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羅針盤戦争〜守ると決めたもの~

#グリードオーシャン #羅針盤戦争

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#羅針盤戦争


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●襲撃
 うねる触腕が、びたん、びたんと音を立ててその巨躯を這いずり進ませる。
 その島に現れたのは巨大な蛸だ。いや、一見して蛸と判別できないような禍々しさを纏った、まさしく怪物。
 海岸線にて応戦する者、自慢の船から砲弾を浴びせる者、様々に戦う彼らは皆、その島を統治する海賊達。だが、彼らの力では蛸の怪物を押し止める事ができない。
「チッ……蛸のくせに陸に上がってきてんじゃないよ!」
 舌打ちした巨人の女海賊は彼らの首領であろう。しかし彼女の体躯と巨大なカトラスをもってしても、蛸は、巨大すぎた。
 彼女にできることは、手あたり次第に手下を食おうとする触腕をなんとか退け、その生命を守ることだけ。
 このままでは、いずれ手下も、彼らと築いてきた集落も食い尽くされてしまう。
 脳裏を過る最悪を振り払い、女海賊は声を張り上げた。
「アンタ達! 『森』で備えなァ!」
 指示に、一瞬の動揺を見せた手下達だが、敬愛する頭の言葉に、頷きあって駆け出した。
 一か八か、この場所ならと、祈りを込めて――。

●戦場
 グリードオーシャンにて、『七大海嘯』が大攻勢を開始した。
 それにより、彼らの麾下の精鋭であるコンキスタドールが島々へ攻め入ってきたのだ。
 元々海賊が統治している島であるため、海賊達が応戦しているが、精鋭の力は並大抵のものではなく、どこもかしこも旗色が悪すぎる。
 その中の一つへ加勢に向かってもらうよとエンティ・シェア(欠片・f00526)はやや急ぎの口調で説明を始める。
 島はおそらくダークセイヴァーから落ちてきたのであろう。深い森に覆われた高低差の少ない土地だ。
 その中心部にある廃城周囲に集落が築かれ、人々と海賊達はその場所での生活を主としているのだそう。
「この島は――いや、この島を覆う『森』は、侵入者を排除するありとあらゆる罠が設置されている。今回もそれらを駆使して戦う心づもりのようだ」
 もっとも、相手は巨人よりも巨大な蛸の怪物。ただ体を進めるだけで、罠諸共木々を薙ぎ倒して進むことだろう。
 それでも、陸であり、深い森であり、罠が設置されているその場所を横切ることは、十分な足止めになるはずだと、彼らは考えた。
「そう、十分だ。海賊達と協力して、できる限り敵の足を止めさせ、その隙をついて攻撃をしていくといい」
 どのような罠を、どのタイミングで動かすか。それは猟兵達が己の戦闘スタイルに合わせて指示していい。
 そうして罠の発動に手下を注力させることで、手下を守ることに手一杯の首領も攻勢に出ることができる。単純に強力な巨大カトラスによる剣技は、大きな力となるはずだ。
「ちなみに彼らを逃して自分達だけで戦うというのは勧めない。彼らの領域におびき寄せて敵の力を削ぐべきだし、その領域に入るならば、彼らの助力は必須だからね」
 罠をかいくぐりながら相手取れるような敵ではないよと強く言い、それから、微笑んで。
「禍々しくとも蛸は蛸だ。食欲旺盛な蛸殿を、逆に狩って食っておやりよ」
 美味しいかどうかはわからないけれどと言いながら、戦場へ至る道を開くのであった。


里音
 戦争です。張り切ってまいりましょう。

 今回のシナリオでは海賊達と協力することでプレイングボーナスを得られます。
 現地の森では海賊達が様々な罠の発動準備をして待ち構えています。
 基本的には原始的な仕掛けの罠ばかりですが、こんな罠があると良いな!をご自由にご指定下さい。
 海賊との交渉などは必要ありません。加勢に来たと分かれば即味方してくれます。
 ※集落まで突破させないことが目的ですので、集落側での行動は基本的に不採用となります。

 ちなみに女海賊さんは「ミグラ」という名で、身長5M弱、カトラスによる剣技で立ち回ります。
 他の海賊さん達は一般人間サイズの種族です。

 当シナリオは人数控えめでスピード重視の運営となる可能性があります。
 概ね先着順での随時採用を予定(内容次第での不採用はございます)。
 多くを採用できない場合がありますので、予めご了承くださいませ。

 皆様のプレイングをお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『クラーケン』

POW   :    叩き付け
単純で重い【腕】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    締め上げ
レベル×1tまでの対象の【全身】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
WIZ   :    墨吐き
海の生物「【蛸】」が持つ【墨吐き】の能力を、戦闘用に強化して使用する。

イラスト:烏鷺山

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠四宮・かごめです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アルデルク・イドルド
アドリブ連携歓迎

罠か…俺も多少の心得はあるが。どちらかと言うと解除の方が得意だな。
まぁ、無いよりはあったほうがいい。
利用させてもらおう。

大体の罠は【罠使い】の心得があるから見破られるだろうが自分が踏んだら元も子もないねぇ。
しっかりと海賊達から罠を仕掛けた場所は聞いておかないとな。
後はキルケと共に【挑発】をしながら誘導してその罠に掛からせる。
ある程度掛かった所で
UC【剣乱舞踏】でまとめてぶつ切りにしてやろう。
上手く罠に掛けさせれば墨の狙いも逸れるだろう。




 メキメキ、バキリ――。音を立てて進んでくる巨大蛸の気配に、ひ、と息を呑む声が聞こえた。
 それぞれの音を振り返りながら、アルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)は目の間に広がる森を注意深く眺める。
「罠か……俺も多少の心得はあるが――」
 どちらかと言うと、解除の方が得意な身だ。とは言え、どのような仕組み化を把握することはできる。
 そして理解できる『戦力』ならば、無いよりはあった方がいいに決まっている。
「利用させてもらおう」
 に、と口角を釣り上げたアルデルクは、息を呑む声がした方へと歩みを進め、身を潜めていた海賊の前で、しぃ、と人差し指を立ててから声をかける。
「罠の位置を教えてもらいたい」
 心得があるから、そう難しい解説はいらない。自分が踏まないように発動条件を軽く聞かせてもらいたいのだ。
 告げる言葉に、こくりと頷いた海賊は、このまま進めば古典的だが丸太が跳んでくる罠があると伝える。
 それは先端を杭のように鋭利に加工してあるため、蛸に突き刺さってくれるのではないかという期待があるとも。
「なるほどな。それ、使わせてもらおう」
 発動は人力で縄を切るものだと言う。それならば、アルデルクのやることは決まった。
「キルケ」
 呼べばバサリと羽を羽ばたかせ応えてくれる蒼いオウム。『お宝』と甲高い声で喋るオウムと共に、アルデルクは森の中へと舞い戻る。
 地響きのようにさえ聞こえる音は、随分と近い。
 教えてもらった罠の位置を思い起こしながら、アルデルクは声を張り上げた。
「そら、俺を食ってみろよ化け物!」
『お宝ヨコセ!』
 ぎろり、巨大な瞳がアルデルクを捉え、追う。目論見通りの方向へ、真っ直ぐに。
 森の中での足場の有利不利なんてお構いなしの直進っぷりに舌を巻きつつも、予定していた場所へと到達した、その瞬間。
 ごぅ、と風を切るようにして丸太が飛び出し、巨大な蛸の触腕に突き刺さった。
 それだけでは致命的なダメージにはならないけれど、食い込んだそれに引き留められたようにその動きが止まった、その瞬間が好機だ。
『お宝、お宝!』
「キルケ、今はちょっと下がってろ」
 ばさばさと羽ばたきアルデルクを援護せんと魔術を展開するキルケにくすりと笑んで、アルデルクはいくつもの剣を召喚する。
「――さぁ、踊らせてやる」
 海の気配を漂わせた、魔法の剣。それが群れをなして、蛸の周囲を飛び交う。
 複雑な幾何学模様を描くその軌跡は、墨をぶちまけられても物ともせず、振るわれる腕を細かく切り刻んでいった。
 巨大な蛸が吐き出す大量の墨にあちらこちらで海賊達が驚く声を上げるが、直撃した者は、いないのだろう。
 同時に、ぽーん、と飛んできた触腕の一部を拾い上げて、うねうねしているそれに、アルデルクは首を傾げた。
(食えんのか、これ)
 と――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィロメーラ・アステール
「よーし、力を合わせて頑張ろうぜ!」
とはいっても敵はデカすぎるな!
どうやって仕留めたもんか……?

うーむ、落とし穴はある?
この世界なら巨人いるし、さらに大きな敵の襲来もきっと予測しているとは思うんだよな!
あと軍団をまとめて落とすという想定もありうる!
というわけであのタコが収まるサイズの穴がね、あるっしょ!

タコが穴に落ちるかって?
そこで【蒼天まわしむ千変の星冠】の出番!
全身のぬるぬる水分を操って摩擦を無くせば、さすがのタコもうまく吸盤を使えないはず!
デカいけど【気合い】で頑張るぞ!

穴に落としたら【全力魔法】の氷結【属性攻撃】だ!
寒さで動きが鈍るだろうし、軟体ボディを適度に固めたら破壊しやすいはず!




「よーし、力を合わせて頑張ろうぜ!」
 全く歯の立たない相手との対峙に半ば絶望しかかっていた海賊達に、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)の快活さは瞬く間に浸透した。
 勇気づけられる心地に緊張が和らいだものの、フェアリーであるフィロメーラの小ささは、巨大な蛸と対峙させるにはあまりに差がありすぎる。
「どうやって仕留めたもんか……? うーむ、落とし穴はある?」
「勿論! 大きいのから小さいの、槍から毒までよりどりみどりに敷き詰めて揃えてあるさ!」
「わぉ、そりゃすごいな」
 巨人の首領が居るのだから当然巨人サイズを想定したものはあるだろうと思っていたが、集団向けのぽこぽこ穴開き地帯があるというのならそこに嵌めてやらない手はない。
「一番大きいのならあのタコが収まるサイズになってるっしょ!」
「なってるなってる!」
「よーっしゃそこに押し込むぞ!」
 小さな少女の元気いっぱいな解決の見出し方に、海賊達もすっかりいつもの調子を取り戻したようで。
 オラオラ食ってみろタコ野郎! などと巨大蛸を挑発しつつ、小さなフィロメーラが通りやすいように木の枝を避ける気遣いなども発揮しながら、目的の落とし穴地帯へと向かっていく。
 しかし、落とし穴地点へ到達した海賊達は唐突に疑問を覚えた。
 ――蛸が穴に落ちるのか?
 吸盤とか使ってしれっと這い出てこられるのでは……?
 疑問と不安をしっかりと顔に出してしまった海賊達は、お互いに顔を見合わせてから、そろり、フィロメーラを振り返る。
 そんな顔を見つめ、にっこり、彼女は笑うのだ。
「そこであたしのユーベルコードの出番ってわけだ!」
 するり、先導してくれた海賊達の前に出て、フィロメーラは自身の何十倍という体躯を見上げる。
 ぐわ、と迫る触腕がフィロメーラへ迫ったまさにその瞬間、身を乗り出した蛸の地面が、崩れた。
 ずどどど! 激しい音と共に地面へ――掘られた穴へ沈み込んでいく蛸とそれが起こす地響きに震え上がる海賊達の前で、フィロメーラは水と冷気を操り始める。
「踊れー! 青い星の風の中で!」
 蛸の全身、特に吸盤には念入りに、ぬるぬるの水分を纏わせ、その摩擦抵抗を極限まで減らしてやったのだ。
 蛸がいくらもがけども、地面を引っ掻くことすら出来ず、ぬるり、つるん!
 じたばたとしているその隙に、フィロメーラは更に全力で魔法を編み上げる。
 周囲が一気に冷えるような感覚。氷の魔法を蛸へと叩きつけ、蠢く腕を次々と凍らせてやれば――。
「なぁるほど、こいつはぶっ壊しやすそうだ、ねぇ!」
 巨大なカトラスが勢いよく振り下ろされて、凍った蛸の一部を粉々に砕いていく。
 氷の破片が飛び散るのをひょいひょいと避けながら、フィロメーラがその刃の持ち主をついと見上げれば。
「こんなでかいやつにそんだけの魔法ぶつけられるなんて、大したもんだねぇ、嬢ちゃん!」
 感嘆する声と共に、気さくに笑う巨人の女海賊と、目が合った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

二條・心春
海賊さん達の暮らしを守るため、力を尽くします。それに相手は蛸の怪物、クラーケン……奇遇ですね。これはますます負けられません。

敵を足止めできる、電気柵のような罠はありますか?私が拳銃を撃って、敵を柵まで誘き寄せましょう。海の生き物ですから、多少驚くはず。その隙にクラーケンさんを召喚します。どちらが強いか、見せてあげましょうね!
柵を壊そうと墨を吐く瞬間に、墨を吐く口……漏斗をクラーケンさんの触手で締め付けて封じ込めてしまいます。敵の触手も組み付いて封じてしまいましょうか。こちらの方が数は多いですよ。
この子の触手は麻痺効果もあります。動きを封じているうちに、ミグラさんと一緒に槍で攻撃します!




 巨大蛸の触腕が幾つか切り刻まれているのを目の当たりにした二條・心春(UDC召喚士・f11004)だが、同時にその腕がじわじわと時間を掛けて生えているようにも見えていた。
 これは、短期間で畳み掛けるのが得策だ。
「海賊さん達の暮らしを守るため、力を尽くします」
 それに――。
「相手は蛸の怪物、クラーケン……奇遇ですね。これはますます負けられません」
 きり、と表情を引き締めた心春は、海賊達に罠についてを尋ねた。敵を足止めできるような、電気柵のような物があれば、と。
「そういうのなら……魔力を注いで動かすものだから、少し起動に時間がかかるが……」
「構いません。そちらの方に誘導しますので、皆さんで先に起動を始めてもらえますか?」
 自分達より小さくて幼い心春の真摯な願いに、海賊達は任せておけと胸を張る。
 彼らが罠を起動する時間を稼ぎつつの誘導。気を抜けば大惨事だろうことがわかるだけに、心春は真剣な顔で、拳銃を握り、見つめた。
 大きく二度、深呼吸。それから、敵の前へど躍り出る。
「捕まえてみなさい!」
 UDCの力を借りて放つ銃は、まだまだ試作で威力は程々。しかし敵の気を引くには十分に機能してくれる。
 短くなった触腕でずりずりと前進をしながら木々を薙ぎ倒していく蛸から逃れ、幾度となく銃を放つ心春の視界の端で、ばち、と弾ける何かが、見えた。
 だっ、と駆ける心春の姿をぎょろりとした目玉で追い、向かう先へと進み出た蛸は、おろそかな足元で電気柵が並ぶのを、目にとめることはなく。
 全身に奔る電撃の衝撃に、思わずその身を硬直させた。
「海の生き物ですから、こういうのは不慣れでしょう?」
 驚いて立ち止まる程度でも、と思ったが、想定以上に効果を発揮してくれた。
 ――さぁ、仕掛けるなら今の内。
「敵の自由を奪ってくださいね」
 心春が召喚したのは、イカ型のUDC――その霊だ。
 地面からずるりと触手と共に這い出てきたその霊こそが、心春が巨大な蛸に因縁めいた感覚を抱かせた存在。
 イカの仲間が居る以上、蛸に遅れをとるわけには行かないのだ!
「どちらが強いか、見せてあげましょうね!」
 けしかけられたイカは、硬直している蛸に触手を放ち、麻痺毒で更にその動きを封じる。
 蛸は八本イカは十本。そもそも足の数だって負けていないのだし、あちらは手負いでこちらは無傷。
 ぐぶぐぶと何やら嫌な音を立てている口の部分へも、きゅっ、と締め上げるように触手を絡め、墨を吐き出させない。
「海獣決戦かい。たまげたね」
 あっけにとられたというような顔をしているミグラを見上げ、心春は槍を構える。
「ゆっくりですが再生しているみたいです」
「そのようだね。さっさとぶった切るに越したことはないってわけだ!」
 こくり、頷きあって。巨人の体躯による大きな一歩で素早く前に出たミグラがカトラスを振り下ろすその傷へ、更に心春が槍を突き立てる。
 力を合わせたその攻撃に、蛸はまたいっそう、触腕を削ぎ落とされるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
(森の中にくくり罠が仕掛けられていると聞き)
ミグラさん、私が敵の動きを封じ込めますので
手下の方にタイミングを見計らってくくり罠を作動させるよう指示してください
上手く敵が罠に引っかかったら一斉に攻撃を仕掛けましょう
(敵のいる方へ移動し、肩幅ほどに足を開き、両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こした後{紅焔の旋律}で『ダンス』を始める)
ようこそ海賊の森へ
此処があなた方の墓場です
冥土の土産に一舞ご覧ください
(UC【蠱の宴】を発動し敵の動きを鈍らせながらダンスに乗せた『催眠術』で罠の方へ誘導する)
蛸さんこちら♪手の鳴る方へ♪ふふふ




「森の中にくくり罠が? なるほど、そちらを利用させてもらいましょう」
 森に仕掛けられているという罠の種類を確認していた播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)は、ふむと大きく頷いた。
 あのサイズの敵だ。相当大きな輪が必要になるが、巨人の首領が率いた海賊団だ、大きな敵へ対抗するための調整は任せてくれと、女海賊ミグラは胸を張った。
「私が敵の動きを封じ込めますので、手下の方にタイミングを見計らってくくり罠を作動させるよう指示してください」
「ああ、任されたよ。くれぐれも途中で捕まるんじゃないよ、嬢ちゃん」
「はい、ご安心を」
 にこり、笑みを湛えたクロリアが森の向こう、木々をなぎ倒す音の出どころへと向かうと同時、彼女の背後で海賊達の威勢のいい声が聞こえてきた。
 その声に笑みを深めながらクロリアが蛸の前へと辿り着けば。罠に嵌められ、猟兵達から攻撃を受けてきた蛸が、数の足りない触腕を振り回しながら、辺り一帯の木々を掴んでは叩きつけ暴れていた。
「そんなに暴れないで下さい」
 掛けた声が届いたか。それとも、鮮やかな髪色をしたクロリアの姿を見つけたか。
 ぎょろりと動いた目玉と目が合ったと感じた瞬間、クロリアはすっと肩幅に足を開き、柔らかな動きで上体を折った。
 頭の中にリズムが流れる。燃え上がる炎を表すような、情熱的で激しい、欲望を湛えた旋律が。
 すぅ、と両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こす所作は、始まりの合図。
 流れる旋律に突き動かされるまま、クロリアは踊る。
「ようこそ海賊の森へ」
 ――此処があなた方の墓場です。
「冥土の土産に一舞ご覧ください」
 嫣然と微笑むクロリアのダンスは、その舞手へと意識を引き寄せ、誘い込む術を混ぜている。
 まんまと催眠に乗せられた蛸がクロリアへと向かいくるが、その動きは、どこか鈍い。
 触腕が減っているからではない。その戦場に立つ者は、クロリアのダンスに支配されているのだ。
「楽しんでますか? 私は楽しいです。リアです」
 良いものを表現するクロリア独自の言葉。その言葉通り、クロリアは楽しげにダンスを踊り、それを楽しむ知性のない蛸は、その行動速度を極端に制限されているのだ。
「蛸さんこちら♪ 手の鳴る方へ♪ ふふふ」
 楽しく踊りながら、ゆったりとした動きの蛸を安全に誘導するクロリア。
 その先に待ち構えていたのは、巨大な敵の触腕を掴み取らんとするくくり罠。
 ぎゅん、と一気に締め上げられたワイヤーが触腕を捉え、制限されていた蛸の動きを完全に引き留めた。
 とは言え長くは保たないだろうと察せるから。ミグラはすかさず蛸の前へと躍り出る。
 楽しそうに踊っていたクロリアを見つめていたミグラに速度の制限はない。
 それを見れば、彼女が楽しんでいたのだと悟れて。ステップを踏みながら立ち位置を譲ったクロリアは、最後にくるりと振り返り、共に戦慄を共有してくれた海賊達へ、優雅に一礼するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
【雅嵐】

ぎえ~めっちゃ蛸じゃ~捕まったらやばそじゃの
よし、せーちゃんはあれをすぱぱっと刺身にしておくれ
わしはあぶる(きりっ)

ふむ、いくつか罠があるようじゃね
ではそこの…踏むと網がばっとあがって捕まえるヤツにタコをはめてから料理しよかの
ではどちらがより上手におびき寄せられるか勝負じゃの!

鬼さんこちらならぬタコさんこちらか
しかし――あの手には掴まりたくないの
ぎゃっ!墨がっ!
わ、わしの…ふさふさ尻尾が…!

やられたらやり返す…網に掴まったタコのその腕全部、燃やしてやるんじゃよ!
ふさ尻尾を汚した罪は重いんじゃよ、このタコ!
ターコターコ!!(わるぐち)
帰ったら尻尾はせーちゃんに任せる、綺麗にしてもらお…!


筧・清史郎
【雅嵐】

余り美味しそうな蛸さんではなさそうだが…(じー
ああ、では俺が刺身にしよう
俺は甘い物が好きだが、たこ焼きも好きだ(微笑み

確りと蛸さんの動き見切り、躱す事に専念して引き付けつつ
海賊達に罠の発動合図を送ろう
蛸さんが網などの罠に怯んだ一瞬、桜嵐の刃でさばこうか
ふふ、勝負か
ひらり蛸さんを煽る様に残像駆使し動きつつ誘き寄せよう

!らんらんのふわもこ尻尾が…
友のふわもこを奪った罪は重いぞ、蛸さん(きり
腕の一撃くらわぬよう引き続き見切り、腕を落としていきながら
生じた隙をつき、頭部と足を切り離すべく、狙い澄ました桜嵐の連撃を
早いところ片を付けて、俺が尻尾を洗い元通りふかふかに梳いてやろう(ふわもこ大好き




 幾つもの罠にかけ、うねる触腕を切り落としてなお、蛸は未だに巨大で、メリメリと音を立てて森の木々を薙ぎ払っていく。
 その光景に、終夜・嵐吾(灰青・f05366)は思わず苦い顔。
「ぎえ~めっちゃ蛸じゃ~捕まったらやばそじゃの」
 捕まってぎゅってされるだけでぐちゃぐちゃになりそうだし、五体満足で収まろうともそのままぱくりと飲み込まれかねない。
 しかし、どうやらこの蛸は食べられる、らしい?
 じーっとっ見つめる眼差しで蛸を見上げていた筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は、はて、と首を傾げた。
「余り美味しそうな蛸さんではなさそうだが……」
「しかし食ってやれと言うからには食えるのじゃろ。よし、せーちゃんはあれをすぱぱっと刺身にしておくれ。わしはあぶる」
「ああ、では俺が刺身にしよう」
 すらり。抜き払う刃からはらりと溢れる桜を伴い、清史郎は優雅に微笑んで。きりりとしている傍らの友に頷く。
「俺は甘い物が好きだが、たこ焼きも好きだ」
 最早食材にしか見えなくなってきた蛸の処理を開始した二人は、接触した海賊達から幾つかの罠の存在を聞く。
 槍だの矢だのが飛んでくる攻撃特化型、泥や粘液をぶちまける阻害型。様々聞いた中で嵐吾がぴんときたのは、巨大な網。
 踏めば地面から網が飛び出てくるいかにもな罠は、同時にいかにもタコ漁って感じである。
「ではどちらがより上手におびき寄せられるか勝負じゃの!」
「ふふ、勝負か。望むところだ、らんらん」
 自信有りげに顔を見合わせ笑う二人の姿は頼もしく、海賊達は頼みますと威勢よく見送りながら、網罠がきちんと発動するよう調整に走る。
 彼らを巻き込まず、この巨体をしっかりと収める位置へ。嵐吾は不安定な足場をひょいと駆けつつ、蛸の眼下に身を晒した。
「鬼さんこちらならぬタコさんこちらか。さあ、こっちじゃよ!」
 獲物を見定め、追い始める巨大蛸。その目がぎょろりと蠢けば、同時に現れた清史郎の姿もしっかりと捉えて。
 誘うように後ずさる挙動を見つけつつも、巨躯に至る程の食欲が新たな獲物へも腕を伸ばした。
 振り下ろされるのは単純で重い一撃。しかし速度は然程でもなく――切り落とされた影響か、射程もやや短いか。
 冷静に見極め、ひらりと最小限の動きで交わした清史郎の傍ら、ずしん、と大きく響く触腕が叩きつけられるのを見て、嵐吾は口元で短く唸った。
「しかし――あの手には掴まりたくないの……っとぉ!?」
 やや緩慢に見えた触腕より素早い動きで、何かが射出される。
 なんの、と素早く跳躍した嵐吾。べしゃっ、と地面をえぐる勢いで吹き付けられた墨の勢いに舌を巻いていると、ふと気づく、背後の違和感。
「わ、わしの…ふさふさ尻尾が……!」
 あまりにふかふかもふもふ故に躱しきれなかった嵐吾の尻尾が、墨でべったりしんなりになってしまったのだ。
 その惨たらしい(ふわもこ愛的に)さまにショックを受けたのは当人ばかりではなく。
「! らんらんのふわもこ尻尾が……」
 雷に打たれたような衝撃に目を剥いた清史郎は、優雅な笑みを潜め、きり、と睨み据えるような眼差しで蛸を射抜く。
「友のふわもこを奪った罪は重いぞ、蛸さん」
 報復の決意はいざしらず、蛸は獲物を追ってずりと這いずり、ついに、網の真上へと辿り着いた。
 そぉれと響く掛け声とともに、海賊達が渾身の力を込めて網を引き上げる。蛸の触腕を絡め取り、その態勢を大きく崩してやらんと、力強い声が幾つも重なった。
 その好機に、先に駆けたのは清史郎。網から逃れた腕を振るおうとするその懐に駆け込むと、桜花弁を舞わせた刃を、嵐の如く閃かせる。
 衝撃波を伴う連撃が腕を切り落とし、細切れにしていくその背後で、墨を払い落とそうとびったんびったん尻尾を振っていた嵐吾は、怒りという名の憤りを込めた狐火を次々に放って行った。
「やられたらやり返す……網に掴まったタコのその腕全部、燃やしてやるんじゃよ!」
 これでもかと言わんばかりに念入りに――それでも焦がさないくらいの程よい焼き加減で――触腕を焼き払っていく嵐吾は、重たい尻尾をぶんぶん。
「ふさ尻尾を汚した罪は重いんじゃよ、このタコ! ターコターコ!!」
 ……小学生かな?
 なんて感想は海賊さん達の胸の内だけに。
 ぷすぷすと焦げた匂いに、そう言えばたこ焼きと刺し身にするのだったと思い起こした清史郎だが、今は、それよりも。友のふわもこを取り戻す方が大事。
「早いところ片を付けて、俺が尻尾を洗い元通りふかふかに梳いてやろう」
「ううう、帰ったら尻尾はせーちゃんに任せる、綺麗にしてもらお……!」
 もふもふは正義である。その日海賊達は新たな真理を知ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

橙樹・千織
アドリブ歓迎

…え、蛸?
……コレが?大きすぎませんか?
この海、そんなに栄養がいいのです?
困惑しつつ、糸桜のオーラを纏い破魔と炎の属性を武器へと付与

その先にお前の目的とするものは無い、あっちだ
空中戦を交え、地形を活かして立ち回り
集落に少しでも近付くなら歌唱による催眠で離れるよう誘惑

吐いた墨は軌道を見切り躱す
もしくは結界術で身を守った上で水の全力魔法をぶつけて軌道を曲げる

今です!!
時折、衝撃波を放ちつつ罠へと誘導
タイミングを見て海賊達へ罠を発動してもらいましょう

他所の地とは言え
森をこんなにして
バタバタと行儀の悪い脚は…斬り落とす
罠にて足止めをした蛸の脚を武器落としで切断
傷口を抉るなどして討伐を試みる




 焼け焦げた匂いと、深い森には些か不釣り合いな桜の花弁。
 それに導かれ――そうでなくとも、いまだ巨体であるその姿は見えていたけれど。
 ともあれ、相対した橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)はその蛸と呼ばれている存在を見上げて、呆気にとられた。
「……え、蛸? ……コレが? 大きすぎませんか?」
 この海は、こんなにも巨大化するほど栄養が豊富なのだろうか。
 思案する千織とは対象的に、周囲の海賊達は、まぁいないこともないだろうと言う顔をしている。多分きっと、巨人の女海賊を首領に持つためにサイズ感が麻痺しているゆえに。
 このサイズ感がこの世界の……もとい彼らの普通ならば、いつまでも動じている場合ではない。
 困惑を押し込めて、千織ははらりと桜の花弁がしなだれるオーラを纏い、己の武器に破魔と炎の属性を与えていく。
 構えを整えれば、巨躯を見上げる表情に戸惑いはもうない。
 ぐ、と地を蹴り跳躍し、木々の枝を足がかりにトビの翼で宙へと飛んだ千織は、ぐぶぐぶと蠢きながら這いずり進む蛸の眼前へ、躍り出る。
「その先にお前の目的とするものは無い、あっちだ」
 促す先は、海賊達が用意してくれる罠。元より鋭利なワイヤーを張り巡らせた地点を、巨躯に合わせて更に広げるべく駆け出した幾つもの背を見送った。
 彼らが守ろうとしている集落は、まだ遠いか。それでも、海岸線から見れば随分と侵攻させてしまったのも事実。
 いざとなれば歌にて惑わせその道を逸れさせるために、一度だけ、そ、と己の喉元に触れて。千織は滑空する勢いに乗せて、破魔の刃を薙ぐ。
 巨躯を足蹴に再び宙へと舞い戻ったその手が握る刃は、彼女が身を翻すと同時にはらはらと綻び、八重桜と山吹の花びらへと転じる。
 ――はらりと舞うは、櫻花と面影。共に散らさん、汝が魂。
 歌うような声に応じるように、花達は雨のように降り注ぐ華嵐となり、その花弁一枚一枚が鋭利な刃となって蛸の身を刻んで。
 たまりかねたように身を震わせたその口元が、花弁を払い退けんとするかのように、真っ黒な墨をぶちまけた。
「甘い!」
 液体には液体を。素早く結界術で身を守り、同時に全力の水魔法を叩きつけてやれば、墨は千織に届く前に弾け飛び、ぼたぼたと地面に落ちていく。
 そうやって千織を見上げ注目している今が、好機だ。
「今です!!」
 よく通る声を合図に、海賊達が張り詰めたワイヤーを放つ。
 巨体に食い込み、きりきりと抉り取らんとする勢いで絡みついたそれに引き寄せられるように、木々に張り巡らされた鋼の網に倒れ込む蛸へ、千織の花達が追撃を仕掛けていった。
「他所の地とは言え、森をこんなにして」
 そのバタバタと行儀の悪い脚は……切り落とすまでだ。
 誰かが切った痕か。それとも、罠にかかった名残か。いずれにせよ、千切れかけた腕だか脚だかは、削ぎ落として、細切れにしてしまえばいい。
 そうして傷口を明確に狙った一撃が切り離した蛸の脚が自身の周囲に散らばった時。なんとなく香ばしく焼かれた磯の香りを感じた気がする千織であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…血の池の罠?いいえ、これで敵の動きを止め、
その間に別の罠で仕留める仕組みね

…全く異なる世界に落とされても、
生き血を啜る化け物の伝承は残っていた…という事かしらね

今までの戦闘知識から罠で敵の気が逸れる好機を見切り、
木陰に隠れて血の罠に限界突破した魔力を溜めUCを発動

…太陽の下で闘う事にも慣れないと駄目ね

…だけど今は、一瞬だけ真の姿になれれば十分よ

死角から99mの血杭で敵を貫き武器改造を施し、
血杭から無数の棘を乱れ撃ち敵の体内に切り込み傷口を抉り、
生命力を吸収して動きを封じる闇属性の2回攻撃を行う

…ここまでして倒せないなんて呆れた生命力ね
…だけどもう動けないはず。蛸を捌くのは任せたわ、女海賊さん




「……血の池の罠?」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の目には、目の前の光景がそう映っていた。
 というのも、手足をもがれ、胴も切り刻まれた軟体が、森の一角に出来た血溜まりにずぶりと沈み込んでいるのを、見つけたためだ。
 この島がダークセイヴァーから落ちたらしいとは聞いていたが、生き血を啜る化け物――吸血鬼の伝承が残っていたということだろうか。
 そう思うと、血溜まりの周囲もどことなくおどろおどろしく整えてあるような……。
(怖気づかせるための見せかけというのなら、可愛らしい発想、かしらね)
 いずれにせよ、大きく作られたその溜池と言う名の穴に、半ば転がり込むようにしてその蛸ははまり込んでいた。
 切り刻まれた自身から溢れた体液でも混ざっているのか、辺り一帯が随分と生臭く感じるようで、海賊達も顔をしかめ、あれだけ刻まれても未だに進もうとする蛸を遠巻きに見つめていた。
「……あれが、這い出てこないように窺っていて」
「は、はい!」
 へっぴり腰の男へ伝令代わりに告げると、リーヴァルディは蛸の傍へと歩み出る。
 静観しているばかりでは、いずれこの蛸は再び腕を生やして進みだしてしまうのだろうから。
 この好機に、仕留めてしまわねば――。
 木陰から踏み出すには、照る陽の光は強すぎる。だが、こうまで開けた場所だ。蛸を仕留めるには、その光の元にも踏み出さねばなるまい。
「……太陽の下で闘う事にも慣れないと駄目ね」
 いずれは、それを強いられる時が来るかもしれない。
 夜の気配が漂うあの地以外で、こうして戦うつもりなら。
「……だけど今は、一瞬だけ真の姿になれれば十分よ」
 限定解放。極刑に処せ、血の魔棘――。
 ざわり。辺りの気配が瞬間的に変わった。
 その刹那の間に、リーヴァルディの肉体は吸血鬼へと化し、彼女の放つ魔力に引き寄せられるようにして、周囲の血液達が、一つの形に収束していく。
 浸かり込んでいた液体が消えた感覚は蛸にも伝わったのだろう。しかし、それがどこに消えたのかを見ることは、敵わない。
 蛸の死角で形成されたのは、巨大な杭。
 血の杭はその禍々しさも相まって、海賊達の目線には、まるで天をも衝くかのような長さに見えたものだ。
 気取られるより早く、リーヴァルディはそれを蛸へと突き立てる。
 更にその血杭より無数の棘を放ち、蛸の体内よりその身を抉っていった。
 それにより得られる生命力は、グリードオーシャンの日差しにさらされたリーヴァルディの身を癒やしてくれるが、安堵の息をつくには、まだ早い。
「……ここまでして倒せないなんて呆れた生命力ね」
 ここまで巨大化するには、それくらいの力は必要だったのか。あるいは、何かの拍子でメガリスとやらでも飲み込んだのか。
 いずれにせよ、ここまでだ。
 この蛸は――怪物は、もう、動くことすら出来ないのだから。
「蛸を捌くのは任せたわ、女海賊さん」
「任されたよ! 美味しいところだけ悪いねぇ!」
 動かぬ蛸など敵ではないとばかりに、託された女海賊ミグラは自慢のカトラスを振るい、その身を切り刻んでいく。
 触腕はとうに裁かれた。焼かれた部位は随分脆い。力を貸してくれた猟兵達が幾つも与えてくれた傷という傷を、ミグラは巨大な刃で広げて、解体してく。
 そうして、ついにその身は捌かれた。
 海賊達が支配していた森は甚大な被害を受けたけれど、それを修復すべく奔走する人員は、誰一人、欠けてはいない。
 無事の討伐に感謝を込めた海賊達の雄叫びが、島中に響き渡るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月03日
宿敵 『クラーケン』 を撃破!


挿絵イラスト