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はると鏡のウサギ穴

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #猟書家 #マーダー・ラビット #時計ウサギ #はるの物語

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 アリスのはるは、今日も不思議の国を巡る。
 思い出せた辛い過去の欠片を受け入れ、乗り越えて。
 元の世界に戻るための『自分の扉』を探して。
 また次の不思議の国へと向かって行く。

「は~い、こっちですよアリスさん。
 次の国にアリスさんの『自分の扉』があればいいですね!」
「ありがとうございますです、ウサギさん。
 花の国でウサギさんに会えたおかげで、こうしてすぐ次の国を探しに行けるのです」
 先導する陽気な時計ウサギに、はるはお礼を告げて微笑んだ。
「いや~、それにしても、花の国も楽しいところでしたね。
 プリンセスと愉快な花達の掛け合いは見事なものでした。
 ずっと見ていたいほどの楽しさに、お別れが惜しかったみたいですね」
 にこやかな時計ウサギの言葉に、はるは後にしてきた不思議の国を思い出す。
 農夫の格好の方が似合う、皆に慕われたプリンセスを。
 プリンセスをからかいながらも囲んで楽し気に話す、花の姿の愉快な仲間たちを。
 猟兵達のおかげで黒薔薇から守ることができた、素敵な花の国を。
 琥珀色の瞳を細めながら、懐かしむように思い出して。
 その温かな出会いをまた胸に宿すと、鈴のついた髪飾りと小麦色の長い髪を揺らしながら、前へ向かって歩き行く。
「そんな訳で、僕ともお別れの時間となりました。
 いやぁ、名残り惜しいですね」
「えっ?」
 そこに唐突に切り出された言葉に、はるは目を見開いて時計ウサギの背を見る。
「ほら、僕って時計ウサギじゃないですか?
 ウサギ穴って、僕らが先導しないと通れないんですよ。知ってますよね?」
 くるりとこちらに振り返った時計ウサギは、変わらぬ陽気な笑みを浮かべていて。
「じゃあ逆に、今みたいなウサギ穴のど真ん中で、時計ウサギが居なくなったら。
 ……一体どうなると思います?」
 にこやかなままな問いかけに、はるの背筋がゾッとする。
 答えられず、いや、答えを理解することを思考が拒む中で。
 時計ウサギは……猟書家『マーダー・ラビット』は酷く愉し気に、嗤った。

 りりん。

「……正解は『骸の海の藻屑と化す』だそうだ」
 苦々しく九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)はそれを告げる。
 幾度かその困難を予知したアリスの少女・はるが、また危険な目にあっているのだと。
「時計ウサギの居ないウサギ穴は、不安定な異世界と化している。
 はるが居るところは……鏡だらけの世界、だね」
 異世界を埋め尽くすように無数にある鏡は、映したものの偽物を生み出すのだという。
 アリスを映せばアリスの偽物を。
 猟兵を映せば猟兵の偽物を。
 そして、鏡自身を映せば鏡の偽物を。
「生み出された偽物は、その世界に居る者に襲い掛かってくる。
 姿形での見分けはつかないから、騙されないように気を付けな」
 自分自身の偽物はもちろん、はるの偽物もいる。
 誰を助け誰を倒すのか。
 間違えないようにしないといけない。
「何とか鏡の世界から抜け出しても、そこで終わりじゃない。
 出口に待ち構えている猟書家との戦いもあるからね」
 無事に逃れることは許さないと言うように。
 いや、むしろ、無事に逃れ安堵したところでさらなる絶望を与えて愉しむために。
 猟書家幹部『マーダー・ラビット』が、はるを狙ってくる。
 それを倒すまでが役目だ、と夏梅は告げて。
「偽物の時計ウサギに偽物の鏡像……偽りだらけの世界に本物の希望を届けとくれ」
 猟兵達を送り出した。


佐和
 こんにちは。サワです。
 鏡の向こうの友達と遊べていたのはいつまでだったか。

 アリスの『はる』は、10歳程の少女で、歌声で癒すシンフォニック・キュアのようなユーベルコードが使えます。
 はるのこれまでを知りたい方は、タグを利用して過去の登場作をご確認ください。
 未読で全く問題ありません。

 第1章は、鏡の世界での冒険です。
 鏡だらけの中で、偽物が隙を窺っています。
 偽物は鏡により生み出された者なので、姿形は本物と全く同じです。
 襲い掛かってくる偽物を倒しつつ、はるを探してください。
 偽物の性格等に指定がありましたらどうぞ。
 尚、現れる可能性のある偽物は、自分自身と同行者、はる、それと鏡です。

 はるを鏡の世界から助け出せたなら、第2章でボス戦となります。
 猟書家『マーダー・ラビット』が、るんるん気分で明るく陽気に襲ってきます。

 それでは、鏡の国のアリスを、どうぞ。
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第1章 冒険 『鏡の中の偽物を探し出せ』

POW   :    直感を信じて偽物を探し出す

SPD   :    偽物の仕草の違いから探し出す

WIZ   :    変装の欠点を突き偽物を探し出す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エミリオ・カリベ
さて、と?
この無数にある鏡に姿を映せば偽物が生まれて襲い掛かって来るんだよね?
そんな場所で当てもなく人を探すのは……
Vísteme despacio, que tengo prisa...急がば回れ、かな?

(UCを発動)
ここで色々と調べておけば後々有利になるかも知れない。
けれど今優先すべきは少しでも早くはるちゃんを探し出して保護すること。
ならば引き出す情報はただ一つ。
アリス「はる」の現在地とそこまでの最短ルートを示せ。
(異空間から≪本≫を模った情報を取り出す)

居場所が判明したら【高速詠唱】【多重詠唱】【全力魔法】で身体強化。
最短ルートを最小限の戦闘で駆け抜け、はるちゃんの元へと急ぐよ。



 そこにあるのは鏡ばかりだった。
 壁に立てかけられて。天井に飾られて。床に突き刺さって。
 顔だけが映るものも。細長く全身が映るものも。幅広く何人も並んで映るものも。
 似たような装飾が施された黒い金属枠の四角い鏡が、数えきれないほどに。
 そのウサギ穴には、不規則に並んでいた。
「さて、と?」
 その光景をぐるりと眺めたエミリオ・カリベ(星空と本の魔法使い・f07684)は、短い銀色の髪をさらりと揺らして、穏やかに呟く。
 鏡に映った無数のエミリオも、ゆっくりと辺りを見回しているのを見て。
 その中から偽物が生まれ、襲い掛かってくるのだという説明を思い出して。
「こんな場所で当てもなく人を探すのは……」
 図書館の司書や学者を思わせるスーツ姿で、青い瞳を柔和に細めると。
「Vísteme despacio, que tengo prisa...急がば回れ、かな?」
 さらりと呪文を唱えるかのように告げ、小さく首を傾げ笑った。
 この場所で、歪められたウサギ穴で、彷徨うアリスがいる。
 エミリオよりも幼く、猟兵のように戦えない、か弱いアリスが1人きりで。
 鏡だらけの危険な空間に置き去りにされ、取り残されている。
 そう考えると、今すぐにでも探しに駆け出したいところだけれども。
 エミリオは足を止め、虚空にそっと手を伸ばした。
「Memoria acumulada del mundo...¡Abierto! ¡Registros akáshicos!」
 紡がれた言葉は今度こそ呪文で。
 ユーベルコードで生み出した異空間に、エミリオは立つ。
 そこは『虚空蔵図書館』……アカシックレコード。
 世界の記憶が『本』として蓄積される場所。
 ゆえに、エミリオは膨大な量の『本』に囲まれて。
 変わらぬ穏やかな笑みを、いや、少し上気したような表情を向けていた。
 寝ても覚めても本は手放さない、本の虫と言われてしまうほどのエミリオにとって、この光景は紛れもなく最高の環境だったけれども。
 これだけの『本』の中から目当てのものを探すのは、容易くはないから。
 急がば回れ。
 エミリオはもう一度、呪文のように繰り返してから。
 ここでかかってしまった時間だけ、次の行動の成功率を上げられると信じて。
 情報を引き出す。
「アリス『はる』の現在地とそこまでの最短ルートを示せ」
 それでも、数多の情報を得る程に、時間をかけてはいられないから。
 今優先すべきは、少しでも早くアリスを探し出して保護することだから。
(「ここで色々と調べておけば、後々有利になるかもしれないけれどね」)
 そう思いながらも、ふふっと微笑んで。
(「はるちゃんの元に急ごう」)
 エミリオは迷いなく、ただ1つの『本』を求めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふええ、こんな鏡だらけの世界で私を一人にしてアヒルさんはどこに行ってしまったのでしょう。
あ、アヒルさんが帰ってきました。
もう、アヒルさん、どこに行っていたんですか?
ふえ?あなたは誰ですか?
アヒルさんじゃないですよね。
そんなガーガー鳴かれましても、あなたの言っていることが分かりませんよ。
あなたがアヒルさんの偽物ってことですね。
偽物なら怖くありません。
フォースセイバーで倒してしまいましょう。

それにしても、アヒルさんはどこに行ってしまったのでしょうか?
ふええ、私を一人ぼっちにしないでください。



 鏡だらけの不思議な空間で、もう1人アリスが彷徨っていた。
「ふええ、アヒルさんはどこに行ってしまったのでしょう」
 大きな帽子の広いつばを引き寄せて、おどおどと顔を隠すようにしながら、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)はおずおずと周囲を見る。
 その言葉通り、フリルは1人きりで。
 いつも持っているアヒルちゃん型のガジェットはその手にない。
 もちろん、鏡の中にいる数多のフリルのどれにも、黄色いくちばしの白い姿はなく。
 困り果てた表情だけが幾つも幾つも映っていた。
 と、そこに見慣れたガジェットが飛び込んでくる。
「あ、アヒルさん。
 もう、どこに行っていたんですか?」
 カーブミラーや、車のサイドミラーのように、死角を補ってくれていた鏡のおかげもあって、フリルはすぐに現れたガジェットに気付くと、嬉しそうに駆け寄って。
 むしろフリルの方が迷子になっていたのだと怒るかのように、がーがー鳴き続けている様子に、ぴたり、と足を止めた。
「ふえ? あなたは誰ですか?
 アヒルさんじゃないですよね」
 訝し気に首を傾げるフリル。
 黄色いくちばしも、ずんぐりした白い身体も、くりんとした瞳も、フリルのブラウスと意匠を揃えたレース模様の前掛けも、いつもフリルが持っているガジェットそのものだったけれども。
「私にはあなたの言っていることが分かりませんよ」
 今もがーがーと続く鳴き声に、フリルは困惑していた。
 他の人にはただのアヒルの鳴き声にしか聞こえなくても、フリルにだけは通じていたガジェットの言葉が、全く分からない。
 フリル以外には判別できないそんな差異を指摘して。
「あなたがアヒルさんの偽物ってことですね。
 偽物なら怖くありません」
 フリルは、サイキックエナジーを操ると光の剣を作り出した。
 迷いなく振り下ろされたフォースセイバーに、アヒルちゃん型のガジェットは……いやアヒルちゃん型のガジェットの鏡像は、鏡が砕けるように壊れ消えて。
 そして再び、フリルは1人になった。
「それにしても、アヒルさんはどこに行ってしまったのでしょうか?」
 アリスラビリンスで目を覚ました時に側に転がっていたガジェット。
 それからずっと共にいた大切な相棒。
 怒られることばかりだけれども。
 勝手な行動に振り回されることも多いけれども。
 つつかれるとすっごく痛いけれども。
 それでも、いつもフリルと一緒にいて、フリルを見てくれている存在だから。
「ふええ、私を1人ぼっちにしないでください」
 フリルはガジェットを探して、鏡の異空間をまた歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
命を玩具にする屑野郎め
はるを助けるぜ

行動
まず目に入る範囲の鏡を全部焼却
俺が沢山出てきたら面倒だ
きりがないけど


ギターを奏でながら進む
はるが気付いて向かってきてくれるかも
…偽物たちも来るだろうけど

時々は曲を止め
髪飾りの鈴の音が聞こえないか耳を澄ます

はるの歌声が聞こたら急ぐ
怪我してたり
狙われそうだからな


偽物は鏡に映らないはず
鏡やギターのボディに映るかどうかで見分ける

勢いよく旋律を奏で紅蓮の渦で偽物達を灰に

俺達はあの子を知ってるんだ
あの子の瞳にはそんな翳なんてない
笑顔はそんな作り物めいてない
心までは映せなかったようだな

はる
よく頑張ったな
もう大丈夫だ

事後
悪い兎にお仕置きタイムだ
いくぜ、はる



 鏡だらけの異空間を歩きながら、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は、奥底から湧き上がって来る怒りに心を震わせていた。
(「命を玩具にする屑野郎め……」)
 導くべきアリスを置き去りにし。自身が居ないと不安定になると分かっている空間から姿を消し。その絶望を楽しむ、狂気の時計ウサギ。
 けれどもウタは、その怒りを抑えて。
 まずはアリスを……顔見知りの少女を探す。
(「はるを助けないとな」)
 きっと、不安に押しつぶされそうになりながらも頑張っているはず。
 だからこそ、急いで駆けつけてやりたいと思い。
 足を進めながらも辺りを見回す。
 でも、見えるのは鏡ばかり。
 そして、鏡に映ったウタ自身の姿ばかりだったから。
「……俺が沢山出てきたら面倒だな」
 ギターを手にしたウタは、それを激しくかき鳴らした。
 奏でられた力強い旋律に、地獄の炎を乗せて広げれば、周囲の鏡が割れ、そして燃やし尽くされていく。
 そうして幾つもの鏡を焼却し、かき消していくけれども。
 進めば進む程、燃やした以上に周囲に現れてくる、鏡、鏡、鏡。
 きりがないと感じながらも、ウタはギターを爪弾いて。
 定期的に鏡を焼滅させつつ、その力強い旋律を響かせた。
 この音を、かつて会ったはるは知っているはず。
 この曲に気付いてくれたら、向かって来てくれるはず。
(「……偽物たちも来るだろうけど」)
 そう思ったところに、小柄な人影が飛び出してきた。
 長い小麦色の髪を揺らし、琥珀色の瞳にウタを映して、歓喜の表情を浮かべるはる。
 ほっとしたように嬉しそうに、駆けよって来るその姿をウタは見つめて。
 かき鳴らしたギターの調べと共に、はるを紅蓮の渦に包み燃やす。
 そのすぐ側から、燃やしたはると全く同じ姿をした少女がまた現れ。
 ウタはそのはるにも勢いよく旋律を奏で、地獄の炎を向けた。
 炎の中で灰となり、消えていく少女達。
 でも、その姿が周囲の鏡に一切映っていなかったことにウタは気付いていたし。
「俺達はあの子を知ってるんだ」
 一生懸命に前を向いて微笑むその姿を、鮮やかに思い出せるから。
「あの子の笑顔はそんな作り物めいてない。
 あの子の瞳にはそんな翳なんてない」
 小さくでも1歩ずつでも、前へと進もうと頑張る姿を、見間違えることなどないから。
「心までは映せなかったようだな」
 消えた偽物達ににっと笑ってから、ウタは再び鏡の中を進んでいく。
 ギターの音を響かせて。
 時折、周囲の鏡や自分の偽物を獄炎に包み。
 時折、曲を止めては、はるの髪飾りの鈴の音や歌声が聞こえないか耳を澄ませて。
(「待ってろよ、はる」)
 ウタは力強い旋律と共に、鏡の異空間を進んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘザー・デストリュクシオン
兎のひょーばん落とすのやめてほしいの!
はるちゃんいじめるのも、やめてほしいの!

わたしのニセモノ?
見た目が同じだけなら、壊すだけなの!
ダッシュやジャンプ、スライディングで敵の攻撃を早業で避けて速さ重視のUCで攻撃!
ニセモノじゃ、この速さについてこられないでしょ?
ついでに近くのかがみも壊しちゃうの。

はるちゃんのニセモノ?
…はるちゃん、わたしの妹の名前おぼえてるよね?
せーかい!アリスなの!
というわけで、そっちがニセモノなの!
UCで捨て身の一撃!
見た目だけ同じになったって、はるちゃんにはなれないのよ!



 立ち並ぶ鏡の間をずんずんと歩きながら、ヘザー・デストリュクシオン(白猫兎の破壊者・f16748)はプンプンと怒っていた。
「兎のひょーばん落とすのやめてほしいの!」
 白い短髪の上で揺れるのは白いウサギ耳。
 時計ウサギではないけれども、似た特徴を持つキマイラな少女は、予知として聞いたオウガの所業に、その猫のような金色の瞳をむうっと釣り上げて。
「はるちゃんいじめるのも、やめてほしいの!」
 言って同意を求めるように、鏡に映ったヘザーを覗き込む。
 すると、鏡の中のヘザーが、うんうんと頷いて。
 そのまま鏡から抜け出るように、ヘザーの前に現れ、立つ。
「わたしのニセモノ?」
 白い髪も長いウサギ耳も、猫の金瞳もふわふわな白いウサギ尻尾も。
 きちっとした白襟が付いたノースリーブの赤い上着も、胸の上で大きく結ばれた青いリボンも。ちらりとおへそが見える元気な白いホットパンツも、すらりと伸びた脚を覆う茶色いロングブーツも。
 ヘザーと全く同じ、偽物。
 歪んだ空間の不思議な鏡によって生み出されたもう1人の自分を目の当たりにしたヘザーは、ぱちくりと目を瞬かせて。
「見た目が同じだけなら、壊すだけなの!」
 ぴょんっと跳び上がり、偽物へと襲い掛かった。
 その敵を翻弄する素早い動きすら、偽物は映して、同じように襲ってくるけれど。
 縦横無尽に動き回るヘザーを映しきれなかったかのように。
 その動きに遅れが見えてきて。
「ニセモノじゃ、この速さについてこられないでしょ?」
 にこっと笑ったヘザーは、移動に使っていた脚力を、ラビットキックに変えて放つ。
 いつの間にかウサギの脚に変化していた両足は、強烈に偽物を蹴り飛ばし。
「ついでに近くのかがみも壊しちゃうの」
 そのままぴょんぴょんとヘザーは跳ね行き、鏡にも蹴りを叩き込んでいった。
 硬い音を響かせて、次々と割れていく鏡。
 そしてまた、大きな姿見に飛び掛かるようにして蹴りを入れれば。
『きゃっ!?』
 その影から、小麦色の髪の少女が小さく悲鳴を上げながら飛び出てきた。
「はるちゃん?」
 見覚えのあるアリスの姿に、ヘザーはぱあっと顔を輝かせるけれども。
「はるちゃんのニセモノ?」
 今し方蹴り倒した自分の偽物を思い出して、こくんと首を傾げる。
 こちらの疑問に戸惑うように、少女もおずおずと首を傾げているのを、ヘザーはじーっと考えるように見つめて。
 本物なのか。偽物なのか。
 見極めようとするけれども、見た目ではさっぱり分からないから。
 そうだ、とヘザーは手を打った。
「はるちゃん、わたしの妹の名前おぼえてるよね?」
『え? いもうと……?』
 問いかけに、少女は戸惑うばかり。
 その反応を見てヘザーは確信した。
「おぼえてないならニセモノなの!」
 確かに、はるはヘザーの妹に会ったことはない。
 けれども、ヘザーは沢山話したのだ。
 過去に囚われかけていたはるを助ける時に。
 無事だったはると平和になった国で過ごした時に。
 会わせたいと、会ってみたいと、沢山たくさん話したのだから。
 はるが呼ばれるのと同じ、アリスの名を持つ妹を、はるが忘れるはずがない。
 この場に居ない、鏡に映ることができない妹を、偽物が知っているはずがない。
 だから。
「見た目だけ同じになったって、はるちゃんにはなれないのよ!」
 ヘザーは迷いなく跳び上がり、その強いウサギ脚ではるの偽物を蹴り倒した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

乱獅子・梓
【不死蝶】
鏡だらけの異世界か…アルダワでの迷宮を思い出すな
頭がクラクラしてきた思い出が蘇り

おーおー、偽物がわらわら出てきた
綾!俺以外が偽物だから気を付けろ!
お前らも同じこと喋るな!ややこしくなる!

えっ、お前なに物騒なこと言って……おわーっ!?
いくら俺には当たらないからと言って
容赦なくナイフ投げつけてくるか…!?
軽く心臓止まりそうになった

ふむ、それならば…
まずは使い魔の颯を普通の鴉をフリして飛ばせる
はるらしき少女に出会ったら
優しく声をかけ「危ないから俺たちの後ろにいろ」と
敢えてはるに背を向けて歩く
偽物ならきっとこの隙を狙い攻撃してくるはず
その瞬間、監視していた颯が偽物に襲いかかるという作戦だ


灰神楽・綾
【不死蝶】
うーん、俺の偽物は俺以外だから分かるけど
梓は誰が誰だか訳分かんなくなるなぁ
いちいち一人ずつ判別するのも大変だから…
全員斬っちゃえばいいよね

UC発動し、ナイフに「人間」を透過する性質を与える
無数のナイフを次々と投げて乱れ撃ち
正真正銘の人間である梓は問題なく通り抜けるけど
偽物は姿形がそっくりなだけだから
きっとナイフに当たるだろうと推測
ついでに邪魔な鏡も割っていこう

俺たちはともかく、流石にアリス…はる本人には
出会い頭にナイフ投げ付けるのはやめておこうか
例え本物でも怖がらせちゃうだろうしね
本物のはるはいきなり人を襲うような子じゃなさそうだし
あちらから襲ってきたら容赦なく斬り倒そう



 あちらでこちらでキラキラと輝く幾つもの鏡面。
 その瞬きにサングラス越しの視線を向けた乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は思わず黒手袋に覆われた手で額を押さえた。
「鏡だらけの異世界か……アルダワでの迷宮を思い出すな」
 記憶に蘇っていたのは、鏡とガラスで作られた硝子屋敷。
 虚像と実像が入り混じるラビリンスは、梓にとって酷く感覚が狂うものだったから。
 何となくまた顔が青ざめていそうな気がして、梓は近くの姿見を覗き込んだ。
 天上から床まで壁の全てが鏡になっていた硝子屋敷と違い、この異世界では、壁や天井は普通にあって。そこに黒い金属枠に囲われた鏡が置いてある状態。
 ただ、その鏡の数がものすごく。壁が見えないくらい敷き詰められているものや、何枚も重なっているものもあるし。天井にもついていると思えば、床から生えているかのように半分以上埋まっているものもある。
 その向きも、向かい合っていたり背を向けていたり。真っ直ぐに並んでいたり、様々な角度で万華鏡のようになっていたりと多種多様。
 硝子屋敷とはまた違った不思議な感覚に、梓はまた頭がクラクラしてきた気がして。
 はぁ、とため息を1つつくと。
 鏡の向こうからもため息が続いた。
 気付けば、鏡に映った梓が、疲れたような表情でこちらに出てきたところで。
 あちらの鏡からも、向こうの鏡からも、次々と梓と同じ姿の偽物が現れてくる。
「うわぁ。梓がいっぱいだ」
 その光景に、楽しそうに声を上げたのは灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)。
 驚いてはいるようだけれども、それ以上にこの不思議な状況を面白がっている綾は、赤いサングラスの下で糸目をにこにこ細めて。
「俺の偽物も出てきたね」
 自身が増えたのにも声を弾ませていた。
 その楽し気な笑顔も、赤いサングラスも、黒づくめな服装も、さらりとした黒髪も。
 見た目は綾と寸分違わぬ相手だけれども。
「俺の偽物は俺以外だから分かるよね」
 うんうんと頷きながら、綾は自分の姿をナイフであっさりと貫く。
 けれども、引き抜いたナイフを次に向けた先には、何人もの梓。
「でも、梓は誰が誰だか訳分かんなくなるなぁ」
「綾! 俺以外が偽物だから気を付けろ!」
 あまり困っていなさそうな綾の言葉に、梓が注意の声を上げるけれども。
『いや、俺が本物だ。俺以外に気を付けろ!』
『こいつは偽物だ! 本物は俺だぞ』
『分かるよな。俺が本物だ』
『俺以外に気を付けろ!』
「お前らも同じこと喋るな! ややこしくなる!」
 当然ながら偽物達も声を上げ、わちゃわちゃと梓達が大混乱。
 その様子を、うーん、と考え込むようにして見ていた綾は、ぽんっと手を打つと。
「いちいち1人ずつ判別するのも大変だから、全員斬っちゃえばいいよね」
「えっ、お前なに物騒なこと言って……おわーっ!?」
 梓が訝しむ間もなく、無数のナイフが乱れ撃たれた。
 それは綾の言葉の通り、本物の梓を気にして避ける等の気遣いなど全くない、どころか容赦なく殺す勢いで放たれていて。
 逃げる隙もないナイフの雨に、全ての梓が貫かれていく。
 だがしかし、そのナイフには綾のユーベルコードで、任意の物体……今回は『人間』を透過する性質が与えられていたから。
 本物の梓をナイフは通り抜け、偽物だけを貫いていた。
 無傷の自身を見下ろして、ぱたぱたとあちこち触ってそれを確かめた梓は。
 先ほどより格段に大きなため息を1つ。
「……軽く心臓止まりそうになった」
「んー? 梓、どうしたの?」
「何でもない!」
 変わらぬにこにこ笑顔でナイフを振り撒き続け、2人どちらの偽物も、ついでに鏡も何枚か、次々と倒し壊していく綾に、強がるように声を上げた梓は。
 気を取り直して周囲をぐるりと見回した。
「ふむ、それならば……」
 梓は掲げた手の先に、使い魔の鴉・颯を呼び出し。
 何をさせるでもなく異空間を飛び回らせる。
 助ける相手であるアリスを探させているわけでもない。
 まだ現れ続けている自分達の偽物を警戒させているわけでもない。
 ただただ、普通の鴉のように、頭上を舞う黒い姿を見てから。
 梓は、アリスを探して歩き出した。
「そういえば、アリスも偽物がいるかも、だよね」
 後をついてきながら、綾がふと、思い出したように問いかけて。
「アリスも人間だから、このナイフは当たらないけど……
 出会い頭に投げつけるのは止めておこうか」
「そうだな」
「アリス……はるは、いきなり人を襲うような子じゃなさそうだし。
 襲ってきたら、でいいよね。きっと」
「そうだな」
「怖がらせるのもかわいそうだし。
 驚かすのは梓だけにしておくよ」
「そうだな……ってオイ綾!」
 そんなやり取りをするうちに、鏡の前で蹲っている小麦色の髪の少女を見つけた。
 少し離れて綾が周囲を警戒する中で。
「大丈夫か?」
 梓はそっと少女に近づくと優しく声をかけ。
 見上げてきた琥珀色の瞳に、穏やかに頷いてみせると。
「危ないから俺たちの後ろにいろ」
 少女を庇うように、くるりと背を向けた。
 それを見た少女は……はるの偽物は、好機とばかりに梓に襲い掛かろうとして。
 そこに空から飛び込んで来たのは颯。
 ただの鴉のふりをして監視していた颯に虚を突かれ、驚いて両手を顔の前に掲げた偽物のはるに、わざと隙を見せた梓はゆっくりと振り向くと。
「驚かせるのは梓と偽物だけって約束だからね」
 そこに綾のナイフが飛ぶ。
 透過せずに深く貫かれた偽物のはるは、ガラスが割れるように砕けて姿を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・杏
はる。また鈴の音が聞こえた
聞こえればはるに会いに行ける。でも、それは危険な目に遭ってる証拠…(複雑な顔)

ん、助けにいこう

足を踏み入れれば鏡の中の自分とご対面
……少しふくやかになった、気が、する
!いやいやと否定するように首を横に振り気を取り直す
はるを探さなきゃ

鏡を一つ一つ確認していく
鏡に映るわたしが映る、背にある鏡
その中には沢山の「わたし」
…でも、その中の1人だけ、違うポーズ

いた!

素早く懐刀を取り出し【鎌鼬】
偽物の胸元に向けて投げつける

ふふ、ひそりと隠れ姿形が一緒でもすぐ分かる
何故なら、「あなた」は…焼肉のお皿にお箸を手に持っている
羨まし…(こほん)、残念ね?

倒したらはるの鈴の音を探し、更に進む



 また鈴の音が聞こえた。
 鏡に囲まれた異空間で、木元・杏(メイド大戦・f16565)は顔を上げる。
 それは、友人であるアリス……はるの小麦色の髪を飾るもの。
 はるの動きに合わせて、りんりりんと響く涼やかな音色。
 聞こえれば、杏ははるに会いに行ける。
 でもそれは、はるが危険な目に遭っている証拠。
 はるの元へとグリモアが導いてくれるのは、オウガがらみの時ばかりだから。
 杏は、嬉しさと心配とが入り混じる複雑な表情を見せる。
「……ん、助けにいこう」
 でもしっかり頷いた杏は、憂いを払って前を見て、鏡の異空間へ足を踏み出した。
 はるを探そうときょろきょろ辺りを見回せば。
 必然的に、鏡の中の何人もの自分と対面することになる。
 肩にかかるさらりとした艶やかな黒髪。
 友達のために頑張る決意を込めた金色の瞳。
 少しずつ伸びてきた背と共に、ちょっとは大人っぽくなってきたかなと思い。
 少しだけ、頬の辺りとかがふくよかになった気が、する。
「…………」
 思わず、鏡に映った自分をじいっと見ていた杏は。
 いやいやと否定するように、無言のまま首を横に振った。
 大丈夫。大丈夫。
 体重が少しずつ増えているのは身長が伸びているのだから当然のこと。
 成長期だからこその正しい増加なのだから。
 それ以上のことなどない。あるはずがない。
「はるを探さなきゃ」
 キリッと前を向いた杏は、ふくよかの4文字を頭から追い出して、改めて金瞳に決意を込める。
 そう。これは現実逃避なんかではない。ないったらない。
 はるの鈴の音を聞き逃さないように耳を澄まし。
 はるの姿を見逃さないように、鏡を1つ1つ確認しながら進む。
 鏡の中の杏。その杏をまた映した鏡。
 横顔を映す鏡。背にある鏡。
 1人だけ映っているのもあれば。何人も映っているのもある。
 様々な角度で。様々な大きさで。様々な数で。
 映っていく沢山の『わたし』。
 その中の1人だけが違うポーズを取っているのに気付いた杏は。
「いた!」
 懐にしまっていたうさ印の護身刀を取り出し引き抜くと、素早い動きでその胸元へと投げ放った。
「ふふ。ひそりと隠れ、姿形が一緒でもすぐ分かる」
 鏡像と偽物とをしっかり見分けた杏は、胸に刀が刺さった自分に笑いかけ。
「何故なら『あなた』は……焼肉のお皿にお箸を手に持っている」
 鏡像にはあり得ない違いを指摘する。
「羨まし……」
 こほん。
「残念ね?」
 間にわざとらしい咳ばらいを挟んだ杏の言葉に、杏の偽物は悔しそうな表情を見せ。
 ガラスが砕けるかのように崩れ、その姿を消していく。
 もちろん、持っていた焼き肉のお皿も一緒に。
 杏はそれをじっと見届けて。
「……残念ね」
 もう一度呟いてから、再びはるを探しに歩き出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

南雲・海莉
ここがウサギ穴から落ちた場所、ね

確かに光だけならば誤魔化されそう
(意識を済まし、周囲の魔力を感じながら)
でもね、はるさんが……それに杏さんも祭莉くんもきっとくる
(友達のみなを思い浮かべて)
間違うわけにいかない

実体を持っていようと、鏡像は影と闇に属するもの
なら
(剣に太陽の属性の魔力を湛え、溢れ出させて波紋とする。
視覚からの情報と、意識に映る魔力の差異に注意し)
太陽の魔力を以て、影の魔力を剋す

…そこ!
(自身の偽物と見れば迷わずに。
友達の偽物ならば、声を掛け、反応次第で。
剣風で影を形成する魔力と感情に干渉し、そして刀で貫く)
これでも芝居のイロハぐらいは仕込まれてる
本物か演技かぐらいは見わけがつくのよ



「ここがウサギ穴から落ちた場所、ね」
 物珍し気に辺りを見回した南雲・海莉(コーリングユウ・f00345)は、同じように周囲を見回す幾つもの自身の姿を見た。
 黒いリボンタイが揺れる白いシャツの上には、胸ポケットに魔法陣のような金糸の刺繍を施したワインレッドのブレザー。しっかりした生地のチェック柄が揺れるスカートを合わせると、学生服のような姿で。黒鞘の長くがっしりした野太刀を腰に帯びる、漆黒の髪と瞳の凛とした少女。
 寸分の違いもない鏡像に、海莉は苦笑を見せる。
「確かに、光だけならば誤魔化されそう」
 惑いの光景に意識を澄ませれば、感じる魔力。
 映ったものの偽物を生み出すというのはこの力かと納得して。
 海莉は、じっと自分を見つめる数多の自分を見据えた。
 自分でもどれが本物の自分か分からなくなりそうな不思議な光景。
「でもね、はるさんがここにいる」
 そこに思うのは、過去を乗り越え前へ進もうとしている小麦色の髪のアリス・はる。
「それに杏さんも、他の皆もきっとくる」
 そして共にはるを助け、はるの友となった猟兵の仲間たち。
 はるの道行きを案じ、その行く末に幸あることを願う同志がきっと来ているから。
「間違うわけにいかない」
 野太刀『紋朱』をすらりと引き抜いた海莉は、朱が差す刃文、その切っ先で太陽のルーンを描き。剣に太陽の属性の魔力を湛える。
(「太陽の魔力を以て、影の魔力を剋す」)
 溢れ出た魔力は波紋となり、鏡像が属する影と闇の力を浮かびあがらせ。
 その感覚と視覚からの情報を重ね合わせたならば。
「……そこ!」
 何人もの自分の中から1人を貫いて。
 驚きに目を見開いたその姿が、海莉に剣を振り下ろそうと狙っていた偽物が、ガラスが砕けるかのように崩れるのを見下ろした。
 例え姿形が同じでも、間違えたりはしない。
『南雲さん、助けてください』
 鏡の陰から飛び出してきた小麦色の髪の少女も。
『怖かったですけど、もう安心ですね。南雲さんが守ってくれますから』
 安堵の息を吐いて信頼の色を濃く見せる、見覚えのある姿にも。
 海莉は惑わずに。
「これでも芝居のイロハぐらいは仕込まれてる。
 本物か演技かぐらいは見わけがつくのよ」
 陽光の魔力を籠めた剣風を放ち、はるの偽物の魔力と感情に干渉すると。
「はるさんは守られるばかりじゃない。
 人に頼り切って、何もしないで笑っていられるような子じゃないのよ」
 浮かび上がった影の魔力を、朱い刃で貫いた。
(「間違えない。間違うわけにいかない」)
 友を思い。
 演技を仕込んでくれた人を思い。
 海莉は紋朱を振るいながら進んでいく。
 そうして何枚もの鏡を越えた先に。
 アヒルちゃん型のガジェットを抱えて座り込み、傍らに立つ短い銀髪の少年が差し出す手におずおずと繊手を重ねて、立ち上がろうとしている小麦色の髪の少女を見つけた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『マーダー・ラビット』

POW   :    きす・おぶ・ざ・です
【なんとなく選んだ武器】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    ふぁんとむ・きらー
【糸や鋏、ナイフ等】による素早い一撃を放つ。また、【使わない武器を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    まさくーる・ぱーてぃ
自身の【殺戮への喜びによって瞳】が輝く間、【自身の全て】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠終夜・嵐吾です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 はるの元に次々と集った猟兵達は、共に異空間を抜け出る。 
 どこにも鏡がない光景に、はるも皆もほっと息をついて。
 安堵が広がっていく、そこに。
「はいはいお疲れさまでした。
 無事にウサギ穴から出られてよかったですね、アリスさん」
 酷く陽気な声がかけられた。
 聞き覚えのあるそれに、そして笑顔で姿を現した時計ウサギ……いや、幹部猟書家『マーダー・ラビット』に、びくっとはるの身体が強張る。
「いや~、それにしてもこんなに沢山、アリスさんを助けてくれる人がいるなんて。
 鏡の世界で誰か1人くらい偽物と入れ替わっていても気付きませんよね」
「……え?」
 考えもしなかった、というように琥珀色の瞳を見開くはるに。
 マーダー・ラビットは、偽物の時計ウサギは、にいっと笑みを深くして。
「大丈夫。ウサギ穴を抜け出たご褒美です。
 誰が偽物か分かる前に、僕がアリスさんを殺してあげますから」
 にこやかに告げる言葉に滲み出るのは、歪んだ狂気。
「だからアリスさんは、素敵な仲間と一緒にいた。
 そう思った幸せなままで終われるんです。よかったですね」
 破れた服の下につぎはぎだらけの身体を見せて。
 血にまみれた手で赤く染まった鋏を掲げて。
 マーダー・ラビットは、はるに笑いかける。
フリル・インレアン
ふええ、やっと到着です。
あ、アヒルさん、もうどこに行っていたんです・・・。
いえ、もういいです。
アヒルさんの行動は正しいことですし、この状況で一番危険なはるさんのところに行っていなかったら、それこそアヒルさんの偽物ですもんね。
一言も喋らなくてもそれぐらいは分かりますよ。
ただ、ちょっと不満なのはよく本物のはるさんを見抜けましたよね。
もう今日はそのまま、はるさんの王子様でいてください。
偽物とはいえアヒルさんを倒した私が負けることはありません。
マーダーラビットさんの瞳が輝いた瞬間にガラスのラビリンスを発動です。
硬いガラスの迷宮に9回も攻撃したら手が痛いんじゃないでしょうか。



「ふええ、やっと到着です」
 酷く陽気な声を聞き流しながら、鏡の異空間を抜け出たフリル・インレアン(f19557)はぺたんとその場に座り込んだ。
 幹部猟書家『マーダー・ラビット』の妖しいセリフを理解する余裕もなく。
 いつも被っている大きな帽子もどこかくたりと、疲れた様子で項垂れていたけれども。
「あ、アヒルさん」
 はるの手の中のアヒルちゃん型ガジェットに気付いて、見上げた。
「もう、どこに行っていたんです」
 鏡の異空間でずっとずっと探していたガジェットの、そんなフリルの苦労など知らないと言わんばかりのいつも通りの様子に、むっと怒って見せる。
 しかしガジェットは、があ、とも言わず。
「……いえ、もういいです。
 アヒルさんの行動は正しいことですし、この状況で一番危険なはるさんのところに行っていなかったら、それこそアヒルさんの偽物ですもんね」
 堂々とした姿に、フリルはため息と共に理解を示した。
 ずっと一緒にいるガジェットなのだから、それぐらいは分かる。
 分かるけれども、1人にされた不安や、無事なのかと心配していた気持ちが、もやもやとフリルから溢れていて。
「でも、よく本物のはるさんを見抜けましたよね」
 その声色は、疑問というよりも不満に近かった。
 それでも、ガジェットの様子は変わらず。
 そして、鏡の生み出した偽物の中で、どうやって本物を見分けたのか語ることもなく。
 堂々と、フリルのブラウスと意匠を揃えた前掛けのついた胸を張っていたから。
 フリルはまた、ため息をついた。
「もう。今日はそのまま、はるさんの王子様でいてください」
 気分的に一気に疲れていた身体を……本当は、ガジェットと再会できたことに安堵して力の抜けていた身体を、頑張って奮い起こして。
 フリルは、はるの手の中にガジェットを置いたまま。
 はるの前に、狙われているアリスを庇うように、立つ。
「偽物とはいえアヒルさんを倒した私が負けることはありません」
 自信をもって胸を張るその様子は、どこかガジェットに似ていた。
 そこに迫って来る、継ぎ接ぎの時計ウサギ。
 殺戮への喜びに赤い瞳を輝かせたマーダー・ラビット。
 狂気の笑みを浮かべたまま、素早い動きで、赤黒く染まった鋏を翻す。
 狙うはもちろん、アリスのはる。
 そして、それを邪魔するフリルたち猟兵。
 一緒に切り刻めば何の問題もないと言わんばかりに、全てに攻撃の手を向ければ。
 フリルは慌てず騒がず、ガラスのラビリンスを発動させた。
 かなりの硬度を持つ透明なガラスを、惑わすためでなく、盾として展開して。
 素早く何度も振るわれた鋏の全てをはじき返す。
「そんなに攻撃したら、手が痛いんじゃないでしょうか」
 しっかりはるを守りつつ、そしてその鉄壁の守りが相手のダメージになっているのではと指摘しながら。
 フリルは、赤い瞳に頑張って力を込めて、マーダー・ラビットを見据えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリオ・カリベ
楽しそうにお話しているところ悪いんだけれどそこまでだよ?
大丈夫だから心配しないでね、はるちゃん。
僕たちはあれくらいで出し抜かれたりなんてしないから。
(動揺するはるを背に【かばう】と【優しさ】を込めた口調で微笑み掛ける)

それじゃ正真正銘「偽物」の時計ウサギさんにはご退場願おうかな?
(一冊の本を取り出しUC発動!光のような白い外套を纏った星霊王に変身!)
星霊の宿りし杖により技能レベルが上昇。
【瞬間思考力】【第六感】でマーダー・ラビットの素早い動きを【見切り】、【高速詠唱】【多重詠唱】【全力魔法】、アイテム【Octagrama】で矢継ぎ早の魔法攻撃。

確かに早いけれど……ふふ、僕の友達はもっと早いよ?



「楽しそうにお話しているところ悪いんだけれど、そこまでだよ?」
 歪んだ笑顔を遮るように、はるの前に茶色の背中が割り込んだ。
 身丈が少し長めの、でもぶかぶかとかではなくきちっと仕立てられた、清潔感と誠実さを表したようなスーツを纏い、肩越しに振り向いたのはエミリオ・カリベ(f07684)。
「大丈夫だから心配しないでね、はるちゃん。
 僕たちはあれくらいで出し抜かれたりなんてしないから」
 穏やかな物腰そのままの優しい声で話しかけながら、エミリオは、天球儀を抱く大きな青い三日月を象った杖をそっと掲げて見せる。
 月の片端に飾られた青い星の揺らめきに見惚れるように、はるは『Esfera celeste』の名を抱く杖を見上げた。
「おやおや。この優しい声と笑顔は、本物でしょうか? 偽物でしょうか?」
 その美しい光景を、猟書家『マーダー・ラビット』の笑い声が侵す。
 不審を呼び込み愉しむ狂気に、はるの顔に不安がよぎり、アヒルちゃん型のガジェットを持つ手に少し力がこもるけれども。
 エミリオは穏やかに微笑んだまま、1冊の本を取り出した。
 精緻で煌びやかなその装丁を魅せるように、ゆっくりとはるの前で開いて見せると。
「これは光と闇、二人の王の物語」
 物語を語るかのように、詠唱を紡ぐ。
「Comenzar la función...¡Historia de dos reyes!」
 淡い光がエミリオを包み、スーツが白い外套へと変化した。
 手にした本の装丁のように、豪華ではないけれども細かく繊細な意匠で、落ち着いているけれどもどこか目を惹く、光のような白。
 手にしていた『Esfera celeste』も、煌めく星を纏ったような、静かな夜を表したかのような、星霊の宿りし杖にその姿を変え。
 星霊王となったエミリオは、厳かに立つ。
 美しい変身に、はるはまた目を奪われ。
 疑心も不安もどこへやら。光瞬く星を見上げるように、その頬を上気させていた。
 その様子に微笑んで、エミリオは杖を掲げると。
「それじゃ正真正銘『偽物』の時計ウサギさんにはご退場願おうかな?」
 にっこり嗤うマーダー・ラビットを見据えて、詠唱を開始した。
 エミリオの周囲に星型の魔導蒸気機械『Octagrama』が浮かび上がり、紡ぐ魔法の補助にと展開される。
 へぇ、とそれを眺めたマーダー・ラビットは、それなら狙わせないとばかりに素早い動きを見せ。血にまみれた鋏で、エミリオの白い外套を赤く染め上げようと、その後ろにいるはるを切り裂こうと、狙う。
「確かに早いけれど……」
 しかし、その動きをしっかりと見切っていたエミリオは。
 他の猟兵によってはるが守られているのを確認して。
 惑わされることなく、慌てることなく、詠唱を重ね、魔力を高め。
「ふふ、僕の友達はもっと早いよ?」
 まだまだ、と微笑むと、友を誇るように杖を掲げた。
 周囲に広がる星のように瞬いていたOctagramaから、矢継ぎ早の魔法が放たれて。
 咄嗟に回避するマーダー・ラビットの腕を足をかすめていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
悪い兎にお仕置きタイムだ
いくぜ、はる

戦闘
炎翼で空へ

宙でワイルドウィンド奏で
はるを勇気づけ
皆を鼓舞

猟書家にこの想いは判りゃしない

だから旋律は
兎にとっては
文字通り火傷する程の熱さ

音の振動が熱をはらみ
焼き兎に変える

兎の攻撃を爆炎を噴出し回避

はるらへの攻撃を
同じく爆炎で移動し庇う

血まみれの服や体を紅蓮に包み
灰に帰す


他者を陥れて楽しむとは
体同様、心も歪だな

裏切られた過去への意趣返しかもな
可哀そうに

海へ還してやる

事後
鎮魂曲を奏でる
安らかに

はる
色んなことがある道のりだろうけど
幸せな未来へ近づいている

怖い奴もいるかもしんないけど
助けてくれる仲間とも出会える

未来への歩みを続けてくれよな(ぐっ



「さあ、悪い兎にお仕置きタイムだ」
 惑わす言葉をかき消すように、木霊・ウタ(f03893)の明朗な声が響く。
 ニッと笑いかけるその顔は、何度も見た闊達なもので。
 疑心も不安も、欠片もない晴れやかなものだったから。
「いくぜ、はる」
 言って背に炎翼を生み出し、空に飛び立つウタの姿に、はるは頷いていた。
 偽物ではないかと揺らぐ心を、笑い飛ばしてくれそうな背中に。
 信じていいのかと思う迷いを、吹き飛ばしてくれそうな翼に。
 知らず、はるの顔にも微笑が戻る。
 その小さな変化は、ウタには見えていなかったけれども。
(「はるなら、大丈夫」)
 共に過ごした時間を、何度も重ねた絆を、信じて。
 ウタは空からギター『ワイルドウィンド』をかき鳴らした。
 迷わず吹き抜ける風のように。
 はるを勇気づけ、猟兵の皆を鼓舞するように。
 激しくも優しい曲を奏で上げる。
(「猟書家にこの想いは判りゃしない」)
 だから熱い旋律は、仲間の背を力強く押すものであっても、偽物の時計ウサギにとっては火傷する程のものとなる。
 音の振動が熱を生み、そして、ウタ自身から噴出した地獄の炎を纏って。
 爆炎が、荒れ狂うかのように猟書家『マーダー・ラビット』を襲った。
「ああ、大変大変。これなら本物もあっという間に焼き消せますねー。
 偽物が入れ替わるのも容易だったことでしょう?」
 ひょいと獄炎を避けながら、マーダー・ラビットは嗤う。
 疑惑を投げ込み、揺らぐはるの心を待ち望むように。
「他者を陥れて楽しむとは。体同様、心も歪だな」
 その嘲笑に、ウタは顔を顰めた。
 だが、浮かぶのは嫌悪や拒絶ではなく、悲し気な憐れみに満ちたもので。
(「裏切られた過去への意趣返しかもな」)
 行動は受け入れられないけれども、そうなってしまったことに心を寄せて。
 破れた服。血塗れの手。継ぎ接ぎだらけの身体。
 歪んだ心と姿に、可哀そうに、とウタは思う。
 でもだからと言って、その意趣返しに従ってやる気はない。
 今も未来も、過去に渡す気はウタにはないから。
「はる」
 ウタは眼下の少女に呼びかける。
「色んなことがある道のりだろうけど、幸せな未来へ近づいている。
 怖い奴もいるかもしんないけど、助けてくれる仲間とも出会える」
 今を生きる者として、その道行きをどこか祈るように。
「未来への歩みを続けてくれよな」
 願うように、告げた。
 はるがどう反応したのかは、纏う炎で見えない。
 でもきっと、琥珀色の瞳で力強く前を見て、頷いてくれたはずだと思うから。
 ウタはマーダー・ラビットを見据えたまま、再びギターをかき鳴らす。
「さあ、海へ還してやる」
 改めて燃え上がった紅蓮は、先ほどよりも素早くマーダー・ラビットへ向かい。
 炎竜と共に、その身体を灰に帰さんと包み込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
偽物だらけの世界を抜けた先に待っているのは
偽物の時計ウサギさんか
でも、その滲み出る殺気だけは本物のようだね
胡散臭い笑顔の裏に隠しきれていない殺気…
なんだかちょっと昔の俺を思い出すよ

UC発動
ナイフを構え、一気に間合いを詰めて攻撃を仕掛ける
これだけの至近距離ならば
きっと敵はUCによる高威力の反撃を喰らわせてくるだろう
激痛耐性で耐え、吹き飛ばされないように踏ん張り
意地でも喰らいつき続ける
そうすれば敵は梓やはるには手が出せないだろう
あは、そろそろ胡散臭い笑顔が崩れてきたかな
そういう顔のほうが好きだよ

焔の接近を確認したら
巻き込まれないようにすかさずそこから離れる
焼きウサギさんになるといいよ


乱獅子・梓
【不死蝶】
あのエセウサギ野郎の言うことに耳を貸す必要はない
息をするように嘘をつく男だ
それに、駆けつけた猟兵はこれまでも
はるを助けてくれた奴らばかりなんだろう
そいつらが偽物か本物なんて
言わなくてもきっとはるは分かるはずだ

まずは零を成竜に変身させ、はるを守らせる
ズル賢そうなエセウサギ野郎のことだから
隙を見てはるだけを狙いに来ても不思議じゃない
綾もそれを感じているのか
身を挺して敵の注意を引き続けている

ならば俺に出来ることは…焔、颯、頼んだぞ
颯が焔を背に乗せて、目立たないように
高速で飛翔しながら敵へと接近
射程圏内に入ったら死角から焔のブレスを浴びせUC発動
畳み掛けるように高火力のブレス攻撃をぶつける



「偽物だらけの世界を抜けた先に待っていたのは偽物の時計ウサギさん、か」
 赤いサングラス越しに猟書家『マーダー・ラビット』を眺めた灰神楽・綾(f02235)は普段から細い糸目をさらに細めて。
「でも、その滲み出る殺気だけは本物のようだね」
 胡散臭い笑顔の裏から感じる、隠しきれていない殺気に微笑んだ。
 いや、そもそも、隠す気などないのかもしれない。
 笑顔なのは、殺戮を喜び、楽しんでいるからで。
 明るく陽気なその言動も、相手の絶望や恐怖を感じ、心弾ませているから。
 笑顔で相手を油断させる思惑がないとは言わないけれども、きっとそれは副産物。
 だって楽しければ誰だって笑うのだから。
「なんだかちょっと昔の俺を思い出すよ」
 血生臭い殺し合いを愛し求める戦闘狂は。戦いが己の全てだった綾は。
 ちらり、と隣に並ぶ乱獅子・梓(f25851)に視線を流す。
 それに気付いているのかいないのか。
 口の端だけで小さく笑った梓は、綾に振り向くことなく、むしろ綾から視線を反らすかのように、はるへと顔を向けた。
「あのエセウサギ野郎の言うことに耳を貸す必要はない。
 息をするように嘘をつく男だ」
 アヒルちゃん型のガジェット手にして戸惑うはるへ、梓は語りかける。
「それに、駆けつけた猟兵は、これまでもはるを助けてくれた奴らばかりなんだろう?
 そいつらが偽物か本物なんて、言わなくてもきっとはるは分かるはずだ」
 梓自身ははるとは初対面だけれども。
 他の猟兵達が顔見知りなのは見ていれば分かる。
 梓を信じてくれなくてもいい。縁を得た友を、その絆を信じてくれれば。
 梓を信じてくれなくてもいい。ただ梓は守るだけだから。
「零」
 だから梓は、はるの答えを待たず、傍らの氷竜の名を呼ぶ。
 梓の肩に止まれるほど小さかった仔ドラゴンは、応えるようにガウと鳴くと、一気にその身体を大きくして成竜となり。
「……焔、颯、頼んだぞ」
 もう1体の仔ドラゴン、炎竜の焔は、使い魔の闇烏・颯と戯れるようにして離れた。
 その小さな赤と黒を見送ったそこに、マーダー・ラビットが迫る。
 空からの炎を軽く避けながら一気にはるに迫り、その赤黒い鋏を振り下ろした。
 だがそれは、硬い硬いガラスのような見えない壁に阻まれて。
 零が、褐色の大型犬が、ガラスを破っても届かせないと言わんばかりに、はるをその背に守るように立ちはだかる。
 幾重もの守りを見たマーダー・ラビットが少し間を取ると、はるの近くに漂っていた星のような魔導機械から幾重にも魔法が放たれ。
 不意撃ちのようなそれを辛うじて回避し、でも腕や脚に幾筋もの傷を刻んだマーダー・ラビットが、態勢を整えようとしたところに。
 綾が飛び込んだ。
 小型のナイフを携え詰め寄ると、素早くその刃を翻す。
「おっと」
 笑顔に少しだけ驚きを混ぜて、それでもまだどこか芝居がかった仕草で、咄嗟に避けるマーダー・ラビット。
 だが綾はすぐさま躱されたナイフを切り返し、距離を開けさせないと詰め寄った。
 これ以上ない程の至近距離を保ちながら、途絶えることのない連撃を生み出し。
 マーダー・ラビットに喰らいつき続ける。
 さすがにうっとおしくなったか、ひょいと肩を竦めたマーダー・ラビットは。
 腰からひょいと適当に引き抜いたナイフを、鋏の迎撃の合間に繰り出した。
 それは優しくキスをするかのように綾の腹部に刺さり。
 そこから死を招くように深く深く潜り込む。
 ただのナイフの一撃とは思えない程の速さと威力をもって、綾を抉り。
 辺りを赤く、赤く染める。
 その手応えに、マーダー・ラビットの笑みが深くなった。
 けれども。
 綾は倒れることも、逃げることすらなく。敵に肉薄したのを好機と見るかのように、尚もナイフを振り下ろし。激痛に耐えて脚に力を込め、マーダー・ラビットを抉り返す。
「……くっ」
 左肩に深い傷を負ったマーダー・ラビットの表情が、初めて苦々しく歪む。
「あは。そういう顔のほうが好きだよ」
 逆に綾は、自分の血に塗れた顔で笑い。胡散臭い笑顔が崩れてきたのを喜んでみせる。
 マーダー・ラビット以上にも見える狂気。
 でもそれは、戦闘を楽しむ、それだけのものではなく。
 互いにナイフを引き抜いて、少しだけ離れた綾は、ちらりと肩越しに背後を見た。
 そこには、零が立ちはだかるその後ろには、梓とはるが、いる。
(「俺が喰らいついてれば、あっちに手は出せないよね」)
 その役目を存分に果たせている自分に微笑み。
 そして、きっと綾がそう考えていることを理解していて。だからこそ、はるの側から離れず、負傷した綾に駆け寄ることもせず、立っているのであろう梓にまた、笑う。
(「きっと怒ってるだろうにな」)
 サングラスの下で冷静を保っているように見える姿から、その内心を推し量って。
 それでも、綾はまた、ナイフを握りしめ、マーダー・ラビットへ詰め寄った。
 ユーベルコードでナイフを高速攻撃しやすい状態に変化すらさせながら。
 流れ出る血液を代償に、自身の速度を強化しながら。
 参戦してきたウサギキマイラの少女と共に、マーダー・ラビットを刻んでいく。
 そのスピードに、増えた手数に、マーダー・ラビットの傷が浅いながらも目に見えて増えていき。いつまでも続く殺戮の円舞曲。
「このまま戦い続けるのも楽しいだろうけど」
 けれど、それに気付いた綾が、斬り結びながらにっと笑う。
「でも、残念。名残惜しいね」
 そして初めてマーダー・ラビットから大きく離れれば。
 察してくれたらしいウサギキマイラもぴょんと飛び退いて。
「焼きウサギさんになるといいよ」
「焔!」
 綾の笑みに、梓の呼び声が重なったかと思うと、炎竜のブレスが放たれた。
 それは、鴉の颯の背に乗り、目立たぬように死角へと飛翔していた仔ドラゴン。
 射程圏内を保ち、気付かれないように潜んでいた焔の一撃。
 その姿は零と同様成竜となっていて。ブレスの威力も、体格に比して強化されており。
 さらに追撃のブレスが、そして別の空から紅蓮の炎がタイミングを合わせて放たれて。
 荒れ狂う炎がマーダー・ラビットを包み込む。
「悦べ、この炎を拝んで死ねる事を!」
 叫ぶ梓の声を聞きながら、ははっ、と笑って綾はふらりと下がると。
 梓の傍らでようやく膝をつき、聞こえてきた歌に耳を傾けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘザー・デストリュクシオン
はるちゃん、わたしの妹の名前は?
いっせーのーで、アリス!
ね?わたしはホンモノでしょ?みんなだって、ニセモノなんかに負けたりしないの。

ずいぶん楽しそうね、ニセモノ兎さん。
壊しあうのが楽しいのはわかるけど、それならはるちゃんにヘンなこと言わずにせいせいどうどうと壊しあうの!

へえ、あなたも速くなるのね。
それならわたしも速くならないと。
リボンもベストもショートパンツも脱いで速さを上げた早業で、ダッシュやジャンプ、スライディングで近づいて爪でマヒ攻撃!
これで他の人も攻撃しやすいでしょ。
はるちゃんがなおしてくれるから、避けられない攻撃は避けず捨て身の一撃を食らわせるの。
ほら、壊しあうほうが楽しいでしょ?



「はるちゃん、はるちゃん」
 様々な声をかけられ、猟兵達の背を見つめていたはるの名を呼ぶ陽気な声。
 振り向くと、ヘザー・デストリュクシオン(f16748)がぴょんぴょんと、ウサギ耳を揺らしながら近づいてきていた。
 その目の前、少し離れた場所でぴたっと足を止めたのは、はるの困惑を案じたからか。
 琥珀色の瞳を覗き込むように、ネコのように輝く金瞳で微笑んだヘザーは。
「はるちゃん、わたしの妹の名前は?」
 問いかけると、戸惑う時間も与えず、いっせーのー、と合図する。
「アリス!」
「アリス、さん……」
 答えの声は、2つ揃った。
 ヘザーは満足そうに、にっこりと笑いかけて。
「ね? わたしはホンモノでしょ?
 みんなだって、ニセモノなんかに負けたりしないの」
 ほら、と周囲を指し示す。
『もう。今日はそのまま、はるさんの王子様でいてください』
 手の中に収まっている、アヒルちゃん型のガジェットと。
 ガラスの迷宮を盾として、庇ってくれる大きな帽子の少女。
『大丈夫だから心配しないでね、はるちゃん』
 美しく真っ白な外套が目を惹く、星の杖を掲げた少年。
『いくぜ、はる』
 空に舞い上がった炎の翼に。
『そいつらが偽物か本物なんて、言わなくてもきっとはるは分かるはずだ』
 壁のように立ち守ってくれるドラゴンと。
 寄り添ってくれる褐色の大型犬。
『ニセモノなんかに負けたりしないの』
 そして、何の憂いも懐疑もなく、笑いかけてくれるヘザー。
 はるを囲んでくれる、温かな縁。
「あ……」
 はるの口元に穏やかな笑みが戻り。憂いが晴れたのを見たヘザーは。
 うん、と頷いて、ウサギ耳を揺らしてから。
 くるりと振り向き猟書家『マーダー・ラビット』へと駆け出した。
「ずいぶん楽しそうね、ニセモノ兎さん」
 赤いサングラスをかけた男と切り結ぶ、血に塗れた姿に猫の爪を振るう。
 にっと笑うその笑みは、はるに向けたものとは違う挑戦的なもの。
 そして、怒りを混ぜたもので。
「壊しあうのが楽しいのはわかるけど、それならはるちゃんにヘンなこと言わずに、せいせいどうどうと壊しあうの!」
 左肩に大きな傷を、そして腕に脚に無数の小さな傷を刻まれたマーダー・ラビットに、素早い連撃を繰り出していった。
 しかし、負傷したとはいえマーダー・ラビットも一方的にはやられない。
 ナイフを捨て身軽になって、ヘザー達を切り刻もうとスピードを上げてくる。
「へえ、あなたも速くなるのね。それならわたしも速くならないと」
 しかしヘザーはむしろ面白がるようにその変化を見て。
 しゅるりとその胸元の青いリボンを解いて身を軽くする。
 それで足りないと感じれば、赤いベストもショートパンツも、迷うことなく脱ぎ捨ててさらに速度を上げ。
 その分多く露わになった白い肌に、鋏の傷が赤く刻まれていく。
「大丈夫なの」
 それでもヘザーは怯まずに。尚もマーダー・ラビットに喰らいついて。
 鋭い爪で、捨て身とも言える攻撃を何度も繰り出していく。
「だって、はるちゃんがなおしてくれるから」
 そのウサギ耳に届くのは、聞いたことのある歌声。
 ヘザーを信じ、共に戦ってくれる、はるの癒しの力。
 その旋律に乗せて、さらに速度を上げたヘザーはマーダー・ラビットを切り裂いて。
「ほら、壊しあうほうが楽しいでしょ?
 だから、はるちゃんをいじめないのよ!」
 言って、とんっ、と地を蹴り後ろに飛ぶ。
 同時に、一緒に切りかかっていた赤いサングラスの男も飛び退いて。
 空から降り注いだ炎の奔流が、マーダー・ラビットを飲み込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
はるの無事を確認してほっと一息
そして、まつりんはぎっくり、と謎めいた言葉を添えて
ふふ、偽物はきっとこんな不思議な事は言わない
だからわたしも本物、大丈夫
ん、あと一息、頑張ろう

女の子一人も満足に道案内出来ない偽物兎
あなた自身は何処で迷子になったの?
本物の時計兎(あなた)の元に帰らなきゃ

はる、いつもの歌(回復)をお願い
【花魂鎮め】
素早い一撃は回避もしくはオーラを伴った大剣で武器受け防御し弾き飛ばす
武器、捨てさせない
うさみん☆、行って
うさみん☆をぶんと投げ捨てた武器をぐっと兎の体に押し付けて
逃がさない
ジャンプし、頭上からオーラの衝撃波!

…はる、今日は鏡の国
次はどんな国に行くのかな
楽しい国だといいな


南雲・海莉
(鏡の間で静かに主の傍から離れなかったリンデンは
守るべき相手を見つけて迷わずその隣へ)

はるさんをあんたに渡す訳が無い
だって『私がお姫様としてもらっていく』んだもの(くすり、と笑って)
(リンデンもわふ、と誇らしげに鳴いて尻尾振り)

言いたいことはそれだけ、オーガ?
(真っ直ぐに刀を向け)

愉悦は火の魔力に属する感情、剋するは水の魔力
(刀へと水の魔力を纏わせ)
あんたを盲いさせるその歪んだ喜びごと断たせてもらうわ!

第六感や見切り、視力で相手の攻撃直前に身を引いて交わし、
或いは剣で受けて勢いを削ぎ、間隙を縫って一撃を叩きこむわ
多少の傷は恐れない
だってはるさんの歌声があるもの

絶対にはるさんには近づけさせない



 鏡の異空間を抜け出た南雲・海莉(f00345)の足元を、一陣の風が吹き抜けた。
 いやそれは、海莉を見守るようにずっと寄り添ってくれていた相棒が、キャスケット帽を被った褐色の毛並みの大型犬が、傍を離れて駆け出した気配。
 小さな翼を付けたその背が向かった先に目を向けた海莉は、小麦色の長い髪を見とめ、その無事な姿に穏やかに微笑む。
「よかった。はる、無事」
 海莉の隣で、木元・杏(f16565)もほっと息をついて。
 リンデン、と大型犬の名を呼びかけながら、はるの元へと駆け寄った。
 振り向いて杏を、そして海莉を見たはるの顔は、不安や懐疑の欠片もなく、再会を喜ぶ嬉しそうないつもの笑顔だったから。
 はるの手の中のアヒルちゃん型のガジェットや、壁のように守り立つ氷のドラゴン、そして猟書家『マーダー・ラビット』に立ち向かう他の猟兵達の背に、海莉は礼を送るようにそっと一度目を伏せた。
 その間に、杏ははると挨拶を交わし。
 ふと、はるの琥珀色の瞳が、杏の隣に誰かを探すように彷徨う。
 それを見た杏は、キリッとした表情で。
「まつりんはぎっくり」
 謎めいた言葉に、はるはぱちくりと目を瞬かせた。
「ふふ、偽物はきっとこんな不思議な事は言わない。
 だからわたしも本物、大丈夫」
 そんなはるの様子を少し楽しむように、杏は微笑んで。
 その笑顔に、はるもつられるように笑って。
「ん、あと一息、頑張ろう」
「はい」
 顔を見合わせた2人は頷き合った。
 海莉もくすりと笑って。見ていてと言うかのように、どこか芝居がかったちょっと大げさな動きで、はるを庇うように立つと。
「はるさんをあんたに渡す訳が無い。
 だって『私がお姫様としてもらっていく』んだもの」
 マーダー・ラビットに言い放った台詞に、大型犬も、わふ、と誇らしげに鳴いた。
 突然の宣言にはるは驚いたけれども。それが、かつて愉快な帽子達の国でお茶会をした時に、海莉自身が言っていたことをなぞった台詞だと、すぐに気が付いて。懐かしそうに嬉しそうに微笑む。
 でもそこに。
「そのお姫様は果たして本物でしょうか?
 そして、お姫様の元に来た王子様も、偽物かもしれません。
 さあ、どうしましょう?」
 マーダー・ラビットが、揺さぶりの言葉をかけてくる。
 揺れる心を愉しもうとするように。
 疑心暗鬼で歪んでいくのを待ち望むように。
 身体に傷を刻まれながらも、はるにその狂気を向ける。
 けれども。
「言いたいことはそれだけ? オーガ」
 海莉は、すらりと引き抜いた野太刀『紋朱』をマーダー・ラビットへ向け。
 その、刃文に朱が差す刀身のように、迷いなく真っ直ぐな黒瞳を向けた。
(「愉悦は火の魔力に属する感情」)
 いちいち振り向いて確かめなくても、もうはるは揺らいでいないと信じて。
 どんな言葉にも、この絆は歪まないと感じて。 
(「剋するは水の魔力」)
 水のルーンを喚起して、刀に纏わせ、構える。
「あんたを盲いさせるその歪んだ喜びごと断たせてもらうわ!」
 迷いなき、凛とした背中。
 それを見つめるはるの横から、杏もすっと前に出て。
「はる、いつもの歌をお願い」
 頼む声に、はるははっとする。
 守る、ではなく、共に戦おう、という言葉。
 はるを知り、信じているからこそのお願い。
 駆け出した2つの黒髪に、はるはしっかりと頷いて。
 紡ぎ出されるのは癒しの旋律。
 それは、見送ったその背を支え、そして送り出す調べ。
 そして、赤いサングラスの青年とウサギキマイラの少女を癒す歌声。
 その優しい音色と共に、杏は花弁のような白銀のオーラを纏った。
 目の前で燃え上がった2種類の炎を見据え。
 その中の影がまだ動いているのを確認すると。
 それまで切り結んでいた、傷だらけの2人と交代するように迫る。
 白銀の光が大剣を象り。振り抜く動きに暖陽の彩が舞い散り。
 肩に深い傷を、全身に浅い傷を無数に負い、そして焼け焦げたマーダー・ラビットを斬り伏せんとするけれども。
 その手の鋏が素早く動き、大剣の軌道を変えると共に、杏を狙って繰り出された。
 慌てず杏は大剣を引き戻し、そのオーラで鋏を受け弾く。
 そして再び、斬撃でマーダー・ラビットを狙おうとして見せたところで。
 海莉が横手から紋朱を振るう。
 杏に注意を向けていたマーダー・ラビットの虚をつく一撃。
 先ほどまでの接近戦とはまた違う間合いでの連撃。
 しかし、マーダー・ラビットは何とかそれに対応し。朱く煌めく刃を、多少バランスを崩しながらも躱して。
 その回避の動きの中から、鋏を超高速で繰り出した。
 カウンターとなった攻撃を、だが海莉は見切って寸前で身を引くと。その一撃をギリギリで避けながら、間隙を縫うように前に踏み込む。
 大威力の鋏は、直撃を躱されても海莉を掠め、傷を刻むけれども。それを恐れず、海莉は踏み込んだ動きを止めずに刀を叩き込んだ。
 だって、海莉には、優しい歌が届いているから。
 多少の傷は恐れない。
 そして、その旋律を守ると約束したのだから。
(「絶対にはるさんには近づけさせない」)
 決意を胸に、マーダー・ラビットを深く斬り裂く。
 傷を重ね、殺戮を愉しめていない状況に表情を歪めたマーダー・ラビットは。
 その負傷のせいか、動きを少しだけ鈍らせて。
 それでも尚戦うべく、手にした鋏以外の武器全てを捨てようとする。
 少しでも速度を上げ、アリスを無残に切り刻むために。
 だが、そこに。
「うさみん☆、行って」
 投げ放たれたのは、うさ耳付きメイドさん人形。
 杏が糸で操るそれは、投げ捨てられようとしていたナイフを、糸を、親切に拾い届けるかのように、受け止めてはぐっとマーダー・ラビットに押し付けて。
 捨てたはずのものが戻ってきたことに、纏わりつく人形に、戸惑うそこへ。
「逃がさない」
 杏は跳び上がると、その頭上で大剣を振り上げた。
「女の子1人も満足に道案内出来ない偽物兎」
 見下ろす傷だらけの姿に。継ぎ接ぎの歪な存在に。
「あなた自身は何処で迷子になったの?
 本物の時計兎(あなた)の元に帰らなきゃ」
 どこか優しく語りかけながら、大剣を振り下ろす。
 間合いの外の一撃は、だが纏うオーラを衝撃波として射出して。
 マーダー・ラビットを上から斬り裂いた。
「ははっ……これでこの僕は終わり、か……」
 ふらり、と傾いだマーダー・ラビットは、力なく、それでも歪んだ笑みを浮かべて。
 まあいいか、と呟いてから、はるに赤い瞳を向ける。
「……ばいばい」
 駄目押しのように放たれた海莉の斬撃で、その姿が消えた。
 ふぅ、と誰かの安堵の息が聞こえ。緊迫した空気が和らぐ。
 杏はくるりと踵を返し。とてて、とはるの元へ駆け戻ると。
「はる、今日は鏡の国。
 次はどんな国に行くのかな」
 ふわりと花のように微笑む。
「楽しい国だといいな」
 賛同するようにうさみん☆がくるりと舞い、リンデンが一声吠えた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月01日
宿敵 『マーダー・ラビット』 を撃破!


挿絵イラスト