羅針盤戦争〜永遠の歌に終止符を
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蒼海羅針域の破壊を目的とした、コンキスタドールの大艦隊が押し寄せて来る。
多種多様な怪物が四方八方から渦潮へ向かう中、とある海賊団の歌が海に響いた。
『LaLaLa――歌いましょう遊びましょう♪』
それは人魚たちの魔性の歌声――海賊団『オケアニス・シレーネス』だ。
彼女たちの歌声を聞いた者は、歌に憑りつかれてしまうという。
このまま愉快に歌っていたい。お祭り騒ぎをしていたい。――永遠に。
そうして敵を無力化して、幸福な歌の牢獄に閉じ込めてしまうのだ。
人魚たちはただ何よりも好きな歌を歌うだけ。
しかし、それが乱戦必須の戦場で解き放たれたら……恐ろしい事態になるだろう。
その前に、彼女たちの歌はこの地で止めよう。
海賊団が通り過ぎようとする、この島の名は『ペルデンド』。
かつて多くの歌手を送り出したカラフルなステージが、緑に包まれ眠る島である。
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「羅針盤戦争の開幕だね。敵軍も盛り上がってるようだが、通行止めとさせてもらうよ」
メリー・アールイー(リメイクドール・f00481)は早速猟兵達に依頼を提示した。
「現在、コンキスタドールの敵軍は蒼海羅針域を破壊しようと、渦潮に集結している。そのうちのひとつの海賊団を発見したから退治に向かってもらいたいのさ。少しでも敵の数を減らした方が此方の有利になるからね」
メリーが予知した相手は、ひたすら歌い続ける人魚の海賊団だ。
攻撃力はなくても、聞いた者の魂へと響き渡る歌による誘惑は恐ろしい。
戦意を削がれないように対策して、何とかこの海賊団を殲滅させて欲しい。
「グリードオーシャンの海では、飛行が阻害されているから注意するんだよ。皆は鉄甲船に乗って、ペルデンド付近にいる人魚たちと戦っておくれ」
それじゃあ、よろしゅうに。メリーはグリモアの光で猟兵達を包み込んだ。
葉桜
OPをご覧いただきありがとうございます。葉桜です。
こちらはグリードオーシャンの『羅針盤戦争』のシナリオです。
『ペルデンド』はキマイラフューチャーから落ちて来た島です。
『グリードオーシャン大海戦』
この戦場でのシナリオ成功ひとつにつき、戦争サバイバルの🏅5000を加算します。
プレイングボーナス……海上戦、船上戦を工夫する(海上では飛行や転移が阻害されています)。
ユーベルコードは指定した1種類のみの使用となります。
プレイングはOP公開から募集開始です。
人数は少なめの採用になるかもしれません。
申し訳ございませんが、全採用のお約束は出来ないのでご了承下さい。
ご参加お待ちしております!
第1章 集団戦
『歌う海賊団『オケアニス・シレーネス』』
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POW : 楽曲番号一番「黒海のネレウス」
【ご機嫌な仲間たちと共に魂へと響き渡る歌】を披露した指定の全対象に【この歌を聴きながらお祭り騒ぎしたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD : 楽曲番号八番「紅海のアプスー」
戦闘力のない【愉快に歌う海の音楽隊】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【魂へと響き渡る歌を共に楽しく奏でること】によって武器や防具がパワーアップする。
WIZ : 楽曲番号二四番「死海のエーギル」
【活気ある仲間と魂へと響き渡る歌を奏でた】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
イラスト:芋川
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
※補足:人魚海賊団は集団で海を泳いでいます。
泳ぎながら、また岩盤に乗りながら、歌で猟兵と戦います。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:灰遠雷
さてさて、海上戦は不得手となるが、そうも言ってられぬ。
鉄甲船で一番高いところにいるか。念のため、結界術で防護しておこうかの。
視力を活用して相手を視認すれば、即座に攻勢。音楽隊を呼ぼうとも、それごと射抜けばよい。【四天境地・雷】は、それを可能とするからの…!
この矢からは逃れられぬよ。それが悪霊の放つ呪いであれば、ことさら。
破壊など、させてたまるか!
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「さてさて、海上戦は不得手となるが、そうも言ってられぬ」
鉄甲船で一番高いところで陣取るは馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)。
四人で一人の複合悪霊の内、本日表に出るのに選ばれたのは第三『侵す者』のようだ。
目的の島『ペルデンド』に辿り着く前に、義透は鉄甲船全体を防護の結界を張った。
「念の為な。高所から随時目を光らせておくが、不意の歌声に先手を取られぬよう……」
そう言うや否や、義透の眉がぴくりと上がる。
「視えたぞ、魔性の魔物の群れが」
義透はしなやかな筋肉が纏う左腕をまっすぐに伸ばし、強弓『灰遠雷』を構えた。
生前の武の天才は悪霊となり呪詛の力も得た。敵相手なら呪いを込めても構うまい。
義透が黒呪で弓を染めていくと、人魚は紅海のアプスーを歌い出す。
『LaLaLa――どんな場所でも歌うの。誰も拒まない、歌は自由よ♪』
すると、歌に惹かれた魚や貝が海に浮かんだ。
ぽわぽわこぽこぽ――。
水の中に潜ったような音は、人魚の歌と寄り添い不思議なハーモニーを奏でる。
「ほう……結界が無ければ、もっと胸を揺さぶったのだろうな」
だがわしの魂までは届かぬ、と。義透は右手に霊力の矢を生成した。
「この矢からは逃れられぬよ。それが悪霊の放つ呪いであれば、ことさら」
漆黒の力を溜めた灰遠雷から放たれる呪詛の矢、【四天境地・雷】が海上を飛んだ。
義透の眼が捉える限り、人魚も音楽隊も、分裂し追尾する矢に射抜かれていく。
矢は広範囲に着弾し、空と海をつんざく雷のような叫び声が轟いた。
やがて、音が減り、歌が止む。矢に貫かれた人魚の喉はもう歌を紡げない。
「破壊など、させてたまるか!」
渦潮へ向かう人魚の群れはまだやって来る。義透は再び弓を引き、対処を続けた。
大成功
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浅葱・シアラ
本当なら楽しい歌を響かせる人魚は尊いものなんだけどね……。
海に響き渡る人魚の歌声は航海をする人々を不幸にするだよね
だから、ここでシアラが止めてみせるよ!
海上において、飛行能力は阻害されちゃうよね
ペンデンドは緑が豊かみたいだから、大きめの花と木を見つけたら、これをフェアリーの船に加工して彼女たちを迎え撃とう
音・声に関する早さなら負けないよ!
【高速詠唱】で彼女達の声が届く前に!
「エレメンタル・ファンタジア」発動!
【音属性】を【竜巻】に融合!
強力な音を発する竜巻は彼女達の声を掻き消し、竜巻は人魚達の身体を刻んでいく!
海賊団じゃなかったらほんとに歌に聞き惚れたかったんだけどね
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『ペルデンド』の砂浜を、紫炎の翅を広げた小さな影が歩く。
「本当なら楽しい歌を響かせる人魚は尊いものなんだけどね……」
浅葱・シアラ(世界の友達は貴女の親友・f04820)は鉄甲船から新たに発見された島へと上陸していた。予知によると、この島は緑が豊かなようなので、自分用の船が造れると思ったのだ。探索してすぐに、話に聞いていたステージを見つける。
「素敵なステージ! シアラもここで歌ってみたかったな!」
けれど今は戦争中。気を引き締めて、ステージに絡む大きめの花と木を拝借した。
チューリップのような花を枝で補強した、妖精専用の船でシアラは再び海に出る。
小さな船は波に乗り、人魚の群れへ突き進んだ。
『あら、綺麗なお花が浮かんでる』なんて思っているのでしょう?
「音・声に関する早さなら負けないよ!」
歌は人魚の専売特許ではないのだ。
人魚は歌う。永遠に共に楽しく歌いましょうと。
けれど、人魚の歌は幸福の牢獄。例えどんなに綺麗でも人々を不幸にしてしまうから。
「だから、ここでシアラが止めてみせるよ!」
妖精は歌う。航海する人々の自由を願って、希望の歌を海に響かせた。
「さあ、世界を救いにいこう♪」
高速詠唱で紡がれる詩が音に乗る。
シアラの魔法が【エレメンタル・ファンタジア】の竜巻を生み出した!
音属性の魔力から生まれた竜巻は、強力な音を発しながら人魚を飲み込んでいく。
――何か歌っているのだろうか。
仲間と力を相乗させる歌もバラバラに。繋がらない音は海に散る。
そしてその竜巻は、物理的にも人魚たちの身体を刻んでいるはずだ。
「海賊団じゃなかったらほんとに歌に聞き惚れたかったんだけどね」
やがて、人魚も歌も海に沈み、シアラの花船だけが静かに浮かんでいた。
大成功
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鈴木・志乃
開幕高速詠唱全力魔法で大声になって
指向性のあるマイク通して歌います。UC発動。
船にはスピーカーガンガン搭載します。
えー、とにかく大声で歌います。
なんなら鼓膜壊れるほど歌います。
自分はオーラ防御と魔法で守ります。
なんだ、ここは歌唱バトルの聖地だったのか(錯乱)
催眠術も籠めて脳みそガンガン揺らしちゃうぞ。
リズムもずらしてー音程もわざと敵とははもらないようにしてー
その癖ノリノリで私の歌に乗せられちゃうような
そういうメロディーで歌って行きたいね!
(こっそり念動力で硝子の粉撒いて敵に吸わせます。肺が傷つきゃ歌えないだろ)
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何よりも歌うことが好き?
こっちだってパフォーマンスへの情熱は人一倍だ!!
鉄甲船にスピーカーを配置。手には指向性マイク。VS――人魚海賊団。
「全ての生命と意志を守ろう、『───』!」
開幕、高速詠唱全力魔法。つまりマイクを通した大声で、鈴木・志乃(ブラック・f12101)は全力の【生命賛歌】を歌った。
「星の数ほど集めた夢 旅の途中に出逢った奇跡 あなたの宇宙へ届きますか♪」
鼓膜を破れ、胸を刺せ! 脳みそガンガン揺らしちゃうぞってウインク☆
人魚も仲間と共鳴する歌を歌うだろう。
でもダメ。幸せな死を招く海へと招く、神様の詩なんて聞いてやらない。
人魚の魔力が届かないように、志乃は自分の周囲をオーラと魔法で覆っていた。
主導権は譲らない。自分の声に集中して、歌う、歌う――!!
「嬉しくって悲しくって 笑って泣いて 生きてる証だねって光ってみせて♪」
「歌うよ守るよ この夢が果てるまで あなたの幸せがわたしの生きる意味♪」
生きとし生ける者を守る歌が人魚のメロディーを縛り上げる。
リズムをずらして、一音程もハモってあげない。ワザとだよ。
その癖ノリノリで私の歌に乗せられちゃう。そんな歌で魅せてやりたくて。
なんだ、ここは歌唱バトルの聖地だったのか!!
『LaLaLa――歌は途切れ、な……っ!?』
激しい歌の応酬は永遠に続くかと思えたが、終わりは突然訪れた。
大きく人魚たちが息を吸い込んだ瞬間――激しい咳と血反吐が海に散る。
ああ、漸く効いた。パフォーマンスで劣ってるなんて思ってないけどさ。
「あなたたちは完璧に潰さないといけないので」
熱唱の裏でこっそりと、志乃は念動力で硝子の粉を海上に撒いていたのだ。
(肺が傷つきゃ歌えないだろ)
歌を歌えぬ人魚なんて命を奪われたのと同義だ。――沈め。
大成功
🔵🔵🔵
塩崎・曲人
クックック……
流石に海戦の度に濡れ鼠で素潜りするのは勘弁願いたい
というわけで出番だ秘密兵器!
【カラビヤウ・シックス】の重力制御能力で、海面をふわふわ浮かびながら戦うぜ
(もともと溶岩トラップに対処するために用意したモンだが、こういうシチュも当然想定済みだぜ)
大した速度が出ねぇのが欠点だが……
どうせドタバタ走り回って殴り合う気はねぇから無問題!
「来いや雷精霊!マーメイドシンガーちゃん達をシビれさせてやるぜ!」
全力チャージした雷の魔法を水面にブチ込んでシレーネスを一網打尽よ
水タイプが電気に弱いのは世界を超えた常識だっつの
「へっ、ちょろいもんだぜ……ってうぉっ!?」
(電撃で水蒸気爆発。濡れた)
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「クックック……流石に海戦の度に濡れ鼠で素潜りするのは勘弁願いたい」
盛大なフラグを立てながら、塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)は海に立つ。
「というわけで出番だ秘密兵器!」
じゃじゃんと取り出したのはリンゴサイズの機械球。中のコアが虹色に励起している。この『カラビヤウ・シックス』の重力制御能力があれば、曲人は文字通り自分の足で海上に立てるのだ!
もともと溶岩トラップに対処するために用意したものだったが、猟兵歴も長い曲人は、こういうシチュエーションも当然想定済みだ。アイテムのリユース、大事。
とは言っても、ジェットボードのようにヒャッホー出来る程の推進力は無く……。
ふわふわ~っと緩やかに海上を移動して、曲人は人魚の狩場を目指す。
「どうせドタバタ走り回って殴り合う気はねぇから無問題!」
LaLaLaと人魚たちが呑気にハミングを口ずさんでいる内に、初っ端から【最後の手札】をお披露目してやろう。
「来いや雷精霊! マーメイドシンガーちゃん達をシビれさせてやるぜ!」
アルダワ魔法で召喚された雷精霊が、バチバチ唸る雷球を水面にブチ込んだ!
魔法に必要な技能を底上げされた、天災のような雷撃が海中の人魚たちを襲う。
歌声は悲鳴に早変わり。電気ショックで気絶した人魚たちも力無く波に流されていく。
「一網打尽よ。水タイプが電気に弱いのは世界を超えた常識だっつの」
しかし――カチカチぽわぽわ、どこからか不思議な音が聞こえる。
岩盤に乗って無事だった音楽隊が人魚の魂へ呼びかけていたのだ。それならもう一丁!
雷魔法第二段! 今度は稲妻の槍を音楽隊の傍の海に突き刺した!
水は非常に温度が高い物質と接触すると、急激に気化して水蒸気爆発を起こすらしい。
ドッカーーン!! と、弾けた大爆発に巻き込まれ、音楽隊も海の藻屑だ。
「へっ、ちょろいもんだぜ……ってうぉっ!?」
思った以上に強力だった爆発が生んだ高波が、曲人を頭から飲み込む。
しっかりとフラグの回収濡れ鼠。真冬の海水……マジで寒ぃわっっ!!
大成功
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岩永・勘十郎
簡単な話だと、海を泳ぎまわる人魚を見て鼻で笑う。
そして自分が装備している【カセットテープ】のスイッチを入れ、イヤホンを耳に入れる。これで敵の歌声とやらはさっぱりだ。
「歌っていうのはどれだけ共感してもらえるかだ。押し付けは良くないなぁ?」
そう言って銃を取り出すと、攻撃してこない事を良い事に上からどんどん撃つ。【戦闘知識】を駆使し、船の上でもバランスを崩さないように姿勢を低く取って、銃を両手で構える。人魚の高速の泳ぎも剣術で鍛えた動体視力で【見切り】撃つ。リロードも【早業】と言えるくらいに高速で。
「今日は焼き魚にでもするか?」
と冗談を口にしながら。
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「簡単な話だ」
岩永・勘十郎(帝都の浪人剣士・f23816)は鉄甲船から海を見下ろし、鼻で嗤った。
『LaLaLa――』
桜色の尾びれで器用に泳ぎながら、人魚はぱくぱくと口を動かしている。
何かを歌っているのだろう――しかし、どんな魅惑の歌も勘十郎の耳には届かない。
彼の耳には高性能イヤホンで塞がれていた。ノイズキャンセリングで外部の音を排除して、お気に入りの音楽のカセットテープをエンドレスで流し続ける。
「歌っていうのはどれだけ共感してもらえるかだ。押し付けは良くないなぁ?」
歌さえなければ、これは一方的な狩りだ。返事は聞かない。聞こえない。
勘十郎は『二十六年式拳銃・改』を構えて――撃つ。撃つ。撃つ。
船上は波で緩やかに揺れているけれど。
その不安定さを補うように、身を低くした姿勢でバランスを保った。
オーダーメイドの銃は勘十郎の手に良く馴染む。何度も何度も繰り返し手に動きを覚えさせたリロードは早業と言ってよいだろう。
両手で銃を構えて――剣術で鍛えた動体視力で人魚の動きを見切る。
頭、喉、心臓。全て狙い通りに撃ち抜いた。
歌はどれだけ静かになっただろうか。勘十郎の耳には変わらぬ音楽しか聞こえない。
鉄甲船から逃げようと背を向ける人魚の後頭部に、一発。
ぷかりと海上に浮かんだ人魚の遺体から滲む赤黒い血が、海の青に広がって行く。
「今日は焼き魚にでもするか?」
と冗談を口にしながら、また一発。
鮮血よりも赤い勘十郎の瞳は獲物を狙い続けた。
成功
🔵🔵🔴
高砂・オリフィス
ひゅーひゅーっ! ぼくも歌って踊って騒ぎたいぞ!
こういうノリの皆さんとは友達になれそうだ! 握手しよーよっ友達になろっ
……ダメ? ならない? そっか! でもぼくも踊るよ!
こういうリズムに乗っけてあげれば、船の揺れも波の勢いも、海風も、相殺できるって寸法さ!
ヨコシマな歌や音楽はかき消す! 無理やり踊らせるなんてノーサンキューだよっ! おっきい声で聞こえなくなっちゃえば、意味ないもんねっ!
陽気な音楽、楽しいリズム、悪用するなら許さないっ! 絶対負けないよーっ!
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『LaLaLa――』
幾つも重なる人魚のハーモニーの美しいこと。
「ひゅーひゅーっ! ぼくも歌って踊って騒ぎたいぞ!」
甲板から身を乗り出した高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)は、海を泳ぐ人魚に向かって手を伸ばす。
「こういうノリの皆さんとは友達になれそうだ! 握手しよーよっ友達になろっ」
握手をすればみんな友達。それがオリフィスの流儀だ。
楽しく歌うだけなら、いいだろう? こっちにおいで!
すると、人魚も海を泳ぎながら手を伸ばす。
『友達ですって嬉しいわ。ええ、ええ、是非――あなたが此方で歌ってくれるなら』
人魚は海から上れないし、オブリビオンは世界の敵という立場から抜け出せない。
あなたが堕ちてくれたら、友達になれるわと人魚は笑った。
「……そっか、分かった! でもぼくは此処で踊るよ!」
オリフィスは変わらぬ笑顔で手を振った。彼女は世界を救う猟兵だから。
人間と人魚は手を取れず、船上と海でそれぞれの踊りと歌を披露した。
「ぼくの動きについて来て! 全部アドリブだけどね☆」
オリフィスのダンスはカポエイラの振り付けだ。
力強い突きや蹴りは宙を掻くだけだけれど、【やがて来たる過去】で発せられた気迫の声は、海の人魚まで届いて脳を揺さぶる。
『LaLaLa――』
人魚も歌い、召喚した海の音楽隊と共に、魂へ響く歌を船上へ届けようとする――。
「『ハッ!!』 無理やり踊らせるなんてノーサンキューだよっ!」
しかし、大砲のように発射されるオリフィスの声で人魚の歌は途切れ途切れ。
波の揺れも海風も、ヨコシマな歌や音楽だって、彼女の踊りは邪魔出来ない!
オリフィスは陽気な音楽も楽しいリズムも大好きだ。悪用するなら許さないっ!
「絶対負けないよーっ!」
手を取れなかった人魚に、さようなら!
大成功
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ビードット・ワイワイ
人魚とはこれはまた我が身に宿りしモササウルスが喜びそうなものよ
海中に潜りてメカモササウルスへと変形
全ての音を遮断し視覚のみで敵を探る
見えたならば急加速
雷撃を牽制で放ちてそのまま胴に噛みつき海中に打ち上げ
落ちてきたところを噛み砕かん
我が巨体をくねらせ泳ぐだけで大波がたとうがそれで繰り出す体当たりは敵には脅威となろう
歌には微塵も興味がわかんが
もしも響いたなら餌と共にお祭り騒ぎ
つまり踊り食いか。蹂躙を楽しもう
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――鉄甲船の下に『何か』が沈んでいる。
「古代に滅びし海龍よ。海は其方を忘れたぞ」
ゆらぁり揺れる一体のウォーマシンが古の呪文を紡ぎ始めた。
「絶対なりし海の王。機械の体に魂宿せ。古代と最新今こそ合わされ」
明らかに異常な機械の変形、その全長は元の百倍以上に成長していく。
「我らこそがモササウルスだ!!」
【実行仮想破滅・七海征する最新にして古代の龍】が海上へ咆哮を上げた。
「人魚とはこれはまた我が身に宿りしモササウルスが喜びそうなものよ」
メカモササウルスに変形したビードット・ワイワイ(絶対唯一メカモササウルス・f02622)はまずは全ての音をシャットアウトする。
そして視覚のみで人魚の位置を探っていると、機械眼がキィンと金色に光った。
『LaLaLa――』
人魚たちは優雅に波を揺蕩いながら歌っていたのだが――。
ドォオン!! 平穏は突如破られた。
海中に轟音が走るのとほぼ同時、電撃が人魚の身体を貫く。
「我は破滅を齎す招来者なり」
今、ビードットが角から放った電撃はただの牽制に過ぎない。
急加速して人魚の群れの真下まで接近したビードットは、その巨体を一気に浮上させる。そして動きを止めた人魚の胴体に噛み付き、華奢な体躯を海上へ打ち上げた。
桜色の鱗が太陽光を美しく反射する――そして、落下する先は機海竜の大口。
ば 、 く ん 。一口で噛み砕かん。
その光景を見た人魚たちは、恐怖に打ち震えて一斉に逃げ出した。
人魚の叫び声はそれすらも歌になる。けれど、聴覚を封じたビードットには届かない。
「好きなだけ歌って良いぞ。お祭り騒ぎで餌を踊り食いするのも悪くない」
ビードットの巨体をくねらせて泳ぐだけで大波が生まれ、人魚は思うように泳げない。
ビチビチと逃げ惑う人魚を追い詰めて、喰らう。体当たりをして、喰らう。
メカモササウルスの蹂躙は、人魚の海賊団が全て尽きるまで続けられた。
――人魚の歌は、もう何処にも聞こえない。
大成功
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