羅針盤戦争〜工夫ってのはこうするんだよ!
●歌は全てを強くする
「ら~らら~ら~」
「ららら~」
「らら~ら~らら~」
大きな船の上から聞こえるのは、美しくも儚げな歌。
合唱団でも乗っているのか、と言われそうなほどに美しい歌は誰もが耳にしたことがない声で歌われていた。
だが、その歌の内容は聞き捨てならないものばかりで……。
「我らオケアニス・シレーネス、蒼海羅針域の破壊を目的に~」
「我らオケアニス・シレーネス、渦潮まで向かいましょう~」
「我らオケアニス・シレーネス、海上をゆるりと歌いつつ~」
歌う海賊団、オケアニス・シレーネス。歌を歌って目的地の確認を取りながら、まっすぐ渦潮へ向かって進んでいる……。
●歌があるからなんだってんだ!
「やばいぞまずいぞなんとかするぞ! 渦潮に向かって突き進んでる奴らがいる!!」
猟兵達の肩をそれぞれ掴んでぐわんぐわんと動かしているのは火影・サイト(《無邪気な歌声》[イノセント・シンガー]・f29997)。なんでも彼は、敵が一直線に渦潮へ向かっているという予知を見たそうだ。
グリードオーシャンでは転移や飛行に制限がされており、海上を突き進む海賊団となると対処に制限がかかってくる。
だが、ここで食い止めなければ渦潮の破壊による被害は甚大なものとなるため、急いで止めにいかなければならないのだ。
「悪い、転移にも制限があるから適当な船の上に飛んじゃうかもしれない! そうなってくると色々と大変だから、ちょっと海上戦、船上戦を工夫して戦ってくれ!」
パンッと両手を合わせ、お願いします!とサイトは猟兵達に頼み込み、戦場へと送り出す。
はてさて、どこへ飛ばされるのやら……。
御影イズミ
閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
戦争シナリオです。一章構成となっております。
こちらのシナリオでは、みなさんの考える工夫が第一のシナリオとなっております。
プレイングにどんな船に乗ったかを描いていただくと大変助かります。なお、描かなくてもMSが適当に見繕います。
MSページをよくご覧の上、プレイングの提出をお願いします。
なおこちらのシナリオ、プレイングボーナスは「海上戦、船上戦を工夫する」ことになります。
またグリードオーシャンの特性上、海上では飛行や転移が阻害されています。飛行や転移のプレイングに関してはどのような内容であっても弾かせていただきますのでご了承ください。
皆様の素敵なプレイング、お待ちしております。
第1章 集団戦
『歌う海賊団『オケアニス・シレーネス』』
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POW : 楽曲番号一番「黒海のネレウス」
【ご機嫌な仲間たちと共に魂へと響き渡る歌】を披露した指定の全対象に【この歌を聴きながらお祭り騒ぎしたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD : 楽曲番号八番「紅海のアプスー」
戦闘力のない【愉快に歌う海の音楽隊】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【魂へと響き渡る歌を共に楽しく奏でること】によって武器や防具がパワーアップする。
WIZ : 楽曲番号二四番「死海のエーギル」
【活気ある仲間と魂へと響き渡る歌を奏でた】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
イラスト:芋川
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
エインセル・ティアシュピス
【アドリブ連携歓迎】
にゃーん!にゃんげいざーのかたにのせてもらってしゅつげきだー!
どこにとばされてもだいじょーぶだよ!にゃんげいざーはしおみずだってへっちゃらだもーん!
うーんと、おうたをうたってたたかうなら、おうたをうたわせないようにするのがいいんだよね?
【指定UC】でおともだちをおふねにのせたらいいかな!
オブリビオンがみーんなくしゃみするから、おうたどころじゃなくなるよね!
それから【式神使い】でにゃんげいざーにおふねをゆらしてもらうんだ!
しずめたらおともだちがのれなくてくしゃみがとまっちゃうし、にんぎょさんならうみのなかでうたえちゃうもんね。
これでみんなのために【時間稼ぎ】できるかにゃーん?
●歌を歌わせないようにするには……
「にゃーーーん!!??」
転移が上手くいかず、お空から降り注いでくるのはエインセル・ティアシュピス(生命育む白羽の猫・f29333)。このままでは海に叩きつけられてしまう!
「にゃーーんげーーいざーーーー!!!」
間一髪で式神・ニャンゲイザーを呼び出し、着水前にニャンゲイザーに拾われ肩に乗せられた。セーフ。
よいしょとよじ登ってしっかり確認するエインセルだが、既にコンキスタドールの船は先を進んでおり、ニャンゲイザーに向けて大砲を向け始めていた。
オケアニス・シレーネスの船員達は大砲を打ち出す速度がかなり早かった。というのも、彼女達は活気ある仲間と魂へと響き渡る歌を奏でており、その歌唱時間に応じて彼女達の次の行動―――大砲を打つという行動の成功率を上げていた。
これはまずいとエインセル、どうしたものかと悩んだ。ニャンゲイザーで海を渡ることには全く問題ないが、このまま大砲で狙われ続けるのも大変だ。そして歌を歌っている間、彼女達の大砲を打つ行動力が下がることはないのがすごく厄介である。
「にゃーん、どうしよう……」
エインセルの悩みも束の間、ニャンゲイザーはオケアニス・シレーネスの船にたどり着いた。歌を歌う者達、悲鳴を上げる者達はニャンゲイザーの奇襲によってパニックになっているが、それでも大砲を撃ち続けた。
「そうだ! おともだちをおふねにのせたらいいんだー!」
ぼくってかしこい!と飛び跳ねたエインセルはユーベルコード『羽根猫天国若しくは地獄』を発動。子猫の姿になっている間に子猫達を召喚し、全員をオケアニス・シレーネスの船へと降ろした。
「にゃーん!」
「ぬなー!」
「な、なんなのこの猫……くちゅんっ!」
「早く追い出し……くしゅんっ!」
船員達は子猫達を追い出そうと試みるも、地獄―――猫アレルギーによる症状が発症し、それどころではなかった。歌を歌っていた者達も全員がくしゃみをしてしまい、歌を歌うどころではなくなっている。自由奔放な子猫達だからこそ、船を自由に走り回って症状を散布出来る。恐ろしい力だ。
しかしそれだけではダメージは微々たるもの。そこで、エインセルは海上で待機していたニャンゲイザーに声をかけ、船を揺らしてもらう。出来るだけ船の上に乗っている者達を落とさないように、ぐらぐら、ぐらぐらと。
「おふねでゆれるの、たのしー!」
無垢な子猫は知る由もなかった。揺らされる+くしゃみの頻発によって、船員達のダメージがいつの間にか蓄積されていたということに……。
成功
🔵🔵🔴
ビードット・ワイワイ
人魚とはこれはまた我が身に宿りしモササウルスが喜びそうなものよ
海中に潜りてメカモササウルスへと変形
全ての音を遮断し視覚のみで敵を探る
見えたならば急加速
雷撃を牽制で放ちてそのまま胴に噛みつき海中に打ち上げ
落ちてきたところを噛み砕かん
我が巨体をくねらせ泳ぐだけで大波がたとうがそれで繰り出す体当たりは敵には脅威となろう
歌には微塵も興味がわかんが
もしも響いたなら獲物と共にお祭り騒ぎ
つまり踊り食いか。蹂躙を楽しもう
●喜びそうなもの。
「人魚とはこれはまた……我が身に宿りしモササウルスが喜びそうなものよ」
遠くからオケアニス・シレーネスの船を見てゆるりと笑うのは、ビードット・ワイワイ(絶対唯一メカモササウルス・f02622)。相手が人魚である事を知った彼は、すぐさま海中へと飛び込んだ。
そしてその姿を300mの巨大な恐竜―――あらゆる海洋生物を捕食すると言われたモササウルスの機械体・メカモササウルスへと変形させ、波に逆らいながら海中を進む。
オケアニス・シレーネスは人魚の海賊団。歌を用いて攻撃すると予測したビードットは変形の瞬間に音を遮断するようにプログラムを変更、視覚のみで海賊船を探し出す。
「……あれか」
巨体のビードットからみればタダの塵に見えたそれは、まさしくオケアニス・シレーネスの船団。素早く標的の位置をマッピングし、角から放てる雷撃砲を撃つタイミングと体当たりのタイミングを綿密に計算し、攻撃の機会を伺った。
「ら~らら~♪」
「ららら~♪」
海中でそんな巨体が近づいてるとはつゆ知らず、オケアニス・シレーネスの船団では歌が繰り広げられていた。
船上で繰り広げられるご機嫌な仲間たちと共に魂へと響き渡る歌は、船の中にいる者達全員に広がり、お祭り騒ぎしたいという感情を奮い立たせる。
「お祭り騒ぎ、したいわね~」
「渦潮を止めたらお祭り騒ぎ、しちゃいます~?」
なんてのほほんとした会話が繰り広げられていたが、それも1つの雷の音でかき消された。
ビードットが放った雷撃の牽制は船を1つ砕き、中にいた船員達を全員海の底へと叩き落とす。容赦なく穿たれた攻撃に、他の船団達は戦闘態勢に入る者と歌を歌い続ける者で別れた。
「この程度の雷撃で驚いてもらっては、困るな」
声が聞こえると同時、また別の船が牙の衝撃と共に粉々に砕け散り―――飛び散った破片ごと、船員達がばくん、と噛み砕かれた。
獰猛な牙は船体の胴をまるごと食らいつき、そのまま飲み込む勢いで砕いてオケアニス・シレーネスの船員達を全員倒す。より鋭く、より硬い牙から逃れる術のないオケアニス・シレーネス達は、すぐさま船団の位置と移動先を変更して逃走を図った。
「待て待て、我は汝らと共に"祭りを楽しみたい"のだぞ?」
ビードットはどうやら攻撃した瞬間に歌を聞いてしまったようで、お祭り騒ぎを起こしたいという感情が吹き上がったようだ。逃げ惑う船団を次々においかけては、その獰猛な牙でぱくりと食らいつき、"お祭り"を楽しんだという……。
成功
🔵🔵🔴
リーゼロッテ・エアクラフト
海上戦を工夫しろというが…まぁ足場を作るかそもそもの海中で戦うこと前提で事を動けばいいという結論に達するのであれば
足場を作ったほうが早いだろう。
UCを使って攻撃しつつ外れた豆を豆の木を足場に転用していけば恐らくはその問題は解決するはずだが…問題は攻撃手段が文字通り豆鉄砲過ぎて多分一匹倒すのにめちゃくちゃ時間がかかるだろうという事なんだが
いっそ足場乱立させて逃げ道なくす方向で行くか?
●伸びる豆の木、際限知らず。
「ふむ、海上戦を工夫しろ……」
何処かの島から、空を飛ぶことの出来ない海上を眺めるリーゼロッテ・エアクラフト(混ざりものの『アリス』・f30314)。空を飛ぶ選択肢が奪われたのであれば、足場を作るか海中で戦うかという選択肢が出てくるもので。
悩み悩んで、リーゼロッテが出した結論は……ただ1つ。
「まあ……足場を作ったほうが早いだろうよ。ってなわけで、早速」
パシッと両手を叩いた彼女はユーベルコード『天空の豆の木』を発動させ、手の中に無数の豆を生み出す。それを弾いて弾丸のように発射し、1つ、海の中へ落とす。
「これより放つは少年が手にした小さな豆、それはやがて芽が出ていつしか天を貫く巨木となりて……」
彼女の言葉と同時に、海の中から水しぶきとともに生える天高くまでそびえ立つ豆の木が出現。大きく育った葉を足場に、彼女はどんどん豆を射出して足場を増やしていった。
海上の豆の木という絵面は、もちろんオケアニス・シレーネスの船団にも見られている。彼女達は一斉に豆の木に向けて大砲を撃ち続け、その上にいたリーゼロッテを落とそうと必死だ。的確に豆の木を折ってくる相手に、リーゼロッテは苦言を漏らす。
「参ったな……あっちは大砲で、こっちは文字通り豆鉄砲だぞ……」
最悪の相性に苦虫を噛み潰した顔をしつつも、次々に豆を飛ばして船員達に攻撃をする。しかしリーゼロッテの言うとおり、豆での攻撃は微々たるダメージしか与えられないのが致命的なところ。だが船員に当たらない豆は全て海中に落ち、数分の間に豆の木として育つため足場の確保には問題はない。
このまま同じように続けていては時間がかかってしまい、船団が渦潮へ到達してしまう。渦潮到達を阻止しなくてはならないのに上手くダメージを与えられないというのは、なんとももどかしいものだ。
やがていくつかの豆を射出した後、いくつかの船団が後方へと取り残されたことにリーゼロッテは気づく。いつの間にか射出した豆が密集状態となり、船の行く手を阻んでいるようだ。
「……あ、そうか。足場を乱立させて逃げ道を防ぐって手段があるか」
閃いたリーゼロッテは両手を合わせ、追加の豆を準備。それらを一気に射出し、船団を覆い囲うように豆の木を出現させて行く手を塞いだ。
船というのは前に進むのは早いが、後ろへ進むにはどうにも時間がかかるもの。豆の木に行く手を阻まれた船団の一部は、そのまま豆の木の檻に囚われたのだった。
成功
🔵🔵🔴
アハト・アリスズナンバー
ご機嫌な歌でございますこと。
こういった歌は嫌いではないけど、今謳われるのは嫌ですねえ。
そういうことでまずは少し大きめの船に私のキャバリア「イドラ・ゼノ」を載せておきます。実際にその場から動かすことはありません。固定砲台です。
相手が歌い始めたらUCを起動。発狂思念を放出し、敵が歌うことをできなくします。その間に私はレーザーライフルによる弾幕とグラップル弾を利用したランスチャージで次々と串刺しにしておきますね。これなら相手がどこに居ようがそこまですっ飛んでいけますので。
●歌は嫌いではないが……
「まあ、ご機嫌な歌でございますこと」
オケアニス・シレーネスへの船団を見据え呟くアハト・アリスズナンバー(8番目のアリス・f28285)。船団はアハトを乗せた船と並走するように走っており、またその船上には彼女が無理矢理従わせたオブリビオンマシン『イドラ・ゼノ』が佇んでいるため、オケアニス・シレーネスは有無を言わさずにアハト達を敵と判断する。
「歌は嫌いではないけど、今歌われるのは嫌ですねぇ……」
歌を歌うという前情報から、彼女は対策を立てる。いくつかの作戦を思い浮かべ、一番有効そうなイドラ・ゼノを固定砲台として船上に設置し、ユーベルコード『真実を見よ。異端の偶像の名の下に』で相手の歌を封じる作戦を使うことに。
彼女のこのユーベルコードは所持しているオブリビオンマシンから発狂を誘発する思念を放出し、戦場全体の思考活動を無力化する力を持つ。歌を歌うという行為は音程を調整するという思考が必要になってくるため、思考活動を断絶する力はオケアニス・シレーネスにとって危険極まりないものである。
「ら~らら~♪」
「らら~らら~♪」
歌を歌い始めたオケアニス・シレーネスの船団。敵を倒すために、活気ある仲間と魂へと響き渡る歌を全員で歌って協力しようという構えのようだ。
ここでアハトは歌の開始に合わせ、イドラ・ゼノから発狂を促す思念を発するように命令を下した。"好きなだけ"やれ、と。
「好きにやりなさい。合わせましょう、イドラよ」
彼女の宣言通り、イドラ・ゼノは"好きなだけ"思念を放出した。そのオブリビオンマシンの様子は、オケアニス・シレーネスに対抗するように歌っているようにも見えたかもしれない。
思念は次々に船員達に繋がれ、発狂してゆく。思考回路を奪われた彼女達に待っているのはアハトという敵の存在と、周囲に存在している"奇妙な存在"という名前の仲間たち。狂気は船員をしっかりと蝕み、仲間を仲間と判断する思考能力さえも奪い、歌をも奪っていった。
「楽ですね、これは」
同士討ちを始めた船団の一部に対し、アハトはレーザーライフルによる弾幕を張り巡らせ、グラップル弾を利用したランスチャージで突撃する。狂いに狂った船員達はアハトが攻撃主だと判断することも出来ず、たった一撃で倒される。
船から船へ、次々と軽く飛び跳ねて敵を屠るアハトは歌が無くとも踊る歌姫のようにも見えたと、逃げ切ることが出来た船員達は語り紡いだという……。
大成功
🔵🔵🔵
ジュリア・ホワイト
さて困ったな
ボクは海戦がひどく苦手なんだ
「しかも偶々降り立ったこの船は小さな木造。シップというよりボートだね?」
これでは飛んだり跳ねたり、ましてや器物形態を用いた戦いなど不可能
ああ、困ったぞ
「もちろん、打つ手がないなんてことはないけどね!」
高らかにホイッスルを鳴らして【安全第一!線の内側にお下がり下さい!】を発動
宣告するルールは『歌うことは禁止!』
それ自体は簡単なルールだろう?別に命の危険も無い
「キミ達が全ての攻撃に歌を用いる点を除けば、だけどね!」
相手の歌が届くということはこちらの笛の音も届くということ
攻撃を封じられた相手は『No.4』の魔力銃弾で撃ち抜いていけばいい
●そのルールは禁止です!
「さて、困ったな……」
海上にぷかぷかと浮かぶ小さな木造ボートに乗っているのはジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)。大変困ったことに、彼女は海戦がとても苦手だ。
「しかも偶々降り立ったこの船は小さな木造。……シップというよりボートだね?」
海賊船と敵対するにはあまりにも貧弱で、むしろちょっと飛んだり跳ねたりするだけで真っ二つに折れそうな、そんな木造ボート。ジュリアはどうしたものかと頭を悩ませた。
彼女は旧式の蒸気機関車が変生したヤドリガミ。地上を走ることに関しては誰にも負けることはないと自負出来るが、海上となればその知識は全て文字通り海の底へ落ちてしまう。ボートが風に揺られて船団に近づいているということだけが、唯一の救いとなるだろう。
「……ああ、でも、そうか」
ジュリアは気づく。例え荒れている海上といえど、空気があって音が振動するのなら何も問題はいらない。彼女の力はむしろ空気のある外だからこそ、発揮するものだ。
「打つ手がないなんてことはないけどね!」
オケアニス・シレーネスの船は確実に、渦潮へ向けて進んでいた。ご機嫌な仲間たちと共に魂へと響き渡る歌を歌い、お祭り騒ぎをしたいなという気分を周囲に撒きながら。
しかしその歌声も、1つのホイッスル音によって突如中断される。
「残念! 『歌うことは禁止』ですよー!」
ジュリアのユーベルコード『安全第一!線の内側にお下がり下さい!』が発動。ホイッスルの音を聞いたオケアニス・シレーネスの船員達はルールを宣告され、ルールを破るとダメージを受けるという状態が作られた。このユーベルコードは簡単に守れるルールほど威力が高くなるため、歌わないという簡単な行為に対してはうってつけなのだ。
「それ自体は簡単なルールのはずだよ? ……歌を歌わなければ、ね」
オケアニス・シレーネスは彼女の言葉をハッタリだと思い、再び歌を歌おうと声を高らかに歌いだしたが、突如その喉が切り裂かれる。あるいは別の者は舌を割かれ、あるいは喉が腫れて呼吸さえもままならなくなった。
ジュリアの言葉がハッタリではないと気づいた者達は、それぞれが武器を構えて突撃してくる。が、それも予測済みなのか、ジュリアはすぐに黒の精霊銃・No.4で襲いかかってきた者達を貫いた。そして歌を封じられ、戦うことをままならなくなった者達も、全て貫いたのだった。
「さあ、歌ってご覧? 歌えるものなら、ね」
大成功
🔵🔵🔵
シン・ドレッドノート
フィーナさん(f22932)を乗せて。
ボトルシップを解放、真紅の高速戦艦『貴紅』に乗艦して敵艦隊に対峙します。
「さて、今回の相手は合唱団ですか」
こちらの歌姫と果たしてどちらが上でしょうか?
もちろん、私は天使の歌声を信じてますけどね。
とは言いつつ、のんびり素直に聴き比べるほど甘くはありません。
接近しながら、貴紅の甲板にセットしたキャバリア用R/BSスナイパーライフルから長距離射撃で敵を攪乱しましょう。
「さぁ、海賊の時間です!」
敵艦隊に接近したら、【紺碧の海賊旗】を発動。
突如95隻の大船団を敵の側面に展開、副砲と主砲の連続一斉砲撃で蹴散らします。
「撃って撃って、撃ちまくっちゃってください!」
フィーナ・シェフィールド
シンさん(f05130)の船に乗せてもらいますね。
「ふふ、音楽で負けるわけにはいきませんね!」
潮風に揺れる髪を押さえつつ、船の進行方向を見て気合いを入れます♪
「心に響く、黄金の旋律を!」
敵艦隊に接近したら、甲板に黄金のグランドピアノを召喚、【未完成協奏曲】を奏でます。
両舷側に配置したスピーカー『ツウィリングス・モーント』を加えて放つ圧倒的な演奏で敵の歌を封じながら、破魔の力を込めた黄金の旋律でオブリビオンの魂を浄化します。
「まさに戦場のピアニストですね♪」
敵の攻撃はシュッツエンゲルとモーントシャインで防ぎ、戦闘終了まで演奏を続けます。
戦いの後はそのまま鎮魂歌に。海に消えた魂を浄化しましょう。
●ピアニスト海賊団、前へ!
「さて、今回の相手は……合唱団、ですか」
ボトルシップの蓋を開け、真紅の高速戦艦『貴紅<ノーブル・スカーレット>』を開放するシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)。相手戦艦―――もとい、海賊団オケアニス・シレーネスとの接敵に向け、船を急速に走らせていた。
「ふふ、音楽で負けるわけにはいきませんね!」
その船に同じく乗船しているのは、フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)。風に揺れる髪を押さえつつ、彼女は進行方向に見える海賊団を前に気合を入れた。
そう、今回の相手は『歌う海賊団オケアニス・シレーネス』。船とあればシンの手腕が唸り、歌とあればフィーナの技術が光るところ。ここで負けたくはない。
「こちらの歌姫とあちらの歌姫、どちらが上でしょうね? もちろん、私は天使の歌声を信じてますけど、ね」
「ふふ、ありがとうございます。シンさんの船も、とても素敵ですよ」
微笑み支え合う2人だが、今は戦いの真っ只中。ある程度お互いの絆を確かめあったところで、シンはすぐさま船の上に設置しておいたキャバリア用のR/BSスナイパーライフルを用いて、長距離射撃の撹乱を開始。フィーナはユーベルコード『未完成協奏曲』の準備のため、広い甲板へと足を踏み入れる。
長距離射撃による撹乱は思ったよりも効果が出ているようで、オケアニス・シレーネスの動きが鈍くなっていた。その隙を逃さずに貴紅は一気にオケアニス・シレーネスに接敵する。
オケアニス・シレーネスは接敵の前から既に活気ある仲間と魂へと響き渡る歌を奏でている。早めに歌い始めていたこともあってか、その時間に応じて成功率が上がるようになった攻撃がシンとフィーナに襲いかかろうとしていた。
だが、その攻撃はシンの長距離攻撃によって阻まれ、更には彼の力の発動を許すこととなる。
「残念、ここからは海賊の時間です!」
シンの声とともに、彼のユーベルコード『紺碧の海賊旗』が発動。砲門を備えた95隻もの海賊船団が辺りを取り囲み、シンとフィーナの乗っている貴紅以外の船を狙い撃ちするかのように、副砲と主砲による一斉射撃を行い始めた。
「撃って撃って、撃ちまくってください!」
そう指示しているシンはすぐにR/BSスナイパーライフルの先をフィーナの周囲へと向ける。今度は彼女の番であると、指し示すかのように。
「では、今度はわたしの、心に響く黄金の旋律を!」
歌には歌をと対抗するように、フィーナのユーベルコード『未完成協奏曲』が発動。甲板にいる彼女の隣に黄金のグランドピアノが召喚されると、彼女はAI搭載で宙を自在に動く2対のスピーカードローン『ツウィリングス・モーント』をも追加で設置。スピーカーの音量を最大にしてもらいながら、圧倒的な演奏を始めた。
大音量の演奏はオケアニス・シレーネスの歌声をかき消すほどの音量で、更には彼女の演奏は聞いた相手の心に深く響くように設計されているため、演奏を聞いた一部のオケアニス・シレーネスの船員達は震えるほどの感動を受けて一時的に動きを封じられる。
「これこそまさに、戦場のピアニスト、ですね♪」
小さく笑うフィーナは演奏を続けながら、まだ感動を受けていない船員達からの攻撃を自在に宙を舞う数十枚のマルチドローンプレート『シュッツエンゲル』と月明りのように見るものを優しく包み込むオーラ『モーントシャイン』で弾いていた。シンの遠距離射撃も合わさって多大なダメージとなるのか、一撃を受けた船員達が起き上がることはなかった。
「素晴らしいですよ、フィーナさん! もっともっと、大きくたくさん演奏しちゃいましょう!」
「ええ、もちろんですよシンさん! お船をどんどん進めちゃってくださいな!」
楽しい黄金のピアニスト海賊団は、大音量の演奏と95隻の海賊船団を引き連れてさらなる前進を続けたのだった。
●最後の歌は、海の底。
猟兵達の奮闘の甲斐あって、オケアニス・シレーネスは全滅。全員が海の底へと落ちてゆく。
渦潮への到達は上手く阻止出来たため、戦争が激化する恐れもなくなった。
しかしまだまだ戦争は続く。気を抜いてはならないのだ。
大成功
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