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銀河帝国攻略戦⑦~鏡に潜む

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 無限に広がる大宇宙。
 そこに浮かぶのは巨大な鏡。帝国の誇る超兵器、集積型反射鏡『カイザー・レイ』だ。近づく者を圧倒する異様は、今まさに猟兵たちの総攻撃を受けようとしていた。
「しかしおかしいな、ミラーはオブリビオンに守られているはずなんだが……」
「まあ、そういうこともあるさ。今のうちだぜ! 」
 攻め込んだ猟兵たちは、しかし、その目的を果たすことはできなかった。
「な、なんだ!? 何かに攻撃されっ、てっ」
 ある者は見えない【遠隔操作型ナノマシン】の攻撃を受け、
「一体どうし……」
 ある者は死角からの【レーザー】に急所を撃ち抜かれ、
「み、みんな……くそっ、一旦下がって体勢をたてなお……馬鹿な!ドラゴンだと!? 」
 ある者は突如現れた【ドラゴン】の頭部に噛み千切られた。
 数分後、惨劇の主である『餓狼無道』は食い殺した猟兵を咀嚼しながら呟いた。
「ああ……不味い……」

「星の海に飛び出してまで戦いとは、面白いな! 」
 愉快でたまらないという風に透音・アリア(逢魔刻の独唱曲・f00078)が声をあげる。
「銀河帝国攻略戦が行われるという話は皆知っているかい? 」
 頷く猟兵たちを見回してから、アリアは続ける。
「その中でも『カイザー・レイ』というやつに関する予知をしたんで、聞いてくれ」
 彼女の説明によると、その『敵』はミラーの中にプログラムとして隠れ潜んでおり、不意打ちをしてくるらしい。攻撃能力も一つを除いてはステルス性や遠距離攻撃などに向いており、待ち伏せに気付けなかった猟兵たちは全滅してしまった……という。
「とはいえ、予知できたからにはそんな無様は晒さずに済むはずだよ。タネがバレれば後は簡単、撃破をお願いできるかい? 」
 そういって自称『魔女』はにっこり微笑んだ。


豊葦原中津国
 はじめましての方ははじめまして。そうでない方はまた見て下さってありがとうございます。
 豊葦原中津国(とよあしはらなかつのくに)と申します。
 御用とお急ぎでない方、よろしければ参加してみて下さいませ。
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第1章 ボス戦 『餓狼無道』

POW   :    ライクアヒュドラ
自身の身体部位ひとつを【ドラゴン】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    キリングイカロス
【高速演算による正確な未来予測】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【急所を撃ち抜くレーザー】で攻撃する。
WIZ   :    デウス・エクス・マキナ
見えない【遠隔操作型ナノマシン】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はエクサ・カラーヌドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レイ・アイオライト
【SPDを選択】
レーザー攻撃……それも未来予測による完全必中のレーザーね。
それなら、その未来予測をしても勝てないように戦うだけよ。
UC『変幻ナル闇ノ曙光』で宇宙空間全ての闇に体を同化させるわ。相手は全てを狙う必要が出てくるわよね?
「アンタは今、宇宙の闇全てを敵に回してるのよ」
そんなの無理なのに、レーザーは何もいない宇宙空間を横切るだけ。相手に『恐怖を与える』ことができるはず。
遠距離攻撃には遠距離攻撃よ。影の刃でレーザー光を真っ二つに割いてその先にいる餓狼無道共々『鎧無視攻撃』でカイザー・レイを破壊してやるわ。


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携希望】

幽霊の正体見たり枯れ尾花……だったか。
タネが割れかけてる手品師さんのトリック、
全部バラシてやるよ!
通信能力を強化したスマホを経由して、
【超感覚探知】でオブリビオンとリンク。
奴の行動パターンや行動タイミングをつかんで
他の猟兵と情報を共有、皆が攻撃を回避できるよう立ち回るよ!
もしアタシの存在に気付いても…
プログラムなら電撃にどれだけ耐えられるかね?

サイキックブラストで迎撃。
それでも食い下がるなら【黄泉送る檻】をぶち込むよ!


メイスン・ドットハック
中々にいい能力を持っておるのー
ならば有効活用させて貰おうかのー

相手のデウス・エクス・マキナをわざと受けて、ユーベルコード「鏡の国のアリス」を発動
相手の遠隔操作型ナノマシンをラーニングして、感電ワイヤーを敵の空間付近に縦横無尽に設置(罠使い、破壊工作)
うかつに動けないように拘束したら、ワイヤーフックで敵を掴み、引っ張り上げて感電の罠に叩き込む

そして退路に予め用意しておいた地雷を、ナノマシンで動かしておいて足元から吹き飛ばすトラップを仕掛けておく(罠使い、破壊工作、地形の利用)


ペイン・フィン
見えないのなら、探しながら戦うだけ、かな・・・・・・。

【情報収集】【暗視】【第六感】【追跡】をフルで活用して、敵の位置を探ろう。
敵を発見し次第、即座にコードを使用して攻撃。
使用する拷問器具は、パルススタンガン。
特別製で、機械や電脳の存在に“苦痛”のデータをインストールさせるものだよ。
【傷口をえぐる】【破壊工作】【マヒ攻撃】【ハッキング】【気絶攻撃】【メカニック】技能も併用。
仲間の与えたダメージ増加を狙いつつ、相手の動きを鈍らせよう。


ニキ・エレコール
銀河帝国……私の星は守れなかったけど、次は全てを壊すと言うのなら、私達は今度こそ阻止してみせるよ。
その為にもまずはこの兵器を壊さないと。
鏡の中に潜むなんて卑怯だけどでも居るとわかってるなら大丈夫。
【影縫い士召喚】で狩人様に撃ち抜いてもらって、もう鏡の中になんて逃がさないよ。
もしもすぐに餓狼様が見つからなかったら狩人様には身構えてもらって、『オーラ防御』を展開しつつの雷撃の『属性攻撃』であぶりだせないか試してみるね。
(※アドリブ・連携大歓迎)


ミルフィ・クロックラヴィット
アドリブや他の方との絡みも歓迎

カイザー・レイなどと…
銀河帝国もいよいよ
本腰を入れて来たと
いう事ですかしら…

『ひとつ、電子のドラゴン退治と参り、カイザーミラーも破壊させて頂きますわ…!』

味方の猟兵の方々と連携し
『餓狼無道』と戦闘

ナノマシンやレーザー等の
遠距離攻撃には
自身の
『アームドクロックワークス』
からの【技能】で範囲攻撃や
フルバースト・マキシマムで
対処しつつ
手にした【ジャバウォックの爪牙】での近接戦も行いますわ

『剣戟だけではございませんわよ…こちらにも、遠距離手段は用意してございますのよ…!』

敵を撃破出来たら
皆様方と共に
カイザーミラーに
一斉攻撃
破壊致しますわ

『この砲撃で…鏡割りと参りますわ!』


チガヤ・シフレット
宇宙だ、銀河帝国だ、攻略戦だ!
はっはっは、暴れ甲斐がありそうじゃないか。

不意打ちが得意でも、ネタが割れてりゃ、世話ないよなぁ?
きっちり警戒と対応をしつつ、やってやるか。

両手足の義手義足から内臓兵器を起動。銃火器メインでまずは【二回攻撃】しつつ手数で押していこうか!
プログラムだとかなら【属性攻撃】で電気系をぶつけてやればいかれるかも知れないな!
ショートショート!

一応、他の猟兵たちを【援護射撃】しながら、確実に削っていってやろう。
ドラゴンの頭で噛み付いてきやがるなら、腕からブレード出して応戦だ。ぶった切ってやろうじゃないか。

ぶち込める隙があったら【一斉射撃】で派手に決めてやろう!


黒玻璃・ミコ
◆心情
うふふふ、まさか宇宙で出会うことになろうとは
カテゴリー・ドラゴン、竜種はすべからく私の糧となって頂きましょう!

◆行動
【黒竜の恩寵】で防御力UP
他の猟兵の方々と連携し
私は陽動役として敢えて目立つ様に突入です
待ち伏せしてきそうな場所を【戦闘知識】と【拠点防御】で予想し
【毒使い】で思考力を低下させる毒を風に乗せ【おびき寄せ】ましょうか
うふふふ、【暗視】と危地を察する【第六感】を備えた私を易々と落とせると思ってましたか?
貴方達が抵抗すればする程
私の傷を癒す【生命力吸収】と因果応報たる【カウンター】は猛威を奮うのです
止めは【気合い】を入れて【怪力】を込めた飛槍で【串刺し】にしご馳走様です( 人 )


タイタス・レイヴン
【SPD】
「タネがわかれば話は違う。ミラーごと破壊しまおうか。Let's morphing !」
変身コールで完全戦闘形態へと変身。周辺を【情報収集】し敵の攻撃を【見切り】逆に【先制攻撃】を仕掛けるべく【第六感】で警戒。
ライドトルーパーに【騎乗】【操縦】し、搭載ガトリング砲でミラーごと隠れているであろう餓狼無道に弾幕を張る。
「姿を現したか?カイザー・レイと私のプロメテウスファイアどちらが上だろうな?原初にして終極の炎にて燃え尽きるがいい!事実上フルパワーで扱えないのが残念だがな。」プロメテウスファイアの複数の炎を操り追い詰め、トドメを合体させてぶつける。
※最大1TK(テラケルビン)=最大約1兆℃


筒石・トオル
【POW】
レーザーは熱系だし、UCで炎の魔力で防御力を上げ、更に【オーラ防御】を追加して防御を固めておく。
生命力を奪うならこちらも。ルーンソードを振るい【生命吸収】してみよう。同じ事をされればイラ付くだろうし、精神的に揺さぶりを掛けられたら御の字。
メインは剣と思わせて、攻撃を【見切り】【フェイント】でかわし、至近距離からの熱線銃での攻撃に切り替える。【だまし討ち】【零距離攻撃】【2回攻撃】でダメージを与えられればと思う。
「生命力を奪うなら奪い返すまでだよ」
「剣、だけじゃないんだよね」
「油断大敵、だよ」

アドリブOK。私的に仲間のサポートが出来れば嬉しいです。



●アンリピート・ミッション

 無限に広がる大宇宙。
 そこに浮かぶのは巨大な鏡。帝国の誇る超兵器、集積型反射鏡『カイザー・レイ』だ。近づく者を圧倒する異様は、今まさに猟兵たちの攻撃を受けようとしていた。
「……確かにオブリビオンの姿は見えないな」
「まあそういうこともありますわー」
「よーし、いまのうちにせめちゃいましょう! 」
「はい、絶対に止めましょう」
 と、先陣を切るのはチガヤ・シフレット(バッドメタル・f04538)、ミルフィ・クロックラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・f02229)、黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)ニキ・エレコール(黒枝手繰り寄せるイリア・f04315)の四人。ミラーを守るはずのオブリビオンの姿は見えないが、それは罠。本体がプログラムである『餓狼無道』は不意を打つべく、ミラーの中に潜んでいる筈だ。‘予知’の中では挑んだ猟兵たちは敗れたが、知ってさえいれば同じ轍を踏むことはないだろう。現にカウンター作戦を準備している猟兵たちも多数いる。とはいえ、潜んだままの相手にはカウンターは仕掛けられない。そんなわけで、半数の四人が先行することとなったのだ。
「…………」
「どうしました? チガヤ様」
「いや、こう……宇宙っぽくないような、それでいて宇宙らしいような……」
 UDCアース出身のチガヤの持つ宇宙のイメージからすると、少し不思議な感じがするのだろう。UDCが戦う邪神たちも不条理な存在ではあるが、主に惑星上での戦いである。ましてや今は『極薄かつ透明で、防具の上から着用できる高性能宇宙服』というよくわからないがとてもすごいモノを装備して、宇宙空間でも地上とあまり変わりなく戦えるのだ。
「心底助かるんだが、物足りない感じ? 」
「乙女心はフクザツですわね」
 27歳が8歳に乙女認定されるの図であった。

「さぁて、そろそろだな! 宇宙だ、銀河帝国だ、攻略戦だ! はっはっは、暴れ甲斐がありそうじゃないか、行くぞ!」
「ひとつ、電子のドラゴン退治と参り、カイザーミラーも破壊させて頂きますわ……! 」
(「うふふふ、まさか宇宙で出会うことになろうとは。カテゴリー・ドラゴン、竜種はすべからく私の糧となって頂きましょう! 」)
(「銀河帝国……私の星は守れなかったけど、次は全てを壊すと言うのなら、私達は今度こそ阻止してみせる」)
 四者四様の思いを胸にミラーへと攻撃を開始する。
「危ないです! 」
「……! 」
 ミコとチガヤがそれぞれニキとミルフィを突き飛ばした。直後、四人が居た場所をレーザーが貫く。
「一人も仕留められないとは……勘がいいヤツがいるな。しかし、いつまで持つか」
 どこからともなく声がする。そこにあるのは恐れでも焦りでもなく、面白がる声色。
「猟兵よ、楽しませてくれるか? ルーチンワークはもう飽きたぞ」
 電子プログラムの竜は、進化を望む。

●サーチ・アンド・デストロイ

 四人が餓狼無道の奇襲を受けたとき、そこから少し離れて待機していた二人もまた、戦いを開始していた。即ち、敵の補足。奇襲による致命的な被害を避けた猟兵たちだが、敵がなお姿を消していることには変わりない。
「 幽霊の正体見たり枯れ尾花……だったか。タネが割れかけてる手品師さんのトリック、全部バラシてやるよ! 」
「見えないのなら、探しながら戦うだけ、かな……。と思っていたけど、探すのに集中させてくれるんだね。……任された」
 分析、補足を担当するのは数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)とペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)の二人。ペインは戦いながら分析するつもりだったが、先行した四人との相談の上で後方で集中することになっていた。曰く、
「囮は十分。分析能力に秀でてる人は、そっちに集中してくれた方が助かるはず」
 先行メンバーとて、素人ではない。戦いながら敵の位置を探ることも不可能ではないだろう。だが、やはりそれを専門にリソースを割いた者がいる方が効率はいい。単騎で強力なオブリビオンに対するにあたって、猟兵のアドバンテージはそこだ。活かさない手はないだろう。漆黒の宇宙空間を多喜とペインの‘眼’が走る。スマホを経由した電子の眼は多喜、彼女はそれと同時に得た情報の中から有用なものをピックアップしては仲間に送信している。対して実際の眼を使うのはペインの仕事だ。闇を見通す目は、宇宙に漂う障害物の影を明らかにする。攻撃の軌道を逆に追跡して発生元を特定する。勘も経験の蓄積から来る立派な情報だ。それらと、多喜から送られてくる情報を並列に分析してフィールドバック。多喜はまたそれを使って精査する。
「きたっ、ここだっ! 」
 ペインがハッキングし、多喜のスマートフォンがオブリビオンの感覚とリンクする。この情報を送れば前線は格段に楽になるはずだ。ほっと一息……ではない。繋がったということは相手からもこちらが‘見れる’のだ。本当の攻防はここから――。

「舐めてた! ネタが割れた手品も結構やる! 」
 本当に油断していたわけではないだろうが、チガヤが叫ぶ。ニキのオーラ防御を盾にしつつ両手両足の内蔵兵器で牽制射撃を放つ。多喜たちから送られたデータによる指定個所と、自分の勘に従った場所。敵は未だに完全には見えない、チガヤは手数を増やすことで試行回数を増やし、対応している。チガヤが手数なら、ミルフィは面攻撃。専用のアームドフォート『アームドクロックワークス』の砲撃の砲撃は何度か餓狼無道を捉えている。
「なかなか致命傷とはいきませんわね……」
「危ないです! 」
 自然、機動性に関しては下がるため、ニキがしっかりガードのためについている。そして、先行メンバーの眼となっているのがミコだ。【毒使い】と【おびき寄せ】を組み合わせての誘導も何度か成功し、痛打を与えもした。それによって敵の警戒度が一段階上がったのも、最終的には殲滅し合う相手との戦いだ、仕方ないところだろう。
「しかし、確かに思ったよりしぶといですね。我慢強くもある」
 主に危険なのは急所を狙ってくるレーザーだが、遠隔操作型ナノマシンも何をしてくるかわからない点が脅威だ。回避とを繰り返す間にじわじわとミラーから引き離されてきている。
「まあ、倒してからじっくり破壊すればいいんですし、それほど問題では……。はっ!? 」
 そう、相手も馬鹿正直に前衛だけを相手する必要はないのだ。四人がそれに気づいた時、多喜やペインの居る方向に光条が走った。

 電脳戦をしていた二人にレーザーが襲い掛かる。未来予知によって精度を上げた、急所を狙ったレーザー攻撃。即死はしなくとも、一撃でも直撃すれば、戦闘の継続は困難になるだろう。そして‘眼’を封じられれば戦闘は猟兵にとって不利に動く。せめて一人だけでも、と多喜が庇おうとしたその時だ。レーザーの前に飛び出す影二つ。
「Let's morphing !」
「油断大敵、だね」
 ひとつはバイク。みるみるうちに乗り手と合体し、4m近い巨体の完全戦闘形態が完成する。
 ひとつはそれとは比較にはならないくらいの小柄な影。ただしその身体は炎の魔力で防御力を強化され、さらにオーラの防御を纏う。
(「僕は僕の役目を果たすだけ。役に立たなければ、僕の居場所は無いから」)
 そんな想いは口には出さずに。餓狼無道の放つレーザーは、精密に急所を狙っている点が脅威である。それは逆に受ける点をずらせば最大の効果は出せないということ。さらにしっかりと防御を重ねておけば正確な点攻撃は減衰しやすいともいえる。
「うむ、まだ……やれるっ! 」
「……こっちも、なんとか」
 二つの影、タイタス・レイヴン(復讐の大鴉・f06435)と筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)が無事を告げる。
「喰らった分は、吸収してやるから……ね」
 ちょっと座った目で呟くトオルだった。

●ストライク・バック

 タイタスとトオルを加えた後衛チームは逃走を開始する。対する餓狼無道はレーザーの頻度を減らし、ナノマシンによる介入を主体に切り替えてきた。タイタスたち二人に防がれたからであろう。実際のところ、見た目ほど無事ではなかったのだが、二人が身を挺した甲斐はあったと言えよう。後衛チームの後退に合わせて、前衛チームも追従して来ている。ミラーから引き離せるなら、餓狼無道としては問題はない。静かな攻防を繰り返しながら戦場が移動していく。やがて、後衛チームが動きを止めた。
「追い掛けっこは終わりだ」
「……諦めた、か? 」
「そんなわけないだろう。防御、だけじゃないんだよね」
 仕掛けたのはトオル。防御担当と思わせておいての見事な【だまし討ち】だが、それすらもフェイントだ。ルーンソードの一撃目がかする程度に振るわれ、咄嗟に回避行動をとるオブリビオン。それは、剣の軌道の周囲に存在することを示す。幾つもの眼による解析が、餓狼無道を守る不可視の帳を引き裂いていく。
「中々にいい能力じゃったのー。有効活用させて貰ったのじゃよー」
 幾分暢気に聞こえる声が、決着への引き金を引いた。この宙域に決着のための準備をしていたメイスン・ドットハック(引きこもり志望ハッカー・f03092)の声だ。彼女は早い段階でユーベルコード【デウス・エクス・マキナ】を受けて【鏡の国のアリス】を発動しその能力をコピーし、ナノマシンを利用して罠を張り巡らせていたのだ。待ちわびていたのはもう一人、レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)
「あたしは影。あたしは闇。アンタを喰らう、暗黒の黄昏―――!」
 ユーベルコード【変幻ナル闇ノ曙光】で周囲の闇、即ち宇宙と一体化する。新たに現れた二人の猟兵に対し、餓狼無道は咄嗟に未来予知を行う。それは彼のオブリビオンにとってはルーチンワーク。敵と認識したものを記録する行為。だが、今度ばかりはそれが命取りとなった。
「アンタは今、宇宙の闇全てを敵に回してるのよ」
レイが宣言する。言葉ほど余裕はないが、そんな風には見せない。さしものオブリビオンでも、宇宙全ての未来を演算する処理能力などは備えていない。
「ア、あああああ、ヴアアアアアアアア! 」
 電子の竜が叫び声をあげながら実体化していく。その両手両足は出鱈目な順番でドラゴンの頭へと変わっては戻って、大暴れしている。処理能力の限界を超えた演算を行ったため、半ば暴走しているような状態であろう。
「今がチャンス、だけど……」
 下手に近づくのは危険を伴う。だがそこに、
「お、デカい的だな! 撃ち放題だ! 」
「うふふふ……おいしそうな、ドラゴン……」
 チガヤとミコが追いついて攻撃を開始する。一時は気圧されかけた猟兵たちも二人の様子を見て気を取り直した。先ほどまでとうって変わって精密さを失ったレーザーが乱射されるが、ニキとトオルのオーラ防御が猟兵たちを守る。同化を解いたレイなどはレーザーを影の刃で切り裂きながら遡り、反撃している。メイスンの張ったトラップワイヤーは深々と食い込み、餓狼無道が巨体を生かして大暴れすることを防いだだけでなく、電撃を流すことで体力を奪っていっている。ペインのパルススタンガンは電子プログラムが概念としてしか持ち得ない“苦痛”のデータをインストールして苦しめる。
「姿を現したか?カイザー・レイと私のプロメテウスファイアどちらが上だろうな?原初にして終極の炎にて燃え尽きるがいい!事実上フルパワーで扱えないのが残念だがな」
 一兆度とまではいかないが、超々高熱がオブリビオンを焼き焦がす。能力を破られ、猟兵たちの集中砲火を浴びた電子の竜『餓狼無道』が滅びるのはもう時間の問題と思われた。が、プログラムは最後のあがきをする。
(「ここでの敗北は受け入れよう。だが、滅びはしない。ミラーなどくれてやる! 俺は滅びない……! この経験を持ち帰り、本体のアップデートを……」)
 一部、ほんの一部を切り離し、逃げようとしたのだ。大火力で焼き尽くそうとしている猟兵たちはそれに気づくことができず……。
「冥闇射貫く狩人よ、今此処に蘇れ」
 いや、気づく者があった。
「もう、逃がさないよ。もう、悲しいことは繰り返させない」
 ニキの呼び出した【古代の狩人の霊】がそれを縫い止め、さらに【属性攻撃】の電撃がプログラムの欠片を破壊する。ちょうどその頃、巨大なオブリビオンも【串刺し】にされていた。
「ご馳走様です( 人 )」
「えっ、マジで食べるの? 」
「あはははは」
「えっ、否定してくれないの? 」
「うふふふふふふ」
「怖ええ!! 」

「それでは皆様! 鏡割りといきましょう!! 」
 ミルフィの号令で全員が最大火力を『カイザー・レイ』へと向ける。帝国が誇る超兵器といえども、守り手がいない裸同然の状態で、猟兵たちの攻撃に耐えられるものではない。やがて爆散して宇宙の塵となるのに、さほど時間も掛からなかった。

 無限に広がる大宇宙。そこに、静寂が戻った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月04日
宿敵 『餓狼無道』 を撃破!


挿絵イラスト