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銀河帝国攻略戦④~工作員排除任務

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「先の『ヘロドトスの戦い』によって、ミディア様の救出に成功したこと、先ずはおめでとうございます。しかし、未だ油断はできない状況の様です」
 救出されたフォースナイト・ミディアのユーベルコードによって、銀河皇帝によって封印されていた遺失技術『ワープドライブ』が復活。これによってスペースシップワールドの全戦力を結集、銀河帝国に対抗する事が現実となりつつある。それはまさに、伝説の『解放軍』の再来である。
「ですが、当然それをかの銀河帝国が傍観するはずもありません」

 猟兵達とミディアの呼びかけに賛同し、銀河帝国への抵抗、そして解放軍への合流と決めた宇宙船は少なくない。そしてそのうちの一隻が、今回の任務の舞台となる。
 銀河帝国は各宇宙船に潜り込ませていた工作員によって、解放軍への合流を行おうとした船でテロを仕掛け、宇宙船の動力源、核である「コアマシン」を破壊しようとするのだ。
 戦力は失われるばかりか、宇宙船に乗船している多くの命も失われてしまう。
「皆様は、まずミディア様を護衛しながら、テロが起きようとする宇宙船に急行し、テロを阻止して頂きます。その後に、ミディア様と共にコアマシンに『ワープドライブ』を装着、解放軍の戦力として糾合する―――これが今回の任務です」

 オクタが背後のスクリーンを操作すると、そこには美しい女性の姿でありながら凶暴な獣の如き破壊を行うものの映像が映し出される。
「今回、テロを引き起こすのがこの『人造生命体『マンティコア』』。外見こそ理性があるように見えますが、実情は量産型の兵器に他なりません。破壊するしか選択の余地はないでしょう」

 短い説明を終え、オクタはグリモアを操作しゲートを開く。
「強大な敵を討つためには、決して小を蔑ろにしてはいけないと私は考えます。全ての可能性を掬い上げ、そして必ずや―――」


佐渡
 ④のシナリオを作らせて頂きました佐渡です。
 今回の大規模作戦は初めてずくしでドキドキですが、全力で参ります。
 皆様の格好いいプレイングをお待ちしております!

●シナリオフレームについての特筆事項
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦 『人造生命体『マンティコア』』

POW   :    不可視の牙
【真空刃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    獣の雄叫び
【凄まじい大音量の咆哮 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    猛毒の棘
【蠍の尾 】を向けた対象に、【蠍の尾から放たれる針と猛毒】でダメージを与える。命中率が高い。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフルーネ・フローライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●破壊するモノ、守護する者

「猟兵の皆様、お待ちしておりました。 話は聞いています、急ぎましょう!」
 転送された先では、既に準備を整えていたミディアがワープドライブの準備を整えていた。すぐさま、ワープドライブによって今回のテロが起こる宇宙船の座標まで飛ぶと同時、館内にけたたましいアラームが鳴る。救難信号を受信した合図だ。
「どうやら事態は想像以上に逼迫しているようですね……どうか、ご武運を」
 ミディアに見送られ、テロの起きた船へと突入する猟兵達。戦いが、始まろうとしていた。
ヴィサラ・ヴァイン
マンティコア……伝説上の怪物の名前ですね、ちょっと親近感が湧きます……なんて言ってる場合じゃないですね!?(凶暴な獣の如き姿を見つつ)
力や速さで勝てるとは思えませんので……どちらの毒が強いか、真っ向勝負しましょう
蠍の尾を受け【究極の対価】を返し、私の猛毒の返り血『ゴルゴンの血』を浴びせます(毒使い14)
敵の猛毒は……私の(毒耐性13)が何処まで通用するかですね
どうにもならなそうなら、自分を【霊薬の雨】で癒します
「怪物を傷付けた怪物は、果たしてどうなるんでしょうか……」


アウレリア・ウィスタリア
守るのならボクはこの歌を奏でましょう
【深淵から響く魂の歌】
無差別に人々に害を与えるその叫び、ボクの歌で打ち消しましょう

不可視であっても攻撃をするのなら音で聞き分けれるはず
ボクの耳はそれを聞き逃さない
ここには空はないけれど駆け抜ける壁や天井はある
翼と脚で縦横無尽に動き、隙をみて拷問具による斬擊や魔銃による攻撃を重ねます

この世界に平和が訪れるのなら
それはこの世界の住人の手で始めなければいけない
だからボクたちはその手伝いをするだけです

アドリブ歓迎


毒島・火煉
【共闘歓迎】
戦争だって!楽しくなってきちゃうけど、とりあえずはぶっ殺そう!
「量産型如きにカレンちゃんがやられると思わないでよね!」
タガーと鋼糸【アカイイト】で【早業】【騙し討ち】付けて切り刻むよ!
コアマシンを守らなきゃいけないわけだし、【生命力吸収】で適度に相手を鈍らせながら攻撃しなきゃね。あ、よくよく見ると関節部分にネジがあるし、アレを【盗み攻撃】【第六感】【鎧砕き】とかして腕や脚を使い物にならなくすれば攻撃を阻害できるよね!
獣の雄叫びが来るなら【見切り】で素早く後ろに後退して範囲の外に出ようかな。仮に受けちゃったとしてもカレンちゃんの行動は他のみんなへの【時間稼ぎ】になる筈だもんね!



「奴を止めろ! なんとしてもコアマシンを守れ!」
 通路に響く怒号と、レーザーの短い発射音。既に多くの負傷者を出しながらそれでも船員達はどうにか『アレ』の進行を抑えようとしていた。だが、それも限界だ。
 通路の奥から現れる、一見女性にも見えるシルエット。近づくにつれ明瞭になるその輪郭は、怪物のような腕、機械的な尾、そして獰猛な獣よろしく低い唸り声と殺気を放ちながら、命令に従いコアマシンへと歩いてくる。船員たちの抵抗による負傷や疲労など微塵もない。
 突如、鼓膜を引き裂く咆哮が轟く。地面や天井を引き裂くほどの破壊力を持った、最早衝撃波と言って偽りないそれが、コアマシンを護る最後の砦の目の前まで迫ってきていた。船員たちは、覚悟を決めた―――ここまでか、と。

『記憶に無く魂に刻まれたボクの歌。響け、深淵から産まれる私の言霊』
 しかし、その暴力的な絶叫が、命までもを破壊することはなかった。船員たちを護のはどこからともなく聞こえる、魂から湧き上がるような、温かくも力強い、歌。
 船員たちが振り返った先には、一人の少女がいる。白と黒、色の異なる翼。黒猫の仮面、そして、その手にしたロベリアの花。
 アウレリア・ウィスタリア(瑠璃蝶々・f00068)の歌は、猟兵の救援の到着を、猟兵に、そして敵に伝えた。

 目の前に現れた脅威に、兵器……マンティコアは怒り狂う。邪魔をするな、とでも言いたいのか。鏖殺を妨害したアウレリアに向け、突進しようと、その足が一歩踏み出した……ところで。
 マンティコアの【背後】から、十字の斬撃がその身を切り裂いた。
 自分の行いを次々に遮られ、怒りで整った顔を般若の如き怒りに染め上げ振り返ったマンティコア。その先にいたのは、対照的に狂喜の笑みを浮かべた猟兵。
 鮮血滴るダガーと、元の塗装以上に生々しい赤で染まった鋼糸を手にし、毒島・火煉(アナタも愛しい恋人に・f04177)は挑発的に舌を出した。

「すげえ……」
 目の前で繰り広げられる次元の違う戦いに呆然とする船員達。そして、そんな船員達と並びながら、彼らの負傷を回復『したり』するため、自身のユーベルコードで霊薬を作っていたヴィサラ・ヴァイン(人見知りなゴルゴン少女・f00702)は、帽子に隠れ切れていない蛇を撫でながら、火煉とマンティコアの戦いに目を向ける。しかし無意識に目で追うのは、どちらかといえば敵である人造生命体の方であった。
(マンティコア……伝説上の怪物の名前ですね、ちょっと親近感が湧きます……)
 しかし、攻撃が交差した瞬間の激しい金属音にはっとし、すぐに作業に戻る。そんなことを言っている場合ではない、と。

 一方、未だ大立ち回りを繰り広げている火煉は、スピードを生かした戦法でマンティコアを翻弄していた。
「量産型如きにカレンちゃんがやられると思わないでよね!」
 言葉が届くかわからないが、それでも余裕を見せるような言動で、できるだけ注意を引き付ける。仲間たちの時間を作り、必ずこの任務を成功させるために。
 彼女の機敏な動きをとらえきれず苛立つマンティコアは、大きく息を吸い込み、【獣の雄叫び】を放った。だがそれさえも、一度見た火煉を捉える事はかなわない。
(ーーーそうだ、あれを狙えば……!)
 回避の最中、火煉はマンティコアの関節部にあるネジを見つける。あれを攻撃すれば、動きが鈍るかもしれない。
 咆哮が途切れたその瞬間、彼女はユーベルコードを発動する。
『誰よりも早く…届け、カレンちゃんの愛!』
 加速した一撃は神速に等しく、攻撃をすり抜け、関節を、狙う―――!
 が。

「……ッ」
 がくん、と急に彼女の身体は失速し、力を失う。その眼前では、マンティコアがゆらりと『尾』を揺らしていた。
 命中力の高い毒針。ここまで舞い続けた火煉が、ついに、地に伏す。勝利を確信し、怒りの相が途端に邪悪な笑みへと変わり。マンティコアは、爪を振り翳す。目を背ける火煉。
「……捕らえました」
 だが、火煉と、そしてマンティコアに降り注いだのは、そんな冷たい声だった。
 振り上げたまま動かすことのできない腕。凶悪な殺意を宿したその腕を繋ぐは枷。その枷を持つ主は、そう、アウレリア・ウィスタリアだ。
 歌声による咆哮の相殺を終えたアウレリアは最初船員たちを守るために背後に控えていた。だが同胞の窮地を傍観する彼女ではない。
 閉所では、オラトリオが自在に飛行することは難しい。だが、それでも彼女は、速い。
 魔銃、短剣、拷問具。火煉から注意を引き離し、手を変え品を変え攻撃を重ねていく。マンティコアは双爪から放たれる真空の斬撃で、天井や壁を使い動く天使を討ち堕とそうとするも、彼女の聴覚は僅かな空気の振動さえも逃さない。

「だ、大丈夫ですか!?」
「ごっめーん、ドジっちゃった……」
 間隙を見計らい、味方を救出したヴィサラ・ヴァインは、準備してあった薬で彼女の傷を癒す。彼女の体内に流れる血より精製された霊薬は、マンティコアの毒を完全に消し去る。それはすなわち、彼女の血にあるモノが、マンティコアのそれを上回ったことの証明でもあった。
 味方を治すことができた安堵と、あの異形よりも強い力を持つという自分の体になんとも言えない気持ちを抱いていると。
「っ、いけないっ!」
 背後から聞こえるアウレリアの声。その中に籠った心は焦り。
 攪乱を優先し立ちまわっていたアウレリアだったが、距離を離したと同時にマンティコアは彼女と逆の方へと反転、その先には、コアマシンと船員、そして負傷した火煉と、ここまで戦闘に参加していないヴィサラ。
 急ぎ迎撃する船員だが、効果はない。立ち上がろうとする火煉も、未だ疲労が抜けきっていない。このままでは。
 伸びる毒の尾。その先に躍り出たのは、ヴィサラ。そして……。

 どしゅ、と。肉が貫かれる耳障りな音と、吹き出す鮮血。彼女の帽子が、ぱさりと、地面に落ちた。

 沈黙が、場を支配する。しかし、それを破ったのは。
「なんだ、こんなものなんですね」
 他でもない、ヴィサラだった。
 血を吐きながら絶命しない相手に困惑するマンティコア。しかし本能で動く獣は、死んでいないなら殺せばいいという解答を導き、さらに深く尾を差し込もうとする。
 ―――だが、できない。体が震える、全身に広がる違和感。脳が揺れ、心拍が早まり、視界が明滅する。
「怪物を傷付けた怪物は、果たしてどうなるんでしょうか……」
 ヴィサラはマンティコアの情報を見た時から、ずっと考えていた。そしてその答えは今目の前にある。
 怪物を傷付けた怪物は、怪物の血によって殺される。怪物と怪物がぶつかった時、より『怪物』であるほうが、勝利する。
 帽子の下に隠された毒蛇がさらりと溢れ、マンティコアを凝視する。威圧であり、警告であり―――獲物を捉えた、視線だった。

 マンティコアは、恐れ逃亡する。命令にあったコアマシン破壊など何処へやら、目の前の恐怖に耐えきれず、しっぽを巻いて逃亡したのである。
 力の抜けたヴィサラは膝から崩落ちるが、それをアウレリアと火煉が受け止める。
 逃げられてしまったのだろうか、と船員たちは不安げだが、三人は知っている。他の仲間たちが、まだ船内にいることを。
 そして―――その仲間たちならば、決して敵を逃がすはずがない事を。
 最大の窮地を救った三人は互いの健闘を称えあうと共に、疲れ果て座り込むのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ナハト・ダァト
こういった地形は相性がいイ

【六ノ叡智・美麗】
人々の希望、確かに受け取ったヨ

バウンドボディ、武器改造
伸縮性を上げテ体から触手を生み出すヨ

ブラッドガイスト、一ノ叡智・王冠
触手の攻撃力を上げるヨ

三ノ叡智で動きを予測医術の世界知識ガ
異様な体であってモ、骨格の可動域を見極めるだろウ
ニノ叡智は相殺
無用な破壊ハ宇宙船へのダメージになるからネ

急所を見つけたラ、鎧無視攻撃を重ねタ傷口をえぐる攻撃ダ
弱点属性も触手にのせておこう
生物なら火…マシーンであれバ、融合した部位に赤外線を当てテ組織の崩壊ダ、電撃や氷で鈍らせるのもいいネ
牽制にハだまし討ちによる目潰しや残像が役立つだろウ
早業があれバ、いずれも容易い事サ


長坂・リン
POW

人造生命体、ね。
見かけだけじゃないんだろうし、どのくらい強いのか楽しみだよ。

ユーベルコードの橄欖魔弾は攻撃力重視で敵に撃ち込むよ。
技能のスナイパーで、狙いは敵の眉間。
当てにくかったり効果が薄いようなら、首や心臓とか、人間なら急所の部位を狙ってみて弱点を探りたいな。
あたしの射撃が有効でなくても、味方の攻撃に合わせて援護射撃して一気に叩きたいね。
敵がこっちに近接してくるなら、技能のクイックドロウと零距離射撃で迎撃。

共闘してくれる人達と連携して、こっちの被害が増える前に仕留めたいね。


アリス・フェアリィハート
アドリブや他の方との絡みも歓迎です

マンティコアさんの破壊活動は…帝国さんの企みは…何としても防がなきゃ…私達を送り出して下さったミディアさん達の為にも…

味方の猟兵さん達と連携して
マンティコアさんと戦闘

『マンティコアさん…戦いや殺戮する事しか知らない方々――せめて…私達の手で…』

マンティコアさんに対する
決意が揺らぎそうになるのを
奮い立たせて戦います

自身の剣
『ヴォーパルソード』を
使った剣技等を駆使して戦闘
マンティコアさんの
真空波には
ヴォーパルソードから
【技能】の『衝撃波』を放ち
攻撃します

また
負傷した味方の猟兵さんは
シンフォニック・キュアで
回復

『マンティコアさんの猛毒が回らない内に…回復を…!』


小夜時雨・優治
宇宙船の地図は、あらかじめ確認しておく。

相手は逃げる気満々。他の猟兵なら勝てるかもと向かってくるかもしれないが、そのまま逃げてしまう可能性もあるよね。
オレは彼女を見つけたら、『影の追跡者の召喚』で【影の追跡者(シャドウチェイサー)】をくっつける。
これなら何処へ行っても場所は分かるし、トドメは仲間に任せるよ。

「おおっと、暴力はんたーい」


ロクガツ・クロッカス
帝国を追い詰める日が来るなんて!
ほんとなら小躍りして喜びたいくらい!
でも、今はお仕事だから…容赦しないよ

【SPD】
潰走するマンティコアに、天井から降りかかるようにしてアンブッシュ
初撃は脚か顔を狙って動きを止めたい

そうしたら、せっかくだから古式ゆかしく挨拶をしてから戦おうか
「こんにちは、帝国のマンティコアさん。今からあなたを殺すから」
直後に【六月の悪魔】を発動
姿は変わらないけど、殺気に満ちた雰囲気になるよ
こうなったら考えるのは敵を効率よく殺すことだけ

右手には愛用の光線銃、左手には本来なら両手と地面で支えて使う対物狙撃銃
取り回しやすい光線銃を打ち込みつつ、最後には対物狙撃銃の零距離射撃をぶちこむよ



●追う者、逃げるモノ

 マンティコアは重い身体を引き摺り、彷徨っていた。目的だったコアマシンの破壊は達成できなかったどころか、猟兵の出現により甚大なダメージを受けた。兵器として最低限の命令を実行する機構は備わっているが、大元は動物のそれ。自身の生命活動に支障が出ないよう、受けた傷を治すため身を隠そうと考えていた。
 だが、その行為が実を結ぶことはない。

 突如横合いから飛来する攻撃に、咄嗟に顔を庇うマンティコア。飛来する亜音速の攻撃に咄嗟に反応できたのは、警戒心が高まっていたせいか、それとも窮地によって感覚が鋭敏になっていたせいか。
 その不意打ちの先を睨むマンティコア。視線の先に立っていたのは、高等学校の夏服に似た格好をした、一人の少女。距離が離れているがゆえに遅れて聞こえる薬莢が地面に弾かれた音は、攻撃の主であることを明白に物語っていた。
「ふうん、やっぱり見掛け倒しじゃなさそうだね」
 長坂・リン(涼風猟兵・f12981)は、自身の攻撃の効き目を確認するようにマンティコアに注視しながら、再び銃を構えた。
 通路は一直線、逃げ隠れ等できない。マンティコアは怒りの雄叫びを上げ、両腕を広げながらリンへ向かい突進する。走りながら爪撃の真空刃を放ち、飛び道具には遠距離にも届く技で返す。
 だが、リンは冷静だった。危険であると思えば回避に専念し無理には撃たない。さらに相手が攻撃を嫌い迎撃のように技を放つのを瞬時に見抜き、人体で急所に相当する首、眉間、関節、心臓等を順番に狙うことで次に放たれる不可視の刃を誘導する。
 ―――しかし、ここまでの戦闘で痛みに慣れたマンティコアは、銃撃では止まらない。攻撃に偏重させたユーベルコードの弾丸だとはいえ、これまで光線銃、系統は違うが猟兵の弾丸と、度重なる弾幕に身を晒したマンティコアは、無意識のうちに急所から狙いを外す術を身に着けていたのである。
 そうこうしているうちに距離は縮まり、あと一息でリンはマンティコアの攻撃の射程範囲内に入る。拳銃以外の武器を持たない彼女にとって超至近距離での長期戦は些か分が悪い。
 マンティコアは跳躍する。爪を輝かせ、その目を爛々と殺意と獲物を仕留めたという確信に満たして。

 先程も言った通り、リンは超至近距離での戦闘は分が悪い。
 しかしそれは、あくまで『長期戦であれば』、の話だ。
「―――今ですね」
「宜しく、『アリス』」
 身を屈めたリンの背後から飛び出す小さな影。同時に煌めく一振りの刃と、どう逃れても狙いをずらしようのない至近距離からの光弾が、飛び掛かった体に叩き込まれる。前進のベクトルに大きくなったマンティコアの移動エネルギーは『二人分の攻撃』という予想外の衝撃によって相殺され、猛烈なGに見舞われながら逆転し後ろへと吹き飛ぶ。
 何が起きたのか理解できずにふらふらと立ち上がるマンティコアの前に仁王立ちするのは、人形のように美麗、しかし花のように可憐な青いエプロンドレスの少女。しかしその手には、返り血を纏うた剣が握られている。
 アリス・フェアリィハート(猟兵の国のアリス・f01939)は、スカートの端をつまんで優雅に一礼した。

 最初から、二人は計算ずくであった。接近してきたマンティコアにリンがダメージを累積させる。その後接近してきたと同時に、背後に控えていたアリスと連携し至近距離から連携攻撃を放つ。
「だけど仕留めきれないのは予想外だったな」
「哀しいですが、これ以上の犠牲を出させないためにも、せめて私達の手で」
 素早く次の弾倉を装填するリンと、迷いを払うように剣を向けながらも、少し寂しそうなアリス。敵の動揺が冷めやらぬうちに、二人はそのまま追撃を開始する。
 踊るように切り刻むアリスの剣舞に合わせて放たれる、正確無比なリンの早撃ち。防戦一方のまま次々に傷を増やすマンティコアは、最後には打開を諦め脱兎の如く逃げ出した。
 兎を追うのはアリスの常であるのだが、しかし今回に限って二人は逃げるマンティコアを深追いすることはなかった。どこかへ連絡を取ると、連携の事について打ち合わせながら敵の逃げた咆哮とは逆へ走り出す。
 彼女たちの意図はなんなのか、どこへ向かうのか。それを知るものは、今はいない。

 所変わってマンティコア。次から次へ襲い来る敵に動揺しながら、傷を庇い、そしてまた新たな敵の来襲に常に警戒せざるを得ない。神話の怪物の名を冠し、敵を蹂躙する生体兵器としての姿は最早見る影もない。
 ―――そして、次なる追跡者は、既に天井に潜んでいた。
 安全を確認し、先へ進もうと足を踏み出したマンティコア。しかし、一歩を動かそうとした足に走る激痛。思わずつんのめり、無様に床を這う。
 なんだ、どこから。それを思考するより先に、彼女の背後には一人の猟兵が立っていた。
「どうも、帝国のマンティコアさん。ロクガツ・クロッカスです」
 手を合わせお辞儀をする、ロクガツ・クロッカス(スペースベトコン・f06933)。理性のない兵器に対する礼儀としては非常に過度なものであると感じるかもしれないが、彼女が知る古式の決闘において、非常に重要かつ奥ゆかしい戦いの作法であるのだ。
 だが、対するマンティコアはアンブッシュの衝撃から未だ立ち上がれずにいる。だが獣にこの奥ゆかしいアイサツを返す事などできない。それを解してるがゆえに、返答を待たずロクガツは武器を構えた。
「あなたを殺します」
 突如噴き上がる殺意の波動、ユーベルコードが発動し、テロを防ぐため現れた猟兵から、殺戮マシーンへと変貌する!その一変した空気に、思わずマンティコアは身を震わせた。これがサンシタであったならば、今の一瞬で失禁していただろう。
 漸くアイサツを行った相手が敵であると認識し、背後の相手へ向き直らなくては、などと悠長な判断を行っているマンティコアは実際ウカツであった。0.2秒の後、ロクガツは愛用の光線銃を手に、すぐさま攻撃を開始する。イクサにおいては、一瞬の判断が命取りとなるのだ。
 「イヤーッ!」ロクガツの光線銃がマンティコアに向けて連射される!「グガーッ!」絶え間なく突き刺さるレーザーに、悲鳴を上げるマンティコア。沢山撃つと実際当たりやすいとはよく聞くコトワザだが、しかし殺意の枷を解き放ち通常以上にニューロンを加速させているロクガツのワザマエは、手負いのマンティコアに全てのレーザーを当てる事など容易い。
 翻弄され続けるマンティコア。そして、防御の姿勢がブレたその瞬間であった。ロクガツは左手に携えた重量のある対物狙撃中で、長槍めいて刺突! 直後トリガーを引き、零距離からの射撃を行ったのだ!
 ゴウランガ! まさにそれは、狂気的な殺意と機械的な合理性が入り混じる、残酷にして獰猛な必殺の一撃であった!
 この攻撃の後、ロクガツは踵を返し立ち去る。間違いなく敵を殺害したという確信によるものだろうか、次の瞬間には煙のようにその姿は消えていた。

 マンティコアが行動を再開したのは数分後になってからであった。一時的な強制スリープモード。機械として備わった防御機構が発動し、自己再生を行うため意識を失っていたのだ。
 だがそれも完璧なものとは程遠い。体に回っていた毒に度重なる負傷。辛うじて継戦が可能になるまでに傷を治したものの、これ以上の治癒は不可能。
 重い足どりで、マンティコアは多目的ホールへと向かう。事前の情報として記憶力した地図によれば、そこは広く円形で、機動力のある相手を引き寄せ咆哮で一網打尽にすることができると考えたのだ。
 これまでの戦いで、マンティコアは確かに学習している。だが、何れもただ破壊を解答に据えている以上、彼女にはもう未来はない。
「おや、随分疲れているようダ。みんなが頑張ってくれていたようだネ」
 猟兵は、決して敵を逃がしはしないのだから。
 語尾に独特の響きを持つその人物は、長いローブに身を包み、だがその衣装の中は黒々とした闇を固めたような人型。人間とは一線を画すその正体は、聖なる光を孕んだブラックタール、ナハト・ダァト(聖泥・f01760)。
 ここまで相対してきた中で最も頼りの無い容姿に、今度こそ勝利を確信するマンティコア。だが、その直感は大いなる間違いだった。
 真空刃を放つべく、爪を振り翳したのと同時に、ナハトの身体から飛び出す触手がその腕を絡め取る。同時に、引き絞るように締め上げられ咄嗟に体が硬直するマンティコアを、伸縮する触手が軽々と持ち上げ投げ飛ばす。
 床を転がされたマンティコアは、しかし不格好ながら受け身を取り四つん這いになると尾から毒針を連続で発射。命中力の高く遠距離から放たれる攻撃、しかも掠っただけでさえその毒が体を蝕む。
「やはり単純だネ」
 しかし、飛来し殺到する針の連射は触手を薙いだ空間から放たれる、同じく白く輝く光の針が一つ残らず相殺する。なぜ、その疑問を頭の中に浮かべた時点で、マンティコアの胴を払うように太い触手が殴打した―――未だナハトは、最初に居た位置から微動だにしないままに。
 これまで相手にしてきたどれとも違う異質さ。攻撃を仕掛けてくるのではなく、自分が起こす全ての行動を見透かされるような錯覚。いやむしろ、自分が動けば動くたび、それを逆手に窮地へと追いやられていく。宛ら、底なし沼に囚われた様に。
 細身の黒い人影は、今や底知れぬ深淵からそのまま姿を顕したような巨大な姿のように感じられるまでに、マンティコアは追い詰められる。しかし彼女もまた、ここまで幾つもの死地を経験していた。
 ちらりと時刻を確認するためか懐を見たその僅かなタイミング。前進を丸め、足だけではなく、腕、尾、全ての発条をを使って、ナハトへ突っ込むマンティコア。
 動きこそ予感していたものの、しかし不意を打たれ思わず身を躱すナハト。だがすぐに触手を伸ばしてその身を捕らえようとする。―――だが背を向けられたことでナハトは気付けない。その息を吸い、じっと溜めていたことを。
 振り向きざま、見えたのはマンティコアの赫々とした口内だった。
「くッ!?」
 これから共に戦う者の船、その施設に必要以上の被害があってはいけない。ナハトはその思いから攻撃を相殺するよう立ちまわっていたが、一番の懸念は、周囲を無差別に破壊するその咆哮。咄嗟に動きを止め、右手を掲げる。
『IH』
 口の中で素早く唱える祝詞。破壊する衝撃を包み込む、守護の聖光。互いに相反する二つがぶつかり合い、打ち消しあう―――。
 被害は最小限に抑えられた。しかし、マンティコアの姿はもう見えない。しかしナハトに焦る様子はない。
「『彼』の言ったとおりになりそうだネ。私も急ぐとしようカ……」

 ――マンティコアは、願い通りに多目的ホールへと辿り着く。しかし、そこには既に先客がいた。
「わお、予想以上に早かったな!」
 サングラスを外し、実に気さくな笑みを浮かべる偉丈夫。携帯端末をポケットにしまって、突然に現れた異形の来客にも全く動揺を見せない。
 丸腰のまま、小夜時雨・優治(雄黄・f02250)はマンティコアへと近付いた。
「いやー上手くハマってくれて助かったよ。流石はオレってとこかな」
 そう。マンティコアがここに来たのは偶然ではない。全てこの男、小夜時雨が描いた図案通りだった。
 コアマシン防衛を果たした猟兵達から逃げてきたマンティコアを最初に見つけたのは、他でもない小夜時雨だった。彼は自身のユーベルコードによって彼女の動き、場所を把握し続けていたのだ。彼は予め頭に入れていたこの宇宙船の地図を元に、他の猟兵たちに指示を出し、この場所まで誘導していたのだ。さながら、司令塔のように。
 だが、そんな事を説明したところで、マンティコアには理解できようはずもない。それに彼がどのような役割を果たしていたのだろうと、最早関係ない。ただ目の前の、狩れる獲物を狩るだけ。今の彼女には、それだけしか考えられない。
「おおっと、暴力はんたーい」
 飄々と茶化すようにバックステップで逃げる小夜時雨、食いちぎるか、尾で薙ぎ払うか、それとも爪で引き裂くか。戦う姿勢ではない彼を殺すことなど、いかに手負いといえども、兵器であるマンティコアには容易い、はずだった。
「またお会いしましたね」
「もうアイサツはいらないでしょ?」
 聞き覚えのある声が、耳に入ったと同時。直後交差する光線と剣閃。ロクガツ・クロッカスと、アリス・フェアリィハートもまた、この場所で既に待機していた。
 不意打ちによろめくマンティコアを更に襲う黄緑色の弾丸。
「強いかと思ったらしぶといだけだね、期待外れだなぁ」
 つまらなさそうに不平を口にしながら、しかし一切構えを解かず狙いもぶらさないのは、長坂・リン。そして、最後にはマンティコアの入ってきたのと同じ通路から、ナハト・ダァトも現れる。
 役者は総て揃った。マンティコアが選んだ反撃の砦だったはずの場所は、実際は猟兵たちの作り上げた袋小路であったのだ。

『IHVH ALVH VDOTh』
 ナハトの祝詞が木霊する。宵闇を切り取った暗黒の身体から放たれる聖者の輝き、伝播するは『希望』。この船を、そしていずれはこの銀河、この宇宙を救う一本の矢となるであろうこの戦いに、口にせずとも心の底にあるそれを喚起する。そしてそれは、この場に集まった猟兵たちが持っていないはずがない。
『狙った獲物は逃さない、かもね』
『異名の所以、見せてやる』
『――是は…不思議の国の不思議な戦い――』
 呼応するように、自らの全力を放つべく、各々が力を籠める。せめてもの抵抗に、マンティコアは破れかぶれに爪を振り回した。乱れ飛ぶ真空の刃。だが、それが猟兵たちを捉えることは、ない。
「『橄欖魔弾(フォルステライト)』!」
「『六月の悪魔(ロクガツノアクマ)』ァ!」
「受けて下さい、ヴォーパルの剣閃!『アリスセイバー・ヴォーパルソード』!」
 アリスの剣が、ロクガツとリンの銃が。輝きを帯び、そして放たれる。迫る爪撃も、咆哮をも消し飛ばし、強化された奥義が、減衰されることなく、マンティコアへと炸裂する。そして―――。

 轟音と共にホールの天井を突き破って消えたマンティコアを見、ナハトと小夜時雨は語らう。
「私の見立てだと、まだ倒れてはくれていないようだヨ」
「まあ、そう簡単にはいきませんでしょ。でも」
 大丈夫だろう、と小夜時雨は笑う。―――彼が舞台を整えたのは、別にこの場所に限ってではない。
 後を託すように天を仰ぐ猟兵達。マンティコア討伐は、最終局面を迎えようとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ナンシー・アラタメ
話は分かった。こいつをぶっ潰せばいいんだな!
こいつの名前は……ええい知らん! 殴れば死ぬだろう!
一発で死ななければ二発、二発で足りなきゃ十発殴る!

……というのは、あくまで建前だ。
この映像を解放軍に生中継してばらまくぞ。
存在感を発揮して時間を稼ぐのだ!
俺がこいつとぼこぼこに殴り合っている間、次々と愛するイェーガーたちが集まってくる。
お前――そう、マンティコア。お前は数の暴力によって朽ち果てろ!
だが心配するな。お前のことは私が覚えて置いてやる。
愛してるぜマンティコア! 幸福に死ね!


竹城・落葉
 あれが、人造生命体マンティコアか。我も戦闘時は冷酷に得物を振るうが、こうして見ると、中々に凶悪だな。では、奴を仕留めるとしよう。いざ、尋常に参る!
 我は名物竹城を手に、『支柱一閃』を用いて奴を斬り伏せる。戦闘中は冷酷な雰囲気を醸し出し、無表情で攻撃を仕掛けるぞ。また、奴の獣の如く破壊していく様子を見るに、攻撃が一度でも当たれば大怪我は免れないだろうな。ならば、此方も全力を尽くして対峙するとしよう。【フェイント】と【早業】を使って隙を突いて素早く攻撃、更に【2回攻撃】でトドメを刺せるか試みるぞ。
 我は元武将、この攻撃を受けて見よ!


ユーリ・ヴォルフ
これ程人間らしい姿をしているというのに、兵器だというのか。
まったく世界の技術は凄いものだ。
姿がどうであれ、壊してしまえば良いのだろう?
テロを実行させてなるものか!

ミディア様をお守りする形で前に出て、盾となろう
範囲攻撃の間合いを確認し遠方から
【ドラゴニアン・チェイン】を放ち拘束する
これ以上進ませはしない!

間合いを詰められそうであれば此方から駆け寄り先手を狙う
十分に狙いを定め【ドラゴニック・エンド】を放つ
【属性攻撃】でドラゴンに炎の力も乗せていく
燃やし尽くせ!

アドリブ共闘大歓迎です


カノ・エクセクオール
この様な事態にならなければきっと、ご縁の無かった世界ね
(周囲を監視しながら新鮮な空気感に視線巡らせて)
…あら。此方では、あんな面積の少ない服が流行りなのかしら
機能性があるような、ないような…まあいいわ。お仕事としましょう

◆戦闘
早業、2回攻撃を駆使してSPD重視で動くわ
紫炎の蝶泳がせ陽動し、糸で縛って
出来る限り周囲に被害が出ない様にしたい所

攻撃には見切りや紫炎で作った残像で目眩まし
避けきれない時は炎重ねたオーラで出来る限り衝撃を緩和させる

まぁ、大きなお口ね…ちょっと黙っていただける?
糸で動きを封じるか…口に火でも放り込めば止まるかしら

猟兵さん方とも協力して連撃かけて
隙あらばナイフで傷口を攻める


バジル・サラザール
まだ戦いは始まったばかり、絶対に逃がすものですか。

毒を盛って、毒で制す。こちらも「毒使い」として、主に「バジリスク・ブラッド」で強化したポーションで攻撃しましょう。
弱ってそうな敵を優先、各個撃破を狙うわ。
敵の攻撃は、「野生の勘」も使いつつ、回避や防御をしていくわ。
かなり余裕があればだけど、敵を一箇所に集めて、同士討ちを狙ってみようかしら。
もちろんほかの人との連携もしっかりとね。

まだ戦いは始まったばかりだけど、ひとまずみんなお疲れ様。



●抗う者達へ

 猟兵達の策略により、飛行甲板にまで吹き飛ばされたマンティコア。天面は透明な素材で、宇宙の漆黒に煌めく星が瞬く。
 とはいえ獣である彼女にそれを美しく思う事もない、改心する心さえないのだから。だが、一つの決心は固まっていた。
 ―――コアマシンを破壊する。そればかりに拘っていた。しかしもっと効率的な方法が存在するではないか。そう、我が身を犠牲に船ごと落とすという方法が。
 元から彼女は使い捨ての量産兵器。ただ人造とはいえ生物の本能が、自身の生存の為にそれを避けていた。だが繰り返される窮地と損傷が彼女のそれを麻痺させ、機械化した兵器としての任務に最適な解のみを求め始めたのである。

 今まで以上に膨大な力を膨れ上がらせるマンティコア。だが、それを見過ごす猟兵ではない。最後に待ち構えていたのも、また猟兵であった。
「この様な事態にならなければきっと、ご縁の無かった世界ね」
 のんびりと周囲を見回しながら、カノ・エクセクオール(灰かぶり・f03309)は呟く。マイペースと言えば聞こえはいいが、この状況では少しばかり気が抜けすぎているとも言える。だが、決して私的な物思いに耽って本来の目的を忘れる程ではない。ゆらり、薫る紫煙のように陰から現れたその手には、瀟洒な装飾と錆赤のアクセントをあしらうナイフが握られている。
「逃がすつもりはない、というのは貴方にも伝わったかしら?」
 続いて現れるのは、白衣を纏うた半身半蛇の女性。到底戦闘向きではなさそうでありながら、その手の中で揺れるフラスコの中身は、臭いも全く分からないがその色味だけでさえ危険だと直感できるような代物。当然だろう、これはバジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)謹製の猛毒なのだから。
 互いに睨みあう二人と一体。そして、先に動いたのはマンティコアだった。素早く足を狙って放たれた毒針が二人に迫る―――だが二人は何の躊躇いもなくその針に向かって突っ込んでくるではないか。必然、猛毒の針は二人を捉え……ない。
 まるで透明にでもなったように針は二人の体をすり抜けて、硬い地面の特殊金属に打ち付けられ乾いた音を立てる。
「―――どこを向いていらっしゃるのかしら」
 聞こえた声は、背後。気付いた時には、目の前から接近してきた筈の二人は霞の様に掻き消え、代わりに、マンティコアの背後から迫る二つの気配があった。
『――ねぇ。わたくしも、構ってくださいな?』
 視界を惑わす淡紫蝶の火舞、その応用。炎によって生まれた幻惑。獣としての側面が強かったならば、その気配で、雰囲気で、野生の勘で振り払ったことだろう。だが、そのどれもを、兵器である彼女は捨て去っていた。
 機械的に、聴覚から入った情報を元に自身の背後を攻撃するマンティコア。だが即座に全身を縛り上げる、パンジャから放たれた濃紫色の糸。ならばと口を開き咆哮のために口を開けば、そこへ飛び込んでくるのは、薬瓶。
 なんとあっけない。これ程までに容易いものか。バジルの作り出した毒へ、更に重ね掛けされたユーベルコード。強化を超え凶化されたその毒が、そう遅くなくマンティコアの身体を蝕み内から斃す事だろう。
「あっけないね、観察にもならないわ」
 歯応えの無さに嘆息するバジル。猛毒の生物と科学の融合体と聞きよいサンプルになるかと心のどこかで期待していた節もないではないのだろうか。しかし、それもこの結果を見れば価値がない事も分かりきったことだろう。どちらにせよこのまま拘束を続けていれば、猟兵たちの勝利は確定する―――はずだった。

 それを最初に感じ取ったのはバジルだった。
「ッ、いけない離れて!」
 カノへ呼び掛け距離を取る。―――拘束されたはずのマンティコアの目に光が戻り、全身を締め上げる鋼糸に引けを取らない拘束力を持つそれを、無理矢理に、自分の体を削り取って逃れる。最後には、自分の毒の尾を引き千切り、拘束から抜け出し見せたのだ。目は充血し、呼吸は荒く、明らかに毒が体を蝕んでいた。
 しかし拘束から抜け出すや否や猛攻を開始するマンティコア。火事場の馬鹿力とでもいうのか、追い詰められた獣の最期の抵抗とでもいえばいいのか、技の冴えはともかくとして、その破壊力は衰えないどころか増す一方。
 動物の勘を駆使しなんとか距離を取ることで回避に全力を注ぐバジルと、早業と見切りで回避しながら積極的に傷を深めんと追撃するカノ。だが、それはマンティコアを抑制する行動にはなりえなかった。
 二人は壁際まで追いつめられる。血眼で眼前の敵を殺そうとするマンティコアの攻撃が、肉を抉り血を噴き出させんと迫る。

 だが、それを防ぐのは、炎。
 それはカノの繰る紫炎のオーラではない。もし彼女がそれを放っていたとしても、どちらか一方は深い手傷を負っていたはず。それほどまでにマンティコアの気迫は猛々しく、死に体では考えられないほど力強いもの。
「ご無事か!?」
 勇ましき紅蓮の炎を纏い、龍の双翼を背に持つ青年ユーリ・ヴォルフ(叛逆の炎・f07045)。意図した結果ではないにしろ、守護者としての彼が最も力を発揮する状況。彼は奮起する。
「これ以上―――進ませはしない!」
 手にした槍より迸る龍の覇気、ドラゴンオーラは鎖を模りマンティコアの足を捕らえた。だが、それは決して動きを止めるためではない。自身と繋がれたその鎖を掴んで、背後に庇った二人から引き剥がすべく地を蹴る。身体に流れるドラゴンの力を開放し羽搏けば、異形の兵器といえど持ち上げることは難しい事ではない。
 マンティコアの姿を見たとき、ユーリは驚きを禁じ得なかった。あれ程人らしい姿を持ちながら、それは兵器だという。自分の知らぬ世界の持つ技術に感嘆した。だがいざこうして相対してみれば、如何に仰々しい肩書を持っていようと、ただの狂った獣であり、そして命を奪う兵器に過ぎない。
 ならば、壊してしまえばいいのだろう?
 翼を持たぬけだものは、宙に浮いてももがく事しかできない。翼を広げ睥睨するユーリの目は、偉大なる龍の眼光そのものとなる。
「焼き尽くせ、『ドラゴニック・エンド』!」
 投げ放たれた槍は吸い込まれるようにマンティコアを穿つ。痛みに叫ぶ彼女の目に焼き付いたのは、巨大なドラゴンの顎の中、紅蓮を超え更に紅く燃え上がる炎だった。
 召喚された龍のブレスにより、炎に包まれたマンティコアの身体は、微動だにしないまま落下していく。敵が墜ちる姿を見届けたユーリもゆっくりと地面へと足を付けるのだった。

 ―――マンティコアは、死を悟っていた。身体を貫く槍。全身に回る猛毒。一度は治した傷も広がり、もう修復も不可能だ。自身の武器である尾は千切れ、先程の炎で喉を焼かれて吠え声も上げられない。
 だがそれでも彼女は立ち上がる。腹を貫く槍を力任せに引き抜き、なお殺気を尖らせる。対しユーリは目を伏せ、息を吐いた。
「最後の相手は、私ではない方がいい」
 それは彼なりの気遣いだった、目の前の、哀れな兵器に対しての。その台詞を最後に彼はマンティコアから背を向け歩き出す。この勝負の舞台から降りたユーリの代役は、二人の猟兵であった。
 ユーリの西洋風の出で立ちに対し、和装を着熟す細身の女性。その手に握るは刀ではなく工具にも似た長物。元武将の猟兵、竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)。黒い瞳は無機質に、ただ敵を見やり構えを取る。
 対しもう一人は洋装。しかしどちらかといえば現代的で、引き締まりながら女性的な肉体を白いスーツで固め、スカートではなくスラックス。燃え上がるのは物質的な炎ではなく精神的な心。ナンシー・アラタメ(愛の革命家・f00736)は、拳をぶつけ、笑顔を見せた。
「よぉ! 随分とボロボロだな! 愛しい猟兵のみんなのお陰か!」
 ナンシーは笑うと明後日の方向に手を振り「愛してるぜお前ら―!」などと叫ぶ。そう、彼女はずっとこの戦いを映像として中継していた。その映像は、この船の乗組員、それに近くで待機しているミディアの船にも映し出されている。
 猟兵たちの戦いを中継することで仲間を呼ぶ、というのが当初の彼女が描いていた作戦だったのだが、今回は別の形でそれが利用された。
「ここまで追い詰められても立ち上がるその覚悟、実に見事だ。だが、ここで討たせてもらう」
 隣でだいぶフィーバーしているナンシーをよそに、竹城はあくまでも冷静だ。ここまでのマンティコアの戦いぶりを隣のナンシーの映像で見ているが故に称賛しながらも、彼女にとっては敵に他ならない。
 そして、二人の語りが終わった辺りだろうか。マンティコアが、ゆらりと前傾姿勢になる。弱って立っていられなくなったのではない、むしろ逆だ。最期の力を出し切るべく、構えたのである。
「さあ、前置きはもういいだろ。やるか!」
「いざ―――」
 そして、二人と一匹の戦いが、幕を上げた。
 最初に動いたのは竹城。感情を押し殺した表情は自分の思考を読み取らせないためか、一瞬で距離を詰めると、息を吸う。
『―――!』
 敵を斃すに気取った詞は不要とでも言うのだろうか、彼女の手にした鈍器にしか見えない長物が鋭く袈裟懸けに振り切ったと同時、命中した部分は刃物で斬られたかのような刀傷が生まれた。しかし今のマンティコアにとって傷の付き方に動揺などしない。している余裕などない。近付いてきたならば、それは攻撃が当てられるということ。それさえ理解できれば、彼女にはもう必要ない。
 繰り出される爪撃、しかしそれを竹城は紙一重で躱す。いや違う、躱したのではなくマンティコアが外したのだ。
 フェイント。踏み込みの足運びをずらす事で相手に動きを見切らせない技術、武士と言いう肩書は既に過去のものとはいえ、彼女の会得した技術までもが置き捨てられたわけではない、寧ろ一層の研鑽の果てに磨き抜かれている。
 連撃と早業に、緩慢なマンティコアはついてこれない。圧倒する竹城は、次なる一撃で決めようと、距離を離し息を整えようとした。―――だが、マンティコアもまた、ただここまで猟兵にただ殴られ続けたわけではない。
 後方へのステップ、それを狙い澄まし放たれる、最後の真空刃。空中では回避もできない事を見越しての一撃であった。最期の最期に、マンティコアもまた学習したのである。防御をしても武器にダメージが及ぶことは避けられない……。

 はずだった。真空の刃は確かに猟兵を切り裂く。だが、それは竹城ではない。
「悪いが邪魔させてもらうぞ」
 乱入したのは、ナンシーだ。マンティコアと竹城の間に割って入ると、飛来する真空刃を自らの腕で受け止めたのだ。
 驚愕に敵も味方も固まる中、一人真正面から接近し、そして、横っ面に躊躇い無く右ストレートを打ち込む。マンティコアは、ぐらりと揺れ……カウンターの右のボディーブロー。怪物の腕を持つ彼女の巨大な腕による一撃に血を吐くナンシー。だが、決して引かない。ここにきて、知略戦略を駆使し能力の応酬で続けられてきたテロ阻止とマンティコア討伐は、泥臭い殴り合いという結末を迎えようとしている。
 合流した猟兵達も、元々ここで待機し先程まで戦っていた猟兵達も、誰一人それを止めようとはしない。もう、勝敗は分かりきっているからだ。そう考えればナンシーの行動というのがどれ程までに意味がないかは明白。
 だが止めない。それは、それぞれに思う所があったからだ。
 美しい女性の姿である敵に同情したわけではない、そんなオブリビオンは珍しくもないのだから。ただ、それでも。銀河帝国に生み出され、こうして理不尽な戦いに最期まで挑まねばならない走狗として死ぬというのは、理不尽に過ぎる。そういう意味では、彼女もまた銀河帝国の被害者だ。
 だからこそ、皆が見届けられる結末を。そして、その死と勝利を、明日へつなぐ為の覚悟とするために。
「心配するな。お前のことは私が―――いや、私たちが覚えておいてやる」
 肩で息をするナンシー。一張羅は血に濡れ傷だらけになったが、その顔はどこまでも晴れやかだ。そして、目の前のマンティコアも、もう、長くはない。だが。それでも。その表情は、どこか満足気で。
「―――愛してるぜマンティコア! 幸福に死ね!」
 二人の拳が交差する、そして。
 倒れたのは、マンティコアだった。クロスカウンターになる寸前で、マンティコアはこと切れていた。突き出された拳はナンシーの目の前で止まり、そのまま拳を受けた彼女の身体は、塵の様に消えていく。
 戦いは、終わった。

 その後、艦内の無事が確認されたと同時にミディアが現れる。猟兵達に感謝の意を述べると、無事守護したコアマシンに、ユーベルコードによってワープドライブを付与する。これにより、この船とその船員達は、正式に解放軍の一因となったのだ。
 これからより厳しい戦いに向かうことになるであろう解放軍と、猟兵達。しかしそれでも、彼らが今日の戦いと、恐ろしくも儚い敵を忘れることはないだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月06日


挿絵イラスト