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銀河帝国攻略戦⑦~果てまでブッ飛べカイザー・レイ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●開戦
「状況は理解したぜ、銀河帝国が本気を出してきたみたいだな」
 納・正純は今回の作戦の情報について目を通しながら、集結する猟兵たちに向き直ってこう言う。
「スペースシップワールドを守るため、皆の力を貸して欲しい。狙いは、カイザー・レイだ」

「ミディアのユーベルコードによって、『ワープドライブ』が使用できるようになったことは知ってるな? 今回はその力を利用して宇宙をワープし、敵地へ乗り込んでもらうことになる」
 しかし、敵に『エンペラーズマインド』がある限りは、『エンペラーズマインド』の周辺宙域にまでしかワープすることはできない。
 そのため、猟兵たちには敵地にほどなく近い場所までワープで接近した後、宇宙船による通常航法で敵地に乗り込んでもらうことになるという。
「だが、敵地のド真ん中に近付くための俺達の宇宙船を撃ち落としてくる厄介な兵器がある。それが、カイザー・レイだ」
 『カイザー・レイ』は、巨大特殊ミラーから構成される戦略防衛兵器。
 一度発動してしまえば、エンペラーズマインドから放射されるエネルギーを宇宙空間へと反射して、こちらの宇宙艦艇を次々に破壊してしまう恐ろしい兵器だ。
「それを壊さない限り、こちらの積極的な攻勢は厳しいだろう。だからこそ、猟兵の皆にはここをまずぶっ壊してきて欲しいんだ」

 だが、破壊をやすやすと許すような帝国ではない。障害はもちろん存在する。
 『ディクタトル級巡洋戦艦』。それが今回、猟兵たちが相手取る戦艦の名だ。
 多数の兵員を擁し、艦載機も搭載可能。栄光ある帝国軍艦隊を支えたこの量産型巡洋戦艦は、『カイザー・レイ』の周辺で警戒行動を取っている。
「巨大な主砲、大量の艦載機……。恐らく、コイツを放置してカイザー・レイのミラーを破壊しようとしても、迎撃されて厳しい状況になってしまうだろうな」
 カイザー・レイの動きを停止させるには、地道にミラーをすべて破壊する他に道はない。
 そしてミラーの安定した破壊のためには、まずは戦艦を破壊する必要があるのだ。
「だから猟兵の皆には、戦艦の破壊を中心に作戦を立てて欲しいんだ。それが結果としてミラーの破壊につながり、帝国を追い詰めることに繋がるからな。どうか、よろしく頼む」
 銀河帝国との決戦の時が近付いている。正純は説明を終え、必要な資料を整えると、猟兵たちにそう告げるのだった。


ボンジュール太郎
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 お疲れ様です、戦争だ! やったぜ。
 そんなわけでカイザー・レイをぶっこわすために戦艦をぶっ壊しましょう。
 遠距離からぶっ放して戦艦を壊したって良いですし、戦艦をそのまんまぶった切ったりするのも良いでしょう。なんとか中に侵入して、内部をどうこうするのも美味しいですね。
 つまり……自由だ!!
 皆様の良い感じの活躍を期待しております。
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第1章 ボス戦 『ディクタトル級巡洋戦艦』

POW   :    主砲発射用意!
予め【主砲にエネルギーを充填しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    航空各隊、邀撃に移れ!
【両舷カタパルト】から【直掩艦載機】を放ち、【対宙迎撃】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    オール・ウェポンズ・フリー
【兵装使用無制限状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ベモリゼ・テモワンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ドミニク・トインビー
こちらも宇宙戦艦で対抗する
ユーベルコードで宇宙海賊船を複製し合計18機で攻める
まず主砲に警戒し正面は避け側面や背後を取るように立ち回る
艦載機は近づけないように密集陣形から機銃掃射で落とす
オールウェポンフリーの発動を確認したら複製した船を囮に動かし凌ぐ
他の猟兵が動きやすいように援護射撃を行う
戦争が始まった,この世界が無いと宇宙海賊出来ないんでね,叩かせてもらうぞ銀河帝国


ビードット・ワイワイ
破滅なり!破滅なり!破滅なり!ここが汝らの破滅なり!

ビルドロボットにて戦闘機と合体。
自身を加速させながら戦艦に突撃しよう。
【誘導弾】を【一斉発射】放ちて盾代わりとしつつ
【盾受け】しよう。
戦艦に張り付いたなら【零距離射撃】。
【鎧無視攻撃】【鎧砕き】にて装甲を破ろう。

侵入に成功したならば艦内システムに【ハッキング】を計り
滅茶苦茶にし【破壊工作】。その後離脱。

武器がありども内は弱き。装甲持ちども意味は無き。
誇りし火力を我に放てし?できぬならばこれにて終い。
ここが汝の破滅なり。


ワン・シャウレン
こうすんなり星空に出るようになるとはのう…
まぁ困るわけでなし、無重力も中々悪くない。

あの艦を落としていくわけじゃな。
早速行くとしよう。

移動も戦闘も水霊駆動を駆使し、
水の放射を推進力にも使い高速移動。

見る限り内部に入れば脅威は大分下がりそうじゃ。
主砲の射線は回避し、艦載機迎撃よりも突破に集中して飛び込もうぞ。

侵入に成功すれば後は動力部目掛けて突き進むのみ。
蹴り貫いて早々に脱出じゃ。

聞くにまだまだ山のようにいるのじゃったな。
やり方も研鑽していかねばの。


マユラ・エリアル
ふふん、こういう暴れられる依頼というのは大歓迎だ
それに敵は戦艦、相手にとって不足はないどころかデカ過ぎないか…?
まあそれもいいか、楽しんでいこうじゃないか

●戦闘
小型艇を準備し移動
宇宙空間にて少し距離を置いて『全力魔法』を使用し【氷刃展開】を使用
敵のオール・ウェポンズ・フリーへの対策の為に、20本程高速で動く囮の魔法の刃を展開
残りの魔法の刃は攻撃に使用
囮の魔法の刃よりも低速で行動し戦艦へアタックをかける
『2回攻撃』で再度【氷刃展開】を使用
全力でさらに戦艦の同じ場所への攻撃しダメージを蓄積させる

さあ、氷刃の嵐に呑まれろ!


ユウカ・セレナイト
過去が世界を食い潰すなんて、そんなのは絶対に、駄目
過去に紡がれた物語も、捧げられた祈りも願いも
それは、いつか迎える未来のためのものなのだから

【すべての夢見る者たちへの賛歌】で皆の負傷を癒し
戦場を支えてゆくわ

――さあ、想像してみて
混沌の宇宙にいずれ訪れる平和な日々を
隣人たちと笑い合いながら平和に暮らす日々
新たな生命の在処を探求するのも素敵
誰にも侵されないソラの果てを目指して旅立つのもいいわね
その未来をもたらすのは誰? ……そう、他でもない私たち!

さあ、この歌を聴いて
あなたたちの胸の裡にある夢を、希望を
その勇気を、願いを、祈りを
私の歌で、最後まで支えてみせるから!


ウィーリィ・チゥシャン
知り合いのシャーリー(f02673)と一緒に派手に暴れさせてもらうぜ!

相手は巨大な宇宙戦艦。
けどな、俺達料理人はでっかいマグロだって捌くんだ。そいつと同じ!
シャーリーの宇宙バイクにタンデムで乗り、大包丁で巨大戦艦の解体ショーの始まりだぜ!
敵の砲撃を掻い潜りながら『属性攻撃』で大包丁を赤熱化させて『シーブズ・ギャンビット』の早業で艦体に包丁を入れていく。
切れ目が入ったらそこから魚の皮を剥ぐ要領で艦の外装を引っぺがす。
そして魚のワタを取るかの様に内部メカを取り除き、艦の機能を低下させる。
料理は魔法だ! 覚えておきな!


リア・ファル
ボクだって戦艦(の中央制御ユニット)だ、対宙戦闘で負けるつもりは無いよ!
銀河帝国に反旗を翻そう

周辺宙域を探査して、暗礁宙域など把握
敵配置や兵装も随時チェック

「戦術レベル策定完了。さあ、本領発揮だイルダーナ! …対宙戦闘用意!」

制宙高速戦闘機『イルダーナ』で、敵の間をすり抜けつつ攻撃
UC【五光の神速疾走】も使用して、速度を活かして攪乱しよう

「さあこっちだよ! ボクについてきてみてよ!」
勿論、ボクを狙ってもらうのは、他の猟兵のフォローを兼ねる様に計算したものだよ

「ディクタトル級巡洋戦艦…落ちてもらう!」
隙あれば、敵艦載機の武装を電脳魔術で乗っ取って、母艦にぶつける

他猟兵とのフォロー・共闘歓迎


ヴィクティム・ウィンターミュート
休む暇もねえなクソッタレ!しかも相手は戦艦だぁ!?オイオイ、そりゃあ……最っ高に燃えるじゃねーか!!テクノロジー相手なら俺ぁ百戦錬磨ってなぁ!

攻撃役は他に任せる。俺はユーベルコードの防御障壁で味方の損害を減らしにかかろう。相手が戦艦なら、【ハッキング】と【メカニック】と【破壊工作】でシステム制御にちょっかいかけられねえかな。停止とまではいかなくても、妨害や次の行動の予知なんかで【時間稼ぎ】ができりゃ儲けだろ。

まずは前哨戦だ。ビズはさっさと終わらせるに限る。はた迷惑な銀河帝国ご一行の旅路はここで終わってもらうとしよう。


シャーリー・ネィド
宇宙の海はボクの海!
みんな自由を奪う悪の帝国は許さないよ!

相棒のウィーリィくん(f04298)とペアで戦艦攻略!
【ゴッドスピードライド】でバトルモードに変形した宇宙バイクにまたがり、ウィーリィくんを乗せて縦横無尽に動き回る!
【スナイパー】+【2回攻撃】でブラスターの弾幕を張って敵の攻撃を寄せ付けず、迎撃の間隙を縫ってウィーリィくんの包丁の間合いに入る様に船体にバイクを寄せる

さーて、次の相手は誰かな?


ヴァーリャ・スネシュコヴァ

なるほど、あれが敵の船?かあ……。
俺はこういう宇宙の機械のことはよくわからんが……氷には弱そうだな?

侵入する前に、戦艦内の敵の様子と重要な核の部分を探るために『無邪気な川獺』を偵察に向かわせる。
カワウソの偵察情報を頼りに、内部の敵を【残像】+【先制攻撃】+氷の【属性攻撃】。武器に冷気を纏わせ、素早い攻撃で倒しにかかるぞ。
回避は【残像】+【ダッシュ】+【ジャンプ】のアクロバットな方法で行う。

カワウソが核を発見した場合、その場所へ急行。
核のある場所に辿りついた瞬間に、『亡き花嫁の嘆き』で核を攻撃、凍結による破壊を試みるぞ!

機械は、核を叩けば効果抜群だというのはアルダワでは常識なのだ!


ファランス・ゲヘナ
【心境】
「銀河帝国…貴様らの落日が近いようだナ」
この日が来るのを待っていたゼ。
この世界はオレたちが解放すル

【戦闘】
UC:文明破壊砲を使用。
遠距離攻撃で巡洋艦を撃破スル。
まずは戦場の味方に連絡シ、射線上がクリアーなのを確認シ発射すル。

十分な打撃を確認したら、宇宙バイク:龍星号に【騎乗】シ、【ダッシュ】で接近すル
熱線銃:戦士の銃で【零距離射撃】で【二回攻撃】を行イ、巡洋艦に確実にダメージを与え続けル。

敵の攻撃は龍星号の足の速さと【見切り】で回避するナ。
ぴき~ん。オレの【第六感】が感じタ。右に回避ダ!!↑↑↓↓左右左右AB


逢坂・宵
暴れていいんですか?
ふふ、いいんですね
こういう戦争、僕は大好きです
さあ、楽しみましょう

人をして「こっち側」と言わしめる僕ですが
否定はしません
だって、火力はあればあるほど有利ですから
大規模な戦争なら、なおのこと
ああ、皆さんの邪魔はしません
お互いに頑張りましょう

『属性攻撃』『2回攻撃』『高速詠唱』『全力魔法』を用いて
『天撃アストロフィジックス』で攻撃します
猟兵の仲間とも連携や協力をおこなっていきましょう


ポケッティ・パフカニアン
戦艦をぶっ壊せ、っていうのはわかったけど…
…ふーん、どうやって壊してもいいんだ?ほんとに?
だったら…新しい魔法の威力、ここで確かめてみてもいいわよね?
小型宇宙船で乗り込んで、中から壊すんだけど…こないだ手に入った宇宙服は準備していくわよ。
だってほら…壁が壊れて宇宙空間に放り出されるぐらいな準備はしとくべきよね?

乗り込む時は、みんなの攻撃に乗じて、バレないようにこっそり。

さーて乗り込んだ後は…
時砕く波動!
場所だって狙いだってどこだっていいわ!適当に吹っ飛ばすわよ!
こちとらストレス溜まってんのよ!好きに壊せって言うなら、その通りにしてやるわ!
あはは!吹っ飛べー!吹っ飛べー!一つ残らず廃品になれー!


マルコ・トリガー

フーン、あのデカい戦艦の破壊ね。猟兵だからって何でも出来ると思ったら大間違いだよ。……まあ出来ないことも無いけど。

正面から当たるのはボクの趣味じゃないな。内部から味方を援護しようか。

敵が他の猟兵に気を取られてる間に【竜飛鳳舞】で素早く跳んで戦艦に張り付こう。それで艦の出入口を【破壊工作】でこじ開けて内部に侵入。

艦を操作するとこって見晴らしのいい上の方にあるのかな。出来れば破壊したいよね。
ま、そこに行くまでにも【2回攻撃】と【誘導弾】で撃ちまくって色々破壊しておこう。

艦の状態から内部にいるのが危なくなったら壁の薄そうな場所を一点集中で撃ちまくって穴を開けて脱出。
銀河帝国も案外大したことないね。


パウル・ブラフマン
【SPD】
猟兵仲間が撃墜した艦載機を【ハッキング】し【操縦】。
手負いの帝国兵士が帰還したとみせかけて
巡洋戦艦内への侵入を試みるよ!

疑われそうになったら
帝国に利用されてた頃の知識と【コミュ力】を活かして乗り切るね。

無事に艦内に潜入後は
『ゴッドスピードライド』を発動させて
兵士を轢きk…【なぎ払い】しまくって
後続の艦載機が発艦できないように鬼畜☆妨害タイムだ!!

オレもちょっと帝国には想う処もあるし
ほんの少しだけ…感情的になっても、いいかな?
(深呼吸)
生まれてきたことを後悔させてやっから
死にてェヤツから前に出なァァ!!!(ドス声)

戦況が猟兵サイドに傾くまで
Krakeで撃って撃って撃ちまくってやる…!!


天通・ジン
カイザー・レイを守るために、巡洋戦艦を排除するために、まずはその直掩機を堕とす
大変な任務だが、なんとかやってみせよう

まず、敵の艦載機を撃退することに傾注する

使うのは、AIの支援によって、高速移動を可能にした俺の愛機
加速して追いかけてきたら一挙に減速
するとあら不思議、相手の後ろに着けるのさ
ドッグファイトの基本の動き
でも、基本が大事って言うだろ?

なるべく機銃射で仕留めるように気を付けるよ
敵戦闘機隊を殲滅して、なお余裕があれば、敵艦の上部艦橋にミサイルをぶちこむ。
そのためにも、迎撃隊相手にミサイルの無駄撃ちは避けるよ。

アドリブ歓迎、連携歓迎。
苦戦描写もOKだけど、機体撃墜だけはなんとしても避けるよ。


水衛・巽
ワタシこういうの好きよ。
キャットウォーク渡ったりとかダスターシュート登ったりして
中央制御室に奇襲かけて機能不全にするやつでしょ?

真ん中のあの一段高い所がブリッジ?かしら。
隠密行動はあんまり経験がないけど…
まあ、猟兵の襲撃受けて混乱している所を狙って艦内に侵入しましょう。
あとは倉庫とかバックヤード等、
人のいない箇所を選んでブリッジを目指すわね。
出会った相手は即座に斬るか燃やして、仲間を呼ばれないように。

もし見つかって騒ぎになったら、
奇襲はすぐに諦めてそのまま陽動ね。
めいっぱい注意を惹いて手助けするわ。

制御室に到着できたら、UCでコンソールを焼却処理。
帰り道は…まあ、なんとかしましょう。

●×10



●銀河に反逆の旗を掲げろ
「戦争が始まったか。この世界が無いと宇宙海賊出来ないんでね、叩かせてもらうぞ銀河帝国。各機、スタンバイ良いか」
「こちら天通、所定のポジションに付いた。カイザー・レイを守るために、そしてそれを守る巡洋戦艦を排除するために、まずはその直掩機を墜とす。大変な任務だが、なんとかやってみせよう」
「相手は巨大な宇宙戦艦か! シャーリー、怯まず行こうぜ!」
「うん! 宇宙の海はボクらの海! みんなの自由を奪う悪の帝国は許さないよ! ウィーリィとシャーリーの両名、いつでもどうぞ!」
「こっちもOKダ、いけるゾ。銀河帝国……貴様らの落日が近いようだナ」
 スペースシップワールドの宇宙空間、銀河帝国の戦略防衛兵器、カイザー・レイにほどなく近い宙域に猟兵たちが続々と集まってくる。
 彼らはそれぞれの思いを胸に、銀河帝国の率いる大軍勢を相手取るべくこの宙域に現れた強者たち。
 カイザー・レイを攻略するため、敵のディクタトル級巡洋戦艦に挑む彼らは既に軽く打ち合わせを済ませ、互いの作戦の方向性を打ち合わせていた。今、星の大海で火花が散ろうとしている。
「7時の方向に敵影多数! 速度はそれぞれ異なりますが、その全てが我が艦艇に近付いている模様であります!」
「よろしい。では、迎撃を開始せよ。主砲はチャージが完了し次第適宜現場の判断で撃て。私の許可を待つ必要はないが、無駄弾を打つでないぞ。次もあるのだ。艦載機部隊は前へ出、食らいついて敵の脚を止めよ。猟兵と共に主砲で焼かれることこそ誉と思え。では、乾杯」
「「「乾杯!!」」」
 近付いてくる猟兵たちを捉え、敵戦艦の内部もにわかに慌ただしくなっていく。
 この戦域で巻き起こる騒乱の中で、勝利の二文字を勝ち取るのはどちらであろうか。それは戦争が終わるまで、誰も分からぬこと。だからこそ、猟兵たちは自らの信義と技術を全て用いて戦うのだ。
「敵さんが戦艦を出してきたなら、こちらも宇宙戦艦で対抗するだけだ。こちらドミニクだ、打ち合わせ通り前に出るぞ」
「猟兵め、私の前で小生意気にも戦艦を出すか。それも、あれは密集陣形の構え……、面白い奴もいたもの。我が艦艇の総力を挙げて、前方の敵を打ち据えるのだ!」
 その宙域で戦端を開いたのは、ドミニク・トインビー(宇宙海賊のブラスターガンナー・f00622)の宇宙艦隊。旗艦である宇宙海賊船《バルディッシュ号》が銀河の闇に海賊の旗をはためかせて、銀河帝国へと反旗を翻す。
 【月の海賊艦隊】。ドミニクのユーベルコードで複製された宇宙海賊船は、彼の操る船に合わせて一糸乱れぬ陣形運動を取っていく。どこも突出することなく、18隻の戦艦が奇麗に並ぶその様は正に圧巻だ。
「チ……。主砲の射角を気取られたか? 奴の艦隊の後ろに他の猟兵たちも隠れているようだが……、この位置では主砲で薙ぎ払うことも出来ん。忌々しいが、敵艦の船長は見事な腕を持っているらしいな。……艦載機に指示を! いささか深追いの形になるが、これ以上の猟兵の接近を許すな!」
「敵さんもそろそろ焦れてきてくれる頃だと思うが……。ッ来た! さぁお前ら! 艦隊戦の始まりだ! 旗を掲げろ! 銀河帝国に仇成す俺達の旗をだ!」
 主砲に警戒し、敵の戦艦の射角を意識しながら正面から向かうことは避け、側面や背後を取るように立ち回るドミニクの艦隊移動の動きは名人芸といえる。
 宇宙空間での戦艦同士の戦いは、接敵する前の移動が肝要である。時に大きく、時に敵に意識の外を突いて大胆に移動していくドミニクの艦隊は着実に敵へと接近していく。
 そして、それに焦れた敵が、艦載機の群れを大量に猟兵たちに向かって差し向けてくる。その数は最早無数といえるほどの大群だ。宇宙の闇を更に覆うように、敵の暴力が宙を埋めて襲い掛かる。
「よし、来たか。まずは敵の艦載機を撃退してやる。ドミニク、こちら天通。出るぞ」
「伏兵……ッ! だが、それも想定の内よ。一機ごときで私の艦載機部隊をどうにかできると思うな」
 宇宙の黒の中にあって、白色のボディに赤い星がトレードマークの宇宙戦闘機が瞬いた。AIの支援によって、高速移動を可能にしたそれを駆るのは、天通・ジン(AtoZ・f09859)。
 ジンの操る戦闘機は、味方へと接近していく敵の艦載機の群れに単騎で突入していく。突出した彼をまず墜とさんと敵も方向を変え、再加速してジンの戦闘機を追いかけていく。しかし、その瞬間である。
 敵の艦載機の群れに追われるジンは、敵の接近を確認するや否や自身の戦闘機の速度を一挙に減速させると、宇宙空間で敵の背後に付いたのだ。ベクタード・スラストと呼ばれるマニューバ飛行の一種である。彼のユーベルコード【宙域戦闘機動】が、見事に敵に刺さった形だ。
 彼はそのまま180度のロールを行いながら射角を整え、機搭載ガトリング銃のトリガーに指を掛ける。狙いはもちろん、敵の艦載機の群れだ。
「速度と推力のコントロールはドッグファイトの基本の動きさ。でも、基本が大事って言うだろ? 武器制限解除――戦闘システム、"問題なし(アレス・グーテ)"」
 敵の数が多いということは、一度後ろに付きさえすれば「撃てば当たる」と同義である。しかし、ジンは無駄弾を撃つつもりはないようだ。
 彼は照準内に収めた確実に当たる敵にのみ、流れるようなタップ撃ちを仕掛けていく。正確にコントロールされた弾丸は宇宙空間を飛び回り、確実に敵の艦載機を仕留めていく。
 ジンが一度機銃掃射を行えば、放った弾と同じ数だけの敵が宇宙の藻屑になっていく。すでに撃墜スコアは数えきれないほどだ。
「……小癪な。エースという奴か……。だが、いつまでも一機のみの戦闘機に翻弄されるな! 艦載機部隊、まずは敵の艦隊を潰せ! 主砲の準備良いか! 味方の艦載機が敵の脚を止めたと判断した場合、諸共に放つのだ!」
「敵の艦載機の攻め手が厚くなってきたな……。ウィーリィ、シャーリー、出られるか?」
 艦載機を近づけさせないよう、密集陣形の構えを取った艦隊の機銃掃射を行うのはドミニク。しかし、彼の艦隊18隻のいずれもが完璧な動きを見せたとしても、敵の艦載機は千を超えるかというほどの大軍隊。数の戦いではやはり銀河帝国に利がある。
 しかし。猟兵たちは決して一人で銀河帝国を相手取るわけではない。彼らには味方がいるのだ。一騎当千の強者たちが!
「待ってたぜドミニク、こっちはいつでもOKだ! 派手に暴れさせてもらうぜ!」
「よーっし、それじゃあいよいよボクたちの出番だね! ハイメガシャーク、出撃するよ!」
 ドミニクの艦隊の影から戦場に現れるのは、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)とシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)の二人組。
 相棒のウィーリィとタンデムしているシャーリーは、自身の愛機であるハイメガシャークを操って敵の戦艦へと急接近していく。当然彼らの行く手には艦載機部隊が大量に待ち構えているが、彼女たちは速度を緩めない。
 シャーリーは【ゴッドスピードライド】でバトルモードに変形させた宇宙バイクを自由自在に駆り、ウィーリィと共に敵陣の間隙を縫って縦横無尽に動き回っては敵戦艦への距離を縮めていく。
「遅い遅い! ボクたちの移動に付いてこれないどころか、目で追い切れてもいないんじゃない!?」
「って待て待てシャーリー! 前! 前に敵いるぞ!」
 超高速で敵を翻弄するように動くシャーリーの前に、急旋回を行いながら体当たりを仕掛けてくる艦載機の群れがある。どうやら死ぬ気で猟兵たちを止めるつもりらしい。
「大丈夫だよウィーリィくん! この位置取りなら、絶対平気なんだ!」
 しかし、彼女たちの前に突如として現れた壁が、同じく唐突に崩壊していく。シャーリーはそれを予め予期していたかのように、爆発していく艦載機の群れの隙間を通り抜けていく。
 壁となった艦載機を撃破したのは、ジンの戦闘機の放つ一斉射だ。シャーリーとジンは互いに敵陣の中で息を合わせながら活躍を重ねていく。
「その距離までなら俺の射程内だ。幸運を祈る」
「ありがとうジンくん! 助かったよ! よーっし、こっちも! それっ、そこ! 当たれ! さーて、次の相手は誰かな?」
 艦載機の群れをもうそろそろ突破出来るところまで来たシャーリーは、オマケと言わんばかりに自身の持つブラスター、シューティングスターで弾幕を張っていく。
 ジンの動きも助けるように放たれるそれは、確実に敵を撃破して攻撃を寄せ付けない。
「……ック、何を突破されているのだ! ……猟兵との力の開きはここまでのものがあるというのか……! 仕方あるまい、主砲斉射用意! もはや艦載機部隊を半壊させたとしても良い! 猟兵を近付けさせるな!」
「ドミニクだ、敵の艦艇に主砲の動きあり。エネルギーの収束を確認した。いけるか?」
「こちらゲヘナダ。この日が、この時が来るのを待っていたゼ。この世界はオレたちが解放すル。……準備OKダ! デカい一撃かましてやるゼ!」
 ドミニクの連絡を受けて、ファランス・ゲヘナ(ブラックタールのスターライダー・f03011)がユーベルコード【文明破壊砲】を発動する。
 その攻撃は、彼の所有するコロニーレーザーが命令を受信し、超長距離からの火力支援を行うという内容のもの。宇宙空間で佇むどこかのコロニーレーザーに、エネルギーが充填していく。
「射線クリア。エネルギー充填良シ。こちらファランス・ゲヘナ! A2火力支援を要請すル。オーバー」
 ゲヘナが命令を下した次の瞬間、この戦域に巨大な光が現れる。熱とエネルギーの塊であるその光は、敵のディクタトル級巡洋戦艦に直撃していく!
 圧倒的なその火力の前に、一部の外壁は融解していく。敵の司令官も、これには驚嘆の色を隠せない。
「何事か! ……コロニーレーザーだと!? 被害状況を伝えよ! 損耗箇所付近の隔壁閉鎖! ……猟兵め、やる! こちらも主砲斉射だ! 防空システムも全て使え! もはや次があるなどという甘い考えは捨てるのだ! 各々の判断と照準に期待する! 撃てーーーーッ!!」
「いよいよか。味方の猟兵に次ぐ、敵の主砲のスタンバイを確認した。こちらの船を囮に動かす、出来るだけ凌いでくれ」
 【オールウェポンフリー】。敵戦艦の全ての火器が、いよいよ損耗を気にせずに動き始めた。その対策としてドミニクは複製した船を個別に動かすことで、敵の攻撃から味方の猟兵たちを守るべく囮にして見せる。
 敵の艦載機の群れから一度離脱してきたジンとゲヘナがドミニクの戦艦の影に身を潜めたのと、敵の主砲が発射されていくのは同時のことであった。
「猟兵の戦艦に着弾はしたが……。ク、例の戦闘機にバイク乗り達は難を逃れたか……! 邪魔な動きをしてくれるものだ! 主砲、再充填急げ!」
 敵の主砲が動きを止めている間に龍星号で飛び出し、接近していくのはゲヘナ。その隣で加速を続けるのはジンもいる。
 艦載機の群れは主砲の余波を喰らってまともに機能していない。今が千載一遇のチャンスだ。零距離にまで近づいたゲヘナは、やや旧式の熱線銃、戦士の銃で敵の戦艦に発砲を連続で行い、確実にダメージを与え続けていく。
「ぴき~ん。防空システムなんテ、龍星号の足の速さとオレの第六感の前には意味ないゼ! 右に回避ダ!! ↑↑↓↓←→←→AB!」
「無駄撃ちを避けてきた甲斐があったな、残りのミサイルを打ち込んでやる」
 敵のせめてもの迎撃である防空システムの自動機銃などの攻撃を難なくかわしていくのはゲヘナだけではない。同じく戦闘機の移動で敵迎撃をものともしないジンは、敵艦の上部へと回り込むと艦橋にありったけのミサイルをぶちこむ。
 機体の底部に搭載されていたそれらの火器は、ジンの狙いに違うことなくデッキへと誘導されていく。カタパルト上に待機していた艦載機たちは大打撃を受ける形となった。
「ウィーリィくん、着いたよ!」
「おう、ありがとうなシャーリー! よっしゃあ! 相手がどんなにデカくったってな、俺達料理人はでっかいマグロだって捌くんだ。そいつと同じ! 巨大戦艦の解体ショーの始まりだぜ!」
 敵の迎撃の間隙を縫って近付くのは彼らだけではない。シャーリーの駆る宇宙バイクも、また同様に敵の戦艦付近まで接近していた。お膳立ては整った。あとは、魔法を見せてやるだけだ。
 料理とは見る者を魅了する魔法だ。食べるものの心をつかみ、時には感化させることができる魔法だ。その魔法を生み出す料理人たちが、魔法使いでなくて一体何だというのだろう。
「猟兵に取り付かれただとッ!? 仕方あるまい、ある程度の被害は覚悟せよ! 今最も警戒すべきはあの刃物を持った男だ! 奴は他の猟兵に移動手段を任せていた! 「持って」いるぞ! 切り札を!」
 料理は魔法だ。そして、料理は火力だ。鍋の上で踊る色取り取りの食材たちを芸術作品に変えるには、時に氷を、時に炎を操らなければならない。料理人とは、即ち多数の属性を操る魔術師である。
 ウィーリィは自前の天霊大包丁を赤熱化させていくと、ユーベルコード【シーブズ・ギャンビット】を発動していく。だが、彼のとる行動はいつも通りのもの。
 早業で艦体に包丁を入れていくのは、素材の味を活かすためにいつもやっている包丁捌きと何ら変わらない。敵の装甲に切れ目が入った場所から艦の外装を引っぺがすのは、いつも行っている魚の皮を剥ぐ要領と何一つ違わない。
 彼は料理人で、その手に包丁を持ち、目の前に捌くべきモノがある。状況はそれだけで十分だ。
「料理ってのは下ごしらえが一番重要なんだぜ? しっかり皮を剥いで、内臓は処理をして、堅い肉にはキッチリ刃を通していくことなんて、料理人にとっては出来て当たり前のことさ!」
 そして魚のワタを取るかの様に、敵戦艦の内部メカを取り除いていくウィーリィ。彼の包丁は星が瞬くように輝き、高速で繰り広げられる切断は切れ目も鮮やかに艦の機能を低下させていく。
「外部装甲を剥がされ、防空システムのいくつかを遮断させられた上に、侵入経路を至る所に作られただとッ!? バカな、敵は魔法でも使っているというのか!?」
「料理は魔法だ! 覚えておきな! 我ながら完璧な下ごしらえだ、これならどう料理したって上手くいくぜ!」
 猟兵たちは見事敵戦艦に食らいつき、敵の距離から自分たちの距離に場所を変えて見せた。第一陣として突撃を行った彼らは、まさに大活躍をしたと言って良いだろう。

●楽しい事はいい事だ
「戦艦をぶっ壊せ、っていうのはわかったけど……ふーん、どうやって壊してもいいんだ? ほんとに? だったら……新しい魔法の威力、ここで確かめてみてもいいわよね? 楽しみになってきたぁ!」
「あーー……っと、ポケッティちゃん? 大暴れするのは全然オッケーなんだけど、潜入するまではちょっとタンマだかんね!? あー、こちらパウル! 打ち合わせ通り敵の艦載機ゲットしましたァ! これから潜入します、どーぞォ!」
 他の猟兵がコックピットを的確に撃ち抜き、殆ど損傷もなしの状態で残っていた艦載機を奪い、中に入って操縦するのはパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)。
 同乗しているのはポケッティ・パフカニアン(宝石喰い・f00314)だ。人間二人乗りでは些か狭い艦載機も、キマイラとフェアリーなら無事に乗り込むことができた。
 他の猟兵たちに専用の回線で合図を送りながら、パウルは加速して敵の戦艦に近付いていく。そのままカタパルト上に到着した彼は、オープンチャンネルのままこの空域に話しかけていく。
「こちら識別番号B-U-886! 現在オープンチャンネルで呼びかけている! 燃料の補給のため一時帰投したが、故障のためかキャノピーが開かない! 外からこじ開いてくれないか! オーバー」
「こちら管制塔! 確認した、人を向かわせる! 13番ゲートを開けるからそこから入られたし! オーバー」
 艦載機の元々のパイロットが身に着けていた情報と、帝国に利用されていたころの経験を基に、パウルは敵戦艦内に潜入を果たす。
「ヘヘ、上手くいったみたいだぜ……! オレもちょっと帝国には想う処もあるし、ほんの少しだけ……! 感情的になっちまっても良いよなァ……! それじゃポケッティちゃん、手筈通りに!」
「やるじゃないあんた! 見直したわ! それじゃ、あたしはどんどん奥に進んでぶっ壊していくから! 艦載機の方はヨロシクね!」
「オーライ! オーライだ! 止まれ、今出してやるからな!」
 無線を切り、艦載機に乗りながら低速のまま戦艦のゲートを越えていく二人。恐らくは整備員としての役割も兼ねているのだろう兵士たちが、彼らの艦載機を誘導していく。
 そして、その時が来た。キャノピーが開き、一人の妖精が空へ舞い踊る。それを確認したキマイラは、自身も飛び降りながら深呼吸を一つして、こう叫ぶのだった。
「スゥーー……ハァーー……、アア、いやァ……。何か、意外と普通に開けれたわ。お手数かけてゴメンね? そんじゃァ……生まれてきたことを後悔させてやっから、死にてェヤツから前に出なァァ!!!」
「な……ッ! 貴様、猟兵か?! どうやって……ギャァァァァァァァ!!」
 侵入さえしてしまえば、もはや本性を隠すこともない。パウルは【ゴッドスピードライド】を発動させ、自身の宇宙バイク、Glanzに跨って加速を行う。
 パウルは無重力空間であろうと構うものかと言わんばかりに急激にアクセルを踏み込むと、その勢いのままに内壁や兵士たちに勢いのまま突撃を行っていく。
 なぎ払い、轢き殺し、固定砲台であるKrakeも用いて障害になるものと人、そしてまだ飛び立っていない艦載機や艦艇の計器などを目に付いたものから順に破壊していく。妨害、阻害、破壊。彼の衝動の赴くままに、Glanzはそのスピードを上げていく。
「猟兵に侵入された! 敵は一人、増援をくれ! 場所は、じゅう、サ……!」
「あーあー、準備しておいてよかったわ。あれを見る限りじゃ、壁が壊れて宇宙空間に放り出されてもおかしくないなって思うもの。……まあ! あたしも思いっきりやるんだけどね!」
 つい先日手に入れた宇宙服を身に纏い、パウルが破壊して回った影響で重力圏と無重力圏の境が曖昧になった中でも自在に動き回るのはポケッティだ。
 彼女はパウルが派手に好き勝手している間に敵の死角入って目を盗み、侵入されたことを艦内に伝え増援を呼ぼうとしていた敵兵士の背後へと忍び寄ると、手にしたミニチュアレリックで静かに暗殺を行う。
「やるわよ! 【時砕く波動】! 場所だって狙いだってどこだっていいわ! 適当に吹っ飛ばすわよ!」
 ポケッティは運命の書を周囲に浮遊させながら魔力を練り、固め、増幅させていく。時空を操る彼女が行うその力は、限られた時と空間の中で反響し、際限なくその力を増していく。
 そして敵戦艦内を静かに進み、手ごろな場所まで付いた彼女はその力を四方八方にバラまいた。巻き起こるのは、未曽有の大爆発。ポケッティの魔力が戦艦の至る所で迸り、弾け、散っては咲いて敵に多大なダメージを与えていく。
「こちとらストレス溜まってんのよ! 好きに壊せって言うなら、その通りにしてやるわ! あはは! 吹っ飛べー! 吹っ飛べー! 一つ残らず廃品になれー!
「やるじゃんポケッティちゃん! 俺も負けてらんねえ、戦況が猟兵サイドに傾くまでKrakeで撃って撃って撃ちまくってやる……!!」
 猟兵たちの奏でる破壊と暴力の即興セッションは、どこかで爆発する魔力と唸りを上げるバイクの排気音を主旋律に、どこまでも鳴り響いて止まらない。
 副旋律は敵の兵士たちの悲鳴、裏で鳴るのは猟兵たちの鬨の声だ。パーカッションは不在だが、楽しい事はいい事だ。特に、猟兵にとって良いことであれば、なおさら。
 祭り囃子は終わることなく、内部へ、さらに内部へと場所を変えては敵の戦艦の中を盛り上げていくのだった。

●氷刃と流星の行方
「艦載機部隊へ通達! 猟兵たちに取り付かれた! しかし、本艦の守りを意識することはない! こちらは予備の部隊と防空システム、そして主砲がある! 各員、自らの戦闘区域で全力を尽くせ、以上だ。 ……チィッ!! 内部侵入者を早くいぶり出せ! このまま好き勝手されて堪るものかよ!」
「戦術レベル策定完了。さあ、本領発揮だイルダーナ! ……対宙戦闘用意! さあこっちだよ! ボクについてきてみてよ!」
 リア・ファル(バーチャルキャラクターの電脳魔術士・f04685)は制宙高速戦闘機、『イルダーナ』を駆っていまだ健在な艦載機たちをほとんど一人で相手取っている。
 あらかじめ周辺宙域を探査していた彼女は、暗礁宙域付近で戦闘移動を取ることで敵の艦載機の群れと互角以上の戦いを繰り広げていた。敵の数がどれほど多くとも、狭い場所で戦えば敵の戦力が活かされることはない。
 そうして敵配置や兵装も随時チェックしながら飛び回る彼女は多元干渉デバイス『ヌアザ』を手に取ると、ユーベルコード【五光の神速疾走】を使用して、更に戦闘力を増していく。
「ボクだって戦艦(の中央制御ユニット)だ、対宙戦闘で負けるつもりは無いよ! 銀河帝国に反旗を翻そう、イルダーナ! 突撃形態(アタックモード)へ移行!」
 敵の間をすり抜けつつ攻撃を重ね、艦載機を撃墜しながら速度を活かして攪乱していく彼女の活躍は正に万夫不当もかくやといったところ。
 だが、如何せん敵の数が多すぎる。直撃は免れたとしても、リアの身体には小さなダメージが蓄積されていく。
 しかしその時、猟兵たちの耳に宇宙服の通信を介して聞こえてくる、一つの声があった。
「過去が世界を食い潰すなんて、そんなのは絶対に、駄目。過去に紡がれた物語も、捧げられた祈りも願いも、それは、いつか迎える未来のためのものなのだから。さあ歌いましょう、1033の希望を乗せて!」
「この通信は……?! いかん! 砲手、方位93N4の暗礁宙域に主砲を放て! 手負いの今を逃すなッ!」
 この宙域に響く歌声は、ただの唄声ではない。ユウカ・セレナイト(すべての夢見る者たちへの賛歌・f13797)の魔力と、そしてなによりも「ねがい」の籠った特別なものだ。
 彼女の歌声を耳にした猟兵たちは、ユウカの口にする未来への夢や希望を紡ぐ歌に共感し、そして負っていた傷がなくなっていくのを実感する。
 それこそは彼女のユーベルコード、【すべての夢見る者たちへの賛歌】の効果によるものだ。月響の奏律の奏でる旋律は決して曇ることなく暗い宙を照らして、様々の場所で戦っている猟兵たちを癒し、励ましては戦場を支えてゆく。
「誰にも侵されないソラの果てを目指して旅立つのもいいわね その未来をもたらすのは誰? ……そう、他でもない私たち!」
「ヘッ……、こんな良い歌を聞いちまったらよォ、やる気がムクムク湧いてくるじゃねえか! おちおち休む暇もねえなクソッタレ! しかも相手は戦艦だぁ!? オイオイ、そりゃあ……最っ高に燃えるじゃねーか!! テクノロジー相手なら俺ぁ百戦錬磨ってなぁ!」
「まだだ! まだ間に合う! 狙いはあの宇宙バイクだ! 者共構えよ! 主砲、撃てーーーーッ!!」
 ユウカの歌に感化され、ヴィクティム・ウィンターミュート(ストリートランナー・f01172)も【DefenseProgram『Alcatraz』】を発動させる。
 彼の大脳に埋め込まれたデバイス、ウィンターミュートがその場に相応しいプログラムを脳に走らせ、左腕のトランシス・アヴァロンが信号を放って静かに慟哭する。
 ヴィクティムの武器、プログラムの矢がランしたのだ。目には見えないそれらは星の海と電子の海を即座に走り、敵の戦艦内に侵入していく。コードはペリカンの島。理不尽な牢獄を敵に課す必殺の力だ。
「攻撃役は他に任せるさ、俺はユーベルコードの防御障壁で味方の損害を減らしにかかるのが性に合ってる。それに、相手が戦艦ならシステム制御は……思った通りだぜ、まるでザルだ! 権限Get!」
「主砲制御システムが乗っ取られ、使用不可能に陥っただと?! ……~~ッ! 敵にウィザードがいるな……! もう良い、対策の打ちようがなかったこと故仕方のないことだ! 防空システムを自立型の自動制御に切り替えよ! そうすれば少なくともそちらは無事なはずであろう!」
 相手が戦艦なら得意のハッキングでシステム制御にちょっかいかけられないかと考えたヴィクティムの読みは奇麗にハマった。電子戦において、宇宙戦艦は脆弱に過ぎる。スタンドアローンのシステムだからといって、内部に侵入されてしまえばいくつかの武装の権限を奪い、無力化することは造作もない。
 主砲を完全に停止させたヴィクティムの働きは相当のものだ。暗礁宙域で最後の艦載機を攻略したリアは、今が好機とばかりに敵戦艦に突っ込んでいく!
「ヴィクティム! 助かったよ、ありがとう! ディクタトル級巡洋戦艦……落ちてもらう!」
「おお、リアか。なに、気にすんな。これくらい前哨戦の内さ。良い歌も聞いちまったしな……これくらいは働かねえとよ」
「――さあ、想像してみて 混沌の宇宙にいずれ訪れる平和な日々を 隣人たちと笑い合いながら平和に暮らす日々 新たな生命の在処を探求するのも素敵」
 ヴィクティムとユウカの援護に助けられ、リアはヘッドセット『ハローワールド』の電脳魔術でコントロールを乗っ取った敵の艦載機を、そっくりそのまま母艦にぶつけてやることに成功する。
 狙いは敵の停止した主砲、その真ん中だ。砲身に艦載機を詰め込んでやれば、たとえシステムが復旧したとしても敵はもう主砲を使えないだろう。彼女たちが、敵の主砲を封じて見せたのだ。
「ふふん、こういう暴れられる依頼というのは大歓迎だ。それに敵は戦艦、相手にとって不足はないどころかデカ過ぎないか…? まあそれもいいか、楽しんでいこうじゃないか」
「暴れていいんですか? ふふ、いいんですね。こういう戦争、僕は大好きです。さあ、楽しみましょう。マユラさん、合わせます」
 マユラ・エリアル(氷刃の行方・f01439)と逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)の二人も、ユウカの歌声を聞いて自分自身の魔力をより確実に練り上げていく。
 戦場で受けるダメージとは、何も直接的な損害だけではない。気付かぬうちに溜まっている緊張や、気負いもダメージの一つなのだ。最も、彼女たちがそういったものをどれだけ受けているかは不明であるが。
 予め小型艇を準備し移動していたマユラは、既にその周囲の宇宙空間に氷の刃を纏っている。彼女のユーベルコード、【氷刃展開】によるものだ。
 敵の弾を出し惜しみしない防空システムの迎撃も、何物をも凍らせて斬り裂く氷の刃の前には無力である。敵戦艦のほど近い所で二人は自分の愛用の杖を構え、自分の魔力を高めていく。
「さてはて、私のこの力がどれだけ通用するか……見ものだな? 宵といったか、同時に放つぞ。火力を分散させるよりその方が確実だ」
「人をして「こっち側」と言わしめる僕ですが、否定はしません。だって、火力はあればあるほど有利ですから。了解です、マユラさん」
 少なくとも彼女たちが歌を聞くことで、魔力を練り上げることに集中できたことは確かな事実である。マユラの氷刃のマントが宇宙空間で揺れ、Shadow of the Earthに冷気が充満していく。
 彼女の魔力は氷。凍てつき、斬り裂き、全てを凍らせる自然界でも屈指の力。彼女が一つ集中すれば、その度に周囲の魔力はその密度を増していく。宇宙空間という環境も、彼女の力を後押ししているのかもしれない。
 その隣で宵が構えるのはアストロ・ステッキ。星属性の魔法を用いるのに最適化されたその魔杖は、彼の魔力を吸っては先端にその力を発現させていく。
 宵闇のようなここで、周りに瞬く星々にも負けないほどに目映い光が姿を現していく。宵が用いる星属性の技を使うにあたって、宇宙は最適な場所といえた。彼の力の源は、周囲に数えきれないほど存在するのだから。
「さあ、この歌を聴いて あなたたちの胸の裡にある夢を、希望を その勇気を、願いを、祈りを 私の歌で、最後まで支えてみせるから!」
「……ッ、予備の艦載機を出せ! 1番から6番までハッチを開けろ! あの歌を歌っている猟兵を殺せ! 魔法を使う奴らをけん制せよ! そうしなければこちらがじり貧になるだけだ!」
「させねえよ。そう来るだろうと思ったからな。データシーフは全てを出し抜く。ハッチの開閉だってもうお前らの意思でどうこうなるもんじゃねえのさ。気づいた時には遅いぜ」
 敵の司令官が取る方策を、ヴィクティムは既に読んでいる。既にハッキングは終わっているのだ。走らせたプログラムは例外なく彼に戦艦のデータを教え、そしてヴィクティムはそれを見て敵の行動を選択肢を減らしてやれば良い。
 電子のウィザードが時間を稼いでいるうちに、二人の魔法使いが練り上げた魔力を力へと変えていく。氷の刃と流星の矢に姿を変えたその力が、今放たれようとしていた。
「ビズはさっさと終わらせるに限る。はた迷惑な銀河帝国ご一行の旅路はここで終わってもらうとしよう。後は頼むぜ、魔法使い(ウィザード)たち」
「我が手に満ちよ、氷の力。全てを凍てつかせ、そして切り刻め。【氷刃展開】。氷刃の名は伊達じゃないという事だ。覚悟しろ」
「太陽は地を照らし、月は宙に輝き、星は天を廻る。そして時には、彼らは我々に牙を剥くのです。さあ、宵の口とまいりましょう」
 宵の【天撃アストロフィジックス】と、マユラの【氷刃展開】が、全く同じタイミングで放たれる。魔力は形となり、力となって闇を斬り裂き、戦艦へとまっすぐに進んでいく。
 互いに邪魔することなく、むしろ魔力を呼応させるかの如くに戦艦に襲い掛かっていく氷の刃と流星の矢は、いとも容易く戦艦の外壁を食い破り、切断し、牙を剥き、凍てつかせていく。
「もう一度行きますよ、お覚悟を」
「さあ、氷刃の嵐に呑まれろ!」
 二人の魔法使いが貯めた魔力は、ユーベルコードの二連続攻撃を可能にする。高速で詠唱を行い、全力で魔力を解き放っていく。
 マユラは防御のために用いていた氷の刃も全て攻撃に転じ、宵の放つ流星は更に星々の加護を受けて輝き、その威力を増していく。二人の魔法使いによるフル・アタック。
 類まれな魔力センスと、的確なコントロールによって、二人の猟兵が放った魔法は戦艦の全く同じ場所を攻撃して、甚大な被害を及ぼしていく。決着の時は、近い。

●夢は潰え、あとに残るは破滅のみ
「破滅なり! 破滅なり! 破滅なり! ここが汝らの破滅なり!」
「新たに接近する猟兵たちを近付けさせるな! ここで私たちが墜ちるとしても、少しでも時間を稼ぐのだ! 私たちが命を賭して稼ぐその時間こそ、銀河帝国に捧げられる最上のものと心得よ!」
 ビードット・ワイワイ(根源的破滅招来者・f02622)は、単騎で宇宙の空を飛ぶ。
 彼のユーベルコード、【ビルドロボット】は無機物と合体することで自分の身長の二倍ほどの大きさへと変身することの出来る力。戦闘機と合体し、5m以上のロボへと身を変えたビードットは、自身を加速させながら戦艦に突撃していく。
 既に主砲は用いられることなく、敵の艦載機も今では少ない。防空システムの必死の迎撃もあったとして、多少の攻撃位であれば彼の道筋を邪魔するものは何もない。
 ガジェットである仮想破滅招来補助具・偏りし発展が起動する。かくして彼らは滅んだ。
 ビードットの用いるこの武器から一斉に放たれるのは誘導弾。それらは敵の攻撃に吸い寄せられるかのように宇宙を泳ぐと、敵の迎撃を全てもろともに打ち消していく。かくして彼らは滅んだ。
「見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり。見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり。ここで滅ぶのだ。ここで滅びるのだ」
 時折相殺を免れて彼に襲い掛かろうとする攻撃もあった。確かにあったのだ。しかし、彼らも滅ぶ。ビードットの二枚重ねの超重装甲、仮想破滅招来補助具・守りを強固には彼らの力を無に帰し、そして彼らの攻撃を滅ぼす。
 そうして戦艦に張り付いたビードットは、零距離からの射撃を敢行し、ほかの猟兵たちの活躍で脆くなっていた装甲もいとも簡単に破ると、内部への侵入を実現する。敵の予想は滅びる。甘い想像も壊滅した。次は何だ?
 彼は目の前に立ちふさがる敵の全てを破滅させるべく、何物も問わずに破壊し、滅ぼしていく。そこには一切の呵責すらない。
「この艦を墜としていくわけじゃな? しかし、こうすんなり星空に出るようになるとはのう……。まぁ困るわけでなし、無重力も中々悪くない。マルコ、準備よいか?」
「別に、こっちはいつでも。フーン、あのデカい戦艦の破壊ね。猟兵だからって何でも出来ると思ったら大間違いだよ。……まあ出来ないことも無いけど」
 マルコ・トリガー(古い短銃のヤドリガミ・f04649)とワン・シャウレン(潰夢遺夢・f00710)の二人も、内部への侵入を試みている口だ。
 【竜飛鳳舞】を使って宇宙空間の宙に足をかけ、同様の方向へと踏み出すことで推力を得るのはマルコ。
 【水霊駆動】を用いて自身に精霊の加護を纏い、高速移動と精霊の力を帯びた変幻自在の水の放射を可能にするのはワンだ。
 生身の状態で宇宙空間を自在に飛び回る彼らを捉えることは、きっと敵が混乱に陥る以前であったとしても難しい話だったことだろう。マルコとワンは互いに加速を続けていく。
 時に目ざとく彼らを見つけ、襲い掛かってくる艦載機もワンの水の放射による高速旋回を捉えることはできず、マルコの熱線銃の一撃で沈んでいく。
「やっぱり正面から当たるのはボクの趣味じゃないな。内部から味方を援護しようか」
「うむ、見る限り内部に入れば脅威は大分下がりそうじゃ。わしもその方が都合は良いが……何か案でもあるのかえ、マルコ」
 マルコは自身の七つ道具を取り出すと、正規の搬入口に接近して構造を探っていく。ビンゴだ。艦の出入口のロックも、彼にかかれば何の障害にもならない。
 二人の猟兵は正規の扉から戦艦に侵入すると、スイスイと敵の中枢部を目指して移動を開始していく。
「フーン、案外鍵の程度は低いみたいだ。それじゃ進もう。艦を操作するとこって見晴らしのいい上の方にあるのかな」
「ほほう、やるのう。中々の手際と見た。では、早速行くとしよう。目指すは敵の心臓部じゃな」
 マルコとワンは敵の戦艦内の正規の道を辿り、動力部と指揮系統の詰まっていそうな場所を目指して大胆に移動を行っていく。
 時折遭遇する兵士たちは、ワンの操る雨弦が音もなく始末していく。そしてそのまま通路の上部に通っている配線や、時折見えるコンソールなどを徹底的に破壊しながら彼らは進むのだった。
「なんだ、この程度なら銀河帝国も案外大したことないね」
「というかこの感じ、ここさえ壊せばそろそろ艦自体が墜ちるのかもしれんの。では、ここを壊して早々に脱出と行くか」
 二人が到着したのは、敵戦艦の機関部である。時に正規の道をひた走り、時に壁を壊して進んできた甲斐があったという物。二人の侵入のアプローチが良かったのだろう。
 マルコは残りのエネルギーを確認し、脱出に使う分は残して熱線銃からエネルギーを大量にばら撒いていく。ワンの構えるグローヴォイスも、音と光の精霊が咆えるように輝き、そして光弾を放つ。
 戦艦の機関部は大打撃を受け、既に爆発する寸前だ。それを確認した二人は壁の薄そうな場所を打ち抜き、蹴破って戦艦を脱出していく。どこまでも鮮やかな手際であった。
「…………。戦艦の機関部が……。そうか……! クソ……ッ! もはや、これまで……!」
 丁寧な侵入に成功したマルコたちと時を同じくして、ビードットもまた敵戦艦へと侵入を果たしていた。装甲を破っての無理やりの侵入ではあるが、結果として潜り込めたのだから何の問題も無いだろう。
「武器がありども内は弱き。装甲持ちども意味は無き」
「防空システムの自動小銃も、遂に落ちたか……ッ! なんと、嘆かわしい……! 私たちは最早破滅を待つしかないというのか……?」
 彼は艦内のコンソールから艦内システムにアクセスすると、ハッキングを計って辺りの電子の流れを全て壊滅させていく。
 敵機のコンピューターを介した運動はすべて破滅へと導かれ、データはその意味を消失して自戒し、破滅の道を歩む。ビードットの潜入もまた、敵戦艦を破滅へと導く大きな力の一であった。
「誇りし火力を我に放てし?できぬならばこれにて終い。ここが汝の破滅なり」
「いや……! 各員武器を取れ! これより私が陣頭指揮を執る! こうなってしまった以上、艦内に潜入した猟兵たちにせめて一矢報いようではないか!」
 大勢は決した。しかし、敵にまだ戦う意思がある以上、猟兵たちの戦いは終わらない。

●炎と氷にて、核を墜とさん
「なるほど、あれが敵の船?かあ……。俺はこういう宇宙の機械のことはよくわからんが……氷には弱そうだな?」
「ふふ、ワタシこういうの好きよ。キャットウォーク渡ったりとかダスターシュート登ったりして、中央制御室に奇襲かけて機能不全にするやつでしょ?」
「ほえええ、巽は物知りだな! 実は敏腕スパイなのか!? そう言われるとそんな風格があるような……!」
「そう! 普段は関西出身の陰陽師、しかしその実……! なんちゃって、そんなこと無いわ! ヴァーリャちゃんを信じさせちゃったかしら、ふふ」
 既にどこからでも侵入出来るほどの損害を被っている敵戦艦へと最後に乗り込むのは、水衛・巽(鬼祓・f01428)とヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)。
 他の猟兵たちによって至る所に破壊の爪痕が残っている戦艦内の構造を把握しているかのように、二人は迷うことなく進んでいく。
 それを可能にする力こそ、ヴァーリャのユーベルコード、【無邪気な川獺】によるものだ。彼女の冷気の力で作った極めて発見され難いカワウソは、侵入前から戦艦内を進んでヴァーリャに目的の場所を教えてくれていた。
 二人の狙いは、敵の核。コアマシンと呼ばれる戦艦の心臓部だ。
「猟兵たちを見つけたものはすぐに報告せよ! 奴らを逃すでないぞ、身命を賭して時間を稼げ! この艦が墜ちるとて、滅びの運命を共にさせてやろうではないか! コアマシンを狙ってくるかもしれぬ! そこを中心に探せッ!」
「ヴァーリャちゃん、……」
「! ……(コクコク)」
 倉庫とかバックヤード等の人のいない箇所を選んで進む猟兵たちを、帝国の兵士たちはそれこそ血眼になって捜している。
 彼らの負けはもう決定したといって良い。だが、それでも帝国に属する身としては思うところがあるのだろう。死なば諸共という覚悟の下、もはや沈みゆくだけの戦艦の中で猟兵と敵兵士の必死のHide and Seekが始まった。
「……ふはぁっ、ありがとう、巽。危うく見つかるところだったぞ……」
「気にしないで、何だかこの辺り敵が多いみたい。隠密行動はあんまり経験がないけど、意外と上手く……もしかして」
 敵の動きをいち早く察知し、ヴァーリャと物陰に身を潜めた巽が何かに気付いた。敵の会話で漏れ聞こえた、コアマシンという単語。もしや、それはもう自分たちのすぐそばにあるのではないか?
 そして、それを裏付けるようにヴァーリャのカワウソがコアマシンの位置を教えてくれる。場所はここよりも僅かに進んだ場所の下層。すぐそばと言って良い位置だった。
「巽、今カワウソがコアマシンの場所を教えてくれた。場所は……ここの一つ下の階層、少し進んだ場所みたいだ。方向も分かるぞ」
「すごい、ヴァーリャちゃんお手柄……! じゃあ……。そうね、敵が味方の猟兵の攻撃を受けて混乱している今がチャンスでもある、か」
 二人は小声で今後について軽く打ち合わせを行うと、互いに頷いて行動を開始する。ヴァーリャのスノードームと巽の川面切典定が一つ煌めくと、床には大きな穴が開いた。
 すぐさまそこから一つ下の階層に降り、行動を開始する二人。その足取りに躊躇はない。狙うべき場所も、方向も分かっているからだ。
「ーーッ!! 猟兵だーーッ!!」
「見付かった! まずいぞ巽!」
「ッ、そこッ!」
 しかし、降りてすぐのことであった。通路を走り、角を曲がったところで出会い頭に敵の兵士に見付かってしまった。
 遭遇した三人の中で最も動き出しが早かったのは巽だ。彼は呼気を一つ大きく吐くと同時に脚捌きを加速させ、足裏を床へと吸い付かせるように歩幅を大きくとっては滑るように空間を移動していく。
 この距離、しかも室内であれば脇差の方が取り回しの面で優れている。そう即座に判断した巽は、前進すると同時に鵺喚の刃を鞘走らせて抜き放ち、敵の首へと奔らせた。
 出会った相手は即座に斬るか燃やして、仲間を呼ばれないようにしようと予め考えていたからこそできる一瞬の動きである。しかし。
「見付けたぞ、猟兵。……。見事であった。貴君らの全ての行動に敬意を表しよう。だが、許してはおけぬ。共に死んでもらうぞ」
「ヴァーリャちゃん、行って。ここはワタシが食い止める。コアマシンの方をお願い」
「巽……! いや! 俺も一緒に戦うぞ! 一人よりも二人の方が絶対に良いはずなのだ! 二人でこいつらを倒して、コアマシンも壊してやろう!」
「それでこそ我が敵。……者共! 行くぞ! 私に続けェッ!」
 兵士の叫びは、敵の司令官と多くの兵士を呼び寄せた。コアマシンの部屋の入り口付近で、最後の戦闘が、今始まる。
「行くぞ、オブリビオン!」
 ヴァーリャは通路の敵たちに向けて自分のスケートで自在に移動していく。残像が残るほどの速さで床、壁、天井の全てを凍らせながら高速で舞う彼女の動きを、初見で見切れるものはここにはいなかった。
 彼女は先制攻撃として集団の戦闘にいる兵士たちへと氷の属性攻撃を見舞っては薙ぎ払っていく。武器に冷気を纏わせた素早い攻撃が振るわれるたび、敵の兵士たちは一人、また一人と倒れていく。
「甘いぞ少女! 兵士たちには効いても、その氷は私には通用せん!」
「氷が効かないなら、炎はいかが? 焼き尽くせ、朱雀」
 ヴァーリャの攻撃を見切って手持ちの火器で反撃を行うのは敵の司令官だ。
 彼女は敵の攻撃を床から壁へ跳び、さらに壁から一瞬だけ天井へと跳んでは滑って天井を蹴り、空中で縦に半回転しながら速度を乗せて床をまた滑ってはアクロバットに回避していく。進行方向はもちろん敵の司令官だ。
 そして、敵の司令官がもう一人の猟兵である巽を見た時にはもう遅い。彼の周りに浮かぶのは、赫灼たる朱雀の炎。全てを燃やす、四神の炎だ。
「……これまでか。帝国に……! 栄光、あれ……!」
 巽の放つ炎が敵陣を深く燃やし、包んでいく。そして最後に立っていた司令官も、ヴァーリャが靴裏に精製した氷のブレードによる蹴りで遂に倒れた。
 勝負あり。完全に、猟兵の勝利である。二人はその足でコアマシンのある部屋に入ると、一斉に技を放って破壊を試みていく。
「機械は、核を叩けば効果抜群だというのはアルダワでは常識なのだ! タイミング合わせるぞ、巽!」
「コアマシンを壊して、その後の帰り道は…まあ、なんとかしましょうか。行くわよ、ヴァーリャちゃん」
 冷気と熱。その二つがコアマシンを完膚なきまでに破壊し、敵の戦艦はいよいよ完全に沈黙した。

 作戦の大部分が完了したことを確認した猟兵たちは、互いに助け合いながら戦艦を脱出すると、カイザー・レイを構成するミラーも確実に破壊していく。
 彼らの活躍がある限り、銀河の歴史が途絶えることはない。
 未来を作り出す猟兵たちの力が、猟兵たちの活躍が、また一つスペースシップワールドを救う一歩となったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月05日


挿絵イラスト