォルセティに投降した工作員の身柄は引き渡され、帝国に買収されていたメンテナンス担当者も拘束されて、彼らの証言からシビュラへの工作も明らかになった。
 勿論デルファイでは、帝国はオブリビオンに率いられた危険な敵であり、猟兵は彼らと戦う存在であるということは周知の事実なので、多少の強引な捜査は事件が解決すれば問題ないのだ。
 シビュラはメンカルと技官たちが協議した結果、メンテナンスのために一時的に機能を停止することとなった。
「……正常に動作している所も……見たかったかな……」
 メンテナンス作業に立ち会いながら、メンカルは呟いたという。

●スクリーミング・フォー・ヴェンジェンス
 事前のシルの質疑によってシビュラへの疑念が話題に上っていたこともあり、事件のあらましはすぐにデルファイ中を駆け巡った。市民の間には帝国への怒りが沸き上がる。シビュラは市民から愛着を持たれていたらしい。
 そういった状況の中、解放軍合流を決定するための市民投票が目前に迫っているとのことで、猟兵たちは最後の説得を行った。

「ご紹介に預かりました、解放軍所属、モルツクルス・ゼーレヴェックスであります」
 デルファイ中央広場。登壇したモルツクルス・ゼーレヴェックス(鷹の如き・f10673)が観衆に一礼する。彼はデルファイ到着後から主戦派の議員などと連絡を取り、重要人物が集まる中央広場での集会に招かれるよう働きかけていたのだ。
「自分たち、この宇宙を思い戦うものとして、客観的な意見を述べさせて頂きます」
 モルツクルスは時折挟まれる議員らの質問に、事前に学習しておいた彼らの主張なども踏まえながら答えつつ、解放軍の戦いの意味を説いていった。
 銀河帝国は最終的に世界全てを過去で覆う目的であること。猟兵の活動。ワープ航法。敵に独占されていたそれが解放軍に齎された好機。
「最後の質問ですが、帝国や猟兵の戦力は強大で、私たちの戦力は微弱です。解放軍には他に多くの船が合流しているとも聞きます。それでもあえて我々が参加する意味があると?」
「実際の力の大小など、問題ではありません。自由を求めて、合力して戦う……これが重要なのです」
 モルツクルスは演壇に手をつき、重々しく続ける。
「自由を思う民が一丸となればこそ、圧政の帝国の民までも退きましょう」
 最後に心からの言葉が口から流れ出る。
「立ちましょう、自由のために」
 モルツクルスの演説は拍手で迎えられた。

 一方、デルファイ最大の広場では。
「このまま帝国にやられっぱなしでいいのぉ? 次はこっちが反撃する番じゃなぁい?」
「そうだそうだ!」
「俺たちの誇りを取り戻せ!」
 河原崎・修羅雪姫(スノーブラッド・f00298)の情熱的な演説に観衆が応えていた。こちらの広場ではラフな雰囲気が好まれるようだ。
「言葉は言い尽くしたわぁ。……いくわよ! 銀河帝国の圧制をひっくり返す音……。それはMUSIC(ミュージック)!」
 修羅雪姫がエレキギターで重低音を響かせる。ステージに全世界サイボーグ連盟の戦旗が翻り、ヘビーメタルの演奏が始まった。観衆の歓声が響く。
「『私は半人半機のメタルモンスター! 心臓はビス止めで、クロームの3重構造で出来ている!』」
 演奏を続けながら、修羅雪姫はヘビーメタル・シャウトを発動する。エレキギターの旋律に共感した者すべての戦闘力を増強させるユーベルコードが、平凡な市民を勇敢なる反逆者へと変貌させていく。まず最前列の若者から、徐々に観衆の間を伝わり、配信映像を通じてデルファイの各所へと。勇気の伝播は終わらない。
「許すな帝国の圧制! つかみ取れ銀河の自由! 銀河皇帝を倒せ!!」
 修羅雪姫のシャウトに観衆の叫びが重なる。疲れを知らないサイバーマッスルから繰り出される演奏とパフォーマンスとシャウトが、その日市民を魅惑し続けた。

 モルツクルスと修羅雪姫による硬軟両面の演説に加えて、地道に続けていたシルの訴えの効果もあり、デルファイは圧倒的多数の賛成票で解放軍への参加を決定した。
 ミディアによってコアマシンにワープドライブを付与されたデルファイは、解放軍のいる宙域へ跳ぶ。これから可能なだけの協力をしてくれるだろう。ワープを見届けた猟兵たちは、グリモアベースに帰還するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月08日


挿絵イラスト