羅針盤戦争〜すっきゅすきゅにしてやんよ！
●電光石火の制圧劇
タコ足少女、すきゅりんはカトラスを振り上げる。
「この海域は……私が頂いたぁーっ！！」
ずおっと海が持ち上がったかのように波は大きく高くなる。
風は螺旋を描きながら、すきゅりんを中心に天空へと続く塔の如く立ち上がった。荒れ狂う波の中からは鋼鉄の鮫が引きずり出され、暴風に流されてぐるぐると洗濯機の中のように掻き回される。
纏うメガリス「電光の羽衣」からは電撃が迸る。四方八方に放たれた電撃が暴風と融合して、電撃の竜巻へと昇華した。
一つの海域がすきゅりんの手に落ちた瞬間だった。
●海域レスキュー！
「大変です！ グリードオーシャンの海に電撃の竜巻が発生しました！」
ロザリア・ムーンドロップ（薔薇十字と月夜の雫・f00270）のエマージェンシーコールがグリモアベースに届けられた。
「現在グリードオーシャンでは『羅針盤戦争』が繰り広げられていますね。私達は『七大海嘯』の本拠地を目指すべくグリードオーシャンの海を渡っていますが、その途中にある海域を『すきゅりん』というコンキスタドールが電撃の竜巻で封鎖してしまったんです！」
猟兵達の行く手を阻むコンキスタドール、すきゅりん。彼女は七大海嘯の誰かの差し金なのか、それとも愉快犯なのか。はてさて、憶測は憶測を呼ぶが、今は彼女が海域を封鎖しているという事実に着目したい。
「すきゅりんが竜巻を起こしている限り、私達はその海域を通れません。鉄甲船もぴゅーって飛ばされてしまうんです！ ですので今回の作戦は、すきゅりんを倒して竜巻を消滅させる、というものになります！」
鉄甲船が通れなければ前線への物資や戦力が不足し、七大海嘯との戦いに影響が出るかもしれない。海域を広げていくということは、それだけ決戦に向けての戦力を蓄えるということに繋がるのだ。
そのためにも、すきゅりんへの対処は怠ることなく行いたい。
「電撃の竜巻ですから、風がものすごいことになってます！ あとバチバチ電撃が走ってて、海水も煽られて現場は嵐の海のような状況ですね！ 『鋼鉄人喰ザメ』とかいうのも嵐に巻き込まれて思わぬところから襲い掛かってくるかもしれませんので、注意してください！」
竜巻と電撃とその他諸々、考えることは多そうだ。だが、それらへの対応が上手くいけば、電撃の竜巻の中心へより早く到達することができるだろう。
「なお、すきゅりんは凄い力を持っている割に、彼女自身は凄く弱いです。ユーベルコードを一発撃てば終わりますし、ただ力強く殴るとか、一発銃弾を撃ち込むとか、そういう普通の対応でも大丈夫かと思います！ すきゅりんから海域を取り戻して、戦争の勝利に繋げましょう！」
沙雪海都
沙雪海都（さゆきかいと）です。
皆様の熱意が凄い！ ありがとうございます。
●フラグメント詳細
第１章：冒険『電撃の竜巻で封鎖された海域を突破する』
タイトルの通りです。多分竜巻の影響が無いギリギリのところまでは鉄甲船で連れていってもらえるんだと思います。
襲い掛かる電撃や暴風、果ては鋼鉄人喰ザメなどという謎生物の襲撃を避けつつ、または耐えつつ、などなどの方法で竜巻を抜けて中心を目指してください。
これらへの対処があるとプレイングボーナスが付きます。
すきゅりん自体はワンパンでKOできる程度の強さですので、殴るなり蹴るなり好きな攻撃を一発ぶちかましてやってください。
●MSのキャパシティ
猟書家も別枠で運営しておりますので、少々お時間を頂くかもしれません。
合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
でも複数採用リプレイとかは気まぐれで書いたりするのでソロ希望の方は明記しておいてください。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『電撃の竜巻で封鎖された海域を突破する』
|
POW : 竜巻に巻き込まれた凶暴な「鋼鉄人食い鮫」の襲撃から身を守りつつ、すきゅりんのいる中心に向かいます
SPD : 絶え間なく発生する稲光をかわして、すきゅりんのいる中心に向かいます
WIZ : 竜巻の風に逆らわず、強風の流れを見切って、すきゅりんのいる中心に向かいます
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | ［評価なし］ |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ベルカ・スノードロップ
アドリブ◎
【瞬間思考力】で状況を判断します
『竜巻と雷の中に隠れて、しかも鮫ですか。何度だろうと……絶対に負けません！』といった
対抗心を燃やして《選択UC》発動
竜巻の風は、強風の流れを【見切り】
逆らわずに【環境耐性】で対処。
雷は【多重詠唱】で地属性魔法を展開し絶縁防御を展開して対処。
絶縁防御から漏れてきた雷は【電撃耐性】で耐え忍ぶ。
中心にいるすきゅりんの事は、装備武装のサント・クロワによる
【2回攻撃】で【吹き飛ばし】
ついでに【生命力吸収】と【吸血】で
その生命、吸い尽くします
トリテレイア・ゼロナイン
この海域は他と違って飛行に制限が掛かっていないのは幸いですね
もっとも、それで楽という訳でも無いのですが…
速やかに制圧し敵の本拠地発見の為の足掛かりとしたいものです
装着したＵＣでの最高速度を活かした●推力移動で竜巻を強引に突破します
センサーでの●情報収集と暗視、瞬間思考力で風向きや電圧、鮫の強襲を●見切り効率の良い移動をしながら落雷やサメを躱してゆきます
ＥＣＭ対策の●電撃耐性を持っているので感電の危険は少ないでしょう
前方から迫る鋼鉄鮫には照準レーザー乱れ撃ちスナイパー射撃からの重力圧壊で海面に叩き落し
すきゅりんへの道を切り拓き
…やはりこれは騎士というより機動兵器…
いえ、この世界の平穏の為です！
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
［ＳＰＤ］
竜巻＋鮫…チェーンソーはどこかしら？
それはさておき。
水の竜巻程度なら［水泳］［息止め］［水中戦］［水上歩行］［素潜り］をそろえた私は突破できそうね。
雷は［オーラ防御］［環境耐性］［電撃耐性］で耐え忍ぶ。
技能のごり押しで突破して、敵をレベル90メートル以内に収めたらユーベルコード【蒼き刃の円舞】
鮫ごと切り刻んであげるわ。
●すっきゅすきゅにしてやんよ！（来てほしいとは言ってない）
対空砲撃が如く、鉄甲船から三人の猟兵が飛び出していた。
（この海域は他と違って飛行に制限が掛かっていないのは幸いですね）
戦場によっては猟兵の飛行能力が阻害される場合もある。その点、トリテレイア・ゼロナイン（紛い物の機械騎士・f04141）が思うように、すきゅりんが支配するこの海域は自由――むしろ、飛行能力がこの戦場において求められる最たる技能、と言ってもいいくらいだ。
とは言え、眼前に迫る竜巻はやはり竜巻であり、その突破は赤子の手をひねるような簡単なものではない。
（竜巻と雷の中に隠れて、しかも鮫ですか。何度だろうと……絶対に負けません！）
不屈の闘志、対抗心を燃やすのはベルカ・スノードロップ（少女を救済せし夜の王【中将】・f10622）だ。コンキスタドールは往々にして湯水のごとくあふれ出す。すきゅりんもグリードオーシャンの海域全般に確認されており、彼のように何度でも立ち向かい続ける猟兵の存在は有難い。
「竜巻、鮫……チェーンソーはどこかしら？」
手持ちの装備にあったかどうか。ヴィオレッタ・エーデルシュタイン（幸福証明・f03706）はさわさわと体をまさぐる。竜巻の中の鮫を相手にするならチェーンソー――とはいつかどこかで見たような気がするお約束。それが現実となって目の前にあるのだ。たとえ持っていなくとも、やっておかなきゃ損というもの。
さて、三人はほぼ同時に暴風圏へと突入した。その瞬間は分厚い壁を突き抜けるようで、それぞれの体に負荷をかけるが。
ベルカは突入の前の一瞬で竜巻が作り出す風の流れを見切り、最も負荷無く流れに身を任せられる地点を選んでいた。気圧の急激な変化には自らの耐性を高めることで対応し、竜巻の中を進み始める。
トリテレイアはベルカと真逆と言えるだろうか。自身の推進力を信じて竜巻を突き破っていく。重力、慣性を制御する機構を備えた追加装備を身に付けており、視界の不足に備えて暗視能力を活用。竜巻内部の状況を入念に観察、解析していた。
竜巻内部では海水も激しく巻き上げられている。ならば水中行動に特化したヴィオレッタにはむしろ空より心地が良いか。当たりの強い水飛沫さえ足場にする気概で、水を恐れず飛び込んでいく。
三者三様の進み方だが、そのどれもが手段として良好に機能していた。ベルカは暴風の隙間を縫うように、中心へじわじわと近づいていく。トリテレイアもまた風向きを理解し、己の力に頼りながらも余分な力を使わぬよう最短より最善を選ぶ。ざっぷざっぷん、竜巻の中の高波津波を乗り越えていくヴィオレッタは水の中を移動したほうが速く進めたので、次の波はまだなの？ なんて待ち焦がれていたほどだ。
だが、中心に近づくにつれて新たな脅威が三人に襲い掛かる。走る雷。すきゅりんが持つメガリスの力が迸っていた。
「雷が来るわよ。準備は出来てるわよね？」
「当然です。敵にどのような電磁的、電子的な攻撃手段があろうと耐え凌ぐつもりですので」
「ここは遥か海の上ですが……私の魔法は大地さえ呼び起こしてみせますよ」
海水を浴びた体では雷が想像以上の威力を発揮する。故にその対策は十全に。
「ならいいのよ。さぁ……来るなら来なさい！」
バリバリと風と海を突き破って雷が飛来した。視界が一瞬真白の閃光で染まるほどだ。その強大な一撃をヴィオレッタはオーラの壁を強固にして受ける。自身の耐性も電撃に加え、雷の直撃による電場、磁場などの環境変化にも耐えられるように高めておいた。ショックの衝撃はあったが、撃ち落とされる程ではない。ぐっと奥歯を噛み締めて、ヴィオレッタは前を向く。
耐えられるとて、当たらないに越したことはない。トリテレイアは自身の耐性を保険として、雷の進路を見定めていた。得た情報を瞬時に解析し、最小の進路変更で雷の網を潜り抜ける。
ベルカの周囲には地の属性の魔法障壁が幾重にも張られていた。一枚で止められぬなら、止められるまで何枚だろうと障壁を張るのみ。究極にして絶対の絶縁防御が雷を受け止め、弾く。
雷は中央に近づくに従いなお激しく。しかし守備、回避を高めた三人は止まることなく突き進む。
そしてついに中心部が見えてくるか――いや、まだだ。不測にして最大の難敵、鋼鉄人喰ザメがいた。何しろこいつは竜巻に飛ばされているだけなので、本人さえも何が起きるかわからない。
「２時方向……流れてきますよ！」
奴は流されているだけというのに牙をガチガチと鳴らしてやって来た。ぐるーんと円運動して飛んでくる姿に気付いたトリテレイアが警告を発し、ベルカとヴィオレッタは急いで進路変更。事なきを得て、去っていくサメを見送った。
「……そろそろよ！」
雷の増長に反して、暴風は少しずつ和らいでくる。竜巻の中心地が近い。長射程を持つヴィオレッタは体勢を整えられるのを確認すると、青金剛石のチャクラムを巨大化させて頭上に掲げた。
ベルカが十字架――サント・クロワを手に竜巻を抜けてすきゅりんへの接近を試みた。しかし最後の最後で立ちはだかるのは――サメだ。こいつ一周して帰ってきやがった。
「道を拓きます！ そのまま向かってください！」
避けてダメなら撃ち落とす。トリテレイアは追加装備を纏った姿であれば発射可能なレーザーをサメ目掛けて乱れ撃つ。乱れながらも狙いは確かで、サメの口から喉を貫き、ヒレも両側ぶち抜いた。そのまま竜巻に流されぬよう重力波を放って海面へと押し付ける。
「いっそこのまま切り刻んであげるわよ」
ヴィオレッタが掲げたチャクラムに回転力を与えて思い切り放っていった。竜巻を裂くチャクラムの刃は落ちていくサメを二枚に下ろし、そのまま竜巻の中心目掛けて飛んでいく。
「海域は私のもの！ 文句ある奴はでてこー……ほんとに来たぁ！？」
まさか電撃の竜巻を乗り越えてやってくる者が居ようとは。すきゅりんは唖然としながら飛び込んでくるベルカとチャクラムを見る。
「その生命、吸い尽くします」
十字架をハンマーのように振るい、タコ足を抉るように一撃。ぶちぶちと足が千切れて海に落下していくのを見ながら、腕を返して往復殴打を叩き込んだ。
「ひぎゃっ！」
噴き出す血液は一応は人間が根源であるかのような赤色で、十字架は血と生命力を吸っていく。
そうしてタコ足を散らしながら吹き飛んでいくすきゅりんを追うチャクラムは、不揃いになった足ならいっそ、とすきゅりんのど真ん中を水平に切り裂いていった。ひらりとめくれたスカートの中は血みどろで、タコ足の塊は錨や魚雷と共に落下する。
「ああぁぁぁ……」
怒涛の連撃には最早命を繋ぐ術などない。海の藻屑と化すすきゅりんだったが、最後まで何故かカトラスは離さなかった。
海上に凪が広がっていく。着水したかどうかは定かではないが、この海域を支配していたすきゅりんは無事に討伐されたようだ。
「この海域の制圧が、敵本拠地発見の為の足掛かりとなれば良いですね」
一縷の望みを繋げていく猟兵達の前に、空と海は青く広がっていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
